説明

記録されたデータの情報部分を処理するための方法

【課題】高い装置/媒体のバージョンに対する(制限付の)前方互換性を提供する。
【解決手段】古い装置が装置自体によりサポートされるものよりも高いバージョン番号の情報を取り扱わなければならないときに、このより古い装置の定義済の挙動を提供する。より古い装置にその記録の制限付の(例えばプレイバック)機能を提供することにより、より古い装置が付加的に記憶される情報にダメージを与えないことが、より新しい装置に対して保証される。したがって、より新しい装置だけがこの付加的な情報を理解でき、正確に処理できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録されたデータの情報部分を処理するための方法、それぞれの処理装置及びそれぞれの記録媒体に関する。処理すべきデータを記録できるいくつもの媒体、例えば磁気テープ又はディスク、光学テープ又はディスク、ソリッドステートメモリ等々が存在する。このような記録媒体の各々に対して、データを記録する方式及びデータを編成する方式に関するいくつもの規格が存在する。
【背景技術】
【0002】
データを処理、例えば、記録するための新しい規格が登場した場合には、又は、このような規格の新しくアップグレードされたバージョンが登場した場合には、その新しい規格又はバージョンに従って動作する記録装置によって記録したものはより古いバージョンの記録装置では読み取ることができない。
【0003】
規格の中には、バージョン番号を記録された情報に割り当て、バージョン番号を使用して記録された情報のバージョンを示すものがある。もし或る装置がこの装置自身によりサポートされたバージョン番号よりも高いバージョン番号によるインデックスが付けられた情報を検出すれば、この装置はこのような情報を受け入れないだろう。なぜなら、この装置にとって、この情報の構造が不明だからである。この結果、この装置は、情報にアクセスできず、情報の更なる処理が停止してしまう。
【0004】
しかし、規格の将来のバージョンに配慮することは重要である。もし後のバージョンに配慮しないならば、古い装置の挙動は、バージョンが更新された情報を取り扱う場合に不安定になるだろう。古い装置の不安定な挙動又はこのような前方互換性(forward compatibility)を備えていないことは、大きな欠点である。
【発明の概要】
【0005】
本発明の課題は、前方互換性(または上位互換性)を提供することである。
【0006】
この課題は、請求項1に記載の方法によって解決される。
【0007】
記録されたデータは1つ又は複数の情報部分から成り、各情報部分が互いに関連しあっていることがある。すなわち、一般的に、記録されたデータの処理には処理すべき複数の異なる情報部分が必要となり、これらの情報部分が互いに参照しあっていることがある。各情報部分は、他の情報部分を変更することなしに記録されたデータを変更又は改変するために、変更できることがある。2つの情報部分が互いに参照しあう場合には、これらのうちの一方の変更には、整合性が失われないために、他方の変更が必要となることがある。規格の特定のバージョンにより与えられる規則は、このような必要性を配慮している。例えば、各処理のタイプとしては、生成プロセス(generating process)、読み取りプロセス(read process)、付加プロセス(append process)、すなわち情報部分の所定の位置に、好ましくは、その最後に何かを付け加えること、又は、編集プロセス(edit process)、すなわち情報部分の内容を変更することが挙げられる。本発明によれば、たとえ利用可能な処理のタイプが情報部分よりも以前の規格のバージョンに従っていても、情報部分は少なくとも利用可能な処理のタイプのうちのいくつかによって処理される。これには、規格のより新しいバージョンに従う少なくとも幾つかの処理のタイプについては、より古い装置が前方互換性を有するという利点がある。古い装置でも、この古い装置が従うバージョンよりも後の規格のバージョンに従う新しい装置により作成された情報部分を読み取ることができる。しかし、古い装置に付加又は編集処理タイプの実行を許可しないことによって規格のより後のバージョンに従う情報をこの古い装置が破壊しないようにする。
【0008】
好ましくは、情報部分バージョン番号が処理バージョン番号よりも低い場合には、処理は処理バージョン番号よりも低いバージョン番号を有する規格のバージョンに従って行われる。これにより、情報部分が従う規格の古いバージョンに従って意図された通りに処理された情報部分に含まれる情報の正確な解釈が保証される。好ましくは、処理は情報部分バージョン番号と同一の規格のバージョンに従って実行される。しかし、情報部分バージョン番号よりは高いが処理バージョン番号よりも高くないバージョン番号に従う処理は正確な解釈が保証される限りは行われる。
【0009】
