説明

計量装置

【課題】各ホッパのゲート開閉タイミングをずらさなくても、包装機のインレットシュート内でブリッジを起さず、ポテトチップスのような嵩張る物品であっても、高速運転ができる新たな計量装置を提供する。
【解決手段】垂直軸周りの円周上に複数のホッパ5を配置し、各ホッパから排出される物品を、集合シュート6を介して下方の出口に集合させて包装機に排出するようにした計量装置であって、上記集合シュート6を少なくとも上下に重なる積層シュートとし、その内の上部シュートを、各ホッパから排出される物品が隣のホッパから排出される物品と交わらずに下部シュートまでほぼ直線的に滑落する個別シュートに成形するとともに、各個別シュートの傾斜角度を同じくして、これらを垂直軸回りに放射状に配置し、一方、下部シュートを内壁に仕切りのない漏斗状に成形するとともに、その入口の中心と出口の中心とを変位させたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、一定重量に計量された物品を、集合シュートを介して包装機のインレットシ
ュートに投入するようにした組合せ計量装置の集合シュートの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
スナック菓子のように、内容量が一定重量の袋詰商品は、組合せ計量装置で一定重量の物
品に小分けされてピロ−包装機に投入され、そこで袋詰商品に成形されるが、その運転速
度は、1分間に90〜140袋と高速であるため、組合せ計量装置の複数のホッパから排
出される物品を集合させて包装機に排出する集合シュートに関しても、高速化を狙いとし
た種々の改良がなされている。
【0003】
例えば、下記特許文献1では、漏斗状の集合シュートの内壁に、物品の旋回を防止する仕
切り板を放射状に設けて、物品がほぼ直線的に出口まで滑落されるように構成している。
また、下記特許文献2でも、同様な考えの下に、集合シュートの内壁に放射状のトラフを
設けている。
【0004】
ところが、集合シュートの下方に配置される包装機のインレットシュートは、計量装置の
集合シュートよりも、さらに小さく絞り込まれた漏斗状をなすため、そこで物品がブリッ
ジして詰まることがある。こうしたブリッジ現象は、特に、ポテトチップスのように、軽
くて嵩張るものにおいて頻発する。そのため、こうした嵩張る物品を集合シュートで収集
する場合は、下記特許文献3に開示されるように、複数のホッパからの組合せ物品の排出
を、少しずつタイミングをずらすことにより、漏斗状のインレットシュートで物品が詰ま
らないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実公平5−31532号
【特許文献2】特許第4342192号(特開2003−267315)
【特許文献3】特許第1571146号(特公平1−53406号)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、複数のホッパから排出される必要な排出タイミングのずれは、ミリ秒単位
の極めて短い時間差であるのに対し、それをホッパのゲート開閉制御で実現するには、各
ホッパのゲート開閉機構の個体差が大きく影響し、実際に行われる排出タイミングのずれ
は、必要以上に大きくなっている。さらに、ホッパ毎のばらつきも大きいために、包装機
のフイルムチューブを落下する物品の先頭から最後尾までの尾引き長さが長くなって、一
定重量の物品が袋へ収まるまでの時間が長くなるという問題がある。また、物品の尾引き
長さがばらつくと、最後尾の物品が袋のシール部分に噛み込まれる問題もある。そうした
トラブルを回避するには、運転速度を落とすしかないが、それでは生産性が悪くなるとい
う問題がある。
【0007】
この発明は、こうした問題を解決しようとするもので、各ホッパのゲート開閉タイミング
をずらさなくても、包装機のインレットシュート内でブリッジを起さず、ポテトチップス
のような嵩張る物品であっても、高速運転ができる新たな計量装置を提供することを課題
とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、垂直軸周りの円周上に複数のホッパを配
置し、各ホッパから排出される物品を、集合シュートを介して下方の出口に集合させて包
装機に排出するようにした計量装置であって、上記集合シュートを少なくとも上下に重な
る積層シュートとし、その内の上部シュートを、各ホッパから排出される物品が隣のホッ
パから排出される物品と交わらずに下部シュートまでほぼ直線的に滑落する個別シュート
に成形するとともに、各個別シュートの傾斜角度を同じくして、これらを垂直軸回りに放
射状に配置し、一方、下部シュートを内壁に仕切りのない漏斗状に成形するとともに、そ
