説明

計量包装システム

【課題】組合せ秤の部品の着脱作業効率を高めることによって当該部品の洗浄に要する時間を短縮でき、組合せ秤の稼動率を高めることができる、計量包装システムを提供する。
【解決手段】計量包装システム10は、被計量物を組合せ計量する組合せ秤12と、組合せ秤12の下方に配設され、かつ、組合せ秤12で組合せ計量された被計量物を包装する包装機14と、組合せ秤12を上限位置と下限位置との間で上昇または降下させる昇降装置18とを備えている。計量包装システム10では、昇降装置18を用いて組合せ秤12を上昇または降下させることによって、組合せ秤12を包装機14に対して離間または近接させることができ、離間させた状態では、組合せ秤12と包装機14との間に、組合せ秤12の部品を着脱するための作業スペースSを確保できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被計量物を組合せ計量する組合せ秤と、組合せ計量された被計量物を包装する包装機とを備える、計量包装システムに関する。
【背景技術】
【0002】
組合せ秤においては、分散フィーダ、リニアフィーダ、供給ホッパ、計量ホッパおよび集合シュート等の部品に被計量物(野菜、果物、菓子等)が接触するため、これらの部品に被計量物の破片等が付着するおそれがあり、当該破片等が付着した状態を放置したのでは、組合せ秤の本来の計量精度が損なわれるおそれがある。そこで、従来では、これらの部品を、定期的(始業時、終業時)に、あるいは、被計量物の種類が変わるごとに組合せ秤から取り外し、洗浄器内に搬入して洗浄するようにしていた。
【0003】
しかし、取り外すべき部品の数が多く、また、部品の取付位置が多様であるため、部品の「取り外し」および「取り付け」の作業(以下、「着脱作業」という。)に長時間を要し、その結果、組合せ秤の稼動率が著しく低下するという問題があった。
【0004】
特に、組合せ秤の下方に包装機が配設されている計量包装システムにおいては、組合せ秤の排出口と包装機の投入口とが近接しているため、組合せ秤の下方から部品(集合シュート等)を着脱する作業は極めて面倒であった。また、当該計量包装システムにおいては、組合せ秤だけでなく、包装機の投入口(ファンネル等)をも洗浄する必要があるが、組合せ秤が当該投入口(ファンネル等)へのアクセスの妨げになるため、投入口(ファンネル等)を洗浄することは困難であった。
【0005】
さらに、当該計量包装システムにおいては、包装機の上方に架台の天板部を配設し、当該天板部に作業者が載って部品の着脱作業を行うことがあるが、この場合、組合せ秤は天板部とほぼ同じ高さに配設されるのが通常であり、天板部上の作業者は相当屈んで部品の着脱作業を行わなければならないため、架台を設けているにもかかわらず、着脱作業の効率を十分に高めることはできなかった。
【0006】
このような問題を解決する一手段として、特許文献1には、組合せ秤をその設置位置において丸洗いする技術が開示されている。この技術は、簡単に言えば、「組合せ秤の四方および上方を洗浄容器で覆うとともに、当該洗浄容器内に設けられた洗浄用ノズルから洗浄液を噴射して組合せ秤を丸洗いするもの」である。
【特許文献1】特許第3411662号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述の従来技術(特許文献1)によれば、組合せ秤を洗浄する際に部品を取り外す必要がないので、洗浄作業を短時間で簡単に行うことができる。しかし、洗浄用ノズルの構造上、汚れの酷い箇所を重点的に洗浄することができないため、汚れを完全に洗い落とすことができず、実用上十分な洗浄効果を得られないという問題があった。また、組合せ秤の下方に包装機が配設されている計量包装システムにおいては、洗浄容器から漏れ出た洗浄液が包装機にかかるおそれがあるため、この従来技術(特許文献1)を計量包装システムに用いることはできなかった。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、部品の着脱作業の効率を高めることによって、組合せ秤の洗浄に要する時間を短縮でき、ひいては組合せ秤の稼動率を高めることのできる、計量包装システムを提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明は、包装機の投入口へのアクセスを容易にすることによって、投入口の洗浄に要する時間を短縮でき、ひいては組合せ秤の稼動率を高めることのできる、計量包装システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の計量包装システムは、被計量物を組合せ計量する組合せ秤と、前記組合せ秤の下方に配設され、かつ、前記組合せ秤で組合せ計量された被計量物を包装する包装機と、前記組合せ秤を上限位置と下限位置との間で上昇または降下させる昇降装置とを備える。
