説明

記録媒体、再生装置、記録方法、再生プログラム、再生方法。

BD−ROMには、AVClipと、AVClipにおける頭出し位置を示すPLMarkとが記録されている。このAVClipに対する頭出しには、ユーザによるスキップ操作に基づくもの、チャプターサーチ操作に基づくもの、Linkコマンドによるもののの3つのタイプがある。 マーカ情報における属性情報は、対応する頭出し位置において、前記複数3つのタイプの頭出しのうち、分岐コマンドによるもののみが許可されているか、又は、分岐コマンド以外にも、スキップ操作、チャプターサーチ操作による頭出しが許可されているかを示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
デジタルストリームが記録された記録媒体及び再生装置に関し、特にデジタルストリーム上の任意の位置への頭出しを実現する場合の改良に関する。
【背景技術】
BD−ROM等の読出専用の記録媒体により供給されるコンテンツには、映画・音楽等のAVソフト、ゲームソフトといった類型がある。だが近年の再生装置の高機能化に伴い、AVソフトに分類されるコンテンツであっても、ゲームソフトのような対話機能をもったものが登場している。
この対話機能は、AVソフトの動画、音声を構成するデジタルストリームに、対話機能のための情報を組み込むことにより実現される。これによりデジタルストリームにより設問の映像を再生すると共に、この設問に対する回答をユーザから受け付け、その回答が正解であるなら、正解映像を再生させるという対話機能の実現が可能になる。
ところが、対話機能をもっているとはいえ、かかるコンテンツはAVソフトであることに変わりない。そのため、AVソフトの再生時には、いわゆるユーザスキップが可能である。ユーザスキップとは、DVD再生装置、CD再生装置が具備しているAV機器特有の機能(AV機能)の1つであり、ユーザによる操作に従い、デジタルストリームに予め設けられた頭出し位置にジャンプするという機能である。例えば、ユーザスキップに割り当てられたキーをユーザが押下すれば、再生装置は、現在の再生時点に最も近い1つ目の頭出し位置から再生を開始することになる。ユーザスキップが2回押下されれば、次に近い2つ目の頭出し位置から、ユーザスキップが3回押下されれば、その次に近い3つ目の頭出し位置から、再生が開始されることになる。
ここで、上述したような対話機能の実現にあたって、正解映像は、設問映像からジャンプできるように、マーカ情報と呼ばれる情報により頭出し位置として指定されている。そのため、ユーザがスキップを繰り返し実行すれば、この正解映像にたどり着いてしまうことがある。本来設問映像に正解しないと見れない筈の正解映像が、ユーザスキップの繰り返しで再生されてしまうのは余りにもお粗末であり、AVソフトのおまけであるという印象を拭えない。ユーザスキップの繰り返しでは、正解映像に頭出しできないようにするには、AV機能を一切受け付けないように再生装置を設定しておくという途がある。しかしこのように、AV機能を一切受け付けないというのも、AVソフト特有の強みを失うことになり、コンテンツ制作者に推奨し難い。
【発明の開示】
本発明の目的は、設問映像に正解しないと見れない筈の正解映像が、AV機能の実行により再生されてしまうという粗末が露呈しない記録媒体を提供することである。
上記目的を達成するため本発明に係る記録媒体は、デジタルストリームと、デジタルストリーム上の任意の位置を示すマーカ情報とが記録された記録媒体であって、マーカ情報は、前記位置の属性情報を含み、属性情報は、再生位置の選択を意図する操作がユーザによりなされた場合において、マーカ情報により指示される位置を、再生装置は参照すべきか又は無視すべきがを示すことを特徴としている。
マーカ情報における属性を規定することにより、ユーザスキップ等、再生位置の選択を意図した頭出しの対象にはならないが、分岐コマンドによる頭出しの対象になり得る頭出し位置を規定することができる。これにより、ユーザが何度もユーザスキップを実行したとしても、正解映像に辿り着かないように、オーサリング時に規定しておくことができる。
更に、ユーザスキップ等、再生位置の選択を意図した操作をユーザに行わせることで、好きな設問映像をユーザに選ばせつつも、肝心の正解については、ユーザに隠蔽しておくという再生制御、つまり、AV機能の利点を活かした新たな再生制御が可能になるので、制作者にとっての恩恵は大きい。
【図面の簡単な説明】
図1(a)は、本発明に係る記録媒体の、使用行為についての形態を示す図である。
図1(b)は、対話画面に対する操作をユーザから受け付けるためのリモコン400におけるキーを示す図である。
図2は、BD−ROMの構成を示す図である。
図3は、AVClipがどのように構成されているかを模式的に示す図である。
図4は、Interactive Composition Segmentのデータ構造を示す図である。
図5は、あるDSnに含まれるODSと、ICSとの関係を示す図である。
図6は、複数ボタンからなる対話画面と、ピクチャデータとの合成を示す図である。
図7は、ボタンA〜ボタンDの状態遷移を示す図である。
図8は、図7に示すボタンA〜ボタンDの状態遷移を実行する場合のICSの記述例を図である。
図9は、ナビコマンドによる分岐を模式的に示した図である。
図10は、Clip情報の内部構成を示す図である。
図11は、PL情報の内部構成を示す図である。
図12は、時間情報による間接参照を模式化した図である。
図13は、図12に示したPL情報(PL情報#1)とは、別のPL(PL情報#2)を定義する場合の一例を示す図である。
図14は、図13に示したPL#1の再生時間軸に対し、設定されたPLmarkの一例を示す図である。
図15は、図14に示した各Mark情報に対する、属性の設定例を示す図である。
図16は、図15のMark情報により規定されるチャプターを示す図である。
図17は、図11に示した複数のPLmarkのうち、任意の1つ(PLmark[i]という)の内部構成を示す。
図18は、教材映像に相当する区間(チャプター1)、設問映像に相当する区間(チャプター2)、ヒント映像に相当する区間(チャプター3)を示す図である。
図19は、ユーザスキップによる頭出しを想定した図である。
図20は、チャプターサーチによる頭出しを想定した図である。
図21は、ボタンコマンドによる頭出しを示す図である。
図22は、本発明に係る再生装置の内部構成を示す図である。
図23は、制御部20によるPLに基づく再生手順を示すフローチャートである。
図24は、ユーザオペレーション受け付け時の処理手順を示すフローチャートである。
図25は、ユーザスキップ、チャプターサーチ時における頭出し手順を示すフローチャートである。
図26は、第2施形態に係るBD−ROMの製造工程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための最良の形態】
(第1実施形態)
以降、本発明に係る記録媒体の実施形態について説明する。先ず始めに、本発明に係る記録媒体及び再生装置の実施行為のうち、使用行為についての形態を説明する。図1(a)は、本発明に係る記録媒体及び再生装置の、使用行為についての形態を示す図である。図1(a)において、本発明に係る記録媒体は、BD−ROM100であり、本発明に係る再生装置は再生装置200である。このBD−ROM100は、再生装置200、テレビ300、リモコン400により形成されるホームシアターシステムに、映画作品を供給するという用途に供される。このうちリモコン400は、対話画面の状態を変化させるための操作をユーザから受け付けるものであり、本発明に係る記録媒体に深い係りをもつ。図1(b)は、対話画面に対する操作をユーザから受け付けるためのリモコン400におけるキーを示す図である。本図に示すようにリモコン400は、MoveUpキー、MoveDownキー、MoveRightキー、MoveLeftキー、SkipBackキー、SkipNextキー、数値キー「0」〜「9」,「+10」が設けられている。ここで対話画面におけるボタンは、ノーマル状態、セレクテッド状態、アクティブ状態という3つの状態をもち、これらMoveUpキー、MoveDownキー、MoveRightキー、MoveLeftキーは、このボタンの状態をノーマル状態→セレクテッド状態→アクティブ状態と変化させる操作をユーザから受け付ける。ノーマル状態とは、単に表示されているに過ぎない状態である。これに対しセレクテッド状態とは、ユーザ操作によりフォーカスが当てられているが、確定に至っていない状態をいう。アクティブ状態とは、確定に至った状態をいう。MoveUpキーは、対話画面においてあるボタンがセレクテッド状態である場合、このボタンより上にあるボタンをセレクテッド状態に設定するためのキーである。MoveDownキーは、このボタンより下にあるボタンをセレクテッド状態に設定するためのキー、MoveRightキーは、このボタンより右にあるボタンをセレクテッド状態に設定するためのキー、MoveLeftキーは、このボタンより左にあるボタンをセレクテッド状態に設定するためのキーである。
