説明

計量機能付き包装袋

【課題】本発明の目的は、簡易な構造を有し、簡単な操作で確実に内容物を計量し、計量した分だけを、手を汚すことなく、安定的に取り出すことができる計量機能付き包装袋を提供することである。
【解決手段】本発明に係る計量機能付き包装袋100は、側壁11となる互いに向かい合うフィルム同士の周縁に周縁シール部12を設けて収容室13を形成してなる袋本体10と袋本体10に設けた注出口20とを備え、収容室13が、注出口20に通じる計量室14と、計量室14に区画シール部15を隔てて隣接する主室16と、計量室14と主室16との間で内容物の流通を可能とする通路17と、を有する計量機能付き包装袋において、区画シール部15の端部15aが、周縁シール部12に交わり、区画シール部15に、折り曲げ誘導線40を形成してなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、専用の計量容器を用いずに内容物を計量し、計量した分だけ取り出すことができる計量機能付き包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、計量機能付きの包装袋が提案されている(例えば、特許文献1〜3を参照。)。特許文献1には、パウチ内部が、パウチと同幅のフィルムからなる第一仕切材及び第二仕切材によって貯蔵室、計量室及び排出室に区画された計量機能付きパウチが提案されている。このパウチによる計量は、まずパウチを倒立させて、内容物が貯蔵室から計量室内に流入して所定量が計量され、パウチを起こすと計量室内の内容物が排出室内に流入し、再びパウチを倒立させると排出室の内容物が注出口からパウチの外部に注出されることでなされる。特許文献2には、ファスナー付きの袋体で、ファスナーに隣接する計量部と計量部に隣接する収納部とを備え、計量部及び収納部は、接着部で区画され、収納部から計量部にかけて、収納部と比較して幅が狭くなった量設定区域を有する包装体が提案されている。この包装体による計量は、袋体全体を上下逆さにして内容物を収納部から計量部に導き、連通路に入り込んだ内容物を排除しながら、袋体を連通路に設けられた折り返し線に沿って折った後、ファスナーを開き、計量部にある内容物を外部に吐出することでなされる。特許文献3には、注出通路の基端側に中空定量部を設けた液体包装袋が提案されている。この液体包装袋による計量は、袋を逆さまに吊り下げて、隅角部を切って流出通路の先端を開放し、中空定量部内の流体を手で圧搾又はしごきによって注出させることでなされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−122360号公報
【特許文献2】特開2004−306985号公報
【特許文献3】特開2002−193282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のパウチは、第一の仕切材を下辺では表面材に接合し、上辺では裏面材に接合し、第二の仕切材を上辺では裏面材に接合し、下辺では第一仕切材に接合することによってパウチ内を区画するため、接合が複雑であり、生産性が悪く、洗剤、調味料、食品など量産される製品の容器としては実用的でない。特許文献2に記載のパウチは、折り返し線に沿って折り返すと開口部が下を向くため、開口部の開放と同時に内容物が流出することとなり、内容部によって手が汚れる問題がある。特許文献3に記載の液体包装袋は、中空定量部の容積が大きくなると、手で圧搾又はしごくのに大きな圧力が必要となり、内容物の供給操作が困難となる。
【0005】
本発明の目的は、簡易な構造を有し、簡単な操作で確実に内容物を計量し、計量した分だけを、手を汚すことなく、安定的に取り出すことができる計量機能付き包装袋を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る計量機能付き包装袋は、側壁となる互いに向かい合うフィルム同士の周縁に周縁シール部を設けて収容室を形成してなる袋本体と該袋本体に設けた注出口とを備え、前記収容室が、前記注出口に通じる計量室と、該計量室に区画シール部を隔てて隣接する主室と、前記計量室と前記主室との間で内容物の流通を可能とする通路と、を有する計量機能付き包装袋において、前記区画シール部の端部が、前記周縁シール部に交わり、前記区画シール部に、折り曲げ誘導線を形成したことを特徴とする。
