計量注出器
【課題】内側部材及び外側部材の分解の容易性を向上させた計量注出器を提供すること。
【解決手段】内側部材11が、口部3内に連通する連通路32A及び連通路32Aと充填空間12Aとを連通する連通口32Bが形成された連通部22と、充填空間12Aの内容物を注出する外側部材12に形成された注出口42Aを開閉する栓体部23と、径方向内方に弾性変形する弾性片部24と、を有し、外側部材12が、充填位置と注出位置との間を往復移動可能であり、弾性片部24は、少なくとも一部が外側部材12から外部に露出可能に配設され、径方向外方に突出して外側部材12の第2小径部56の下端に係合することで外側部材12の内側部材11からの離脱を規制する係合突出部24Aを有する。
【解決手段】内側部材11が、口部3内に連通する連通路32A及び連通路32Aと充填空間12Aとを連通する連通口32Bが形成された連通部22と、充填空間12Aの内容物を注出する外側部材12に形成された注出口42Aを開閉する栓体部23と、径方向内方に弾性変形する弾性片部24と、を有し、外側部材12が、充填位置と注出位置との間を往復移動可能であり、弾性片部24は、少なくとも一部が外側部材12から外部に露出可能に配設され、径方向外方に突出して外側部材12の第2小径部56の下端に係合することで外側部材12の内側部材11からの離脱を規制する係合突出部24Aを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計量注出器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液体が収容された容器から一定量の液体を計量する場合には、一般的に、容器とは別に用意された計量カップに定量の液体を注出して計量している。しかし、このような方法では、計量カップを紛失したり、計量カップを使用するたびに洗う必要があったりするため、不便である。
そこで、容器の口部に装着され、容器から液体が充填される中空のカプセル状の部材を有する計量注出器が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この計量注出器は、内側部材と、内側部材に対して移動可能に外嵌されて内側部材との間に充填空間を形成する中空の外側部材と、を備えている。内側部材は、口部内に連通する連通路と連通路及び充填空間を連通する連通口とが形成された連通部と、充填空間の内容物を注出する外側部材に形成された注出口を開閉する栓体部と、を有する。
【0003】
そして、この計量注出器では、外側部材を内側部材に対して上下に移動させ、連通口を開放しかつ注出口を閉塞する充填位置とし、内側部材の連通路及び連通口を介して容器内と充填空間とを連通させる。これにより、容器内の液体は、充填空間内に充填される。その後、外側部材を内側部材に対して下方に移動させ、連通口を閉塞しかつ注出口を開放する注出位置とし、充填空間内の液体を注出する。このようにして、容器内から一定量の液体を計量、注出する。
ここで、外側部材の上端部には、径方向外方に突出すると共に注出位置において内側部材と係合することで外側部材を注出位置で位置決めすると共に外側部材の内側部材からの離脱を規制するための係合突出部が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−228761号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような計量注出器においても、例えば外側部材及び内側部材を洗浄するために、内側部材及び外側部材の分解を容易にすることが求められている。
【0006】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、内側部材及び外側部材の分解の容易性を向上させた計量注出器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記のような課題を解決するために以下のような手段を採用した。すなわち、本発明の計量注出器は、内側部材と、前記内側部材に相対移動可能に外嵌され、該内側部材との間に充填空間を形成する中空の外側部材と、を備え、内容物を収容する容器の口部に取り付けられる計量注出器であって、前記内側部材が、前記口部内に連通する連通路及び前記連通路と前記充填空間とを連通する連通口が形成された連通部と、前記充填空間内の内容物を注出する前記外側部材に形成された注出口を開閉する栓体部と、径方向内方に弾性変形する弾性片部と、を有し、前記内側部材及び前記外側部材のうちの一方が、前記連通口を開放しかつ前記注出口を閉塞する充填位置と、前記連通口を閉塞しかつ前記注出口を開放する注出位置と、の間で往復移動可能であり、前記弾性片部が、少なくとも一部が前記外側部材から露出可能に配設され、径方向外方に突出して前記外側部材に形成された第1係合部に係合することで前記外側部材の前記内側部材からの離脱を規制する第2係合部を有することを特徴とする。
【0008】
この発明では、弾性片部を径方向内方に弾性変形させると、第1係合部と第2係合部との係合が解除され、内側部材に対して外側部材を移動させても第1係合部と第2係合部とが係合しないので、第1係合部と第2係合部とが係合する位置において内側部材に対する外側部材の移動が規制されず、外側部材をさらに移動させることができる。これにより、外側部材を内側部材から相対的に引き抜くことができる。このとき、弾性片部の少なくとも一部が外側部材から外部に露出しているので、弾性片部を径方向内方に弾性変形させる操作が容易に行われる。したがって、内側部材及び外側部材の分解が容易になる。
【0009】
また、本発明の計量注出器では、前記弾性片部が、径方向に間隔をあけて一対形成されもよい。
この場合では、一対の弾性片部を摘むことで双方の弾性片部を容易に径方向内方に弾性変形させることができるため、分解がさらに容易になる。
【0010】
また、本発明の計量注出器は、前記第2係合部が、前記外側部材を前記内側部材に対して前記充填位置及び前記注出位置のうちの一方で相対的に停止させてもよい。
この場合では、外側部材が内側部材に対して充填位置及び注出位置のうちの一方で停止されることで、内側部材と外側部材との相対的な往復移動が安定して行われる。
【0011】
また、本発明の計量注出器は、前記外側部材を前記内側部材に対して前記充填位置及び前記注出位置のうちの他方で相対的に停止させる停止部を有してもよい。
この場合では、外側部材が内側部材に対して充填位置及び注出位置のうちの他方で停止されることで、内側部材と外側部材との相対的な往復移動が安定して行われる。
【0012】
また、本発明の計量注出器では、前記充填位置と前記注出位置との間に、前記連通口及び前記注出口が閉塞される中間位置が設定されてもよい。
この場合では、充填位置から注出位置まで外側部材を内側部材に対して相対的に移動させる際、中間位置において連通口を閉塞しかつ注出口を閉塞した後に注出口を開放されるように構成することで、容器内の内容物は、注出口が開放される際に連通口を通って充填空間に充填されず、充填空間の容積に応じた一定量の注出がより確実に行われる。
【0013】
また、本発明の計量注出器では、前記外側部材が、前記内側部材の外周面に沿って相対的に摺動する摺動筒部を有してもよい。
この場合では、摺動筒部によって外側部材が案内されるため、外側部材の相対的な往復移動が安定して行える。したがって、計量注出器の操作性がさらに向上する。
【発明の効果】
【0014】
この発明にかかる計量注出器によれば、弾性片部を径方向内方に弾性変形させて係合解除することで外側部材を内側部材に対して引き抜くことができるので、内側部材及び外側部材の分解が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1実施形態における計量注出器を示す軸方向断面図である。
【図2】図1の計量注出器による計量方法を説明する軸方向断面図である。
【図3】図1の計量注出器における内側部材及び外側部材の分解方法を示す軸方向断面図である。
【図4】本発明の第2実施形態における計量注出器を示す軸方向断面図である。
【図5】図4の計量注出器を示す他の軸方向断面図である。
【図6】図4の計量注出器の弾性片部及び第2摺動筒部を示す底面図である。
【図7】図4の計量注出器による計量方法を説明する軸方向断面図である。
【図8】図4の外側部材の変形例を部分的に示す軸方向断面図である。
【図9】本発明の第3実施形態における計量注出器を示す軸方向断面図である。
【図10】図9の計量注出器による計量方法を説明する軸方向断面図である。
【図11】図9の計量注出器における内側部材及び外側部材の分解方法を示す軸方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明における計量注出器の第1実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするために縮尺を適宜変更している。
【0017】
本実施形態における計量注出器1は、図1に示すように、容器2に設けられた口部3に着脱可能に螺着される。なお、容器2は、例えばゲーブルトップ、ブローボトルやパウチ、バッグインボックスなどである。
計量注出器1は、例えばPE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)などの樹脂材料で形成されており、円筒状の口部3に装着される円筒状の内側部材11と、内側部材11に移動可能に外嵌されて内側部材11との間に充填空間12Aを形成する中空の外側部材12と、を備えている。
これら内側部材11及び外側部材12は、それぞれの中心軸線が共通軸上に位置する状態で配設されている。以下、この共通軸を中心軸Oと称し、図1において中心軸Oに沿って口部3に近接する方向を上方、口部3から離間する方向を下方とする。また、中心軸Oに直交する方向を径方向と称し、中心軸O回りに周回する方向を周方向と称する。
【0018】
内側部材11は、中心軸Oに沿って延在し、上側から順に連設された装着筒部21、連通部22、栓体部23及び一対の弾性片部24を備えている。
装着筒部21は、円筒状をなしており、口部3に着脱可能に螺着されている。
連通部22は、円環部(停止部)31及び円筒部32を有する。
円環部31は、装着筒部21の下端から径方向内方に向けて延びている。
【0019】
円筒部32は、円環部31の内縁から中心軸Oに沿って下方に向けて延びており、中心軸Oに沿って上側から順に連設された円筒状の胴部33、肩部34及び円筒状の首部35を有する。肩部34の内径及び外径は、下方に向かうにしたがって漸次縮径している。
円筒部32の内部には、装着筒部21内を介して容器2の口部3内に連通する連通路32Aが形成されており、円筒部32の肩部34及び首部35には、連通路32Aと連通部22の径方向外方とを連通する連通口32Bが周方向に間隔をあけて複数形成されている。
【0020】
栓体部23は、円筒部32の下端から中心軸Oに沿って下方に延びており、天板部36と、天板部36よりも下方に配置された底板部37と、天板部36及び底板部37を接続する本体部38と、を有する。
天板部36は、径方向内方に向かうにしたがって上下方向に膨出する円板状をなしている。