Activatedキーは、セレクテッド状態にあるボタンをアクティブ状態(アクティベート)するためのキーである。
SkipBackキーは、現在の再生時点から見て、後方方向へのユーザスキップを受け付けるキーである。
SkipNextキーは、現在の再生時点から見て、前方方向へのユーザスキップを受け付けるキーである。
「0」〜「9」の数値キーは、該当する数値が割り当てられたボタンをセレクテッド状態にするキーである。「+10」キーとは、これまで入力された数値に10をプラスするという操作を受け付けるキーである。尚、「0」キー、「+10」キーは、何れも10桁以上の数値の入力を受け付けるものなので、「0」キー、「+10」キーは、どちらかが具備されていればよい。
以上が本発明に係る記録媒体及び本発明に係る再生装置の使用形態についての説明である。
続いて本発明に係る記録媒体の実施行為のうち、生産行為についての形態について説明する。本発明に係る記録媒体は、BD−ROMの応用層に対する改良により実施することができる。図2は、BD−ROMの構成を示す図である。
本図の第4段目にBD−ROMを示し、第3段目にBD−ROM上のトラックを示す。本図のトラックは、BD−ROMの内周から外周にかけて螺旋状に形成されているトラックを、横方向に引き伸ばして描画している。このトラックは、リードイン領域と、ボリューム領域と、リードアウト領域とからなる。本図のボリューム領域は、物理層、ファイルシステム層、応用層というレイヤモデルをもつ。ディレクトリ構造を用いてBD−ROMの応用層フォーマット(アプリケーションフォーマット)を表現すると、図中の第1段目のようになる。本図に示すようにBD−ROMには、ROOTディレクトリの下にBDMVディレクトリがあり、BDMVディレクトリの配下には、XXX.M2TS、XXX.CLPI,YYY.MPLSといったファイルが存在する。本図に示すようなアプリケーションフォーマットを作成することにより、本発明に係る記録媒体は生産される。尚、XXX.M2TS、XXX.CLPI,YYY.MPLSといったファイルが、それぞれ複数存在する場合は、BDMVディレクトリの配下に、STREAMディレクトリ、CLIPINFディレクトリ、PLAYLISTディレクトリという3つのディレクトリを設け、STREAMディレクトリにXXX.M2TSと同じ種別のファイルを、CLIPINFディレクトリにXXX.CLPIと同じ種別のファイルを、PLAYLISTディレクトリにYYY.MPLSと同じ種別のファイルを格納することが望ましい。
このアプリケーションフォーマットにおけるAVClip(XXX.M2TS)について説明する。
AVClip(XXX.M2TS)は、MPEG−TS(Transport Stream)形式のデジタルストリームであり、ビデオストリーム、1つ以上のオーディオストリーム、プレゼンテーショングラフィクスストリーム、インタラクティブグラフィクスストリームを多重化することで得られる。ビデオストリームは映画の動画部分を、オーディオストリームは映画の音声部分を、プレゼンテーショングラフィクスストリームは、映画の字幕を、インタラクティブグラフィクスストリームは、メニューを対象とした動的な再生制御の手順をそれぞれ示している。図3は、AVClipがどのように構成されているかを模式的に示す図である。
AVClipは(中段)、複数のビデオフレーム(ピクチャpj1,2,3)からなるビデオストリーム、複数のオーディオフレームからなるオーディオストリームを(上1段目)、PESパケット列に変換し(上2段目)、更にTSパケットに変換し(上3段目)、同じくプレゼンテーショングラフィクスストリーム、インタラクティブグラフィクスストリーム(下1段目)を、PESパケット列に変換し(下2段目)、更にTSパケットに変換して(下3段目)、これらを多重化することで構成される。
続いてインタラクティブグラフィクスストリームについて説明する。グラフィクスストリームは、図3の下1段目に示すようにICS(Interactive Composition Segment)、PDS(Palette Difinition Segment)、ODS(Object_Definition_Segment)、END(END of Display Set Segment)と呼ばれる機能セグメントからなる。
『Interactive Composition Segment』は、対話的な画面を構成する機能セグメントである。
『Object_Definition_Segment』は、グラフィクスオブジェクトを定義する情報である。このグラフィクスオブジェクトについて以下説明する。BD−ROMに記録されているAVClipは、ハイビジョン並みの高画質をセールスポイントにしているため、グラフィクスオブジェクトの解像度も、1920×1080画素という高精細な大きさに設定されている。画素の色にあたっては、一画素当たりのインデックス値(赤色差成分(Cr値),青色差成分(Cb値),輝度成分Y値,透明度(T値))のビット長が8ビットになっており、これによりフルカラーの16,777,216色から任意の256色を選んで画素の色として設定することができる。ODSは『object_ID』が付与される。『object_ID』は、EpochにおいてこのODSに対応するグラフィクスオブジェクトを一意に識別するものだが、複数ODSにより定義される複数グラフィックスオブジェクトがアニメーションを構成する場合、これらのODSに付加された一連の『object_ID』は、連番になる。
『Palette Difinition Segment』は、色変換用のパレットを定義する情報である。
『END of Display Set Segment』は、Display Setの伝送の終わりを示す指標であり、Display SetにおけるICS、PDS、ODSのうち、最後のODSの直後に配置される。
続いてICSの内部構成について説明する。Interactive Composition Segmentは、図4に示すデータ構造で構成される。本図に示すようにICSは、『ボタン情報群(button info(1)(2)(3)・・・・)』を含む。
『ボタン情報(Button_info)』は、対話画面において合成される各ボタンを定義する情報である。図中の引き出し線hp1はICSにより制御されるi番目のボタンについてのボタン情報iの内部構成をクローズアップしている。以降、ボタン情報iを構成する情報要素について説明する。
『button_number』は、ボタンiを、ICSにおいて一意に識別する数値である。
『numerically_selectable_flag』は、ボタンiの数値選択を許可するか否かを示すフラグである。
『auto_action_flag』は、ボタンiを自動的にアクティブ状態にするかどうかを示す。auto_action_flagがオン(ビット値1)に設定されれば、ボタンiは、セレクテッド状態になる代わりにアクティブ状態になる。auto_action_flagがオフ(ビット値0)に設定されれば、ボタンiは、選択されたとしてもセレクテッド状態になるにすぎない。
『object_horizontal_position』、『object_vertical_position』は、対話画面におけるボタンiの左上画素の水平位置、垂直位置を示す。
