説明

記録再生装置

【課題】記録再生装置に接続される出力機器の表示特性に応じて録画コンテンツを変換して出力する際、録画コンテンツのジャンルに応じて出力画像を変換し、好適な画像を出力できるようにする。
【解決手段】チューナ21またはネットワーク接続部23を介して取得したコンテンツを記憶媒体に記録し、又は記憶媒体から読み出す録画再生制御部25と、記憶媒体に記録されたコンテンツのジャンルを判別するジャンル判別部25aと、記憶媒体から読み出したコンテンツの画像を変換して前記映像音声出力部27を介して出力機器30に出力する出力変換部25cと、を備え、記憶媒体に記録された特定のコンテンツを再生する際、ジャンル判別部25bは当該コンテンツのジャンルを判別し、出力変換部25cは、コンテンツのジャンルに応じて、予め設定された補正量に基づいてコンテンツの画像を変換して出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、iVDR(information Versatile Disk for Removable usage)と称する国際規格に準拠して規格化されたカートリッジタイプのハードディスなどを記憶媒体とする記録再生装置に関するするものであり、特に、録画したコンテンツの再生において、記録再生装置に接続される出力機器の表示特性に応じて録画コンテンツを変換して出力する際、録画コンテンツのジャンルに応じて出力を最適化するようにした記録再生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
映像や音声からなるコンテンツを記録し再生させる装置としては、従来から広く普及しているVTRに加えて近年ではDVD(Digital Versatile Disk)やハードディスク(Hard Disk Drive)を記憶媒体とするものも普及し始めている。現在、DVDは数ギガバイト、ハードディスクは数100ギガバイトといった大記憶容量を有したものが普及しており、MPEG2方式等による高能率符号化技術を用いることによって、数時間から数10時間に渡りコンテンツの記録を容易に可能としている。
【0003】
また、最近ではこの種の記録再生装置においては、テレビ受像機のような放送受信装置を介して番組(コンテンツ)を記録(録画)し、記録した番組(録画コンテンツ)を当該放送受信装置に出力するだけでなく、インターネット接続機能を備え、ネットワークを介してコンテンツを取得して記録(録画)し、記録再生装置に接続された放送受信機に出力することができるものも提供されている。
【0004】
ところで、記録再生装置とそれに接続される放送受信機などの出力機器は、ユーザの事情、嗜好によって多様な組み合わせになる。記録再生装置と同一メーカーの出力機器が記録再生装置に接続されることもあれば、記録再生装置と異なるメーカーの出力機器が記録再生装置に接続されることもある。出力機器における出力画像の画質(輝度、彩度、コントラスト)は当該出力機器の出力特性によって定まるものであるから、同一メーカーの機器同志を接続する場合には大きな問題にはならないが、異なるメーカーの機器を接続した場合には、必ずしも出力機器に表示される画像が最適な状態で出力される保証はない。
【0005】
従って、記録再生装置と出力機器との接続の組み合わせに起因する種々の設定操作を簡素化することが望ましい。このような配慮をした録画再生システムは、例えば、下記の特許文献1(特開2008−48337号公報)に開示されている。この録画再生システムは、再生機能を有する複数の機器と、機器からの映像や音声を再生する表示装置とを、HDMI(High−Definition Multimedia Interface)規格に準拠したHDMIケーブルを介して接続した録画再生システムであって、機器は、初期設定(音声言語設定、字幕言語設定、および、メニュー言語設定の少なくとも一つ)で設定した言語情報を表示装置に送信し、再生するときには、表示装置に記憶された言語情報を取得して言語設定を行い、表示装置は、機器から送られてきた言語情報を記憶し、機器から再生要求があったときには、記憶している言語情報を該機器へ送信するように構成されたものである。
【0006】
