説明

記憶装置、及び半導体装置

【課題】高速動作を実現できる記憶装置、或いは、リフレッシュ動作の頻度が低減できる記憶装置を提供する。
【解決手段】セルアレイ101の内部において、メモリセル100に接続された配線に、駆動回路102から電位の供給が行われる。さらに、駆動回路102上にセルアレイ101が設けられており、セルアレイ101が有する複数の各メモリセル100は、スイッチング素子と、スイッチング素子により電荷の供給、保持、放出が制御される容量素子とを有する。そして、スイッチング素子として用いられるトランジスタは、シリコンよりもバンドギャップが広く、真性キャリア密度がシリコンよりも低い半導体を、チャネル形成領域に含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記憶装置と、当該記憶装置を用いた半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話、スマートフォン、電子書籍などの携帯用の電子機器では、画像データを一時的に記憶する場合などに、書き込みや読み出しの動作が速い、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などの半導体記憶装置(以下、単に記憶装置ともいう)が使用されている。上記記憶装置のさらなる高速動作を実現するには、SRAMの場合、複数のトランジスタで構成されるフリップフロップによりデータの記憶を行うため、微細化によりトランジスタのスイッチング速度を高めることが有効である。しかし、DRAMの場合、キャパシタ(以下、容量素子ともいう)への電荷の供給によりデータの記憶を行うため、電荷の供給を制御するトランジスタのスイッチング速度を高めても、書き込みや読み出しなどの動作速度に与える影響は大きくない。
【0003】
下記の特許文献1には、2本のワードラインをワードライン並列接続点において互いに接続することで、線路抵抗を従来の回路よりも減少させ、ワードラインにおける遅延を解消する半導体メモリ装置について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平05−266670号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されているように、ワードラインなどの配線の抵抗を下げることで、書き込みまたは読み出しの速度を高められる。しかし、特許文献1に記載されている半導体メモリ装置では、そのために、メモリセル数に対するビットライン及びワードラインなどの配線数の比を、増加させる必要がある。よって、ゴミやエッチングの不具合に起因する断線、ショートなどの不良により、歩留まりが低下しやすい。また、配線数が増加することでセルアレイの面積が増大する。
【0006】
また、DRAMは、他の記憶装置に比べて大容量化に有利ではあるが、チップサイズの増大を抑えつつ、LSIの集積度をより高めるためには、他の記憶装置と同様に単位面積あたりの記憶容量を高めなくてはならない。しかし、メモリセルの面積を縮小化すると、容量素子の有する容量値が小さくなるため、デジタル値どうしの電荷量の差が小さくなり、リフレッシュ動作の頻度を高める必要が生じる。そして、リフレッシュ動作の回数を増加させると、記憶装置の消費電力が嵩む上に、トランジスタの劣化による信頼性の低下がもたらされる。特に、メモリセルの面積を縮小化するためにトランジスタを微細化させると、上記信頼性の低下は顕著となる。
【0007】
本発明では、高速動作を実現できる記憶装置の提供を課題の一つとする。或いは、本発明では、リフレッシュ動作の頻度が低減できる記憶装置の提供を課題の一つとする。
【0008】
或いは、本発明では、高速動作を実現できる半導体装置の提供を課題の一つとする。或いは、本発明では、記憶装置の単位面積あたりの記憶容量を高めつつ、信頼性の低下を防ぐことができる半導体装置の提供を課題の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係る記憶装置では、セルアレイが有する複数のメモリセルのうち、いずれか複数のメモリセルが、ワード線またはデータ線などの一の配線に接続されている。そして、本発明の一態様では、駆動回路からワード線またはデータ線などの上記配線への電位の供給が、セルアレイの外部において行われるのではなく、セルアレイの内部において、或いは、一の配線に接続されている上記複数のメモリセルのうちいずれか2つのメモリセル間において、行われる。
【0010】
よって、本発明の一態様では、一の配線に着目すると、駆動回路から上記配線に電位の供給が行われる箇所(給電点)と、セルアレイの端部に位置するメモリセルに上記配線から電位が供給される箇所(給電点)との間隔を、狭めることができる。よって、配線の抵抗に起因して、上記配線に電位の降下が生じていても、上記2つの箇所の間に生じる電位差を小さく抑えることができる。
【0011】
なお、上記配線がワード線である場合、駆動回路から、メモリセルを選択する信号の電位が、ワード線に供給される。或いは、上記配線がデータ線である場合、駆動回路から、データを含む信号の電位が、データ線に供給される。
【0012】
さらに、本発明の一態様では、駆動回路上にセルアレイが設けられており、セルアレイが有する複数の各メモリセルは、スイッチング素子と、上記スイッチング素子により電荷の供給、保持、放出が制御される容量素子とを有する。そして、上記スイッチング素子として用いられるトランジスタは、シリコンよりもバンドギャップが広く、真性キャリア密度がシリコンよりも低い半導体を、チャネル形成領域に含んでいる。このような半導体としては、例えば、シリコンの2倍以上の大きなバンドギャップを有する、酸化物半導体、炭化シリコン、窒化ガリウムなどが挙げられる。上記半導体を有するトランジスタは、通常のシリコンやゲルマニウムなどの半導体で形成されたトランジスタに比べて、オフ電流を極めて低くすることができる。よって、上記構成を有するトランジスタを、容量素子に流入した電荷を保持するためのスイッチング素子として用いることで、容量素子からの電荷のリークを防ぐことができる。
【0013】
電子供与体(ドナー)となる水分又は水素などの不純物が低減され、なおかつ酸素欠損が低減されることで高純度化された酸化物半導体(purified OS)は、i型(真性半導体)又はi型に限りなく近い。そのため、上記酸化物半導体を用いたトランジスタは、オフ電流が著しく低いという特性を有する。具体的に、高純度化された酸化物半導体は、二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)による水素濃度の測定値が、5×1018/cm未満、より好ましくは5×1017/cm以下、更に好ましくは1×1016/cm以下とする。また、ホール効果測定により測定できる酸化物半導体膜のキャリア密度は、1×1014/cm未満、好ましくは1×1012/cm未満、更に好ましくは1×1011/cm未満とする。また、酸化物半導体のバンドギャップは、2eV以上、好ましくは2.5eV以上、より好ましくは3eV以上である。水分又は水素などの不純物濃度が十分に低減されて高純度化された酸化物半導体膜を用いることにより、トランジスタのオフ電流を下げることができる。
【0014】
ここで、酸化物半導体膜中の、水素濃度の分析について触れておく。半導体膜中の水素濃度測定は、SIMSで行う。SIMSは、その原理上、試料表面近傍や、材質が異なる膜との積層界面近傍のデータを正確に得ることが困難であることが知られている。そこで、膜中における水素濃度の厚さ方向の分布をSIMSで分析する場合、対象となる膜が存在する範囲において、値に極端な変動がなく、ほぼ一定の値が得られる領域における平均値を、水素濃度として採用する。また、測定の対象となる膜の厚さが小さい場合、上下に隣接する膜内の水素濃度の影響を受けて、ほぼ一定の値が得られる領域を見いだせない場合がある。この場合、当該膜が存在する領域における、水素濃度の極大値又は極小値を、当該膜中の水素濃度として採用する。更に、当該膜が存在する領域において、極大値を有する山型のピーク、極小値を有する谷型のピークが存在しない場合、変曲点の値を水素濃度として採用する。
【0015】
具体的に、高純度化された酸化物半導体膜を活性層として用いたトランジスタのオフ電流が低いことは、いろいろな実験により証明できる。例えば、チャネル幅が1×10μmでチャネル長が10μmの素子であっても、ソース電極とドレイン電極間の電圧(ドレイン電圧)が1Vから10Vの範囲において、オフ電流が、半導体パラメータアナライザの測定限界以下、すなわち1×10−13A以下という特性を得ることができる。この場合、オフ電流をトランジスタのチャネル幅で除した数値に相当するオフ電流密度は、100zA/μm以下であることが分かる。また、容量素子とトランジスタとを接続して、容量素子に供給される又は容量素子から放出される電荷を当該トランジスタで制御する回路を用いて、オフ電流密度の測定を行った。当該測定では、上記トランジスタに高純度化された酸化物半導体膜をチャネル形成領域に用い、容量素子の単位時間あたりの電荷量の推移から当該トランジスタのオフ電流密度を測定した。その結果、トランジスタのソース電極とドレイン電極間の電圧が3Vの場合に、数十yA/μmという、更に低いオフ電流密度が得られることが分かった。従って、高純度化された酸化物半導体膜を活性層として用いたトランジスタは、オフ電流が、結晶性を有するシリコンを用いたトランジスタに比べて著しく低い。
【0016】
なお、特に断りがない限り、本明細書でオフ電流とは、nチャネル型トランジスタにおいては、ドレイン電極をソース電極とゲート電極よりも高い電位とした状態において、ソース電極の電位を基準としたときのゲート電極の電位が0以下であるときに、ソース電極とドレイン電極の間に流れる電流のことを意味する。或いは、本明細書でオフ電流とは、pチャネル型トランジスタにおいては、ドレイン電極をソース電極とゲート電極よりも低い電位とした状態において、ソース電極の電位を基準としたときのゲート電極の電位が0以上であるときに、ソース電極とドレイン電極の間に流れる電流のことを意味する。
【0017】
例えば、酸化物半導体として、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、二元系金属の酸化物であるIn−Zn系酸化物、Sn−Zn系酸化物、Al−Zn系酸化物、Zn−Mg系酸化物、Sn−Mg系酸化物、In−Mg系酸化物、In−Ga系酸化物、三元系金属の酸化物であるIn−Ga−Zn系酸化物(IGZOとも表記する)、In−Al−Zn系酸化物、In−Sn−Zn系酸化物、Sn−Ga−Zn系酸化物、Al−Ga−Zn系酸化物、Sn−Al−Zn系酸化物、In−Hf−Zn系酸化物、In−La−Zn系酸化物、In−Ce−Zn系酸化物、In−Pr−Zn系酸化物、In−Nd−Zn系酸化物、In−Sm−Zn系酸化物、In−Eu−Zn系酸化物、In−Gd−Zn系酸化物、In−Tb−Zn系酸化物、In−Dy−Zn系酸化物、In−Ho−Zn系酸化物、In−Er−Zn系酸化物、In−Tm−Zn系酸化物、In−Yb−Zn系酸化物、In−Lu−Zn系酸化物、四元系金属の酸化物であるIn−Sn−Ga−Zn系酸化物、In−Hf−Ga−Zn系酸化物、In−Al−Ga−Zn系酸化物、In−Sn−Al−Zn系酸化物、In−Sn−Hf−Zn系酸化物、In−Hf−Al−Zn系酸化物を用いることができる。また、上記酸化物半導体は、珪素を含んでいてもよい。
【0018】
なお、例えば、In−Ga−Zn系酸化物とは、InとGaとZnを含む酸化物という意味であり、InとGaとZnの比率は問わない。また、InとGaとZn以外の金属元素を含んでいてもよい。In−Ga−Zn系酸化物は、無電界時の抵抗が十分に高くオフ電流を十分に低くすることが可能であり、また、移動度も高いため、半導体装置に用いる半導体材料としては好適である。
【発明の効果】
【0019】
本発明の一態様では、一の配線に接続された複数のメモリセル間において、供給される電位の差が、より短い時間で小さく抑えられるので、データの書き込みまたは読み出しなどの動作速度を高めることができる。
【0020】
また、本発明の一態様では、駆動回路上にセルアレイを設けているので、駆動回路とセルアレイを含む記憶装置全体のサイズを小さく抑えることができる。そして、上述したように、オフ電流の著しく低いトランジスタをスイッチング素子に用いているので、容量素子からの電荷のリークを防ぐことができ、リフレッシュ動作の頻度を低く抑えることができる。よって、記憶装置の消費電力を小さく抑え、トランジスタの劣化による信頼性の低下を防ぐことができる。また、リフレッシュ動作の頻度を低く抑えることで、記憶装置及び半導体装置の高速動作を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】記憶装置の構成を示す図。
【図2】セルアレイの回路図。
【図3】セルアレイの動作を示すタイミングチャート。
【図4】記憶装置の構成を示すブロック図。
【図5】読み出し回路の構成を示す図。
【図6】記憶装置の作製方法を示す図。
【図7】記憶装置の作製方法を示す図。
【図8】記憶装置の作製方法を示す図。
【図9】トランジスタの構成を示す図。
【図10】トランジスタの構成を示す図。
【図11】電子機器の図。
【図12】記憶装置の断面図。
【図13】酸化物半導体の一例。
【図14】酸化物半導体の一例。
【図15】酸化物半導体の一例。
【図16】移動度算出のための式。
【図17】ゲート電圧と移動度の関係。
【図18】ゲート電圧とドレイン電流の関係。
【図19】ゲート電圧とドレイン電流の関係。
【図20】ゲート電圧とドレイン電流の関係。
【図21】トランジスタの特性。
【図22】トランジスタの特性。
【図23】トランジスタの特性。
【図24】トランジスタのオフ電流の温度依存性。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下では、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。したがって、本発明は、以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0023】
なお、マイクロプロセッサ、画像処理回路、DSP(Digital Signal Processor)、マイクロコントローラなどの集積回路、RFタグ、メモリーカードなどの記憶媒体、半導体表示装置等、記憶装置を用いることができる各種半導体装置が、本発明の範疇に含まれる。また、半導体表示装置には、液晶表示装置、有機発光素子(OLED)に代表される発光素子を各画素に備えた発光装置、電子ペーパー、DMD(Digital Micromirror Device)、PDP(Plasma Display Panel)、FED(Field Emission Display)等や、半導体膜を用いた回路素子を駆動回路に有しているその他の半導体表示装置が、その範疇に含まれる。
【0024】
(実施の形態1)
図1に、本発明の一態様に係る記憶装置の構成を示す。図1に示す記憶装置では、複数のメモリセル100がマトリクス状に配置されたセルアレイ101と、セルアレイ101の下に設けられた駆動回路102とを有している。
【0025】
また、セルアレイ101には、各メモリセル100に各種電位を供給するための複数の配線が設けられている。具体的に、図1に示すセルアレイ101には、複数のワード線WLと、複数のデータ線DLとが設けられている。
【0026】
なお、上記配線の数は、セルアレイ101におけるメモリセル100の数及び配置によって決めることができる。具体的に、図1では、x列×y行のメモリセル100がマトリクス状に接続されており、ワード線WL1〜WLy、データ線DL1〜DLxがセルアレイ101内に配置されている場合を例示している。そして、各メモリセル100は、複数のデータ線DL1〜DLxの一つと、複数のワード線WL1〜WLyの一つに接続されている。
【0027】
また、駆動回路102は、少なくとも、ワード線WLへの電位の供給により、ワード線WLの選択を行うワード線駆動回路103と、選択されたワード線WLに接続されたメモリセル100におけるデータの書き込みを制御するデータ線駆動回路104とを有する。さらに、データ線駆動回路104は、データの読み出しを行う読み出し回路を有していても良い。
【0028】
ワード線駆動回路103、データ線駆動回路104は、セルアレイ101へのデータの書き込み、セルアレイ101からのデータの読み出し、セルアレイ101におけるデータの保持などの各種動作を、制御回路からの信号に従って制御することができる。なお、図1では、ワード線駆動回路103、データ線駆動回路104に信号を供給する制御回路が、駆動回路102に含まれておらず、記憶装置の外部に設けられている場合を想定しているが、制御回路は駆動回路102の構成要素に含まれていても良い。
【0029】
駆動回路102からの信号の電位は、複数のワード線WLと、複数のデータ線DLを介して、各メモリセル100に供給される。具体的に、ワード線駆動回路103からの信号の電位は、複数の各ワード線WLに供給される。そして、一のワード線WLに供給された電位は、当該一のワード線WLに接続された一行分の複数のメモリセル100に供給される。また、具体的に、データ線駆動回路104からの信号の電位は、複数の各データ線DLに供給される。そして、一のデータ線DLに供給された電位は、当該一のデータ線DLに接続された一列分の複数のメモリセル100のうち、選択されたいずれかのメモリセル100に供給される。
【0030】
そして、本発明の一態様では、駆動回路102からワード線WLまたはデータ線DLなどの各種配線への電位の供給を、セルアレイ101の外部ではなく、セルアレイ101の内部、或いはメモリセル100間において行う。具体的に、図1では、データ線DL4に接続されたメモリセル100と、データ線DLx−3に接続されたメモリセル100との間において、ワード線駆動回路103からの信号の電位がワード線WL1〜WLyに供給されている場合を例示している。また、具体的に、図1では、ワード線WL4に接続されたメモリセル100と、ワード線WLy−3に接続されたメモリセル100との間において、データ線駆動回路104からの信号の電位がデータ線DL1〜DLxに供給されている場合を例示している。
【0031】
図1では、ワード線駆動回路103からワード線WL1〜WLyに電位の供給が行われる箇所である給電点105を、白丸で示している。また、データ線駆動回路104からデータ線DL1〜DLxに電位の供給が行われる箇所である給電点106を、白丸で示している。
【0032】
なお、図1では、メモリセル100間に給電点105及び給電点106が設けられている場合を例示しているが、本発明の一態様では、少なくともセルアレイ101の内部に給電点105または給電点106が設けられていれば良い。
【0033】
また、図1では、給電点105及び給電点106がセルアレイ101の内部に設けられている場合を例示しているが、本発明の一態様では、給電点105と給電点106のいずれか一方が、セルアレイ101の内部に設けられていれば良い。
【0034】
なお、互いに接する複数の導電膜が一の配線として機能する場合、或いは、一の導電膜が配線としての機能と、半導体素子が有する電極としての機能とを併せ持つ場合などがある。そのため、一の配線を他の構成要素から完全に切り分けることが難しい。本明細書において、駆動回路から配線へ電位の供給が行われる給電点の位置とは、駆動回路102が形成された層と、セルアレイ101が形成された層との間に設けられている絶縁膜において、駆動回路と配線との接続がなされるコンタクトホールの位置である、と見なすことができる。
【0035】
例えば、ワード線WL1に接続されたメモリセル100のうち、セルアレイ101の端部に位置する1列目或いはx列目のメモリセル100に、上記ワード線WL1から電位が供給される箇所を、それぞれ給電点107、給電点108とする。セルアレイ101の外部においてワード線WL或いはデータ線DLに電位の供給を行う一般的な構成の場合、ワード線駆動回路103からワード線WL1に電位が供給される給電点X(図示せず)は、セルアレイ101の端部に存在することになる。よって、給電点X及び給電点107の間隔と、給電点X及び給電点108の間隔とは、大きな差を有する。一方、本発明の一態様の場合、ワード線WL或いはデータ線DLへの電位の供給は、セルアレイ101の外部において行うのではなく、セルアレイ101の内部、或いはメモリセル100間において行う。よって、ワード線WL1に着目すると、ワード線駆動回路103から上記ワード線WL1に電位が供給される給電点105は、セルアレイ101の内部に存在するため、給電点105及び給電点107の間隔と、給電点105及び給電点108の間隔との差は、一般的な構成の場合に比べて、小さくなる。よって、ワード線WL1の抵抗に起因して、上記ワード線WL1に電位の降下が生じていても、給電点107と給電点108の間に生じる電位差を、一般的な構成の場合に比べて小さく抑えることができる。
【0036】
ワード線WL1以外のワード線WLや、データ線DLの場合も同様に、駆動回路102から上記配線に電位の供給が行われる給電点と、セルアレイ101の端部に位置するメモリセル100に上記配線から電位が供給される給電点との間の電位差を、小さく抑えることができる。よって、端部に位置するメモリセル100どうしの、給電点における電位差を、小さく抑えることができる。
【0037】
したがって、一のワード線WL或いはデータ線DLに接続された複数のメモリセル100間において、供給される電位の差が、より短い時間で小さく抑えられるので、データの書き込みまたは読み出しなどの動作速度を高めることができる。
【0038】
