説明

計量機能付き包装袋

【課題】本発明の目的は、簡易な構造を有し、簡単な操作で確実に内容物を計量し、計量した分だけ安定的に取り出すことができる計量機能付き包装袋を提供することである。
【解決手段】本発明に係る計量機能付き包装袋100は、袋本体10と袋本体の上方に設けた注出口20とを備え、収容室が、注出口に通じる計量室14と、内容物を貯蔵する主室16と、主室から計量室へ内容物を導く通路15と、を有する計量機能付き包装袋において、通路は、通路と主室とを隔てる第一区画部41及び通路と計量室とを隔てる第二区画部42の間に形成されてなり、かつ、主室に通じる入口15aと計量室に通じる出口15bとを有し、第二区画部が、出口において、通路に向けて曲がる出口側鉤部32を有し、出口側鉤部の曲げ角θ1が、0°を超え90°以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、専用の計量容器を用いずに内容物を計量し、計量した分だけ取り出すことができる計量機能付き包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、計量機能付きの包装袋としては、主室と計量室とを有し、主室と計量室とが狭流路で連通しているものがある。(例えば、特許文献1又は2を参照。)。特許文献1には、スパウトに接続した計量室としての計量槽と計量槽に接続した主室としての貯蔵槽とを有し、計量時には、スパウトを手で閉じて、内容物を貯蔵槽から計量槽に送り込んで計量後、パウチ内に空気を含む場合には、スパウトを開いてパウチの下部に力を加えて空気の圧力で計量槽内の内容物を注出する。または、パウチ内に空気を含まない場合には、計量後、スパウトを開いて、計量槽と貯蔵槽との間のパスを手で押さえ、計量槽を指で押さえて注出する。特許文献2には、袋内部を熱融着して形成した仕切りにより主室と計量室とに分割し、かつ、主室と計量室とを連結する連通路及び計量室に通じる注出路を形成した定量押し出し袋が提案されている。計量時には、主室を押して連通路を通して計量室へ液体を送り出す。そして、計量室に液体を満たした後、連通路を押さえた状態で、計量室を押し液体を注出する。
【0003】
また、計量機能付きの包装袋ではないが、主室と計量室とを有し、主室と計量室とが狭流路で連通している包装袋としては、袋体の内部を液体収容部と緩衝空室部とに画成し、緩衝空室部と液体収容部との間は細い流路を介して連通し、流路は液体収容部を加圧することにより液圧で開口する易剥離部で閉鎖してあるものが開示されている(例えば、特許文献3を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−41017号公報
【特許文献2】実開平3−84755号公報
【特許文献3】特開2002−362628号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1又は特許文献2に記載の包装袋では、計量した内容物を注出時に、主室と計量室との間の通路を指で押さえつつ、計量室を指で押さなければならないため、計量性が悪く、また、注出時に両手がふさがって作業性が悪いという問題がある。特許文献3に記載された液体収容部を加圧することにより液圧で開口する易剥離部で閉鎖してある流路では、緩衝空室部に流入した液体の逆流を防止することができず、計量性が劣るため、計量機能付き包装袋には適用できない。
【0006】
本発明の目的は、簡易な構造を有し、簡単な操作で確実に内容物を計量し、計量した分だけ安定的に取り出すことができる計量機能付き包装袋を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る計量機能付き包装袋は、側壁となる互いに向かい合うフィルム同士の上縁シール部、側縁シール部及び下縁シール部を含む周縁シール部を設けて収容室を形成してなる袋本体と該袋本体の上方に設けた注出口とを備え、前記収容室が、前記注出口に通じる計量室と、内容物を貯蔵する主室と、該主室から前記計量室へ前記内容物を導く通路と、を有する計量機能付き包装袋において、前記通路は、該通路と前記