説明

計量装置及び印刷機能付き電子秤

【課題】計量装置での計量性能が低下することを抑制しつつ、当該計量装置の高さを抑えることが可能な技術を提供する。
【解決手段】計量皿150を支持する上側構造体200と、当該上側構造体200と隙間をあけて嵌り合う下側構造体300とは筐体500を成している。筐体500内には計量センサ400が収納されている。計量センサ400の一方端部430は上側構造体200の内側の面201に、計量センサ400の他方端部440は下側構造体300の内側の面301にそれぞれ取り付けられている。上側構造体200の内側の面201における、計量センサ400の一方端部430が取り付けられる取付面の周囲には壁部が立設されている。下側構造体300の内側の面301における、計量センサ400の他方端部440が取り付けられる取付面の周囲には壁部が立設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計量対象物の重量を計量する計量装置の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1〜4にも記載されているように、従来から計量装置の構造に関して様々な技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−13975号公報
【特許文献2】実開昭61−96337号公報
【特許文献3】実開昭54−180769号公報
【特許文献4】特開平7−159256号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されているように、計量装置においては、その高さ(厚み)を抑えることが望まれている。
【0005】
一方で、計量装置の高さを抑えようとすると、計量装置の剛性が低下して、計量性能が低下することがある。
【0006】
そこで、本発明は上述の点に鑑みて成されたものであり、計量装置での計量性能が低下することを抑制しつつ、当該計量装置の高さを抑えることが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1に係る計量装置は、計量対象物が載置される計量皿と、前記計量皿を支持する上側構造体と、前記上側構造体と隙間をあけて嵌り合う下側構造体と、前記上側及び下側構造体から成る筐体内に収納され、前記計量対象物の重量を検出する計量センサとを備え、前記計量センサの一方端部及び他方端部は、前記上側及び下側構造体の内側の面にそれぞれ取り付けられ、 前記上側構造体の前記内側の面における、前記計量センサの前記一方端部が取り付けられる取付面の周囲には、第1壁部が立設されており、前記下側構造体の前記内側の面における、前記計量センサの前記他方端部が取り付けられる取付面の周囲には、第2壁部が立設されている。
【0008】
また、請求項2に係る計量装置は、請求項1に記載の計量装置であって、前記上側構造体の前記内側の面には、前記下側構造体の前記第2壁部が入り込む第1凹部が設けられ、前記下側構造体の前記内側の面には、前記上側構造体の前記第1壁部が入り込む第2凹部が設けられている。
【0009】
また、請求項3に係る計量装置は、請求項1及び請求項2のいずれか一つに記載の計量装置であって、前記上側構造体における、前記計量センサの前記一方端部が取り付けられる取付部分は、前記上側構造体の前記取付面側に凸状となっており、前記計量センサの前記一方端部における、前記上側構造体が取り付けられる取付面は凹状となっており、前記上側構造体の前記取付部分における、前記取付面とは反対側の面には、当該取付部分と前記計量センサの前記一方端部とを取り付けるためのボルトの頭部が収納される座ぐり穴が設けられている。
【0010】
また、請求項4に係る計量装置は、請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載の計量装置であって、前記下側構造体における、前記計量センサの前記他方端部が取り付けられる取付部分は、前記下側構造体の前記取付面側に凸状となっており、前記計量センサの前記他方端部における、前記下側構造体が取り付けられる取付面は凹状となっており、前記下側構造体の前記取付部分における、前記取付面とは反対側の面には、当該取付部分と前記計量センサの前記他方端部とを取り付けるためのボルトの頭部が収納される座ぐり穴が設けられている。
【0011】
また、請求項5に係る計量装置は、請求項1乃至請求項4のいずれか一つに記載の計量装置であって、前記上側構造体の前記取付面は凸面を有し、当該凸面と前記計量センサの前記一方端部とが接触する、あるいは、前記計量センサの前記一方端部における、前記上側構造体が取り付けされる取付面は凸面を有し、当該凸面と前記上側構造体の前記取付面とが接触する。
【0012】
また、請求項6に係る計量装置は、請求項1乃至請求項5のいずれか一つに記載の計量装置であって、前記下側構造体の前記取付面は凸面を有し、当該凸面と前記計量センサの前記他方端部とが接触する、あるいは、前記計量センサの前記他方端部における、前記下側構造体が取り付けされる取付面は凸面を有し、当該凸面と前記下側構造体の前記取付面とが接触する。
【0013】
また、請求項7に係る計量装置は、請求項1乃至請求項4のいずれか一つに記載の計量装置であって、前記上側構造体の前記取付面には、前記計量センサの前記一方端部が第1スペーサを介して取り付けられ、前記第1スペーサにおける、前記計量センサ側の面は、当該計量センサの前記一方端部と接触する凸面を有する。
【0014】
また、請求項8に係る計量装置は、請求項1乃至請求項4及び請求項7のいずれか一つに記載の計量装置であって、前記下側構造体の前記取付面には、前記計量センサの前記他方端部が第2スペーサを介して取り付けられ、前記第2スペーサにおける、前記計量センサ側の面は、当該計量センサの前記他方端部と接触する凸面を有する。
【0015】
また、請求項9に係る計量装置は、請求項5乃至請求項8のいずれか一つに記載の計量装置であって、前記凸面は複数設けられている。
【0016】
また、請求項10に係る印刷機能付き電子秤は、請求項1乃至請求項9のいずれか一つに記載の計量装置と、前記計量装置が載置される装置本体と、前記装置本体に収納され、前記計量装置での計量結果に関連した情報を印刷対象物に印刷して当該印刷対象物を前記装置本体の外側に排出する印刷装置とを備える。
【発明の効果】
【0017】
請求項1乃至請求項10に係る発明によれば、計量センサの一方端部が取り付けられる上側構造体と、計量センサの他方端部が取り付けられる下側構造体とが、計量センサを収納する筐体を成しているため、上側構造体及び下側構造体とは別に筐体を設ける必要がない。よって、計量装置の高さを抑えることができる。
【0018】
さらに、各構造体における計量センサの取付面の周囲には壁部が設けられているため、当該取付面の剛性を維持しつつ、各構造体のそれぞれの高さを全体的に低くすることができる。よって、計量時に当該取付面が変形して計量性能が低下することを抑制しつつ、計量装置の高さを抑えることができる。
【0019】
特に、請求項2に係る発明によれば、一方の構造体の取付面の周囲の壁部が、他方の構造体の凹部に入り込むため、上側構造体及び下側構造体から成る筐体の高さを抑えることができる。よって、計量装置の高さをさらに抑えることができる。
【0020】
特に、請求項3に係る発明によれば、上側構造体の取付部分が取付面側に凸状となるとともに、計量センサの一方端部の取付面が凹状となっているため、上側構造体における凸状の取付部分と、計量センサにおける、凹状の取付面による凹み部分とが嵌り合うようになる。これにより、上側構造体の取付部分の高さを、当該取付部分に座ぐり穴を設けることができるだけ確保しつつ、上側構造体における、取付部分以外の部分の高さを低くして、計量センサ及び上側構造体全体での高さを抑えることができる。よって、筐体の高さを抑えることができる。
【0021】
特に、請求項4に係る発明によれば、下側構造体の取付部分が取付面側に凸状となるとともに、計量センサの他方端部の取付面が凹状となっているため、下側構造体における凸状の取付部分と、計量センサにおける、凹状の取付面による凹み部分とが嵌り合うようになる。これにより、下側構造体の取付部分の高さを、当該取付部分に座ぐり穴を設けることができるだけ確保しつつ、下側構造体における、取付部分以外の部分の高さを低くして、計量センサ及び下側構造体全体での高さを抑えることができる。よって、筐体の高さを抑えることができる。
【0022】
特に、請求項5に係る発明によれば、上側構造体あるいは計量センサの取付面が凸面を有しているため、計量センサの取付面に発生する応力が集中することになる。よって、計量センサの取付面での応力の発生具合がばらつくことを抑制することができる。その結果、計量結果がばらつくことを抑制することができ、計量特性が向上する。
【0023】
さらに、上側構造体と計量センサとの間の接触圧力を高めることができるため、上側構造体と計量センサとがずれにくくなる。その結果、計量特性がさらに向上する。
【0024】
さらに、上側構造体あるいは計量センサの取付面が凸面を有するため、上側構造体あるいは計量センサにおいて凸面の位置がばらつくことを抑制できる。よって、計量センサの取付面での応力の発生具合がばらつくことをさらに抑制することができる。その結果、計量結果がばらつくことをさらに抑制でき、計量特性がさらに向上する。
【0025】
特に、請求項6に係る発明によれば、下側構造体あるいは計量センサの取付面が凸面を有しているため、計量センサの取付面に発生する応力が集中することになる。よって、計量センサの取付面での応力の発生具合がばらつくことを抑制することができる。その結果、計量結果がばらつくことを抑制することができ、計量特性が向上する。