底板部37は、外径及び内径が下方に向かうにしたがって漸次拡径し、下方に向けて開口する円錐椀状をなしている。
本体部38は、中心軸Oに対して垂直な方向の断面が十字状をなしている。なお、本体部38は、例えば円柱状など、中実の構造であってもよい。
【0021】
一対の弾性片部24は、底板部37の径方向中央部から下方に向けて延びる帯状部材であり、中心軸Oを挟んで径方向で対向するように形成されている。そして、弾性片部24は径方向内方に向けて力を加えることにより、径方向内方に向けて弾性変形する。
弾性片部24の下端部には、径方向外方に向けて突出する係合突出部(第2係合部)24Aが形成されている。この係合突出部24Aは、外側部材12の後述する第2摺動筒部(摺動筒部)43における第2小径部(第1係合部)56よりも径方向外方に突出しており、上記第2小径部56の下端に当接している。そして、弾性片部24は、上記第2摺動筒部43によって径方向外方から囲まれている。なお、弾性片部24の下端部は、図2に示すように、外側部材12の後述する第1摺動筒部(摺動筒部)41の上端が円環部31に当接したときに外側部材12の上記第2摺動筒部43の下端から露出している。
【0022】
外側部材12は、円筒部32、天板部36及び底板部37に外嵌されており、中心軸Oに沿って上側から順に連設された第1摺動筒部41、充填部42及び第2摺動筒部43を備えている。
第1摺動筒部41は、中心軸Oに沿って延在する円筒状をなしており、上側から順に連設された第1大径部51、第1連設筒部(停止部)52及び第1小径部53を有する。
第1大径部51は、円筒部32の外周面に配置されており、内径が円筒部32における胴部33の外径と同等となっている。そのため、第1大径部51は、円筒部32の外周面に摺接する。また、第1大径部51の上下方向の長さは、胴部33の上下方向の長さと同等となっている。
【0023】
第1連設筒部52の内径及び外径は、下方に向かうにしたがって漸次縮径しており、第1連設筒部52の内径は、肩部34の外径と同等となっている。また、第1連設筒部52の上下方向の長さは、肩部34の上下方向の長さと同等となっている。
第1小径部53の内径は、首部35及び天板部36の外径と同等となっている。そのため、第1小径部53の内周面には、首部35が上下方向に摺動自在となっている。
第1連設筒部52及び第1小径部53は、上下方向に移動して連通口32Bを径方向外方から覆うと共に天板部36が第1小径部53の内周面に摺接することにより、連通口32Bを閉塞する。
【0024】
充填部42は、中心軸Oに沿って延在する中空のほぼ長円球状をなしており、上下方向の中間部分が上下両端部よりも径方向外方に膨出している。また、充填部42の内部には、連通口32Bを通って連通路32Aと連通する充填空間12Aが形成されている。そして、充填部42は、上端が第1摺動筒部41の下端に接続されると共に下端が第2摺動筒部43の上端に接続されている。また、充填部42の下端には、第2摺動筒部43の内部を介して充填空間12Aと外側部材12の外部とを連通する注出口42Aが形成されている。さらに、充填部42の上記中央部分の外周面には、径方向外方に向けて突出する操作部42Bが全周にわたって形成されている。
なお、充填部42は、上下方向の中央を中心として上下に二分割された上側及び下側部材54、55を嵌合させることによって形成されている。ここで、上側部材54は、第1摺動筒部41と一体に形成されており、下側部材55は、第2摺動筒部43と一体に形成されている。
【0025】
第2摺動筒部43は、第1摺動筒部41と同様に、底板部37及び一対の弾性片部24の外面に配設されており、中心軸Oに沿って上側から順に連設された第2小径部56、第2連設筒部57及び第2大径部58を有する。
第2小径部56の内径は、底板部37の外径と同等となっている。そのため、第2小径部56の内周面には、底板部37が上下方向に摺動自在となっている。また、係合突出部24Aが第2小径部56の下端に当接した状態において、第2小径部56の下端と底板部37の周縁部との間の上下方向の距離は、第1小径部53の上端と天板部36の周縁部との間の上下方向の距離と同等となっている。
第2連設筒部57の内径及び外径は、下方に向かうにしたがって漸次拡径している。
【0026】
このように、外側部材12は、係合突出部24Aが第2小径部56の下端に当接する充填位置と、第1摺動筒部41における第1大径部51の上端が円環部31に突き当たる注出位置と、の間で上下方向に往復移動可能となっている。そして、第1及び第2小径部53、56は、充填位置から注出位置に移動していくと、第1小径部53の内側に天板部36が摺接するとほぼ同時に注出口42Aを充填空間12Aに対して開放し、注出位置から充填位置に移動していくと、第2小径部56の内側に底板部37が摺接するとほぼ同時に連通口32Bを充填空間12Aに対して開放する。したがって、第1及び第2小径部53、56は、上下方向に移動していくと、いずれか一方の内側に天板部36または底板部37が摺接しており、連通口32B及び注出口42Aは同時には開放されない。
【0027】
次に、以上のような構成の計量注出器1による内容物の注出方法について説明する。
まず、計量注出器1を容器2の口部3に装着する。そして、図1に示すように、外側部材12を内側部材11に対して下方に引き出して充填位置とする。充填位置において、円筒部32の肩部34及び首部35と栓体部23の天板部36とが第1摺動筒部41の第1大径部51の径方向内方に配設されているので、連通口32Bが充填空間12Aに対して開放され、容器2内と充填空間12Aとが連通する。そのため、容器2内に収容されている内容物は、連通路32Aを通って第1摺動筒部41の内側を介して充填空間12Aに流入すると共に、充填空間12A内の空気は、連通口32Bを通って連通路32Aに導入置換される。一方、栓体部23の底板部37が第2小径部56の内側に摺接しているので、注出口42Aは、栓体部23によって閉塞されている。これにより、充填空間12Aに充填された内容物は、注出口42Aから計量注出器1の外部に注出されない。したがって、充填空間12Aには、容積に応じた一定量の内容物が充填される。
【0028】
このとき、外側部材12は、第1及び第2摺動筒部41、43と内側部材11との摺動抵抗、及び係合突出部24Aと第2小径部56の下端との係合によって充填位置に保持されているが、上記摺動抵抗以外の他の係合方法(例えば、アンダーカット嵌合など)で保持するように構成してもよい。
なお、充填位置において、係合突出部24Aは、第2小径部56の下端に突き当たっている。そのため、外側部材12は、充填位置からさらに下方に移動することが防止される。これにより、外側部材12は、充填位置で位置決めされる。
【0029】
次に、例えば操作部42Bを保持して外側部材12を上方に押し込むと、第1摺動筒部41の第1大径部51は、円筒部32の胴部33の外周面に沿って上方に摺動し、第2摺動筒部43の第2小径部56は、底板部37の外面に沿って上方に摺動する。そして、第1摺動筒部41の第1小径部53の内側に天板部36が摺接するとほぼ同時に、底板部37は、第2小径部56の下端よりも下方に位置する。したがって、連通口32Bが閉塞されるとほぼ同時に、注出口42Aが計量注出器1の外部に対して開放される。
【0030】
そして、図2に示すように、外側部材12をさらに押し込んで注出位置に位置付ける。これにより、充填空間12Aと計量注出器1の外部とが連通し、充填空間12Aに充填されている内容物は、注出口42Aから計量注出器1の外部に注出される。一方、連通口32Bが閉塞されているので、容器2内の内容物は、充填空間12Aに充填されない。
このように、充填空間12Aに内容物を充填した状態では、連通口32Bと注出口42Aとが同時に開放された状態となることを防止することで、容器2内の内容物が充填空間12Aにさらに充填されることを防止しつつ充填空間12Aの内容物を計量注出器1の外部に注出している。これにより、一定量の内容物が注出される。
【0031】
その後、例えば操作部42Bを保持して引き下げ、外側部材12を内側部材11に対して下方に移動させると、底板部37は、第2小径部56の内側に摺接するとほぼ同時に、天板部36は、第1小径部53の上端よりも上方に位置する。これにより、容器2内の内容物が計量注出器1を通って外部に漏洩することを防止する。
【0032】
そして、外側部材12を内側部材11に対してさらに下方に移動させて、図1に示すように、外側部材12を再び充填位置に位置付ける。充填位置では、上述のように連通口32Bが充填空間12Aに対して開放されるため、容器2内の内容物が充填空間12Aに再び充填される。このように、外側部材12の往復移動は、連通部22または栓体部23の外周面に沿って摺動する第1及び第2摺動筒部41、43によって案内されるため、安定して行われる。
なお、充填位置において、係合突出部24Aは、第2小径部56の下端に突き当たっている。そのため、外側部材12は、充填位置からさらに下方に移動することが防止される。これにより、外側部材12は、充填位置で位置決めされる。
以上のようにして、一定量の内容物を計量、注出する。
【0033】
次に、内側部材11及び外側部材12の分解方法について説明する。
まず、外側部材12を注出位置に位置付けた状態で、図3の矢印A1に示すように、外側部材12の下端から露出している一対の弾性片部24を摘んで径方向内方に弾性変形させる。これにより、弾性片部24の係合突出部24Aと第2摺動筒部43の第2小径部56の下端との係合が解除される。そして、外側部材12を内側部材11に対して引き下げ、外側部材12を内側部材11から引き抜く。
以上のようにして、内側部材11から外側部材12を取り外す。なお、第1小径部53の内径は、第2小径部56の内径と同等となっているが、一対の係合突出部24Aの径方向外端間の距離以上としてもよい。これにより、弾性片部24が復元変形しても、係合突出部24Aを第1小径部53の下端に引っ掛けることなく、より容易に外側部材12を内側部材11から引き抜くことができる。
【0034】
以上のような構成の計量注出器1によれば、一対の弾性片部24を径方向内方に弾性変形させて第2小径部56の下端と係合突出部24Aとの係合を解除することで、外側部材12を内側部材11から引き抜くことができる。また、一対の弾性片部24を摘むことでこれら弾性片部24を径方向内方に弾性変形させることができる。以上より、内側部材11及び外側部材12の分解が容易になる。
また、第1及び第2摺動筒部41、43が連通部22の外周面と栓体部23の外周面とに沿って摺動し、外側部材12が充填位置及び注出位置に位置決めされるので、外側部材12の往復移動が安定する。
【0035】
次に、本発明による計量注出器の第2実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、ここで説明する実施形態は、その基本的構成が上述した第1実施形態と同様であり、上述の第1実施形態に別の要素を付加したものである。したがって、図4から図8においては、図1から図3と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略する。
【0036】
