説明

計量機、計量印字装置、計量包装装置および計量包装値付システム

【課題】 風袋重量の更新作業を単純化させることが可能な計量機等を提供する。
【解決手段】 計量部20によって内容物5と風袋10とから成る商品を計量し、内容物5の重量を演算する計量機1であって、商品マスターテーブル30と、風袋設定部40とを備えている。商品マスターテーブル30は、商品に対応づけて風袋10の重量データを記憶している。風袋設定部40は、風袋10の重量データを商品マスターテーブル30に記憶させる。また、この風袋設定部40は、テンキー41と、登録ボタン45とを有している。テンキー41は、商品を選択することができる。登録ボタン45は、テンキー41によって対象となる商品が選択されている場合に、計量部20による計量データを、その商品に対応づけられた風袋10の重量データとして商品マスターテーブル30に記憶させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計量機等、特に、計量手段によって内容物と風袋とから成る商品を計量し、内容物の重量を演算する計量機に関する。また、この計量機を備えた計量印字装置、計量包装装置さらには計量包装値付システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、スーパーマーケット等で肉や魚の生鮮食料品を販売する場合には、これらの肉や魚の内容物はトレイ等の容器に収納され、その上からラッピングされたものが商品として販売されている。以下、トレイ等の容器、仕切り、ドレッシング、刺身用の醤油、包装用のラップ等、商品からその内容物を除いたものを風袋と記す。
このような風袋は、商品に応じて様々な種類のものが存在している。例えば、以下の特許文献1において示すように、内容物の重量を計量する計量機には、記憶部が設けられており、商品に応じて用いられる風袋の重量データが記憶されているものがある。この計量機では、商品を指定することにより、その商品に対応する風袋の重量が差引かれて、風袋を計量台に載せたままの状態で内容物のみの重量を適切に計量できるようになっている。例えば、計量機の計量台に風袋を載せたままの状態でその風袋に内容物を載せて、内容物を所定の重量分だけ測り取る場合に、商品に対応づけて用いられる風袋の重量が差引かれて、内容物のみの重量を知ることができ、適切に測り取ることができる。また、内容物の重量に対してその内容物の単位重量当たりの単価を乗じることにより、内容物の適切な価格を求めることができる。
【特許文献1】特公平5−67885号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、上述したようなスーパーマーケット等では、商品に用いられる風袋を変更する場合があり、商品の内容物を従前の風袋とは異なる新たな風袋の容器に収納して販売することがある。例えば、特売日において、安売りする商品については、通用の風袋とは異なり安価な構成の風袋を用いる場合があり、また、お正月に販売する商品については、通常の風袋よりも豪華な風袋を用いる場合があり、通常の風袋とはその重量が異なってしまうおそれがある。このように、風袋の重量を変更する場合に、従前から記憶部に登録されている風袋の重量データを用いて計量を行ってしまうと、商品の内容物の重量を適切に計量することができなくなる。したがって、風袋の重量を変更する場合には、風袋を計量台に載せたままの状態で内容物のみの重量を適切に計量することができるように、記憶部に登録されている風袋の重量を変更する必要が生じる。
【0004】
このため、新たな風袋の容器を採用しようとする場合には、その新たな風袋について、ハカリ等を用いて新たな風袋の重量を調べ、その重量を商品に対応させながらテンキー等を用いて数値を記憶部に手入力して登録することで対応している。このような登録作業は、新たな風袋が採用される度に行わなければならず、変更作業が煩雑になってしまう。
本発明は上述した点に鑑みてなされたものであり、本発明の課題は、風袋重量の更新作業を単純化させることが可能な計量機等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1発明の計量機は、計量手段によって内容物と風袋とから成る商品を計量し、内容物の重量を演算する計量機であって、記憶部と、風袋設定部とを備えている。記憶部は、商品に対応づけて風袋の重量データを記憶する。風袋設定部は、風袋の重量データを記憶部に記憶させる。また、この風袋設定部は、選択手段と、風袋データ設定手段と有している。選択手段は、商品を選択する。風袋データ設定手段は、選択手段によって被選択商品が選択されている場合に、計量手段による計量データを、被選択商品に対応づけられた風袋の重量データとして記憶部に記憶させる。なお、ここでの風袋とは、商品の内容物を収納する容器や内容物に付随して商品に含められるもののことをいい、内容物以外のものを示す。
