記憶装置、基板、液体容器及び記憶装置の再記憶方法
【課題】 製造時に書き込み禁止エリアが指定されていても、再利用可能な記憶装置、基板、液体容器及び記憶装置の再記憶方法を提供すること。
【解決手段】 記憶装置20は、書き込み可能エリア31と書き込み禁止エリア32とが割り当てられる不揮発性のメモリー30と、メモリーを制御するメモリー制御回路40とを有し、メモリー制御回路は、メモリーの書き込み禁止エリアを設定するアドレス情報が記憶される不揮発性の書き込み禁止エリア設定レジスター41と、書き込み可能エリアの先頭アドレス情報が記憶される不揮発性の先頭アドレス設定レジスター42と、初期化コマンドに基づいて書き込み禁止エリア設定レジスターを初期化する初期化回路43と、を含む。
【解決手段】 記憶装置20は、書き込み可能エリア31と書き込み禁止エリア32とが割り当てられる不揮発性のメモリー30と、メモリーを制御するメモリー制御回路40とを有し、メモリー制御回路は、メモリーの書き込み禁止エリアを設定するアドレス情報が記憶される不揮発性の書き込み禁止エリア設定レジスター41と、書き込み可能エリアの先頭アドレス情報が記憶される不揮発性の先頭アドレス設定レジスター42と、初期化コマンドに基づいて書き込み禁止エリア設定レジスターを初期化する初期化回路43と、を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記憶装置、基板、液体容器及び記憶装置の再記憶方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
不揮発性メモリーとして、EEPROMやFERAM等が知られている。これらのメモリーは、ホスト装置とのデータ送受信を行い、そのデータのリード/ライトを行う。例えば、インクジェット方式のプリンターには、インクカートリッジが取り付けられる。このインクカートリッジには、不揮発性メモリーを有する記憶装置が設けられているものがある(例えば、特許文献1)。不揮発性メモリーには、製造メーカー、製造年月日等の製造情報、インクカートリッジの容量・種類等の書き換え不要な情報と、インク残量などの書き換え可能な情報とが記憶され、記憶装置は、これらの情報をプリンターとの間で送受信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−299405号公報
【特許文献2】特開平6−84386号公報
【特許文献3】特開2005−222550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
インクカートリッジ等のような消耗品を、インクを再充填してリユースすることが環境対策の必要上から求められている。しかし、製造年月日を含む製造情報等の書き換え不要な情報を保護するために、その記憶エリアは書き込み禁止(ライトロック)エリアとされている。従って、新たな製造情報を書き込み禁止エリアに記憶することができない。このため、消耗品を再利用しようとしても、その記憶装置は交換する他なかった。
【0005】
なお、フラッシュ型EEPROMにおいて、記憶装置の物理アドレスに対して論理アドレスを設定して、ブロック単位で書き換え回数を平均化することは知られている(特許文献2,3)。
【0006】
本発明の幾つかの態様では、書き込み禁止エリアの指定/指定解除と、書き込み可能エリアの先頭アドレス情報を保持することにより、アドレス変更可能な書き込み禁止エリア内の情報を製造元にて書き換え可能とすることで、再利用可能な記憶装置、基板、液体容器及び記憶装置の再記憶方法を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明の一態様は、
書き込み可能エリアと書き込み禁止エリアとが割り当てられる不揮発性のメモリーと、
前記メモリーを制御するメモリー制御回路と、
を有し、
前記メモリー制御回路は、
前記メモリーの前記書き込み禁止エリアを設定するアドレス情報が記憶される不揮発性の書き込み禁止エリア設定レジスターと、
前記書き込み可能エリアの先頭アドレス情報が記憶される不揮発性の先頭アドレス設定レジスターと、
初期化コマンドに基づいて前記書き込み禁止エリア設定レジスターを初期化する初期化回路と、
を含む記憶装置に関する。
【0008】
本発明の一態様では、メモリーの書き込み禁止エリアを設定する書き込み禁止エリア設定レジスターを、初期化回路により初期化できる。従って、書き込み禁止エリア設定レジスターの初期化後は、全エリアで書き込み禁止が解除されるので、メモリーの全エリアを利用して新たな情報を書き込むことができる。よって、記憶装置を再利用することができる。このとき、先頭アドレス設定レジスターには、初期化前または初期化後の書き込み可能エリアの先頭アドレス情報が保持されている。初期化前の先頭アドレスが記憶されている場合、先頭アドレス設定レジスターの値を参照すれば、初期化後に書き込み可能エリアのアドレスを初期化前とは異ならせることができる。その後、先頭アドレス設定レジスターは、その異なる先頭アドレスに書き換えられていても良い。これに反して、先頭アドレス設定レジスターが存在しないと、書き込み禁止エリア設定レジスターを初期化してしまうと、初期化前に書き込み禁止エリア及び書き込み可能エリアがいずれのエリアに存在したかを認識できなくなるが、本発明の一態様ではそのようなことがない。
【0009】
(2)本発明の一態様では、前記先頭アドレス設定レジスターは、前記初期化回路により前記書き込み禁止エリア設定レジスターが初期化された後に、初期化前の先頭アドレス情報とは異なる新たな先頭アドレス情報を再設定することができる。
【0010】
このように、先頭アドレス設定レジスターにて再設定された書き込み可能エリアの先頭アドレスを参照して、初期化毎にシフトする書き込み可能エリアの先頭アドレスを指定することができる。特に、書き込み可能エリアの先頭アドレスをシーケンシャル動作の先頭アドレスとする場合に有利となる。
【0011】
(3)本発明の一態様では、前記先頭アドレス設定レジスターは、初期化後の前記書き込み可能エリアを初期化前に前記書き込み禁止エリアに割り当てられていたエリア内に設定する前記新たな先頭アドレス情報が再設定されても良い。
【0012】
こうすると、書き込み可能エリアが初期化前後で重複されず、不揮発性メモリー内の各エリアでの書き換え回数がより平均化される。
【0013】
(4)本発明の一態様では、前記メモリー制御回路は、前記メモリーにアクセスするアクセス回路をさらに有し、前記アクセス回路は、前記新たな先頭アドレス情報に基づいて、前記メモリーに新たな情報を書き込むことができる。
【0014】
このように、新たな先頭アドレス情報を参照することで、初期化前に書き込み禁止エリアに割り当てられていたエリアに新たな情報を書き込むことができる。
【0015】
(5)本発明の一態様では、前記書き込み禁止エリア設定レジスターには、初期化の前後で同一の値が設定されることができる。
【0016】
つまり、初期化後には書き込み禁止エリア設定レジスターを初期化前と同じアドレス情報に書き換えれば良い。この場合でも、初期化前後で書き込み禁止エリアの物理アドレスを変更するには、書き込み禁止エリア設定レジスター及び先頭アドレス設定レジスターの各アドレス情報を論理アドレスとして用いて、不揮発性メモリーの書き込み禁止エリアの物理アドレスを生成すれば良い。例えば、(書き込み禁止エリア設定レジスターのアドレス情報)+(先頭アドレス設定レジスターのアドレス情報)=不揮発性メモリーの物理アドレスとすることができる。
【0017】
(6)本発明の一態様では、前記書き込み禁止エリア設定レジスターには、初期化の前後で異なるアドレス情報が設定されてもよい。
【0018】
この場合には、書き込み禁止エリア設定レジスターのアドレス情報は、メモリーの物理アドレスと一致する。
【0019】
(7)本発明の一態様では、前記先頭アドレス設定レジスターに記憶された先頭アドレス情報に基づいて、シーケンシャルアドレスを生成するアドレスカウンターをさらに有することができる。
【0020】
こうすると、シーケンシャルアドレスの先頭アドレスを、書き込み可能エリアの先頭アドレスに一致させることができる。つまり、先頭アドレス設定レジスターを、アドレスカウンターの初期値を先頭アドレスに設定するアドレスカウンター初期値設定レジスターとして使用することができる。
【0021】
(8)本発明の一態様では、前記書き込み可能エリアの先頭アドレスは、前記書き込み禁止エリアのアドレスよりも上位アドレスに設定され、前記アクセス回路は、前記シーケンシャルアドレスに基づいて前記メモリーを前記書き込み可能エリア、前記書き込み禁止エリアの順で読み出しアクセスし、かつ、前記書き込み禁止エリア設定レジスターの情報に基づいて書き込みを禁止することができる。
【0022】
こうすると、シーケンシャル動作として、書き込み可能エリア、前記書き込み禁止エリアの順で読み出しアクセスすることができ、また、動作の過程で新たな情報を書き換えるときには、書き込み禁止エリアへの書き込みを禁止できる。
【0023】
(9)本発明の他の態様は、(1)〜(8)のいずれかに記載の記憶装置を含む基板に関する。こうすると、記憶装置を含む基板を単位として再利用することができる。
【0024】
(10)本発明のさらに他の態様は、(1)〜(8)のいずれかに記載の記憶装置を含む液体容器に関する。こうすると、記憶装置を含む液体容器を単位として再利用することができる。
【0025】
(11)本発明のさらに他の態様は、
書き込み可能エリアと書き込み禁止エリアとが割り当てられる不揮発性のメモリーを再利用可能とするための記憶装置の初期化方法であって、
前記書き込み禁止エリアを設定するアドレス情報を不揮発性の書き込み禁止エリア設定レジスターから読み出す工程と、
前記書き込み禁止エリア設定レジスターから読み出されたアドレス情報に基づいて、先頭アドレス情報設定レジスターに、前記書き込み可能エリアの先頭アドレス情報を記憶する工程と、
前記書き込み禁止エリア設定レジスターを書き込み可能な情報に書き換えて初期化する工程と、
を有する記憶装置の初期化方法に関する。
【0026】
本発明方法では、不揮発性メモリーの書き込み禁止エリアを設定する書き込み禁止エリア設定レジスターを書き込み可能な情報に書き換えて初期化できる。しかも、初期化前に書き込み禁止エリアを設定していたアドレス情報を不揮発性の書き込み禁止エリア設定レジスターから読み出し、読み出されたアドレス情報に基づいて、初期化前に書き込み禁止エリアであったエリアの先頭アドレス情報を先頭アドレス設定レジスターに記憶している。このため、初期化後にも、過去の書き込み可能エリアの先頭アドレスを保持できる。こうして、初期化後に不揮発性メモリーに新たな情報を書き込む際には、過去の書き込み可能エリアの先頭アドレスに基づいて、過去の書き込み可能エリアとは異なるエリアを新たな書き込み可能エリアとして指定することができる。
【0027】
(12)本発明のさらに他の態様は、
書き込み可能エリアと書き込み禁止エリアとが割り当てられる不揮発性のメモリーに情報を再記憶する記憶装置の再記憶方法であって、
