記録媒体、プログラム実行システム、プログラム実行装置及び画像表示方法
【課題】シーンが切り換わるたびに方向性を確認しながらいちいち操作を切り換える手間をなくして操作性を飛躍的に向上させる。
【解決手段】指定された視点から見たキャラクタ106の移動ベクトルを演算する第1のベクトル演算手段202と、得られた移動ベクトルからキャラクタ106の位置(ワールド座標)や向きを演算する第1の位置演算手段204と、視点の切換えが必要な場合にキャラクタ106の位置に応じた視点に切り換える視点切換え手段206と、視点が切り換わった段階においても操作入力が維持されている場合に、キャラクタ106の移動方向を、少なくとも切り換わる直前のシーンにおけるマップ上でのキャラクタ106の移動方向に関連づけて維持させる方向維持手段214とを有して構成する。
【解決手段】指定された視点から見たキャラクタ106の移動ベクトルを演算する第1のベクトル演算手段202と、得られた移動ベクトルからキャラクタ106の位置(ワールド座標)や向きを演算する第1の位置演算手段204と、視点の切換えが必要な場合にキャラクタ106の位置に応じた視点に切り換える視点切換え手段206と、視点が切り換わった段階においても操作入力が維持されている場合に、キャラクタ106の移動方向を、少なくとも切り換わる直前のシーンにおけるマップ上でのキャラクタ106の移動方向に関連づけて維持させる方向維持手段214とを有して構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置の画面に表示されている1つのシーンにおいて、該シーンに表示されているオブジェクトを使用者からの操作入力が示す移動方向に動かす表示を行う画像表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ビデオゲーム機を含むプログラム実行システムのような情報機器として、例えばCD−ROM等の記録媒体に格納されたゲーム内容をテレビジョン受像機の画面上に表示させながら、操作装置で操作してゲームを進行させるエンタテインメントシステムがある。
【0003】
このエンタテインメントシステムにおけるプログラム実行装置と操作装置との間は、通常、シリアルインターフェースで接続され、プログラム実行装置からクロックが送られると、そのクロックに同期して操作装置から使用者(ユーザ、プレイヤともいう)の操作に対応したキースイッチ情報等を送るようになっている。
【0004】
また、最近では、操作装置内に外部(例えばプログラム実行装置)からの要求によってユーザに振動を与える振動発生手段を設けるようにして、例えばゲームの進行中において、ユーザの操作に応答するように種々の振動をユーザに与えるようにしたシステムが開発され、実用化に至っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、例えば図3に示すように、任意のキャラクタ106をモニタの画面に表示させる場合、複数のカメラ視点100及び102のうち、前記キャラクタ106を表示させるべき位置に関連するカメラ視点100又は102を基準としてキャラクタ106を表示するようにしている。図4では、画面110上の手前から奥行き方向に向かって本道104がまっすぐ延びた画像であって、十字路108の地点よりも手前にキャラクタ106を表示させた例を示し、この場合、図3に示すように、カメラ視点100は本道104上であって、キャラクタ106よりも手前の位置に設定されている。
【0006】
そして、図4に示すように、ユーザが操作装置の例えば方向キーを使用して、キャラクタ106を例えば本道104をまっすぐ進むように操作した場合、キャラクタ106は、その操作入力に従って、本道104をまっすぐ進むことになるが、キャラクタ106が交差点108の中央に位置したときに、シーンが切り換わって、図5に示すように、別のカメラ視点102を基準としてキャラクタ106が表示されることになる。前記別のカメラ視点102は、図3に示すように、十字路108における4つのコーナー部分C1〜C4のうち、右側の手前のコーナー部分C4に設定されたカメラ視点である。そのため、本道104は、図5に示すように、画面110上の手前から奥行き方向に向かって斜め右側に延びる画像となる。
【0007】
そして、前記別のシーンに切り換わった後のキャラクタ106の動きは、前記別のカメラ視点102を基準とした動きになり、例えば上方向キーを操作した場合、図6に示すように、キャラクタ106は、画面110上、上方向に進んで、斜め右側に延びる本道104から外れてしまうことになる。
【0008】
従って、ユーザが、例えばキャラクタ106を図4の状態から本道104に沿ってまっすぐ進むように操作している際に、突然、別のシーンに切り換わると、キャラクタ106はそのまま本道104から外れてしまうこととなる。そのため、ユーザは、図5のシーンに切り換わった瞬間に、そのシーンに応じた操作に切り換えなければならず、面倒であった。
【0009】
特に、キャラクタ106がモンスターなどに追われている状況や、制限時間内に本道104を突っ切るなどの状況においては、シーンが切り換わるたびに操作を切り換えてキャラクタ106を動作させなければならないため、ジレンマに陥るという問題があった。
【0010】
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、シーンが切り換わっても、切り換わる直前のキャラクタの動きによる1つの事象(例えば本道をまっすぐ進むなど)が、切り換わった後のシーンにもそのまま反映され、シーンが切り換わるたびに方向性を確認しながらいちいち操作を切り換える必要がなくなり、操作性を飛躍的に向上させることができる画像表示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る画像表示方法は、各種プログラムを実行するプログラム実行装置と、使用者による操作要求を前記プログラム実行装置に操作指示として入力させる少なくとも1つの操作装置と、前記プログラム実行装置から出力された画像を表示する表示装置とを有するプログラム実行システムにおける画像表示方法において、前記表示装置の画面に表示されている1つのシーンにおいて、該シーンに表示されているオブジェクトを前記使用者からの操作入力が示す移動方向に動かす表示を行うステップと、前記表示装置の画面に表示されるシーンが、第1のシーンから第2のシーンに切り換わった際に、前記第1のシーンから前記第2のシーンへの切換え前から切換え後にかけて前記使用者からの前記オブジェクトの移動方向を示す操作入力がそのまま維持されている場合に、前記第1のシーンでの前記オブジェクトの移動方向を基準にして、前記第2のシーンにおける前記オブジェクトの移動方向を定めるステップとを有することを特徴とする。
【0012】
これにより、第1のシーンから第2のシーンに切り換わっても、切り換わる直前のキャラクタの動きによる1つの事象(例えば本道をまっすぐ進むなど)が、切り換わった後の第2のシーンにもそのまま反映され、シーンが切り換わるたびに方向性を確認しながらいちいち操作を切り換える必要がなくなり、操作性を飛躍的に向上させることができる。
【0013】
また、本発明に係る画像表示方法を適用したプログラムを記録した記録媒体は、各種プログラムを実行するプログラム実行装置と、使用者による操作要求を前記プログラム実行装置に操作指示として入力させる少なくとも1つの操作装置と、前記プログラム実行装置から出力された画像を表示する表示装置とを有するプログラム実行システムを、方向に関する前記操作指示に基づく任意のキャラクタの移動に伴って、第1のシーンから第2のシーンに切り換わり、かつ、前記操作指示が維持されている場合に、前記第2のシーンでの前記キャラクタの移動方向を、少なくとも切り換わる直前の前記第1のシーンにおけるマップ上でのキャラクタの移動方向に関連づけて維持させる方向維持手段として機能させるためのプログラムを記録したコンピュータにて読取り可能な記録媒体である。
【0014】
また、本発明に係る画像表示方法を適用したプログラムは、各種プログラムを実行するプログラム実行装置と、使用者による操作要求を前記プログラム実行装置に操作指示として入力させる少なくとも1つの操作装置と、前記プログラム実行装置から出力された画像を表示する表示装置とを有するプログラム実行システムを、方向に関する前記操作指示に基づく任意のキャラクタの移動に伴って、第1のシーンから第2のシーンに切り換わり、かつ、前記操作指示が維持されている場合に、前記第2のシーンでの前記キャラクタの移動方向を、少なくとも切り換わる直前の前記第1のシーンにおけるマップ上でのキャラクタの移動方向に関連づけて維持させる方向維持手段として機能させるためのプログラムである。
【0015】
また、本発明に係る画像表示方法を適用したプログラム実行システムは、各種プログラムを実行するプログラム実行装置と、使用者による操作要求を前記プログラム実行装置に操作指示として入力させる少なくとも1つの操作装置と、前記プログラム実行装置から出力された画像を表示する表示装置と、前記プログラム実行装置における制御部において動作するプログラムであって、方向に関する前記操作指示に基づく任意のキャラクタの移動に伴って、第1のシーンから第2のシーンに切り換わり、かつ、前記操作指示が維持されている場合に、前記第2のシーンでの前記キャラクタの移動方向を、少なくとも切り換わる直前の前記第1のシーンにおけるマップ上でのキャラクタの移動方向に関連づけて維持させる方向維持手段とを有することを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係る画像表示方法を適用したプログラム実行装置は、少なくとも使用者による操作要求を操作指示として出力する操作装置と画像を表示するための表示装置が接続可能とされたプログラム実行装置において、方向に関する前記操作指示に基づく任意のキャラクタの移動に伴って、第1のシーンから第2のシーンに切り換わり、かつ、前記操作指示が維持されている場合に、前記第2のシーンでの前記キャラクタの移動方向を、少なくとも切り換わる直前の前記第1のシーンにおけるマップ上でのキャラクタの移動方向に関連づけて維持させる方向維持手段を有することを特徴とする。
