説明

記録再生方法、記録再生装置、再生方法および再生装置

【課題】対象者の生体情報を、対象者の感情などの状態を示すものとして簡単かつ的確に表現し、コンテンツとして感知できるように記録再生できるようにする。
【解決手段】生体情報が脈拍の場合、その測定値データD1(測定信号S1)の隣接するピーク間の時間間隔T1,T2,T3‥‥を生体情報(脈拍)の特徴量として検出し、特徴量データD2として記録媒体に記録する。再生時には、特徴量データD2から駆動信号S2として、測定記録時の各ピーク点P1,P2,P3‥‥のタイミングに対応する各タイミングで、一定パルス幅のパルス信号を生成し、その駆動信号S2によって振動モータやLEDなどの再生デバイスを駆動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、人の脈拍(脈)や呼吸などの生体情報を記録再生または再生する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
人の脈拍や呼吸などの生体情報を、医学的または医療的な目的ではなく、人の感情などの状態を示すものとして、画像や音楽などのコンテンツに準じる情報として、利用することが考えられている。
【0003】
例えば、特許文献1(特開2004−219914号公報)には、コンサート会場やライブ会場などの雰囲気を再現するために、音楽や映像の情報に演奏者や出演者の生体情報を多重して情報を伝送し、受信側で生体情報によって視聴者に感覚的な刺激を与えることが示されている。
【0004】
また、特許文献2(特開2007−280485号公報)には、コンテンツ再生時のユーザの生体情報を、ユーザの感情の変化を示すものとして測定して記録媒体に記録し、その記録媒体から再生した生体情報に応じて再生態様を変化させて、コンテンツを再生することが示されている。
【0005】
上に挙げた先行技術文献は、以下の通りである。
【特許文献1】特開2004−219914号公報
【特許文献2】特開2007−280485号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
人の生体情報の測定信号(測定値データ)は、例えば、生体情報が脈拍の場合、図2の測定信号S1(測定値データD1)で示すように、波形(測定値)が連続的に変化するものとなる。
【0007】
しかし、このような測定信号を、そのまま駆動信号として、例えば、振動モータを駆動し、ユーザに振動を与えても、測定信号の波形の変化に追従させて振動の振幅を変化させることは難しく、ユーザは、対象者(ユーザ自身である場合もある)の生体情報、すなわち脈拍を、コンテンツとして感知することは難しい。
【0008】
しかも、そもそも、脈拍の場合、対象者の感情などの状態の変化にかかわらず、測定信号のピーク値(極大値または極小値)は、ほとんど変化せず、対象者が興奮しているときには、脈拍が高く(脈拍数が多く)なって、測定信号の隣接するピーク間の時間間隔が長くなり、対象者が冷静なときには、脈拍が低く(脈拍数が少なく)なって、測定信号の隣接するピーク間の時間間隔が短くなる、というように、対象者の感情などの状態の変化は、脈拍数の変化、すなわち測定信号の隣接するピーク間の時間間隔の変化として現れる。
【0009】
そのため、上記のように生体情報の測定信号を、そのまま駆動信号とする方法では、ユーザは、脈拍数の変化、すなわち対象者の感情などの状態の変化を、コンテンツとして感知することができない。
【0010】
測定信号を駆動信号としてLED(発光ダイオード)を点灯させる場合などでも、同じであり、生体情報が呼吸などの場合でも、同様である。
【0011】
さらに、生体情報を記録媒体に記録する場合、測定信号(測定値データ)をそのまま記録すると、記録されるデータ量が不必要に多くなる。
【0012】
そこで、この発明は、対象者の生体情報を、対象者の感情などの状態を示すものとして簡単かつ的確に表現し、コンテンツとして感知できるように記録再生することができるとともに、少ないデータ量で記録することができるようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明の記録再生方法は、
対象者の生体情報を測定し、測定値データを得る工程と、
上記測定値データから上記生体情報の特徴量を検出し、特徴量データを得る工程と、
上記特徴量データを記録媒体に記録する工程と、
上記記録媒体から上記特徴量データを再生する工程と、