『upper_button_number』は、ボタンiがセレクテッド状態である場合においてMOVEUPキーが押下された場合、ボタンiの代わりに、セレクテッド状態にすべきボタンの番号を示す。もしこのフィールドにボタンiの番号が設定されていれば、MOVEUPキーの押下は無視される。
『lower_button_number』,『left_button_number』,『right_button_number』は、ボタンiがセレクテッド状態である場合においてMOVE Downキー,MOVE Leftキー,MOVE Rightキーが押下された場合、ボタンiの押下の代わりに、セレクテッド状態にすべきボタンの番号を示す。もしこのフィールドにボタンiの番号が設定されていれば、これらのキーの押下は無視される。
『start_object_id_normal』は、ノーマル状態のボタンiをアニメーションで描画する場合、アニメーションを構成する複数ODSに付加された連番のうち、最初の番号がこのstart_object_id_normalに記述される。
『end_object_id_normal』は、ノーマル状態のボタンiをアニメーションで描画する場合、アニメーションを構成する複数ODSに付加された連番たる『object_ID』のうち、最後の番号がこのend_object_id_normalに記述される。このEnd_object_id_normalに示されるIDが、start_object_id_normalに示されるIDと同じである場合、このIDにて示されるグラフィックスオブジェクトの静止画が、ボタンiの絵柄になる。
『repeated_normal_flag』は、ノーマル状態にあるボタンiのアニメーション表示を反復継続させるかどうかを示す。
『start_object_id_selected』は、セレクテッド状態のボタンiをアニメーションで描画する場合、アニメーションを構成する複数ODSに付加された連番のうち、最初の番号がこのstart_object_id_selectedに記述される。このEnd_object_id_selectedに示されるIDが、start_object_id_selectdに示されるIDと同じである場合、このIDにて示されるグラフィックスオブジェクトの静止画が、ボタンiの絵柄になる。
『end_object_id_selected』は、セレクト状態のボタンをアニメーションで描画する場合、アニメーションを構成する複数ODSに付加された連番たる『object_ID』のうち、最後の番号がこのend_object_id_selectedに記述される。
『repeat_selected_flag』は、セレクテッド状態にあるボタンiのアニメーション表示を、反復継続するかどうかを示す。start_object_id_selectedと、end_object_id_selectedとが同じ値になるなら、本フィールド00に設定される。
『start_object_id_activated』は、アクティブ状態のボタンiをアニメーションで描画する場合、アニメーションを構成する複数ODSに付加された連番のうち、最初の番号がこのstart_object_id_activatedに記述される。
『end_object_id_activated』は、アクティブ状態のボタンiをアニメーションで描画する場合、アニメーションを構成する複数ODSに付加された連番たる『object_ID』のうち、最後の番号がこのend_object_id_activatedに記述される。
続いてボタンコマンドについて説明する。
『ボタンコマンド(button_command)』は、ボタンiがアクティブ状態になれば、実行されるナビゲーションコマンドである。ナビゲーションコマンドとは、分岐等の再生制御を再生装置に実行するコマンドである。ナビコマンドのうち、AVClipにおける任意の頭出し位置からの再生を再生装置に命じるものを、Linkコマンドという。
Linkコマンドは、マーカ情報と呼ばれる情報を介した間接参照の形式で、時間軸上の任意の位置を指定している。時間軸上の任意の位置は、間接参照で指定されているので、AVClipの再エンコードにより、頭出し位置となるべきピクチャに変動が生じても、マーカ情報さえ書き換えれば、ボタンコマンドのオペランドを書き換える必要はない。再エンコードに伴うナビゲーションコマンドの書き換えの手間を省くことができるので、オーサリング時において有意義である。尚、マーカ情報の詳細については後述する。
以上がICSの内部構成である。ICSによる対話制御の具体例について以下説明する。本具体例は、図5のようなODS、ICSを想定している。図5は、あるDSnに含まれるODSと、ICSとの関係を示す図である。このDSnには、ODS11〜19,21〜29,31〜39,41〜49が含まれているものとする。これらのODSのうち、ODS11〜19は、ボタンAの各状態を描いたものであり、ODS21〜29は、ボタンBの各状態を描いたもの、ODS31〜39は、ボタンCの各状態を描いたもの、ODS41〜49は、ボタンDの各状態を描いたものとする(図中の括弧}を参照)。そしてICSにおけるbutton_info(1),(2),(3),(4)にて、これらのボタンA〜ボタンDの状態制御が記述されているものとする(図中の矢印bh1,2,3,4参照)。
図6は、複数ボタンからなる対話画面と、ピクチャデータとの合成を示す図である。
このICSによる制御の実行タイミングが、図6に示す動画のうち、任意のピクチャデータpt1の表示タイミングであれば、ボタンA〜ボタンDからなる対話画面が、このピクチャデータpt1に合成されて表示されることになる(gs2)。動画の中身に併せて、複数ボタンからなる対話画面が表示されるので、ICSによりボタンを用いたリアルな演出が可能になる。
図7に示すボタンA〜ボタンDの状態遷移を実行する場合のICSの記述例を図8に示す。図7における矢印hh1,hh2は、button info(1)のneighbor_info()による状態遷移を象徴的に表現している。button info(1)のneighbor_info()におけるlower_button_numberは、ボタンCに設定されているため、ボタンAがセレクテッド状態になっている状態で、MOVEDownキー押下のUOが発生すれば(図7のup1)、ボタンCがセレクテッド状態になる(図7のsj1)。button info(1)のneighbor_info()におけるright_button_numberは、ボタンBに設定されているため、ボタンAがセレクテッド状態になっている状態で、MOVERightキー押下のUOが発生すれば(図7のup2)、ボタンBがセレクテッド状態になる(図7のsj2)。
図7における矢印hh3は、button info(3)のneighbor_info()による状態遷移の制御を示す。button info(3)のneighbor_info()におけるupper_button_numberは、ボタンAに設定されているため、ボタンCがセレクテッド状態になっている状態で(up3)、MOVEUpキー押下のUOが発生すれば、ボタンAがセレクテッド状態に戻る。
図8のbutton info(3)のボタンコマンドには、『Link Mark[3]』というナビコマンドが記述されている。そのためボタンCがアクティブ状態に設定されれば、このナビコマンド『Link Mark[3]』が実行されて分岐が行われることになる。図9は、ナビコマンドによる分岐を模式的に示した図である。この図9で想定しているのは、学習アプリケーションへの本発明の応用である。本アプリケーションが想定している再生制御は以下の通りである。
先ず『教材映像』を再生することで、ユーザに学習を行わせ、『設問映像』を再生して、これに回答をユーザから受け付けることでユーザの理解を問う。もし回答がないまま再生が進行すれば、『ヒント映像』を表示して、ユーザの思考の手助けを行い、それでもユーザが誤って回答した場合、又は、回答がない場合、矢印nc2,nc3に示すように『教材映像』に戻るというものである。