また、本発明の一態様では、駆動回路102上にセルアレイ101を設けているので、駆動回路102とセルアレイ101を含む記憶装置全体のサイズを小さく抑えることができる。
【0039】
次いで、図2に、図1に示したセルアレイ101の、具体的な回路図の一例を示す。図2に示すセルアレイ101では、複数のワード線WL、複数のデータ線DL、複数の容量線CLなどの各種配線が設けられており、駆動回路からの信号の電位、又は電源電位が、これら配線を介して各メモリセル100に供給される。
【0040】
具体的に、図2では、ワード線駆動回路からワード線WL1〜WLyに電位の供給が行われる箇所である給電点105を、白丸で示している。また、データ線駆動回路からデータ線DL1〜DLxに電位の供給が行われる箇所である給電点106を、白丸で示している。
【0041】
メモリセル100は、スイッチング素子として機能するトランジスタ109と、容量素子110とを有する。図2に示すメモリセル100では、容量素子110に電荷を蓄積することで、データの記憶を行う。
【0042】
なお、トランジスタが有するソース端子とドレイン端子は、トランジスタの極性及び各電極に与えられる電位の高低によって、その呼び方が入れ替わる。一般的に、nチャネル型トランジスタでは、低い電位が与えられる電極がソース端子と呼ばれ、高い電位が与えられる電極がドレイン端子と呼ばれる。また、pチャネル型トランジスタでは、低い電位が与えられる電極がドレイン端子と呼ばれ、高い電位が与えられる電極がソース端子と呼ばれる。以下、ソース端子とドレイン端子のいずれか一方を第1端子、他方を第2端子とし、メモリセル100が有するトランジスタ109、容量素子110の接続関係について説明する。
【0043】
具体的に、トランジスタ109の第1端子は、複数のデータ線DLの一つに接続されている。トランジスタ109のゲート電極は、複数のワード線WLの一つに接続されている。容量素子110が有する一対の電極のうち、トランジスタ109の第2端子に接続されている電極とは異なる一方の電極が、複数の容量線CLの一つに接続されている。
【0044】
メモリセル100は、必要に応じて、トランジスタ、ダイオード、抵抗素子、容量素子、インダクタなどのその他の回路素子を、更に有していても良い。
【0045】
なお、上記配線の数は、メモリセル100の数及び配置によって決めることができる。具体的に、図2に示すセルアレイ101の場合、x列×y行のメモリセル100がマトリクス状に接続されており、ワード線WL1〜WLy、データ線DL1〜DLx、容量線CL1〜CLyが、セルアレイ101内に配置されている場合を例示している。
【0046】
なお、トランジスタのソース端子とは、ソース領域、或いはソース電極を意味する。同様に、トランジスタのドレイン端子とは、ドレイン領域、或いはドレイン電極を意味する。
【0047】
また、本明細書において接続とは電気的な接続を意味しており、電流、電圧又は電位が、供給可能、或いは伝送可能な状態に相当する。従って、接続している状態とは、直接接続している状態を必ずしも指すわけではなく、電流、電圧又は電位が、供給可能、或いは伝送可能であるように、配線、導電膜、抵抗、ダイオード、トランジスタなどの素子を介して間接的に接続している状態も、その範疇に含む。
【0048】
また、回路図上は独立している構成要素どうしが接続されている場合であっても、実際には、例えば配線の一部が電極として機能する場合など、一の導電膜が、複数の構成要素の機能を併せ持っている場合もある。本明細書において接続とは、このような、一の導電膜が、複数の構成要素の機能を併せ持っている場合も、その範疇に含める。
【0049】
また、図2では、トランジスタ109がシングルゲート構造である場合を例示しているが、トランジスタ109は、電気的に接続された複数のゲート電極を有することで、チャネル形成領域を複数有する、マルチゲート構造であっても良い。
【0050】
本発明の一態様では、上記スイッチング素子として機能するトランジスタ109のチャネル形成領域に、シリコンよりもバンドギャップが広く、真性キャリア密度がシリコンよりも低い半導体材料を含む。上述したような特性を有する半導体材料をチャネル形成領域に含むことで、オフ電流が極めて低いトランジスタ109を実現することができる。
【0051】
図2に示したメモリセル100のように、電荷量の制御によりデータの記憶を行う場合、メモリセル100への電荷の供給と、メモリセル100からの電荷の放出と、メモリセル100における電荷の保持とを、スイッチング素子として機能するトランジスタ109により制御する。よって、データの保持時間の長さは、メモリセル100に蓄積されている電荷が上記トランジスタ109を介してリークする量に依存する。本発明の一態様では、上述したようにトランジスタ109のオフ電流を著しく低くすることができるため、上記電荷のリークを防ぐことができ、データの保持時間を長く確保することができる。よって、リフレッシュ動作の頻度を低く抑えられるため、記憶装置の消費電力を小さく抑え、トランジスタの劣化による信頼性の低下を防ぐことができる。また、リフレッシュ動作の頻度を低く抑えることで、記憶装置及び半導体装置の高速動作を実現することができる。
【0052】
なお、シリコン半導体よりもバンドギャップが広く、真性キャリア密度がシリコンよりも低い半導体の一例として、炭化珪素(SiC)、窒化ガリウム(GaN)などの化合物半導体、酸化亜鉛(ZnO)などの金属酸化物でなる酸化物半導体などを適用することができる。炭化シリコンや窒化ガリウムなどの化合物半導体は単結晶であることが必須で、単結晶材料を得るためには、酸化物半導体のプロセス温度よりも著しく高い温度による結晶成長であるとか、特殊な基板上のエピタキシャル成長が必要であるとか、作製条件が厳しく、いずれも入手が容易なシリコンウェハや耐熱性の低いガラス基板上への成膜は難しい。しかし、酸化物半導体は、スパッタリング法や湿式法(印刷法など)により作製可能であり、量産性に優れるといった利点がある。また、酸化物半導体は室温でも成膜が可能なため、ガラス基板上への成膜、或いは半導体素子を用いた集積回路上への成膜が可能であり、基板の大型化にも対応が可能である。よって、上述したワイドギャップ半導体の中でも、特に酸化物半導体は量産性が高いというメリットを有する。また、トランジスタの性能(例えば移動度)を向上させるために結晶性の酸化物半導体を得ようとする場合でも、200℃から800℃の熱処理によって結晶性の酸化物半導体を得ることができる。
【0053】
以下の説明では、トランジスタ109の半導体膜として、上記のような利点を有する酸化物半導体を用いる場合を例に挙げている。
【0054】
また、図2では、メモリセル100が、スイッチング素子として機能するトランジスタ109を一つだけ有する構成を示しているが、本発明はこの構成に限定されない。本発明の一態様では、スイッチング素子として機能するトランジスタが各メモリセルに最低限1つ設けられていれば良く、上記トランジスタの数は複数であっても良い。メモリセル100が、複数のトランジスタで構成されるスイッチング素子を有している場合、上記複数のトランジスタは並列に接続されていても良いし、直列に接続されていても良いし、直列と並列が組み合わされて接続されていても良い。
【0055】
なお、本明細書において、トランジスタが直列に接続されている状態とは、例えば、第1のトランジスタの第1端子と第2端子のいずれか一方のみが、第2のトランジスタの第1端子と第2端子のいずれか一方のみに接続されている状態を意味する。また、トランジスタが並列に接続されている状態とは、第1のトランジスタの第1端子が第2のトランジスタの第1端子に接続され、第1のトランジスタの第2端子が第2のトランジスタの第2端子に接続されている状態を意味する。
【0056】
また、トランジスタ109は、ゲート電極を活性層の片側において少なくとも有していれば良いが、活性層を間に挟んで存在する一対のゲート電極を有していても良い。トランジスタ109が、活性層を間に挟んで存在する一対のゲート電極を有している場合、一方のゲート電極にはスイッチングを制御するための信号が与えられ、他方のゲート電極(バックゲート電極)は、電気的に絶縁しているフローティングの状態であっても良いし、電位が他から与えられている状態であっても良い。後者の場合、一対の電極に、同じ高さの電位が与えられていても良いし、バックゲート電極にのみ接地電位などの固定の電位が与えられていても良い。バックゲート電極に与える電位の高さを制御することで、トランジスタ109の閾値電圧を制御することができる。
【0057】
なお、本発明の一態様では、少なくとも、スイッチング素子として機能するトランジスタ109が、上述した酸化物半導体などのワイドギャップ半導体材料を活性層に有していれば良い。一方、駆動回路が有するトランジスタは、その活性層に、酸化物半導体が用いられていても良いし、或いは、酸化物半導体以外の、非晶質、微結晶、多結晶、又は単結晶の、シリコン、又はゲルマニウムなどの半導体が用いられていても良い。記憶装置内の全てのトランジスタの活性層に、酸化物半導体膜を用いることで、プロセスを簡略化することができる。また、駆動回路が有するトランジスタの活性層に、例えば、多結晶又は単結晶のシリコンなどのように、酸化物半導体よりも高い移動度が得られる半導体材料を用いることで、記憶装置の動作を高速で行うことができる。
【0058】
次いで、図2に示すセルアレイ101の、通常の動作について、図3のタイミングチャートを用いて説明する。なお、図3では、1列1行目のメモリセル100と、x列1行目のメモリセル100と、1列y行目のメモリセル100と、x列y行目のメモリセル100とにおいて、データの書き込み、保持、読み出しを行う場合を例に挙げている。
【0059】
書き込み期間Taにおけるセルアレイ101の動作について説明する。データの書き込みは、行ごとに行われる。図3では、1列1行目のメモリセル100及びx列1行目のメモリセル100へのデータの書き込みを先に行い、その後で、1列y行目のメモリセル100及びx列y行目のメモリセル100へのデータの書き込みを行う場合を例示している。
【0060】
また、書き込み期間Taでは、全ての容量線CLに接地電位が与えられている。
【0061】
まず、書き込みを行う1行目のメモリセル100に接続された、ワード線WL1の選択を行う。具体的に図3では、ワード線WL1にハイレベルの電位VHが与えられ、ワード線WLyを含むそれ以外のワード線WLには接地電位GNDが与えられる。よって、ワード線WL1にゲート電極が接続されているトランジスタ109のみが、選択的にオンになる。
【0062】
そして、ワード線WL1が選択されている期間において、データ線DL1、データ線DLxに、データを含む信号の電位が与えられる。データ線DL1、データ線DLxに与えられる電位のレベルは、データの内容によって当然異なる。図3では、データ線DL1にハイレベルの電位VDDが与えられ、データ線DLxに接地電位GNDが与えられている場合を例示する。データ線DL1、データ線DLxに与えられる電位は、オンのトランジスタ109を介して、容量素子110が有する電極の一つに与えられる。
【0063】
なお、電位VHは電位VDDと同じか、それより高いものとする。具体的に、電位VHと電位VDDの電位差は、トランジスタ109の閾値電圧と同じか、それより大きいものとする。
【0064】
容量素子110の一方の電極をノードFGとすると、データ線DL1、データ線DLxに与えられる電位に従って、ノードFGの電位は、1列1行目のメモリセル100において電位VDDとなり、x列1行目のメモリセル100において接地電位GNDとなる。そして、ノードFGの電位に従って容量素子110に供給される電荷量が制御されることで、1列1行目のメモリセル100と、x列1行目のメモリセル100へのデータの書き込みが行われる。
【0065】
次いで、ワード線WL1に接地電位GNDが与えられる。よって、ワード線WL1にゲート電極が接続されているトランジスタ109がオフになり、容量素子110において電荷が保持される。
【0066】
なお、トランジスタ109の半導体膜に酸化物半導体を用いた場合、トランジスタ109はオフ電流が極めて低いという特性を有する。よって、容量素子110に保持されている電荷のリークが妨げられ、トランジスタ109にシリコンなどの半導体を用いた場合に比べ、長い期間に渡ってデータの保持を行うことができる。
【0067】
次いで、書き込みを行うy行目のメモリセル100に接続された、ワード線WLyの選択を行う。具体的に図3では、ワード線WLyにハイレベルの電位VHが与えられ、ワード線WL1を含むそれ以外のワード線WLには接地電位GNDが与えられる。よって、ワード線WLyにゲート電極が接続されているトランジスタ109のみが、選択的にオンになる。
【0068】
そして、ワード線WLyが選択されている期間において、データ線DL1、データ線DLxに、データを含む信号の電位が与えられる。データ線DL1、データ線DLxに与えられる電位のレベルは、データの内容によって当然異なる。図3では、データ線DL1に接地電位GNDが与えられ、データ線DLxにハイレベルの電位VDDが与えられている場合を例示する。データ線DL1、データ線DLxに与えられる電位は、オンのトランジスタ109を介して、容量素子110が有する電極の一つに与えられる。データ線DL1、データ線DLxに与えられる電位に従って、ノードFGの電位は、1列y行目のメモリセル100において接地電位GNDとなり、x列y行目のメモリセル100において電位VDDとなる。そして、ノードFGの電位に従って容量素子110に供給される電荷量が制御されることで、1列y行目のメモリセル100と、x列y行目のメモリセル100へのデータの書き込みが行われる。
【0069】
次いで、ワード線WLyに接地電位GNDが与えられる。よって、ワード線WLyにゲート電極が接続されているトランジスタ109がオフになり、容量素子110において電荷が保持される。
【0070】
なお、メモリセル100に誤ったデータが書き込まれるのを防ぐために、各ワード線WLの選択が終了した後に、データ線DLへのデータを含む電位の供給を停止させることが望ましい。
【0071】
次いで、データの保持期間Tsにおけるセルアレイ101の動作について説明する。
【0072】
保持期間Tsでは、全ての容量線CLに接地電位が与えられている。
【0073】
また、保持期間Tsにおいて、全てのワード線WLには、トランジスタ109がオフになるレベルの電位、具体的には接地電位GNDが与えられる。よって、容量素子110に供給された電荷が保持されている間において、データは保持される。
【0074】
次いで、データの読み出し期間Trにおけるセルアレイ101の動作について説明する。
【0075】
読み出し期間Trでは、全ての容量線CLに接地電位が与えられている。
【0076】
そして、読み出し期間Trでは、読み出しを行うメモリセル100に接続されたデータ線DLに、中間レベルの電位VRが与えられる。具体的に図3では、1列目のメモリセル100に接続されたデータ線DL1と、x列目のメモリセル100に接続されたデータ線DLxとに、中間レベルの電位VRが与えられる。なお、電位VRは、電位VDDと同じか、もしくは電位VDDより低く接地電位GNDよりも高い電位であるものとする。そして、電位VRが与えられた後は、データ線DL1とデータ線DLxを、共にフローティングの状態とする。
【0077】
次いで、読み出しを行う1行目のメモリセル100に接続された、ワード線WL1の選択を行う。具体的に図3では、ワード線WL1にハイレベルの電位VHが与えられ、ワード線WLyを含むそれ以外のワード線には接地電位GNDが与えられる。よって、ワード線WL1にゲート電極が接続されているトランジスタ109のみが選択的にオンになる。
【0078】
トランジスタ109がオンになると、容量素子110に保持されている電荷が、読み出しを行うデータ線DLに放出されるか、或いは、読み出しを行うデータ線DLから容量素子110に、電荷が供給される。上記動作は、保持期間におけるノードFGの電位により決まる。
【0079】
具体的に、図3に示すタイミングチャートの場合、直前の保持期間に、1列1行目のメモリセル100におけるノードFGは電位VDDである。よって、読み出し期間においてトランジスタ109がオンになると、1列1行目のメモリセル100における容量素子110からデータ線DL1に電荷が放出されるため、データ線DL1の電位は高まり、電位VR+αとなる。また、直前の保持期間に、x列1行目のメモリセル100におけるノードFGは接地電位GNDである。よって、読み出し期間においてトランジスタ109がオンになると、x列1行目のメモリセル100における容量素子110にデータ線DLxから電荷が供給されるため、データ線DLxの電位は低くなり、電位VR−βとなる。
【0080】
従って、データ線DL1、データ線DLxの電位は、1列1行目のメモリセル100とx列1行目のメモリセル100の容量素子110に保持されている電荷量に応じた高さとなる。そして、上記電位から電荷量の違いを読み取ることにより、1列1行目のメモリセル100と、x列1行目のメモリセル100から、データを読み出すことができる。
【0081】
次いで、1列1行目のメモリセル100と、x列1行目のメモリセル100からのデータの読み出しが終了したら、再び、データ線DL1及びデータ線DLxに中間レベルの電位VRを与えた後、データ線DL1及びデータ線DLxをフローティングの状態にする。
【0082】
そして、読み出しを行う1行目のメモリセル100に接続された、ワード線WLyの選択を行う。具体的に図3では、ワード線WLyにハイレベルの電位VHが与えられ、ワード線WL1を含むそれ以外のワード線には接地電位GNDが与えられる。よって、ワード線WLyにゲート電極が接続されているトランジスタ109のみが選択的にオンになる。
【0083】
トランジスタ109がオンになると、容量素子110に保持されている電荷が、読み出しを行うデータ線DLに放出されるか、或いは、読み出しを行うデータ線DLからの電荷が容量素子110に供給される。上記動作は、保持期間におけるノードFGの電位により決まる。
【0084】
具体的に、図3に示すタイミングチャートの場合、直前の保持期間に、1列y行目のメモリセル100におけるノードFGは接地電位GNDである。よって、読み出し期間においてトランジスタ109がオンになると、1列y行目のメモリセル100における容量素子110にデータ線DL1からの電荷が供給されるため、データ線DL1の電位は低くなり、電位VR−βとなる。また、直前の保持期間に、x列y行目のメモリセル100におけるノードFGは電位VDDである。よって、読み出し期間においてトランジスタ109がオンになると、x列y行目のメモリセル100における容量素子110からデータ線DLxに電荷が放出されるため、データ線DLxの電位は高まり、電位VR+αとなる。
【0085】
従って、データ線DL1、データ線DLxの電位は、1列y行目のメモリセル100とx列y行目のメモリセル100の容量素子110に保持されている電荷量に応じた高さとなる。そして、上記電位から電荷量の違いを読み取ることにより、1列y行目のメモリセル100と、x列y行目のメモリセル100から、データを読み出すことができる。
【0086】
各データ線DLの先には、データ線駆動回路の有する読み出し回路が接続されており、読み出し回路の出力信号には、セルアレイ101から読み出されたデータが含まれる。
【0087】
(実施の形態2)
記憶装置の、駆動回路の具体的な構成の一例について説明する。
【0088】
図4に、記憶装置の具体的な構成を、一例としてブロック図で示す。なお、図4に示すブロック図では、記憶装置内の回路を機能ごとに分類し、互いに独立したブロックとして示しているが、実際の回路は機能ごとに完全に切り分けることが難しく、一つの回路が複数の機能に係わることもあり得る。
【0089】
図4に示す記憶装置800は、セルアレイ801と、駆動回路802とを有している。駆動回路802は、入出力バッファ803と、ワード線の電位を制御するワード線駆動回路804と、メモリセルにおけるデータの書き込み及び読み出しを制御するデータ線駆動回路805と、入出力バッファ803、ワード線駆動回路804、及びデータ線駆動回路805の動作を制御する制御回路806とを有している。
【0090】
また、図4に示す記憶装置800では、ワード線駆動回路804が、ローデコーダ807と、レベルシフタ808と、バッファ809とを有している。データ線駆動回路805が、カラムデコーダ810と、レベルシフタ811と、セレクタ812と、読み出し回路813とを有している。
【0091】
なお、セルアレイ801、入出力バッファ803、ワード線駆動回路804、データ線駆動回路805、制御回路806は、全て一の基板を用いて形成されていても良いし、いずれか1つ又は全てが互いに異なる基板を用いて形成されていても良い。
【0092】
異なる基板を用いている場合、FPC(Flexible Printed Circuit)などを介して異なる基板間の電気的な接続を確保することができる。この場合、駆動回路802の一部がFPCにCOF(Chip On Film)法を用いて接続されていても良い。或いは、COG(Chip On Glass)法を用いて、電気的な接続を確保することができる。
【0093】
記憶装置800に、セルアレイ801のアドレスAx、アドレスAyを情報として含む信号ADが入力されると、制御回路806は、列方向のアドレスAxをデータ線駆動回路805に送り、行方向のアドレスAyをワード線駆動回路804に送る。また、制御回路806は、入出力バッファ803を介して記憶装置800に入力されたデータを含む信号DATAを、データ線駆動回路805に送る。
【0094】