前記書き込み禁止エリアを設定するアドレス情報を不揮発性の書き込み禁止エリア設定レジスターから読み出す工程と、
前記書き込み禁止エリア設定レジスターから読み出されたアドレス情報に基づいて、先頭アドレス設定レジスターに、前記書き込み可能エリアの先頭アドレス情報を記憶する工程と、
前記書き込み禁止エリア設定レジスターを書き込み可能な情報に書き換えて初期化する工程と、
前記書き込み禁止エリア設定レジスターに、初期化前とは異なる新たな先頭アドレス情報を設定する工程と、
前記新たな先頭アドレス情報に基づいて、前記メモリーに新たな情報を書き込む工程と、
を有する記憶装置の再記憶方法に関する。
【0028】
本発明方法では、上述した初期化のステップの後では、書き込み禁止エリア設定レジスターにて書き込み禁止が解除されるので、不揮発性メモリーの全エリアを利用して新たな情報を書き込んで再記憶させることができる。よって、記憶装置を再利用することができる。このとき、先頭アドレス設定レジスターには、初期化前に書き込み可能エリアであったエリアの新たな先頭アドレス情報が保持されている。よって、先頭アドレス設定レジスターの値は、書き込み禁止エリア設定レジスターを初期化した後に変更される。これにより、書き込み可能エリアを初期化前後で重複させないことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図1(A)はプリンター等のホスト装置と記憶装置とを接続したシステムのブロック図であり、図1(B)は初期化/再書き込みを制御するホスト装置と記憶装置とを接続したシステムのブロック図である。
【図2】記憶装置のブロック図である。
【図3】図2の不揮発性メモリーの書き込み可能/禁止エリアが初期化後にシフトする様子を示す図である。
【図4】書き込み禁止エリア設定レジスターにて初期化及び再設定される書き込み禁止エリアのアドレス情報を示す図である。
【図5】先頭アドレス設定レジスターに設定される書き込み可能エリアの先頭アドレス情報を示す図である。
【図6】図1(B)に示すホスト装置と接続されて初期化と再記憶が実施される記憶装置のブロック図である。
【図7】プリンターに搭載される液体容器の概略斜視図である。
【図8】図8(A)は記憶装置が搭載される基板の正面図、図8(B)は基板の側面図である。
【図9】図1(B)に示すホスト装置と接続される記憶装置の初期化動作を示すフローチャートである。
【図10】図1(B)に示すホスト装置と接続される記憶装置の再記憶動作を示すフローチャートである。
【図11】図1(A)に示すホスト装置と接続される記憶装置からのデータ読み出し動作を示す図である。
【図12】図1(A)に示すホスト装置と接続される記憶装置へのデータ書き込み動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
【0031】
1.システム構成
図1(A)及び図1(B)に本実施形態のシステムの構成例を示す。図1(A)に示す実使用時のシステムは、ホスト装置10、記憶装置20を含む。ホスト装置10はインクジェット方式のプリンター本体であり、記憶装置20はインクカートリッジに設けられた記憶装置である場合を例に説明するが、本実施形態はこれに限定されない。例えば、ホスト装置10はメモリーカードのリーダー/ライターであってもよく、記憶装置20はメモリーカードであってもよい。図1(B)に示すホスト装置12は、使用済インクカートリッジが回収され、製造元にて記憶装置20を初期化して再記憶させるものである。
【0032】
2.初期化可能な記憶装置の基本構成
図2は、図1(A)及び図1(B)のホスト装置10,12に接続される記憶装置20を示している。記憶装置20は、端子を介してホスト装置10,12に接続され、ホスト装置10,12からの制御に従ったメモリーアクセスや初期化等を行う。具体的には記憶装置20は、不揮発性メモリー30と、不揮発性メモリー30を制御するメモリー制御回路40とを含んでいる。
【0033】
不揮発性メモリー30は、例えばFERAM(強誘電体メモリー)や、フラッシュメモリー等のEEPROMにより構成されるが、これらに限定されない。例えば、不揮発性のメモリーセル30は、ハードディスクドライブ等の磁気ドライブや、DVD等の光学ドライブであってもよい。不揮発性メモリー30は、書き込み可能エリア31と書き込み禁止エリア32とが割り当てられる。
【0034】
メモリー制御回路40は、書き込み禁止エリア設定レジスター41と、先頭アドレス設定レジスター42と、初期化回路43と、を含んでいる。書き込み禁止エリア設定レジスター41及び先頭アドレス設定レジスター42は、書き換え可能でかつ高速読み出し可能な不揮発性メモリーとすることができる。
【0035】
書き込み禁止エリア設定レジスター41は、不揮発性メモリー30の書き込み禁止エリア32を設定するアドレス情報が記憶される。つまり、不揮発性メモリー30自体は全エリアが書き換え可能であるが、書き込み禁止エリア設定レジスター41に記憶されるアドレス情報に基づいてメモリー制御回路40による書き込みが禁止される。先頭アドレス設定レジスター42には、書き込み可能エリア31の先頭アドレス情報が記憶される。初期化回路43は、図1(B)のホスト装置12からの初期化コマンドに基づいて書き込み禁止エリア設定レジスター41を初期化する。
【0036】
ここで、書き込み禁止エリア設定レジスター41、先頭アドレス設定レジスター42及び初期化回路43の動作を、図3〜図5を参照して説明する。図3は図2に示す不揮発性メモリー30の書き込み可能エリア31と書き込み禁止エリア32とが、初期化回数N(Nは0を含む整数)毎にシフトすることが示されている。
【0037】
図3の例では、初期化回数N=0〜2で不揮発性メモリー30の書き込み可能エリア31が重ならないようにシフトしている。初期化回数0〜2に対応する書き込み可能エリア31の先頭アドレスを図3に示す31A、31B、31Cとする。
【0038】
図4は、不揮発性メモリー30の書き込み可能エリア31を設定するアドレス情報を示している。図4では、書き込み禁止エリア設定レジスター41が初期化回路43により初期化され、初期化後の再設定により初期化回数N毎にアドレス情報がシフトすることが示されている。
【0039】
図4は、例えば1バイトのメモリー容量につき1ビットのレジスター素子が用意された書き込み禁止エリア設定レジスター41を示している。図4に示す「0」は書き込み可能を示し、「1」は書き込み禁止を示す。「0」及び「1」の意味づけを図4とは逆にしても良い。初期化により不揮発性メモリー30の全エリアに「0」が割り当てられるので、全エリアが書き換え可能となる。図3に示す初期化回数N=0〜2後の設定状態では、不揮発性メモリー30の書き込み可能エリア31(図3の「0」と対応するエリア)は例えば8バイト(64ビット)のエリアである。不揮発性メモリー30の全メモリー容量を例えば64バイト(512ビット)とすると、56バイトのエリアが書き込み禁止エリア32となる。
【0040】
図4において、初期化回数N=0では、図3に示す初期化回数N=0での書き込み可能エリア31に対応するエリア内のアドレス(先頭の8バイトエリア)に例えば「0」に設定される。図3に示す初期化回数N=0での書き込み禁止エリア32に対応するエリア内のアドレスに例えば「1」に設定される。
【0041】
その後、書き込み禁止エリア設定レジスター41が初期化回路43により初期化されると、書き込み禁止エリア設定レジスター41に記憶されるアドレス情報はオール0とされる。これにより、不揮発性メモリー30の全エリアが書き換え可能となり、記憶装置20を回収後に再利用することが可能となる。
【0042】
初期化回数N=1の初期化後に、書き込み禁止エリア設定レジスター41は、図3に示す初期化回数N=1での書き込み可能エリア31に対応するエリア内のアドレスに「0」が設定され、残りの書き込み禁止エリア32に対応するエリア内のアドレスに「1」が設定される。
【0043】
さらに、初期化回数N=2の初期化により、書き込み禁止エリア設定レジスター41に記憶されるアドレス情報はオール0とされる。初期化回数N=2の初期化後に、書き込み禁止エリア設定レジスター41は、図3に示す初期化回数N=2での書き込み可能エリア31に対応するエリア内のアドレスに「0」が設定され、残りの書き込み禁止エリア32に対応するエリア内のアドレスに「1」が設定される。
【0044】
図5は、先頭アドレス設定レジスター42に設定される書き込み可能エリア31の先頭アドレス情報を示す図である。図3に示す書き込み可能エリア31の各先頭アドレス31A、31B、31Cは、それぞれ例えば8ビットの先頭アドレス情報として表示することができる。不揮発性メモリー30の8バイトエリアにつき、先頭アドレスの1ビットが用意されている。
【0045】
その場合、図3の先頭アドレス31Aは、図5に示すように0番アドレス(00000000)である。先頭アドレス31Bは、先頭アドレス31Aから8バイトエリアだけシフトした64番アドレス(00001000)である。先頭アドレス31Cは、先頭アドレス31Bから8バイトエリアだけシフトした128番アドレス(00010000)である。初期化回数N=7で、書き込み可能エリア31は不揮発性メモリー30の最終アドレスに指定され、初期化回数N=8で書き込み可能エリア31の先頭アドレス31Aは0番アドレスに戻される。このようにして、ブロック単位(例えば8バイトエリア)で書き換え回数を平均化している。
【0046】
このように、本実施形態では、記憶装置20が不揮発性メモリー30と書き込み禁止エリア設定レジスター41と初期化回路43とを有し、不揮発性メモリー30の書き込み禁止エリア32を設定する書き込み禁止エリア設定レジスター41を、初期化回路43により初期化することができる。従って、書き込み禁止エリア設定レジスター41の初期化後は、図4に示すように全エリアに「0」が割り当てられ、不揮発性メモリー30に対する書き込み禁止が解除される。よって、図3に示すように初期化1及び初期化2の後に、メモリーの全エリアを利用して新たな情報を書き込むことができる。従って、記憶装置20を再利用することができる。
【0047】
このとき、先頭アドレス設定レジスター42には、図5に示すように、初期化前に書き込み可能エリア31であったエリアの先頭アドレス情報が保持しておくことができる。よって、先頭アドレス設定レジスター42の値を参照すれば、書き込み可能エリア31のアドレス情報を、初期化前後で異なるように変更できる。これに反して、先頭アドレス設定レジスター42が存在しないと、図4のように書き込み禁止エリア設定レジスター41を初期化して全エリアに「1」を割り付けてしまうと、初期化前に書き込み禁止エリア32がいずれのエリアに存在したかを認識できなくなるが、本実施形態ではそのようなことがない。特に、先頭アドレス設定レジスター42の値を参照すれば、図4に示すように書き込み可能エリア31を初期化前後で重複させないことも可能となる。
【0048】
