説明

計量包装機におけるサンプルの取り出し方法

【課題】粉粒体の計量包装機において、計量包装機の連続運転中であっても運転を停止させることなく、任意のタイミングでサンプルの取り出しが可能となるサンプルの取り出し方法及びその装置を提供することを技術的課題とする。
【解決手段】原料を計量する計量工程と、該計量工程にて計量された原料を包装袋内に充填する包装工程と、を含む粉粒体の計量包装方法において、計量包装機にて製品を包装する製品包装の連続運転中に、サンプル取り出し用のスイッチが操作されると、サンプルとして必要な量の原料を前記計量工程にて計量し、計量した前記原料を前記包装工程にて包装するサンプル包装を行い、サンプル包装終了後は自動的に前記製品包装を再開する、という技術的手段を講じた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計量包装機におけるサンプルの取り出し方法に関し、具体的には連続運転中の計量包装機において、必要量のサンプルを簡単な操作で、使用中のフィルムを交換することなく包装袋に充填することを可能とするという、サンプルの取り出し方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載されているような計量包装機によって穀物等の粉粒体の包装が行われており、前記包装の際に、袋詰めされた状態の最終製品の中から1ロットあたり1袋程度の製品をサンプルとして任意に抜き取り、抜き取ったサンプルにより検査を行っている。通常、1ロット分の原料を充填する連続運転中にサンプルの抜き取り作業が行われているため、最終製品の1袋分の原料がサンプルとなっている。なお、前記検査は、白度、水及び砕米混入等の一般的な検査のことである。前記原料が白米等の穀物である場合、1袋あたりの製品重量は5kg〜15kgであるので、これに相当する量の原料がサンプルとして取り出されることになる。
【0003】
しかし、サンプルとして必要な原料の量は、通常、数百グラム程度であるため、サンプルとして取り出された原料の全てが製品検査に用いられるわけではない。例えば、製品重量が10kgで、製品検査に必要とするサンプルの量が0.5kgである場合には、9.5kgもの原料が余ることになる。この余った原料は、再度同一原料に混入させて出荷することはできず、低品位(低価格)の製品として出荷せざるを得ないため取り扱いに苦慮していた。国内産の有名ブランドの白米には、1kgあたり500円以上するようなものもあり、このような原料の場合には、コストダウンのために抜き取るサンプル量を必要最低限にする必要がある。したがって、計量包装機の連続運転中においても必要な量だけのサンプルを容易に取り出せるようにすることが強く望まれており、また、作業効率を低下させないために計量包装機を停止させることなく、さらに、包装袋材料のフィルム交換等の作業を必要としないサンプルの取り出し方法が望まれている。
【0004】
【特許文献1】特開平1−153436
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記問題点にかんがみて、穀粒等の粉粒体の計量包装機におけるサンプルの取り出し方法において、製品を包装する製品包装における計量包装機の連続運転中であっても運転を停止させることなく任意のタイミングで、事前に設定された量のサンプルを取り出し可能とし、サンプル取り出し後は自動的に継続して本来の製品の計量及び包装を行うことが可能となるサンプルの取り出し方法及びその装置を提供することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため請求項1の発明は、原料を計量する計量工程と、該計量工程にて計量された原料を包装袋内に充填する包装工程と、を含む粉粒体の計量包装方法において、計量包装機にて製品を包装する製品包装の連続運転中に、サンプル取り出し用のスイッチが操作されると、サンプルとして必要な量の原料を前記計量工程にて計量し、計量した前記原料を前記包装工程にて包装するサンプル包装を行い、サンプル包装終了後は自動的に前記製品包装を再開する、という技術的手段を講じた。
【0007】