【0006】
商品を販売するに際して、新規の風袋を採用して、内容物をその新規な風袋に収納して販売する場合がある。この場合、従来の計量機では、内容物と風袋との総合重量から風袋の重量を差引く処理(風袋の重量引き)を適正に行うために、新規の風袋の重量を秤等を用いて調べ、その風袋の重量値を商品に対応づけつつテンキー等によって数値入力する作業が行われている。しかし、このような作業は、新たな風袋が採用される度に行わなければならず、煩雑である。
【0007】
これに対して、第1発明の計量機では、風袋設定部の選択手段によって被選択商品が選択されている場合に、風袋データ設定手段が、計量手段による計量データを、被選択商品に対応づけられた風袋の重量データとして記憶部に記憶させることができる。このため、新規な風袋の設定を行う場合に、新規な風袋の対象となる商品を選択手段によって選択しておいて、風袋データ設定手段によって、計量手段による新規風袋の計量データを被選択商品に対応づけつつ記憶部に記憶させることができる。このため、商品毎に風袋の重量引きを行うことで内容物の重量を計量する計量機に対して、風袋の計量データをそのまま記憶させることが可能になり、人間による数値手入力作業を不要とすることができる。このため、風袋の重量の更新作業を単純化させることが可能になる。
【0008】
なお、これに付随する効果として、新規な風袋に変更した場合であっても、単純な作業によって、商品に対応した適正な風袋の重量引きを行うことが可能になる。
第2発明に係る計量機は、第1発明の計量機であって、風袋データ設定手段は、被選択商品に対応づけられた風袋の重量データが記憶部にすでに記憶されている場合は、重量データを上書きする。
【0009】
ここでは、記憶部に記憶されている重量データを上書きすることによって、商品と対応する風袋の重量データとが1対1となるように設定されるため、風袋を選ぶ際の間違いを生じにくくさせることができる。
第3発明に係る計量機は、第1発明または第2発明の計量機であって、演算手段をさらに備えている。この演算手段は、選択手段によって被選択商品が選択されている場合に、計量手段による商品の重量から、被選択商品と対応づけて記憶部に記憶されている風袋の重量を差引くことにより内容物の重量を算出する。
【0010】
ここでは、演算手段が、記憶部に記憶されている風袋の重量を差引くことにより内容物の重量を算出するため、適切な内容物の重量を自動的に算出することができるようになる。
なお、これに付随する効果として、例えば、内容物の重量単価が設定されている場合には、商品を選択するだけで、記憶部に記憶されている被選択商品に対応する風袋の重量データや単価データ等を用いて、風袋の重量引きだけでなく価格を自動的に算出すること等も可能になる。これにより、計量機の操作性をさらに向上させることが可能になり、オペレータの作業負担を軽減させることもできるようになる。
【0011】
第4発明に係る計量機は、第1発明から第3発明のいずれか計量機であって、画像表示手段をさらに備えている。ここでの記憶部は、さらに、商品に対応づけて風袋の外観に関する風袋画像データを記憶している。また、画像表示手段は、選択手段によって被選択商品が選択されている場合に、被選択商品と対応づけて記憶部に記憶されている風袋画像データを表示する。
【0012】
ここでは、選択手段によって被選択商品が選択されている場合に、画像表示手段が、被選択商品と対応づけて記憶部に記憶されている風袋画像データを表示する。このため、被選択商品に用いる風袋の種類を容易に選択することができるようになる。また、風袋が複数のものによって構成されている場合に、被選択商品に対応する風袋としての構成を備えているか否かについて目視によって容易に確認することが可能になる。なお、これにより、風袋の選択ミスが生ずる確率を低減させることも可能になる。
【0013】
なお、ここでは内容物を含めた状態の画像ではなく、内容物を含まない風袋自体の外観画像を登録して表示するため、風袋の構成物を容易に視認することが可能になる。
第5発明に係る計量機は、第4発明の計量機であって、風袋の外観についての撮影データを取得可能な画像取得手段をさらに備えている。また、風袋データ設定手段は、選択手段によって被選択商品が選択されている場合に、画像取得手段による撮影データを、被選択商品に対応づけられた風袋画像データとして記憶部に記憶させる。
【0014】
