説明

記憶装置

【課題】データを保持する期間を確保しつつ、単位面積あたりの記憶容量を高めることが
できる記憶装置の提案を目的の一とする。
【解決手段】記憶素子と、記憶素子における電荷の蓄積、保持、放出を制御するための、
酸化物半導体を活性層に含むトランジスタと、記憶素子に接続された容量素子とを有する
記憶装置。上記容量素子が有する一対の電極の少なくとも一方は、遮光性を有している。
さらに、上記記憶装置は遮光性を有する導電膜或いは絶縁膜を有しており、上記活性層が
、遮光性を有する電極と、遮光性を有する導電膜或いは絶縁膜との間に位置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
記憶装置と、当該記憶装置を用いた半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ポリシリコンや微結晶シリコンによって得られる高い移動度と、アモルファスシリ
コンによって得られる均一な素子特性とを兼ね備えた新たな半導体材料として、酸化物半
導体と呼ばれる、半導体特性を示す金属酸化物に注目が集まっている。金属酸化物は様々
な用途に用いられており、例えば、よく知られた金属酸化物である酸化インジウムは、液
晶表示装置などで透明電極材料として用いられている。半導体特性を示す金属酸化物とし
ては、例えば、酸化タングステン、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛などがあり、この
ような半導体特性を示す金属酸化物をチャネル形成領域に用いる絶縁ゲート電界効果型ト
ランジスタ(以下、単にトランジスタとする)が、既に知られている。
【0003】
上記、酸化物半導体を用いたトランジスタは、光、特に紫外線などの可視光よりも短波長
側の領域の光によって、閾値電圧のシフト、オフ電流の上昇などの特性の劣化が生じるこ
とが知られている。半導体装置に用いられるトランジスタには、特性の変化が小さいこと
、或いは特性の変化によって生じるばらつきが小さいことが望まれる。そのため、特許文
献1または特許文献2に開示されているように、光によるトランジスタの特性の劣化を防
ぐことを目的とした技術が、研究開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−021520号公報
【特許文献2】特開2009−277701号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記酸化物半導体をチャネル形成領域に含むトランジスタを、スイッチング素子として用
いた半導体記憶装置(以下、単に記憶装置とする)の場合、上記トランジスタの閾値電圧
がシフトする、或いはオフ電流が上昇することによって、記憶素子に保持されるべき電荷
が放出されやすくなり、データを保持できる期間が短くなりやすい。よって、記憶装置に
おいて正確なデータが保持される期間をより長く確保するためには、光の照射に起因する
トランジスタの特性の劣化を防ぐことが重要である。
【0006】
また、上記記憶装置は、各メモリセルの占める面積が小さいほど、単位面積あたりの記憶
容量を高めることができる。しかし、メモリセルの占める面積が小さくなると、記憶素子
の電荷を保持するために各メモリセルに設けられた容量素子の専有面積も、縮小化せざる
を得ない。よって、容量素子は、記憶装置において長期間のデータが保持できる程度の大
きさの容量値を確保しにくくなる。
【0007】
上述の課題に鑑み、本発明は、データを保持する期間を確保しつつ、単位面積あたりの記
憶容量を高めることができる記憶装置の提案を、目的の一とする。或いは、本発明は、上
記記憶装置を用いた半導体装置の提案を、目的の一とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る記憶装置は、記憶素子として機能するトランジスタと、上記記憶素
子における電荷の蓄積、保持、放出を制御するための、酸化物半導体を活性層に含むトラ
ンジスタと、記憶素子に接続された容量素子とを有する。或いは、本発明の一態様に係る
記憶装置は、記憶素子として機能する容量素子と、上記記憶素子における電荷の蓄積、保
持、放出を制御するための、酸化物半導体をチャネル形成領域に含むトランジスタとを有
する。
【0009】
そして、上記容量素子が有する一対の電極の少なくとも一方は遮光性を有している。さら
に、本発明の一態様に係る記憶装置は、遮光性を有する導電膜或いは絶縁膜などの遮光層
を有しており、上記活性層が遮光性を有する電極と、遮光層との間に、位置することを特
徴とする。
【0010】
記憶素子として機能するトランジスタの活性層にも、酸化物半導体が含まれていても良い

