説明

計量搬送装置

【課題】被計量物の搬送過程において、少なくとも計量部では荷重センサに上下方向の外力が伝達されない状態で、被計量物を水平方向に搬送させることができる計量搬送装置を提供する。
【解決手段】搬送路に計量装置10を備えた搬送装置であって、送り込みコンベア2と送り出しコンベア3との間に計量装置10独立して設けられ、前記計量装置10は、荷重センサ11上に自身が水平方向駆動力を発生するスライダ14が設けられ、そのスライダ14上に設けた計量台18に被計量物Mを積載して、移動状態で前記被計量物Mの重量測定ができるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を載せた計量台を直線駆動体によって搬送させながら、物品の重量値を測定する機能を備えた計量搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、重量選別機には、例えば図8に示されるように、被計量物Mを載置する計量台101が計量コンベア102をなし、計量台101上に駆動用のモータ103を装着して、そのモータ103によって駆動される計量コンベア102上に被計量物Mを載せて搬送しながら重量測定を行っている。なお、図中符号104は荷重センサ(ロードセル)である。このような構成の重量選別機における計量装置100については、特許文献1などによって知られている。
【0003】
また、図9に示されるように、計量コンベア106には駆動装置を持たず、外部のモータ107によって駆動されるベルトあるいはチェーン108が計量台105上を走行して、ベルトあるいはチェーン108によって搬送される被計量物Mが計量台105の上を通過するとき重量測定をするようにした計量装置110が特許文献2あるいは特許文献3によって知られている。なお、図中符号104は荷重センサである。
【0004】
さらに、重量式の回転式液体充填機や重量選別機120にあっては、図10に示されるように、回転テーブル121の上の円周上に複数個の計量台122を等間隔で配置して、回転テーブル121を回転させながら被計量物Mを計量台122上に搬入し、計量台122上に被計量物Mを載せて回転搬送させながら重量測定をする構造のものが知られている(例えば、特許文献4参照)。図中符号123は荷重センサ、125は回転駆動機構である。
【0005】
【特許文献1】実開昭59−56529号公報
【特許文献2】実開昭60−143329号公報
【特許文献3】実開平5−23058号公報
【特許文献4】特開平3−243831号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記図8(特許文献1)で知られるような計量装置100の場合、駆動用のモータ103のロータや軸受部の偏心荷重、ベルトコンベア(計量コンベア102)の分布荷重にばらつきがあるので、それらの部分が計量コンベア構成部で回転することによって荷重センサ104に垂直方向の力が作用する。そのために、荷重計測の精度を高めることが困難になるという問題がある。
【0007】
また、前記図9で示される計量装置110(特許文献2,3などで知られる計量装置)の場合、計量台105の外部に装着された駆動装置によってベルトやチェーン108が回転駆動されると、固定部に装着されている駆動装置(モータ107による駆動部)やベルトプーリ108aからベルト(チェーン)108を通じて計量部へ伝播する振動によって、計量部の荷重センサ104に垂直方向の力が作用する。また、駆動装置(モータ107による駆動部)の振動が計量台105の基礎を通じて荷重センサ104へ伝達されるなどの外乱によって計測精度が阻害されるという問題がある。
【0008】
さらに、前記図10で示される装置の場合、直径が大きな回転テーブル121を、同一水平面上で滑らかに回転するようにベアリングで支承することは困難であり、また大きな回転テーブル121を完全な水平度を保って本体に装着することも難しいので、回転に伴い回転テーブル121が上下方向に振動し、この回転テーブル121に支持されている荷重センサ123に振動力が伝達される。したがって、計測精度を高めることが困難である。
【0009】
