説明

計量器

【課題】再生又は再利用可能な資源ゴミを回収する際、前記資源ゴミの重量に応じてポイントを付加する資源ゴミ回収システムに好適な計量器を提供する。
【解決手段】資源ゴミを計量して重量に応じた計量信号を出力するロードセル1と、前記計量信号を入力させ、現在計量している資源ゴミの重量である重量データを算出して出力する重量演算部2と、前記重量データを入力させ、資源ゴミの重量を表示する重量表示部3とから構成され、重量演算部2は、目盛標識が100未満で目量が異なる複数の計量範囲が設定され、ロードセル1から入力された計量信号に応じて前記計量範囲を切り換え、切り換えた計量範囲に従って資源ゴミの重量である重量データを重量表示部3に出力する計量器7である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再生又は再利用可能な資源ゴミ(例えば古紙)を回収する際、前記資源ゴミの重量に応じてポイントを付加する資源ゴミ回収システムに好適な計量器に関する。
【背景技術】
【0002】
再生又は再利用可能な資源ゴミは、通常、自治体により回収されるが、近年、重量に応じたポイントを付加する資源ゴミ回収システムが散見されるようになってきている。破棄物回収ポイントシステムは、例えば特許文献1に見られるように、利用者毎の記録媒体からデータを読み取る手段と、資源ゴミを種類毎に収容する複数の回収ボックスと、各回収ボックスに投入された資源ゴミの重量を計測する計量器と、前記回収ボックスに投入された資源ゴミの重量に応じて前記記録媒体にポイントを書き込む手段とを備えて構成される(特許文献1・[請求項1][0005])。書き込み可能で、書き換え不能な記録媒体として、ICカードが例示される(特許文献1・[0006])。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-233402号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1が開示する資源ゴミ回収システムは、回収ボックスに投入された資源ゴミを積算して計量する計量器を用いながら、演算部が資源ゴミの投入後の重量から資源ゴミの投入前の重量を差し引いて投入された資源ゴミの重量を算出し、前記資源ゴミの重量から記録媒体に書き込むポイントを算出する(特許文献1・[0011])。これから、回収ボックスが500kgまで資源ゴミを投入できる容積を有すれば、500kgまで計量できる計量器が用いられることになる。正確には、計量器は回収ボックスの重量も計量しているので、500+αkgを計量できる必要があるが、ここでは話を簡単にするため、500kgまで計量できる計量器として話を進める。
【0005】
500kgまで計量できる計量器は、目量を1kgにすると、500目盛が必要になる。このように100目盛以上の計量器は、特定計量器(計量法施行令第2条第2項イ(1))とされ、商用使用に際して定期的に検査を受ける必要がある。特許文献1が開示する資源ゴミ回収システムは、前記特定計量器を使用する必要があり、定期的な検査のために運用コストが嵩むといった問題があった。資源ゴミの計量は、回収される資源ゴミが回収ボックスの容量の範囲内に収まることを確認するためと、資源ゴミの重量に応じたポイントを算出するためとだけを目的としており、できるだけ安価に運用するため、前記検査に伴う運用コストの増加を避けたい。
【0006】
裏返せば、特定計量器に相当しない計量器により、回収される資源ゴミが回収ボックスの容量の範囲内に収まることを確認でき、また利用者に還元するポイントの算出のため、回収ボックスに投入される度に資源ゴミの重量を計量できるようになればよい。そこで、再生又は再利用可能な資源ゴミを回収する際、前記資源ゴミの重量に応じてポイントを付加する資源ゴミ回収システムに好適で、特定計量器に相当しない計量器を開発するため、検討した。
【課題を解決するための手段】
【0007】
検討の結果開発したものが、対象物を計量して重量に応じた計量信号を出力する計量部と、前記計量信号を入力させ、現在計量している対象物の重量である重量データを算出して出力する重量演算部と、前記重量データを入力させ、対象物の重量を表示する重量表示部とから構成され、重量演算部は、目盛標識が100未満で目量が異なる複数の計量範囲が設定され、計量部から入力された計量信号に応じて前記計量範囲を切り換え、切り換えた計量範囲に従って対象物の重量である重量データを重量表示部に出力することを特徴とする計量器である。計量部、重量演算部及び表示部は、機能的に区別された構成要素を意味し、物理的に一体の筐体に収められてもよい。
