説明

計量−分配部材

本発明は、変形可能特に弾性のベース本体内に入口穴(11)とスロット形状の出口(21)とを備えた流動可能で且つ塊状の材料のための計量部材(10)に関する。当該計量−分配部材の前記入口穴(11)と反対側に位置する側には楕円面(20)が提設けられており、当該楕円面内には、スロット形状の出口(21)が楕円面(20)の長軸方向に向けられている。出口(21)は、楕円面(20)の長軸の領域の外周箇所(12)にかけられる横方向の圧力によって、可変方法で広げることができる。計量部材(10)は、容器及び/又はライン特にホースとの間に円錐台形状の結合スリーブとして取り付けられるのが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特許請求の範囲の請求項1の前段に記載されている特徴を有する計量−分配部材に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、農業、建築材料工業又は化学工業における流動性で且つ注入可能な塊状材料の製造及び使用においては、当該塊状材料は、ホッパー若しくは大きな容器から小さな容器内へ移されるか又は使用されるか若しくは別の位置へ送られるために取り出されることが多い。規定された量を例えば等量の製品を計り分けるために、容器からの製品の流れを出来るだけ正確に制御することができることが特に重要である。大量の処理においては、材料の流れは、簡単なスライダゲートによって調整されることが多いが、これは、貯蔵ホッパーの開閉中に材料が制御不可能な状態で給送されることにつながり得る場合が多い。スライダによって制御される出口穴を備えたこの種の計量−分配装置は、例えばCH 681881 A5に記載されている。
【0003】
例えば研究所内での少量ないし極めて少量の製品の正しく測定された給送のための計量−分配装置がCH 682994 A5に記載されている。当該計量−分配装置は、当該計量−分配装置に横方向の力をかけて出口を開くことによって粉末状又は粒状の製品を放出する赤ちゃん用おしゃぶりに似ている。
【0004】
最初に述べた計量−分配装置においては、流出する製品の量を制御する方法は、装置を少量或いは極めて少量の分配における使用に対しては不適切にする欠点があると考えられなければならない。他方、上記の装置のうちの第二のものは、実際には最少量の給送に対してのみ使用可能である。これは、当該装置の弾性の主本体が、圧搾状態で計量−分配装置の寸法に関して強力に変形されることを更に必要とする比較的小さな出口穴を有するからである。しかしながら、通過する材料の量は、計量−分配装置の全面積に対して依然として極めて小さい。注入可能で且つ流動性の塊状材料のホッパー貯蔵において生じるいわゆる材料の橋掛けの形成という問題は、この目的のために出口穴の領域内又は出口穴の上方に設置されなければならない撹拌機を使用することによって、これら両方の装置において解決される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明は、簡単な構造であるが比較的速い材料の流れを可能にする計量−分配部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的は、特許請求の範囲の請求項1の顕著な特徴を備えた計量−分配部材によって解決される。更に、本発明の好ましい実施形態は、特許請求の範囲における従属項の主題とされている。
【0007】
本発明は、流動性で注入可能な塊状材料のための計量−分配部材であって、丸い入口穴とスロット形状の出口穴とを備えている変形可能な特に弾性の主本体を備えており、前記スロット形状の出口穴は、横方向の圧力をかけることによって可変の幅まで開けることができるようになされた計量−分配部材を構想している。当該計量−分配部材は、入口穴と反対側に、大きな楕円形の表面(極端な場合には円形とすることもできる)を備えている。この表面は、当該楕円面の長軸方向に向けられているスロット形状の出口を備えている。当該スロット形状の出口は、入口穴の内径よりも大きな長さを有しているのが好ましい。
【0008】
当該設計によって達成される目的は、楕円表面の外周に横方向の力をかけた後に最終的に得られる出口穴は、前記入口穴にほぼ等しい表面積を有し、その結果、注入可能な塊状材料例えば粉末又は粒子は、通路を介してほぼ妨害されずに流動することができることである。
【0009】
好ましい概念によれば、スロット形状の出口の幅をより広くするために、計量−分配部材に横方向の圧縮力がかけられる。当該出口を開放させることによる最良の結果は、前記圧縮力が楕円表面の長軸の外周箇所の領域にかけられる場合に得られる。この圧縮力は手動によってかけることも考えられる。しかしながら、計量−分配部材の制御が自動化されている遠隔制御可能な装置内で本発明による計量−分配部材を使用することもまた可能である。流量の制御のためには、全ての種類の機械的アクチュエータ、例えば、液圧アクチュエータ又は形状記憶合金によって作られたアクチュエータが考えられる。
