説明

計量装置

【課題】振り分けの確実性を高めると共に、被計量物の傷みが小さくなる計量装置を提供する。
【解決手段】第1の方向D1に回転して開く第1ゲート11と第2の方向D2に回転して開く第2ゲート12とが選択的に回転して被計量物Mを2方向D1,D2に振り分けるホッパ10と、第2ゲート12が開いた際にホッパ10からの被計量物Mが滑落する第1シュート面を持つ第1受け部31と、第1ゲートが開いた際に前記ホッパからの被計量物が滑落する第2シュート面22aを持つ第2受け部32とを備える。第1ゲート11は第2ゲート12よりも下方に向って突出しており、第2シュート面22aは第1シュート面21aよりも上方に向って突出し、かつ、第1シュート面21aの上方において、第1シュート面21aの上端22eよりも第2の方向D2に向って突出している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振り分け機能を有するホッパを備えた計量装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
振り分け機能を有するホッパでは、一対のゲートの下端部が櫛歯状で互いに歯合する構造を持つ場合が多い。しかし、かかる櫛歯状の下端部には、粘着性ないし付着性のある被計量物が咬み込み易い。
そこで、従来より、一対のゲートの当接部に対し、下方の受け部の境界をオフセットした装置が知られている(特許文献1)。
【特許文献1】実公平6−32585号(実開平2−24334号,第3図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、オフセット可能な寸法は、ゲートの傾斜角度から制約されるので、今一つ確実に振り分けることができない。しかも、この先行技術では、一方のゲートの下端が他方のゲートの下端よりも上方に配置される。そのため、他方のゲートから落下する際には、自由落下する距離が大きくなるので、振り分けの確実性が低下し、かつ、被計量物が傷む原因となる。
【0004】
したがって、本発明の目的は、振り分けの確実性を高めると共に、被計量物の傷みが小さくなる計量装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するために、本発明の計量装置は、第1傾斜面を有し第1の方向に回転して開く第1ゲートの前記第1傾斜面の下部に、第2傾斜面を有し第2の方向に回転して開く第2ゲートの下端が当接し、前記両ゲートが選択的に回転して被計量物を2方向に振り分けて排出するホッパと、前記第2ゲートが開いた際に前記ホッパからの被計量物が滑落する第1シュート面を持つ第1受け部と、前記第1ゲートが開いた際に前記ホッパからの被計量物が滑落する第2シュート面を持つ第2受け部とを備えた計量装置であって、前記第1ゲートは前記第2ゲートよりも下方に向って突出しており、前記第2シュート面は前記第1シュート面よりも上方に向って突出し、かつ、前記第1シュート面の上方において、前記第1シュート面の上端よりも前記第2の方向に向って突出している。
【発明の効果】
【0006】
第2ゲートが開くと、ホッパ内の被計量物が長い第1ゲートから第1受け部の第1シュートに向って滑落する。この際、第1ゲートは第2ゲートよりも下方に向って突出しているので、第1ゲートからの被計量物は第1受け部に向って確実に排出される。
一方、第1ゲートが開くと、ホッパ内の被計量物が短い第2ゲートから第2受け部の第2シュート面に向って滑落する。この際、短い第2ゲートの被計量物は、上方および第2方向に向って突出した第2シュート面に受け取られるので、被計量物を確実に受け取ることができる。
したがって、被計量物を2つの受け部に確実に振り分けることができると共に、自由落下する距離が小さくなって被計量物の傷みが少なくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明において、前記第1受け部の第1シュート面の上端が、前記第1ゲートの第1傾斜面の下端よりも前記第1の方向に突出しており、前記第2受け部の第2シュート面の上端が、前記第2ゲートの第2傾斜面の下端よりも前記第2の方向に突出しているのが好ましい。
【0008】
このように構成されることで、第1傾斜面と第1シュート面とは、上方から見て互いにラップしており、かつ、第2傾斜面と第2シュート面とは上方から見て互いにラップしているので、上方の各傾斜面から滑落した被計量物が下方のシュート面に確実に振り分けられる。
【0009】
本発明の計量装置は、複数の計量ホッパで計量した被計量物を組み合わせて一まとめにする組合せ計量装置としてもよい。
【0010】
かかる組合せ計量装置においては、前記被計量物を組み合せて一まとめにするための集合シュートと、前記集合シュートからの被計量物を一時的に貯留して所定の排出タイミングで下方の一対の前記受け部に排出するタイミングホッパとを更に備え、前記タイミングホッパに前記第1および第2ゲートが設けられている。
タイミングホッパの下方の受け部は、清掃時に取り外す必要がないので、オーバーラップしていても取り外し時に面倒となるおそれがない。
【実施例1】
【0011】
以下、本発明の一実施形態の組合せ計量装置について説明する。
先ず組合せ計量装置の一般的な機能および動作について説明する。