主室とを隔てる第一区画部及び前記通路と前記計量室とを隔てる第二区画部の間に形成されてなり、かつ、前記主室に通じる入口と前記計量室に通じる出口とを有し、該第二区画部が、前記出口において、前記通路に向けて曲がる出口側鉤部を有し、該出口側鉤部の曲げ角が、0°を超え90°以下であることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る計量機能付き包装袋では、前記第一区画部は、シール線であり、かつ、前記側縁シール部を基点として前記収容室に向けて延び、曲げ部を経て前記上縁シール部に所定の間隔をあけた位置まで延びる形状を有し、前記第二区画部は、シール線であり、かつ、前記上縁シール部を基点として前記収容室に向けて前記第一区画部に所定の間隔を開けた位置まで延びる形状を有することが好ましい。計量操作をより簡単に、かつ、計量の精度をより高くすることができる。
【0009】
本発明に係る計量機能付き包装袋では、前記出口側鉤部の外挿線が、前記曲げ部に交わらないことが好ましい。通路の出口部分で包装袋が横折れするのを防止して、計量操作をより簡単に行うことができる。
【0010】
本発明に係る計量機能付き包装袋では、前記第一区画部が、前記曲げ部を含む部分のシール線の太さを、他の部分のシール線の太さよりも大きくしたシール線であることが好ましい。通路の出口部分で包装袋が横折れするのを防止して、計量操作をより簡単に行うことができる。
【0011】
本発明に係る計量機能付き包装袋では、前記曲げ部の前記主室側の近傍に、補強シール線を有することが好ましい。通路の出口部分で包装袋が横折れするのを防止して、計量操作をより簡単に行うことができる。
【0012】
本発明に係る計量機能付き包装袋では、前記主室が、前記入口の手前に幅狭部を有することが好ましい。内容物を通路により導きやすくなり、計量操作をより簡単に行うことができる。
【0013】
本発明に係る計量機能付き包装袋では、前記第一区画部が、前記入口において、前記通路に向けて曲がる入口側鉤部を有することが好ましい。内容物を通路により導きやすくなり、計量操作をより簡単に行うことができる。
【0014】
本発明に係る計量機能付き包装袋では、前記入口側鉤部の外挿線が、前記第二区画部と前記上縁シール部との交点に交わらないことが好ましい。通路の入口部分で包装袋が横折れするのを防止して、計量操作をより簡単に行うことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、簡易な構造を有し、簡単な操作で確実に内容物を計量し、計量した分だけ安定的に取り出すことができる計量機能付き包装袋を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施形態に係る計量機能付き包装袋の第一形態例を示す正面図である。
【図2】本実施形態に係る計量機能付き包装袋の第二形態例を示す正面図である。
【図3】本実施形態に係る計量機能付き包装袋の第三形態例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明について実施形態を示して詳細に説明するが本発明はこれらの記載に限定して解釈されない。本発明の効果を奏する限り、実施形態は種々の変形をしてもよい。
【0018】
図1は、本実施形態に係る計量機能付き包装袋の第一例を示す正面図である。本実施形態に係る計量機能付き包装袋100は、側壁11となる互いに向かい合うフィルム同士の上縁シール部12a、側縁シール部12c,12d及び下縁シール部12bを含む周縁シール部12を設けて収容室13を形成してなる袋本体10と袋本体10の上方に設けた注出口20とを備え、収容室13が、注出口20に通じる計量室14と、内容物を貯蔵する主室16と、主室16から計量室14へ内容物を導く通路15と、を有する計量機能付き包装袋において、通路15は、通路15と主室16とを隔てる第一区画部41及び通路15と計量室14とを隔てる第二区画部42の間に形成されてなり、かつ、主室16に通じる入口15aと計量室14に通じる出口15bとを有し、第二区画部42が、出口15bにおいて、通路15に向けて曲がる出口側鉤部32を有し、出口側鉤部32の曲げ角θ1が、0°を超え90°以下である。