本実施形態における計量注出器100では、図4に示すように、内側部材101に対して外側部材102を押し込んだ状態が充填位置であり、図7に示すように、内側部材101に対して外側部材102を引き出した状態が注出位置となっている。
内側部材101は、図4及び図5に示すように、上側から順に連設された装着筒部21、連通部111、栓体部112及び一対の弾性片部113を備えている。
連通部111は、円環部31及び円筒部114を有している。円環部31には、装着筒部21と共に口部3を挟み込む円筒状の嵌合筒部31Aが装着筒部21よりも径方向内方において上方に突出して形成されている。また、円筒部114の内径及び外径は、上下方向でほぼ一定であり、円筒部114の下端部には、連通路114Aと連通部111の径方向外方とを連通する連通口114Bが周方向に間隔をあけて複数形成されている。
【0037】
栓体部112は、天板部115と、天板部115よりも下方に配設された有頂円筒状の底筒部116と、天板部115及び底筒部116を接続する板状の本体部117と、を有する。
本体部117は、中心軸Oに対して垂直な方向の断面が十字状をなしている。なお、本体部117は、例えば円柱状など、中実の構造であってもよい。
【0038】
一対の弾性片部113は、底筒部116の下端から下方に向けて延びる帯状部材であり、中心軸Oを挟んで径方向で対向するように形成されている。また、周方向における一対の弾性片部113間は、流通口113Aとなっている。
弾性片部113には、径方向外方に向けて突出する係合突出部(第2係合部)113Bが形成されている。この係合突出部113Bは、外側部材102の後述する第1摺動筒部(摺動筒部)121の上端が円環部31に当接したときに外側部材102の後述する第2摺動筒部(摺動筒部)123によって径方向外方から囲まれている。なお、弾性片部113の下端部は、外側部材の上記第2摺動筒部123の下端から露出している。
【0039】
外側部材102は、円筒部114、底筒部116及び一対の弾性片部113に外嵌されており、上側から順に連設された第1摺動筒部121、充填部122及び第2摺動筒部123を備える。
第1摺動筒部121は、内径及び外径が上下方向の全長にわたってほぼ一定であり、円筒部114の外周面に摺接する。
第1摺動筒部121の上下方向の長さは、円筒部114の上下方向の長さと同等となっており、連通口114Bの上下方向の長さよりも長い。すなわち、第1摺動筒部121は、上下方向に移動して連通口114Bを径方向外方から覆うことにより、連通口114Bを閉塞する。
【0040】
充填部122は、上側及び下側部材124、125を嵌合させることによって形成されている。また、充填部122の下端には、注出口122Aが形成されている。
第2摺動筒部123は、内径及び外径が上下方向の全長にわたってほぼ一定であり、栓体部112の底筒部116の外周面及び一対の弾性片部113の外面に配設されている。また、第2摺動筒部123の内径は、底筒部116の外径と同等となっている。そのため、第2摺動筒部123は、底筒部116の外周面及び一対の弾性片部113の外面に摺接する。さらに、第2摺動筒部123の内周面には、係合突出部113Bを収容して一対の弾性片部113それぞれの周方向の移動を規制する一対の案内溝部(第1係合部)123Aが周方向で間隔をあけて形成されている。
【0041】
案内溝部123Aは、第2摺動筒部123の下端から上下方向に延在しており、外側部材102の移動に伴って、上端で係合突出部113Bと係止する。案内溝部123Aの上下方向の長さは、係合突出部113Bが案内溝部123Aの上端と係合するときに、第1摺動筒部121が連通口114B閉塞すると共に第2摺動筒部123が注出口122Aを開放するような長さとなっている。なお、案内溝部123Aの周方向の大きさは、係合突出部113Bの周方向の大きさと同等であることが好ましい。
【0042】
このように、外側部材102は、第1摺動筒部121の上端が円環部31の下面に突き当たる充填位置と、案内溝部123Aの上端が弾性片部113の係合突出部113Bによって係止される注出位置との間で上下方向に往復移動可能となっている。そして、第1及び第2摺動筒部121、123は、上下方向に移動していくと、連通口114B及び流通口113Aを同時には充填空間102Aに対して開放しない。さらに、第1及び第2摺動筒部121、123は、充填位置から注出位置に移動していくと、連通口114Bを閉塞するまで流通口113Aを充填空間102Aに対して開放しない。
【0043】
次に、以上のような構成の計量注出器100による内容物の注出方法について説明する。
まず、図4に示すように、外側部材102を内側部材101に対して上方に押し込んで充填位置とする。充填位置において、第1摺動筒部121は、下端が円筒部114の連通口114Bの上端よりも上方に位置しているので、連通口114Bを充填空間102Aに対して開放している。そのため、容器2内に収容されている内容物が充填空間102Aに充填される。一方、第2摺動筒部123は、上端が流通口113Aの上端よりも上方に位置しているので、流通口113Aを覆って(閉塞して)いる。そのため、注出口122Aは、栓体部112によって閉塞されている。これにより、充填空間102Aに充填された内容物は、注出口122Aから計量注出器100の外部に注出されない。
【0044】
次に、外側部材102を引き下げると、第1及び第2摺動筒部121、123は、それぞれ円筒部114及び栓体部112の外周面と一対の弾性片部113の外面とに沿って下方に摺動する。そして、第1摺動筒部121は、充填位置と注出位置との間の中間位置において、下端が連通部111の連通口114Bを越えて下方に位置し、連通口114Bを覆う。これにより、連通口114Bは、第1摺動筒部121によって閉塞される。一方、第2摺動筒部123は、この中間位置において、上端が流通口113Aの上端に達しておらず、依然として流通口113Aを覆っている。このため、注出口122Aは、栓体部112によって閉塞されている。
【0045】
そして、図7に示すように、外側部材102をさらに引き下げて注出位置に位置付けると、第2摺動筒部123は、流通口113Aを開放する。このため、注出口122Aは、充填空間102Aに対して開放され、充填空間102Aに充填されている内容物は、注出口122Aから計量注出器100の外部に注出される。一方、容器2内の内容物は、第1摺動筒部121が連通口114Bを覆っているので、充填空間102Aに充填されない。これにより、一定量の内容物を注出する。
なお、注出位置において、弾性片部113の係合突出部113Bは、案内溝部123Aの上端に係止する。そのため、外側部材102は、注出位置で位置決めされる。
【0046】
その後、外側部材102を上方に押し込み、中間位置を経て、図4に示すように、外側部材102を充填位置に再度位置付ける。充填位置では、上述と同様に、容器2内の内容物が充填空間102Aに再び充填される。
なお、充填位置において、第1摺動筒部121の上端は、円環部31の下面に突き当てられる。これにより、外側部材102は、充填位置に位置決めされる。
以上のようにして、一定量の内容物を計量、注出する。
【0047】
ここで、案内溝部123Aは、上下方向に延在する直線状をなしているが、例えば図8に示すように、径方向から見てL字状をなす案内溝部123A’であってもよい。この案内溝部123A’の周方向の幅は、係合突出部113Bの周方向の幅と同等となっており、案内溝部123A’の下端部には、周方向に延びる係合溝部123B’が形成されている。
係合突出部113Bは、外側部材102’が充填位置にあるときに、内側部材101に対して周方向に回転させることによって、この係合溝部123B’に係合される。このとき、外側部材102’は、係合突出部113Bが係合溝部123B’に係止すると共に第1摺動筒部121の上端が円環部31の下面に突き当たることによって、上下方向の移動が規制される。
外側部材102’を充填位置から注出位置へ移動させる場合には、外側部材102’を周方向に回転させて係合突出部113Bを係合溝部123B’から離脱させる。これにより、外側部材102’は、案内溝部123A’に沿って上下方向に移動可能になる。この場合、第1摺動筒部121の上端が円環部31の下面に突き当たらない構成としても、正確に充填位置とすることができる。
【0048】
次に、内側部材101及び外側部材102の分解方法について説明する。
まず、外側部材102を充填位置に位置付けた状態で、図5の矢印A2及び図6の矢印A3に示すように、一対の弾性片部113を摘んで径方向内方に弾性変形させる。これにより、弾性片部113の係合突出部113Bと第2摺動筒部123の案内溝部123Aとが係合解除される。そして、図6の矢印A4に示すように、外側部材102を内側部材101に対して周方向に回転させ、係合突出部113Bと案内溝部123Aとの周方向の位置をずらす。さらに、一対の弾性片部113の摘みを解除して弾性片部113を元の状態に復元変形させる。
このとき、係合突出部113Bと案内溝部123Aとの周方向の位置をずらしているため、弾性片部113が復元変形しても、係合突出部113Bは、案内溝部123Aに収容されない。
【0049】
この状態で外側部材102を引き下げると、外側部材102が注出位置に到達しても係合突出部113Bが案内溝部123Aの上端に係止しないため、外側部材102は、注出位置において移動が停止されることなくさらに下方に移動する。その後、外側部材102は、内側部材101から引き抜かれ、内側部材101から取り外される。
以上のようにして、内側部材101から外側部材102を取り外す。
このとき、第1摺動筒部121の内径を、係合突出部113Bの外径以上としておくことが好ましい。
【0050】
以上のような構成の計量注出器100においても、上述と同様の作用、効果を奏するが、中間位置が設定されているので、充填空間102Aの容積に応じた一定量の注出がより確実に行われる。また、一対の弾性片部113を摘んだ状態で外側部材102を周方向に回転させることで一対の弾性片部113の摘みを解除しても係合突出部113Bが案内溝部123Aと係合することを防止できるので、内側部材101及び外側部材102の分解がさらに容易になる。
【0051】
次に、本発明による計量注出器の第3実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、ここで説明する実施形態は、その基本的構成が上述した第1及び第2実施形態と同様であり、上述の第1及び第2実施形態に別の要素を付加したものである。したがって、図9から図11においては、図1から図8と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略する。
【0052】
本実施形態における計量注出器200では、図9及び図10に示すように、内側部材201が外側部材202に対して上下方向で移動する。
内側部材201は、図9に示すように、上側から順に連設された一対の弾性片部211、連通部212及び栓体部213を備えている。
一対の弾性片部211は、連通部212から上方に向けて延びる帯状部材であり、中心軸Oを挟んで径方向で対向するように形成されている。弾性片部211の上下方向の中間部分には、径方向外方に向けて係合突出部211Aが突設されている。この係合突出部211Aは、外側部材202の後述する嵌合筒部(第1係合部)222Aの上端に当接している。
