記憶媒体収容装置
【課題】記憶媒体収容装置が記憶媒体を受け入れる際のセキュリティの確保をコンパクトに実現することを課題とする。
【解決手段】磁気テープ装置20は、投入口21より取り込んだ磁気テープカートリッジ10をロボット40内部に取り込むと、電子タグ11が記憶する情報を認証部45によって読み取り、読み取った情報に基づいて磁気テープカートリッジ10の正当性を認証する。そして、磁気テープ装置20は、認証部45によって磁気テープカートリッジ10の正当性が認められた場合には、磁気テープカートリッジ10をドライブまで運搬し、正当性が認められない場合には、磁気テープカートリッジ10を収容セル30に戻し、磁気テープカートリッジ10をドライブまで運搬しないようにロボット40を制御する。
【解決手段】磁気テープ装置20は、投入口21より取り込んだ磁気テープカートリッジ10をロボット40内部に取り込むと、電子タグ11が記憶する情報を認証部45によって読み取り、読み取った情報に基づいて磁気テープカートリッジ10の正当性を認証する。そして、磁気テープ装置20は、認証部45によって磁気テープカートリッジ10の正当性が認められた場合には、磁気テープカートリッジ10をドライブまで運搬し、正当性が認められない場合には、磁気テープカートリッジ10を収容セル30に戻し、磁気テープカートリッジ10をドライブまで運搬しないようにロボット40を制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、記憶媒体の受け入れに対するセキュリティ機構を備えた記憶媒体収容装置に関する。
【背景技術】
【0002】
所定の規格で作られた記憶媒体を取り込むための投入口を備え、投入された記憶媒体を収容セルで収容し、記憶媒体が記憶するデータを外部の電子計算機に転送する記憶媒体収容装置がある。この記憶媒体収容装置は、記憶媒体を運搬するロボットを内部に有し、所定の操作を受け付けると、収容セルに収容された記憶媒体をロボット内部に取り込んだ後、記憶媒体に対してデータの読み書きを実行するドライブまで運搬する。
【0003】
従来、このような記憶媒体収容装置は、ユーザによって記憶媒体が投入口から投入されると、物理的に収容が可能であるという条件を満たしているだけで、その記憶媒体を取り込み、収容していた。例えば、非特許文献1の磁気テープ装置は、投入口からから投入された36トラック記録様式(ISO/IEC 14251、X 6135、INCITS 261−1996に準拠)の磁気テープカートリッジを全て取り込み、収容していた。
【0004】
【非特許文献1】“ETERNUS F6476M/S テープ装置”、[online]、[平成18年10月31日検索]、インターネット<http://storage-system.fujitsu.com/jp/products/tape/f6476ms/>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記した従来の技術では、記憶媒体の正当性(例えば、確かな作成者によって作成されたものであるか、偽造された記憶媒体ではないか、悪意あるコード(malicious code)を含む記憶媒体ではないかなど)の判断なしに記憶媒体を取り込んでおり、記憶媒体の受け入れに対するセキュリティの確保が課題とされていた。
【0006】
その課題を解決する方法として、記憶媒体の正当性を判断し、正当なものだけが記憶媒体収容装置に搬送されるという機能を持った外部装置を記憶媒体収容装置の収容セルの口付近に装着する方法が考えられるが、その方法では、本来の記憶媒体収容装置の大きさに外部装置の大きさが加わるので、セキュリティの確保をコンパクトに実現することが課題とされた。
【0007】
そこで、この発明は、上述した従来技術の課題を解決するためになされたものであり、記憶媒体の受け入れに対するセキュリティの確保をコンパクトに実現することが可能な記憶媒体収容装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1に係る発明は、投入口より投入された記憶媒体を一時保持する収容セルから、前記記憶媒体に対してデータの読み書きを実行するドライブまで前記記憶媒体を運搬するロボットを内部に有し、前記記憶媒体を前記収容セルから前記ロボット内部に取り込んだ後、前記ロボットによって前記ドライブへ運搬する記憶媒体収容装置であって、前記投入口より投入された前記記憶媒体の正当性を認証する認証手段と、前記認証手段によって前記記憶媒体の正当性が認められた場合には、前記記憶媒体を前記ドライブまで運搬するように前記ロボットを制御し、前記認証手段によって前記記憶媒体の正当性が認められない場合には、前記記憶媒体を前記ドライブまで運搬しないように前記ロボットを制御するロボット制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、請求項2に係る発明は、上記の発明において、前記認証手段は、前記収容セル内部に一時保持され、かつ、前記収容セルから前記ロボットへの方向に対する移動が阻止された束縛状態にある前記記憶媒体の正当性を認証し、前記ロボット制御手段は、前記認証手段によって前記記憶媒体の正当性が認められた場合には、前記記憶媒体の前記束縛状態を解放して前記ドライブまで運搬するように前記ロボットを制御し、前記認証手段によって前記記憶媒体の正当性が認められない場合には、前記記憶媒体の前記束縛状態を継続するように前記ロボットを制御することを特徴とする。
【0010】
また、請求項3に係る発明は、上記の発明において、前記認証手段は、前記ロボット内部に取り込まれ、かつ、前記ロボットによる運搬が開始される前の状態にある前記記憶媒体の正当性を認証し、前記ロボット制御手段は、前記認証手段によって前記記憶媒体の正当性が認められた場合には、前記記憶媒体を前記ドライブまで運搬するように前記ロボットを制御し、前記認証手段によって前記記憶媒体の正当性が認められない場合には、前記記憶媒体を前記収容セルの方向へ戻すように前記ロボットを制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、投入口より投入された記憶媒体の正当性を認証し、記憶媒体の正当性が認められた場合には、記憶媒体をドライブまで運搬するようにロボットを制御し、記憶媒体の正当性が認められない場合には、記憶媒体をドライブまで運搬しないようにロボットを制御するので、記憶媒体の受け入れに対するセキュリティの確保をコンパクトに実現することが可能となる。
【0012】
また、請求項2の発明によれば、収容セル内部に一時保持され、かつ、収容セルからロボットへの方向に対する移動が阻止された束縛状態にある記憶媒体の正当性を認証し、記憶媒体の正当性が認められた場合には、記憶媒体の束縛状態を解放してドライブまで運搬するようにロボットを制御し、記憶媒体の正当性が認められない場合には、記憶媒体の束縛状態を継続するようにロボットを制御するので、ロボット内部で認証を行う手法に比較して、不当な記憶媒体が記憶媒体収容装置のより内部へ取り込まれないという面で、安全性を高めることが可能となる。
【0013】
また、請求項3の発明によれば、ロボット内部に取り込まれ、かつ、ロボットによる運搬が開始される前の状態にある記憶媒体の正当性を認証し、認証手段によって記憶媒体の正当性が認められた場合には、記憶媒体をドライブまで運搬するようにロボットを制御し、記憶媒体の正当性が認められない場合には、記憶媒体を収容セルの方向へ戻すようにロボットを制御するので、記憶媒体に取り付けた電子タグを読み取ることによって実現する認証システムにおいて、収容セル内部で認証を行う手法に比較して、ロボットだけに読み取り部を備えることで、複数の収容セルに読み取り部を備える必要がない分、安価に認証システムを構築することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る記憶媒体収容装置の実施例を詳細に説明する。なお、以下では、本実施例で用いる主要な用語、実施例1に係る記憶媒体収容装置の概要と特徴、実施例1に係る記憶媒体収容装置の構成および処理の流れを順に説明し、次に、実施例2に係る記憶媒体収容装置の構成および処理の流れを説明し、最後に本実施例に対する種々の変形例を説明する。
【実施例1】
【0015】
[用語の説明]
最初に、本実施例で用いる主要な用語を説明する。本実施例で用いる「磁気テープカートリッジ(特許請求の範囲に記載の「記憶媒体」に対応する)」とは、可搬性を有する外部記憶装置の一種であり、図1に示すように、磁気テープカートリッジ10は、磁性体を塗ったテープをケースに収めたものである。また、磁気テープカートリッジ10は、表面に電子タグ11が付与されており、この電子タグには自身の個別情報が記憶されている。