ここでは、風袋データ設定手段によって記憶部に撮影データが記憶されることで、選択手段によって被選択商品が選択されている場合に、画像表示手段によって風袋画像を表示できるようになる。このため、記憶部に記憶されていない風袋のデータについても、記憶部において商品と対応させつつ記憶させていくことが可能になる。例えば、風袋がトレイとたれとによって構成されている場合にトレイに置かれるたれの個数が増減されて風袋が変更される場合や、風袋形状自体が新規な風袋に変更される場合等に、そのような新規な風袋データについても記憶部に記憶させることができるようになる。
【0015】
第6発明に係る計量機は、第5発明の計量機であって、画像取得手段は、風袋データ設定手段によって計量データが記憶部に記憶される場合に、撮影データを取得する。
ここでは、風袋の重量が記憶部に記憶される場合に、対応する風袋画像データについても自動的に記憶させることができるため、計量機の操作性をより向上させることが可能になる。
【0016】
第7発明に係る計量機は、第1発明から第6発明のいずれか計量機であって、少なくとも被選択商品と内容物の重量情報とのいずれか一方を表示する出力表示手段をさらに備えている。なお、ここの計量機としては、例えば、対面販売等の際に用いられるものであってもよい。
ここでは、出力表示手段によって、少なくとも被選択商品と内容物の重量情報とのいずれか一方が表示される。このため、容易にこれらの情報を把握することができるようになる。
【0017】
第8発明に係る計量印字装置は、出力印字手段と、請求項1から7のいずれか1項に記載の計量機とを備えている。出力印字手段は、商品に付するラベルに印字するか、商品に対して直接印字するかのいずれかの方法によって、少なくとも内容物の重量情報を印字する。なお、ここの計量印字装置としては、例えば、対面販売等の際に用いられる対面プリンタ付計量機等であってもよい。
【0018】
第8発明の計量印字装置は、計量機において、風袋の重量の更新作業を単純化させることが可能になる。さらに、ここでは、出力印字手段を備えているため、少なくとも内容物の重量情報をラベルか商品に対して印字することができる。このため、内容物の重量情報を、そのまま印字することができるため、計量手段によって得られた重量情報を簡易に印字することができるようになる。
【0019】
なお、これに付随する効果として、新規な風袋に変更した場合であっても、簡易に商品に対応した適正な風袋の重量引きを行うことが可能になり、また、その重量を印字することができるようになる。
第9発明に係る計量包装装置は、内容物を包装する包装手段と、請求項1から7のいずれか1項に記載の計量機とを備えている。
【0020】
第9発明の計量包装装置は、計量機において、風袋の重量の更新作業を単純化させることが可能になる。さらに、ここでは、包装手段を備えているため、計量された内容物をそのまま包装することができるようになる。
第10発明に係る計量包装値付システムは、値付け機能と、請求項9に記載の計量包装装置とを備えている。値付け機能は、包装手段によって包装された包装物に対して、包装物に付するラベルに印字するか、包装物に対して直接印字するかのいずれかの方法によって、内容物の重量情報から得られる価格を値付けする。
【0021】
第10発明の計量包装値付システムは、計量包装装置において、風袋の重量の更新作業を単純化させることおよび計量された内容物をそのまま包装することが可能になる。さらに、ここでは、値付け機能を備えているため、計量手段によって計量された内容物の包装物に対して、計量して得られた重量情報に対応する価格を値付けすることができ、内容物と価格とを対応づけて処理することができるようになる。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る計量機では、新規な風袋の設定を行う場合に、新規な風袋の対象となる商品を選択手段によって選択しておいて、風袋データ設定手段によって、計量手段による新規風袋の計量データを被選択商品に対応づけつつ記憶部に記憶させることができる。このため、商品毎に風袋の重量引きを行うことで内容物の重量を計量する計量機に対して、風袋の計量データをそのまま記憶させることが可能になり、人間による数値手入力作業を不要とすることができる。このため、風袋の重量の更新作業を単純化させることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態に係る計量機の外観斜視図を図1に示す。計量機1は、商品の内容物5(図1において2点鎖線で示す)の重量を計量する装置であって、生魚、精肉等の商品を計量し、内容物5の単価を乗じて価格を演算する機能を有している。ここでの内容物5は、風袋10に載せるようにして、その重量を計量する。なお、ここでの風袋10とは、商品の内容物5を収納するトレイ等の容器、仕切り、刺身用の醤油、たれ、ドレッシング、包装用のラップ等、内容物5に付随して商品に含まれるもののことをいい、内容物5からその内容物5を除いたものを示す。