また、下記の特許文献2(特開2005−109703号公報)には、表示装置をDVD再生装置等の画像出力装置に接続する度に、表示装置における画像情報の表示条件の設定を的確に行えるようにした画像出力装置の発明が開示されている。この画像出力装置(DVD再生装置)は、出力機器があるHDMIモニタからHDMIモニタの表示条件を示す情報である条件情報を予め取得し、HDMIモニタに出力する画像情報を取得した条件情報に基づいて変換する情報変換部を有し、情報変換部により変換された画像情報である変換済画像情報をHDMIモニタに出力するように構成し、DVD記憶媒体から取得した画像情報を変換して当該DVD再生装置に接続されたHDMIモニタに出力するように構成されたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−48337号公報(段落[0021],[0035],図2)
【特許文献2】特開2005−109703号公報(段落[0088],[0091],図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1や特許文献2に開示された録画再生装置の技術を用いれば、記録再生装置と異なるメーカーの出力機器が記録再生装置に接続される場合に、種々の設定を簡便に行うことができ、また、録画したコンテンツの再生において、記録再生装置に接続される出力機器の表示特性(表示条件)に応じて録画コンテンツを変換して出力することにより、接続された出力機器の特性にあった良好な画像を表示することができるようになる。
【0009】
しかしながら、録画コンテンツには、映画、スポーツ、音楽、ドラマ、ニュース、アニメーション、ドキュメンタリーなどの様々のジャンルがあり、ジャンルに応じて、出力機器に出力(表示)する画像を最適なものにすることが好ましい。しかしながら、上記特許文献1や特許文献2の技術を適用しても、出力機器の表示条件にあった画像を出力することはできても、録画コンテンツのジャンルに応じた好適な画像を出力できないという問題点がある。
【0010】
また、記録再生装置に接続される出力機器には、多くのメーカーが提供する様々な機種の機器があり、特許文献1や特許文献2の技術を適用する場合であっても、記録再生装置に接続される出力機器が変更されたり、複数の出力機器が接続されたりする場合には、当該接続された出力機器毎に出力機器特性(表示条件)を取得しなければならないという問題もある。
【0011】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、上記の問題点を解消することを課題とし、録画したコンテンツの再生において、記録再生装置に接続される出力機器の出力機器特性に応じて録画コンテンツを変換して出力する際、録画コンテンツのジャンルに応じて出力を高画質に最適化するようにした記録再生装置を提供することを目的とするものである。また、予め、記録再生装置に接続される種々の出力機器の出力機器特性(表示条件等)を録画再生装置に記憶しておき、接続された出力機器に応じて好適な画像を出力できる記録再生装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するために、本願の請求項1にかかる発明は、外部から取得したコンテンツを出力する映像音声出力部と、放送されるコンテンツを受信して出力するチューナと、コンテンツを記録する記憶媒体と、ネットワークを介してコンテンツを取得するネットワーク接続部と、前記チューナまたはネットワーク接続部を介して取得したコンテンツを前記記憶媒体に記録し、又は前記記憶媒体から読み出す録画再生制御部と、前記記憶媒体に記録されたコンテンツのジャンルを判別するジャンル判別部と、前記記憶媒体から読み出したコンテンツの画像を変換して前記映像音声出力部を介して出力機器に出力する出力変換部と、を備え、前記記憶媒体に記録された特定のコンテンツを再生する際、前記ジャンル判別部は当該コンテンツのジャンルを判別し、前記出力変換部は、前記コンテンツのジャンルに応じて、予め設定された補正量に基づいて前記コンテンツの画像を変換して出力することを特徴とする。
【0013】
また、本願の請求項2にかかる発明は、請求項1にかかる記録再生装置において、前記補正量は、少なくともシネマモードとダイナミックモードとスタンダードモードのそれぞれに応じて設定されており、前記コンテンツのジャンルに応じて前記何れかのモードの補正量が適用されることを特徴とする。
