説明

記憶媒体データトラックからの読出信号を検出する方法、およびトランスデューサヘッドを含むシステム

【課題】記憶媒体への書込中、一貫したデータトラックを改良する。
【解決手段】複数の読出センサがトランスデューサヘッドに取付けられる。一実現化例では、トランスデューサヘッドは、書込磁極の上流トラックに配置された複数の読出センサを含む。別の実現化例では、トランスデューサヘッドは、書込磁極の上流トラックに配置された少なくとも1つの読出センサと、書込磁極の下流トラックに配置された少なくとも1つの読出センサとを含む。書込磁極に対する複数の読出センサの各位置は一意的であってもよい。記憶媒体に対する読出位置、ひいては書込磁極の位置を判断するために、選択された読出センサの1つ以上の読出信号が使用される。

【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0001】
概要
トランスデューサヘッドは、書込磁極と、書込磁極からのオフセットに配置された複数の読出センサとを含む。オフセットは、データトラック方向および/または交差データトラック方向における距離を表わし得る。
【0002】
この概要は、詳細な説明で以下にさらに説明される一揃いの概念を簡略化された形で紹介するために提供される。この概要は、請求される主題の主要特徴または本質的特徴を識別するよう意図されてはおらず、また、請求される主題の範囲を限定するために使用されるよう意図されてはいない。請求される主題の他の特徴、詳細、有用性、および利点は、以下のより特定的に記載されたさまざまな実現化例の詳細な説明、ならびにさらに添付図面に示され、請求項で定義された実現化例から明らかとなるであろう。
【0003】
説明される技術は、添付図面に関連して読まれる、さまざまな実現化例を説明する以下の詳細な説明から、最良に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【図1】複数の読出センサを有する例示的なトランスデューサヘッドの平面図である。
【図2】書込磁極の上流トラックに位置する複数の読出センサを有する例示的なトランスデューサヘッドの斜視図である。
【図3】AおよびBは、書込磁極の上流トラックに位置する読出センサセットの複数の読出センサを有する例示的なトランスデューサヘッドの2つの図である。
【図4】AおよびBは、複数の読出センサを各々有し、書込磁極の下流および上流トラックに位置する複数の読出センサセットを有する例示的なトランスデューサヘッドの2つの図である。
【図5】AおよびBは、複数の読出センサセットと複数のリーダシールドとを有し、読出センサセットは書込磁極の上流トラックに位置している、例示的なトランスデューサヘッドの2つの図である。
【図6】書込中、一貫したデータトラックを維持するために、記憶媒体とのトランスデューサヘッドのさまざまな整列に適応するように複数の読出センサを使用するための例示的な動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0005】
詳細な説明
トランスデューサヘッドによるハードディスクドライブへの書込動作中、トランスデューサヘッドは、位置情報を含む基準トラックを読出すために読出センサを使用できる。読出センサによって記憶媒体から検出された読出信号に基づき、記憶システム(たとえば、ハードディスクドライブ)は、記憶媒体に対する読出センサの位置、ひいてはトランスデューサヘッド上の読出センサに対して位置付けられた書込磁極の位置を判断することができる。このように、読出センサは、記憶媒体上の目標データトラックとの書込磁極の整列を維持する上で有用である。
【0006】
いくつかの実現化例では、基準トラックは目標データトラックと同じであり、目標データのどこか他の場所にある書込磁極の位置を判断するために読出センサによって読出される位置情報を記憶している。代替的な一実現化例では、基準トラックは目標データトラックとは別個(たとえば、専用の基準トラックまたは別のデータトラック)であり、目標データトラックに対する書込磁極の位置を判断するために読出センサによって読出される位置情報を記憶している。双方の実現化例では、読出センサによって読出された位置情報は、書込磁極によって生成される書込信号の位置およびタイミングを管理するために使用できる。
【0007】
