説明

記録再生装置

【課題】 ディスクに貼り付け又は埋め込まれたICタグとICタグ読み書き手段との通信可能距離が極めて短い場合でも、ICタグとICタグ読み書き手段とが信頼性高くデータ通信を行えるようにすること。
【解決手段】 非接触式のICタグが貼り付け又は埋め込まれた情報記録媒体であるディスクが、記録再生装置に挿入されたとき或いは記録再生装置から排出されるとき、前記ICタグの情報を読み取り又は前記ICタグに情報を書き込みをするICタグ読み書き手段と、前記ディスクに貼り付け又は埋め込まれた前記ICタグの位置を検出するためのICタグ位置検出手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報記録媒体として光ディスクなどのディスクを用いる記録再生装置に係り、特に、ICタグが装備されたディスクを取り扱う記録再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光ディスクなどのディスクに非接触式のICタグを貼り付け/埋め込む技術に関しては、特開2003−85502号公報(特許文献1)に記載された技術が知られているが、この特許文献1においては、ディスクのICタグに記憶されているデータの読み取り/書き込みに関する具体的技術に関しては、開示されていない。
【0003】
また、ディスクに埋め込まれたICタグに記憶された情報を、ディスク装置に装備されたICタグ読み取り手段で読み取ることについては、特開2002−373029号公報(特許文献2)に記載されている。この特許文献2に記載された技術では、ICタグに書き込まれている復号キーを読み込むことによって、ディスクに書き込まれている暗号化されたソフトウエアをインストール可能とすることにより、不正に複製されたディスクによるインストールを防止するようにしている。
【特許文献1】特開2003−85502号公報
【特許文献2】特開2002−373029号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献2に開示された技術においては、ディスクに貼り付け/埋め込まれたICタグの位置を、如何にして検出するかについては、考慮が払われていない。しかし、ICタグは、最近の微細化技術の向上により、アンテナも含めて米粒より遙かに小さいサイズ(例えば、0.4mm角程度)で生産ができるようになっている。このように非常に小さなICタグを用いる場合には、ICタグとICタグ読み取り手段とが通信可能な距離は、数mm程度以内と非常に短く、したがって、ICタグが装備されたディスクを光ディスク装置に入れただけでは、ICタグの位置がICタグ読み取り手段と離れている確率が非常に高く、ICタグとICタグ読み取り手段との間で、データ通信ができないという問題が生じる。
【0005】
また、特許文献2に開示された技術においては、ICタグに書き込まれた情報は、ディスクに書き込まれているソフトウェアの保護を目的とするもので、ICタグに書き込まれた情報に応じて、ディスク装置の動作を制限するようにしたり、ユーザ別にディスクの読み書き領域を制限するようにしたりすることなどについては、配慮が払われていない。
【0006】
本発明はこのような状況を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ディスクに貼り付け又は埋め込まれたICタグとICタグ読み書き手段との通信可能距離が極めて短い場合でも、ICタグとICタグ読み書き手段とが信頼性高くデータ通信を行えるようにすることにある。さらに、本発明の目的とするところは、ICタグに書き込まれた情報を利用して、記録再生装置自体の動作制限を行うことを可能にしたり、ユーザに応じてディスクに対するアクセス制限を行うことを可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した目的を達成するために、本発明による記録再生装置は、非接触式のICタグが貼り付け又は埋め込まれた情報記録媒体であるディスクが、記録再生装置に挿入されたとき或いは記録再生装置から排出されるとき、前記ICタグの情報を読み取り又は前記ICタグに情報を書き込みをするICタグ読み書き手段と、前記ディスクに貼り付け又は埋め込まれた前記ICタグの位置を検出するためのICタグ位置検出手段とを備える。