図1に示すように、搬送コンベア100は、被計量物である品物Mを組合せ計量装置1の分散フィーダ2の中央部に落下させる。なお、品物Mは数個ないし多数個が集められた後に、後述するように包装機32により袋詰めされて商品になる。
【0012】
前記分散フィータ2および各供給トラフ3iはそれぞれ加振装置の駆動により振動することで、分散フィーダ2上の品物Mを、各供給トラフ3iの下流に設けられた多数のプールホッパ4iに供給する。これら各プールホッパ4iには、ゲート5iが設けられ、前記各供給トラフ3iから供給されて受け取った品物Mを一時的に収容して貯留する。
【0013】
前記各プールホッパ4iの下流には多数の計量ホッパ6iが設けられている。これら各計量ホッパ6iには、前記プールホッパ4iから該計量ホッパ6iに投入された品物Mの重量を検出する重量検出器7iを備えた計量ヘッダおよびゲート8iが設けられている。ゲート8iの下方には大きな集合シュート9が設けられている。組合せ計量装置は前記重量検出器7iで検出された品物Mを一まとめにして目標値もしくは目標値に近い値とし、品物Mを下流に落下させる。
【0014】
前記集合シュート9の下方には、タイミングホッパ10が配置され、該タイミングホッパ10の下方には第1振分シュート(第1受け部の一例)21および第2振分シュート(第2受け部の一例)22が配置されている。前記第2振分シュート22の下方には、正量排出された品物Mを包装する包装機32が配置されている。一方、前記第1振分シュート21の下方には不良排出された品物Mを受け取る品物回収部31が配置されている。
【0015】
正量排出の場合には、つまり、前記各重量検出器7iの検出値に基づいて各計量ホッパ6i内の品物Mが組み合わされ一まとめにされて排出される場合には、当該組合せに参加した計量ホッパ6i内の品物Mが、集合シュート9、タイミングホッパ10および第2振分シュート22を介して包装機32に排出され、品物Mが包装機32によって包装される。
【0016】
一方、計量ホッパ6i内の品物Mが所定の重量を上回る場合などには、組合せに参加できないので、計量ホッパ6iから当該品物Mを排出し、集合シュート9、タイミングホッパ10および第1振分シュート21を介して品物回収部31に品物を排出する不良排出が行われる。
【0017】
図2に示すように、前記タイミングホッパ10は、筒状のホッパ本体13と第1および第2ゲート11,12を備えている。前記第1および第2ゲート11,12は、それぞれ、回転中心11c,12cを中心に前記ホッパ本体13に対して第1および第2の方向D1,D2に回転して開くように取り付けられている。
【0018】
前記第1および第2ゲート11,12は、それぞれ、第1および第2傾斜面11a,12aを有する。前記第1傾斜面11aは第1振分シュート21に品物Mを滑落させる。一方、第2傾斜面12aは第2振分シュート22に品物Mを滑落させる。すなわち、両ゲート11,12は選択的に回転して品物Mを第1振分シュート21と第2振分シュート22の2方向に振り分ける。
【0019】
前記第1振分シュート21は、前記第2ゲート12が開いた際に前記タイミングホッパ10からの品物Mが滑落する第1シュート面21aを持ち、下方の品物回収部31に品物Mを滑落させる。
前記第2振分シュート22は、前記第1ゲート11が開いた際に前記タイミングホッパ10からの品物Mが滑落する第2シュート面22aを持ち、下方の包装機32に品物Mを滑落させる。
【0020】
前記第2シュート面22aは前記第1シュート面21aよりも上方に向かって突出し、かつ、前記第1シュート面21aの上方において、前記第1シュート面21aの上端21eよりも前記第2の方向D2に向かってΔRだけ突出している。つまり、ΔRだけ第1シュート面21aと第2シュート面22aとがラップしている。
【0021】
前記第1シュート面21aの上端21eは、前記第1ゲート11の第1傾斜面11aの下端11eよりも前記第1の方向D1に突出している。また、前記第2シュート面22aの上端22eは、前記第2ゲート12の第2傾斜面12aの下端12eよりも前記第2の方向D2に突出し、かつ、第1ゲート11の下端11eに対しては第1の方向D1側に配置されている。
【0022】
このように構成されることで、第1傾斜面11aと第1シュート面21aとは、上方から見て互いにラップしており、かつ、第2傾斜面12aと第2シュート面22aとは上方から見て互いにラップしているので、上方の各傾斜面11a,12aから滑落した品物Mが下方のシュート面21a,22aに確実に振り分けられる。
【0023】
つぎに、本タイミングホッパ10の振分動作について説明する。
【0024】
正量排出の場合には、図3(a)のように、第1ゲート11が開くと、タイミングホッパ10内の品物Mが短い第2ゲート12の傾斜面12aから第2振分シュート22の第2シュート面22aに向って滑落する。この際、短い第2ゲート12の品物Mは、上方および第2方向D2に向って突出した第2シュート面22aに受け取られるので、品物Mを確実に受け取ることができる。
【0025】
不良排出の場合には、図3(b)のように、第2ゲート12が開くと、タイミングホッパ10内の品物Mが長い第1ゲート11の傾斜面11aから第1振分シュート21の第1シュート面21aに向って滑落する。この際、第1ゲート11は第2ゲート12よりも下方に向って突出しているので、第1ゲート11からの品物Mは第1振分シュート21に向って確実に排出される。