【0026】
さらに、下側構造体と計量センサとの間の接触圧力を高めることができるため、下側構造体と計量センサとがずれにくくなる。その結果、計量特性がさらに向上する。
【0027】
さらに、下側構造体あるいは計量センサの取付面が凸面を有するため、下側構造体あるいは計量センサにおいて凸面の位置がばらつくことを抑制できる。よって、計量センサの取付面での応力の発生具合がばらつくことをさらに抑制することができる。その結果、計量結果がばらつくことをさらに抑制でき、計量特性がさらに向上する。
【0028】
特に、請求項7に係る発明によれば、上側構造体と計量センサとの間に介在するスペーサの計量センサ側の面が有する凸面と計量センサとが接触するため、計量センサの取付面に発生する応力が集中することになる。よって、計量センサの取付面での応力の発生具合がばらつくことを抑制することができる。その結果、計量結果がばらつくことを抑制することができ、計量特性が向上する。
【0029】
特に、請求項8に係る発明によれば、下側構造体と計量センサとの間に介在するスペーサの計量センサ側の面が有する凸面と計量センサとが接触しているため、計量センサの取付面において発生する応力が集中することになる。よって、計量センサの取付面での応力の発生具合がばらつくことを抑制することができる。その結果、計量結果がばらつくことを抑制することができ、計量特性が向上する。
【0030】
特に、請求項9に係る発明によれば、複数の凸面の間では高さ及び位置関係がばらつきにくいことから、計量センサの取付面での応力の発生具合にばらつきが生じることを抑制することができる。その結果、計量結果がばらつくことを抑制することができ、計量特性がさらに向上する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施の形態に係る電子秤の外観を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る電子秤の外観を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る計量装置の外観を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る計量装置の断面構造を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る計量装置から計量皿が取り外された様子を示す平面図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る計量装置から計量皿が取り外された様子を示す平面図である。
【図7】本発明の実施の形態に係るロードセルの構造を示す斜視図である。
【図8】本発明の実施の形態に係るロードセルの断面構造を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態に係る下側構造体の構造を示す斜視図である。
【図10】本発明の実施の形態に係る下側構造体に各部品を取り付けた様子を示す斜視図である。
【図11】本発明の実施の形態に係る上側構造体の構造を示す斜視図である。
【図12】本発明の実施の形態に係る上側構造体、計量センサ及び下側構造体の断面構造を示す図である。
【図13】本発明の実施の形態に係る上側構造体、計量センサ及び下側構造体の断面構造を示す図である。
【図14】本発明の実施の形態に係る上側構造体、計量センサ及び下側構造体の断面構造を示す図である。
【図15】本発明の実施の形態に係る計量装置と比較される計量装置の上側構造体、計量センサ及び下側構造体の断面構造を示す図である。
【図16】本発明の実施の形態に係る上側構造体、計量センサ及び下側構造体の変形例の断面構造を示す図である。
【図17】本発明の実施の形態に係る上側構造体、計量センサ及び下側構造体の変形例の断面構造を示す図である。
【図18】本発明の実施の形態に係るスペーサの構造を示す斜視図である。
【図19】本発明の実施の形態に係る上側構造体、計量センサ及び下側構造体の変形例の断面構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1は本発明の実施の形態に係る電子秤100の外観を示す斜視図である。スーパーマーケット、百貨店等の食料品売り場、専門店等で行われている販売態様の1つに、販売員と客とが陳列ケース等をはさんで向かい合った状態で、販売員が客と対面してコミュニケーションを取りつつ客に商品を販売する、所謂「対面販売」がある。本実施の形態に係る電子秤100は、例えば、この対面販売において使用されるものであって、商品の重量を計量するとともに、計量結果に関連した情報(商品の正味重量、商品の価格等)をラベル8に印刷する「印刷機能付き電子秤」である。電子秤100は、例えば、客に商品を計り売りする対面販売が行われるスーパーマーケットの惣菜売り場等において、その前側を販売員側に、その後側を客側向けて配置される。
【0033】
電子秤100は、装置本体10の上面に載置された計量装置1と、装置本体10内に収納された印刷装置2と、装置本体10の前側に配置された販売員側表示装置3と、装置本体10の後側に配置された客側表示装置4とを備えている。また、装置本体10の内部には、これらの構成要素を制御する制御部5が設けられている。
【0034】
計量装置1は、その上面に載置された計量対象物(ここでは商品)の重量を計量する。計量装置1は、制御部5と例えば有線で接続されており、計量結果を制御部5に出力する。本実施の形態に係る計量装置1は、装置本体10から離して配置することが可能である。図2は、計量装置1が装置本体10から離して配置されている様子を示す図である。この場合には、図2に示されるように、計量装置1の裏面の四隅のそれぞれには足部材11から取り付けられる。そして、装置本体10の裏面から取り出された、制御部5に接続されたケーブル12が、計量装置1に接続されることによって、制御部5と計量装置1とが有線接続される。
【0035】
なお、計量装置1が装置本体10に搭載される場合には、制御部5に接続されたケーブル12は、装置本体10の上面の開口部10aから取り出されて、計量装置1と接続される。本例では、制御部5と計量装置1とを有線で接続したが、無線で接続しても良い。
【0036】
印刷装置2は、計量対象物に関する情報を、裏面に粘着性を有するラベル8(印刷対象物)の表面に対して、文字、図形及び記号等の形で印刷する。ラベル8に印刷される情報には、計量装置1における計量結果に関連した情報が含まれる。印刷後のラベル8はラベル発行口2aから装置本体10の外部に排出されて、販売員は、排出されたラベル8を切り取って、これを計量装置1の上面に載置されている商品に貼付する。
【0037】
販売員側表示装置3は、ユーザ(例えば、販売員)からの操作を受け付ける操作パネルとして機能する。販売員側表示装置3は、例えば、タッチパネル31と、複数の入力キー32とを備える。タッチパネル31は、例えば液晶ディスプレイによって構成されており、画面に文字や図形等を表示する表示機能と、指や専用のペンで画面に触れることによって画面上の位置を指定できるタッチパネル機能とを備えている。各入力キー32は、当該キー32に対応する文字や数字の入力、あるいは、定められた機能を電子秤100に実行させるための指示の入力に使用される。販売員は、タッチパネル31のタッチパネル機能、あるいは入力キー32を使用して、電子秤100に各種の指示等を入力することができる。
【0038】
客側表示装置4は、客に対して各種の情報を表示する情報表示装置として機能する。制御部5は、客側表示装置4に、販促メッセージ(お勧め商品に関する情報、特価情報等)、計量中の商品(計量対象物)に関する情報(商品の重量、単価、商品価格等)等を表示させる。
【0039】
制御部5は、例えば、プログラム等が記憶されるメモリと、当該メモリが記憶するプログラムを実行するCPU等を備える。制御部5は、電子秤100が備える各構成要素を制御することによって電子秤100全体の動作を管理する。
【0040】
このように、本実施の形態に係る電子秤100では、装置本体10とは独立して計量装置1が設けられていることから、装置本体10に計量装置1の一部の部品(例えば、重量を検出する計量センサなど)が収納されている場合よりも、電子秤100の横幅(機幅)を小さくすることができる。
【0041】
次に電子秤100の全体の動作を説明する。上述したとおり、電子秤100は、対面販売が行われる売り場において、その前側を販売員側に、その後側を客側向けて配置される。
【0042】
客から商品の求めがあると、販売員は、求められた商品を計量装置1の上面に載置する。すると、計量装置1は、載置された商品を計量して、その計量結果を制御部5に出力する。
【0043】
一方で、販売員は、販売員側表示装置3を介して、客から求められた商品の種類を電子秤100に入力する。この入力操作は、具体的には、販売員が、客から求められた商品の種類に対応する入力キー32を操作する、あるいは、当該商品の種類に対応するタッチパネル31上の位置を指で触れることによって行われる。制御部5は当該入力操作を受け付けて、指定された商品の商品情報(商品の単位重量あたりの価格、消費期限、商品名等の各種情報)をメモリから読み出す。
【0044】
続いて、制御部5は、計量装置1から取得した商品の計量結果と、メモリから取得された商品情報とに基づいて、ラベルに印刷すべき情報(印刷情報)を取得する。例えば、制御部5は、商品の計量結果と商品の単位重量あたりの価格とに基づいて算出された商品の価格、商品の正味重量、定められた商品情報(商品の消費期限、商品名等)を、ラベル8に印刷すべき情報として取得する。