また、前記ディスクが記録再生装置に挿入されたとき、前記ディスクからの情報の読み取りに先立ち、前記ICタグ読み書き手段により前記ICタグの情報を読み取り、この読み取った前記ICタグの情報に基づき、記録再生装置自体の動作制限の判定またはユーザに許可された前記ディスクに対するアクセス可能範囲の判定をする判定手段を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ディスクに貼り付け又は埋め込まれたICタグの位置を検出するためのICタグ位置検出手段が、ディスク面のどの位置にICタグが配置されているのかを検知するので、この検出結果に基づいて、ディスクの回転停止位置と、ICタグ読み書き手段のディスク半径方向位置とを、的確に制御することができ、ICタグとICタグ読み書き手段とを適正に接近させることができる。したがって、ディスクに装備されるICタグが微小で、ICタグとICタグ読み書き手段との通信可能距離が極めて短くても、ICタグとICタグ読み書き手段とが信頼性高くデータ通信を行えるようになる。さらに、ディスクを高速回転し安定(サーボが取れた状態)してから、ディスクに記録されているディスクの管理情報(TOC(Table Of Contents)情報)を読む時間に比較し、ディスクを数回転させるだけで、ICタグの位置を検出することができ、ICタグとのデータ通信が可能となることより、短い時間でディスクの種類およびコンテンツの概要を知ることが可能となる。
また、ディスクを記録再生装置に挿入した場合、ディスクに記録されているディスクの管理情報を得るより以前に、ICタグの情報を優先して得ることを可能とできるので、ICタグに書き込まれた情報に基づいて、記録再生装置を適応的に動作制御させることができ、ディスクの規格に束縛されないで、ユーザ固有の使用方法が可能な記録再生装置を実現することができる。例えば、ユーザAは上記のディスクを使用(記録再生)できるが、ユーザBはディスクの使用ができないようにすることができる。また、1つのディスクにおいて、ユーザAの視聴する記録済の番組と、ユーザBが視聴する記録済の番組を違う番組にすることも可能である。
また、ICタグの一部の情報(ディスク固有情報)を読み取ることにより、ディスクを高速回転(ディスク規格の所定の回転数)する必要がなく、省電力が図れることから携帯機器などに適した技術を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を、図面を用いて説明する。図1〜図5は本発明の第1実施形態(以下、本第1実施形態と記す)に係り、図1は、本第1実施形態の記録再生装置の外観を示す斜視図、図2は、図1の記録再生装置のディスクトレイの平面図、図3は、本第1実施形態の記録再生装置の機能構成を示すブロック図、図4は、本第1実施形態の記録再生装置におけるディスク挿入時(ディスクローディング時)の動作を示すフローチャート、図5は、本第1実施形態の記録再生装置におけるディスク排出時(ディスクアンローディング時)の動作を示すフローチャートである。また、図6は、本発明の記録再生装置で取り扱う光ディスクに装備されたICタグのデータ構成の例を示す説明図である。
【0010】
図1に示した記録再生装置Dは、ディスクトレイ5の構造が解かるようにディスクトレイ5を開けた状態を示している。図1に示すように、ディスクトレイ5の内部には、光ディスクを回転させるピンドルモータ3や、光ディスクの情報を読み取り或いは光ディスクに情報を書き込む光ピックアップ1が設けられている。この光ピックアップ1は、レーザ光を光ディスクへ照射する対物レンズ7などを含む公知の光学系や、半導体レーザ、受光素子を有するものとなっている。また、光ピックアップ1には、ICタグの情報を読み取り或いはICタグに情報を書き込みをするICタグ読み書き手段2が一体となって組み込まれており、このICタグ読み書き手段2は、アンテナ4や、ICタグ読み取り/書き込み回路を有するものとなっている。なお、以下の説明では、光ピックアップ1とICタグ読み書き手段2とが一体となった複合部材を、説明の便宜上、必要な場合以外を除いて単に光ピックアップ1と称す。
【0011】
図2は、前記ディスクトレイ5に光ディスク6が装着された状態のイメージ図である。図2において、8は直動ガイド機構で、この直動ガイド機構8に沿って、光ピックアップ1が光ディスク6の半径方向(A−A’)に移動するようになっている。なお、以下の説明では、光ディスク6における光ピックアップ2との対向側の面を記録面、その反対側をレーベル面と称する。なお、図2でB−B’は、光ディスク6の回転方向を示している。
【0012】
ここで、本第1実施形態の記録再生装置および後述する実施形態の記録再生装置で取り扱う可搬型の情報記録媒体である光ディスク6には、その内層部にICタグが埋め込まれているか、或いは、そのレーベル面にICタグが貼り付けられているものとする。なお、このICタグは非常に微小な非接触式(無線通信式)のICタグで構成されている。