【0017】
また、前記第1のシーンが第1の視点を基準とした座標変換に基づいて描画され、前記第2のシーンが第2の視点を基準とした座標変換に基づいて描画される場合に、前記方向維持手段は、前記キャラクタの移動方向を前記第1の視点を基準として演算する演算手段を有するようにしてもよい。
【0018】
また、本発明は、指定された視点から見た今回の操作指示による任意のキャラクタの移動ベクトルから、少なくとも前記キャラクタの位置座標を求める第1の演算手段と、前記キャラクタの位置座標に基づいて必要な場合に視点の切換えを行う視点切換え手段と、前記視点の切換え後に前記操作指示が維持されている場合に、前回の視点から見た前記操作指示による前記任意のキャラクタの移動ベクトルから、少なくとも該キャラクタの位置座標を求める第2の演算手段と、前記第1の演算手段又は第2の演算手段で得られた前記キャラクタの位置座標に基づいて、今回の視点を基準とした前記キャラクタの3D画像を描画する画像描画手段とを有するようにしてもよい。
【0019】
これにより、まず、第1の演算手段において、指定された視点から見た今回の操作入力による任意のキャラクタの移動ベクトルから、少なくとも前記キャラクタの位置座標(例えばワールド座標)が求められる。
【0020】
その後、視点切換え手段において、前記キャラクタの位置座標に基づいて、視点の切換えが必要であるか否かが判別され、視点の切換えが必要であれば、視点が切り換えられ、不要であれば、前記視点が維持される。
【0021】
その後、画像描画手段において、前記第1の演算手段で得られた前記キャラクタの位置座標に基づいて、今回の視点を基準とした前記キャラクタの3D画像が描画され、該3D画像が表示されることになる。
【0022】
そして、前記視点の切換え後に前記操作指示が維持されている場合には、第2の演算手段において、前回の視点から見た前記操作指示による前記任意のキャラクタの移動ベクトルから、少なくとも該キャラクタの位置座標が求められ、次の画像描画手段において、前記第2の演算手段で得られた前記キャラクタの位置座標に基づいて、今回の視点を基準とした前記キャラクタの3D画像が描画され、該3D画像が表示されることになる。
【0023】
前記第2の演算手段での演算処理は、操作指示が変更されるまで続けられる。
【0024】
この場合においても、第1のシーンから第2のシーンに切り換わった際に、切り換わる直前のキャラクタの動きによる1つの事象(例えば本道をまっすぐ進むなど)が、切り換わった後の第2のシーンにもそのまま反映され、シーンが切り換わるたびに方向性を確認しながらいちいち操作を切り換える必要がなくなり、操作性を飛躍的に向上させることができる。
【発明の効果】
【0025】
以上説明したように、本発明に係る画像表示方法によれば、シーンが切り換わっても、切り換わる直前のキャラクタの動きによる1つの事象(例えば本道をまっすぐ進むなど)が、切り換わった後のシーンにもそのまま反映され、ユーザは、シーンが切り換わるたびに方向性を確認しながらいちいち操作を切り換える必要がなくなり、操作性を飛躍的に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本実施の形態に係るエンタテインメントシステムを示す構成図である。
【図2】本実施の形態に係るエンタテインメントシステムの回路構成を示すブロック図である。
【図3】第1及び第2のカメラ視点の位置を示す説明図である。
【図4】第1のカメラ視点から見た表示例を示す説明図である。
【図5】第2のカメラ視点から見た表示例を示す説明図である。
【図6】比較のために、従来の処理による不都合点を示す説明図である。
【図7】本実施の形態に係る処理による表示例を示す説明図である。
【図8】本実施の形態に係るエンタテインメントシステムに組み込まれる画像処理手段の構成を示す機能ブロック図である。
【図9】画像処理手段の処理動作を示すフローチャート(その1)である。
【図10】画像処理手段の処理動作を示すフローチャート(その2)である。
【図11】視点切換え情報テーブルの内訳を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係る画像表示方法をビデオゲーム等を行うエンタテインメントシステムに適用した実施の形態例を図1〜図11を参照しながら説明する。
【0028】
まず、本実施の形態に係るエンタテインメントシステム10は、基本的には、図1に示すように、各種プログラムを実行させるエンタテインメント装置12と、該エンタテインメント装置12に対して着脱自在とされるメモリカード14と、エンタテインメント装置12に対して着脱自在とされた操作装置(コントローラ)16と、エンタテインメント装置12からの映像・音声信号が供給されるテレビ受像機等の表示装置であるモニタ(ディスプレイ)18とから構成される。
【0029】
エンタテインメント装置12は、例えば、CD−ROMやDVD−ROM等の光ディスク20等の大容量記憶媒体に記録されているプログラムを読み出して、使用者(例えば、ゲームプレイヤ等)からの指示に応じてゲーム等を実行するためのものである。なお、ゲームの実行とは、主として、コントローラ16からの入力をコネクタ15を通じて受け、モニタ18上における表示や音声を制御しながらゲームの進行を制御することをいう。
【0030】
このエンタテインメント装置12は、図1に示すように、扁平な直方体を重ねた形状を有しており、前面パネルには、プログラム・データの記録媒体である光ディスク20が装着されるディスク装着部としての前後に移動するディスクトレイ22と、現在実行中のプログラム等を任意にリセット等するためのリセットスイッチ24と、ディスクトレイ22を引き出すためのオープンボタン26と、メモリカード14の2つの差込口30と、コントローラ16のコネクタ15が差し込まれる2つのコントローラ端子32等とが配置され、背面側には、電源スイッチ28、映像と音声の出力端子であり、AV(audio visual)ケーブルを介してモニタ18と接続される図示していないAVマルチ出力端子等が配置されている。
【0031】
エンタテインメント装置12は、コンピュータゲーム(ビデオゲーム)のプログラムやデータが記録されたCD−ROM、DVD−ROM等の記録媒体である光ディスク20から当該プログラムを読み取り、それを実行することによりモニタ18にキャラクタやシーンを表示させる制御機能のほか、他の光ディスク20であるDVD(digital video disk)による映画の再生およびCDDA(compact disk digital audio)による音楽の再生等の各種制御機能が内蔵されている。また、通信ネットワーク等を介して通信により得られるプログラムを実行する機能も有する。ゲームプログラムの実行中には、表示装置としてのモニタ18上にエンタテインメント装置12が生成した3次元コンピュータグラフィックス映像が表示される。
【0032】
この場合、コントローラ16からの信号も、エンタテインメント装置12の上記制御機能の一つによって処理され、その内容がモニタ18の画面上の、例えばキャラクタの動き、シーンの切換えなどに反映されるようになっている。
【0033】
コントローラ16は、上面の中央左右に第1、第2操作部51、52が設けられ、側面には第3、第4操作部53、54が設けられ、上面の手前側左右には、アナログ操作を行うためのそれぞれがジョイスティックである左側の回転操作子70と右側の回転操作子72とが設けられている。
【0034】
第1の操作部51は、例えばモニタ18の画面に表示されたキャラクタ等に動作を与えるための押圧操作部であり、光ディスク20に記録されているプログラム等によりその機能が設定され、例えばキャラクタ106等を上下左右等に動かす機能を有する4つの操作キー(方向キー)51a、51b、51c、51dから構成されている。方向キー51aは上方向キー、方向キー51bは下方向キー、方向キー51cは左方向キー、方向キー51dは右方向キーともいう。
【0035】
第2の操作部52は、押圧操作用の円柱状をした4個の操作ボタン52a、52b、52c、52dを有し、各操作ボタン52a〜52dの頭部には、それぞれ「△」、「○」、「×」、「□」の識別マークが付けられており、各操作ボタン52a〜52dは、それぞれ△ボタン52a、○ボタン52b、×ボタン52c、□ボタン52dともいう。
【0036】
この第2の操作部52の各操作ボタン52a〜52dは、光ディスク20に記録されたプログラム等によりその機能が設定され、各操作ボタン52a〜52dに、たとえばキャラクタ等の左腕、右腕、左足、右足を動かす機能が割り付けられる。
【0037】
第3、第4操作部53、54は、ほぼ同じ構造をしており、ともに上下に並ぶ押圧操作用の2個の操作ボタン(L1ボタン)53a、操作ボタン(L2ボタン)53b、および操作ボタン(R1ボタン)54a、操作ボタン(R2ボタン)54bを備えている。これら第3、第4操作部53、54も、光ディスク20に記録されたプログラムによりその機能が設定され、例えばキャラクタ106に特殊な動作をさせる機能が割り付けられる。