【0007】
本発明に係る計量機能付き包装袋では、前記袋本体が、自立性の底壁を有することが好ましい。立てて保管することができ、取扱い性及び見栄えを良くすることができる。
【0008】
本発明に係る計量機能付き包装袋では、前記区画シール部と前記周縁シール部とのなす前記主室側の内角が、90°を超えることが好ましい。内容物が主室から計量室へ移動しやすく、かつ、計量室に移動した内容物が主室に戻りにくい。
【0009】
本発明に係る計量機能付き包装袋では、前記通路の幅が、5〜20mmであることが好ましい。計量を容易、かつ、精度よく行うことができる。また、内容物が主室から計量室へ移動しやすく、計量室に移動した内容物が主室に戻りにくいため、内容物を計量した分だけ安定的に取り出すことができる。
【0010】
本発明に係る計量機能付き包装袋では、前記周縁シール部が、前記収容室側に切れ込む切欠き部を有し、前記区画シール部の端部が、前記切欠き部の最深部と交わることが好ましい。袋体に印刷を施すなどして、区画シール部を目視で判別しにくい状態であったとしても、切欠き部を目印として、折り曲げ誘導線の位置が判別しやすくなり、折り曲げ誘導線に沿った折り曲げを更に容易にすることができる。
【0011】
本発明に係る計量機能付き包装袋では、前記折り曲げ誘導線が、端部に、引き裂き伝播阻止手段を有することが好ましい。包装袋の破損を防止することができる。
【0012】
本発明に係る計量機能付き包装袋は、前記周縁に吊下げ手段を有することが好ましい。計量をより簡単に行うことができる。
【0013】
本発明に係る計量機能付き包装袋では、前記計量室を形成しているフィルムに計量線を付したことが好ましい。計量可能な分量の幅を広めることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、簡易な構造を有し、簡単な操作で確実に内容物を計量し、計量した分だけを、手を汚すことなく、安定的に取り出すことができる計量機能付き包装袋を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施形態に係る計量機能付き包装袋の一例を示す正面図である。
【図2】折り曲げ誘導線の変形例を示す図であり、(a)は折り曲げ誘導線が点線である形態、(b)は折り曲げ誘導線がエンボスである形態を示す。
【図3】本実施形態に係る計量機能付き包装袋の使用方法を説明するための図であり、内容物を計量室に流入時の状態を示す図である。
【図4】本実施形態に係る計量機能付き包装袋の使用方法を説明するための図であり、計量室へ満量の内容物が流入した状態を示す図である。
【図5】本実施形態に係る計量機能付き包装袋の使用方法を説明するための図であり、折り曲げ誘導線に沿って折り曲げた状態を示す図である。
【図6】本実施形態に係る計量機能付き包装袋の使用方法を説明するための図であり、計量した内容物の注出時の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明について実施形態を示して詳細に説明するが本発明はこれらの記載に限定して解釈されない。本発明の効果を奏する限り、実施形態は種々の変形をしてもよい。
【0017】
図1は、本実施形態に係る計量機能付き包装袋の第一例を示す正面図である。本実施形態に係る計量機能付き包装袋100は、側壁11となる互いに向かい合うフィルム同士の周縁に周縁シール部12を設けて収容室13を形成してなる袋本体10と袋本体10に設けた注出口20とを備え、収容室13が、注出口20に通じる計量室14と、計量室14に区画シール部15を隔てて隣接する主室16と、計量室14と主室16との間で内容物の流通を可能とする通路17と、を有する計量機能付き包装袋において、区画シール部15の端部15aが、周縁シール部12に交わり、区画シール部15に、折り曲げ誘導線40を形成してなる。
【0018】
袋本体10は、向かい合わせに重ねた表裏2枚の側壁11を有する。表裏2枚の側壁11は、それぞれ別体のフィルムを向かい合わせに重ねるか、又は一連のフィルムを略中央部又は両端縁で折り返して向かい合わせに重ねてもよい。表裏2枚の側壁11からなる袋本体10の形態例(不図示)としては、四方シール袋、三方シール袋、ピロー包装袋である。