好ましくは、処理バージョン番号と情報部分バージョン番号との差がおよそ所定の値よりも大きくならない限りは、処理が許可される。これにより、制限された前方制御(forward control)が保証される。この規格の将来のバージョンが、以前のバージョンにおいて互換性を有することが可能であったような処理のタイプにおいてさえ以前のバージョンとの一定の情報部分の互換性を保証するように設計できない場合には、規格のこの新しいバージョンのバージョン番号は、差が前記所定の値を越えるように選定される。これによって、例えば、この規格のどのバージョンに対しても読み取り処理は許可されるが、他方で付加処理はバージョンn.00に従う装置のバージョンn.xx及びn+1.xxに対してのみ許可される。付加処理においてより古い装置との互換性を保証しないような規格の新しいバージョンは、従って、バージョン番号n+2.xxを必要とする。
【0010】
本発明によれば、処理された情報部分には新しい情報部分バージョン番号が提供され、この新しい情報部分バージョン番号は前記処理された情報部分が伝送される前にこの処理された情報部分が従う規格の最低バージョンを示す。これにより、たとえ以前の処理が幾つかの特性を変更しても、そして、たとえこれらの変更が情報部分が以前従っていた規格のバージョンに従っていなくても、処理された情報部分の正確な後続処理が保証される。一般的に、このことにより情報部分バージョン番号が高くなる。しかし、処理の間に規格のより高いバージョンに従うために必要であった特性が除去された場合には、情報部分バージョン番号が低くなることもある。伝送は、この意味では、例えば有線又は無線による同一装置内の又は他の装置への伝送である。情報部分の伝送は、例えば表示されるために、記録されるために、後続処理されるために、又は、別の適切なやり方で取り扱われるために行われる。
【0011】
好ましくは、複数の情報部分バージョン番号が単一の情報部分に与えられる。これには、複数の処理タイプに対して異なるバージョン番号を割り当てることにより、互換性設計における柔軟性が高められるという利点がある。
【0012】
上記の方法を実行するための読み取り及び/又は記録装置もまた、本発明の一部である。
【0013】
本発明による記録媒体は本発明の方法又は類似の方法によって生成される情報部分を含む。このような記録媒体は記録されたデータの1つのセットに属する情報部分を含み、これらの情報部分は互いに関連しあい、組み合わされて記録されたデータを形成するが、これらの情報部分は相異なる情報部分バージョン番号を有する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の方法のフローチャートを示す。
【図2】本発明による記録媒体を示す。
【図3】各情報部分のバージョン番号を導出するフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を幾つかの具体的な実施例を挙げて説明するため、より多くの詳細について理解が得られるであろう。しかし、各機能の別の組み合わせも本発明の範囲に含まれる。
【0016】
図1は本発明の方法のフローチャートを示し、
図2は本発明による記録媒体を示している。ブロックの「最低バージョン番号導出」は図3に説明されている。
図3は各情報部分のバージョン番号を導出するフローチャートを示し、この処理内容は図2のブロックの「最低バージョン番号導出」を説明するものである。このフローチャートでは「nv」はバージョン番号を意味し、「ip」は情報部分を意味する。
【0017】
以下において、バージョン番号の定義について説明する。このバージョン番号は後のバージョンに対する装置の制限付の前方互換性を提供する。これはバージョン番号の意味を特別に定義することによって実行される。この特別な定義は後のバージョンに対する制限を含む。よって、後のバージョンの挙動は幾つかの規則に従う。これらの規則により、規格の後のバージョンの情報コンテナ、例えば記述子によりカバーされる情報の構造が保証される。
【0018】
情報部分、例えば個別のファイルは、情報部分バージョン番号invを含む。この情報部分バージョン番号invはこの情報部分を生成したエンコーダのバージョンを示す。なお、エンコーディング装置はこの生成されたバージョン番号invよりも高いバージョン番号をもつことさえある。また、1つの装置が異なるバージョン番号inv1、inv2、…を異なる情報部分ip1、ip2、…に対して生成することもある。
【0019】
別の装置がこのような情報部分ip1、ip2、…を処理するならば、この別の装置は個々の情報部分バージョン番号inv1、inv2、…を探す。もしこのような情報部分のバージョン番号invがこの装置自体によりサポートされる処理バージョン番号rnv以下であるならば、全ての機能のフルサポートがこの装置によって提供される。
【0020】