【0016】
また、本実施例で用いる「磁気テープ装置(特許請求の範囲に記載の「記憶媒体収容装置」に対応する)」とは、上記した磁気テープカートリッジ10に対してデータの読み書きを実行する装置であり、図2に示すように、磁気テープ装置20は、磁気テープカートリッジ10が投入される複数の投入口21を装置の前面に備え、この投入口21から磁気テープカートリッジ10を取り込む。
【0017】
また、本実施例で用いる「収容セル(特許請求の範囲に記載の「収容セル」に対応する)」とは、磁気テープ装置20内部の一区画として存在し、磁気テープカートリッジ10を一時保持する場所であり、図3に示すように、収容セル30は、上記したそれぞれの投入口21から磁気テープ装置20内部へと続く空間で磁気テープカートリッジ10を保持する。なお、図3は、図2に示した磁気テープ装置20が持つ4区画に区切られた投入口のまとまりのうちの一つを、向かって右側面から見たときの透写図である。
【0018】
また、本実施例で用いる「ロボット(特許請求の範囲に記載の「ロボット」に対応する)」とは、磁気テープカートリッジ10を収容セル30から取り出して、自身に取り込み、データの読み書きを実行するドライブまで運搬するといった一連の作業を磁気テープ装置20に制御されつつ実行する機械であり、図4に示すように、ロボット40は、磁気テープ装置20内部で移動することによって各収容セル30を行き来し、収容セル30で保持された磁気テープカートリッジ10を内部に取り込んだ後、ドライブまで運搬する。
【0019】
[実施例1に係る磁気テープ装置の概要および特徴]
次に、図5を用いて、実施例1に係る磁気テープ装置の概要および特徴を説明する。図5は、実施例1に係る磁気テープ装置の概要および特徴を説明する図である。
【0020】
実施例1に係る磁気テープ装置の概要は、収容セルからドライブまで磁気テープカートリッジを運搬するロボットを内部に有し、磁気テープカートリッジを収容セルからロボット内部に取り込んだ後、ロボットによってドライブへ運搬するという内容であり、磁気テープカートリッジの受け入れに対するセキュリティの確保をコンパクトに実現することを可能としている点に主たる特徴がある。
【0021】
この主たる特徴について説明すると、図5の(A)に示すように、磁気テープ装置20は、投入口21より磁気テープカートリッジ10を取り込み、投入口21より投入された磁気テープカートリッジ10の正当性を後述する認証部45によって認証する。なお、磁気テープ装置20は、投入された磁気テープカートリッジ10がロボット40内部に取り込まれるまでは、収容セル30に磁気テープカートリッジ10を一時保持する。
【0022】
そして、図5の(B)に示すように、磁気テープ装置20は、磁気テープカートリッジ10をロボット40内部に取り込むと、電子タグ11が記憶する情報を認証部45によって読み取り、読み取った情報に基づいて磁気テープカートリッジ10の正当性を認証する。
【0023】
そして、磁気テープ装置20は、認証部45によって磁気テープカートリッジ10の正当性が認められた場合には、図5の(C)に示すように、磁気テープカートリッジ10をドライブまで運搬するようにロボット40を制御する。なお、ドライブについては図示していないが、ロボット40は、矢印の方向へ移動して磁気テープカートリッジ10をドライブまで運搬する。
【0024】
一方、磁気テープ装置20は、認証部45によって磁気テープカートリッジ10の正当性が認められない場合には、図5の(D)に示すように、磁気テープカートリッジ10を収容セル30に戻し、磁気テープカートリッジ10をドライブまで運搬しないようにロボット40を制御する。
【0025】
このようなことから、実施例1に係る磁気テープ装置は、外部装置(例えば、磁気テープ装置の投入口付近に外付けで装着する装置であり、装置の投入口より投入された磁気テープカートリッジの正当性を認証し、正当性が認証された磁気テープカートリッジだけを磁気テープ装置の投入口へ搬送する装置)に頼らず、自身で磁気テープカートリッジの正当性を認証し、正当性が認証された磁気テープカートリッジだけをドライブに運搬するので、上記した主たる特徴の通り、磁気テープカートリッジの受け入れに対するセキュリティの確保をコンパクトに実現することが可能となる。
【0026】
[実施例1に係る磁気テープ装置の構成]
次に、図6〜図8を用いて、実施例1に係る磁気テープ装置20の構成を説明する。図6は、磁気テープ装置20の構成を示す図であり、図7は、ロボット40の三面図であり(図7の(A)は、ロボット40を上方から見た図であり、図7の(B)は、ロボット40を正面から見た図であり、図7の(C)は、ロボット40を正面から向かって右側から見た図である)、図8は、第1センサおよび第2センサの動作を説明するための図である。なお、以下では、本発明に密接に関連するものとして、磁気テープ装置20の構成のうち磁気テープカートリッジ10の受け入れに係る構成を説明する。
【0027】
図6に示すように、磁気テープカートリッジ10の受け入れに係る構成として、実施例1に係る磁気テープ装置20は、ユーザが磁気テープ装置20内部に磁気テープカートリッジ10を投入するために前面に設けられた入り口である投入口21のほか、収容セル30と、ロボット40とで構成され、投入口21が収容セル30の空間へと通じており、収容セル30が磁気テープ装置20内部へと続き、最奥にロボット40が存在するといった位置関係になっている。
【0028】
収容セル30は、図6に示すように、磁気テープカートリッジ10を収容セル30内部で収容セル30からロボット40への方向に対する移動が阻止された束縛状態にするためのストッパー31を備え、磁気テープカートリッジ10を一時保持する。例えば、磁気テープカートリッジ10には予め所定の形状や大きさの窪みを設けておき、収容セル30は、その窪みに入り込む突起をストッパー31として機能させる。そうすることによって、収容セル30は、投入口21から投入された磁気テープカートリッジ10がユーザによって所定の位置まで押し込まれると、磁気テープカートリッジ10の窪みに突起が入り込むので、磁気テープカートリッジ10を上記の方向に対する移動が阻止された束縛状態にする。
【0029】
ロボット40は、図6に示すように、ロボット制御部40aと、ストッパー解除部41と、フィーダベルト42と、第1センサ43と、第2センサ44と、認証部45とを備え、磁気テープカートリッジ10を収容セル30から自身に取り込んだ後、ドライブへ運搬する。
【0030】
ロボット制御部40aは、ロボット40の一連の作業を制御し、後述する認証部45によって磁気テープカートリッジ10の正当性が認められた場合には、磁気テープカートリッジ10をドライブまで運搬するようにロボット40を制御し、後述する認証部45によって磁気テープカートリッジ10の正当性が認められない場合には、磁気テープカートリッジ10を収容セルの方向へ戻し、ドライブまで運搬しないようにロボット40を制御する。
【0031】
具体的には、ロボット制御部40aは、磁気テープ装置20から作業の開始を指示する信号を受け取ると、ロボット40の各部(後述するストッパー解除部41、フィーダベルト42、認証部45など)を制御し、磁気テープカートリッジ10を収容セルからロボット40内部に取り込む作業や、磁気テープカートリッジ10の正当性を判断した後、磁気テープカートリッジ10をドライブまで運搬する、あるいは、収容セル30に戻すといった作業をロボット40に実行させる。
【0032】
ストッパー解除部41は、上述したロボット制御部40aに制御されることで、磁気テープカートリッジ10を束縛状態から解放する。例えば、上記した磁気テープカートリッジ10の窪みと、収容セル30の突起とで作られる束縛状態に対して、ストッパー解除部41は、収容セル30の所定の部位を押下することによって磁気テープカートリッジ10の窪みに入り込んだ突起を窪みから抜き出し、磁気テープカートリッジ10を束縛状態から解除する。なお、ストッパー解除部41は、図7の(A)に示すように、アームが収容セル30の方向に伸び、ロボット40の先端に位置する。
【0033】