このように、前述のいずれの方法も駆動装置やベルトコンベア,チェーンなど無端状搬送体の回転運動による振動が計量部の荷重センサに伝達され、実際の被計量物重量信号の上に振動信号が重畳し、誤差の要因となっている。したがって、上記の搬送方式では高い精度で重量測定することが困難であるという問題点がある。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、被計量物の搬送過程において、少なくとも計量部では荷重センサに上下方向の外力が伝達されない状態で、被計量物を水平方向に搬送させることができる搬送手段を備える計量搬送装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するために、本発明による計量搬送装置は、第1に、
搬送路に計量手段を備えた計量搬送装置であって、前記計量手段は、荷重センサ上に自身が水平方向駆動力を発生する駆動体が設けられ、その駆動体に設けた計量台上に被計量物を積載して、移動状態で前記被計量物の重量測定ができるように構成されていることを特徴とするものである(第1発明)。
【0012】
前記発明において、前記駆動体は、前記荷重センサに作用する荷重の方向とほぼ直交する方向に作用する電磁誘導推進力で駆動される可動体と、前記荷重センサ上に支持されて前記可動体に直進性を与える誘導体とで構成されているのがよい(第2発明)。
【0013】
また、前記発明において、前記駆動体は、搬送路の途中に設けられ、前記誘導体が搬送路を構成する上流側のコンベア終端部と下流側のコンベア始端部とに、それぞれ重複するようにして配設され、前記可動体が前記上流側コンベアから被計量物を受けて前記下流側コンベアへ送り出すように作動する間で、荷重センサにより積載する被計量物が重量測定されるように構成されるのがよい(第3発明)。
【0014】
また、本発明による計量搬送装置は、第2に、
搬送路に計量手段を備えた計量搬送装置であって、前記計量手段は、自身が水平方向駆動力を発生する駆動体上に荷重センサを備える計量台が設けられ、その駆動体に設けた計量台に被計量物を積載して、移動状態で被計量物の重量測定ができるように構成されていることを特徴とするものである(第4発明)。
【0015】
また、前記第4発明において、前記駆動体は、前記荷重センサに作用する荷重の方向とほぼ直交する方向に作用する電磁誘導推進力で駆動される可動体と、装置の本体部に固着されて前記可動体に推進力を与える誘導体とでなり、前記可動体上に荷重センサを備える計量台が設けられる構成であるのがよい(第5発明)。
【0016】
また、本発明による計量搬送装置は、第3に、
搬送路に計量手段を備えた計量搬送装置であって、本体部に定置される荷重センサ上に、前記荷重センサに作用する荷重の方向とほぼ直交する方向に作用する電磁誘導推進力で駆動される可動体が通過する誘導路が設けられ、計量台を設けた前記可動体が前記誘導路を通過する時点で、移動する前記計量台上に積載される被計量物の重量測定を行うように構成されていることを特徴とするものである。(第6発明)。
【0017】
前記第4発明〜第6発明において、前記駆動体は、前記可動体が溝形の誘導体内で電磁誘導推進力により水平移動される構成であるのがよい(第7発明)。
【発明の効果】
【0018】
本発明(第1発明)によれば、搬送路中に設けられる計量手段は、自身が水平方向駆動力を発生する駆動体(例えば超電導リニアモータ)を荷重センサ上に設け、その駆動体に取付く計量台上に被計量物を積載して移動させながら重量測定する構成であるので、従来のような回転駆動によらずして被計量物を移動させつつ計量する。したがって、計量台には上下方向の外力が伝達されない状態で計量することができ、被計量物を移動させつつ高精度で重量測定することができるという効果を奏する。
【0019】
また、第2発明ならびに第3発明によれば、搬送路の途中に設けられる駆動体が上流側と下流側とのコンベア間に配置され、回転機による振動などの外乱が計量部に伝播するのを遮断して、荷重センサ上に支持される誘導体にて電磁誘導推進力で案内される可動体に被計量物を移載させて計量するようにされるので、簡単な構成で計量精度を高めることができるという効果を奏する。
【0020】
第4発明によれば、自身が水平方向駆動力を発生する駆動体(例えば超電導リニアモータ)上に荷重センサを備える計量台が設けられて、その計量台に被計量物を積載して移動状態で重量測定するので、前記第1発明と同様に搬送系において発生する振動などの上下方向の外力を計量部に伝播させないで計量できる。したがって、被計量物を移動させながらでも計量精度を高めることができる。