【0011】
酸化物半導体は、シリコンの約3倍程度の大きなバンドギャップを有し、シリコンよりも
真性キャリア密度が低い。上述したような特性を有する半導体材料をチャネル形成領域に
含むことで、オフ電流が極めて低いトランジスタを実現することができる。上記構成を有
するトランジスタを、記憶素子に蓄積された電荷を保持するためのスイッチング素子とし
て用いることで、記憶素子からの電荷のリークを防ぐことができる。
【0012】
なお、酸化物半導体は、微結晶シリコンまたは多結晶シリコンによって得られるのと同程
度の高い移動度と、非晶質シリコンによって得られる均一な素子特性とを兼ね備えた、半
導体特性を示す金属酸化物である。そして、電子供与体(ドナー)となる水分または水素
などの不純物が低減されて高純度化され、酸素欠損が低減された酸化物半導体(puri
fied OS)は、i型(真性半導体)又はi型に限りなく近い。そのため、上記酸化
物半導体を用いたトランジスタは、オフ電流が著しく低いという特性を有する。具体的に
、高純度化され、酸素欠損が低減された酸化物半導体は、二次イオン質量分析法(SIM
S:Secondary Ion Mass Spectrometry)による水素濃
度の測定値が、5×1019/cm以下、好ましくは5×1018/cm以下、より
好ましくは5×1017/cm以下、さらに好ましくは1×1016/cm以下とす
る。また、ホール効果測定により測定できる酸化物半導体膜のキャリア密度は、1×10
14/cm未満、好ましくは1×1012/cm未満、さらに好ましくは1×10
/cm未満とする。また、酸化物半導体のバンドギャップは、2eV以上、好ましく
は2.5eV以上、より好ましくは3eV以上である。水分または水素などの不純物濃度
が十分に低減されて高純度化され、酸素欠損が低減された酸化物半導体膜を用いることに
より、トランジスタのオフ電流、リーク電流を下げることができる。
【0013】
ここで、酸化物半導体膜中の、水素濃度の分析について触れておく。酸化物半導体膜中及
び導電膜中の水素濃度測定はSIMSで行う。SIMSは、その原理上、試料表面近傍や
、材質が異なる膜との積層界面近傍のデータを正確に得ることが困難であることが知られ
ている。そこで、膜中における水素濃度の厚さ方向の分布をSIMSで分析する場合、対
象となる膜が存在する範囲において、値に極端な変動が無く、ほぼ一定の値が得られる領
域における平均値を、水素濃度として採用する。また、測定の対象となる膜の厚さが小さ
い場合、隣接する膜内の水素濃度の影響を受けて、ほぼ一定の値が得られる領域を見いだ
せない場合がある。この場合、当該膜が存在する領域における、水素濃度の極大値または
極小値を、当該膜中の水素濃度として採用する。さらに、当該膜の存在する領域において
、極大値を有する山型のピーク、極小値を有する谷型のピークが存在しない場合、変曲点
の値を水素濃度として採用する。
【0014】
具体的に、高純度化され、酸素欠損が低減された酸化物半導体膜を活性層として用いたト
ランジスタのオフ電流が低いことは、いろいろな実験により証明できる。例えば、チャネ
ル幅が1×10μmでチャネル長が10μmの素子であっても、ソース電極とドレイン
電極間の電圧(ドレイン電圧)が1Vから10Vの範囲において、オフ電流(ゲート電極
とソース電極間の電圧を0V以下としたときのドレイン電流)が、半導体パラメータアナ
ライザの測定限界以下、すなわち1×10−13A以下という特性を得ることができる。
この場合、オフ電流をトランジスタのチャネル幅で除した数値に相当するオフ電流密度は
、100zA/μm以下であることが分かる。また、容量素子とトランジスタ(ゲート絶
縁膜の厚さは100nm)とを接続して、容量素子に流入または容量素子から流出する電
荷を当該トランジスタで制御する回路を用いた実験において、当該トランジスタとして高
純度化され、酸素欠損が低減された酸化物半導体膜をチャネル形成領域に用いた場合、容
量素子の単位時間あたりの電荷量の推移から当該トランジスタのオフ電流密度を測定した
ところ、トランジスタのソース電極とドレイン電極間の電圧が3Vの場合に、10zA/
μm乃至100zA/μmという、さらに低いオフ電流密度が得られることが分かった。
したがって、本発明の一態様に係る半導体装置では、高純度化され、酸素欠損が低減され
た酸化物半導体膜を活性層として用いたトランジスタのオフ電流密度を、ソース電極とド
レイン電極間の電圧によっては、10zA/μm以下、好ましくは1zA/μm以下、更
に好ましくは1yA/μm以下にすることができる。従って、高純度化され、酸素欠損が
低減された酸化物半導体膜を活性層として用いたトランジスタは、オフ電流が、結晶性を
有するシリコンを用いたトランジスタに比べて著しく低い。
【0015】
なお、酸化物半導体は、四元系金属酸化物であるIn−Sn−Ga−Zn−O系酸化物半
導体や、三元系金属酸化物であるIn−Ga−Zn−O系酸化物半導体、In−Sn−Z
n−O系酸化物半導体、In−Al−Zn−O系酸化物半導体、Sn−Ga−Zn−O系
酸化物半導体、Al−Ga−Zn−O系酸化物半導体、Sn−Al−Zn−O系酸化物半
導体や、二元系金属酸化物であるIn−Zn−O系酸化物半導体、Sn−Zn−O系酸化
物半導体、Al−Zn−O系酸化物半導体、Zn−Mg−O系酸化物半導体、Sn−Mg
−O系酸化物半導体、In−Mg−O系酸化物半導体、In−Ga−O系酸化物半導体や
、In−O系酸化物半導体、Sn−O系酸化物半導体、Zn−O系酸化物半導体などを用
いることができる。なお、本明細書においては、例えば、In−Sn−Ga−Zn−O系
酸化物半導体とは、インジウム(In)、錫(Sn)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)
を有する金属酸化物、という意味であり、その化学量論的組成比は特に問わない。また、
上記酸化物半導体は、珪素を含んでいてもよい。
【0016】
或いは、酸化物半導体は、化学式InMO(ZnO)(m>0、mは自然数であると
は限らない)で表記することができる。ここで、Mは、Zn、Ga、Al、MnおよびC
oから選ばれた一または複数の金属元素を示す。例えばMとして、Ga、Ga及びAl、
Ga及びMn、またはGa及びCoなどがある。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一態様では、酸化物半導体を活性層に含むトランジスタを、記憶素子における電
荷の保持を制御するためのスイッチング素子として用いることで、記憶素子からの電荷の
リークを防ぐことができる。また、遮光性を有する電極、導電膜、絶縁膜で、上記活性層
を挟むことで、光によって上記トランジスタの特性が劣化するのを防ぐことができる。具
体的には、閾値電圧のシフトを抑制し、オフ電流が上昇するのを防ぐことができる。さら
に、本発明の一態様では、上記遮光性を有する電極を容量素子の電極として用いる。よっ
て、容量素子とトランジスタとが重なるようにメモリセル内に配置されるため、容量素子
の専有面積、或いは容量値を確保しつつも、メモリセルの占める面積を縮小化することが
できる。
【0018】
したがって、本発明の一態様に係る記憶装置は、データを保持する期間を確保しつつ、単
位面積あたりの記憶容量を高めることができる。或いは、本発明は、上記記憶装置を半導
体装置に用いることで、半導体装置の信頼性を高め、高機能化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】メモリセルの回路図と断面図。
【図2】メモリセルの回路図。
【図3】メモリセルの上面図。
【図4】メモリセルの断面図。
【図5】メモリセルの断面図。
【図6】記憶部の回路図。
【図7】記憶部の回路図。
【図8】記憶部のタイミングチャート。
【図9】記憶装置のブロック図。
【図10】記憶装置のブロック図。
【図11】読み出し回路の回路図。
【図12】特性評価用回路の回路図。
【図13】特性評価用回路のタイミングチャート。
【図14】特性評価回路における経過時間Timeと、出力信号の電位Voutとの関係を示す図。
【図15】特性評価回路における経過時間Timeと、該測定によって算出されたリーク電流との関係を示す図。
【図16】特性評価回路におけるノードAの電位とリーク電流の関係を示す図。
【図17】RFタグのブロック図。
【図18】記憶媒体の構成を示す図。
【図19】電子機器の図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下では、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は
以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び
詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。したがって、本発明
は、以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0021】
なお、マイクロプロセッサ、画像処理回路などの集積回路や、RFタグ、記憶媒体、半導
体表示装置など、記憶装置を用いることができるありとあらゆる半導体装置が、本発明の
範疇に含まれる。また、半導体表示装置には、液晶表示装置、有機発光素子(OLED)
に代表される発光素子を各画素に備えた発光装置、電子ペーパー、DMD(Digita
l Micromirror Device)、PDP(Plasma Display
Panel)、FED(Field Emission Display)など、半導
体膜を用いた回路素子を画素部または駆動回路に有している半導体表示装置が、その範疇
に含まれる。
【0022】
(実施の形態1)
図1(A)に、本発明の一態様に係る記憶装置のメモリセルの構成を、一例として回路図
で示す。図1(A)に示す回路図では、メモリセル101が、記憶素子として機能するト
ランジスタ102と、スイッチング素子として機能するトランジスタ103と、容量素子
104とを有する。記憶素子として機能するトランジスタ102は、ゲート電極と活性層
の間に形成されるゲート容量に、電荷を蓄積させることで、データを記憶する。
【0023】
メモリセル101は、必要に応じて、トランジスタ、ダイオード、抵抗素子、容量素子、
インダクタンスなどのその他の回路素子を、さらに有していても良い。
【0024】
なお、トランジスタが有するソース電極とドレイン電極は、トランジスタの極性及び各電
極に与えられる電位の高低差によって、その呼び方が入れ替わる。一般的に、nチャネル
型トランジスタでは、低い電位が与えられる電極がソース電極と呼ばれ、高い電位が与え
られる電極がドレイン電極と呼ばれる。また、pチャネル型トランジスタでは、低い電位
が与えられる電極がドレイン電極と呼ばれ、高い電位が与えられる電極がソース電極と呼
ばれる。以下、ソース電極とドレイン電極のいずれか一方を第1端子、他方を第2端子と
し、メモリセル101が有するトランジスタ102、トランジスタ103、容量素子10
4の接続関係を説明する。
【0025】
図1(A)に示すメモリセル101では、トランジスタ103の第1端子に接続されてい
るノードに、データを含む信号の電位が与えられている。また、トランジスタ103の第
2端子は、トランジスタ102のゲート電極に接続されている。容量素子104が有する
一対の電極は、一方がトランジスタ102のゲート電極に接続され、他方が所定の電位が
与えられているノードに接続されている。
【0026】
また、図1(B)に、図1(A)とは異なるメモリセルの構成を、一例として回路図で示
す。図1(B)に示す回路図では、メモリセル101が、記憶素子として機能する容量素
子105と、スイッチング素子として機能するトランジスタ103とを有する。記憶素子
として機能する容量素子105に電荷を蓄積させることで、データを記憶する。
【0027】
図1(B)に示すメモリセル101では、トランジスタ103の第1端子に接続されてい
るノードに、データを含む信号の電位が与えられている。また、容量素子105が有する
一対の電極は、一方がトランジスタ103の第2端子に接続され、他方が所定の電位が与
えられているノードに接続されている。
【0028】
なお、本明細書において接続とは電気的な接続を意味しており、電流、電圧または電位が
、供給可能、或いは伝送可能な状態に相当する。従って、接続している状態とは、直接接
続している状態を必ずしも指すわけではなく、電流、電圧または電位が、供給可能、或い
は伝送可能であるように、配線、抵抗、ダイオード、トランジスタなどの回路素子を介し
て間接的に接続している状態も、その範疇に含む。
【0029】
また、回路図上は独立している構成要素どうしが接続されている場合であっても、実際に
は、例えば配線の一部が電極として機能する場合など、一の導電膜が、複数の構成要素の
機能を併せ持っている場合もある。本明細書において接続とは、このような、一の導電膜
が、複数の構成要素の機能を併せ持っている場合も、その範疇に含める。
【0030】
本発明の一態様では、図1(A)または図1(B)に示した上記スイッチング素子として
機能するトランジスタ103のチャネル形成領域に、シリコン半導体よりもバンドギャッ
プが広く、真性キャリア密度がシリコンよりも低い酸化物半導体を含むことを特徴とする
。上述したような特性を有する酸化物半導体をチャネル形成領域に含むことで、オフ電流
が極めて低いトランジスタ103を実現することができる。上記構成を有するトランジス
タ103を、記憶素子として機能するトランジスタ102或いは容量素子105に蓄積さ
れた電荷を保持するためのスイッチング素子として用いることで、上記電荷のリークを防
ぐことができる。
【0031】
なお、特に断りがない限り、本明細書でオフ電流とは、nチャネル型トランジスタにおい
ては、ドレイン電極をソース電極とゲート電極よりも高い電位とした状態において、ソー
ス電極の電位を基準としたときのゲート電極の電位が0以下であるときに、ソース電極と
ドレイン電極の間に流れる電流のことを意味する。或いは、本明細書でオフ電流とは、p
チャネル型トランジスタにおいては、ドレイン電極をソース電極とゲート電極よりも低い
電位とした状態において、ソース電極の電位を基準としたときのゲート電極の電位が0以
上であるときに、ソース電極とドレイン電極の間に流れる電流のことを意味する。
【0032】
シリコン半導体よりもバンドギャップが広く、真性キャリア密度がシリコンよりも低い半
導体材料の一例として、酸化物半導体の他に、炭化シリコン(SiC)、窒化ガリウム(
GaN)などの化合物半導体を挙げることができる。炭化シリコンや窒化ガリウムなどの
化合物半導体は単結晶であることが必須で、単結晶材料を得るためには、酸化物半導体の
プロセス温度よりも著しく高い温度による結晶成長であるとか、特殊な基板上のエピタキ
シャル成長が必要であるとか、作製条件が厳しく、いずれも入手が容易なシリコンウェハ
や耐熱温度の低いガラス基板上への成膜は難しい。しかし、酸化物半導体は、スパッタリ
ング法や湿式法(印刷法など)により作製可能であり、量産性に優れるといった利点があ
る。また、酸化物半導体は室温でも成膜が可能なため、ガラス基板上への成膜、或いは半
導体素子を用いた集積回路上への成膜が可能であり、基板の大型化にも対応が可能である
。よって、上述したワイドギャップ半導体の中でも、特に酸化物半導体は量産性が高いと
いうメリットを有する。また、トランジスタの性能(例えば電界効果移動度)を向上させ
るために結晶性の酸化物半導体を得ようとする場合でも、200℃から800℃の熱処理
によって結晶性の酸化物半導体を得ることができる。
【0033】
なお、図1(A)において、記憶素子として機能するトランジスタ102は、その活性層
に、酸化物半導体膜が用いられていても良い。或いは、トランジスタ102の活性層に、
酸化物半導体以外の、非晶質、微結晶、多結晶、または単結晶の、シリコン、またはゲル
マニウムなどの半導体が用いられていても良い。メモリセル101内の全てのトランジス
タの活性層に、酸化物半導体膜を用いることで、プロセスを簡略化することができる。ま
た、記憶素子として機能するトランジスタ102の活性層に、例えば、多結晶または単結
晶のシリコンなどのように、酸化物半導体よりも高い移動度が得られる半導体材料を用い
ることで、メモリセル101からのデータの読み出しを高速で行うことができる。
【0034】
なお、図1(A)または図1(B)では、トランジスタ103がゲート電極を活性層の片
側にのみ有している場合を示している。トランジスタ103が、活性層を間に挟んで存在
する一対のゲート電極を有している場合、一方のゲート電極にはスイッチングを制御する
ための信号が与えられ、他方のゲート電極は、電気的に絶縁しているフローティングの状
態であっても良いし、電位が他から与えられている状態であっても良い。後者の場合、一
対の電極に、同じ高さの電位が与えられていても良いし、他方のゲート電極にのみグラウ
ンドなどの固定電位が与えられていても良い。他方のゲート電極に与える電位の高さを制
御することで、トランジスタ103の閾値電圧を制御することができる。
【0035】
また、図1(B)では、メモリセル101がスイッチング素子として機能するトランジス
タ103を一つだけ有する構成を示しているが、本発明はこの構成に限定されない。本発
明の一態様では、スイッチング素子として機能するトランジスタが各メモリセルに最低限
1つ設けられていれば良く、上記トランジスタの数は複数であっても良い。メモリセル1
01がスイッチング素子として機能するトランジスタを複数有している場合、上記複数の
トランジスタは並列に接続されていても良いし、直列に接続されていても良いし、直列と
並列が組み合わされて接続されていても良い。
【0036】
なお、本明細書において、トランジスタが直列に接続されている状態とは、例えば、第1
のトランジスタの第1端子と第2端子のいずれか一方のみが、第2のトランジスタの第1
端子と第2端子のいずれか一方のみに接続されている状態を意味する。また、トランジス
タが並列に接続されている状態とは、第1のトランジスタの第1端子が第2のトランジス
タの第1端子に接続され、第1のトランジスタの第2端子が第2のトランジスタの第2端
子に接続されている状態を意味する。
【0037】
次いで、図1(C)に、図1(A)が有するトランジスタ103と、容量素子104の断
面図の一例を示す。なお、図1(C)では図1(A)に示すメモリセル101の断面構造
を示しているが、図1(B)が有するトランジスタ103と、容量素子105も、図1(
C)と同様の構成を採用することができる。
【0038】
図1(C)に示す断面図では、絶縁表面を有する基板110上に、容量素子104とトラ
ンジスタ103が形成されており、容量素子104とトランジスタ103は、絶縁膜11
1を間に挟んで重なっている。
【0039】
具体的に、容量素子104は、絶縁表面を有する基板110上に形成された電極112と
、電極112上の絶縁膜113と、絶縁膜113を間に挟んで電極112と重なる電極1
14とを有する。電極112と、絶縁膜113と、電極114とが重なった部分が、容量
素子104として機能する。
【0040】
また、トランジスタ103は、電極114を覆っている絶縁膜111上に、ゲート電極1
15と、ゲート電極115上の絶縁膜116と、絶縁膜116を間に挟んでゲート電極1
15と重なる、酸化物半導体を含んだ活性層117と、活性層117上のソース電極11
8、ドレイン電極119と有している。さらに、トランジスタ103は、活性層117、
ソース電極118及びドレイン電極119を覆っている絶縁膜120を構成要素に含んで
いても良い。トランジスタ103は、ボトムゲート型であり、なおかつ、ソース電極11
8とドレイン電極119の間において、活性層117の一部がエッチングされたチャネル
エッチ構造である。
【0041】
なお、図1(C)では、トランジスタ103がシングルゲート構造である場合を例示して
いるが、トランジスタ103は、電気的に接続された複数のゲート電極を有することで、
チャネル形成領域を複数有する、マルチゲート構造であっても良い。
【0042】
そして、本発明の一態様においては、図1(C)に示すように、遮光性を有する絶縁膜1
21が、トランジスタ103を覆うように形成されている。具体的には、トランジスタ1
03の活性層117と重なるように、遮光層として機能する絶縁膜121を形成する。
【0043】
なお、遮光性を有する絶縁膜、配線または電極などの遮光層は、活性層に用いられている
酸化物半導体の吸収端波長近傍、もしくはこれよりも短い波長領域の光の透過率が低いも
のとする。具体的には、吸収端波長をλとすると、遮光層は、波長が100nm以上、
λ+100nm以下の光の透過率が50%以下、より好ましくは30%以下とする。例
えば、In−Ga−Zn−O系酸化物半導体を用いて形成された活性層117の吸収端波
長が393nmにある場合、遮光層は、100nm以上493nm以下の光の透過率が、
50%以下、より好ましくは30%以下とする。なお、上記波長範囲に含まれる全ての光
が、上記透過率を満たしている必要はなく、少なくとも上記波長範囲に含まれる一の波長
の光が、上記透過率の範囲を満たしていれば良い。さらに、上記波長範囲よりも、長波長
側の光の透過率も上記範囲を満たしていることが、酸化物半導体の光の劣化を防ぐという
点において望ましい。
【0044】
例えば、絶縁膜121は、カーボンブラック、二酸化チタンよりも酸化数が小さい低次酸
化チタンなどの黒色顔料や、二酸化チタン、酸化亜鉛などの紫外線吸収剤が分散された樹
脂を用いて形成することができる。樹脂には、例えば、アクリル樹脂、ポリイミド、ベン
ゾシクロブテン樹脂、ポリアミド、エポキシ樹脂等の有機樹脂、シロキサン系樹脂などを
用いることができる。シロキサン系樹脂は、シリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨
格構造が構成される材料である。置換基として、水素の他、フッ素、フルオロ基、有機基
(例えばアルキル基、芳香族炭化水素)のうち、少なくとも1種を有していても良い。
【0045】
なお、絶縁膜121に樹脂を用いる場合、樹脂中に含まれる水素、水などの不純物が、活
性層117、絶縁膜116、或いは、活性層117と他の絶縁膜の界面とその近傍に入り
込むのを防ぐために、絶縁膜121と、活性層117の間に、バリア性の高い材料を用い
た絶縁膜122を形成するのが望ましい。バリア性の高い絶縁膜122として、例えば窒
化珪素膜、窒化酸化珪素膜、窒化アルミニウム膜、または窒化酸化アルミニウム膜などが
挙げられる。また、活性層117と、窒素の含有比率が高い絶縁膜122とが直接触れる
と、トランジスタ103の特性が劣化することがあるので、図1(C)に示すように、活
性層117と絶縁膜122の間に、窒素の含有比率が低い酸化珪素膜、酸化窒化珪素膜な
どの絶縁膜120を形成することが望ましい。
【0046】
また、酸素を含む無機材料を活性層117に接している絶縁膜120に用いることで、水
分または水素を低減させるための加熱処理により活性層117中に酸素欠損が発生してい
たとしても、活性層117に絶縁膜120から酸素を供給し、ドナーとなる酸素欠損を低
減して化学量論的組成比を満たす構成とすることが可能である。よって、活性層117を
i型に近づけることができ、酸素欠損によるトランジスタ103の電気特性のばらつきを
軽減し、電気特性の向上を実現することができる。
【0047】
また、酸素雰囲気下で活性層117に加熱処理を施すことで、酸化物半導体に酸素を添加
し、活性層117中においてドナーとなる酸素欠損を低減させても良い。加熱処理の温度
は、例えば100℃以上350℃未満、好ましくは150℃以上250℃未満で行う。上
記酸素雰囲気下の加熱処理に用いられる酸素ガスには、水、水素などが含まれないことが
好ましい。または、加熱処理装置に導入する酸素ガスの純度を、6N(99.9999%
)以上、好ましくは7N(99.99999%)以上、(即ち酸素中の不純物濃度を1p
pm以下、好ましくは0.1ppm以下)とすることが好ましい。
【0048】
或いは、イオン注入法またはイオンドーピング法などを用いて、活性層117に酸素を添
加することで、ドナーとなる酸素欠損を低減させても良い。例えば、2.45GHzのマ
イクロ波でプラズマ化した酸素を活性層117に添加すれば良い。
【0049】
なお、本明細書において酸化窒化物とは、その組成として、窒素よりも酸素の含有量が多
い物質であり、また、窒化酸化物とは、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多い
物質を意味する。例えば、酸化窒化珪素とは、酸素が50原子%以上70原子%以下、窒
素が0.5原子%以上15原子%以下、珪素が25原子%以上35原子%以下、水素が0
.1原子%以上10原子%以下の範囲で含まれる物質とすることができる。また、窒化酸
化珪素とは、酸素が5原子%以上30原子%以下、窒素が20原子%以上55原子%以下
、珪素が25原子%以上35原子%以下、水素が10原子%以上30原子%以下の範囲で
含まれる物質とすることができる。但し、上記組成の範囲は、ラザフォード後方散乱法(
RBS:Rutherford Backscattering Spectromet
ry)や、水素前方散乱法(HFS:Hydrogen Forward Scatte
ring)を用いて測定した場合のものである。また、構成元素の含有比率は、その合計
が100原子%を超えない値をとる。
【0050】
さらに、本発明の一態様においては、図1(C)に示すように、容量素子104が有する
電極112或いは電極114の少なくとも一方が遮光性を有する。そして、遮光性を有す
る電極112或いは電極114が、トランジスタ103の活性層117と重なる位置に形
成されている。
【0051】
上記構成により、遮光性を有する電極112或いは電極114と、遮光性を有する絶縁膜
121との間に活性層117が挟まれるので、酸化物半導体の吸収端波長近傍の光、もし
くはこれよりも短い波長領域の光が、活性層117に入射するのを防ぐことができる。
【0052】
次いで、図1(D)に、図1(A)が有するトランジスタ103と、容量素子104の断
面図の一例を示す。なお、図1(D)では図1(A)に示すメモリセル101の断面構造
を示しているが、図1(B)が有するトランジスタ103と、容量素子105も、図1(
D)と同様の構成を採用することができる。
【0053】
図1(D)に示す断面図では、図1(C)と同様に、絶縁表面を有する基板110上に、
容量素子104とトランジスタ103が形成されており、容量素子104とトランジスタ
103は、絶縁膜111を間に挟んで重なっている。
【0054】
具体的な容量素子104と、トランジスタ103の構成は、図1(C)と同じである。そ
して、図1(D)では、遮光性を有する導電膜で配線123を形成し、配線123により
トランジスタ103を覆っている。具体的には、トランジスタ103の活性層117と重
なるように、遮光性を有する配線123を形成する。
【0055】
遮光性を有する配線123に求められる特性は、上述したとおり、活性層に用いられてい
る酸化物半導体の吸収端波長近傍、もしくはこれよりも短い波長領域の光の透過率が低い
ものとする。よって、配線123には、導電性と遮光性を兼ね備えた金属を用いる。例え
ば、配線123には、モリブデン、チタン、クロム、タンタル、タングステン、アルミニ
ウム、銅、ネオジム、スカンジウム等の金属材料、これら金属材料を主成分とする合金材
料を用いた導電膜、或いはこれら金属の窒化物を、単層で又は積層で用いることができる

