説明

記録シート

【課題】 本発明は、感圧記録、及び感熱記録が可能な記録層を有する記録シートに関する。さらに、感圧記録及び感熱記録が可能な記録層を備えた層と、例えば感熱記録層を更に備えた他の層とが擬似接着層を介して接着したものであって、地肌汚れがなく保存性に優れ、更には感圧、感熱発色濃度が高く、且つ感度に優れ、巻物状に形成することも可能な記録シートを提供する。
【解決手段】第1の基材層と感圧記録及び感熱記録が可能な記録層をともに備える第1層と、第2の基材層を少なくとも備える第2層とを有し、第1層の感圧記録層と感熱記録層の間に中間層を設けたことを特徴とし、第2層が擬似接着層を介して第1層の記録層側に積層した記録シートであり、擬似接着層は、ウェットラミネート法で形成されたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感圧記録、及び感熱記録が可能な記録層を有する記録シートに関する。
【背景技術】
【0002】
加圧により記録がなされる感圧記録は、記録と同時に複写もできる記録方法であるため
、領収書や預り書などに古くから採用されている。また、感熱記録は印字装置がコンパクトで比較的安価であるためファクシミリや各種プリンター等で採用されている。
近年では、例えば特許文献1などに記載されているように、感圧記録が可能な層と、感熱記録層などの他の層とが重ねられた多層構造の記録シートも提案されている。このような多層構造の記録シートにおいては、通常、各層がずれたり、バラバラになったりしないように、端部のみを部分的に接着しておく方法、各層の端部にスプロケットホールを形成し、ここに紙送りロールのピンを嵌合させて各層がずれないように保持する方法などが一般に採用されている。
【特許文献1】特開2004−142141号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
感圧記録と感熱記録とを同時に記録が可能な記録シートを得る方法としては、感圧記録層上に感熱記録層をダイレクトに設ける手法が最も容易かつ安価な方法となるが、そのように積層された記録層は感圧記録層中の顕色剤と感熱記録層中の発色剤との反応により、所謂地肌かぶりが発生し、非印字部分の白色度が低下したり、保存性に劣り、更には感圧・感熱発色濃度の低下や感度が低下するという問題がある。
また、別の問題点として端部のみが部分的に接着された記録シートや、スプロケットホールにピンを嵌合させて各層がずれないように保持された記録シートでは、これを巻物状にすることが困難である。そのため、このような記録シートは、特許文献1の図6にも示されているように連続帳票の形態とされる場合が多かったが、連続帳票は、巻物状のものに比べて取り扱いにくいという問題点があった。
【0004】
これら感圧及び/または感熱の発色性能低下の問題を解決するためには、記録シートの層間にドライラミネート法などで接着層を形成し、この接着層を介して各層を貼り合わせ、一体化したうえで、巻物状にすることも考えられる。
そして、この際、接着層として、近年、記録シートの分野で実用化されている、接着対
象の2層を剥離可能に、かつ、再貼付不可能に接着する擬似接着層を設けると、巻物状に
でき、しかも、擬似接着層を介して2層に剥離でき、例えば領収証などとしての使用も可
能な幅広い用途の記録シートを提供できると考えられる。
【0005】
ところが、ドライラミネート法では、対象となる2層のうちの一方の表面に擬似接着剤
を塗布、乾燥した後、これに他方を重ね合わせ圧着させるため、接着時には高い圧力が加
わることとなる。そのため、感圧記録が可能な記録層を備えた記録シートの場合には、こ
の圧力により該記録層が発色し、得られた記録シートには地肌汚れが生じてしまうという
問題がある。そのため、感圧記録及び感熱記録が可能な記録層を備え、かつ、擬似接着層により層間が接着した記録シートの実用化は困難であった。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、感圧記録及び感熱記録が可能な記録層を備えた層と、例えば感熱記録層を更に備えた他の層とが擬似接着層を介して接着したものであって、地肌汚れがなく保存性に優れ、更には感圧、感熱発色濃度が高く、且つ感度に優れ、巻物状に形成することも可能な記録シートを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは鋭意検討した結果、感圧記録層と感熱記録層との間に特定のマレイン酸系共重合ポリマーを含有した中間層を設け、かつ該感熱記録層を有する層と他の層とが接着するための擬似接着層を、ウェットラミネート法で形成することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の記録シートは、第1の基材層と感圧記録が可能な感圧記録層、中間層及び感熱記録が可能な感熱記録層を備える第1層と、第2の基材層を少なくとも備える第2層とを有し、前記第2層が擬似接着層を介して前記第1層の前記記録層側に積層した記録シートであって、前記擬似接着層は、ウェットラミネート法で形成されたことを特徴とする。
また、前記中間層が、イソブチレン・無水マレイン酸系共重合物のアルカリ塩を含有する記録シートであることが好ましい。
さらに、前記記録シートの前記感圧記録層は、発色剤と顕色剤とを含有する自己発色性の感圧記録層であることを特徴とし、前記第2層は、感熱記録層を有していてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、感圧記録及び感熱記録が可能な層を備えた層と、例えば感熱記録層を備えた他の層とがウエットラミネート法で形成された擬似接着層を介して接着したものであって、地肌汚れがなく保存性が良好で、感圧及び感熱発色性能、感度特性に優れ、巻物状にすることも可能な記録シートを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の記録シートは、第1の基材層と感圧記録及び感熱記録が可能な記録層をともに備える第1層と、第2の基材層を少なくとも備える第2層とを有し、第1層の感圧記録層と感熱記録層の間に中間層を設けたことを特徴とし、第2層が擬似接着層を介して第1層の記録層側に積層した記録シートであり、擬似接着層は、ウェットラミネート法で形成されたものである。
以下、本発明の記録シートについて、実施形態例を挙げて詳細に説明する。
なお、本発明において「感圧記録が可能な記録層」とは、少なくとも加圧により発色する層のことを指し、特に発色剤と顕色剤とを含有する自己発色性の感圧記録層を設けることが好ましい態様である(第1実施形態例)。
【0010】
[第1実施形態例]
図1は第1実施形態例の感圧・感熱併用式の記録シート10Aを示すものであって、第1の基材層12の片面に、自己発色性の感圧記録層(感圧記録が可能な記録層)13と中間層14と感熱記録層15が順次形成された第1層11と、第2の基材層16の片面に感熱記録層17が形成された第2層18とが、ウェットラミネート法で形成された擬似接着層19を介して積層したものである。この例では、第1層11の感熱記録層15と、第2層18の第2の基材層16とが、擬似接着層19を介して隣接するように配置されている。
この例の記録シート10Aは、第2層18の感熱記録層17の外面側から加圧されたり
加熱されたりすることで、文字、画像などが記録されるものである。
【0011】
(第1の基材層12および第2の基材層16)
ここで第1の基材層12および第2の基材層16としては、パルプを主成分とする紙基
材、各種樹脂を主成分とするフィルム基材などが使用でき、単層のものでも複数の層から
なる多層のものでもよいが、擬似接着層19がウェットラミネート法で形成されたもので
あるため、これら基材層12,16のうち少なくとも一方は、透気性を有するものである
ことが好ましい。すなわち、詳しくは後述するが、擬似接着層19を形成する場合には、
第1層11または第2層18の一方の片面に擬似接着層形成用の塗工液を塗布し、他方を
貼り合わせた後、乾燥する。そのため、第1の基材層12及び/または第2の基材層1
6が透気性を有していると、塗工液中の溶媒が外部に蒸散しやすい。
第1の基材層12の厚みには特に制限はないが、接着加工適性、取扱性などの点から、
40〜100μmが好ましい。
【0012】
第2の基材層16の厚さにも特に制限はないが、第2の基材層16の厚さが小さいほど
、第1層11の感熱記録層15に伝達される熱量が大きくなるため、感熱記録層15に記
録される情報の記録濃度が高くなり、鮮明となる。一方、厚さが大きいほど、第2の基材
層16の加工性が向上する。これらの観点から、第2の基材層16は、坪量が3〜60g
/mであることが好ましく、5〜40g/mであることがより好ましい。
また、第2の基材層16の密度が高いほど、第1層11の感熱記録層15に伝達される
熱量が大きくなるため、感熱記録層15に記録される情報の記録濃度が高くなり、鮮明と
なる。また、第2の基材層16が紙基材の場合、その密度が高いほど透明性も高くなる。
そのため、第2の基材層16としては、密度が0.80g/cm以上のものが好ましく
、0.85〜1.6g/cmの範囲内のものがより好ましい。特に、紙基材である場合
には密度0.85〜1.3g/cmのものが好ましく、フィルム基材である場合には、
密度0.9〜1.6g/cmのものが好ましい。
【0013】
(感圧記録層13)
この例の感圧記録層13は、発色剤を含有するマイクロカプセルと顕色剤とを含有する
、いわゆる自己発色性のものであって、加圧によりマイクロカプセルが破壊され、発色剤
と顕色剤とが接触、反応することで発色するものである。
このような感圧記録層13は、発色剤を含有するマイクロカプセルを含み、顕色剤を含
まない層(以下、発色剤層という場合もある。)と、顕色剤を含み、発色剤を含有するマ
イクロカプセルを含まない層(以下、顕色剤層という場合もある。)とが別々に形成され
た多層構造のものでも、発色剤を含有するマイクロカプセルと顕色剤との両方を含有する
層(以下、発色剤・顕色剤層という場合もある。)からなる単層構造のものでもよい。
【0014】
発色剤としては、通常、電子供与型有機発色剤が使用され、顕色剤としては、通常、電
子受容型有機顕色剤が使用されるが、顕色剤として無機顕色剤を使用してもよい。