の入口の中心と出口の中心とを変位させたことを特徴とする。
【0009】
したがって、各ホッパから排出された物品は、個別シュートによってほぼ直線的に滑落し
て、中央下方の下部シュートにほぼ同時に突入するが、それらの突入方向と下部シュート
による排出方向とがずれているため、そこに突入した物品は、該シュートの内壁から旋回
ベクトルが付与され、さらに滑落経路の違いによって物品に速度差が生じて、仕切りのな
い下部シュートに突入した物品は、シュート内壁を旋回しながら縦列に編成されて滑落し
ていく。しかも、旋回半径は下降する程小さくなり、それに伴って旋回する物品の角速度
が増すので、下部シュートから放出される物品は、錐揉み状態になって包装機のインレッ
トシュートに投入される。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1に記載の計量装置において、該計量装置が2台併設され、そ
れらの下部シュートを除く互いに対向する部分で両装置が一体的に結合されていることを
特徴とする。
【0011】
したがって、一部を重合させた2台連接タイプの計量装置では、各装置の上部シュートは、
互いに対向する部分が欠落した扇型となり、そうした限定された範囲から、内壁に仕切り
のない漏斗状の下部シュートに物品が突入しても、上部シュートの欠落した側からの物品
の突入がないために、下部シュートに突入した物品は、乱されずにその内壁を旋回しなが
ら縦列になって滑落していく。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の計量装置において、前記下部シュートが分離
可能な上下複段のシュートで構成され、その内、少なくとも下段のシュートが水平方向に
変位可能であることを特徴とする。
【0013】
したがって、下段シュート上に、中心軸をずらした上段シュートを積み重ねていくことに
より、排出方向が傾斜した下部シュートを成形することができる。また、各段のシュート
を水平方向に変位させるだけで、そこを滑落する物品の旋回ベクトルと滑落速度を変える
ことができる。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明によれば、各ホッパから排出された物品を個別シュートでほぼ同時に集め、
それらを仕切りのない下部シュートで旋回させながら排出するので、嵩張る物品であって
も、包装機のインレットシュートでのブリッジの発生を抑えることができる。
また、各物品が下部シュートを滑落する際に、滑落経路の違いによって各物品に速度差が
生じ、それによって、下部シュートに一斉に突入した各物品が縦列になって放出されるの
で、それによっても包装機のインレットシュートにおける詰まりを防止することができる。
したがって、各ホッパのゲート開閉タイミングをずらす必要がなく、これまでよりも、よ
り短い時間間隔で物品を排出することができる。
【0015】
請求項2の発明によれば、一部重合させた2台連接タイプの計量装置では、各装置の上部
シュートは、互いに対向する部分が欠落した扇型の配置となり、そうした限定された範囲
から、仕切りのない下部シュートに一斉に物品が突入しても、欠落した側からの物品の突
入がないので、それらと対向する側からの突入物品は、乱されずに下部シュートを旋回し
ながら縦列になって排出される。
したがって、ポテトチップスのような嵩張る商品であっても、包装機での物品の詰まりを
防止して、計量装置や包装機の稼動率を低下させない効果がある。
【0016】
請求項3の発明によれば、下部シュートを分離可能な上下複段のシュートとしたので、入
口と出口が同軸上にない、ずれたシュートであっても、各段のシュートを順次変位させな
がら積み重ねることで、簡単に下部シュートを組み立てることができる。
また、各段のシュートを水平方向に順次変位させるだけで、物品の旋回ベクトルと滑落速
度とを加減することができるので、物品の性状や排出量に応じて、ブリッジを発生させな
いシュートに調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明に係る計量装置の一実施形態としての外観斜視図
【図2】集合シュートの一実施形態としての要部断面図
【図3】集合シュートの配置構成を示す一実施形態としての平面図
【図4】下部シュートの出口の変位による効果を説明する説明図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明に係る計量装置の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
図1に示す実施形態は、互いに対向する部分を重合させた2台連結タイプの組合せ計量装
置の外観斜視図で、右側装置Rは、全てのパーツが装着された完成体であるのに対し、左