【0008】
対象物は、計量対象となる物品の意味で、資源ゴミ回収システムでは資源ゴミとなる。計量部は、対象物を計量して重量に応じた計量信号を出力できれば種類を問わないが、本発明の計量器を資源ゴミ回収システムに利用する場合、回収ボックスを搭載したロードセルが好適である。資源ゴミ回収システムは、本発明の計量器を用いて資源ゴミを計量し、重量演算部が出力する重量データから情報処理部が、カードリーダの読み込んだ利用者の管理番号の対応する累積ポイントデータに加算するポイントを算出し、外部の管理装置へ前記ポイントを送信する構成となる。ポイントカードは、表面印字が固定された磁気カードやICカードのほか、磁気記録の更新と共に表面印字の追加更新又は書き換えができるパンチ式カード、サーマル印字式カードやリライト式カードも利用できる。
【0009】
本発明の計量器は、目盛標識が100未満、すなわち100目盛未満で、目量が異なる複数の計量範囲を切り換えて重量データを出力するので、いずれの計量範囲を選択しても、特定計量器に該当しない。複数の計量範囲は、設定された最大値(閾値)を超えると、次に大きな目量の計量範囲に切り換える。例えば第1計量範囲が1kg目量、98目盛で98kgまで、第2計量範囲が2kg目量、95目盛で190kgまで、そして第3計量範囲が5kg目量、99目盛で495kgまで計量できる構成であれば、対象物の重量が98kg以下ならば第1計量範囲、対象物の重量が98kgを超えて190kg以下ならば第2計量範囲、そして対象物の重量が190kgを超えて495kg以下ならば第3計量範囲で計量される。目盛標識の数と目量との組み合わせは、前記目盛標識が100未満であれば、自由である。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、特定計量器に相当しない計量器を用いて資源ゴミ回収システムを構築できるようになるので、前記資源ゴミ回収システムにおける計量器の定期的な検査の必要がなくなり、前記資源ゴミ回収システムの運用コストを低減できる効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の計量器を利用して構築される資源ゴミ回収システムの一例を表すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態について図を参照しながら説明する。本発明の計量器7は、図1に見られるように、例えば古紙を資源ゴミとして回収する資源ゴミ回収システムに好適に利用される。本例の資源ゴミ回収システムは、ロードセル1、重量演算部2、重量表示部3、情報処理部4、重量記憶部5、そしてカードリーダ6から構成される。本発明の計量器7は、前記ロードセル1、重量演算部2及び重量表示部3から構成される。本例の資源ゴミ回収システムは一例であって、前記本発明の計量器7が利用されていれば、例えばポイント付与に関するカードリーダ6等は、ネットワーク接続された別の場所にあってもよい。
【0013】
ロードセル1は、搭載する回収ボックス11と共に、前記回収ボックス11へ投入された資源ゴミを計量し、計量した重量に応じた計量信号を重量演算部2へ出力する。計量信号は、重量に比例した電圧信号である。回収ボックス11へ資源ゴミを投入して計量された重量は、回収ボックス11を含む重量になっている。これから、本例の資源ゴミ回収システムは、予め回収ボックス11を計量し、重量演算部2に出力される回収ボックス11の計量信号をオフセットレベルとして記憶させておき、回収ボックス11へ資源ゴミを投入して得られる計量信号から前記オフセットレベルを差し引いて、正味の資源ゴミの計量信号としている。
【0014】
重量演算部2は、上述のように、ロードセル1から出力された計量信号から回収ボックス11のオフセットレベルを差し引いて正味の資源ゴミの計量信号を取得し、前記正味の資源ゴミの計量信号に基づいて計量範囲を切り換え、前記計量範囲の目量に従った重量データを算出して、重量表示部3及び情報処理部4へ出力する。重量データは、計量信号を数値化したデジタルデータであり、計量範囲に応じて目量が異なっている。計量範囲や計量範囲を切り換える計量信号の閾値は、重量演算部2で設定する。重量表示部3は、入力された重量データを表示し、情報処理部4は、前記重量データに基づいて累積重量データ及び累積ポイントデータを更新する。