【0013】
次に、本第1実施形態の記録再生装置の動作を、図3のブロック図を用いて説明する。記録再生装置が光ディスク6から情報(データ)を読み出し、光ディスク6に情報(データ)を書き込みする動作については、従来技術と同じであるので簡単に説明を行う。ディスクトレイ5に光ディスク6が載せられた状態で、ディスクトレイ5を軽く押すと、CPU14は、ローディングモータ17に電圧を加えるようローディングモータドライバ16に制御コマンドを送出し、ディスクトレイ5が記録再生装置の内部に引き込まれ、これにより光ディスク6はローディング状態となる。この後、記録再生装置の操作部20からの制御コマンドにより、CPU14はディスク6の記録又は再生の動作開始をする。CPU14は、サーボ回路13に対しスピンドルモータドライバ18によってスピンドルモータ3を回転させるように制御し、また、スレッドモータ(ドライバ)15に光ピックアップ1を光ディスク6のTOC(Table Of Contents)情報を読み出す位置に移動させるよう制御する。光ピックアップ1から読み出されたピット情報は、RFアンプ11でサーボエラー信号分を取り出して、サーボ回路13に入力される。サーボ回路13は、光ディスク6の回転が所定(光ディスクのフォーマット)規格になるようスピンドルモータ3の電圧を制御して回転サーボ調整を行い、また、光ピックアップ1から照射されるレーザ光の光スポットが光ディスク6のトラックを正しくトレースするよう、図示せぬトラッキング制御部により光ピックアップ1の対物レンズ7のトラッキング用アクチュエータを駆動制御して、トラッキング調整を行う。回転サーボおよびトラッキングが取れた状態で、RFアンプ11およびエンコーダ/デコーダ12およびインターフェイス回路19を介し、光ディスク6への読み出し/書き込みを行うことができる。
【0014】
続いて、ICタグ読み書き手段2の動作について説明をする。先にも述べたように、光ピックアップ1には、ICタグ読み書き手段2が一体構造となって組み込まれており、ICタグ読み書き手段2は、アンテナ4とICタグ読み取り/書き込み回路21とを備えている。ICタグ読み取り/書き込み回路21の入出力信号は、変復調回路22とCPU14を介して、フラッシュメモリ24のメモリ(読み出し/記憶)データとなる。また、変復調回路22から出力されるアナログ出力信号は、ピーク値検出回路23からCPU14に入力される(信号25)。CPU14は、信号25を基にスピンドルモータ3およびスレッドモータ15を制御する。
【0015】
以下、ICタグからの情報の読み取り動作、ICタグへの情報の書き込み動作の詳細を、図4、図5のフローチャートを用いて説明する。
【0016】
まず、ICタグからの情報の読み取りについてを、図4を用いて説明する。光ディスク6がローディング(挿入)されると、CPU14は、スピンドルモータドライバ18に僅かの電圧をスピンドルモータ3に印加するようコマンドを出し、光ディスク6をゆっくり回転させる(ステップS1)。これと同時に、ICタグ読み書き手段2のアンテナ4からICタグへの電源供給を行い、ICタグからの電波を受信する。受信した電波はICタグ読み取り/書き込み回路21で増幅され、変復調回路22へ出力される。変復調回路22では、アナログ信号の平均値をピーク値検出回路23に入力する。ピーク値検出回路23では、光ディスク6が1回転する間に検出したピーク検出値をCPU14に入力し(ステップS2)、これを光ディスク6を数回転させて繰り返すことにより、CPU14は、ディスク回転方向に対するピーク値の最適位置を判定する(ステップS3)。そして、CPU14は、ディスク回転を回転方向の最適位置でストップさせる(ステップS4)。次に、CPU14は、スレッドモータ15を駆動させ(ステップS5)、ICタグ読み書き手段2が一体となっている光ピックアップ2をディスク半径方向に移動させ、ICタグ読み書き手段2のアンテナ4によりICタグからの電波を受信する。受信した電波はICタグ読み取り/書き込み回路21で増幅され、変復調回路22へ出力される。変復調回路では、アナログ信号の平均値をピーク値検出回路23に入力する。ピーク値検出回路23では、ICタグ読み書き手段2(光ピックアップ1)がディスク半径方向に移動してときに検出したピーク検出値をCPU14に入力し(ステップS6)、これをICタグ読み書き手段2をディスク半径方向に往復させて繰り返すことにより、CPU14は、ディスク半径方向に対するピーク値の最適位置を判定する(ステップS7)。そして、CPU14は、ICタグ読み書き手段2(光ピックアップ1)を、ディスク半径方向の最適位置でストップさせる(ステップS8)。以上のステップにより、光ディスク6のICタグと記録再生装置のICタグ読み書き手段2とが、最適な位置関係をとったことになるので、ICタグ読み書き手段2はICタグからの、情報(データ)の読み出しを行う(ステップS9)。記録再生装置は、ICタグからの情報をもとに、例えば、操作部20からのキー操作が有効か否かや、或いは、あるユーザにとって光ディスク6へのアクセスがどの程度許可されているを判定する。
