説明

記録メディア再生装置

【課題】同時に2つの記録メディアの盗難防止処置を行う。
【解決手段】フロントパネル8には、カードスロット10、カードイジェクトボタンが設けられている。フロントパネル8の後面には、ナット42が取り付けられている。ヘクサロビュラネジ41を、開閉蓋38のネジ挿通孔38a、フロントパネル8のネジ挿通孔を介してナット42に螺合させると、開閉蓋38は、カードスロット10及びカードイジェクトボタンを覆う閉じ位置に固定され、メモリカード5の取り出しが禁止される。ヘクサロビュラネジ41の先端は、検出スイッチ44をONにして、CPUに検出信号を送る。CPUは、検出信号が入力されているときには、ローディング機構32の作動を禁止して、CD4の取り出しを防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの記録メディアが装填可能な記録メディア再生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、メモリカード等のカード型記録メディアと、CDやDVD(以下、単にCDという)等のディスク型記録メディアとの両方を記録及び/または再生可能にする記録メディア再生装置が広く普及している。記録メディア再生装置は、カード型記録メディアを装填するカードスロットと、CDを装填するディスク装置とが設けられている。カードスロットの近傍に設けられたカード用イジェクトボタンを押圧すると、カード型記録メディアが取り出し位置まで手動操作で戻される。
【0003】
ディスク装置には、トレイに載せて内部に装填するトレイタイプと、ディスクスロットに直接装填するスロットインタイプとがあるが、いずれの場合にも、ディスク用イジェクトボタンを押圧すると、ディスク型記録メディアは、ディスク装置のイジェクト機構により自動的にイジェクトされる。
【0004】
記録メディアは、イジェクトボタンを押圧するだけで、取り出すことができるため、不特定多数の人が出入りする場所で記録メディア再生装置を使用する場合には、記録メディアが盗難される恐れがある。
【0005】
メモリカードの盗難防止では、カードスロットの入口に開閉蓋を設け、この開閉蓋をネジで開かないように固定することが一般的である。
【0006】
CDの盗難防止では、イジェクト機構が作動しないようにすることが普通である。例えば、特許文献1では、ストップスイッチを所定時間連続して押し続けると、ロックモードに移行する。このロックモードでは、イジェクトボタンを押圧しても、イジェクト機構が作動しないため、プレーヤからCDを取り出すことができない。また、特許文献2では、CDの取り出しの許可/禁止の設定ができるようになっており、取り出し禁止に設定されているときには、イジェクトボタンの押圧が無効となる。特許文献3では、イジェクト無効の操作画面を読み出して無効を設定したときには、イジェクトボタンの操作が無効となる。
【特許文献1】特開平7−37320号公報
【特許文献2】特開2001−282620号公報
【特許文献3】特開2007−58998号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
カード型記録メディアとディスク型記録メディアの両方を記録及び/または再生可能とする記録メディア再生装置では、2つの記録メディアに対して、それぞれ盗難防止処置を行うことが必要であるため、その設定作業が面倒である。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、2つの記録メディアに対する盗難防止処置を同時に行うことができるようにした記録メディア再生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の記録メディア再生装置は、第1の記録メディアが装填される第1装填部と、前記第1装填部に装填された前記第1の記録メディアをイジェクトするイジェクト機構と、前記イジェクト機構の作動を開始させるための第1のイジェクトボタンと、第2の記録メディアが装填される第2装填部と、前記第2装填部を露出させる開放位置と前記第2装填部を覆う閉じ位置との間で開閉自在な開閉蓋と、前記開閉蓋を前記閉じ位置にネジでネジ止めしたときに、前記イジェクト機構によるイジェクトを禁止するイジェクト禁止手段と、を備えることを特徴とする
【0010】
また、前記イジェクト禁止手段は、前記ネジ止めされたことを検出する検出手段と、前記検出手段が前記ネジ止めを検出したときに、前記イジェクト機構の作動を禁止する制御手段と、を備えることが好ましい。
【0011】
さらに、前記イジェクト禁止手段は、前記ネジの先端によって作動され、前記第1のイジェクトボタンに当接して操作不能にするレバーからなることが好ましい。
【0012】