【0024】
<計量機の概略構成>
この計量機1は、ほぼ直方体状の本体2を有している。本体2の手前側の側面には、オペレータが入力等の操作を行うための風袋設定部40が設けられている。また、後述する風袋画像データを表示したりするための液晶の画像表示画面50、商品情報表示部60等が設けられている。風袋設定部40は、複数の商品ボタン(図示せず)、テンキー41、PLU(Price Look Up)キー42、更新登録ボタン45等が設けられている。商品ボタンは、オペレータが商品を選択して商品に関する各種の情報を呼び出すためのものである。テンキー41は、商品ボタンと同様に、商品等を選択して商品に関する各種の情報を呼び出すためにオペレータが商品コードの入力等を行うためのものである。PLU(Price Look Up)キー42は、直接タッチすることによって商品名等を指示し商品に関するデータを呼び出すためのキーである。更新登録ボタン45は、風袋10の計量データや撮影データを商品マスターテーブル30に登録させるためのボタンである。
【0025】
また、本体2の上部には、商品の重量を検出するための計量部20が設けられている。計量部20は、図1において示された計量台21、およびこの計量台21の下方に設けられたロードセル等(図示せず)から構成されている。
さらに、本体2の内部の右側方部分には、ラベル発行のためのラベル発行部70が設けられている。そして、風袋設定部40の側方にはラベル発行口が形成されており、このラベル発行口から印字されたラベルLが排出される。ラベル発行部70では、複数のラベルLが連続して貼付されたロール状のラベル台紙が収納され、ラベルLに対して様々な情報の印字処理が行われる。例えば、ラベルLは、図4に示すようなものになる。
【0026】
また、本体2の計量部20の上部には、デジタルカメラ80が設けられており、風袋10を撮影して、撮影データを取得することができる。
<計量機の制御構成>
図2は、計量機1の概略制御ブロック図である。計量機1の制御を司る制御部25は、本体2の内部に配置されている。この制御部25は、CPU26,ROM27,RAM28,HDDによる商品マスターテーブル30等を有しており、互いが協働して以下に述べる様々な処理を行う。そして、この制御部25には、風袋設定部40、商品情報表示部60、画像表示画面50、計量部20、デジタルカメラ80、ラベル発行部70等が接続されている。
【0027】
商品マスターテーブル30には、図3に示すように、各商品に対応して、商品名、商品コード、単価、風袋重量データ、風袋画像データ等が格納される。
これらの商品マスターテーブル30は、店舗内のネットワークや接続されている上位コンピュータ等からデータを受けて作成されたり、オペレータの手入力によって作成されることも可能になっており、後述するように、テンキー41によって商品を選択し、風袋10の風袋重量データや風袋画像データを登録することが可能になっている。
【0028】
以下、これらの制御動作によって実行される、商品の内容物5の計量処理および新規風袋設定処理について、それぞれ説明する。
<計量処理の概略>
計量機1では、図1に示すように、計量部20の上に、風袋10および内容物5が載せられ、内容物5の重量を求める計量処理(風袋の重量引き処理)が行われる。
【0029】
計量処理は、図5に示すように、以下に述べるフローに従って実行される。
ステップS1では、オペレータが計量対象(販売対象)となる商品のコード番号(図3参照)をテンキー41によって入力したり、あるいは商品ボタンを押した場合に、制御部25が商品を把握する。
ステップS2では、制御部25が、把握した商品に対応するデータを商品マスターテーブル30から読み出す。なお、ここでは、商品名、風袋重量、風袋画像等のデータが呼び出され、RAM28において一時的に記憶される。
【0030】
ステップS3では、制御部25が、計量対象となる商品について呼び出された商品名と風袋重量を商品情報表示部60に、風袋画像を画像表示画面50にそれぞれ表示させる。ここで、オペレータは、画像表示画面50に表示される風袋画像を視認することで、商品マスターテーブル30において商品毎に記憶されている風袋を把握することができる。