【0019】
本実施形態に係る計量機能付き包装袋100では、図1に示すように、袋本体10が、図1に示すように自立性の底壁19を更に有することが好ましい。自立性を有することで、袋本体10を立てて保管することができ、取扱い性を向上することができる。また、見栄えを良くすることができる。底壁19は、表裏の側壁11が別体のフィルムである場合には、表裏の側壁の間に折り込んで配置した別体のフィルムであるか、又は表裏の側壁が一連のフィルムである場合には、折り返し部分を内側に折り込んだ部分である。表裏2枚の側壁11及び自立性の底壁19からなる袋本体10の形態例としては、図1に示すようなスタンディングパウチの他、例えば、ガゼット袋(不図示)である。
【0020】
側壁11又は底壁19を形成するフィルムの材料は、特に制限はないが、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン、エチレン‐アクリル酸共重合体、エチレン‐酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン‐ビニルアルコール共重合体(EVOH)、エチレン‐塩化ビニル共重合体などのエチレン‐ビニル化合物共重合体、ポリスチレンアクリロニトリル‐スチレン共重合体、アクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレン共重合体(ABS)、メタクリル酸メチル‐スチレン共重合体などのスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)などのポリビニル化合物、ナイロン6、ナイロン6‐6、ナイロン6‐10、ナイロン11、ナイロン12、メタキシレンジアミン(MXDナイロン)などのポリアミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル類、ポリカーボネート、アイオノマー(IO)である。これらは、単独で使用するか、又は2種以上を併用してもよい。また、スリップ剤、アンチブロッキング剤などの助剤を含有してもよい。
【0021】
前記したフィルム用材料以外に、例えば、(1)アルミニウム箔などの金属箔、(2)酸化ケイ素、酸化アルミニウムなどの蒸着層、(3)紙、(4)セロファン又は(5)エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂などを含有する接着剤層若しくはアンカーコート層を更に積層してもよい。
【0022】
フィルムの製造方法は、特に制限はなく、インフレーション法、Tダイ法、押出ラミネート法、ドライラミネート法などの公知の方法で製造することができる。フィルムの厚さは、特に制限はないが、例えば、10〜300μmであることが好ましい。より好ましくは、60〜120μmである。
【0023】
フィルムは、単層フィルム又は積層フィルムのいずれであってもよい。積層フィルムは、袋本体10の外側に配置されたベースフィルム層と袋本体10の内側に配置されたシーラント層とを有することが好ましい。ベースフィルム層は、前記したフィルム用材料のうち、ポリアミド、ポリエステル類であることが好ましく、二軸延伸ポリアミド(OPA)、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(OPET)、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)であることがより好ましい。シーラント層は、前記したフィルム用材料のうち、ポリオレフィンであることが好ましく、LLDPE、無延伸ポリプロピレン(CPP)、EVA、IOであることがより好ましい。ベースフィルム層又はシーラント層は、いずれも単層で形成するか、又は2層以上で形成してもよい。また、ベースフィルム層とシーラント層との間に、内容物の劣化防止を目的として、ガスバリア層を設けることが好ましい。ガスバリア層は、前記したフィルム用材料のうち、例えば、EVOH、PVDC若しくはMXDナイロンであるか、又は前記したフィルム材料以外で使用可能な金属箔若しくは蒸着層であることが好ましい。本実施形態は、フィルムの材質及び積層構造に限定されない。なお、表裏の側壁11は、通常は、同一の材質及び積層構造を有するフィルムを用いて形成するが、表裏の側壁11を異なる材質及び積層構造を有するフィルムを用いて形成してもよい。また、底壁19は、側壁11と同一の材質及び積層構造を有するフィルムを用いて形成するか、又は異なる材質及び積層構造を有するフィルムを用いて形成してもよい。