セルアレイ801におけるデータの書き込み動作、読み出し動作の選択は、制御回路806に供給される信号RE(Read enable)、信号WE(Write enable)などによって選択される。更に、セルアレイ801が複数存在する場合、制御回路806に、セルアレイ801を選択するための信号CE(Chip enable)が入力されていても良い。この場合、信号RE、信号WEにより選択される動作が、信号CEにより選択されたセルアレイ801において実行される。
【0095】
セルアレイ801では、信号WEによって書き込み動作が選択されると、制御回路806からの指示に従って、ワード線駆動回路804が有するローデコーダ807において、アドレスAyに対応するメモリセルを選択するための信号が生成される。当該信号は、レベルシフタ808によって振幅が調整された後、バッファ809を介してセルアレイ801に入力される。一方、データ線駆動回路805では、制御回路806からの指示に従って、カラムデコーダ810において選択されたメモリセルのうち、アドレスAxに対応するメモリセルを選択するための信号が生成される。当該信号は、レベルシフタ811によって振幅が調整された後、セレクタ812に入力される。セレクタ812では、入力された信号に従って信号DATAをサンプリングし、アドレスAx、アドレスAyに対応するメモリセルにサンプリングした信号を入力する。
【0096】
また、セルアレイ801では、信号REによって読み出し動作が選択されると、制御回路806からの指示に従って、ワード線駆動回路804が有するローデコーダ807において、アドレスAyに対応するメモリセルを選択するための信号が生成される。当該信号は、レベルシフタ808によって振幅が調整された後、バッファ809を介してセルアレイ801に入力される。一方、読み出し回路813では、制御回路806からの指示に従って、ローデコーダ807により選択されたメモリセルのうち、アドレスAxに対応するメモリセルを選択する。そして、アドレスAx、アドレスAyに対応するメモリセルに記憶されているデータを読み出し、該データを含む信号を生成する。
【0097】
なお、データ線駆動回路805は、信号DATAを一時的に記憶することができるページバッファ、データの読み出し時においてデータ線に電位VRを予め与えるプリチャージ回路などを有していても良い。
【0098】
本実施の形態は、上記実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0099】
(実施の形態3)
次いで、読み出し回路の具体的な構成例について説明する。
【0100】
セルアレイから読み出される電位は、メモリセルに書き込まれているデータに従って、そのレベルが決まる。よって、理想的には、複数のメモリセルに同じデジタル値のデータが記憶されているならば、複数のメモリセルから読み出された電位は、全て同じレベルのはずである。しかし、実際には、容量素子、スイッチング素子として機能するトランジスタの特性が、メモリセル間においてばらつくことがある。この場合、読み出されるはずのデータが全て同じデジタル値であっても、実際に読み出された電位にばらつきが生じるため、その分布は幅を有する。しかし、読み出し回路は、セルアレイから読み出された電位に多少のばらつきが生じていても、正確なデータを含み、なおかつ所望の仕様に合わせて振幅、波形が処理された信号を形成することができる。
【0101】
図5は、読み出し回路の構成例を示す回路図である。図5に示す読み出し回路は、セルアレイから読み出された電位Vdataの、読み出し回路への入力を制御するためのスイッチング素子として機能するトランジスタ260を有する。また、図5に示す読み出し回路は、オペアンプ262を有している。
【0102】
スイッチング素子として機能するトランジスタ260は、そのゲート電極に与えられる信号Sigの電位に従って、オペアンプ262の非反転入力端子(+)への電位Vdataの供給を制御する。例えば、トランジスタ260がオンになると、電位Vdataが、オペアンプ262の非反転入力端子(+)に与えられる。一方、オペアンプ262の反転入力端子(−)には、基準電位Vrefが与えられている。そして、非反転入力端子(+)に与えられる電位が、基準電位Vrefに対して高いか低いかにより、出力端子の電位Voutのレベルを異ならせることができ、それにより、間接的にデータを含む信号を得ることができる。
【0103】
なお、同じ値のデータが記憶されているメモリセルであっても、メモリセル間の特性のばらつきにより、読み出された電位Vdataのレベルにもばらつきが生じ、その分布が幅を有する場合がある。よって、基準電位Vrefのレベルは、データの値を正確に読み取るために電位Vdataのばらつきを考慮して定める。
【0104】
また、図5では、2値のデジタル値を扱う場合の読み出し回路の一例であるので、データの読み出しに用いるオペアンプは、電位Vdataの与えられるノードに対して1つずつ用いているが、オペアンプの数はこれに限定されない。n値(nは2以上の自然数)のデータを扱う場合は、電位Vdataの与えられるノードに対するオペアンプの数をn−1とする。
【0105】
本実施の形態は、上記実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0106】
(実施の形態4)
本実施の形態では、図2に示したメモリセル100において、トランジスタ109の活性層に酸化物半導体を用い、駆動回路が有するトランジスタの活性層にシリコンを用いる場合を例に挙げて、記憶装置の作製方法について説明する。
【0107】
ただし、駆動回路が有するトランジスタは、シリコンの他、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウム、単結晶炭化シリコンなどの半導体材料を用いていても良い。また、例えば、シリコンを用いたトランジスタは、シリコンウェハなどの単結晶半導体基板、SOI法により作製されたシリコン薄膜、気相成長法により作製されたシリコン薄膜などを用いて形成することができる。或いは、本発明の一態様では、メモリセルを構成する全てのトランジスタに、酸化物半導体を用いていても良い。
【0108】
本実施の形態では、まず、図6(A)に示すように、基板700上に絶縁膜701と、単結晶の半導体膜702とを形成する。
【0109】
基板700として使用することができる素材に大きな制限はないが、少なくとも、後の加熱処理に耐えうる程度の耐熱性を有していることが必要となる。例えば、基板700には、フュージョン法やフロート法で作製されるガラス基板、石英基板、半導体基板、セラミック基板等を用いることができる。ガラス基板としては、後の加熱処理の温度が高い場合には、歪み点が730℃以上のものを用いると良い。
【0110】
また、本実施の形態では、半導体膜702が単結晶のシリコンである場合を例に挙げて、以下、駆動回路が有するトランジスタの作製方法について説明する。なお、具体的な単結晶の半導体膜702の作製方法の一例について、簡単に説明する。まず、単結晶の半導体基板であるボンド基板に、電界で加速されたイオンでなるイオンビームを注入し、ボンド基板の表面から一定の深さの領域に、結晶構造が乱されることで局所的に脆弱化された脆化層を形成する。脆化層が形成される領域の深さは、イオンビームの加速エネルギーとイオンビームの入射角によって調節することができる。そして、ボンド基板と、絶縁膜701が形成された基板700とを、間に当該絶縁膜701が挟まるように貼り合わせる。貼り合わせは、ボンド基板と基板700とを重ね合わせた後、ボンド基板と基板700の一部に、1N/cm以上500N/cm以下、好ましくは11N/cm以上20N/cm以下程度の圧力を加える。圧力を加えると、その部分からボンド基板と絶縁膜701とが接合を開始し、最終的には密着した面全体に接合がおよぶ。次いで、加熱処理を行うことで、脆化層に存在する微小ボイドどうしが結合して、微小ボイドの体積が増大する。その結果、脆化層においてボンド基板の一部である単結晶半導体膜が、ボンド基板から分離する。上記加熱処理の温度は、基板700の歪み点を越えない温度とする。そして、上記単結晶半導体膜をエッチング等により所望の形状に加工することで、半導体膜702を形成することができる。
【0111】
半導体膜702には、閾値電圧を制御するために、硼素、アルミニウム、ガリウムなどのp型の導電性を付与する不純物元素、若しくはリン、砒素などのn型の導電性を付与する不純物元素を添加しても良い。閾値電圧を制御するための不純物元素の添加は、パターニングする前の半導体膜に対して行っても良いし、パターニング後に形成された半導体膜702に対して行っても良い。また、閾値電圧を制御するための不純物元素の添加を、ボンド基板に対して行っても良い。若しくは、不純物元素の添加を、閾値電圧を大まかに調整するためにボンド基板に対して行った上で、閾値電圧を微調整するために、パターニング前の半導体膜に対して、又はパターニングにより形成された半導体膜702に対しても行っても良い。
【0112】
なお、本実施の形態では、単結晶の半導体膜を用いる例について説明しているが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、絶縁膜701上に気相成長法を用いて形成された多結晶、微結晶、非晶質の半導体膜を用いても良いし、上記半導体膜を公知の技術により結晶化しても良い。公知の結晶化方法としては、レーザ光を用いたレーザ結晶化法、触媒元素を用いる結晶化法がある。或いは、触媒元素を用いる結晶化法とレーザ結晶化法とを組み合わせて用いることもできる。また、石英のような耐熱性に優れている基板を用いる場合、電熱炉を使用した熱結晶化方法、赤外光を用いたランプアニール結晶化法、触媒元素を用いる結晶化法、950℃程度の高温アニール法を組み合わせた結晶化法を用いても良い。
【0113】
次に、図6(B)に示すように、半導体膜702上にゲート絶縁膜703を形成した後、ゲート絶縁膜703上にゲート電極704を形成する。
【0114】
ゲート絶縁膜703は、高密度プラズマ処理、熱処理などを行うことにより半導体膜702の表面を酸化又は窒化することで形成することができる。高密度プラズマ処理は、例えばHe、Ar、Kr、Xeなどの希ガスと酸素、酸化窒素、アンモニア、窒素、水素などの混合ガスとを用いて行う。この場合、プラズマの励起をマイクロ波の導入により行うことで、低電子温度で高密度のプラズマを生成することができる。このような高密度のプラズマで生成された酸素ラジカル(OHラジカルを含む場合もある)や窒素ラジカル(NHラジカルを含む場合もある)によって、半導体膜の表面を酸化又は窒化することにより、1〜20nm、望ましくは5〜10nmの絶縁膜が半導体膜に接するように形成できる。例えば、亜酸化窒素(NO)をArで1〜3倍(流量比)に希釈して、10Pa〜30Paの圧力にて3kW〜5kWのマイクロ波(2.45GHz)電力を印加して半導体膜702の表面を酸化若しくは窒化させる。この処理により1nm〜10nm(好ましくは2nm〜6nm)の絶縁膜を形成する。更に亜酸化窒素(NO)とシラン(SiH)を導入し、10Pa〜30Paの圧力にて3kW〜5kWのマイクロ波(2.45GHz)電力を印加して気相成長法により酸化窒化珪素膜を形成してゲート絶縁膜を形成する。固相反応と気相成長法による反応を組み合わせることにより界面準位密度が低く絶縁耐圧の優れたゲート絶縁膜を形成することができる。
【0115】
上述した高密度プラズマ処理による半導体膜の酸化又は窒化は固相反応で進むため、ゲート絶縁膜703と半導体膜702との界面準位密度を極めて低くすることができる。また高密度プラズマ処理により半導体膜702を直接酸化又は窒化することで、形成される絶縁膜の厚さのばらつきを抑えることができる。また半導体膜が結晶性を有する場合、高密度プラズマ処理を用いて半導体膜の表面を固相反応で酸化させることにより、結晶粒界においてのみ酸化が速く進んでしまうのを抑え、均一性が良く、界面準位密度の低いゲート絶縁膜を形成することができる。高密度プラズマ処理により形成された絶縁膜を、ゲート絶縁膜の一部又は全部に含んで形成されるトランジスタは、特性のばらつきを抑えることができる。
【0116】
また、プラズマCVD法又はスパッタリング法などを用い、酸化珪素、窒化酸化珪素、酸化窒化珪素、窒化珪素、酸化ハフニウム、酸化アルミニウム又は酸化タンタル、酸化イットリウム、ハフニウムシリケート(HfSi(x>0、y>0))、窒素が添加されたハフニウムシリケート(HfSi(x>0、y>0))、窒素が添加されたハフニウムアルミネート(HfAl(x>0、y>0))等を含む膜を、単層で、又は積層させることで、ゲート絶縁膜703を形成しても良い。
【0117】
なお、本明細書において酸化窒化物とは、その組成として、窒素よりも酸素の含有量が多い物質であり、また、窒化酸化物とは、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多い物質を意味する。
【0118】
ゲート絶縁膜703の厚さは、例えば、1nm以上100nm以下、好ましくは10nm以上50nm以下とすることができる。本実施の形態では、プラズマCVD法を用いて、膜厚20nm程度の、酸化窒化珪素を含む単層の絶縁膜を形成し、ゲート絶縁膜703として用いる。
【0119】
ゲート電極704は、ゲート絶縁膜703を覆うように導電膜を形成した後、該導電膜を所定の形状に加工(パターニング)することで、形成することができる。上記導電膜の形成にはCVD法、スパッタリング法、蒸着法、スピンコート法等を用いることができる。また、導電膜は、タンタル(Ta)、タングステン(W)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、クロム(Cr)、ニオブ(Nb)等を用いることができる。上記金属を主成分とする合金を用いても良いし、上記金属を含む化合物を用いても良い。又は、半導体膜に導電性を付与するリン等の不純物元素をドーピングした、多結晶珪素などの半導体を用いて形成しても良い。
【0120】
なお、ゲート電極704は、単層の導電膜で形成されていても良いし、積層された複数の導電膜で形成されていても良い。
【0121】
2つの導電膜の組み合わせとして、1層目に窒化タンタル又はタンタルを、2層目にタングステンを用いることができる。上記例の他に、窒化タングステンとタングステン、窒化モリブデンとモリブデン、アルミニウムとタンタル、アルミニウムとチタン等が挙げられる。タングステンや窒化タンタルは、耐熱性が高いため、2層の導電膜を形成した後の工程において、熱活性化を目的とした加熱処理を行うことができる。また、2層の導電膜の組み合わせとして、例えば、n型の導電性を付与する不純物元素がドーピングされた珪素とニッケルシリサイド、n型の導電性を付与する不純物元素がドーピングされた珪素とタングステンシリサイド等も用いることができる。
【0122】
3つ以上の導電膜を積層する3層構造の場合は、モリブデン膜とアルミニウム膜とモリブデン膜の積層構造を採用するとよい。
【0123】
また、ゲート電極704に酸化インジウム、酸化インジウム酸化スズ混合物、酸化インジウム酸化亜鉛混合物、酸化亜鉛、酸化亜鉛アルミニウム、酸窒化亜鉛アルミニウム、又は酸化亜鉛ガリウム等の透光性を有する酸化物導電膜を用いることもできる。
【0124】
本実施の形態では、膜厚30nm程度の窒化タンタル上に、膜厚170nm程度のタングステンを積層したゲート電極704を用いる。
【0125】
なお、マスクを用いずに、液滴吐出法を用いて選択的にゲート電極704を形成しても良い。液滴吐出法とは、所定の組成物を含む液滴を細孔から吐出又は噴出することで所定のパターンを形成する方法を意味し、インクジェット法などがその範疇に含まれる。
【0126】
また、ゲート電極704は、導電膜を形成後、ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合型プラズマ)エッチング法を用い、エッチング条件(コイル型の電極層に印加される電力量、基板側の電極層に印加される電力量、基板側の電極温度等)を適宜調節することにより、所望のテーパー形状を有するようにエッチングすることができる。また、テーパー形状は、マスクの形状によっても角度等を制御することができる。なお、エッチング用ガスとしては、塩素、塩化硼素、塩化珪素もしくは四塩化炭素などの塩素系ガス、四弗化炭素、弗化硫黄もしくは弗化窒素などのフッ素系ガス又は酸素を適宜用いることができる。
【0127】
次に、図6(C)に示すように、ゲート電極704をマスクとして一導電性を付与する不純物元素を半導体膜702に添加することで、ゲート電極704と重なるチャネル形成領域705と、チャネル形成領域705を間に挟む一対の不純物領域706とが、半導体膜702に形成される。
【0128】
本実施の形態では、半導体膜702にn型を付与する不純物元素(例えばリン)を添加する場合を例に挙げる。
【0129】
次いで、図6(D)に示すように、ゲート絶縁膜703、ゲート電極704を覆うように、絶縁膜707、絶縁膜708、及び絶縁膜709を形成する。具体的に、絶縁膜707、絶縁膜708、及び絶縁膜709は、酸化珪素、窒化珪素、窒化酸化珪素、酸化窒化珪素、窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウムなどの無機の絶縁膜を用いることができる。特に、誘電率の低い(low−k)材料を絶縁膜707、絶縁膜708、及び絶縁膜709に用いることで、各種電極や配線の重なりに起因する容量を十分に低減することが可能になるため好ましい。なお、絶縁膜707、絶縁膜708、及び絶縁膜709に、上記材料を用いた多孔性の絶縁膜を適用しても良い。多孔性の絶縁膜では、密度の高い絶縁膜と比較して誘電率が低下するため、電極や配線に起因する寄生容量を更に低減することが可能である。
【0130】
本実施の形態では、絶縁膜707として膜厚50nmの酸化窒化珪素膜、絶縁膜708として膜厚100nm程度の窒化酸化珪素膜、絶縁膜709として膜厚450nmの酸化窒化珪素膜を用いる場合を例に挙げる。また、本実施の形態では、ゲート電極704上に絶縁膜707、絶縁膜708、及び絶縁膜709を形成している場合を例示しているが、本発明はゲート電極704上に絶縁膜を1層だけ形成していても良いし、3層以外の複数の絶縁膜を積層するように形成していても良い。
【0131】
次いで、図7(A)に示すように、エッチング等によりゲート絶縁膜703、絶縁膜707、絶縁膜708、及び絶縁膜709に開口部を形成し、一対の各不純物領域706の一部、及びゲート電極704の一部を露出させた後、一対の各不純物領域706に接する導電膜710及び導電膜711と、ゲート電極704に接する導電膜712とを形成する。そして、導電膜710乃至導電膜712を覆うように、絶縁膜709上に絶縁膜713を形成する。
【0132】
導電膜710乃至導電膜712となる導電膜は、アルミニウム、クロム、銅、タンタル、チタン、モリブデン、タングステンから選ばれた元素、又は上述した元素を成分とする合金か、上述した元素を組み合わせた合金膜等が挙げられる。また、アルミニウム、銅などの金属膜の下側もしくは上側にクロム、タンタル、チタン、モリブデン、タングステンなどの高融点金属膜を積層させた構成としても良い。また、アルミニウム又は銅は、耐熱性や腐食性の問題を回避するために、高融点金属材料と組み合わせて用いると良い。高融点金属材料としては、モリブデン、チタン、クロム、タンタル、タングステン、ネオジム、スカンジウム、イットリウム等を用いることができる。
【0133】
また、導電膜710乃至導電膜712となる導電膜は、単層構造でも、2層以上の積層構造としてもよい。例えば、シリコンを含むアルミニウム膜の単層構造、アルミニウム膜上にチタン膜を積層する2層構造、チタン膜と、そのチタン膜上に重ねてアルミニウム膜を積層し、更にその上にチタン膜を成膜する3層構造などが挙げられる。
【0134】
また、導電膜710乃至導電膜712となる導電膜としては、導電性の金属酸化物で形成しても良い。導電性の金属酸化物としては酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化インジウム酸化スズ混合物、酸化インジウム酸化亜鉛混合物又は前記金属酸化物材料にシリコン若しくは酸化シリコンを含ませたものを用いることができる。
【0135】
本実施の形態では、膜厚50nm程度のチタン膜と、膜厚200nm程度のアルミニウム膜と、膜厚100nm程度のチタン膜とを積層させた導電膜を、導電膜710乃至導電膜712として用いる。
【0136】
絶縁膜713は単層構造でも2層以上の積層構造でもよいが、その表面は高い平坦性を有することが好ましい。絶縁膜713として、例えば、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素などを用いることができる。そして、絶縁膜713は、プラズマCVD法、光CVD法、熱CVD法などのCVD法を用いて形成することができる。
【0137】
また、絶縁膜713として、有機シランを用いて化学気相成長法により作製される酸化珪素膜を用いることもできる。有機シランとしては、珪酸エチル(TEOS:Si(OC)、トリメチルシラン(TMS:(CHSiH)、テトラメチルシクロテトラシロキサン(TMCTS)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(OMCTS)、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、トリエトキシシラン(SiH(OC)、トリスジメチルアミノシラン(SiH(N(CH)等を用いることができる。もちろん、モノシラン、ジシラン、又はトリシラン等の無機シランを用いて、酸化珪素、酸化窒化珪素、窒化珪素、窒化酸化珪素などを形成しても良い。
【0138】
本実施の形態では、TEOSを用いて、膜厚1.5μm程度の酸化珪素を含む絶縁膜713を形成する。