ステップS4では、オペレータによって計量対象となる商品(内容物5および風袋10)が計量台21に載せられると、制御部25は、商品重量を計量部20において計量させつつ、風袋の重量引き処理を行う。ここでの風袋の重量引き処理は、商品重量から、RAM28において一時的に記憶されている風袋重量を差引くことにより行われる。これにより、適正な風袋の重量引き処理が行われ、内容物5のみの重量が算出される。
【0031】
ステップS5では、制御部25は、ステップS4で求められた内容物5の重量に対して、対応する単位重量当たりの値段(単価)を乗じて、価格を算出する。ここでの内容物5の単価は、図3に示すように、商品マスターテーブル30を参照することにより、商品(または内容物)に対応する単価が特定される。
ステップS6では、制御部25は、商品マスターテーブル30を参照しながら、商品名、内容物の重量(ステップS4で求められた値)および単価、価格(ステップS5で求められた価格)等を、商品情報表示部60に表示させる。
【0032】
ステップS7では、制御部25は、商品マスターテーブル30を参照しながら、ラベル発行部70に、商品名、内容物の重量(ステップS4で求められた値)および単価、価格(ステップS5で求められた価格)、他の商品情報の他、バーコード等をラベルLに印字させると共に発行させる。
<新規風袋設定処理の概略>
ここでは、図6を参照しつつ、新規風袋設定処理について説明する。新規風袋設定処理は、商品マスターテーブル30の一部のデータを新規風袋10に関するデータに更新するための処理であって、上記計量処理のステップS2以降にオペレータが更新登録ボタン45を押した場合に行われる処理である。
【0033】
上述した商品が販売されるスーパーマーケット等では、商品に用いられる風袋10を変更する場合があり、商品の内容物5を従前の風袋10とは異なる新規風袋10を用いて販売することがある。このように新規風袋10を採用することになった場合には、更新登録ボタン45が押されて、その新規風袋10が用いられる商品について、商品マスターテーブル30に記憶されているデータを更新する新規風袋設定処理が行われる。また、例えば、オペレータが、計量処理のステップS3で画像表示画面50に表示される風袋画像を視認して、商品マスターテーブル30に記憶されている風袋とこれから使用する風袋とが一致しないと判断した場合に、更新登録ボタン45を押すことで、新規風袋設定処理が行われる。
【0034】
以下、図6のフローチャートを用いて、新規風袋設定処理について具体的に説明する。
なお、図7に示すように、新規風袋設定処理は、内容物5が入っていない新規風袋10を計量台21に載せた状態で行われる。
ステップS21では、制御部25は、計量台21に載せられた新規風袋10の重量について、計量部20から計量データを取得する。
【0035】
ステップS22では、制御部25は、新規風袋10が用いられる商品について商品マスターテーブル30に記憶されている条件設定(図示せず)を参照しつつ、ステップS21での計量で得られた計量データの値が既定範囲内か否かを判断する。ここで、既定範囲内であると判断された場合には、ステップS24に移行し、既定範囲外であると判断された場合には、ステップS23に移行する。
【0036】
ステップS23では、制御部25は、画像表示画面50にエラー表示させると共に、図示しない警音部によってブザー音を発させる。
ステップS24では、制御部25は、更新登録ボタン45が押されることを検知し、ステップS21において得られた新規風袋10の計量データを、RAM28に一時的に記憶させる。
【0037】
ステップS25では、制御部25は、更新登録ボタン45が押された際に、デジタルカメラ80に新規風袋10を撮影させ、撮影データを取得し、RAM28に一時的に記憶させる。
ステップS26では、制御部25は、RAM28に一時的に記憶されている新規風袋10の計量データおよび撮影データを、この新規風袋10が用いられる商品に対応づけながら、その商品の風袋重量データおよび風袋画像データとして商品マスターテーブル30のデータを更新させる。
【0038】
[第1実施形態における計量機の特徴]
(1)
商品の販売するに際して、新規の風袋を採用して、内容物をその新規な風袋に収納して販売する場合がある。この場合、従来の計量機では、内容物と風袋との総合重量から風袋の重量を差引く処理(風袋の重量引き)を適正に行うために、新規の風袋の重量を秤等を用いて調べ、その風袋の重量値を商品に対応づけつつテンキー等によって数値入力する作業が行われている。しかし、このような作業は、新たな風袋が採用される度に行わなければならず、煩雑である。一方で、このような風袋の風袋重量データが適切な値となるように更新しておかなければ、商品の内容量について量目不足や量目過多が生じてしまい、内容物を適正に計量することは困難である。