また、本実施形態では、先頭アドレス設定レジスター42は、初期化回路43により書き込み禁止エリア設定レジスター41が初期化された後に、初期化前の先頭アドレス情報とは異なる新たな先頭アドレス情報を再設定することができる。つまり、初期化1の後には先頭アドレス31Bのアドレス情報が、初期化2の後には先頭アドレス31Cのアドレス情報が、先頭アドレス設定レジスター42に更新登録される。このようにすると、初期化毎にシフトする書き込み可能エリア31の先頭アドレスを指定することができる。特に、書き込み可能エリア31の先頭アドレスをシーケンシャル動作の先頭アドレスとする場合に有利となる。
【0049】
本実施形態では、先頭アドレス設定レジスター42は、初期化後の書き込み可能エリア31を初期化前に書き込み禁止エリア32に割り当てられていたエリア内に設定する新たな先頭アドレス情報が再設定することができる。例えば、初期化1後の書き込み可能エリア31の先頭アドレス31Bは、初期化0後の書き込み可能エリア31のアドレスである。同様に、初期化2後の書き込み可能エリア31の先頭アドレス31Cは、初期化1後の書き込み可能エリア31のアドレスである。こうすると、書き込み可能エリア31が初期化前後で重複されず、不揮発性メモリー30内の各エリアでの書き換え回数がより平均化される。
【0050】
3.ホスト装置とデータ送受信する記憶装置、基板及び液体容器
3.1.記憶装置
図6は、図1(A)に示すホスト装置と接続されて制御され、あるいは図1(B)に示すホスト装置12と接続されて初期化と再記憶される記憶装置20のブロック図である。図6では、記憶装置20はホスト装置12と接続される電源端子TV、グランド端子TG、クロック端子TK、データ端子TD、リセット端子TRを有する。電源端子TV、グランド端子TG、クロック端子TK、データ端子TD、リセット端子TRには、それぞれホスト装置10からの電源電圧VDD、グランド電圧VSS、システムクロックSCK、データ信号SDA、リセット信号XRSTが供給される。
【0051】
記憶装置20は、電源端子TV及びグランド端子TGに接続される電源回路44を有し、電源回路44は記憶装置20内の各部に電源を供給する。記憶装置20は、クロック端子TK、データ端子TD、リセット端子TRに接続されるI/O(入出力)コントローラー45を有する。記憶装置20は、リセット信号XRSTがアクティブの時に図1(A)に示すホスト装置10と送受信可能であるが、図1(B)に示すホスト装置12と接続さて初期化及び再記憶されると際には、リセット信号XRSTは必ずしも必要ではない。記憶装置20がホスト装置10,12と送受信するには、クロック端子TKからのシステムクロック信号SCKに従って、データ端子TDを介してコマンドまたはデータが入力され、データ端子TDを介してデータが出力される。なお、I/Oコントローラー45はコマンドデコーダーを含んでいる。
【0052】
ホスト装置10,12が不揮発性メモリー30にデータを読み書きするために、アドレスカウンター46とアクセス回路47が設けられている。アドレスカウンター46は、ホスト装置10,12からのクロックに基づいてアドレスを生成することができる。また、アドレスカウンター46は、不揮発性メモリー30をシーケンシャルにアクセスする際に使用することができる。アクセス回路47は、アドレスカウンター46にて生成されるアドレスに従って不揮発性メモリー30にアクセスして、データを読み書きする。
【0053】
3.2.液体容器
本実施形態の記憶装置20が設けられた液体容器100の詳細な構成例について、図7を用いて説明する。なお以下では、図1(A)に示すホスト装置10がインクジェット方式のプリンターであり、液体容器100がインクカートリッジであり、基板110が、インクカートリッジに設けられた回路基板である場合を例に説明する。但し、本実施形態では、ホスト装置、液体容器、基板は、他の装置、容器、基板であってもよい。例えば、ホスト装置はメモリーカードのリーダー/ライターであってもよく、基板はメモリーカードに設けられた回路基板であってもよい。
【0054】
図7に示すインクカートリッジ100(広義には液体容器)の内部には、インクを収容するための図示しないインク室が形成される。また、インクカートリッジ100には、インク室に連通するインク供給口120が設けられる。このインク供給口120は、インクカートリッジ100がプリンター(ホスト装置)10に装着されたときに、印刷ヘッドユニットにインクを供給するためのものである。
【0055】
インクカートリッジ100は、回路基板110(広義には基板)を含む。回路基板110には、本実施形態の記憶装置20が設けられ、データの記憶やホスト装置10とのデータ送受信を行う。回路基板110は、例えばプリント基板により実現され、インクカートリッジ100の表面に設けられる。
【0056】
3.3.基板
図8(A)、図8(B)に、本実施形態の記憶装置20が設けられた回路基板110の詳細な構成例を示す。図8(A)に示すように、回路基板110の表面(ホスト装置と接続される面)には、上述した端子TV,TG,TK,TR,TDが設けられる。そして、インクカートリッジ100がプリンター(ホスト装置)10または初期化と再記憶のためのホスト装置12に装着されたときに、それらの端子とホスト装置側の端子が接触(電気的に接続)することで、電源やデータのやり取りが行われる。各端子は、例えば矩形状(略矩形状)に形成された金属端子により実現される。そして、各端子は、回路基板110に設けられた図示しない配線パターン層やスルホールを介して、記憶装置20に接続される。
【0057】
図8(B)に示すように、回路基板110の裏面(ホスト装置と接続される面の裏側の面)には、本実施形態の記憶装置20が設けられる。この記憶装置20には、インク又はインクカートリッジ100に関連する種々のデータが格納される。格納データには、インクカートリッジ100を識別するIDに加え、製造情報などの書き換え不要な情報と、インク消費量等の書き換えが必要なデータが含まれる。インク消費量のデータは、インクカートリッジ100内に収容されたインクについて、印刷の実行等に伴い消費されるインク量の累計を示すデータである。このインク消費量のデータは、インクカートリッジ100内のインク量を示す情報であってもよく、消費したインク量の割合を示す情報であってもよい。
【0058】
3.4.初期化と再記憶
次に、図9及び図10示すフローチャートに従って、記憶装置20の初期化と再記憶の動作について説明する。以下では、図9及び図10の動作を、図3に示す初期化0の状態の不揮発性メモリー30から初期化1の状態の不揮発性メモリー30に再記憶させる例を挙げて説明する。なお、図9が初期化動作を、図10が初期化後に実施される再記憶動作を示している。
【0059】
先ず、ホスト装置12は、図4に示す初期化0の状態の書き込み禁止エリア設定レジスター41の情報をアドレス0から順次読み出す(S1)。ホスト装置12は、読み出された情報のうち「1」を先頭からカウントする(S2)。図4に示す初期化0の状態の書き込み禁止エリア設定レジスター41では、先頭アドレスの情報が「0」であるので、カウント値は「0」である。
【0060】
次に、ホスト装置12は、カウント値「0」を先頭アドレス設定レジスター42に書き込む(S3)。これにより、図5に示すように、初期化0の状態での書き込み可能エリア31の先頭アドレス31A(図3参照)のアドレス情報が先頭アドレス設定レジスター42に書き込まれる。なお、図9に示すステップS1からステップS3の工程は、図3に示す初期化0の状態で出荷する際に実施されている場合もある。この場合でも、回収後に図9に示すステップS1からステップS3の工程を実施することで、データの確実性が担保される。
【0061】
次に、ホスト装置12は初期化回路43に初期化コマンドを送出し、初期化回路43により書き込み禁止エリア設定レジスター41を初期化する(S4)。これにより、図4に示すように禁止エリア設定レジスター41は全エリアに「0」が書き込まれる。それにより、不揮発性メモリー30はその全エリアにデータを書き込むことが可能となる。なお、ステップS4の終了後に、不揮発性メモリー30の内容を消去しても良い。ただし、上書き可能な不揮発性メモリー30であれば、内容消去は不要である。
【0062】
初期化が終了すると、記憶装置20は製造工場に引き渡されて、不揮発性メモリー30の再記憶動作が実施される。その際記憶動作を、図10を参照して説明する。なお、本実施形態では、初期化と再記憶はホスト装置12により行うものとして説明するが、異なるホスト装置を用いることができる。
【0063】
ホスト装置12は、図9のステップS3にて先頭アドレス設定レジスター42に記憶された先頭アドレス情報を、データ端子TDを介して読み出す(S5)。それにより、ホスト装置12は、今回の初期化前の状態、つまり図3に示す初期化0の状態での不揮発性メモリー30における書き込み可能エリア31の先頭アドレス31Aを取得することができる。
【0064】
次にホスト装置12は、ステップS5で取得された先頭アドレス31Aに、例えば予め決められた書き込み可能エリア31の容量(例えば8バイト)を加算して、新たな書き込み可能エリア31の先頭アドレス(図3の初期化1の状態での先頭アドレス31Bに相当)を算出する(S6)。なお、予め決められた書き込み可能エリア31の容量(例えば8バイト)は、ホスト装置12が保持していても良いが、記憶装置20が書き込み可能エリア31の容量を設定するレジスターを有していてもよい。後者の場合、ホスト装置12が記憶装置20のレジスターから書き込み可能エリア31の容量を読み出すことで取得する。
【0065】
なお、ステップS6またはそれ以降の工程にて、先頭アドレス設定レジスター42を書き換えて、新たな書き込み可能エリア31の先頭アドレス(図3の初期化1の状態での先頭アドレス31Bに相当)を設定しておくことができる。
【0066】
次に、ホスト装置12は、回収された記憶装置20を再利用するために、ステップS6で取得された新たな先頭アドレスを参照して、不揮発性メモリー30に新たな情報を書き込む(S7)。そのために、図1(B)に示すホスト装置12は、記憶装置20のクロック端子TKを介してシステムクロック信号SCKを送出し、データ端子TDを介してコマンドまたはデータを送出する。このとき、このとき、インクカートリッジ100でのインク消費量等の書き換えを要するデータは、先頭アドレス13B(図3)から開始される8バイトの書き込み可能エリア31に記憶される。
【0067】
最後に、ホスト装置12は、不揮発性メモリー30に新たに記憶された再記憶データに従って、書き込み禁止エリア設定レジスター41を再設定することができる。ただし、書き込み禁止エリア設定レジスター41の情報を論理アドレスとして用いるとき(後述する)は、ステップS8の動作は省略できる。書き込み禁止エリア設定レジスター41を再設定するために、ホスト装置12は、記憶装置20のクロック端子TKを介してシステムクロック信号SCKを送出し、データ端子TDを介してコマンドまたはデータを送出する。それにより、書き込み禁止エリア設定レジスター41は、図4の初期化直後のオール0の状態から、初期化1の状態に書き換えられる。こうして、記憶装置20を再利用することができる。
【0068】
なお、図4に示す初期化1から初期化2の状態に書き込み禁止エリア設定レジスター41を初期化し再設定する動作も、図9及び図10と同様にして実施される。