【0139】
以上の工程により、駆動回路が有するトランジスタ230を形成することができる。トランジスタ230は、半導体膜702と、半導体膜702上のゲート絶縁膜703と、ゲート絶縁膜703上において半導体膜702と重なる位置に形成されたゲート電極704と、半導体膜702が有する不純物領域706に接続された、ソース電極またはドレイン電極として機能する導電膜710及び導電膜711とを有する。
【0140】
次いで、図7(B)に示すように、絶縁膜713にCMP(化学的機械研磨)処理やエッチング処理を行うことにより、導電膜712の表面を露出させる。なお、後に形成されるトランジスタ109の特性を向上させるために、絶縁膜713の表面は可能な限り平坦にしておくことが好ましい。
【0141】
次いで、トランジスタ109の作製方法について説明する。まず、図7(C)に示すように、絶縁膜713及び導電膜712上に、絶縁膜714を形成した後、絶縁膜714上に酸化物半導体膜715を形成する。
【0142】
絶縁膜714は、絶縁膜707乃至絶縁膜709と同様の材料を用いて形成することができる。本実施の形態では、膜厚300nm程度の酸化窒化珪素膜を、絶縁膜714として用いる。
【0143】
酸化物半導体膜715は、絶縁膜714上に形成した酸化物半導体膜を所望の形状に加工することで、形成することができる。上記酸化物半導体膜の膜厚は、2nm以上200nm以下、好ましくは3nm以上50nm以下、更に好ましくは3nm以上20nm以下とする。酸化物半導体膜は、酸化物半導体をターゲットとして用い、スパッタ法により成膜する。また、酸化物半導体膜は、希ガス(例えばアルゴン)雰囲気下、酸素雰囲気下、又は希ガス(例えばアルゴン)及び酸素混合雰囲気下においてスパッタ法により形成することができる。
【0144】
なお、酸化物半導体膜をスパッタ法により成膜する前に、アルゴンガスを導入してプラズマを発生させる逆スパッタを行い、絶縁膜714の表面に付着している塵埃を除去することが好ましい。逆スパッタとは、ターゲット側に電圧を印加せずに、アルゴン雰囲気下で基板側にRF電源を用いて電圧を印加して基板近傍にプラズマを形成して表面を改質する方法である。なお、アルゴン雰囲気に代えて窒素、ヘリウムなどを用いてもよい。また、アルゴン雰囲気に酸素、亜酸化窒素などを加えた雰囲気で行ってもよい。また、アルゴン雰囲気に塩素、四フッ化炭素などを加えた雰囲気で行ってもよい。
【0145】
例えば、酸化物半導体として、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、二元系金属の酸化物であるIn−Zn系酸化物、Sn−Zn系酸化物、Al−Zn系酸化物、Zn−Mg系酸化物、Sn−Mg系酸化物、In−Mg系酸化物、In−Ga系酸化物、三元系金属の酸化物であるIn−Ga−Zn系酸化物(IGZOとも表記する)、In−Al−Zn系酸化物、In−Sn−Zn系酸化物、Sn−Ga−Zn系酸化物、Al−Ga−Zn系酸化物、Sn−Al−Zn系酸化物、In−Hf−Zn系酸化物、In−La−Zn系酸化物、In−Ce−Zn系酸化物、In−Pr−Zn系酸化物、In−Nd−Zn系酸化物、In−Sm−Zn系酸化物、In−Eu−Zn系酸化物、In−Gd−Zn系酸化物、In−Tb−Zn系酸化物、In−Dy−Zn系酸化物、In−Ho−Zn系酸化物、In−Er−Zn系酸化物、In−Tm−Zn系酸化物、In−Yb−Zn系酸化物、In−Lu−Zn系酸化物、四元系金属の酸化物であるIn−Sn−Ga−Zn系酸化物、In−Hf−Ga−Zn系酸化物、In−Al−Ga−Zn系酸化物、In−Sn−Al−Zn系酸化物、In−Sn−Hf−Zn系酸化物、In−Hf−Al−Zn系酸化物を用いることができる。また、上記酸化物半導体は、珪素を含んでいてもよい。
【0146】
本実施の形態では、In(インジウム)、Ga(ガリウム)、及びZn(亜鉛)を含むターゲットを用いたスパッタ法により得られる膜厚30nmのIn−Ga−Zn系酸化物半導体の薄膜を、酸化物半導体膜として用いる。上記ターゲットとして、好ましくは、原子数比がIn:Ga:Zn=1:1:1、4:2:3、3:1:2、1:1:2、2:1:3、または3:1:4で示されるターゲットを用いる。また、In、Ga、及びZnを含むターゲットの充填率は90%以上100%以下、好ましくは95%以上100%未満である。充填率の高いターゲットを用いることにより、成膜した酸化物半導体膜は緻密な膜となる。
【0147】
なお、酸化物半導体膜としてIn−Zn系の材料を用いる場合、用いるターゲットの組成比は、原子数比で、In:Zn=50:1〜1:2(モル数比に換算するとIn:ZnO=25:1〜1:4)、好ましくはIn:Zn=20:1〜1:1(モル数比に換算するとIn:ZnO=10:1〜1:2)、さらに好ましくはIn:Zn=1.5:1〜15:1(モル数比に換算するとIn:ZnO=3:4〜15:2)とする。例えば、In−Zn系酸化物半導体の形成に用いるターゲットは、原子数比がIn:Zn:O=X:Y:Zのとき、Z>1.5X+Yとする。Znの比率を上記範囲に収めることで、移動度の向上を実現することができる。
【0148】
また、酸化物半導体膜としてIn−Sn−Zn系酸化物半導体膜をスパッタリング法で成膜する場合、好ましくは、原子数比がIn:Sn:Zn=1:1:1、2:1:3、1:2:2、または20:45:35で示されるIn−Sn−Zn−Oターゲットを用いる。
【0149】
本実施の形態では、減圧状態に保持された処理室内に基板を保持し、処理室内の残留水分を除去しつつ水素及び水分が除去されたスパッタガスを導入し、上記ターゲットを用いて酸化物半導体膜を成膜する。成膜時に、基板温度を100℃以上600℃以下、好ましくは200℃以上400℃以下としても良い。基板を加熱しながら成膜することにより、成膜した酸化物半導体膜に含まれる不純物濃度を低減することができる。また、スパッタリングによる損傷が軽減される。処理室内の残留水分を除去するためには、吸着型の真空ポンプを用いることが好ましい。例えば、クライオポンプ、イオンポンプ、チタンサブリメーションポンプを用いることが好ましい。また、排気手段としては、ターボポンプにコールドトラップを加えたものであってもよい。クライオポンプを用いて処理室を排気すると、例えば、水素原子、水(HO)など水素原子を含む化合物(より好ましくは炭素原子を含む化合物も)等が排気されるため、当該処理室で成膜した酸化物半導体膜に含まれる不純物の濃度を低減できる。
【0150】
成膜条件の一例としては、基板とターゲットの間との距離を100mm、圧力0.6Pa、直流(DC)電源0.5kW、酸素(酸素流量比率100%)雰囲気下の条件が適用される。なお、パルス直流(DC)電源を用いると、成膜時に発生する塵埃が軽減でき、膜厚分布も均一となるために好ましい。
【0151】
また、スパッタリング装置の処理室のリークレートを1×10−10Pa・m/秒以下とすることで、スパッタリング法による成膜途中における酸化物半導体膜への、アルカリ金属、水素化物等の不純物の混入を低減することができる。また、排気系として上述した吸着型の真空ポンプを用いることで、排気系からのアルカリ金属、水素原子、水素分子、水、水酸基、または水素化物等の不純物の逆流を低減することができる。
【0152】
また、ターゲットの純度を、99.99%以上とすることで、酸化物半導体膜に混入するアルカリ金属、水素原子、水素分子、水、水酸基、または水素化物等を低減することができる。また、当該ターゲットを用いることで、酸化物半導体膜において、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属の濃度を低減することができる。
【0153】
なお、酸化物半導体膜に水素、水酸基及び水分がなるべく含まれないようにするために、成膜の前処理として、スパッタリング装置の予備加熱室で絶縁膜714までが形成された基板700を予備加熱し、基板700に吸着した水分又は水素などの不純物を脱離し排気することが好ましい。なお、予備加熱の温度は、100℃以上400℃以下、好ましくは150℃以上300℃以下である。また、予備加熱室に設ける排気手段はクライオポンプが好ましい。なお、この予備加熱の処理は省略することもできる。また、この予備加熱は、後に行われるゲート絶縁膜719の成膜前に、導電膜716、導電膜717及び導電膜718まで形成した基板700にも同様に行ってもよい。
【0154】
なお、酸化物半導体膜715を形成するためのエッチングは、ドライエッチングでもウェットエッチングでもよく、両方を用いてもよい。ドライエッチングに用いるエッチングガスとしては、塩素を含むガス(塩素系ガス、例えば塩素(Cl)、三塩化硼素(BCl)、四塩化珪素(SiCl)、四塩化炭素(CCl)など)が好ましい。また、フッ素を含むガス(フッ素系ガス、例えば四弗化炭素(CF)、六弗化硫黄(SF)、三弗化窒素(NF)、トリフルオロメタン(CHF)など)、臭化水素(HBr)、酸素(O)、これらのガスにヘリウム(He)やアルゴン(Ar)などの希ガスを添加したガス、などを用いることができる。
【0155】
ドライエッチング法としては、平行平板型RIE(Reactive Ion Etching)法や、ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合型プラズマ)エッチング法を用いることができる。所望の形状にエッチングできるように、エッチング条件(コイル型の電極に印加される電力量、基板側の電極に印加される電力量、基板側の電極温度等)を適宜調節する。
【0156】
ウェットエッチングに用いるエッチング液として、燐酸と酢酸と硝酸を混ぜた溶液、クエン酸やシュウ酸などの有機酸を用いることができる。本実施の形態では、ITO−07N(関東化学社製)を用いる。
【0157】
酸化物半導体膜715を形成するためのレジストマスクをインクジェット法で形成してもよい。レジストマスクをインクジェット法で形成するとフォトマスクを使用しないため、製造コストを低減できる。
【0158】
なお、次工程の導電膜を形成する前に逆スパッタを行い、酸化物半導体膜715及び絶縁膜714の表面に付着しているレジスト残渣などを除去することが好ましい。
【0159】
なお、スパッタ等で成膜された酸化物半導体膜中には、不純物としての水分又は水素(水酸基を含む)が多量に含まれていることがある。水分又は水素はドナー準位を形成しやすいため、酸化物半導体にとっては不純物である。そこで、本発明の一態様では、酸化物半導体膜中の水分又は水素などの不純物を低減(脱水化または脱水素化)するために、酸化物半導体膜715に対して、減圧雰囲気下、窒素や希ガスなどの不活性ガス雰囲気下、酸素ガス雰囲気下、又は超乾燥エア(CRDS(キャビティリングダウンレーザー分光法)方式の露点計を用いて測定した場合の水分量が20ppm(露点換算で−55℃)以下、好ましくは1ppm以下、好ましくは10ppb以下の空気)雰囲気下で、酸化物半導体膜715に加熱処理を施す。
【0160】
酸化物半導体膜715に加熱処理を施すことで、酸化物半導体膜715中の水分又は水素を脱離させることができる。具体的には、250℃以上750℃以下、好ましくは400℃以上基板の歪み点未満の温度で加熱処理を行えば良い。例えば、500℃、3分間以上6分間以下程度で行えばよい。加熱処理にRTA法を用いれば、短時間に脱水化又は脱水素化が行えるため、ガラス基板の歪点を超える温度でも処理することができる。
【0161】
本実施の形態では、加熱処理装置の一つである電気炉を用いる。
【0162】
なお、加熱処理装置は電気炉に限られず、抵抗発熱体などの発熱体からの熱伝導又は熱輻射によって、被処理物を加熱する装置を備えていてもよい。例えば、GRTA(Gas Rapid Thermal Anneal)装置、LRTA(Lamp Rapid Thermal Anneal)装置等のRTA(Rapid Thermal Anneal)装置を用いることができる。LRTA装置は、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、キセノンアークランプ、カーボンアークランプ、高圧ナトリウムランプ、高圧水銀ランプなどのランプから発する光(電磁波)の輻射により、被処理物を加熱する装置である。GRTA装置は、高温のガスを用いて加熱処理を行う装置である。気体には、アルゴンなどの希ガス、又は窒素のような、加熱処理によって被処理物と反応しない不活性気体が用いられる。
【0163】
加熱処理においては、窒素、又はヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガスに、水分又は水素などが含まれないことが好ましい。又は、加熱処理装置に導入する窒素、又はヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガスの純度を、6N(99.9999%)以上、好ましくは7N(99.99999%)以上、(即ち不純物濃度を1ppm以下、好ましくは0.1ppm以下)とすることが好ましい。
【0164】
なお、酸化物半導体は不純物に対して鈍感であり、膜中にはかなりの金属不純物が含まれていても問題がなく、ナトリウムのようなアルカリ金属が多量に含まれる廉価なソーダ石灰ガラスも使えると指摘されている(神谷、野村、細野、「アモルファス酸化物半導体の物性とデバイス開発の現状」、固体物理、2009年9月号、Vol.44、pp.621−633.)。しかし、このような指摘は適切でない。アルカリ金属は酸化物半導体を構成する元素ではないため、不純物である。アルカリ土類金属も、酸化物半導体を構成する元素ではない場合において、不純物となる。特に、アルカリ金属のうちNaは、酸化物半導体膜に接する絶縁膜が酸化物である場合、当該絶縁膜中に拡散してNaとなる。また、Naは、酸化物半導体膜内において、酸化物半導体を構成する金属と酸素の結合を分断する、或いは、その結合中に割り込む。その結果、例えば、閾値電圧がマイナス方向にシフトすることによるノーマリオン化、移動度の低下等の、トランジスタの特性の劣化が起こり、加えて、特性のばらつきも生じる。この不純物によりもたらされるトランジスタの特性の劣化と、特性のばらつきは、酸化物半導体膜中の水素濃度が十分に低い場合において顕著に現れる。従って、酸化物半導体膜中の水素濃度が1×1018/cm以下、より好ましくは1×1017/cm以下である場合には、上記不純物の濃度を低減することが望ましい。具体的に、二次イオン質量分析法によるNa濃度の測定値は、5×1016/cm以下、好ましくは1×1016/cm以下、更に好ましくは1×1015/cm以下とするとよい。同様に、Li濃度の測定値は、5×1015/cm以下、好ましくは1×1015/cm以下とするとよい。同様に、K濃度の測定値は、5×1015/cm以下、好ましくは1×1015/cm以下とするとよい。
【0165】
以上の工程により、酸化物半導体膜715中の水素の濃度を低減し、高純度化することができる。それにより酸化物半導体膜の安定化を図ることができる。また、ガラス転移温度以下の加熱処理で、キャリア密度が極端に少なく、バンドギャップの広い酸化物半導体膜を形成することができる。このため、大面積基板を用いてトランジスタを作製することができ、量産性を高めることができる。また、当該水素濃度が低減され高純度化された酸化物半導体膜を用いることで、耐圧性が高く、オフ電流の著しく低いトランジスタを作製することができる。上記加熱処理は、酸化物半導体膜の成膜以降であれば、いつでも行うことができる。
【0166】
なお、酸化物半導体膜は非晶質であっても良いが、結晶性を有していても良い。結晶性を有する酸化物半導体膜としては、c軸配向を有した結晶(CAAC)を含むCAAC−OS(C Axis Aligned Crystalline Oxide Semiconductor)膜であっても、トランジスタの信頼性を高めるという効果を得ることができるので、好ましい。
【0167】
CAAC−OS膜で構成された酸化物半導体膜は、スパッタリング法によっても作製することができる。スパッタリング法によってCAAC−OS膜を得るには酸化物半導体膜の堆積初期段階において六方晶の結晶が形成されるようにすることと、当該結晶を種として結晶が成長されるようにすることが肝要である。そのためには、ターゲットと基板の距離を広くとり(例えば、150mm〜200mm程度)、基板加熱温度を100℃〜500℃、好適には200℃〜400℃、さらに好適には250℃〜300℃にすると好ましい。また、これに加えて、成膜時の基板加熱温度よりも高い温度で、堆積された酸化物半導体膜を熱処理することで膜中に含まれるミクロな欠陥や、積層界面の欠陥を修復することができる。
【0168】
CAAC−OS膜は、完全な単結晶ではなく、完全な非晶質でもない。CAAC−OS膜は、非晶質相に結晶部を有する結晶−非晶質混相構造の酸化物半導体膜である。なお、当該結晶部は、一辺が100nm未満の立方体内に収まる大きさであることが多い。また、透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)による観察増ではCAAC−OS膜に含まれる非晶質部と結晶部との境界は明確ではない。また、TEMによってCAAC−OS膜には粒界(グレインバウンダリーともいう。)は確認できない。そのため、CAAC−OS膜は、粒界に起因する電子移動度の低下が抑制される。
【0169】
CAAC−OS膜に含まれる結晶部は、c軸がCAAC−OS膜の被形成面の法線ベクトルまたは表面の法線ベクトルに平行な方向に揃い、かつab面に垂直な方向から見て三角形状または六角形状の原子配列を有し、c軸に垂直な方向から見て金属原子が層状または金属原子と酸素原子とが層状に配列している。なお、異なる結晶部間で、それぞれa軸およびb軸の向きが異なっていてもよい。本明細書において、単に垂直と記載する場合、85°以上95°以下の範囲も含まれることとする。また、単に平行と記載する場合、−5°以上5°以下の範囲も含まれることとする。
【0170】
なお、CAAC−OS膜において、結晶部分布が一様でなくてもよい。例えば、CAAC−OS膜の形成過程において、酸化物半導体膜の表面側から結晶成長させる場合、被形成面の近傍に対し表面の近傍では結晶部の占める割合が高くなることがある。
【0171】
CAAC−OS膜に含まれる結晶部のc軸は、CAAC−OS膜の被形成面の法線ベクトルまたは表面の法線ベクトルに平行な方向に揃うため、CAAC−OS膜の形状(被形成面の断面形状または表面の断面形状)によっては互いに異なる方向を向くことがある。なお、結晶部のc軸の方向は、CAAC−OS膜が形成されたときの被形成面の法線方向または表面の法線方向に平行な方向となる。結晶部は、成膜することにより、または成膜後に加熱処理などの結晶化処理を行うことにより形成される。
【0172】
CAAC−OS膜を用いたトランジスタは、可視光や紫外光の照射による電気特性の変動を低減する事が可能である。よって、当該トランジスタは、信頼性が高い。
【0173】
次いで、図8(A)に示すように、絶縁膜713及び絶縁膜714に、エッチング等により開口部を形成することで導電膜710の一部を露出させた後、開口部において導電膜710に接する導電膜716と、酸化物半導体膜715に接する導電膜717及び導電膜718とを形成する。導電膜717及び導電膜718は、ソース電極又はドレイン電極として機能する。
【0174】
具体的に、導電膜716、導電膜717及び導電膜718は、開口部を覆うようにスパッタ法や真空蒸着法で絶縁膜714上に導電膜を形成した後、当該導電膜を所定の形状に加工(パターニング)することで、形成することができる。
【0175】
導電膜716、導電膜717及び導電膜718となる導電膜は、アルミニウム、クロム、銅、タンタル、チタン、モリブデン、タングステンから選ばれた元素、又は上述した元素を成分とする合金か、上述した元素を組み合わせた合金膜等が挙げられる。また、アルミニウム、銅などの金属膜の下側もしくは上側にクロム、タンタル、チタン、モリブデン、タングステンなどの高融点金属膜を積層させた構成としても良い。また、アルミニウム又は銅は、耐熱性や腐食性の問題を回避するために、高融点金属材料と組み合わせて用いると良い。高融点金属材料としては、モリブデン、チタン、クロム、タンタル、タングステン、ネオジム、スカンジウム、イットリウム等を用いることができる。
【0176】
また、導電膜716、導電膜717及び導電膜718となる導電膜は、単層構造でも、2層以上の積層構造としてもよい。例えば、シリコンを含むアルミニウム膜の単層構造、アルミニウム膜上にチタン膜を積層する2層構造、チタン膜と、そのチタン膜上に重ねてアルミニウム膜を積層し、更にその上にチタン膜を成膜する3層構造などが挙げられる。また、Cu−Mg−Al合金、Mo−Ti合金、Ti、Mo、は、酸化膜との密着性が高い。よって、下層にCu−Mg−Al合金、Mo−Ti合金、Ti、或いはMoで構成される導電膜、上層にCuで構成される導電膜を積層し、上記積層された導電膜を導電膜716、導電膜717及び導電膜718に用いることで、酸化膜である絶縁膜714と、導電膜716、導電膜717及び導電膜718との密着性を高めることができる。
【0177】
また、導電膜716、導電膜717及び導電膜718となる導電膜としては、導電性の金属酸化物で形成しても良い。導電性の金属酸化物としては酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化インジウム酸化スズ混合物、酸化インジウム酸化亜鉛混合物又は前記金属酸化物材料にシリコン若しくは酸化シリコンを含ませたものを用いることができる。
【0178】
導電膜形成後に加熱処理を行う場合には、この加熱処理に耐える耐熱性を導電膜に持たせることが好ましい。
【0179】