【0015】
本例の計量器7は、目量が1kgで目盛標識が98の第1計量範囲と、目量が2kgで目盛標識が95の第2計量範囲と、目量が5kgで目盛標識が99の第3計量範囲とを設定している。第1計量範囲から第2計量範囲へは、回収ボックス11のオフセットレベルを差し引いた計量信号が第1計量範囲の最大値である98kgに相当する閾値を超えた場合に切り換え、第2計量範囲から第3計量範囲へは、前記計量信号が第2計量範囲の最大値である190kgに相当する閾値を超えた場合に切り換える。
【0016】
例えば、オフセットレベルを差し引いた計量信号が59kgに相当すれば、重量演算部3は第1計量範囲で重量データを算出し、59kgの重量データを重量表示部3及び情報処理部4へ出力する。第1計量範囲は、目量が1kgのため、1kg未満の重量は500g以上を切り上げ、500g未満を切り捨てる四捨五入をしている。また、オフセットレベルを差し引いた計量信号が121kgに相当すれば、重量演算部3は第2計量範囲で端数処理した重量データを算出し、例えば121kgを一の位で切り上げた122kgの重量データを重量表示部3及び情報処理部4へ出力する。端数処理は、第2計量範囲の目量2kgで121kgの重量データを算出できないことによる必要な処理で、1kg以上を切り上げ、1kg未満を切り捨てる四捨五入をしている。これは、第3計量範囲も同様で、2.5kg以上を切り上げ、2.5kg未満を切り捨てる四捨五入をしている。
【0017】
重量表示部3は、重量演算部2から出力されて来る重量データを、例えばデジタル数字として表示する。上述の通り、重量演算部2から出力されて来る重量データは、第1計量範囲で500g以上を切り上げ、500g未満を切り捨てる四捨五入が、第2計量範囲で1kg以上を切り上げ、1kg未満を切り捨てる四捨五入が、そして第3計量範囲で2.5kg以上を切り上げ、2,5kg未満を切り捨てる四捨五入がされている。これから、重量表示部3は、0kgを超えて98kg以下(第1計量範囲)は1kg刻みで、98kgを超えて190kg以下(第2計量範囲)は2kg刻みで、そして190kgを超えて495kg以下(第3計量範囲)は5kg刻みで重量を表示する。
【0018】
情報処理部4は、計量した重量を累積加算して回収ボックス11に投入された資源ゴミの総量を管理し、資源ゴミ回収システムとして資源ゴミの重量をポイント換算する中核部分である。情報処理部4は、一般にパソコンが利用され、重量データに応じたポイントの換算割合、そしてリライト式カードであるポイントカード61の印字内容等を設定又は変更する。また、カードリーダ6に挿入したポイントカード61から利用者の管理番号が読み込まれたことをきっかけとして資源ゴミの計量を開始する準備(例えば重量演算部2へリセット信号を送信する)を始めたり、投入完了ボタン41が押されるたことをきっかけとして前記利用者の管理番号と共に累積ポイントデータに加算されるポイントを外部の管理装置8へ送信したり、更新重量データを重量記憶部5に書き込んだりする。情報処理部4と管理装置8とは、有線又は無線のネットワークにより接続される。
【0019】
重量記憶部5は、これまで計量された資源ゴミの重量を随時加算しておいた累積重量データを記憶する部分で、内部又は外部記憶装置が利用される。情報処理部4は、新たに資源ゴミが計量される度に前記累積重量データを重量記憶部5から読み出し、計量された新たな資源ゴミの重量データを累積重量データに加算して更新重量データを算出し、前記更新重量データが回収ボックス11の許容範囲を超えるか否かをチェックして、回収される資源ゴミの総量を管理する。更新重量データは、重量記憶部5に出力され、次に新たな資源ゴミが計量される際の累積重量データとなる。
【0020】
カードリーダ6は、利用者のポイントカード61を挿入させ、前記ポイントカード61に記憶された利用者の管理番号を読み取って情報処理部4へ送る部分である。利用者の管理番号は、新規に作成したポイントカード61に書き換え不能に磁気記録され、ポイントを管理する利用者の識別番号として利用される。情報処理部4は、新たに計量された資源ゴミの重量に応じたポイントを前記管理番号と共に、外部の管理装置8へ送信する。ポイントカード61がリライト式カードである場合、印字内容も更新する。本例のカードリーダ6は、ポイントカード61が挿入された時点での累積ポイントデータや、書き込まれる更新ポイントデータを表示するポイント表示部62を設けている。