フィーダベルト42は、上述したロボット制御部40aに制御されることで収容セル30からロボット40内部まで磁気テープカートリッジ10を移動させる。具体的には、フィーダベルト42は、磁気テープカートリッジ10を両側から拘束しつつ回転し、磁気テープカートリッジ10とフィーダベルト42の素材とで生じる摩擦によって、磁気テープカートリッジ10をロボット40の方向へ移動させたり、逆に、一旦ロボット40内部に取り込まれた磁気テープカートリッジ10を収容セル30方向へ移動させたりする。なお、フィーダベルト42は、図7の(A)に示すように、磁気テープカートリッジ10を両側から挟む位置に対向して存在する。
【0034】
第1センサ43および第2センサ44は、磁気テープカートリッジ10の存在を検知し、上述したロボット制御部40aに対して信号(例えば、ONかOFFかの情報)を出力する。具体的に図8を用いて説明すると、図8の(A)に示すように、第1センサ43は、上述したフィーダベルト42が磁気テープカートリッジ10を移動させると、磁気テープカートリッジ10に押し上げられることによって磁気テープカートリッジ10の存在を検知し、ロボット制御部40aに対してON信号を出力する。なお、第1センサ43は、磁気テープカートリッジ10が収容セル30からロボット40の方向へ移動する際には、必ず第2センサ44よりも先に磁気テープカートリッジ10の存在を検知する。
【0035】
そして、図8の(B)に示すように、第2センサ44は、フィーダベルト42が磁気テープカートリッジ10をさらに移動させると、同様に、磁気テープカートリッジ10に押し上げられることによって磁気テープカートリッジ10の存在を検知し、ロボット制御部40aに対してON信号を出力する。なお、ロボット制御部40aは、第1センサ43、第2センサ44の順にON信号を受け取ることによって、磁気テープカートリッジ10が正常に収容セル30からロボット40の方向へ移動していることを認識し、フィーダベルト42の駆動を継続する。
【0036】
そして、図8の(C)に示すように、第1センサ43は、フィーダベルト42が磁気テープカートリッジ10をさらに移動させると、磁気テープカートリッジ10に押し上げられた状態から元の状態へ戻り、ロボット制御部40aに対してOFF信号を出力する。なお、ロボット制御部40aは、第1センサ43のOFF信号を受け取ることよって、磁気テープカートリッジ10が所定の位置まで移動したことを認識し、フィーダベルト42の駆動を停止する。
【0037】
認証部45は、ロボット40内部に取り込まれ、かつ、ロボット40による運搬が開始される前の状態にある磁気テープカートリッジ10の正当性を認証する。具体的には、認証部45は、磁気テープカートリッジ10の表面に付与された電子タグ11と交信して電子タグ11に記憶された情報を読み取り、その情報に基づいて磁気テープカートリッジ10の正当性を判断し、認証結果をロボット制御部40aに出力する。
【0038】
[実施例1に係る磁気テープ装置による磁気テープカートリッジ受け入れ処理]
【0039】
次に、図9を用いて、実施例1における磁気テープ装置20による処理を説明する。図9は、実施例1における磁気テープ装置20による処理の流れを示すフローチャートである。
【0040】
図9に示すように、磁気テープ装置20は、収容セル30に磁気テープカートリッジ10が保持された状態において、ユーザによってロード開始ボタンが押されると(ステップS901肯定)、作業の開始を指示する信号をロボット制御部40aに出力し、それを受け取ったロボット制御部40aがストッパー解除部41によってストッパー31を解除する(ステップS902)。そして、ロボット制御部40aは、フィーダベルト42によって磁気テープカートリッジ10をロボット40内部へ取り込みつつ(ステップS903)、第1センサ43および第2センサ44によって磁気テープカートリッジ10の位置を監視する(ステップS904)。
【0041】
そして、ロボット制御部40aは、磁気テープカートリッジ10が所定の位置まで取り込まれた場合には(ステップS904肯定)、フィーダベルト42を停止し(ステップS905)、認証部45によって磁気テープカートリッジ10の正当性を判断する(ステップS906)。そして、ロボット制御部40aは、磁気テープカートリッジ10の正当性が認められない場合には(ステップS907否定)、フィーダベルト42によって磁気テープカートリッジ10を収容セルまで戻す(ステップS908)。一方、ロボット制御部40aは、認証部45によって磁気テープカートリッジ10の正当性が認められた場合には(ステップS907肯定)、磁気テープカートリッジ10をドライブへ運搬するようロボット40を制御し(ステップS909)、処理を終了する。
【0042】
[実施例1の効果]
上記したように、実施例1によれば、投入口より投入された磁気テープカートリッジの正当性を認証し、磁気テープカートリッジの正当性が認められた場合には、磁気テープカートリッジをドライブまで運搬するようにロボットを制御し、磁気テープカートリッジの正当性が認められない場合には、磁気テープカートリッジをドライブまで運搬しないようにロボットを制御するので、磁気テープカートリッジの受け入れに対するセキュリティの確保をコンパクトに実現することが可能となる。つまり、外部装置に頼らず、自身で磁気テープカートリッジの正当性を認証し、正当性が認証された磁気テープカートリッジだけをドライブに運搬するので、磁気テープカートリッジの受け入れに対するセキュリティの確保をコンパクトに実現することが可能となる。
【0043】
また、実施例1によれば、ロボット内部に取り込まれ、かつ、ロボットによる運搬が開始される前の状態にある磁気テープカートリッジの正当性を認証し、磁気テープカートリッジの正当性が認められた場合には、磁気テープカートリッジをドライブまで運搬するようにロボットを制御し、磁気テープカートリッジの正当性が認められない場合には、磁気テープカートリッジを収容セルの方向へ戻すようにロボットを制御するので、磁気テープカートリッジに取り付けた電子タグを読み取ることによって実現する認証システムにおいて、収容セル内部で認証を行う手法に比較して、ロボットだけに認証部を備えることで、複数の収容セルに認証部を備える必要がない分、安価に認証システムを構築することが可能となる。
【実施例2】
【0044】
実施例1では、磁気テープカートリッジを収容セルからロボット内部に取り込んだ後、正当性を判断したが、実施例2では、磁気テープカートリッジを収容セル内部で保持する際に、正当性を判断する場合を説明する。
【0045】
[実施例2に係る磁気テープ装置の構成]
図10を用いて、実施例2に係る磁気テープ装置50の構成を説明する。図10は、磁気テープ装置50の構成を示す図である。同図に示すように、実施例2に係る磁気テープ装置50は、実施例1と同様、ユーザが磁気テープ装置50内部に磁気テープカートリッジ10を投入するために前面に設けられた入り口である投入口21のほか、収容セル60と、ロボット70とを備える。また、収容セル60は、特に本発明に密接に関連するものとして、ストッパー31と、認証部61とを備え、ロボット70は、同様に、ロボット制御部70aと、ストッパー解除部41と、フィーダベルト42と、第1センサ43と、第2センサ44とを備える。なお、実施例1と同じ動作をするものについては同じ番号を付して説明を省略し、以下では、収容セル60と、認証部61と、ロボット70と、ロボット制御部70aのみ説明を行う。
【0046】
収容セル60は、図10に示すように、磁気テープカートリッジ10を収容セル60内部で収容セル60からロボット70への方向に対する移動が阻止された束縛状態にするためのストッパー31を備え、磁気テープカートリッジ10を一時保持するほか、実施例1と異なり、認証部61を備える。
【0047】
認証部61は、収容セル60内部に一時保持され、かつ、収容セル60からロボット70への方向に対する移動が阻止された束縛状態にある磁気テープカートリッジ10の正当性を認証する。具体的には、認証部61は、磁気テープ装置50から認証の開始を指示する信号を受け取ると、磁気テープカートリッジ10の正当性を判断し、正当性が認められた場合にのみ作業の開始を指示する信号を後述するロボット制御部70aに出力する。
【0048】
ロボット70は、図6に示すように、ロボット制御部70aと、ストッパー解除部41と、フィーダベルト42と、第1センサ43と、第2センサ44とを備え、磁気テープカートリッジ10を収容セル60から自身に取り込んだ後、ドライブへ運搬する。
【0049】
ロボット制御部70aは、上述した認証部61によって磁気テープカートリッジ10の正当性が認められた場合には、磁気テープカートリッジ10の束縛状態を解放してドライブまで運搬するようにロボット70を制御し、認証部61によって磁気テープカートリッジ10の正当性が認められない場合には、磁気テープカートリッジ10の束縛状態を継続するようにロボット70を制御する。