【0010】
計量−分配動作特性に依存して、出口の制御のために2つの異なる動作モードが可能である。当該動作が主として製品の妨害されない給送を要求している場合には、永久に開かれたすなわち開口状態のスロット形状の出口穴を備えた計量−分配部材を使用することができる。この場合には、楕円表面の長軸の上記の外周箇所の近くで例えばクランプによって圧縮力をかけることが実際的な解決方法である。これらのクランプは、例えば、製造の不具合又は変更の場合に、適切な液圧アクチュエータ又は空気圧アクチュエータによって解除することができる。
【0011】
第二の動作モードにおいては、供給ホッパーからの流動性の又は注入可能な材料の混合又は分配が、例えば、自動化された給送分配装置におけるような製造プロセスのある種の段階において必要とされるだけである。従って、スロット形状の出口は、主として非圧縮状態すなわち閉塞状態に保持される。必要とされるときには、圧縮力は、第一の動作モードに関して説明したように、同じ箇所で作用する加圧部材の作動によって適用することができる。これらの加圧部材は、例えば、空気圧クランプシリンダ又は平行グリッパを使用することができる。制御部材を使用することによって、適用されつつある圧縮力及び分配されつつある材料の流量の段階的な制御を達成することは、完全に又は部分的に自動化された装置において更に可能である。
【0012】
広げられた出口穴を閉塞状態へ戻すことを補助するための好ましい方法は、例えば、ばねによって付勢され且つ計量−分配部材内へ達するか又はその中に組み込まれている能動的なリセット装置を使用することである。付加的な可能性として、例えば、加硫プロセス内に組み込まれるか又は取り付けられている形状記憶合金からなる螺旋ばね又はストリップのような適当なリセット装置を計量−分配部材上又は中に設置することができる。別の可能な方法として、変形可能な主本体の外周壁を、圧縮空気によってホースを膨張させることによって広げられた出口穴のリセットがもたらされる圧力膨張可能なホースとして構成することができる。
【0013】
広げられた状態のスリット形状の出口穴の面積は、基本的には、出口穴の開口面積と合致するので、分配されるべき製品に対して事実上妨げられない通路が達成される。これによって、材料の橋掛けの形成が防止され又は粉砕するために特別なアクチュエータを使用する必要性が排除される。それにもかかわらず計量−分配装置の領域内で材料の凝集が生じる場合には、この凝集は、当該計量−分配部材の変形可能な構造により手動で圧力をかけることによって除去することができる。
【0014】
閉塞された装置内で製品が規定量ずつ分配されるようにするために、当該計量−分配部材は、2つの容器を相互に結合させるスリーブカップリングとして構成される。この構造においては、計量−分配部材は、ベル(鈴)に似たスロット形状の出口穴によって、丸い入口穴から楕円面に向かって直径が広がっている円錐台の形状とされるのが好ましい。この構造における計量−分配は、材料の流れの特に良好な制御を可能にするので、このようにしてホースを相互に結合させることが特に好ましい。計量−分配部材の外周壁は、例えば容器の周縁によって押圧され且つ容器を計量−分配部材に結合させる外周に沿った溝のような載置構造を有しているのが好ましい。当該結合は、特に、計量−分配部材の外周壁を容器の周縁で押圧し又は引っ張ることによってなされる。更に、容器全体特にホースを計量−分配部材部分において押圧することもまた考えられる。適当なホースを計量−分配部材が使用される供給容器に直に結合させて閉塞された装置を形成することもできる。例えば貯蔵器ホッパー及び/又はホースのような容器の本発明による計量−分配部材に対するより耐久性のある結合は、特に、加硫又は接着による結合によって形成することができる。
【0015】
例えば、製品を大きな容器から比較的小さな容器へ再度分配するプロセス中に使用されるホースの内側に計量−分配部材を配置することは、特に有利であることが判明している。このホースは、その内側に配列された計量−分配部材と一緒に比較的大きな容器に恒久的に結合させることができ、その自由端は充填されるべき容器内へ挿入することができる。計量−分配部材に圧縮力をかけ、それによってスロット形状の出口を開かせることによって、製品を比較的小さな容器内へと分配することができる。
【0016】
計量−分配部材がホースと共に使用されている上記の2つの場合には、計量−分配部材と反対側の端部に設けられたクランプによってホースを閉止するか又は止めることができる。可能な最も簡単なホースの閉止を達成するための手段として、ホースの先端に磁性粒子からなるストリップを使用することが推奨される。これらの磁性粒子からなるストリップによって、分配プロセスの後にホースが殆ど自動的に閉止される。本発明による計量−分配部材が押し込まれるか又は溶着されたホース上に配置された上記のクランピング、停止及び/又は閉止手段は、ホースが閉止されたときに、ホースの内側及び/又は計量−分配部材の下側に付着し次いで落下するか又は流れて分配又は充填位置の近くの領域を汚染するかも知れない物質が、捕捉され且つ閉塞されたホース内に引き留められるという付加的な利点を有する。