しかしながら、ある状況下では、データトラックとトランスデューサヘッドとの間の角度が、記憶媒体上の1つ以上のトラックに対する書込磁極とある特定の読出センサとの整列を変える場合がある。ヘッドが記憶媒体の表面を内径(ID)から外径(OD)へと横断する際に読出センサと書込磁極との整列が実質的に変化しない場合、読出センサおよび書込磁極は比較的一貫したトラックを維持すると考えられる。これに対し、整列のほんの些細な変化が、一貫しないトラックを引き起こし、ひいてはトラック密度が高い磁気記録ディスク上のデータの読出および書込を妨げる場合がある。しかしながら、説明される技術は単一のトランスデューサヘッド用の複数の読出センサを提供し、それにより、どの動作角度でも、複数の読出センサのうちの1つ以上が、書込磁極用の適切な基準トラック上に整列される可能性を劇的に高める。
【0008】
面密度を劇的に高めるための選択肢として考えられるビットパターン媒体(BPM)とは、記憶媒体に構造的に形成された磁気セルの一貫したアレイにデータを記録するために使用される磁気記憶技術を指す。BPMセルは、フォトリソグラフィ、イオンミリングなどを含むがそれらに限定されないさまざまな手順を通して、予めパターン化されてもよい。たとえば、各磁気セルは、高解像度の電子ビームを用いてマスクパターンを記録するフォトリソグラフィを用いて、記憶媒体に予めパターン化されてもよい。マスクパターンは、記憶媒体の表面上に堆積された磁気材料において磁気セルを選択的にエッチングするために使用される。一実現化例では、各磁気セルは単一のビットを記憶し、記憶媒体の有限の非磁性領域によって他のすべてのセルから分離されている。
【0009】
面密度が増加するにつれ、特にBPMによって提供される寸法まで増加するにつれて、目標データトラック上でトランスデューサヘッドの読出センサおよび書込磁極の整列を維持することはより難しくなる。たとえば、書込磁極と読出センサとの間のデータトラック方向の距離は、BPM上の関連する距離よりも1桁大きい場合がある。
【0010】
しかしながら、複数の読出センサを含むトランスデューサヘッドは、読出センサのうちの少なくとも1つからの読出信号が、書込磁極の位置に対応する有益な基準トラック情報を戻す可能性を高める。ディスクへの書込中、複数の読出センサを有するトランスデューサヘッドは、所望の目標トラックとの書込磁極の整列をより良好に維持できる。たとえば、複数の読出センサは、読出センサのうちの少なくとも1つが書込磁極用の適切な基準トラックの上方に位置する可能性を高める。読出センサから得られた読出信号を、適切な基準トラックにおける(たとえば、セルまたは島に記録されたような)ビットの上方で処理することにより、書込磁極は書込プロセス中、一貫したトラックを維持できるようになるであろう。一実現化例では、トランスデューサヘッドは、書込磁極に対して上流トラックに配置された複数の読出センサを含む。別の実現化例では、トランスデューサヘッドは、書込磁極に対して上流トラックに配置された複数の読出センサを含み、読出センサの一部はリーダシールドによって隔てられている。さらに別の実現化例では、トランスデューサヘッドは、書込磁極に対して上流トラックに配置された少なくとも1つの読出センサと、書込磁極に対して下流トラックに配置された少なくとも1つの読出センサとを含む。
【0011】
図1は、複数の読出センサ116を有する例示的なトランスデューサヘッド120の平面図100を示す。ディスク108は、動作中、ディスク回転軸112を中心に回転する。また、ディスク108は外径102と内径104とを含み、それらの間には、円形の点線で示された複数の同心データトラック106がある。データトラック106は実質的に円形であり、分解図123でもディスク108上の点または楕円として示されている一定間隔のパターンビット122からなる。しかしながら、説明される技術は、連続磁気媒体およびディスクリートトラック(DT)媒体を含む他の種類の記憶媒体で採用され得る、ということが理解されるべきである。
【0012】
情報は、異なるデータトラック106におけるディスク108上のパターンビット122に書込まれ、またそこから読出され得る。トランスデューサヘッド120は、アクチュエータアセンブリ110に、アクチュエータ回転軸114より遠位の端で搭載されており、ディスク動作中、ディスク108の表面上方にごく接近して浮上している。アクチュエータアセンブリ110は、シーク動作中、ディスク108に隣接して位置付けられたアクチュエータ回転軸114を中心に回転する。シーク動作は、トランスデューサヘッド120を目標データトラックの上方に位置付ける。分解図123は、データトラック106に対して(書込磁極として示された)ライター118から上流トラックに位置付けられた1列に並んだ3つの読出センサ116を有するトランスデューサヘッドを示す(アクチュエータアセンブリ110は省略)。