【0050】
具体的には、ロボット制御部70aは、認証部61から作業の開始を指示する信号を受け取ると、磁気テープカートリッジ10をロボット70内部に取り込み、ドライブまで運搬する一連の作業をするようロボット70を制御する。なお、ロボット制御部70aによって制御される各部の詳細については図11を用いて説明する。
【0051】
[実施例2に係る磁気テープ装置による処理]
次に、図11を用いて、実施例2における磁気テープ装置50による処理を説明する。図11は、実施例2に係る磁気テープ装置50の処理の流れを示すフローチャートである。
【0052】
図11に示すように、磁気テープ装置50は、収容セル60に磁気テープカートリッジ10が保持された状態において、ユーザによってロード開始ボタンが押されると(ステップS1101肯定)、認証の開始を指示する信号を認証部61に出力し、それを受け取った認証部61が磁気テープカートリッジ10の正当性を判断する(ステップS1102)。
【0053】
そして、認証部61は、磁気テープカートリッジ10の正当性が認められた場合には(ステップS1103肯定)、ロボット制御部70aに作業の開始を指示する信号を出力し、それを受け取ったロボット制御部70aは、ストッパー解除部41によってストッパー31を解除し(ステップS1104)、フィーダベルト42によって磁気テープカートリッジ10をロボット70内部に取り込みつつ(ステップS1105)、第1センサ43および第2センサ44によって磁気テープカートリッジ10の位置を監視する(ステップS1106)。なお、磁気テープカートリッジ10の正当性が認められない場合には(ステップS1103肯定)、認証部61からロボット制御部70aへ作業の開始を指示する信号が出力されず、ロボット制御部70aの制御によってロボット70が一連の作業を実行することはない。
【0054】
そして、ロボット制御部70aは、磁気テープカートリッジ10が所定の位置まで取り込まれた場合には(ステップS1106肯定)、フィーダベルト42を停止し、磁気テープカートリッジ10をドライブへ運搬するようにロボット70を制御し(ステップS1107)、処理を終了する。
【0055】
[実施例2の効果]
上記したように、実施例2によれば、磁気テープ装置は、収容セル内部に一時保持され、かつ、収容セルからロボットへの方向に対する移動が阻止された束縛状態にある磁気テープカートリッジの正当性を認証し、磁気テープカートリッジの正当性が認められた場合には、磁気テープカートリッジの束縛状態を解放してドライブまで運搬するようにロボットを制御し、磁気テープカートリッジの正当性が認められない場合には、磁気テープカートリッジの束縛状態を継続するようにロボットを制御するので、ロボット内部で認証を行う手法に比較して、不当な磁気テープカートリッジが磁気テープ装置のより内部へ取り込まれないという面で、安全性を高めることが可能となる。
【実施例3】
【0056】
さて、これまで本発明の実施例について説明したが、本発明は上述した実施例以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。そこで、以下に示すように、(1)〜(3)にそれぞれ区分けして異なる実施例を説明する。
【0057】
(1)ストッパーの有無
実施例1では、収容セルにストッパーを備え、磁気テープカートリッジを収容セルからロボットへの方向に対する移動が阻止された束縛状態にする場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、ストッパーを備えずに磁気テープカートリッジを収容セル内部で自由な状態にしてもよく、このような場合には、正当性の認められない磁気テープカートリッジがロボット内部の所定の位置まで取り込まれても収容セルの方向へ戻すようにさえすればよい。
【0058】
(2)ストッパーの種類
また、上記の実施例では、磁気テープカートリッジの窪みと、収容セルの突起とで機能するストッパーを使用する場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、磁気テープカートリッジを収容セルからロボットへの方向に対する移動が阻止された束縛状態にするものであればよい。なお、ストッパーの種類にともない、ストッパー解除部が収容セルの所定の部位を押下することでストッパーを解除する場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、磁気テープカートリッジの束縛状態を解除するようにさえすればよい。
【0059】
(3)正当性の判断
また、上記の実施例では、磁気テープカートリッジの正当性を判断する手法として、磁気テープカートリッジに電子タグを付与し、電子タグが記憶する情報を読み取る場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、磁気テープカートリッジにバーコード付与し、それを読み取るなど、正当性を判断する方法であれば、いずれの方法でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0060】
以上のように、本発明に係る記憶媒体収容装置は、投入口より投入された記憶媒体を一時保持する収容セルから、記憶媒体に対してデータの読み書きを実行するドライブまで記憶媒体を運搬するロボットを内部に有し、記憶媒体を収容セルからロボット内部に取り込んだ後、ロボットによってドライブへ運搬する場合に有用であり、特に、記憶媒体の受け入れに対するセキュリティの確保をコンパクトに実現することに適する。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】磁気テープカートリッジを説明するための図である。
【図2】磁気テープ装置を説明するための図である。
【図3】収容セルを説明するための図である。
【図4】ロボットを説明するための図である。
【図5】実施例1に係る磁気テープ装置の概要と特徴を説明するための図である。
【図6】実施例1に係る磁気テープ装置の構成を示す図である。
【図7】ロボットの三面図である。
【図8】第1センサおよび第2センサの動作を説明するための図である。
【図9】実施例1に係る磁気テープ装置による磁気テープカートリッジ受け入れ処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】実施例2に係る磁気テープ装置の構成を示す図である。
【図11】実施例2に係る磁気テープ装置による磁気テープカートリッジ受け入れ処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0062】
10 磁気テープカートリッジ
11 電子タグ
20 磁気テープ装置
21 投入口
30 収容セル
40 ロボット
40a ロボット制御部
41 ストッパー解除部
42 フィーダベルト
43 第1センサ
44 第2センサ
45 認証部
【技術分野】
【0001】
この発明は、記憶媒体の受け入れに対するセキュリティ機構を備えた記憶媒体収容装置に関する。
【背景技術】
【0002】
所定の規格で作られた記憶媒体を取り込むための投入口を備え、投入された記憶媒体を収容セルで収容し、記憶媒体が記憶するデータを外部の電子計算機に転送する記憶媒体収容装置がある。この記憶媒体収容装置は、記憶媒体を運搬するロボットを内部に有し、所定の操作を受け付けると、収容セルに収容された記憶媒体をロボット内部に取り込んだ後、記憶媒体に対してデータの読み書きを実行するドライブまで運搬する。
【0003】
従来、このような記憶媒体収容装置は、ユーザによって記憶媒体が投入口から投入されると、物理的に収容が可能であるという条件を満たしているだけで、その記憶媒体を取り込み、収容していた。例えば、非特許文献1の磁気テープ装置は、投入口からから投入された36トラック記録様式(ISO/IEC 14251、X 6135、INCITS 261−1996に準拠)の磁気テープカートリッジを全て取り込み、収容していた。
【0004】
【非特許文献1】“ETERNUS F6476M/S テープ装置”、[online]、[平成18年10月31日検索]、インターネット<http://storage-system.fujitsu.com/jp/products/tape/f6476ms/>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記した従来の技術では、記憶媒体の正当性(例えば、確かな作成者によって作成されたものであるか、偽造された記憶媒体ではないか、悪意あるコード(malicious code)を含む記憶媒体ではないかなど)の判断なしに記憶媒体を取り込んでおり、記憶媒体の受け入れに対するセキュリティの確保が課題とされていた。