【0021】
また、第5発明によれば、前記駆動体を装置本体部に固定される誘導体とこの誘導体により電磁誘導推進力を与えられる可動体とで構成して、その可動体上に荷重センサを備える計量台を設けることにより、同一形式もしくは同様形式の搬送手段中においても計量部では上下方向の外力の影響を受けずに計量でき、計量精度を高めることができる。
【0022】
またさらに、第6発明によれば、電磁誘導推進力で駆動される計量台を設けた可動体が、他の搬送路と遮断した状態で荷重センサを配置して搬送路の途中に設けられる計量部において、可動体上の計量台に積載される被計量物を、移動させながら重量測定するようにして、搬送系での異なる形式の搬送手段間での移載を必要とせずに高精度で計量でき、搬送系を統一して効率よく計量搬送することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
次に、本発明による計量搬送装置の具体的な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0024】
(第1の実施形態)
図1には、本発明の第1の実施形態に係る計量搬送装置の概要図が示されている。図2には図1の平面図が示されている。
【0025】
この実施形態の計量搬送装置1は、重量選別機に適用されたものであり、被計量物(例えば物体を定量充填された包装体)を継続的に搬送させて、重量測定するもので、その計量部を中心にして説明する。
【0026】
この計量搬送装置1は、被計量物Mの搬送路4中に設けられる計量手段(計量装置10)と、この計量装置10の上流側に配される送り込みコンベア2および下流側に配される送り出しコンベア3とで構成され、支持フレーム5(本発明の装置の本体部。具体的な構造については省略する。)に支持されている。
【0027】
計量装置10は、支持フレーム5にブラケット5aを介して定着された荷重センサ11(ロードセル)と、この荷重センサ11上に設けられて被計量物Mを積載する計量台18を搬送路4に沿い所要区間往復移動させるリニアモータ12(本発明の、自身が水平方向駆動力を発生する駆動体に対応する。以下、同様)とで構成されている。
【0028】
前記リニアモータ12は、その固定子13(本発明における誘導体に対応。以下「誘導レール13」という。)が中央下部で前記荷重センサ11に直結支持され、被計量物Mを前記送り込みコンベア2と送り出しコンベア3の影響を受けないで移動できる所要の区間に位置し、平面視で前記両コンベア2,3の走行中心線a上に中心線が合致するようにして、両端部を所要長さ寸法送り込みコンベア2の終端部2′と送り出しコンベア3の始端部3′(いずれも図1参照)とに、それぞれ重複するようにして配置されている。このような誘導レール13に対して可動子14(本発明の駆動体に対応。以下、「スライダ14」という。)は、前記誘導レール13の長手方向両端部で相対向して上向きに突設されたブラケット13′,13″に、誘導レール13表面と軸線を平行させて両端を支持されるガイドシャフト15で案内されて摺動自在に設けられている。このスライダ14は、誘導レール13と対向する面に磁石(図示せず)が付設され、前記誘導レール13に付された励磁コイル(図示せず)への通電により励磁誘導されてガイドシャフト15に沿って走行するようにされている。このリニアモータ12の誘導レール13は、その下面中心位置を、支持フレーム5に付設される荷重センサ11に連結部片16を介して取付けられ、前記スライダ14と一体の計量台18に積載した被計量物Mの重量を測定できるようにされている。
【0029】
前記スライダ14は、その上面に被計量物Mが積載でき得る広さの平坦面に形成された計量台18が取付けられ、前記送り込みコンベア2ならびに送り出しコンベア3における被計量物Mの搬送面とほぼ同一もしくは僅かに高くなる寸法にされている。こうすることにより、計量台18上に移載された被計量物Mが、前記コンベア2に触れずに移動できて重量計測を容易にする。
【0030】
前記送り込みコンベア2は、二条のコンベアチェン21,21(例えば物品を載置できる受け面を備えたアタッチメント付きチェン)を平行に配されて、終端部2′において前記計量装置10の誘導レール13の一端部を内側に介在できる間隔で、所要距離隔てて配される駆動スプロケット22と従動スプロケット23に巻掛けられて、同調して駆動される。なお、この送り出しコンベア2の終端部2′に配される従動スプロケット23は、その支持軸をそれぞれ支持フレーム5に設けられる軸受25により独立して回転自在に軸支されている。図中符号28は送り込みコンベア2の駆動機構である。