【0053】
連通部212は、円筒状をなしており、連通部212の内部には、連通路212Aが形成されている。また、連通部212の下端部には、連通路212Aと連通部212の径方向外方とを連通する連通口212Bが周方向に間隔をあけて複数形成されている。
栓体部213は、有頂円筒状をなしており、円錐椀状の天板部214と、天板部214よりも下方に配設された円筒状の本体部215と、を有する。
天板部214は、内径及び外径が上方に向かうにしたがって漸次縮径し、下方に向けて開口している。
本体部215は、内径及び外径が下方に向かうにしたがって段階的に拡径する円筒状をなしており、上側から順に連設された上筒部216、中間筒部217及び下筒部218を有する。
【0054】
上筒部216の外径は、連通部212の外径と同等となっている。
中間筒部217は、内径及び外径が上筒部216の内径及び外径よりも大きくなっており、中間筒部217と上筒部216との接続部分には、段部が形成されている。
下筒部218の内径及び外径は、中間筒部217の内径及び外径よりも大きくなっている。また、下筒部218には、下筒部218の内部と径方向外方とを連通する流通口218Aが周方向で間隔をあけて複数形成されている。この流通口218Aは、後述する第2摺動筒部(摺動筒部,停止部)224によって径方向外方から覆われている。さらに、下筒部218の下端部には、径方向外方に向けて円環状の操作片部218Bが突設されている。係合突出部211Aが後述する嵌合筒部222Aの上端に当接した状態において、この操作片部218Bと上記第2摺動筒部224の下端との間の上下方向の距離は、上筒部216及び中間筒部217の接続部分と後述する第1摺動筒部(摺動筒部)222の下端との間の上下方向の距離と同等となっている。
【0055】
外側部材202は、内側部材201に外嵌されており、上側から順に連設された装着筒部221、第1摺動筒部222、充填部223及び第2摺動筒部224を備える。
装着筒部221の嵌合筒部222Aの上端には、弾性片部211の係合突出部211Aが当接している。
第1摺動筒部222は、装着筒部221の下端から下方に向けて延在しており、第1摺動筒部222の上端には、嵌合筒部222Aが上方に突設されている。また、第1摺動筒部222及び嵌合筒部222Aそれぞれの内径は、連通部212及び栓体部213の上筒部216それぞれの外径と同等となっている。そのため、第1摺動筒部222及び嵌合筒部222Aは、連通部212及び栓体部213の上筒部216それぞれの外周面に摺接する。
【0056】
充填部223は、上側及び下側部材225、226を嵌合させることによって形成されている。また、充填部223の下端には、注出口223Aが形成されている。
第2摺動筒部224は、内径が栓体部213の下筒部218の外径と同等となっており、下筒部218の外周面に摺接する。
【0057】
このように、内側部材201は、係合突出部211Aが嵌合筒部222Aの上端に当接する充填位置と、上筒部216及び中間筒部217の接続部分が第1摺動筒部222の下端に当接すると共に操作片部218Bが第2摺動筒部224の下端に当接する注出位置と、の間で上下方向に往復移動可能となっている。そして、嵌合筒部222Aと第1及び第2摺動筒部222、224とは、内側部材201が上下方向に移動していくと、連通口212B及び流通口218Aを同時には充填空間202Aに対して開放しない。さらに、嵌合筒部222Aと第1及び第2摺動筒部222、224とは、内側部材201が充填位置から注出位置に移動していくと、連通口212Bを閉塞するまで流通口218Aを開放しない。
【0058】
次に、以上のような構成の計量注出器200による内容物の注出方法について説明する。
まず、図9に示すように、内側部材201を外側部材202に対して引き下げて充填位置とする。充填位置において、第1摺動筒部222は、下端が連通口212Bの下端よりも上方に位置しているので、連通口212Bを充填空間202Aに対して開放している。そのため、容器2内に収容されている内容物が充填空間202A内に充填される。一方、第2摺動筒部224は、上端が流通口218Aの上端よりも上方に位置しているので、流通口218Aを閉塞している。そのため、注出口223Aは、栓体部213によって閉塞されている。これにより、充填空間202A内に充填された内容物は、注出口223Aから計量注出器200の外部に注出されない。
【0059】
次に、内側部材201を上方に押し込むと、内側部材201は、嵌合筒部222A、第1摺動筒部222及び第2摺動筒部224の内周面に沿って上方に摺動する。そして、連通部212の連通口212Bは、充填位置と注出位置との間の中間位置において、第1摺動筒部222の下端を越えて第1摺動筒部222及び嵌合筒部222Aにより径方向外方から覆われる。これにより、連通口212Bは、閉塞される。一方、流通口218Aは、この中間位置において、上端が第2摺動筒部224の上端に達しておらず、依然として第2摺動筒部224によって覆われている。このため、注出口223Aは、閉塞されている。
【0060】
そして、図10に示すように、内側部材201をさらに上方に押し込んで注出位置に位置付けると、流通口218Aは、上端が第2摺動筒部224の上端を越える。このため、注出口223Aは、開放され、下筒部218の内部を介して計量注出器200の外部と充填空間202Aとが連通する。これにより、充填空間202Aに充填されている内容物は、注出口223Aから計量注出器200の外部に注出される。一方、容器2内の内容物は、連通口212Bが閉塞されているので、充填空間202Aに充填されない。これにより、一定量の内容物を注出する。
なお、注出位置において、上筒部216及び中間筒部217の接続部分は、第1摺動筒部222の下端に当接し、操作片部218Bは、第2摺動筒部224の下端に当接する。そのため、内側部材201は、注出位置で位置決めされる。
【0061】
その後、内側部材201を引き下げ、中間位置を経て、図9に示すように、内側部材201を充填位置に再度位置付ける。充填位置では、上述と同様に、容器2内の内容物が充填空間202Aに再び充填される。
なお、充填位置において、弾性片部211の係合突出部211Aは、嵌合筒部222Aの上端に当接する。これにより、内側部材201は、充填位置に位置決めされる。
以上のようにして、一定量の内容物を計量、注出する。
【0062】
次に、内側部材201及び外側部材202の分解方法について説明する。
まず、外側部材202の装着筒部221と容器2の口部3との螺合を解除することにより、計量注出器200を容器2の口部3から取り外す。そして、図11の矢印A5に示すように、一対の弾性片部211を摘んで径方向内方に弾性変形させる。これにより、弾性片部211の係合突出部211Aと嵌合筒部222Aとの係合が解除される。そして、内側部材201を外側部材202に対して下方に押し込む。
以上のようにして、内側部材201を外側部材202から取り外す。
【0063】
以上のような構成の計量注出器200においても、上述と同様の作用、効果を奏する。
【0064】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることができる。
例えば、装着筒部は、口部に螺着する構成となっているが、口部に嵌合して装着する構成など、他の構成であってもよい。また、内側部材または外側部材は、口部に装着される装着筒部を有しているが、別の装着部材を用いて口部に取り付けられてもよい。
弾性片部は、一対設けられているが、1以上設けられていればよい。
内側部材及び外側部材は、例えば第1実施形態において第1摺動筒部の上端が円環部の下面に突き当たることによって注出位置で相対的に位置決めされているが、充填位置及び注出位置においてスナップ係合するような他の構成であってもよく、充填位置と注出位置との間で往復移動可能であれば、位置決めしない構成としてもよい。
充填位置と注出位置との間に中間位置を設定しているが、中間位置を設定しなくてもよい。
連通路は、装着筒部内と連通口とを接続する流路であればよく、溝状など、他の形状であってもよい。
外側部材は、第1及び第2摺動筒部を有しているが、内側部材に対する外側部材の往復移動が安定して行えれば、第1及び第2摺動筒部の一方または双方を有していなくてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0065】
この発明によれば、内側部材及び外側部材の分解の容易性を向上させた計量注出器に関して、産業上の利用可能性が認められる。
【符号の説明】
【0066】
1,100,200 計量注出器、2 容器、3 口部、11,101,201 内側部材、12,102,102’,202 外側部材、12A,102A,202A 充填空間、22,111,212 連通部、23,112,213 栓体部、24,113,211 弾性片部、24A,113B,211A 係合突出部(第2係合部)、31 円環部(停止部)、32A,114A,212A 連通路、32B,114B,212B 連通口、41,121,222 第1摺動筒部(摺動筒部)、42,122,223 充填部、42A,122A,223A 注出口、43,123 第2摺動筒部(摺動筒部)、52 第1連設筒部(停止部)、56 第2小径部(第1係合部)、123A,123A’ 案内溝部(第1係合部)、218B 操作片部(停止部)、224 第2摺動筒部(摺動筒部,停止部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、計量注出器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液体が収容された容器から一定量の液体を計量する場合には、一般的に、容器とは別に用意された計量カップに定量の液体を注出して計量している。しかし、このような方法では、計量カップを紛失したり、計量カップを使用するたびに洗う必要があったりするため、不便である。
そこで、容器の口部に装着され、容器から液体が充填される中空のカプセル状の部材を有する計量注出器が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この計量注出器は、内側部材と、内側部材に対して移動可能に外嵌されて内側部材との間に充填空間を形成する中空の外側部材と、を備えている。内側部材は、口部内に連通する連通路と連通路及び充填空間を連通する連通口とが形成された連通部と、充填空間の内容物を注出する外側部材に形成された注出口を開閉する栓体部と、を有する。
【0003】
そして、この計量注出器では、外側部材を内側部材に対して上下に移動させ、連通口を開放しかつ注出口を閉塞する充填位置とし、内側部材の連通路及び連通口を介して容器内と充填空間とを連通させる。これにより、容器内の液体は、充填空間内に充填される。その後、外側部材を内側部材に対して下方に移動させ、連通口を閉塞しかつ注出口を開放する注出位置とし、充填空間内の液体を注出する。このようにして、容器内から一定量の液体を計量、注出する。
