説明

記録再生装置、記録再生システム、及び記録再生装置の制御方法

【課題】ユーザに負担を強いることなく十分強度を持った暗号化を行うことができ、記録再生装置自体が盗難にあった場合であってもデータ漏洩の危険を少なくすることができる記録再生システムを提供する。
【解決手段】本発明の記録再生システムは、暗号鍵を用いてデータを暗号化復号化して記録再生する記録再生装置と、記憶部を有し、前記記録再生装置に着脱可能なバッテリと、 暗号鍵が記憶された記憶部を有し、前記バッテリを充電する充電装置とを含んで構成される記録再生システムであって、前記バッテリを前記充電装置に接続した際に、前記充電装置の記憶部に記憶された暗号鍵を前記バッテリの記憶部に複写する暗号鍵複写手段を有し、 前記記録再生装置は、前記バッテリの記憶部に複写された暗号鍵を用いてデータの暗号化及び復号化のうち少なくともいずれか一方を行うことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば画像データを暗号化復号化して記録再生するデジタルカメラ等の記録再生装置、記録再生システム、記録再生装置の制御方法、記録再生システムの制御方法、及びコンピュータプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルスチルカメラ等の記録再生装置において、扱われるデータの多様化、また記録媒体の大容量化が進んでいる。そのため、大切なデータが第三者に漏洩した場合にこれまでよりも大きな被害を受けやすくなっており、この被害を少なくするためにデータを秘匿する必要性が高まっている。
【0003】
データを秘匿する方式としては、ユーザがパスワードを設定し、再生時にそのパスワードの入力を求める方式、指紋認証デバイスにより再生時に指紋の照合を求める方式、記録再生装置自体に暗号鍵を記憶し、その暗号鍵を用いてデータを暗号化して記録する方式等がある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2006−314050号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の各方式には様々な問題がある。ユーザにパスワードの入力を求める方式では、ユーザが覚えていられる程度に単純なパスワードである必要があり、パスワードとしての強度は低くなる。また、再生を行う場合に毎回パスワードを入力するのでは煩わしい上に、ユーザがパスワードを忘れてしまった場合にデータの再生ができなくなってしまう。
【0006】
指紋認証デバイスを用いる方式では、デバイスを搭載するスペースが記録再生装置の表面に必要であり、機器の小型化に支障がある。
【0007】
記録再生装置自体に暗号鍵を記憶する方式では、記録再生装置自体が盗難にあった場合に意味がなくなってしまう。
【0008】
本発明は上述した問題点に鑑みてなされたものであり、ユーザに負担を強いることなく十分強度を持った暗号化を行うことができ、記録再生装置自体が盗難にあった場合であってもデータ漏洩の防ぐことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、暗号鍵を用いてデータを暗号化復号化して記録再生する記録再生装置であって、前記記録再生装置に着脱可能なバッテリを充電する充電装置に記憶された暗号鍵を用いてデータの暗号化及び復号化のうち少なくともいずれか一方を行うことを特徴とする。
【0010】
本発明は、暗号鍵を用いてデータを暗号化復号化して記録再生する記録再生装置と、記憶部を有し、前記記録再生装置に着脱可能なバッテリと、暗号鍵が記憶された記憶部を有し、前記バッテリを充電する充電装置とを含んで構成される記録再生システムであって、 前記バッテリを前記充電装置に接続した際に、前記充電装置の記憶部に記憶された暗号鍵を前記バッテリの記憶部に複写する暗号鍵複写手段を有し、前記記録再生装置は、前記バッテリの記憶部に複写された暗号鍵を用いてデータの暗号化及び復号化のうち少なくともいずれか一方を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、記録再生装置に着脱可能なバッテリを充電する充電装置に記憶された暗号鍵を用いてデータを暗号化復号化して記録再生することができる。したがって、暗号鍵が記録された充電装置により、記録再生装置に対して直接又は間接的に電源を供給しなければ、データの暗号化復号化を行うことができないため、暗号化復号化の強度が向上する。