かかるアプリケーションにおいて『設問映像』に相当する位置にICSが存在しており、正解映像の先頭ピクチャが、Mark[3]により指定されているとすると、ボタンCのアクティベートにより、ボタンCに対応するbutton info(3)の『Link Mark[3]』が実行されて、矢印nc1に示すように正解映像への分岐が行われることになる。これにより、図7に示した対話画面の再生から、正解映像の再生へと、再生が移り変わることになる。
以上が、ICSによる対話制御である。これでAVClipについての説明を終える。続いてBD−ROMにおけるその他の情報(Clip情報、PL情報)について説明する。
Clip情報(XXX.CLPI)は、個々のAVClipについての管理情報である。図10は、Clip情報の内部構成を示す図である。図中の引き出し線はClip情報の構成をクローズアップしている。引き出し線hn1に示すように、Clip情報(XXX.CLPI)は、ビデオストリーム、オーディオストリームについての「属性情報」と、リファレンステーブルである「EP_map」とからなる。
属性情報(Attribute)は、破線の引き出し線hn2に示すようにビデオストリームについての属性情報(Video属性情報)、属性情報数(Number)、AVClipに多重化される複数オーディオストリームのそれぞれについての属性情報(Audio属性情報#1〜#m)からなる。ビデオ属性情報は、破線の引き出し線hn3に示すようにそのビデオストリームがどのような圧縮方式で圧縮されたか(Coding)、ビデオストリームを構成する個々のピクチャデータの解像度がどれだけであるか(Resolution)、アスペクト比はどれだけであるか(Aspect)、フレームレートはどれだけであるか(Framerate)を示す。
一方、オーディオストリームについての属性情報(Audio属性情報#1〜#m)は、破線の引き出し線hn4に示すようにそのオーディオストリームがどのような圧縮方式で圧縮されたか(Coding)、そのオーディオストリームのチャネル番号が何であるか(Ch.)、何という言語に対応しているか(Lang)、サンプリング周波数がどれだけであるかを示す。
EP_mapは、複数の頭出し位置のアドレスを、時刻情報を用いて間接参照するためのリファレンステーブルであり、破線の引き出し線hn5に示すように複数のエントリー情報(ACCESS UNIT#1エントリー、ACCESS UNIT#2エントリー、ACCESS UNIT#3エントリー・・・・・)と、エントリー数(Number)とからなる。各エントリーは、引き出し線hn6に示すように、対応するIピクチャの再生開始時刻を、Iピクチャのアドレスと、Iピクチャのサイズ(I−size)とを対応づけて示す。Iピクチャの再生開始時刻は、Iピクチャのタイムスタンプ(Presentation Time Stamp)で表現される。またIピクチャアドレスは、TSパケットの連番(SPN(Source Packet Number))で表現される。尚、XXX.CLPIのファイル名XXXは、Clip情報が対応しているAVClipと同じ名称が使用される。つまり本図におけるAVClipのファイル名はXXXであるから、AVClip(XXX.M2TS)に対応していることを意味する。以上がClip情報についての説明である。続いてプレイリスト情報について説明する。
図11は、プレイリスト情報の内部構成を示す図である。YYY.MPLS(プレイリスト情報)は、再生経路情報であるプレイリストを構成するテーブルであり、複数のPlayItem情報(PlayItem情報#1,#2,#3・・・#n)と、これらPlayItem情報数(Number)と、上述したマーカ情報である「PLMark#1〜#n」からなる。PlayItem情報は、プレイリストを構成する1つ以上の論理的な再生区間を定義する。PlayItem情報の構成は、引き出し線hs1によりクローズアップされている。この引き出し線に示すようにPlayItem情報は、再生区間のIn点及びOut点が属するAVClipに対応するClip情報のファイル名を示す『Clip_Information_file_name』と、当該AVClipがどのような符号化方式で符号化されているかを示す『Clip_codec_identifier』と、再生区間の始点を示す時間情報『IN_time』と、再生区間の終点を示す時間情報『OUT_time』とから構成される。
PlayItem情報の特徴は、その表記法にある。つまりEP_mapをリファレンステーブルとして用いた時間による間接参照の形式で、再生区間が定義されている。図12は、時間による間接参照を模式化した図である。本図は、Clip情報内のEP_mapは、これら複数Iピクチャアドレスを、矢印ay1,2,3,4に示すように指定している。図中の矢印jy1,2,3,4は、PlayItem情報によるIピクチャの参照を模式化して示している。つまり、PlayItem情報による参照(矢印jy1,2,3,4)は、EP_mapを介することにより、AVClip内に含まれる複数Iピクチャアドレスを指定するという時間による間接参照であることがわかる。
PlayItem情報−Clip情報−AVClipの組みからなるBD−ROM上の再生区間を『プレイアイテム』という。PL情報−Clip情報−AVClipの組みからなるBD−ROM上の論理的な再生単位を『プレイリスト(PLと略す)』という。BD−ROMに記録された映画作品は、この論理的な再生単位(PL)にて構成される。論理的な再生単位にて、BD−ROMにおける映画作品は構成されるので、本編たる映画作品とは別に、あるキャラクタが登場するようなシーンのみを指定するようなPLを定義すれば、そのキャラクタが登場するシーンのみからなる映画作品を簡単に制作することができる。
図13は、図12に示したPL情報(PL情報#1)とは、別のPL(PL情報#2)を定義する場合の一例を示す図である。BD−ROMに記録される映画作品は、上述した論理構造をもっているので、ある映画作品のシーンを構成するAVClipを他の映画作品で引用するという”使い回し”を効率良く行うことができる。
上述したLinkコマンドは、このPLという閉じた空間のみで有効となるナビコマンドである。従って、このLinkコマンドを使用している限り、あるPLから別のPLへと分岐するという、広域的な分岐は実現できない。
以上がPL及びPlayItemについての説明である。続いてPLMarkについて説明する。
PLMark#1〜#nは、PL時間軸における複数の時点を頭出し位置として指定する情報である。PL時間軸とは、AVClipの再生がPLに沿って行われる場合において、参照される時間軸である。図14は、図13に示したPL#1の再生時間軸に対し、設定されたPLmarkの一例を示す図である。本図においてPL時間軸とは、PlayItem#1,#2,#3の時間軸を足し合わせてなる。図中の矢印は、PLmarkにより指示されている頭出し位置を示す。このPL時間軸上の任意の5つの位置が、PLmarkにより指定されていることがわかる。
本実施形態の特徴は、このPLmarkにより指定される位置が、2つのタイプの属性をもつ点である。1つ目のタイプの属性をもつ頭出し位置を”EntryMark”といい、2つ目のタイプの属性をもつ頭出し位置を”LinkPoint”という。
『EntryMark』は、ユーザスキップ、チャプターサーチ、Linkコマンドによる分岐により再生可能となる頭出し位置である。図15は、図14に示した各Mark情報に対する、属性の設定例を示す。本図においてPLMark[0]、PLMark[1]、PLMark[2]、PLMark[4]の属性がEntryMarkに設定されている。そのためPLMark[0]、PLMark[1]、PLMark[2]、PLMark[4]への頭出しは可能になるが、これら以外への頭出しはできない。つまり、PLMark[3]により指示されている位置、PI#1,#2,#3の境界には、何度ユーザスキップが押下されたとしても、頭出しされないのである。PL#1の始点、終点は、それぞれPLMarkL[0]、PLMark[4]により指示されているため、ユーザによる頭出しが可能になる。しかし仮にMark情報により指示されていなければ、これらの位置へは、ユーザスキップやチャプターサーチにより頭出しすることができない。