【0019】
袋本体10は、向かい合わせに重ねた表裏2枚の側壁11を有する。表裏2枚の側壁11は、それぞれ別体のフィルムを向かい合わせに重ねるか、又は一連のフィルムを略中央部又は両端縁で折り返して向かい合わせに重ねてもよい。表裏2枚の側壁11からなる袋本体10の形態例(不図示)としては、四方シール袋、三方シール袋、ピロー包装袋である。
【0020】
本実施形態に係る計量機能付き包装袋100では、図1に示すように、袋本体10が、自立性の底壁19を更に有することが好ましい。自立性を有することで、袋本体10を立てて保管することができ、取り扱い性を向上することができる。また、見栄えを良くすることができる。底壁19は、表裏の側壁11が別体のフィルムである場合には、表裏の側壁の間に折り込んで配置した別体のフィルムであるか、又は表裏の側壁が一連のフィルムである場合には、折り返し部分を内側に折り込んだ部分である。表裏2枚の側壁11及び自立性の底壁19からなる袋本体10の形態例としては、図1に示すようなスタンディングパウチの他、例えば、ガゼット袋(不図示)である。
【0021】
側壁11又は底壁19を形成するフィルムの材料は、特に制限はないが、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン、エチレン‐アクリル酸共重合体、エチレン‐酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン‐ビニルアルコール共重合体(EVOH)、エチレン‐塩化ビニル共重合体などのエチレン‐ビニル化合物共重合体、ポリスチレンアクリロニトリル‐スチレン共重合体、アクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレン共重合体(ABS)、メタクリル酸メチル‐スチレン共重合体などのスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)などのポリビニル化合物、ナイロン6、ナイロン6‐6、ナイロン6‐10、ナイロン11、ナイロン12、メタキシレンジアミン(MXDナイロン)などのポリアミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル類、ポリカーボネート、アイオノマー(IO)である。これらは、単独で使用するか、又は2種以上を併用してもよい。また、スリップ剤、アンチブロッキング剤などの助剤を含有してもよい。
【0022】
前記したフィルム用材料以外に、例えば、(1)アルミニウム箔などの金属箔、(2)酸化ケイ素、酸化アルミニウムなどの蒸着層、(3)紙、(4)セロファン又は(5)エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂などを含有する接着剤層若しくはアンカーコート層を更に積層してもよい。
【0023】
フィルムの製造方法は、特に制限はなく、インフレーション法、Tダイ法、押出ラミネート法、ドライラミネート法などの公知の方法で製造することができる。フィルムの厚さは、特に制限はないが、例えば、10〜300μmであることが好ましい。より好ましくは、60〜120μmである。
【0024】
フィルムは、単層フィルム又は積層フィルムのいずれであってもよい。積層フィルムは、袋本体10の外側に配置されたベースフィルム層と袋本体10の内側に配置されたシーラント層とを有することが好ましい。ベースフィルム層は、前記したフィルム用材料のうち、ポリアミド、ポリエステル類であることが好ましく、二軸延伸ポリアミド(OPA)、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(OPET)、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)であることがより好ましい。シーラント層は、前記したフィルム用材料のうち、ポリオレフィンであることが好ましく、LLDPE、無延伸ポリプロピレン(CPP)、EVA、IOであることがより好ましい。