【0038】
左右の回転操作子70、72は、それぞれ操作軸を中心に360゜方向に回転可能とされる可変抵抗器等の信号入力素子を備えており、傾動に応じてアナログ値が出力される。また、この左右の回転操作子70、72は、図示していない弾性部材により中立位置に復帰するようになっている。なお、左右の回転操作子70、72は、それぞれ下方に押圧することによって、回転操作子70、72の傾動に伴うアナログ値とは別の信号が出力される。つまり、左右の回転操作子70、72は、押圧操作用の第5、第6操作部としての操作ボタン(L3ボタン)70a、(R3ボタン)72aの機能を有している。
【0039】
左右の回転操作子70、72を回転、傾動操作することにより、例えばキャラクタ106等を回転させながら移動させ、あるいは速度を可変しながら移動させ、さらには状態を変更させる等のアナログ的な動きを行うことを可能とする指令信号を入力することが可能となる。
【0040】
図1において、左右の回転操作子70、72は、前記第1及び第2操作部51、52と切り換えて使用可能となる。その切換えは、アナログモードスイッチ74により行う。アナログモードスイッチ74により左右の回転操作子70、72が選択されると、表示部76が点灯して、左右の回転操作子70、72の選択状態を表示するようになっている。
【0041】
コントローラ16には、上記のほかにゲーム等の開始を指示するスタートボタン(スタートスイッチ)78や、ゲーム開始に際してゲームの難易度等を選択するためのセレクトボタン(選択スイッチ)80などが設けられている。
【0042】
次に、図2のブロック図を参照して、図1に示したエンタテインメント装置12の内部構成とその一般的な動作について説明する。
【0043】
このエンタテインメント装置12は、該エンタテインメント装置12を制御するCPU401に対して、半導体メモリとしてのRAM402及びバス403がそれぞれ接続されて構成されている。
【0044】
前記バス403には、グラフィックシンセサイザー(GS)404、インプットアウトプットプロセッサ(IOP)409がそれぞれ接続される。GS404には、フレームバッファ、Zバッファおよびテクスチャメモリ等を含むRAM(画像メモリ)405と、この画像メモリ405中のフレームバッファへの描画機能を含むレンダリング機能を有するレンダリングエンジン406とが含まれる。
【0045】
このように構成されるGS404には、例えばデジタルRGB信号等をNTSC標準テレビジョン方式に変換するためのエンコーダ407を介して、外部機器としてのモニタ18が接続される。
【0046】
IOP409には、光ディスク20に記録されているデータを再生し、デコードするためのドライバ(DRV)410、サウンドプロセッサ(SP)412、フラッシュメモリからなる外部メモリとしてのメモリカード14、コントローラ16およびオペレーティング・システム等の記録されたROM416がそれぞれ接続される。SP412は、増幅器413を介して、外部機器としてのスピーカ414およびモニタ18に接続され、音声信号を供給する。
【0047】
ここで、メモリカード14は、たとえばCPUもしくはゲートアレイおよびフラッシュメモリからなるカード型の外部記憶装置であって、図2に示されたエンタテインメント装置12に対し、その差込口30を介して着脱自在となっており、ゲームの途中状態が記憶されたり、DVD再生用のプログラム等が記憶されている。
【0048】
コントローラ16は、搭載された複数のボタンの押圧により、指令(2値指令または多値指令)をエンタテインメント装置12に与えるためのものである。また、ドライバ410は、MPEG(moving picture experts group)標準に基づいてエンコードされた画像をデコードするためのデコーダを備えている。
【0049】
次に、コントローラ16の操作により、どのようにして画像がモニタ18に表示されるのかについて説明する。前提として、光ディスク20に記録されているポリゴン頂点データ、テクスチャデータ等からなるオブジェクトのデータが、ドライバ410を介して読み込まれ、CPU401のRAM402に保持されているものとする。
【0050】
コントローラ16を介して使用者であるプレイヤからの指示がエンタテインメント装置12に入力されると、CPU401は、その指示に基づいて3次元(3D)上におけるオブジェクトの位置、視点に対する向きを演算する。これにより、直交3軸X,Y,Zの座標値で規定されるオブジェクトのポリゴン頂点データがそれぞれ変更される。変更後のポリゴン頂点データは、透視変換処理により2次元座標データに変換される。
【0051】
2次元座標によって指定される領域がいわゆるポリゴンである。変換後の2次元の座標データ、Zデータおよびテクスチャデータは、GS404に供給される。GS404は、変換後の2次元座標データ、Zデータに基づいて、レンダリングを行い、順次テクスチャデータを画像メモリ405のフレームバッファに書き込む(描画する)ことで描画処理を行う。なお、描画されるテクスチャデータは、この描画処理により完成された1フレーム分の画像がエンコーダ407によってエンコードされた後に、モニタ18に供給され、その画面上に画像として表示される。
【0052】
次に、この実施の形態に係るエンタテインメントシステム10が有する特徴的な機能、即ち、例えば光ディスク20やメモリカード14のようなランダムアクセス可能な記録媒体、さらにはネットワークによってエンタテインメント装置12に提供されるプログラムによって実現される機能について図3〜図7を参照しながら説明する。
【0053】
この機能は、方向に関する操作入力(コントローラ16からの操作指示)に基づく任意のキャラクタの移動に伴って、第1のシーンから第2のシーンに切り換わり、かつ、前記操作入力が維持されている場合に、前記第2のシーンでの前記キャラクタ106の移動方向を、少なくとも切り換わる直前の前記第1のシーンにおけるマップ上でのキャラクタ106の移動方向に関連づけて維持させる、というものである。
【0054】
具体的に、図3〜図7を参照しながら説明すると、まず、図3に示すように、2つのカメラ視点100及び102を想定し、第1のカメラ視点100は、本道104上であって、かつ、キャラクタ106よりも手前の位置に設定され、第2のカメラ視点102は、十字路108における4つのコーナー部分C1〜C4のうち、右側の手前のコーナー部分C4に設定されている。
【0055】
図4は、第1のカメラ視点100を基準にした表示例(第1のシーン)であって、画面110上の手前から奥行き方向に向かって本道104がまっすぐ延びた画像で、かつ、十字路108の地点よりも手前にキャラクタ106を表示させた場合を示す。画面上では、キャラクタ106が本道104に沿って走っている状態を示す。図5は、第2のカメラ視点102を基準にした表示例(第2のシーン)であって、本道104は、画面110上の手前から奥行き方向に向かって斜め右側に延びる画像となっている。
【0056】
そして、図4で示す第1のシーンにおいて、例えばコントローラ16の操作子のうち、上方向キー51aを操作することによって、キャラクタ106は、その操作入力に従って、本道104をまっすぐ進むことになるが、キャラクタ106が交差点108の中央に位置したときに、シーンが切り換わって、図5に示すように、第2のカメラ視点102を基準としてキャラクタ106が表示されることになる(第2のシーン)。
【0057】
通常、第2のシーンに切り換わった後のキャラクタ106の動きは、該第2のカメラ視点102を基準とした動きになり、例えば上方向キー51aを操作した場合、キャラクタ106は、図6に示すように、画面110上、上方向に進んで、斜め右側に延びる本道104から外れてしまうことになる。
【0058】
しかし、本実施の形態では、第1のシーンから第2のシーンに切り換わった際に、第1のシーンでの操作が維持されている限り、第2のシーンに切り換わる直前のキャラクタ106の動きによる1つの事象(例えば本道104をまっすぐ進むなど)が、第2のシーンに切り換わった後においてもそのまま反映されることになる。
【0059】
例えば、第2のシーンに切り換わる前、即ち、図4に示す第1のシーンにおいて、例えば上方向キー51aを操作している場合に、第2のシーンに切り換わったとき、図7に示すように、キャラクタ106は斜め右側に延びる本道104に沿って進むことになる。この場合の表示は、第1のカメラ視点100に基づく座標計算によって達成される。
【0060】
そして、第2のシーンに切り換わった後に、コントローラ16に対する操作が一旦別の操作に変更された段階で、キャラクタ106の動作上の座標が第2のカメラ視点102に基づいて計算されることになる。従って、この段階でキャラクタ106を本道104に沿って進めたい場合は、斜め右方向の操作を行えばよい。
【0061】
次に、上述の機能を実現するためのソフトウエア(画像処理手段200)の一例について、図8〜図11を参照しながら説明する。
【0062】
この画像処理手段200は、上述したように、例えば光ディスク20やメモリカード14のようなランダムアクセス可能な記録媒体、さらにはネットワークによって、エンタテインメント装置12に提供されるようになっている。ここでは、光ディスク20からエンタテインメント装置12に読み込まれて動作する場合を想定して説明を進める。
【0063】
即ち、画像処理手段200は、例えば予めエンタテインメント装置12にて再生される特定の光ディスク20から所定の処理を経てエンタテインメント装置12のRAM402にダウンロードされることによって、CPU401上で動作されるようになっている。
【0064】