側装置Lは、本体装置から集合シュート以外の各パーツを取り除いた状態を示している。
そして、以下の説明では、専ら右側装置Rについて説明するが、左側装置Lについても面
対称な同一構造となっている。また、包装機は、これらの装置の下方に2台連なって配置
され、それぞれの装置R,Lは、互いに独立して運転される。
【0020】
計量装置Rは、装置中央上部に配置された分散テーブル1と、その回りに扇を広げたよう
に配列された複数の供給フィーダ2と、各供給フィーダ2の先端下部にそれぞれ配置され
た同数のプールホッパ3と、その下方にそれぞれ配置された同数の計量ホッパ4並びに
ブースタホッパ5と、各ブースタホッパ5の下方に配置されて、各ブースタホッパ5から
排出された物品を集合させて、下方の出口から排出する集合シュート6とを備える。
各プールホッパ3と、各計量ホッパ4と、各ブースタホッパ5は、それぞれ所定半径の円
弧上に配置されている。これら各円弧の中心を通る垂直軸は、全て同軸とされている。同
様に、分散テーブル1の中心を通る垂直軸と、放射状に拡がる各供給フィーダ2の扇の要
となる中心を通る垂直軸も前記各円弧の垂直軸と同軸とされている。
【0021】
左右の計量装置R,Lの本体フレーム7は、架橋部8を介して一体結合されているととも
に、6本の支持脚9を介して架台10上に取り付けられている。また、本体フレーム7は、
平面視が長円形をなし、その長手方向の両円弧部には、上段に供給フィーダ2の駆動部が、
中段にプールホッパ3と計量ホッパ4のゲート開閉ユニット11が、下段にブースタホッ
パ5のゲート開閉ユニット12が、それぞれ上下に積層されて、扇型に配列収納されてい
る。また、ゲート開閉ユニット11内には、計量ホッパ4を支持し、そこに供給された物
品の重量を検出する図示しない荷重検出器が組み込まれている。そして、ゲート開閉ユニ
ット11、12が駆動されると、各ホッパ3、4,5のゲートが開閉して、そこに供給さ
れた物品を下方に排出する。
【0022】
前記本体フレーム7の中央上部には、左右の分散テーブル1に物品を供給する左右一対の
クロスフィーダ13、13が設けられ、それらのフィーダ13、13の上方には、図示し
ない2方向振分装置が設けられて、そこからポテトチップス等の物品が各クロスフィーダ
13,13を介して左右の分散テーブル1に供給される。
【0023】
クロスフィーダ13から分散テーブル1に供給された物品は、分散テーブル1の上下方向
と円弧方向の往復運動によって周縁の各供給フィーダ2へと流れていく。そして、初期状
態では、各供給フィーダ2が一斉に駆動して、各プールホッパ3へ物品を供給していくが、
正常状態に移行すると、物品が供給されていないプールホッパ3に対してのみ、対応する
供給フィーダ2が駆動して、空になっているプールホッパ3に物品を供給していく。その
際の供給量は、3個乃至5個のホッパが毎回選択され、そこから排出された物品の重量が
目標重量となるように制御される。
【0024】
一方、プールホッパ3は、下段の計量ホッパ4が空になれば、ゲートを開閉して空の計量
ホッパ4へ物品を供給していく。また、計量ホッパ4は、受け取った物品を計量した後、
下段のブースタホッパ5が空になれば、ゲートを開閉して計量済みの物品をブースタホッ
パ5へ供給していく。その最、計量した物品の重量データは、対応するブースタホッパ5
のメモリに転送される。こうして各ホッパ3,4,5に物品が供給され、組合せ演算によ
って目標重量となる物品の組合せが選択されると、選択された物品のブースタホッパ5の
ゲートが開閉されて、下方の集合シュート6へ物品が排出される。
【0025】
一方、集合シュート6は、図2、図3に示すように、上側の上部シュート61と下側の下
部シュート62とで構成され、上部シュート61は、各ブースタホッパ5から排出される
物品を下部シュート62まで直線的に滑落させる個別シュートSの複合体として形成され、
下部シュート62は、全体として漏斗状をなす上下3段の円錐台状のシュートa、b、c
の積層体として構成されている。
【0026】
上部シュート61は、図3に示すように、放射方向に3分割され、それらの各分割片61
a、61b、61cは、隣接する3個の個別シュートS1〜S3、S4〜S6、S7〜S
9を一体化したものとなっており、また、それらの外壁には、図1に示す補強フレームF
が取り付けられている。また、各個別シュートS1〜S9の両サイドには、仕切り63が
それぞれ設けられ、個別シュートS1〜S9を滑落する物品が隣の個別シュートを滑落す
る物品と混ざらないようになっている。また、これらの分割片61a、61b、61cは、
同一傾斜角度に保持され、それぞれの下端縁は、下部シュート62の内側上縁に臨まされ
ている。
【0027】