【0056】
さらに、図1(D)では、図1(C)と同様に、容量素子104が有する電極112或い
は電極114の少なくとも一方が遮光性を有する。そして、遮光性を有する電極112或
いは電極114が、トランジスタ103の活性層117と重なる位置に形成されている。
【0057】
上記構成により、図1(D)では、遮光性を有する電極112或いは電極114と、遮光
性を有する配線123との間に活性層117が挟まれるので、酸化物半導体の吸収端波長
近傍の光、もしくはこれよりも短い波長領域の光が、活性層117に入射するのを防ぐこ
とができる。
【0058】
なお、図1(C)、図1(D)において、トランジスタ103は、絶縁膜120上におい
て活性層117のチャネル形成領域と重なる位置にバックゲート電極を有していても良い
。バックゲート電極を形成する場合、バックゲート電極を覆うように絶縁膜を形成する。
バックゲート電極は、電気的に絶縁しているフローティングの状態であっても良いし、電
位が与えられる状態であっても良い。後者の場合、バックゲート電極には、ゲート電極1
15と同じ高さの電位が与えられていても良いし、グラウンドなどの固定電位が与えられ
ていても良い。バックゲート電極に与える電位の高さを制御することで、トランジスタ1
03の閾値電圧を制御することができる。
【0059】
なお、図1(C)と図1(D)では、トランジスタ103がボトムゲート型であり、なお
かつ、チャネルエッチ構造を有する場合について示したが、本発明の一態様で用いられる
トランジスタの構造は、この構成に限定されない。
【0060】
本発明の一態様では、酸化物半導体を活性層117に含むトランジスタ103を、記憶素
子として用いるトランジスタ102または容量素子105における電荷の保持を制御する
ためのスイッチング素子として用いることで、上記電荷のリークを防ぐことができる。ま
た、遮光性を有する電極、導電膜、絶縁膜などの層で、上記活性層117を挟むことで、
光によって上記トランジスタ103の特性が劣化するのを防ぐことができる。具体的には
、閾値電圧のシフトを抑制し、オフ電流が上昇するのを防ぐことができる。さらに、本発
明の一態様では、上記遮光性を有する電極を、容量素子104または容量素子105の電
極112或いは電極114として用いる。よって、容量素子104または容量素子105
とトランジスタ103とが重なるようにメモリセル101内に配置されるため、容量素子
104または容量素子105の専有面積、或いは容量値を確保しつつも、メモリセル10
1の占める面積を縮小化することができる。
【0061】
したがって、本発明の一態様に係る記憶装置は、データを保持する期間を確保しつつ、単
位面積あたりの記憶容量を高めることができる。或いは、本発明は、上記記憶装置を半導
体装置に用いることで、半導体装置の信頼性を高め、高機能化させることができる。
【0062】
次いで、図2に、メモリセル101における各種配線の、より具体的な接続構成の例を示
す。
【0063】
図2(A)に示すメモリセル101は、スイッチング素子として機能するトランジスタ1
03と、記憶素子として機能する容量素子105とを有する。トランジスタ103のゲー
ト電極は、ワード線WLに接続されている。また、トランジスタ103の第1端子はデー
タ線DLに接続されており、第2端子は容量素子105の一方の電極に接続されている。
容量素子105の他方の電極は、グラウンドなどの固定電位が与えられているノードに接
続されている。
【0064】
図2(A)に示すメモリセル101では、データの書き込み時にトランジスタ103がオ
ンになり、データ線DLからデータを含む信号の電位が、トランジスタ103を介して容
量素子105の一方の電極に与えられる。そして、上記信号の電位に従って、容量素子1
05に蓄積されている電荷量が制御されることで、容量素子105へのデータの書き込み
が行われる。
【0065】
次いで、データの保持時には、トランジスタ103がオフになり、容量素子105におい
て電荷が保持される。上述したように、トランジスタ103はオフ電流が極めて低いとい
う特性を有している。そのため、容量素子105に蓄積された電荷はリークしづらく、遮
光を行わない場合、或いは、トランジスタ103にシリコンなどの半導体材料を用いた場
合に比べ、長い期間に渡ってデータの保持を行うことができる。
【0066】
データの読み出し時には、トランジスタ103がオンになり、データ線DLを介して容量
素子105に蓄積された電荷が取り出される。そして、上記電荷量の違いを読み取ること
により、データを読み出すことができる。
【0067】
図2(B)に示すメモリセル101は、スイッチング素子として機能するトランジスタ1
03と、記憶素子として機能するトランジスタ102と、容量素子104とを有する。ト
ランジスタ103のゲート電極は、第1ワード線WLaに接続されている。また、トラン
ジスタ103の第1端子は第1データ線DLaに接続されており、第2端子はトランジス
タ102のゲート電極に接続されている。トランジスタ102の第1端子は第2データ線
DLbに接続されており、第2端子はグラウンドなどの固定電位が与えられているノード
に接続されている。容量素子104が有する一対の電極は、一方がトランジスタ102の
ゲート電極に接続され、他方が第2ワード線WLbに接続されている。
【0068】
図2(B)に示すメモリセル101では、データの書き込み時にトランジスタ103がオ
ンになり、第1データ線DLaからデータを含む信号の電位が、トランジスタ103を介
してトランジスタ102のゲート電極に与えられる。そして、上記信号の電位に従って、
トランジスタ102のゲート容量、及び容量素子104に蓄積される電荷量が制御される
ことで、トランジスタ102及び容量素子104へのデータの書き込みが行われる。
【0069】
次いで、データの保持時には、トランジスタ103がオフになり、トランジスタ102の
ゲート容量、及び容量素子104に蓄積された電荷が保持される。上述したように、トラ
ンジスタ103はオフ電流が極めて低いという特性を有している。そのため、蓄積された
上記電荷はリークしづらく、遮光を行わない場合、或いは、トランジスタ103にシリコ
ンなどの半導体材料を用いた場合に比べ、長い期間に渡ってデータの保持を行うことがで
きる。
【0070】
データの読み出し時には、第2ワード線WLbの電位を変化させる。容量素子104が有
する一対の電極の電位差は、電荷保存則により維持されたままなので、第2ワード線WL
bの電位の変化は、トランジスタ102のゲート電極に与えられる。トランジスタ102
は、そのゲート容量に蓄積されている電荷量によって閾値電圧が変化している。よって、
トランジスタ102のゲート電極の電位が変化することで得られるトランジスタ102の
ドレイン電流の大きさから、蓄積されている電荷量の違いを読み取ることにより、データ
を読み出すことができる。
【0071】
図2(C)に示すメモリセル101は、一つのデータ線DLが、第1データ線DLaと第
2データ線DLbの機能を併せ持っている点において、図2(B)に示すメモリセル10
1と異なっている。具体的に、図2(C)に示すメモリセル101は、スイッチング素子
として機能するトランジスタ103と、記憶素子として機能するトランジスタ102と、
容量素子104とを有する。トランジスタ103のゲート電極は、第1ワード線WLaに
接続されている。また、トランジスタ103の第1端子はデータ線DLに接続されており
、第2端子はトランジスタ102のゲート電極に接続されている。トランジスタ102の
第1端子はデータ線DLに接続されており、第2端子はグラウンドなどの固定電位が与え
られているノードに接続されている。容量素子104が有する一対の電極は、一方がトラ
ンジスタ102のゲート電極に接続され、他方が第2ワード線WLbに接続されている。
【0072】
図2(C)に示すメモリセル101は、データの書き込み、保持、読み出しなどの動作を
、図2(B)に示すメモリセル101と同様に行うことができる。
【0073】
図2(D)に示すメモリセル101は、スイッチング素子として機能するトランジスタ1
03と、記憶素子として機能するトランジスタ102と、容量素子104と、データの読
み出しを制御するスイッチング素子として機能するトランジスタ106とを有する。トラ
ンジスタ103のゲート電極は、第1ワード線WLaに接続されている。また、トランジ
スタ103の第1端子は第1データ線DLaに接続されており、第2端子はトランジスタ
102のゲート電極に接続されている。トランジスタ102の第1端子は、トランジスタ
106の第2端子に接続されており、第2端子はグラウンドなどの固定電位が与えられて
いるノードに接続されている。トランジスタ106が有する第1端子は、第2データ線D
Lbに接続されている。トランジスタ106のゲート電極は、第2ワード線WLbに接続
されている。容量素子104が有する一対の電極は、一方がトランジスタ102のゲート
電極に接続され、他方が固定電位の与えられているノードに接続されている。
【0074】
図2(D)に示すメモリセル101では、データの書き込み時にトランジスタ103がオ
ンになり、第1データ線DLaからデータを含む信号の電位が、トランジスタ103を介
してトランジスタ102のゲート電極に与えられる。そして、上記信号の電位に従って、
トランジスタ102のゲート容量、容量素子104に蓄積される電荷量が制御されること
で、トランジスタ102及び容量素子104へのデータの書き込みが行われる。
【0075】
次いで、データの保持時には、トランジスタ103がオフになり、トランジスタ102の
ゲート容量、容量素子104に蓄積された電荷が保持される。上述したように、トランジ
スタ103はオフ電流が極めて低いという特性を有している。そのため、蓄積された上記
電荷はリークしづらく、遮光を行わない場合、或いは、シリコンなどの半導体材料を用い
た場合に比べ、長い期間に渡ってデータの保持を行うことができる。
【0076】
データの読み出し時には、第2ワード線WLbの電位が変化することでトランジスタ10
6がオンになる。トランジスタ106がオンになると、トランジスタ102には、そのゲ
ート容量に蓄積されている電荷量に見合った高さのドレイン電流が流れる。よって、トラ
ンジスタ102のドレイン電流の大きさから、蓄積されている電荷量の違いを読み取るこ
とにより、データを読み出すことができる。
【0077】
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様に係る記憶装置が有するメモリセルの、具体的な構成
の一例について説明する。なお、本実施の形態では、図2(C)に示す回路構成を有した
メモリセルを例に挙げて、その構造について説明する。
【0078】
図3に、メモリセルの上面図の一例を示す。なお、図3では、メモリセルの構成を明確に
するために、遮光性を有する絶縁膜以外の絶縁膜は、全て省略して示している。また、図
3の破線A1−A2における断面図を、図4に示す。
【0079】
図3、図4に示すメモリセルは、絶縁表面を有する基板110上に、トランジスタ102
と、トランジスタ103と、容量素子104とを有する。そして、基板110上に形成さ
れた容量素子104は絶縁膜111に覆われており、絶縁膜111上にはトランジスタ1
02と、トランジスタ103とが形成されている。そして、容量素子104と、トランジ
スタ102及びトランジスタ103とは、絶縁膜111を間に挟んで重なっている。
【0080】
具体的に、容量素子104は、絶縁表面を有する基板110上に形成された電極112と
、電極112上の絶縁膜113と、絶縁膜113を間に挟んで電極112と重なる電極1
14とを有する。電極112と、絶縁膜113と、電極114とが重なった部分が、容量
素子104として機能する。
【0081】
また、トランジスタ103は、絶縁膜111上に、ソース電極またはドレイン電極として
機能する導電膜130及び導電膜131と、導電膜130及び導電膜131に接する、酸
化物半導体を含んだ活性層132と、導電膜130、導電膜131、活性層132を覆っ
ている絶縁膜133と、絶縁膜133を間に挟んで活性層132と重なるゲート電極13
4とを有する。
【0082】
図3、図4に示すトランジスタ103は、トップゲート型であり、なおかつ、ソース電極
またはドレイン電極として機能する導電膜130及び導電膜131が、活性層132の下
側で接している、ボトムコンタクト構造である。
【0083】
また、トランジスタ102は、絶縁膜111上に、ソース電極またはドレイン電極として
機能する導電膜131及び導電膜135と、導電膜131及び導電膜135に接する、酸
化物半導体を含んだ活性層136と、導電膜131、導電膜135、活性層136を覆っ
ている絶縁膜133と、絶縁膜133を間に挟んで活性層136と重なるゲート電極13
7とを有する。
【0084】
図3、図4に示すトランジスタ102は、トランジスタ103と同様にトップゲート型で
あり、なおかつ、ソース電極またはドレイン電極として機能する導電膜131及び導電膜
135が、活性層136の下側で接している、ボトムコンタクト構造である。
【0085】
また、図3、図4では、トランジスタ102、トランジスタ103がシングルゲート構造
である場合を例示しているが、トランジスタ102、トランジスタ103は、電気的に接
続された複数のゲート電極を有することで、チャネル形成領域を複数有する、マルチゲー
ト構造であっても良い。
【0086】
そして、導電膜130は、絶縁膜111に形成されたコンタクトホール138を介して、
電極114に接している。
【0087】
また、トランジスタ102及びトランジスタ103を覆うように、絶縁膜139が形成さ
れている。そして、絶縁膜139上には、絶縁膜139に形成されたコンタクトホール1
40を介してトランジスタ102のゲート電極137に接続された、遮光性を有する導電
膜141が形成されている。また、導電膜141は、絶縁膜139及び絶縁膜133に形
成されたコンタクトホール142を介して、導電膜130に接続されている。また、絶縁
膜139上には、絶縁膜139に形成されたコンタクトホール143を介してトランジス
タ103のゲート電極134に接続された、遮光性を有する導電膜144が形成されてい
る。
【0088】
遮光性を有する導電膜141は、少なくともトランジスタ102の活性層136の一部と
重なる位置に形成する。なお、活性層136に入射する光をより防ぐためには、活性層1
36全体を完全に導電膜141で覆うのが望ましい。
【0089】
また、遮光性を有する導電膜144は、少なくともトランジスタ103の活性層132の
一部と重なる位置に形成する。なお、活性層132に入射する光をより防ぐためには、活
性層132全体を完全に導電膜144で覆うのが望ましい。
【0090】
さらに、本発明の一態様では、容量素子104が有する電極112或いは電極114の少
なくとも一方が遮光性を有する。そして、遮光性を有する電極112或いは電極114が
、トランジスタ103の活性層132、トランジスタ102の活性層136と重なる位置
に形成されている。活性層132と、活性層136とは、少なくともその一部が電極11
2或いは電極114と重なっていれば良い。しかし、活性層132或いは活性層136に
入射する光をより防ぐためには、活性層132全体、或いは活性層136全体が、完全に
電極112或いは電極114と重なるようにするのが望ましい。
【0091】
遮光性を有する電極112、電極114、導電膜141、導電膜144に求められる特性
は、上述したとおり、活性層に用いられている酸化物半導体の吸収端波長近傍、もしくは
これよりも短い波長領域の光の透過率が低いものとする。よって、電極112、電極11
4、導電膜141、導電膜144には、導電性と遮光性を兼ね備えた金属を用いる。例え
ば、電極112、電極114には、モリブデン、チタン、クロム、タンタル、タングステ
ン、ネオジム、スカンジウム等の金属材料、これら金属材料を主成分とする合金材料を用
いた導電膜、或いはこれら金属の窒化物を、単層で又は積層で用いることができる。また
、導電膜141、導電膜144には、上述した材料の他に、アルミニウム、または銅を用
いることもできる。アルミニウムまたは銅を導電膜141、導電膜144に用いる場合、
耐熱性や腐食性の問題を回避するために、高融点金属材料と組み合わせて用いると良い。
高融点金属材料としては、モリブデン、チタン、クロム、タンタル、タングステン、ネオ
ジム、スカンジウム等を用いることができる。
【0092】
例えば、電極112、電極114、導電膜141、導電膜144を二層の積層構造とする
場合、アルミニウム膜上にモリブデン膜が積層された二層の積層構造、銅膜上にモリブデ
ン膜を積層した二層構造、銅膜上に窒化チタン膜若しくは窒化タンタル膜を積層した二層
構造、または、窒化チタン膜とモリブデン膜とを積層した二層構造とすることが好ましい
。電極112、電極114、導電膜141、導電膜144を3層の積層構造を有する場合
、アルミニウム膜、アルミニウムとシリコンの合金膜、アルミニウムとチタンの合金膜ま
たはアルミニウムとネオジムの合金膜を中間層とし、タングステン膜、窒化タングステン
膜、窒化チタン膜またはチタン膜を上下層として積層した構造とすることが好ましい。
【0093】
そして、電極112、電極114、導電膜141、導電膜144の膜厚は、例えば、10
nm〜400nm、好ましくは100nm〜200nmとする。
【0094】
本発明の一態様では、上記構成により、遮光性を有する電極112或いは電極114と、
遮光性を有する導電膜141の間に活性層136が挟まれるので、酸化物半導体の吸収端
波長近傍の光、もしくはこれよりも短い波長領域の光が、活性層136に入射するのを防
ぐことができる。また、遮光性を有する電極112或いは電極114と、遮光性を有する
導電膜144の間に活性層132が挟まれるので、酸化物半導体の吸収端波長近傍の光、
もしくはこれよりも短い波長領域の光が、活性層132に入射するのを防ぐことができる