そして、前記画像処理手段200は、図8に示すように、指定された視点から見たキャラクタ106の移動ベクトルを演算する第1のベクトル演算手段202と、得られた移動ベクトルからキャラクタ106の座標(ワールド座標)や向きを演算する第1の位置演算手段204と、視点の切換えが必要な場合にキャラクタ106の位置に応じた視点に切り換える視点切換え手段206と、指定された視点に基づく3D画像を画像メモリ405に描画する画像描画手段208と、画像メモリ405に描画された3D画像データをモニタ18に出力して、該モニタ18の画面110上に前記3D画像を表示させる画像表示手段210とを有する。
【0065】
また、前記画像処理手段200は、前記各種手段に加えて、コントローラ16からの操作入力が変更されたか否かを判別する操作入力判別手段212と、視点が切り換わった段階においても操作入力が維持されている場合に、キャラクタ106の移動方向を、少なくとも切り換わる直前のシーンにおけるマップ上でのキャラクタ106の移動方向に関連づけて維持させる方向維持手段214とを有する。
【0066】
この方向維持手段214は、切り換わる前の視点(前回の視点)から見たキャラクタ106の移動ベクトルを演算する第2のベクトル演算手段216と、得られた移動ベクトルからキャラクタ106の座標(ワールド座標)や向きを演算する第2の位置演算手段218とを有する。
【0067】
次に、前記画像処理手段200の処理動作を図9及び図10のフローチャートを参照しながら説明する。
【0068】
この画像処理手段200は、まず、図9のステップS1において、今回の視点として初期の視点に設定し、次いで、ステップS2において、この画像処理手段200に対する終了要求(電源断やゲームオーバー要求など)があるか否かが判別される。終了要求がなければ、次のステップS3に進み、ユーザによるコントローラ16からの操作指示、即ち、操作入力を受け取る。
【0069】
次に、ステップS4において、第1のベクトル演算手段202を通じて、今回の視点から見た今回の操作入力によるキャラクタ106の移動ベクトルを演算し、その後、ステップS5において、第1の位置演算手段204を通じて、前記得られた移動ベクトルに基づいて、キャラクタ106の位置(ワールド座標)と今回の視点に対する方向とを演算する。
【0070】
次に、ステップS6において、画像描画手段208を通じて、今回の視点に基づく背景画像を画像メモリ405に描画する。その後、ステップS7において、キャラクタ106の位置(ワールド座標)を今回の視点を基準としたカメラ座標に変換する。
【0071】
次に、ステップS8において、前記キャラクタ106に対応するオブジェクトデータの頂点データを前記得られたカメラ座標に基づいて書き換える。その後、ステップS9において、画像描画手段208を通じて、前記オブジェクトデータについてレンダリング処理を行って、画像メモリ405に前記キャラクタ106の3D画像を描画する。次いで、ステップS10において、画像表示手段210を通じて、前記画像メモリ405に描画された3D画像データをモニタ18に出力して、該モニタ18の画面110上に前記3D画像を表示させる。
【0072】
次に、ステップS11において、視点切換え手段206を通じて、視点の切換えの可否を判別する。この判別は、視点切換え情報テーブル220を用いて行われる。この視点切換え情報テーブル220は、図11に示すように、各レコードに視点の座標と、該視点が管轄するワールド座標の範囲が登録されている。
【0073】
そして、上述の判別は、前記視点切換え情報テーブル220のうち、前記ステップS5において得られたワールド座標が含まれるレコードを検索し、検索されたレコードに登録された視点の座標と、今回の視点の座標とを比較することによって行われる。
【0074】
互いの視点の座標が同一であれば、ステップS12から前記ステップS2以降の処理に戻り、今回の視点における操作入力に従ったキャラクタ106の動きが3D画像として表示されることになる。ステップS3からステップS11の処理が繰り返されることで、例えば、図5に示すように、第1のカメラ視点100から見た画像、例えば、キャラクタ106が本道104に沿ってまっすぐ走っていく画像が表示されることになる。
【0075】
一方、互いの視点の座標が異なっていれば、視点の切換えが必要であるとして、ステップS12からステップS13に進み、前記ステップS5において検索されたレコードに登録された視点が今回の視点として定義されることになる。
【0076】
次に、ステップS14において、ユーザによるコントローラ16からの操作入力を受け取る。その後、ステップS15において、操作入力判別手段212を通じて、操作入力の変更があるか否かが判別される。操作入力に変更がなく、そのまま維持されていれば、方向維持手段214での処理に入る。
【0077】
この処理は、まず、ステップS16において、第2のベクトル演算手段216を通じて、切換え前の視点(前回の視点)から見た今回の操作入力によるキャラクタ106の移動ベクトルを演算し、その後、ステップS17において、第2の位置演算手段218を通じて、前記得られた移動ベクトルに基づいて、キャラクタ106のワールド座標と今回の視点に対する方向とを演算する。
【0078】
次に、ステップS18において、画像描画手段208を通じて、今回の視点に基づく背景画像を画像メモリ405に描画する。その後、ステップS19において、キャラクタ106の位置(ワールド座標)を今回の視点を基準としたカメラ座標に変換する。
【0079】
次に、ステップS20において、前記キャラクタ106に対応するオブジェクトデータの頂点データを前記得られたカメラ座標に基づいて書き換える。その後、ステップS21において、画像描画手段208を通じて、前記オブジェクトデータについてレンダリング処理を行って、画像メモリ405に前記キャラクタ106の3D画像を描画する。次いで、ステップS22において、画像表示手段210を通じて、前記画像メモリ405に描画された3D画像データをモニタ18に出力して、該モニタ18の画面110上に前記3D画像を表示させる。このステップS22での処理が終了した段階で、前記ステップS14以降の処理に戻る。
【0080】
上述のステップS14からステップS22までの処理、即ち、方向維持手段214での処理によって、図5の第1のシーンから第2のシーンに切り換わった際に、第1のシーンでの操作が維持されている限り、図7に示すように、第2のシーンに切り換わる直前のキャラクタ106の動きによる1つの事象(この例では、本道104をまっすぐ進むという事象)が、第2のシーンに切り換わった後においてもそのまま反映されることになる。
【0081】
そして、前記ステップS15において、操作入力が変更されたと判別された段階で、図9のステップS4以降の通常の処理に戻り、今度は、図7に示すシーンにおいて、操作入力に応じてキャラクタ106が動作するという表示が行われることになる。そして、ステップS2において、この画像処理手段200に対する終了要求があった段階で、この画像処理手段200での処理が終了する。
【0082】
このように、本実施の形態に係るエンタテインメントシステム10においては、方向に関する操作入力に基づく任意のキャラクタ106の移動に伴って、第1のシーンから第2のシーンに切り換わり、かつ、前記操作入力が維持されている場合に、前記第2のシーンでの前記キャラクタ106の移動方向を、少なくとも切り換わる直前の前記第1のシーンにおけるマップ上でのキャラクタ106の移動方向に関連づけて維持させる方向維持手段214を有するようにしたので、第1のシーンから第2のシーンに切り換わっても、切り換わる直前のキャラクタ106の動きによる1つの事象(例えば本道104をまっすぐ進むなど)が、切り換わった後の第2のシーンにもそのまま反映され、ユーザは、シーンが切り換わるたびに方向性を確認しながらいちいち操作を切り換える必要がなくなり、操作性を飛躍的に向上させることができる。
【0083】
なお、この発明に係る画像表示方法は、上述の実施の形態に限らず、この発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【符号の説明】
【0084】
10…エンタテインメントシステム 12…エンタテインメント装置
16…操作装置(コントローラ) 18…モニタ(ディスプレイ)
20…光ディスク 100…第1のカメラ視点
102…第2のカメラ視点 104…本道
106…キャラクタ 108…十字路(交差点)
110…画面 200…画像処理手段
202…第1のベクトル演算手段 204…第1の位置演算手段
206…視点切換え手段 214…方向維持手段
216…第2のベクトル演算手段 218…第2の位置演算手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置の画面に表示されている1つのシーンにおいて、該シーンに表示されているオブジェクトを使用者からの操作入力が示す移動方向に動かす表示を行う画像表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ビデオゲーム機を含むプログラム実行システムのような情報機器として、例えばCD−ROM等の記録媒体に格納されたゲーム内容をテレビジョン受像機の画面上に表示させながら、操作装置で操作してゲームを進行させるエンタテインメントシステムがある。
【0003】
このエンタテインメントシステムにおけるプログラム実行装置と操作装置との間は、通常、シリアルインターフェースで接続され、プログラム実行装置からクロックが送られると、そのクロックに同期して操作装置から使用者(ユーザ、プレイヤともいう)の操作に対応したキースイッチ情報等を送るようになっている。