【0013】
一実現化例では、ディスク108が実質的に円形の方向124に回転するにつれて、トランスデューサヘッド120は目標データトラックに沿って進む。トランスデューサヘッド120が目標データトラックの上方に位置付けられた時点では、トランスデューサヘッド120で、(たとえば、中央の読出センサとライター118とを横断する線によって規定されるような)トランスデューサヘッドの軸140は、目標データトラックの接線142に対して角度がついている(角度144を参照)。
【0014】
複数の読出センサ116をトランスデューサヘッド120上に取り入れることにより、記憶システムは、各読出センサ116からの読出信号を監視し、これらの読出信号のうちの1つ以上を使用して、目標データトラックに対するライター118の位置を判断することができる。一実現化例では、正確な位置情報を得るために、読出センサ116のうちの1つ以上が、ライター118と同じデータトラック(たとえば、基準トラック)の上方に整列されるであろう。別の実現化例では、読出センサ116のうちの1つ以上が、別個の基準トラック(たとえば、専用の基準トラック、または目標データトラックに関する位置情報を含む別のデータトラック)の上方に整列されるであろう。また、一実現化例では、トランスデューサヘッド120は、トランスデューサヘッド120を目標データトラックの上方に維持するために書込前読出プロセスを実行するが、他の書込プロセスが採用されてもよい。
【0015】
例示のため、データトラック方向とは、データトラックの周囲または接線に沿った方向を表わし、交差トラック方向とは、トラックの幅を交差する(たとえば、半径に沿った)方向を表わす。「上流トラック」とは、トラックに対するヘッド移動の方向である。書込磁極からの一意的なデータトラック方向オフセットおよび交差トラック方向オフセットでレイアウトされた複数の読出センサを有するトランスデューサヘッドを構成することにより、読出センサのうちの少なくとも1つが書込磁極と同じデータトラックと十分に整列される可能性がある。
【0016】
図2は、書込磁極215の上流トラックに位置する複数の読出センサ225を有する例示的なトランスデューサヘッド200の斜視図を示す。X、Y、Zと呼ばれる軸は例示のためにのみ意図されており、この発明の範囲を限定するよう意図されてはいない。図2では、X軸はトランスデューサヘッド200の長さを示し、Y軸はトランスデューサヘッド200の幅を示し、Z軸はトランスデューサヘッド200の高さを示す。トランスデューサヘッド200は書込磁極215とリターン磁極205とを含み、それらはヨーク220によって結合され、前方シールド210によって隔てられている。動作時、ヨーク220の周囲に位置付けられたコイルにおける電流が、関連する記憶媒体の磁化に影響を与えるために使用され得る磁場を、リターン磁極205および書込磁極215に生成する。
【0017】
読出センサ225は読出シールド230によって収容されており、それは書込磁極215の上流トラックに位置付けられている。図2に示す実現化例では、読出センサ215はすべて、同じ読出シールド230によって収容されている。複数の読出センサ225は、データトラック方向および交差トラック方向のうちの1つ以上において、書込磁極から読出センサへの異なるオフセットを有しており、それにより、関連する読出信号を戻す読出センサ225のうちのいずれかに関連する情報を分析することによる書込磁極215の位置の判断を可能にする。言い換えれば、関連する記憶媒体の内径から外径までのデータトラックについての所望のデータトラックを維持するよう、書込磁極215を助けるために、異なる読出センサ225を使用してもよい。
【0018】
一実現化例では、最も大きい信号対ノイズ比(SNR)を有する読出信号を生成する読出センサが、書込磁極をトラックするために使用される読出信号として選択される。別の実現化例では、SNRが向上した読出信号を有する信号を提供するために、複数の読出信号(たとえば、実質的に同期化された位相を呈する2つ以上の隣接する読出信号)を合計することができる。この場合、これらの読出信号を生成する読出センサが、読出位置を判断するために選択される。さらに別の実現化例では、ディスク表面の上方のトランスデューサヘッドの径方向位置に依存して、予め定められた読出センサが選択される。たとえば、較正プロセスが、書込磁極をトラックする際に使用すべき最良に整列された読出センサ(または複数の読出センサ)を識別するマップを生成することができる。