ベースフィルム層又はシーラント層は、いずれも単層で形成するか、又は2層以上で形成してもよい。また、ベースフィルム層とシーラント層との間に、内容物の劣化防止を目的として、ガスバリア層を設けることが好ましい。ガスバリア層は、前記したフィルム用材料のうち、例えば、EVOH、PVDC若しくはMXDナイロンであるか、又は前記したフィルム材料以外で使用可能な金属箔若しくは蒸着層であることが好ましい。本実施形態は、フィルムの材質及び積層構造に限定されない。なお、表裏の側壁11は、通常は、同一の材質及び積層構造を有するフィルムを用いて形成するが、表裏の側壁11を異なる材質及び積層構造を有するフィルムを用いて形成してもよい。また、底壁19は、側壁11と同一の材質及び積層構造を有するフィルムを用いて形成するか、又は異なる材質及び積層構造を有するフィルムを用いて形成してもよい。
【0025】
側壁11の周縁には、表裏2枚のフィルム同士を接着した周縁シール部12が設けられている。周縁シール部12は、例えば、袋本体10の上縁に設けた上縁シール部12a、袋本体10の下縁に設けた下縁シール部12bと、袋本体10の左側縁に設けた左側縁シール部12cと、袋本体10の右側縁に設けた右側縁シール部12dとを含む。また、袋本体10の上隅を面取りして、注出口20を装着するための傾斜シール部12eを設けてもよい。
【0026】
周縁シール部12の形状は、特に制限はなく、例えば、直線状、曲線状、波線状、一部に凹部若しくは凸部を有する形状又はこれらを組み合わせた形状である。自立性の底壁19を有する場合には、下縁シール部12bは、図1に示すように、船底状とすることが好ましい。周縁シール部12の幅は、特に制限はないが、2〜20mmであることが好ましい。より好ましくは、5〜10mmである。周縁シール部12を形成する方法は、例えば、熱融着、高周波融着若しくは超音波融着などのヒートシールによる方法、接着剤若しくは接着シートなどの接着用資材を用いて接着する方法又はチャックなどの嵌合具を用いて封鎖する方法である。
【0027】
収容室13は、注出口20に通じる計量室14と、内容物を貯蔵する主室16と、主室16から計量室14へ内容物を導く通路15とを有する。
【0028】
計量室14は、注出口20に通じる空間であり、定量すべき分量と同一の容積を有する。図1には、一例として、計量室14の容積が、30mlである形態を示した。本実施形態に係る計量機能付き包装袋100では、計量室14が、計量線34を有することが好ましい。計量可能な分量の幅を広めることができる。計量線34の形成方法は、特に制限はないが、例えば、印刷、エンボス加工である。なお、計量線34は、計量室14内の液面を測定することができればよく、図1に示した形態に限定されない。
【0029】
主室16は、計量前の内容物を貯蔵する空間である。本実施形態に係る計量機能付き包装袋100では、主室16が、通路15の入口15aの手前に幅狭部35を有することが好ましい。幅狭部35は、主室16の幅を狭めて内容物の流れを通路15の入口15aに向けて集中させる役割をもち、例えば、上縁シール部12aの一部にシール線を収容室13側に膨らむように太くした部分を設けることで形成することができる。
【0030】
通路15は、通路15と主室16とを隔てる第一区画部41及び通路15と計量室14とを隔てる第二区画部42の間に形成された狭流路である。通路15は、主室16に通じる入口15aと計量室14に通じる出口15bとを有し、主室16に押圧力を加えることで、内容物が、主室16から通路15を経て計量室14へ移動する。通路15を狭流路としたため、主室16に加えた押圧力を除去すると内容物の移動は停止する。通路15は、図1に示すように、第一区画部41と第二区画部42とを平行に並べて幅を全域で一定(図1は、通路15の全域でA1(=A2)の幅で一定とした形態を示す。)にする形態とするか、又は一部に幅狭部又は幅広部を設ける形態(不図示)としてもよい。また、通路15の形状は、図1に示す直線状の他、例えば、曲線状、波線状これらを組み合わせた形状である。
【0031】