ここで、外側部材の上端部には、径方向外方に突出すると共に注出位置において内側部材と係合することで外側部材を注出位置で位置決めすると共に外側部材の内側部材からの離脱を規制するための係合突出部が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−228761号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような計量注出器においても、例えば外側部材及び内側部材を洗浄するために、内側部材及び外側部材の分解を容易にすることが求められている。
【0006】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、内側部材及び外側部材の分解の容易性を向上させた計量注出器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記のような課題を解決するために以下のような手段を採用した。すなわち、本発明の計量注出器は、内側部材と、前記内側部材に相対移動可能に外嵌され、該内側部材との間に充填空間を形成する中空の外側部材と、を備え、内容物を収容する容器の口部に取り付けられる計量注出器であって、前記内側部材が、前記口部内に連通する連通路及び前記連通路と前記充填空間とを連通する連通口が形成された連通部と、前記充填空間内の内容物を注出する前記外側部材に形成された注出口を開閉する栓体部と、径方向内方に弾性変形する弾性片部と、を有し、前記内側部材及び前記外側部材のうちの一方が、前記連通口を開放しかつ前記注出口を閉塞する充填位置と、前記連通口を閉塞しかつ前記注出口を開放する注出位置と、の間で往復移動可能であり、前記弾性片部が、少なくとも一部が前記外側部材から露出可能に配設され、径方向外方に突出して前記外側部材に形成された第1係合部に係合することで前記外側部材の前記内側部材からの離脱を規制する第2係合部を有することを特徴とする。
【0008】
この発明では、弾性片部を径方向内方に弾性変形させると、第1係合部と第2係合部との係合が解除され、内側部材に対して外側部材を移動させても第1係合部と第2係合部とが係合しないので、第1係合部と第2係合部とが係合する位置において内側部材に対する外側部材の移動が規制されず、外側部材をさらに移動させることができる。これにより、外側部材を内側部材から相対的に引き抜くことができる。このとき、弾性片部の少なくとも一部が外側部材から外部に露出しているので、弾性片部を径方向内方に弾性変形させる操作が容易に行われる。したがって、内側部材及び外側部材の分解が容易になる。
【0009】
また、本発明の計量注出器では、前記弾性片部が、径方向に間隔をあけて一対形成されもよい。
この場合では、一対の弾性片部を摘むことで双方の弾性片部を容易に径方向内方に弾性変形させることができるため、分解がさらに容易になる。
【0010】
また、本発明の計量注出器は、前記第2係合部が、前記外側部材を前記内側部材に対して前記充填位置及び前記注出位置のうちの一方で相対的に停止させてもよい。
この場合では、外側部材が内側部材に対して充填位置及び注出位置のうちの一方で停止されることで、内側部材と外側部材との相対的な往復移動が安定して行われる。
【0011】
また、本発明の計量注出器は、前記外側部材を前記内側部材に対して前記充填位置及び前記注出位置のうちの他方で相対的に停止させる停止部を有してもよい。
この場合では、外側部材が内側部材に対して充填位置及び注出位置のうちの他方で停止されることで、内側部材と外側部材との相対的な往復移動が安定して行われる。
【0012】
また、本発明の計量注出器では、前記充填位置と前記注出位置との間に、前記連通口及び前記注出口が閉塞される中間位置が設定されてもよい。
この場合では、充填位置から注出位置まで外側部材を内側部材に対して相対的に移動させる際、中間位置において連通口を閉塞しかつ注出口を閉塞した後に注出口を開放されるように構成することで、容器内の内容物は、注出口が開放される際に連通口を通って充填空間に充填されず、充填空間の容積に応じた一定量の注出がより確実に行われる。
【0013】
また、本発明の計量注出器では、前記外側部材が、前記内側部材の外周面に沿って相対的に摺動する摺動筒部を有してもよい。
この場合では、摺動筒部によって外側部材が案内されるため、外側部材の相対的な往復移動が安定して行える。したがって、計量注出器の操作性がさらに向上する。
【発明の効果】
【0014】
この発明にかかる計量注出器によれば、弾性片部を径方向内方に弾性変形させて係合解除することで外側部材を内側部材に対して引き抜くことができるので、内側部材及び外側部材の分解が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1実施形態における計量注出器を示す軸方向断面図である。
【図2】図1の計量注出器による計量方法を説明する軸方向断面図である。
【図3】図1の計量注出器における内側部材及び外側部材の分解方法を示す軸方向断面図である。
【図4】本発明の第2実施形態における計量注出器を示す軸方向断面図である。
【図5】図4の計量注出器を示す他の軸方向断面図である。
【図6】図4の計量注出器の弾性片部及び第2摺動筒部を示す底面図である。
【図7】図4の計量注出器による計量方法を説明する軸方向断面図である。
【図8】図4の外側部材の変形例を部分的に示す軸方向断面図である。
【図9】本発明の第3実施形態における計量注出器を示す軸方向断面図である。
【図10】図9の計量注出器による計量方法を説明する軸方向断面図である。
【図11】図9の計量注出器における内側部材及び外側部材の分解方法を示す軸方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明における計量注出器の第1実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするために縮尺を適宜変更している。
【0017】
本実施形態における計量注出器1は、図1に示すように、容器2に設けられた口部3に着脱可能に螺着される。なお、容器2は、例えばゲーブルトップ、ブローボトルやパウチ、バッグインボックスなどである。
計量注出器1は、例えばPE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)などの樹脂材料で形成されており、円筒状の口部3に装着される円筒状の内側部材11と、内側部材11に移動可能に外嵌されて内側部材11との間に充填空間12Aを形成する中空の外側部材12と、を備えている。
これら内側部材11及び外側部材12は、それぞれの中心軸線が共通軸上に位置する状態で配設されている。以下、この共通軸を中心軸Oと称し、図1において中心軸Oに沿って口部3に近接する方向を上方、口部3から離間する方向を下方とする。また、中心軸Oに直交する方向を径方向と称し、中心軸O回りに周回する方向を周方向と称する。
【0018】
内側部材11は、中心軸Oに沿って延在し、上側から順に連設された装着筒部21、連通部22、栓体部23及び一対の弾性片部24を備えている。
装着筒部21は、円筒状をなしており、口部3に着脱可能に螺着されている。
連通部22は、円環部(停止部)31及び円筒部32を有する。
円環部31は、装着筒部21の下端から径方向内方に向けて延びている。
【0019】
円筒部32は、円環部31の内縁から中心軸Oに沿って下方に向けて延びており、中心軸Oに沿って上側から順に連設された円筒状の胴部33、肩部34及び円筒状の首部35を有する。肩部34の内径及び外径は、下方に向かうにしたがって漸次縮径している。
円筒部32の内部には、装着筒部21内を介して容器2の口部3内に連通する連通路32Aが形成されており、円筒部32の肩部34及び首部35には、連通路32Aと連通部22の径方向外方とを連通する連通口32Bが周方向に間隔をあけて複数形成されている。
【0020】
栓体部23は、円筒部32の下端から中心軸Oに沿って下方に延びており、天板部36と、天板部36よりも下方に配置された底板部37と、天板部36及び底板部37を接続する本体部38と、を有する。
天板部36は、径方向内方に向かうにしたがって上下方向に膨出する円板状をなしている。
底板部37は、外径及び内径が下方に向かうにしたがって漸次拡径し、下方に向けて開口する円錐椀状をなしている。
本体部38は、中心軸Oに対して垂直な方向の断面が十字状をなしている。なお、本体部38は、例えば円柱状など、中実の構造であってもよい。
【0021】
一対の弾性片部24は、底板部37の径方向中央部から下方に向けて延びる帯状部材であり、中心軸Oを挟んで径方向で対向するように形成されている。そして、弾性片部24は径方向内方に向けて力を加えることにより、径方向内方に向けて弾性変形する。
弾性片部24の下端部には、径方向外方に向けて突出する係合突出部(第2係合部)24Aが形成されている。この係合突出部24Aは、外側部材12の後述する第2摺動筒部(摺動筒部)43における第2小径部(第1係合部)56よりも径方向外方に突出しており、上記第2小径部56の下端に当接している。そして、弾性片部24は、上記第2摺動筒部43によって径方向外方から囲まれている。なお、弾性片部24の下端部は、図2に示すように、外側部材12の後述する第1摺動筒部(摺動筒部)41の上端が円環部31に当接したときに外側部材12の上記第2摺動筒部43の下端から露出している。
【0022】
外側部材12は、円筒部32、天板部36及び底板部37に外嵌されており、中心軸Oに沿って上側から順に連設された第1摺動筒部41、充填部42及び第2摺動筒部43を備えている。
第1摺動筒部41は、中心軸Oに沿って延在する円筒状をなしており、上側から順に連設された第1大径部51、第1連設筒部(停止部)52及び第1小径部53を有する。
第1大径部51は、円筒部32の外周面に配置されており、内径が円筒部32における胴部33の外径と同等となっている。そのため、第1大径部51は、円筒部32の外周面に摺接する。また、第1大径部51の上下方向の長さは、胴部33の上下方向の長さと同等となっている。
【0023】
第1連設筒部52の内径及び外径は、下方に向かうにしたがって漸次縮径しており、第1連設筒部52の内径は、肩部34の外径と同等となっている。また、第1連設筒部52の上下方向の長さは、肩部34の上下方向の長さと同等となっている。
第1小径部53の内径は、首部35及び天板部36の外径と同等となっている。そのため、第1小径部53の内周面には、首部35が上下方向に摺動自在となっている。
第1連設筒部52及び第1小径部53は、上下方向に移動して連通口32Bを径方向外方から覆うと共に天板部36が第1小径部53の内周面に摺接することにより、連通口32Bを閉塞する。
【0024】
充填部42は、中心軸Oに沿って延在する中空のほぼ長円球状をなしており、上下方向の中間部分が上下両端部よりも径方向外方に膨出している。また、充填部42の内部には、連通口32Bを通って連通路32Aと連通する充填空間12Aが形成されている。そして、充填部42は、上端が第1摺動筒部41の下端に接続されると共に下端が第2摺動筒部43の上端に接続されている。また、充填部42の下端には、第2摺動筒部43の内部を介して充填空間12Aと外側部材12の外部とを連通する注出口42Aが形成されている。さらに、充填部42の上記中央部分の外周面には、径方向外方に向けて突出する操作部42Bが全周にわたって形成されている。