【0006】
その課題を解決する方法として、記憶媒体の正当性を判断し、正当なものだけが記憶媒体収容装置に搬送されるという機能を持った外部装置を記憶媒体収容装置の収容セルの口付近に装着する方法が考えられるが、その方法では、本来の記憶媒体収容装置の大きさに外部装置の大きさが加わるので、セキュリティの確保をコンパクトに実現することが課題とされた。
【0007】
そこで、この発明は、上述した従来技術の課題を解決するためになされたものであり、記憶媒体の受け入れに対するセキュリティの確保をコンパクトに実現することが可能な記憶媒体収容装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1に係る発明は、投入口より投入された記憶媒体を一時保持する収容セルから、前記記憶媒体に対してデータの読み書きを実行するドライブまで前記記憶媒体を運搬するロボットを内部に有し、前記記憶媒体を前記収容セルから前記ロボット内部に取り込んだ後、前記ロボットによって前記ドライブへ運搬する記憶媒体収容装置であって、前記投入口より投入された前記記憶媒体の正当性を認証する認証手段と、前記認証手段によって前記記憶媒体の正当性が認められた場合には、前記記憶媒体を前記ドライブまで運搬するように前記ロボットを制御し、前記認証手段によって前記記憶媒体の正当性が認められない場合には、前記記憶媒体を前記ドライブまで運搬しないように前記ロボットを制御するロボット制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、請求項2に係る発明は、上記の発明において、前記認証手段は、前記収容セル内部に一時保持され、かつ、前記収容セルから前記ロボットへの方向に対する移動が阻止された束縛状態にある前記記憶媒体の正当性を認証し、前記ロボット制御手段は、前記認証手段によって前記記憶媒体の正当性が認められた場合には、前記記憶媒体の前記束縛状態を解放して前記ドライブまで運搬するように前記ロボットを制御し、前記認証手段によって前記記憶媒体の正当性が認められない場合には、前記記憶媒体の前記束縛状態を継続するように前記ロボットを制御することを特徴とする。
【0010】
また、請求項3に係る発明は、上記の発明において、前記認証手段は、前記ロボット内部に取り込まれ、かつ、前記ロボットによる運搬が開始される前の状態にある前記記憶媒体の正当性を認証し、前記ロボット制御手段は、前記認証手段によって前記記憶媒体の正当性が認められた場合には、前記記憶媒体を前記ドライブまで運搬するように前記ロボットを制御し、前記認証手段によって前記記憶媒体の正当性が認められない場合には、前記記憶媒体を前記収容セルの方向へ戻すように前記ロボットを制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、投入口より投入された記憶媒体の正当性を認証し、記憶媒体の正当性が認められた場合には、記憶媒体をドライブまで運搬するようにロボットを制御し、記憶媒体の正当性が認められない場合には、記憶媒体をドライブまで運搬しないようにロボットを制御するので、記憶媒体の受け入れに対するセキュリティの確保をコンパクトに実現することが可能となる。
【0012】
また、請求項2の発明によれば、収容セル内部に一時保持され、かつ、収容セルからロボットへの方向に対する移動が阻止された束縛状態にある記憶媒体の正当性を認証し、記憶媒体の正当性が認められた場合には、記憶媒体の束縛状態を解放してドライブまで運搬するようにロボットを制御し、記憶媒体の正当性が認められない場合には、記憶媒体の束縛状態を継続するようにロボットを制御するので、ロボット内部で認証を行う手法に比較して、不当な記憶媒体が記憶媒体収容装置のより内部へ取り込まれないという面で、安全性を高めることが可能となる。
【0013】
また、請求項3の発明によれば、ロボット内部に取り込まれ、かつ、ロボットによる運搬が開始される前の状態にある記憶媒体の正当性を認証し、認証手段によって記憶媒体の正当性が認められた場合には、記憶媒体をドライブまで運搬するようにロボットを制御し、記憶媒体の正当性が認められない場合には、記憶媒体を収容セルの方向へ戻すようにロボットを制御するので、記憶媒体に取り付けた電子タグを読み取ることによって実現する認証システムにおいて、収容セル内部で認証を行う手法に比較して、ロボットだけに読み取り部を備えることで、複数の収容セルに読み取り部を備える必要がない分、安価に認証システムを構築することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る記憶媒体収容装置の実施例を詳細に説明する。なお、以下では、本実施例で用いる主要な用語、実施例1に係る記憶媒体収容装置の概要と特徴、実施例1に係る記憶媒体収容装置の構成および処理の流れを順に説明し、次に、実施例2に係る記憶媒体収容装置の構成および処理の流れを説明し、最後に本実施例に対する種々の変形例を説明する。
【実施例1】
【0015】
[用語の説明]
最初に、本実施例で用いる主要な用語を説明する。本実施例で用いる「磁気テープカートリッジ(特許請求の範囲に記載の「記憶媒体」に対応する)」とは、可搬性を有する外部記憶装置の一種であり、図1に示すように、磁気テープカートリッジ10は、磁性体を塗ったテープをケースに収めたものである。また、磁気テープカートリッジ10は、表面に電子タグ11が付与されており、この電子タグには自身の個別情報が記憶されている。
【0016】
また、本実施例で用いる「磁気テープ装置(特許請求の範囲に記載の「記憶媒体収容装置」に対応する)」とは、上記した磁気テープカートリッジ10に対してデータの読み書きを実行する装置であり、図2に示すように、磁気テープ装置20は、磁気テープカートリッジ10が投入される複数の投入口21を装置の前面に備え、この投入口21から磁気テープカートリッジ10を取り込む。
【0017】
また、本実施例で用いる「収容セル(特許請求の範囲に記載の「収容セル」に対応する)」とは、磁気テープ装置20内部の一区画として存在し、磁気テープカートリッジ10を一時保持する場所であり、図3に示すように、収容セル30は、上記したそれぞれの投入口21から磁気テープ装置20内部へと続く空間で磁気テープカートリッジ10を保持する。なお、図3は、図2に示した磁気テープ装置20が持つ4区画に区切られた投入口のまとまりのうちの一つを、向かって右側面から見たときの透写図である。
【0018】
また、本実施例で用いる「ロボット(特許請求の範囲に記載の「ロボット」に対応する)」とは、磁気テープカートリッジ10を収容セル30から取り出して、自身に取り込み、データの読み書きを実行するドライブまで運搬するといった一連の作業を磁気テープ装置20に制御されつつ実行する機械であり、図4に示すように、ロボット40は、磁気テープ装置20内部で移動することによって各収容セル30を行き来し、収容セル30で保持された磁気テープカートリッジ10を内部に取り込んだ後、ドライブまで運搬する。
【0019】
[実施例1に係る磁気テープ装置の概要および特徴]
次に、図5を用いて、実施例1に係る磁気テープ装置の概要および特徴を説明する。図5は、実施例1に係る磁気テープ装置の概要および特徴を説明する図である。
【0020】
実施例1に係る磁気テープ装置の概要は、収容セルからドライブまで磁気テープカートリッジを運搬するロボットを内部に有し、磁気テープカートリッジを収容セルからロボット内部に取り込んだ後、ロボットによってドライブへ運搬するという内容であり、磁気テープカートリッジの受け入れに対するセキュリティの確保をコンパクトに実現することを可能としている点に主たる特徴がある。
【0021】
この主たる特徴について説明すると、図5の(A)に示すように、磁気テープ装置20は、投入口21より磁気テープカートリッジ10を取り込み、投入口21より投入された磁気テープカートリッジ10の正当性を後述する認証部45によって認証する。なお、磁気テープ装置20は、投入された磁気テープカートリッジ10がロボット40内部に取り込まれるまでは、収容セル30に磁気テープカートリッジ10を一時保持する。
【0022】
そして、図5の(B)に示すように、磁気テープ装置20は、磁気テープカートリッジ10をロボット40内部に取り込むと、電子タグ11が記憶する情報を認証部45によって読み取り、読み取った情報に基づいて磁気テープカートリッジ10の正当性を認証する。
【0023】