その再生された特徴量データから駆動信号を生成する工程と、
上記駆動信号によって再生デバイスを駆動する工程と、
を備えることを特徴とする。
【0014】
上記の記録再生方法では、生体情報の測定値データ(測定信号)そのものではなく、例えば、測定対象の生体情報が脈拍である場合、生体情報の特徴量として、測定値の隣接するピーク間の時間間隔が検出されて、特徴量データとして記録媒体に記録され、再生時には、再生された特徴量データから、駆動信号として上記の時間間隔のパルス信号が生成されて、振動モータやLEDなどの再生デバイスが駆動される。
【0015】
したがって、ユーザは、対象者の生体情報を、対象者の感情などの状態を示すコンテンツとして感知することができる。しかも、特徴量データは測定値データよりデータ量が少なくなるので、生体情報を少ないデータ量で記録することができる。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、この発明によれば、対象者の生体情報を、対象者の感情などの状態を示すものとして簡単かつ的確に表現し、コンテンツとして感知できるように記録再生することができるとともに、少ないデータ量で記録することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
[1.第1の実施形態(生体情報の記録再生):図1〜図3]
(1−1.装置構成:図1)
図1は、第1の実施形態の記録再生装置の一例を示す図である。
【0018】
この例の記録再生装置10は、生体センサ11、A/Dコンバータ12、特徴量検出部13、記録再生部14、記録媒体15、駆動信号生成部16、振動モータ17、赤色LED18、青色LED19、制御部21および操作部22を備えるものとして構成される。
【0019】
生体センサ11は、対象者(被測定者)1の脈拍や呼吸などの生体情報を測定する脈拍センサや呼吸センサなどである。
【0020】
A/Dコンバータ12は、生体センサ11の出力の測定信号S1をA/D変換して、測定値データD1を出力するものである。
【0021】
特徴量検出部13は、その測定値データD1から、対象者1の生体情報の後述するような特徴量を検出(抽出)して、
特徴量データD2を出力するものである。
【0022】
記録媒体15は、記録再生装置10に内蔵されたハードディスクや半導体メモリなどの内部記録媒体、または記録再生装置10に装着される光ディスクや半導体メモリなどのリムーバブル記録媒体である。
【0023】
記録再生部14は、記録時には、特徴量検出部13の出力の特徴量データD2を記録媒体15に記録し、再生時には、記録媒体15から、これに記録されている特徴量データD2を再生するもので、記録媒体15に応じたハードウェアおよびソフトウェア(プログラム)によって構成される。
【0024】
駆動信号生成部16は、再生時、記録再生部14から送出された特徴量データD2から、後述のように特徴量に応じた駆動信号を生成するものである。
【0025】
振動モータ17、赤色LED18および青色LED19は、それぞれ再生デバイス(出力デバイス)の一例である。
【0026】
すなわち、この例は、再生デバイスとして、振動モータ17、赤色LED18および青色LED19が用いられ、振動モータ17は駆動信号S2によって、赤色LED18は駆動信号S3によって、青色LED19は駆動信号S4によって、それぞれ駆動される場合である。
【0027】
ただし、後述のように、測定対象の生体情報が脈拍であるか呼吸であるかなどによって、振動モータ17、赤色LED18および青色LED19のうちのいずれか1つまたは2つのみを用い、または別の再生デバイスを用いることができる。
【0028】
記録再生装置10を携帯電話端末内に構成する場合には、振動モータ17としては、一般に携帯電話端末にマナーモード用などとして設けられる振動モータを利用することができる。
【0029】
制御部21は、記録再生装置10の各部を制御するもので、図では省略したが、CPU、CPUが実行する各種プログラムおよび必要な固定データが書き込まれたROM、およびプログラムやデータが展開されるRAMなどによって構成される。
【0030】
操作部22は、ユーザが制御部21に対して生体情報の測定記録や再生などを指示するものである。
【0031】
ユーザとは、当該の記録再生装置10を使用する者である。対象者1は、ユーザ自身でもよく、ユーザとは別の者でもよい。
【0032】
(1−2.生体情報が脈拍の場合:図2)