【0031】
また、前記送り出しコンベア3は、前記送り込みコンベア2と同様の構成で対称的に配置され、所要距離隔てて配される駆動スプロケット32と従動スプロケット33に巻掛けられる二条のコンベアチェン31,31の始端部3′において前記計量装置10の誘導レール13の他端部を内側に介在できるように形成されている。また、従動スプロケット33,33は独立して軸受35,35にそれぞれ支持軸を回転自在に支承されている。符号38は送り出しコンベアの駆動機構である。
【0032】
前記送り込みコンベア2の終端部2′上側方位置には、被計量物Mを検知する第1位置センサ29が設けられ、コンベア2によって計量位置へ移動する被計量物Mを位置センサ29が検知すると計量装置10のリニアモータ12を作動するように、制御手段(図示せず。以下同様)が構成されている。また、前記送り出しコンベア3の始端部3′上側方位置には、被計量物Mを検知する第2位置センサ39が設けられ、計量を終えて送り出される被計量物Mが通過するのを検知すると、計量装置10のスライダ14(計量台18)が送り込みコンベア2側の待機位置に戻されるように、制御手段と関連させている。
【0033】
このように構成される本実施形態の計量搬送装置1では、送り込みコンベア2の両コンベアチェン21,21上に跨るようにして被計量物Mを載せ、順次所要の間隔をおいて搬送させる。送り込みコンベア2によって搬送される被計量物Mがコンベアの終端部2′に近づくと、第1位置センサ29が被計量物Mを検知して制御手段に検知信号を伝達する。計量装置10における計量台18(スライダ14)は、制御手段の指令によって待機している計量台18上に被計量物Mが到達する時点でリニアモータ12が作動して(具体的には誘導レール13の励磁コイルが励磁されて)、スライダ14が送り出し側へ移動開始する。スライダ14は、送り込みコンベア2によって搬送された被計量物Mを計量台18上に受取ってそのまま送り出しコンベア3側へ運ぶ。なお、スライダ14の移動速度は、送り込みコンベア2の搬送速度とほぼ同じであるのが被計量物Mの移載を円滑にする上で好ましい。
【0034】
計量装置10では、スライダ14が計量台18上に被計量物Mを積載した状態で誘導レール13による励磁誘導によってガイドシャフト15に沿い水平方向に滑らかに移動し、その移動に際して上下方向の外力による影響を受けないので、水平方向に対して直角方向の作用力は殆ど発生しない。したがって、荷重センサ11には垂直方向の振動力が作用せず、きわめて高精度に重量測定することができる。なお、重量測定されたデータは、荷重センサ11からのデータ信号を制御手段における記録部(図示せず)にて記録される。
【0035】
スライダ14が送り出しコンベア3の始端部3′に達して停止すると、同時に被計量物Mが作動しているコンベアチェン31,31上に移載されて送り出し側へ搬送される。被計量物Mの移動によって第2位置センサ39が、被計量物Mを検知して制御手段に検知信号が伝達されると、リニアモータ12に逆転の指令が与えられ、誘導レール13付設の励磁コイルが逆相に切換えられて、スライダ14が待機位置へ戻され、次に被計量物Mの到着まで待機させる。以後、前記要領を繰り返し、順次被計量物Mの搬送と計量が行われる。
【0036】
(第2の実施形態)
図3には本発明の第2の実施形態に係る計量搬送装置を表わす平面図が、図4には補助移載機構の一例側面図が、それぞれ示されている。この第2の実施形態は、搬送路にベルトコンベアを採用した場合の一例であって、基本構成において前記第1の実施形態と同様である。したがって、前記第1の実施形態と同一もしくは同様の構成部分については、前記実施形態と同一の符号を付して詳細な説明を省略することとする。
【0037】
この第2の実施形態の計量搬送装置1Aは、前記同様に重量選別機に適用されたものであり、被計量物Mの搬送路4A中に設けられる計量手段(計量装置10)と、この計量装置10の上流側に配される送り込みコンベア2Aおよび下流側に配される送り出しコンベア3Aとで構成され、支持フレーム(本発明の装置本体部。具体的な構造については省略する。)に支持されている。
【0038】