電子供与型有機発色剤としては、トリアリールメタン系化合物、ジアリールメタン系化
合物、キサンテン系化合物、チアジン系化合物、スピロピラン系化合物、ラクタム系染料
、フルオラン系染料等が使用でき、一般に感圧記録材料や感熱記録材料に用いられている
ものが好適に使用できる。これらは1種単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
【0015】
具体的には、例えば、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルア
ミノフタリド(すなわち、クリスタルバイオレットラクトン)、3,3−ビス(p−ジメ
チルアミノフェニル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1,2−
ジメチルインド−ル−3−イル)フタリドなどのトリアリールメタン系化合物、4,4−
ビス−ジメチルアミノベンズヒドリルベンジルエーテル、N−2,4,5−トリクロロフ
ェニルロイコオーラミンなどのジフェニルメタン系化合物、7−ジエチルアミノ−3−ク
ロロフルオラン、7−ジエチルアミノ−3−クロロ−2−メチルフルオラン、2−フェニ
ルアミノ−3−メチル−6−(N−エチル−N−p−トリルアミノ)フルオランなどのフ
ルオラン系化合物、ベンゾイルロイコメチレンブルー、p−ニトロベンゾイルロイコメチ
レンブルーなどのチアジン系化合物、3−メチル−スピロ−ジナフトピラン、3−エチル
−スピロ−ジナフトピラン、3−プロピル−スピロ−ジナフトピラン、3−プロピル−ス
ピロ−ジベンゾピペランなどのスピロ系化合物等、特公昭58−5940号、同49−1
7489号、同63−51113号、特公平4−5064号、同4−5065号、同4−
5066号、同4−5068号、特開昭62−243652号、同62−243653号
、同62−257970号、同62−288078号、同63−102975号、同63
−37158号、同63−154389号、同63−185674号、同63−2303
87号、特開平4−173288号、同5−32040号等の各公報に記載の化合物など
が挙げられる。
【0016】
発色剤を含有するマイクロカプセルは、通常、油(以下、カプセル油という場合もある
。)に発色剤が溶解した液滴を内包した形態になっている。
カプセル油としては、ジアリールアルカン系、アルキルナフタレン系、アルキル化ビフ
ェニル、水添ターフェニルなどの芳香族合成油、ケロシン、ナフサ、パラフィン油、塩素
化パラフィンなどの脂肪族合成油、綿実油、大豆油、亜麻仁油などの植物油等が使用でき
、一般にノーカーボン感圧記録材料に用いられているものが好適に使用できる。これらの
なかでは、染料溶解性、安定性などから、芳香族合成油が特に好ましい。これらは1種単
独で使用しても2種以上を併用してもよい。
【0017】
感圧記録の分野では、マイクロカプセルとしては、従来、コアセルベーション法による
ゼラチン系カプセルが主流であったが、原材料が安く安定に供給される点、高濃度マイク
ロカプセルエマルジョンが得られる点、製造工程が簡単である点などから、現在では界面
重合法による合成樹脂系マイクロカプセルが主流となっている。具体的には、油水の界面
で、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリアミド樹脂等を生成させる方法(特公昭4
2−446号、特公昭42−771号、特公昭47−1763号、特公昭54−6506
号、特開昭58−55036号等)や、in−situ重合法によって尿素−ホルムアル
デヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−尿素−ホルムアルデヒド樹脂
等のアミノアルデヒド樹脂をカプセル壁膜として用いる方法(特開昭51−9079号、
特開昭54−49984号、特開昭56−51238号、特開昭56−102934号)
等が挙げられる。本例においてもこれら合成樹脂系マイクロカプセルが好ましく使用され
る。
【0018】
in situ重合法カプセル化に用いられる乳化剤は、高分子電解物質が好ましい。
具体的には、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−ベンジルメタクリレート−
無水マレイン酸共重合体、α−アルキルスチレン−無水マレイン酸共重合体、核モノアル
キル置換スチレン−無水マレイン酸共重体、核ジアルキル置換スチレン−無水マレイン酸
共重合体、スチレン−無水マレイン酸モノアルキルエステル共重合体、エチレン−無水マ
レイン酸共重合体、ポリスチレンスルホン酸、ポリアクリル酸、アクリル酸−アクリル酸
エステル共重合体等の水溶液またはこれらの混合水溶液が用いられる。
【0019】
界面重合法に用いられる乳化剤としては、in situ重合法において例示したもの
に加えて、PVA、CMC、HEC、各種(小麦、馬鈴薯、とうもろこし等)澱粉等の水
溶液またはこれらの混合水溶液も用いられる。なお、乳化剤には、マイクロカプセル化に
問題を生じない程度に、ノニオン系、カチオン系、両イオン系の界面活性を持つ公知の物
質を添加し、併用してもよい。
【0020】
発色剤を含有するマイクロカプセルの大きさ(コールターカウンターでの50%体積平
均直径)は、0.5〜20μmの範囲が好ましく、特に1〜10μmの範囲が好ましい。
【0021】
電子受容型有機顕色剤および無機顕色剤としては特に限定されず、例えば有機顕色剤と
しては、フェノール−アルデヒド重合体、フェノール−アセチレン重合体等のフェノール
重合体またはそれらの多価金属塩、サリチル酸誘導体、サリチル酸系樹脂等の芳香族カル
ボン酸系化合物またはこれらの多価金属塩等、一般にノーカーボン感圧記録材料、感熱記
録材料の分野で用いられるものが好適に使用される。これらは1種単独で使用しても2種
以上を併用してもよいが、これらのなかでは芳香族カルボン酸系化合物やこれらの多価金
属塩は印字濃度が高く、また日光等の光に対する堅牢性に優れていることから好ましい。
【0022】
サリチル酸誘導体としては、3−フェニルサリチル酸、5−フェニルサリチル酸、3−
ベンジルサリチル酸、5−ベンジルサリチル酸、3−(α−メチルベンジル)サリチル酸
、5−(α−メチルベンジル)サリチル酸、3−(α,α−ジメチルベンジル)サリチル
酸、5−(α,α−ジメチルベンジル)サリチル酸、3,5−ジフェニルサリチル酸、3
,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸、3,5−ジベジルサリチル酸、3,5−ジ
(α,α−ジメチルベンジル)サリチル酸、3,5−ジ(4−メチルベンジル)サリチル
酸等、芳香族置換基を少なくとも1個有する化合物が挙げられる。これらは、好ましくは
多価金属塩として用いられる。
サリチル酸系樹脂としては、前記のサリチル酸誘導体とスチレン、o−メチルスチレン
、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン
等のスチレン誘導体を、モル比1:0.5〜10で共酸触媒下にフリーデルクラフツ反応
させて得られるサリチル酸系樹脂が例示でき、好ましくは多価金属塩化したものが使用さ
れる。
また、特開平2−563号公報に開示されているサリチル酸類や、それと多価金属化合
物とからなる多価金属塩も好ましい顕色剤として挙げることができる。サリチル酸類とし
ては、総炭素数が8以上、特に8〜20でアルキル基を有するサリチル酸誘導体が好まし
く用いられる。
これらの化合物は1種単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
【0023】
多価金属塩は、例えば、次のような方法で製造される。サリチル酸誘導体をエーテル類
、ケトン類、酢酸エステル類等の溶媒に溶解し、多価金属と無機アンモニウム塩を加えて
、40〜100℃で1〜6時間加熱し、生成物の濾過、蒸留を行ない、未反応の無機化合
物と溶媒を除去する。
多価金属の具体的な例としては、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、アルミニウム、鉄
、コバルト、ニッケル等が挙げられ、これらは1種単独で使用しても2種以上を併用して
もよいが、亜鉛が好ましい。
また、無機顕色剤としては、酸性白土、アタパルガイトクレー、半合成固体酸などが挙
げられる。
【0024】
感圧記録層13が発色剤層と顕色剤層とを有する多層構造である場合、発色剤層は、発
色剤を含有するマイクロカプセルの他にバインダーを含有し、顕色剤層は、微粒子状にさ
れた顕色剤の他にバインダーを含有する。また、発色剤層と顕色剤層には、必要に応じて
顔料が含まれてもよい。
【0025】
バインダーとしては、例えばポリビニルアルコール及びその誘導体、澱粉及びその誘導
体、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセ
ルロース、メチルセルロース、エチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリアクリル酸
ソーダ、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド−アクリル酸エステル共重合体、アクリ
ルアミド−アクリル酸エステル−メタアクリル酸エステル共重合体、スチレン−無水マレ
イン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、カゼイン、ゼラチン及びそれ
らの誘導体等の水溶性高分子材料、並びに、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリアクリ
ル酸、ポリアクリル酸エステル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリブチルメタクリ
レート、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のエマルジョンやスチレン−ブタジエン共重合
体、スチレン−ブタジエン−アクリル系共重合体などの水不溶性重合体のラテックスなど
をあげることができる。
【0026】