【0012】
また、本発明によれば、充電装置の記憶部に記憶された暗号鍵を、バッテリの記憶部に複写し、複写した暗号鍵を用いてデータを暗号化復号化して記録再生することができる。したがって、記録再生装置を駆動するためにバッテリを充電する際に、バッテリの記憶部に暗号鍵を記憶することができ、その暗号鍵を用いてデータを暗号化復号化して記録再生するので、ユーザに暗号化復号化の負担を強いることがない。また、暗号鍵が記憶されたバッテリ以外ではデータを再生することができないため、バッテリを記録再生装置と別に保管しておくことで、記録再生装置が盗難にあった場合でもデータの漏洩を防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。
(第1の実施形態)
第1の実施形態では、本発明に係る記録再生装置をデジタルスチルカメラ本体2に適用し、本発明に係る記録再生システムをデジタルスチルカメラ1に適用した場合について説明を行う。デジタルスチルカメラ本体2が画像データを暗号化復号化して記録再生する動作について説明を行う。本実施形態で用いられる暗号化アルゴリズムは公開鍵暗号方式であり、暗号鍵は公開鍵及び秘密鍵の対からなる。ここでは、公開鍵により暗号化を行い、秘密鍵により復号化を行う例を説明する。
【0014】
図1は、実施形態に係るデジタルスチルカメラ1の構成を示すブロック図である。本実施形態に係るデジタルスチルカメラ1は、デジタルスチルカメラ本体2、バッテリ3、充電装置4、電源アダプタ5から構成される。
【0015】
デジタルスチルカメラ本体2において、10は被写体を映像信号に変換する撮像部である。11は撮像部10により変換された映像信号の処理を行うカメラ映像信号処理回路である。13はカメラ映像信号処理回路11において処理された映像信号の圧縮を行ったり、後述するメモリカード16から再生される画像データの処理を行ったりする記録再生データ処理回路である。
【0016】
14は撮影された画像データを暗号化したり、メモリカード16から読み出された画像データを復号化したりする暗号化回路である。15は撮影画像の表示や再生画像の表示を行う液晶パネルである。16は画像データを記録するためのメモリカードである。17は画像データを外部に転送するためのUSBインターフェースである。18は暗号化用の公開鍵を記憶するための記憶部としてのフラッシュメモリ(第1の不揮発性メモリ)である。19はユーザが画像の記録再生等を指示することができる操作部としての制御スイッチである。20は各部の制御を行うシステムコントローラである。
【0017】
バッテリ3は、デジタルスチルカメラ本体2に着脱可能に装着、接続することで、デジタルスチルカメラ本体2に電力の供給を行う。バッテリ3において、31は暗号鍵を記憶するための記憶部としてのRAM(揮発性メモリ)である。32はユーザがRAM31の内容を消去するための操作部としてのRAM消去スイッチである。
【0018】
充電装置4は、バッテリ3を接続することで、バッテリ3の充電を行うができる。充電装置4において、41は暗号鍵が記憶されている記憶部としてのフラッシュメモリ(第2の不揮発性メモリ)である。42は制御マイコンである。ここで、充電装置4のフラッシュメモリ41には、工場等での生産時に暗号鍵(公開鍵及び秘密鍵の対)が書き込まれて記憶されている。この暗号鍵はユニークなものであって、生産時のシリアルナンバー等で管理されていることが望ましい。
【0019】
電源アダプタ5は、デジタルスチルカメラ本体2に電力の供給を行う。電源アダプタ5において、51は暗号鍵が記憶されている記憶部としてのフラッシュメモリ(第3の不揮発性メモリ)である。ここで、電源アダプタ5のフラッシュメモリ51にも、充電装置4のフラッシュメモリ41と同一の暗号鍵(公開鍵及び秘密鍵の対)が記憶されている。
【0020】
以下、本実施形態に係るデジタルスチルカメラ1での処理動作について説明する。まず、バッテリ3を充電装置4に接続した際に、充電装置4内の制御マイコン42が行う処理動作について説明する。図2は、バッテリ3を接続した充電装置4の処理動作を示すフローチャートである。
【0021】