測定対象の生体情報が脈拍の場合には、図1の生体センサ11は脈拍センサとされる。
【0033】
脈拍を簡単に測定する方法としては、対象者の皮膚に赤外線を当てて、血中の赤血球からの反射光の強弱(光量)を測定し、または耳たぶなどの皮膚の薄いところであれば透過光の強弱(光量)を測定する方法を用いることができる。
【0034】
この場合、図2に示すように、測定信号S1としては、ピーク値(極大値または極小値)および振幅は、ほとんど変化せず、隣接するピーク間の時間間隔が、対象者1の感情などの状態に応じて変化する。測定値データD1も、測定信号S1をA/D変換しただけであるので、同じである。
【0035】
そのため、この場合、特徴量検出部13では、生体情報(脈拍)の特徴量として、測定値データD1(測定信号S1)の隣接するピーク間の時間間隔を検出する。
【0036】
具体的に、図2に示すように、最初に、ピーク点P1と次のピーク点P2との時間間隔T1を検出して、特徴量データD2として時間間隔T1を示すデータを生成し、次に、ピーク点P2と次のピーク点P3との時間間隔T2を検出して、特徴量データD2として時間間隔T2を示すデータを生成し、というように、隣接するピーク間の時間間隔を順次検出し、隣接するピーク間の時間間隔を示すデータを順次生成する。
【0037】
この場合の特徴量データD2は、測定値データD1よりデータ量が著しく少ないことは勿論、測定値データD1を画像信号や音声信号などの圧縮で用いられている圧縮方式で圧縮した後のデータと比較してもデータ量が少ない。
【0038】
そして、記録時には、この特徴量データD2を記録媒体15に記録する。
【0039】
再生時には、駆動信号生成部16では、記録媒体15から再生された同じ特徴量データD2から、図2に示すように、駆動信号S2として、測定記録時の各ピーク点P1,P2,P3,P4‥‥のタイミングに対応する各タイミングで、一定パルス幅のパルス信号を生成する。
【0040】
そして、測定対象の生体情報が脈拍の場合には、再生時、例えば、図1に示したように、この駆動信号S2によって振動モータ17を駆動する。
【0041】
したがって、記録再生装置10が、上記の時間間隔T1,T2,T3,T4‥‥で断続的に振動し、ユーザは、測定記録時の対象者1の脈拍の様子、すなわち脈を打ったタイミングや間隔(脈拍数)を感知することができる。
【0042】
駆動信号S2によって、赤色LED18または青色LED19を駆動してもよい。この場合、赤色LED18または青色LED19が、上記の時間間隔T1,T2,T3,T4‥‥で点滅し、ユーザは、同様に、測定記録時の対象者1の脈拍の様子を感知することができる。
【0043】
駆動信号S2によって、振動モータ17、赤色LED18および青色LED19のうちの複数を駆動してもよい。
【0044】
(1−3.生体情報が呼吸の場合:図3)
測定対象の生体情報が呼吸の場合には、図1の生体センサ11は呼吸センサとされる。
【0045】
この場合、図3に示すように、測定信号S1は、対象者1が息を吸っている期間では信号が増加する方向であり、対象者1が息を吐いている期間では信号が減少する方向である。測定値データD1も、測定信号S1をA/D変換しただけであるので、同じである。
【0046】
そのため、この場合、特徴量検出部13では、生体情報(呼吸)の特徴量として、測定値データD1(測定信号S1)が増加している期間の時間長T11,T21‥‥と、現象している期間の時間長T12,T22‥‥とを交互に検出して、特徴量データD2として、それぞれの時間長を示し、かつその時間長が息を吸っている期間か息を吐いている期間かを示すデータを順次生成する。
【0047】
この場合の特徴量データD2も、測定値データD1よりデータ量が著しく少ないことは勿論、測定値データD1を画像信号や音声信号などの圧縮で用いられている圧縮方式で圧縮した後のデータと比較してもデータ量が少ない。
【0048】
そして、記録時には、この特徴量データD2を記録媒体15に記録する。
【0049】
再生時には、駆動信号生成部16では、記録媒体15から再生された同じ特徴量データD2から、図3に示すように、駆動信号S3として、測定記録時の対象者1が息を吸っていた期間に対応する期間では高レベルとなり、測定記録時の対象者1が息を吐いていた期間に対応する期間では低レベルとなる二値信号(矩形波信号)を生成するとともに、駆動信号S4として、駆動信号S3に対して反転した信号、すなわち、測定記録時の対象者1が息を吸っていた期間に対応する期間では低レベルとなり、測定記録時の対象者1が息を吐いていた期間に対応する期間では高レベルとなる二値信号を生成する。