顔料としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化マ
グネシウム、二酸化チタン、カオリン、クレー、焼成カオリン、デラミネーテッドカオリ
ン、構造化カオリン、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム等の無機顔料およびポリスチレ
ン樹脂微粒子、尿素ホルマリン樹脂微粒子、微小中空粒子等の有機顔料(プラスチックピ
グメント)等が使用される。これらバインダーや顔料は、1種単独で使用しても2種以上
を併用してもよい。
また、発色剤層および顕色剤層は、必要に応じて耐水化剤、硬化剤、架橋剤、消泡剤、
着色剤、濡れ剤、流動変性剤、防腐剤、界面活性剤等の各種添加剤を適宜含んでもよい。
【0027】
感圧記録層13が発色剤・顕色剤層からなる単層構造である場合には、この層には、発
色剤を含有するマイクロカプセルと、微粒子状の顕色剤と、バインダーと、顔料とが含ま
れる。バインダー、顔料、添加剤としては、先に例示したものを適宜使用できる。
【0028】
(感熱記録層15,17)
感熱記録層15,17は、加熱により発色するものであって、反応性染料を含み、顕色
剤を含まない層(以下、反応性染料層という場合もある。)と、顕色剤を含み、反応性染
料を含まない層(以下、顕色剤層という場合もある。)とが別々に形成された多層構造の
ものでも、反応性染料と顕色剤の両方を含有する層(以下、染料・顕色剤層という場合も
ある。)が形成された単層構造のものでもよい。
【0029】
反応性染料および顕色剤としては、各種公知のものを使用でき、具体的な反応性染料と
顕色剤との組み合わせとしては、ロイコ化合物(ロイコ染料)と電子受容性物質、イミノ
化合物とイソシアナート化合物、長鎖脂肪酸鉄塩と多価フェノール等が挙げられる。これ
らの中で、ロイコ化合物と電子受容性物質との組み合わせは、熱応答性が良いこと、発色
濃度が高いこと、比較的安定であることから好ましい。また、イミノ化合物とイソシアナ
ート化合物との組み合わせは、その発色が界面活性剤の影響を受けにくく、保存安定性に
優れるため好ましい。
【0030】
ロイコ化合物としては、例えば、トリフェニルメタン系、フルオラン系、フェノチアジ
ン系、オーラミン系、スピロピラン系、インドリノフタリド系等の化合物が挙げられる。
具体的には、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−フタリド、3,3−ビス
(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(p−ジ
メチルアミノフェニル)−6−ジエチルアミノフタリド、3,3−ビス(p−ジメチルア
ミノフェニル)−6−クロルフタリド、3,3−ビス(p−ジブチルアミノフェニル)フ
タリド、3−シクロヘキシルアミノ−6−クロルフルオラン、3−ジメチルアミノ−5,
7−ジメチルフルオラン、3−N−メチル−N−イソブチル−6−メチル−7−アニリノ
フルオラン、3−N−エチル−N−イソアミル−6−メチル−7−アニリノフルオラン、
3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−メチルフルオラ
ン、3−ジエチルアミノ−7,8−ベンズフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル
−7−クロルフルオラン、3−(N−エチル−N−p−トリル)−6−メチル−7−アニ
リノフルオラン、3−(N−p−トリル−N−エチルアミノ)−6−メチル−7−アニリ
ノフルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、2−{N−3'
−トリフルオルメチルフェニル)アミノ}−6−ジエチルアミノフルオラン、2−{3,
6−ビス(ジエチルアミノ)−9−(o−クロルアニリノ)キサンチル安息香酸ラクタム
}、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(m−トリクロロメチルアニリノ)フルオラ
ン、3−ジエチルアミノ−7−(o−クロルアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ
−7−(o−クロルアニリノ)フルオラン、3−N−メチル−N−アミルアミノ−6−メ
チル−7−アニリノフルオラン、3−N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ−6−メチ
ル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラ
ン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(2',4'−ジメチルアニリノ)フルオラ
ン、3−(N ,N−ジエチルアミノ)−5−メチル−7−(N ,N−ジベンジルアミ
ノ)フルオラン、ベンゾイルロイコメチレンブルー、6'−クロロ−8'−メトキシ−ベ
ンゾインドリノ−ピリロスピラン、6'−ブロモ−3'−メトキシ−ベンゾインドリノ−
ピリロスピラン、3−(2'−ヒドロキシ−4'−ジメチルアミノフェニル)−3−(2
'−メトキシ−5'−クロルフェニル)フタリド、3−(2'−ヒドロキシ−4'−ジメ
チルアミノフェニル)−3−(2'−メトキシ−5'−ニトロフェニル)フタリド、3−
(2'−ヒドロキシ−4'−ジエチルアミノフェニル)−3−(2'−メトキシ−5'−
メチルフェニル)フタリド、3−(2'−メトキシ−4'−ジメチルアミノフェニル)−
3−(2'−ヒドロキシ−4'−クロル−5'−メチルフェニル)フタリド、3−モルホ
リノ−7−(N−プロピル−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ピロリジノ
−7−トリフルオロメチルアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−5−クロロ−7−
(N−ベンジル−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ピロリジノ−7−(ジ
−p−クロルフェニル)メチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−5−クロル−7
−(α−フェニルエチルアミノ)フルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−7
−(α−フェニルエチルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−メトキシ
カルボニルフェニルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−5−メチル−7−(α−
フェニルエチルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−ピペリジノフルオラン、
2−クロロ−3−(N−メチルトルイジノ)−7−(p−n−ブチルアニリノ)フルオラ
ン、3−(N−メチル−N−イソプロピルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラ
ン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3,6−ビス(ジメチ
ルアミノ)フルオレンスピロ(9,3')−6'−ジメチルアミノフタリド、3−(N−
ベンジル−N−シクロヘキシルアミノ)−5,6−ベンゾ−7−α−ナフチルアミノ−4
'−ブロモフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロル−7−アニリノフルオラン、3
−N−エチル−N−(2−エトキシプロピル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオ
ラン、3−N−エチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノ−6−メチル−7−アニリノ
フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−メシチジノ−4'、5'−ベンゾフ
ルオラン等が挙げられる。
これらのロイコ化合物は、1種単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
【0031】
ロイコ化合物と接触してこれを発色させる電子受容性物質としては、特に限定されず、
例えば、フェノール性化合物、チオフェノール性化合物、チオ尿素誘導体、有機酸及びそ
の金属塩等が挙げられる。
具体的には4−tert−ブチルフェノール、4−アセチルフェノール、4−tert
−オクチルフェノール、4,4'−sec−ブチリデンジフェノール、4−フェニルフェ
ノール、4,4'−ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4'−イソプロピリデンジフェ
ノール、4,4'−シクロヘキシリデンジフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)−1−フェニルエタン、4,4'−ジヒドロキシジフェニルサルファイド、4,
4'−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4'−ジヒドロ
キシジフェニルスルホン、2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ
−4'−イソプロポキシジフェニルスルホン、およびビス(3−アリル−4−ヒドロキシ
フェニル)スルホン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)酢酸ブチル、ビス(p−ヒドロキ
シフェニル)酢酸メチル、などのフェノール性化合物、4−ヒドロキシベンゾフェノン、
4−ヒドロキシフタル酸ジメチル、4−ヒドロキシ安息香酸メチル、4−ヒドロキシ安息
香酸プロピル、4−ヒドロキシ安息香酸−sec−ブチル、4−ヒドロキシ安息香酸フェ
ニル、4−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、4−ヒドロキシ安息香酸トリル、4−ヒドロキ