【0024】
側壁11の周縁には、表裏2枚のフィルム同士を接着した周縁シール部12が設けられている。図1に示す計量機能付き包装袋100では、周縁シール部12は、袋本体10の上縁に設けた上縁シール部12aと、袋本体10の下縁に設けた船底状の下縁シール部12bと、袋本体10の左側縁に設けた左側縁シール部12cと、袋本体10の右側縁に設けた右側縁シール部12dと、袋本体10の上隅を面取りして、注出口20を設けた傾斜シール部12eとを有する。なお、本実施形態では、周縁シール部12を設ける周縁は、袋本体10の内部に内容物を収容可能な収容室13を形成できればよく、図1に示す形態に限定されない。
【0025】
周縁シール部12の形状は、特に制限はなく、例えば、図1のように正面から見て直線状、曲線状、波線状、一部に凹部若しくは凸部を有する形状又はこれらを組み合わせた形状である。周縁シール部12の幅は、特に制限はないが、2〜20mmであることが好ましい。より好ましくは、5〜10mmである。周縁シール部12を形成する方法は、例えば、熱融着、高周波融着若しくは超音波融着などのヒートシールによる方法、接着剤若しくは接着シートなどの接着用資材を用いて接着する方法又はチャックなどの嵌合具を用いて封鎖する方法である。
【0026】
収容室13は、周縁シール部12で囲んで形成した袋本体10の内部空間である。収容室13は、計量室14と、主室16と、通路17とを有する。
【0027】
計量室14は、注出口20に通じる空間であり、定量すべき分量と同一の容積を有する。図1には、一例として、計量室14の容積が、30mlである形態を示した。本実施形態に係る計量機能付き包装袋100では、図1に示すように計量室14を形成しているフィルムに計量線34を付したことが好ましい。計量線34は、計量室14中の内容物の容積を計量するための目盛りであり、1杯半などのように計量可能な分量の幅を広めることができる。計量線34を付す方法は、特に制限はないが、例えば、印刷、エンボス加工である。なお、計量線34は、計量室14内の液面を測定することができればよく、図1に示した形態に限定されない。
【0028】
主室16は、計量室14に区画シール部15を挟んで隣接して設けられた空間であり、計量前の内容物を収容する。
【0029】
通路17は、計量室14と主室16との境界に沿って、区画シール部15と並べて設けられた非シール部であり、計量室14と主室16との間で内容物の流通を可能とする。本実施形態に係る計量機能付き包装袋100では、通路17の幅w1が、5〜20mmであることが好ましい。より好ましくは、10〜15mmである。通路17の幅w1をこの範囲にすることで、内容物の流通がスムースとなり、かつ、計量室14に移動した内容物が主室16に逆流するのを抑制して、計量操作をより簡単に、かつ、計量の精度をより高くすることができる。ここで、通路17の幅w1は、区画シール部15の端部15aとは反対側の部分と周縁シール部12との最短距離であり、図1では、区画シール部15の端部15aとは反対側の端部15bと上縁シール部12aとの最短距離である。
【0030】
区画シール部15は、表裏2枚の側壁11となるフィルム同士を、通路17を残して収容室13を縦、横又は斜めに分断させるために接着した部分である。区画シール部15は、図1に示すように、正面から見て直線状の他、例えば、曲線状、波線状これらを組み合わせた形状である。区画シール部15を形成する方法は、前記した周縁シール部12を形成する方法で例示した方法を適用できる。
【0031】
本実施形態では、区画シール部15の端部15aは、周縁シール部12に交わる。好ましくは、周縁シール部12のうち、左側縁シール部12c又は右側縁シール部12dのいずれか一方に交わる。図1では、区画シール部15が、左側縁シール部12cに交わる形態を示した。区画シール部15の端部15aが周縁シール部12に交わることで、通路17が一つになり、主室16から計量室14への内容物の移動を1ルートにすることができ、計量を容易に、かつ、精度よく行うことができる。