【0069】
3.5.書き込み禁止エリア設定レジスターの物理アドレスと論理アドレス
図10のステップS8を実行すると、書き込み禁止エリア設定レジスター41には、初期化の前後で異なるアドレス情報が設定される。この場合には、書き込み禁止エリア設定レジスター41のアドレス情報を、不揮発性メモリー30の物理アドレスと一致させることができる。
【0070】
一方、書き込み禁止エリア設定レジスター41には、初期化の前後で同一の値が設定されても良い。つまり、初期化後には書き込み禁止エリア設定レジスター41を初期化前と同じアドレス情報に書き換えれば良く、図4の初期化0の状態に戻される。この場合でも、初期化前後で書き込み可能エリア31の物理アドレスを変更するには、書き込み禁止エリア設定レジスター41及び先頭アドレス設定レジスター42の各アドレス情報を論理アドレスとして用い、例えば、(書き込み禁止エリア設定レジスター41のアドレス情報)+(先頭アドレス設定レジスター42のアドレス情報)=不揮発性メモリー30の物理アドレスとすることができる。
【0071】
3.6.記憶装置に対する通常動作での書き込み/読み出し動作
3.6.1 読み出し動作
図11は、図1(A)に示すホスト装置(プリンター)10と接続される記憶装置20からのデータ読み出し動作を示している。読み出し動作は、書き込み可能エリア31の先頭アドレスから順にシーケンシャルに指定して、不揮発性メモリー30からのデータを順次読み出すことができる。なお、以下の説明は、図3〜図5に示す初期化1の状態の記憶装置20について説明するが、初期化0,2の場合も同様に実施できる。
【0072】
また、以下の説明では、図10のステップS6にて、先頭アドレス設定レジスター42が書き換えられ、初期化1の状態に対応する書き込み可能エリア31の先頭アドレス31Bが設定されているものとする。ただし、図10のステップS6のみが実行された場合、つまり、先頭アドレス設定レジスター42が書き換えられず、先頭アドレス設定レジスター42に初期化前の過去の先頭アドレス13Aが保存されていても良い。この場合、図10及び図12のステップS2では、先頭アドレス設定レジスター42に記憶された先頭アドレス13Aに、既知の書き込みエリア31の容量(8バイト)だけ加算して先頭アドレス13Bを算出し、その先頭アドレス13Bをアドレスカウンター46の初期値として設定できる。
【0073】
図11において、データリードコマンドが入力された後に(S1)、アドレスカウンター46の初期値として、先頭アドレス設定レジスター42に記憶された、初期化1の状態に対応する書き込み可能エリア31の先頭アドレス31Bが設定される(S2)。
【0074】
次に、ホスト装置10からクロックが記憶装置20に入力される。なお、本実施形態ではホスト装置10からのクロックが、不揮発性メモリー30のシーケンシャルアドレス(論理アドレス)を指定している。アドレスカウンター46は、ホスト装置10からのクロックに基づいて、初期値である書き込み可能エリア31の先頭アドレス31Bから順に物理アドレスを生成する(S3)。
【0075】
アクセス回路47は、アドレスカウンター46から入力されたアドレスを指定し、先ず、書き込み可能エリア31の先頭アドレス31Bからインクカートリッジ100のIDを読み出す(S4)。IDは書き換え不要ではあるが、ホスト装置10がインクカートリッジ100を制御するために最初に取得すべき情報であるので、書き込み可能エリア31の先頭アドレスに格納されている。
【0076】
その後、アドレスカウンター46は、ホスト装置10からのクロックに従ってアドレスを更新する(S5)。更新されたアドレスが読み出しエンドか否かを判断し(S6)、ステップS6がNOであれば、ステップS4に戻ってデータ読み出しが継続される。その際、ホスト装置10からのシーケンシャルなアドレス指定に従い、不揮発性メモリー30の書き込み可能エリア31のデータが読み出され、その後書き込み禁止エリア32のデータが読み出される。ステップS6の判断がYESであればデータ読み出しは終了する。
【0077】
このように、先頭アドレス設定レジスター42は、アドレスカウンター46のアドレス初期値設定レジスターとして機能する。このため、記憶装置20が回収される毎に書き込み可能エリア31のアドレスがシフトされても、ホスト装置10は初期化前後にかかわらずシーケンシャルな論理アドレスを指定するだけで済む。
【0078】
3.6.2.書き込み動作
図12は、図1(A)に示すホスト装置(プリンター)10と接続される記憶装置20へのデータ書き込み動作を示している。書き込み動作は、読み出し動作のようなシーケンシャル動作でなく、ランダムアクセスが可能である。
【0079】
データライトコマンドが入力された後に(S1)、アドレスカウンター46の初期値として、先頭アドレス設定レジスター42に記憶された、初期化1の状態に対応する書き込み可能エリア31の先頭アドレス31Bが設定される(S2)。
【0080】
次に、ホスト装置10からクロック(論理アドレス)と書き込みデータが記憶装置20に入力される(S3)。アドレスカウンター46は、ホスト装置10からのクロックに基づいて、初期値である書き込み可能エリア31の先頭アドレス31Bだけシフトさせて物理アドレスを生成させ、アクセス回路47に出力する(S4)。
【0081】
アクセス回路47は、アクセス回路47は、アドレスカウンター46から入力されたアドレスが、書き込み可能エリア31内のアドレスであるか否かを判断する(S5)。このために、アクセス回路47は、書き込み禁止エリア設定レジスター41のテーブルを参照し、指定されたアドレスに「0」が記録されているか否かを判断する。指定されたアドレスが書き込み可能エリア31内であれば、アクセス回路47は不揮発性メモリー30の指定アドレスに書き込みデータを書き込む(S6)。
【0082】
ステップS5の判断がNOである場合、またはステップS6の動作が終了した場合、書き込み動作が終了したか否かが判断される(S7)。ステップS7での判断がNOであればステップS3に戻って書き込み動作が継続され、YESであれば書き込み動作は終了する。
【0083】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義又は同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。またホスト装置、記憶装置等の構成、動作も本実施形態で説明したものに限定に限定されず、種々の変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0084】
10,12 ホスト装置、20 記憶装置、30 不揮発性メモリー、31 書き込み可能エリア、31A,31B,31C 先頭アドレス、32 書き込み禁止エリア、
40 メモリー制御回路、41 書き込み禁止エリア設定レジスター、42 先頭アドレス設定レジスター、43 初期化回路、44 電源回路、45 I/Oコントローラー、46 アドレスカウンター、47 アクセス回路、100 液体容器(インクカートリッジ)、110 基板
【技術分野】
【0001】
本発明は、記憶装置、基板、液体容器及び記憶装置の再記憶方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
不揮発性メモリーとして、EEPROMやFERAM等が知られている。これらのメモリーは、ホスト装置とのデータ送受信を行い、そのデータのリード/ライトを行う。例えば、インクジェット方式のプリンターには、インクカートリッジが取り付けられる。このインクカートリッジには、不揮発性メモリーを有する記憶装置が設けられているものがある(例えば、特許文献1)。不揮発性メモリーには、製造メーカー、製造年月日等の製造情報、インクカートリッジの容量・種類等の書き換え不要な情報と、インク残量などの書き換え可能な情報とが記憶され、記憶装置は、これらの情報をプリンターとの間で送受信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−299405号公報
【特許文献2】特開平6−84386号公報
【特許文献3】特開2005−222550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
インクカートリッジ等のような消耗品を、インクを再充填してリユースすることが環境対策の必要上から求められている。しかし、製造年月日を含む製造情報等の書き換え不要な情報を保護するために、その記憶エリアは書き込み禁止(ライトロック)エリアとされている。従って、新たな製造情報を書き込み禁止エリアに記憶することができない。このため、消耗品を再利用しようとしても、その記憶装置は交換する他なかった。
【0005】
なお、フラッシュ型EEPROMにおいて、記憶装置の物理アドレスに対して論理アドレスを設定して、ブロック単位で書き換え回数を平均化することは知られている(特許文献2,3)。
【0006】
本発明の幾つかの態様では、書き込み禁止エリアの指定/指定解除と、書き込み可能エリアの先頭アドレス情報を保持することにより、アドレス変更可能な書き込み禁止エリア内の情報を製造元にて書き換え可能とすることで、再利用可能な記憶装置、基板、液体容器及び記憶装置の再記憶方法を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明の一態様は、
書き込み可能エリアと書き込み禁止エリアとが割り当てられる不揮発性のメモリーと、
前記メモリーを制御するメモリー制御回路と、
を有し、
前記メモリー制御回路は、
前記メモリーの前記書き込み禁止エリアを設定するアドレス情報が記憶される不揮発性の書き込み禁止エリア設定レジスターと、
前記書き込み可能エリアの先頭アドレス情報が記憶される不揮発性の先頭アドレス設定レジスターと、
初期化コマンドに基づいて前記書き込み禁止エリア設定レジスターを初期化する初期化回路と、
を含む記憶装置に関する。
【0008】
本発明の一態様では、メモリーの書き込み禁止エリアを設定する書き込み禁止エリア設定レジスターを、初期化回路により初期化できる。従って、書き込み禁止エリア設定レジスターの初期化後は、全エリアで書き込み禁止が解除されるので、メモリーの全エリアを利用して新たな情報を書き込むことができる。よって、記憶装置を再利用することができる。このとき、先頭アドレス設定レジスターには、初期化前または初期化後の書き込み可能エリアの先頭アドレス情報が保持されている。初期化前の先頭アドレスが記憶されている場合、先頭アドレス設定レジスターの値を参照すれば、初期化後に書き込み可能エリアのアドレスを初期化前とは異ならせることができる。その後、先頭アドレス設定レジスターは、その異なる先頭アドレスに書き換えられていても良い。これに反して、先頭アドレス設定レジスターが存在しないと、書き込み禁止エリア設定レジスターを初期化してしまうと、初期化前に書き込み禁止エリア及び書き込み可能エリアがいずれのエリアに存在したかを認識できなくなるが、本発明の一態様ではそのようなことがない。
【0009】