なお、充填部42は、上下方向の中央を中心として上下に二分割された上側及び下側部材54、55を嵌合させることによって形成されている。ここで、上側部材54は、第1摺動筒部41と一体に形成されており、下側部材55は、第2摺動筒部43と一体に形成されている。
【0025】
第2摺動筒部43は、第1摺動筒部41と同様に、底板部37及び一対の弾性片部24の外面に配設されており、中心軸Oに沿って上側から順に連設された第2小径部56、第2連設筒部57及び第2大径部58を有する。
第2小径部56の内径は、底板部37の外径と同等となっている。そのため、第2小径部56の内周面には、底板部37が上下方向に摺動自在となっている。また、係合突出部24Aが第2小径部56の下端に当接した状態において、第2小径部56の下端と底板部37の周縁部との間の上下方向の距離は、第1小径部53の上端と天板部36の周縁部との間の上下方向の距離と同等となっている。
第2連設筒部57の内径及び外径は、下方に向かうにしたがって漸次拡径している。
【0026】
このように、外側部材12は、係合突出部24Aが第2小径部56の下端に当接する充填位置と、第1摺動筒部41における第1大径部51の上端が円環部31に突き当たる注出位置と、の間で上下方向に往復移動可能となっている。そして、第1及び第2小径部53、56は、充填位置から注出位置に移動していくと、第1小径部53の内側に天板部36が摺接するとほぼ同時に注出口42Aを充填空間12Aに対して開放し、注出位置から充填位置に移動していくと、第2小径部56の内側に底板部37が摺接するとほぼ同時に連通口32Bを充填空間12Aに対して開放する。したがって、第1及び第2小径部53、56は、上下方向に移動していくと、いずれか一方の内側に天板部36または底板部37が摺接しており、連通口32B及び注出口42Aは同時には開放されない。
【0027】
次に、以上のような構成の計量注出器1による内容物の注出方法について説明する。
まず、計量注出器1を容器2の口部3に装着する。そして、図1に示すように、外側部材12を内側部材11に対して下方に引き出して充填位置とする。充填位置において、円筒部32の肩部34及び首部35と栓体部23の天板部36とが第1摺動筒部41の第1大径部51の径方向内方に配設されているので、連通口32Bが充填空間12Aに対して開放され、容器2内と充填空間12Aとが連通する。そのため、容器2内に収容されている内容物は、連通路32Aを通って第1摺動筒部41の内側を介して充填空間12Aに流入すると共に、充填空間12A内の空気は、連通口32Bを通って連通路32Aに導入置換される。一方、栓体部23の底板部37が第2小径部56の内側に摺接しているので、注出口42Aは、栓体部23によって閉塞されている。これにより、充填空間12Aに充填された内容物は、注出口42Aから計量注出器1の外部に注出されない。したがって、充填空間12Aには、容積に応じた一定量の内容物が充填される。
【0028】
このとき、外側部材12は、第1及び第2摺動筒部41、43と内側部材11との摺動抵抗、及び係合突出部24Aと第2小径部56の下端との係合によって充填位置に保持されているが、上記摺動抵抗以外の他の係合方法(例えば、アンダーカット嵌合など)で保持するように構成してもよい。
なお、充填位置において、係合突出部24Aは、第2小径部56の下端に突き当たっている。そのため、外側部材12は、充填位置からさらに下方に移動することが防止される。これにより、外側部材12は、充填位置で位置決めされる。
【0029】
次に、例えば操作部42Bを保持して外側部材12を上方に押し込むと、第1摺動筒部41の第1大径部51は、円筒部32の胴部33の外周面に沿って上方に摺動し、第2摺動筒部43の第2小径部56は、底板部37の外面に沿って上方に摺動する。そして、第1摺動筒部41の第1小径部53の内側に天板部36が摺接するとほぼ同時に、底板部37は、第2小径部56の下端よりも下方に位置する。したがって、連通口32Bが閉塞されるとほぼ同時に、注出口42Aが計量注出器1の外部に対して開放される。
【0030】
そして、図2に示すように、外側部材12をさらに押し込んで注出位置に位置付ける。これにより、充填空間12Aと計量注出器1の外部とが連通し、充填空間12Aに充填されている内容物は、注出口42Aから計量注出器1の外部に注出される。一方、連通口32Bが閉塞されているので、容器2内の内容物は、充填空間12Aに充填されない。
このように、充填空間12Aに内容物を充填した状態では、連通口32Bと注出口42Aとが同時に開放された状態となることを防止することで、容器2内の内容物が充填空間12Aにさらに充填されることを防止しつつ充填空間12Aの内容物を計量注出器1の外部に注出している。これにより、一定量の内容物が注出される。
【0031】
その後、例えば操作部42Bを保持して引き下げ、外側部材12を内側部材11に対して下方に移動させると、底板部37は、第2小径部56の内側に摺接するとほぼ同時に、天板部36は、第1小径部53の上端よりも上方に位置する。これにより、容器2内の内容物が計量注出器1を通って外部に漏洩することを防止する。
【0032】
そして、外側部材12を内側部材11に対してさらに下方に移動させて、図1に示すように、外側部材12を再び充填位置に位置付ける。充填位置では、上述のように連通口32Bが充填空間12Aに対して開放されるため、容器2内の内容物が充填空間12Aに再び充填される。このように、外側部材12の往復移動は、連通部22または栓体部23の外周面に沿って摺動する第1及び第2摺動筒部41、43によって案内されるため、安定して行われる。
なお、充填位置において、係合突出部24Aは、第2小径部56の下端に突き当たっている。そのため、外側部材12は、充填位置からさらに下方に移動することが防止される。これにより、外側部材12は、充填位置で位置決めされる。
以上のようにして、一定量の内容物を計量、注出する。
【0033】
次に、内側部材11及び外側部材12の分解方法について説明する。
まず、外側部材12を注出位置に位置付けた状態で、図3の矢印A1に示すように、外側部材12の下端から露出している一対の弾性片部24を摘んで径方向内方に弾性変形させる。これにより、弾性片部24の係合突出部24Aと第2摺動筒部43の第2小径部56の下端との係合が解除される。そして、外側部材12を内側部材11に対して引き下げ、外側部材12を内側部材11から引き抜く。
以上のようにして、内側部材11から外側部材12を取り外す。なお、第1小径部53の内径は、第2小径部56の内径と同等となっているが、一対の係合突出部24Aの径方向外端間の距離以上としてもよい。これにより、弾性片部24が復元変形しても、係合突出部24Aを第1小径部53の下端に引っ掛けることなく、より容易に外側部材12を内側部材11から引き抜くことができる。
【0034】
以上のような構成の計量注出器1によれば、一対の弾性片部24を径方向内方に弾性変形させて第2小径部56の下端と係合突出部24Aとの係合を解除することで、外側部材12を内側部材11から引き抜くことができる。また、一対の弾性片部24を摘むことでこれら弾性片部24を径方向内方に弾性変形させることができる。以上より、内側部材11及び外側部材12の分解が容易になる。
また、第1及び第2摺動筒部41、43が連通部22の外周面と栓体部23の外周面とに沿って摺動し、外側部材12が充填位置及び注出位置に位置決めされるので、外側部材12の往復移動が安定する。
【0035】
次に、本発明による計量注出器の第2実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、ここで説明する実施形態は、その基本的構成が上述した第1実施形態と同様であり、上述の第1実施形態に別の要素を付加したものである。したがって、図4から図8においては、図1から図3と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略する。
【0036】
本実施形態における計量注出器100では、図4に示すように、内側部材101に対して外側部材102を押し込んだ状態が充填位置であり、図7に示すように、内側部材101に対して外側部材102を引き出した状態が注出位置となっている。
内側部材101は、図4及び図5に示すように、上側から順に連設された装着筒部21、連通部111、栓体部112及び一対の弾性片部113を備えている。
連通部111は、円環部31及び円筒部114を有している。円環部31には、装着筒部21と共に口部3を挟み込む円筒状の嵌合筒部31Aが装着筒部21よりも径方向内方において上方に突出して形成されている。また、円筒部114の内径及び外径は、上下方向でほぼ一定であり、円筒部114の下端部には、連通路114Aと連通部111の径方向外方とを連通する連通口114Bが周方向に間隔をあけて複数形成されている。
【0037】
栓体部112は、天板部115と、天板部115よりも下方に配設された有頂円筒状の底筒部116と、天板部115及び底筒部116を接続する板状の本体部117と、を有する。
本体部117は、中心軸Oに対して垂直な方向の断面が十字状をなしている。なお、本体部117は、例えば円柱状など、中実の構造であってもよい。
【0038】
一対の弾性片部113は、底筒部116の下端から下方に向けて延びる帯状部材であり、中心軸Oを挟んで径方向で対向するように形成されている。また、周方向における一対の弾性片部113間は、流通口113Aとなっている。
弾性片部113には、径方向外方に向けて突出する係合突出部(第2係合部)113Bが形成されている。この係合突出部113Bは、外側部材102の後述する第1摺動筒部(摺動筒部)121の上端が円環部31に当接したときに外側部材102の後述する第2摺動筒部(摺動筒部)123によって径方向外方から囲まれている。なお、弾性片部113の下端部は、外側部材の上記第2摺動筒部123の下端から露出している。
【0039】
外側部材102は、円筒部114、底筒部116及び一対の弾性片部113に外嵌されており、上側から順に連設された第1摺動筒部121、充填部122及び第2摺動筒部123を備える。
第1摺動筒部121は、内径及び外径が上下方向の全長にわたってほぼ一定であり、円筒部114の外周面に摺接する。
第1摺動筒部121の上下方向の長さは、円筒部114の上下方向の長さと同等となっており、連通口114Bの上下方向の長さよりも長い。すなわち、第1摺動筒部121は、上下方向に移動して連通口114Bを径方向外方から覆うことにより、連通口114Bを閉塞する。
【0040】
充填部122は、上側及び下側部材124、125を嵌合させることによって形成されている。また、充填部122の下端には、注出口122Aが形成されている。
第2摺動筒部123は、内径及び外径が上下方向の全長にわたってほぼ一定であり、栓体部112の底筒部116の外周面及び一対の弾性片部113の外面に配設されている。また、第2摺動筒部123の内径は、底筒部116の外径と同等となっている。そのため、第2摺動筒部123は、底筒部116の外周面及び一対の弾性片部113の外面に摺接する。さらに、第2摺動筒部123の内周面には、係合突出部113Bを収容して一対の弾性片部113それぞれの周方向の移動を規制する一対の案内溝部(第1係合部)123Aが周方向で間隔をあけて形成されている。