【0095】
なお、図3及び図4では、配線として機能する導電膜141、導電膜144を用いて活性
層132または活性層136を遮光する構成を例に挙げているが、図1(C)に示した構
成と同様に、遮光性を有する絶縁膜で、活性層132または活性層136を遮光するよう
にしても良い。
【0096】
また、図3、図4では、記憶素子として機能するトランジスタ102が、その活性層13
6に酸化物半導体を含んでいる場合を例示しているが、トランジスタ102は必ずしも酸
化物半導体を活性層に含んでいなくとも良い。例えば、シリコンやゲルマニウムなどの半
導体材料を用いてトランジスタ102の活性層を形成する場合、一の絶縁表面上に当該活
性層と容量素子104とを共に形成することができる。そして、さらに、容量素子104
の電極112も、上記活性層と同様に、シリコンやゲルマニウムなどの半導体材料を用い
て形成することができる。
【0097】
そして、電極112は、第2ワード線WLbとしても機能する。また、導電膜144は、
第1ワード線WLaとしても機能する。また、導電膜131は、データ線DLとしても機
能する。導電膜135は、グラウンドなどの固定電位が与えられる配線として機能する。
【0098】
なお、基板110として使用することができる素材に大きな制限はないが、少なくとも、
作製工程における加熱処理に耐えうる程度の耐熱性を有していることが必要となる。例え
ば、基板110には、フュージョン法やフロート法で作製されるガラス基板、石英基板、
セラミック基板等を用いることができる。ガラス基板としては、後の加熱処理の温度が高
い場合には、歪み点が730℃以上のものを用いると良い。プラスチック等の可撓性を有
する合成樹脂からなる基板は、一般的に上記基板と比較して耐熱温度が低い傾向にあるが
、作製工程における処理温度に耐え得るのであれば用いることが可能である。
【0099】
また、絶縁膜133は、プラズマCVD法又はスパッタリング法等を用いて、酸化珪素膜
、窒化珪素膜、酸化窒化珪素膜、窒化酸化珪素膜、酸化アルミニウム膜、窒化アルミニウ
ム膜、酸化窒化アルミニウム膜、窒化酸化アルミニウム膜、酸化ハフニウム膜または酸化
タンタル膜を単層で又は積層させて形成することができる。ゲート絶縁膜として機能する
絶縁膜133は、水分や、水素、酸素などの不純物を極力含まないことが望ましい。スパ
ッタリング法により酸化珪素膜を成膜する場合には、ターゲットとしてシリコンターゲッ
ト又は石英ターゲットを用い、スパッタガスとして酸素又は、酸素及びアルゴンの混合ガ
スを用いる。
【0100】
不純物を除去することによりi型化又は実質的にi型化された酸化物半導体(高純度化さ
れた酸化物半導体)は界面準位、界面電荷に対して極めて敏感であるため、高純度化され
た酸化物半導体とゲート絶縁膜との界面は重要である。そのため高純度化された酸化物半
導体に接するゲート絶縁膜(GI)は、高品質化が要求される。
【0101】
例えば、μ波(周波数2.45GHz)を用いた高密度プラズマCVDは、緻密で絶縁耐
圧の高い高品質な絶縁膜を形成できるので、絶縁膜133を形成する方法として適してい
る。高純度化された酸化物半導体と高品質なゲート絶縁膜とが密接することにより、界面
準位を低減して界面特性を良好なものとすることができるからである。
【0102】
もちろん、ゲート絶縁膜として良質な絶縁膜133を形成できるものであれば、スパッタ
リング法やプラズマCVD法など他の成膜方法を適用することができる。また、成膜後の
熱処理によって膜質や、酸化物半導体との界面特性が改善される絶縁膜であっても良い。
いずれにしても、ゲート絶縁膜としての膜質が良好であることは勿論のこと、ゲート絶縁
膜と酸化物半導体との界面準位密度を低減し、良好な界面を形成できるものであれば良い