【0050】
そして、測定対象の生体情報が呼吸の場合には、再生時、例えば、図1に示したように、駆動信号S3によって赤色LED18を駆動し、駆動信号S4によって青色LED19を駆動する。
【0051】
したがって、測定記録時の対象者1が息を吸っていた期間に対応する期間では、赤色LED18が点灯して、青色LED19は点灯しないとともに、測定記録時の対象者1が息を吐いていた期間に対応する期間では、青色LED19が点灯して、赤色LED18は点灯しない。
【0052】
したがって、ユーザは、測定記録時の対象者1の呼吸の様子、すなわち息を吸っていた時間および息を吐いていた時間やその変化を感知することができる。
【0053】
上記とは逆に、駆動信号S3によって青色LED19を駆動し、駆動信号S4によって赤色LED18を駆動してもよい。
【0054】
また、例えば、駆動信号S3によって振動モータ17および赤色LED18を駆動し、駆動信号S4によって青色LED19を駆動してもよい。
【0055】
また、例えば、駆動信号S3によって、赤色LED18と青色LED19のいずれか一方のみ、または振動モータ17のみを駆動してもよい。
【0056】
さらに、図示していないが、再生デバイスとして駆動信号に応じて伸縮するデバイスを用い、その再生デバイスを駆動信号S3によって駆動してもよい。この場合には、測定記録時の対象者1が息を吸っていた期間に対応する期間では再生デバイスが伸長し、測定記録時の対象者1が息を吐いていた期間に対応する期間では再生デバイスが圧縮されるので、測定記録時の対象者1の呼吸の様子を、より直感的に感知することができる。
【0057】
(1−4.記録と再生を別の装置で行う場合)
図1の例で、記録媒体15がリムーバブル記録媒体である場合には、記録再生装置10で上記のように生体情報が特徴量データD2として記録された記録媒体15を、記録再生装置10から外して、上記のように生体情報を再生することができる別の記録再生装置または再生装置に装着し、別の記録再生装置または再生装置で上記のように生体情報を再生することもできる。
【0058】
さらに、この場合、ユーザが記録媒体15を他のユーザに譲渡または貸与することによって、他のユーザの記録再生装置または再生装置で上記のように生体情報を再生することができる。
【0059】
(1−5.画像や音楽などのコンテンツの記録再生との関係)
上述した生体情報の記録再生は、画像や音楽などのコンテンツの記録再生と関係なく実行することもできるが、以下のように画像や音楽などのコンテンツの記録再生と関連させて実行すれば、コンテンツの再生に臨場感を増すことができる。
【0060】
コンテンツの記録再生と関連させて生体情報を記録再生する場合の第1の例は、記録済みのコンテンツの再生時に生体情報を記録する場合である。
【0061】
例えば、図1の例で、記録媒体15に画像や音楽などのコンテンツが記録されている場合、そのコンテンツの再生時、ユーザ自身が対象者1となって、記録再生装置10に、ユーザ自身の脈拍や呼吸を測定させ、特徴量データD2として、当該コンテンツデータに多重化して、記録媒体15に記録させる。
【0062】
これによれば、当該コンテンツを次回以降に再生する際、当該コンテンツの再生と同期させて、ユーザが前に当該コンテンツを鑑賞した時のユーザ自身の脈拍や呼吸を再生することができ、当該コンテンツの再生に臨場感が増す。
【0063】
コンテンツの記録再生と関連させて生体情報を記録再生する場合の第2の例は、未記録のコンテンツの記録時に生体情報を記録する場合である。この場合の例を、以下に第2の実施形態として示す。
【0064】
[2.第2の実施形態:図4〜図7]
生体情報と同時にコンテンツを記録再生する場合の一例として、デジタルスチルカメラまたはデジタルビデオカメラ、またはカメラ付き携帯電話端末などで、静止画または動画を撮影し記録再生する場合を、第2の実施形態として示す。
【0065】
(2−1.第1の例:図4)
図4に、第2の実施形態の撮像記録再生装置の第1の例を示す。
【0066】
この例の撮像記録再生装置30は、図1の例の記録再生装置10に対して、撮像部31、画像処理部33、マイクロホン35、音声増幅回路37、音声処理部39、多重化分離部51、遅延補正部55、画像処理部41、画像表示部43、音声処理部45、音声増幅回路47およびスピーカ49を付加したものである。