【0041】
案内溝部123Aは、第2摺動筒部123の下端から上下方向に延在しており、外側部材102の移動に伴って、上端で係合突出部113Bと係止する。案内溝部123Aの上下方向の長さは、係合突出部113Bが案内溝部123Aの上端と係合するときに、第1摺動筒部121が連通口114B閉塞すると共に第2摺動筒部123が注出口122Aを開放するような長さとなっている。なお、案内溝部123Aの周方向の大きさは、係合突出部113Bの周方向の大きさと同等であることが好ましい。
【0042】
このように、外側部材102は、第1摺動筒部121の上端が円環部31の下面に突き当たる充填位置と、案内溝部123Aの上端が弾性片部113の係合突出部113Bによって係止される注出位置との間で上下方向に往復移動可能となっている。そして、第1及び第2摺動筒部121、123は、上下方向に移動していくと、連通口114B及び流通口113Aを同時には充填空間102Aに対して開放しない。さらに、第1及び第2摺動筒部121、123は、充填位置から注出位置に移動していくと、連通口114Bを閉塞するまで流通口113Aを充填空間102Aに対して開放しない。
【0043】
次に、以上のような構成の計量注出器100による内容物の注出方法について説明する。
まず、図4に示すように、外側部材102を内側部材101に対して上方に押し込んで充填位置とする。充填位置において、第1摺動筒部121は、下端が円筒部114の連通口114Bの上端よりも上方に位置しているので、連通口114Bを充填空間102Aに対して開放している。そのため、容器2内に収容されている内容物が充填空間102Aに充填される。一方、第2摺動筒部123は、上端が流通口113Aの上端よりも上方に位置しているので、流通口113Aを覆って(閉塞して)いる。そのため、注出口122Aは、栓体部112によって閉塞されている。これにより、充填空間102Aに充填された内容物は、注出口122Aから計量注出器100の外部に注出されない。
【0044】
次に、外側部材102を引き下げると、第1及び第2摺動筒部121、123は、それぞれ円筒部114及び栓体部112の外周面と一対の弾性片部113の外面とに沿って下方に摺動する。そして、第1摺動筒部121は、充填位置と注出位置との間の中間位置において、下端が連通部111の連通口114Bを越えて下方に位置し、連通口114Bを覆う。これにより、連通口114Bは、第1摺動筒部121によって閉塞される。一方、第2摺動筒部123は、この中間位置において、上端が流通口113Aの上端に達しておらず、依然として流通口113Aを覆っている。このため、注出口122Aは、栓体部112によって閉塞されている。
【0045】
そして、図7に示すように、外側部材102をさらに引き下げて注出位置に位置付けると、第2摺動筒部123は、流通口113Aを開放する。このため、注出口122Aは、充填空間102Aに対して開放され、充填空間102Aに充填されている内容物は、注出口122Aから計量注出器100の外部に注出される。一方、容器2内の内容物は、第1摺動筒部121が連通口114Bを覆っているので、充填空間102Aに充填されない。これにより、一定量の内容物を注出する。
なお、注出位置において、弾性片部113の係合突出部113Bは、案内溝部123Aの上端に係止する。そのため、外側部材102は、注出位置で位置決めされる。
【0046】
その後、外側部材102を上方に押し込み、中間位置を経て、図4に示すように、外側部材102を充填位置に再度位置付ける。充填位置では、上述と同様に、容器2内の内容物が充填空間102Aに再び充填される。
なお、充填位置において、第1摺動筒部121の上端は、円環部31の下面に突き当てられる。これにより、外側部材102は、充填位置に位置決めされる。
以上のようにして、一定量の内容物を計量、注出する。
【0047】
ここで、案内溝部123Aは、上下方向に延在する直線状をなしているが、例えば図8に示すように、径方向から見てL字状をなす案内溝部123A’であってもよい。この案内溝部123A’の周方向の幅は、係合突出部113Bの周方向の幅と同等となっており、案内溝部123A’の下端部には、周方向に延びる係合溝部123B’が形成されている。
係合突出部113Bは、外側部材102’が充填位置にあるときに、内側部材101に対して周方向に回転させることによって、この係合溝部123B’に係合される。このとき、外側部材102’は、係合突出部113Bが係合溝部123B’に係止すると共に第1摺動筒部121の上端が円環部31の下面に突き当たることによって、上下方向の移動が規制される。
外側部材102’を充填位置から注出位置へ移動させる場合には、外側部材102’を周方向に回転させて係合突出部113Bを係合溝部123B’から離脱させる。これにより、外側部材102’は、案内溝部123A’に沿って上下方向に移動可能になる。この場合、第1摺動筒部121の上端が円環部31の下面に突き当たらない構成としても、正確に充填位置とすることができる。
【0048】
次に、内側部材101及び外側部材102の分解方法について説明する。
まず、外側部材102を充填位置に位置付けた状態で、図5の矢印A2及び図6の矢印A3に示すように、一対の弾性片部113を摘んで径方向内方に弾性変形させる。これにより、弾性片部113の係合突出部113Bと第2摺動筒部123の案内溝部123Aとが係合解除される。そして、図6の矢印A4に示すように、外側部材102を内側部材101に対して周方向に回転させ、係合突出部113Bと案内溝部123Aとの周方向の位置をずらす。さらに、一対の弾性片部113の摘みを解除して弾性片部113を元の状態に復元変形させる。
このとき、係合突出部113Bと案内溝部123Aとの周方向の位置をずらしているため、弾性片部113が復元変形しても、係合突出部113Bは、案内溝部123Aに収容されない。
【0049】
この状態で外側部材102を引き下げると、外側部材102が注出位置に到達しても係合突出部113Bが案内溝部123Aの上端に係止しないため、外側部材102は、注出位置において移動が停止されることなくさらに下方に移動する。その後、外側部材102は、内側部材101から引き抜かれ、内側部材101から取り外される。
以上のようにして、内側部材101から外側部材102を取り外す。
このとき、第1摺動筒部121の内径を、係合突出部113Bの外径以上としておくことが好ましい。
【0050】
以上のような構成の計量注出器100においても、上述と同様の作用、効果を奏するが、中間位置が設定されているので、充填空間102Aの容積に応じた一定量の注出がより確実に行われる。また、一対の弾性片部113を摘んだ状態で外側部材102を周方向に回転させることで一対の弾性片部113の摘みを解除しても係合突出部113Bが案内溝部123Aと係合することを防止できるので、内側部材101及び外側部材102の分解がさらに容易になる。
【0051】
次に、本発明による計量注出器の第3実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、ここで説明する実施形態は、その基本的構成が上述した第1及び第2実施形態と同様であり、上述の第1及び第2実施形態に別の要素を付加したものである。したがって、図9から図11においては、図1から図8と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略する。
【0052】
本実施形態における計量注出器200では、図9及び図10に示すように、内側部材201が外側部材202に対して上下方向で移動する。
内側部材201は、図9に示すように、上側から順に連設された一対の弾性片部211、連通部212及び栓体部213を備えている。
一対の弾性片部211は、連通部212から上方に向けて延びる帯状部材であり、中心軸Oを挟んで径方向で対向するように形成されている。弾性片部211の上下方向の中間部分には、径方向外方に向けて係合突出部211Aが突設されている。この係合突出部211Aは、外側部材202の後述する嵌合筒部(第1係合部)222Aの上端に当接している。
【0053】
連通部212は、円筒状をなしており、連通部212の内部には、連通路212Aが形成されている。また、連通部212の下端部には、連通路212Aと連通部212の径方向外方とを連通する連通口212Bが周方向に間隔をあけて複数形成されている。
栓体部213は、有頂円筒状をなしており、円錐椀状の天板部214と、天板部214よりも下方に配設された円筒状の本体部215と、を有する。
天板部214は、内径及び外径が上方に向かうにしたがって漸次縮径し、下方に向けて開口している。
本体部215は、内径及び外径が下方に向かうにしたがって段階的に拡径する円筒状をなしており、上側から順に連設された上筒部216、中間筒部217及び下筒部218を有する。
【0054】
上筒部216の外径は、連通部212の外径と同等となっている。
中間筒部217は、内径及び外径が上筒部216の内径及び外径よりも大きくなっており、中間筒部217と上筒部216との接続部分には、段部が形成されている。
下筒部218の内径及び外径は、中間筒部217の内径及び外径よりも大きくなっている。また、下筒部218には、下筒部218の内部と径方向外方とを連通する流通口218Aが周方向で間隔をあけて複数形成されている。この流通口218Aは、後述する第2摺動筒部(摺動筒部,停止部)224によって径方向外方から覆われている。さらに、下筒部218の下端部には、径方向外方に向けて円環状の操作片部218Bが突設されている。係合突出部211Aが後述する嵌合筒部222Aの上端に当接した状態において、この操作片部218Bと上記第2摺動筒部224の下端との間の上下方向の距離は、上筒部216及び中間筒部217の接続部分と後述する第1摺動筒部(摺動筒部)222の下端との間の上下方向の距離と同等となっている。
【0055】
外側部材202は、内側部材201に外嵌されており、上側から順に連設された装着筒部221、第1摺動筒部222、充填部223及び第2摺動筒部224を備える。
装着筒部221の嵌合筒部222Aの上端には、弾性片部211の係合突出部211Aが当接している。
第1摺動筒部222は、装着筒部221の下端から下方に向けて延在しており、第1摺動筒部222の上端には、嵌合筒部222Aが上方に突設されている。また、第1摺動筒部222及び嵌合筒部222Aそれぞれの内径は、連通部212及び栓体部213の上筒部216それぞれの外径と同等となっている。そのため、第1摺動筒部222及び嵌合筒部222Aは、連通部212及び栓体部213の上筒部216それぞれの外周面に摺接する。
【0056】
充填部223は、上側及び下側部材225、226を嵌合させることによって形成されている。また、充填部223の下端には、注出口223Aが形成されている。
第2摺動筒部224は、内径が栓体部213の下筒部218の外径と同等となっており、下筒部218の外周面に摺接する。
【0057】