シ安息香酸クロロフェニル、4,4'−ジヒドロキシジフェニルエーテルなどのフェノー
ル性化合物、または、安息香酸、p−tert−ブチル安息香酸、トリクロル安息香酸、
テレフタル酸、サリチル酸、3−tert−ブチルサリチル酸、3−イソプロピルサリチ
ル酸、3−ベンジルサリチル酸、3−(α−メチルベンジル)サリチル酸、3,5−ジ−
tert−ブチルサリチル酸などの芳香族カルボン酸、およびこれらフェノール性化合物
、芳香族カルボン酸と例えば亜鉛、マグネシウム、アルミニウム、カルシウムなどの多価
金属との塩などの有機酸性物質、N−p−トルエンスルホニル−N'−3−(p−トルエ
ンスルホニルオキシ)フェニルウレア、N−(p−トルエンスルホニル)−N'−(p−
ブトキシカルボイル)ウレア、N−p−トリルスルホニル−N'−フェニルウレア等のウ
レア化合物が挙げられる。これらの電子受容性物質は、1種単独で使用しても2種以上を
併用してもよい。
【0032】
イミノ化合物は、少なくとも1個のイミノ基(=NH)を有する化合物であり、たとえ
ば下記一般式で表わされる常温固形の無色または淡色の化合物が挙げられる。
【0033】
【化1】

[式中、Xは、隣接するC=Nと共役系を形成しうる芳香族性化合物残基を表す。]
【0034】
イミノ化合物として、具体的には、3−イミノイソインドリン−1−オン、3−イミノ
−4,5,6,7−テトラクロロイソインドリン−1−オン、3−イミノ−4,5,6,
7−テトラブロモイソインドリン−1−オン、3−イミノ−4,5,6,7−テトラフル
オロイソインドリン−1−オン、3−イミノ−5,6−ジクロロイソインドリン−1−オ
ン、3−イミノ−4,5,7−トリクロロ−6−メトキシ−イソインドリン−1−オン、
3−イミノ−4,5,7−トリクロロ−6−メチルメルカプト−イソインドリン−1−オ
ン、3−イミノ−6−ニトロイソインドリン−1−オン、3−イミノ−イソインドリン−
1−スピロ−ジオキソラン、1,1−ジメトキシ−3−イミノ−イソインドリン、1,1
−ジエトキシ−3−イミノ−4,5,6,7−テトラクロロイソインドリン、1−エトキ
シ−3−イミノ−イソインドリン、1,3−ジイミノイソインドリン、1,3−ジイミノ
−4,5,6,7−テトラクロロイソインドリン、1,3−ジイミノ−6−メトキシイソ
インドリン、1,3−ジイミノ−6−シアノイソインドリン、1,3−ジイミノ−4,7
−ジチア−5,5,6,6−テトラヒドロイソインドリン、7−アミノ−2,3−ジメチ
ル−5−オキソピロロ〔3,4b〕ピラジン、7−アミノ−2,3−ジフェニル−5−オ
キソピロロ〔3,4b〕ピラジン、1−イミノナフタル酸イミド、1−イミノジフェン酸
イミド、1−フェニルイミノ−3−イミノイソインドリン、1−(3'−クロロフェニル
イミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(2',5'−ジクロロフェニルイミノ)−
3−イミノイソインドリン、1−(2',4',5'−トリクロロフェニルイミノ)−3
−イミノイソインドリン、1−(2'−シアノ−4'−ニトロフェニルイミノ)−3−イ
ミノイソインドリン、1−(2'−クロロ−5'−シアノフェニルイミノ)−3−イミノ
イソインドリン、1−(2',6'−ジクロロ−4'−ニトロフェニルイミノ)−3−イ
ミノイソインドリン、1−(2',5'−ジメトキシフェニルイミノ)−3−イミノイソ
インドリン、1−(2',5'−ジエトキシフェニルイミノ)−3−イミノイソインドリ
ン、1−(2'−メチル−4'−ニトロフェニルイミノ)−3−イミノイソインドリン、
1−(5'−クロロ−2'−フエェノキシフェニルイミノ)−3−イミノイソインドリン
、1−(4'−N,N−ジメチルアミノフェニルイミノ)−3−イミノイソインドリン、
1−(3'−N,N−ジメチルアミノ−4'−メトキシフェニルイミノ)−3−イミノイ
ソインドリン、1−(2'−メトキシ−5'−N−フェニルカルバモイルフェニルイミノ
)−3−イミノイソインドリン、1−(2'−クロロ−5'−トリフルオロメチルフェニ
ルイミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(5',6'−ジクロロベンゾチアゾリル
−2'−イミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(6'−メチルベンゾチアゾリル−
2'−イミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(4'−フェニルアミノフェニルイミ
ノ)−3−イミノイソインドリン、1−(p−フェニルアゾフェニルイミノ)−3−イミ
ノイソインドリン、1−(ナフチル−1'−イミノ)−3−イミノイソインドリン、1−
(アンスラキノン−1'−イミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(5'−クロロア
ンスラキノン−1'−イミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(N−エチルカルバゾ
リル−3'−イミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(ナフトキノン−1'−イミノ
)−3−イミノイソインドリン、1−(ピリジル−4'−イミノ)−3−イミノイソイン
ドリン、1−(ベンズイミダゾロン−6'−イミノ)−3−イミノイソインドリン、1−
(1'−メチルベンズイミダゾロン−6'−イミノ)−3−イミノイソインドリン、1−
(7'−クロロベンズイミダゾロン−5'−イミノ)−3−イミノイソインドリン、1−
(ベンズイミダゾリル−2'−イミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(ベンズイミ
ダゾリル−2'−イミノ)−3−イミノ−4,5,6,7−テトラクロロイソインドリン
、1−(2',4'−ジニトロフェニルヒドラゾン)−3−イミノイソインドリン、1−
(インダゾリル−3'−イミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(インダゾリル−3
'−イミノ)−3−イミノ−4,5,6,7−テトラブロモイソインドリン、1−(イン
ダゾリル−3'−イミノ)−3−イミノ−4,5,6,7−テトラフルオロイソインドリ
ン、1−(ベンズイミダゾリル−2'−イミノ)−3−イミノ−4,7−ジチアテトラヒ
ドロイソインドリン、1−(4',5'−ジシアノイミダゾリル−2'−イミノ)−3−
イミノ−5,6−ジメチル−4,7−ピラジイソインドリン、1−(シアノベンゾイルメ
チレン)−3−イミノイソインドリン、1−(シアノカルボンアミドメチレン)−3−イ
ミノイソインドリン、1−(シアノカルボメトキシメチレン)−3−イミノイソインドリ
ン、1−(シアノカルボエトキシメチレン)−3−イミノイソインドリン、1−(シアノ
−N−フェニルカルバモイルメチレン)−3−イミノイソインドリン、1−〔シアノ−N
−(3'−メチルフェニル)−カルバモイルメチレン〕−3−イミノイソインドリン、1
−〔シアノ−N−(4'−クロロフェニル)−カルバモイルメチレン〕−3−イミノイソ
インドリン、1−〔シアノ−N−(4'−メトキシフェニル)−カルバモイルメチレン〕
−3−イミノイソインドリン、1−〔シアノ−N−(3'−クロロ−4'−メチルフェニ
ル)−カルバモイルメチレン〕−3−イミノイソインドリン、1−(シアノ−p−ニトロ
フェニルメチレン)−3−イミノイソインドリン、1−(ジシアノメチレン)−3−イミ
ノイソインドリン、1−〔シアノ−1',2',4'−トリアゾリル−(3')−カルバ
モイルメチレン〕−3−イミノイソインドリン、1−〔シアノチアゾイル−(2')−カ
ルバモイルメチレン〕−3−イミノイソインドリン、1−〔シアノベンズイミダゾリル−
(2')−カルバモイルメチレン〕−3−イミノイソインドリン、1−〔シアノベンゾチ
アゾリル−(2')−カルバモイルメチレン〕−3−イミノイソインドリン、1−〔シア
ノベンズイミダゾリル−(2')−メチレン〕−3−イミノイソインドリン、1−〔シア
ノベンズイミダゾリル−(2')−メチレン〕−3−イミノ−4,5,6,7−テトラク
ロロイソインドリン、1−〔(シアノベンズイミダゾリル−2')−メチレン〕−3−イ
ミノ−5−メトキシイソインドリン、1−〔(シアノベンズイミダゾリル−2')−メチ
レン〕−3−イミノ−6−クロロイソインドリン、1−〔(1'−フェニル−3'−メチ
ル−5−オキソ)−ピラゾリデン−4'〕−3−イミノイソインドリン、1−〔(シアノ
ベンズイミダゾリル−2')−メチレン〕−3−イミノ−4,7−ジチアテトラヒドロイ
ソインドリン、1−〔(シアノベンズイミダゾリル−2')−メチレン〕−3−イミノ−
5,6−ジメチル−4,7−ピラジイソインドリン、1−〔(1'−メチル−3'−n−
ブチル)−バルビツル酸−5'〕−3−イミノイソインドリン、3−イミノ−1−スルホ
安息香酸イミド、3−イミノ−1−スルホ−6−クロロ安息香酸イミド、3−イミノ−1
−スルホ−5,6−ジクロロ安息香酸イミド、3−イミノ−1−スルホ−4,5,6,7
−テトラクロロ安息香酸イミド、3−イミノ−1−スルホ−4,5,6,7−テトラブロ
モ安息香酸イミド、3−イミノ−1−スルホ−4,5,6,7−テトラフルオロ安息香酸
イミド、3−イミノ−1−スルホ−6−ニトロ安息香酸イミド、3−イミノ−1−スルホ
−6−メトキシ安息香酸イミド、3−イミノ−1−スルホ−4,5,7−トリクロロ−6
−メチルメルカプト安息香酸イミド、3−イミノ−1−スルホナフトエ酸イミド、3−イ
ミノ−1−スルホ−5−ブロモナフトエ酸イミド、3−イミノ−2−メチル−4,5,6
、7−テトラクロロイソインドリン−1−オン等が挙げられる。
【0035】
イミノ化合物と接触してこれを発色させるイソシアナート化合物としては、常温固体の
無色または淡色の芳香族イソシアナート化合物または複素環イソシアナート化合物が挙げ
られ、具体的には、2,6−ジクロロフェニルイソシアナート、p−クロロフェニルイソ
シアナート、1,3−フェニレンジイソシアナート、1,4−フェニレンジイソシアナー
ト、1,3−ジメチルベンゼン−4,6−ジイソシアナート、1,4−ジメチルベンゼン