前記送り込みコンベア2Aはベルトコンベアであって、所要幅のコンベアベルト21aを所要の間隔で配設される駆動ローラ22Aと従動ローラ23Aとに巻掛け設置されている。また、前記送り出しコンベア3Aも同様にベルトコンベア31aで、所要間隔で配設される駆動ローラ32Aと従動ローラ33A間に巻掛け設置されている。なお、両コンベア2A,3Aは構成上ともに計量装置10側に従動ローラ23A,33Aが配置されている。
【0039】
前記送り込みコンベア2Aと送り出しコンベア3Aとの間に計量装置10が設けられ、この計量装置10におけるリニアモータ12で作動する計量台18の走行軸線が前記送り込みコンベア2Aおよび送り出しコンベア3Aの走行中心線aと同一線上に並ぶように配されている。
【0040】
前記送り込みコンベア2Aの終端部2′に対して計量装置10の誘導レール13の端部が、コンベアベルト21aの走行に支障のない範囲で近接して設けられ、計量装置10のスライダ14上に設けられた計量台18の上面とコンベアベルト21aの走行上面とがほぼ同一面となる状態で配置されている。そして、コンベアベルト21aの終端部2′両脇には、計量装置10の計量台18(スライダ14)の待機位置までの区間で一対の移載補助機構26,26が設けられている。
【0041】
前記移載補助機構26としては、図4で示されるように、例えば前記コンベアベルト21aの走行速度に同調する速度で回転する複数のローラ26bを上部に所要ピッチで縦列配置した細幅の支持部材26aがコンベアベルト21aと計量装置10の計量台18(スライダ14)の待機位置に跨って平行に配列され(図3参照)、前記各ローラ10bの頂面部がコンベアベルト21aの走行上面と揃うように設けられる。前記両側の移載補助機構26,26は、各ローラ26bの駆動を、例えば支持部材26aの外側において各ローラ26bの支持軸端にタイミングプーリ26cを取付けて、減速モータ27により駆動される駆動軸27a上のプーリ27bから動力を受けるタイミングベルト27cで一斉に駆動されるようにする。そして前記駆動軸27aによって両側の移載補助機構26,26が同調駆動される。なお、この移載補助機構26としては、前記複数のローラ26cの代わりに、上面がコンベアベルト21aの走行上面と揃うようにして適宜幅のベルト(歯付きベルトが好ましい。)を巻掛けてコンベア2と同調走行できるように駆動する構成としてもよい。
【0042】
前記送り出しコンベア3Aの始端部3′側では、その始端部3′と計量装置10の誘導レール13端部との関係も、前記送り込みコンベア2Aの終端部2′と同様の構成で、前記移載補助機構26が設けられている。また、送り込みコンベア2Aの終端部2′側方上位置には第1位置センサ29(図中表示省略)が、送り出しコンベア3Aの始端部3′上側方位置には第2位置センサ39(図中表示省略)が、それぞれ前述のように設けられている。
【0043】
このように構成される計量搬送装置1Aは、全体動作において前述の第1の実施形態とほぼ同様である。したがって、異なる部分についてのみ記述する。送り込みコンベア2Aで送られてくる被計量物Mが終端部2′に達すると、このコンベア終端部2′と計量装置10の誘導レール13一端部との両脇に配置されている移載補助機構26のローラ26bがコンベアベルト21aとほぼ同調して進行方向に回転駆動されているので、コンベアベルト21aの反転位置(終端部2′)で搬送力が低下しても、コンベアベルト21aに代わり移載補助機構26のローラ26bによって、被計量物Mは、そのまま待機位置にある計量台18に向けて送られて移載される。この間に、第1位置センサ29が被計量物Mの通過を検知して制御手段を介して計量装置10の誘導レール13における励磁コイルを作動させることにより、被計量物Mを積載した計量台18(スライダ14)がガイドシャフト15で案内されて誘導レール13上を滑走し、送り出しコンベア3A側へ移動する。この間に荷重センサ11によって被計量物Mの重量測定が行われる。移動する計量台18には、前述のように上下方向の作用力が殆ど生じないので、高精度で重量測定が行える。
【0044】
計量装置10の誘導レール13他端部に計量台18が到達すると、被計量物Mは当該位置の両脇に設けられたもう一方の移載補助機構26,26により、前述のように複数のローラ26bの駆動によって送り出しコンベア3Aのコンベアベルト31a上に移載され、そのまま送り出される。以後、この要領で順次被計量物Mの搬送・計量が行われる。