もしこのような情報部分ipのバージョン番号invがこの装置自体によりサポートされる処理バージョン番号rnvよりも高いならば、この装置は情報部分ip、さらに、割り当てられたデータ及び情報に対する制限付のアクセスだけをサポートする。この制限付のアクセスとは、アクセスが例えば情報部分及びその割り当てられたデータに対する読み取り処理、例えばプレイバックだけに、又は、情報部分及びその割り当てられたデータの読み取り処理及び制限付の書き込み処理、例えば新しい情報及びデータを付加することに制限されていることを意味する。制限された書き込み処理とは、情報部分又は割り当てられたデータ及び情報の変更が制限されたやり方で行われるように許可されており、例えば、新しいデータ又は情報を付加するように許可されているが、既に記録された情報及びデータの変更が禁止されることを意味する。
【0021】
より柔軟な前方互換性をサポートするためには、好ましくは、複数のバージョン番号インジケータが同一の情報部分ipに対して提供される。以下に例を挙げる。第1のバージョン番号invは後のバージョンの装置における情報部分ipの、例えば、プレイバックのための読み取り可能性を定義する。
【0022】
同一の情報部分ipの第2のバージョン番号invは編集処理、例えば情報及びデータをカット及び変更する処理のための制限付の書き込みアクセスを定義する。
【0023】
同一の情報部分ipの第3のバージョン番号invは、情報部分ip及びその割り当てられた情報及びデータに新しい情報及びデータを付加するための制限付の書き込みアクセスを定義する。
【0024】
第4のバージョン番号は情報部分を生成するために使用されたエンコーダの実際のバージョン番号を示す。これはとりわけより高いバージョンrnvの複数の装置に対して有効である。これらの装置は、このような情報を、例えばこの仕様の既知のバグ又は既知の装置バグを自動的に補正するために又はこの仕様の既知のバグ又は既知の装置バグに対する回避方法を自動的に提供するために利用する。
【0025】
次のテーブルは挙動を記述している。
【0026】
【表1】

【0027】
指示「イエス」は、個々の処理のタイプが許可されていることを意味し、「ノー」は個々の処理のタイプが許可されていないことを意味する。幾つかの制約が(1)〜(4)によって示されており、これらは、以下の意味を有する。
(1)しかし、古いバージョンの機能だけがサポートされるだろう。
(2)新しい装置は規格の古いバージョンをサポートする必要がある。これが必要となる理由は、より新しい装置であっても、古いバージョン用に記憶された情報を解釈できるようにするためには、古いバージョンを知らなければならないからである。
(3)この機能は、サポートされる(「イエス」)こともあれば、サポートされない(「ノー」)こともある。これは、バージョン番号差のレベルと、装置の処理バージョン番号rnvと情報部分バージョン番号invとの間の構造差がどれほど大きいかに依存する。
(4)情報部分の変更はサポートされない。なぜなら、古い装置にとっては、規格の新しいバージョンによりサポートされる付加的な情報については不明であるからである。情報の変更は情報部分ipの特定の部分内での不整合をもたらし、この特定の部分は新しい装置によってのみサポートされる。それゆえ、古い装置に対して、規格のより新しいバージョンにより生成された既に記憶された情報を変更することが強く禁止される。
【0028】
図1はどの処理タイプが特定の情報部分ipにとって利用可能となるかを決定する方法に関するフローチャートを示す。
【0029】
もし規格の実際のバージョンが複数の情報部分を完全な情報セットの部分として定義するならば、本発明によれば、装置はできるだけ多くの機能及びより古い装置へのアクセスを提供するために、各情報部分ipを低くて有効な情報部分バージョン番号によって記憶する。例えば、もし1つの情報部分に対し、音声コメントを提供するためにより高い情報部分バージョン番号が必要であるのに、音声コメントがこの記録に対して行われなかったならば、この情報部分は規格の古いバージョンにより定義されたフォーマットを使用して記憶される。
【0030】
情報部分バージョン番号invがどのように処理の間に変わるかに関する例を以下に説明する。
装置は、各々が情報部分バージョン番号inv1、inv2、inv3、inv4を有するちょうど4つの情報部分ip1、ip2、ip3、ip4をサポートする。この装置は処理バージョン番号rnv=3.0及び全てのそれ以前の処理バージョン番号1.0、1.1、1.2、2.0をサポートする。
【0031】
ip1の履歴:バージョン番号1.0で開始され、1.1に僅かに変更され、1.2には変更されず、2.0に僅かに変更され、3.0には変更されない。
【0032】
ip2の履歴:バージョン番号1.0で開始され、包括的に3.0に変更されるまでは変更されない。
【0033】
ip3の履歴:バージョン番号2.0で開始され、オプションの付加的な情報をサポートするように拡張され(音声コメントだけが規格のこのバージョンに加えられ)バージョン番号3.0に僅かに変更される。
【0034】
ip4の履歴:バージョン番号3.0で開始される。これはip1の内容へのリンクを含む。ip1内容の変更はip4情報の変更を要する。ip4の記録はオプションである。ip4は記録に関する付加的なメタデータが(記録の間に)受信された場合に記録される。