【0011】
この構成では、昇降装置を用いて組合せ秤を上昇または降下させることによって、組合せ秤を包装機に対して離間または近接させることができるので、離間させた状態では、組合せ秤と包装機との間に、組合せ秤の部品を着脱したり、包装機の投入口へアクセスしたりするための作業スペースを確保できる。一方、近接させた状態では、組合せ秤の排出口を包装機の投入口に臨ませることができる。
【0012】
計量包装システムは、前記組合せ秤が下限位置にあるとき、前記組合せ秤の荷重を受ける秤受部をさらに備えていてもよい。
【0013】
この構成では、秤受部が組合せ秤の荷重を受ける基台となるので、秤受部を安定的に設置しておくことによって、組合せ秤の振動または揺れを容易に防止することができる。
【0014】
前記昇降装置は、支持部と、前記支持部に対して昇降可能に取り付けられた昇降部と、前記昇降部に片持ち状に取り付けられたフォークと、前記昇降部を上昇または降下させる駆動部とを有しており、前記組合せ秤は、前記フォークが挿し込まれるフォーク挿入部を有しており、前記組合せ秤が下限位置にあるとき、前記フォークが前記フォーク挿入部の内面から離間して配置される構成であってもよい。
【0015】
この構成において、組合せ秤を上昇させる際には、駆動部を駆動して昇降部を上昇させる。すると、昇降部に取り付けられたフォークがフォーク挿入部の内部上面に当接し、フォークによって組合せ秤の全体が上昇される。一方、上昇された組合せ秤を降下させる際には、駆動部を駆動して昇降部を降下させる。組合せ秤12が下限位置に到達すると、組合せ秤の荷重が秤受部で受けられるとともに、フォークがフォーク挿入部の内面から離間して配置される。したがって、その後の組合せ計量の際には、フォークの振動や揺れが組合せ秤に伝わることがなく、高い計量精度を得ることができる。
【0016】
前記組合せ秤の底部には、少なくとも2つの位置決め穴が形成されており、前記秤受部には、上端部が先細り状に尖らされた少なくとも2つの位置決め突起が形成されており、前記組合せ秤が下限位置にあるとき、前記位置決め突起のそれぞれが前記位置決め穴のそれぞれに嵌合される構成であってもよい。
【0017】
この構成では、少なくとも2つの位置決め突起と少なくとも2つの位置決め穴とを嵌合させることによって、組合せ秤を水平方向において位置決めすることができる。また、位置決め突起の上端部は先細り状に尖らされているので、位置決め突起を位置決め穴に容易に挿し込むことができ、位置決め作業を容易に行うことができる。
【0018】
作業者が載る天板部を有する架台をさらに備えており、前記天板部は前記包装機の上方に配設されており、前記架台に前記昇降装置および前記秤受部が取り付けられている構成であってもよい。
【0019】
この構成において、架台は、作業者の荷重を受けられるように頑丈に作られるため、当該架台に取り付けられた昇降装置および秤受部は、外部からの振動または揺れの影響を受け難いように安定的に支持されることになる。したがって、昇降装置の動作を安定させることができるとともに、組合せ秤の計量精度を高めることができる。また、組合せ秤を洗浄する作業者は、天板部上から組合せ秤12の上部へ容易にアクセスすることができ、しかも、昇降装置で適度に上昇された組合せ秤12に対して無理のない姿勢でアクセスすることができる。
【0020】
前記包装機は、床面上に設置されたフレームを有しており、前記秤受部は、前記架台および前記フレームの両方に取り付けられている構成であってもよい。
【0021】
この構成によれば、架台およびフレームの両方によって秤受部を安定的に支持することができるので、組合せ秤の計量精度をより高めることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、以上に説明したように構成され、昇降装置を用いて組合せ秤を上昇させることによって組合せ秤と包装機との間に作業スペースを確保できるので、当該作業スペースにおいて組合せ秤の部品の着脱作業を効率よく行うことができる。また、当該作業スペースを通して包装機の投入口へ容易にアクセスすることができる。したがって、組合せ秤の洗浄に要する時間や、投入口の洗浄に要する時間を大幅に短縮でき、組合せ秤の稼動率を飛躍的に高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0024】