なお、図2の集合シュート6は、中心線を通る垂直面で切断した状態を示しているので、
図2の上部シュート61は、図3の上側4連の個別シュートS1、S2、S3、S4とそ
の右隣の個別シュートS5の中央断面とが現れている。また、図3の各分割片61a、6
1b、61cは、支柱91上に設けられたブラケット92と、支持脚9上に設けられたブ
ラケット93とによって支持されている。
【0028】
下部シュート62を構成する上下3段の各シュートa、b、cの外壁には、水平なフラン
ジ64が全周にわたって取り付けられ、それらが架台10に取り付けられたブラケット1
4に支持されている。そして、2段目と3段目のシュートb、cは、水平方向に移動自在
とされ、それらの位置が定まると、各フランジ64とブラケット14とを適宜な固定手段
で固定するようになっている。また、各フランジ64には、図1に示す取っ手65が取り
付けられ、これらを操作してシュートb、cの位置決め、装着、取り外しを行う。
なお、物品の種類によって各シュートの取付位置が決まれば、フランジ64に設けた貫通
孔の位置と、ブラケット14に植設したピンの位置とを定めて、そのピンに貫通孔を嵌合
させるようにしてもよい。
【0029】
次に、図3に基づいて、2段目と3段目のシュートb、cを水平方向にずらした場合の物
品の滑落について説明する。
図3において、白丸C1で示す点は、下部シュート62全体を変位させないときの仮想中
心を示し、黒丸C2で示す点は、3段目のシュートcを変位させたときの該シュートcの
出口中心を示している。すなわち、3段目のシュートcの出口中心をC1からC2にシフ
トし、それに合わせて2段目のシュートbをスライドさせた状態を示している。
【0030】
この図において、各ブースタホッパ5から排出された物品は、仮想中心C1を目指して、
それぞれの個別シュートS1〜S9を大きい矢印で示した軌跡を描いて滑落していくが、
2段目シュートbに突入すると、そこから各物品は、出口中心C2に向かって向きを変え
るため、各物品は、個別シュートS1、S9からの物品を除いて、小さい矢印で示す向き
に、即ち、進行方向に向かって左側にそれぞれ向きを変えて、2段目と3段目の各シュー
トb、cの内壁を時計回りに旋回しながら滑落していく。
また、個別シュートS1〜S9を滑落した物品は、ほぼ同じ速度で2段目シュートbに突
入するが、そこから3段目シュートcの出口までの距離と傾斜角度が、各物品の進行方向
によって異なるので、個別シュートS1,S2から滑落してきた物品よりも、個別シュー
トS8,S9から滑落してきた物品の方が速くなる。そのため、個別シュートS8,S9
から滑落してきた物品が先頭を走り、個別シュートS1、S2から滑落してきた物品が最
後尾に付いて滑落することになる。したがって、2段目と3段目のシュートb、cに突入
した各物品は、それらのシュートb、c内壁を旋回しながら縦列になって滑落していく。
なお、前記仮想中心C1を通る垂直軸は、円弧上に配置された複数のプールホッパ3、計
量ホッパ4、ブースタホッパ5の各円弧の中心を通る垂直軸と同軸とされている。
【0031】
以上の説明は、各ブースタホッパ5から一斉に物品を排出した場合の各物品の挙動につい
て説明したものであるが、組合せ計量装置では、毎回、3個乃至5個のブースタホッパ5
から物品を排出するので、1回の排出動作では、物品は、個別シュートS1〜S9の中の
半分程度のシュートにおいてしか流れない。したがって、例えば、隣接する3個の個別シ
ュートS4〜S6に物品が排出されると、それらの物品は、速度差が殆ど付かずに旋回し
ていく。また、対向する4個の個別シュートS1,S2,S8,S9に物品が排出される
と、各物品は、旋回するよりも速度差が付いて縦列になって滑落していく。
何れにしても、物品の進行方向に応じて、物品を旋回させたり、速度差を付けたりして、
縦列にして排出することができるので、下方に配置されたインレットシュートでの詰まり
を防止することができる。
【0032】
図4に示すものは、2段目と3段目の各シュートb、cを図面に向かって右方向にずらし
た場合を示している。この図において、各ブースタホッパ5から排出された物品は、仮想
中心C1を目指して、それぞれの個別シュートS1〜S9を、大きい矢印で示した軌跡を
描いて滑落していくが、2段目シュートbに突入すると、そこから各物品は、出口中心C
2に向かって向きを変える。即ち、個別シュートS1〜S4を滑落してきた物品は、小さ
い矢印で示すように、進行方向に向かって左側にそれぞれ向きを変え、個別シュートS6
〜S9を滑落してきた物品は、進行方向に向かって右側にそれぞれ向きを変える。したが
って、個別シュートS1〜S4からの物品と、個別シュートS6〜S9からの物品は、個
別シュートS5に近い出口で衝突する。
【0033】