【0103】
また、酸素を含む無機材料を絶縁膜133に用いることで、水分または水素を低減させる
ための加熱処理により活性層132、活性層136中に酸素欠損が発生していたとしても
、活性層132、活性層136に絶縁膜133から酸素を供給し、ドナーとなる酸素欠損
を低減して化学量論的組成比を満たす構成とすることが可能である。よって、活性層13
2、活性層136をi型に近づけることができ、酸素欠損によるトランジスタの電気特性
のばらつきを軽減し、電気特性の向上を実現することができる。
【0104】
また、活性層132または活性層136として用いる酸化物半導体膜は、膜厚2nm以上
200nm以下、好ましくは膜厚3nm以上50nm以下、さらに好ましくは膜厚3nm
以上20nm以下とする。酸化物半導体膜は、酸化物半導体をターゲットとして用い、ス
パッタ法により成膜する。また、酸化物半導体膜は、希ガス(例えばアルゴン)雰囲気下
、酸素雰囲気下、又は希ガス(例えばアルゴン)及び酸素混合雰囲気下においてスパッタ
法により形成することができる。
【0105】
酸化物半導体膜には、上述したように、四元系金属酸化物であるIn−Sn−Ga−Zn
−O系酸化物半導体や、三元系金属酸化物であるIn−Ga−Zn−O系酸化物半導体、
In−Sn−Zn−O系酸化物半導体、In−Al−Zn−O系酸化物半導体、Sn−G
a−Zn−O系酸化物半導体、Al−Ga−Zn−O系酸化物半導体、Sn−Al−Zn
−O系酸化物半導体や、二元系金属酸化物であるIn−Zn−O系酸化物半導体、Sn−
Zn−O系酸化物半導体、Al−Zn−O系酸化物半導体、Zn−Mg−O系酸化物半導
体、Sn−Mg−O系酸化物半導体、In−Mg−O系酸化物半導体、In−Ga−O系
酸化物半導体や、In−O系酸化物半導体、Sn−O系酸化物半導体、Zn−O系酸化物
半導体などを用いることができる。
【0106】
例えば、スパッタ法により得られるIn−Ga−Zn−O系酸化物半導体の薄膜を、酸化
物半導体膜として用いる場合、ターゲットとして、例えば、In:Ga:Z
nO=1:1:1[mol数比]の組成比を有するターゲットを用いる。また、In
:Ga:ZnO=1:1:2[mol数比]の組成比を有するターゲット、また
はIn:Ga:ZnO=1:1:4[mol数比]を有するターゲットを用
いることができる。また、In、Ga、及びZnを含むターゲットの充填率は90%以上
100%以下、好ましくは95%以上100%未満である。充填率の高いターゲットを用
いることにより、成膜した酸化物半導体膜は緻密な膜となる。
【0107】
なお、酸化物半導体としてIn−Zn−O系の材料を用いる場合、用いるターゲットの組
成比は、原子数比で、In:Zn=50:1〜1:2(モル数比に換算するとIn
:ZnO=25:1〜1:4)、好ましくはIn:Zn=20:1〜1:1(モル数比に
換算するとIn:ZnO=10:1〜2:1)、さらに好ましくはIn:Zn=1
.5:1〜15:1(モル数比に換算するとIn:ZnO=3:4〜15:2)と
する。例えば、In−Zn−O系酸化物半導体の形成に用いるターゲットは、原子数比が
In:Zn:O=X:Y:Zのとき、Z>1.5X+Yとする。Znの比率を上記範囲に
収めることで、移動度の向上を実現することができる。
【0108】
なお、スパッタ等で成膜された酸化物半導体膜中には、不純物としての水分または水素が
多量に含まれていることがある。水分または水素はドナー準位を形成しやすいため、酸化
物半導体にとっては不純物である。そこで、本発明の一態様では、酸化物半導体膜中の水
分または水素などの不純物を低減するために、酸化物半導体膜に対して、窒素、酸素、超
乾燥空気、または希ガス(アルゴン、ヘリウムなど)の雰囲気下において、加熱処理を施
す。上記ガスは、水の含有量が20ppm以下、好ましくは1ppm以下、好ましくは1
0ppb以下であることが望ましい。
【0109】
酸化物半導体膜に加熱処理を施すことで、酸化物半導体膜中の水分または水素を脱離させ
ることができる。具体的には、300℃以上700℃以下、好ましくは300℃以上50
0℃以下で加熱処理を行えば良い。例えば、500℃、3分間以上6分間以下程度で行え
ばよい。加熱処理にRTA法を用いれば、短時間に脱水化または脱水素化が行えるため、
ガラス基板の歪点を超える温度でも処理することができる。
【0110】
加熱処理装置は電気炉の他、抵抗発熱体などの発熱体からの熱伝導または熱輻射によって
、被処理物を加熱する装置であっても良い。例えば、GRTA(Gas Rapid T
hermal Anneal)装置、LRTA(Lamp Rapid Thermal
Anneal)装置等のRTA(Rapid Thermal Anneal)装置を
用いることができる。LRTA装置は、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、キセノ
ンアークランプ、カーボンアークランプ、高圧ナトリウムランプ、高圧水銀ランプなどの
ランプから発する光(電磁波)の輻射により、被処理物を加熱する装置である。GRTA
装置は、高温のガスを用いて加熱処理を行う装置である。気体には、アルゴンなどの希ガ
ス、または窒素のような、加熱処理によって被処理物と反応しない不活性気体が用いられ
る。
【0111】
上述した加熱処理により、酸化物半導体膜中の水素の濃度を低減し、高純度化することが
できる。それにより、酸化物半導体膜の特性を安定化させることができる。また、ガラス
転移温度以下の加熱処理で、水素に起因するキャリア密度が少なく、バンドギャップの広
い酸化物半導体膜を形成することができる。このため、大面積基板を用いてトランジスタ
102、トランジスタ103を作製することができ、量産性を高めることができる。
【0112】
なお、酸化物半導体膜を加熱する場合、酸化物半導体膜の材料や加熱条件にもよるが、そ
の表面に板状結晶が形成されることがある。板状結晶は、酸化物半導体膜の表面に対して
略垂直にc軸配向した単結晶体であることが好ましい。また、単結晶体でなくとも、各結
晶が、酸化物半導体膜の表面に対して略垂直にc軸配向した多結晶体であることが好まし
い。そして、上記多結晶体は、c軸配向していることに加えて、各結晶のab面が一致す
るか、a軸、或いは、b軸が一致していることが好ましい。なお、酸化物半導体膜の下地
表面に凹凸がある場合、板状結晶は多結晶体となる。したがって、下地表面は可能な限り
平坦であることが望まれる。
【0113】
本発明の一態様では、酸化物半導体を活性層132に含むトランジスタ103を、記憶素
子として用いるトランジスタ102または容量素子104における電荷の保持を制御する
ためのスイッチング素子として用いることで、上記電荷のリークを防ぐことができる。ま
た、遮光性を有する電極、導電膜、絶縁膜などの遮光層で、上記活性層132を挟むこと
で、光によって上記トランジスタ103の特性が劣化するのを防ぐことができる。具体的
には、閾値電圧のシフトを抑制し、オフ電流が上昇するのを防ぐことができる。さらに、
本発明の一態様では、上記遮光性を有する電極を、容量素子104の電極112或いは電
極114として用いる。よって、容量素子104とトランジスタ103とが重なるように
メモリセル101内に配置されるため、容量素子104の専有面積、或いは容量値を確保
しつつも、メモリセル101の占める面積を縮小化することができる。
【0114】
したがって、本発明の一態様に係る記憶装置は、データを保持する期間を確保しつつ、単
位面積あたりの記憶容量を高めることができる。或いは、本発明は、上記記憶装置を半導
体装置に用いることで、半導体装置の信頼性を高め、高機能化させることができる。
【0115】
本実施の形態は、上記実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0116】
(実施の形態3)
本実施の形態では、スイッチング素子として機能するトランジスタ103の、図1(D)
と異なる構成の一例について説明する。
【0117】
図5(A)に、トランジスタ103と、容量素子104の断面図の一例を示す。なお、図
5(A)では図1(A)に示すメモリセル101の断面構造を示しているが、図1(B)
が有するトランジスタ103と、容量素子105も、図5(A)と同様の構成を採用する
ことができる。
【0118】
図5(A)に示す断面図では、図1(D)と同様に、絶縁表面を有する基板110上に、
容量素子104とトランジスタ103が形成されており、容量素子104とトランジスタ
103は、絶縁膜111を間に挟んで重なっている。
【0119】
具体的な容量素子104の構成は、図1(D)と同じである。図5(A)では、トランジ
スタ103が、チャネル保護構造を有する点において、図1(D)と異なる。
【0120】
図5(A)に示すトランジスタ103は、絶縁膜111上にゲート電極150と、ゲート
電極150上の絶縁膜151と、絶縁膜151上においてゲート電極150と重なってい
る、酸化物半導体を含んだ活性層152と、ゲート電極150と重なる位置において活性
層152上に形成されたチャネル保護膜153と、活性層152上に形成されたソース電
極154、ドレイン電極155と、を有する。さらに、トランジスタ103は、ソース電
極154、ドレイン電極155、チャネル保護膜153、活性層152上に形成された絶
縁膜156を、その構成要素に含めても良い。
【0121】
チャネル保護膜153を設けることによって、活性層152のチャネル形成領域となる部
分に対する、後の工程時におけるエッチング時のプラズマやエッチング剤による膜減りな
どのダメージを防ぐことができる。従ってトランジスタの信頼性を向上させることができ
る。
【0122】
酸素を含む無機材料をチャネル保護膜153に用いることで、水分または水素を低減させ
るための加熱処理により活性層152中に酸素欠損が発生していたとしても、活性層15
2にチャネル保護膜153から酸素を供給し、ドナーとなる酸素欠損を低減して化学量論
的組成比を満たす構成とすることが可能である。よって、活性層152をi型に近づける
ことができ、酸素欠損によるトランジスタの電気特性のばらつきを軽減し、耐圧性が高い
、オフ電流の低いなどの電気特性の向上を実現することができる。
【0123】
なお、トランジスタ103は、絶縁膜156上に、バックゲート電極をさらに有していて
も良い。バックゲート電極は、活性層152のチャネル形成領域と重なるように形成する
。バックゲート電極は、電気的に絶縁しているフローティングの状態であっても良いし、
電位が与えられる状態であっても良い。後者の場合、バックゲート電極には、ゲート電極
150と同じ高さの電位が与えられていても良いし、グラウンドなどの固定電位が与えら
れていても良い。バックゲート電極に与える電位の高さを制御することで、トランジスタ
103の閾値電圧を制御することができる。
【0124】
そして、図5(A)では、遮光性を有する導電膜で配線123を形成し、配線123によ
りトランジスタ103を覆っている点において、図1(D)と同じである。具体的には、
トランジスタ103の活性層152と重なるように、遮光性を有する配線123を形成す
る。
【0125】
さらに、図5(A)では、図1(D)と同様に、容量素子104が有する電極112或い
は電極114の少なくとも一方が遮光性を有する。そして、遮光性を有する電極112或
いは電極114が、トランジスタ103の活性層152と重なる位置に形成されている。
【0126】
上記構成により、図5(A)では、遮光性を有する電極112或いは電極114と、遮光
性を有する配線123との間に活性層152が挟まれるので、酸化物半導体の吸収端波長
近傍の光、もしくはこれよりも短い波長領域の光が、活性層152に入射するのを防ぐこ
とができる。
【0127】
また、スイッチング素子として機能するトランジスタ103の、図1(D)と異なる構成
の、別の一例について説明する。
【0128】
図5(B)に、トランジスタ103と、容量素子104の断面図の一例を示す。なお、図
5(B)では図1(A)に示すメモリセル101の断面構造を示しているが、図1(B)
が有するトランジスタ103と、容量素子105も、図5(B)と同様の構成を採用する
ことができる。
【0129】
図5(B)に示す断面図では、図1(D)と同様に、絶縁表面を有する基板110上に、
容量素子104とトランジスタ103が形成されており、容量素子104とトランジスタ
103は、絶縁膜111を間に挟んで重なっている。
【0130】
具体的な容量素子104の構成は、図1(D)と同じである。図5(B)では、トランジ
スタ103がボトムゲート型であり、なおかつ、ソース電極またはドレイン電極が活性層
の下側で接しているボトムコンタクト構造である点において、図1(D)と異なる。
【0131】
図5(B)に示すトランジスタ103は、絶縁膜111上にゲート電極160と、ゲート
電極160上の絶縁膜161と、絶縁膜161上に形成されたソース電極164、ドレイ
ン電極165と、絶縁膜161上においてゲート電極160と重なる位置に形成され、な
おかつソース電極164、ドレイン電極165と接している、酸化物半導体を含んだ活性
層162と、を有する。さらに、トランジスタ103は、ソース電極164、ドレイン電
極165、活性層162上に形成された絶縁膜166を、その構成要素に含めても良い。
【0132】
また、酸素を含む無機材料を活性層162に接している絶縁膜166に用いることで、水
分または水素を低減させるための加熱処理により活性層162中に酸素欠損が発生してい
たとしても、活性層162に絶縁膜166から酸素を供給し、ドナーとなる酸素欠損を低
減して化学量論的組成比を満たす構成とすることが可能である。よって、活性層162を
i型に近づけることができ、酸素欠損によるトランジスタ103の電気特性のばらつきを
軽減し、電気特性の向上を実現することができる。
【0133】
なお、トランジスタ103は、絶縁膜166上に、バックゲート電極をさらに有していて
も良い。バックゲート電極は、活性層162のチャネル形成領域と重なるように形成する
。バックゲート電極は、電気的に絶縁しているフローティングの状態であっても良いし、
電位が与えられる状態であっても良い。後者の場合、バックゲート電極には、ゲート電極
160と同じ高さの電位が与えられていても良いし、グラウンドなどの固定電位が与えら
れていても良い。バックゲート電極に与える電位の高さを制御することで、トランジスタ
103の閾値電圧を制御することができる。
【0134】
そして、図5(B)では、遮光性を有する導電膜で配線123を形成し、配線123によ
りトランジスタ103を覆っている点において、図1(D)と同じである。具体的には、
トランジスタ103の活性層162と重なるように、遮光性を有する配線123を形成す
る。
【0135】
さらに、図5(B)では、図1(D)と同様に、容量素子104が有する電極112或い
は電極114の少なくとも一方が遮光性を有する。そして、遮光性を有する電極112或
いは電極114が、トランジスタ103の活性層162と重なる位置に形成されている。
【0136】
上記構成により、図5(B)では、遮光性を有する電極112或いは電極114と、遮光
性を有する配線123との間に活性層162が挟まれるので、酸化物半導体の吸収端波長
近傍の光、もしくはこれよりも短い波長領域の光が、活性層162に入射するのを防ぐこ
とができる。
【0137】
なお、図5(A)及び図5(B)では、配線123を用いて活性層152または活性層1
62を遮光する構成を例に挙げているが、図1(C)に示した構成と同様に、遮光性を有
する絶縁膜で、活性層152または活性層162を遮光するようにしても良い。
【0138】
また、図5(A)及び図5(B)では、トランジスタ103がシングルゲート構造である
場合を例示しているが、トランジスタ103は、電気的に接続された複数のゲート電極を
有することで、チャネル形成領域を複数有する、マルチゲート構造であっても良い。
【0139】
本実施の形態は、上記実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0140】
(実施の形態4)
本実施の形態では、記憶部の具体的な構成と、その動作について説明する。
【0141】
図6は、図2(A)に示したメモリセル101を複数有する記憶部200の、回路図の一
例である。メモリセル101の構成については、実施の形態1において説明した内容を参
酌することができる。
【0142】
図6に示す記憶部200では、複数のワード線WL、複数のデータ線DLなどの各種配線
が設けられており、駆動回路からの信号または固定電位が、これら配線を介して各メモリ
セル101に供給される。上記配線の数は、メモリセル101の数及び配置によって決め
ることができる。
【0143】
具体的に、図6に示す記憶部200の場合、3行×4列のメモリセルがマトリクス状に接
続されており、ワード線WL1〜WL3、データ線DL1〜DL4が、記憶部200内に
配置されている場合を例示している。
【0144】
次いで、図6に示す記憶部200の動作について説明する。
【0145】
まず、データの書き込み時における記憶部200の動作について説明する。書き込み時に
おいて、ワード線WL1にパルスを有する信号が入力されると、当該パルスの電位、具体
的にはハイレベルの電位が、ワード線WL1に接続されているトランジスタ103のゲー
ト電極に与えられる。よって、ワード線WL1にゲート電極が接続されているトランジス
タ103は、全てオンになる。
【0146】
次いで、データ線DL1〜DL4に、データを情報として含む信号が入力される。データ
線DL1〜DL4に入力される信号の電位のレベルは、データの内容によって当然異なる
。データ線DL1〜DL4に入力されている電位は、オンのトランジスタ103を介して
、容量素子105の一方の電極に与えられる。そして、上記信号の電位に従って、容量素
子105に蓄積されている電荷量が制御されることで、容量素子105へのデータの書き
込みが行われる。
【0147】
ワード線WL1への、パルスを有する信号の入力が終了すると、ワード線WL1にゲート
電極が接続されているトランジスタ103が、全てオフになる。そして、ワード線WL2
、ワード線WL3に、パルスを有する信号が順に入力され、ワード線WL2を有するメモ
リセル101、ワード線WL3を有するメモリセル101において、上述した動作が同様
に繰り返される。
【0148】
次いで、データの保持時における記憶部200の動作について説明する。保持時において
、全てのワード線WL1〜WL3には、トランジスタ103がオフになるレベルの電位、
具体的にはローレベルの電位が与えられる。トランジスタ103は、上述したようにオフ
電流が著しく低いので、容量素子105に蓄積された電荷はリークしづらく、遮光を行わ
ない場合、或いは、シリコンなどの半導体材料をトランジスタ103に用いた場合に比べ
、長い期間に渡ってデータの保持を行うことができる。
【0149】
次いで、データの読み出し時における記憶部200の動作について説明する。データの読
み出し時には、書き込み時と同様に、ワード線WL1〜WL3に順にパルスを有する信号
が入力される。当該パルスの電位、具体的にはハイレベルの電位が、ワード線WL1に接
続されているトランジスタ103のゲート電極に与えられると、当該トランジスタ103
は全てオンになる。
【0150】
トランジスタ103がオンになると、データ線DLを介して容量素子105に蓄積された
電荷が取り出される。そして、上記電荷量の違いを読み取ることにより、データを読み出
すことができる。
【0151】
なお、各データ線DLの先には読み出し回路が接続されており、読み出し回路の出力信号
が、記憶部から実際に読み出されたデータを含んでいる。
【0152】
本実施の形態では、書き込み、保持、読み出し、の各動作を、複数のメモリセル101に
おいて順に行う駆動方法について説明したが、本発明はこの構成に限定されない。指定さ
れたアドレスのメモリセル101においてのみ、上記動作を行うようにしても良い。
【0153】
また、図6に示した記憶部200の場合、各メモリセル101に、データ線DLと、ワー
ド線WLと、容量素子105の電極に固定電位を供給するための配線との、3つの配線が
接続されている場合を例示しているが、本発明の一態様では各メモリセルが有する配線の
数はこれに限定されない。トランジスタ103のスイッチングを制御するための信号と、
容量素子105の電荷量を制御するための信号と、固定電位とを、メモリセル101に供
給することができ、なおかつ、容量素子105に蓄積されている電荷量が情報として含ま
れる電位を、駆動回路に送ることができるように、配線の数及び接続構造を、適宜決めれ
ば良い。
【0154】
本実施の形態は、上記実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0155】
(実施の形態5)
本実施の形態では、記憶部の具体的な構成と、その動作について説明する。
【0156】
図7は、図2(C)に示したメモリセル101を複数有する記憶部201の、回路図の一
例である。メモリセル101の構成については、実施の形態1において説明した内容を参
酌することができる。
【0157】
図7に示す記憶部201では、複数の第1ワード線WLa、複数の第2ワード線WLb、
複数のデータ線DLなどの各種配線が設けられており、駆動回路からの信号または固定電
位が、これら配線を介して各メモリセル101に供給される。上記配線の数は、メモリセ
ル101の数及び配置によって決めることができる。
【0158】
具体的に、図7に示す記憶部201の場合、3行×3列のメモリセルがマトリクス状に接
続されており、第1ワード線WLa1〜WLa3、第2ワード線WLb1〜WLb3、デ
ータ線DL1〜DL3が、記憶部201内に配置されている場合を例示している。
【0159】
次いで、図7に示す記憶部201の動作について説明する。図8は、複数の第1ワード線
WLa1〜WLa3、複数の第2ワード線WLb1〜WLb3、複数のデータ線DL1〜
DL3に入力される信号の電位の時間変化を示すタイミングチャートである。図8に示す
タイミングチャートは、トランジスタ102、トランジスタ103が共にnチャネル型で
あり、なおかつ2値のデータを扱う場合を例示している。
【0160】
なお、タイミングチャートにおける信号の電位は、立ち上がりまたは立ち下がりが垂直に
なるように示している。しかし、実際の信号の電位は、配線の負荷やノイズ等の影響を受
けるため、その波形が鈍ることは当業者であれば容易に理解できる。
【0161】
まず、データの書き込み時における記憶部201の動作について説明する。書き込み時に
おいて、第1ワード線WLa1にパルスを有する信号が入力されると、当該パルスの電位
、具体的にはハイレベルの電位が、第1ワード線WLa1に接続されているトランジスタ
103のゲート電極に与えられる。よって、第1ワード線WLa1にゲート電極が接続さ
れているトランジスタ103は、全てオンになる。一方、第2ワード線WLb1〜WLb
3には、ローレベルの電位が与えられている。
【0162】
次いで、データ線DL1〜DL3に、データを情報として含む信号が入力される。データ
線DL1〜DL3に入力される信号の電位のレベルは、データの内容によって当然異なる
。データ線DL1〜DL3に入力されている電位は、オンのトランジスタ103を介して
、トランジスタ102が有するゲート電極と容量素子104の一方の電極に与えられる。
そして、上記信号の電位に従って、トランジスタ102のゲート容量と、容量素子104
に蓄積される電荷量が制御されることで、メモリセル101へのデータの書き込みが行わ
れる。
【0163】
第1ワード線WLa1への、パルスを有する信号の入力が終了すると、第1ワード線WL
a1にゲート電極が接続されているトランジスタ103が、全てオフになる。そして、第
1ワード線WLa2、第1ワード線WLa3に、パルスを有する信号が順に入力され、第
1ワード線WLa2を有するメモリセル101、第1ワード線WLa3を有するメモリセ
ル101において、上述した動作が同様に繰り返される。
【0164】
次いで、データの保持時における記憶部201の動作について説明する。保持時において
、全ての第1ワード線WLa1〜WLa3には、トランジスタ103がオフになるレベル
の電位、具体的にはローレベルの電位が与えられる。トランジスタ103は、上述したよ
うにオフ電流が著しく低いので、トランジスタ102のゲート容量と、容量素子104に
蓄積された電荷はリークしづらく、遮光を行わない場合、或いは、シリコンなどの半導体
材料をトランジスタ103に用いた場合に比べ、長い期間に渡ってデータの保持を行うこ
とができる。
【0165】
一方、第2ワード線WLb1〜WLb3には、引き続き、ローレベルの電位が与えられる