PLにおいて連続する一組のEntryMarkはチャプターを規定する。ここで図に示した5つのPLmarkのうち、PLMark[0]、PLMark[1]、PLMark[2]、PLMark[4]がEntryMarkであるので、これらにより区切られる、PL時間軸上の一区間がチャプターになる。図16は、図15のMark情報により規定されるチャプターを示す図である。ここでもしPLの末尾にEntryMarkが存在しない場合は最後のEntryMarkと、PLの末尾との間が1つのチャプターを構成する。これらのチャプターには、チャプター番号が割り当てられ、チャプターサーチ時には、このチャプター番号を用いて各チャプターに頭出しすることができる。チャプターサーチとは、チャプター番号と呼ばれる数値の入力を受け付けて、その数値に該当するチャプターに頭出しするというものである。このチャプター番号は、PLにおいてEntryMarkが出現する順番を示す。例えばPLにおいて1つ目に出現するEntryMarkから始まるチャプターには、チャプター番号”1”が、2つ目に出現するEntryMarkから始まるチャプターにはチャプター番号”2”がそれぞれ割り当てられる。チャプターに対する頭出しには、チャプターメニューによるものがある。チャプターメニューとは、チャプターを一覧表示するメニューであり、このメニューにより選ばれたチャプターに頭出しするというのが、チャプターメニューによる頭出しである。以上がEntryMarkについての説明である。
『LinkPoint』とは、Linkコマンド等、ナビコマンドによる頭出しは可能であるが、ユーザスキップ、チャプターサーチでは頭出しできない位置をいう。つまり図9に示したようなヒント映像に頭出ししたい場合、その先頭ピクチャをPLmarkで指定させて、『LinkPoint』を示すようMarkTypeを設定にする。こうすることで、映像はユーザスキップでは参照されないが、ボタンコマンド等のナビコマンドからは頭出しが可能になる。以上がMark情報により指示される頭出し位置の属性である。続いてPLMarkの内部構成について説明する。
図17は、図11に示した複数のPLmarkのうち、任意の1つ(PLmark[i]という)の内部構成を示す。本図に示すようにPLmark[i]は、『mark_type』、『ref_to_PlayItem_Id』、『mark_time_stamp』、『entry_ES_PID』からなる。
『mark_type』は、「01」であれば、PLmarkにより指示される位置はEntryMarkであることを示し、「02」であれば、PLmarkにより指示される位置は、LinkPointであることを示す。
『ref_to_PlayItem_Id』は、PLmarkにより指示されたAVClipの再生時間軸上の時点が、どのPlayItemの再生時間軸に存在しているかを示す。
『mark_time_stamp』は、PLmarkにより指示されたAVClipの再生時間軸のうち、PLmarkのref_to_PlayItemにより指示されたPlayItemのIn_timeから、Out_timeまでの任意の一時点を示す時間情報である。
『entry_ES_PID』は、AVClipに多重されている複数エレメンタリストリームのうち、どのエレメンタリストリームに頭出し位置を指定するかを示す。PIDは通常、AVClipに多重されている複数エレメンタリストリーム全体を対象とするよう、デフォルト値(0xFFFF)に設定されている。この『entry_ES_PID』が、特定のエレメンタリストリームのPIDを示すなら、マーカ情報はそのエレメンタリストリームの再生時間軸上に頭出し位置を指定する。
以下、PLmarkにて示された時点に対する頭出しの具体例について説明する。この具体例で想定するPLは、図15、図16に示したものである。そしてこれらの図のPLMark[1]、PLMark[2]、PLMark[3]、PLMark[4]により指定されるPL時間軸上の一時点に、図5に示したAVClipの教材映像、設問映像、ヒント映像、正解映像の先頭ピクチャが存在していると考える。この場合、図18に示すように教材映像に相当する区間がチャプター1、設問映像に相当する区間がチャプター2、ヒント映像に相当する区間がチャプター3になる。ここで正解映像の先頭はPLMark[3]により指定されていたが、PLMark[3]の先頭はLinkPointなので、この正解映像の先頭はチャプターの先頭にならない。故に正解映像の先頭ピクチャは、PLmarkにより指定されつつも、チャプターの先頭にはなりえない。
このように複数チャプターに分割されたAVClipにおいて、頭出しがどのように行われるは図19〜図21に示すものとなる。図19は、ユーザスキップによる頭出しを想定した図である。
本図における矢印は、ユーザ操作に基づくユーザスキップを模式的に示す。そのためユーザスキップによる頭出し時では、教材映像、設問映像、ヒント映像の先頭ピクチャが順次表示されることになる。一方正解映像は、PLmarkにより指定されていながら、MarkTypeがLinkPointであるので、ユーザスキップ時に正解映像の先頭ピクチャが表示されることはない。
図20は、チャプターサーチによる頭出しを想定した図である。本図の破線矢印は、チャプターサーチによる頭出しを象徴的に示す。チャプターサーチにおいても、MarkTypeがEntryMarkに設定された教材映像、設問映像、ヒント映像の先頭ピクチャには頭出しが可能になるが、MarkTypeがLinkPointに設定された正解映像の先頭ピクチャには頭出しできない。MarkTypeの設定により、EntryMarkには頭出しするが、LinkPointには頭出ししないようにオーサリング担当者は設定を行うことができる。これによりオーサリング担当者が意図していないような頭出しを避けることができる。
図21は、ボタンコマンドによる頭出しを示す図である。本図における矢印は、ボタンコマンドによる頭出しを象徴的に示す。ボタンコマンドの頭出し位置がPLMark[3]であれば、このPLMark[3]で指示される正解映像の先頭ピクチャに頭出しすることになる。これによりボタンコマンドの実行時には、正解映像の先頭から再生が開始されることになる。
以上のように、LinkPointのPLmarkにより指定された時点は、ユーザスキップやチャプターサーチでは頭出しできないが、ボタンコマンドによる頭出しは可能になる。以上のPLmark設定により、正解映像の先頭ピクチャは、ユーザスキップやチャプターサーチでは再生されず、ボタンコマンドからは再生されるので、正解映像を隠しておくことができる。
PLMarkはPL毎に存在するので、あるAVClipが複数のPLにより参照されている場合、参照する側のPLが変わればPLmarkにより指定されるピクチャも変わる。従ってボタンコマンドのオペランドにおけるマーク番号により、どの時点に頭出しされるかは、AVClipを参照しているPL如何によって変わってくる。そのため制作者は、あるPLでは、ある時点の映像への頭出しを許可するが、別のPLでは、その時点の映像への頭出しを認めないという作り分けを容易に行うことができる。
以上説明したDisplay Set(ICS、PDS、ODS)のデータ構造は、プログラミング言語で記述されたクラス構造体のインスタンスであり、オーサリングを行う制作者は、Blu−ray Prerecording Formatの文法に従ってこのクラス構造体を記述することにより、BD−ROM上のこれらのデータ構造を得ることができる。
以上が本発明に係る記録媒体の実施形態である。続いて本発明に係る再生装置の実施形態について説明する。図22は、本発明に係る再生装置の内部構成を示す図である。本発明に係る再生装置は、本図に示す内部に基づき、工業的に生産される。本発明に係る再生装置は、主としてシステムLSIと、ドライブ装置、マイコンシステムという3つのパーツからなり、これらのパーツを装置のキャビネット及び基板に実装することで工業的に生産することができる。システムLSIは、再生装置の機能を果たす様々な処理部を集積した集積回路である。こうして生産される再生装置は、BDドライブ1、Read Buffer2、PIDフィルタ3、Transport Buffer4a,b,c、周辺回路4d、ビデオデコーダ5、ビデオプレーン6、オーディオデコーダ7、グラフィクスプレーン8、CLUT部9、加算器10、グラフィクスデコーダ12、Coded Dataバッファ13、周辺回路13a、Stream Graphicsプロセッサ14、Object Buffer15、Compositionバッファ16、Graphicsコントローラ17、UOコントローラ18、プレーヤレジスタ群19、制御部20から構成される。