第一区画部41及び第二区画部42は、表裏2枚の側壁11となるフィルム同士を、接着したシール線である。第一区画部41の先端部41a及び第二区画部42の先端部42aでは、シール線の端部が、図1に示すように面取りされていることが好ましい。シール線の端部が、鋭角であると、主室16に押圧力を加えた時に、先端部に応力が集中して破袋するおそれがある。これに対して、シール線の端部を面取りすることで、破袋を抑制すると共に、側壁となるフィルムにしわが入りにくく、内容物の流通をより良好にすることができる。また、フィルムにピンホールが生じるのを抑制することができる。
【0032】
入口15aは、第一区画部41の先端部41aに設けた非シール部である。出口15bは、第二区画部42の先端部42aに設けた非シール部である。第一区画部41及び第二区画部42を形成する方法は、前記した周縁シール部12を形成する方法で例示した方法を適用できる。
【0033】
第一区画部41は、図1に示すように、側縁シール部(図1では左側縁シール部)12cを基点として収容室13に向けて延び、曲げ部41cを経て上縁シール部12aに所定の間隔をあけた位置まで延びる形状を有することが好ましい。
【0034】
第一区画部41は、側縁シール部(図1では左側縁シール部)12cに交わる。第一区画部41と側縁シール部12cとのなす主室16側の角度θ3は、90°を超えることが好ましい。より好ましくは100°以上170°以下であり、特に好ましくは、120°以上135°以下である。θ3をこの範囲にすることで、内容物を主室16から通路15に向けてより導きやすくなり、計量操作をより簡単に行うことができる。
【0035】
第一区画部41は、側縁シール部(図1では左側縁シール部)12cから収容室13を横又は斜めに分断し、曲げ部41cを経る。曲げ部41cは、図1に示す屈曲形状の他、例えば、面取り形状、湾曲形状である。
【0036】
第一区画部41は、曲げ部41cを経て方向転換し、上方に向けて延びる。第一区画部41を上縁シール部12aに所定の間隔Cをあけた位置まで延ばすことで、入口15aを袋本体10の上方に設けることとなり、通路15に流入した内容物が主室16に戻るのを抑制することができる。第一区画部41と上縁シール部12aとの間隔Cは、10〜30mmであることが好ましい。より好ましくは、12〜20mmである。第一区画部41と上縁シール部12aとの間隔Cをこの範囲にすることで、内容物の流通がスムースとなり、計量操作をより簡単に行うことができる。
【0037】
本実施形態に係る計量機能付き包装袋100では、第一区画部41が、入口15aにおいて、通路15に向けて曲がる入口側鉤部33を有することが好ましい。入口側鉤部33を有することで、内容物を主室16から通路15により導きやすくなり、計量操作をより簡単に行うことができる。入口側鉤部33の曲げ角θ2は、0°を超え90°以下であることが好ましい。より好ましくは、30°以上50°以下である。
【0038】
入口側鉤部の頂点33aと第二区画部42との距離をA2とし、入口側鉤部33を設けた第一区画部の先端部41aと第二区画部42との距離をDとしたとき、A2>Dであることが好ましい。DをA2よりも小さくすることで、逆流をより確実に抑制することができる。より好ましくは、D/A2が1/4〜3/4である。特に好ましくは、D/A2が2/4〜5/8である。
【0039】
入口側鉤部の頂点33aと第二区画部42との距離A2は、特に制限はないが、5〜30mmであることが好ましい。より好ましくは、10〜20mmである。
【0040】
本実施形態に係る計量機能付き包装袋100では、入口側鉤部33の外挿線S1が、第二区画部42と上縁シール部12aとの交点m1に交わらないことが好ましい。内容物を主室16から通路15へ流入させるときに、主室16に押圧力をかけると、入口15aの近傍が内容物によって膨らむ。このとき、入口側鉤部33の外挿線S1が、第二区画部42と上縁シール部12aとの交点m1に交わると、外挿線S1に沿って袋本体10が横折れし、内容物の流通が遮断されるおそれがあるところ、入口側鉤部33の外挿線S1が、第二区画部42と上縁シール部12aとの交点m1に交わらないことで、袋本体10が横折れするのを回避して、内容物の流通を良好とすることができる。