図1は、本発明の実施形態に係る計量包装システム10の構成を示す正面図であり、図2は、計量包装システム10の構成を示す右側面図であり、図3は、計量包装システム10の構成を示す平面図である。また、図4は、計量包装システム10の要部の構成を示す正面図であり、図5は、図4の一部を示す部分拡大図である。そして、図6は、計量包装システム10の要部の構成を示す右側面図であり、図7は、図6の一部を示す部分拡大図である。
【0025】
計量包装システム10は、図1〜図3に示すように、組合せ秤12、包装機14、架台16、昇降装置18、一対の秤受部20(図4,図6,図10)および制御部22を備えている。なお、本実施形態においては、一対の秤受部20の全体が本発明の「秤受部」に相当する。
【0026】
組合せ秤12は、野菜、果物、菓子等の被計量物を組合せ計量するものであり、図4および図6に示すように、コモンベッド24と、コモンベッド24の中央部に取り付けられた秤本体26と、コモンベッド24の底面に取り付けられた「フォーク挿入部」としての2本のフォーク挿入用パイプ28とを備えている。
【0027】
コモンベッド24は、秤本体26を支持する平面視略四角形の箱状部材であり、コモンベッド24の中央部に秤本体26の下部が取り付けられており、コモンベッド24の内部に制御装置(図示省略)が配設されている。
【0028】
秤本体26は、被計量物を実際に組合せ計量する装置である。本実施形態に係る秤本体26は、従来から存在する一般的なものであるため、その具体的構成に関する図面は省略するが、その構成の概要は以下の通りである。
【0029】
つまり、秤本体26は、供給装置30(図1,図2中の二点鎖線で示す。)から供給された被計量物を振動によって分散させる分散フィーダ、分散フィーダから与えられた被計量物を搬送するリニアフィーダ、リニアフィーダから与えられた被計量物を受ける供給ホッパ、供給ホッパから与えられた被計量物を受ける計量ホッパ、計量ホッパ内の被計量物を計量する重量センサおよび複数の計量ホッパから与えられた被計量物を集めて排出する集合シュート等を有しており、これらの部品のうち被計量物が接するものについては、洗浄のために取り外し可能に構成されている。なお、秤本体26の構成に関しては、特開2006−300643号公報、特開2006−300703号公報または特開2006−145445号公報等を参考されたい。
【0030】
フォーク挿入用パイプ28は、断面略四角形のパイプ状部材であり、図4および図6に示すように、コモンベッド24の底面の対向する2辺のそれぞれに沿って配置されている。そして、フォーク挿入用パイプ28の上面とコモンベッド24の底面とが、溶接、ロウ付けまたはボルト等の接合手段を用いて接合されている。フォーク挿入用パイプ28の長さは、コモンベッド24の全体をバランスよく受けるために、上記2辺の長さとほぼ同じか、それよりも長めに設計されている。また、フォーク挿入用パイプ28の内部空間Aの幅W1および高さH1は、図7に示すように、後述するフォーク32を収容し、かつ、フォーク32の上下方向への移動を許容するために、フォーク32の幅W2および高さH2よりも十分に大きく設計されている。そして、フォーク挿入用パイプ28のそれぞれの底面には、図4に示すように、秤受部20に当接する複数(本実施形態では2枚)の板状の当接部材34が長手方向へ間隔を隔てて設けられており、当接部材34の中央部には、図5および図7に示すように、当接部材34とフォーク挿入用パイプ28の底部28aとを上下方向に貫通する位置決め穴36が形成されている。
【0031】
なお、本実施形態の位置決め穴36は、当接部材34とフォーク挿入用パイプ28の底部28aとを貫通する「貫通穴」であるが、この位置決め穴36は、当接部材34の底面に開口された「有底穴」であってもよいし、当接部材34から外れた位置において底部28aだけを貫通する「貫通穴」であってもよい。また、「フォーク挿入用パイプ28」に代えて、下方または側方に向けて開口された「断面略コ字状の棒材」等を「フォーク挿入部」として用いてもよい。
【0032】
包装機14は、組合せ秤12によって組合せ計量された被計量物を連続的に包装するものであり、図1,図2および図6に示すように、フレーム38と、フレーム38の内部において組合せ秤12の下方に配設された包装機本体40と、包装後の被計量物を搬送する搬送装置42とを備えている。