【0017】
次に、ICタグへの情報の書き込みについてを、図5を用いて説明する。光ディスク6がアンローディング(排出)される前の状態となると、CPU14は、スピンドルモータドライバ18に僅かの電圧をスピンドルモータ3に印加するようコマンドを出し、光ディスク6をゆっくり回転させる(ステップS11)。これと同時に、ICタグ読み書き手段2のアンテナ4からICタグへの電源供給を行い、ICタグからの電波を受信する。受信した電波はICタグ読み取り/書き込み回路21で増幅され、変復調回路22へ出力される。変復調回路22では、アナログ信号の平均値をピーク値検出回路23に入力する。ピーク値検出回路23では、光ディスク6が1回転する間に検出したピーク検出値をCPU14に入力し(ステップS12)、これを光ディスク6を数回転させて繰り返すことにより、CPU14は、ディスク回転方向に対するピーク値の最適位置を判定する(ステップS13)。そして、CPU14は、ディスク回転を回転方向の最適位置でストップさせる(ステップS14)。次に、CPU14は、スレッドモータ15を駆動させ(ステップS15)、ICタグ読み書き手段2が一体となっている光ピックアップ2をディスク半径に移動させ、ICタグ読み書き手段2のアンテナ4によりICタグからの電波を受信する。受信した電波はICタグ読み取り/書き込み回路21で増幅され、変復調回路22へ出力される。変復調回路では、アナログ信号の平均値をピーク値検出回路23に入力する。ピーク値検出回路23では、ICタグ読み書き手段2(光ピックアップ1)がディスク半径方向に移動してときに検出したピーク検出値をCPU14に入力し(ステップS16)、これをICタグ読み書き手段2をディスク半径方向に往復させて繰り返すことにより、CPU14は、ディスク半径方向に対するピーク値の最適位置を判定する(ステップS17)。そして、CPU14は、ICタグ読み書き手段2(光ピックアップ1)を、ディスク半径方向の最適位置でストップさせる(ステップS18)。以上のステップにより、光ディスク6のICタグと記録再生装置のICタグ読み書き手段2とが、最適な位置関係をとったことになるので、ICタグ読み書き手段2はICタグへ情報(データ)の書き込みを行う(ステップS19)。このステップS19でのICタグへの書き込み情報としては、例えば、光ディスク6がローディングされている間に光ディスク6に書き込んだ番組録画データなどの、光ディスク6への新たな書き込みコンテンツに関する情報、光ディスク6がローディングされている間に光ディスク6から再生したコンテンツについての再生記録情報などが考えられる。なお、前記ステップS19の後は、光ディスク6は、記録再生装置からアンローディング(排出)される。
【0018】
上記の図5でのICタグへの情報の書き込みは、光ディスク6がアンローディング(排出)される前の状態となることを契機として行われるが、ICタグへの情報の書き込みは、光ディスク6がローディングされている間において、光ディスク6へのアクセスを行っていない期間には、ユーザが操作部20を適宜に操作することで、任意のタイミングで行うことができる。そして、ICタグへ書き込む情報も、ユーザが操作部20を適宜に操作し、図示せぬモニタに表示されるユーザインターフェースとしての表示画面を用いることで、ユーザが所望する情報を書き込むことができ、さらには、書き込んだ情報の更新や削除も行うことができるようになっている。
【0019】
ICタグに書き込まれるデータについて、図6を用いて説明する。ICタグに記録される情報は、図6に示すように、ツリー状のデータ構成をとるようになっている。このICタグの記憶領域は、書換え不可能な領域(以下、読み出し専用領域と記す)40と、書き込み/読み出し/消去可能な領域41とからなっている。
【0020】
読み出し専用領域には、固有情報(その光ディスクにしか付与されない番号)42がメモリされている。
【0021】