【0041】
第二区画部42は、上縁シール部12aを基点として収容室13に向けて第一区画部41に所定の間隔を開けた位置まで延びる形状を有することが好ましい。第一区画部41を上縁シール部12aから下方に向けて延ばすことで、出口15bを通路15の下方に設けることができ、計量室14に流入した内容物が通路15に戻るのをより確実に抑制することができる。第二区画部42と第一区画部41との間隔Eは、10〜30mmであることが好ましい。より好ましくは、12〜20mmである。第二区画部42と第一区画部41との間隔Eをこの範囲にすることで、内容物の流通がスムースとなり、計量操作をより簡単に行うことができる。
【0042】
第二区画部42は、出口15bにおいて、通路15に向けて曲がる出口側鉤部32を有する。出口側鉤部32を有することで、内容物が計量室14に流入すると、出口側鉤部32の外挿線S2に沿って側壁11同士が密着して、実質的に閉鎖状態となり、内容物が計量室14から通路15に逆流するのを抑制することができるので、計量の精度を高めることができる。出口側鉤部32の曲げ角θ1は、0°を超え90°以下である。より好ましくは、30°以上50°以下である。θ1が0°以下又は90°を超えると逆流を抑制する効果が得られない。
【0043】
本実施形態に係る計量機能付き包装袋100では、出口側鉤部32の外挿線S2が、曲げ部41cに交わらないことが好ましい。内容物を通路15から計量室14へ流入させるときに、主室16に押圧力を加えると、出口15bの近傍が内容物によって膨らむ。このとき、出口側鉤部32の外挿線S2が、曲げ部41cに交わると、外挿線S2に沿って袋本体10が横折れし、内容物の流通が遮断されるおそれがあるところ、出口側鉤部32の外挿線S2が、曲げ部41cに交わらないことで、袋本体10が横折れするのを回避して、内容物の流通を良好とすることができる。
【0044】
出口側鉤部の頂点32aと第一区画部41との距離をA1とし、出口側鉤部32を設けた第二区画部の先端部42aと第一区画部41との距離をBとしたとき、A1>Bであることが好ましい。BをA1よりも小さくすることで、逆流をより確実に抑制することができる。より好ましくは、B/A1が1/4〜3/4である。特に好ましくは、B/A1が2/4〜5/8である。
【0045】
出口側鉤部の頂点32aと第一区画部41との距離A1は、特に制限はないが、5〜30mmであることが好ましい。より好ましくは、10〜20mmである。
【0046】
注出口20は、内容物を注出する部分である。注出口20を設ける位置は、計量室14に通じており袋本体10の上方、より好ましくは袋本体10の上半分であればよく、計量室14の周縁シール部12であるか、又は計量室14の側壁11であってもよい。このうち、計量室14の周縁シール部12に設けることがより好ましく、上縁シール部12a又は傾斜シール部12eに設けることが更に好ましく、袋本体10の外形内に注出口20を収めることができる点で、傾斜シール部12eに設けることが特に好ましい。注出口20は、袋体10と別体に形成されているか、一体に形成されているかを問わない。図1では、注出口20として、別体のスパウトを装着した形態を示したが、その他の形態例としては、周縁シール部12に非シール部を設けて、該非シール部を注出口とする形態、表裏2枚の側壁11となるフィルム同士を接着して形成した流通路を注出口とする形態である。注出口20として別体のスパウトを袋本体10に装着する方法は、特に制限はなく、例えば、熱融着、高周波融着若しくは超音波融着などのヒートシールによる方法又は接着剤若しくは接着シートなどの副資材を用いて接着する方法である。
【0047】
注出口20は、キャップ21を有することが好ましい。キャップ21を有することで、計量操作が容易となる。また、内容物の劣化を防止することができる。さらには、異物が収容室13内に混入するのを防止することができる。キャップ21を取り付ける方法は特に制限がなく、例えば、羅合による方法、ヒンジを介して取り付ける方法、嵌め込んで取り付ける方法である。なお、本実施形態は、注出口20の形態に制限されない。