【0035】
事例シナリオ番号1:
(バージョン3.0の)記録装置は記録を行う。音声コメントは行われず、付加的なメタデータは受信されない。
【0036】
使用されたバージョン番号は4つの情報部分の使用されたバージョン番号により記述される。
ip1:2.0、なぜならバージョン3.0のip1とバージョン3.0のip1との間には差がなく、しかもip4は記録されていないから。
【0037】
ip2:1.0、なぜならバージョン1.0と3.0のip2は同じであり、しかも他の情報部分へのバージョンに依存する関連は存在しないから。
【0038】
ip3:2.0、なぜなら音声コメントは行われないから。それゆえ、ip3に対するバージョン3.0は必要ない。
【0039】
ip4:記録されない、なぜなら付加的なメタデータは記録されなかったから。
【0040】
事例シナリオ番号2:
スタート地点:シナリオ1(先のシナリオ)の結果。ここで、ユーザは(オフラインで)音声コメントを実行する。使用されたバージョン番号は4つの情報部分の使用されたバージョン番号により記述される。
ip1:2.0、変更の必要なし。
【0041】
ip2:1.0、変更の必要なし。
【0042】
ip3:3.0、なぜならこのバージョンだけが音声コメントをサポートするから。
【0043】
ip4:記録されない、なぜなら付加的なメタデータは記録されなかったから。
【0044】
事例シナリオ3:
スタート地点:シナリオ2(先のシナリオ)の結果。ここで、ユーザは(例えばインターネットを介して)付加的なメタデータをその記録のために受信する。使用されたバージョン番号は4つの情報部分の使用されたバージョン番号により記述される。
ip1:3.0、ここでip4は記録された:ip1の変更がip4の内容に関連する不整合を生じさせるだろう。それゆえ、バージョン3.0の装置だけは全ての情報部分の整合性を保持するために必要に応じてip1を変更できるだろう。
【0045】
ip2:1.0、変更の必要なし。
【0046】
ip3:3.0、変更の必要なし。
【0047】
ip4:3.0、なぜなら、これは付加的なメタデータのための場所だから。この情報部分の(新たな)存在のために、ip1はより古い装置がip1内部のデータを編集(例えばカット又は削除)してはならないことを示すためにバージョン3.0でなくてはならない。というのも、これはip1とip4との間の不整合を生じさせる可能性があるからである。
【0048】
第3のシナリオの後で、例えばバージョン2.0の装置はip1、ip2、ip3をプレイバックのために使用することができ、新しい記録を付加することができ、この装置はip2を編集することできるだろう。なぜなら、ip2は未だにバージョン1.0とマーキングされているからである。しかし、この装置はip1、ip2又はip4さえも編集することは許可されていない。もちろん、ip4の存在はバージョン2.0の装置には知られていない。
【0049】
事例シナリオ番号4:
スタート地点:シナリオ3(先のシナリオ)の結果。ここで、ユーザはip4を除去する。使用されたバージョン番号は残る3つの情報部分の使用されたバージョン番号によって記述される。
ip1:1.0(ここで、ip4は除去された:ip1だけの変更はもはや残りの情報部分間のいかなる不整合ももたらさないだろう。それゆえ、バージョン1.0の装置はもし望ましいならばip1の変更を実行してもよい)。
【0050】
ip2:1.0(変更の必要なし)。
【0051】
ip3:3.0(変更の必要なし)。
【0052】
ip4:除去された。
【0053】
記憶された情報部分のいずれかによって使用された最高バージョン番号を、情報部分によって制御される記録されたデータ、例えばストリームに自動的に割り当てることが推奨される。すなわち、より古い装置は記録されたデータを編集しない。結果として、(より新しい)情報部分との記録されたデータの整合性が保持される。この規則を仕様の一部として実施することが強く推奨される。
【0054】
記録の場合には、バージョン番号の生成に対して以下の制限を適用すべきである。
(バージョン番号によって記述される)フォーマット・バージョンが使用され、このフォーマット・バージョンは、この情報部分に対する全ての必要なプロパティ(例えば機能)をカバーする。
【0055】
(より古い装置に対するできるだけ大きな互換性を提供するために)情報部分のバージョン番号はできるだけ低くする。
【0056】
関連付けられた情報部分が存在する場合には、(より古い装置による情報部分の編集の後で(しかし)リンクされた情報部分間の不整合を回避するために)バージョン番号が関連付けられた情報部分への完全な依存関係を正確に知っている編集装置を必要とするように(十分に高く)バージョン番号は選択される。
【0057】