【0039】
これに対して、上記第1実施形態の計量機1では、新規風袋10が採用された場合に、商品マスターテーブル30の風袋の風袋重量データを更新しているため、内容物5と風袋10との総合重量から風袋10の重量を差引く処理(風袋の重量引き)を適正に行うことができ、内容物5の量目不足や量目過多が生じることを防ぐことができる。
また、新規風袋10の設定を行う場合に、テンキー41によって新規風袋10の対象となる商品を選択しておいて、更新登録ボタン45を押すことによって、計量部20による新規風袋10の計量データを商品に対応づけつつ商品マスターテーブル30に記憶させることができる。このため、商品毎に風袋10の重量引きを行うことで内容物5の重量を計量する計量機1に対して、計量データをそのまま商品マスターテーブル30に記憶させることが可能になり、人間による数値手入力作業が不要になる。このため、風袋10の重量の更新作業を単純化させることが可能になる。
【0040】
また、新規風袋10を計量台21に載せて、計量部20によって風袋10が計量されたときに更新登録ボタン45を押すだけという簡単な操作によって、風袋重量データを更新することができる。
また、従来の計量機では、更新されるべき風袋の風袋重量データについては、人間による数値入力操作が必要になっているため、更新される風袋の重量について、設定される値にミスが生じるおそれがある。これに対して、上記第1実施形態の計量機1では、更新されるべき新規風袋10の重量について、計量部20によって測定して得られた計量データをそのまま商品マスターテーブル30に記憶させることができるため、従来の人間による数値入力ミス等を無くすることができる。
【0041】
(2)
上記第1実施形態の計量機1では、商品ボタン、テンキー41等によって商品が選択されている場合に、画像表示画面50が、商品と対応した風袋画像データを表示する。このため、オペレータは、商品に用いる風袋10の種類を容易に把握することができる。また、風袋10が複数のもの(トレイ,仕切り,2種類のドレッシング,ラップ等)によって構成されている場合に、商品に対応する風袋10としての構成を備えているか否かを、目視によって容易に確認することできる。なお、これにより、風袋10の選択ミスや構成不足ミス等が生ずる確率を低減できる。
【0042】
したがって、内容物5と風袋10との関係について不慣れなオペレータ等が操作する場合であっても、風袋表示を見て風袋10を確認できるようになり、商品に適合した風袋10を容易に把握できるようになる。
なお、ここでは内容物5を含めた状態の商品画像ではなく、内容物5を含まない風袋10自体の外観画像を登録して表示するため、内容物5が一緒に表示される場合と比べて、風袋10の構成物を容易に把握することができる。
【0043】
また、計量機1はデジタルカメラ80を備えており、更新登録ボタン45が押されることによって、新規風袋10が撮影され、風袋画像データが商品マスターテーブル30に記憶される。このため、商品ボタンやテンキー41等によって商品が選択されている場合に、画像表示画面50によって新規風袋10の画像についても表示できるようになる。このため、商品マスターテーブル30に記憶されていない風袋のデータについても、商品マスターテーブル30において商品と対応させつつ新たに記憶させていくことが可能になる。例えば、風袋がトレイとたれとによって構成されている場合にトレイに置かれるたれの個数が増減されて風袋が変更される場合や、トレイ等の形状自体が新規なものに変更される場合に、そのような風袋の画像についても記憶部に記憶させておくことができる。
【0044】
また、新規風袋設定処理では、風袋10の重量が商品マスターテーブル30に記憶される場合に、対応する風袋画像データについても自動的に記憶させることができるため、風袋重量データと風袋画像データとの更新作業を別々に行う必要が無く、計量機1の操作性が向上されている。
(3)
上記第1実施形態の計量機1では、演算処理によって、商品マスターテーブル30に記憶されている風袋10の重量を差引くことにより内容物5の重量を算出できる。このため、適切な内容物5の重量を自動的に算出することができるようになる。また、商品を選択するだけで、商品に対応する風袋10の風袋重量データや単価データ等を用いて、風袋10の重量引きだけでなく内容物の重量に応じた価格についても自動的に算出することができ、計量機1の操作性を向上させることができる。なお、これらによって、オペレータの作業負担を軽減させることができる。
【0045】