【0019】
また、SNRを向上させるために複数の読出信号を合計するというアプローチは、リードバック動作中、有益となり得る。リードバック動作とは、1つ以上の読出センサによる記憶媒体表面からのビット(たとえば磁場)の検出に基づいて、読出信号がトランスデューサヘッドによって生成される動作を表わす。単一の読出センサが使用される場合、読出信号は、記憶媒体上に記録されたビットから発出する磁場の感知に基づく。理想的には、単一の読出センサは、どの特定の時点でも、単一のビットからの磁場のみ検出するであろう。しかしながら、記憶媒体上で寸法が減少し続けるにつれて、(連続記憶媒体、ディスクリートトラック記憶媒体、ビットパターン媒体などの上の)記録されたビットの相対寸法、ビット間距離、および読出センサのサイズが組合さり、単一の読出センサは、最も近いビット位置から一次磁場を検出し、また隣接するビット位置から二次磁場も検出するようになる。これらの二次磁場は読出信号におけるノイズの一因となり、それは一次磁場に対してSNR測定を用いて評価され得る。
【0020】
有利には、複数のセンサを使用する場合、複数の読出センサからの検出された読出信号を、各読出信号の二次磁場に対する一次磁場を増幅するように合計することができる。たとえば、2つの隣接する読出センサが単一のビットにまたがっている場合、各センサは、(そのビットから若干ずれているために)そのビットから幾分減少した一次磁場を検出しつつ、他の近くのビット位置から二次磁場も検出する。次に、2つの読出センサによって検出された一次磁場に対応する読出信号の部分を、二次磁場に対応する読出信号の部分よりも効果的に増幅するように、読出信号を合計することができる。したがって、この手法はSNRを向上させ、それはリードバック動作中のビットエラーレート(BER)を減少させる。
【0021】
図2に示すように、トランスデューサヘッド200は3つの読出センサ225を有するが、読出センサ225の数および配置はさまざまな実現化例において異なっていてもよい。一実現化例では、複数の読出センサは少なくとも10個の読出センサを含む。別の実現化例では、読出センサの数は、関連するBPMの面密度の関数として決定される。説明される技術では、読出センサ225の考えられる数は限定されないが、ある実現化例は作製上の制約または工学的選択によって限定される場合がある。
【0022】
各読出センサは、書込磁極215に対する一意的なオフセットを提示する。したがって、複数の読出センサは、トラックとトランスデューサヘッドとの間の(現実的な範囲の)ヘッド−トラック間角度にかかわらず、少なくとも1つの読出センサが書込磁極と同じトラック上に位置付けられる可能性を高める。
【0023】
1つの軸に沿ったオフセット(たとえば、X軸に沿ったデータトラック方向オフセット、Y軸に沿った交差トラック方向オフセット)は大きさがゼロのオフセットであってもよく、一方、別の軸に沿ったオフセットはゼロではない、ということが理解されるべきである。たとえば、書込磁極と読出センサのうちの1つとが双方とも、Y軸上では同じ位置(たとえば、トランスデューサヘッドの中央)に位置し、一方、X軸上ではオフセットされていてもよい(たとえば、読出センサは書込磁極から上流トラックに位置付けられている)。
【0024】
図3Aおよび図3Bは、書込磁極320の上流トラックに位置する読出センサセット330の複数の読出センサを有する例示的なトランスデューサヘッド300の2つの図である。X、Y、Zと呼ばれる軸は例示のためにのみ意図されており、この発明の範囲を限定するよう意図されてはいない。図3Aはトランスデューサヘッド300の側面図である。図3Bはトランスデューサヘッド300の底面図である。トランスデューサヘッド300は書込磁極320とリターン磁極305とを含み、それらはヨーク315によって結合され、前方シールド310によって隔てられている。動作時、ヨーク315の周囲に位置付けられたコイル340における電流が、関連する記憶媒体の磁化に影響を与えるために使用され得る磁場を、リターン磁極305および書込磁極320に生成する。一実現化例では、書込磁極320は、関連する記憶媒体を垂直に磁化する。書込磁極320と読出シールド325との間には、別のシールド345が位置付けられている。