本発明の方法、装置及び媒体はより高い装置/媒体バージョンに対する(制限付の)前方互換性を提供する。もしより古い装置がこのより古い装置自体によりサポートされるものよりも高いバージョン番号の情報を取り扱わなければならないならば、このより古い装置の定義済みの挙動が提供される。本発明の装置はその記録の制限付の(例えばプレイバック(再生))機能をより古い装置に提供することができる。従って、より古い装置が付加的に記憶された情報にダメージを与えないことがより新しい装置には保証される。このことが重要である理由は、より新しい装置だけがこの付加的な情報を理解でき、正確にそれを処理できるからである。
【0058】
本発明のコンセプトはほぼどんな種類の(将来の)技術仕様又は規格にも利用可能である。本発明は、後のバージョンに対する装置の制限された前方互換性を提供するバージョン番号の定義について記載している。これはバージョン番号の意味の特別な定義によって実行される。この特別な定義は後のバージョンに対する制限を含む。よって、後のバージョンの挙動は幾つかの規則に従う。これらの規則は、後の仕様バージョンの情報コンテナ(例えば記述子)によりカバーされる情報の構造を保証する。もちろん、これらの規則は同一の規格の全てのバージョンにおいて定義されるべきである。もしこれらの規則を必要としないようなバージョンが1つ存在するならば、おそらく、このバージョン及び全てのそれ以前のバージョンに対する前方互換性を保証できないであろう。
【符号の説明】
【0059】
ip1、ip2、… 記録されたデータの情報部分
inv1、inv2、… 情報部分バージョン番号
rnv 処理バージョン番号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録されたデータの情報部分を処理するための方法において、
各情報部分には情報部分バージョン番号が与えられており、該情報部分バージョン番号は前記情報部分が従っている規格のバージョンを示し、各情報部分は異なるバージョン番号を有することができ、利用可能な複数の異なる処理のタイプを実行するために、処理は処理バージョン番号により示される前記規格のバージョンに応じて実行され、
前記方法は、
前記情報部分の前記情報部分バージョン番号を読み取るステップと、
読み取られた前記情報部分バージョン番号を前記処理バージョン番号と比較するステップと、
もし前記読み取られた情報部分バージョン番号が前記処理バージョン番号以下であるならば、行われるべき全ての処理のタイプを許可するステップと、
さもなくば、行われるべき幾つかの処理のタイプだけを許可するステップと、
前記許可された処理のタイプを使用して前記情報部分を処理するステップと、
を有する、前記記録されたデータの情報部分を処理するための方法。
【請求項2】
読み取られた情報部分バージョン番号が処理バージョン番号より低いならば、該処理バージョン番号より低いバージョン番号を有する規格のバージョンに従って少なくとも1つの情報部分に対する処理を実行することを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
情報部分バージョン番号と処理バージョン番号とは異なっているが、この差が所定の値を越えていない場合には、行われるべき処理のタイプを許可することを特徴とする、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
処理の後で、
処理された情報部分には新しい情報部分バージョン番号を与え、該情報部分バージョン番号は処理された情報部分が従っている規格の最低バージョンを示しており、
前記処理された情報部分を伝送することを特徴とする、請求項1〜3のうちの1項記載の方法。
【請求項5】
複数の異なる種類の処理のタイプのために単一の情報部分に複数の異なる種類の情報部分バージョン番号を与えることを特徴とする、請求項1〜4のうちの1項記載の方法。
【請求項6】
請求項1〜5のうちの1項記載の方法を実行するための読み取り及び/又は記録装置。
【請求項7】
複数の異なる情報部分バージョン番号を有する、請求項1〜5のうちの1項記載の方法又は請求項6記載の装置により生成される情報部分を有する記録媒体。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−14708(P2012−14708A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−166440(P2011−166440)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【分割の表示】特願2003−529467(P2003−529467)の分割
【原出願日】平成14年9月16日(2002.9.16)
【出願人】(501263810)トムソン ライセンシング (2,848)
【氏名又は名称原語表記】Thomson Licensing 
【住所又は居所原語表記】1−5, rue Jeanne d’Arc, 92130 ISSY LES MOULINEAUX, France
【Fターム(参考)】