しかし、滑落してきた物品のそれぞれの進行方向における各シュートb、cの滑落距離と
傾斜角度は、それぞれ異なるので、中央の個別シュートS5からの滑落速度が最大となり、
そこから遠ざかるに従って順次遅くなる。したがって、各個別シュートから滑落してきた
物品は、ほぼ同じ速度で下部シュート62に到達するが、2段目と3段目のシュートb、
cを滑落する間に、各物品に速度差が付いて、個別シュートS5からの物品が先頭を走り、
その後に、個別シュートS4,S6からの物品と、個別シュートS3、S7からの物品と、
個別シュートS2、S8からの物品が、その順序で続き、最後に両端の個別シュートS1,
S9からの物品が続くことになる。そのため、放射方向から滑落してきた物品は、下部シ
ュート62の出口で縦列になって滑落していく。
【0034】
以上の説明は、前述と同様に、各ブースタホッパ5から一斉に物品を排出した場合の各物
品の挙動を説明したものであるが、実際の排出動作では、物品は、個別シュートS1〜S
9の中の、半分程度のシュートでしか流れないので、例えば、隣接する3個の個別シュー
トS1〜S3に物品が排出されると、それらの物品は、旋回しながら滑落していく。また、
対向する4個の個別シュートS1,S2,S8,S9に物品が排出されると、隣接する物
品には、速度差が付いて、個別シュートS2、S8からの物品が先頭を走り、その後に個
別シュートS1、S9からの物品が続いて、それらが縦列になって下部シュート62を滑
落していく。
【0035】
したがって、この実施形態においても、各ブースタホッパ5のゲート開閉タイミングをず
らさなくても、下部シュート62の出口において、各物品を縦列に並び替えて排出するこ
とができる。しかも、各ホッパのゲート開閉による時間差創出は、ばらつきが大きいのに
対し、この実施形態では、それがないので、物品の先頭から最後尾までの長さをよりコン
パクトにして、包装機に投入することができる。
【0036】
以上の実施形態では、2段目と3段目のシュートb、cを変位させたが、物品によっては、
さらにもう1段、変位させたシュートを重ねて、物品をより効果的に旋回させたり、速度
差を創出したりすることもできる。
また、各シュートb、cを一方向に順次変位させるのではなく、物品に応じて、各段のシ
ュートa,b,cを異なる方向に変位させて、そこを滑落する物品に、より強い旋回力や
時間差を付与するようにすることもできる。
また、以上の実施形態では、右側装置Rについて説明したが、左側装置Lは、面対称であ
るため、左側装置Lについても同様な作用効果を奏することは言うまでもない。
さらに、この発明は、2台連接タイプの計量装置だけでなく、計量装置を単体とした場合
でも、同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0037】
3プールホッパ
4計量ホッパ
5ブースタホッパ
6集合シュート
61上部シュート
62下部シュート
S個別シュート
R右側計量装置
L左側計量装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直軸周りの円周上に複数のホッパを配置し、各ホッパから排出される物品を、集合シ
ュートを介して下方の出口に集合させて包装機に排出するようにした計量装置であって、
上記集合シュートを少なくとも上下に重なる積層シュートとし、その内の上部シュートを、
各ホッパから排出される物品が隣のホッパから排出される物品と交わらずに下部シュート
までほぼ直線的に滑落する個別シュートに成形するとともに、各個別シュートの傾斜角度
を同じくして、これらを垂直軸回りに放射状に配置し、一方、下部シュートを内壁に仕切
りのない漏斗状に成形するとともに、その入口の中心と出口の中心とを変位させたことを
特徴とする計量装置。
【請求項2】
前記計量装置が2台併設され、それらの下部シュートを除く互いに対向する部分で両装置
が一体的に結合されていることを特徴とする請求項1に記載の計量装置。
【請求項3】
前記下部シュートが分離可能な上下複段のシュートで構成され、その内、少なくとも下段
のシュートが水平方向に変位可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載の計量装
置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−141294(P2012−141294A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−267734(P2011−267734)
【出願日】平成23年12月7日(2011.12.7)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)