【0025】
読出センサセット330は読出シールド325によって収容され、書込磁極320の上流トラックに位置付けられている。図3Aおよび図3Bに示す実現化例では、読出センサセット330は同じ読出シールド325によって収容されている。読出センサセット330の各読出センサは、書込磁極から読出センサへの異なるオフセットを有しており、それにより、読出信号を戻す読出センサのうちのいずれかに関連する情報を分析することによる書込磁極320の位置の判断を可能にする。言い換えれば、関連する記憶媒体の内径から外径までのデータトラックについての所望のデータトラックを維持するよう、書込磁極320を助けるために、異なる読出センサを使用してもよい。
【0026】
図3Aおよび図3Bに示すように、トランスデューサヘッド300は読出センサセット330の3つの読出センサを有するが、読出センサの数はさまざまな実現化例において異なっていてもよい。一実現化例では、トランスデューサヘッド300は少なくとも10個の読出センサを含む。別の実現化例では、読出センサの数は、関連するBPMの面密度の関数として決定される。
【0027】
図4Aおよび図4Bは、複数の読出センサを各々有し、書込磁極420の下流および上流トラックに位置する複数の読出センサセット430および435を有する例示的なトランスデューサヘッド400の2つの図である。X、Y、Zと呼ばれる軸は例示のためにのみ意図されており、この発明の範囲を限定するよう意図されてはいない。図4Aはトランスデューサヘッド400の側面図である。図4Bはトランスデューサヘッド400の底面図である。トランスデューサヘッド400は書込磁極420とリターン磁極405とを含み、それらはヨーク415によって結合され、前方シールド410によって隔てられている。動作時、ヨーク415の周囲に位置付けられたコイル440における電流が、関連する記憶媒体の磁化に影響を与えるために使用され得る磁場を、リターン磁極405および書込磁極420に生成する。一実現化例では、書込磁極420は、関連する記憶媒体を垂直に磁化する。書込磁極420と読出シールド425との間には、別のシールド445が位置付けられている。
【0028】
読出シールド425によって収容された少なくとも1つの読出センサは、書込磁極420の上流トラックに位置付けられている。図4Aおよび図4Bに示す実現化例では、読出センサセット430は書込磁極420の上流トラックに位置付けられ、単一の読出シールド425によって収容されている。また、読出シールド450によって収容された少なくとも1つの読出センサは、書込磁極420の下流トラックに位置付けられている。図4Aおよび図4Bに示す実現化例では、読出センサセット435は書込磁極420の下流トラックに位置付けられ、単一の読出シールド450によって収容されている。読出センサセット430、435の各読出センサは、書込磁極から読出センサへの異なるオフセットを有しており、それにより、読出信号を戻す読出センサのうちのいずれかに関連する情報を分析することによる書込磁極420の位置の判断を可能にする。言い換えれば、各読出センサは、X軸およびY軸に沿った書込磁極420からの異なるオフセットを提示し、それは、トラックに対する書込磁極420の位置を判断する元となる複数の一意的なオフセットを提供可能である。関連する記憶媒体の内径から外径までのデータトラックについての所望のデータトラックを維持するよう、書込磁極420を助けるために、異なる読出センサを使用してもよい。
【0029】
図4Aおよび図4Bに示すように、トランスデューサヘッド400は、書込磁極420の上流トラックに位置する読出センサセット430の3つの読出センサと、下流トラックに位置する読出センサセット435の3つの読出センサとを有するが、読出センサの数はさまざまな実現化例において異なっていてもよい。一実現化例では、トランスデューサヘッド400は少なくとも10個の読出センサを含む。別の実現化例では、読出センサの数は、関連するBPMの面密度の関数として決定される。有利には、書込磁極からの上流トラックオフセットおよび下流トラックオフセットでの複数の読出センサの使用は、複数の一意的なオフセットを提供して、少なくとも1つの読出センサが書込磁極をトラックする可能性を高める。
【0030】