本実施の形態では、導電膜716、導電膜717及び導電膜718として、膜厚150nmのタングステン膜を用いる。
【0180】
なお、導電膜のエッチングの際に、酸化物半導体膜715がなるべく除去されないようにそれぞれの材料及びエッチング条件を適宜調節する。エッチング条件によっては、酸化物半導体膜715の露出した部分が一部エッチングされることで、溝部(凹部)が形成されることもある。
【0181】
本実施の形態では、導電膜716、導電膜717及び導電膜718となる導電膜に、タングステン膜を用いる。そのため、アンモニアと過酸化水素水を含む溶液(アンモニア過水)を用いて、選択的に上記導電膜をウェットエッチングすることができる。具体的には、31重量%の過酸化水素水と、28重量%のアンモニア水と、水とを、体積比5:2:2で混合したアンモニア過水を用いる。或いは、四弗化炭素(CF)、塩素(Cl)、酸素を含むガスを用いて、上記導電膜をドライエッチングしても良い。
【0182】
なお、フォトリソグラフィ工程で用いるフォトマスク数及び工程数を削減するため、透過した光に多段階の強度をもたせる多階調マスクによって形成されたレジストマスクを用いてエッチング工程を行ってもよい。多階調マスクを用いて形成したレジストマスクは複数の膜厚を有する形状となり、エッチングを行うことで更に形状を変形することができるため、異なるパターンに加工する複数のエッチング工程に用いることができる。よって、一枚の多階調マスクによって、少なくとも二種類以上の異なるパターンに対応するレジストマスクを形成することができる。よって露光マスク数を削減することができ、対応するフォトリソグラフィ工程も削減できるため、工程の簡略化が可能となる。
【0183】
また、酸化物半導体膜715と、ソース電極又はドレイン電極として機能する導電膜717及び導電膜718との間に、ソース領域及びドレイン領域として機能する酸化物導電膜を設けるようにしても良い。酸化物導電膜の材料としては、酸化亜鉛を成分として含むものが好ましく、酸化インジウムを含まないものであることが好ましい。そのような酸化物導電膜として、酸化亜鉛、酸化亜鉛アルミニウム、酸窒化亜鉛アルミニウム、酸化亜鉛ガリウムなどを適用することができる。
【0184】
例えば、酸化物導電膜を形成する場合、酸化物導電膜を形成するためのパターニングと、導電膜717及び導電膜718を形成するためのパターニングとを一括で行うようにしても良い。
【0185】
ソース領域及びドレイン領域として機能する酸化物導電膜を設けることで、酸化物半導体膜715と導電膜717及び導電膜718の間の抵抗を下げることができるので、トランジスタの高速動作を実現させることができる。また、ソース領域及びドレイン領域として機能する酸化物導電膜を設けることで、トランジスタの耐圧を高めることができる。
【0186】
次いで、NO、N、又はArなどのガスを用いたプラズマ処理を行うようにしても良い。このプラズマ処理によって露出している酸化物半導体膜の表面に付着した水などを除去する。また、酸素とアルゴンの混合ガスを用いてプラズマ処理を行ってもよい。
【0187】
なお、プラズマ処理を行った後、図8(B)に示すように、導電膜716、導電膜717及び導電膜718と、酸化物半導体膜715とを覆うように、ゲート絶縁膜719を形成する。そして、ゲート絶縁膜719上において、酸化物半導体膜715と重なる位置にゲート電極720を形成し、導電膜717と重なる位置に導電膜721を形成する。
【0188】
ゲート絶縁膜719は、ゲート絶縁膜703と同様の材料、同様の積層構造を用いて形成することが可能である。なお、ゲート絶縁膜719は、水分や、水素などの不純物を極力含まないことが望ましく、単層の絶縁膜であっても良いし、積層された複数の絶縁膜で構成されていても良い。ゲート絶縁膜719に水素が含まれると、その水素が酸化物半導体膜715へ侵入し、又は水素が酸化物半導体膜715中の酸素を引き抜き、酸化物半導体膜715が低抵抗化(n型化)してしまい、寄生チャネルが形成されるおそれがある。よって、ゲート絶縁膜719はできるだけ水素を含まない膜になるように、成膜方法に水素を用いないことが重要である。上記ゲート絶縁膜719には、バリア性の高い材料を用いるのが望ましい。例えば、バリア性の高い絶縁膜として、窒化珪素膜、窒化酸化珪素膜、窒化アルミニウム膜、又は窒化酸化アルミニウム膜などを用いることができる。複数の積層された絶縁膜を用いる場合、窒素の含有比率が低い酸化珪素膜、酸化窒化珪素膜などの絶縁膜を、上記バリア性の高い絶縁膜よりも、酸化物半導体膜715に近い側に形成する。そして、窒素の含有比率が低い絶縁膜を間に挟んで、導電膜716、導電膜717及び導電膜718及び酸化物半導体膜715と重なるように、バリア性の高い絶縁膜を形成する。バリア性の高い絶縁膜を用いることで、酸化物半導体膜715内、ゲート絶縁膜719内、或いは、酸化物半導体膜715と他の絶縁膜の界面とその近傍に、水分又は水素などの不純物が入り込むのを防ぐことができる。また、酸化物半導体膜715に接するように窒素の比率が低い酸化珪素膜、酸化窒化珪素膜などの絶縁膜を形成することで、バリア性の高い材料を用いた絶縁膜が直接酸化物半導体膜715に接するのを防ぐことができる。
【0189】
本実施の形態では、スパッタ法で形成された膜厚30nmの酸化窒化珪素膜をゲート絶縁膜719として用いる。成膜時の基板温度は、室温以上400℃以下とすればよく、本実施の形態では300℃とする。
【0190】
なお、ゲート絶縁膜719を形成した後に、加熱処理を施しても良い。加熱処理は、窒素、超乾燥空気、又は希ガス(アルゴン、ヘリウムなど)の雰囲気下において、好ましくは200℃以上400℃以下、例えば250℃以上350℃以下で行う。上記ガスは、水の含有量が20ppm以下、好ましくは1ppm以下、より好ましくは10ppb以下であることが望ましい。本実施の形態では、例えば、窒素雰囲気下で250℃、1時間の加熱処理を行う。或いは、導電膜716、導電膜717及び導電膜718を形成する前に、水分又は水素を低減させるための酸化物半導体膜に対して行った先の加熱処理と同様に、高温短時間のRTA処理を行っても良い。酸素を含むゲート絶縁膜719が設けられた後に、加熱処理が施されることによって、酸化物半導体膜715に対して行った先の加熱処理により、酸化物半導体膜715に酸素欠損が発生していたとしても、ゲート絶縁膜719から酸化物半導体膜715に酸素が供与される。そして、酸化物半導体膜715に酸素が供与されることで、酸化物半導体膜715において、ドナーとなる酸素欠損を低減し、化学量論的組成比を満たすことが可能である。その結果、酸化物半導体膜715をi型に近づけることができ、酸素欠損によるトランジスタの電気特性のばらつきを軽減し、電気特性の向上を実現することができる。この加熱処理を行うタイミングは、ゲート絶縁膜719の形成後であれば特に限定されず、他の工程、例えば樹脂膜形成時の加熱処理や、透明導電膜を低抵抗化させるための加熱処理と兼ねることで、工程数を増やすことなく、酸化物半導体膜715をi型に近づけることができる。
【0191】
また、酸素雰囲気下で酸化物半導体膜715に加熱処理を施すことで、酸化物半導体に酸素を添加し、酸化物半導体膜715中においてドナーとなる酸素欠損を低減させても良い。加熱処理の温度は、例えば100℃以上350℃未満、好ましくは150℃以上250℃未満で行う。上記酸素雰囲気下の加熱処理に用いられる酸素ガスには、水、水素などが含まれないことが好ましい。又は、加熱処理装置に導入する酸素ガスの純度を、6N(99.9999%)以上、好ましくは7N(99.99999%)以上、(即ち酸素中の不純物濃度を1ppm以下、好ましくは0.1ppm以下)とすることが好ましい。
【0192】
或いは、イオン注入法又はイオンドーピング法などを用いて、酸化物半導体膜715に酸素を添加することで、ドナーとなる酸素欠損を低減させても良い。例えば、2.45GHzのマイクロ波でプラズマ化した酸素を酸化物半導体膜715に添加すれば良い。
【0193】
また、ゲート電極720及び導電膜721は、ゲート絶縁膜719上に導電膜を形成した後、該導電膜をパターニングすることで形成することができる。ゲート電極720及び導電膜721は、ゲート電極704、或いは導電膜716、導電膜717及び導電膜718と同様の材料を用いて形成することが可能である。
【0194】
ゲート電極720及び導電膜721の膜厚は、10nm〜400nm、好ましくは100nm〜300nmとする。本実施の形態では、タングステンターゲットを用いたスパッタ法により150nmのゲート電極用の導電膜を形成した後、該導電膜をエッチングにより所望の形状に加工(パターニング)することで、ゲート電極720及び導電膜721を形成する。なお、レジストマスクをインクジェット法で形成してもよい。レジストマスクをインクジェット法で形成するとフォトマスクを使用しないため、製造コストを低減できる。
【0195】
以上の工程により、トランジスタ109が形成される。
【0196】
なお、ゲート絶縁膜719を間に挟んで導電膜717と導電膜721とが重なる部分が、容量素子110に相当する。
【0197】
本実施の形態では、平行平板型の容量素子110の例を示したが、本発明の一態様に係る記憶装置では、スタック型の容量素子を用いてもよい。
【0198】
また、トランジスタ109はシングルゲート構造のトランジスタを用いて説明したが、必要に応じて、電気的に接続された複数のゲート電極を有することで、チャネル形成領域を複数有する、マルチゲート構造のトランジスタも形成することができる。
【0199】
なお、酸化物半導体膜715に接する絶縁膜(本実施の形態においては、絶縁膜714及びゲート絶縁膜719が該当する。)は、第13族元素及び酸素を含む絶縁材料を用いるようにしても良い。酸化物半導体材料には第13族元素を含むものが多く、第13族元素を含む絶縁材料は酸化物半導体との相性が良く、これを酸化物半導体膜に接する絶縁膜に用いることで、酸化物半導体膜との界面の状態を良好に保つことができる。
【0200】
第13族元素を含む絶縁材料とは、絶縁材料に一又は複数の第13族元素を含むことを意味する。第13族元素を含む絶縁材料としては、例えば、酸化ガリウム、酸化アルミニウム、酸化アルミニウムガリウム、酸化ガリウムアルミニウムなどがある。ここで、酸化アルミニウムガリウムとは、ガリウムの含有量(原子%)よりアルミニウムの含有量(原子%)が多いものを示し、酸化ガリウムアルミニウムとは、ガリウムの含有量(原子%)がアルミニウムの含有量(原子%)以上のものを示す。
【0201】
例えば、ガリウムを含有する酸化物半導体膜に接して絶縁膜を形成する場合に、絶縁膜に酸化ガリウムを含む材料を用いることで酸化物半導体膜と絶縁膜の界面特性を良好に保つことができる。例えば、酸化物半導体膜と酸化ガリウムを含む絶縁膜とを接して設けることにより、酸化物半導体膜と絶縁膜の界面における水素のパイルアップを低減することができる。なお、絶縁膜に酸化物半導体の成分元素と同じ族の元素を用いる場合には、同様の効果を得ることが可能である。例えば、酸化アルミニウムを含む材料を用いて絶縁膜を形成することも有効である。なお、酸化アルミニウムは、水を透過させにくいという特性を有しているため、当該材料を用いることは、酸化物半導体膜への水の侵入防止という点においても好ましい。
【0202】
また、酸化物半導体膜715に接する絶縁膜は、酸素雰囲気下による熱処理や、酸素ドープなどにより、絶縁材料を化学量論的組成比より酸素が多い状態とすることが好ましい。酸素ドープとは、酸素をバルクに添加することをいう。なお、当該バルクの用語は、酸素を薄膜表面のみでなく薄膜内部に添加することを明確にする趣旨で用いている。また、酸素ドープには、プラズマ化した酸素をバルクに添加する酸素プラズマドープが含まれる。また、酸素ドープは、イオン注入法又はイオンドーピング法を用いて行ってもよい。
【0203】
例えば、酸化物半導体膜715に接する絶縁膜として酸化ガリウムを用いた場合、酸素雰囲気下による熱処理や、酸素ドープを行うことにより、酸化ガリウムの組成をGa(X=3+α、0<α<1)とすることができる。
【0204】
また、酸化物半導体膜715に接する絶縁膜として酸化アルミニウムを用いた場合、酸素雰囲気下による熱処理や、酸素ドープを行うことにより、酸化アルミニウムの組成をAl(X=3+α、0<α<1)とすることができる。
【0205】
また、酸化物半導体膜715に接する絶縁膜として酸化ガリウムアルミニウム(酸化アルミニウムガリウム)を用いた場合、酸素雰囲気下による熱処理や、酸素ドープを行うことにより、酸化ガリウムアルミニウム(酸化アルミニウムガリウム)の組成をGaAl2−X3+α(0<X<2、0<α<1)とすることができる。
【0206】
酸素ドープ処理を行うことにより、化学量論的組成比より酸素が多い領域を有する絶縁膜を形成することができる。このような領域を備える絶縁膜と酸化物半導体膜が接することにより、絶縁膜中の過剰な酸素が酸化物半導体膜に供給され、酸化物半導体膜中、又は酸化物半導体膜と絶縁膜の界面における酸素欠陥を低減し、酸化物半導体膜をi型化又はi型に限りなく近くすることができる。
【0207】
なお、化学量論的組成比より酸素が多い領域を有する絶縁膜は、酸化物半導体膜715に接する絶縁膜のうち、上層に位置する絶縁膜又は下層に位置する絶縁膜のうち、どちらか一方のみに用いても良いが、両方の絶縁膜に用いる方が好ましい。化学量論的組成比より酸素が多い領域を有する絶縁膜を、酸化物半導体膜715に接する絶縁膜の、上層及び下層に位置する絶縁膜に用い、酸化物半導体膜715を挟む構成とすることで、上記効果をより高めることができる。
【0208】
また、酸化物半導体膜715の上層又は下層に用いる絶縁膜は、上層と下層で同じ構成元素を有する絶縁膜としても良いし、異なる構成元素を有する絶縁膜としても良い。例えば、上層と下層とも、組成がGa(X=3+α、0<α<1)の酸化ガリウムとしても良いし、上層と下層の一方を組成がGa(X=3+α、0<α<1)の酸化ガリウムとし、他方を組成がAl(X=3+α、0<α<1)の酸化アルミニウムとしても良い。
【0209】
また、酸化物半導体膜715に接する絶縁膜は、化学量論的組成比より酸素が多い領域を有する絶縁膜の積層としても良い。例えば、酸化物半導体膜715の上層に組成がGa(X=3+α、0<α<1)の酸化ガリウムを形成し、その上に組成がGaAl2−X3+α(0<X<2、0<α<1)の酸化ガリウムアルミニウム(酸化アルミニウムガリウム)を形成してもよい。なお、酸化物半導体膜715の下層を、化学量論的組成比より酸素が多い領域を有する絶縁膜の積層としても良いし、酸化物半導体膜715の上層及び下層の両方を、化学量論的組成比より酸素が多い領域を有する絶縁膜の積層としても良い。
【0210】
次に、図8(C)に示すように、ゲート絶縁膜719、導電膜721、ゲート電極720を覆うように、絶縁膜722を形成する。絶縁膜722は、PVD法やCVD法などを用いて形成することができる。また、酸化珪素、酸化窒化珪素、窒化珪素、酸化ハフニウム、酸化ガリウム、酸化アルミニウム等の無機絶縁材料を含む材料を用いて形成することができる。なお、絶縁膜722には、誘電率の低い材料や、誘電率の低い構造(多孔性の構造など)を用いることが望ましい。絶縁膜722の誘電率を低くすることにより、配線や電極などの間に生じる寄生容量を低減し、動作の高速化を図ることができるためである。なお、本実施の形態では、絶縁膜722を単層構造としているが、本発明の一態様はこれに限定されず、2層以上の積層構造としても良い。
【0211】
次に、ゲート絶縁膜719、絶縁膜722に開口部725を形成し、導電膜718の一部を露出させる。その後、絶縁膜722上に、上記開口部725において導電膜718と接する配線726を形成する。
【0212】
配線726は、PVD法や、CVD法を用いて導電膜を形成した後、当該導電膜をパターニングすることによって形成される。また、導電膜の材料としては、アルミニウム、クロム、銅、タンタル、チタン、モリブデン、タングステンから選ばれた元素や、上述した元素を成分とする合金等を用いることができる。マンガン、マグネシウム、ジルコニウム、ベリリウム、ネオジム、スカンジウムのいずれか、又はこれらを複数組み合わせた材料を用いてもよい。
【0213】
本実施の形態では、スパッタ法で膜厚50nm程度のチタン膜、膜厚200nm程度のアルミニウム膜、膜厚50nm程度のチタン膜を順に積層することで形成される導電膜を、配線726として用いる。チタン膜は、被形成面の酸化膜(自然酸化膜など)を還元し、下部電極など(ここでは導電膜718)との接触抵抗を低減させる機能を有する。また、アルミニウム膜のヒロックを防止することができる。また、チタンや窒化チタンなどによるバリア膜を形成した後に、メッキ法により銅膜を形成してもよい。
【0214】
次に、配線726を覆うように絶縁膜727を形成する。上述した一連の工程により、記憶装置を作製することができる。
【0215】
なお、上記作製方法では、ソース電極及びドレイン電極として機能する導電膜717及び導電膜718が、酸化物半導体膜715の後に形成されている。よって、図8(B)に示すように、上記作製方法によって得られるトランジスタ109は、導電膜717及び導電膜718が、酸化物半導体膜715の上に形成されている。しかし、トランジスタ109は、ソース電極及びドレイン電極として機能する導電膜が、酸化物半導体膜715の下、すなわち、酸化物半導体膜715と絶縁膜714の間に設けられていても良い。
【0216】
本実施の形態は、上記実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0217】
(実施の形態5)
本実施の形態では、実施の形態4とは異なる構造を有した、酸化物半導体膜を用いたトランジスタについて説明する。
【0218】
図9(A)に示すトランジスタ601は、チャネルエッチ構造の、ボトムゲート型である。
【0219】
トランジスタ601は、絶縁表面上に形成されたゲート電極602と、ゲート電極602上のゲート絶縁膜603と、ゲート絶縁膜603上においてゲート電極602と重なっている酸化物半導体膜604と、酸化物半導体膜604上に形成された導電膜605、導電膜606とを有する。さらに、トランジスタ601は、酸化物半導体膜604、導電膜605及び導電膜606上に形成された絶縁膜607を、その構成要素に含めても良い。
【0220】
なお、図9(A)に示したトランジスタ601は、酸化物半導体膜604と重なる位置において絶縁膜607上に形成されたバックゲート電極を、更に有していても良い。
【0221】
図9(B)に示すトランジスタ611は、チャネル保護構造の、ボトムゲート型である。
【0222】
トランジスタ611は、絶縁表面上に形成されたゲート電極612と、ゲート電極612上のゲート絶縁膜613と、ゲート絶縁膜613上においてゲート電極612と重なっている酸化物半導体膜614と、酸化物半導体膜614上に形成されたチャネル保護膜618と、酸化物半導体膜614上に形成された導電膜615、導電膜616とを有する。さらに、トランジスタ611は、チャネル保護膜618、導電膜615及び導電膜616上に形成された絶縁膜617を、その構成要素に含めても良い。
【0223】
なお、図9(B)に示したトランジスタ611は、酸化物半導体膜614と重なる位置において絶縁膜617上に形成されたバックゲート電極を、更に有していても良い。
【0224】
チャネル保護膜618を設けることによって、酸化物半導体膜614のチャネル形成領域となる部分に対する、後の工程における、エッチング時のプラズマやエッチング剤による膜減りなどのダメージを防ぐことができる。従ってトランジスタ611の信頼性を向上させることができる。
【0225】
図9(C)に示すトランジスタ621は、ボトムコンタクト構造の、ボトムゲート型である。
【0226】
トランジスタ621は、絶縁表面上に形成されたゲート電極622と、ゲート電極622上のゲート絶縁膜623と、ゲート絶縁膜623上の導電膜625、導電膜626と、ゲート絶縁膜623上においてゲート電極622と重なっており、なおかつ導電膜625、導電膜626上に形成された酸化物半導体膜624とを有する。さらに、トランジスタ621は、導電膜625、導電膜626、及び酸化物半導体膜624上に形成された絶縁膜627を、その構成要素に含めても良い。
【0227】
なお、図9(C)に示したトランジスタ621は、酸化物半導体膜624と重なる位置において絶縁膜627上に形成されたバックゲート電極を、更に有していても良い。
【0228】
図9(D)に示すトランジスタ641は、ボトムコンタクト構造の、トップゲート型である。
【0229】
トランジスタ641は、絶縁表面上に形成された導電膜645及び導電膜646と、導電膜645及び導電膜646上に形成された酸化物半導体膜644と、酸化物半導体膜644、導電膜645及び導電膜646上に形成されたゲート絶縁膜643と、ゲート絶縁膜643上において酸化物半導体膜644と重なっているゲート電極642とを有する。さらに、トランジスタ641は、ゲート電極642上に形成された絶縁膜647を、その構成要素に含めても良い。
【0230】
本実施の形態は、上記実施の形態と組み合わせて実施することが可能である。
【0231】
(実施の形態6)
本実施の形態では、実施の形態4または実施の形態5とは異なる構造を有した、酸化物半導体膜を用いたトランジスタについて説明する。
【0232】
図10(A)に示すトランジスタ901は、絶縁膜902上に形成された、活性層として機能する酸化物半導体膜903と、酸化物半導体膜903上に形成されたソース電極904及びドレイン電極905と、酸化物半導体膜903、ソース電極904及びドレイン電極905上のゲート絶縁膜906と、ゲート絶縁膜906上において酸化物半導体膜903と重なる位置に設けられたゲート電極907とを有する。
【0233】