【0033】
フレーム38は、床面44上に設置された枠体であり、フレーム38の下端部には、高さ調整用のアジャスタ46が取り付けられており、フレーム38の上部には、図7に示すように、秤受部20を取り付けるためのボルト48が挿通される穴38aが形成されている。また、フレーム38の周囲には、包装機本体40を保護するとともにフレーム38を補強するパネル50が取り付けられている。そして、パネル50の一部には、図2に示すように、包装後の被計量物をフレーム38の外部へ排出する窓50aが形成されている。
【0034】
包装機本体40は、組合せ秤12から与えられた被計量物を連続的に包装する装置である。本実施形態に係る包装機本体40は、従来から存在する一般的なものであるため、その具体的構成に関する図面は省略するが、その構成の概要は以下の通りである。
【0035】
つまり、包装機本体40は、シート状の包材を筒状に巻く筒状体形成機、筒状に巻かれた包材の表裏の重なり部分を縦方向へ溶着する縦溶着機、筒状に巻かれた包材の表裏の重なり部分を横方向へ溶着して袋を完成させる横溶着機、連続する前後の袋を切り離すカッターおよび完成前の袋内へ被計量物を供給するファンネル40a(図6)を有しており、包装機本体40によって包装された被計量物が搬送装置42へ順次与えられる。
【0036】
搬送装置42は、図1に示すように、互いに平行に配設された2つのローラ52と、2つのローラ52間に環状に架け渡された搬送ベルト54と、2つのローラ52のうち少なくとも一方を回転させるモータ(図示省略)と、ローラ52および搬送ベルト54等を支持する支持脚56とを有している。そして、搬送装置42が、パネル50に形成された窓50a(図2)の位置にフレーム38の内外に跨って配設されている。
【0037】
架台16は、作業者M(図11)が載る天板部58と、天板部58を支持する複数(本実施形態では4本)の支柱60と、作業者Mが昇降する梯子(または階段)62とを備えている。
【0038】
天板部58は、複数の棒材によって構成された枠体58aと、枠体58aの上面に敷設された天板58bとを有しており、天板部58には、図3に示すように、組合せ秤12を配置するための略四角形の天窓64と、昇降装置18を配置するための略四角形の天窓66とが形成されており、天窓64の周縁部には、天板58bの上面に置かれた工具等が落下するのを防止する突条64aが上方へ突出して形成されている。そして、この天板部58が支柱60によって包装機14の上方に配設されており、床面44と天板部58との間に梯子(または階段)62が架け渡されている。
【0039】
なお、本実施形態では、天窓64(図3)を組合せ秤12(コモンベッド24)の平面視形状に合わせて略四角形に形成しているが、天窓64の形状は、特に限定されるものではなく、円形または楕円形等であってもよい。
【0040】
図8は、計量包装システム10を構成する昇降装置18を示す正面図であり、図9は、昇降装置18を示す平面図であり、図10は、図8におけるX−X線断面図である。
【0041】
昇降装置18は、図8〜図10に示すように、支持部68と、支持部68に対して昇降可能に取り付けられた昇降部70と、昇降部70に片持ち状に取り付けられたフォーク32と、昇降部70を上昇または降下させる駆動部72とを備えており、昇降装置18のうち天板部58の上方へ突出している部分がカバー18a(図1)で覆われている。
【0042】
支持部68は、図9および図10に示すように、互いに平行に上下方向へ延びて配置された2本の支柱74を有しており、2本の支柱74の対向する内側面には、上下方向へ延びるガイド溝76が形成されている。そして、2本の支柱74の上端部背面間および下端部背面間には、棒状の補強材78,80(図8)が架け渡されており、支柱74のそれぞれの上下方向中央部前面および上下方向中央部背面には、昇降装置18を架台16に取り付けるための取付部材82,84(図8,図9)が取り付けられている。また、支柱74のそれぞれの下端部前面には、秤受部20を支持する2本の支持アーム86が水平方向へ延びて互いに平行に、かつ、片持ち状に取り付けられている。
【0043】