【0048】
本実施形態に係る計量機能付き包装袋100は、周縁に吊下げ手段31を有することが好ましい。吊下げ手段31は、例えば、図1に示すような孔若しくは切れ目(不図示)などの吊下げ具を取り付けるための形態又は取っ手(不図示)若しくはフック(不図示)などのそれ自体が吊下げ具となる形態である。吊下げ手段31は、上縁シール部12aに設けることが好ましい。吊下げ手段31を上縁シール部12aに設けることで、通路15の入口15aが、常に出口15bよりも上方に位置することとなり、計量室14に移動させた内容物の逆流をより抑制することができる。また、幅狭部35を形成するために上縁シール部12aの一部を太くした部分を設けた場合、当該太くした部分が、吊下げ手段31を設ける部分を兼ねることができる。
【0049】
内容物は、流動性を有するものであれば特に制限はなく、例えば、液体又は粘性体である。液体としては、例えば、リキュール、シロップなどの希釈飲料、醤油、みりんなどの液体調味料、液状洗剤、柔軟剤、液状入浴剤、化粧水、乳液である。粘性体としては、例えば、ゼリー、ケチャップである。また、液体又は粘性体は、液体中又は粘性体中に固体(粉体)を含有していてもよい。固体としては、例えば、果実、野菜などの食品、砂糖、塩などの粉末調味料である。
【0050】
次に、本実施形態に係る計量機能付き包装袋の変形例として、第二形態例及び第三形態例について説明する。なお、第二形態例及び第三形態例は、いずれも第一形態例とその基本的な構成を同じくするため、ここでは、共通する点についての説明を省略し、相違する点について説明する。
【0051】
図2は、本実施形態に係る計量機能付き包装袋の第二形態例を示す正面図である。本実施形態に係る計量機能付き包装袋101では、第一区画部51が、図2に示すように、曲げ部41cを含む部分のシール線の太さを、他の部分のシール線の太さよりも大きくしたシール線であることが好ましい。曲げ部41cを含む部分でシール線の太さを太くすることで、袋本体10が補強されて、通路15の出口15b部分で袋本体10が横折れするのを防止して、計量操作をより簡単に行うことができる。
【0052】
図3は、本実施形態に係る計量機能付き包装袋の第三形態例を示す正面図である。本実施形態に係る計量機能付き包装袋102では、曲げ部41cの主室16側の近傍に、補強シール線36を有することが好ましい。補強シール線36を設けることで、袋本体10が補強されて、通路15の出口15b部分で袋本体10が横折れするのを防止して、計量操作をより簡単に行うことができる。
【0053】
次に、本実施形態に係る計量機能付き包装袋100の使用方法について、図1を参照して説明する。
【0054】
主室16を押すと、内容物が、矢印Fに示すように、主室16から、通路15を経て、計量室14に移動する。計量室14が所定量(例えば、30ml)の内容物で満たされると、出口側鉤部32の外挿線S2に沿って側壁11同士が密着して、実質的に閉鎖状態となり、計量した内容物の逆流を防止する。次に、注出口20を開放して(図1では羅合したキャップ21を外すことで開放して)、計量した内容物を包装袋100の外部に注出する。その後、キャップ21を羅合して注出口20を閉鎖する。キャップ21を有することで、異物が収容室13内に混入するのを防止することができる。袋本体10は軟包材からなるため、空気が進入しにくく、内容物の劣化を防止することができる。このように、本実施形態に係る計量機能付き包装体100を用いると、専用の計量容器を用いずとも、簡単な操作で確実に内容物を計量し、計量した分だけ安定的に取り出すことができる。また、計量室14に満量の内容物が流入すると、出口側鉤部32の外挿線S2に沿って側壁11同士が密着して、実質的に閉鎖状態となるため、計量室14に多少の押圧力が加わっても、内容物が逆流しにくく、計量の精度が高い。なお、一連の計量操作は、吊下げ手段31を用いて、包装袋100を吊下げて行ってもよい。
【0055】