【0004】
また、最近では、操作装置内に外部(例えばプログラム実行装置)からの要求によってユーザに振動を与える振動発生手段を設けるようにして、例えばゲームの進行中において、ユーザの操作に応答するように種々の振動をユーザに与えるようにしたシステムが開発され、実用化に至っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、例えば図3に示すように、任意のキャラクタ106をモニタの画面に表示させる場合、複数のカメラ視点100及び102のうち、前記キャラクタ106を表示させるべき位置に関連するカメラ視点100又は102を基準としてキャラクタ106を表示するようにしている。図4では、画面110上の手前から奥行き方向に向かって本道104がまっすぐ延びた画像であって、十字路108の地点よりも手前にキャラクタ106を表示させた例を示し、この場合、図3に示すように、カメラ視点100は本道104上であって、キャラクタ106よりも手前の位置に設定されている。
【0006】
そして、図4に示すように、ユーザが操作装置の例えば方向キーを使用して、キャラクタ106を例えば本道104をまっすぐ進むように操作した場合、キャラクタ106は、その操作入力に従って、本道104をまっすぐ進むことになるが、キャラクタ106が交差点108の中央に位置したときに、シーンが切り換わって、図5に示すように、別のカメラ視点102を基準としてキャラクタ106が表示されることになる。前記別のカメラ視点102は、図3に示すように、十字路108における4つのコーナー部分C1〜C4のうち、右側の手前のコーナー部分C4に設定されたカメラ視点である。そのため、本道104は、図5に示すように、画面110上の手前から奥行き方向に向かって斜め右側に延びる画像となる。
【0007】
そして、前記別のシーンに切り換わった後のキャラクタ106の動きは、前記別のカメラ視点102を基準とした動きになり、例えば上方向キーを操作した場合、図6に示すように、キャラクタ106は、画面110上、上方向に進んで、斜め右側に延びる本道104から外れてしまうことになる。
【0008】
従って、ユーザが、例えばキャラクタ106を図4の状態から本道104に沿ってまっすぐ進むように操作している際に、突然、別のシーンに切り換わると、キャラクタ106はそのまま本道104から外れてしまうこととなる。そのため、ユーザは、図5のシーンに切り換わった瞬間に、そのシーンに応じた操作に切り換えなければならず、面倒であった。
【0009】
特に、キャラクタ106がモンスターなどに追われている状況や、制限時間内に本道104を突っ切るなどの状況においては、シーンが切り換わるたびに操作を切り換えてキャラクタ106を動作させなければならないため、ジレンマに陥るという問題があった。
【0010】
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、シーンが切り換わっても、切り換わる直前のキャラクタの動きによる1つの事象(例えば本道をまっすぐ進むなど)が、切り換わった後のシーンにもそのまま反映され、シーンが切り換わるたびに方向性を確認しながらいちいち操作を切り換える必要がなくなり、操作性を飛躍的に向上させることができる画像表示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る画像表示方法は、各種プログラムを実行するプログラム実行装置と、使用者による操作要求を前記プログラム実行装置に操作指示として入力させる少なくとも1つの操作装置と、前記プログラム実行装置から出力された画像を表示する表示装置とを有するプログラム実行システムにおける画像表示方法において、前記表示装置の画面に表示されている1つのシーンにおいて、該シーンに表示されているオブジェクトを前記使用者からの操作入力が示す移動方向に動かす表示を行うステップと、前記表示装置の画面に表示されるシーンが、第1のシーンから第2のシーンに切り換わった際に、前記第1のシーンから前記第2のシーンへの切換え前から切換え後にかけて前記使用者からの前記オブジェクトの移動方向を示す操作入力がそのまま維持されている場合に、前記第1のシーンでの前記オブジェクトの移動方向を基準にして、前記第2のシーンにおける前記オブジェクトの移動方向を定めるステップとを有することを特徴とする。
【0012】
これにより、第1のシーンから第2のシーンに切り換わっても、切り換わる直前のキャラクタの動きによる1つの事象(例えば本道をまっすぐ進むなど)が、切り換わった後の第2のシーンにもそのまま反映され、シーンが切り換わるたびに方向性を確認しながらいちいち操作を切り換える必要がなくなり、操作性を飛躍的に向上させることができる。
【0013】
また、本発明に係る画像表示方法を適用したプログラムを記録した記録媒体は、各種プログラムを実行するプログラム実行装置と、使用者による操作要求を前記プログラム実行装置に操作指示として入力させる少なくとも1つの操作装置と、前記プログラム実行装置から出力された画像を表示する表示装置とを有するプログラム実行システムを、方向に関する前記操作指示に基づく任意のキャラクタの移動に伴って、第1のシーンから第2のシーンに切り換わり、かつ、前記操作指示が維持されている場合に、前記第2のシーンでの前記キャラクタの移動方向を、少なくとも切り換わる直前の前記第1のシーンにおけるマップ上でのキャラクタの移動方向に関連づけて維持させる方向維持手段として機能させるためのプログラムを記録したコンピュータにて読取り可能な記録媒体である。
【0014】
また、本発明に係る画像表示方法を適用したプログラムは、各種プログラムを実行するプログラム実行装置と、使用者による操作要求を前記プログラム実行装置に操作指示として入力させる少なくとも1つの操作装置と、前記プログラム実行装置から出力された画像を表示する表示装置とを有するプログラム実行システムを、方向に関する前記操作指示に基づく任意のキャラクタの移動に伴って、第1のシーンから第2のシーンに切り換わり、かつ、前記操作指示が維持されている場合に、前記第2のシーンでの前記キャラクタの移動方向を、少なくとも切り換わる直前の前記第1のシーンにおけるマップ上でのキャラクタの移動方向に関連づけて維持させる方向維持手段として機能させるためのプログラムである。
【0015】
また、本発明に係る画像表示方法を適用したプログラム実行システムは、各種プログラムを実行するプログラム実行装置と、使用者による操作要求を前記プログラム実行装置に操作指示として入力させる少なくとも1つの操作装置と、前記プログラム実行装置から出力された画像を表示する表示装置と、前記プログラム実行装置における制御部において動作するプログラムであって、方向に関する前記操作指示に基づく任意のキャラクタの移動に伴って、第1のシーンから第2のシーンに切り換わり、かつ、前記操作指示が維持されている場合に、前記第2のシーンでの前記キャラクタの移動方向を、少なくとも切り換わる直前の前記第1のシーンにおけるマップ上でのキャラクタの移動方向に関連づけて維持させる方向維持手段とを有することを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係る画像表示方法を適用したプログラム実行装置は、少なくとも使用者による操作要求を操作指示として出力する操作装置と画像を表示するための表示装置が接続可能とされたプログラム実行装置において、方向に関する前記操作指示に基づく任意のキャラクタの移動に伴って、第1のシーンから第2のシーンに切り換わり、かつ、前記操作指示が維持されている場合に、前記第2のシーンでの前記キャラクタの移動方向を、少なくとも切り換わる直前の前記第1のシーンにおけるマップ上でのキャラクタの移動方向に関連づけて維持させる方向維持手段を有することを特徴とする。
【0017】
また、前記第1のシーンが第1の視点を基準とした座標変換に基づいて描画され、前記第2のシーンが第2の視点を基準とした座標変換に基づいて描画される場合に、前記方向維持手段は、前記キャラクタの移動方向を前記第1の視点を基準として演算する演算手段を有するようにしてもよい。
【0018】
また、本発明は、指定された視点から見た今回の操作指示による任意のキャラクタの移動ベクトルから、少なくとも前記キャラクタの位置座標を求める第1の演算手段と、前記キャラクタの位置座標に基づいて必要な場合に視点の切換えを行う視点切換え手段と、前記視点の切換え後に前記操作指示が維持されている場合に、前回の視点から見た前記操作指示による前記任意のキャラクタの移動ベクトルから、少なくとも該キャラクタの位置座標を求める第2の演算手段と、前記第1の演算手段又は第2の演算手段で得られた前記キャラクタの位置座標に基づいて、今回の視点を基準とした前記キャラクタの3D画像を描画する画像描画手段とを有するようにしてもよい。
【0019】
これにより、まず、第1の演算手段において、指定された視点から見た今回の操作入力による任意のキャラクタの移動ベクトルから、少なくとも前記キャラクタの位置座標(例えばワールド座標)が求められる。
【0020】
その後、視点切換え手段において、前記キャラクタの位置座標に基づいて、視点の切換えが必要であるか否かが判別され、視点の切換えが必要であれば、視点が切り換えられ、不要であれば、前記視点が維持される。
【0021】
その後、画像描画手段において、前記第1の演算手段で得られた前記キャラクタの位置座標に基づいて、今回の視点を基準とした前記キャラクタの3D画像が描画され、該3D画像が表示されることになる。
【0022】