【0032】
本実施形態に係る計量機能付き包装袋100では、区画シール部15と周縁シール部12とのなす主室16側の内角θ1が、90°を超えることが好ましい。θ1は、より好ましくは100°以上170°以下であり、特に好ましくは、135°以上150°以下である。この範囲とすることで、内容物が主室16から計量室14へ移動しやすく、かつ、計量室14に移動した内容物が主室16に戻りにくくなる。特に好ましい形態例としては、図1に示すように、区画シール部15が、周縁シール部12のうち、左側縁シール部12c(又は右側縁シール部12d)に交わり、区画シール部15と左側縁シール部12c(又は右側縁シール部12d)とのなす主室16側の内角θ1が90°を超える形態である。この形態では、内容物が主室16から計量室14へ更に移動しやすく、かつ、計量室14に移動した内容物が主室16に更に戻りにくくすることができる。袋本体10が傾斜シール部12eを有する場合には、区画シール部15は、傾斜シール部12eと平行に設けることが好ましい。
【0033】
区画シール部15は、その領域内に折り曲げ誘導線40を有する。折り曲げ誘導線40は、図1に示すように、直線状であることが好ましい。図1には、折り曲げ誘導線40が、区画シール部15の略中央を通る形態を示したが、本実施形態はこれに限定されず、略中央よりも計量室14側又は主室16側にずらして形成してもよい。
【0034】
図1に示す計量機能付き包装袋100では、所定の間隔をあけて線状の切れ目40aを形成した破線タイプの折り曲げ誘導線40を示したが、折り曲げ誘導線40は、区画シール部15の曲げ剛性を弱めることができればよく、図1に示す形態に限定されない。図2は、折り曲げ誘導線の変形例を示す図であり、(a)は折り曲げ誘導線が点線である形態、(b)は折り曲げ誘導線がエンボスである形態を示す。図2(a)に示すように、折り曲げ誘導線の変形例としては、所定の間隔をあけて点状の切れ目41aを形成した点線タイプの折り曲げ誘導線41、図2(b)に示すように、くぼみを形成したエンボスタイプの折り曲げ誘導線42又はフィルムの厚さ方向の一部を残して切断したハーフカットタイプの折り曲げ誘導線(不図示)である。
【0035】
本実施形態に係る計量機能付き包装袋100では、折り曲げ誘導線40が、端部に、引き裂き伝播阻止手段32を有することが好ましい。折り曲げ誘導線40の端部としては、通路17側の端部と区画シール部15の周縁シール部12に交わる部分側の端部とがある。引き裂き伝播阻止手段32は、少なくとも、通路17側の端部に設けることがより好ましく、図1及び図2(a)に示すように、折り曲げ誘導線40の両端に設けることが特に好ましい。引き裂き伝播阻止手段32を設けることで、折り曲げ誘導線40が万一切断されたとしても、引き裂きが袋本体10に至るのを防止することができる。引き裂き伝播阻止手段32の形状は、特に制限はないが、例えば、図1に示す円形の孔の他、図2(a)に示す半円状の切れ目である。
【0036】
本実施形態に係る計量機能付き包装袋100では、周縁シール部12が、収容室13側に切れ込む切欠き部33を有し、区画シール部15の端部15aが、切欠き部33の最深部(頂点)33aと交わることが好ましい。切欠き部33を設け、区画シール部15の端部15aを切欠き部33の最深部33aと一致させることで、袋体10に印刷を施すなどして、区画シール部15を目視で判別しにくい状態であったとしても、切欠き部33を目印として、折り曲げ誘導線40の位置が判別しやすくなり、折り曲げ誘導線40に沿った折り曲げを更に容易にすることができる。切欠き部33の形状は、図1に示すようなV字形の他、例えば、U字形、円弧形である。
【0037】