【0045】
そして、制御部5は、印刷装置2に、取得された印刷情報をラベル8に印刷させる。印刷処理が行われると、印刷情報が印刷されたラベル8がラベル発行口2aから排出される。販売員は、発行されたラベル8を切り取って計量装置1の上面に載置されている商品に貼付し、当該商品を客に渡す。
【0046】
なお、制御部5は、上記の一連の動作が行われている間、客側表示装置4に販促メッセージ、計量中の商品に関する情報等を表示させる。
【0047】
<計量装置の構造>
次に計量装置1の構造について説明する。最初に計量装置1の構造の概要について説明する。図3は計量装置1の外観を示す斜視図である。図4は図3の矢視A−Aにおける計量装置1の断面構造の概略を示す図である。なお、図4では足部材11の記載は省略している。以下では、図3,4に示されるXYZ直交座標系を用いて計量装置1の構造を説明する。Z軸方向は計量装置1の高さ方向(厚み方向)を示し、X軸方向は計量装置1の平面視での長手方向を示している。計量装置1が装置本体10に載置されると、X軸方向は電子秤の左右方向(機幅方向)と一致し、Y軸方向は電子秤100の前後方向と一致する。
【0048】
図3,4に示されるように、計量装置1は、計量対象物が載置される計量皿150と、上側構造体200と、下側構造体300と、計量センサ400とを備えている。計量装置1は、平面視上で、X軸方向にやや長い略長方形を成しており、薄型となっている。
【0049】
計量皿150は、例えば、アルミニウムやステンレス等の金属で形成されており、上側構造体200によって支持されている。計量皿150の裏面には、計量皿150を上側構造体200に対して位置決めするための複数の円柱状の位置決め突起部152が設けられている。後述するように、上側構造体200の上面には、計量皿150を支持する複数の円柱状の支持部材が取り付けられており、各支持部材には位置決め穴が設けられている。複数の位置決め突起部152は、上側構造体200の上面上の複数の支持部材の位置決め穴にそれぞれ挿入される。また、計量皿150の表面には、後述する水準器を外部から視認するための窓部151が設けられている。窓部151は透明樹脂等で形成される。
【0050】
上側構造体200と下側構造体300とは、隙間をあけて互いに嵌り合うことによって、計量装置1の筐体(ケース)500を構成している。計量センサ400は、この筐体500内に収納されている。上側構造体200及び下側構造体300のそれぞれは、例えば、アルミニウムやステンレス等の金属で形成されている。複数の足部材11は、下側構造体300の外側の面302の四隅に取り付けられる。
【0051】
上側構造体200の周端部210は、当該上側構造体200の内側に向かって曲がっている。下側構造体300の内側の面301の周端部には、当該内側の面301の中央部を取り囲むように突起部310が設けられている。上側構造体200と下側構造体300とは、上側構造体200の周端部210が下側構造体300の突起部310の外側において当該突起部310と対向するように嵌め合わされる。これより、上側構造体200の周端部210と下側構造体300の突起部310とで構成された二重構造によって、計量装置1の側面から当該計量装置1の内部に異物が入り込むことを抑制することができる。
【0052】
さらに、計量皿150の周端部153も、上側構造体200の周端部210と同様に、計量皿150の内側に向かって曲がっている。計量皿150が上側構造体200で支持されると、計量皿150の周端部153は、上側構造体200の周端部210と対向配置される。これにより、計量皿150の周端部153と、上側構造体200の周端部210と、下側構造体300の突起部310とで構成された三重構造によって、計量装置1の側面から当該計量装置1の内部に異物がさらに入り込みにくくなる。
【0053】
計量センサ400は、起歪体であるロードセル410と、一対の歪みゲージ450とで構成されている。ロードセル410は、例えばロバーバル型のロードセルであって、その中央部は、計量時に変形して歪みが生じる起歪部420となっている。ロードセル410の一方端部430は、上側構造体200の内側の面201に取り付けられており、ロードセル410の他方端部440は、下側構造体300の内側の面301に取り付けられている。一対の歪みゲージ450は、ロードセル410の起歪部420の上面と底面にそれぞれ取り付けられている。一対の歪みゲージ450は、起歪部420が歪むと、その歪みに応じた信号を出力する。
【0054】
以上のような構造を備える計量装置1では、計量皿150の上面に計量対象物が載置されると、計量皿150及び上側構造体200が下側(−Z方向)に沈んで、ロードセル410の一方端部430に荷重がかかるようになる。すると、その荷重に応じてロードセル410の起歪部420が歪み、その歪みに応じた信号が一対の歪みゲージ450から出力されるようになる。一対の歪みゲージ450の出力信号は、計量対象物の重量に応じた信号となっていることから、計量対象物の重量を示している。以後、一対の歪みゲージ450の出力信号を「計量信号」と呼ぶ。また、ロードセル410において、計量時に変位する一方端部430を「自由端部430」と呼び、計量時に変位しない他方端部440を「固定端部440」と呼ぶ。
【0055】
<計量装置の詳細構造>
次に計量装置の構造について詳細に説明する。図5は、計量皿150が取り外された計量装置1を示す平面図である。また図6は、図5に示される計量装置1から、上側構造体200に取り付けられているカバー部材600が取り外された様子を示す図である。
【0056】
図5,6に示されるように、上側構造体200は、平面視上において、四隅が円弧状に落とされた略四角形状を成している。下側構造体300は、平面視上において、略四角形状を成している。
【0057】
上側構造体200の外側の面202、つまり上側構造体200の上面(以後、「上面202」と呼ぶことがある)には、計量皿150を支持する複数の円柱状の支持部材630(図5の例では4つの支持部材630)が取り付けられている。各支持部材630には、上側構造体200に対する計量皿150の位置決めを行うための位置決め穴630aが設けられている。計量皿150は、その裏面に設けられた複数の位置決め突起部152が、複数の支持部材630の位置決め穴630aにそれぞれ挿入されるようにして、当該複数の支持部材630の上に搭載される。
【0058】
図6に示されるように、上側構造体200の上面202には、内側にネジが切られた複数のネジ穴240(図6の例では2つのネジ穴240)が形成されている。これらのネジ穴240には、図5に示される複数のボルト610が取り付けられる。また、上側構造体200の上面202には、複数のネジ穴240の近くに、筐体500内に設けられた後述するスイッチ部材720を露出させる露出穴241が設けられている。このスイッチ部材720が押されることによって計量時に基点となる重量が計量装置1に記憶される。
【0059】
上側構造体200において、ロードセル410の自由端部430が取り付けられるセル取付部分230の外側の面には、図6に示されるように、当該セル取付部分230とロードセル410の自由端部430を取り付けるための複数のボルト640(図6では波線で示している)の頭部が収納される座ぐり穴232が設けられている。座ぐり穴232の底面232aには、複数のボルト640の軸部がそれぞれ挿入される、内側にネジが切られていない複数のボルト挿入穴231が形成されている。これらのボルト挿入穴231は、セル取付部分230の内側の面まで達しており、ロードセル410の自由端部430に設けられた、内側にネジが切られた後述の複数のネジ穴とそれぞれ重なって位置している。複数のボルト640は、複数のボルト挿入穴231にそれぞれ挿入されて、ロードセル410の自由端部430に設けられた複数のネジ穴にそれぞれ取り付けられる。
【0060】
また、上側構造体200の四隅のそれぞれには、内側にネジが切られたネジ穴245が設けられている。各ネジ穴245は、上側構造体200において、その高さ方向に貫通している。各ネジ穴245には、上側構造体200の内側の面201からビス(図示せず)が取り付けられる。このビスは、上側構造体200に取り付けられる、ロードセル410の自由端部430の変位を規制するためのものである。計量皿150に過剰な負荷がかかった場合には、各ネジ穴245に取り付けられたビスが下側構造体300に当たり、それにより、ロードセル410の自由端部430が変位し過ぎることを抑制することができる。よって、ロードセル410のたわみ過ぎによる故障が発生することを抑制できる。
【0061】
図5に示されるように、上側構造体200の上面202には、露出しているスイッチ部材720及び複数のボルト640を覆うようにカバー部材600が取り付けられる。カバー部材600は、複数のネジ穴240にそれぞれ取り付けられる複数のボルト610によって、上側構造体200に取り付けられる。これにより、スイッチ部材720が簡単に操作されなくなり、複数のボルト640が簡単に取り外されなくなる。
【0062】
また上側構造体200の上面202には、筐体500内の水準器700を露出させるための露出穴250が設けられている。上側構造体200の上面202からは、筐体500内に収納された後述の基板を覆う基板カバー部材710のうち背の高い部分710aが露出している。上側構造体200の上面202上には、ウレタン等で構成されたクッション部材620が設けられている。クッション部材620は、基板カバー部材710の背の高い部分710aと、複数の支持部材630と、カバー部材600と、上側構造体200における、ロードセル410の固定端部440を覆うカバー部分220と、複数のネジ穴245とを露出するように形成されている。このクッション部材620により、計量時に計量皿150が変形して計量皿150と上側構造体200とが擦れることを抑制できる。