ステップS101において、充電装置4内の制御マイコン42は、充電装置4にバッテリ3が接続されたかどうかを確認する。上記ステップS101でバッテリ3が接続されている場合は、ステップS102において、制御マイコン42は、充電装置4内のフラッシュメモリ41から暗号鍵を読み出して、その暗号鍵をバッテリ3に送信する。バッテリ3では、受信した暗号鍵をバッテリ3内のRAM31に記憶する(複写する)。ここで、バッテリ3を充電装置4に接続した際に、フラッシュメモリ41の暗号鍵をバッテリ3内のRAM31に複写する構成を暗号鍵複写手段という。その後、ステップS103において、制御マイコン42は、バッテリ3の充電処理を行う。なお、上記ステップS101でバッテリ3が接続されていない場合は、一定周期後に再度ステップS101を実行し、バッテリ3の接続確認を行う。
【0022】
本実施形態で用いられる暗号化アルゴリズムは公開鍵暗号方式であり、充電装置4からバッテリ3に複写される暗号鍵は、公開鍵及び秘密鍵の対である。
【0023】
次に、バッテリ3をデジタルスチルカメラ本体2に装着、接続し、画像データを記録する場合の処理動作について説明する。図3は、撮影時のデジタルスチルカメラ本体2の処理動作を示すフローチャートである。
【0024】
ステップS201において、システムコントローラ20は、制御スイッチ19による撮影操作がなされたかどうかの判断を行う。撮影操作がなされていた場合には、撮影処理を行うためにステップS202へ進む。撮影操作がなされていない場合には、一定周期後に再度ステップS201を実行する。
【0025】
次に、ステップS202において、システムコントローラ20は、各回路を制御して撮影処理を行う。具体的には、撮像部10により変換された映像信号がカメラ映像信号処理回路11に入力され、画像データへと変換される。
【0026】
次に、ステップS203において、システムコントローラ20は、デジタルスチルカメラ本体2に接続されたバッテリ3内のRAM31の内容を読み出し、ステップS204へ進む。ステップS204において、システムコントローラ20は、バッテリ3内のRAM31に、画像データを暗号化するための公開鍵が記憶されているどうかを判断する。
【0027】
上記ステップS204でRAM31に公開鍵が記憶されていた場合には、ステップS205へ進む。ステップS205において、システムコントローラ20は、バッテリ3内のRAM31から読み出した公開鍵を用いて、暗号化回路14により上記ステップS202で作成された画像データの暗号化を行う。そして、ステップS206において、システムコントローラ20は、上記ステップS205で暗号化された画像データをメモリカード16に書き込み、保存する。
【0028】
一方、上記ステップS204でRAM31に公開鍵が記憶されていなかった場合には、ステップS207へ進む。ステップS207において、システムコントローラ20は、上記ステップS202で作成された画像データの暗号化を行わず、そのままメモリカード16に書き込み、保存する。
【0029】
次に、デジタルスチルカメラ本体2において画像データを再生、又は外部機器へ転送する場合の処理動作について説明する。図4は、画像データを再生、又は外部機器へ転送する際のデジタルスチルカメラ本体2の動作処理を示すフローチャートである。
【0030】
ステップS301において、システムコントローラ20は、メモリカード16に保存されている画像データを読み込む。次に、ステップS302において、メモリカード16から読み込んだ画像データが暗号化されているかどうかを調べ、暗号化されている場合にはステップS303へ進み、暗号化されていない場合にはステップS306へ進む。
【0031】
ステップS303において、システムコントローラ20は、デジタルスチルカメラ本体2に接続されたバッテリ3内のRAM31の内容を読み出し、ステップS304へ進む。ステップS304において、システムコントローラ20は、バッテリ3内のRAM31に、画像データを復号化するための秘密鍵が記憶されているかどうかを判断する。
【0032】
上記ステップS304でRAM31に秘密鍵が記憶されていた場合には、ステップS305へ進む。ステップS305において、システムコントローラ20は、暗号化された画像データを、バッテリ3内のRAM31からから読み出した秘密鍵を用いて復号化し、記録/再生データ処理回路13に送る。
【0033】