取付部材82は、板状の鉛直部82aと板状の水平部82bとによって略L字状に形成されており、水平部82bには、取付用ボルト(図示省略)が挿通される複数(本実施形態では4つ)の貫通穴82cが形成されており、鉛直部82aと水平部82bとの間には、略直角三角形状の補強板82dが設けられている。一方、取付部材84は、板状の鉛直部84aと板状の水平部84bとによって略L字状に形成されており、水平部84bには、取付用ボルト(図示省略)が挿通される複数(本実施形態では4つ)の貫通穴84cが形成されており、鉛直部84aと水平部84bとの間には、略直角三角形状の補強板84dが設けられている。そして、取付部材82の鉛直部82aおよび取付部材84の鉛直部84aのそれぞれが支柱74の上下方向中央部前面および上下方向中央部背面に溶接、ロウ付けまたはボルト等の接合手段を用いて接合されており、取付部材82の水平部82bおよび取付部材84の水平部84bのそれぞれが貫通穴82c,84cに挿通された取付用ボルトによって架台16の天板部58(図1)に取り付けられている。
【0044】
支持アーム86は、図7に示すように、長尺板状の鉛直部86aと長尺板状の水平部86bとを有する断面略L字状の棒状部材であり、支持アーム86の基端部が、図10に示すように、取付部材88を介して支柱74の下端部前面に取り付けられている。また、支持アーム86の鉛直部86aには、図5および図8に示すように、秤受部20を取り付けるボルト90が挿通される複数(本実施形態では3つ)の貫通穴92が長手方向へ間隔を隔てて形成されている。貫通穴92のそれぞれは、支持アーム86の長手方向へ延びる長円である。したがって、貫通穴92におけるボルト90の位置を調整することによって、支持アーム86に対する秤受部20の位置を調整することができる。
【0045】
そして、各支柱74の下端部前面および支持アーム86の先端部上面には、作業者Mの体(手または頭等)や異物を検知するためのエリアセンサ94(図8,図10)が取り付けられており、一方の支柱74には、昇降部70が上限位置に到達したことを検知する上限リミットスイッチ96(図8,図9)と、昇降部70が下限位置に到達したことを検知する下限リミットスイッチ98(図8)とが取り付けられている。また、一方の支柱74には、緊急停止用の押ボタンスイッチ99(図2)が取り付けられている。さらに、支柱74のそれぞれには、昇降部70の降下を禁止するための降下防止装置100(図8,図9)が取り付けられている。
【0046】
降下防止装置100(図8,図9)は、昇降部70に係止可能なストッパピン(図示省略)と、ストッパピンを前進または後退させるピン駆動部(図示省略)とを有しており、上限リミットスイッチ96が昇降部70を検知したとき、エリアセンサ94が作業者Mの体(手または頭等)や異物を検知したとき、あるいは、押ボタンスイッチ99が押されたときに、ストッパピンが前進されて昇降部70に係止される。なお、ピン駆動部の駆動機構は、機械式または電気式のいずれでもよいが、電気が切れた状態でもストッパピンの係止状態(ロック状態)が解除されないように構成されている必要がある。
【0047】
昇降部70は、図8および図9に示すように、2本の支柱74間に配置された昇降部本体102を有しており、昇降部本体102の両側端部には、支柱74のガイド溝76内に配置される2つのガイドローラ104が上下方向へ間隔を隔てて設けられている。また、昇降部本体102の背面には、上限リミットスイッチ96および下限リミットスイッチ98を動作させるための動作部(図示省略)が形成されており、昇降部本体102の両側端部には、降下防止装置100のストッパピンが係止される係止部(図示省略)が形成されている。そして、昇降部70の下端部前面には、組合せ秤12を支持するための2本のフォーク32が、水平方向へ延びて互いに平行に、かつ、片持ち状に取り付けられている。
【0048】
フォーク32は、図7,図8および図9に示すように、フォーク挿入用パイプ28に挿入された断面略四角形の棒状部材であり、フォーク32の基端部が、取付部材106を介して昇降部70の下端部前面に取り付けられている。フォーク32の長さは、図8に示すように、フォーク挿入用パイプ28を貫通することができるようにフォーク挿入用パイプ28の長さよりも十分に長く設計されており、フォーク32の幅W2および高さH2は、図7に示すように、フォーク挿入用パイプ28の内部空間Aの幅W1および高さH1よりも十分に小さく設計されている。そして、フォーク32の上面には、フォーク挿入用パイプ28の内部上面に当接する複数(本実施形態では4枚)の板状の当接部材108が長手方向へ間隔を隔てて設けられている。さらに、フォーク32の上面には、フォーク挿入用パイプ28の長手方向への移動を禁止するための一対の突起状のストッパ110がねじ112(図5,図9)を用いて着脱自在取り付けられている。