また、前記第2の記録メディアを取り出し位置へ押し出すための第2のイジェクトボタンを備え、前記開閉蓋は、前記閉じ位置で前記第2のイジェクトボタンを覆うことが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、第2の記録メディアが装填される第2装填部を覆う閉じ位置に、開閉蓋をネジ止めすると、イジェクト機構による第1の記録メディアのイジェクトが禁止されるから、開閉蓋を閉じ位置にネジ止めするだけで、同時に2つの記録メディアの取り出しを禁止して盗難防止を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
[第1実施形態]
図1において、オーディオプレーヤ(記録メディア再生装置)2は、本体ケース3に、2種類の記録メディア、例えば、CD4とメモリカード5とが装填され、選択的に再生または記録が行われる。
【0015】
本体ケース3は、前面が開口した箱状の収納ケース7と、収納ケース7の前面に取り付けられたフロントパネル8とから構成されている。フロントパネル8には、CD4を装填するためのCDスロット9と、メモリカード5を装填するためのカードスロット10とが形成されている。フロントパネル8には、電源ボタン11、CDイジェクトボタン12、再生ボタン13、停止ボタン14、一時停止ボタン15、録音ボタン16、セレクトボタン17等の各種操作ボタンが設けられている。セレクトボタン17を押圧すると、再生/記録されるメディアが、CD4とメモリカード5との間で切り換わる。本体ケース3の内部には、各ボタン11〜17の後方に、スイッチ21〜27(図4参照)が設けられている。これらスイッチ21〜27からなる操作スイッチ群28は、CPU30(図4参照)に接続されている。
【0016】
図2に示すように、CDスロット9の後方には、ディスク装置31が配されている。CD4をCDスロット9に装填すると、周知のローディング機構32によりディスク装置31内に自動的にローディングされ、再生/記録位置にセットされる。CDイジェクトボタン12を押圧すると、ローディング機構32が逆方向に作動して、CD4のほぼ1/3がCDスロット9から露出するイジェクト位置に向けて、CD4をイジェクトする。このローディング機構32は、CD4の取り出し時にイジェクト機構として機能する。
【0017】
カードスロット10の後方には、カードケース33が配されている。カードスロット10に挿入されたメモリカード5は、カードケース33内に収納される。本体ケース3の内部には、カードリーダ/ライタ34(図4参照)が配されている。メモリカード5を奥まで押し込むと、カードリーダ/ライタ34に接続される。カードリーダ/ライタ34は、メモリカード5に対してデータの再生/記録を行う。
【0018】
カードスロット10の周囲には、凹部36が形成されている。この凹部36内に配置した軸37に、開閉蓋38の一端が回転可能に取り付けられている。この開閉蓋38は、図3に示す閉じ位置にセットされると、凹部36内に入り込んで、カードスロット10を閉鎖する。開閉蓋38が図2に示す開き位置に戻されると、カードスロット10が露呈して、メモリカード5の装填や取り出しが可能となる。
【0019】
また、凹部36内には、カードイジェクトボタン39(図1参照)が設けられている。周知のように、カードイジェクトボタン39を押圧すると、これに連動してイジェクトレバー(図示せず)が作動して、メモリカード5の後端を押して、手で引出しが可能となる取り出し位置まで戻される。このカードイジェクトボタン39は、開閉蓋38が閉じ位置にセットされているときに、開閉蓋38により覆われるため、操作することができない。
【0020】
メモリカード5の盗難を防止するために、開閉蓋38は閉じ位置でネジ止め可能にしてある。この実施形態では、星型六角形のドライバ挿入溝が頭部に形成され、特殊なドライバが必要となるトルクスネジ41が用いられている。
【0021】
開閉蓋38には、トルクスネジ41が挿通されるネジ挿通孔38aが形成されている。このネジ挿通孔38aは、トルクスネジ41の頭部を収納するように、段付き形状をしている。トルクスネジ41の紛失を防止するために、トルクスネジ41がネジ挿通孔38aから抜け出ないように、例えば、抜け止めのEリングを設けてもよい。
【0022】
フロントパネル8の後面には、ナット42が取り付けられている。凹部36には、ナット42に連通するようにネジ挿通孔43が形成されている。本体ケース3内部には、開閉蓋38が閉じ位置にネジ止めされたことを検出する検出スイッチ44が設けられている。この検出スイッチ44は、トルクスネジ41の先端で押されるとONする。
【0023】
図4に示すように、検出スイッチ44には、端子44a,44bが設けられている。端子44aはCPU30及び電源に接続され、端子44bはアース接続されている。検出スイッチ44は、OFFのときには出力が「H」になり、端子44a,44bが導通しているONのときには出力が「L」になる。検出スイッチ44の出力が「L」になると、検出信号としてCPU30に送られる。