図5Aおよび図5Bは、複数の読出センサセット530、550と複数のリーダシールド525、535とを有し、読出センサセットは書込磁極520の上流トラックに位置している、例示的なトランスデューサヘッド500の2つの図である。X、Y、Zと呼ばれる軸は例示のためにのみ意図されており、この発明の範囲を限定するよう意図されてはいない。図5Aはトランスデューサヘッド500の側面図である。図5Bはトランスデューサヘッド500の底面図である。トランスデューサヘッド500は書込磁極520とリターン磁極505とを含み、それらはヨーク515によって結合され、前方シールド510によって隔てられている。動作時、ヨーク515の周囲に位置付けられたコイル540における電流が、関連する記憶媒体の磁化に影響を与えるために使用され得る磁場を、リターン磁極505および書込磁極520に生成する。一実現化例では、書込磁極520は、関連する記憶媒体を垂直に磁化する。書込磁極520と読出シールド525との間には、別のシールド545が位置付けられている。
【0031】
読出センサセット530の少なくとも1つの読出センサは、読出シールド525によって収容され、書込磁極520の上流トラックに位置付けられている。加えて、読出センサセット550の少なくとも1つの読出センサは、読出シールド535によって収容され、同じく書込磁極520および読出シールド525の上流トラックに位置付けられている。しかしながら、他の実現化例では、複数の読出センサセットが書込磁極520の下流トラックに位置付けられてもよい、ということが理解されるべきである。図5Aおよび図5Bに示す実現化例では、複数の読出センサセット530、550は、異なる読出シールド525、535によって収容されている。各読出センサセット530、550内の複数の個々の読出センサは、書込磁極から読出センサへの異なるオフセットを有しており、それにより、データ信号を戻す読出センサのうちのいずれかに関連する情報を分析することによる書込磁極520の位置の判断を可能にする。言い換えれば、各読出センサは、(読出センサがすべて書込磁極520の同じ側にある場合でも)X軸およびY軸に沿った書込磁極520からの異なるオフセットを提示し、それは、トラックに対する書込磁極520の位置を判断する元となる複数の一意的なオフセットを提供可能である。関連する記憶媒体の内径から外径までのデータトラックについての所望のデータトラックを維持するよう、書込磁極520を助けるために、異なる読出センサを使用してもよい。
【0032】
図5Aおよび図5Bに示すように、トランスデューサヘッド500は、読出シールド525に関連する読出センサセット530の3つの読出センサと、読出シールド535に関連する読出センサセット550の3つの読出センサとを有するが、読出センサの数はさまざまな実現化例において異なっていてもよい。一実現化例では、トランスデューサヘッド500は少なくとも10個の読出センサを含む。別の実現化例では、読出センサの数は、関連するBPMの面密度の関数として決定される。有利には、書込磁極からの異なる上流トラックオフセットおよび/または異なる下流トラックオフセットでの複数の読出センサの使用は、複数の一意的なオフセットを提供して、少なくとも1つの読出センサが書込磁極をトラックする可能性を高める。
【0033】
図6は、書込中、一貫したデータトラックを維持するために、記憶媒体とのトランスデューサヘッドのさまざまな整列に適応するように複数の読出センサを使用するための例示的な動作600を示すフローチャートを示す。関連する記憶媒体への書込中、トランスデューサヘッドは、所望のデータトラックとの整列を維持するために書込前読出プロセスを使用してもよい。複数の読出センサを含むトランスデューサヘッドは、読出センサのうちの少なくとも1つからの信号がデータトラック情報を戻す可能性を高める。
【0034】
検出動作602で、トランスデューサヘッド上の少なくとも1つの読出センサが、関連する記憶媒体からの読出信号を検出する。一実現化例では、関連する記憶媒体は、ビットパターン媒体である。一実現化例では、複数の読出センサは書込磁極から上流トラックに位置しており、各読出センサは、書込磁極からの一定のデータトラック方向オフセットと異なる交差トラック方向オフセットとを有する。別の実現化例では、複数の読出センサは書込磁極から上流トラックに位置しており、各読出センサは、少なくとも1つの他の読出センサとは異なるデータトラック方向オフセットと、書込磁極からの異なる交差トラック方向オフセットとを有する。さらに別の実現化例では、複数のうちの個々の読出センサは、書込磁極から下流トラックおよび上流トラックの双方に位置している。