書き込み/読み出し/消去可能な領域41には、例えば、ユーザ「1」43、ユーザ「2」44、ユーザ「3」45…のように、複数の親ディレクトリを設けることができる。この親ディレクトリ43、44、45…は、記録再生装置に設けられた操作部20より入力してもよく、予めICタグに記録されていてもよい。光ディスク6の記録可能なディスク容量(全領域46)A〜Zに対して、1ユーザに全権(administrator)を与え(本例では、ユーザ「1」)、書き込み(済みでもよいが)読み出し可能領域をA〜Zとして、このうち、領域Y〜Zを光ディスク6のタイトル(名)領域47とする(初期状態でこのようにしてもよい)。全権を与えられたユーザ「1」は、他のユーザ(ユーザ「2」、ユーザ「3」)に対する権限を付与することができる。例えば、ユーザ「2」に対しては、読み出し可能領域を(A〜B)48と(E〜F)49のみに限定させることができる。読み出し可能領域は、番組に置き換えても良く、また1つの番組の中の1シーンとして捉えてもよい。また、ユーザ「3」に対しては、読み出し可能領域を(A〜B)48と(G〜J)53と(J〜Y)54に限定させることができる。さらに、ユーザ「1」はユーザ「2」の読み出し可能領域(A〜B)48に対して、書き込み可能領域50としている。この領域(A〜B)48が既に書き込み済み領域である場合、この領域に対して書き込み可能とは、消去可能であることをも意味する。
【0022】
上記のようなICタグに書き込まれた情報を読み出すことで、CPU14は、ユーザ毎に許可された光ディスク6に対するアクセス制限の有無やアクセス範囲を認知することができ、これによって、CPU14は、ユーザ毎に応じた許可範囲内での、光ディスク6へのアクセスを許可することになる。このように、ユーザ毎に応じた適応的なアクセス許可/制限を行うためには、ユーザの個人認証を、記録再生装置に光ディスクを挿入する直前(例えば、ディスクトレイの引き出し操作が行われた後)などの適宜のタイミングで行い、記録再生装置の現在の操作者がどのユーザであるかを特定する。個人認証の手法としては、ユーザが入力する個人識別用IDを用いる手法、ユーザが所持する個人識別用カードを読み取る手法、指紋や指の静脈パターンや虹彩を読み取る手法、音声認識による手法(声紋を認識する手法)などが考えられる。このように、ユーザの個人認証を行うことで、ICタグに書き込まれていないユーザに対しては、記録再生装置自体の動作制限(例えば、操作部20のキー操作を無効にするなど)や、光ディスク6に対する全面的なアクセス拒否を行うこともできる。
【0023】
次に、本発明の第2実施形態(以下、本第2実施形態と記す)について説明する。図7は、本第2実施形態の記録再生装置の機能構成を示すブロック図であり、同図において、前記第1実施形態の図3の構成要素と同一のものには同一符号を付し、その説明は重複を避けるため割愛する。
【0024】
本第2実施形態が前記第1実施形態と異なるのは、ICタグの位置を検出する手法として、ICタグ読み書き手段2のアンテナ4による受信電波を用いないで、記録再生装置における光ディスク6のレーベル面側に相対する面に、発光部と受光部を交互に配置したインライン状(略光ディスク6の半径長)のセンサ30による検出出力によって行うようにした点にある。このセンサ30は、光ディスク6の半径方向に、且つ、ICタグ読み書き手段2の移動方向と平行になるよう配置する。
【0025】
本第2実施形態では、光ディスク6が記録再生装置にローディングされると、CPU14は、先に説明したのと同様に、光ディスク6をゆっくり回転させる。そして、これと同時に、センサ30を発光させる。この発光は同時に全ての発光部を発光してもよいが、CPU14の制御で、ディスク中心部から外周部にスキャン(この逆でもよい)させるようにした方が、センサ30とピーク値検出回路31との間のワイヤ本数を減らすことができる。また、1スキャンで光ディスク6を1回転(若しくは同期させ回転させる)ことで、ディスク内層部或いはディスク表面(レーベル面)に貼り付けられたICタグ位置がわかるように、ICタグ位置は、発光部からの反射した光が受光部で他の面からの反射光との区別が明らかになるように構成する。例えば、反射効率のよい反射板を貼り付けたり、色相による変化、表面に凸或いは凹を付けるなど、規格上の取り決めをしておけばよい。したがって、光ディスク6をゆっくり回転させると共に、センサ30の発光をスキャンすることで、センサ30の受光部からの出力信号をピーク検出するピーク値検出回路31の出力により、CPU14は、ICタグの位置(回転方向の位置及び半径方向の位置)を認知することができる。CPU14は、ICタグの位置の判定結果に基づき、ディスク回転を回転方向の最適位置でストップさせ、また、ICタグの位置(インラインセンサ受光部のピークとなる位置)に、ICタグ読み書き手段2のアンテナ4が最も近づいた位置に、ICタグ読み書き手段2と一体の光ピックアップ1が位置付け・停止されるように、スレッドモータ15を制御する。