図10(A)に示すトランジスタ901は、ゲート電極907が酸化物半導体膜903の上に形成されているトップゲート型であり、なおかつ、ソース電極904及びドレイン電極905が酸化物半導体膜903の上に形成されているトップコンタクト型である。そして、トランジスタ901は、ソース電極904及びドレイン電極905と、ゲート電極907とが重なっていない。すなわち、ソース電極904及びドレイン電極905とゲート電極907との間には、ゲート絶縁膜906の膜厚よりも大きい間隔が設けられている。よって、トランジスタ901は、ソース電極904及びドレイン電極905とゲート電極907との間に形成される寄生容量を小さく抑えることができるので、高速動作を実現することができる。
【0234】
また、酸化物半導体膜903は、ゲート電極907が形成された後に酸化物半導体膜903にn型の導電性を付与するドーパントを添加することで得られる、一対の高濃度領域908を有する。また、酸化物半導体膜903のうち、ゲート絶縁膜906を間に挟んでゲート電極907と重なる領域がチャネル形成領域909である。酸化物半導体膜903では、一対の高濃度領域908の間にチャネル形成領域909が設けられている。高濃度領域908を形成するためのドーパントの添加は、イオン注入法を用いることができる。ドーパントは、例えばヘリウム、アルゴン、キセノンなどの希ガスや、窒素、リン、ヒ素、アンチモンなどの15族原子などを用いることができる。
【0235】
例えば、窒素をドーパントとして用いた場合、高濃度領域908中の窒素原子の濃度は、5×1019/cm以上1×1022/cm以下であることが望ましい。
【0236】
n型の導電性を付与するドーパントが添加されている高濃度領域908は、酸化物半導体膜903中の他の領域に比べて導電性が高くなる。よって、高濃度領域908を酸化物半導体膜903に設けることで、ソース電極904とドレイン電極905の間の抵抗を下げることができる。
【0237】
また、In−Ga−Zn系酸化物半導体を酸化物半導体膜903に用いた場合、窒素を添加した後、300℃以上600℃以下で1時間程度加熱処理を施すことにより、高濃度領域908中の酸化物半導体はウルツ鉱型の結晶構造を有するようになる。高濃度領域908中の酸化物半導体がウルツ鉱型の結晶構造を有することで、さらに高濃度領域908の導電性を高め、ソース電極904とドレイン電極905の間の抵抗を下げることができる。なお、ウルツ鉱型の結晶構造を有する酸化物半導体を形成して、ソース電極904とドレイン電極905の間の抵抗を効果的に下げるためには、窒素をドーパントとして用いた場合、高濃度領域908中の窒素原子の濃度を、1×1020/cm以上7atoms%以下とすることが望ましい。しかし、窒素原子が上記範囲よりも低い濃度であっても、ウルツ鉱型の結晶構造を有する酸化物半導体が得られる場合もある。
【0238】
また、酸化物半導体膜903は、CAAC−OS膜で構成されていても良い。酸化物半導体膜903がCAAC−OS膜で構成されている場合、非晶質の場合に比べて酸化物半導体膜903の導電率を高めることができるので、ソース電極904とドレイン電極905の間の抵抗を下げることができる。
【0239】
そして、ソース電極904とドレイン電極905の間の抵抗を下げることで、トランジスタ901の微細化を進めても、高いオン電流と、高速動作を確保することができる。また、トランジスタ901の微細化により、メモリセルの占める面積を縮小化し、セルアレイの単位面積あたりの記憶容量を高めることができる。
【0240】
図10(B)に示すトランジスタ911は、絶縁膜912上に形成されたソース電極914及びドレイン電極915と、ソース電極914及びドレイン電極915上に形成された活性層として機能する酸化物半導体膜913と、酸化物半導体膜913、ソース電極914及びドレイン電極915上のゲート絶縁膜916と、ゲート絶縁膜916上において酸化物半導体膜913と重なる位置に設けられたゲート電極917とを有する。
【0241】
図10(B)に示すトランジスタ911は、ゲート電極917が酸化物半導体膜913の上に形成されているトップゲート型であり、なおかつ、ソース電極914及びドレイン電極915が酸化物半導体膜913の下に形成されているボトムコンタクト型である。そして、トランジスタ911は、トランジスタ901と同様に、ソース電極914及びドレイン電極915と、ゲート電極917とが重なっていないので、ソース電極914及びドレイン電極915とゲート電極917との間に形成される寄生容量を小さく抑えることができ、高速動作を実現することができる。
【0242】
また、酸化物半導体膜913は、ゲート電極917が形成された後に酸化物半導体膜913にn型の導電性を付与するドーパントを添加することで得られる、一対の高濃度領域918を有する。また、酸化物半導体膜913のうち、ゲート絶縁膜916を間に挟んでゲート電極917と重なる領域がチャネル形成領域919である。酸化物半導体膜913では、一対の高濃度領域918の間にチャネル形成領域919が設けられている。
【0243】
高濃度領域918は、上述した、トランジスタ901が有する高濃度領域908の場合と同様に、イオン注入法を用いて形成することができる。そして、高濃度領域918を形成するためのドーパントの種類については、高濃度領域908の場合を参照することができる。
【0244】
例えば、窒素をドーパントとして用いた場合、高濃度領域918中の窒素原子の濃度は、5×1019/cm以上1×1022/cm以下であることが望ましい。
【0245】
n型の導電性を付与するドーパントが添加されている高濃度領域918は、酸化物半導体膜913中の他の領域に比べて導電性が高くなる。よって、高濃度領域918を酸化物半導体膜913に設けることで、ソース電極914とドレイン電極915の間の抵抗を下げることができる。
【0246】
また、In−Ga−Zn系酸化物半導体を酸化物半導体膜913に用いた場合、窒素を添加した後、300℃以上600℃以下程度で加熱処理を施すことにより、高濃度領域918中の酸化物半導体はウルツ鉱型の結晶構造を有するようになる。高濃度領域918中の酸化物半導体がウルツ鉱型の結晶構造を有することで、さらに高濃度領域918の導電性を高め、ソース電極914とドレイン電極915の間の抵抗を下げることができる。なお、ウルツ鉱型の結晶構造を有する酸化物半導体を形成して、ソース電極914とドレイン電極915の間の抵抗を効果的に下げるためには、窒素をドーパントとして用いた場合、高濃度領域918中の窒素原子の濃度を、1×1020/cm以上7atoms%以下とすることが望ましい。しかし、窒素原子が上記範囲よりも低い濃度であっても、ウルツ鉱型の結晶構造を有する酸化物半導体が得られる場合もある。
【0247】
また、酸化物半導体膜913は、CAAC−OS膜で構成されていても良い。酸化物半導体膜913がCAAC−OS膜で構成されている場合、非晶質の場合に比べて酸化物半導体膜913の導電率を高めることができるので、ソース電極914とドレイン電極915の間の抵抗を下げることができる。
【0248】
そして、ソース電極914とドレイン電極915の間の抵抗を下げることで、トランジスタ911の微細化を進めても、高いオン電流と、高速動作を確保することができる。また、トランジスタ911の微細化により、メモリセルの占める面積を縮小化し、セルアレイの単位面積あたりの記憶容量を高めることができる。
【0249】
図10(C)に示すトランジスタ921は、絶縁膜922上に形成された、活性層として機能する酸化物半導体膜923と、酸化物半導体膜923上に形成されたソース電極924及びドレイン電極925と、酸化物半導体膜923、ソース電極924及びドレイン電極925上のゲート絶縁膜926と、ゲート絶縁膜926上において酸化物半導体膜923と重なる位置に設けられたゲート電極927とを有する。さらに、トランジスタ921は、ゲート電極927の側部に設けられた、絶縁膜で形成されたサイドウォール930を有する。
【0250】
図10(C)に示すトランジスタ921は、ゲート電極927が酸化物半導体膜923の上に形成されているトップゲート型であり、なおかつ、ソース電極924及びドレイン電極925が酸化物半導体膜923の上に形成されているトップコンタクト型である。そして、トランジスタ921は、トランジスタ901と同様に、ソース電極924及びドレイン電極925と、ゲート電極927とが重なっていないので、ソース電極924及びドレイン電極925とゲート電極927との間に形成される寄生容量を小さく抑えることができ、高速動作を実現することができる。
【0251】
また、酸化物半導体膜923は、ゲート電極927が形成された後に酸化物半導体膜923にn型の導電性を付与するドーパントを添加することで得られる、一対の高濃度領域928と、一対の低濃度領域929とを有する。また、酸化物半導体膜923のうち、ゲート絶縁膜926を間に挟んでゲート電極927と重なる領域がチャネル形成領域931である。酸化物半導体膜923では、一対の高濃度領域928の間に一対の低濃度領域929が設けられ、一対の低濃度領域929の間にチャネル形成領域931が設けられている。そして、一対の低濃度領域929は、酸化物半導体膜923中の、ゲート絶縁膜926を間に挟んでサイドウォール930と重なる領域に設けられている。
【0252】
高濃度領域928及び低濃度領域929は、上述した、トランジスタ901が有する高濃度領域908の場合と同様に、イオン注入法を用いて形成することができる。そして、高濃度領域928を形成するためのドーパントの種類については、高濃度領域908の場合を参照することができる。
【0253】
例えば、窒素をドーパントとして用いた場合、高濃度領域928中の窒素原子の濃度は、5×1019/cm以上1×1022/cm以下であることが望ましい。また、例えば、窒素をドーパントとして用いた場合、低濃度領域929中の窒素原子の濃度は、5×1018/cm以上5×1019/cm未満であることが望ましい。
【0254】
n型の導電性を付与するドーパントが添加されている高濃度領域928は、酸化物半導体膜923中の他の領域に比べて導電性が高くなる。よって、高濃度領域928を酸化物半導体膜923に設けることで、ソース電極924とドレイン電極925の間の抵抗を下げることができる。また、低濃度領域929をチャネル形成領域931と高濃度領域928の間に設けることで、短チャネル効果による閾値電圧のマイナスシフトを軽減することができる。
【0255】
また、In−Ga−Zn系酸化物半導体を酸化物半導体膜923に用いた場合、窒素を添加した後、300℃以上600℃以下程度で加熱処理を施すことにより、高濃度領域928中の酸化物半導体はウルツ鉱型の結晶構造を有するようになる。さらに、低濃度領域929も、窒素の濃度によっては、上記加熱処理によりウルツ鉱型の結晶構造を有する場合もある。高濃度領域928中の酸化物半導体がウルツ鉱型の結晶構造を有することで、さらに高濃度領域928の導電性を高め、ソース電極924とドレイン電極925の間の抵抗を下げることができる。なお、ウルツ鉱型の結晶構造を有する酸化物半導体を形成して、ソース電極924とドレイン電極925の間の抵抗を効果的に下げるためには、窒素をドーパントとして用いた場合、高濃度領域928中の窒素原子の濃度を、1×1020/cm以上7atoms%以下とすることが望ましい。しかし、窒素原子が上記範囲よりも低い濃度であっても、ウルツ鉱型の結晶構造を有する酸化物半導体が得られる場合もある。
【0256】
また、酸化物半導体膜923は、CAAC−OS膜で構成されていても良い。酸化物半導体膜923がCAAC−OS膜で構成されている場合、非晶質の場合に比べて酸化物半導体膜923の導電率を高めることができるので、ソース電極924とドレイン電極925の間の抵抗を下げることができる。
【0257】
そして、ソース電極924とドレイン電極925の間の抵抗を下げることで、トランジスタ921の微細化を進めても、高いオン電流と、高速動作を確保することができる。また、トランジスタ921の微細化により、メモリセルの占める面積を縮小化し、セルアレイの単位面積あたりの記憶容量を高めることができる。
【0258】
図10(D)に示すトランジスタ941は、絶縁膜942上に形成されたソース電極944及びドレイン電極945と、ソース電極944及びドレイン電極945上に形成された活性層として機能する酸化物半導体膜943と、酸化物半導体膜943、ソース電極944及びドレイン電極945上のゲート絶縁膜946と、ゲート絶縁膜946上において酸化物半導体膜943と重なる位置に設けられたゲート電極947とを有する。さらに、トランジスタ941は、ゲート電極947の側部に設けられた、絶縁膜で形成されたサイドウォール950を有する。
【0259】
図10(D)に示すトランジスタ941は、ゲート電極947が酸化物半導体膜943の上に形成されているトップゲート型であり、なおかつ、ソース電極944及びドレイン電極945が酸化物半導体膜943の下に形成されているボトムコンタクト型である。そして、トランジスタ941は、トランジスタ901と同様に、ソース電極944及びドレイン電極945と、ゲート電極947とが重なっていないので、ソース電極944及びドレイン電極945とゲート電極947との間に形成される寄生容量を小さく抑えることができ、高速動作を実現することができる。
【0260】
また、酸化物半導体膜943は、ゲート電極947が形成された後に酸化物半導体膜943にn型の導電性を付与するドーパントを添加することで得られる、一対の高濃度領域948と、一対の低濃度領域949とを有する。また、酸化物半導体膜943のうち、ゲート絶縁膜946を間に挟んでゲート電極947と重なる領域がチャネル形成領域951である。酸化物半導体膜943では、一対の高濃度領域948の間に一対の低濃度領域949が設けられ、一対の低濃度領域949の間にチャネル形成領域951が設けられている。そして、一対の低濃度領域949は、酸化物半導体膜943中の、ゲート絶縁膜946を間に挟んでサイドウォール950と重なる領域に設けられている。
【0261】
高濃度領域948及び低濃度領域949は、上述した、トランジスタ901が有する高濃度領域908の場合と同様に、イオン注入法を用いて形成することができる。そして、高濃度領域948を形成するためのドーパントの種類については、高濃度領域908の場合を参照することができる。
【0262】
例えば、窒素をドーパントとして用いた場合、高濃度領域948中の窒素原子の濃度は、5×1019/cm以上1×1022/cm以下であることが望ましい。また、例えば、窒素をドーパントとして用いた場合、低濃度領域949中の窒素原子の濃度は、5×1018/cm以上5×1019/cm未満であることが望ましい。
【0263】
n型の導電性を付与するドーパントが添加されている高濃度領域948は、酸化物半導体膜943中の他の領域に比べて導電性が高くなる。よって、高濃度領域948を酸化物半導体膜943に設けることで、ソース電極944とドレイン電極945の間の抵抗を下げることができる。また、低濃度領域949をチャネル形成領域951と高濃度領域948の間に設けることで、短チャネル効果による閾値電圧のマイナスシフトを軽減することができる。
【0264】
また、In−Ga−Zn系酸化物半導体を酸化物半導体膜943に用いた場合、窒素を添加した後、300℃以上600℃以下程度で加熱処理を施すことにより、高濃度領域948中の酸化物半導体はウルツ鉱型の結晶構造を有するようになる。さらに、低濃度領域949も、窒素の濃度によっては、上記加熱処理によりウルツ鉱型の結晶構造を有する場合もある。高濃度領域948中の酸化物半導体がウルツ鉱型の結晶構造を有することで、さらに高濃度領域948の導電性を高め、ソース電極944とドレイン電極945の間の抵抗を下げることができる。なお、ウルツ鉱型の結晶構造を有する酸化物半導体を形成して、ソース電極944とドレイン電極945の間の抵抗を効果的に下げるためには、窒素をドーパントとして用いた場合、高濃度領域948中の窒素原子の濃度を、1×1020/cm以上7atoms%以下とすることが望ましい。しかし、窒素原子が上記範囲よりも低い濃度であっても、ウルツ鉱型の結晶構造を有する酸化物半導体が得られる場合もある。
【0265】
また、酸化物半導体膜943は、CAAC−OS膜で構成されていても良い。酸化物半導体膜943がCAAC−OS膜で構成されている場合、非晶質の場合に比べて酸化物半導体膜943の導電率を高めることができるので、ソース電極944とドレイン電極945の間の抵抗を下げることができる。
【0266】
そして、ソース電極944とドレイン電極945の間の抵抗を下げることで、トランジスタ941の微細化を進めても、高いオン電流と、高速動作を確保することができる。また、トランジスタ941の微細化により、メモリセルの占める面積を縮小化し、セルアレイの単位面積あたりの記憶容量を高めることができる。
【0267】
なお、酸化物半導体を用いたトランジスタにおいて、ソース領域またはドレイン領域として機能する高濃度領域をセルフアラインプロセスにて作製する方法の一つとして、酸化物半導体膜の表面を露出させて、アルゴンプラズマ処理をおこない、酸化物半導体膜のプラズマにさらされた領域の抵抗率を低下させる方法が開示されている(S. Jeon et al. ”180nm Gate Length Amorphous InGaZnO Thin Film Transistor for High Density Image Sensor Application”, IEDM Tech. Dig., p.504, 2010.)。
【0268】
しかしながら、上記作製方法では、ゲート絶縁膜を形成した後に、ソース領域またはドレイン領域となるべき部分を露出するべく、ゲート絶縁膜を部分的に除去する必要がある。よって、ゲート絶縁膜が除去される際に、下層の酸化物半導体膜も部分的にオーバーエッチングされ、ソース領域またはドレイン領域となるべき部分の膜厚が小さくなってしまう。その結果、ソース領域またはドレイン領域の抵抗が増加し、また、オーバーエッチングによるトランジスタの特性不良が起こりやすくなる。
【0269】
トランジスタの微細化を進めるには、加工精度の高いドライエッチング法を採用する必要がある。しかし、上記オーバーエッチングは、酸化物半導体膜とゲート絶縁膜の選択比が十分に確保できないドライエッチング法を採用する場合に、顕著に起こりやすい。
【0270】
例えば、酸化物半導体膜が十分な厚さであればオーバーエッチングも問題にはならないが、チャネル長を200nm以下とする場合には、短チャネル効果を防止する上で、チャネル形成領域となる部分の酸化物半導体膜の厚さは20nm以下、好ましくは10nm以下であることが求められる。そのような薄い酸化物半導体膜を扱う場合には、酸化物半導体膜のオーバーエッチングは、トランジスタの特性不良を生じさせるため、好ましくない。
【0271】
しかし、本発明の一態様のように、酸化物半導体膜へのドーパントの添加を、酸化物半導体膜を露出させず、ゲート絶縁膜を残したまま行うことで、酸化物半導体膜のオーバーエッチングを防ぎ、酸化物半導体膜への過剰なダメージを軽減することができる。また、加えて、酸化物半導体膜とゲート絶縁膜の界面も清浄に保たれる。従って、トランジスタの特性及び信頼性を高めることができる。
【0272】
本実施の形態は、上記実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0273】
(実施の形態7)
本発明の一態様に係る記憶装置は、バルク状の単結晶半導体基板を用いて作製されたトランジスタを、駆動回路に用いていても良い。図12に、バルク状の単結晶半導体基板を用いて形成されたトランジスタ上に、酸化物半導体を用いたトランジスタと容量素子が形成された記憶装置の断面図を、一例として示す。
【0274】
図12に示す記憶装置は、半導体基板660に形成されたnチャネル型トランジスタ661及びpチャネル型トランジスタ662と、nチャネル型トランジスタ661及びpチャネル型トランジスタ662を覆っている絶縁膜663上に形成された、酸化物半導体を用いたトランジスタ664と、容量素子665とを有する。
【0275】
トランジスタ664は、そのチャネル形成領域に酸化物半導体を用いたトランジスタであり、実施の形態4で示した構造を有している場合を例示しているが、実施の形態5または実施の形態6に示した構成を有していても良い。
【0276】
半導体基板660は、例えば、n型またはp型の導電型を有する単結晶シリコン基板、化合物半導体基板(GaAs基板、InP基板、GaN基板、SiC基板、サファイア基板、ZnSe基板等)等を用いることができる。図12では、n型の導電性を有する単結晶シリコン基板を用いた場合を例示している。
【0277】
また、nチャネル型トランジスタ661とpチャネル型トランジスタ662とは、素子分離用絶縁膜666により、電気的に分離されている。素子分離用絶縁膜666の形成には、選択酸化法(LOCOS(Local Oxidation of Silicon)法)またはトレンチ分離法等を用いることができる。
【0278】
pチャネル型トランジスタ662が形成される領域には、p型の導電性を付与する不純物元素を選択的に導入することにより、pウェル667と呼ばれる領域が形成されている。p型の導電性を有する半導体基板を用いる場合、nチャネル型トランジスタ661が形成される領域に、n型の導電性を付与する不純物元素を選択的に導入することにより、nウェルを形成すれば良い。
【0279】
本実施の形態は、上記実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0280】
(実施の形態8)
酸化物半導体としては、少なくともインジウム(In)あるいは亜鉛(Zn)とを含むことが好ましい。特にInとZnを含むことが好ましい。