【0067】
生体情報用の再生デバイス25は、上記の振動モータやLED、または上記の伸縮デバイスなどである。
【0068】
画像表示部43は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどである。
【0069】
この場合の対象者1は、当該の撮像記録再生装置30によって静止画または動画を撮影する者などである。生体センサ11は、例えば、脈拍センサまたは呼吸センサである。
【0070】
この例の撮像記録再生装置30では、記録時には、撮像部31によって、被写体が静止画または動画として撮影され、マイクロホン35によって、音楽などの音声が収得され、生体センサ11によって、撮影時の対象者1の脈拍または呼吸が測定される。
【0071】
撮像部31からの静止画または動画の画像データは、画像処理部33で処理され、さらに圧縮されて、多重化分離部51に送出される。
【0072】
マイクロホン35からの音声信号は、音声増幅回路37で増幅され、音声処理部39でデジタル音声データに変換され、さらに圧縮されて、多重化分離部51に送出される。
【0073】
画像処理部33からの圧縮後の画像データ、および音声処理部39からの圧縮後の音声データは、画像および音声に係る圧縮方式によって、互いに同期したものとされる。
【0074】
一方、生体センサ11からの測定信号は、A/Dコンバータ12でA/D変換され、A/Dコンバータ12から測定値データが得られる。さらに、特徴量検出部13では、その測定値データから、上記のように対象者1の脈拍または呼吸の特徴量が検出されて、特徴量データが得られる。
【0075】
この特徴量検出部13からの特徴量データは、遅延補正部55で上記の圧縮後の画像データおよび圧縮後の音声データに同期するように遅延補正されて、多重化分離部51に送出される。
【0076】
そして、撮影記録時には、多重化分離部51で、これら圧縮後の画像データ、圧縮後の音声データおよび遅延補正後の特徴量データを多重化して、記録再生部14によって記録媒体15に記録する。
【0077】
再生時には、記録再生部14によって記録媒体15から、多重化された圧縮画像データ、圧縮音声データおよび特徴量データが再生され、多重化分離部51で、圧縮画像データ、圧縮音声データおよび特徴量データが分離される。
【0078】
分離後の圧縮画像データは、画像処理部41で伸長され、さらに表示用の画像信号に変換されて、画像表示部43に送出され、画像表示部43に静止画または動画が表示される。
【0079】
分離後の圧縮音声データは、音声処理部45で伸長され、さらにアナログ音声信号に変換され、音声増幅回路47で増幅されて、スピーカ49に送出され、スピーカ49から音声が出力される。
【0080】
さらに、分離後の特徴量データは、遅延補正部55で画像処理部41からの画像信号および音声処理部45からの音声信号に同期するように遅延補正されて、駆動信号生成部16に送出される。
【0081】
そして、測定対象の生体情報が脈拍である場合には、駆動信号生成部16では、図2に示すような駆動信号S2が生成されて、再生デバイス25が駆動され、測定対象の生体情報が呼吸である場合には、駆動信号生成部16では、図3に示すような駆動信号S3または駆動信号S4が生成されて、再生デバイス25が駆動される。
【0082】
したがって、画像および音声の再生に同期して、測定記録時の対象者1の脈拍または呼吸が、コンテンツとして再生される。
【0083】
(2−2.第2の例:図5)
図5に、第2の実施形態の撮像記録再生装置の第2の例を示す。
【0084】
この例の撮像記録再生装置40は、生体情報用の再生デバイスとして、図1に示したように振動モータ17、赤色LED18および青色LED19を備える点が、図4の例の撮像記録再生装置30と異なり、その他は、図4の例の撮像記録再生装置30と同じである。
【0085】
振動モータ17、赤色LED18および青色LED19のうちのいずれによって生体情報を再生するかは、測定対象の生体情報が脈拍であるか呼吸であるかなどに応じて、あらかじめ設定され、またはユーザが操作部22で選択できるようにされる。
【0086】
具体的に、測定対象の生体情報が脈拍の場合には、再生時、駆動信号生成部16では、駆動信号として図2に示すような駆動信号S2が生成され、上記の設定またはユーザの選択によって、振動モータ17のみ、赤色LED18のみ、青色LED19のみ、振動モータ17および赤色LED18、振動モータ17および青色LED19、赤色LED18および青色LED19、または振動モータ17、赤色LED18および青色LED19が駆動される。