【0063】
下側構造体300の内側の面301の四隅には、円柱状の4つ突起部320がそれぞれ設けられている。これらの突起部320には、複数の足部材11(図3参照)がそれぞれ取り付けられる複数のネジ穴320aがそれぞれ設けられている。
【0064】
<ロードセルの詳細構造>
次にロードセル410の構造について詳細に説明する。図7はロードセル410の構造を示す斜視図である。図8はロードセル410の長手方向における断面構造の概略を示す図である。
【0065】
図7,8に示されるように、ロードセル410は、部分的に少し凹んでいる略直方体を成しており、上述のように、起歪部420と、ロードセル410の長手方向の一方端部である自由端部430と、ロードセル410の長手方向の他方端部である固定端部440とで構成されている。自由端部430における、上側構造体200が取り付けられる取付面431は凹状となっており、当該取付面431には、内側にネジが切られた複数のネジ穴435が設けられている。各ネジ穴435は、ロードセル410の自由端部430において厚み方向に貫通している。上側構造体200とロードセル410とを取り付けるための上述の複数のボルト640の軸部は、これらのネジ穴435にそれぞれ取り付けられる。
【0066】
固定端部440における、下側構造体300が取り付けられる取付面441とは反対側の面442には、下側構造体300とロードセル410とを取り付けるための後述する複数のボルトの頭部がそれぞれ収納される複数の座ぐり穴445が設けられている。各座ぐり穴445の底面には、ボルトの軸部が挿入されるボルト挿入穴446が形成されている。各ボルト挿入穴446の内側にはネジは切られておらず、取付面441まで達している。そして、図7に示されるように、ロードセル410の側面には、ロードセル410に貼り付けられる一対の歪みゲージ450からの計量信号を上述の筐体500内の基板まで伝達するためのケーブルをロードセル410から引き出すための引き出し穴449が形成されている。
【0067】
<上側構造体及び下側構造体の詳細構造>
次に上側構造体200及び下側構造体300の構造について詳細に説明する。図9は下側構造体300の構造を示す斜視図である。図10は計量センサ400等の各部品が取り付けられた下側構造体300を示す斜視図である。図11は上側構造体200を、その内側の面201から見た際の斜視図である。図9,10では、下側構造体300の計量装置1における姿勢を特定するために、図3,4のXYZ座標系を示している。また、図11では、上側構造体200の計量装置1における姿勢を特定するために、図3,4のXYZ座標系を示している。
【0068】
本実施の形態では、上側構造体200が備える各要素を200番台の符号で示している。また、下側構造体300が備える各要素を300番台の符号で示している。上側構造体200が備える複数の要素は一体成形されており、下側構造体300が備える複数の要素は一体成形されている。つまり、上側構造体200が備える複数の要素はつなぎ目無しに形成されており、下側構造体300が備える複数の要素はつなぎ目無しに形成されている。
【0069】
図9,10に示されるように、下側構造体300の内側の面301の周端部には、当該内側の面301の中央部を取り囲むように突起部310が設けられている。内側の面301のうち、突起部310で取り囲まれている領域には、基板730(図10参照)が配置される基板収納凹部330と、計量センサ400が配置されるセンサ収納凹部340とが設けられている。基板収納凹部330には水準器700も配置される。
【0070】
図10に示されるように、基板収納凹部330には、そこに配置された基板730を覆う基板カバー部材710が配置される。この基板カバー部材710の背の高い部分710aは、上述の図5,6に示されるように上側構造体200から露出する。基板730には、計量センサ400から出力される計量信号に対して増幅処理、フィルタ処理及びA/D変換処理などの各種処理を行う処理装置を構成する複数の部品や、上述のスイッチ部材720などが搭載されている。基板カバー部材710の上面には、スイッチ部材720を露出する露出穴710bが形成されている。
【0071】
センサ収納凹部340の底面341のうち、ロードセル410の固定端部440が取り付けられる取付面342は、当該底面341の他の領域よりも一段高くなっている。これにより、下側構造体300の内側の面301に、ロードセル410の固定端部440が取り付けられた際に、ロードセル410の自由端部430と、下側構造体300の内側の面301との間に隙間が形成されるようになる。その結果、計量時にロードセル410の自由端部430に荷重がかかると、当該自由端部430は下方に変位することが可能となる。
【0072】
下側構造体300における、ロードセル410の固定端部440が取り付けられるセル取付部分345には、その厚み方向に貫通する、内側にネジがきられた複数のネジ穴343が設けられている。各ネジ穴343は平面視で円形となっている。また、取付面342は複数の凸面344を有している。言い換えれば、セル取付部分345には当該セル取付部分345に一体成形された複数の凸部が設けられている。複数の凸面344は、複数のネジ穴343の周囲にそれぞれ設けられている。言い換えれば、取付面342の複数の凸面344の中央部に向かってそれぞれ開口するように、複数のネジ穴343がセル取付部分345に設けられている。これにより、取付面342では、各ネジ穴343の周囲が少し盛り上がっているようになっている。各凸面344の外形は平面視で円形となっている。
【0073】
取付面342の周囲には壁部350が設けられている。取付面342は平面視で略四角形状を成しており、壁部350は取付面342の三方を取り囲んでいる。このように、下側構造体300の内側の面301において、ロードセル410の固定端部440が取り付けられる取付面342の周囲に壁部350を立設することによって、取付面342が計量時に変形しにくくなる。したがって、計量時において、ロードセル410の取付状態が安定するため、計量特性が向上し、特に偏置特性が向上する。また、計量皿150に計量対象物を偏置したときの上側構造体200の変位量を抑制することができる。なお、偏置特性とは、計量皿150のどの部分に計量対象物が載置されたとしても、同じような計量結果が得られるという特性である。
【0074】
図12は、上側構造体200と下側構造体300とが嵌め合わされた際の上側構造体200、下側構造体300及びロードセル410におけるY軸方向の断面構造の概略を示す図である。図12に示されるように、センサ収納凹部340に計量センサ400が配置されると、ロードセル410の固定端部440に設けられた複数のボルト挿入穴446と、下側構造体300のセル取付部分345に設けられた複数のネジ穴343とが、それぞれ互いに重なるようになる。下側構造体300とロードセル410とを取り付けるための複数のボルト740のそれぞれの軸部740bには、平ワッシャ741とスプリングワッシャ742が取り付けられる。各ボルト740は、ロードセル410の固定端部440における、取付面441とは反対側の面442に設けられた座ぐり穴445から、当該座ぐり穴445に連通するボルト挿入穴446に挿入される。そして、各ボルト740の軸部740bは、下側構造体300に設けられた、内側にネジが切られたネジ穴343に締め付けられて取り付けられる。座ぐり穴445には、ボルト740の頭部740aが当該座ぐり穴445から飛び出さないように、当該頭部740aと、当該ボルト740に取り付けられた平ワッシャ741及びスプリングワッシャ742とが収納される。
【0075】
また、ロードセル410の固定端部440が下側構造体300の取付面342に取り付けられると、当該取付面342が有する複数の凸面344と、ロードセル410の固定端部440の取付面441とが接触するようになる。
【0076】
なお、図12の右側に示される、ロードセル410と上側構造体200との取付構造については後で説明する。
【0077】
図10に戻って、基板収納凹部330に配置された基板730と、センサ収納凹部340に配置された計量センサ400とは、ケーブル750で接続される。ケーブル750の一端は、計量センサ400の一対の歪みゲージ450と接続されている。ロードセル410の引き出し穴449から引き出されたケーブル750は、センサ収納凹部340と基板収納凹部330とを仕切る壁部に設けられた切り欠きを通って、基板収納凹部330に進入して、基板730に接続される。これにより、一対の歪みゲージ450から出力される計量信号が基板730上の処理装置に入力される。処理装置で処理された計量信号は、ケーブル12を用いて計量装置1の外部に取り出される。基板730と接続されたケーブル12は、下側構造体300に設けられた引き出し穴360を通って計量装置1の外部に引き出されて、電子秤100の装置本体10内の制御部5に接続される。これにより、基板730上の処理装置で各種処理が行われた計量信号(計量装置1での計量結果を示す信号)が制御部5に入力される。
【0078】