そして、磁気テープ装置20は、認証部45によって磁気テープカートリッジ10の正当性が認められた場合には、図5の(C)に示すように、磁気テープカートリッジ10をドライブまで運搬するようにロボット40を制御する。なお、ドライブについては図示していないが、ロボット40は、矢印の方向へ移動して磁気テープカートリッジ10をドライブまで運搬する。
【0024】
一方、磁気テープ装置20は、認証部45によって磁気テープカートリッジ10の正当性が認められない場合には、図5の(D)に示すように、磁気テープカートリッジ10を収容セル30に戻し、磁気テープカートリッジ10をドライブまで運搬しないようにロボット40を制御する。
【0025】
このようなことから、実施例1に係る磁気テープ装置は、外部装置(例えば、磁気テープ装置の投入口付近に外付けで装着する装置であり、装置の投入口より投入された磁気テープカートリッジの正当性を認証し、正当性が認証された磁気テープカートリッジだけを磁気テープ装置の投入口へ搬送する装置)に頼らず、自身で磁気テープカートリッジの正当性を認証し、正当性が認証された磁気テープカートリッジだけをドライブに運搬するので、上記した主たる特徴の通り、磁気テープカートリッジの受け入れに対するセキュリティの確保をコンパクトに実現することが可能となる。
【0026】
[実施例1に係る磁気テープ装置の構成]
次に、図6〜図8を用いて、実施例1に係る磁気テープ装置20の構成を説明する。図6は、磁気テープ装置20の構成を示す図であり、図7は、ロボット40の三面図であり(図7の(A)は、ロボット40を上方から見た図であり、図7の(B)は、ロボット40を正面から見た図であり、図7の(C)は、ロボット40を正面から向かって右側から見た図である)、図8は、第1センサおよび第2センサの動作を説明するための図である。なお、以下では、本発明に密接に関連するものとして、磁気テープ装置20の構成のうち磁気テープカートリッジ10の受け入れに係る構成を説明する。
【0027】
図6に示すように、磁気テープカートリッジ10の受け入れに係る構成として、実施例1に係る磁気テープ装置20は、ユーザが磁気テープ装置20内部に磁気テープカートリッジ10を投入するために前面に設けられた入り口である投入口21のほか、収容セル30と、ロボット40とで構成され、投入口21が収容セル30の空間へと通じており、収容セル30が磁気テープ装置20内部へと続き、最奥にロボット40が存在するといった位置関係になっている。
【0028】
収容セル30は、図6に示すように、磁気テープカートリッジ10を収容セル30内部で収容セル30からロボット40への方向に対する移動が阻止された束縛状態にするためのストッパー31を備え、磁気テープカートリッジ10を一時保持する。例えば、磁気テープカートリッジ10には予め所定の形状や大きさの窪みを設けておき、収容セル30は、その窪みに入り込む突起をストッパー31として機能させる。そうすることによって、収容セル30は、投入口21から投入された磁気テープカートリッジ10がユーザによって所定の位置まで押し込まれると、磁気テープカートリッジ10の窪みに突起が入り込むので、磁気テープカートリッジ10を上記の方向に対する移動が阻止された束縛状態にする。
【0029】
ロボット40は、図6に示すように、ロボット制御部40aと、ストッパー解除部41と、フィーダベルト42と、第1センサ43と、第2センサ44と、認証部45とを備え、磁気テープカートリッジ10を収容セル30から自身に取り込んだ後、ドライブへ運搬する。
【0030】
ロボット制御部40aは、ロボット40の一連の作業を制御し、後述する認証部45によって磁気テープカートリッジ10の正当性が認められた場合には、磁気テープカートリッジ10をドライブまで運搬するようにロボット40を制御し、後述する認証部45によって磁気テープカートリッジ10の正当性が認められない場合には、磁気テープカートリッジ10を収容セルの方向へ戻し、ドライブまで運搬しないようにロボット40を制御する。
【0031】
具体的には、ロボット制御部40aは、磁気テープ装置20から作業の開始を指示する信号を受け取ると、ロボット40の各部(後述するストッパー解除部41、フィーダベルト42、認証部45など)を制御し、磁気テープカートリッジ10を収容セルからロボット40内部に取り込む作業や、磁気テープカートリッジ10の正当性を判断した後、磁気テープカートリッジ10をドライブまで運搬する、あるいは、収容セル30に戻すといった作業をロボット40に実行させる。
【0032】
ストッパー解除部41は、上述したロボット制御部40aに制御されることで、磁気テープカートリッジ10を束縛状態から解放する。例えば、上記した磁気テープカートリッジ10の窪みと、収容セル30の突起とで作られる束縛状態に対して、ストッパー解除部41は、収容セル30の所定の部位を押下することによって磁気テープカートリッジ10の窪みに入り込んだ突起を窪みから抜き出し、磁気テープカートリッジ10を束縛状態から解除する。なお、ストッパー解除部41は、図7の(A)に示すように、アームが収容セル30の方向に伸び、ロボット40の先端に位置する。
【0033】
フィーダベルト42は、上述したロボット制御部40aに制御されることで収容セル30からロボット40内部まで磁気テープカートリッジ10を移動させる。具体的には、フィーダベルト42は、磁気テープカートリッジ10を両側から拘束しつつ回転し、磁気テープカートリッジ10とフィーダベルト42の素材とで生じる摩擦によって、磁気テープカートリッジ10をロボット40の方向へ移動させたり、逆に、一旦ロボット40内部に取り込まれた磁気テープカートリッジ10を収容セル30方向へ移動させたりする。なお、フィーダベルト42は、図7の(A)に示すように、磁気テープカートリッジ10を両側から挟む位置に対向して存在する。
【0034】
第1センサ43および第2センサ44は、磁気テープカートリッジ10の存在を検知し、上述したロボット制御部40aに対して信号(例えば、ONかOFFかの情報)を出力する。具体的に図8を用いて説明すると、図8の(A)に示すように、第1センサ43は、上述したフィーダベルト42が磁気テープカートリッジ10を移動させると、磁気テープカートリッジ10に押し上げられることによって磁気テープカートリッジ10の存在を検知し、ロボット制御部40aに対してON信号を出力する。なお、第1センサ43は、磁気テープカートリッジ10が収容セル30からロボット40の方向へ移動する際には、必ず第2センサ44よりも先に磁気テープカートリッジ10の存在を検知する。
【0035】
そして、図8の(B)に示すように、第2センサ44は、フィーダベルト42が磁気テープカートリッジ10をさらに移動させると、同様に、磁気テープカートリッジ10に押し上げられることによって磁気テープカートリッジ10の存在を検知し、ロボット制御部40aに対してON信号を出力する。なお、ロボット制御部40aは、第1センサ43、第2センサ44の順にON信号を受け取ることによって、磁気テープカートリッジ10が正常に収容セル30からロボット40の方向へ移動していることを認識し、フィーダベルト42の駆動を継続する。
【0036】
そして、図8の(C)に示すように、第1センサ43は、フィーダベルト42が磁気テープカートリッジ10をさらに移動させると、磁気テープカートリッジ10に押し上げられた状態から元の状態へ戻り、ロボット制御部40aに対してOFF信号を出力する。なお、ロボット制御部40aは、第1センサ43のOFF信号を受け取ることよって、磁気テープカートリッジ10が所定の位置まで移動したことを認識し、フィーダベルト42の駆動を停止する。
【0037】
認証部45は、ロボット40内部に取り込まれ、かつ、ロボット40による運搬が開始される前の状態にある磁気テープカートリッジ10の正当性を認証する。具体的には、認証部45は、磁気テープカートリッジ10の表面に付与された電子タグ11と交信して電子タグ11に記憶された情報を読み取り、その情報に基づいて磁気テープカートリッジ10の正当性を判断し、認証結果をロボット制御部40aに出力する。
【0038】
[実施例1に係る磁気テープ装置による磁気テープカートリッジ受け入れ処理]
【0039】
次に、図9を用いて、実施例1における磁気テープ装置20による処理を説明する。図9は、実施例1における磁気テープ装置20による処理の流れを示すフローチャートである。
【0040】