【0087】
また、測定対象の生体情報が呼吸の場合には、再生時、例えば、駆動信号生成部16では、駆動信号として図3に示すような駆動信号S3および駆動信号S4が生成され、上記の設定またはユーザの選択によって、
(a)駆動信号S3によって赤色LED18が駆動され、駆動信号S4によって青色LED19が駆動される、
(b)駆動信号S3によって青色LED19が駆動され、駆動信号S4によって赤色LED18が駆動される、
(c)駆動信号S3によって振動モータ17および赤色LED18が駆動され、駆動信号S4によって青色LED19が駆動される、
(d)駆動信号S3によって振動モータ17および青色LED19が駆動され、駆動信号S4によって赤色LED18が駆動される、
などのように駆動される。
【0088】
このように、生体情報用に複数の再生デバイスを備え、特にユーザが生体情報の再生モードを複数の再生モードの中から選択できるように構成すれば、ユーザは、その時々で好みの再生モードを選択して、生体情報の再生を楽しむことができる。
【0089】
この例でも、複数の再生デバイス中の1つまたは複数として、上記の伸縮デバイスなどを用いることができる。
【0090】
(2−3.第3の例:図6)
図6に、第2の実施形態の撮像記録再生装置の第3の例を示す。
【0091】
この例の撮像記録再生装置は、撮像記録再生装置本体50と測定送信装置60とによって構成される。
【0092】
この例で、対象者1は、撮像記録再生装置本体50によって撮影を行う者などであり、対象者2は、撮像記録再生装置本体50によって撮影される者などである。
【0093】
撮像記録再生装置本体50は、図4の例の撮像記録再生装置30に対して、受信部59を付加したものである。
【0094】
測定送信装置60は、対象者2の生体情報の測定用および送信用に、生体センサ61、A/Dコンバータ62、特徴量検出部63および送信部69を備えるものである。
【0095】
生体センサ61は、撮像記録再生装置本体50の生体センサ11と同様に、例えば、脈拍センサまたは呼吸センサである。ただし、生体センサ11および生体センサ61は、両者を脈拍センサとし、または両者を呼吸センサとするほか、一方を脈拍センサ、他方を呼吸センサとしてもよい。
【0096】
特徴量検出部63では、撮像記録再生装置本体50の特徴量検出部13と同様に、生体センサ61が脈拍センサであるか呼吸センサであるかに応じて、図2または図3で示したように対象者2の脈拍または呼吸の特徴量を検出し、特徴量データを生成する。
【0097】
その生成された特徴量データは、測定送信装置60の送信部69から、電波や赤外線などによる無線通信によって、撮像記録再生装置本体50に送信される。
【0098】
撮像記録再生装置本体50の受信部59は、その特徴量データを受信して、遅延補正部55に送出し、遅延補正部55は、その特徴量データを、撮像記録再生装置本体50の特徴量検出部13からの特徴量データと同様に、画像処理部33からの圧縮後の画像データおよび音声処理部39からの圧縮後の音声データに同期するように遅延補正して、多重化分離部51に送出する。
【0099】
この例では、撮影記録時、生体センサ11によって対象者1の脈拍または呼吸を測定すると同時に、生体センサ61によって対象者2の脈拍または呼吸を測定し、多重化分離部51で、対象者1の脈拍または呼吸に係る特徴量データである第1チャンネルの特徴量データ、および対象者2の脈拍または呼吸に係る特徴量データである第2チャンネルの特徴量データを、圧縮後の画像データおよび音声データに多重化して、記録媒体15に記録する。
【0100】
再生時には、ユーザが選択した方のチャンネルの生体情報が再生される。すなわち、再生時、多重化分離部51で分離された、ユーザが選択した方のチャンネルの特徴量データが、遅延補正部55で遅延補正されて駆動信号生成部16に送出され、駆動信号生成部16では、そのチャンネルの測定対象の生体情報が脈拍であるか呼吸であるかに応じて、上記のような駆動信号S2、駆動信号S3または駆動信号S4が生成されて、再生デバイス25が駆動される。
【0101】
したがって、この例では、ユーザは、対象者1と対象者2のうちの、例えば撮影者と被撮影者のうちの、一方を選択して、一方の生体情報を再生することができるとともに、再生中に他方に切り換えて、他方の生体情報を再生することもできる。