【0026】
本第2実施形態の他の構成や動作は、前記第1実施形態と同様であり、前記第1実施形態と同様に、ICタグに書き込まれた情報に基づいて、記録再生装置を適応的に動作制御させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1実施形態に係る記録再生装置の外観を示す斜視図である。
【図2】図1の記録再生装置のディスクトレイの平面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る記録再生装置の機能構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る記録再生装置における、ディスク挿入時(ディスクローディング時)の動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第1実施形態に係る記録再生装置における、ディスク排出時(ディスクアンローディング時)の動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の記録再生装置で取り扱う光ディスクに装備されたICタグのデータ構成の例を示す説明図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る記録再生装置の機能構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0028】
D 記録再生装置
1 光ピックアップ
2 ICタグ読み書き手段
3 スピンドルモータ
4 アンテナ
5 ディスクトレイ
6 光ディスク
7 対物レンズ
11 RFアンプ
12 エンコーダ/デコーダ
13 サーボ回路
14 CPU
15 スレッドモータ
16 ローディングモータドライバ
17 ローディングモータ
18 スピンドルモータドライバ
19 インターフェイス回路
20 操作部
21 ICタグ読み取り/書き込み回路
22 変復調回路
23 ピーク値検出回路
24 フラッシュメモリ
30 センサ
31 ピーク値検出回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非接触式のICタグが貼り付け又は埋め込まれた情報記録媒体であるディスクが、記録再生装置に挿入されたとき或いは記録再生装置から排出されるとき、前記ICタグの情報を読み取り又は前記ICタグに情報を書き込みをするICタグ読み書き手段を備えることを特徴とする記録再生装置。
【請求項2】
請求項1項に記載の記録再生装置において、
前記ディスクに貼り付け又は埋め込まれた前記ICタグの位置を検出するためのICタグ位置検出手段を備えることを特徴とする記録再生装置。
【請求項3】
請求項2に記載の記録再生装置において、
前記ICタグ位置検出手段の検出結果に基づき、前記ディスクの回転停止位置を決定することを特徴とする記録再生装置。
【請求項4】
請求項1に記載の記録再生装置において、
前記ディスクが記録再生装置に挿入されたとき、前記ディスクからの情報の読み取りに先立ち、前記ICタグ読み書き手段により前記ICタグの情報を読み取り、この読み取った前記ICタグの情報に基づき、記録再生装置自体の動作制限の判定をする判定手段を備えることを特徴とする記録再生装置。
【請求項5】
請求項1に記載の記録再生装置において、
前記ディスクが記録再生装置に挿入されたとき、前記ディスクからの情報の読み取りに先立ち、前記ICタグ読み書き手段により前記ICタグの情報を読み取り、この読み取った前記ICタグの情報に基づき、ユーザに許可された前記ディスクに対するアクセス可能範囲の判定をする判定手段を備えることを特徴とする記録再生装置。
【請求項6】
請求項4または5に記載の記録再生装置において、
前記判定手段による判定に必要な情報を、前記ICタグ読み書き手段を用いて前記ICタグに書き込みさせる手段を備えることを特徴とする記録再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−154955(P2006−154955A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−340819(P2004−340819)
【出願日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】