ここまで、満量を計量する方法を説明したが、満量未満を計量したいときは、計量室14に計量線34を設け、計量したい分量を示す計量線34に液面を合わせたところで、主室16に加える押圧力を除去することで、所望の分量を計量することができる。
【符号の説明】
【0056】
10 袋本体
11 側壁
12 周縁シール部
12a 上縁シール部
12b 下縁シール部
12c 左側縁シール部
12d 右側縁シール部
12e 傾斜シール部
13 収容室
14 計量室
15 通路
15a 入口
15b 出口
16 主室
19 底壁
20 注出口
21 キャップ
31 吊下げ手段
32 出口側鉤部
32a 出口側鉤部の頂点
33 入口側鉤部
33a 入口側鉤部の頂点
34 計量線
35 幅狭部
36 補強シール線
41 第一区画部
41a 第一区画部の先端部
41c 曲げ部
42 第二区画部
42a 第二区画部の先端部
51 第一区画部
100 計量機能付き包装袋
101 計量機能付き包装袋
102 計量機能付き包装袋
θ1 出口側鉤部の曲げ角
θ2 入口側鉤部の曲げ角
θ3 第一区画部と側縁シール部とのなす主室側の角度
S1 入口側鉤部の外挿線
S2 出口側鉤部の外挿線
m1 第二区画部と上縁シール部との交点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
側壁となる互いに向かい合うフィルム同士の上縁シール部、側縁シール部及び下縁シール部を含む周縁シール部を設けて収容室を形成してなる袋本体と該袋本体の上方に設けた注出口とを備え、
前記収容室が、前記注出口に通じる計量室と、内容物を貯蔵する主室と、該主室から前記計量室へ前記内容物を導く通路と、を有する計量機能付き包装袋において、
前記通路は、該通路と前記主室とを隔てる第一区画部及び前記通路と前記計量室とを隔てる第二区画部の間に形成されてなり、かつ、前記主室に通じる入口と前記計量室に通じる出口とを有し、
該第二区画部が、前記出口において、前記通路に向けて曲がる出口側鉤部を有し、該出口側鉤部の曲げ角が、0°を超え90°以下であることを特徴とする計量機能付き包装袋。
【請求項2】
前記第一区画部は、シール線であり、かつ、前記側縁シール部を基点として前記収容室に向けて延び、曲げ部を経て前記上縁シール部に所定の間隔をあけた位置まで延びる形状を有し、
前記第二区画部は、シール線であり、かつ、前記上縁シール部を基点として前記収容室に向けて前記第一区画部に所定の間隔を開けた位置まで延びる形状を有することを特徴とする請求項1に記載の計量機能付き包装袋。
【請求項3】
前記出口側鉤部の外挿線が、前記曲げ部に交わらないことを特徴とする請求項2に記載の計量機能付き包装袋。
【請求項4】
前記第一区画部が、前記曲げ部を含む部分のシール線の太さを、他の部分のシール線の太さよりも大きくしたシール線であることを特徴とする請求項2又は3に記載の計量機能付き包装袋。
【請求項5】
前記曲げ部の前記主室側の近傍に、補強シール線を有することを特徴とする請求項2〜4のいずれか一つに記載の計量機能付き包装袋。
【請求項6】
前記主室が、前記入口の手前に幅狭部を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の計量機能付き包装袋。
【請求項7】
前記第一区画部が、前記入口において、前記通路に向けて曲がる入口側鉤部を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の計量機能付き包装袋。
【請求項8】
前記入口側鉤部の外挿線が、前記第二区画部と前記上縁シール部との交点に交わらないことを特徴とする請求項7に記載の計量機能付き包装袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−60206(P2013−60206A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−198775(P2011−198775)
【出願日】平成23年9月12日(2011.9.12)
【出願人】(307027577)麒麟麦酒株式会社 (350)
【Fターム(参考)】