【0102】
(2−4.第4の例:図7)
図7に、第2の実施形態の撮像記録再生装置の第4の例を示す。
【0103】
この例の撮像記録再生装置は、図6の例の撮像記録再生装置と同様に、撮像記録再生装置本体70と測定送信装置60とによって構成される。
【0104】
この例で、対象者1は、撮像記録再生装置本体70によって撮影を行う者などであり、対象者2は、撮像記録再生装置本体70によって撮影される者などである。
【0105】
撮像記録再生装置本体70は、図5の例の撮像記録再生装置40に対して、受信部59を付加したものである。測定送信装置60は、図6に示したそれと同じである。
【0106】
撮影記録時、測定送信装置60の特徴量検出部63で得られ、送信部69から送信された特徴量データが、撮像記録再生装置本体70の受信部59で受信されることによって、対象者1の脈拍または呼吸に係る特徴量データである第1チャンネルの特徴量データ、および対象者2の脈拍または呼吸に係る特徴量データである第2チャンネルの特徴量データが、圧縮後の画像データおよび音声データに多重化されて、記録媒体15に記録されることも、図6の例と同じである。
【0107】
再生時には、両方のチャンネルの生体情報が再生される。すなわち、再生時、多重化分離部51で分離された第1チャンネルの特徴量データおよび第2チャンネルの特徴量データが、それぞれ遅延補正部55で遅延補正されて駆動信号生成部16に送出され、駆動信号生成部16では、各チャンネルの測定対象の生体情報が脈拍であるか呼吸であるかに応じて、各チャンネルにつき、上記のような駆動信号S2、駆動信号S3または駆動信号S4が生成されて、振動モータ17、赤色LED18および青色LED19のうちの一部によって、対象者1の脈拍または呼吸が再生され、他の一部によって、対象者2の脈拍または呼吸が再生される。
【0108】
したがって、この例では、撮影時、撮影者と被撮影者が共に緊張していたことや、撮影者は緊張していたのに対して被撮影者は落ち着いていたことなどを、再生時、思い出し、または発見することができる。
【0109】
再生デバイスについては、見ている者が複数である場合、振動モータのように接触して生体情報の再生を感じるデバイスの場合は、見ている者が一度に感じることができない。その場合は、上述した撮影時に使った測定送信装置60のような無線手段を再生デバイスにも使って、その無線手段からの信号を受信する再生受信デバイスにより複数人が同時に感じることができるように構成することができる。
【0110】
[3.生体情報についての他の実施形態]
上記の実施形態は、生体情報として脈拍または呼吸を測定し記録再生する場合であるが、他の生体情報を測定し記録再生するようにしてもよい。
【0111】
この場合、例えば、測定対象の生体情報が、脈拍とは逆に、隣接するピーク間の時間間隔は、ほとんど変化せず、ピーク値(極大値または極小値)が、対象者の状態に応じて変化する場合には、生体情報の特徴量として各ピークのピーク値を検出し、特徴量データとして記録再生する。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】第1の実施形態の記録再生装置の一例を示す図である。
【図2】測定対象の生体情報が脈拍である場合の説明に供する図である。
【図3】測定対象の生体情報が呼吸である場合の説明に供する図である。
【図4】第2の実施形態の第1の例の撮像記録再生装置を示す図である。
【図5】第2の実施形態の第2の例の撮像記録再生装置を示す図である。
【図6】第2の実施形態の第3の例の撮像記録再生装置を示す図である。
【図7】第2の実施形態の第4の例の撮像記録再生装置を示す図である。
【符号の説明】
【0113】
主要部については図中に記述したので、ここでは省略する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者の生体情報を測定し、測定値データを得る工程と、
上記測定値データから上記生体情報の特徴量を検出し、特徴量データを得る工程と、
上記特徴量データを記録媒体に記録する工程と、
上記記録媒体から上記特徴量データを再生する工程と、
その再生された特徴量データから駆動信号を生成する工程と、
上記駆動信号によって再生デバイスを駆動する工程と、
を備えることを特徴とする記録再生方法。
【請求項2】
請求項1の記録再生方法において、
上記測定工程、上記検出工程および上記記録工程は、コンテンツの記録時または再生時に実行し、