【0035】
選択動作604は、複数の読出センサのうちの少なくとも1つから読出された少なくとも1つの信号を選択する。一実現化例では、SNRが最も高い読出信号を検出する1つ以上の読出センサが、読出位置の判断を助けるために選択される。別の実現化例では、複数の読出信号は組合されて、向上したSNRを有する向上した読出信号を生成する。さらに別の実現化例では、事前の較正動作(図示せず)が、トランスデューサヘッドの径方向位置に依存してどの読出センサを使用すべきかという表を生成する。
【0036】
読出位置判断動作606は、読出信号によって識別されたような、記憶媒体に対する選択された読出センサの位置を判断する。一実現化例では、読出信号は、記憶装置のサーボ制御論理によって理解される位置情報を含む。そのような情報は、記憶媒体の表面に対する読出位置(たとえば、選択された読出センサの位置)を計算するために使用されてもよい。
【0037】
書込磁極位置動作608は、選択された読出位置に基づいて、関連する記憶媒体に関する書込磁極の位置を判断する。一実現化例では、トランスデューサヘッド上の書込磁極に対する1つ以上の選択された読出センサのオフセットが知られている。したがって、ディスクに対する読出位置を確定したため、ディスクに対する書込磁極の位置を幾何学的計算を用いて計算することができる。調節動作610は、判断された書込磁極の位置に基づいて、(たとえば、ディスクに対してアクチュエータアームを動かすことにより)トランスデューサヘッド(ひいては、それに取付けられた書込磁極)の径方向位置付けを調節する。
【0038】
ここでの例示的な実現化例はビットパターン媒体に適用されているが、それらは、パターン媒体および連続媒体といった他の種類の媒体、およびそれらのそれぞれの記録方法にも適用可能であるということが理解されるべきである。
【0039】
上述の明細書、例およびデータは、データを媒体に書込むための方法および装置の例示的な実現化例の完全な説明を提供する。装置のさまざまな実現化例を、ある程度の特定性を有して、または1つ以上の個々の実現化例を参照して上述してきたが、当業者であれば、この発明の精神または範囲から逸脱することなく、開示された実現化例に数々の変更を加えることができるであろう。上述の説明に含まれ、添付図面に示されたすべての事項は、特定の実現化例の単なる例示であり、限定的ではないと解釈されるべきであることが意図される。詳細または構造における変更は、請求項に定義されるようなこの発明の基本要素から逸脱することなく加えられてもよい。
【符号の説明】
【0040】
106:データトラック、108:ディスク、116:読出センサ、118:書込磁極、120:トランスデューサヘッド。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トランスデューサヘッドに取付けられた複数の読出センサのうちの少なくとも1つを用いて、記憶媒体データトラックからの読出信号を検出する、方法。
【請求項2】
読出信号に基づいて、トランスデューサヘッドに取付けられた書込磁極の位置を判断するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
読出信号に基づいて、トランスデューサヘッドの径方向位置付けを調節するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
読出センサの各々は、データトラック方向における一意的なオフセットによって、トランスデューサヘッドに取付けられた書込磁極に対して位置付けられている、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
読出センサの各々は、データトラック方向オフセットと交差トラック方向オフセットとの一意的な組合せによって、トランスデューサヘッドに取付けられた書込磁極に対して位置付けられている、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
記憶媒体データトラックは記憶媒体の表面上に設けられており、前記方法はさらに、
記憶媒体の表面に対するトランスデューサヘッドの径方向位置付けに基づいて、複数の読出センサのうちの少なくとも1つを選択するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