図9に示すように、磁気テープ装置20は、収容セル30に磁気テープカートリッジ10が保持された状態において、ユーザによってロード開始ボタンが押されると(ステップS901肯定)、作業の開始を指示する信号をロボット制御部40aに出力し、それを受け取ったロボット制御部40aがストッパー解除部41によってストッパー31を解除する(ステップS902)。そして、ロボット制御部40aは、フィーダベルト42によって磁気テープカートリッジ10をロボット40内部へ取り込みつつ(ステップS903)、第1センサ43および第2センサ44によって磁気テープカートリッジ10の位置を監視する(ステップS904)。
【0041】
そして、ロボット制御部40aは、磁気テープカートリッジ10が所定の位置まで取り込まれた場合には(ステップS904肯定)、フィーダベルト42を停止し(ステップS905)、認証部45によって磁気テープカートリッジ10の正当性を判断する(ステップS906)。そして、ロボット制御部40aは、磁気テープカートリッジ10の正当性が認められない場合には(ステップS907否定)、フィーダベルト42によって磁気テープカートリッジ10を収容セルまで戻す(ステップS908)。一方、ロボット制御部40aは、認証部45によって磁気テープカートリッジ10の正当性が認められた場合には(ステップS907肯定)、磁気テープカートリッジ10をドライブへ運搬するようロボット40を制御し(ステップS909)、処理を終了する。
【0042】
[実施例1の効果]
上記したように、実施例1によれば、投入口より投入された磁気テープカートリッジの正当性を認証し、磁気テープカートリッジの正当性が認められた場合には、磁気テープカートリッジをドライブまで運搬するようにロボットを制御し、磁気テープカートリッジの正当性が認められない場合には、磁気テープカートリッジをドライブまで運搬しないようにロボットを制御するので、磁気テープカートリッジの受け入れに対するセキュリティの確保をコンパクトに実現することが可能となる。つまり、外部装置に頼らず、自身で磁気テープカートリッジの正当性を認証し、正当性が認証された磁気テープカートリッジだけをドライブに運搬するので、磁気テープカートリッジの受け入れに対するセキュリティの確保をコンパクトに実現することが可能となる。
【0043】
また、実施例1によれば、ロボット内部に取り込まれ、かつ、ロボットによる運搬が開始される前の状態にある磁気テープカートリッジの正当性を認証し、磁気テープカートリッジの正当性が認められた場合には、磁気テープカートリッジをドライブまで運搬するようにロボットを制御し、磁気テープカートリッジの正当性が認められない場合には、磁気テープカートリッジを収容セルの方向へ戻すようにロボットを制御するので、磁気テープカートリッジに取り付けた電子タグを読み取ることによって実現する認証システムにおいて、収容セル内部で認証を行う手法に比較して、ロボットだけに認証部を備えることで、複数の収容セルに認証部を備える必要がない分、安価に認証システムを構築することが可能となる。
【実施例2】
【0044】
実施例1では、磁気テープカートリッジを収容セルからロボット内部に取り込んだ後、正当性を判断したが、実施例2では、磁気テープカートリッジを収容セル内部で保持する際に、正当性を判断する場合を説明する。
【0045】
[実施例2に係る磁気テープ装置の構成]
図10を用いて、実施例2に係る磁気テープ装置50の構成を説明する。図10は、磁気テープ装置50の構成を示す図である。同図に示すように、実施例2に係る磁気テープ装置50は、実施例1と同様、ユーザが磁気テープ装置50内部に磁気テープカートリッジ10を投入するために前面に設けられた入り口である投入口21のほか、収容セル60と、ロボット70とを備える。また、収容セル60は、特に本発明に密接に関連するものとして、ストッパー31と、認証部61とを備え、ロボット70は、同様に、ロボット制御部70aと、ストッパー解除部41と、フィーダベルト42と、第1センサ43と、第2センサ44とを備える。なお、実施例1と同じ動作をするものについては同じ番号を付して説明を省略し、以下では、収容セル60と、認証部61と、ロボット70と、ロボット制御部70aのみ説明を行う。
【0046】
収容セル60は、図10に示すように、磁気テープカートリッジ10を収容セル60内部で収容セル60からロボット70への方向に対する移動が阻止された束縛状態にするためのストッパー31を備え、磁気テープカートリッジ10を一時保持するほか、実施例1と異なり、認証部61を備える。
【0047】
認証部61は、収容セル60内部に一時保持され、かつ、収容セル60からロボット70への方向に対する移動が阻止された束縛状態にある磁気テープカートリッジ10の正当性を認証する。具体的には、認証部61は、磁気テープ装置50から認証の開始を指示する信号を受け取ると、磁気テープカートリッジ10の正当性を判断し、正当性が認められた場合にのみ作業の開始を指示する信号を後述するロボット制御部70aに出力する。
【0048】
ロボット70は、図6に示すように、ロボット制御部70aと、ストッパー解除部41と、フィーダベルト42と、第1センサ43と、第2センサ44とを備え、磁気テープカートリッジ10を収容セル60から自身に取り込んだ後、ドライブへ運搬する。
【0049】
ロボット制御部70aは、上述した認証部61によって磁気テープカートリッジ10の正当性が認められた場合には、磁気テープカートリッジ10の束縛状態を解放してドライブまで運搬するようにロボット70を制御し、認証部61によって磁気テープカートリッジ10の正当性が認められない場合には、磁気テープカートリッジ10の束縛状態を継続するようにロボット70を制御する。
【0050】
具体的には、ロボット制御部70aは、認証部61から作業の開始を指示する信号を受け取ると、磁気テープカートリッジ10をロボット70内部に取り込み、ドライブまで運搬する一連の作業をするようロボット70を制御する。なお、ロボット制御部70aによって制御される各部の詳細については図11を用いて説明する。
【0051】
[実施例2に係る磁気テープ装置による処理]
次に、図11を用いて、実施例2における磁気テープ装置50による処理を説明する。図11は、実施例2に係る磁気テープ装置50の処理の流れを示すフローチャートである。
【0052】
図11に示すように、磁気テープ装置50は、収容セル60に磁気テープカートリッジ10が保持された状態において、ユーザによってロード開始ボタンが押されると(ステップS1101肯定)、認証の開始を指示する信号を認証部61に出力し、それを受け取った認証部61が磁気テープカートリッジ10の正当性を判断する(ステップS1102)。
【0053】
そして、認証部61は、磁気テープカートリッジ10の正当性が認められた場合には(ステップS1103肯定)、ロボット制御部70aに作業の開始を指示する信号を出力し、それを受け取ったロボット制御部70aは、ストッパー解除部41によってストッパー31を解除し(ステップS1104)、フィーダベルト42によって磁気テープカートリッジ10をロボット70内部に取り込みつつ(ステップS1105)、第1センサ43および第2センサ44によって磁気テープカートリッジ10の位置を監視する(ステップS1106)。なお、磁気テープカートリッジ10の正当性が認められない場合には(ステップS1103肯定)、認証部61からロボット制御部70aへ作業の開始を指示する信号が出力されず、ロボット制御部70aの制御によってロボット70が一連の作業を実行することはない。
【0054】
そして、ロボット制御部70aは、磁気テープカートリッジ10が所定の位置まで取り込まれた場合には(ステップS1106肯定)、フィーダベルト42を停止し、磁気テープカートリッジ10をドライブへ運搬するようにロボット70を制御し(ステップS1107)、処理を終了する。
【0055】
[実施例2の効果]
上記したように、実施例2によれば、磁気テープ装置は、収容セル内部に一時保持され、かつ、収容セルからロボットへの方向に対する移動が阻止された束縛状態にある磁気テープカートリッジの正当性を認証し、磁気テープカートリッジの正当性が認められた場合には、磁気テープカートリッジの束縛状態を解放してドライブまで運搬するようにロボットを制御し、磁気テープカートリッジの正当性が認められない場合には、磁気テープカートリッジの束縛状態を継続するようにロボットを制御するので、ロボット内部で認証を行う手法に比較して、不当な磁気テープカートリッジが磁気テープ装置のより内部へ取り込まれないという面で、安全性を高めることが可能となる。
【実施例3】
【0056】
さて、これまで本発明の実施例について説明したが、本発明は上述した実施例以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。そこで、以下に示すように、(1)〜(3)にそれぞれ区分けして異なる実施例を説明する。