また、下側構造体300の内側の面301には、セル収納凹部340の周囲において、内側にネジが切られたネジ穴370が設けられている。このネジ穴370は、図10に示されるように、セル収納凹部340に配置されるロードセル410の自由端部430の近傍に位置するように形成されている。ネジ穴370には、ロードセル410の自由端部430の変位を規制するためのビス(図示せず)が取り付けられる。計量皿150に過剰な負荷がかかった場合には、ネジ穴370に取り付けられたビスに上側構造体200が当たり、それにより、ロードセル410の自由端部430が変位し過ぎることを抑制することができる。よって、ロードセル410のたわみ過ぎによる故障が発生することを抑制できる。
【0079】
次に、上側構造体200の構造について詳細に説明する。図11に示されるように、上側構造体200の内側の面201には、上側構造体200の剛性を高めるための壁部260が、当該内側の面201の大部分にわたって立設されている。また上側構造体200の内側の面201には、上側構造体200と下側構造体300とが嵌め合わされた際に、基板カバー部材710のうちの背の高い部分710aを露出させる露出穴270が設けられている。
【0080】
上側構造体200のセル取付部分230は、ロードセル410の自由端部430が取り付けられる取付面233を有している。セル取付部分230は、取付面233側に凸状となっており、ロードセル410の自由端部430における凹状の取付面431と接触する。つまり、取付面233は突出しており、ロードセル410の自由端部430における、凹んでいる取付面431と接触する。
【0081】
セル取付部分230の取付面233には、それとは反対側の面(上側構造体200の上面)に設けられた座ぐり穴232(図6参照)と連通する上述の複数のボルト挿入穴231が設けられている。取付面233は複数の凸面234を有している。複数の凸面234は、複数のボルト挿入穴231の周囲にそれぞれ設けられている。これにより、取付面233では、各ボルト挿入穴231の周囲が少し盛り上がっているようになっている。各凸面234の外形は平面視で円形となっている。
【0082】
取付面233の周囲には壁部280が設けられている。取付面233は平面視で略四角形状を成しており、壁部280は取付面233の三方を取り囲んでいる。このように、上側構造体200の内側の面201において、ロードセル410の自由端部430が取り付けられる取付面233の周囲に壁部280を立設することによって、計量時に取付面233が変形しにくくなる。したがって、計量時において、ロードセル410の取付状態が安定するため、計量特性が向上し、特に偏置特性が向上する。また、計量皿150に計量対象物を偏置したときの上側構造体200の変位量を抑制することができる。
【0083】
上述の図12に示されるように、ロードセル410の自由端部430が上側構造体200の取付面233に取り付けられると、当該取付面233が有する複数の凸面234と、ロードセル410の自由端部430の取付面431とが接触するようになる。
【0084】
また、センサ収納凹部340に計量センサ400が配置されると、ロードセル410の自由端部430に設けられた複数のネジ穴435と、上側構造体200のセル取付部分230に設けられた複数のボルト挿入穴231とが、それぞれ互いに重なるようになる。上側構造体200とロードセル410とを取り付けるための複数のボルト640のそれぞれの軸部640bには、平ワッシャ641とスプリングワッシャ642が取り付けられる。各ボルト640は、上側構造体200のセル取付部分230における、取付面233とは反対側の面に設けられた座ぐり穴232から、当該座ぐり穴232に連通するボルト挿入穴231に挿入される。そして、各ボルト640の軸部640bは、ロードセル410の自由端部430に設けられたネジ穴435に締め付けられて取り付けられる。座ぐり穴232には、ボルト640の頭部640aが当該座ぐり穴232から飛び出さないように、当該頭部640aと、当該ボルト640に取り付けられた平ワッシャ641及びスプリングワッシャ642とが収納される。
【0085】
図11に戻って、上側構造体200の内側の面201には、下側構造体300の内側の面301において取付面342の周囲に設けられた壁部350が入り込む凹部290が設けられている。凹部290の底面291のうち、ロードセル410の起歪部420と対向する領域には開口部292が設けられている。また、凹部290の底面291のうち、ロードセル410の固定端部440と対向する領域は一段下がっており、その結果、当該領域に凹部293が形成されている。上側構造体200において、この凹部293が形成されている部分が、ロードセル410の固定端部440を覆うカバー部分220(図5,6参照)となっている。
【0086】
図13は、上側構造体200の凹部290に下側構造体300の壁部350が入り込む様子を示す図である。図13には、上側構造体200と下側構造体300とが嵌め合わされた際の上側構造体200、下側構造体300及びロードセル410におけるX軸方向の断面構造の概略が示されている。
【0087】
図13に示されるように、上側構造体200と下側構造体300とが嵌め合わされると、下側構造体300の取付面342の周囲の壁部350は、上側構造体200の凹部290と接触しないように当該凹部290に入り込むようになる。したがって、上側構造体200と下側構造体300とを嵌め合わした際のそれらの高さ、つまり筐体500の高さを抑えつつ、下側構造体300の取付面342の剛性を高めることができる。
【0088】
また、上側構造体200と下側構造体300とが嵌め合わされると、上側構造体200の取付面233の周囲の壁部280は、下側構造体300のセンサ収納凹部340に入り込むようになる。図14はこの様子を示す図である。図14には、上側構造体200と下側構造体300とが嵌め合わされた際の上側構造体200、下側構造体300及びロードセル410におけるX軸方向の断面構造の概略が示されている。
【0089】
図14に示されるように、上側構造体200と下側構造体300とが嵌め合わされると、上側構造体200の取付面233の周囲の壁部280は、下側構造体300のセンサ収納凹部340と接触しないように、当該センサ収納凹部340に入り込むようになる。したがって、上側構造体200と下側構造体300とを嵌め合わした際のそれらの高さ、つまり筐体500の高さを抑えつつ、上側構造体200の取付面233の剛性を高めることがある。
【0090】
以上のように、本実施の形態では、計量センサ400の一方端部、つまりロードセル410の自由端部430が取り付けられる上側構造体200と、計量センサ400の他方端部、つまりロードセル410の固定端部440が取り付けられる下側構造体300とが、計量センサ400を収納する筐体500を成している。そのため、上側構造体200及び下側構造体300とは別に筐体を設ける必要がない。よって、計量装置1の高さを抑えることができる。
【0091】
さらに、上側構造体200におけるロードセル410の取付面233及び下側構造体300におけるロードセル410の取付面342の周囲には、壁部280,350がそれぞれ設けられている。そのため、上側構造体200の取付面233及び下側構造体300の取付面342の剛性を維持しつつ、上側構造体200及び下側構造体300のそれぞれの高さを全体的に低くすることができる。よって、計量時に取付面233,342が変形して計量精度が劣化することを抑制しつつ、計量装置1の高さを抑えることができる。
【0092】
また、本実施の形態では、上側構造体200の取付面233の周囲の壁部280が下側構造体300のセンサ収納凹部340に入り込むとともに、下側構造体300の取付面342の周囲の壁部350が上側構造体200の凹部290に入り込むため、上側構造体200及び下側構造体300から成る筐体500の高さを抑えることができる。よって、計量装置1の高さをさらに抑えることができる。
【0093】
また、本実施の形態では、上述の図12等に示されるように、上側構造体200のセル取付部分230が取付面233側に凸状となるとともに、ロードセル410における、上側構造体200に取り付けられる取付面431が凹状となっている。そのため、上側構造体200における凸状のセル取付部分230と、ロードセル410における、凹状の取付面431による凹み部分とが嵌り合うようになる。これにより、上側構造体200のセル取付部分230の高さを、当該セル取付部分230に座ぐり穴232を設けることができるだけ確保しつつ、上側構造体200における、セル取付部分230以外の部分の高さを低くして、計量センサ400及び上側構造体200全体での高さを抑えることができる。以下にこの効果について詳細に説明する。
【0094】
図15は、仮にロードセル410が完全な直方体であって、その取付面431が凹状となっていない場合での上側構造体200、下側構造体300及び計量センサ400の断面構造の概略を示す図である。
【0095】
図15に示される構造では、下側構造体300とロードセル410とを取り付けるための複数のボルト740が、下側構造体300の外側の面302から挿入されるようになっている。ロードセル410の固定端部440には、複数の座ぐり穴445及び複数のボルト挿入穴446の替わりに、内側にネジが切られた複数のネジ穴448が設けられている。一方で、下側構造体300のセル取付部分345には、複数のネジ穴343の替わりに複数の座ぐり穴390及び複数のボルト挿入穴391が設けられている。複数のボルト挿入穴391は、それらの内側にはネジが切られておらず、複数の座ぐり穴390とそれぞれ連通する。そして、下側構造体300の複数のボルト挿入穴391と、ロードセル410の複数のネジ穴448とはそれぞれ互いに重なって配置されている。各ボルト740は、下側構造体300の外側の面302から座ぐり穴390及びそれに連通するボルト挿入穴391に挿入され、当該ボルト740の軸部740bは、当該ボルト挿入穴391と重なっているネジ穴448に締め付けられて取り付けられる。ボルト740の頭部740aと、当該ボルト740に取り付けられた平ワッシャ741及びスプリングワッシャ742は座ぐり穴390に収納される。