【0014】
また、本願の請求項3にかかる発明は、請求項1または2にかかる記録再生装置において、前記出力機器はHDMIケーブルにより前記記録再生装置に接続され、前記記録再生装置はHDMIケーブルを介して前記出力機器の出力特性情報を取得してメモリ部に記憶し、前記出力変換部は、記憶媒体に記録された特定のコンテンツを再生し、前記出力機器に当該コンテンツを出力する際、前記出力変換部は、前記メモリ部から前記出力機器の出力機器特性情報を取得し、前記記憶媒体から読み出したコンテンツの画像を該出力機器特性に応じて変換して出力することを特徴とする。
【0015】
また、本願の請求項4にかかる発明は、請求項2にかかる記録再生装置において、前記コンテンツのジャンルと前記シネマモードとダイナミックモードとスタンダードモードの対応はユーザが任意に設定可能にしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1にかかる発明においては、チューナまたはネットワーク接続部を介して取得したコンテンツを前記記憶媒体に記録し、又は前記記憶媒体から読み出す録画再生制御部と、前記記憶媒体に記録されたコンテンツのジャンルを判別するジャンル判別部と、前記記憶媒体から読み出したコンテンツの画像を変換して前記映像音声出力部を介して出力機器に出力する出力変換部と、を備え、前記記憶媒体に記録された特定のコンテンツを再生する際、前記ジャンル判別部は当該コンテンツのジャンルを判別し、前記出力変換部は、前記コンテンツのジャンルに応じて、予め設定された補正量に基づいて前記コンテンツの画像を変換して出力する。従って、再生する録画コンテンツのジャンルに応じた好適な高画質の画像を出力機器に出力することができるようになる。
【0017】
請求項2にかかる発明においては、請求項1にかかる記録再生装置において、前記補正量は、少なくともシネマモードとダイナミックモードとスタンダードモードのそれぞれに応じて設定されており、前記コンテンツのジャンルに応じて前記何れかのモードの補正量が適用される。従って、再生する録画コンテンツのジャンルに応じた好適な高画質の画像を出力機器に出力することができるようになる。
【0018】
請求項3にかかる発明においては、請求項1または2にかかる記録再生装置において、前記出力機器はHDMIケーブルにより前記記録再生装置に接続され、前記記録再生装置はHDMIケーブルを介して前記出力機器の出力特性情報を取得してメモリ部に記憶し、前記出力変換部は、記憶媒体に記録された特定のコンテンツを再生し、前記出力機器に当該コンテンツを出力する際、前記出力変換部は、前記メモリ部から前記出力機器の出力機器特性情報を取得し、前記記憶媒体から読み出したコンテンツの画像を該出力機器特性に応じて変換して出力する。従って、接続された出力機器の出力特性に応じた好適な画像を出力できるようになる。
【0019】
請求項4にかかる発明においては、請求項2にかかる記録再生装置において、前記コンテンツのジャンルと前記シネマモードとダイナミックモードとスタンダードモードの対応はユーザが任意に設定可能にした。従って、ユーザは自身の嗜好に基づいてコンテンツのジャンルに応じた補正量を設定でき、好みの映像を出力機器に出力できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施例に係るカートリッジ装着装置を備えた記録再生装置であって、カートリッジの装着前の状態を示す斜視図である。
【図2】図1における記録再生装置の背面図である。
【図3】図1における記録再生装置であって、カートリッジの装着状態を示す斜視図である。
【図4】iVDR規格に準拠して規格化されたカートリッジタイプのハードディスクの外観を示す斜視図である。
【図5】本発明の実施例に係る記録再生装置の構成を示すブロック図である。
【図6】本発明にかかる記録再生装置における録画再生制御部の構成を示すブロック図である。
【図7】本発明にかかる記録再生装置における色空間調整の概念を示す模式図である。