ステップS306において、システムコントローラ20は、画像データを記録/再生データ処理回路13によって映像信号にしてLCDパネル15に出力する。なお、パーソナルコンピュータ(PC)やプリンタ等、外部機器との接続時には、記録/再生データ処理回路13を通さず、USBインターフェース17を用いて画像データを直接外部機器に転送することも可能である。ここで、システムコントローラ20が、RAM31に記憶された暗号鍵を用いて画像データを復号化して外部機器に転送する構成を復号化転送手段という。
【0034】
一方、上記ステップS304でRAM31に秘密鍵が記憶されていなかった場合には、ステップS307へ進む。ステップS307において、再生/転送が不可能であることをLCDパネル15上に警告表示する。
【0035】
以上のように本実施形態によれば、バッテリ3の充電の際に、充電装置4からバッテリ3に暗号鍵が複写される。バッテリ3がデジタルスチルカメラ本体2に装着された状態では、撮影時に、ユーザが特に意識することなく自動的に暗号鍵(公開鍵)を用いて画像データを暗号化し、記録することができる。この暗号化には公開鍵暗号方式を用いているので、その強度も十分である。さらに、再生時や転送時には、ユーザが特に意識することなく自動的に暗号鍵(秘密鍵)を用いて画像データを復号化し、再生や外部機器への転送が可能となる。
【0036】
また、暗号化した画像データを再生するための暗号鍵はバッテリ3内のRAM31にあり、バッテリ3の残量が尽きれば自動的に消去される(消滅する)。したがって、長期間使用されていないカメラが盗難にあったとしても、バッテリ残量が尽きていれば画像情報の漏洩を防ぐことができる。また、デジタルスチルカメラ本体2とバッテリ3とを分離して保管しておけば、デジタルスチルカメラ本体2のみが盗難にあった場合には、画像情報の漏洩を防ぐことができる。
【0037】
また、本実施形態では、バッテリ3に設けられたRAM消去スイッチ32を操作することによって、バッテリ3内のRAM31の内容(暗号鍵)を消去することができる。すなわち、ユーザが意図的に暗号化された画像データを再生できない状態にすることが可能である。また、デジタルスチルカメラ本体2のメニュー等から制御スイッチ19により、バッテリ3のRAM31の内容を消去することも可能である。このように、RAM31の内容を消去することができるようにしたことにより、第三者に撮影を依頼する場合に、すぐに再生を不可能な状態とすることができるため、画像情報の漏洩の可能性を低くすることができる。ここで、RAM31に記憶された暗号鍵を消去する構成を消去手段という。
【0038】
本実施形態では、バッテリ3を装着した場合について説明を行ったが、デジタルスチルカメラ本体2に充電装置4を直接接続した場合には、充電装置4のフラッシュメモリ41から暗号鍵を読み込んで、画像データの暗号化復号化を行うことができる。
【0039】
また、電源アダプタ5のフラッシュメモリ51には、充電装置4のフラッシュメモリ41に記憶されている暗号鍵と同一の暗号鍵が記憶されている。すなわち、電源アダプタ5をデジタルスチルカメラ本体2に接続した場合も同様に、電源アダプタ5内のフラッシュメモリ51から暗号鍵を読み込んで、画像データの暗号化復号化を行うことができる。
【0040】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、撮影時、及び再生時(或いは転送時)のいずれにも暗号鍵を記憶したバッテリ3を使用していた。本実施形態では、一度、暗号鍵を記憶したバッテリ3を装着した後は、撮影時には暗号鍵のないバッテリ3を用いても暗号化して記録することができるデジタルスチルカメラ1について説明をする。なお、本実施形態に係るデジタルスチルカメラ1のブロック図は第1の実施形態と同様であるため、その説明は省略する。また、バッテリ3を充電装置4に接続した際の動作については、第1の実施形態と同様であるため、その説明は省略する。
【0041】
バッテリ3をデジタルスチルカメラ本体2に装着、接続し、画像データを記録する場合の処理動作について説明する。図5は、撮影時のデジタルスチルカメラ本体2の処理動作を示すフローチャートである。
【0042】
ステップS401において、システムコントローラ20は、制御スイッチ19による撮影操作がなされたかどうかの判断を行う。撮影操作がなされていた場合には、撮影処理を行うためにステップS402へ進む。撮影操作がされていない場合には、一定周期後に再度ステップS401を実行する。