【0281】
また、酸化物半導体を用いたトランジスタの電気特性のばらつきを減らすためのスタビライザーとして、それらに加えてガリウム(Ga)、スズ(Sn)、ハフニウム(Hf)、アルミニウム(Al)、又はランタノイドから選ばれた一種又は複数種を有することが好ましい。
【0282】
ランタノイドとして、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)がある。
【0283】
例えば、インジウム(In)あるいは亜鉛(Zn)を含む一元系金属の酸化物半導体として、酸化インジウム、酸化亜鉛等を用いることができる。
【0284】
また、例えば、インジウム(In)あるいは亜鉛(Zn)を含む二元系金属の酸化物半導体として、In−Zn系酸化物、Sn−Zn系酸化物、Al−Zn系酸化物、Zn−Mg系酸化物、Sn−Mg系酸化物、In−Mg系酸化物、In−Ga系酸化物等を用いることができる。
【0285】
また、例えば、インジウム(In)あるいは亜鉛(Zn)を含む三元系金属の酸化物半導体として、In−Ga−Zn系酸化物(IGZOとも表記する)、In−Sn−Zn系酸化物、Sn−Ga−Zn系酸化物、In−Al−Zn系酸化物、In−Hf−Zn系酸化物、In−La−Zn系酸化物、In−Ce−Zn系酸化物、In−Pr−Zn系酸化物、In−Nd−Zn系酸化物、In−Sm−Zn系酸化物、In−Eu−Zn系酸化物、In−Gd−Zn系酸化物、In−Tb−Zn系酸化物、In−Dy−Zn系酸化物、In−Ho−Zn系酸化物、In−Er−Zn系酸化物、In−Tm−Zn系酸化物、In−Yb−Zn系酸化物、In−Lu−Zn系酸化物、Al−Ga−Zn系酸化物、Sn−Al−Zn系酸化物等を用いることができる。
【0286】
また、例えば、インジウム(In)あるいは亜鉛(Zn)を含む四元系金属の酸化物半導体として、In−Sn−Ga−Zn系酸化物、In−Hf−Ga−Zn系酸化物、In−Al−Ga−Zn系酸化物、In−Sn−Al−Zn系酸化物、In−Sn−Hf−Zn系酸化物、In−Hf−Al−Zn系酸化物等を用いることができる。
【0287】
なお、例えば、In−Ga−Zn系酸化物とは、InとGaとZnを主成分として有する酸化物という意味であり、InとGaとZnの比率は問わない。また、InとGaとZn以外の金属元素を含有させても良い。
【0288】
例えば、In:Ga:Zn=1:1:1(=1/3:1/3:1/3)あるいはIn:Ga:Zn=2:2:1(=2/5:2/5:1/5)の原子比のIn−Ga−Zn系酸化物やその組成の近傍の酸化物を用いることができる。
【0289】
あるいは、In:Sn:Zn=1:1:1(=1/3:1/3:1/3)、In:Sn:Zn=2:1:3(=1/3:1/6:1/2)あるいはIn:Sn:Zn=2:1:5(=1/4:1/8:5/8)の原子比のIn−Sn−Zn系酸化物やその組成の近傍の酸化物を用いても良い。
【0290】
しかし、これらに限られず、必要とする半導体特性(移動度、しきい値、ばらつき等)に応じて適切な組成のものを用いればよい。また、必要とする半導体特性を得るために、キャリア濃度や不純物濃度、欠陥密度、金属元素と酸素の原子数比、原子間結合距離、密度等を適切なものとすることが好ましい。
【0291】
酸化物半導体は単結晶でも、非単結晶でもよい。非単結晶の場合、非晶質でも、多結晶でもよい。また、非晶質中に結晶性を有する部分を含む構造でもよい。なお、アモルファスは欠陥が多いため、非アモルファスが好ましい。
【0292】
本実施の形態の内容の一部又は全部は、他の全ての実施の形態又は実施例と組み合わせて実施することができる。
【0293】
(実施の形態9)
本実施の形態では、c軸配向し、かつab面、表面または界面の方向から見て三角形状または六角形状の原子配列を有し、c軸においては金属原子が層状または金属原子と酸素原子とが層状に配列しており、ab面においてはa軸またはb軸の向きが異なる(c軸を中心に回転した)結晶(CAAC:C Axis Aligned Crystalともいう。)を含む酸化物について説明する。
【0294】
CAACを含む酸化物とは、広義に、非単結晶であって、そのab面に垂直な方向から見て、三角形、六角形、正三角形または正六角形の原子配列を有し、かつc軸方向に垂直な方向から見て、金属原子が層状、または金属原子と酸素原子が層状に配列した相を含む酸化物をいう。
【0295】
CAACは単結晶ではないが、非晶質のみから形成されているものでもない。また、CAACは結晶化した部分(結晶部分)を含むが、1つの結晶部分と他の結晶部分の境界を明確に判別できないこともある。
【0296】
CAACを構成する酸素の一部は窒素で置換されてもよい。また、CAACを構成する個々の結晶部分のc軸は一定の方向(例えば、CAACを支持する基板面、CAACの表面などに垂直な方向)に揃っていてもよい。または、CAACを構成する個々の結晶部分のab面の法線は一定の方向(例えば、CAACを支持する基板面、CAACの表面などに垂直な方向)を向いていてもよい。
【0297】
CAACは、その組成などに応じて、導体であったり、半導体であったり、絶縁体であったりする。また、その組成などに応じて、可視光に対して透明であったり不透明であったりする。
【0298】
このようなCAACの例として、膜状に形成され、膜表面または支持する基板面に垂直な方向から観察すると三角形または六角形の原子配列が認められ、かつその膜断面を観察すると金属原子または金属原子および酸素原子(または窒素原子)の層状配列が認められる結晶を挙げることもできる。
【0299】
CAACに含まれる結晶構造の一例について図13乃至図15を用いて詳細に説明する。なお、特に断りがない限り、図13乃至図15は上方向をc軸方向とし、c軸方向と直交する面をab面とする。なお、単に上半分、下半分という場合、ab面を境にした場合の上半分、下半分をいう。また、図13において丸で囲まれたOは4配位のOを示し、二重丸で囲まれたOは3配位のOを示す。
【0300】
図13(A)に、1個の6配位のInと、Inに近接の6個の4配位の酸素原子(以下4配位のO)と、を有する構造を示す。ここでは、金属原子が1個に対して、近接の酸素原子のみ示した構造を小グループと呼ぶ。図13(A)の構造は、八面体構造をとるが、簡単のため平面構造で示している。なお、図13(A)の上半分および下半分にはそれぞれ3個ずつ4配位のOがある。図13(A)に示す小グループは電荷が0である。
【0301】
図13(B)に、1個の5配位のGaと、Gaに近接の3個の3配位の酸素原子(以下3配位のO)と、Gaに近接の2個の4配位のOと、を有する構造を示す。3配位のOは、いずれもab面に存在する。図13(B)の上半分および下半分にはそれぞれ1個ずつ4配位のOがある。また、Inも5配位をとるため、図13(B)に示す構造を取り得る。図13(B)に示す小グループは電荷が0である。
【0302】
図13(C)に、1個の4配位のZnと、Znに近接の4個の4配位のOと、を有する構造を示す。図13(C)の上半分には1個の4配位のOがあり、下半分には3個の4配位のOがある。または、図13(C)の上半分に3個の4配位のOがあり、下半分に1個の4配位のOがあってもよい。図13(C)に示す小グループは電荷が0である。
【0303】
図13(D)に、1個の6配位のSnと、Snに近接の6個の4配位のOと、を有する構造を示す。図13(D)の上半分には3個の4配位のOがあり、下半分には3個の4配位のOがある。図13(D)に示す小グループは電荷が+1となる。
【0304】
図13(E)に、2個のZnを含む小グループを示す。図13(E)の上半分には1個の4配位のOがあり、下半分には1個の4配位のOがある。図13(E)に示す小グループは電荷が−1となる。
【0305】
ここでは、複数の小グループの集合体を中グループと呼び、複数の中グループの集合体を大グループ(ユニットセルともいう。)と呼ぶ。
【0306】
ここで、これらの小グループ同士が結合する規則について説明する。図13(A)に示す6配位のInの上半分の3個のOは、下方向にそれぞれ3個の近接Inを有し、下半分の3個のOは、上方向にそれぞれ3個の近接Inを有する。図13(B)に示す5配位のGaの上半分の1個のOは、下方向に1個の近接Gaを有し、下半分の1個のOは、上方向に1個の近接Gaを有する。図13(C)に示す4配位のZnの上半分の1個のOは、下方向に1個の近接Znを有し、下半分の3個のOは、上方向にそれぞれ3個の近接Znを有する。このように、金属原子の上方向の4配位のOの数と、そのOの下方向にある近接金属原子の数は等しく、同様に金属原子の下方向の4配位のOの数と、そのOの上方向にある近接金属原子の数は等しい。Oは4配位なので、下方向にある近接金属原子の数と、上方向にある近接金属原子の数の和は4になる。したがって金属原子の上方向にある4配位のOの数と、別の金属原子の下方向にある4配位のOの数との和が4個のとき、金属原子を有する二種の小グループ同士は結合することができる。例えば、6配位の金属原子(InまたはSn)が下半分の4配位のOを介して結合する場合、4配位のOが3個であるため、5配位の金属原子(GaまたはIn)、または4配位の金属原子(Zn)のいずれかと結合することになる。
【0307】
これらの配位数を有する金属原子は、c軸方向において、4配位のOを介して結合する。また、このほかにも、層構造の合計の電荷が0となるように複数の小グループが結合して中グループを構成する。
【0308】
図14(A)に、In−Sn−Zn系酸化物半導体の層構造を構成する中グループのモデル図を示す。図14(B)に、3つの中グループで構成される大グループを示す。なお、図14(C)は、図14(B)の層構造をc軸方向から観察した場合の原子配列を示す。
【0309】
図14(A)においては、簡単のため、3配位のOは省略し、4配位のOは個数のみ示し、例えば、Snの上半分および下半分にはそれぞれ3個ずつ4配位のOがあることを丸枠の3として示している。同様に、図14(A)において、Inの上半分および下半分にはそれぞれ1個ずつ4配位のOがあり、丸枠の1として示している。また、同様に、図14(A)において、下半分には1個の4配位のOがあり、上半分には3個の4配位のOがあるZnと、上半分には1個の4配位のOがあり、下半分には3個の4配位のOがあるZnとを示している。
【0310】
図14(A)において、In−Sn−Zn系酸化物半導体の層構造を構成する中グループは、上から順に4配位のOが3個ずつ上半分および下半分にあるSnが、4配位のOが1個ずつ上半分および下半分にあるInと結合し、そのInが、上半分に3個の4配位のOがあるZnと結合し、そのZnの下半分の1個の4配位のOを介して4配位のOが3個ずつ上半分および下半分にあるInと結合し、そのInが、上半分に1個の4配位のOがあるZn2個からなる小グループと結合し、この小グループの下半分の1個の4配位のOを介して4配位のOが3個ずつ上半分および下半分にあるSnと結合している構成である。この中グループが複数結合して大グループを構成する。
【0311】
ここで、3配位のOおよび4配位のOの場合、結合1本当たりの電荷はそれぞれ−0.667、−0.5と考えることができる。例えば、In(6配位または5配位)、Zn(4配位)、Sn(5配位または6配位)の電荷は、それぞれ+3、+2、+4である。従って、Snを含む小グループは電荷が+1となる。そのため、Snを含む層構造を形成するためには、電荷+1を打ち消す電荷−1が必要となる。電荷−1をとる構造として、図13(E)に示すように、2個のZnを含む小グループが挙げられる。例えば、Snを含む小グループが1個に対し、2個のZnを含む小グループが1個あれば、電荷が打ち消されるため、層構造の合計の電荷を0とすることができる。
【0312】
具体的には、図14(B)に示した大グループが繰り返されることで、In−Sn−Zn系酸化物半導体の結晶(InSnZn)を得ることができる。なお、得られるIn−Sn−Zn系酸化物半導体の層構造は、InSnZn(ZnO)(mは0または自然数。)とする組成式で表すことができる。
【0313】
また、このほかにも、四元系金属の酸化物であるIn−Sn−Ga−Zn系酸化物や、三元系金属の酸化物であるIn−Ga−Zn系酸化物(IGZOとも表記する。)、In−Al−Zn系酸化物、Sn−Ga−Zn系酸化物、Al−Ga−Zn系酸化物、Sn−Al−Zn系酸化物や、In−Hf−Zn系酸化物、In−La−Zn系酸化物、In−Ce−Zn系酸化物、In−Pr−Zn系酸化物、In−Nd−Zn系酸化物、In−Sm−Zn系酸化物、In−Eu−Zn系酸化物、In−Gd−Zn系酸化物、In−Tb−Zn系酸化物、In−Dy−Zn系酸化物、In−Ho−Zn系酸化物、In−Er−Zn系酸化物、In−Tm−Zn系酸化物、In−Yb−Zn系酸化物、In−Lu−Zn系酸化物や、二元系金属の酸化物であるIn−Zn系酸化物、Sn−Zn系酸化物、Al−Zn系酸化物、Zn−Mg系酸化物、Sn−Mg系酸化物、In−Mg系酸化物や、In−Ga系酸化物などを用いた場合も同様である。
【0314】
例えば、図15(A)に、In−Ga−Zn系酸化物半導体の層構造を構成する中グループのモデル図を示す。
【0315】
図15(A)において、In−Ga−Zn系酸化物半導体の層構造を構成する中グループは、上から順に4配位のOが3個ずつ上半分および下半分にあるInが、4配位のOが1個上半分にあるZnと結合し、そのZnの下半分の3個の4配位のOを介して、4配位のOが1個ずつ上半分および下半分にあるGaと結合し、そのGaの下半分の1個の4配位のOを介して、4配位のOが3個ずつ上半分および下半分にあるInと結合している構成である。この中グループが複数結合して大グループを構成する。
【0316】
図15(B)に3つの中グループで構成される大グループを示す。なお、図15(C)は、図15(B)の層構造をc軸方向から観察した場合の原子配列を示している。
【0317】
ここで、In(6配位または5配位)、Zn(4配位)、Ga(5配位)の電荷は、それぞれ+3、+2、+3であるため、In、ZnおよびGaのいずれかを含む小グループは、電荷が0となる。そのため、これらの小グループの組み合わせであれば中グループの合計の電荷は常に0となる。
【0318】
また、In−Ga−Zn系酸化物半導体の層構造を構成する中グループは、図15(A)に示した中グループに限定されず、In、Ga、Znの配列が異なる中グループを組み合わせた大グループも取り得る。
【0319】
本実施の形態の内容の一部又は全部は、他の全ての実施の形態又は実施例と組み合わせて実施することができる。
【0320】
(実施の形態10)
酸化物半導体に限らず、実際に測定される絶縁ゲート型トランジスタの移動度は、さまざまな理由によって本来の移動度よりも低くなる。移動度を低下させる要因としては半導体内部の欠陥や半導体と絶縁膜との界面の欠陥があるが、Levinsonモデルを用いると、半導体内部に欠陥がないと仮定した場合の移動度を理論的に導き出せる。
【0321】
半導体本来の移動度をμ、測定される移動度をμとし、半導体中に何らかのポテンシャル障壁(粒界等)が存在すると仮定すると、移動度μは図16(A)の式Aで表される。Eはポテンシャル障壁の高さであり、kがボルツマン定数、Tは絶対温度である。また、ポテンシャル障壁が欠陥に由来すると仮定すると、Levinsonモデルでは、ポテンシャル障壁Eは図16(B)の式Bで表される。
【0322】
eは電気素量、Nはチャネル形成領域内の単位面積当たりの平均欠陥密度、εは半導体の誘電率、nは単位面積当たりのチャネル形成領域に含まれるキャリア数、Coxは単位面積当たりの容量、Vはゲート電圧、tはチャネル形成領域の厚さである。なお、厚さ30nm以下の半導体膜であれば、チャネル形成領域の厚さは半導体膜の厚さと同一として差し支えない。
【0323】
線形領域におけるドレイン電流Iは、図16(C)の式Cで表される。なお、Lはチャネル長、Wはチャネル幅であり、L=W=10μmであるものとする。また、Vはドレイン電圧である。
【0324】
式Cの両辺をVで割り、更に両辺の対数を取ると、図16(D)の式Dが得られる。式Dの右辺はVの関数である。式Dからわかるように、縦軸をln(I/V)、横軸を1/Vとする直線の傾きから、欠陥密度Nが求められる。すなわち、トランジスタのI―V特性から、欠陥密度を評価できる。インジウム(In)、スズ(Sn)、亜鉛(Zn)の比率が、In:Sn:Zn=1:1:1の酸化物半導体では、欠陥密度Nは1×1012/cm程度である。
【0325】
このようにして求めた欠陥密度等をもとにμ=120cm/Vsが導出される。欠陥のあるIn−Sn−Zn系酸化物半導体で測定される移動度μは35cm/Vs程度である。しかし、半導体内部および半導体と絶縁膜との界面の欠陥が無い酸化物半導体の移動度μは120cm/Vsとなると予想できる。
【0326】
ただし、半導体内部に欠陥がなくても、チャネル形成領域とゲート絶縁膜との界面での散乱によってトランジスタの輸送特性は影響を受ける。すなわち、ゲート絶縁膜界面からxだけ離れた場所における移動度μは、図16(E)の式Eで表される。
【0327】
Dはゲート電極方向の電界、B、Gは定数である。BおよびGは、実際の測定結果より求めることができ、上記の測定結果からは、B=4.75×10cm/s、G=10nm(界面散乱が及ぶ深さ)である。Dが増加する(すなわち、ゲート電圧が高くなる)と式Eの右辺の第2項が増加するため、移動度μは低下することがわかる。
【0328】
半導体内部の欠陥が無い理想的な酸化物半導体をチャネル形成領域に用いたトランジスタの移動度μの計算結果を図17に示す。なお、計算にはシノプシス社製のソフトであるSentaurus Deviceを使用した。計算において、酸化物半導体のバンドギャップ、電子親和力、比誘電率、厚さをそれぞれ、2.8電子ボルト、4.7電子ボルト、15、15nmとした。これらの値は、スパッタリング法により形成された薄膜を測定して得られたものである。
【0329】
さらに、ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極の仕事関数をそれぞれ、5.5電子ボルト、4.6電子ボルト、4.6電子ボルトとした。また、ゲート絶縁膜の厚さは100nm、比誘電率は4.1とした。チャネル長Lおよびチャネル幅Wはともに10μm、ドレイン電圧Vは0.1Vである。
【0330】
図17の計算結果で示されるように、ゲート電圧Vが1V強で移動度μは100cm/Vs以上のピークをつけるが、ゲート電圧Vがさらに高くなると、界面散乱が大きくなり、移動度μは低下する。なお、界面散乱を低減するためには、半導体膜表面を原子レベルで平坦にすること(Atomic Layer Flatness)が望ましい。
【0331】
このような移動度を有する酸化物半導体を用いて微細なトランジスタを作製した場合の特性を計算した。なお、計算に用いたトランジスタは酸化物半導体膜に一対のn型半導体領域にチャネル形成領域が挟まれたものを用いた。一対のn型半導体領域の抵抗率は2×10−3Ωcmとして計算した。また、チャネル長Lを33nm、チャネル幅Wを40nmとして計算した。また、ゲート電極の側面にサイドウォールを有するものと仮定し、サイドウォールと重なる半導体領域をオフセット領域として計算した。計算にはシノプシス社製のソフト、Sentaurus Deviceを使用した。
【0332】
図18は、トランジスタのドレイン電流(I、実線)および移動度(μ、点線)のゲート電圧(V、ゲート電極とソース電極の電位差)依存性の計算結果である。ドレイン電流Iは、ドレイン電圧(V、ドレイン電極とソース電極の電位差)を+1Vとし、移動度μはドレイン電圧を+0.1Vとして計算したものである。
【0333】
図18(A)はゲート絶縁膜の厚さを15nmとして計算したものである。図18(B)はゲート絶縁膜の厚さを10nmとして計算したものである。図18(C)はゲート絶縁膜の厚さを5nmとして計算したものである。ゲート絶縁膜が薄くなるほど、特にオフ状態でのドレイン電流I(オフ電流)が顕著に低下する。一方、移動度μのピーク値やオン状態でのドレイン電流I(オン電流)には目立った変化が無い。
【0334】
図19は、オフセット長(サイドウォール長)Loffを5nmとしたもののドレイン電流I(実線)および移動度μ(点線)のゲート電圧V依存性を示す。ドレイン電流Iは、ドレイン電圧Vを+1Vとし、移動度μはドレイン電圧Vを+0.1Vとして計算したものである。図19(A)はゲート絶縁膜の厚さを15nmとして計算したものである。図19(B)はゲート絶縁膜の厚さを10nmとして計算したものである。図19(C)はゲート絶縁膜の厚さを5nmと計算したものである。
【0335】
図20は、オフセット長(サイドウォール長)Loffを15nmとしたもののドレイン電流I(実線)および移動度μ(点線)のゲート電圧依存性を示す。ドレイン電流Iは、ドレイン電圧Vを+1Vとし、移動度μはドレイン電圧Vを+0.1Vとして計算したものである。図20(A)はゲート絶縁膜の厚さを15nmとして計算したものである。図20(B)はゲート絶縁膜の厚さを10nmと計算したものである。図20(C)はゲート絶縁膜の厚さを5nmと計算したものである。いずれもゲート絶縁膜が薄くなるほど、オフ電流が顕著に低下する一方、移動度μのピーク値やオン電流には目立った変化が無い。
【0336】
なお、移動度μのピークは、図18では80cm/Vs程度であるが、図19では60cm/Vs程度、図20では40cm/Vs程度と、オフセット長Loffが増加するほど低下する。また、オフ電流も同様な傾向がある。一方、オン電流にはオフセット長Loffの増加にともなって減少するが、オフ電流の低下に比べるとはるかに緩やかである。また、いずれもゲート電圧Vが1V前後で、ドレイン電流Iはメモリ素子等で必要とされる10μAを超えることが示された。
【0337】