そして、前記視点の切換え後に前記操作指示が維持されている場合には、第2の演算手段において、前回の視点から見た前記操作指示による前記任意のキャラクタの移動ベクトルから、少なくとも該キャラクタの位置座標が求められ、次の画像描画手段において、前記第2の演算手段で得られた前記キャラクタの位置座標に基づいて、今回の視点を基準とした前記キャラクタの3D画像が描画され、該3D画像が表示されることになる。
【0023】
前記第2の演算手段での演算処理は、操作指示が変更されるまで続けられる。
【0024】
この場合においても、第1のシーンから第2のシーンに切り換わった際に、切り換わる直前のキャラクタの動きによる1つの事象(例えば本道をまっすぐ進むなど)が、切り換わった後の第2のシーンにもそのまま反映され、シーンが切り換わるたびに方向性を確認しながらいちいち操作を切り換える必要がなくなり、操作性を飛躍的に向上させることができる。
【発明の効果】
【0025】
以上説明したように、本発明に係る画像表示方法によれば、シーンが切り換わっても、切り換わる直前のキャラクタの動きによる1つの事象(例えば本道をまっすぐ進むなど)が、切り換わった後のシーンにもそのまま反映され、ユーザは、シーンが切り換わるたびに方向性を確認しながらいちいち操作を切り換える必要がなくなり、操作性を飛躍的に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本実施の形態に係るエンタテインメントシステムを示す構成図である。
【図2】本実施の形態に係るエンタテインメントシステムの回路構成を示すブロック図である。
【図3】第1及び第2のカメラ視点の位置を示す説明図である。
【図4】第1のカメラ視点から見た表示例を示す説明図である。
【図5】第2のカメラ視点から見た表示例を示す説明図である。
【図6】比較のために、従来の処理による不都合点を示す説明図である。
【図7】本実施の形態に係る処理による表示例を示す説明図である。
【図8】本実施の形態に係るエンタテインメントシステムに組み込まれる画像処理手段の構成を示す機能ブロック図である。
【図9】画像処理手段の処理動作を示すフローチャート(その1)である。
【図10】画像処理手段の処理動作を示すフローチャート(その2)である。
【図11】視点切換え情報テーブルの内訳を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係る画像表示方法をビデオゲーム等を行うエンタテインメントシステムに適用した実施の形態例を図1〜図11を参照しながら説明する。
【0028】
まず、本実施の形態に係るエンタテインメントシステム10は、基本的には、図1に示すように、各種プログラムを実行させるエンタテインメント装置12と、該エンタテインメント装置12に対して着脱自在とされるメモリカード14と、エンタテインメント装置12に対して着脱自在とされた操作装置(コントローラ)16と、エンタテインメント装置12からの映像・音声信号が供給されるテレビ受像機等の表示装置であるモニタ(ディスプレイ)18とから構成される。
【0029】
エンタテインメント装置12は、例えば、CD−ROMやDVD−ROM等の光ディスク20等の大容量記憶媒体に記録されているプログラムを読み出して、使用者(例えば、ゲームプレイヤ等)からの指示に応じてゲーム等を実行するためのものである。なお、ゲームの実行とは、主として、コントローラ16からの入力をコネクタ15を通じて受け、モニタ18上における表示や音声を制御しながらゲームの進行を制御することをいう。
【0030】
このエンタテインメント装置12は、図1に示すように、扁平な直方体を重ねた形状を有しており、前面パネルには、プログラム・データの記録媒体である光ディスク20が装着されるディスク装着部としての前後に移動するディスクトレイ22と、現在実行中のプログラム等を任意にリセット等するためのリセットスイッチ24と、ディスクトレイ22を引き出すためのオープンボタン26と、メモリカード14の2つの差込口30と、コントローラ16のコネクタ15が差し込まれる2つのコントローラ端子32等とが配置され、背面側には、電源スイッチ28、映像と音声の出力端子であり、AV(audio visual)ケーブルを介してモニタ18と接続される図示していないAVマルチ出力端子等が配置されている。
【0031】
エンタテインメント装置12は、コンピュータゲーム(ビデオゲーム)のプログラムやデータが記録されたCD−ROM、DVD−ROM等の記録媒体である光ディスク20から当該プログラムを読み取り、それを実行することによりモニタ18にキャラクタやシーンを表示させる制御機能のほか、他の光ディスク20であるDVD(digital video disk)による映画の再生およびCDDA(compact disk digital audio)による音楽の再生等の各種制御機能が内蔵されている。また、通信ネットワーク等を介して通信により得られるプログラムを実行する機能も有する。ゲームプログラムの実行中には、表示装置としてのモニタ18上にエンタテインメント装置12が生成した3次元コンピュータグラフィックス映像が表示される。
【0032】
この場合、コントローラ16からの信号も、エンタテインメント装置12の上記制御機能の一つによって処理され、その内容がモニタ18の画面上の、例えばキャラクタの動き、シーンの切換えなどに反映されるようになっている。
【0033】
コントローラ16は、上面の中央左右に第1、第2操作部51、52が設けられ、側面には第3、第4操作部53、54が設けられ、上面の手前側左右には、アナログ操作を行うためのそれぞれがジョイスティックである左側の回転操作子70と右側の回転操作子72とが設けられている。
【0034】
第1の操作部51は、例えばモニタ18の画面に表示されたキャラクタ等に動作を与えるための押圧操作部であり、光ディスク20に記録されているプログラム等によりその機能が設定され、例えばキャラクタ106等を上下左右等に動かす機能を有する4つの操作キー(方向キー)51a、51b、51c、51dから構成されている。方向キー51aは上方向キー、方向キー51bは下方向キー、方向キー51cは左方向キー、方向キー51dは右方向キーともいう。
【0035】
第2の操作部52は、押圧操作用の円柱状をした4個の操作ボタン52a、52b、52c、52dを有し、各操作ボタン52a〜52dの頭部には、それぞれ「△」、「○」、「×」、「□」の識別マークが付けられており、各操作ボタン52a〜52dは、それぞれ△ボタン52a、○ボタン52b、×ボタン52c、□ボタン52dともいう。
【0036】
この第2の操作部52の各操作ボタン52a〜52dは、光ディスク20に記録されたプログラム等によりその機能が設定され、各操作ボタン52a〜52dに、たとえばキャラクタ等の左腕、右腕、左足、右足を動かす機能が割り付けられる。
【0037】
第3、第4操作部53、54は、ほぼ同じ構造をしており、ともに上下に並ぶ押圧操作用の2個の操作ボタン(L1ボタン)53a、操作ボタン(L2ボタン)53b、および操作ボタン(R1ボタン)54a、操作ボタン(R2ボタン)54bを備えている。これら第3、第4操作部53、54も、光ディスク20に記録されたプログラムによりその機能が設定され、例えばキャラクタ106に特殊な動作をさせる機能が割り付けられる。
【0038】
左右の回転操作子70、72は、それぞれ操作軸を中心に360゜方向に回転可能とされる可変抵抗器等の信号入力素子を備えており、傾動に応じてアナログ値が出力される。また、この左右の回転操作子70、72は、図示していない弾性部材により中立位置に復帰するようになっている。なお、左右の回転操作子70、72は、それぞれ下方に押圧することによって、回転操作子70、72の傾動に伴うアナログ値とは別の信号が出力される。つまり、左右の回転操作子70、72は、押圧操作用の第5、第6操作部としての操作ボタン(L3ボタン)70a、(R3ボタン)72aの機能を有している。
【0039】
左右の回転操作子70、72を回転、傾動操作することにより、例えばキャラクタ106等を回転させながら移動させ、あるいは速度を可変しながら移動させ、さらには状態を変更させる等のアナログ的な動きを行うことを可能とする指令信号を入力することが可能となる。
【0040】
図1において、左右の回転操作子70、72は、前記第1及び第2操作部51、52と切り換えて使用可能となる。その切換えは、アナログモードスイッチ74により行う。アナログモードスイッチ74により左右の回転操作子70、72が選択されると、表示部76が点灯して、左右の回転操作子70、72の選択状態を表示するようになっている。
【0041】
コントローラ16には、上記のほかにゲーム等の開始を指示するスタートボタン(スタートスイッチ)78や、ゲーム開始に際してゲームの難易度等を選択するためのセレクトボタン(選択スイッチ)80などが設けられている。
【0042】
次に、図2のブロック図を参照して、図1に示したエンタテインメント装置12の内部構成とその一般的な動作について説明する。
【0043】
このエンタテインメント装置12は、該エンタテインメント装置12を制御するCPU401に対して、半導体メモリとしてのRAM402及びバス403がそれぞれ接続されて構成されている。
【0044】
前記バス403には、グラフィックシンセサイザー(GS)404、インプットアウトプットプロセッサ(IOP)409がそれぞれ接続される。GS404には、フレームバッファ、Zバッファおよびテクスチャメモリ等を含むRAM(画像メモリ)405と、この画像メモリ405中のフレームバッファへの描画機能を含むレンダリング機能を有するレンダリングエンジン406とが含まれる。
【0045】