【0021】
本例の資源ゴミ回収システムは、次のように資源ゴミを回収し、利用者にポイントを還元する。まず、利用者がポイントカード61をカードリーダ6に挿入すると、利用者の管理番号が情報処理部4に読み込まれる。この管理番号の読み込みをスイッチとして、情報処理部4は重量演算部2へリセット信号を送り、重量データを一端「0(ゼロ)」にリセットする。回収された資源ゴミの総量は、重量記憶部5に記憶されているので、重量演算部2及び重量表示部3をリセットしても問題がない。また、同時に、重量記憶部5から累積重量データを情報処理部4に読み込んでおく。
【0022】
利用者が回収ボックス11に資源ゴミを投入すると、随時計量信号が重量演算部2に送られ、前記計量信号から投入した資源ゴミの重量に相当する重量データを算出する。重量データは、随時情報処理部4及び重量表示部3へ送られ、重量表示部3は随時表示重量を変化させるが、情報処理部4は投入完了ボタン41が押されるまで、送られてくる重量データに基づいた処理を実行しない。利用者がすべての資源ゴミの投入を終えて投入完了ボタン41を押すと、重量演算部2が重量データを確定し、重量表示部3が前記確定した重量データを表示すると共に、情報処理部4が確定した重量データに基づいてポイント加算や資源ゴミの総量の保存等の処理を開始する。
【0023】
情報処理部4は、確定した重量データに基づいて、予め定められた換算ルールに則って加算されるポイントを算出し、前記算出されたポイントを利用者の管理番号と共に管理装置8へ送信して、管理装置8において前記管理番号の対応する累積ポイントデータに前記ポイントを加算して更新ポイントデータを算出し、記憶させる。リライト式のポイントカード61であれば、このとき前記ポイントカード61の表面に印字された印字内容を併せて更新する。また、予め管理装置8から情報処理部4へ累積ポイントデータを読み込んでおき、前記累積ポイントデータ、加算されるポイント、更新ポイントデータ等をカードリーダ6付随のポイント表示部62に表示したりしてもよい。利用者は、重量表示部3及びポイント表示部62を見ることにより、回収される資源ゴミの重量と付与されるポイントとの関係を確認できる。
【0024】
また、情報処理部4は、確定した重量データに基づいて、先に読み込まれていた累積重量データに前記確定した重量データを加算することにより更新重量データを算出し、重量記憶部5に記憶させる。このとき、前記更新重量データが回収ボックス11の許容範囲を超えるか否かをチェックする。例えば、回収ボックス11に投入できる資源ゴミの総量が分かれば、前記総量に対して上限及び下限を決めて許容範囲を設定し、更新重量データが前記許容範囲に収まる又は超えた場合に、情報処理部4において回収ボックス11が満杯になったことを外部に報知させる又はネットワークを介して外部の管理装置8へ通知するとよい。こうして情報処理部4からの報知や管理装置8への通知があれば、資源ゴミで満杯になった回収ボックス11を回収し、空の回収ボックス11をロードセル1に搭載する。
【符号の説明】
【0025】
1 ロードセル
11 回収ボックス
2 重量演算部
3 重量表示部
4 情報処理部
41 投入完了ボタン
5 重量記憶部
6 カードリーダ
61 ポイントカード
62 ポイント表示部
7 計量器
8 管理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物を計量して重量に応じた計量信号を出力する計量部と、
前記計量信号を入力させ、現在計量している対象物の重量である重量データを算出して出力する重量演算部と、
前記重量データを入力させ、対象物の重量を表示する重量表示部とから構成され、
重量演算部は、目盛標識が100未満で目量が異なる複数の計量範囲が設定され、計量部から入力された計量信号に応じて前記計量範囲を切り換え、切り換えた計量範囲に従って対象物の重量である重量データを重量表示部に出力することを特徴とする計量器。

【図1】
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【公開番号】特開2012−225655(P2012−225655A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−90584(P2011−90584)
【出願日】平成23年4月15日(2011.4.15)
【出願人】(592112374)株式会社光成衡機 (1)
【Fターム(参考)】