−2,5−ジイソシアナート、1−メトキシベンゼン−2,4−ジイソシアナート、1−
メトキシベンゼン−2,5−ジイソシアナート、1−エトキシベンゼン−2,4−ジイソ
シアナート、2,5−ジメトキシベンゼン−1,4−ジイソシアナート、2,5−ジエト
キシベンゼン−1,4−ジイソシアナート、2,5−ジブトキシベンゼン−1,4−ジイ
ソシアナート、アゾベンゼン−4,4'−ジイソシアナート、ジフェニルエーテル−4,
4'−ジイソシアナート、ナフタリン−1,4−ジイソシアナート、ナフタリン−1,5
−ジイソシアナート、ナフタリン−2,6−ジイソシアナート、ナフタリン−2,7−ジ
イソシアナート、3,3'−ジメチル−ビフェニル−4,4'−ジイソシアナート、3,
3'−ジメトキシビフェニル−4,4'−ジイソシアナート、ジフェニルメタン−4,4
'−ジイソシアナート、ジフェニルジメチルメタン−4,4'−ジイソシアナート、ベン
ゾフェノン−3,3'−ジイソシアナート、フルオレン−2,7−ジイソシアナート、ア
ンスラキノン−2,6−ジイソシアナート、9−エチルカルバゾール−3,6−ジイソシ
アナート、ビレン−3,8−ジイソシアナート、ナフタレン−1,3,7−トリイソシア
ナート、ビフェニル−2,4,4'−トリイソシアナート、4,4',4”−トリイソシ
アナト−2,5−ジメトキシトリフェニルアミン、4,4',4”−トリイソシアナトト
リフェニルアミン、p−ジメチルアミノフェニルイソシアナート、トリス(4−フェニル
イソシアナート)チオフォスフェート等が挙げられる。これらのイソシアナート化合物は
、必要に応じて、フェノール類、ランタム類、オキシム類等との付加化合物である、いわ
ゆるブロックイソシアナートの形で用いてもよく、ジイソシアナートの2量体、例えば1
−メチルベンゼン−2,4−ジイソシアナートの2量体、および3量体であるイソシアヌ
レートの形で用いてもよく、また、各種のポリオール等でアダクト化したポリイソシアナ
ートとして用いることも可能である。
【0036】
感熱記録層15,17中の反応性染料の含有量は、発色性を考慮すると、感熱記録層15,17中、10〜50質量%が好ましく、10〜20質量%がより好ましい。また、感
熱記録層15,17中の顕色剤の含有量は、反応性染料100質量部に対し、100〜7
00質量部が好ましく、150〜400質量部がより好ましい。
【0037】
感熱記録層15,17は、反応性染料および顕色剤に加えてさらに、バインダーを含有
する。
バインダーとしては、感圧記録層13において例示したものから、適宜選択できる。
感熱記録層15,17中のバインダーの含有量は、感熱記録層14,17中、5〜40
質量%が好ましく、10〜30質量%がより好ましい。
【0038】
感熱記録層15,17は、さらに、発色感度を調節するために、増感剤を含有すること
が好ましい。増感剤としては、従来から感熱記録体の増感剤として知られている化合物を
使用でき、例えば、比較的低融点で反応性染料、顕色剤に相溶性の良好な有機物(以下、
熱可融性物質という)が挙げられる。熱可融性物質は、反応性染料、顕色剤と相溶するこ
とによりこの両成分の接触確率を高めて増感作用を発揮する。
熱可融性物質としては、例えばパラベンジルビフェニル、ジベンジルテレフタレート、
1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニル、シュウ酸ジベンジル、アジピン酸ジ−o−ク
ロルベンジル、1、2−ジ(3−メチルフェノキシ)エタン、シュウ酸ジ−p−メチルベ
ンジル、シュウ酸ジ−p−クロルベンジル、1、2−ビス(3、4−ジメチルフェニル)
エタン、1、3−ビス(2−ナフトキシ)プロパンなどをあげることができる。
感熱記録層15,17中の熱可融性物質の含有量は、反応性染料100質量部に対し、
25〜500質量部が好ましく、100〜300質量部がより好ましい。
【0039】
感熱記録層15,17は、さらに、感熱記録された文字、画像などの保存性向上を主な
目的として、画像安定化剤を含有してもよい。
画像安定化剤としては、例えば1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5
−シクロヘキシルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ
−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,1−ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ
−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、4,4'−〔1,4−フェニレンビス(1−
メチルエチリデン)〕ビスフェノール、および4,4'−〔1、3−フェニレンビス(1
−メチルエチリデン)〕ビスフェノールなどのフェノール系の化合物、4−ベンジルオキ
シフェニル−4'−(2−メチル−2、3−エポキシプロピルオキシ)フェニルスルホン
、4−(2−メチル−1、2−エポキシエチル)ジフェニルスルホン、および4−(2−
エチル−1,2−エポキシエチル)ジフェニルスルホン等のエポキシ化合物、並びに1,
3,5−トリス(2,6−ジメチルベンジル−3−ヒドロキシ−4−tert−ブチル)
イソシアヌル酸などのイソシアヌル酸化合物から選ばれた1種以上を使用できる。
感熱記録層15,17中の画像安定化剤の含有量は、反応性染料100質量部に対し、
5〜100質量部が好ましく、10〜60質量部がより好ましい。
【0040】
感熱記録層15,17は、耐水性を向上させるために、上述したバインダーを三次元硬
化させるための架橋剤を含有してもよい。
架橋剤としては、例えば、グリオキザール等のアルデヒド系化合物、ポリエチレンイミ
ン等のポリアミン系化合物、エポキシ系化合物、ポリアミド樹脂、メラミン樹脂、ジメチ
ロールウレア化合物、アジリジン化合物、ブロックイソシアネート化合物、並びに過硫酸
アンモニウムや塩化第二鉄、および塩化マグネシウム、四ホウ酸ソーダ、四ホウ酸カリウ
ム等の無機化合物又はホウ酸、ホウ酸トリエステル、ホウ素系ポリマー等が挙げられる。
感熱記録層15,17中の架橋剤の配合量は、感熱記録層15,17中、1〜10質量
%の範囲内であることが好ましい。
【0041】
感熱記録層15,17には、顔料を含有させることもできる。
顔料としては、たとえば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、クレー、タ
ルク、焼成クレー、シリカ、ケイソウ土、合成ケイ酸アルミニウム、酸化亜鉛、酸化チタ
ン、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、表面処理された炭酸カルシウムやシリカなどの
無機顔料、並びに、尿素−ホルマリン樹脂、スチレン−メタクリル酸共重合樹脂、ポリス
チレン樹脂等の有機顔料が挙げられる。
感熱記録層15,17中、顔料の含有量は、発色濃度を低下させない量であることが好
ましく、感熱記録層15,17中、50質量%以下であることが好ましい。
また、反応性染料100質量部に対し、1〜100質量部が好ましく、5〜50質量部
がより好ましい。
【0042】
感熱記録層15,17には、さらに必要に応じて、感熱記録体に一般的に用いられてい
る各種添加剤を添加することができる。該添加剤としては、たとえば、ワックス類、金属
石鹸、有色染料、蛍光染料、撥油剤、消泡剤、粘度調節剤等が挙げられる。
ワックス類としては、例えば、パラフィンワックス、カルナバロウワックス、マイクロ
クリスタリンワックス、およびポリエチレンワックス等のポリオレフィンワックスなどの
ワックス類、並びに例えばステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミドなどの
高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸エステル、およびその誘導体などをあげることができる。
特にメチロール化脂肪酸アミドを感熱記録層15,17に添加すると、耐地肌かぶり性を
悪化せずに増感効果を得ることができる。
金属石鹸としては、高級脂肪酸多価金属塩、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸ア
ルミニウム、ステアリン酸カルシウム、およびオレイン酸亜鉛等をあげることができる。
【0043】
(中間層14)
本発明の中間層としては、感圧記録層13と感熱記録層15との間に設け、それぞれの層の顕色剤成分や発色剤成分が、通常状態(例えば、室温)での直接接触や移動を防止する成膜性を有していればよい。
【0044】
また、中間層にイソブチレン・無水マレイン酸系共重合物のアルカリ塩を含有することが好ましい。その理由として、感圧層と感熱層との間に中間層を設けることで感圧層の顕色剤成分と感熱層の発色剤成分の接触を阻害し、特に成膜性に優れるイソブチレン・無水マレイン酸系共重合物のアルカリ塩を中間層に含有せしめることで前記顕色剤成分と発色剤成分の反応抑制の効果が顕著となり、それぞれの発色剤、顕色剤成分が本来の発色反応に効果的に寄与するために、記録シートとしての発色性能に優れ、かつ感度特性の向上に優れた効果が得られるものと考えられる。
【0045】
アルカリ塩としては、例えば、ナトリウム塩、アンモニウム塩等が挙げられるが、中でも、アンモニウム塩が好ましく使用される。
【0046】
本発明の共重合物の他に、例えば、酸化澱粉、リン酸エステル化澱粉、酵素変性澱粉、酢酸エステル化澱粉、大豆蛋白、合成蛋白、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール等の水溶性接着剤及び/または、スチレン−ブタジエン系ラテックス、アクリル系ラテックス、アクリル−ブタジエン系ラテックス、アクリロニトリル−ブタジエン系ラテックス、酢酸ビニル系ラテックス、ウレタン樹脂、メラミン樹脂等の水分散性接着剤を適宜併用することができる。
併用する場合のイソブチレン・無水マレイン酸系共重合物のアルカリ塩の配合量は、中間層の全固形分の10%以上、好ましくは30%以上の範囲で使用される。配合量が10%未満では、所望の効果が得られない虞がある。
【0047】