【0096】
ここで、計量装置1においては、計量時にロードセル410の起歪部420が適切に変形できるように、上側構造体200とロードセル410との間と、ロードセル410と下側構造体300との間に、隙間を設ける必要がある。したがって、図15に示される構造においては、上側構造体200、計量センサ400及び下側構造体300全体での高さ、つまり筐体500の高さは、上側構造体200の高さ、上側構造体200とロードセル410との間の隙間、ロードセル410の高さ、ロードセル410と下側構造体300との間の隙間、下側構造体300の高さとで決定される。
【0097】
筐体500の高さを抑えるためには、ロードセル410の高さを低くすることが考えられる。ロードセル410の高さを低くすると、その起歪部420の高さが低くなることから、起歪部420がロバーバル変形しにくくなり、計量特性が悪化することがある。したがって、ロードセル410の高さを低くして筐体500の高さを抑えることには限界がある。
【0098】
また、上側構造体200及び下側構造体300の高さを全体的に低くして、筐体500の高さを抑えることが考えられるが、上側構造体200の高さを低くすると、ボルト640の頭部640aが突出しないように収納する座ぐり穴232を設けることができず、下側構造体300の高さを低くすると、ボルト740の頭部740aが突出しないように収納する座ぐり穴390を設けることができない。つまり、上側構造体200及び下側構造体300の高さを全体的に低くすると、ボルト640の頭部640a及びボルト740の頭部740aが外側に突出してしまう。したがって、上側構造体200及び下側構造体300の高さを全体的に低くして、筐体500の高さを抑えることも困難である。
【0099】
一方で、上述の特許文献2の技術では、ロードセルが取り付けられる荷受板及び台板のそれぞれに溝あるいは凹みを設けることによって、ロードセルの起歪部の変位に不可欠な高さ空間を確保している。この技術を使用することにより、上記の隙間の分、筐体500の高さを低くすることができる。しかしながら、特許文献2の技術を使用して筐体500の高さを抑えようとしても限界がある。
【0100】
本実施の形態では、上側構造体200のセル取付部分230が取付面233側に凸状となるとともに、ロードセル410における、上側構造体200に取り付けられる取付面431が凹状となっているため、上側構造体200における凸状のセル取付部分230と、ロードセル410における、凹状の取付面431による凹み部分とが嵌り合うようになる。これにより、図12に示されるように、上側構造体200のセル取付部分230の高さを、当該セル取付部分230に座ぐり穴232を設けることができるだけ確保しつつ、上側構造体200における、セル取付部分230以外の部分の高さを低くして、計量センサ400及び上側構造体200全体での高さを抑えることができる。よって、筐体500の高さを抑えることができる。
【0101】
なお、ロードセル410の側面を取付面として、当該取付面に対して、上側構造体200をボルト640で取り付ける場合には、ボルト640が、上側構造体200の高さ方向に垂直な方向から当該上側構造体200に挿入されることになる。したがって、この場合には、上側構造体200の高さ方向においては、ボルト640の頭部640a、平ワッシャ641及びスプリングワッシャ642の厚みを考慮する必要がなく、上側構造体200の高さを抑えることができる。しかしながら、この場合には、ロードセル410での取付面に対して平行に荷重がかかるようになり、ロードセル410と上側構造体200とがずれる方向と荷重がかかる方向とが一致するようになる。したがって、ロードセル410と上側構造体200とがずれやすくなり、計量特性が悪化することがある。さらに、ロードセル410の高さよりも、ボルト640、平ワッシャ641及びスプリングワッシャ642の径が大きくなると、これらの径に応じて筐体500を高くする必要があることから、ボルト640の頭部640a、平ワッシャ641及びスプリングワッシャ642の径は、ロードセル410の高さよりも小さくする必要がある。したがって、ロードセル410の高さをできるだけ低くした場合には、使用できるボルト640の軸部640bの径も小さくなり、当該ボルト640の締め付け力が小さくなる。この場合には、ロードセル410と上側構造体200との間でさらに滑りが生じやすくなることから、ロードセル410と上側構造体200とがさらにずれやすくなる。
【0102】
これに対して、本実施の形態では、筐体500の高さを抑えつつも、計量時においては、ロードセル410での取付面431に対して垂直方向に荷重がかかるようにしていることから、ロードセル410と上側構造体200とがずれる方向に対して垂直な方向に荷重がかかるようになる。よって、ロードセル410と上側構造体200とがずれにくくなる。また、ボルト640の軸部640bの径は、ロードセル410の高さの制限を受けないことから、ロードセル410をできるだけ低くしたとしても、ロードセル410と上側構造体200とがずれやすくなることを抑制できる。よって、計量特性の悪化を抑制することができる。
【0103】
また、上述の図12に示されるように、ロードセル410が、その固定端部440に座ぐり穴445を設けることができるだけの高さを有する場合には、下側構造体300に座ぐり穴を設ける必要がなくなるため、本実施の形態のように、下側構造体300の高さを抑えることができる。よって、筐体500の高さを抑えることができる。
【0104】
上記の例では、上側構造体200のセル取付部分230を凸状として、ロードセル410の自由端部430の取付面431を凹状としたが、これの替わりに、あるいはこれに加えて、下側構造体300のセル取付部分345を凸状として、ロードセル410の固定端部440の取付面441を凹状としても良い。図16は、図12に示される構造において、下側構造体300のセル取付部分345を凸状として、ロードセル410の固定端部440の取付面441を凹状とした場合が示されている。
【0105】
図16に示される構造においては、上述の図15に示される構造と同様に、下側構造体300とロードセル410とを取り付けるための複数のボルト740が、下側構造体300の外側の面302から挿入されるようになっている。ロードセル410の固定端部440には複数のネジ穴448が設けられている。下側構造体300のセル取付部分345では、取付面342に複数のボルト挿入穴391が設けられており、当該取付面342とは反対側の面に複数の座ぐり穴390が設けられている。各ボルト740は、下側構造体300の外側の面302から座ぐり穴390及びそれに連通するボルト挿入穴391に挿入されて、当該ボルト740の軸部740bはネジ穴448に締め付けられて取り付けられる。ボルト740の頭部740aと、当該ボルト740に取り付けられた平ワッシャ741及びスプリングワッシャ742は座ぐり穴390に収納される。
【0106】
図16に示されるように、下側構造体300のセル取付部分345は、取付面342側に凸状となっている。そして、ロードセル410の固定端部440の取付面441が凹状となっている。したがって、下側構造体300における凸状のセル取付部分345と、ロードセル410における、凹状の取付面441による凹み部分とが嵌り合うようになる。これにより、図16に示されるように、下側構造体300のセル取付部分345の高さを、当該セル取付部分345に座ぐり穴390を設けることができるだけ確保しつつ、下側構造体300における、セル取付部分345以外の部分の高さを低くして、計量センサ400及び下側構造体300全体での高さを抑えることができる。よって、筐体500の高さを抑えることができる。
【0107】
また本実施の形態では、図11,12等に示されるように、上側構造体200の取付面233が凸面234を有しており、当該凸面234と、ロードセル410の自由端部430の取付面431とが接触することから、計量特性を向上することができる。また、図9,12等に示されるように、下側構造体300の取付面342が凸面344を有しており、当該凸面344と、ロードセル410の固定端部440の取付面441とが接触することから、計量特性を向上ることができる。以下に効果について詳細に説明する。
【0108】
本実施の形態のように、上側構造体200とロードセル410とをボルト640で取り付ける場合には、ボルト640の締め付け力によって、ロードセル410における、上側構造体200との接触面、つまり取付面431に応力が発生する。この応力によって、ロードセル410における、歪みゲージ450が貼り付けられた部分、つまり起歪部420に歪みが発生すると、歪みゲージ450は、荷重による起歪部420の歪み以外に、この歪みを検出することになる。ボルト640の締め付け力によってロードセル410に発生する歪みが変化すると、当該歪みが計量結果に与える影響も変化することから、偏置特性等の計量特性が悪化する。
【0109】
また、計量皿150に対して、上側構造体200とロードセル410とが取り付けられている位置から離れた場所に計量対象物が置かれると、つまり計量対象物が偏置されると、ロードセル410にはモーメントが発生する。計量装置1では、このモーメントによって、ロードセル410の取付面431に応力が発生する。そうすると、歪みゲージ450は、この応力に基づくロードセル410の歪みを検出するようになる。この歪みが変化すると、当該歪みが計量結果に与える影響も変化することから、偏置特性等の計量特性が悪化する。