【0017】
当該計量−分配部材は、ゴム又はシリコーンを基材とする材料によって作られるのが好ましい。これによって、計量−分配部材の一つの部品による費用効率の高い製造が可能になる。弾性部材を使用することによって、出口穴を開いたり広げたりするために適用される圧縮力を除去した後に、リセット装置を使用することなく計量−分配部材が元の状態に戻され、スロット形状の出口が分配されている製品の流れを停止させるという作用がもたらされる。特に耐久性のある計量−分配部材を製造するための手段として、特に、繊維強化材料を使用することが考えられる。もちろん、計量−分配部材の形状を安定化し且つ当該部材が膨張せしめられた後に元の形状に戻るのを補助する手段として、当該計量−分配部材内の上記の繊維強化のために又は完成された加工片に加硫を施す付加的な部材として形状記憶合金を使用することも可能である。
【0018】
本発明の更に別の利点、特徴及び顕著な特性は、如何なる限定を付加することのない以下に示す本発明の好ましい実施形態の説明によって提供される。以下の説明は、原寸で示されていない図面を参考にしている。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1a】図1aは、非圧縮状態の計量−分配部材の平面図である。
【図1b】図1bは、圧縮力がかけられている状態の図1aの計量−分配部材の平面図である。
【図2】図2は、本発明による計量−分配の斜視図である。
【図3】図3は、計量−分配部材が、相互に上下に配列されている2つの容器間のスリーブ結合として構成されている実施形態の一つの例を示している図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、本発明による計量−分配部材10を平面図で示している。当該実施形態においては上方の丸い入口11を通して、計量−分配部材10のベル形状の外周壁22(図2参照)によって部分的に包囲されている出口21の中間部分を見ることができる。出口穴21は、楕円又は卵形の領域20の長軸に整合されている。図1aに示されている実施形態におけるスロット形状の出口穴21は、楕円領域20のほぼ全体を分割するようになされた楕円表面領域20内の切れ目として設計されている。当該楕円領域は、外周の近くだけが切断されていない状態のままである。
【0021】
この第一の図面における計量−分配部材10は楕円表面20の外周箇所が未だ圧縮されていない状態なので、入口穴11と反対側に設けられている計量−分配部材10の表面領域20の楕円形状は明らかに楕円形とわかる状態である。出口穴21は堅固に閉塞されていて、計量−分配部材10が例えば注入可能な塊状材料を分配するために使用されている場合に、出口穴のこの状態では当該注入可能な塊状材料が流れ出すことができないこともこの図面から明らかである。図1bにおいては、図1aと同じ計量−分配部材10が示されているが、この場合には、楕円領域20の長軸の外周箇所12は、楕円領域20の両側に反対向きの矢印によって示されている圧縮力によって相互に押し付けられている。
【0022】
図1bは、外周箇所12における圧縮によって計量−分配部材10の楕円表面20の変形が惹き起こされ、その結果、計量−分配部材10はその下側が入口穴11と類似した丸い形状をとることを明らかにしている。外周箇所12に圧力をかけることによって、スロット形状の出口穴21は、楕円領域20がほぼ丸く変形せしめられると同時に開放せしめられる。図1bに見ることができる状態では、スロット形状の出口21は、ほぼ楕円形状をしている。計量−分配部材10の可能な最も大きな圧縮状態では、出口穴21によって開放される面積は、出口穴11の面積とほぼ等しい。従って、分配される材料は、計量−分配部材10をほぼ妨害されない状態で通過することができる。計量−分配部材10が例えば橋掛けを形成する傾向を有する注入可能な建築材料を分配するために使用されている場合には、このような橋掛けの形成は、大量の材料の速い流れによって粉砕されるか又はこのような橋掛けの形成が発生することができない。従って、本発明による計量−分配部材10を使用する場合には、従来の計量−分配装置においては通例である凝集を粉砕するための特別なアクチュエータを設置するという解決方法は殆どの場合に不要である。
【0023】
図2は、本発明による計量−分配部材10の斜視図である。この図は、丸い入口穴11からスロット形状の出口穴21を備えた楕円領域20まで延びている計量−分配部材10の外周壁22が、ベルの形状に似たテーパーが付けられた輪郭を有していることを示している。従って、当該計量−分配部材10は、楕円又は卵形の基部を有する円錐台の形状をしている。