BD−ROMドライブ1は、BD−ROMのローディング/リード/イジェクトを行い、BD−ROMに対するアクセスを実行する。
Read Buffer2は、FIFOメモリであり、BD−ROMから読み出されたTSパケットが先入れ先出し式に格納される。
PIDフィルタ3は、Read Buffer2から出力される複数TSパケットに対してフィルタリングを施す。PIDフィルタ3によるフィルタリングは、TSパケットのうち、所望のPIDをもつもののみをTransport Buffer4a,b,cに書き込むことでなされる。PIDフィルタ3によるフィルタリングでは、バッファリングは必要ではない。従って、PIDフィルタ3に入力されたTSパケットは、時間遅延なく、Transport Buffer4a,b,cに書き込まれる。
Transport Buffer4a,b,cは、PIDフィルタ3から出力されたTSパケットを先入れ先出し式に格納しておくメモリである。
周辺回路4dは、Transport Buffer 4aから読み出されたTSパケットを、機能セグメントに変換する処理を行うワイアロジックである。変換により得られた機能セグメントはCoded Dataバッファ13に格納される。
ビデオデコーダ5は、PIDフィルタ3から出力された複数TSパケットを復号して非圧縮形式のピクチャを得てビデオプレーン6に書き込む。
ビデオプレーン6は、動画用のプレーンである。
オーディオデコーダ7は、PIDフィルタ3から出力されたTSパケットを復号して、非圧縮形式のオーディオデータを出力する。
グラフィクスプレーン8は、一画面分の領域をもったメモリであり、一画面分の非圧縮グラフィクスを格納することができる。
CLUT部9は、グラフィクスプレーン8に格納された非圧縮グラフィクスにおけるインデックスカラーを、PDSに示されるY,Cr,Cb値に基づき変換する。
加算器10は、CLUT部9により色変換された非圧縮グラフィクスに、PDSに示されるT値(透過率)を乗じて、ビデオプレーン6に格納された非圧縮状態のピクチャデータと画素毎に加算し、合成画像を得て出力する。
グラフィクスデコーダ12は、グラフィクスストリームをデコードして、非圧縮グラフィクスを得て、これをグラフィクスオブジェクトとしてグラフィクスプレーン8に書き込む。グラフィクスストリームのデコードにより、字幕やメニューが画面上に現れることになる。このグラフィクスデコーダ12は、Coded Dataバッファ13、周辺回路13a、Stream Graphicsプロセッサ14、Object Buffer15、Compositionバッファ16、Graphicsコントローラ17から構成される。
Code Data Buffer13は、機能セグメントがDTS、PTSと共に格納されるバッファである。かかる機能セグメントは、Transport Buffer4aに格納されたトランスポートストリームの各TSパケットから、TSパケットヘッダ、PESパケットヘッダを取り除き、ペイロードをシーケンシャルに配列することにより得られたものである。取り除かれたTSパケットヘッダ、PESパケットヘッダのうち、PTS/DTSは、PESパケットと対応付けて格納される。
周辺回路13aは、Coded Dataバッファ13−Stream Graphicsプロセッサ14間の転送、Coded Dataバッファ13−Compositionバッファ16間の転送を実現するワイヤロジックである。この転送処理において現在時点がODSのDTSに示される時刻になれば、ODSを、Coded Dataバッファ13からStream Graphicsプロセッサ14に転送する。また現在時刻がICS、PDSのDTSに示される時刻になれば、ICS、PDSをCompositionバッファ16に転送するという処理を行う。
Stream Graphics Processor14は、ODSをデコードして、デコードにより得られたインデックスカラーからなる非圧縮状態の非圧縮グラフィクスをグラフィクスオブジェクトとしてObject Buffer15に書き込む。このStream Graphicsプロセッサ14によるデコードは、ODSに関連付けられたDTSの時刻に開始し、ODSに関連付けられたPTSに示されるデコード終了時刻までに終了する。上述したグラフィックスオブジェクトのデコードレートRdは、このStream Graphicsプロセッサ14の出力レートである。
Object Buffer15には、Stream Graphicsプロセッサ14のデコードにより得られたグラフィクスオブジェクトが配置される。
Compositionバッファ16は、ICS、PDSが配置されるメモリである。
Graphicsコントローラ17は、Compositionバッファ16に配置されたICSを解読して、ICSに基づく制御をする。
UOコントローラ18は、リモコンや再生装置のフロントパネルに対してなされたユーザ操作を検出して、ユーザ操作を示す情報(以降UO(User Operation)という)を制御部20に出力する。
プレーヤレジスタ群19は、制御部20に内蔵されるレジスタであり、32個のPlayer Status Registerと、32個のGeneral Purppose Registerとからなる。Player Status Registerの設定値(PSR)がどのような意味をもつかは、以下に示す通りである。以下のPSR(x)という表記は、x番目のPlayer Status Registerの設定値を意味する。
PSR(0) : Reserved
PSR(1) : デコード対象たるオーディオストリームのストリーム番号
PSR(2) : デコード対象たる副映像ストリームのストリーム番号
PSR(3) : ユーザによるアングル設定を示す番号
PSR(4) : 現在再生対象とされているタイトルの番号
PSR(5) : 現在再生対象とされているChapterの番号
PSR(6) : 現在再生対象とされているPLの番号
PSR(7) : 現在再生対象とされているPlayItemの番号
PSR(8) : AVClip時間軸における再生時点を示すカレントPTM
PSR(9) : ナビゲーションタイマのカウント値
PSR(10) : 現在セレクテッド状態にあるボタンの番号
PSR(11)〜(12): Reserved
PSR(13) : ユーザによるパレンタルレベルの設定
PSR(14) : 再生装置の映像再生に関する設定
PSR(15) : 再生装置の音声再生に関する設定
PSR(16) : 再生装置における音声設定を示す言語コード
PSR(17) : 再生装置における字幕設定を示す言語コード
PSR(18) : メニュー描画のための言語設定
PSR(19)〜(63): Reserved
制御部20は、グラフィクスデコーダ12との双方向のやりとりを通じて、統合制御を行う。制御部20からグラフィクスデコーダ12へのやりとりとは、UOコントローラ18が受け付けたUOを、グラフィクスデコーダ12に出力することである。グラフィクスデコーダ12から制御部20へのやりとりとは、ICSに含まれるボタンコマンドを制御部20に出力することである。
以上が再生装置の内部構成である。続いて制御部20及びグラフィクスデコーダ12を、どのようにして実装するかについて説明する。制御部20は、図23〜図25の処理手順を行うプログラムを作成し、汎用CPUに実行させることにより実装可能である。以降、図23〜図25を参照しながら、制御部20の処理手順について説明する。
図23は、制御部20によるPLに基づく再生手順を示すフローチャートである。