このように、内側部材201は、係合突出部211Aが嵌合筒部222Aの上端に当接する充填位置と、上筒部216及び中間筒部217の接続部分が第1摺動筒部222の下端に当接すると共に操作片部218Bが第2摺動筒部224の下端に当接する注出位置と、の間で上下方向に往復移動可能となっている。そして、嵌合筒部222Aと第1及び第2摺動筒部222、224とは、内側部材201が上下方向に移動していくと、連通口212B及び流通口218Aを同時には充填空間202Aに対して開放しない。さらに、嵌合筒部222Aと第1及び第2摺動筒部222、224とは、内側部材201が充填位置から注出位置に移動していくと、連通口212Bを閉塞するまで流通口218Aを開放しない。
【0058】
次に、以上のような構成の計量注出器200による内容物の注出方法について説明する。
まず、図9に示すように、内側部材201を外側部材202に対して引き下げて充填位置とする。充填位置において、第1摺動筒部222は、下端が連通口212Bの下端よりも上方に位置しているので、連通口212Bを充填空間202Aに対して開放している。そのため、容器2内に収容されている内容物が充填空間202A内に充填される。一方、第2摺動筒部224は、上端が流通口218Aの上端よりも上方に位置しているので、流通口218Aを閉塞している。そのため、注出口223Aは、栓体部213によって閉塞されている。これにより、充填空間202A内に充填された内容物は、注出口223Aから計量注出器200の外部に注出されない。
【0059】
次に、内側部材201を上方に押し込むと、内側部材201は、嵌合筒部222A、第1摺動筒部222及び第2摺動筒部224の内周面に沿って上方に摺動する。そして、連通部212の連通口212Bは、充填位置と注出位置との間の中間位置において、第1摺動筒部222の下端を越えて第1摺動筒部222及び嵌合筒部222Aにより径方向外方から覆われる。これにより、連通口212Bは、閉塞される。一方、流通口218Aは、この中間位置において、上端が第2摺動筒部224の上端に達しておらず、依然として第2摺動筒部224によって覆われている。このため、注出口223Aは、閉塞されている。
【0060】
そして、図10に示すように、内側部材201をさらに上方に押し込んで注出位置に位置付けると、流通口218Aは、上端が第2摺動筒部224の上端を越える。このため、注出口223Aは、開放され、下筒部218の内部を介して計量注出器200の外部と充填空間202Aとが連通する。これにより、充填空間202Aに充填されている内容物は、注出口223Aから計量注出器200の外部に注出される。一方、容器2内の内容物は、連通口212Bが閉塞されているので、充填空間202Aに充填されない。これにより、一定量の内容物を注出する。
なお、注出位置において、上筒部216及び中間筒部217の接続部分は、第1摺動筒部222の下端に当接し、操作片部218Bは、第2摺動筒部224の下端に当接する。そのため、内側部材201は、注出位置で位置決めされる。
【0061】
その後、内側部材201を引き下げ、中間位置を経て、図9に示すように、内側部材201を充填位置に再度位置付ける。充填位置では、上述と同様に、容器2内の内容物が充填空間202Aに再び充填される。
なお、充填位置において、弾性片部211の係合突出部211Aは、嵌合筒部222Aの上端に当接する。これにより、内側部材201は、充填位置に位置決めされる。
以上のようにして、一定量の内容物を計量、注出する。
【0062】
次に、内側部材201及び外側部材202の分解方法について説明する。
まず、外側部材202の装着筒部221と容器2の口部3との螺合を解除することにより、計量注出器200を容器2の口部3から取り外す。そして、図11の矢印A5に示すように、一対の弾性片部211を摘んで径方向内方に弾性変形させる。これにより、弾性片部211の係合突出部211Aと嵌合筒部222Aとの係合が解除される。そして、内側部材201を外側部材202に対して下方に押し込む。
以上のようにして、内側部材201を外側部材202から取り外す。
【0063】
以上のような構成の計量注出器200においても、上述と同様の作用、効果を奏する。
【0064】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることができる。
例えば、装着筒部は、口部に螺着する構成となっているが、口部に嵌合して装着する構成など、他の構成であってもよい。また、内側部材または外側部材は、口部に装着される装着筒部を有しているが、別の装着部材を用いて口部に取り付けられてもよい。
弾性片部は、一対設けられているが、1以上設けられていればよい。
内側部材及び外側部材は、例えば第1実施形態において第1摺動筒部の上端が円環部の下面に突き当たることによって注出位置で相対的に位置決めされているが、充填位置及び注出位置においてスナップ係合するような他の構成であってもよく、充填位置と注出位置との間で往復移動可能であれば、位置決めしない構成としてもよい。
充填位置と注出位置との間に中間位置を設定しているが、中間位置を設定しなくてもよい。
連通路は、装着筒部内と連通口とを接続する流路であればよく、溝状など、他の形状であってもよい。
外側部材は、第1及び第2摺動筒部を有しているが、内側部材に対する外側部材の往復移動が安定して行えれば、第1及び第2摺動筒部の一方または双方を有していなくてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0065】
この発明によれば、内側部材及び外側部材の分解の容易性を向上させた計量注出器に関して、産業上の利用可能性が認められる。
【符号の説明】
【0066】
1,100,200 計量注出器、2 容器、3 口部、11,101,201 内側部材、12,102,102’,202 外側部材、12A,102A,202A 充填空間、22,111,212 連通部、23,112,213 栓体部、24,113,211 弾性片部、24A,113B,211A 係合突出部(第2係合部)、31 円環部(停止部)、32A,114A,212A 連通路、32B,114B,212B 連通口、41,121,222 第1摺動筒部(摺動筒部)、42,122,223 充填部、42A,122A,223A 注出口、43,123 第2摺動筒部(摺動筒部)、52 第1連設筒部(停止部)、56 第2小径部(第1係合部)、123A,123A’ 案内溝部(第1係合部)、218B 操作片部(停止部)、224 第2摺動筒部(摺動筒部,停止部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側部材と、前記内側部材に相対移動可能に外嵌され、該内側部材との間に充填空間を形成する中空の外側部材と、を備え、内容物を収容する容器の口部に取り付けられる計量注出器であって、
前記内側部材が、前記口部内に連通する連通路及び前記連通路と前記充填空間とを連通する連通口が形成された連通部と、前記充填空間内の内容物を注出する前記外側部材に形成された注出口を開閉する栓体部と、径方向内方に弾性変形する弾性片部と、を有し、
前記内側部材及び前記外側部材のうちの一方が、前記連通口を開放しかつ前記注出口を閉塞する充填位置と、前記連通口を閉塞しかつ前記注出口を開放する注出位置と、の間で往復移動可能であり、
前記弾性片部が、少なくとも一部が前記外側部材から露出可能に配設され、径方向外方に突出して前記外側部材に形成された第1係合部に係合することで前記外側部材の前記内側部材からの離脱を規制する第2係合部を有することを特徴とする計量注出器。
【請求項2】
前記弾性片部が、径方向に間隔をあけて一対形成されていることを特徴とする請求項1に記載の計量注出器。
【請求項3】
前記第2係合部が、前記外側部材を前記内側部材に対して前記充填位置及び前記注出位置のうちの一方で相対的に停止させることを特徴とする請求項1または2に記載の計量注出器。
【請求項4】
前記外側部材を前記内側部材に対して前記充填位置及び前記注出位置のうちの他方で相対的に停止させる停止部を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の計量注出器。
【請求項5】
前記充填位置と前記注出位置との間に、前記連通口及び前記注出口が閉塞される中間位置が設定されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の計量注出器。
【請求項6】
前記外側部材が、前記内側部材の外周面に沿って相対的に摺動する摺動筒部を有することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の計量注出器。
【請求項1】
内側部材と、前記内側部材に相対移動可能に外嵌され、該内側部材との間に充填空間を形成する中空の外側部材と、を備え、内容物を収容する容器の口部に取り付けられる計量注出器であって、
前記内側部材が、前記口部内に連通する連通路及び前記連通路と前記充填空間とを連通する連通口が形成された連通部と、前記充填空間内の内容物を注出する前記外側部材に形成された注出口を開閉する栓体部と、径方向内方に弾性変形する弾性片部と、を有し、
前記内側部材及び前記外側部材のうちの一方が、前記連通口を開放しかつ前記注出口を閉塞する充填位置と、前記連通口を閉塞しかつ前記注出口を開放する注出位置と、の間で往復移動可能であり、
前記弾性片部が、少なくとも一部が前記外側部材から露出可能に配設され、径方向外方に突出して前記外側部材に形成された第1係合部に係合することで前記外側部材の前記内側部材からの離脱を規制する第2係合部を有することを特徴とする計量注出器。
【請求項2】
前記弾性片部が、径方向に間隔をあけて一対形成されていることを特徴とする請求項1に記載の計量注出器。
【請求項3】
前記第2係合部が、前記外側部材を前記内側部材に対して前記充填位置及び前記注出位置のうちの一方で相対的に停止させることを特徴とする請求項1または2に記載の計量注出器。
【請求項4】
前記外側部材を前記内側部材に対して前記充填位置及び前記注出位置のうちの他方で相対的に停止させる停止部を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の計量注出器。
【請求項5】
前記充填位置と前記注出位置との間に、前記連通口及び前記注出口が閉塞される中間位置が設定されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の計量注出器。
【請求項6】
前記外側部材が、前記内側部材の外周面に沿って相対的に摺動する摺動筒部を有することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の計量注出器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−95460(P2013−95460A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−238750(P2011−238750)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】
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