また、請求項2の発明は、包装袋に充填する原料を計量する計量部と、原料を充填する包装袋を供給する包装袋供給部と、計量部にて計量された原料を包装袋供給部から供給された包装袋に充填する包装部とから構成され、前記製品包装の連続運転中に、任意のタイミングで、前記サンプル包装を行うためのサンプル取り出し用のスイッチが設ける、という技術的手段を講じた計量包装機である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の計量包装機は、該計量包装機の連続運転中の任意のタイミングで、任意の量のサンプルを、前記計量包装機の運転を停止させることなく、かつ、簡単な操作で取り出せるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明を実施した計量包装機1の側断面図である。計量包装機1は、計量部A、包装袋供給部B、包装袋印刷部C及び包装部Dからなる。計量部Aは、上部に供給ホッパ2を有し、供給ホッパ2にシャッタ3を介して供給シュート4と、供給ゲート5を駆動する供給ゲート用シリンダ6が設けられている。供給シート4の下部にはロードセル7を備えた計量槽8が配設され、該計量槽8の排出口には排出ゲート9及び排出ゲート9を開閉するギヤードモータ10が設けられ、排出ゲート9の下方には立設した排出シュート11が設けられている。さらに、計量槽8の上部側に計量槽8に少量の穀粒等の粉粒体を供給する小出しパイプ12及び電磁フィーダ13が設けられている。
【0010】
次に、包装供給部B及び包装印刷部Cについて説明する。ロール載台15に回転自在に載置されたチューブ状の包装材料のフィルム16は通常ポリエチレンが利用されるが、ポリエステル、ナイロン又はポリ塩化ビニールといった比較的ガスバリヤ性の高い(透過度の小さい)樹脂、あるいはビニールの内側にポリエチレンを貼り合わせるといったようなラミネート材からなるものを使用することも可能である。フィルム16は、圧送ローラ17及び複数のガイドローラ18により一定速度で案内されて、例えば静電式印刷、レーザープリンタ又はインクジェット式印刷等からなる包装印刷部Cで指定された製品表示、すなわち、銘柄表示、品質基準表示が印刷されて、下部シール装置19に至る。また、符号20は下部シール用シリンダであり、その下方に包装袋を切断する手段を併設したシール台21が設けられている。
【0011】
シール台21で下部シールされた包装袋を保持する案内板22を、前方を低位に傾設し、案内板22の上部には袋供給用シリンダ23によって作動する袋供給アーム24を設け、袋供給アーム24の先端にはクランプフィンガー25及びクランプフィンガー25を作動させるフィンガー用シリンダ26が取り付けられている。
【0012】
次に、包装部Dの構成について説明する。排出シュート11の下端には、開閉手段(図示せず)を備えた一対のゲート14が設けられるとともに更にその下方にクランプ機構27が設けられている。クランプ機構27は、包装袋の左右をクランプして包装袋を開口するクランプ具28、クランプ具28の上面に包装袋29の開口部をシールするシール具30を備え、シール具30は前後方向に微動し得るように装着し、シール具30の上面に前記排出シュート11のゲート14を臨ませてある。クランプ機構27の下方には袋の底部を支える底板31及び底板移動用シリンダ32が設けられる。
【0013】
符号34は制御装置であり、操作部である入出力部41、記憶回路42、演算回路43、制御回路44が相互に連絡されて、製品種類に応じた包装を行うように構成される。図2は入出力部41を示した図である。図2に示すように入出力部41は複数のスイッチと入出力値等を表示する表示部35から構成される。
【0014】
以下、上記実施例における作用について、原料が白米である場合について説明する。なお、本発明は白米の包装に限定されることはなく、穀粒等の粉粒体の包装に実施できるものである。まず、包装開始前に、入出力部41にて1袋の包装袋に製品として充填する原料の充填量(以下、「製品充填量」という)や、連続運転中の任意のタイミングで1袋の包装袋にサンプルとして充填する原料の充填量(以下、「サンプル充填量」という)、連続運転で包装する製品数量等の、包装に必要な条件を入力する。ここでは、図2に示しているように設定値の一例として、製品充填量を10kg、サンプル充填量を0.5kg、製品数量を30袋としている。なお、サンプル充填量については、計量包装機1の運転中であっても常時変更可能な仕様にしておくことが望ましい。入力方法は一般的な操作により入力するような方法にすればよく、本実施例では、製品充填量スイッチ49を押してから数値入力スイッチ48により製品充填量を入力し、サンプル充填量スイッチ50を押してから数値入力スイッチ48によりサンプル充填量を入力し、そして、製品数量スイッチ51を押してから数値入力スイッチ48により製品数量を入力できるように構成している。一度入力した製品充填量、サンプル充填量及び製品数量等の設定値は、記憶回路42に記憶できるようすることで次回の包装時に再入力せずに済むようにすることができる。また、製品数量を設定せずに、停止スイッチ46を押すことで包装を終了できるように構成しても良い。