[第1実施形態の変形例]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
(A)
上記第1実施形態の計量機1では、画像表示画面50と商品情報表示部60とが別個に設けられている。
【0046】
これに対して、画像表示画面50と商品情報表示部60とが一緒に構成されている液晶ディスプレイであってもよい。この場合には、1つの画面を分割して画像や商品情報を表示しても良いし、画像や商品情報の表示に応じて画面が切り替わるような構成であってもよい。
(B)
上記第1実施形態の計量機1では、新規風袋が採用されることになった場合に、記憶部に記憶されている従前の風袋データに対して新規データを上書きすることで更新している。
【0047】
これに対して、更新設定操作を行う従前に商品マスターテーブル30に記憶されている風袋データは商品マスターテーブル30に残したまま、新規風袋10の計量データや撮影データを新規データとして追加するようにしてもよい。この場合には、新規風袋10の風袋重量データおよび風袋画像データが、従前の風袋重量データおよび風袋画像データと重複して記憶されている状態となるが、風袋の重量引き処理には、最新のデータが用いられるようにすればよい。また、このように過去の風袋重量データや風袋画像データの履歴を残しておくことで、過去に用いられていた風袋を再度用いることになった場合に、風袋設定操作で、過去の風袋重量データおよび風袋画像データを選択可能な構成にしておいて風袋設定操作を単純化させることができる。すなわち、過去に用いていた風袋10の風袋重量データをテンキーによって数値入力したり風袋画像データをカメラによって再度取得したりして設定入力する必要が無く、商品マスターテーブル30に残っている過去の風袋データを選択するだけで風袋設定操作が可能になるために、操作を単純化させることができる。
【0048】
(C)
上記第1実施形態の計量機1では、計量部20に載せられた風袋10や内容物5についての情報を、画像表示画面50や商品情報表示部60において表示している。
これに対して、このような画像表示画面50や商品情報表示部60を備えていない計量機であって、単にラベル発行部70によってラベルLの発行処理のみ行う計量ラベル発行装置であってもよい。
【0049】
[第2実施形態]
上記第1実施形態の計量機1では、商品に対応づけて用いられる風袋10の新規風袋設定処理が行われ、この際に、新規風袋10の風袋画像データをデジタルカメラ80によって取得して、商品マスターテーブル30の更新処理を行う場合を例に挙げて説明を行った。
【0050】
これに対して、上記計量機1において、デジタルカメラ80およびこれに対応する画像表示画面50等が設けられていない構成であってもよい。このように、画像表示画面50が設けられていない計量機であっても、上述した計量機1と同様に、風袋10の重量の更新作業を単純化させることは可能である。なお、他の構成は、上述した計量機1と同様である。
【0051】
[第3実施形態]
上記第1実施形態の計量機1では、内容物5の重量を計量し、商品マスターテーブル30に記憶されている商品情報等をラベルLに印字する処理を行うものを例に挙げて説明を行った。
これに対して、計量された内容物5やトレイ等をラップ等によって包装する処理を行う包装機を備えた計量包装装置に対して本発明を適用してもよい。これによると、計量された内容物5をそのまま包装することができるようになる。
【0052】
また、計量包装装置において上述したラベル発行部70を備えた構成の計量包装値付システムに対して本発明を適用してもよい。この場合には、計量された内容物5が包装される商品に対して、計量された重量に対応する価格をラベル発行部70によってラベルLに印字して値付けすることができ、内容物5と価格の印字されたラベルLとを対応づけて処理することができるようになる。なお、他の構成は、上述した計量機1と同様である。
【0053】
[第4実施形態]
上記第1実施形態の計量機1では、風袋10と内容物5とを一緒に計量した場合であっても、風袋10の重量引き処理が行われて、内容物5の重量を求めることができる計量機1について説明した。