【0045】
(第3の実施形態)
図5には本発明の第3の実施形態に係る計量搬送装置の概要平面図(a)とそのA−A視拡大断面図(b)が示されている。
【0046】
この第3の実施形態の計量搬送装置1Bは、所要直径の磁気浮上式リニアモータによる搬送路上で、被計量物Mを計量台に積載して搬送途中で重量測定する形式の装置である。また、取扱われる物品は、主として例えばビン・缶など胴部が円筒形をした包装体とされる。
【0047】
この計量搬送装置1Bは、装置の支持台6上に水平状態で設けられる所要直径で断面角型の環状溝部41を形成された走行路40と、この走行路40の環状溝部41に移動自在に挿入される多数のスライダ42とを、この走行路40の溝部41内で前記スライダ42を磁気浮上させて一定方向に移動するようにした環状の磁気浮上式リニアモータ43とされ、このリニアモータ43の磁気浮上によって摺動するスライダ42に荷重センサ45(ロードセル)と計量台46がそれぞれ搭載された構成で、特定区間において荷重センサ45による重量測定値が別途設置の記録装置(図示せず)に表示・記録するようにされている。前記磁気浮上式リニアモータ43として、走行路40の環状溝部41の両内側部には励磁コイル47が配置され、スライダ42には永久磁石が取付けられている。なお、スライダ42に設けられる永久磁石については、すべてのスライダ42に設けなくとも選択した複数個のスライダ42に設けておけば、その磁石を備えるスライダ42の移動によって他のスライダが走行路の環状溝部41内で押されて全体的に円滑に移動させることが可能である。
【0048】
また、図5(a)で示されるように、環状のリニアモータ43における各スライダ42への被計量物Mの積載送り込みと、送り出しとは前記走行路40に隣接する所定位置にそれぞれ水平回転するスターホイル48,49が設けられ、隣接位置に設けられたコンベア50上から送り込み側スターホイル48によって走行路40側に被計量物Mを引き込み、計量済みの被計量物Mを送り出しスターホイル49によってコンベア50上に戻すように構成されている。前記両スターホイル48,49は、前記コンベア50の上部と前記走行路40の上部に跨って回転するように配置されている。また、前記両スターホイル48,49によるコンベア50上から走行路40への導入部51と走行路40からコンベア50への排出部52には、移動する部分と接触しない状態で被計量物Mをスターホイル48(49)で移動できるようにガイド54が設けてある。なお、両スターホイル48,49は、前記リニアモータ43の作動により走行するスライダ42の速度に同調する速度で回転するように駆動機構(図示せず)によって回転する。
【0049】
また、前記各スライダ42上に設けられる計量台46は、環状の走行路40における半径方向に開放されるへこみが形成された受け部片46aがそれぞれ設けられ、スターホイル48(49)による計量台46上への被計量物Mの受け入れおよび払い出しと保持が容易なように形成されている。
【0050】
このように構成されるこの第3の実施形態の計量搬送装置1Bは、隣接位置に配されているコンベア50によって搬送される被計量物Mを、そのコンベア50上で図示されない周知の整列手段(例えばスクリュー整列機構など)で予め搬送ピッチを整えて、回転するスターホイル48の羽根間の凹部48aにより掬うように受入れて、ガイド54に案内されて環状走行路40の計量台46上に1個ずつ搭載させる。
【0051】
環状走行路内にあるスライダ42(計量台46)は、環状走行路40の溝部41の内側面に配置されている励磁コイル47への通電で磁石を備えたスライダ42が励磁誘導されて環状溝部41を移動する。なお、このスライダ42には磁石を備えていないものが介在されていても、全体的に溝部41に挿入配置されるスライダ42のうち、前記磁石を備えるものが励磁誘導されて移動するために、他のスライダ42を押すことで全体が移動する。
【0052】
こうして環状走行路40内で移動する各スライダ42に搭載される計量台46は、いずれも荷重センサ45を介して搭載されているので、環状走行路40を移動する間に、計量台46に積載している被計量物Mの重量測定が行われる。そこで、環状走行路40の特定区間に荷重センサ45の測定データを記録部に送信する箇所を設けて、この測定値送信箇所に達した時点で測定データを記録部に送信して記録させる。このデータは記録部で記録・表示させ、やがて送り出し位置に到達すると、送り出し側スターホイル49の羽根間に形成された凹部49aによってコンベア50側に運び出され、コンベア50上に移載されて搬出される。