【0043】
次に、ステップS402において、システムコントローラ20は、各回路を制御して撮影処理を行う。具体的には、撮像部10により変換された映像信号がカメラ映像信号処理回路11に入力され、画像データへと変換される。
【0044】
次に、ステップS403において、システムコントローラ20は、デジタルスチルカメラ本体2に接続されたバッテリ3内のRAM31の内容を読み出し、ステップS404へ進む。ステップS404において、システムコントローラ20は、バッテリ3内のRAM31に、画像データを暗号化するための公開鍵が記憶されているかどうかを判断する。
【0045】
上記ステップS404でRAM31に公開鍵が記憶されていた場合には、ステップS405へ進む。ステップS405において、システムコントローラ20は、読み出した公開鍵をデジタルスチルカメラ本体2のフラッシュメモリ18に複写する。ここで、フラッシュメモリ18に公開鍵を複写する構成を公開鍵複写手段という。この場合に複写されるのは、暗号化用の公開鍵のみであり、再生時に用いられる復号化用の秘密鍵は複写されない。
【0046】
次に、ステップS406において、システムコントローラ20は、フラッシュメモリ18に複写された公開鍵を用いて、暗号化回路14によりステップS402で作成された画像データの暗号化を行う。そして、ステップS407において、システムコントローラ20は、上記ステップS406で暗号化された画像データをメモリカード16に書き込み、保存する。
【0047】
一方、上記ステップS404でRAM31に公開鍵が記憶されていなかった場合には、ステップS408へ進む。ステップS408において、システムコントローラ20は、デジタルスチルカメラ本体2のフラッシュメモリ18に暗号化用の公開鍵が保存されているかどうかを確認する。フラッシュメモリ18に公開鍵が保存されている場合には、ステップS406に進み、画像データの暗号化処理を行う。これにより、一度暗号化用の公開鍵を記憶したデジタルスチルカメラ本体2であれば、公開鍵の記憶されていないバッテリ3を使用した場合でも、画像データを暗号化して記録することが可能となる。それに対して、フラッシュメモリ18に公開鍵が保存されていない場合には、ステップS409へ進む。ステップS409において、システムコントローラ20は、上記ステップS402で作成された画像データの暗号化を行わず、そのままメモリカード16に書き込み、保存する。
【0048】
ここで、再生時の動作処理は第1の実施形態と同様であるため省略する。なお、ステップS405において、デジタルスチルカメラ本体2内の第1のフラッシュメモリ18に複写されるのは暗号化用の公開鍵のみであるため、再生するには復号化用の秘密鍵が記憶されたバッテリ3が必要となる。
【0049】
以上のように本実施形態によれば、一度、デジタルスチルカメラ本体2に暗号化用の公開鍵が記憶されていれば、公開鍵を記憶していないバッテリと組み合わせても画像データを暗号化して記録することができる。したがって、旅行先等でバッテリ残量が尽きた場合でも、市販の乾電池等をデジタルスチルカメラ本体2に用いることができれば、画像データを暗号化して記録することが可能である。
【0050】
また、暗号鍵を記憶しているバッテリ3と、RAM消去スイッチ32を利用して暗号鍵を保持していないバッテリ3との二種類を用意し、撮影時には暗号鍵のないバッテリ3を使用し、再生時のみ暗号鍵を保持したバッテリ3を使用する。これにより、デジタルスチルカメラ本体2と、装着されたバッテリ3とが同時に盗難にあった場合の画像情報漏洩の可能性を少なくすることができる。
【0051】
なお、上述した第1の実施形態及び第2の実施形態では画像データを暗号化復号化する場合について説明した。しかしながら、画像データに限られず、例えば音声データ等のデータを暗号化復号化するようにしてもよい。また、上述した第1の実施形態及び第2の実施形態では画像データを暗号化及び復号化の両方を行う場合について説明したが、暗号化及び復号化のうち少なくともいずれか一方を行うようにしてもよい。
【0052】