【0166】
次いで、データの読み出し時における記憶部201の動作について説明する。データの読
み出し時では、全ての第1ワード線WLa1〜WLa3にローレベルの電位が入力される
ことで、トランジスタ103のゲート電極にローレベルの電位が与えられる。よって、第
1ワード線WLa1〜WLa3にゲート電極が接続されているトランジスタ103は、全
てオフのままである。
【0167】
一方、第2ワード線WLb1には、パルスを有する信号が入力され、当該パルスの電位、
具体的にはハイレベルの電位が、容量素子104の他方の電極に与えられる。容量素子1
04が有する一対の電極の電位差は、電荷保存則により維持されたままなので、第2ワー
ド線WLb1の電位の変化は、トランジスタ102のゲート電極に与えられる。そして、
トランジスタ102は、そのゲート容量に蓄積されている電荷量によって閾値電圧が変化
しているため、トランジスタ102には、そのゲート容量に蓄積されている電荷量に見合
った高さのドレイン電流が流れる。よって、トランジスタ102のドレイン電流の大きさ
から、蓄積されている電荷量の違いを読み取ることにより、データをデータ線DLから読
み出すことができる。
【0168】
第2ワード線WLb1への、パルスを有する信号の入力が終了すると、第2ワード線WL
b1を有するメモリセル101のトランジスタ102は全てオフになる。そして、第2ワ
ード線WLb2、第2ワード線WLb3に、パルスを有する信号が順に入力され、第2ワ
ード線WLb2を有するメモリセル101、第2ワード線WLb3を有するメモリセル1
01において、上述した動作が同様に繰り返される。
【0169】
なお、データ線DL1〜DL3の先には読み出し回路が接続されており、読み出し回路の
出力信号が、記憶部201から実際に読み出されたデータを含んでいる。
【0170】
本実施の形態では、書き込み、保持、読み出し、の各動作を、複数のメモリセル101に
おいて順に行う駆動方法について説明したが、本発明はこの構成に限定されない。指定さ
れたアドレスのメモリセル101においてのみ、上記動作を行うようにしても良い。
【0171】
また、図7に示した記憶部201の場合、各メモリセル101に、第1ワード線WLaと
、第2ワード線WLbと、データ線DLと、トランジスタ102に固定電位を供給するた
めの配線との、4つの配線が接続されている場合を例示しているが、本発明の一態様では
各メモリセルが有する配線の数はこれに限定されない。トランジスタ103のスイッチン
グを制御するための信号と、トランジスタ102のゲート容量に蓄積される電荷量を制御
するための信号と、固定電位とを、メモリセル101に供給することができ、なおかつ、
上記ゲート容量に蓄積される電荷量が情報として含まれる電位を、駆動回路に送ることが
できるように、配線の数及び接続構造を、適宜決めれば良い。
【0172】
本実施の形態は、上記実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0173】
(実施の形態6)
図9に、本発明の一態様に係る記憶装置の構成を、一例としてブロック図で示す。図9に
示す記憶装置300は、メモリセルが複数設けられている記憶部301と、記憶部301
の動作を制御する駆動回路302とを有する。
【0174】
駆動回路302は、記憶部301へのデータの書き込み、記憶部301からのデータの読
み出し、記憶部301におけるデータの保持などの各種動作を、制御回路からの信号に従
って制御することができる。
【0175】
図9では、駆動回路302に信号を供給する制御回路が、記憶装置300に含まれておら
ず、記憶装置300の外部に設けられている場合を想定しているが、制御回路は記憶装置
の構成要素に含まれていても良い。
【0176】
次いで、本発明の一態様に係る記憶装置の、駆動回路の具体的な構成の一例について説明
する。
【0177】
図10に、本発明の一態様に係る記憶装置の具体的な構成を、一例としてブロック図で示
す。なお、図10に示すブロック図では、記憶装置内の回路を機能ごとに分類し、互いに
独立したブロックとして示しているが、実際の回路は機能ごとに完全に切り分けることが
難しく、一つの回路が複数の機能に係わることもあり得る。
【0178】
図10に示す記憶装置300は、記憶部301と、駆動回路302とを有している。駆動
回路302は、記憶部301から読み出されたデータを情報として含む信号を生成する読
み出し回路303と、記憶部301が有するメモリセルを、行ごとに選択するワード線駆
動回路304と、記憶部301において選択されたメモリセルにおけるデータの書き込み
を制御するデータ線駆動回路305とを有する。そして、駆動回路302は、読み出し回
路303、ワード線駆動回路304、データ線駆動回路305の動作を制御する制御回路
306を有している。
【0179】
また、図10に示す記憶装置300では、ワード線駆動回路304が、デコーダ307と
、レベルシフタ308と、バッファ309とを有している。データ線駆動回路305が、
デコーダ310と、レベルシフタ311と、セレクタ312とを有している。
【0180】
なお、本発明の一態様に係る記憶装置300は、少なくとも記憶部301をその構成に含
んでいればよい。さらに、本発明の一態様に係る記憶装置300は、記憶部301に駆動
回路302の一部または全てが接続された状態にあるメモリモジュールを、その範疇に含
む。メモリモジュールは、プリント配線基板等に実装することが可能な接続端子が設けら
れ、なおかつ樹脂等で保護された、所謂パッケージングされた状態であっても良い。
【0181】
また、記憶部301、読み出し回路303、ワード線駆動回路304、データ線駆動回路
305、制御回路306は、全て一の基板を用いて形成されていても良いし、いずれか1
つまたは全てが互いに異なる基板を用いて形成されていても良い。
【0182】
異なる基板を用いている場合、FPC(Flexible Printed Circu
it)などを介して電気的な接続を確保することができる。この場合、駆動回路302の
一部がFPCにCOF(Chip On Film)法を用いて接続されていても良い。
或いは、COG(Chip On Glass)法を用いて、電気的な接続を確保するこ
とができる。
【0183】
記憶装置300に、記憶部301のアドレス(Ax、Ay)を情報として含む信号ADが
入力されると、制御回路306は、列方向のアドレスAxをデータ線駆動回路305に送
り、行方向のアドレスAyをワード線駆動回路304に送る。また、制御回路306は、
記憶装置300に入力されたデータを情報として含む信号DATAを、データ線駆動回路
305に送る。
【0184】
記憶部301におけるデータの書き込み動作、読み出し動作の選択は、制御回路306に
供給される信号RE(Read enable)、信号WE(Write enable
)などによって選択される。さらに、記憶部301が複数存在する場合、制御回路306
に、記憶部301を選択するための信号CE(Chip enable)が入力されてい
ても良い。この場合、信号RE、信号WEにより選択される動作が、信号CEにより選択
された記憶部301において実行される。
【0185】
記憶部301では、信号WEによって書き込み動作が選択されると、制御回路306から
の指示に従って、ワード線駆動回路304が有するデコーダ307において、アドレスA
yに対応するメモリセルを選択するための信号が生成される。当該信号は、レベルシフタ
308によって振幅が調整された後、バッファ309において波形が処理され、記憶部3
01に入力される。一方、データ線駆動回路305では、制御回路306からの指示に従
って、デコーダ310において選択されたメモリセルのうち、アドレスAxに対応するメ
モリセルを選択するための信号が生成される。当該信号は、レベルシフタ311によって
振幅が調整された後、セレクタ312に入力される。セレクタ312では、入力された信
号に従って信号DATAをサンプリングし、アドレス(Ax、Ay)に対応するメモリセ
ルにサンプリングした信号を入力する。
【0186】
また、記憶部301では、信号REによって読み出し動作が選択されると、制御回路30
6からの指示に従って、ワード線駆動回路304が有するデコーダ307において、アド
レスAyに対応するメモリセルを選択するための信号が生成される。当該信号は、レベル
シフタ308によって振幅が調整された後、バッファ309において波形が処理され、記
憶部301に入力される。一方、読み出し回路303では、制御回路306からの指示に
従って、デコーダ307により選択されたメモリセルのうち、アドレスAxに対応するメ
モリセルを選択する。そして、アドレス(Ax、Ay)に対応するメモリセルに記憶され
ているデータを読み出し、該データを情報として含む信号を生成する。
【0187】
本実施の形態は、上記実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0188】
(実施の形態7)
本実施の形態では、読み出し回路の具体的な構成の一例について説明する。
【0189】
記憶部から読み出された電位は、メモリセルに書き込まれているデータに従って、そのレ
ベルが決まる。よって、理想的には、複数のメモリセルに同じデジタル値のデータが記憶
されているならば、複数のメモリセルから読み出された電位は、全て同じレベルのはずで
ある。しかし、実際には、記憶素子として機能するトランジスタ、または読み出し時にお
いてスイッチング素子として機能するトランジスタの特性が、メモリセル間においてばら
つくことがある。この場合、読み出されるはずのデータが全て同じデジタル値であっても
、実際に読み出された電位にばらつきが生じるため、その分布は幅を有する。よって、記
憶部から読み出された電位に多少のばらつきが生じていても、正確なデータを情報として
含み、なおかつ所望の仕様に合わせて振幅、波形が処理された信号を形成する読み出し回
路を、駆動回路に設けることが望ましい。
【0190】
図11に、読み出し回路の一例を回路図で示す。図11に示す読み出し回路は、記憶部か
ら読み出された電位Vdataの、読み出し回路への入力を制御するためのスイッチング
素子として機能するトランジスタ260と、抵抗として機能するトランジスタ261とを
有する。また、図11に示す読み出し回路は、オペアンプ262を有している。
【0191】
具体的に、トランジスタ261は、それぞれ、そのゲート電極とドレイン電極(または、
ドレイン領域)が接続されており、なおかつ、ゲート電極及びドレイン電極にハイレベル
の電源電位Vddが与えられている。また、トランジスタ261は、ソース電極が、オペ
アンプ262の非反転入力端子(+)に接続されている。よって、トランジスタ261は
、電源電位Vddが与えられているノードと、オペアンプ262の非反転入力端子(+)
との間に接続された、抵抗として機能する。なお、図11では、ゲート電極とドレイン電
極が接続されたトランジスタを抵抗として用いたが、本発明はこれに限定されず、抵抗と
して機能する素子であれば代替が可能である。
【0192】
また、スイッチング素子として機能するトランジスタ260は、ゲート電極がビット線B
L1〜BL3にそれぞれ接続されている。そして、ビット線BL1〜BL3の電位に従っ
て、トランジスタ260が有するソース電極への電位Vdataの供給が制御される。
【0193】
例えば、ビット線BL1に接続されたトランジスタ260がオンになると、電位Vdat
aと電源電位Vddとを、トランジスタ260とトランジスタ261により抵抗分割する
ことで得られる電位が、オペアンプ262の非反転入力端子(+)に与えられる。そして
、電源電位Vddのレベルは固定されているので、抵抗分割により得られる電位のレベル
には、電位Vdataのレベル、すなわち、読み出されたデータのデジタル値が反映され
ている。
【0194】
一方、オペアンプ262の反転入力端子(−)には、基準電位Vrefが与えられている
。そして、非反転入力端子(+)に与えられる電位が、基準電位Vrefに対して高いか
低いかにより、出力端子の電位Voutのレベルを異ならせることができ、それにより、
間接的にデータを情報として含む信号を得ることができる。
【0195】
なお、同じ値のデータが記憶されているメモリセルであっても、メモリセル間の特性のば
らつきにより、読み出された電位Vdataのレベルにもばらつきが生じ、その分布が幅
を有する場合がある。よって、基準電位Vrefのレベルは、データの値を正確に読み取
るために、ノードの電位Vdataのばらつきを考慮して定める。
【0196】
また、図11では、2値のデジタル値を扱う場合の読み出し回路の一例であるので、デー
タの読み出しに用いるオペアンプは、電位Vdataの与えられるノードに対して1つず
つ用いているが、オペアンプの数はこれに限定されない。n値(nは2以上の自然数)の
データを扱う場合は、電位Vdataの与えられるノードに対するオペアンプの数をn−
1とする。
【0197】
本実施の形態は、上記実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0198】
(実施の形態8)
本実施の形態では、トランジスタのオフ電流の算出例について説明する。
【0199】
まず、オフ電流の算出に用いた特性評価用回路の構成について、図12を用いて説明する
。本実施の形態では、特性評価用回路が、互いに並列に接続された複数の測定系801を
備える。具体的に図12では、8つの測定系801が並列に接続されている特性評価用回
路を例示している。
【0200】
測定系801は、トランジスタ811と、トランジスタ812と、容量素子813と、ト
ランジスタ814と、トランジスタ815とを含む。
【0201】
トランジスタ811は、電荷注入用トランジスタである。そして、トランジスタ811は
、その第1端子が、電位V1の与えられているノードに接続されており、その第2端子が
、トランジスタ812の第1端子に接続されている。トランジスタ811のゲート電極は
、電位Vext_aの与えられているノードに接続されている。
【0202】
トランジスタ812は、リーク電流評価用トランジスタである。なお、本実施の形態にお
いてリーク電流とは、トランジスタのオフ電流を含んでいる。そして、トランジスタ81
2は、その第1端子が、トランジスタ811の第2端子に接続されており、その第2端子
が、電位V2の与えられているノードに接続されている。トランジスタ812のゲート電
極は、電位Vext_bの与えられているノードに接続されている。
【0203】
容量素子813の第1の電極は、トランジスタ811の第2端子及びトランジスタ812
の第1端子に接続されている。容量素子813の第2の電極は、電位V2の与えられてい
るノードに接続されている。
【0204】
トランジスタ814は、その第1端子が、電位V3の与えられているノードに接続されて
おり、その第2端子が、トランジスタ815の第1端子に接続されている。トランジスタ
814のゲート電極は、トランジスタ811の第2端子、トランジスタ812の第1端子
、容量素子813の第1の電極に接続されている。なお、このトランジスタ814のゲー
ト電極が接続されている箇所を、ノードAとする。
【0205】
トランジスタ815は、その第1端子が、トランジスタ814の第2端子に接続されてお
り、その第2端子が、電位V4の与えられているノードに接続されている。トランジスタ
815のゲート電極は、電位Vext_cの与えられているノードに接続されている。
【0206】
そして、測定系801は、トランジスタ814の第2端子と、トランジスタ815の第1
端子が接続されているノードの電位を、出力信号の電位Voutとして出力する。
【0207】
そして、本実施の形態では、トランジスタ811として、酸化物半導体を活性層に含み、
なおかつ、活性層に含まれるチャネル形成領域のサイズがチャネル長L=10μm、チャ
ネル幅W=10μmであるトランジスタを用いる。
【0208】
なお、チャネル形成領域とは、半導体膜のうち、ソース電極とドレイン電極の間において
、ゲート絶縁膜を間に挟んでゲート電極と重なる領域に相当する。
【0209】
また、トランジスタ814及びトランジスタ815として、酸化物半導体を活性層に含み
、なおかつ、活性層に含まれるチャネル形成領域のサイズがチャネル長L=3μm、チャ
ネル幅W=100μmであるトランジスタを用いる。
【0210】
また、トランジスタ812として、酸化物半導体を活性層に含み、活性層の上部にソース
電極及びドレイン電極が接し、ソース電極及びドレイン電極と、ゲート電極とが重なるオ
ーバーラップ領域を設けず、幅1μmのオフセット領域を有するボトムゲート構造のトラ
ンジスタを用いる。オフセット領域を設けることにより、寄生容量を低減することができ
る。さらに、トランジスタ812として、活性層に含まれるチャネル形成領域が、下記の
表1の条件1から条件6に示すような、異なるサイズを有するトランジスタを用いる。
【0211】
【表1】