【0053】
前記計量台46は、水平方向に磁気浮上力で移動されるスライダ42上において直結される荷重センサ45によって重量測定されるので、上下方向の作用力(振動力)を殆ど受けないから、被計量物の重量測定を高い精度で測定することができる。
【0054】
(第4の実施形態)
図6には本発明の第4の実施形態に係る計量搬送装置の概要図が、平面図(a)と側面図(b)とによって示され、図7には図6のB−B視図(c)および図6のC−C視図(d)とが示されている。
【0055】
この第4の実施形態における計量搬送装置1Cは、搬送路60(本発明の誘導路に対応する)が平面図(a)で示されるように、所要長さで両端部が半円形にされ、中間を直線状にした無端長円形に形成されている。この搬送路60は、全周にわたり上面開放の溝部61が所要寸法の角型に形成されその両内側面に励磁コイル64が配置され、内部に挿入されるスライダ62の両側面に永久磁石を嵌め込んで、前記溝側の励磁コイル64とスライダ62の磁石とで、その励磁コイル64による誘導励磁によりスライダ62を一定方向に走行させる磁気浮上式リニアモータ63を構成する。なお、この搬送路60は、所要高さの支持台7により本体部5Aに水平状態で固定支持される。
【0056】
前記スライダ64の上部には計量台65が直接取付けられており、この計量台65上に被計量物Mを積載して搬送路60を移動させ、要所において計量装置10Aによって計量台65上の被計量物Mの重量測定をするようにされている。
【0057】
前記計量装置10Aは、無端状に形成される搬送路60の一部を独立させて、前記搬送路60と同じ形状構造の通路61aを備える搬送案内部片67を、本体部5Aにブラケット68により支持される荷重センサ11a上に取付けられて構成されたものである。このようにされる計量装置10Aの通路61aは、前記搬送路60の走行軸線と合致するように配置され、搬送路60の溝部61内を移動するスライダ62がそのまま通路61aを通過できるようにされている。また、荷重センサ11aは測定データを図示されない記録部へ伝達して記録・表示できるようにされている。
【0058】
また、スライダ62における永久磁石の取付けに関しては、前記第3の実施形態の場合と同様に選択された一部のスライダ62にのみ取付けて、その他のスライダには省略することができる。このようにしても、前記搬送路60には多数のスライダ62を相互に接触することができるように挿入しておくことにより、磁石を備えるスライダ62の進行によって順次他のスライダが推進され、全体的に循環移動させることができる。
【0059】
このように構成される第4の実施形態の計量搬送装置1Cにおいては、前述の実施形態と同様に、搬送路60の溝部61とスライダ62とによる磁気浮上式リニアモータ63の作動で水平方向に駆動され、各スライダ62に取付く計量台65に積載された被計量物Mを搬送させて、計量装置10Aの位置に達すると、スライダ62とともに移動する計量台65上の被計量物Mが搬送案内部片67もろともに荷重センサ11aによって重量測定される。この測定値は、搬送案内部片67および計量台65を備えるスライダ62が風袋として測定値から減算した値を被計量物Mの重量として記録部に記録され、表示される。
【0060】
この第4の実施形態によれば、前述した第3の実施形態のようにすべてのスライダ62に荷重センサを要しないので、コストダウンできる利点がある。なお、前記具体例では計量装置10Aとしてスライダ62(計量台)1個分のスペースに設けられているが、必要に応じて複数個分とすることもできる。
【0061】
また、搬送路60を循環移動するスライダ62上の計量台65に対する被計量物Mの受け渡しについては、手動による出し入れ、あるいはスターホイルなどの移載機構を用いるなど任意の方式が採用できる。また、前記実施形態において採用するリニアモータについては、前記説明に限定されるものではなく、全体構成において最適のものを採用するのが好ましい。
【0062】