これに対して、第4実施形態の計量機400としては、図8に示すように、客側の面に客側表示部460が設けられている構成であってもよい。この客側表示部460は、液晶ディスプレイからなり、商品名、単価、重量、価格等を客に対して表示する。この計量機400によると、対面販売において、購入者に対して必要な情報を表示しながら販売することができる。なお、他の構成は、上述した計量機1と同様である。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明に係る計量機、計量印字装置、計量包装装置および計量包装値付システムによれば、風袋重量の更新操作を単純化させることが可能になる。このため、商品の計量処理において用いられる風袋の変更を伴うような計量機、計量印字装置、計量包装装置および計量包装値付システムへの適用が特に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の第1実施形態における計量機の外観斜視図。
【図2】計量機の概略ブロック構成図。
【図3】商品マスターテーブルの内容を示す図。
【図4】ラベルの一例を示す図。
【図5】計量処理のフローチャート。
【図6】新規風袋設定処理のフローチャート。
【図7】計量機による新規風袋の計量の様子を示す図。
【図8】第4実施形態における計量機の外観図。
【符号の説明】
【0056】
1 計量機,計量印字装置,計量包装装置
5 内容物
10 風袋
20 計量手段(計量部)
30 記憶部(商品マスターテーブル)
40 風袋設定部
41 選択手段(テンキー)
45 風袋データ設定手段(更新登録ボタン)
49 演算手段
50 画像表示手段(画像表示画面)
60 出力表示手段(商品情報表示部)
70 出力印字手段(ラベル発行部)
80 画像取得手段(デジタルカメラ)
L ラベル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
計量手段によって内容物と風袋とから成る商品を計量し、前記内容物の重量を演算する計量機であって、
前記商品に対応づけて前記風袋の重量データを記憶する記憶部と、
前記風袋の重量データを前記記憶部に記憶させる風袋設定部と、
を備え、
前記風袋設定部は、
前記商品を選択する選択手段と、
前記選択手段によって被選択商品が選択されている場合に、前記計量手段による計量データを、前記被選択商品に対応づけられた前記風袋の重量データとして前記記憶部に記憶させる風袋データ設定手段と、
を有している、計量機。
【請求項2】
前記風袋データ設定手段は、前記記憶部に前記被選択商品に対応づけられた前記風袋の重量データがすでに記憶されている場合は、前記重量データを上書きする、
請求項1に記載の計量機。
【請求項3】
前記選択手段によって被選択商品が選択されている場合に、前記計量手段による前記商品の重量から、前記被選択商品と対応づけて前記記憶部に記憶されている前記風袋の重量を差引くことにより前記内容物の重量を算出する演算手段をさらに備えた、
請求項1または2に記載の計量機。
【請求項4】
前記記憶部は、さらに、前記商品に対応づけて前記風袋の外観に関する風袋画像データを記憶しており、
前記選択手段によって被選択商品が選択されている場合に、前記被選択商品と対応づけて前記記憶部に記憶されている前記風袋画像データを表示する画像表示手段をさらに備えた、
請求項1から3のいずれか1項に記載の計量機。
【請求項5】
前記風袋の外観についての撮影データを取得可能な画像取得手段をさらに備え、
前記風袋データ設定手段は、前記選択手段によって被選択商品が選択されている場合に、前記画像取得手段による撮影データを、前記被選択商品に対応づけられた前記風袋画像データとして前記記憶部に記憶させる、
請求項4に記載の計量機。
【請求項6】
前記画像取得手段は、前記風袋データ設定手段によって前記計量データが前記記憶部に記憶される場合に、前記撮影データを取得する、
請求項5に記載の計量機。
【請求項7】
少なくとも前記被選択商品と前記内容物の重量情報とのいずれか一方を表示する出力表示手段をさらに備えた、
請求項1から6のいずれか1項に記載の計量機。
【請求項8】
前記商品に付するラベルに印字するか、前記商品に対して直接印字するかのいずれかの方法によって、少なくとも前記内容物の重量情報を印字する出力印字手段と、
請求項1から7のいずれか1項に記載の計量機と、
を備えた計量印字装置。
【請求項9】
前記内容物を包装する包装手段と、
請求項1から7のいずれか1項に記載の計量機と、
を備えた計量包装装置。
【請求項10】
前記包装手段によって包装された包装物に対して、前記包装物に付するラベルに印字するか、前記包装物に対して直接印字するかのいずれかの方法によって、前記内容物の重量情報から得られる価格を値付けする値付け機能と、
請求項9に記載の計量包装装置と、
を備えた計量包装値付システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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