【0212】
なお、電荷注入用トランジスタ811を測定系801に設けない場合には、容量素子81
3への電荷注入の際に、リーク電流評価用トランジスタ812を一度オンにする必要があ
る。この場合、リーク電流評価用トランジスタ812が、オンからオフの定常状態となる
までに時間を要するような素子だと、測定に時間を要する。図12に示すように、電荷注
入用トランジスタ811と、リーク電流評価用トランジスタ812とを別々に測定系80
1に設けることにより、電荷注入の際に、リーク電流評価用トランジスタ812を常にオ
フに保つことができる。よって、測定に要する時間を短縮化することができる。
【0213】
また、電荷注入用トランジスタ811と、リーク電流評価用トランジスタ812とを測定
系801に別々に設けることにより、それぞれのトランジスタを適切なサイズとすること
ができる。また、リーク電流評価用トランジスタ812のチャネル幅Wを、電荷注入用ト
ランジスタ811のチャネル幅Wよりも大きくすることにより、リーク電流評価用トラン
ジスタ812のリーク電流以外の、特性評価回路内のリーク電流成分を相対的に小さくす
ることができる。その結果、リーク電流評価用トランジスタ812のリーク電流を高い精
度で測定することができる。同時に、電荷注入の際に、リーク電流評価用トランジスタ8
12を一度オンとする必要がないため、チャネル形成領域の電荷の一部がノードAに流れ
込むことによるノードAの電位変動の影響もない。
【0214】
一方、電荷注入用トランジスタ811のチャネル幅Wを、リーク電流評価用トランジスタ
812のチャネル幅Wよりも小さくすることにより、電荷注入用トランジスタ811のリ
ーク電流を相対的に小さくすることができる。また、電荷注入の際に、チャネル形成領域
の電荷の一部がノードAに流れ込むことによるノードAの電位変動の影響も小さい。
【0215】
また、図12に示すように、複数の測定系801を並列に接続させた構造にすることによ
り、より正確に特性評価回路のリーク電流を算出することができる。
【0216】
次に、図12に示す特性評価回路を用いた、トランジスタのオフ電流の具体的な算出方法
について説明する。
【0217】
まず、図12に示す特性評価回路のリーク電流測定方法について、図13を用いて説明す
る。図13は、図12に示す特性評価回路を用いたリーク電流測定方法を説明するための
タイミングチャートである。
【0218】
図12に示す特性評価回路を用いたリーク電流測定方法は、書き込み期間及び保持期間に
分けられる。それぞれの期間における動作について、以下に説明する。なお、書き込み期
間及び保持期間の両期間において、電位V2及び電位V4を0V、電位V3を5V、電位
Vext_cを0.5Vとする。
【0219】
まず、書き込み期間において、電位Vext_bを、トランジスタ812がオフとなるよ
うな高さの電位VL(−3V)に設定する。また、電位V1を書き込み電位Vwに設定し
た後、電位Vext_aを、一定期間トランジスタ811がオンとなるような高さの電位
VH(5V)に設定する。上記構成により、ノードAに電荷が蓄積され、ノードAの電位
は、書き込み電位Vwと同等の値になる。次いで、電位Vext_aを、トランジスタ8
11がオフとなるような高さの電位VLに設定する。その後、電位V1を電位VSS(0
V)に設定する。
【0220】
次に、保持期間において、ノードAが保持する電荷量の変化に起因して生じるノードAの
電位の変化量の測定を行う。電位の変化量から、トランジスタ812の第1端子と第2端
子の間を流れる電流値を算出することができる。以上により、ノードAの電荷の蓄積とノ
ードAの電位の変化量の測定とを行うことができる。
【0221】
ノードAの電荷の蓄積及びノードAの電位の変化量の測定(蓄積及び測定動作ともいう)
は、繰り返し行う。まず、第1の蓄積及び測定動作を15回繰り返し行う。第1の蓄積及
び測定動作では、書き込み期間に書き込み電位Vwとして5Vの電位を入力し、保持期間
に1時間の保持を行う。次に、第2の蓄積及び測定動作を2回繰り返し行う。第2の蓄積
及び測定動作では、書き込み期間に書き込み電位Vwを3.5Vとし、保持期間に50時
間の保持を行う。次に、第3の蓄積及び測定動作を1回行う。第3の蓄積及び測定動作で
は、書き込み期間に書き込み電位Vwを4.5Vとし、保持期間に10時間の保持を行う
。蓄積及び測定動作を繰り返し行うことにより、測定した電流値が、定常状態における値
であることを確認することができる。言い換えると、ノードAを流れる電流Iのうち、
過渡電流(測定開始後から時間経過とともに減少していく電流成分)を除くことができる
。その結果、より高い精度でリーク電流を測定することができる。
【0222】
一般に、ノードAの電位Vは、出力信号の電位Voutの関数として次式のように表す
ことができる。
【0223】
【数1】