(2)本発明の一態様では、前記先頭アドレス設定レジスターは、前記初期化回路により前記書き込み禁止エリア設定レジスターが初期化された後に、初期化前の先頭アドレス情報とは異なる新たな先頭アドレス情報を再設定することができる。
【0010】
このように、先頭アドレス設定レジスターにて再設定された書き込み可能エリアの先頭アドレスを参照して、初期化毎にシフトする書き込み可能エリアの先頭アドレスを指定することができる。特に、書き込み可能エリアの先頭アドレスをシーケンシャル動作の先頭アドレスとする場合に有利となる。
【0011】
(3)本発明の一態様では、前記先頭アドレス設定レジスターは、初期化後の前記書き込み可能エリアを初期化前に前記書き込み禁止エリアに割り当てられていたエリア内に設定する前記新たな先頭アドレス情報が再設定されても良い。
【0012】
こうすると、書き込み可能エリアが初期化前後で重複されず、不揮発性メモリー内の各エリアでの書き換え回数がより平均化される。
【0013】
(4)本発明の一態様では、前記メモリー制御回路は、前記メモリーにアクセスするアクセス回路をさらに有し、前記アクセス回路は、前記新たな先頭アドレス情報に基づいて、前記メモリーに新たな情報を書き込むことができる。
【0014】
このように、新たな先頭アドレス情報を参照することで、初期化前に書き込み禁止エリアに割り当てられていたエリアに新たな情報を書き込むことができる。
【0015】
(5)本発明の一態様では、前記書き込み禁止エリア設定レジスターには、初期化の前後で同一の値が設定されることができる。
【0016】
つまり、初期化後には書き込み禁止エリア設定レジスターを初期化前と同じアドレス情報に書き換えれば良い。この場合でも、初期化前後で書き込み禁止エリアの物理アドレスを変更するには、書き込み禁止エリア設定レジスター及び先頭アドレス設定レジスターの各アドレス情報を論理アドレスとして用いて、不揮発性メモリーの書き込み禁止エリアの物理アドレスを生成すれば良い。例えば、(書き込み禁止エリア設定レジスターのアドレス情報)+(先頭アドレス設定レジスターのアドレス情報)=不揮発性メモリーの物理アドレスとすることができる。
【0017】
(6)本発明の一態様では、前記書き込み禁止エリア設定レジスターには、初期化の前後で異なるアドレス情報が設定されてもよい。
【0018】
この場合には、書き込み禁止エリア設定レジスターのアドレス情報は、メモリーの物理アドレスと一致する。
【0019】
(7)本発明の一態様では、前記先頭アドレス設定レジスターに記憶された先頭アドレス情報に基づいて、シーケンシャルアドレスを生成するアドレスカウンターをさらに有することができる。
【0020】
こうすると、シーケンシャルアドレスの先頭アドレスを、書き込み可能エリアの先頭アドレスに一致させることができる。つまり、先頭アドレス設定レジスターを、アドレスカウンターの初期値を先頭アドレスに設定するアドレスカウンター初期値設定レジスターとして使用することができる。
【0021】
(8)本発明の一態様では、前記書き込み可能エリアの先頭アドレスは、前記書き込み禁止エリアのアドレスよりも上位アドレスに設定され、前記アクセス回路は、前記シーケンシャルアドレスに基づいて前記メモリーを前記書き込み可能エリア、前記書き込み禁止エリアの順で読み出しアクセスし、かつ、前記書き込み禁止エリア設定レジスターの情報に基づいて書き込みを禁止することができる。
【0022】
こうすると、シーケンシャル動作として、書き込み可能エリア、前記書き込み禁止エリアの順で読み出しアクセスすることができ、また、動作の過程で新たな情報を書き換えるときには、書き込み禁止エリアへの書き込みを禁止できる。
【0023】
(9)本発明の他の態様は、(1)〜(8)のいずれかに記載の記憶装置を含む基板に関する。こうすると、記憶装置を含む基板を単位として再利用することができる。
【0024】
(10)本発明のさらに他の態様は、(1)〜(8)のいずれかに記載の記憶装置を含む液体容器に関する。こうすると、記憶装置を含む液体容器を単位として再利用することができる。
【0025】
(11)本発明のさらに他の態様は、
書き込み可能エリアと書き込み禁止エリアとが割り当てられる不揮発性のメモリーを再利用可能とするための記憶装置の初期化方法であって、
前記書き込み禁止エリアを設定するアドレス情報を不揮発性の書き込み禁止エリア設定レジスターから読み出す工程と、
前記書き込み禁止エリア設定レジスターから読み出されたアドレス情報に基づいて、先頭アドレス情報設定レジスターに、前記書き込み可能エリアの先頭アドレス情報を記憶する工程と、
前記書き込み禁止エリア設定レジスターを書き込み可能な情報に書き換えて初期化する工程と、
を有する記憶装置の初期化方法に関する。
【0026】
本発明方法では、不揮発性メモリーの書き込み禁止エリアを設定する書き込み禁止エリア設定レジスターを書き込み可能な情報に書き換えて初期化できる。しかも、初期化前に書き込み禁止エリアを設定していたアドレス情報を不揮発性の書き込み禁止エリア設定レジスターから読み出し、読み出されたアドレス情報に基づいて、初期化前に書き込み禁止エリアであったエリアの先頭アドレス情報を先頭アドレス設定レジスターに記憶している。このため、初期化後にも、過去の書き込み可能エリアの先頭アドレスを保持できる。こうして、初期化後に不揮発性メモリーに新たな情報を書き込む際には、過去の書き込み可能エリアの先頭アドレスに基づいて、過去の書き込み可能エリアとは異なるエリアを新たな書き込み可能エリアとして指定することができる。
【0027】
(12)本発明のさらに他の態様は、
書き込み可能エリアと書き込み禁止エリアとが割り当てられる不揮発性のメモリーに情報を再記憶する記憶装置の再記憶方法であって、
前記書き込み禁止エリアを設定するアドレス情報を不揮発性の書き込み禁止エリア設定レジスターから読み出す工程と、
前記書き込み禁止エリア設定レジスターから読み出されたアドレス情報に基づいて、先頭アドレス設定レジスターに、前記書き込み可能エリアの先頭アドレス情報を記憶する工程と、
前記書き込み禁止エリア設定レジスターを書き込み可能な情報に書き換えて初期化する工程と、
前記書き込み禁止エリア設定レジスターに、初期化前とは異なる新たな先頭アドレス情報を設定する工程と、
前記新たな先頭アドレス情報に基づいて、前記メモリーに新たな情報を書き込む工程と、
を有する記憶装置の再記憶方法に関する。
【0028】
本発明方法では、上述した初期化のステップの後では、書き込み禁止エリア設定レジスターにて書き込み禁止が解除されるので、不揮発性メモリーの全エリアを利用して新たな情報を書き込んで再記憶させることができる。よって、記憶装置を再利用することができる。このとき、先頭アドレス設定レジスターには、初期化前に書き込み可能エリアであったエリアの新たな先頭アドレス情報が保持されている。よって、先頭アドレス設定レジスターの値は、書き込み禁止エリア設定レジスターを初期化した後に変更される。これにより、書き込み可能エリアを初期化前後で重複させないことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図1(A)はプリンター等のホスト装置と記憶装置とを接続したシステムのブロック図であり、図1(B)は初期化/再書き込みを制御するホスト装置と記憶装置とを接続したシステムのブロック図である。
【図2】記憶装置のブロック図である。
【図3】図2の不揮発性メモリーの書き込み可能/禁止エリアが初期化後にシフトする様子を示す図である。
【図4】書き込み禁止エリア設定レジスターにて初期化及び再設定される書き込み禁止エリアのアドレス情報を示す図である。
【図5】先頭アドレス設定レジスターに設定される書き込み可能エリアの先頭アドレス情報を示す図である。
【図6】図1(B)に示すホスト装置と接続されて初期化と再記憶が実施される記憶装置のブロック図である。
【図7】プリンターに搭載される液体容器の概略斜視図である。
【図8】図8(A)は記憶装置が搭載される基板の正面図、図8(B)は基板の側面図である。
【図9】図1(B)に示すホスト装置と接続される記憶装置の初期化動作を示すフローチャートである。
【図10】図1(B)に示すホスト装置と接続される記憶装置の再記憶動作を示すフローチャートである。
【図11】図1(A)に示すホスト装置と接続される記憶装置からのデータ読み出し動作を示す図である。
【図12】図1(A)に示すホスト装置と接続される記憶装置へのデータ書き込み動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
【0031】
1.システム構成
図1(A)及び図1(B)に本実施形態のシステムの構成例を示す。図1(A)に示す実使用時のシステムは、ホスト装置10、記憶装置20を含む。ホスト装置10はインクジェット方式のプリンター本体であり、記憶装置20はインクカートリッジに設けられた記憶装置である場合を例に説明するが、本実施形態はこれに限定されない。例えば、ホスト装置10はメモリーカードのリーダー/ライターであってもよく、記憶装置20はメモリーカードであってもよい。図1(B)に示すホスト装置12は、使用済インクカートリッジが回収され、製造元にて記憶装置20を初期化して再記憶させるものである。
【0032】
2.初期化可能な記憶装置の基本構成
図2は、図1(A)及び図1(B)のホスト装置10,12に接続される記憶装置20を示している。記憶装置20は、端子を介してホスト装置10,12に接続され、ホスト装置10,12からの制御に従ったメモリーアクセスや初期化等を行う。具体的には記憶装置20は、不揮発性メモリー30と、不揮発性メモリー30を制御するメモリー制御回路40とを含んでいる。
【0033】
不揮発性メモリー30は、例えばFERAM(強誘電体メモリー)や、フラッシュメモリー等のEEPROMにより構成されるが、これらに限定されない。例えば、不揮発性のメモリーセル30は、ハードディスクドライブ等の磁気ドライブや、DVD等の光学ドライブであってもよい。不揮発性メモリー30は、書き込み可能エリア31と書き込み禁止エリア32とが割り当てられる。
【0034】
メモリー制御回路40は、書き込み禁止エリア設定レジスター41と、先頭アドレス設定レジスター42と、初期化回路43と、を含んでいる。書き込み禁止エリア設定レジスター41及び先頭アドレス設定レジスター42は、書き換え可能でかつ高速読み出し可能な不揮発性メモリーとすることができる。
【0035】
書き込み禁止エリア設定レジスター41は、不揮発性メモリー30の書き込み禁止エリア32を設定するアドレス情報が記憶される。つまり、不揮発性メモリー30自体は全エリアが書き換え可能であるが、書き込み禁止エリア設定レジスター41に記憶されるアドレス情報に基づいてメモリー制御回路40による書き込みが禁止される。先頭アドレス設定レジスター42には、書き込み可能エリア31の先頭アドレス情報が記憶される。初期化回路43は、図1(B)のホスト装置12からの初期化コマンドに基づいて書き込み禁止エリア設定レジスター41を初期化する。
【0036】