注出口20は、内容物を注出する部分である。注出口20を設ける位置は、計量室14に通じていればよく、計量室14の周縁シール部12であるか、又は計量室14の側壁11であってもよい。このうち、計量室14の周縁シール部12に設けることがより好ましく、上縁シール部12a又は傾斜シール部12eに設けることが更に好ましく、袋本体10の外形内に注出口20を収めることができる点で、傾斜シール部12eに設けることが特に好ましい。注出口20は、袋体10と別体に形成されているか、一体に形成されているかを問わない。図1では、注出口20として、別体のスパウトを装着した形態を示したが、その他の形態例としては、周縁シール部12に非シール部を設けて、該非シール部を注出口とする形態、表裏2枚の側壁11となるフィルム同士を接着して形成した流通路を注出口とする形態である。注出口20として別体のスパウトを袋本体10に装着する方法は、特に制限はなく、例えば、熱融着、高周波融着若しくは超音波融着などのヒートシールによる方法又は接着剤若しくは接着シートなどの副資材を用いて接着する方法である。
【0038】
注出口20は、キャップ21を有することが好ましい。キャップ21を有することで、計量操作が容易となる。また、内容物の劣化を防止することができる。キャップ21を取り付ける方法は特に制限がなく、例えば、羅合による方法、ヒンジを介して取り付ける方法、嵌め込んで取り付ける方法である。なお、本実施形態は、注出口20の形態に制限されない。
【0039】
本実施形態に係る計量機能付き包装袋100は、周縁に吊下げ手段31を有することが好ましい。吊下げ手段31は、例えば、図1に示すような孔若しくは切れ目(不図示)などの吊下げ具を取り付けるための形態又は取っ手(不図示)若しくはフック(不図示)などのそれ自体が吊下げ具となる形態である。吊下げ手段31は、下縁シール部12bに設けることが好ましい。吊下げ手段31を下縁シール部12bに設けることで、計量機能付き包装袋100を吊下げると、内容物が主室16から計量室14に自動的に移動するため、計量時に包装袋100を傾ける操作を省略することができる。また、計量後、折り曲げ誘導線40に沿って折り曲げた時、注出口20が上を向くため、注出口を開放しても内容物がこぼれるのを防止することができる。
【0040】
内容物は、流動性を有するものであれば特に制限はなく、液体又は固体(粉体)を包含する。液体としては、例えば、リキュール、シロップなどの希釈飲料、醤油、みりんなどの液体調味料、液状洗剤、柔軟剤、液状入浴剤、化粧水、乳液である。固体としては、例えば、インスタントコーヒーなどの粉末加工食品、砂糖、塩などの粉末調味料である。
【0041】
次に、本実施形態に係る計量機能付き包装袋100の使用方法を説明する。
【0042】
図3は、本実施形態に係る計量機能付き包装袋の使用方法を説明するための図であり、内容物を計量室に流入時の状態を示す図である。図3に示すように、計量機能付き包装袋100を、通路17が主室16よりも下方に位置するようにすると、内容物が主室16から計量室14に移動する。
【0043】
図4は、本実施形態に係る計量機能付き包装袋の使用方法を説明するための図であり、計量室へ満量の内容物が流入した状態を示す図である。計量室14が満量(例えば、30ml)の内容物で満たされると、図4に示すように、計量室14が膨らむ。そして、区画シール部15には、折り曲げ誘導線40が設けられて折れ曲がりやすい状態になっているため、折り曲げ誘導線40に沿って、自然に少し折れ曲がった状態となる。さらに、通路17の幅w1を好ましくは5〜20mm、より好ましくは10〜15mmとすることで、通路17において、側壁11同士が密着して、計量した内容物の逆流を抑制することができる。
【0044】
吊下げ手段31を用いて、包装袋100を吊下げておくと、計量室14には常に満量の内容物が流入した状態となるため、直ちに次の操作を行うことができる。
【0045】
図5は、本実施形態に係る計量機能付き包装袋の使用方法を説明するための図であり、折り曲げ誘導線に沿って折り曲げた状態を示す図である。次に、図5に示すように、折り曲げ誘導線40に沿って、手で更に折り曲げて、計量した内容物の逆流を確実に防止する。また、前記のとおり、計量室14内が所定量の内容物で満たされると、折り曲げ誘導線40が自然に折れ曲がった状態になっているため、容易に折り曲げることができる。
【0046】