上述した本発明の実施形態における記録再生装置、及び記録再生システムを構成する各手段、並びに記録再生装置、及び記録再生システムの制御方法の各ステップは、コンピュータのRAMやROM等に記憶されたプログラムが動作することによって実現できる。このプログラム及び前記プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体は本発明に含まれる。また、本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラムもしくは記録媒体等としての実施形態も可能である。
【0053】
なお、本発明は、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムを、システム又は装置に直接、又は遠隔から供給する。そして、そのシステム又は装置のコンピュータが前記供給されたプログラムコードを読み出して実行することによっても達成される場合を含む。
【0054】
したがって、本発明の機能処理をコンピュータで実現するために、前記コンピュータにインストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。つまり、本発明は、本発明の機能処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も含まれる。その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等の形態であってもよい。
【0055】
また、コンピュータが、読み出したプログラムを実行することによって、前述した実施形態の機能が実現される。さらに、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS等が、実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現され得る。
【0056】
さらに、その他の方法として、まず記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれる。そして、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】実施形態に係るデジタルスチルカメラの構成を示すブロック図である。
【図2】バッテリを接続した充電装置の動作処理を示すフローチャートである。
【図3】第1の実施形態における撮影時のデジタルスチルカメラ本体の処理動作を示すフローチャートである。
【図4】画像データを再生、又は外部機器へ転送する際のデジタルスチルカメラ本体の動作処理を示すフローチャートである。
【図5】第2の実施形態における撮影時のデジタルスチルカメラ本体の処理動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0058】
1 デジタルスチルカメラ
2 デジタルスチルカメラ本体
3 バッテリ
4 充電装置
5 電源アダプタ
10 撮像部
11 カメラ映像信号処理回路
13 記録/再生データ処理回路
14 暗号化回路
15 液晶パネル
16 メモリカード
17 USBインターフェース
18 フラッシュメモリ
19 制御スイッチ
20 システムコントローラ
31 RAM
32 RAM消去スイッチ
41 フラッシュメモリ
42 充電装置制御マイコン
51 フラッシュメモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
暗号鍵を用いてデータを暗号化復号化して記録再生する記録再生装置であって、
前記記録再生装置に着脱可能なバッテリを充電する充電装置に記憶された暗号鍵を用いてデータの暗号化及び復号化のうち少なくともいずれか一方を行うことを特徴とする記録再生装置。
【請求項2】
前記充電装置に記憶された暗号鍵を前記バッテリに複写して、前記複写した暗号鍵を用いてデータの暗号化及び復号化のうち少なくともいずれか一方を行うことを特徴とする請求項1に記載の記録再生装置。
【請求項3】
暗号鍵を用いてデータを暗号化復号化して記録再生する記録再生装置と、
記憶部を有し、前記記録再生装置に着脱可能なバッテリと、
暗号鍵が記憶された記憶部を有し、前記バッテリを充電する充電装置とを含んで構成される記録再生システムであって、
前記バッテリを前記充電装置に接続した際に、前記充電装置の記憶部に記憶された暗号鍵を前記バッテリの記憶部に複写する暗号鍵複写手段を有し、
前記記録再生装置は、前記バッテリの記憶部に複写された暗号鍵を用いてデータの暗号化及び復号化のうち少なくともいずれか一方を行うことを特徴とする記録再生システム。