【0110】
また、上側構造体200とロードセル410との接触圧力が小さいと、外力によって、上側構造体200とロードセル410とがずれやすくなり、その結果、計量特性が悪化することがある。
【0111】
上述の図15に示されるように、上側構造体200の取付面233とロードセル410の取付面431とがともに平坦である場合には、上側構造体200とロードセル410との接触面積が大きくなる。そのため、ボルト640の締め付け力やモーメントの発生によって、ロードセル410の取付面431に発生する応力に関して、その大きさやその発生位置がばらつきやすくなる。つまり、ロードセル410の取付面431での応力の発生具合がばらつきやすくなる。その結果、計量結果がばらつきやすく、計量特性が悪化する。
【0112】
また、上側構造体200とロードセル410との接触面積が大きい場合には、それらの間の接触圧力が小さくなることから、外力によって、上側構造体200とロードセル410とがずれやすくなる。その結果、計量特性が悪化する。
【0113】
同様に、図15に示されるように、下側構造体300の取付面342とロードセル410の取付面441とがともに平坦である場合にも計量特性が悪化する。
【0114】
図15のような構造であっても、ロードセル410の自由端部430及び固定端部440が大きくそれらの剛性が高い場合、自由端部430の取付面431及び固定端部440の取付面342が歪みゲージ450から十分に離れている場合、ロードセル410の定格荷重に対して計量対象物の重量が小さい場合、計量皿150が小さい場合には、このような問題が発生しにくくなるものの、計量特性が悪化することは少なからずある。
【0115】
これに対して、本実施の形態では、図11,12等に示されるように、上側構造体200の取付面233が凸面234を有しており、当該凸面234と、ロードセル410の自由端部430の取付面431とが接触している。したがって、ボルト640の締め付け力やモーメントの発生によって、ロードセル410の取付面431に発生する応力が凸面234付近に集中することになる。よって、ロードセル410の取付面431での応力の発生具合がばらつくことを抑制することができる。その結果、計量結果がばらつくことを抑制することができ、計量特性が向上する。
【0116】
さらに、上側構造体200とロードセル410との間の接触圧力を高めることができるため、上側構造体200とロードセル410とがずれにくくなる。その結果、計量特性を向上することができる。
【0117】
同様に、図9,12等に示されるように、下側構造体300の取付面342が凸面344を有しており、当該凸面344と、ロードセル410の固定端部440の取付面441とが接触することから、ボルト740の締め付け力やモーメントの発生によって、ロードセル410の取付面441に発生する応力が凸面334付近に集中することになる。よって、ロードセル410取付面441での応力の発生具合がばらつくことを抑制することができる。その結果、計量結果がばらつくことを抑制することができ、計量特性が向上する。
【0118】
さらに、下側構造体300とロードセル410との間の接触圧力を高めることができるため、下側構造体300とロードセル410とがずれにくくなる。その結果、計量特性を向上することができる。
【0119】
凸面234及び凸面344の外形については、本実施の形態のように円形であることが望ましい。また、凸面234の外形は、ボルト640の頭部640aの外形よりも小さくすることが望ましい。これにより、ロードセル410の取付面233に発生する応力がさらに集中するとともに、上側構造体200とロードセル410との間の接触圧力をさらに高めることができる。その結果、計量特性がさらに向上する。同様に、凸面344の外形は、ボルト740の頭部740aの外形よりも小さくすることが望ましい。これにより、ロードセル410の取付面441に発生する応力がさらに集中するとともに、下側構造体300とロードセル410との間の接触圧力をさらに高めることができる。その結果、計量特性がさらに向上する。
【0120】
なお、上述の特許文献4の技術においては、皿受板とロードセルとの間には、カラーと呼ばれる、ボルトが挿通される円筒部材が設けられており、皿受板とロードセルとは、この円筒部材を介してボルトによって取り付けられている。同様に、ロードセルと支持ベースとの間には、ボルトが挿通される円筒部材が設けられており、ロードセルと支持ベースとは、この円筒部材を介してボルトによって取り付けられている。
【0121】
このように、皿受板とロードセルとを円筒部材を介して取り付けることによって、ロードセルに発生する応力を集中することができるとともに、皿受板とロードセルとがずれにくくすることができる。同様に、ロードセルと支持ベースとを円筒部材を介して取り付けることによって、ボルトの締め付け力がモーメントの発生によってロードセルに発生する応力を集中することができるとともに、ロードセルと支持ベースとがずれにくくすることができる。
【0122】
しかしながら、円筒部材は、皿受板及びロードセルとは別部材で構成されていることから、皿受板及びロードセルに対する円筒部材の相対的な位置がずれやすい。円筒部材にはボルトが挿通されるため、当該ボルトによって、皿受板及びロードセルに対する円筒部材の相対的な位置はある程度固定されるが、ボルトの軸部の径と円筒部材の孔の径には寸法誤差があるため、皿受板及びロードセルに対する円筒部材の相対的な位置はやはりずれやすい。したがって、ロードセルでの応力の発生具合がばらつきやすく、その結果、計量結果がばらつきやすくなる。
【0123】
さらに、皿受板とロードセルとの間に複数の円筒部材を介在させた際には、加工誤差によって、当該複数の円筒部材の高さにばらつきが生じ、それによって、当該複数の円筒部材とロードセルとの接触状態にばらつきが生じる。その結果、ロードセルでの応力の発生具合にばらつきが生じ、計量結果がばらつく。さらに、ボルトの軸部の径と円筒部材の孔の径には寸法誤差があるため、複数の円筒部材の間での位置関係がばらつく。そのため、複数の円筒部材とロードセルとの接触状態にばらつきが生じ、ロードセルでの応力の発生具合にばらつきが生じる。その結果、計量結果がばらつく。
【0124】
ロードセルと支持ベースとの取り付けに関しても同様であって、ロードセルと支持ベースとの間に存在する円筒部材は、ロードセル及び支持ベースとは別体であるため、ロードセル及び支持ベースに対する円筒部材の相対的な位置がずれやすい。さらに、ロードセルと支持ベースの間に複数の円筒部材を介在させた際には、当該複数の円筒部材とロードセルとの接触状態にばらつきが生じやすくなる。よって、ロードセルでの応力の発生具合にばらつきが生じ、計量結果がばらつく。
【0125】
これに対して、本実施の形態では、上側構造体200の取付面233が凸面234を有するため、つまり、凸面234を含む凸部は、上側構造体200のセル取付部分230に一体形成されているため、上側構造体200での凸面234の位置がばらつくことを抑制できる。よって、ロードセル410の取付面431での応力の発生具合のばらつきを抑制し、計量結果がばらつくことを抑制できる。
【0126】
また、本実施の形態のように、上側構造体200の取付面233が複数の凸面234を有する場合においては、当該複数の凸面234の間では高さ及び位置関係がばらつきにくいことから、当該複数の凸面234とロードセル410との接触状態にばらつきが生じることを抑制できる。よって、ロードセル410の取付面431での応力の発生具合にばらつきが生じることを抑制でき、その結果、計量結果がばらつくことを抑制できる。
【0127】
また、上側構造体200を形成するときに凸面234を形成することができるため、凸面234の加工が容易となるとともに、凸面234の高さを低くすることが可能である。よって、薄型の安価な計量装置1を実現することができる。
【0128】
同様に、下側構造体300の取付面342が凸面344を有するため、つまり、凸面344を含む凸部は、下側構造体300のセル取付部分345に一体形成されているため、下側構造体300での凸面344の位置がばらつくことを抑制できる。よって、ロードセル410の取付面441での応力の発生具合のばらつきを抑制し、計量結果がばらつくことを抑制できる。また、本実施の形態のように、下側構造体300の取付面342が複数の凸面344を有する場合においては、当該複数の凸面344の間では高さ及び位置関係がばらつきにくいことから、当該複数の凸面344とロードセル410との接触状態にばらつきが生じることを抑制できる。よって、ロードセル410の取付面441での応力の発生具合にばらつきが生じることを抑制でき、その結果、計量結果がばらつくことを抑制できる。また、下側構造体300を形成するときに凸面344を形成することができるため、凸面344の加工が容易となるとともに、凸面344の高さを低くすることが可能である。よって、薄型の安価な計量装置1を実現することができる。
【0129】
なお、図17に示されるように、上側構造体200の取付面233が複数の凸面234を有する替わりに、ロードセル410の取付面431が複数の凸面437を有していても良い。この場合には、各凸面437は、ネジ穴435の周囲に形成されることになる。また、下側構造体300の取付面342が複数の凸面344を有する替わりに、ロードセル410の取付面441が複数の凸面447を有していても良い。この場合には、各凸面447は、ボルト挿入穴446の周囲に形成されることになる。凸面437,447の外形は円形であることが望ましい。また、凸面437の外形は、ボルト640の頭部640aの外形よりも小さいことが望ましく、凸面447の外形は、ボルト740の頭部740aの外形よりも小さいことが望ましい。