ここで、書き込み禁止エリア設定レジスター41、先頭アドレス設定レジスター42及び初期化回路43の動作を、図3〜図5を参照して説明する。図3は図2に示す不揮発性メモリー30の書き込み可能エリア31と書き込み禁止エリア32とが、初期化回数N(Nは0を含む整数)毎にシフトすることが示されている。
【0037】
図3の例では、初期化回数N=0〜2で不揮発性メモリー30の書き込み可能エリア31が重ならないようにシフトしている。初期化回数0〜2に対応する書き込み可能エリア31の先頭アドレスを図3に示す31A、31B、31Cとする。
【0038】
図4は、不揮発性メモリー30の書き込み可能エリア31を設定するアドレス情報を示している。図4では、書き込み禁止エリア設定レジスター41が初期化回路43により初期化され、初期化後の再設定により初期化回数N毎にアドレス情報がシフトすることが示されている。
【0039】
図4は、例えば1バイトのメモリー容量につき1ビットのレジスター素子が用意された書き込み禁止エリア設定レジスター41を示している。図4に示す「0」は書き込み可能を示し、「1」は書き込み禁止を示す。「0」及び「1」の意味づけを図4とは逆にしても良い。初期化により不揮発性メモリー30の全エリアに「0」が割り当てられるので、全エリアが書き換え可能となる。図3に示す初期化回数N=0〜2後の設定状態では、不揮発性メモリー30の書き込み可能エリア31(図3の「0」と対応するエリア)は例えば8バイト(64ビット)のエリアである。不揮発性メモリー30の全メモリー容量を例えば64バイト(512ビット)とすると、56バイトのエリアが書き込み禁止エリア32となる。
【0040】
図4において、初期化回数N=0では、図3に示す初期化回数N=0での書き込み可能エリア31に対応するエリア内のアドレス(先頭の8バイトエリア)に例えば「0」に設定される。図3に示す初期化回数N=0での書き込み禁止エリア32に対応するエリア内のアドレスに例えば「1」に設定される。
【0041】
その後、書き込み禁止エリア設定レジスター41が初期化回路43により初期化されると、書き込み禁止エリア設定レジスター41に記憶されるアドレス情報はオール0とされる。これにより、不揮発性メモリー30の全エリアが書き換え可能となり、記憶装置20を回収後に再利用することが可能となる。
【0042】
初期化回数N=1の初期化後に、書き込み禁止エリア設定レジスター41は、図3に示す初期化回数N=1での書き込み可能エリア31に対応するエリア内のアドレスに「0」が設定され、残りの書き込み禁止エリア32に対応するエリア内のアドレスに「1」が設定される。
【0043】
さらに、初期化回数N=2の初期化により、書き込み禁止エリア設定レジスター41に記憶されるアドレス情報はオール0とされる。初期化回数N=2の初期化後に、書き込み禁止エリア設定レジスター41は、図3に示す初期化回数N=2での書き込み可能エリア31に対応するエリア内のアドレスに「0」が設定され、残りの書き込み禁止エリア32に対応するエリア内のアドレスに「1」が設定される。
【0044】
図5は、先頭アドレス設定レジスター42に設定される書き込み可能エリア31の先頭アドレス情報を示す図である。図3に示す書き込み可能エリア31の各先頭アドレス31A、31B、31Cは、それぞれ例えば8ビットの先頭アドレス情報として表示することができる。不揮発性メモリー30の8バイトエリアにつき、先頭アドレスの1ビットが用意されている。
【0045】
その場合、図3の先頭アドレス31Aは、図5に示すように0番アドレス(00000000)である。先頭アドレス31Bは、先頭アドレス31Aから8バイトエリアだけシフトした64番アドレス(00001000)である。先頭アドレス31Cは、先頭アドレス31Bから8バイトエリアだけシフトした128番アドレス(00010000)である。初期化回数N=7で、書き込み可能エリア31は不揮発性メモリー30の最終アドレスに指定され、初期化回数N=8で書き込み可能エリア31の先頭アドレス31Aは0番アドレスに戻される。このようにして、ブロック単位(例えば8バイトエリア)で書き換え回数を平均化している。
【0046】
このように、本実施形態では、記憶装置20が不揮発性メモリー30と書き込み禁止エリア設定レジスター41と初期化回路43とを有し、不揮発性メモリー30の書き込み禁止エリア32を設定する書き込み禁止エリア設定レジスター41を、初期化回路43により初期化することができる。従って、書き込み禁止エリア設定レジスター41の初期化後は、図4に示すように全エリアに「0」が割り当てられ、不揮発性メモリー30に対する書き込み禁止が解除される。よって、図3に示すように初期化1及び初期化2の後に、メモリーの全エリアを利用して新たな情報を書き込むことができる。従って、記憶装置20を再利用することができる。
【0047】
このとき、先頭アドレス設定レジスター42には、図5に示すように、初期化前に書き込み可能エリア31であったエリアの先頭アドレス情報が保持しておくことができる。よって、先頭アドレス設定レジスター42の値を参照すれば、書き込み可能エリア31のアドレス情報を、初期化前後で異なるように変更できる。これに反して、先頭アドレス設定レジスター42が存在しないと、図4のように書き込み禁止エリア設定レジスター41を初期化して全エリアに「1」を割り付けてしまうと、初期化前に書き込み禁止エリア32がいずれのエリアに存在したかを認識できなくなるが、本実施形態ではそのようなことがない。特に、先頭アドレス設定レジスター42の値を参照すれば、図4に示すように書き込み可能エリア31を初期化前後で重複させないことも可能となる。
【0048】
また、本実施形態では、先頭アドレス設定レジスター42は、初期化回路43により書き込み禁止エリア設定レジスター41が初期化された後に、初期化前の先頭アドレス情報とは異なる新たな先頭アドレス情報を再設定することができる。つまり、初期化1の後には先頭アドレス31Bのアドレス情報が、初期化2の後には先頭アドレス31Cのアドレス情報が、先頭アドレス設定レジスター42に更新登録される。このようにすると、初期化毎にシフトする書き込み可能エリア31の先頭アドレスを指定することができる。特に、書き込み可能エリア31の先頭アドレスをシーケンシャル動作の先頭アドレスとする場合に有利となる。
【0049】
本実施形態では、先頭アドレス設定レジスター42は、初期化後の書き込み可能エリア31を初期化前に書き込み禁止エリア32に割り当てられていたエリア内に設定する新たな先頭アドレス情報が再設定することができる。例えば、初期化1後の書き込み可能エリア31の先頭アドレス31Bは、初期化0後の書き込み可能エリア31のアドレスである。同様に、初期化2後の書き込み可能エリア31の先頭アドレス31Cは、初期化1後の書き込み可能エリア31のアドレスである。こうすると、書き込み可能エリア31が初期化前後で重複されず、不揮発性メモリー30内の各エリアでの書き換え回数がより平均化される。
【0050】
3.ホスト装置とデータ送受信する記憶装置、基板及び液体容器
3.1.記憶装置
図6は、図1(A)に示すホスト装置と接続されて制御され、あるいは図1(B)に示すホスト装置12と接続されて初期化と再記憶される記憶装置20のブロック図である。図6では、記憶装置20はホスト装置12と接続される電源端子TV、グランド端子TG、クロック端子TK、データ端子TD、リセット端子TRを有する。電源端子TV、グランド端子TG、クロック端子TK、データ端子TD、リセット端子TRには、それぞれホスト装置10からの電源電圧VDD、グランド電圧VSS、システムクロックSCK、データ信号SDA、リセット信号XRSTが供給される。
【0051】
記憶装置20は、電源端子TV及びグランド端子TGに接続される電源回路44を有し、電源回路44は記憶装置20内の各部に電源を供給する。記憶装置20は、クロック端子TK、データ端子TD、リセット端子TRに接続されるI/O(入出力)コントローラー45を有する。記憶装置20は、リセット信号XRSTがアクティブの時に図1(A)に示すホスト装置10と送受信可能であるが、図1(B)に示すホスト装置12と接続さて初期化及び再記憶されると際には、リセット信号XRSTは必ずしも必要ではない。記憶装置20がホスト装置10,12と送受信するには、クロック端子TKからのシステムクロック信号SCKに従って、データ端子TDを介してコマンドまたはデータが入力され、データ端子TDを介してデータが出力される。なお、I/Oコントローラー45はコマンドデコーダーを含んでいる。
【0052】
ホスト装置10,12が不揮発性メモリー30にデータを読み書きするために、アドレスカウンター46とアクセス回路47が設けられている。アドレスカウンター46は、ホスト装置10,12からのクロックに基づいてアドレスを生成することができる。また、アドレスカウンター46は、不揮発性メモリー30をシーケンシャルにアクセスする際に使用することができる。アクセス回路47は、アドレスカウンター46にて生成されるアドレスに従って不揮発性メモリー30にアクセスして、データを読み書きする。
【0053】
3.2.液体容器
本実施形態の記憶装置20が設けられた液体容器100の詳細な構成例について、図7を用いて説明する。なお以下では、図1(A)に示すホスト装置10がインクジェット方式のプリンターであり、液体容器100がインクカートリッジであり、基板110が、インクカートリッジに設けられた回路基板である場合を例に説明する。但し、本実施形態では、ホスト装置、液体容器、基板は、他の装置、容器、基板であってもよい。例えば、ホスト装置はメモリーカードのリーダー/ライターであってもよく、基板はメモリーカードに設けられた回路基板であってもよい。
【0054】
図7に示すインクカートリッジ100(広義には液体容器)の内部には、インクを収容するための図示しないインク室が形成される。また、インクカートリッジ100には、インク室に連通するインク供給口120が設けられる。このインク供給口120は、インクカートリッジ100がプリンター(ホスト装置)10に装着されたときに、印刷ヘッドユニットにインクを供給するためのものである。
【0055】
インクカートリッジ100は、回路基板110(広義には基板)を含む。回路基板110には、本実施形態の記憶装置20が設けられ、データの記憶やホスト装置10とのデータ送受信を行う。回路基板110は、例えばプリント基板により実現され、インクカートリッジ100の表面に設けられる。
【0056】
3.3.基板
図8(A)、図8(B)に、本実施形態の記憶装置20が設けられた回路基板110の詳細な構成例を示す。図8(A)に示すように、回路基板110の表面(ホスト装置と接続される面)には、上述した端子TV,TG,TK,TR,TDが設けられる。そして、インクカートリッジ100がプリンター(ホスト装置)10または初期化と再記憶のためのホスト装置12に装着されたときに、それらの端子とホスト装置側の端子が接触(電気的に接続)することで、電源やデータのやり取りが行われる。各端子は、例えば矩形状(略矩形状)に形成された金属端子により実現される。そして、各端子は、回路基板110に設けられた図示しない配線パターン層やスルホールを介して、記憶装置20に接続される。