複数の読出センサのうちの1つ以上の選択されなかった読出センサに比べて比較的高い信号対ノイズ比を有する、複数の読出センサのうちの少なくとも1つを選択するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
複数の読出センサのうちの少なくとも1つの個々の読出センサは、トランスデューサヘッドに取付けられた書込磁極から上流トラックに位置しており、複数の読出センサのうちの少なくとも1つの他の個々の読出センサは、書込磁極から下流トラックに位置している、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
リードバック動作中、複数の読出センサのうちの少なくとも2つからの読出信号を組合せるステップをさらに含み、組合せは、リードバック動作中、トランスデューサヘッドによって検出される読出データの信号対ノイズ比を向上させる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
トランスデューサヘッドと、
トランスデューサヘッドに取付けられた複数の読出センサとを含む、システム。
【請求項11】
読出センサは、記憶媒体からの読出信号を検出するよう構成されている、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
読出信号に基づいて、トランスデューサヘッドに取付けられた書込磁極の位置を判断するよう構成されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
読出信号に基づいて、トランスデューサヘッドの径方向位置付けを調節するよう構成されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
読出センサの各々は、一意的なオフセットによって、トランスデューサヘッドに取付けられた書込磁極に対して位置付けられている、請求項10に記載のシステム。
【請求項15】
読出センサの各々は、データトラック方向オフセットと交差トラック方向オフセットとの一意的な組合せによって、トランスデューサヘッドに取付けられた書込磁極に対して位置付けられている、請求項10に記載のシステム。
【請求項16】
記憶媒体データトラックが記憶媒体の表面上に設けられており、記憶媒体の表面に対するトランスデューサヘッドの径方向位置付けに基づいて、複数の読出センサのうちの少なくとも1つが選択される、請求項10に記載のシステム。
【請求項17】
複数の読出センサのうちの少なくとも1つが、複数の読出センサのうちの1つ以上の選択されなかった読出センサに比べて比較的高い信号対ノイズ比を検出したことに基づいて、その少なくとも1つの読出センサが選択される、請求項10に記載のシステム。
【請求項18】
複数の読出センサのうちの少なくとも1つの読出センサは、トランスデューサヘッドに取付けられた書込磁極から上流トラックに位置しており、複数の読出センサのうちの少なくとも1つの他の読出センサは、書込磁極から下流トラックに位置している、請求項10に記載のシステム。
【請求項19】
トランスデューサヘッドは、リードバック動作中、少なくとも2つの読出センサからの読出信号を組合せるよう構成されており、組合せは、リードバック動作中、トランスデューサヘッドによって検出される読出データの信号対ノイズ比を向上させる、請求項10に記載のシステム。
【請求項20】
記憶媒体の内径と外径との間に複数の同心データトラックを含む記憶媒体と、
トランスデューサヘッドと、
トランスデューサヘッドに取付けられた複数の読出センサと、
トランスデューサヘッドに取付けられ、読出センサの各々に対して一意的に位置付けられた書込磁極とを含み、トランスデューサヘッドが記憶媒体の内径と外径との間に位置付けられている場合、書込磁極と同じデータトラックとのトランスデューサヘッドの整列にかかわらず、複数の読出センサのうちの少なくとも1つがそのデータトラックと整列される、システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−169033(P2012−169033A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−28391(P2012−28391)
【出願日】平成24年2月13日(2012.2.13)
【出願人】(500373758)シーゲイト テクノロジー エルエルシー (278)
【Fターム(参考)】