【図8】本発明にかかる記録再生装置におけるコントラスト調整の方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の具体例を実施例及び図面を用いて詳細に説明する。但し、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための記録再生装置を例示するものであって、本発明をこの記録再生装置に特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態の記録再生装置にも等しく適用し得るものである。
【実施例】
【0022】
図1は本発明の実施例に係るカートリッジ装着装置を備えた記録再生装置であって、カートリッジの装着前の状態を示す斜視図、図2は図1における記録再生装置の背面図、図3は図1における記録再生装置であって、カートリッジの装着状態を示す斜視図である。図4はiVDR規格に準拠した、ハードディスクを記憶媒体とするカートリッジの概観を示す図である。なお、以下に説明する実施例における記録再生装置はiVDR規格に準拠したカートリッジ装着装置を備えたものを例に説明するが、本発明はこれに限られるものではなく、DVDレコーダまたはHDDレコーダ等のアナログあるいはデジタル方式による記録再生装置であってもよい。
【0023】
本発明の実施例に係る記録再生装置20は、図1で示すように、カートリッジ100を記録再生装置20に内蔵されたカートリッジ装着部に挿入するためのスロット201が前面に設けられている。カートリッジ100は、図4に示すものであり、図4に示すカートリッジと同一部分には同一の参照符号を付してある。図4はiVDR規格に基づいたカートリッジの外観を示す斜視図である。このカートリッジ100は、例えば、図4に示すように、幅Wが80mm、長さLが110mm、厚みSが12,7mmの矩形で単純な形状のハウジング101からなり、ハードディスクドライブを内蔵したものである。
【0024】
記録再生装置20には、スロット201に隣接して電源ボタン202、リモートコントロール用の赤外線センサー203、iVDR動作表示ランプ204、録画予約表示ランプ205、通電表示ランプ206が設けられている。スロット201は、図3で示すように、装着状態のカートリッジ100を取出す際につまむことができるように切り欠かれており、カートリッジ100部分が露出している。
【0025】
本発明に適用されるiVDR規格に基づいたカートリッジ100は、図4に示すように、所定規格のハウジング101からなり、ハウジング101の両側面にはガイドレール103が形成され、図1で示すようにカートリッジ100がカートリッジ装着装置の挿入口201に挿入するようになっている。ガイドレール103にはロック用の凹部104が形成され、図3で示すカートリッジ100の装着状態でカートリッジ装着部(図示せず)のロック機構の突起(図示せず)が係合するようになっている。
【0026】
記録再生装置20の側面にはB−CAS(登録商標)カードを挿入するためのスロットを覆うスロットカバー207が設けられている。また、図2で示すように、記録再生装置20の背面には、AC電源入力端子208、アンテナ入力端子209、アンテナ出力端子210、映像出力端子211、音声出力端子212、デジタル映像・音声を入出力するためのHDMI(High−Definition Multimedia Interface)端子213、排熱口214等が設けられている。
【0027】
記録再生装置20は、受信された映像信号等をカートリッジ100内のハードディスクに記録し、またハードディスクに記録した記録情報を再生するレコーダである。このため、記録再生装置20は、アンテナ入力端子209やHDMI端子213等から入力された映像信号、音声信号を受信するための信号受信回路、カートリッジ100が電子機器20に装着されると受信された映像信号等をハードディスクに記録したり、ハードディスクに記録された映像信号を再生したりするための信号処理回路等を備えている。
【0028】
図5は、カートリッジ100を装着可能とした本発明の実施例にかかる記録再生装置20の構成を示すブロック図である。記録再生装置20は、チューナ21、iVDR規格に基づくカートリッジ100(以下、ハードディスクともいう)が装着されるiVDR装着部22、ネットワーク接続部23、視聴制御部24、録画再生制御部25、WEBブラウザ26、映像音声出力部27を備えて構成され、映像音声出力部27にはHDMIケーブルを介してテレビ受像機などの出力機器(表示装置)30が接続される。これらの構成要素は一般的なiVDR規格に対応した記録再生装置が備えているものである。