上述したように、本発明による各実施形態においては、搬送路にリニアモータのように水平方向の移動に対して直交する方向の外力(振動力)が殆ど作用しない構成を計量部に取り入れて搬送しながら重量測定を行えるように構成したので、被計量物の測定精度を格段に高めることができるのである。しかも、構造的に簡素化できるので装置のコストダウンを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る計量搬送装置の概要図
【図2】図1の平面図
【図3】本発明の第2の実施形態に係る計量搬送装置を表わす平面図
【図4】補助移載機構の一例側面図
【図5】本発明の第3の実施形態に係る計量搬送装置の概要平面図(a)とそのA−A視拡大断面図(b)
【図6】本発明の第4の実施形態に係る計量搬送装置の概要図の平面図(a)と側面図(b)
【図7】図6のB−B視図(c)および図6のC−C視図(d)
【図8】従来の計量搬送装置の概要図(1)
【図9】従来の計量搬送装置の概要図(2)
【図10】従来の計量搬送装置の概要図(3)
【符号の説明】
【0064】
1,1A,1B,1C 計量搬送装置
2,2A 送り込みコンベア
3,3A 送り出しコンベア
5 支持フレーム
10,10A 計量装置
11,11a,45 荷重センサ
12,43,63 リニアモータ
13 誘導レール
14,42,62 スライダ
15 ガイドシャフト
18,46,65 計量台
21,31 コンベアチェン
21a,31a コンベアベルト
22 駆動スプロケット
23 従動スプロケット
26 移載補助機構
28,38 第1位置センサ
29,39 第2位置センサ
40 走行路
41 環状溝部
48,49 スターホイル
50 コンベア
54 ガイド
60 搬送路
67 搬送案内部片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送路に計量手段を備えた計量搬送装置であって、前記計量手段は、荷重センサ上に自身が水平方向駆動力を発生する駆動体が設けられ、その駆動体に設けた計量台上に被計量物を積載して、移動状態で前記被計量物の重量測定ができるように構成されていることを特徴とする計量搬送装置。
【請求項2】
前記駆動体は、前記荷重センサに作用する荷重の方向とほぼ直交する方向に作用する電磁誘導推進力で駆動される可動体と、前記荷重センサ上に支持されて前記可動体に直進性を与える誘導体とで構成されている請求項1に記載の計量搬送装置。
【請求項3】
前記駆動体は、搬送路の途中に設けられ、前記誘導体が搬送路を構成する上流側のコンベア終端部と下流側のコンベア始端部とに、それぞれ重複するようにして配設され、前記可動体が前記上流側コンベアから被計量物を受けて前記下流側コンベアへ送り出すように作動する間で、荷重センサにより積載する被計量物が重量測定されるように構成されている請求項1または2に記載の計量搬送装置。
【請求項4】
搬送路に計量手段を備えた計量搬送装置であって、前記計量手段は、自身が水平方向駆動力を発生する駆動体上に荷重センサを備える計量台が設けられ、その駆動体に設けた計量台に被計量物を積載して、移動状態で被計量物の重量測定ができるように構成されていることを特徴とする計量搬送装置。
【請求項5】
前記駆動体は、前記荷重センサに作用する荷重の方向とほぼ直交する方向に作用する電磁誘導推進力で駆動される可動体と、装置の本体部に固着されて前記可動体に推進力を与える誘導体とでなり、前記可動体上に荷重センサを備える計量台が設けられる請求項4に記載の計量搬送装置。
【請求項6】
搬送路に計量手段を備えた計量搬送装置であって、本体部に定置される荷重センサ上に、前記荷重センサに作用する荷重の方向とほぼ直交する方向に作用する電磁誘導推進力で駆動される可動体が通過する誘導路が設けられ、計量台を設けた前記可動体が前記誘導路を通過する時点で、移動する前記計量台上に積載される被計量物の重量測定を行うように構成されていることを特徴とする計量搬送装置。
【請求項7】
前記駆動体は、前記可動体が溝形の誘導体内で電磁誘導推進力により水平移動される構成である請求項4〜6のいずれかに記載の計量搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−108068(P2007−108068A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−300501(P2005−300501)
【出願日】平成17年10月14日(2005.10.14)
【出願人】(000208444)大和製衡株式会社 (535)
【Fターム(参考)】