本フローチャートにおいて処理対象たるPlayItemをPIyとする。本フローチャートは、カレントPL情報(.mpls)の読み込みを行い(ステップS1)、カレントPL情報の先頭のPI情報をPIyにする(ステップS2)。そして PIyのClip_information_file_nameで指定されるClip情報を読み込む(ステップS3)。
ステップS4は、PIyのIn_timeからPIyのOut_timeまでの読み出しと、デコードを、BDドライブ1、ビデオデコーダ5、オーディオデコーダ7、グラフィクスデコーダ12に命じる。以上のステップS3〜ステップS4により、AVClipにおいて、PIyにより指示されている部分の再生がなされることになる。
その後、ステップS5を経て、ステップS6においてPIyがカレントPLの最後のPIであるかを判定し、もし違うならカレントPLにおける次のPIを、PIyにして(ステップS7)、ステップS3に戻る。以上のステップS3〜ステップS7を繰り返すことにより、PLを構成するPIは順次再生されることになる。
ステップS5は、ユーザオペレーション受け付け時の処理であり、この処理の詳細手順は図24に示されている。
図24は、ユーザオペレーション受け付け時の処理手順を示すフローチャートである。本フローチャートは、ステップS15がYesと判定されるまで、ステップS12〜ステップS15の処理を繰り返すループ処理を形成している。
ステップS11は、ユーザによりSkipNextキー、SkipBackキーの押下がなされたか否かの判定であり、もしそうであるなら、図25のステップS21〜ステップS33の手順に従い、頭出しを行う。
ステップS21は、カレントPLMarkを得る。ここでPL再生時間軸において、現在の再生時点は、PSR(7)に示されるカレントPI番号、及び、PSR(8)に示されるカレントPTMにより表されているので、これらを変換することにより、カレントMark情報を得る。ステップS22は、押下されたのがSkipNextキーであるか、SkipBackキーであるかの判定であり、SkipNextキーであるならステップS23において方向フラグを+1に設定し、SkipBackキーであるならステップS24において方向フラグを−1に設定する。
ステップS25は、カレントPLMarkの番号に方向フラグの値を足した番号を、カレントPLMarkの番号として設定する。ここでSkipNextキーであるなら方向フラグは+1に設定されているのでカレントPLMarkはインクリメントされることになる。SkipBackキーであるなら方向フラグは−1に設定されているので、カレントPLMarkはデクリメントされることになる。
ステップS26は、カレントPLMarkのmark_typeがEntry−markであるか否かの判定であり、もし異なるなら、ステップS25に戻る。ステップS25が再度実行されることにより、カレントPLMarkは次のMark情報を示すことになる。そのためカレントMark情報で指示される頭出し位置がLinkPointであるなら、その次のMark情報により指示されている時点が、頭出し位置になる。
ステップS27〜ステップS33は、カレントMark情報に基づく読出手順及び再生手順を示す。ここでの読出手順の読出範囲は、開始アドレスu、終了アドレスwにて特定されるステップS27は、カレントPLMarkのref_to_PlayItem_Idに記述されているPIを、PIyに設定し、ステップS28は、PIyのClip_information_file_nameで指定されるClip情報を読み込む。ステップS29は、カレントClip情報のEP_mapを用いて、カレントPLMarkのmark_time_stampを、Iピクチャアドレスuに変換する。一方ステップS30は、PIyのOut_timeを,カレントClip情報のEP_mapを用いて,Iピクチャアドレスvに変換する。PIyのOut_timeに相当するピクチャデータのデコードを行うには、アドレスvに位置するIピクチャだけでは足りず、PIyのOut_timeに後続するピクチャデータも必要となる。何故なら、PIyのOut_timeに相当するピクチャデータは、未来方向のピクチャデータを参照している可能性があるからである。そのため、ステップS31ではアドレスvに存在するIピクチャの次のIピクチャアドレスの1つ手前をアドレスwにする。
アドレスwを算出した後、ステップS32においてIピクチャアドレスuからアドレスwまでのTSパケットの読み出しをBDドライブ1に命じる。ステップS33は、カレントPLMarkのmark_time_stampからPIyのOut_timeまでの出力をデコーダに命じる。以上のステップS27〜ステップS33により、AVClipのうち、PIyに属する部分の再生がなされることになる。
図24のステップS12は、ユーザによりチャプターサーチがなされたか否かの判定である。もしそうであれば、ステップS16において、ユーザにより数値入力されたチャプター番号に相当するPLMarkをカレントMark情報にし、ステップS17において方向フラグを1に設定して、図25のステップS26に移行する。
ステップS13は、ユーザにより押下されたのが、MoveUP/Down/Left/Rightであるかの判定であり、もしそうであれば、ステップS18において移動方向に存在するボタンを、カレントボタンに設定してステップS15に移行する。
ステップS14は、カレントボタンがアクティベートされたか否かの判定であり、もしそうであれば図25のステップS36〜ステップS40を実行する。ステップS36〜ステップS40は、カレントボタンに対応するボタンコマンドのそれぞれについて繰り返すループ処理を形成している(ステップS36、ステップS37)。
ステップS38は、ボタンコマンドがリンクコマンドであるか否かの判定であり、もしそうでないならボタンコマンドを実行する。もしリンクコマンドであるなら、リンク先に指定されているMark情報をカレントMark情報に設定してステップS27に移行する。ステップS27に移行することにより、カレントMark情報のカレントPLMarkのmark_time_stampからPIyのOut_timeまでの出力がなされることになる。
以上のように本実施形態によれば、マーカ情報における属性を規定することにより、ユーザスキップによる頭出しの対象にはならないが、分岐コマンドによる頭出しの対象になり得る頭出し位置を規定することができる。これにより、ユーザが何度もユーザスキップを実行したとしても、正解映像に辿り着かないように、オーサリング時に規定しておくことができる。
更に、ユーザスキップをユーザに行わせることで、好きな教材や設問、やヒントをユーザに選ばせつつも、肝心の正解については、ユーザに隠蔽しておくという再生制御、つまり、AV機能の利点を活かした新たな再生制御が可能になるので、制作者にとっての恩恵は大きい。
(第2実施形態)
本実施形態は、BD−ROMの製造工程に関する実施形態である。図26は、第2施形態に係るBD−ROMの製造工程を示すフローチャートである。
BD−ROMの制作工程は、動画収録、音声収録等の素材作成を行う素材制作工程S201、オーサリング装置を用いて、アプリケーションフォーマットを生成するオーサリング工程S202、BD−ROMの原盤を作成し、プレス・貼り合わせを行って、BD−ROMを完成させるプレス工程S203を含む。
これらの工程のうち、BD−ROMを対象としたオーサリング工程は、以下のステップS204〜ステップS210を含む。
ステップS204においてPlayItemを記述し、ステップS205においてPL時間軸上において、頭出し位置にしたいピクチャが現れる時点を示すPLMarkを記述する。ステップS206では、頭出し位置にしたいピクチャが現れる時点の、属性を示すmark_typeをPLMarkに設定し、ステップS207では、記述したPLMarkを、複数PlayItemと一体化して、PL情報を生成する。ステップS208では、LinkPointとなるPLMarkを分岐先としたlinkコマンドを有するICSを記述する。
ステップS209では、ICS、グループ化されたグラフィクスデータを一体化させて、グラフィクスストリームを生成する。グラフィクスストリームが得られれば、ステップS210においてグラフィクスストリームを別途生成されたビデオストリーム、オーディオストリームと多重してAVClipを得る。AVClipが得られれば、ステップS211において、PL情報、Clip情報及びAVClipをBD−ROMのフォーマットに適合させることにより、アプリケーションフォーマットが完成する。