【0057】
(1)ストッパーの有無
実施例1では、収容セルにストッパーを備え、磁気テープカートリッジを収容セルからロボットへの方向に対する移動が阻止された束縛状態にする場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、ストッパーを備えずに磁気テープカートリッジを収容セル内部で自由な状態にしてもよく、このような場合には、正当性の認められない磁気テープカートリッジがロボット内部の所定の位置まで取り込まれても収容セルの方向へ戻すようにさえすればよい。
【0058】
(2)ストッパーの種類
また、上記の実施例では、磁気テープカートリッジの窪みと、収容セルの突起とで機能するストッパーを使用する場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、磁気テープカートリッジを収容セルからロボットへの方向に対する移動が阻止された束縛状態にするものであればよい。なお、ストッパーの種類にともない、ストッパー解除部が収容セルの所定の部位を押下することでストッパーを解除する場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、磁気テープカートリッジの束縛状態を解除するようにさえすればよい。
【0059】
(3)正当性の判断
また、上記の実施例では、磁気テープカートリッジの正当性を判断する手法として、磁気テープカートリッジに電子タグを付与し、電子タグが記憶する情報を読み取る場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、磁気テープカートリッジにバーコード付与し、それを読み取るなど、正当性を判断する方法であれば、いずれの方法でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0060】
以上のように、本発明に係る記憶媒体収容装置は、投入口より投入された記憶媒体を一時保持する収容セルから、記憶媒体に対してデータの読み書きを実行するドライブまで記憶媒体を運搬するロボットを内部に有し、記憶媒体を収容セルからロボット内部に取り込んだ後、ロボットによってドライブへ運搬する場合に有用であり、特に、記憶媒体の受け入れに対するセキュリティの確保をコンパクトに実現することに適する。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】磁気テープカートリッジを説明するための図である。
【図2】磁気テープ装置を説明するための図である。
【図3】収容セルを説明するための図である。
【図4】ロボットを説明するための図である。
【図5】実施例1に係る磁気テープ装置の概要と特徴を説明するための図である。
【図6】実施例1に係る磁気テープ装置の構成を示す図である。
【図7】ロボットの三面図である。
【図8】第1センサおよび第2センサの動作を説明するための図である。
【図9】実施例1に係る磁気テープ装置による磁気テープカートリッジ受け入れ処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】実施例2に係る磁気テープ装置の構成を示す図である。
【図11】実施例2に係る磁気テープ装置による磁気テープカートリッジ受け入れ処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0062】
10 磁気テープカートリッジ
11 電子タグ
20 磁気テープ装置
21 投入口
30 収容セル
40 ロボット
40a ロボット制御部
41 ストッパー解除部
42 フィーダベルト
43 第1センサ
44 第2センサ
45 認証部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
投入口より投入された記憶媒体を一時保持する収容セルから、前記記憶媒体に対してデータの読み書きを実行するドライブまで前記記憶媒体を運搬するロボットを内部に有し、前記記憶媒体を前記収容セルから前記ロボット内部に取り込んだ後、前記ロボットによって前記ドライブへ運搬する記憶媒体収容装置であって、
前記投入口より投入された前記記憶媒体の正当性を認証する認証手段と、
前記認証手段によって前記記憶媒体の正当性が認められた場合には、前記記憶媒体を前記ドライブまで運搬するように前記ロボットを制御し、前記認証手段によって前記記憶媒体の正当性が認められない場合には、前記記憶媒体を前記ドライブまで運搬しないように前記ロボットを制御するロボット制御手段と、
を備えたことを特徴とする記憶媒体収容装置。
【請求項2】
前記認証手段は、前記収容セル内部に一時保持され、かつ、前記収容セルから前記ロボットへの方向に対する移動が阻止された束縛状態にある前記記憶媒体の正当性を認証し、
前記ロボット制御手段は、前記認証手段によって前記記憶媒体の正当性が認められた場合には、前記記憶媒体の前記束縛状態を解放して前記ドライブまで運搬するように前記ロボットを制御し、前記認証手段によって前記記憶媒体の正当性が認められない場合には、前記記憶媒体の前記束縛状態を継続するように前記ロボットを制御することを特徴とする請求項1に記載の記憶媒体収容装置。
【請求項3】
前記認証手段は、前記ロボット内部に取り込まれ、かつ、前記ロボットによる運搬が開始される前の状態にある前記記憶媒体の正当性を認証し、
前記ロボット制御手段は、前記認証手段によって前記記憶媒体の正当性が認められた場合には、前記記憶媒体を前記ドライブまで運搬するように前記ロボットを制御し、前記認証手段によって前記記憶媒体の正当性が認められない場合には、前記記憶媒体を前記収容セルの方向へ戻すように前記ロボットを制御することを特徴とする請求項1に記載の記憶媒体収容装置。
【請求項1】
投入口より投入された記憶媒体を一時保持する収容セルから、前記記憶媒体に対してデータの読み書きを実行するドライブまで前記記憶媒体を運搬するロボットを内部に有し、前記記憶媒体を前記収容セルから前記ロボット内部に取り込んだ後、前記ロボットによって前記ドライブへ運搬する記憶媒体収容装置であって、
前記投入口より投入された前記記憶媒体の正当性を認証する認証手段と、
前記認証手段によって前記記憶媒体の正当性が認められた場合には、前記記憶媒体を前記ドライブまで運搬するように前記ロボットを制御し、前記認証手段によって前記記憶媒体の正当性が認められない場合には、前記記憶媒体を前記ドライブまで運搬しないように前記ロボットを制御するロボット制御手段と、
を備えたことを特徴とする記憶媒体収容装置。
【請求項2】
前記認証手段は、前記収容セル内部に一時保持され、かつ、前記収容セルから前記ロボットへの方向に対する移動が阻止された束縛状態にある前記記憶媒体の正当性を認証し、
前記ロボット制御手段は、前記認証手段によって前記記憶媒体の正当性が認められた場合には、前記記憶媒体の前記束縛状態を解放して前記ドライブまで運搬するように前記ロボットを制御し、前記認証手段によって前記記憶媒体の正当性が認められない場合には、前記記憶媒体の前記束縛状態を継続するように前記ロボットを制御することを特徴とする請求項1に記載の記憶媒体収容装置。
【請求項3】
前記認証手段は、前記ロボット内部に取り込まれ、かつ、前記ロボットによる運搬が開始される前の状態にある前記記憶媒体の正当性を認証し、
前記ロボット制御手段は、前記認証手段によって前記記憶媒体の正当性が認められた場合には、前記記憶媒体を前記ドライブまで運搬するように前記ロボットを制御し、前記認証手段によって前記記憶媒体の正当性が認められない場合には、前記記憶媒体を前記収容セルの方向へ戻すように前記ロボットを制御することを特徴とする請求項1に記載の記憶媒体収容装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−146743(P2008−146743A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−332497(P2006−332497)
【出願日】平成18年12月8日(2006.12.8)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月8日(2006.12.8)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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