【0057】
図8(B)に示すように、回路基板110の裏面(ホスト装置と接続される面の裏側の面)には、本実施形態の記憶装置20が設けられる。この記憶装置20には、インク又はインクカートリッジ100に関連する種々のデータが格納される。格納データには、インクカートリッジ100を識別するIDに加え、製造情報などの書き換え不要な情報と、インク消費量等の書き換えが必要なデータが含まれる。インク消費量のデータは、インクカートリッジ100内に収容されたインクについて、印刷の実行等に伴い消費されるインク量の累計を示すデータである。このインク消費量のデータは、インクカートリッジ100内のインク量を示す情報であってもよく、消費したインク量の割合を示す情報であってもよい。
【0058】
3.4.初期化と再記憶
次に、図9及び図10示すフローチャートに従って、記憶装置20の初期化と再記憶の動作について説明する。以下では、図9及び図10の動作を、図3に示す初期化0の状態の不揮発性メモリー30から初期化1の状態の不揮発性メモリー30に再記憶させる例を挙げて説明する。なお、図9が初期化動作を、図10が初期化後に実施される再記憶動作を示している。
【0059】
先ず、ホスト装置12は、図4に示す初期化0の状態の書き込み禁止エリア設定レジスター41の情報をアドレス0から順次読み出す(S1)。ホスト装置12は、読み出された情報のうち「1」を先頭からカウントする(S2)。図4に示す初期化0の状態の書き込み禁止エリア設定レジスター41では、先頭アドレスの情報が「0」であるので、カウント値は「0」である。
【0060】
次に、ホスト装置12は、カウント値「0」を先頭アドレス設定レジスター42に書き込む(S3)。これにより、図5に示すように、初期化0の状態での書き込み可能エリア31の先頭アドレス31A(図3参照)のアドレス情報が先頭アドレス設定レジスター42に書き込まれる。なお、図9に示すステップS1からステップS3の工程は、図3に示す初期化0の状態で出荷する際に実施されている場合もある。この場合でも、回収後に図9に示すステップS1からステップS3の工程を実施することで、データの確実性が担保される。
【0061】
次に、ホスト装置12は初期化回路43に初期化コマンドを送出し、初期化回路43により書き込み禁止エリア設定レジスター41を初期化する(S4)。これにより、図4に示すように禁止エリア設定レジスター41は全エリアに「0」が書き込まれる。それにより、不揮発性メモリー30はその全エリアにデータを書き込むことが可能となる。なお、ステップS4の終了後に、不揮発性メモリー30の内容を消去しても良い。ただし、上書き可能な不揮発性メモリー30であれば、内容消去は不要である。
【0062】
初期化が終了すると、記憶装置20は製造工場に引き渡されて、不揮発性メモリー30の再記憶動作が実施される。その際記憶動作を、図10を参照して説明する。なお、本実施形態では、初期化と再記憶はホスト装置12により行うものとして説明するが、異なるホスト装置を用いることができる。
【0063】
ホスト装置12は、図9のステップS3にて先頭アドレス設定レジスター42に記憶された先頭アドレス情報を、データ端子TDを介して読み出す(S5)。それにより、ホスト装置12は、今回の初期化前の状態、つまり図3に示す初期化0の状態での不揮発性メモリー30における書き込み可能エリア31の先頭アドレス31Aを取得することができる。
【0064】
次にホスト装置12は、ステップS5で取得された先頭アドレス31Aに、例えば予め決められた書き込み可能エリア31の容量(例えば8バイト)を加算して、新たな書き込み可能エリア31の先頭アドレス(図3の初期化1の状態での先頭アドレス31Bに相当)を算出する(S6)。なお、予め決められた書き込み可能エリア31の容量(例えば8バイト)は、ホスト装置12が保持していても良いが、記憶装置20が書き込み可能エリア31の容量を設定するレジスターを有していてもよい。後者の場合、ホスト装置12が記憶装置20のレジスターから書き込み可能エリア31の容量を読み出すことで取得する。
【0065】
なお、ステップS6またはそれ以降の工程にて、先頭アドレス設定レジスター42を書き換えて、新たな書き込み可能エリア31の先頭アドレス(図3の初期化1の状態での先頭アドレス31Bに相当)を設定しておくことができる。
【0066】
次に、ホスト装置12は、回収された記憶装置20を再利用するために、ステップS6で取得された新たな先頭アドレスを参照して、不揮発性メモリー30に新たな情報を書き込む(S7)。そのために、図1(B)に示すホスト装置12は、記憶装置20のクロック端子TKを介してシステムクロック信号SCKを送出し、データ端子TDを介してコマンドまたはデータを送出する。このとき、このとき、インクカートリッジ100でのインク消費量等の書き換えを要するデータは、先頭アドレス13B(図3)から開始される8バイトの書き込み可能エリア31に記憶される。
【0067】
最後に、ホスト装置12は、不揮発性メモリー30に新たに記憶された再記憶データに従って、書き込み禁止エリア設定レジスター41を再設定することができる。ただし、書き込み禁止エリア設定レジスター41の情報を論理アドレスとして用いるとき(後述する)は、ステップS8の動作は省略できる。書き込み禁止エリア設定レジスター41を再設定するために、ホスト装置12は、記憶装置20のクロック端子TKを介してシステムクロック信号SCKを送出し、データ端子TDを介してコマンドまたはデータを送出する。それにより、書き込み禁止エリア設定レジスター41は、図4の初期化直後のオール0の状態から、初期化1の状態に書き換えられる。こうして、記憶装置20を再利用することができる。
【0068】
なお、図4に示す初期化1から初期化2の状態に書き込み禁止エリア設定レジスター41を初期化し再設定する動作も、図9及び図10と同様にして実施される。
【0069】
3.5.書き込み禁止エリア設定レジスターの物理アドレスと論理アドレス
図10のステップS8を実行すると、書き込み禁止エリア設定レジスター41には、初期化の前後で異なるアドレス情報が設定される。この場合には、書き込み禁止エリア設定レジスター41のアドレス情報を、不揮発性メモリー30の物理アドレスと一致させることができる。
【0070】
一方、書き込み禁止エリア設定レジスター41には、初期化の前後で同一の値が設定されても良い。つまり、初期化後には書き込み禁止エリア設定レジスター41を初期化前と同じアドレス情報に書き換えれば良く、図4の初期化0の状態に戻される。この場合でも、初期化前後で書き込み可能エリア31の物理アドレスを変更するには、書き込み禁止エリア設定レジスター41及び先頭アドレス設定レジスター42の各アドレス情報を論理アドレスとして用い、例えば、(書き込み禁止エリア設定レジスター41のアドレス情報)+(先頭アドレス設定レジスター42のアドレス情報)=不揮発性メモリー30の物理アドレスとすることができる。
【0071】
3.6.記憶装置に対する通常動作での書き込み/読み出し動作
3.6.1 読み出し動作
図11は、図1(A)に示すホスト装置(プリンター)10と接続される記憶装置20からのデータ読み出し動作を示している。読み出し動作は、書き込み可能エリア31の先頭アドレスから順にシーケンシャルに指定して、不揮発性メモリー30からのデータを順次読み出すことができる。なお、以下の説明は、図3〜図5に示す初期化1の状態の記憶装置20について説明するが、初期化0,2の場合も同様に実施できる。
【0072】
また、以下の説明では、図10のステップS6にて、先頭アドレス設定レジスター42が書き換えられ、初期化1の状態に対応する書き込み可能エリア31の先頭アドレス31Bが設定されているものとする。ただし、図10のステップS6のみが実行された場合、つまり、先頭アドレス設定レジスター42が書き換えられず、先頭アドレス設定レジスター42に初期化前の過去の先頭アドレス13Aが保存されていても良い。この場合、図10及び図12のステップS2では、先頭アドレス設定レジスター42に記憶された先頭アドレス13Aに、既知の書き込みエリア31の容量(8バイト)だけ加算して先頭アドレス13Bを算出し、その先頭アドレス13Bをアドレスカウンター46の初期値として設定できる。
【0073】
図11において、データリードコマンドが入力された後に(S1)、アドレスカウンター46の初期値として、先頭アドレス設定レジスター42に記憶された、初期化1の状態に対応する書き込み可能エリア31の先頭アドレス31Bが設定される(S2)。
【0074】
次に、ホスト装置10からクロックが記憶装置20に入力される。なお、本実施形態ではホスト装置10からのクロックが、不揮発性メモリー30のシーケンシャルアドレス(論理アドレス)を指定している。アドレスカウンター46は、ホスト装置10からのクロックに基づいて、初期値である書き込み可能エリア31の先頭アドレス31Bから順に物理アドレスを生成する(S3)。
【0075】
アクセス回路47は、アドレスカウンター46から入力されたアドレスを指定し、先ず、書き込み可能エリア31の先頭アドレス31Bからインクカートリッジ100のIDを読み出す(S4)。IDは書き換え不要ではあるが、ホスト装置10がインクカートリッジ100を制御するために最初に取得すべき情報であるので、書き込み可能エリア31の先頭アドレスに格納されている。
【0076】
その後、アドレスカウンター46は、ホスト装置10からのクロックに従ってアドレスを更新する(S5)。更新されたアドレスが読み出しエンドか否かを判断し(S6)、ステップS6がNOであれば、ステップS4に戻ってデータ読み出しが継続される。その際、ホスト装置10からのシーケンシャルなアドレス指定に従い、不揮発性メモリー30の書き込み可能エリア31のデータが読み出され、その後書き込み禁止エリア32のデータが読み出される。ステップS6の判断がYESであればデータ読み出しは終了する。
【0077】
このように、先頭アドレス設定レジスター42は、アドレスカウンター46のアドレス初期値設定レジスターとして機能する。このため、記憶装置20が回収される毎に書き込み可能エリア31のアドレスがシフトされても、ホスト装置10は初期化前後にかかわらずシーケンシャルな論理アドレスを指定するだけで済む。
【0078】
3.6.2.書き込み動作
図12は、図1(A)に示すホスト装置(プリンター)10と接続される記憶装置20へのデータ書き込み動作を示している。書き込み動作は、読み出し動作のようなシーケンシャル動作でなく、ランダムアクセスが可能である。
【0079】
データライトコマンドが入力された後に(S1)、アドレスカウンター46の初期値として、先頭アドレス設定レジスター42に記憶された、初期化1の状態に対応する書き込み可能エリア31の先頭アドレス31Bが設定される(S2)。
【0080】
次に、ホスト装置10からクロック(論理アドレス)と書き込みデータが記憶装置20に入力される(S3)。アドレスカウンター46は、ホスト装置10からのクロックに基づいて、初期値である書き込み可能エリア31の先頭アドレス31Bだけシフトさせて物理アドレスを生成させ、アクセス回路47に出力する(S4)。
【0081】