本発明の実施において、前記したイソブチレン・無水マレイン酸系共重合物のアルカリ塩、接着剤の他に必要に応じて消泡剤、着色剤、蛍光染料、耐水化剤、架橋剤、潤滑剤、流動性改質剤、防腐剤等の各種助剤を適宜配合して用いることができる。
【0048】
(擬似接着層19)
本例における擬似接着層19は、第1層11と第2層18とを剥離可能に、かつ、再貼
付不可能に接着するものであって、ウェットラミネート法により形成されたものである。
擬似接着層19は、接着成分として、擬似接着に用いられ、ウェットラミネート法の適
用が可能な各種擬似接着剤を含有するとともに、さらに接着力調節剤を含有することが好
ましい。
このような擬似接着剤としては、たとえば天然ゴム、合成ゴム等のゴム系粘着剤;アク
リル酸および/またはアクリル酸エステルを主なモノマー成分として含有するアクリル系
粘着剤;酢酸ビニル重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等の酢酸ビニルを
主なモノマー成分として含有する酢酸ビニル系粘着剤;澱粉、アルギン酸ナトリウム等の
多糖系粘着剤やデキストリン系粘着剤等の水溶性接着剤などが使用できる。
これらのなかでは、ゴム系、アクリル系、酢酸ビニル系、デキストリン系の粘着剤が、
接着性を任意に幅広くコントロールできるため好ましく、接着強度等を考慮して適宜選択
されるが、さらに、この擬似接着層19はウェットラミネート法で形成されるため、特に
酢酸ビニル系および/またはデキストリン系の粘着剤が好ましい。
擬似接着層19中の擬似接着剤の含有量は、擬似接着層19中、10〜100質量%が
好ましく、20〜80質量%がより好ましい。
【0049】
接着力調節剤としては、感熱記録層15,17に含まれる添加剤として例示したポリエ
チレンワックス等のワックス類、金属石鹸、無機顔料および有機顔料等が挙げられる。こ
れらの接着力調節剤は、擬似接着層19中に分散し、擬似接着層19の凝集力を低減する
効果を有している。擬似接着層19の凝集力を低減することにより、第1層11と第2層
18とは剥離しやすくなる。
擬似接着層19中の接着力調節剤の含有量は、第1層11と第2層18との接着強さや
擬似接着層19の凝集力等を考慮して適宜決定される。特に、第1層11と第2層18の
間の接着強さが後述する範囲内となる量が配合されることが好ましく、例えば、擬似接着
層19中、0〜90質量%が好ましく、20〜80質量%がより好ましい。
【0050】
擬似接着層19における第1層11と第2層18との間の接着強さは、JIS K 6
854−3に規定されるT形はく離試験法に準拠して、50〜1000mN/25mm(
はく離速度300mm/分)であることが好ましく、さらに、80〜600mN/25m
m(はく離速度300mm/分)であることがより好ましい。
T形はく離試験法による接着強さが50mN/25mm未満であると、第1層11と第
2層18とが簡単に剥離したり、カールや皺が生じて外観が悪化したりする恐れがある。
またT形はく離試験法による接着強さが1000mN/25mmを超えると、第1層11
と第2層18とを剥離する際に、第1層11および/または第2層18が破損する可能性
や、流れ方向に強いカールが付き筒状になり易くなるおそれがある。
T形はく離試験法による接着強さは、使用される擬似接着剤の種類やそれに基づく浸透
性、塗布量、塗布してから張り合わせるまでの時間、乾燥温度などによって適宜調節する
ことができる。
【0051】
ここで、JIS K 6854−3に規定されるT形はく離試験法による接着強さは以
下の手順で測定できる。すなわち、試料を23℃、50%RHの環境下に24時間以上放
置した後、300mm/分のはく離速度ではく離試験を行う。接着強さは試験サンプル巾
25mm当りのmNで示される。
【0052】
(記録シート10Aの製造方法)
図1の例の記録シート10Aの製造方法としては、第1層11と第2層18とをウェッ
トラミネート法による擬似接着層19で接着させる方法であればよく、制限はないが、第
1層11と第2の基材層16とをウェットラミネート法による擬似接着層19で接着した
後、第2の基材層16の上に感熱記録層17を形成する方法が好ましい。この方法によれ
ば、第2の基材層16に皺などが生じにくく、外観に優れた記録シート10Aが得られる
。例えば第2の基材層16が紙基材である場合、擬似接着層19を形成する際に水を吸収
して、伸び、皺、断紙等が生じる場合があるし、フィルム基材である場合にも、特にその
厚さが薄い場合などには、腰が弱くなって皺等の変形が生じたり、扱いにくくなったりす
る可能性がある。これに対して、第1層11と第2の基材層16とを擬似接着層19で接
着した後、第2の基材層16の上に感熱記録層17を形成することにより、これらの問題
を改善できる。
【0053】
具体的な製造方法としては、まず、感圧記録層13を形成するための塗工液(以下、感
圧記録層形成用塗工液という場合もある。)を調製し、これを第1の基材層12の片面に
塗布、乾燥する。
ここで感圧記録層13が、発色剤層と顕色剤層とが別々に形成された多層構造の場合に
は、感圧記録層形成用塗工液として、発色剤層を形成するため塗工液と顕色剤層を形成す
るための塗工液とをそれぞれ調製し、いずれか一方を第1の基材層12の片面に塗布、乾
燥した後、その上に他方を塗布、乾燥する。発色剤層を形成するため塗工液は、発色剤を
含有するマイクロカプセルとバインダーと必要に応じて使用される顔料や添加剤とを水な
どの分散媒体に分散させることで得られ、顕色剤層を形成するため塗工液は、微粒子状の
顕色剤とバインダーと必要に応じて使用される顔料や添加剤とを水などの分散媒体に分散
させることで得られる。
【0054】
この場合、発色剤層と顕色剤層は、どちらが第1の基材層12に接するように形成され
てもよいが、この例の記録シート10Aは、第2層18の感熱記録層17の外面側から加
圧されて記録されるものであるため、第1の基材層12と接するように顕色剤層が形成さ
れ、その上に発色剤を含有するマイクロカプセルを有する発色剤層が形成された方が、加
圧によりマイクロカプセルが破壊されやすくなると考えられ好ましい。
また、発色剤層を形成するための塗工液は、乾燥質量で2.0〜7.0g/m2塗布さ
れることが好ましく、3.0〜6.0g/m2がより好ましい。顕色剤層を形成するため
の塗工液は、乾燥質量で3.0〜10.0g/m2塗布されることが好ましく、4.0〜
7.0g/m2がより好ましい。
【0055】
一方、感圧記録層13が、発色剤・顕色剤層からなる単層構造の場合には、発色剤と顕
色剤とバインダーと必要に応じて使用される顔料や添加剤とを水などの分散媒体に分散さ
せた感圧記録層形成用塗工液を調製し、これを第1の基材層12の片面に塗布、乾燥する
。この場合には、乾燥質量で5.0〜15.0g/m2塗布することが好ましく、7.0
〜10.0g/m2がより好ましい。
【0056】
各塗工液の調製には、例えば、ボールミル、アトライター、サンドミルなどの攪拌・粉
砕機を用いることができる。
各塗工液の塗布には、エアーナイフコーター、ブレードコーター、ショートドウェルコ
ーター、ロッドブレードコーター、ロールコーター、バーコーター、サイズプレスコータ
ー、ビルブレードコーター等が使用できる。これらのなかでは、エアーナイフコーター、
カーテンコーター、ダイコーター等を使用した場合、塗布対象物に対して過度の圧力が加
わらないため、第1の基材層12にすでにマイクロカプセルを含有する発色剤層が形成さ
れていて、この上に顕色剤層を形成する場合などには、マイクロカプセルの破壊を抑える
ためにこれらのコーターを選択することが好ましい。
【0057】
次いで、この感圧記録層13の上に、中間層14を形成するための塗工液(以下、中間層形成用塗工液という場合もある)を塗布、乾燥し、中間層14を形成する。
中間層形成用塗工液の塗工量としては、乾燥重量で0.5〜5g/m、好ましくは1.0〜3.0g/m塗布される。また、中間層形成用塗工液の調製や塗布には、感圧記録層13の形成において例示した各種攪拌・粉砕機や、各種コーターを使用できる。
【0058】
このようにして第1の基材層12に感圧記録層13を形成し、この感圧記録層13の上に中間層14を形成した後、さらに中間層14の上に感熱記録層15を形成するための塗工液(以下、感熱記録層形成用塗工液という場合もある)を塗布、乾燥し、感熱記録層15を形成する。
ここで感熱記録層15は、上述したように反応性染料層と顕色剤層とが別々に形成され
た多層構造であってもよいが、反応性染料と顕色剤の両方を含有する染料・顕色剤層から
なる単層構造の方が、反応性、熱応答性に優れ好ましい。
この場合には、反応性染料と顕色剤とバインダーと、必要に応じて使用される顔料や添
加剤を水などの分散媒体に分散して感熱記録層形成用塗工液を調製し、これをすでに形成
されている中間層の上に塗布、乾燥する。また、この場合、反応性染料と顕色剤とを別々の分散媒体に分散して2種の分散液を調製し、感熱記録層15を形成する際に、これら2種の分散液を混合することが好ましい。
【0059】
感熱記録層形成用塗工液の塗工量としては、発色性を考慮すると、乾燥質量で1〜10
g/mが好ましく、2〜5g/mがより好ましい。
また、感熱記録層形成用塗工液の調製や塗布には、感圧記録層13の形成において例示
した各種攪拌・粉砕機や、各種コーターを使用できる。
【0060】
このように感熱記録層15が形成されて、第1の基材層12と感圧記録層13と中間層14と感熱記録層15とが順次形成された第1層11が得られる。
なお、感熱記録層15の外面には、スーパーカレンダーやソフトカレンダーなどの既知
の平滑化方法を用いて平滑化処理してもよい。これにより、その発色感度を高めることが
できる。平滑化処理においては、感熱記録層15の外面を、カレンダーの金属ロールおよ
び弾性ロールのいずれに当てて処理してもよい。
【0061】
ついで、擬似接着層19を形成するための塗工液(以下、擬似接着層形成用塗工液とい
う場合もある。)を調製する。そして、これを第1層11の感熱記録層15または第2の
基材層16の表面に塗布し、この塗工液を乾燥させずに第1層11と第2の基材層16と
を貼り合わせた後、乾燥するウェットラミネート法により、第1層11と第2の基材層1
6とが擬似接着層19で接着した記録シート中間体を製造する。