【0049】
駆動部72は、図8〜図10に示すように、支持部68の上部に取り付けられた駆動スプロケット114と、支持部68の下部に取り付けられた従動スプロケット116と、これらの間に環状に架け渡されたチェーン118と、駆動スプロケット114を回転させるモータ120(図9)とを備えており、チェーン118の一端が昇降部70の上端部に固定されており、かつ、他端が昇降部70の下端部に固定されている。したがって、モータ120によって駆動スプロケット114を回転させると、その回転方向に応じてチェーン118が上方または下方へ移動され、それに伴って昇降部70が上昇または降下される。
【0050】
なお、本実施形態では、片持ち式のフォーク32を備える昇降装置18(図8〜図10)を「昇降装置」として用いているが、これに代えて、両持ち式のフォークを備える昇降装置、ねじジャッキ、油圧ジャッキまたはエアージャッキ等を「昇降装置」として用いるようにしてもよい。
【0051】
秤受部20は、図4および図6に示すように、組合せ秤12を下限位置まで降下させたとき、組合せ秤12の荷重を受けるとともに組合せ秤12を包装機14に対して位置決めするものであり、図5,図7および図10に示すように、断面略四角形のパイプ状の秤受部本体122を有している。そして、秤受部本体122の上面には、組合せ秤12の当接部材34に当接する複数(本実施形態では2枚)の板状の当接部材124が長手方向へ間隔を隔てて設けられており、当接部材124の上面中央部には、組合せ秤12の位置決め穴36に嵌合される位置決め突起126が形成されている。また、秤受部本体122の外側の側壁には、支持アーム86の貫通穴92に対応する複数(本実施形態では3つ)の貫通穴128(図7)が形成されており、秤受部本体122の底部には、包装機14の穴38aに対応する貫通穴130(図7)が形成されている。
【0052】
位置決め突起126のそれぞれの上端部は、図5および図7に示すように、先細り状(円錐状)に尖らされている。したがって、位置決め突起126の下端部外周面と位置決め穴36の内周面との間に隙間を十分に確保しなくても位置決め突起126と位置決め穴36とを容易に嵌め合わすことができ、当該隙間を狭くすることによって位置決め精度の向上を図ることができる。
【0053】
また、位置決め突起126の高さは、図7に示すように、フォーク挿入用パイプ28の内部上面からフォーク32までの距離D1(図7)と、位置決め突起126の上端部からフォーク32までの距離D2(図7)とを十分に確保できるように設計されている。したがって、組合せ計量の際にフォーク32がフォーク挿入用パイプ28または位置決め突起126に接触するのを防止でき、フォーク32の振動または揺れが計量精度に悪影響を及ぼすのを防止できる。
【0054】
そして、支持アーム86の貫通穴92と秤受部本体122の貫通穴128とにボルト90が挿通され、このボルト90にナット132が螺合されることによって秤受部20が支持アーム86に取り付けられている。また、穴38aと貫通穴130とにボルト48が挿通され、このボルト48にナット134が螺合されることによって秤受部20がフレーム38に取り付けられている。ここで、支持アーム86は、支柱74および取付部材82,84を介して架台16に取り付けられているため、秤受部20は、支持アーム86、支柱74および取付部材82,84を介して架台16に取り付けられている。つまり、秤受部20は、架台16およびフレーム38の両方に取り付けられて安定的に支持されている。
【0055】
制御部22は、組合せ秤12、包装機14および昇降装置18の動作を自動制御するとともに、スイッチ等の操作に応じてこれらを運転または停止させるものであり、図1および図2に示すように、架台16の天板部58に立設された支柱22aと、支柱22aの上端部に取り付けられた箱体22bと、箱体22bの内部に収容された制御盤(図示省略)とを備えている。そして、制御盤には、組合せ秤12、包装機14、昇降装置18およびこれらを駆動または停止させるスイッチ等が電線を介して接続されている。
【0056】
次に、以上のように構成された計量包装システム10の動作(使用方法)を説明する。
【0057】
計量包装システム10を用いて「組合せ計量」と「包装」とを連続的に行う際には、作業者Mが上述のスイッチを適宜操作して、図1および図2に示すように、組合せ秤12をその下限位置において位置決めする。つまり、組合せ秤12の当接部材34を秤受部20の当接部材124に当接させることによって、組合せ秤12を鉛直方向において位置決めするとともに、組合せ秤12の位置決め穴36を秤受部20の位置決め突起126に嵌合させることによって、組合せ秤12を水平方向において位置決めする(図5,図7)。