本実施の形態の内容の一部又は全部は、他の全ての実施の形態又は実施例と組み合わせて実施することができる。
【実施例1】
【0338】
本発明の一態様にかかる記憶装置は、消費電力が低く、高速動作が可能であり、単位面積あたりの記憶容量が高く、信頼性が高い。従って、本発明の一態様に係る記憶装置を用いることで、消費電力が低い電子機器、高速動作が可能な電子機器、小型な電子機器、信頼性の高い電子機器を提供することができる。
【0339】
本発明の一態様に係る記憶装置は、表示装置、ノート型パーソナルコンピュータ、記録媒体を備えた画像再生装置(代表的にはDVD:Digital Versatile Disc等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうるディスプレイを有する装置)に用いることができる。その他に、本発明の一態様に係る記憶装置を用いることができる電子機器として、携帯電話、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、電子書籍、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、デジタルオーディオプレイヤー等)、複写機、ファクシミリ、プリンター、プリンター複合機、現金自動預け入れ払い機(ATM)、自動販売機などが挙げられる。これら電子機器の具体例を図11に示す。
【0340】
図11(A)は携帯型ゲーム機であり、筐体7031、筐体7032、表示部7033、表示部7034、マイクロホン7035、スピーカー7036、操作キー7037、スタイラス7038等を有する。本発明の一態様に係る記憶装置は、携帯型ゲーム機の駆動を制御するための集積回路に用いることができる。携帯型ゲーム機の駆動を制御するための集積回路に本発明の一態様に係る記憶装置を用いることで、消費電力が低い携帯型ゲーム機、高速動作が可能な携帯型ゲーム機、小型な携帯型ゲーム機、或いは信頼性の高い携帯型ゲーム機を提供することができる。なお、図11(A)に示した携帯型ゲーム機は、2つの表示部7033と表示部7034とを有しているが、携帯型ゲーム機が有する表示部の数は、これに限定されない。
【0341】
図11(B)は携帯電話であり、筐体7041、表示部7042、音声入力部7043、音声出力部7044、操作キー7045、受光部7046等を有する。受光部7046において受信した光を電気信号に変換することで、外部の画像を取り込むことができる。本発明の一態様に係る記憶装置は、携帯電話の駆動を制御するための集積回路に用いることができる。携帯電話の駆動を制御するための集積回路に本発明の一態様に係る記憶装置を用いることで、消費電力が低い携帯電話、高速動作が可能な携帯電話、小型な携帯電話、或いは信頼性の高い携帯電話を提供することができる。
【0342】
図11(C)は携帯情報端末であり、筐体7051、表示部7052、操作キー7053等を有する。図11(C)に示す携帯情報端末は、モデムが筐体7051に内蔵されていても良い。本発明の一態様に係る記憶装置は、携帯情報端末の駆動を制御するための集積回路に用いることができる。携帯情報端末の駆動を制御するための集積回路に本発明の一態様に係る記憶装置を用いることで、消費電力が低い携帯情報端末、高速動作が可能な携帯情報端末、小型な携帯情報端末、或いは信頼性の高い携帯情報端末を提供することができる。
【0343】
本実施例は、上記実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【実施例2】
【0344】
In、Sn、Znを含有する酸化物半導体を用いたトランジスタは、酸化物半導体を形成する際に基板を加熱して成膜すること、或いは酸化物半導体膜を形成した後に熱処理を行うことで良好な特性を得ることができる。なお、In、Sn、Znは組成比でそれぞれ5atomic%以上含まれていると好ましい。
【0345】
In、Sn、Znを含有する酸化物半導体膜の成膜後に基板を意図的に加熱することで、トランジスタの移動度を向上させることが可能となる。また、nチャネル型のトランジスタのしきい値電圧をプラスシフトさせることができる。nチャネル型のトランジスタのしきい値電圧をプラスシフトさせることにより、nチャネル型のトランジスタのオフ状態を維持するための電圧の絶対値を低くすることができ、低消費電力化が可能となる。さらに、nチャネル型のトランジスタのしきい値電圧をプラスシフトさせて、しきい値電圧を0V以上にすれば、ノーマリーオフ型のトランジスタを形成することが可能となる。
【0346】
以下、In、Sn、Znを含有する酸化物半導体を用いたトランジスタの特性を示す。
【0347】
(サンプルA〜C共通条件)
組成比としてIn:Sn:Zn=1:1:1のターゲットを用いて、ガス流量比をAr/O2=6/9sccm、成膜圧力を0.4Pa、成膜電力100Wとして、15nmの厚さとなるように基板上に酸化物半導体膜を成膜した。次に、酸化物半導体膜を島状になるようにエッチング加工した。そして、酸化物半導体膜上に50nmの厚さとなるようにタングステン層を成膜し、これをエッチング加工してソース電極及びドレイン電極を形成した。
【0348】
次に、プラズマCVD法を用いて、シランガス(SiH)と一酸化二窒素(NO)を用いて100nmの厚さとなるように酸化窒化珪素膜(SiON)を形成してゲート絶縁層とした。次に、15nmの厚さとなるように窒化タンタルを形成し、135nmの厚さとなるようにタングステンを形成し、これらをエッチング加工してゲート電極を形成した。さらに、プラズマCVD法を用いて、300nmの厚さとなるように酸化窒化珪素膜(SiON)を形成し、1.5μmの厚さとなるようにポリイミド膜を形成し層間絶縁膜とした。
【0349】
次に、層間絶縁膜にコンタクトホールを形成し、50nmの厚さとなるように第1のチタン膜を形成し、100nmの厚さとなるようにアルミニウム膜を形成し、50nmの厚さとなるように第2のチタン膜を形成し、これらをエッチング加工して測定用のパッドを形成した。
【0350】
以上のようにしてトランジスタを有する半導体装置を形成した。
【0351】
(サンプルA)
サンプルAは酸化物半導体膜の成膜中に基板に意図的な加熱を施さなかった。また、サンプルAは酸化物半導体膜の成膜後であって、酸化物半導体膜のエッチング加工前に加熱処理を施さなかった。
【0352】
(サンプルB)
サンプルBは基板を200℃になるように加熱した状態で酸化物半導体膜の成膜を行った。また、サンプルBは酸化物半導体膜の成膜後であって、酸化物半導体膜のエッチング加工前に加熱処理を施さなかった。基板を加熱した状態で成膜を行った理由は、酸化物半導体膜中でドナーとなる水素を追い出すためである。
【0353】
(サンプルC)
サンプルCは基板を200℃になるように加熱した状態で酸化物半導体膜の成膜を行った。さらに、サンプルCは酸化物半導体膜の成膜後であって、酸化物半導体膜のエッチング加工前に窒素雰囲気で650℃1時間の加熱処理を施した後、酸素雰囲気で650℃1時間の加熱処理を施した。窒素雰囲気で650℃1時間の加熱処理を施した理由は、酸化物半導体膜中でドナーとなる水素を追い出すためである。
【0354】
なお、酸化物半導体膜中でドナーとなる水素を追い出すための加熱処理で酸素も離脱し、酸化物半導体膜中でキャリアとなる酸素欠損も生じてしまう。そこで、酸素雰囲気で650℃1時間の加熱処理を施すことにより、酸素欠損を低減する効果を狙った。
【0355】
(サンプルA〜Cのトランジスタの特性)
図21(A)にサンプルAのトランジスタの初期特性を示す。図21(B)にサンプルBのトランジスタの初期特性を示す。図21(C)にサンプルCのトランジスタの初期特性を示す。
【0356】
サンプルAのトランジスタの移動度は18.8cm/Vsであった。サンプルBのトランジスタの移動度は32.2cm/Vsであった。サンプルCのトランジスタの移動度は34.5cm/Vsであった。
【0357】
ここで、サンプルA〜Cと同様の成膜方法で形成した酸化物半導体膜の断面を透過型顕微鏡(TEM)で観察したところ、成膜時に基板加熱を行ったサンプルB及びサンプルCと同様の成膜方法で形成したサンプルには結晶性が確認された。
【0358】
そして、驚くべきことに、成膜時に基板加熱を行ったサンプルは、結晶性部分と非結晶性部分とを有し、結晶性部分の配向がc軸配向に揃っている結晶性であった。通常の多結晶では結晶性部分の配向が揃っておらず、ばらばらの方向を向いているため、成膜時に基板加熱を行ったサンプルは従来なかった新しい結晶構造であるといえる。
【0359】
また、図21(A)〜(C)を比較すると、成膜時に基板加熱を行うこと、又は、成膜後に加熱処理を行うことにより、ドナーとなる水素元素を追い出すことができるため、nチャネル型トランジスタのしきい値電圧をプラスシフトできることが理解できる。即ち、成膜時に基板加熱を行ったサンプルBのしきい値電圧は、成膜時に基板加熱を行っていないサンプルAのしきい値電圧よりもプラスシフトしている。
【0360】
また、成膜時に基板加熱を行ったサンプルB及びサンプルCを比較した場合、成膜後に加熱処理を行ったサンプルCの方が、成膜後に加熱処理を行っていないサンプルBよりもプラスシフトしていることがわかる。また、水素のような軽元素は加熱処理の温度が高いほど離脱しやすいため、加熱処理の温度が高いほど水素が離脱しやすい。よって、成膜時又は成膜後の加熱処理の温度を更に高めればよりプラスシフトが可能であると考察した。
【0361】
(サンプルBとサンプルCのゲートBTストレス試験結果)
サンプルB(成膜後加熱処理なし)及びサンプルC(成膜後加熱処理あり)に対してゲートBTストレス試験を行った。
【0362】
まず、基板温度を25℃とし、Vを10Vとし、トランジスタのV−I特性の測定を行い、加熱及びプラスの高電圧印加を行う前のトランジスタの特性を測定した。次に、基板温度を150℃とし、Vを0.1Vとした。次に、ゲート絶縁膜に印加されるVに20Vを印加し、そのまま1時間保持した。次に、Vを0Vとした。次に、基板温度25℃とし、Vを10Vとし、トランジスタのV−I測定を行い、加熱及びプラスの高電圧印加を行った後のトランジスタの特性を測定した。
【0363】
以上のようにして、加熱及びプラスの高電圧印加を行う前後のトランジスタの特性を比較することをプラスBT試験と呼ぶ。
【0364】
一方、まず基板温度を25℃とし、Vを10Vとし、トランジスタのV−I特性の測定を行い、加熱及びマイナスの高電圧印加を行う前のトランジスタの特性を測定した。次に、基板温度を150℃とし、Vを0.1Vとした。次に、ゲート絶縁膜にVに−20Vを印加し、そのまま1時間保持した。次に、Vを0Vとした。次に、基板温度25℃とし、Vを10Vとし、トランジスタのV−I測定を行い、加熱及びマイナスの高電圧印加を行った後のトランジスタの特性を測定した。
【0365】
以上のようにして、加熱及びマイナスの高電圧印加を行う前後のトランジスタの特性を比較することをマイナスBT試験と呼ぶ。
【0366】
図22(A)はサンプルBのプラスBT試験結果であり、図22(B)はサンプルBのマイナスBT試験結果である。図23(A)はサンプルCのプラスBT試験結果であり、図23(B)はサンプルCのマイナスBT試験結果である。プラスBT試験及びマイナスBT試験はトランジスタの劣化具合を判別する試験であるが、図22(A)及び図23(A)を参照すると少なくともプラスBT試験の処理を行うことにより、しきい値電圧をプラスシフトさせることができることがわかった。
【0367】
特に、図22(A)ではプラスBT試験の処理を行うことにより、トランジスタがノーマリーオフ型になったことがわかる。よって、トランジスタの作製時の加熱処理に加えて、プラスBT試験の処理を行うことにより、しきい値電圧のプラスシフト化を促進でき、ノーマリーオフ型のトランジスタを形成することができることがわかった。
【0368】
図24はサンプルAのトランジスタのオフ電流と測定時の基板温度(絶対温度)の逆数との関係を示す。ここでは、測定時の基板温度の逆数に1000を掛けた数値(1000/T)を横軸としている。なお、図24ではチャネル幅1μmの場合における電流量を図示している。
【0369】
基板温度が125℃(1000/Tが約2.51)のとき1×10−19A以下となっていた。基板温度が85℃(1000/Tが約3.66.)のとき1×10−20A以下となっていた。つまり、シリコン半導体を用いたトランジスタと比較して極めて低いオフ電流であることがわかった。なお、温度が低いほどオフ電流が低下するため、常温であればより低いオフ電流であることは明らかである。
【符号の説明】
【0370】
100 メモリセル
101 セルアレイ
102 駆動回路
103 ワード線駆動回路
104 データ線駆動回路
105 給電点
106 給電点
107 給電点
108 給電点
109 トランジスタ
110 容量素子
230 トランジスタ
260 トランジスタ
262 オペアンプ
601 トランジスタ
602 ゲート電極
603 ゲート絶縁膜
604 酸化物半導体膜
605 導電膜
606 導電膜
607 絶縁膜
611 トランジスタ
612 ゲート電極
613 ゲート絶縁膜
614 酸化物半導体膜
615 導電膜
616 導電膜
617 絶縁膜
618 チャネル保護膜
621 トランジスタ
622 ゲート電極
623 ゲート絶縁膜
624 酸化物半導体膜
625 導電膜
626 導電膜
627 絶縁膜
641 トランジスタ
642 ゲート電極
643 ゲート絶縁膜
644 酸化物半導体膜
645 導電膜
646 導電膜
647 絶縁膜
660 半導体基板
661 nチャネル型トランジスタ
662 pチャネル型トランジスタ
663 絶縁膜
664 トランジスタ
665 容量素子
666 素子分離用絶縁膜
667 pウェル
700 基板
701 絶縁膜
702 半導体膜
703 ゲート絶縁膜
704 ゲート電極
705 チャネル形成領域
706 不純物領域
707 絶縁膜
708 絶縁膜
709 絶縁膜
710 導電膜
711 導電膜
712 導電膜
713 絶縁膜
714 絶縁膜
715 酸化物半導体膜
716 導電膜
717 導電膜
718 導電膜
719 ゲート絶縁膜
720 ゲート電極
721 導電膜
722 絶縁膜
725 開口部
726 配線
727 絶縁膜
800 記憶装置
801 セルアレイ
802 駆動回路
803 入出力バッファ
804 ワード線駆動回路
805 データ線駆動回路
806 制御回路
807 ローデコーダ
808 レベルシフタ
809 バッファ
810 カラムデコーダ
811 レベルシフタ
812 セレクタ
813 回路
901 トランジスタ
902 絶縁膜
903 酸化物半導体膜
904 ソース電極
905 ドレイン電極
906 ゲート絶縁膜
907 ゲート電極
908 高濃度領域
909 チャネル形成領域
911 トランジスタ
912 絶縁膜
913 酸化物半導体膜
914 ソース電極
915 ドレイン電極
916 ゲート絶縁膜
917 ゲート電極
918 高濃度領域
919 チャネル形成領域
921 トランジスタ
922 絶縁膜
923 酸化物半導体膜
924 ソース電極
925 ドレイン電極
926 ゲート絶縁膜
927 ゲート電極
928 高濃度領域
929 低濃度領域
930 サイドウォール
931 チャネル形成領域
941 トランジスタ
942 絶縁膜
943 酸化物半導体膜
944 ソース電極
945 ドレイン電極
946 ゲート絶縁膜
947 ゲート電極
948 高濃度領域
949 低濃度領域
950 サイドウォール
951 チャネル形成領域
7031 筐体
7032 筐体
7033 表示部
7034 表示部
7035 マイクロホン
7036 スピーカー
7037 操作キー
7038 スタイラス
7041 筐体
7042 表示部
7043 音声入力部
7044 音声出力部
7045 操作キー
7046 受光部
7051 筐体
7052 表示部
7053 操作キー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動回路と、前記駆動回路の上に設けられたセルアレイと、を有し、
前記セルアレイは、複数のメモリセルと、複数の配線とを少なくとも有し、
少なくとも前記複数の配線の一つは、前記複数のメモリセルのうち、一行または一列の複数のメモリセルに接続され
前記セルアレイの内部において、前記駆動回路から前記配線の一つに電位の供給が行われ、
前記複数のメモリセルは、トランジスタと、前記トランジスタにより電荷の供給、保持、放出が制御される容量素子と、をそれぞれ有し、
前記トランジスタは、活性層に酸化物半導体を含む記憶装置。
【請求項2】
駆動回路と、前記駆動回路の上に設けられたセルアレイと、を有し、
前記セルアレイは、x列y行(x及びyは2以上の自然数)に配置された複数のメモリセルと、前記複数のメモリセルのうち、各行に属するx個のメモリセルにそれぞれ接続されたy本のワード線と、を少なくとも有し、
前記セルアレイの内部において、前記駆動回路から前記y本のワード線のぞれぞれに、電位の供給が行われ、
前記複数のメモリセルは、トランジスタと、前記トランジスタにより電荷の供給、保持、放出が制御される容量素子と、をそれぞれ有し、
前記トランジスタは、活性層に酸化物半導体を含む記憶装置。
【請求項3】
駆動回路と、前記駆動回路の上に設けられたセルアレイと、を有し、
前記セルアレイは、x列y行(x及びyは2以上の自然数)に配置された複数のメモリセルと、前記複数のメモリセルのうち、各列に属するy個のメモリセルにそれぞれ接続されたx本のデータ線と、を少なくとも有し、
前記セルアレイの内部において、前記駆動回路から前記x本のデータ線のぞれぞれに、電位の供給が行われ、
前記複数のメモリセルは、トランジスタと、前記トランジスタにより電荷の供給、保持、放出が制御される容量素子と、をそれぞれ有し、
前記トランジスタは、活性層に酸化物半導体を含む記憶装置。
【請求項4】
駆動回路と、前記駆動回路の上に設けられたセルアレイと、を有し、
前記セルアレイは、x列y行(x及びyは2以上の自然数)に配置された複数のメモリセルと、y本のワード線と、x本のデータ線と、を少なくとも有し、
前記複数のメモリセルは、トランジスタと、前記トランジスタにより電荷の供給、保持、放出が制御される容量素子と、をそれぞれ有し、
前記トランジスタは、活性層に酸化物半導体を含んでおり、
前記y本のワード線のそれぞれは、前記複数のメモリセルのうち、いずれか一行に属するx個のメモリセルにおいて、前記トランジスタのゲート電極に接続されており、
前記セルアレイの内部において、前記駆動回路から前記y本のワード線のぞれぞれに、電位の供給が行われる記憶装置。
【請求項5】
駆動回路と、前記駆動回路の上に設けられたセルアレイと、を有し、
前記セルアレイは、x列y行(x及びyは2以上の自然数)に配置された複数のメモリセルと、y本のワード線と、x本のデータ線と、を少なくとも有し、
前記複数のメモリセルは、トランジスタと、容量素子と、をそれぞれ有し、
前記トランジスタは、活性層に酸化物半導体を含んでおり、
前記x本のデータ線のそれぞれは、前記複数のメモリセルのうち、いずれか一列に属するy個のメモリセルにおいて、前記トランジスタの第1端子に接続されており、
前記トランジスタの第2端子は、前記容量素子が有する一対の電極のいずれか一つに接続されており、
前記セルアレイの内部において、前記駆動回路から前記x本のデータ線のぞれぞれに、電位の供給が行われる記憶装置。
【請求項6】
駆動回路と、前記駆動回路の上に設けられたセルアレイと、を有し、
前記セルアレイは、x列y行(x及びyは2以上の自然数)に配置された複数のメモリセルと、y本のワード線と、x本のデータ線と、を少なくとも有し、
前記複数のメモリセルは、トランジスタと、容量素子と、をそれぞれ有し、
前記トランジスタは、活性層に酸化物半導体を含んでおり、
前記x本のデータ線のそれぞれは、前記複数のメモリセルのうち、いずれか一列に属するy個のメモリセルにおいて、前記トランジスタの第1端子に接続されており、
前記y本のワード線のそれぞれは、前記複数のメモリセルのうち、いずれか一行に属するx個のメモリセルにおいて、前記トランジスタのゲート電極に接続されており、
前記トランジスタの第2端子は、前記容量素子が有する一対の電極のいずれか一つに接続されており、
前記セルアレイの内部において、前記駆動回路から前記x本のデータ線のぞれぞれに電位の供給が行われ、なおかつ、前記駆動回路から前記y本のワード線のぞれぞれに電位の供給が行われる記憶装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか一項において、
前記駆動回路が有するトランジスタは、結晶性を有するシリコンまたはゲルマニウムを活性層に有する記憶装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか一項において、
前記酸化物半導体はIn、Ga、及びZnを含む酸化物半導体である記憶装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれか一項において、
前記半導体膜の水素濃度は1×1019/cm以下である記憶装置。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の記憶装置を有する半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−256837(P2012−256837A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−13618(P2012−13618)
【出願日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】