【0130】
このように、ロードセル410の取付面431が複数の凸面437を有し、ロードセル410の取付面441が複数の凸面447を有する場合であっても、同様の効果を得ることができる。
【0131】
また、上側構造体200とロードセル410との間に、図18に示されるスペーサ800を介して取り付けても良いし、下側構造体300とロードセル410との間に、当該スペーサ800を介して取り付けても良い。スペーサ800は、板状部材であって、一体成形されている。スペーサ800は、その厚み方向に貫通する複数の貫通孔802を有している。スペーサ800の一方の主面801は、複数の凸面803を有している。複数の凸面803は、複数の貫通孔802の周囲にそれぞれ形成されている。スペーサ800の他方の主面804は平坦となっている。
【0132】
図19は、計量装置1にスペーサ800を使用した場合の上側構造体200、ロードセル410及び下側構造体300の断面構造の概略を示す図である。図19に示される構造では、上側構造体200の取付面233、ロードセル410の取付面431、下側構造体300の取付面342及びロードセル410の取付面441のそれぞれが平坦となっている。
【0133】
上側構造体200のセル取付部分230とロードセル410の自由端部430との間にはスペーサ800が介在している。スペーサ800の一方の主面801が有する複数の凸面803は、ロードセル410の取付面431と接触しており、スペーサ800の他方の主面804は上側構造体200の取付面233と接触している。スペーサ800の複数の貫通孔802は、上側構造体200の複数のボルト挿入穴231とそれぞれ重なるとともに、ロードセル410の複数のネジ穴435とそれぞれ重なっている。各ボルト640の軸部640bは、ボルト挿入穴231及び貫通孔802を通って、ネジ穴435に取り付けられる。
【0134】
同様にして、下側構造体300とロードセル410の固定端部440との間にはスペーサ800が介在している。スペーサ800の一方の主面801が有する複数の凸面803は、ロードセル410の取付面441と接触しており、スペーサ800の他方の主面804は下側構造体300の取付面342と接触している。スペーサ800の複数の貫通孔802は、ロードセル410の複数のボルト挿入穴446とそれぞれ重なっているとともに、下側構造体300の複数のネジ穴343とそれぞれ重なっている。各ボルト740の軸部740bは、ボルト挿入穴446及び貫通孔802を通って、ネジ穴343に取り付けられている。
【0135】
このように、上側構造体200とロードセル410との間に介在するスペーサ800の一方の主面801が有する凸面803と、ロードセル410の取付面431とが接触しているため、ロードセル410の取付面431において発生する応力が凸面803付近に集中することになる。よって、ロードセル410の取付面431での応力の発生具合がばらつくことを抑制することができる。その結果、計量結果がばらつくことを抑制することができ、計量特性が向上する。
【0136】
また、図19の例のように、スペーサ800の一方の主面801が複数の凸面803を有する場合においては、当該複数の凸面803の間では高さ及び位置関係がばらつきにくいことから、当該複数の凸面803とロードセル410の取付面431との接触状態にばらつきが生じることを抑制できる。よって、ロードセル410の取付面431での応力の発生具合にばらつきが生じることを抑制でき、その結果、計量結果がばらつくことを抑制できる。
【0137】
同様に、下側構造体300とロードセル410との間に介在するスペーサ800の一方の主面801が有する凸面803と、ロードセル410の取付面441とが接触しているため、ロードセル410の取付面441において発生する応力が凸面803付近に集中することになる。よって、ロードセル410の取付面441での応力の発生具合がばらつくことを抑制することができる。その結果、計量結果がばらつくことを抑制することができ、計量特性が向上する。
【0138】
また、複数の凸面803の間では高さ及び位置関係がばらつきにくいことから、当該複数の凸面803とロードセル410の取付面441との接触状態にばらつきが生じることを抑制できる。よって、ロードセル410の取付面441での応力の発生具合にばらつきが生じることを抑制でき、その結果、計量結果がばらつくことを抑制できる。
【符号の説明】
【0139】
1 計量装置
2 印刷装置
10 装置本体
100 電子秤
150 計量皿
200 上側構造体
230,345 取付部分
232,390 座ぐり穴
233,342,431,441 取付面
234,344,437,447,803 凸面
280,350 壁部
290 凹部
300 下側構造体
340 センサ収納凹部
400 計量装置
640,740 ボルト
640a,740a 頭部
800 スペーサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
計量対象物が載置される計量皿と、
前記計量皿を支持する上側構造体と、
前記上側構造体と隙間をあけて嵌り合う下側構造体と、
前記上側及び下側構造体から成る筐体内に収納され、前記計量対象物の重量を検出する計量センサと
を備え、
前記計量センサの一方端部及び他方端部は、前記上側及び下側構造体の内側の面にそれぞれ取り付けられ、
前記上側構造体の前記内側の面における、前記計量センサの前記一方端部が取り付けられる取付面の周囲には、第1壁部が立設されており、
前記下側構造体の前記内側の面における、前記計量センサの前記他方端部が取り付けられる取付面の周囲には、第2壁部が立設されている、計量装置。
【請求項2】
請求項1に記載の計量装置であって、
前記上側構造体の前記内側の面には、前記下側構造体の前記第2壁部が入り込む第1凹部が設けられ、
前記下側構造体の前記内側の面には、前記上側構造体の前記第1壁部が入り込む第2凹部が設けられている、計量装置。
【請求項3】
請求項1及び請求項2のいずれか一つに記載の計量装置であって、
前記上側構造体における、前記計量センサの前記一方端部が取り付けられる取付部分は、前記上側構造体の前記取付面側に凸状となっており、
前記計量センサの前記一方端部における、前記上側構造体が取り付けられる取付面は凹状となっており、
前記上側構造体の前記取付部分における、前記取付面とは反対側の面には、当該取付部分と前記計量センサの前記一方端部とを取り付けるためのボルトの頭部が収納される座ぐり穴が設けられている、計量装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載の計量装置であって、
前記下側構造体における、前記計量センサの前記他方端部が取り付けられる取付部分は、前記下側構造体の前記取付面側に凸状となっており、
前記計量センサの前記他方端部における、前記下側構造体が取り付けられる取付面は凹状となっており、
前記下側構造体の前記取付部分における、前記取付面とは反対側の面には、当該取付部分と前記計量センサの前記他方端部とを取り付けるためのボルトの頭部が収納される座ぐり穴が設けられている、計量装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一つに記載の計量装置であって、
前記上側構造体の前記取付面は凸面を有し、当該凸面と前記計量センサの前記一方端部とが接触する、あるいは、
前記計量センサの前記一方端部における、前記上側構造体が取り付けされる取付面は凸面を有し、当該凸面と前記上側構造体の前記取付面とが接触する、計量装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか一つに記載の計量装置であって、
前記下側構造体の前記取付面は凸面を有し、当該凸面と前記計量センサの前記他方端部とが接触する、あるいは、
前記計量センサの前記他方端部における、前記下側構造体が取り付けされる取付面は凸面を有し、当該凸面と前記下側構造体の前記取付面とが接触する、計量装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項4のいずれか一つに記載の計量装置であって、
前記上側構造体の前記取付面には、前記計量センサの前記一方端部が第1スペーサを介して取り付けられ、
前記第1スペーサにおける、前記計量センサ側の面は、当該計量センサの前記一方端部と接触する凸面を有する、計量装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項4及び請求項7のいずれか一つに記載の計量装置であって、
前記下側構造体の前記取付面には、前記計量センサの前記他方端部が第2スペーサを介して取り付けられ、
前記第2スペーサにおける、前記計量センサ側の面は、当該計量センサの前記他方端部と接触する凸面を有する、計量装置。
【請求項9】
請求項5乃至請求項8のいずれか一つに記載の計量装置であって、
前記凸面は複数設けられている、計量装置。
【請求項10】
印刷機能付き電子秤であって、
請求項1乃至請求項9のいずれか一つに記載の計量装置と、
前記計量装置が載置される装置本体と、
前記装置本体に収納され、前記計量装置での計量結果に関連した情報を印刷対象物に印刷して当該印刷対象物を前記装置本体の外側に排出する印刷装置と
を備える、印刷機能付き電子秤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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