【0015】
製品充填量、サンプル充填量及び製品数量の入力後、開始スイッチ45を押すことで、製品を包装する製品包装の連続運転が開始される。図示しない外部供給装置から供給ホッパ2内に搬送されている白米は、シャッタ3の開成により供給シュート4に供給される。供給後、供給ゲート用シリンダ6が作動し、供給ゲート5が開成することによって計量槽8内に前記白米を連続的に大量に投入する大投入が行われる。計量槽8に投入された白米の量が事前に設定した製品充填量に近づくと供給ゲート用シリンダ6の作動によって供給ゲート5を閉じ、前記大投入を終了し、終了後は、ロードセル7が前記製品充填量を検知するまで小出しバイブ12から電磁フィーダ13の振動作用によって白米を少量ずつ投入する小投入が行われ、計量槽8内に製品充填量の白米が一時貯留される。
【0016】
一方、これと並行して、包装袋供給部B及び包装袋印刷部Cにおいては、ロール載台15に回転自在に載置されたチュ−ブ状の包装袋材料のフィルム16が圧送ローラ17により一定速度で案内板22まで送り込まれる間に、制御装置34に入力されたデータに基づいて製品表示、すなわち、銘柄表示、品質基準表示等生産に関する必要な表示を印刷部Cにおいて印刷し、フィルム16が一定長さ繰り出される。フィルム16の流れが止まると、下部シール用シリンダ20が伸長してシール台21を押し下げて下部をシールすると同時にフィルム16を切断して包装袋29を形成する。
【0017】
シール台21が上昇すると、フィンガー用シリンダ26が作動して包装袋29の上端両側部をクランプフィンガー25によってつかみ、さらに袋供給用シリンダ23が伸長して袋供給アーム24をほぼ90度回転させ、クランプフィンガー25でつかんだ包装袋29を包装袋部Dのクランプ機構28に供給する。そして、包装袋29は、針(図示せず)により任意数の空気抜き用小孔があけられ、クランプ機構27では一対の爪体(図示せず)が包装袋29の上端開口部の両端を挟持し、互いの爪体が左右に近づくとともに袋口の中央部が吸着等の手段により前後に開いて袋口が開く。袋口が開くと、ギヤードモータ10の駆動によって排出ゲート9が開放され、計量槽8内の製品充填量の白米が排出シュート11を流下して包装袋29内に投入される。充填が70〜80%進行した時点で底板移動用シリンダ32が伸長して底板31を上昇させ包装袋29の底を支えるとともに充填を促進する。充填が完了するとシール具30により袋口上部のシールが行われ、シールが終わると爪体が開き底板31が下降して、包装品となった包装袋29を機外の搬送コンベア33状に落下させる。そして、事前に制御装置34に設定された数量の包装製品の包装が完了すると自動的に停止する。
【0018】
上記の計量及び包装工程は、計量包装機1の連続運転として制御装置34に設定された製品数量だけ繰り返し行われる。本発明では、この連続運転中の任意のタイミング(通常は包装工程の中程のタイミング)おいて、製品と同一の包装袋29に前記サンプル充填量の原料の充填を行うことが可能である。これは、包装袋材料のフィルム16を交換することなく、また、サンプル取り出し装置を別途設けることなく容易にサンプルを取り出せるようにすることを目的とする。
【0019】
本発明のサンプル取り出し方法では、計量包装機1での連続運転中の任意のタイミングにおいて、操作部である入出力部41に設けられたサンプル取り出し用のサンプルスイッチ47が操作されると、この時点で計量中又は計量済の白米が包装袋29に投入された次に、事前に設定したサンプル充填量の白米が計量槽8内に充填され、この白米が順次送られてくる包装袋29に投入されるサンプル包装を行う構成となっている。前記取り出し方法について図3を用いて具体的に説明する。図3は前記取り出し方法を説明するためのフローチャートである。
【0020】