図6は、本実施形態に係る計量機能付き包装袋の使用方法を説明するための図であり、計量した内容物の注出時の状態を示す図である。最後に、注出口20を開放して(図6では羅合したキャップ(不図示)を外すことで開放して)、計量した内容物を包装袋100の外部に注出する。図6では、包装袋100を逆さまにした状態で注出操作を行う形態を示したが、これに限定されず、包装袋100を元の状態(下縁シール部12bが下方に位置する状態)に戻してから、注出操作を行ってもよい。その後、折り曲げた状態を維持しながら、キャップ(不図示)を羅合して注出口20を閉鎖する。袋本体10は軟包材からなるため、空気が進入しにくく、内容物の劣化を防止することができる。このように、本実施形態に係る計量機能付き包装袋100を用いると、専用の計量容器を用いずとも、簡単な操作で確実に内容物を計量し、計量した分だけ安定的に取り出すことができる。なお、一連の計量操作は、吊下げ手段31を用いて、包装袋100を吊下げて行ってもよい。
【0047】
ここまで、満量を計量する方法を説明したが、満量未満を計量したいときは、計量室14を形成しているフィルムに計量線34を付し、計量したい分量を示す計量線34に液面を合わせたところで、折り曲げ誘導線40に沿って折り曲げて通路17を閉鎖することで、所望の分量を計量することができる。
【符号の説明】
【0048】
10 袋本体
11 側壁
12 周縁シール部
12a 上縁シール部
12b 下縁シール部
12c 左側縁シール部
12d 右側縁シール部
12e 傾斜シール部
13 収容室
14 計量室
15 区画シール部
15a 区画シール部の端部
15b 区画シール部の反対側の端部
16 主室
17 通路
19 底壁
20 注出口
21 キャップ
31 吊下げ手段
32 引き裂き伝播阻止手段
33 切欠き部
33a 切欠き部の最深部
34 計量線
40,41,42 折り曲げ誘導線
40a 線状の切れ目
41a 点状の切れ目
100 計量機能付き包装袋
w1 通路の幅
θ1 区画シール部と周縁シール部とのなす主室側の内角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
側壁となる互いに向かい合うフィルム同士の周縁に周縁シール部を設けて収容室を形成してなる袋本体と該袋本体に設けた注出口とを備え、
前記収容室が、前記注出口に通じる計量室と、該計量室に区画シール部を隔てて隣接する主室と、前記計量室と前記主室との間で内容物の流通を可能とする通路と、を有する計量機能付き包装袋において、
前記区画シール部の端部が、前記周縁シール部に交わり、
前記区画シール部に、折り曲げ誘導線を形成したことを特徴とする計量機能付き包装袋。
【請求項2】
前記袋本体が、自立性の底壁を有することを特徴とする請求項1に記載の計量機能付き包装袋。
【請求項3】
前記区画シール部と前記周縁シール部とのなす前記主室側の内角が、90°を超えることを特徴とする請求項1又は2に記載の計量機能付き包装袋。
【請求項4】
前記通路の幅が、5〜20mmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の計量機能付き包装袋。
【請求項5】
前記周縁シール部が、前記収容室側に切れ込む切欠き部を有し、
前記区画シール部の端部が、前記切欠き部の最深部と交わることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の計量機能付き包装袋。
【請求項6】
前記折り曲げ誘導線が、端部に、引き裂き伝播阻止手段を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の計量機能付き包装袋。
【請求項7】
前記周縁に吊下げ手段を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の計量機能付き包装袋。
【請求項8】
前記計量室を形成しているフィルムに計量線を付したことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の計量機能付き包装袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−56698(P2013−56698A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−197519(P2011−197519)
【出願日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(307027577)麒麟麦酒株式会社 (350)
【Fターム(参考)】