擬似接着層形成用塗工液としては、酢酸ビニル系等の擬似接着剤を水系エマルジョンと
したものや、デキストリン系などの水溶性の擬似接着剤を水に溶解して水溶液としたもの
などが好適に使用でき、必要に応じて接着力調節剤を配合する。この塗工液の塗布方法と
しては、第1層11における感圧記録層13の場合と同様に行うことができる。
擬似接着層形成用塗工液の塗工量としては、記録特性に優れることから、0.5〜10
g/mが好ましく、1〜5g/mがより好ましい。
【0062】
このようなウェットラミネート法によれば、塗布された塗工液が乾燥しないうちに第1
層11と第2層18とを貼り合わせるため、貼り合わせの際にほとんど圧力を必要とせず
、線圧980N/m(1kg/cm)以下でも充分に擬似接着させることができる。よっ
て、この例のように、第1層11が加圧により発色する感圧記録層13を有する場合でも
、貼り合わせの際の加圧により感圧記録層13が発色してしまうことがなく、地肌汚れが
生じない。さらに、ウェットラミネート法によれば、貼り合わせの際に、塗工液中の水分
が緩衝材として作用するため、貼り合わせ時に感圧記録層13に伝わる圧力がより緩和さ
れるというメリットもある。ここで仮に、接着剤を第1層に塗工後、乾燥させてから第2の基材層を圧着するドライラミネート法を採用した場合には、線圧19600N/m(2
0kg/cm)程度の圧力で圧着する必要があり、この方法では、貼り合わせの際の加圧
により感圧記録層には地肌汚れが生じてしまう。また、第1層と第2層との間に高温の溶
融樹脂を押し出して、これらを貼り合わせる押出ラミネート法を採用しようとしても、本
実施形態例や後述の第2および第3実施形態例のように、第1層が感熱記録層を有するも
のである場合には、感熱記録層が溶融樹脂の熱により発色してしまうという大きな問題が
ある。
【0063】
また、ウェットラミネート法によれば、擬似接着層用塗工液の塗工量もドライラミネー
ト法の場合に比べて少なくてすむため、乾燥に要する時間も短い。よって、高速での大量
生産が可能となるなど、生産性、製造コストの点で優れる。また、擬似接着層用塗工液の
塗工量が少ないと、5μm以下の薄さの第2の基材層16を使用できるとともに、擬似接
着層19自体も薄くできるため、第1層11の感熱記録層15への熱の伝達や感圧記録層
13への圧力の伝達が良好であり、明瞭な記録を行うことができる。さらに、記録シート
10Aの総厚みを薄くでき、巻物状としての取り扱いにも適したものとなる。ここで仮に
押出ラミネート法で擬似接着層を形成した場合には、形成される層はある程度の厚さを有
するものとなるため、これよりも下層側に配置されている感圧記録層や感熱記録層へ熱の
伝達や圧力の伝達が不良となるという欠点がある。
【0064】
ついで、得られた記録シート中間体の第2の基材層16上に、感熱記録層形成用塗工液
を塗布、乾燥して感熱記録層17を形成することにより、図1の記録シート10Aが得ら
れる。
この場合の感熱記録層17の形成は、第1層11における感熱記録層14の形成と同様
に行うことができる。
【0065】
このようにして得られた記録シート10Aには、第2層18の感熱記録層17の外面側
から加圧したり、加熱したりすることで、文字、画像などの記録を行うことができる。よ
って、契約書などとして有効に使用できる。
例えば、甲があらかじめ第2層18の感熱記録層17の外面の一部分に、感熱式プリン
タで契約内容を示す文章を感熱印刷しておく。この際、第1層11の感熱記録層15にも
同じ文章が記録されることとなる。
ついで、甲と乙とが記録シート10Aに記録されている契約内容に合意した場合には、
第2層18の感熱記録層17の外面における上記一部分以外の部分に、それぞれ筆記具で
サインする。この際、筆記とともに加圧もなされるために、第1層11の感圧記録層13
にも両者のサインが記録されることとなる。
そして、第1層11と第2層18とを擬似接着層19内の凝集破壊による層間剥離によ
り、2枚に剥離することで、一方は甲が保管するための契約書となり、他方は乙が保管す
るための契約書となる。また、この擬似接着層19は再貼付ができないものであるため、
第1層11と第2層18とを再度貼り合わせて契約書を改ざんすることもできない。よっ
て、より信頼性の高い契約書とすることができる。
【0066】
[第2実施形態例]
図2は第2実施形態例の記録シート10Bを示すものであって、第1層11における感
熱記録層15と感圧記録層13との位置が、第1実施形態例の記録シート10Aとは逆に
なっていて、感圧記録層13が擬似接着層19と接するように配置されている。
さらに、上記感熱記録層15と感圧記録層13との間に、中間層14が形成されている。
このような記録シート10Bでも、第1実施形態例の記録シート10Aと同様に、第2
層18の感熱記録層17の外面側から加圧したり、加熱したりすることで、文字、画像な
どの記録を行うことができ、契約書などとして有効に使用することができるが、第1層1
1の感熱記録層15への感熱記録時の伝熱性が第1実施形態例の記録シート10Aよりは
低くなるため、第1層11の感熱記録層15をより熱応答性の高いものにする必要がある

【0067】
[第3実施形態例]
図3は第3実施形態例の記録シート10Cを示すものであって、第2層18が感熱記録
層を備えておらず、第2の基材層16のみから構成されている点で第1実施形態例の記録
シート10Aとは異なっている。
このような記録シート10Cに対して、第2の基材層16の外面側から加熱したり、加
圧したりして、第1層11の感熱記録層15や感圧記録層13に記録した場合、第2の基
材層16が光透過性を有していないものであると、記録の時点では記録の内容を外側から
視認できず、擬似接着層19を境にして第1層11と第2層18とを剥離して初めて視認
できる。よって、第3者には非公開の個人情報を特定の個人にのみ通知する各種通知書な
どとしての応用が考えられ、1つの記録シート10Cに、役所のA課からの通知内容は感
熱記録され、B課からの通知内容は感圧記録されるなどの区別も可能となる。
また、擬似接着層19は再貼付ができないものであるため、特定の個人が通知内容を確
認する前に第3者がこれを見たか否かを知ることができる。
【0068】
[その他]
本発明の記録シートは、第1の基材層と感圧記録が可能な記録層と感熱記録が可能な記録層を有し、更に前記感圧記録層と感熱記録層の間に中間層を有する第1層の記録層側に、少なくとも第2の基材層を有する第2層がウェットラミネート法による擬似接着層を介して積層したものであればよく、その具体的な構成は第1〜3実施形態例に限定されない。
例えば、これらの各例の記録シートの少なくとも一方の最外面に、帯状、網目状、千鳥
状、スポット状、文字、地紋等などの印刷を施したり、金属箔、金属蒸着フィルムを貼り
付けたりして遮蔽層を形成することで、これら記録シートをたとえ光にかざした場合であ
っても、記録されている情報を外側から視認できないようにすることができる。
また、例えば、第3実施形態例において、第2の基材層としてPET、PP、PEなど
のフィルム基材や、グラシン紙などの紙基材など、光透過性のあるものを採用することに
より、第1層の感熱記録層に記録されている情報を外側から視認できるようにしてもよい
。この場合、第2の基材層は、感熱記録層を保護する作用を奏する。また、この場合、第
2の基材層の外面上に、部分的に帯状、網目状、千鳥状、スポット状、文字、地紋等など
の印刷を施したり、金属箔、金属蒸着フィルムを貼り付けたりして遮蔽層を形成し、感熱
記録層に形成されている情報の一部を外側から視認できないようにしてもよい。
さらに、これら各例の記録シートには、必要に応じて、記録シートの任意の箇所に、記
録シートを厚さ方向に貫通するミシン目などの切断予定線を形成したり、厚さ方向に貫通
しないハーフカット加工を施したりしてもよいし、第1の基材層および/または第2の基
材層の外面上に、遮蔽以外の目的の任意の文字や画像を設けておいてもよい。
【0069】
さらに、各層の間に、各層間の密着の程度を制御することなどを目的とした層を設けて
もよい。例えば、擬似接着層の片面または両面に、シリコン樹脂、ポリエチレンワックス
等の剥離剤を塗布して剥離剤層を設けて、第1層と第2層とを剥離しやすくしてもいいし
、第1の基材層や第2の基材層に下塗層を設けてから、その上に他の層を形成してもよい
。特に、顔料および接着剤を主体とし、従来から感熱記録材料に使用されている公知の下
塗層を形成すると、その上に感熱記録層を形成した際に、その発色感度を上げることがで
きる。このような効果を奏する下塗層の顔料としては、シリカ、焼成カオリンなどのよう
な空隙率の高い顔料が例示でき、さらに下塗層中にプラスチックピグメント、中空粒子、
発泡体などを含有させることにより、より効果的になる。さらには、第1層や第2層にお
ける擬似接着層との接着面に、あらかじめ部分的に点状、線状などの印刷部を設け、この
印刷部の形成密度を変化させることによって、接着面と擬似接着層との密着の度合いをコ
ントロールしてもよい。
また、設けられる感熱記録層の上に、顔料や接着剤を主体とし、従来から感熱記録材料に使用されている公知の保護層を形成してもよい。
【0070】
さらに、第1の基材層の裏面に粘着剤、再湿接着剤、ディレードタック型の粘着剤など
による塗布加工を施して、本発明の記録シートを粘着紙、再湿接着紙、ディレードタック
紙として使用したり、第1の基材層の裏面や記録シートの表面の一部に、磁気記録可能な
層(磁気記録層)を形成して、磁気記録も可能な記録シートとしたりして、より高い機能
を付与することもできる。
【実施例】
【0071】
以下、実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明は、これらの例に限定
されるものではない。また、特に断りのない限り、例中の「部」および「%」はそれぞれ
「質量部」および「質量%」を示す。
[実施例1]
以下のようにして、第1実施形態例の記録シートを製造した。
<感熱発色成分の調整>
(1)A液調製(ロイコ染料の分散)
3−ジ(n−ブチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン20部、メチルセ
ルロースの5%水溶液5部及び水15部からなる組成物をサンドミルで平均粒子径が1.