まず、計量包装機1にて製品を包装する製品包装の連続運転を開始し(ステップS1)、サンプルスイッチ47が操作されるまで製品充填量の白米の計量(ステップS2)及び包装(ステップS3)を連続的に行う。前記計量(ステップS2)を行う前に制御回路44にてサンプルスイッチ47が操作されたかどうかを確認するようにし、連続運転中の任意のタイミングでサンプルスイッチ47が操作されたことを確認した場合には、サンプル充填量の白米の計量(ステップS4)を行うようにする。通常は、サンプルスイッチ47が操作されたことを確認した直後に前記計量(ステップS4)を行うが、サンプルスイッチ47が操作されたことを確認してから複数回、製品充填量の白米の計量(ステップS2)を行った後に、サンプル充填量の白米の計量(ステップS4)を行う仕様にすることも可能である。
【0021】
なお、サンプルも製品と同様の包装袋29に包装(ステップS3)する。したがって、製品とサンプルとの違いは、包装袋29内の白米の充填量の差だけである。これは、サンプル用に包装袋を別途設けようとすると装置が大型化してしまうため、装置を小型化するために有効な手段である。
【0022】
前記包装(ステップS3)の終了後、サンプルスイッチ47が操作されたことが制御回路44で確認されない場合は、自動的に製品充填量の白米の計量(ステップS2)及び包装(ステップS3)、すなわち、製品包装が再開される。通常、サンプルスイッチ47の1回の操作につき、1回のサンプル包装が行われるが、サンプルスイッチ47の1回の操作につき、連続的に複数回、サンプル包装を行う仕様にしても良い。
【0023】
上記のサンプルの取り出し方法により、ユーザーは、サンプルスイッチ47を押すという極めて簡単な操作のみで、計量包装機の連続運転中の任意のタイミングにサンプルを取り出すことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明を実施した計量包装機の側断面図である。
【図2】入出力部の一例を示した図である。
【図3】本発明のサンプルの取り出し方法を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0025】
1 計量包装機
2 供給ホッパ
3 シャッタ
4 供給シュート
5 供給ゲート
6 供給ゲート用シリンダ
7 ロードセル
8 計量槽
9 排出ゲート
10 ギヤードモータ
11 排出シュート
12 小出しパイプ
13 電磁フィ−ダ
14 ゲート
15 ロール載台
16 フィルム
17 圧送ローラ
18 ガイドローラ
19 下部シール装置
20 下部シール用シリンダ
21 シール台
22 案内板
23 袋供給用シリンダ
24 袋供給アーム
25 クランプフィンガー
26 フィンガー用シリンダ
27 クランプ機構
28 クランプ具
29 包装袋
30 シール具
31 底板
32 底板移動用シリンダ
33 搬送コンベア
34 制御装置
35 表示部
41 入出力部
42 記憶回路
43 演算回路
44 制御回路
45 開始スイッチ
46 停止スイッチ
47 サンプルスイッチ
48 数値入力用スイッチ
49 製品充填量スイッチ
50 サンプル充填量スイッチ
51 製品数量スイッチ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料を計量する計量工程と、
該計量工程にて計量された原料を包装袋内に充填する包装工程と、
を含む粉粒体の計量包装方法において、
計量包装機にて製品を包装する製品包装の連続運転中に、サンプル取り出し用のスイッチが操作されると、サンプルとして必要な量の原料を前記計量工程にて計量し、計量した前記原料を前記包装工程にて包装するサンプル包装を行い、サンプル包装終了後は自動的に前記製品包装を再開することを特徴とするサンプルの取り出し方法。
【請求項2】
包装袋に充填する原料を計量する計量部と、
原料を充填する包装袋を供給する包装袋供給部と、
計量部にて計量された原料を包装袋供給部から供給された包装袋に充填する包装部と、
から構成され、
前記製品包装の連続運転中に、任意のタイミングで、前記サンプル包装を行うためのサンプル取り出し用のスイッチが設けられたことを特徴とする計量包装機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−50026(P2008−50026A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−227313(P2006−227313)
【出願日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【出願人】(000001812)株式会社サタケ (223)
【Fターム(参考)】