【0024】
図3は、計量−分配部材10が2つの容器31,32と共に使用されている実施形態を示している。図3の例における容器のうちの一つは、注入可能な材料のための貯蔵器ホッパー31である。計量−分配部材10は、出口穴33を覆うように押し付けられ、それによって、出口穴に解除可能に取り付けられている。第二の容器すなわちホース32が計量−分配部材10の外側を覆うように設けられ、楕円領域20(従って、スロット形状の出口21)はホース32の内側に配置されている。ホース32は、クランプ手段30(この例においてはスチール製のストラップ)によって貯蔵器ホッパー31の出口穴33上の定位置に保持されている。外周箇所12に圧力をかけることによって、計量−分配部材10の出口21は可変の幅まで広げることができ、このようにして、注入可能な材料を分配することができる。当該材料の流量は、外周箇所12に対する圧縮力を減らすか増すことによって制御することができる。従って、分配プロセス全体が閉塞された装置内で生じ、周囲空間又は分配ステーションのあらゆる汚染が最大限に排除される。更に、図3の例におけるホース32は、計量−分配部材10の位置に関してホースと反対側の端部35に閉塞手段34を備えている。この例における閉塞手段は磁性粒子ストリップによって構成されており、それによって、ホース32の簡単且つ迅速で概ね自動的で安定した閉塞がなされ、計量−分配部材10のスロット形状の出口穴21の周囲の領域に付着する汚染物質が逃げ出さないようにする更なる保護が提供される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動性で且つ注入可能な材料のための計量−分配部材(10)であり、丸い入口穴(11)とスロット形状の出口穴(21)とを備えた変形可能な特に弾性の主本体を備え、前記スロット形状の出口穴は、横方向の圧力をかけることによって可変の幅まで開くことができ、当該計量−分配部材は更に、前記入口穴(11)と反対側に極端な場合には円形とすることもできる楕円表面(20)を備え、前記スロット形状の出口(21)は、前記楕円表面(20)の長軸方向に向けられており、容器(31,32)及び/又は導管特にホースの結合のためのスリーブとして設計されている、計量−分配部材。
【請求項2】
請求項1に記載の計量−分配部材であり、
前記スリーブが円錐台の形状に構成されていることを特徴とする計量−分配部材。
【請求項3】
請求項1に記載の計量−分配部材であり、
前記スロット形状の出口(21)の長さが入口穴(11)の内径より大きいことを特徴とする計量−分配部材。
【請求項4】
請求項1乃至3のうちのいずれか一の項に記載の計量−分配部材であり、
前記スロット形状の出口(21)が、前記楕円表面(20)の長軸上の外周箇所(12)の領域内に横方向の圧力をかけることによって可変の幅まで開くことができることを特徴とする計量−分配部材。
【請求項5】
請求項1乃至4のうちのいずれか一の項に記載の計量−分配部材であり、
前記容器(31,32)が、特に一方を他方に押し付けることによって及び/又は加硫プロセスによって計量−分配部材(10)の外周壁(22)に結合することができることを特徴とする計量−分配部材。
【請求項6】
請求項1乃至5のうちのいずれか一の項に記載の計量−分配部材であり、
前記計量−分配部材(10)が、特にホース形状を有する容器の内側に配置されていることを特徴とする計量−分配部材。
【請求項7】
請求項1乃至6のうちのいずれか一の項に記載の計量−分配部材であり、
前記計量−分配部材(10)が、特に繊維強化されているゴムを基材とするか又はシリコーンを基材とする材料によって作られていることを特徴とする計量−分配部材。
【請求項8】
請求項1乃至7のうちのいずれか一の項に記載の計量−分配部材であり、
前記出口(21)が特にばね付勢されている能動的なリセット装置を備えていることを特徴とする計量−分配部材。

【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−500236(P2010−500236A)
【公表日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−523123(P2009−523123)
【出願日】平成19年7月18日(2007.7.18)
【国際出願番号】PCT/CH2007/000349
【国際公開番号】WO2008/017173
【国際公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願人】(599082218)メトラー−トレド アクチェンゲゼルシャフト (130)
【住所又は居所原語表記】Im Langacher, 8606 Greifensee, Switzerland
【Fターム(参考)】