このように構成されるGS404には、例えばデジタルRGB信号等をNTSC標準テレビジョン方式に変換するためのエンコーダ407を介して、外部機器としてのモニタ18が接続される。
【0046】
IOP409には、光ディスク20に記録されているデータを再生し、デコードするためのドライバ(DRV)410、サウンドプロセッサ(SP)412、フラッシュメモリからなる外部メモリとしてのメモリカード14、コントローラ16およびオペレーティング・システム等の記録されたROM416がそれぞれ接続される。SP412は、増幅器413を介して、外部機器としてのスピーカ414およびモニタ18に接続され、音声信号を供給する。
【0047】
ここで、メモリカード14は、たとえばCPUもしくはゲートアレイおよびフラッシュメモリからなるカード型の外部記憶装置であって、図2に示されたエンタテインメント装置12に対し、その差込口30を介して着脱自在となっており、ゲームの途中状態が記憶されたり、DVD再生用のプログラム等が記憶されている。
【0048】
コントローラ16は、搭載された複数のボタンの押圧により、指令(2値指令または多値指令)をエンタテインメント装置12に与えるためのものである。また、ドライバ410は、MPEG(moving picture experts group)標準に基づいてエンコードされた画像をデコードするためのデコーダを備えている。
【0049】
次に、コントローラ16の操作により、どのようにして画像がモニタ18に表示されるのかについて説明する。前提として、光ディスク20に記録されているポリゴン頂点データ、テクスチャデータ等からなるオブジェクトのデータが、ドライバ410を介して読み込まれ、CPU401のRAM402に保持されているものとする。
【0050】
コントローラ16を介して使用者であるプレイヤからの指示がエンタテインメント装置12に入力されると、CPU401は、その指示に基づいて3次元(3D)上におけるオブジェクトの位置、視点に対する向きを演算する。これにより、直交3軸X,Y,Zの座標値で規定されるオブジェクトのポリゴン頂点データがそれぞれ変更される。変更後のポリゴン頂点データは、透視変換処理により2次元座標データに変換される。
【0051】
2次元座標によって指定される領域がいわゆるポリゴンである。変換後の2次元の座標データ、Zデータおよびテクスチャデータは、GS404に供給される。GS404は、変換後の2次元座標データ、Zデータに基づいて、レンダリングを行い、順次テクスチャデータを画像メモリ405のフレームバッファに書き込む(描画する)ことで描画処理を行う。なお、描画されるテクスチャデータは、この描画処理により完成された1フレーム分の画像がエンコーダ407によってエンコードされた後に、モニタ18に供給され、その画面上に画像として表示される。
【0052】
次に、この実施の形態に係るエンタテインメントシステム10が有する特徴的な機能、即ち、例えば光ディスク20やメモリカード14のようなランダムアクセス可能な記録媒体、さらにはネットワークによってエンタテインメント装置12に提供されるプログラムによって実現される機能について図3〜図7を参照しながら説明する。
【0053】
この機能は、方向に関する操作入力(コントローラ16からの操作指示)に基づく任意のキャラクタの移動に伴って、第1のシーンから第2のシーンに切り換わり、かつ、前記操作入力が維持されている場合に、前記第2のシーンでの前記キャラクタ106の移動方向を、少なくとも切り換わる直前の前記第1のシーンにおけるマップ上でのキャラクタ106の移動方向に関連づけて維持させる、というものである。
【0054】
具体的に、図3〜図7を参照しながら説明すると、まず、図3に示すように、2つのカメラ視点100及び102を想定し、第1のカメラ視点100は、本道104上であって、かつ、キャラクタ106よりも手前の位置に設定され、第2のカメラ視点102は、十字路108における4つのコーナー部分C1〜C4のうち、右側の手前のコーナー部分C4に設定されている。
【0055】
図4は、第1のカメラ視点100を基準にした表示例(第1のシーン)であって、画面110上の手前から奥行き方向に向かって本道104がまっすぐ延びた画像で、かつ、十字路108の地点よりも手前にキャラクタ106を表示させた場合を示す。画面上では、キャラクタ106が本道104に沿って走っている状態を示す。図5は、第2のカメラ視点102を基準にした表示例(第2のシーン)であって、本道104は、画面110上の手前から奥行き方向に向かって斜め右側に延びる画像となっている。
【0056】
そして、図4で示す第1のシーンにおいて、例えばコントローラ16の操作子のうち、上方向キー51aを操作することによって、キャラクタ106は、その操作入力に従って、本道104をまっすぐ進むことになるが、キャラクタ106が交差点108の中央に位置したときに、シーンが切り換わって、図5に示すように、第2のカメラ視点102を基準としてキャラクタ106が表示されることになる(第2のシーン)。
【0057】
通常、第2のシーンに切り換わった後のキャラクタ106の動きは、該第2のカメラ視点102を基準とした動きになり、例えば上方向キー51aを操作した場合、キャラクタ106は、図6に示すように、画面110上、上方向に進んで、斜め右側に延びる本道104から外れてしまうことになる。
【0058】
しかし、本実施の形態では、第1のシーンから第2のシーンに切り換わった際に、第1のシーンでの操作が維持されている限り、第2のシーンに切り換わる直前のキャラクタ106の動きによる1つの事象(例えば本道104をまっすぐ進むなど)が、第2のシーンに切り換わった後においてもそのまま反映されることになる。
【0059】
例えば、第2のシーンに切り換わる前、即ち、図4に示す第1のシーンにおいて、例えば上方向キー51aを操作している場合に、第2のシーンに切り換わったとき、図7に示すように、キャラクタ106は斜め右側に延びる本道104に沿って進むことになる。この場合の表示は、第1のカメラ視点100に基づく座標計算によって達成される。
【0060】
そして、第2のシーンに切り換わった後に、コントローラ16に対する操作が一旦別の操作に変更された段階で、キャラクタ106の動作上の座標が第2のカメラ視点102に基づいて計算されることになる。従って、この段階でキャラクタ106を本道104に沿って進めたい場合は、斜め右方向の操作を行えばよい。
【0061】
次に、上述の機能を実現するためのソフトウエア(画像処理手段200)の一例について、図8〜図11を参照しながら説明する。
【0062】
この画像処理手段200は、上述したように、例えば光ディスク20やメモリカード14のようなランダムアクセス可能な記録媒体、さらにはネットワークによって、エンタテインメント装置12に提供されるようになっている。ここでは、光ディスク20からエンタテインメント装置12に読み込まれて動作する場合を想定して説明を進める。
【0063】
即ち、画像処理手段200は、例えば予めエンタテインメント装置12にて再生される特定の光ディスク20から所定の処理を経てエンタテインメント装置12のRAM402にダウンロードされることによって、CPU401上で動作されるようになっている。
【0064】
そして、前記画像処理手段200は、図8に示すように、指定された視点から見たキャラクタ106の移動ベクトルを演算する第1のベクトル演算手段202と、得られた移動ベクトルからキャラクタ106の座標(ワールド座標)や向きを演算する第1の位置演算手段204と、視点の切換えが必要な場合にキャラクタ106の位置に応じた視点に切り換える視点切換え手段206と、指定された視点に基づく3D画像を画像メモリ405に描画する画像描画手段208と、画像メモリ405に描画された3D画像データをモニタ18に出力して、該モニタ18の画面110上に前記3D画像を表示させる画像表示手段210とを有する。
【0065】
また、前記画像処理手段200は、前記各種手段に加えて、コントローラ16からの操作入力が変更されたか否かを判別する操作入力判別手段212と、視点が切り換わった段階においても操作入力が維持されている場合に、キャラクタ106の移動方向を、少なくとも切り換わる直前のシーンにおけるマップ上でのキャラクタ106の移動方向に関連づけて維持させる方向維持手段214とを有する。
【0066】
この方向維持手段214は、切り換わる前の視点(前回の視点)から見たキャラクタ106の移動ベクトルを演算する第2のベクトル演算手段216と、得られた移動ベクトルからキャラクタ106の座標(ワールド座標)や向きを演算する第2の位置演算手段218とを有する。
【0067】
次に、前記画像処理手段200の処理動作を図9及び図10のフローチャートを参照しながら説明する。
【0068】
この画像処理手段200は、まず、図9のステップS1において、今回の視点として初期の視点に設定し、次いで、ステップS2において、この画像処理手段200に対する終了要求(電源断やゲームオーバー要求など)があるか否かが判別される。終了要求がなければ、次のステップS3に進み、ユーザによるコントローラ16からの操作指示、即ち、操作入力を受け取る。
【0069】
次に、ステップS4において、第1のベクトル演算手段202を通じて、今回の視点から見た今回の操作入力によるキャラクタ106の移動ベクトルを演算し、その後、ステップS5において、第1の位置演算手段204を通じて、前記得られた移動ベクトルに基づいて、キャラクタ106の位置(ワールド座標)と今回の視点に対する方向とを演算する。
【0070】
次に、ステップS6において、画像描画手段208を通じて、今回の視点に基づく背景画像を画像メモリ405に描画する。その後、ステップS7において、キャラクタ106の位置(ワールド座標)を今回の視点を基準としたカメラ座標に変換する。