【0024】
CPU30には、各スイッチ21〜27が接続されており、各ボタン11〜17を操作したときに、各スイッチ21〜27から信号が入力される。CPU30は、入力された信号に基づいて、ディスク装置31、ローディング機構32及びカードリーダ/ライタ34を作動する。
【0025】
次に、上記第1実施形態の作用について説明する。オーディオプレーヤ2の使用の前に、CD4をCDスロット9から挿入する。このCD4のほぼ2/3がCDスロット9に挿入されると、ディスク装置31のローディング機構32が作動する。このローディング機構32は、CD4を保持してディスク装置31内に引込み、再生/記録位置にセットする。
【0026】
また、メモリカード5の装填では、開閉蓋38を開くと、カードスロット10が露呈する。メモリカード5をカードスロット10内に手動操作で押し込み、カードリーダ/ライタ34に接続する。
【0027】
CD4やメモリカード5の盗難防止のために、開閉蓋38が閉じられる。この開閉蓋38が閉じ位置にセットされると、図3に示すように、カードスロット10とカードイジェクトボタン39とが開閉蓋38により遮蔽される。
【0028】
トルクスドライバを使用して、トルクスネジ41をネジ挿通孔38a及びネジ挿通孔43を介してナット42に螺合させると、開閉蓋38は、閉じ位置に固定される。これにより、トルクスドライバを使用しない限り、開閉蓋38を開くことができないため、メモリカード5の取り出しが禁止される。
【0029】
トルクスネジ41を取り付けると、その先端で検出スイッチ44が押圧されてONする。この検出スイッチ44は、ONすると出力が「H」から「L」に切り換わり、検出信号としてCPU30に送られる。CPU30は、検出信号が入力されているときには、ローディング機構32の作動を禁止して、CD4のイジェクトを禁止する。このため、CDイジェクトボタン12を操作することによってスイッチ22から発生するCDイジェクト信号が、CPU30に入力されても、ローディング機構32は作動されない。したがって、CD4の取り出しができなくなる。
【0030】
CD4、メモリカード5を装填した後は、セレクトボタン17を操作して、CD4及びメモリカード5の一方を選択する。次に、通常のように再生ボタン13または録音ボタン16を操作し、CD4またはメモリカード5の再生/記録をすることができる。
【0031】
CD4やメモリカード5を取り出す場合には、トルクスドライバでトルクスネジ41を逆方向に回してナット42から外す。次に、開閉蓋38を開放位置に回転すると、カードスロット10及びカードイジェクトボタン39が露呈するから、カードイジェクトボタン39を押圧して、メモリカード5を抜き出すことができる。また、CDイジェクトボタン12を押圧すると、CDイジェクト信号がCPU30に送られる。CPU30は、ローディング機構32を作動し、CD4をディスク装置31から自動的に排出する。
【0032】
[第2実施形態]
図5に示す第2実施形態は、フォトセンサ50でネジ止めを検出するものである。なお、第1実施形態のものと同様の構成部材には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0033】
フォトセンサ50は、投光部51と受光部52とから構成され、ナット42の後方に設けられている。図5(A)に示すように、トルクスネジ53がネジ止めされていないときには、投光部51からの光は、受光部52に入射する。
【0034】
図5(B)に示すように、トルクスネジ41で開閉蓋38を閉じ位置に固定すると、投光部51からの光は、トルクスネジ53で遮られ、受光部52に入射しない。フォトセンサ50は、受光部52での受光が停止されたことに応答して、CPU30にネジ検出信号を送る。
【0035】
CPU30は、フォトセンサ50からネジ検出信号が入力されているときには、ローディング機構32の作動を禁止して、CD4のイジェクトを禁止する。
【0036】
また、第1の実施形態に比べて、トルクスネジ53を充分に緩めないと、フォトセンサ50からのネジ検出信号の出力を停止させることができない。これにより、トルクスネジ53を少し回しただけで、CD4が取り出されてしまうのを防止することができる。
【0037】
[第3実施形態]
図6に示す第3実施形態は、CDイジェクトボタン12の操作を機械的に禁止するものである。なお、第1実施形態のものと同様の構成部材には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0038】