【0029】
また、本実施例にかかる記録再生装置20は、ネットワーク接続部23に接続されたDLNA/DTCP−IPサーバ部28を有している。DLNA/DTCP−IPサーバ部28はDLNA/DTCP−IP規格に対応するサーバ機能を有するものであり、DLNA/DTCP−IP規格に対応したクライアント装置からネットワーク接続部23を介してDLNA/DTCP−IP規格に従って記録されたコンテンツを復号化するとともにコンテンツに付加されているアクセス制限情報をiVDR規格におけるアクセス制限情報に変換して、録画再生制御部25に出力し、チューナを介して受信したコンテンツと同様にして録画再生制御部25によりハードディスクに記録することができる。
【0030】
チューナ21は、ユーザによって選択されたチャンネルの放送波を受信し、視聴制御部24を介して映像音声出力部27に送り、映像音声出力部27から出力された出力信号はテレビジョン受像機(TV)等の機器に送信される。また、電子機器20は、ネットワーク接続機能を有しており、ネットワーク接続部23を介してインターネットや家庭内ネットワークに接続し、WEBブラウザ26を用いてネットワーク上の所望のコンテンツを特定し、映像音声出力部28を用いて出力することができる。これらの各部の機能は、ネットワーク接続機能を備えた一般的な録画装置の機能と同様である。
【0031】
チューナ21を介して受信された放送波は録画再生制御部25を介してiVDR装着部22に装着されたカートリッジ100に記録(録画保存)される。従って、録画再生制御部25の機能、作用は、通常の放送受信装置と異なり、iVDR規格に準拠した録画生成処理の制御を行う。すなわち、録画再生制御部25はiVDR規格によって定められた暗号方式に基づいてコンテンツを暗号化してカートリッジ100に記録する。また、カートリッジ100に記録されたコンテンツを読み出して再生処理する際には、該暗号化方式に基づいてコンテンツを復号化し、映像音声出力部27から出力する。また、録画再生制御部25は、コンテンツにiVDR規格に基づく著作権保護のためのアクセス制限情報が付与されている場合には、当該アクセス制限情報に基づいた録画再生処理を行う。
【0032】
本発明にかかる記録再生装置20は、上記の構成に加え、映像音声出力部27に接続されたメモリ部29を有する。このメモリ部29には、HDMIケーブルを介して出力機器30の表示特性などの出力機器特性に関する情報を取得し、出力機器の機種名(型式)と対応付けて記憶する。なお、メモリ部29には、記録再生装置20の出荷時点で存在する種々の出力機器の各々について、予めメーカーにおいてそれら出力機器の機種名(型式)と出力機器特性情報を対応付けて記憶しておいてもよい。その後、新たに市場に提供される出力機器についてはネットワーク接続部23を介してその出力機器特性情報を当該出力機器のメーカーのサーバ等から取得してメモリ部29に追加するようにしてもよい。出力特性情報(表示特性)とは、例えば、階調、色相、彩度、RGB原色輝度、コントラスト、γ補正値などの情報である。
【0033】
また、本実施例にかかる記録再生装置20において、録画再生制御部25は、図6に示すように、出力機器特性取得部25a、ジャンル判別部25b、出力変換部25cを備えて構成される。出力機器特性取得部25aは、メモリ部29を参照して、映像音声出力部27に接続されている出力機器30に対応した出力特性情報を取得する。出力変換部25cは、ユーザが選択した録画コンテンツをiVDR装着部22に装着された記憶媒体(カートリッジ)から読み出して映像音声出力部27に出力する際、読み出されたコンテンツの画像を出力機器特性取得部25aによって取得された出力特性情報に従って変換して出力する。
【0034】
ところで、録画コンテンツには、映画、スポーツ、音楽、ドラマ、ニュース、アニメーション、ドキュメンタリーなどの様々のジャンルがあり、ジャンルに応じて、出力機器に出力(表示)する画像を最適なものにすることが好ましい。ジャンル判別部25bは、再生する録画コンテンツのジャンルを判別する。ジャンル判別の方法は、録画コンテンツの映像の輝度、彩度、コントラストのヒストグラムを解析することによって行うことができる。この解析はコンテンツの録画時に行い、録画コンテンツのタイトルなどとともにジャンルを記憶しておき、再生時にジャンル判別部25bは、記憶されたジャンルを識別して録画コンテンツのジャンルを判別する。