【0071】
次に、ステップS8において、前記キャラクタ106に対応するオブジェクトデータの頂点データを前記得られたカメラ座標に基づいて書き換える。その後、ステップS9において、画像描画手段208を通じて、前記オブジェクトデータについてレンダリング処理を行って、画像メモリ405に前記キャラクタ106の3D画像を描画する。次いで、ステップS10において、画像表示手段210を通じて、前記画像メモリ405に描画された3D画像データをモニタ18に出力して、該モニタ18の画面110上に前記3D画像を表示させる。
【0072】
次に、ステップS11において、視点切換え手段206を通じて、視点の切換えの可否を判別する。この判別は、視点切換え情報テーブル220を用いて行われる。この視点切換え情報テーブル220は、図11に示すように、各レコードに視点の座標と、該視点が管轄するワールド座標の範囲が登録されている。
【0073】
そして、上述の判別は、前記視点切換え情報テーブル220のうち、前記ステップS5において得られたワールド座標が含まれるレコードを検索し、検索されたレコードに登録された視点の座標と、今回の視点の座標とを比較することによって行われる。
【0074】
互いの視点の座標が同一であれば、ステップS12から前記ステップS2以降の処理に戻り、今回の視点における操作入力に従ったキャラクタ106の動きが3D画像として表示されることになる。ステップS3からステップS11の処理が繰り返されることで、例えば、図5に示すように、第1のカメラ視点100から見た画像、例えば、キャラクタ106が本道104に沿ってまっすぐ走っていく画像が表示されることになる。
【0075】
一方、互いの視点の座標が異なっていれば、視点の切換えが必要であるとして、ステップS12からステップS13に進み、前記ステップS5において検索されたレコードに登録された視点が今回の視点として定義されることになる。
【0076】
次に、ステップS14において、ユーザによるコントローラ16からの操作入力を受け取る。その後、ステップS15において、操作入力判別手段212を通じて、操作入力の変更があるか否かが判別される。操作入力に変更がなく、そのまま維持されていれば、方向維持手段214での処理に入る。
【0077】
この処理は、まず、ステップS16において、第2のベクトル演算手段216を通じて、切換え前の視点(前回の視点)から見た今回の操作入力によるキャラクタ106の移動ベクトルを演算し、その後、ステップS17において、第2の位置演算手段218を通じて、前記得られた移動ベクトルに基づいて、キャラクタ106のワールド座標と今回の視点に対する方向とを演算する。
【0078】
次に、ステップS18において、画像描画手段208を通じて、今回の視点に基づく背景画像を画像メモリ405に描画する。その後、ステップS19において、キャラクタ106の位置(ワールド座標)を今回の視点を基準としたカメラ座標に変換する。
【0079】
次に、ステップS20において、前記キャラクタ106に対応するオブジェクトデータの頂点データを前記得られたカメラ座標に基づいて書き換える。その後、ステップS21において、画像描画手段208を通じて、前記オブジェクトデータについてレンダリング処理を行って、画像メモリ405に前記キャラクタ106の3D画像を描画する。次いで、ステップS22において、画像表示手段210を通じて、前記画像メモリ405に描画された3D画像データをモニタ18に出力して、該モニタ18の画面110上に前記3D画像を表示させる。このステップS22での処理が終了した段階で、前記ステップS14以降の処理に戻る。
【0080】
上述のステップS14からステップS22までの処理、即ち、方向維持手段214での処理によって、図5の第1のシーンから第2のシーンに切り換わった際に、第1のシーンでの操作が維持されている限り、図7に示すように、第2のシーンに切り換わる直前のキャラクタ106の動きによる1つの事象(この例では、本道104をまっすぐ進むという事象)が、第2のシーンに切り換わった後においてもそのまま反映されることになる。
【0081】
そして、前記ステップS15において、操作入力が変更されたと判別された段階で、図9のステップS4以降の通常の処理に戻り、今度は、図7に示すシーンにおいて、操作入力に応じてキャラクタ106が動作するという表示が行われることになる。そして、ステップS2において、この画像処理手段200に対する終了要求があった段階で、この画像処理手段200での処理が終了する。
【0082】
このように、本実施の形態に係るエンタテインメントシステム10においては、方向に関する操作入力に基づく任意のキャラクタ106の移動に伴って、第1のシーンから第2のシーンに切り換わり、かつ、前記操作入力が維持されている場合に、前記第2のシーンでの前記キャラクタ106の移動方向を、少なくとも切り換わる直前の前記第1のシーンにおけるマップ上でのキャラクタ106の移動方向に関連づけて維持させる方向維持手段214を有するようにしたので、第1のシーンから第2のシーンに切り換わっても、切り換わる直前のキャラクタ106の動きによる1つの事象(例えば本道104をまっすぐ進むなど)が、切り換わった後の第2のシーンにもそのまま反映され、ユーザは、シーンが切り換わるたびに方向性を確認しながらいちいち操作を切り換える必要がなくなり、操作性を飛躍的に向上させることができる。
【0083】
なお、この発明に係る画像表示方法は、上述の実施の形態に限らず、この発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【符号の説明】
【0084】
10…エンタテインメントシステム 12…エンタテインメント装置
16…操作装置(コントローラ) 18…モニタ(ディスプレイ)
20…光ディスク 100…第1のカメラ視点
102…第2のカメラ視点 104…本道
106…キャラクタ 108…十字路(交差点)
110…画面 200…画像処理手段
202…第1のベクトル演算手段 204…第1の位置演算手段
206…視点切換え手段 214…方向維持手段
216…第2のベクトル演算手段 218…第2の位置演算手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各種プログラムを実行するプログラム実行装置と、
使用者による操作要求を前記プログラム実行装置に操作指示として入力させる少なくとも1つの操作装置と、
前記プログラム実行装置から出力された画像を表示する表示装置とを有するプログラム実行システムにおける画像表示方法において、
前記表示装置の画面に表示されている1つのシーンにおいて、該シーンに表示されているオブジェクトを前記使用者からの操作入力が示す移動方向に動かす表示を行うステップと、
前記表示装置の画面に表示されるシーンが、第1のシーンから第2のシーンに切り換わった際に、前記第1のシーンから前記第2のシーンへの切換え前から切換え後にかけて前記使用者からの前記オブジェクトの移動方向を示す操作入力がそのまま維持されている場合に、前記第1のシーンでの前記オブジェクトの移動方向を基準にして、前記第2のシーンにおける前記オブジェクトの移動方向を定めるステップとを有することを特徴とする画像表示方法。
【請求項1】
各種プログラムを実行するプログラム実行装置と、
使用者による操作要求を前記プログラム実行装置に操作指示として入力させる少なくとも1つの操作装置と、
前記プログラム実行装置から出力された画像を表示する表示装置とを有するプログラム実行システムにおける画像表示方法において、
前記表示装置の画面に表示されている1つのシーンにおいて、該シーンに表示されているオブジェクトを前記使用者からの操作入力が示す移動方向に動かす表示を行うステップと、
前記表示装置の画面に表示されるシーンが、第1のシーンから第2のシーンに切り換わった際に、前記第1のシーンから前記第2のシーンへの切換え前から切換え後にかけて前記使用者からの前記オブジェクトの移動方向を示す操作入力がそのまま維持されている場合に、前記第1のシーンでの前記オブジェクトの移動方向を基準にして、前記第2のシーンにおける前記オブジェクトの移動方向を定めるステップとを有することを特徴とする画像表示方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−108249(P2011−108249A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−277041(P2010−277041)
【出願日】平成22年12月13日(2010.12.13)
【分割の表示】特願2002−294056(P2002−294056)の分割
【原出願日】平成13年6月29日(2001.6.29)
【出願人】(310021766)株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント (417)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月13日(2010.12.13)
【分割の表示】特願2002−294056(P2002−294056)の分割
【原出願日】平成13年6月29日(2001.6.29)
【出願人】(310021766)株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント (417)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]