【0058】
組合せ秤12をその下限位置において位置決めした状態では、図6に示すように、組合せ秤12の排出口(集合シュート)が包装機14におけるファンネル40aの上方に位置決めされる。また、図7に示すように、昇降装置18(図1,図2)のフォーク32が、フォーク挿入用パイプ28の内面および位置決め突起126の上端部から離間して配置される。つまり、フォーク32が、フォーク挿入用パイプ28の内部上面から距離D1だけ下方へ離間して配置され、かつ、位置決め突起126の上端部から距離D2だけ上方へ離間して配置される。したがって、フォーク32の振動または揺れが組合せ秤12に伝わることはなく、フォーク32の振動または揺れが計量精度に悪影響を及ぼす心配はない。
【0059】
組合せ秤12の位置決めが完了すると、作業者Mが上述のスイッチを適宜操作する。すると、組合せ秤12および包装機14が運転を開始し、組合せ秤12による「組合せ計量」と包装機14による「包装」とを連続的に実行する。包装機14では、組合せ秤12によって組合せ計量された被計量物が包装機本体40によって包装され、包装後の被計量物が搬送装置42によってフレーム38の外部へ搬出される。作業者Mは、搬送装置42によって搬出された被計量物を検品し、その後、これを箱詰めして出荷する。
【0060】
組合せ秤12を洗浄する時(終業時、始業時、被計量物の変更時等)が到来すると、作業者Mは上述のスイッチを適宜操作して、組合せ秤12および包装機14の運転を停止し、組合せ秤12から部品を取り外して当該部品を洗浄する。組合せ秤12から部品を取り外す際には、図11および図12に示すように、作業者Mが当該部品へ容易にアクセスできるように、制御部22に設けられた昇降装置18の上昇スイッチを「オン」にして組合せ秤12を上昇させる。
【0061】
上昇スイッチを「オン」にすると、昇降装置18(図8)の駆動部72が動作することによって昇降部70が上昇され、図12に示すように、昇降部70に取り付けられた2本のフォーク32によって組合せ秤12が上昇される。そして、昇降部70が上限位置に到達したことを上限リミットスイッチ96が検知すると、駆動部72が停止されるとともに、降下防止装置100のストッパピンが前進されて昇降部70の係止部に係止される。
【0062】
この状態では、図11および図12に示すように、包装機14と組合せ秤12とが離間しており、これらの間に作業スペースSが確保されている。したがって、床面44上の作業者M(図11)は、作業スペースSから組合せ秤12の下部に容易にアクセスすることができ、集合シュート等の部品を効率よく取り外すことができる。また、当該作業者Mは、作業スペースSから包装機14の上部に容易にアクセスすることができ、包装機14のファンネル40a(図6)等を効率よく洗浄することができる。一方、天板部58上の作業者M(図11)は、組合せ秤12が上昇されていることから、組合せ秤12の上部に無理のない姿勢でアクセスすることができ、組合せ秤12の上方から、分散フィーダ、リニアフィーダ、供給ホッパまたは計量ホッパ等の部品を効率よく取り外すことができる。
【0063】
部品の洗浄後は、当該部品を組合せ秤12に再び取り付ける必要があるが、上述のように作業スペースS(図11,図12)が確保されており、また、組合せ秤12が上昇されているため、この取り付け作業も無理なく効率よく行うことができる。
【0064】
部品の取り付け作業が完了すると、制御部22に設けられた昇降装置18の降下スイッチを「オン」にして組合せ秤12を再び下限位置(図6,図7)まで降下させる。組合せ秤12がその下限位置に到達した後、昇降部70がその下限位置すなわち「フォーク32がフォーク挿入用パイプ28の内部上面から距離D1だけ下方へ離間する位置」に到達すると、下限リミットスイッチ98が動作して駆動部72が停止される。
【0065】
なお、本実施形態では、一対の秤受部20のそれぞれに複数の位置決め突起126を形成しているが、位置決め突起126の数は、一対の秤受部20を含む「秤受部」に少なくとも2つあれば足りる。組合せ秤12を水平面内において位置決めするためには、組合せ秤12の2点を固定すればよいからである。したがって、一方の秤受部20に複数の位置決め突起126を形成し、他方の秤受部20には位置決め突起126を形成しないようにしてもよいし、また、一対の秤受部20のそれぞれに位置決め突起126を1つずつ形成するようにしてもよい。