0μmになるまで粉砕した。
(2)B液調製(顕色剤の分散)
ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン20部、メチルセルロースの5
%水溶液5部及び水15部からなる組成物をサンドミルで平均粒子径が1.0μmになる
まで粉砕した。
(3)C液調製(増感剤の分散)
1,2−ジ(3−メチルフェノキシ)エタン20部、メチルセルロースの5%水溶液5
部及び水15部からなる組成物をサンドミルで平均粒子径が1.0μmになるまで粉砕し
た。
【0072】
<感熱記録層形成用塗工液の調製>
シリカ(商品名:ミズカシルP−527、水沢化学製)の30%分散液60部、A液2
0部、B液50部、C液10部、ステアリン酸亜鉛の水分散液(商品名:ハイドリンZ−
7−30、固形分31.5%、中京油脂社製)13部、SBRラテックス(商品名:L−
1571、濃度48%、旭化成社製)40部 、およびケイ素変性ポリビニルアルコール
(商品名:R−1130、分子量1700、クラレ社製))の10%水溶液40部を混合
攪拌して感熱記録層形成用塗工液を得た。
【0073】
<中間層形成塗工液の調整>
イソブチレン・無水マレイン酸系共重合物アンモニウム塩(商品名:MCA−2、固形分3.4%、日本化薬社製)40部、アクリル酸系エマルジョン(商品名:F−300B、固形分40%、日本化薬社製)59.5部、架橋剤(商品名:ACL−2、固形分20%、日本化薬社製)0.5部を混合、調整水を加えて攪拌し、固形分8%の中間層形成用塗工液を得た。
【0074】
<第1層の作製>
第1の基材層の上に自己発色性の感圧記録層が形成された王子製紙社製セルコンペーパー〔KSコピー・ブライト、番手:N50、発色:ブルー〕の該感圧記録層上に、上記の中間層形成用塗工液をグラビアコーターで乾燥後の塗布量が1.0g/mとなるように塗布、乾燥して中間層を形成、次いで熱記録層形成用塗工液を、グラビアコーターで乾燥後の塗布量が4g/mとなるように塗布、乾燥して感熱記録層を形成し、第1層を得た。なお、使用したセルコンペーパーの自己発色性の感圧記録層は、単層構造であって、発色剤としては、クリスタルバイオレットラクトンをマイクロカプセル内に含む発色剤CVL(山本化学社製、クリスタルバイオレットラクトン)を含有し、顕色剤としてはR−054−K(三光化学社製、サリチル酸亜鉛系)を含有している。
【0075】
<記録シートの形成>
第1層の感熱記録層上に、グラビアコーターで、擬似接着剤(商品名:フルタイトFB
131(酢酸ビニル系接着剤)、有効成分44%、三井物産ソルベントコート社製)を、乾燥後の塗工量が2g/mとなるように塗布し、この擬似接着剤を乾燥せずに第
2の基材層16としてグラシン紙(坪量25g/m、密度0.92g/cm)を貼付
した後、乾燥し、第1層/擬似接着層/第2の基材層からなる記録シート中間体を得た。
次に、この記録シート中間体の第2の基材層上に、グラビアコーターで、上記の感熱記
録層形成用塗液を、乾燥後の塗工量が5g/mとなるように塗布、乾燥して、感熱記録
層を形成し、第1層/擬似接着層/第2層からなる記録シートを得た。
得られた記録シートにおける第1層と第2層との間のT形はく離試験法による接着強さ
は180mN/25mm(はく離速度300mm/分)であった。
【0076】
[実施例2]
中間層形成用塗工液の調製において、MCA−2を15部、F−300Bを84.5部に変更し、第1層の作製において、中間層形成用塗工液をグラビアコーターで乾燥後の塗布量が2.0g/mとなるように塗布、乾燥した以外は、実施例1と同様にして実施例2の記録シートを得た。
【0077】
[比較例1]
第1層の作製において、中間層を形成しなかった以外は実施例1と同様にして比較例1の記録シートを得た。
【0078】
[比較例2]
中間層形成用塗工液の調製において、MCA−2を5.0部、F−300Bを94.5部とし、第1層の作製において、中間層形成用塗工液をグラビアコーターで乾燥後の塗布量が2.0g/mとなるように塗布、乾燥した以外は、実施例1と同様にして比較例2の記録シートを得た。
【0079】
[比較例3]
中間層形成用塗工液の調製において、F−300Bを100部とし、第1層の作製において、中間層形成用塗工液をグラビアコーターで乾燥後の塗布量が3.0g/mとなるように塗布、乾燥した以外は、実施例1と同様にして比較例3の記録シートを得た。
【0080】
かくして得られた記録シートについて、下記の評価試験を行い、得られた結果を表1に示す。
【0081】
〔感熱記録濃度〕
感熱評価機〔商品名:TH−PMD、大倉電気社製〕を用い、印加エネルギー0.75mJ/dotにて各記録シートを記録し、感熱記録部の記録濃度をマクベス濃度計〔RD−914型、マクベス社製〕でビジュアルモードにて測定した。
【0082】
〔感圧記録濃度〕
上記の感熱記録後の記録シートを記録層面が上になるように二枚重ね、感圧印字評価機〔商品名:VP−1850、エプソン社製〕にて記録し、感圧記録部の記録濃度をマクベス濃度計〔RD−914型、マクベス社製〕で青フィルターにて測定した。
【0083】
〔感圧記録濃度の低下〕
上記で使用した記録シートを23℃、50%RH、7日放置後に上記マクベス濃度計で青フィルターにて測定した。
【0084】
〔地肌汚れ〕
記録シートを巻取りとし、室温で7日間放置した後、記録層面の白色度(JIS P 8123に基づく)を測定することにより、地肌汚れを表す。数値(%)が大きい程、地肌汚れに優れている。
【0085】
【表1】

【0086】
各実施例で得られた記録シートは、感圧記録濃度の低下がなく、巻取りでの地肌汚れにも優れ、各記録層における印字も鮮明なものであった。一方、各比較例で得られた記録シートは、巻取りでの地肌汚れに劣るものであった。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】第1実施形態例の記録シートの断面図である。
【図2】第2実施形態例の記録シートの断面図である。
【図3】第3実施形態例の記録シートの断面図である。
【符号の説明】
【0088】
10A〜10C 記録シート
11 第1層
12 第1の基材層
13 感圧記録層
14 中間層
15,17 感熱記録層
16 第2の基材層
18 第2層
19 擬似接着層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基材層と感圧記録が可能な感圧記録層、中間層及び感熱記録が可能な感熱記録層を備える第1層と、第2の基材層を少なくとも備える第2層とを有し、前記第2層が擬似接着層を介して前記第1層の前記記録層側に積層した記録シートであって、前記擬似接着層は、ウエットラミネート法で形成されたことを特徴とする記録シート。
【請求項2】
前記中間層が、イソブチレン・無水マレイン酸系共重合物のアルカリ塩を含有する請求項1に記載の記録シート。
【請求項3】
前記感圧記録層は、発色剤と顕色剤とを含有する自己発色性の感圧記録層である請求項1または2に記載の記録シート。
【請求項4】
前記第2層は、感熱記録層をさらに有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の記録シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−67017(P2009−67017A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−240591(P2007−240591)
【出願日】平成19年9月18日(2007.9.18)
【出願人】(000122298)王子製紙株式会社 (2,055)
【出願人】(000191320)王子特殊紙株式会社 (79)
【Fターム(参考)】