【0035】
そして、出力変換部25cが出力特性情報に従ってコンテンツの画像を変換して出力する際、再生するコンテンツのジャンルに応じた最適化を行う。例えば、映像モードを、(a)ダイナミックモード、(b)スタンダードモード、(c)シネマモードの3モードを設けておき、再生するコンテンツのジャンルに応じて、これら3モードの何れかを用いて映像を変換して出力する。そして、例えば、再生するコンテンツのジャンルが映画の場合にはシネマモードで映像を変換し、スポーツの場合にはダイナミックモードで変換、アニメやドラマその他の場合はスタンダートモードで変換するように、コンテンツのジャンルと映像モードを対応付けて置く。映像モードとジャンルの対応関係はユーザが自分の嗜好に応じて設定できるようにしておくとよい。
【0036】
以下、映像の変換方法について説明する。図7は、横軸X、縦軸Yの直交座標を用いて色度を表した図であり、本実施例における色空間調整の概念を示す図である。出力変換部25cは記憶媒体から読み出した映像(入力映像)を変換して出力機器30に出力する際、図7においてR、G、B、Cy、Mg、Ye、Wの7点、その間の補色(RYe、YeG、GCy、CyB、BMg、MgR)6点の計13点に関して、色度座標や信号量の補正を行い上記(a)〜(c)各映像モードを実現する。(a)のダイナミックモードでは、図7の7aに示す補正を行い、輪郭をくっきりさせ、めりはりの効いた映像に変換する。(b)のスタンダードモードでは、図7の7bに示す補正を行い、記憶媒体から読み出された入力映像を忠実に再現するよう映像を変換し、(c)のシネマモードでは、図7の7cに示す補正を行い、階調感を重視し、色調をしっかりと表現し、しっとりと落ち着いた映像になるように変換するように、予めジャンルに応じた補正量を設定しておく。
【0037】
また、出力変換部25cは記憶媒体から読み出した映像(入力映像)を変換して出力機器30に出力する際にコントラスト調整を行う。コントラスト調整においては、出力変換部に入力される映像のヒストグラム分析(映像ごとの輝度平均、偏差を解析する輝度分布解析)を行い最適な入出力特性を算出して適用し、映像ごとの輝度平均、偏差に応じてγテーブルを補正、コントラスト強調効果を得る。図8はこのようなコントラストの調整の方法を示しており、入力映像8a、入出力特性8b、出力映像8cの関係を示している。
【0038】
入力映像8a、出力映像8cの各グラフは縦軸に頻度、横軸に輝度をとって映像の分布を示したものであり、入出力特性8bの各グラフは出力映像を縦軸に、入力映像を横軸にとって両画像の関係を示したものである。図8において参照符号8aで示される各グラフは入力映像の輝度分布を示し、参照符号8bで示される各グラフは輝度分布解析によって算出された最適な入出力特性を示している。この入出力特性8bに基づいて調整した出力映像の各グラフが参照符号8cに示されている。このような調整を行うことで、映像ごとの輝度平均、偏差に応じてγテーブルを補正すればコントラスト強調効果を得ることができる。
【0039】
以上、説明したように、本発明にかかる記録再生装置によれば、録画したコンテンツの再生において、記録再生装置に接続される出力機器の表示特性に応じて録画コンテンツを変換して出力する際、録画コンテンツのジャンルを判別し、ジャンルに応じて予め設定された補正を加えて入力画像(記憶媒体から読み出された画像)を変換するものであるから、再生する録画コンテンツのジャンルに応じた好適な高画質の画像を出力機器に出力することができるようになる。
【0040】
また、iVDR規格に準拠したカートリッジおよび当該カートリッジを採用した記録再生装置などの機器には高い互換性がある。特に、デジタル放送の録画、再生においては、機器互換を特長とするコンテンツ保護技術(SAFIA:Security Architecture For Intelligent Attachment device)に対応しており、デジタルTV機器の互換性に関して利便性が高いものになっている。