上記再生工程、上記生成工程および上記駆動工程は、上記コンテンツの再生時に実行する、
ことを特徴とする記録再生方法。
【請求項3】
請求項1の記録再生方法において、
上記検出工程では、上記特徴量として、上記生体情報の測定値の隣接するピーク間の時間間隔を検出し、
上記生成工程では、上記駆動信号として、上記時間間隔のパルス信号を生成する、
ことを特徴とする記録再生方法。
【請求項4】
請求項1の記録再生方法において、
上記検出工程では、上記特徴量として、上記生体情報の測定値が基準値より大きくなる第1の期間の時間長と、上記基準値以下となる第2の期間の時間長とを交互に検出して、上記特徴量データとして、それぞれの時間長を示し、かつ上記第1の期間か上記第2の期間かを示すデータを順次生成し、
上記生成工程では、上記駆動信号として、上記第1の期間に対応する期間と上記第2の期間に対応する期間とでレベルの異なる二値信号を生成する、
ことを特徴とする記録再生方法。
【請求項5】
対象者の生体情報を測定し、測定値データを得る手段と、
上記測定値データから上記生体情報の特徴量を検出し、特徴量データを得る手段と、
上記特徴量データを記録媒体に記録し、当該記録媒体から再生する手段と、
その再生された特徴量データから駆動信号を生成する手段と、
上記駆動信号によって駆動される再生デバイスと、
を備えることを特徴とする記録再生装置。
【請求項6】
請求項5の記録再生装置において、
上記測定手段として、第1の対象者の生体情報を測定し、第1の測定値データを得る第1の測定手段と、第2の対象者の生体情報を測定し、第2の測定値データを得る第2の測定手段とを備えることを特徴とする記録再生装置。
【請求項7】
請求項6の記録再生装置において、
上記第1の測定手段は、記録再生装置本体に設けられ、上記第2の測定手段は、無線によって上記記録再生装置本体と接続されることを特徴とする記録再生装置。
【請求項8】
請求項6の記録再生装置において、
上記再生デバイスとして、複数の再生デバイスを備えることを特徴とする記録再生装置。
【請求項9】
請求項5の記録再生装置において、
静止画または動画を撮影する撮像部を備えることを特徴とする記録再生装置。
【請求項10】
請求項9の記録再生装置において、
上記記録再生手段は、上記撮像部から得られた画像データと上記特徴量データとを多重化して上記記録媒体に記録することを特徴とする記録再生装置。
【請求項11】
請求項5の記録再生装置において、
上記検出手段は、上記特徴量として、上記生体情報の測定値の隣接するピーク間の時間間隔を検出し、
上記生成手段は、上記駆動信号として、上記時間間隔のパルス信号を生成する、
ことを特徴とする記録再生装置。
【請求項12】
請求項5の記録再生装置において、
上記検出手段は、上記特徴量として、上記生体情報の測定値が基準値より大きくなる第1の期間の時間長と、上記基準値以下となる第2の期間の時間長とを交互に検出して、上記特徴量データとして、それぞれの時間長を示し、かつ上記第1の期間か上記第2の期間かを示すデータを順次生成し、
上記生成手段は、上記駆動信号として、上記第1の期間に対応する期間と上記第2の期間に対応する期間とでレベルの異なる二値信号を生成する、
ことを特徴とする記録再生装置。
【請求項13】
対象者の生体情報が測定されて得られた測定値データから上記生体情報の特徴量が検出されて得られた特徴量データが記録されている記録媒体から、上記特徴量データを再生する工程と、
その再生された特徴量データから駆動信号を生成する工程と、
上記駆動信号によって再生デバイスを駆動する工程と、
を備えることを特徴とする再生方法。
【請求項14】
対象者の生体情報が測定されて得られた測定値データから上記生体情報の特徴量が検出されて得られた特徴量データが記録されている記録媒体から、上記特徴量データを再生する手段と、
その再生された特徴量データから駆動信号を生成する手段と、
上記駆動信号によって駆動される再生デバイスと、
を備えることを特徴とする再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−187643(P2009−187643A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−29117(P2008−29117)
【出願日】平成20年2月8日(2008.2.8)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】