イジェクト防止レバー61は、軸62を中心に回転自在に設けられ、コイルバネ63により、A方向に付勢されている。コイルバネ63は、一端がイジェクト防止レバー61のバネ掛け部61aに掛けられ、他端が本体ケース3内部に設けられたバネ掛け部64に掛けられている。図6(A)に示すように、トルクスネジ65がネジ止めされていないときには、イジェクト防止レバー61はCDイジェクトボタン12から離れており、CDイジェクトボタン12によりスイッチ22を押圧することができる。
【0039】
図6(B)に示すように、トルクスネジ65で開閉蓋38を閉じ位置に固定すると、トルクスネジ65の先端が、イジェクト防止レバー61をB方向に回転させる。このイジェクト防止レバー61は、CDイジェクトボタン12の背後に入り込み、CDイジェクトボタン12の押圧ができないようにする。これにより、CD4のイジェクトが禁止される。また、開閉蓋38が閉じ位置に固定されているため、メモリカード5の取り出しも禁止されている。
【0040】
なお、上記実施形態では、スロットインタイプのディスク装置31であるが、トレイタイプにも本発明を適用することができる。
【0041】
また、上記実施形態では、カードイジェクトボタン39の押圧力によりメモリカード5が押し出されるが、メモリカード5の挿入時にバネを蓄勢した状態でロックしておき、カードイジェクトボタン39を押圧したときにロックを解除し、バネの付勢力でメモリカード5を押し出してもよい。
【0042】
さらに、リモコンを用いたオーディオプレーヤに対しても本発明が適用可能であり、CPU30は、検出スイッチ44またはフォトセンサ50から検出信号が入力されているときには、リモコンからCDイジェクト指示が発生しても、ローディング機構32を作動しない。
【0043】
また、上記実施形態では、2種類の記録メディアとしてCDとメモリカードを例に説明したが、記録メディアの組み合わせはこれに限定されることなく、例えば、DVDとメモリカード、ブルーレイディスクとメモリカード、CDとリムーバブルハードディスク、DVDとリムーバブルハードディスク、ブルーレイディスクとリムーバブルハードディスク等、様々な組み合わせのものに本発明は適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明を実施したオーディオプレーヤの斜視図である。
【図2】オーディオプレーヤの内部構造を示す縦断面図である。
【図3】トルクスネジをナットに螺合させた状態のオーディオプレーヤの内部構造を示す縦断面図である。
【図4】オーディオプレーヤの電気的構成を示すブロック図である。
【図5】フォトセンサを用いた実施形態を示す縦断面図である。
【図6】イジェクト防止レバーを設けた実施形態を示す横断面図である。
【符号の説明】
【0045】
2 オーディオプレーヤ
4 CD
5 メモリカード
9 CDスロット
10 カードスロット
12 CDイジェクトボタン
38 開閉蓋
39 カードイジェクトボタン
41 トルクスネジ
44 検出スイッチ
50 フォトセンサ
61 イジェクト防止レバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の記録メディアが装填される第1装填部と、
前記第1装填部に装填された前記第1の記録メディアをイジェクトするイジェクト機構と、
前記イジェクト機構の作動を開始させるための第1のイジェクトボタンと、
第2の記録メディアが装填される第2装填部と、
前記第2装填部を露出させる開放位置と前記第2装填部を覆う閉じ位置との間で開閉自在な開閉蓋と、
前記開閉蓋を前記閉じ位置にネジでネジ止めしたときに、前記イジェクト機構によるイジェクトを禁止するイジェクト禁止手段と、
を備えることを特徴とする記録メディア再生装置。
【請求項2】
前記イジェクト禁止手段は、
前記ネジ止めされたことを検出する検出手段と、
前記検出手段が前記ネジ止めを検出したときに、前記イジェクト機構の作動を禁止する制御手段と、を備えることを特徴とする請求項1記載の記録メディア再生装置。
【請求項3】
前記イジェクト禁止手段は、前記ネジの先端によって作動され、前記第1のイジェクトボタンに当接して操作不能にするレバーからなることを特徴とする請求項1記載の記録メディア再生装置。
【請求項4】
前記第2の記録メディアを取り出し位置へ押し出すための第2のイジェクトボタンを備え、
前記開閉蓋は、前記閉じ位置で前記第2のイジェクトボタンを覆うことを特徴とする請求項1ないし3いずれか1つ記載の記録メディア再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−252273(P2009−252273A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−97065(P2008−97065)
【出願日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.トルクス
【出願人】(000003676)ティアック株式会社 (339)
【Fターム(参考)】