【0041】
この機器によれば、カートリッジに記録したコンテンツは、iVDRに準拠した放送受信装置であれば、例え、他のメーカーの放送受信装置に買い換えた場合でもカートリッジに記録したコンテンツを再生することができる。
【0042】
なお、以上説明した実施例は、iVDR規格に準拠したカートリッジを装着する記録再生装置を例に説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、一般的な記録再生装置であっても、ネットワーク接続機能を有する機器であれば適用することが可能である。また、記憶媒体もHDDカートリッジに限られるものではなく、SDカード、USBメモリなどの記憶媒体を用いることができる。
【0043】
また、以上の説明において、記録再生装置20は、DLNA/DTCP−IPサーバ機能を備えたものを例にして説明したが、本発明はこれに限られるものではない。DLNA/DTCP−IPの規格でない他のコンテンツ保護の規格、あるいは、メーカーが独自に採用するローカルの暗号化方式、アクセス制限方式に対応する変換処理部27を備える構成とすることもできる。また、複数の規格、ローカル規格に対応できるように構成することもできる。
【符号の説明】
【0044】
100 カートリッジ
101 ハウジング
102 カートリッジ側コネクタ
103 ガイドレール
104 凹部
20 記録再生装置
21 チューナ
22 iVDR装着部
23 ネットワーク接続部
24 視聴制御部
25 録画再生制御部
25a 出力機器特性取得部
25b ジャンル判別部
25c 出力変換部
26 WEBブラウザ
27 映像音声出力部
28 DLNA/DTCP−IPサーバ部
29 メモリ部
30 表示装置(出力機器)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から取得したコンテンツを出力する映像音声出力部と、
放送されるコンテンツを受信して出力するチューナと、
コンテンツを記録する記憶媒体と、
ネットワークを介してコンテンツを取得するネットワーク接続部と、
前記チューナまたはネットワーク接続部を介して取得したコンテンツを前記記憶媒体に記録し、又は前記記憶媒体から読み出す録画再生制御部と、
前記記憶媒体に記録されたコンテンツのジャンルを判別するジャンル判別部と、
前記記憶媒体から読み出したコンテンツの画像を変換して前記映像音声出力部を介して出力機器に出力する出力変換部と、を備え、
前記記憶媒体に記録された特定のコンテンツを再生する際、前記ジャンル判別部は当該コンテンツのジャンルを判別し、前記出力変換部は、前記コンテンツのジャンルに応じて、予め設定された補正量に基づいて前記コンテンツの画像を変換して出力することを特徴とする記録再生装置。
【請求項2】
前記補正量は、少なくともシネマモードとダイナミックモードとスタンダードモードのそれぞれに応じて設定されており、前記コンテンツのジャンルに応じて前記何れかのモードの補正量が適用されることを特徴とする請求項1に記載の記録再生装置。
【請求項3】
前記出力機器はHDMIケーブルにより前記記録再生装置に接続され、前記記録再生装置はHDMIケーブルを介して前記出力機器の出力特性情報を取得してメモリ部に記憶し、前記出力変換部は、記憶媒体に記録された特定のコンテンツを再生し、前記出力機器に当該コンテンツを出力する際、前記出力変換部は、前記メモリ部から前記出力機器の出力機器特性情報を取得し、前記記憶媒体から読み出したコンテンツの画像を該出力機器特性に応じて変換して出力することを特徴とする請求項1または2に記載の記録再生装置。
【請求項4】
前記コンテンツのジャンルと前記シネマモードとダイナミックモードとスタンダードモードの対応はユーザが任意に設定可能にしたことを特徴とする請求項2に記載の記録再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−70289(P2012−70289A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−214644(P2010−214644)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】