【0026】
したがって、被計量物を2つの振分シュート21,22に確実に振り分けることができる。
【0027】
更に、前述のように、図3(b)の第1ゲート11の下端11eが下方に突出していることで、下端11eから上端21eまでの高さΔH1が小さくなる。そのため、第1ゲート11の第1傾斜面11aから第1振分シュート21の第1シュート面21aに品物Mが自由落下する距離が小さくなる。
【0028】
一方、図3(a)の第2振分シュート22の上端22eが上方に突出していることで、下端12eから上端22eまでの高さΔH2も小さくなる。そのため、第2ゲート12の傾斜面12aから第2振分シュート22の第2シュート面22aに品物Mが自由落下する距離が小さくなる。
【0029】
このように、品物Mが各傾斜面11a,12aから各シュート面21a,22aに自由落下する距離が小さくなるので品物Mの傷みが少なくなる。
【0030】
ところで、前記実施例では、ホッパからシュートに振り分ける例を用いて説明したが、本発明は1つの計量ホッパから2つのブースタホッパに振り分ける場合など、上方のホッパから下方のホッパに振り分ける場合についても適用される。
【0031】
なお、タイミングホッパ10の下方の第1および第2振分シュート21,22は、清掃時に取り外す必要がないので、オーバーラップしていても取り外し時に面倒となるおそれがない。
【0032】
ところで、各重量検出器7iなどの計量機器については、一般に、スパン調整を行う必要がある。この場合、定められたスパン調整用の分銅(おもり)を使用してスパン調整を行っている。この際、誤った分銅(おもり)を使用してスパン調整を行うと、大きく外れている場合には「スパンエラー」となる。しかし、少ししか外れていない場合には「スパンエラー」とならずに調整が終了してしまうことがあった。この場合、当然、スパンがずれることになり、正確な計量は約束できない。
【0033】
そこで、各スパン調整用の分銅ごとにIDタグを貼付すると共に、各計量機器にスパン調整分銅のIDを登録しておき、スパン調整時にID読み取り装置にてスパン分銅IDを読み取り、登録されているIDと異なれば、スパン調整を中止する。
【0034】
これにより、誤ったスパン調整用分銅(おもり)を使用してのスパン調整を禁止することができる。特に、複数個のスパン調整用分銅を使用する場合に載置部への載せ忘れ防止に有効である。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明はホッパを備えた計量装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一実施例を示す組合せ計量装置の概略構成図である。
【図2】振分装置を示す概略構成図である。
【図3】振分装置の動作を示す概略側面図である。
【符号の説明】
【0037】
10:タイミングホッパ
11:第1ゲート
11a:第1傾斜面
11e:下端
12:第2ゲート
12a:第2傾斜面
12e:下端
21:第1振分シュート
21a:シュート面
21e:上端
22:第2振分シュート
22a:シュート面
22e:上端
M:品物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1傾斜面を有し第1の方向に回転して開く第1ゲートの前記第1傾斜面の下部に、第2傾斜面を有し第2の方向に回転して開く第2ゲートの下端が当接し、前記両ゲートが選択的に回転して被計量物を2方向に振り分けて排出するホッパと、
前記第2ゲートが開いた際に前記ホッパからの被計量物が滑落する第1シュート面を持つ第1受け部と、
前記第1ゲートが開いた際に前記ホッパからの被計量物が滑落する第2シュート面を持つ第2受け部とを備えた計量装置であって、
前記第1ゲートは前記第2ゲートよりも下方に向って突出しており、
前記第2シュート面は前記第1シュート面よりも上方に向って突出し、かつ、前記第1シュート面の上方において、前記第1シュート面の上端よりも前記第2の方向に向って突出している計量装置。
【請求項2】
請求項1において、前記第1受け部の第1シュート面の上端が、前記第1ゲートの第1傾斜面の下端よりも前記第1の方向に突出しており、
前記第2受け部の第2シュート面の上端が、前記第2ゲートの第2傾斜面の下端よりも前記第2の方向に突出している計量装置。
【請求項3】
請求項1もしくは2において、前記計量装置は、複数の計量ホッパで計量した被計量物を組み合わせて一まとめにする組合せ計量装置である計量装置。
【請求項4】
請求項3において、前記被計量物を組み合せて一まとめにするための集合シュートと、前記集合シュートからの被計量物を一時的に貯留して所定の排出タイミングで下方の一対の前記受け部に排出するタイミングホッパとを更に備え、
前記タイミングホッパに前記第1および第2ゲートが設けられている計量装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−303846(P2007−303846A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−129759(P2006−129759)
【出願日】平成18年5月9日(2006.5.9)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)