【0066】
さらに、一対の秤受部20を互いに連結することによって1つの枠状の「秤受部」を構成し、この「秤受部」に少なくとも2つの位置決め突起126を形成するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の実施形態に係る計量包装システムの構成を示す正面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る計量包装システムの構成を示す右側面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る計量包装システムの構成を示す平面図である。
【図4】図1〜図3に示した計量包装システムの要部の構成を示す正面図である。
【図5】図4の一部を拡大した部分拡大図である。
【図6】図1〜図3に示した計量包装システムの要部の構成を示す右側面図である。
【図7】図6の一部を拡大した部分拡大図である。
【図8】図1〜図3に示した計量包装システムを構成する昇降装置を示す正面図である。
【図9】図1〜図3に示した計量包装システムを構成する昇降装置を示す平面図である。
【図10】図8におけるX−X線断面図である。
【図11】図1〜図3に示した計量包装システムにおける組合せ秤を上昇させたときの状態を示す正面図である。
【図12】図1〜図3に示した計量包装システムにおける組合せ秤を上昇させたときの要部の状態を示す右側面図である。
【符号の説明】
【0068】
M… 作業者
10… 計量包装システム
12… 組合せ秤
14… 包装機
16… 架台
18… 昇降装置
20… 秤受部
22… 制御部
24… コモンベッド
26… 秤本体
28… フォーク挿入用パイプ(フォーク挿入部)
30… 供給装置
32… フォーク
36… 位置決め穴
38… フレーム
40… 包装機本体
42… 搬送装置
58… 天板部
64… 天窓
68… 支持部
70… 昇降部
72… 駆動部
82,84… 取付部材
86… 支持アーム
122… 秤受部本体
126… 位置決め突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被計量物を組合せ計量する組合せ秤と、
前記組合せ秤の下方に配設され、かつ、前記組合せ秤で組合せ計量された被計量物を包装する包装機と、
前記組合せ秤を上限位置と下限位置との間で上昇または降下させる昇降装置とを備える、計量包装システム。
【請求項2】
前記組合せ秤が下限位置にあるとき、前記組合せ秤の荷重を受ける秤受部をさらに備える、請求項1に記載の計量包装システム。
【請求項3】
前記昇降装置は、支持部と、前記支持部に対して昇降可能に取り付けられた昇降部と、前記昇降部に片持ち状に取り付けられたフォークと、前記昇降部を上昇または降下させる駆動部とを有しており、
前記組合せ秤は、前記フォークが挿し込まれるフォーク挿入部を有しており、
前記組合せ秤が下限位置にあるとき、前記フォークが前記フォーク挿入部の内面から離間して配置される、請求項2に記載の計量包装システム。
【請求項4】
前記組合せ秤の底部には、少なくとも2つの位置決め穴が形成されており、
前記秤受部には、上端部が先細り状に尖らされた少なくとも2つの位置決め突起が形成されており、
前記組合せ秤が下限位置にあるとき、前記位置決め突起のそれぞれが前記位置決め穴のそれぞれに嵌合される、請求項3に記載の計量包装システム。
【請求項5】
作業者が載る天板部を有する架台をさらに備えており、
前記天板部は前記包装機の上方に配設されており、
前記架台に前記昇降装置および前記秤受部が取り付けられている、請求項1ないし4のいずれかに記載の計量包装システム。
【請求項6】
前記包装機は、床面上に設置されたフレームを有しており、
前記秤受部は、前記架台および前記フレームの両方に取り付けられている、請求項5に記載の計量包装システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2010−8316(P2010−8316A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−170206(P2008−170206)
【出願日】平成20年6月30日(2008.6.30)
【出願人】(000208444)大和製衡株式会社 (535)
【Fターム(参考)】