アクセス回路47は、アクセス回路47は、アドレスカウンター46から入力されたアドレスが、書き込み可能エリア31内のアドレスであるか否かを判断する(S5)。このために、アクセス回路47は、書き込み禁止エリア設定レジスター41のテーブルを参照し、指定されたアドレスに「0」が記録されているか否かを判断する。指定されたアドレスが書き込み可能エリア31内であれば、アクセス回路47は不揮発性メモリー30の指定アドレスに書き込みデータを書き込む(S6)。
【0082】
ステップS5の判断がNOである場合、またはステップS6の動作が終了した場合、書き込み動作が終了したか否かが判断される(S7)。ステップS7での判断がNOであればステップS3に戻って書き込み動作が継続され、YESであれば書き込み動作は終了する。
【0083】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義又は同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。またホスト装置、記憶装置等の構成、動作も本実施形態で説明したものに限定に限定されず、種々の変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0084】
10,12 ホスト装置、20 記憶装置、30 不揮発性メモリー、31 書き込み可能エリア、31A,31B,31C 先頭アドレス、32 書き込み禁止エリア、
40 メモリー制御回路、41 書き込み禁止エリア設定レジスター、42 先頭アドレス設定レジスター、43 初期化回路、44 電源回路、45 I/Oコントローラー、46 アドレスカウンター、47 アクセス回路、100 液体容器(インクカートリッジ)、110 基板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
書き込み可能エリアと書き込み禁止エリアとが割り当てられる不揮発性のメモリーと、
前記メモリーを制御するメモリー制御回路と、
を有し、
前記メモリー制御回路は、
前記メモリーの前記書き込み禁止エリアを設定するアドレス情報が記憶される不揮発性の書き込み禁止エリア設定レジスターと、
前記書き込み可能エリアの先頭アドレス情報が記憶される不揮発性の先頭アドレス設定レジスターと、
初期化コマンドに基づいて前記書き込み禁止エリア設定レジスターを初期化する初期化回路と、
を含むことを特徴とする記憶装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記先頭アドレス設定レジスターは、前記初期化回路により前記書き込み禁止エリア設定レジスターが初期化された後に、初期化前とは異なる新たな先頭アドレス情報が再設定されることを特徴とする記憶装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記先頭アドレス設定レジスターは、初期化後の前記書き込み可能エリアを初期化前に前記書き込み禁止エリアに割り当てられていたエリア内に設定する前記新たな先頭アドレス情報が再設定されることを特徴とする記憶装置。
【請求項4】
請求項2または3において、
前記メモリー制御回路は、前記メモリーにアクセスするアクセス回路をさらに有し、
前記アクセス回路は、前記新たな先頭アドレス情報に基づいて、前記メモリーに新たな情報を書き込むことを特徴とする記憶装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記書き込み禁止エリア設定レジスターには、初期化の前後で同一の値が設定されることを特徴とする記憶装置。
【請求項6】
請求項4において、
前記書き込み禁止エリア設定レジスターには、初期化の前後で異なる値が設定されることを特徴とする記憶装置。
【請求項7】
請求項2乃至6のいずれかにおいて、
前記先頭アドレス設定レジスターに記憶された先頭アドレス情報に基づいて、シーケンシャルアドレスを生成するアドレスカウンターをさらに有することを特徴とする記憶装置。
【請求項8】
請求項7において、
前記書き込み可能エリアの先頭アドレスは、前記書き込み禁止エリアのアドレスよりも上位アドレスに設定され、
前記アクセス回路は、前記シーケンシャルアドレスに基づいて前記メモリーを前記書き込み可能エリア、前記書き込み禁止エリアの順で読み出しアクセスし、かつ、前記書き込み禁止エリア設定レジスターの情報に基づいて書き込みが禁止されることを特徴とする記憶装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかに記載の記憶装置を含むことを特徴とする基板。
【請求項10】
請求項1乃至8のいずれかに記載の記憶装置を含むことを特徴とする液体容器。
【請求項11】
書き込み可能エリアと書き込み禁止エリアとが割り当てられる不揮発性のメモリーを再利用可能とするための記憶装置の初期化方法であって、
前記書き込み禁止エリアを設定するアドレス情報を不揮発性の書き込み禁止エリア設定レジスターから読み出す工程と、
前記書き込み禁止エリア設定レジスターから読み出されたアドレス情報に基づいて、先頭アドレス情報設定レジスターに、前記書き込み可能エリアの先頭アドレス情報を記憶する工程と、
前記書き込み禁止エリア設定レジスターを書き込み可能な情報に書き換えて初期化する工程と、
を有することを特徴とする記憶装置の初期化方法。
【請求項12】
書き込み可能エリアと書き込み禁止エリアとが割り当てられる不揮発性のメモリーに情報を再記憶する記憶装置の再記憶方法であって、
前記書き込み禁止エリアを設定するアドレス情報を不揮発性の書き込み禁止エリア設定レジスターから読み出す工程と、
前記書き込み禁止エリア設定レジスターから読み出されたアドレス情報に基づいて、先頭アドレス情報設定レジスターに、前記書き込み可能エリアの先頭アドレス情報を記憶する工程と、
前記書き込み禁止エリア設定レジスターを書き込み可能な情報に書き換えて初期化する工程と、
前記書き込み禁止エリア設定レジスターに、初期化前とは異なる新たな先頭アドレス情報を設定する工程と、
前記新たな先頭アドレス情報に基づいて、前記メモリーに新たな情報を書き込む工程と、
を有することを特徴とする記憶装置の再記憶方法。
【請求項1】
書き込み可能エリアと書き込み禁止エリアとが割り当てられる不揮発性のメモリーと、
前記メモリーを制御するメモリー制御回路と、
を有し、
前記メモリー制御回路は、
前記メモリーの前記書き込み禁止エリアを設定するアドレス情報が記憶される不揮発性の書き込み禁止エリア設定レジスターと、
前記書き込み可能エリアの先頭アドレス情報が記憶される不揮発性の先頭アドレス設定レジスターと、
初期化コマンドに基づいて前記書き込み禁止エリア設定レジスターを初期化する初期化回路と、
を含むことを特徴とする記憶装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記先頭アドレス設定レジスターは、前記初期化回路により前記書き込み禁止エリア設定レジスターが初期化された後に、初期化前とは異なる新たな先頭アドレス情報が再設定されることを特徴とする記憶装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記先頭アドレス設定レジスターは、初期化後の前記書き込み可能エリアを初期化前に前記書き込み禁止エリアに割り当てられていたエリア内に設定する前記新たな先頭アドレス情報が再設定されることを特徴とする記憶装置。
【請求項4】
請求項2または3において、
前記メモリー制御回路は、前記メモリーにアクセスするアクセス回路をさらに有し、
前記アクセス回路は、前記新たな先頭アドレス情報に基づいて、前記メモリーに新たな情報を書き込むことを特徴とする記憶装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記書き込み禁止エリア設定レジスターには、初期化の前後で同一の値が設定されることを特徴とする記憶装置。
【請求項6】
請求項4において、
前記書き込み禁止エリア設定レジスターには、初期化の前後で異なる値が設定されることを特徴とする記憶装置。
【請求項7】
請求項2乃至6のいずれかにおいて、
前記先頭アドレス設定レジスターに記憶された先頭アドレス情報に基づいて、シーケンシャルアドレスを生成するアドレスカウンターをさらに有することを特徴とする記憶装置。
【請求項8】
請求項7において、
前記書き込み可能エリアの先頭アドレスは、前記書き込み禁止エリアのアドレスよりも上位アドレスに設定され、
前記アクセス回路は、前記シーケンシャルアドレスに基づいて前記メモリーを前記書き込み可能エリア、前記書き込み禁止エリアの順で読み出しアクセスし、かつ、前記書き込み禁止エリア設定レジスターの情報に基づいて書き込みが禁止されることを特徴とする記憶装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかに記載の記憶装置を含むことを特徴とする基板。
【請求項10】
請求項1乃至8のいずれかに記載の記憶装置を含むことを特徴とする液体容器。
【請求項11】
書き込み可能エリアと書き込み禁止エリアとが割り当てられる不揮発性のメモリーを再利用可能とするための記憶装置の初期化方法であって、
前記書き込み禁止エリアを設定するアドレス情報を不揮発性の書き込み禁止エリア設定レジスターから読み出す工程と、
前記書き込み禁止エリア設定レジスターから読み出されたアドレス情報に基づいて、先頭アドレス情報設定レジスターに、前記書き込み可能エリアの先頭アドレス情報を記憶する工程と、
前記書き込み禁止エリア設定レジスターを書き込み可能な情報に書き換えて初期化する工程と、
を有することを特徴とする記憶装置の初期化方法。
【請求項12】
書き込み可能エリアと書き込み禁止エリアとが割り当てられる不揮発性のメモリーに情報を再記憶する記憶装置の再記憶方法であって、
前記書き込み禁止エリアを設定するアドレス情報を不揮発性の書き込み禁止エリア設定レジスターから読み出す工程と、
前記書き込み禁止エリア設定レジスターから読み出されたアドレス情報に基づいて、先頭アドレス情報設定レジスターに、前記書き込み可能エリアの先頭アドレス情報を記憶する工程と、
前記書き込み禁止エリア設定レジスターを書き込み可能な情報に書き換えて初期化する工程と、
前記書き込み禁止エリア設定レジスターに、初期化前とは異なる新たな先頭アドレス情報を設定する工程と、
前記新たな先頭アドレス情報に基づいて、前記メモリーに新たな情報を書き込む工程と、
を有することを特徴とする記憶装置の再記憶方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−190229(P2012−190229A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−52825(P2011−52825)
【出願日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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