【0224】
また、ノードAの電荷Qは、ノードAの電位V、ノードAに接続される容量C、定
数(const)を用いて、次式のように表される。ノードAに接続される容量Cは、
容量素子813の容量値と、容量素子813以外の容量が有する容量値の和である。
【0225】
【数2】

【0226】
ノードAの電流Iは、ノードAに流れ込む電荷(またはノードAから流れ出る電荷)の
時間微分であるから、ノードAの電流Iは次式のように表現される。
【0227】
【数3】

【0228】
例えば、Δtを約54000secとする。ノードAに接続される容量Cと、出力信号
の電位Voutから、ノードAの電流Iを求めることができるため、特性評価回路のリ
ーク電流を求めることができる。
【0229】
次に、上記特性評価回路を用いた測定方法による出力信号の電位Voutの測定結果及び
該測定結果より算出した特性評価回路のリーク電流の値を示す。
【0230】
図14に、一例として、条件1、条件2及び条件3における上記測定(第1の蓄積及び測
定動作)に係る経過時間Timeと、出力信号の電位Voutとの関係を示す。図15に
、上記測定に係る経過時間Timeと、該測定によって算出されたリーク電流との関係を
示す。測定開始後から出力信号の電位Voutが変動しており、定常状態に到るためには
10時間以上必要であることがわかる。
【0231】
また、図16に、上記測定により見積もられた条件1乃至条件6におけるノードAの電位
とリーク電流の関係を示す。図16では、例えば条件4において、ノードAの電位が3.
0Vの場合、リーク電流は28yA/μmである。リーク電流にはトランジスタ812の
オフ電流も含まれるため、トランジスタ812のオフ電流も28yA/μm以下とみなす
ことができる。
【0232】
以上のように、チャネル形成層としての機能を有し、高純度化された酸化物半導体層を含
むトランジスタを用いた特性評価用回路において、リーク電流が十分に低いため、該トラ
ンジスタのオフ電流が十分に小さいことがわかる。
【0233】
(実施の形態9)
本実施の形態では、本発明の半導体装置の一つであるRFタグの、構成の一例について説
明する。
【0234】
図17は本発明のRFタグの一形態を示すブロック図である。図17においてRFタグ5
50は、アンテナ回路551と、集積回路552とを有している。集積回路552は、電
源回路553、復調回路554、変調回路555、レギュレータ556、演算回路557
、記憶装置558、昇圧回路559を有している。
【0235】
次いで、RFタグ550の動作の一例について説明する。質問器から電波が送られてくる
と、アンテナ回路551において該電波が交流電圧に変換される。電源回路553では、
アンテナ回路551からの交流電圧を整流し、電源用の電圧を生成する。電源回路553
において生成された電源用の電圧は、演算回路557とレギュレータ556に与えられる
。レギュレータ556は、電源回路553からの電源用の電圧を安定化させるか、または
その高さを調整した後、集積回路552内の復調回路554、変調回路555、演算回路
557、記憶装置558または昇圧回路559などの各種回路に供給する。
【0236】
復調回路554は、アンテナ回路551が受信した交流信号を復調して、後段の演算回路
557に出力する。演算回路557は復調回路554から入力された信号に従って演算処
理を行い、別途信号を生成する。上記演算処理を行う際に、記憶装置558は一次キャッ
シュメモリまたは二次キャッシュメモリとして用いることができる。また演算回路557
は、復調回路554から入力された信号を解析し、質問器から送られてきた命令の内容に
従って、記憶装置558内の情報の出力、または記憶装置558内における命令の内容の
実行を行う。演算回路557から出力される信号は符号化され、変調回路555に送られ
る。変調回路555は該信号に従ってアンテナ回路551が受信している電波を変調する
。アンテナ回路551において変調された電波は質問器で受け取られる。
【0237】
このようにRFタグ550と質問器との通信は、キャリア(搬送波)として用いる電波を
変調することで行われる。キャリアは、125kHz、13.56MHz、950MHz
など規格により様々である。また変調の方式も規格により振幅変調、周波数変調、位相変
調など様々な方式があるが、規格に即した変調方式であればどの変調方式を用いても良い

【0238】
信号の伝送方式は、キャリアの波長によって電磁結合方式、電磁誘導方式、マイクロ波方
式など様々な種類に分類することができる。
【0239】
昇圧回路559は、レギュレータ556から出力された電圧を昇圧し、記憶装置558に
供給している。
【0240】
本発明の一態様では、記憶装置558が上記実施の形態に示した構成を有しており、デー
タを保持する期間を確保しつつ、単位面積あたりの記憶容量を高めることができることを
特徴とする。従って、本発明の一態様にかかるRFタグ550は、上記記憶装置558を
用いることで、データの信頼性を高めることができる。また、上記記憶装置558を用い
ることで、RFタグ550を小型化、或いは高機能化することができる。
【0241】
本実施の形態では、アンテナ回路551を有するRFタグ550の構成について説明して
いるが、本発明の一態様にかかるRFタグは、必ずしもアンテナ回路をその構成要素に含
む必要はない。また図17に示したRFタグに、発振回路または二次電池を設けても良い

【0242】
本実施の形態は、上記実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0243】
(実施の形態10)
本実施の形態では、本発明の一態様に係る記憶装置を用いた半導体装置の一つである、携
帯型の記憶媒体の一例について説明する。
【0244】
図18(A)に、本発明の一態様にかかる記憶媒体の構成を、一例として示す。図18(
A)に示す記憶媒体は、本発明の一態様に係る記憶装置701と、駆動装置と記憶媒体の
電気的な接続を行うコネクタ702と、コネクタ702を介して入出力される各種信号に
、仕様に合わせて信号処理を施すインターフェース703と、記憶媒体の動作状態などに
従って点灯する発光ダイオード704と、記憶装置701、インターフェース703、発
光ダイオード704などの、記憶媒体内の各種回路や半導体素子の動作を制御するコント
ローラ705とが、プリント配線基板706に実装されている。その他に、コントローラ
705の動作を制御するためのクロック信号を生成するのに用いられる水晶振動子、記憶
媒体内における電源電位の高さを制御するためのレギュレータなどが設けられていても良
い。
【0245】
図18(A)に示すプリント配線基板706は、図18(B)に示すように、コネクタ7
02と発光ダイオード704が一部露出するように、樹脂等を用いたカバー材707で覆
って、保護するようにしても良い。
【0246】
本発明の一態様にかかる記憶装置701は、データを保持する期間を確保しつつ、単位面
積あたりの記憶容量を高めることができることを特徴とする。従って、本発明の一態様に
かかる記憶媒体は、上記記憶装置701を用いることで、データの信頼性を高めることが
できる。また、上記記憶装置701を用いることで、記憶媒体を小型化することができる

【0247】
本実施の形態は、上記実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【実施例1】
【0248】
本発明の一態様に係る半導体装置を用いることで、信頼性が高い電子機器、高機能を有す
る電子機器を提供することが可能である。
【0249】
本発明の一態様に係る半導体装置は、表示装置、ノート型パーソナルコンピュータ、記録
媒体を備えた画像再生装置(代表的にはDVD:Digital Versatile
Disc等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうるディスプレイを有する装置)に用
いることができる。その他に、本発明の一態様に係る半導体装置を用いることができる電
子機器として、携帯電話、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、電子書籍、ビデオカメラ、デ
ジタルスチルカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)、ナビゲ
ーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、デジタルオーディオプレイヤー等)
、複写機、ファクシミリ、プリンター、プリンター複合機、現金自動預け入れ払い機(A
TM)、自動販売機などが挙げられる。これら電子機器の具体例を図19に示す。
【0250】
図19(A)は携帯型ゲーム機であり、筐体7031、筐体7032、表示部7033、
表示部7034、マイクロホン7035、スピーカー7036、操作キー7037、スタ
イラス7038等を有する。本発明の一態様に係る半導体装置は、携帯型ゲーム機の駆動
を制御するための集積回路に用いることができる。携帯型ゲーム機の駆動を制御するため
の集積回路に本発明の一態様に係る半導体装置を用いることで、信頼性が高い携帯型ゲー
ム機、高機能を有する携帯型ゲーム機を提供することができる。なお、図19(A)に示
した携帯型ゲーム機は、2つの表示部7033と表示部7034とを有しているが、携帯
型ゲーム機が有する表示部の数は、これに限定されない。
【0251】
図19(B)は携帯電話であり、筐体7041、表示部7042、音声入力部7043、
音声出力部7044、操作キー7045、受光部7046等を有する。受光部7046に
おいて受信した光を電気信号に変換することで、外部の画像を取り込むことができる。本
発明の一態様に係る半導体装置は、携帯電話の駆動を制御するための集積回路に用いるこ
とができる。携帯電話の駆動を制御するための集積回路に本発明の一態様に係る半導体装
置を用いることで、信頼性が高い携帯電話、高機能を有する携帯電話を提供することがで
きる。
【0252】
図19(C)は携帯情報端末であり、筐体7051、表示部7052、操作キー7053
等を有する。図19(C)に示す携帯情報端末は、モデムが筐体7051に内蔵されてい
ても良い。本発明の一態様に係る半導体装置は、携帯情報端末の駆動を制御するための集
積回路に用いることができる。携帯情報端末の駆動を制御するための集積回路に本発明の
一態様に係る半導体装置を用いることで、信頼性が高い携帯情報端末、高機能を有する携
帯情報端末を提供することができる。
【0253】
本実施例は、上記実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【符号の説明】
【0254】
101 メモリセル
102 トランジスタ
103 トランジスタ
104 容量素子
105 容量素子
106 トランジスタ
110 基板
111 絶縁膜
112 電極
113 絶縁膜
114 電極
115 ゲート電極
116 絶縁膜
117 活性層
118 ソース電極
119 ドレイン電極
120 絶縁膜
121 絶縁膜
122 絶縁膜
123 配線
130 導電膜
131 導電膜
132 活性層
133 絶縁膜
134 ゲート電極
135 導電膜
136 活性層
137 ゲート電極
138 コンタクトホール
139 絶縁膜
140 コンタクトホール
141 導電膜
142 コンタクトホール
143 コンタクトホール
144 導電膜
150 ゲート電極
151 絶縁膜
152 活性層
153 チャネル保護膜
154 ソース電極
155 ドレイン電極
156 絶縁膜
160 ゲート電極
161 絶縁膜
162 活性層
164 ソース電極
165 ドレイン電極
166 絶縁膜
200 記憶部
201 記憶部
260 トランジスタ
261 トランジスタ
262 オペアンプ
300 記憶装置
301 記憶部
302 駆動回路
303 読み出し回路
304 ワード線駆動回路
305 データ線駆動回路
306 制御回路
307 デコーダ
308 レベルシフタ
309 バッファ
310 デコーダ
311 レベルシフタ
312 セレクタ
550 RFタグ
551 アンテナ回路
552 集積回路
553 電源回路
554 復調回路
555 変調回路
556 レギュレータ
557 演算回路
558 記憶装置
559 昇圧回路
701 記憶装置
702 コネクタ
703 インターフェース
704 発光ダイオード
705 コントローラ
706 プリント配線基板
707 カバー材
801 測定系
811 トランジスタ
812 トランジスタ
813 容量素子
814 トランジスタ
815 トランジスタ
7031 筐体
7032 筐体
7033 表示部
7034 表示部
7035 マイクロホン
7036 スピーカー
7037 操作キー
7038 スタイラス
7041 筐体
7042 表示部
7043 音声入力部
7044 音声出力部
7045 操作キー
7046 受光部
7051 筐体
7052 表示部
7053 操作キー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリセルを有し、
前記メモリセルは、
酸化物半導体層を含むトランジスタと、
前記トランジスタに電気的に接続される容量素子と、
遮光性を有する層と、
を有し、
前記容量素子が有する一対の電極のうち、少なくとも一方の電極は遮光性を有し、
前記一方の電極と、前記遮光性を有する層との間に前記酸化物半導体層を有し、
前記酸化物半導体層のチャネル形成領域は、前記一方の電極及び前記遮光性を有する層の少なくとも一つで覆われていることを特徴とする記憶装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記酸化物半導体層のチャネル形成領域は、前記一方の電極及び前記遮光性を有する層と重なる領域を有していることを特徴とする記憶装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2において、
前記遮光性を有する層は、前記酸化物半導体層の吸収端波長をλとすると、
波長が100nm以上λ+100nm以下の光の透過率が50%以下であることを特徴とする記憶装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate


【公開番号】特開2012−256941(P2012−256941A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−204008(P2012−204008)
【出願日】平成24年9月18日(2012.9.18)
【分割の表示】特願2011−110948(P2011−110948)の分割
【原出願日】平成23年5月18日(2011.5.18)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】