【請求項4】
前記バッテリの記憶部は、揮発性メモリであり、
前記充電装置の記憶部は、不揮発性メモリであり、
前記暗号鍵複写手段により前記バッテリの揮発性メモリに複写される暗号鍵は、公開鍵及び秘密鍵であることを特徴とする請求項3に記載の記録再生システム。
【請求項5】
第1の不揮発性メモリを有し、公開鍵及び秘密鍵からなる暗号鍵を用いてデータを暗号化復号化して記録再生する記録再生装置と、
揮発性メモリを有し、前記記録再生装置と着脱可能なバッテリと、
暗号鍵が記憶された第2の不揮発性メモリを有し、前記バッテリを充電する充電装置とを含んで構成される記録再生システムであって、
前記バッテリを前記充電装置に接続した際に、前記第2の不揮発性メモリに記憶された暗号鍵を、前記揮発性メモリに複写する暗号鍵複写手段と、
前記暗号鍵複写手段により前記揮発性メモリに複写された暗号鍵のうち公開鍵を前記第1の不揮発性メモリに複写する公開鍵複写手段とを有し、
前記第1の不揮発性メモリに複写された公開鍵を用いてデータを暗号化し、前記揮発性メモリに複写された暗号鍵のうち秘密鍵を用いてデータを復号化することを特徴とする記録再生システム。
【請求項6】
前記バッテリは、前記揮発性メモリに複写された暗号鍵を消去する消去手段を有することを特徴とする請求項4又は5に記載の記録再生システム。
【請求項7】
前記記録再生装置は、前記バッテリが装着された状態で、前記揮発性メモリに複写された暗号鍵を消去する消去手段を有することを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載の記録再生システム。
【請求項8】
前記記録再生装置は、前記暗号鍵複写手段によって前記揮発性メモリに複写された暗号鍵を用いてデータを復号化して外部機器に転送する復号化転送手段を有することを特徴とする請求項4〜7のいずれか1項に記載の記録再生システム。
【請求項9】
前記記録再生装置は、前記充電装置と接続されている状態で、前記第2の不揮発性メモリに記憶された暗号鍵を用いてデータの暗号化及び復号化のうち少なくともいずれか一方を行うことを特徴とする請求項5〜8のいずれか1項に記載の記録再生システム。
【請求項10】
暗号鍵の記憶された第3の不揮発性メモリを有し、前記記録再生装置に電力を供給する電源アダプタを備え、
前記記録再生装置は、前記電源アダプタと接続されている状態で、前記第3の不揮発性メモリに記憶された暗号鍵を用いてデータの暗号化及び復号化のうち少なくともいずれか一方を行うことを特徴とする請求項5〜9のいずれか1項に記載の記録再生システム。
【請求項11】
暗号鍵を用いてデータを暗号化復号化して記録再生する記録再生装置の制御方法であって、
前記記録再生装置に着脱可能なバッテリを充電する充電装置に記憶された暗号鍵を用いてデータの暗号化及び復号化のうち少なくともいずれか一方を行うステップを有することを特徴とする記録再生装置の制御方法。
【請求項12】
暗号鍵を用いてデータを暗号化復号化して記録再生する記録再生装置と、
記憶部を有し、前記記録再生装置に着脱可能なバッテリと、
暗号鍵が記憶された記憶部を有し、前記バッテリを充電する充電装置とを含んで構成される記録再生システムの制御方法であって、
前記バッテリを前記充電装置に接続した際に、前記充電装置の記憶部に記憶された暗号鍵を、前記バッテリの記憶部に複写する暗号鍵複写ステップと、
前記暗号鍵複写ステップにより複写された暗号鍵を用いてデータの暗号化及び復号化のうち少なくともいずれか一方を行うステップを有することを特徴とする記録再生システムの制御方法。
【請求項13】
暗号鍵を用いてデータを暗号化復号化して記録再生する記録再生装置を制御するコンピュータプログラムであって、
前記記録再生装置に着脱可能なバッテリを充電する充電装置に記憶された暗号鍵を用いてデータの暗号化及び復号化のうち少なくともいずれか一方を行うステップをコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−252543(P2008−252543A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−91514(P2007−91514)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】