(備考)
以上の説明は、本発明の全ての実施行為の形態を示している訳ではない。下記(A)(B)(C)(D)・・・・・の変更を施した実施行為の形態によっても、本発明の実施は可能となる。本願の請求項に係る各発明は、以上に記載した複数の実施形態及びTそれらの変形形態を拡張した記載、ないし、一般化した記載としている。拡張ないし一般化の程度は、本発明の技術分野の、出願当時の技術水準の特性に基づく。
(A)第1実施形態に示したPL情報、Clip情報は、いわゆる静的シナリオである。この静的シナリオの他に動的シナリオをBD−ROMに記録してもよい。動的なシナリオとは、AVClipの動的な再生制御手順を示すコマンド列である。動的な再生制御手順とは、装置に対するユーザ操作に応じて変化するものであり、プログラム的な性質をもつ。ここでの動的な再生制御には、2つのモードがある。2つのモードのうち1つは、AV機器特有の再生環境で、BD−ROMに記録された動画データを再生するモード(ノーマルモード)であり、もう1つはBD−ROMに記録された動画データの付加価値を高めるモード(エンハンスドモード)である。このエンハンスドモードにおいて、Java言語、ページ記述言語で、再生制御手順を記述することができる。
そしてこの動的シナリオから、PL内の任意のLinkPointや、任意のEntryMarkに分岐を行うよう、再生制御手順を記述してもよい。ここでの分岐には、広域的な分岐を行うナビコマンドが用いられる。かかるナビコマンドには、PlayPLatMarkコマンドがある。このコマンドは、オペランドに指定される番号を、マーク番号と解釈して、そのマーク番号のMark情報を用いた頭出しを、再生装置に命じるコマンドである。かかるPlayPLatMarkコマンドを用いることにより、Java言語、ページ記述言語で記述されたプログラムから、PLの途中へと分岐するという再生制御を実現することができる。
(B)全ての実施形態では、本発明に係る記録媒体をBD−ROMとして実施したが、本発明の記録媒体は、記録されるグラフィクスストリームに特徴があり、この特徴は、BD−ROMの物理的性質に依存するものではない。グラフィクスストリームを記録しうる記録媒体なら、どのような記録媒体であってもよい。例えば、DVD−ROM,DVD−RAM,DVD−RW,DVD−R,DVD+RW,DVD+R,CD−R,CD−RW等の光ディスク、PD,MO等の光磁気ディスクであってもよい。また、コンパクトフラッシュカード、スマートメディア、メモリスティック、マルチメディアカード、PCM−CIAカード等の半導体メモリカードであってもよい。フレシキブルディスク、SuperDisk,Zip,Clik!等の磁気記録ディスク(i)、ORB,Jaz,SparQ,SyJet,EZFley,マイクロドライブ等のリムーバルハードディスクドライブ(ii)であってもよい。更に、機器内蔵型のハードディスクであってもよい。
(C)全ての実施形態における再生装置は、BD−ROMに記録されたAVClipをデコードした上でTVに出力していたが、再生装置をBD−ROMドライブのみとし、これ以外の構成要素をTVに具備させてもい、この場合、再生装置と、TVとをIEEE1394で接続されたホームネットワークに組み入れることができる。また、実施形態における再生装置は、テレビと接続して利用されるタイプであったが、ディスプレィと一体型となった再生装置であってもよい。更に、各実施形態の再生装置において、処理の本質的部分をなすシステムLSI(集積回路)のみを、実施としてもよい。これらの再生装置及び集積回路は、何れも本願明細書に記載された発明であるから、これらの何れの態様であろうとも、第1実施形態に示した再生装置の内部構成を元に、再生装置を製造する行為は、本願の明細書に記載された発明の実施行為になる。第1実施形態に示した再生装置の有償・無償による譲渡(有償の場合は販売、無償の場合は贈与になる)、貸与、輪入する行為も、本発明の実施行為である。店頭展示、カタログ勧誘、パンフレット配布により、これらの譲渡や貸渡を、一般ユーザに申し出る行為も本再生装置の実施行為である。
(D)各フローチャートに示したプログラムによる情報処理は、ハードウェア資源を用いて具体的に実現されていることから、上記フローチャートに処理手順を示したプログラムは、単体で発明として成立する。全ての実施形態は、再生装置に組み込まれた態様で、本発明に係るプログラムの実施行為についての実施形態を示したが、再生装置から分離して、第1実施形態に示したプログラム単体を実施してもよい。プログラム単体の実施行為には、これらのプログラムを生産する行為(1)や、有償・無償によりプログラムを譲渡する行為(2)、貸与する行為(3)、輸入する行為(4)、双方向の電子通信回線を介して公衆に提供する行為(5)、店頭、カタログ勧誘、パンフレット配布により、プログラムの譲渡や貸渡を、一般ユーザに申し出る行為(6)がある。
(E)各フローチャートにおいて時系列に実行される各ステップの「時」の要素を、発明を特定するための必須の事項と考える。そうすると、これらのフローチャートによる処理手順は、再生方法の使用形態を開示していることがわかる。各ステップの処理を、時系列に行うことで、本発明の本来の目的を達成し、作用及び効果を奏するよう、これらのフローチャートの処理を行うのであれば、本発明に係る記録方法の実施行為に該当することはいうまでもない。
(F)BD−ROMに記録するにあたって、AVClipを構成する各TSパケットには、拡張ヘッダを付与しておくことが望ましい。拡張ヘッダは、TP_extra_headerと呼ばれ、『Arribval_Time_Stamp』と、『copy_permission_indicator』とを含み4バイトのデータ長を有する。TP_extra_header付きTSパケット(以下EX付きTSパケットと略す)は、32個毎にグループ化されて、3つのセクタに書き込まれる。32個のEX付きTSパケットからなるグループは、6144バイト(=32×192)であり、これは3個のセクタサイズ6144バイト(=2048×3)と一致する。3個のセクタに収められた32個のEX付きTSパケットを”Aligned Unit”という。
IEEE1394を介して接続されたホームネットワークでの利用時において、再生装置は、以下のような送信処理にてAligned Unitの送信を行う。つまり送り手側の機器は、Aligned Unitに含まれる32個のEX付きTSパケットのそれぞれからTP_extra_headerを取り外し、TSパケット本体をDTCP規格に基づき暗号化して出力する。TSパケットの出力にあたっては、TSパケット間の随所に、isochronousパケットを挿入する。この挿入箇所は、TP_extra_headerのArribval_Time_Stampに示される時刻に基づいた位置である。TSパケットの出力に伴い、再生装置はDTCP_Descriptorを出力する。DTCP_Descriptorは、TP_extra_headerにおけるコピー許否設定を示す。ここで「コピー禁止」を示すようDTCP_Descriptorを記述しておけば、IEEE1394を介して接続されたホームネットワークでの利用時においてTSパケットは、他の機器に記録されることはない。
(G)各実施形態におけるデジタルストリームは、BD−ROM規格のAVClipであったが、DVD−Video規格、DVD−Video Recording規格のVOB(Video Object)であってもよい。VOBは、ビデオストリーム、オーディオストリームを多重化することにより得られたISO/IEC13818−1規格準拠のプログラムストリームである。またAVClipにおけるビデオストリームは、MPEG4やWMV方式であってもよい。更にオーディオストリームは、Linear−PCM方式、Dolby−AC3方式、MP3方式、MPEG−AAC方式、DTS方式であってもよい。
(H)各実施形態における映画作品は、アナログ放送で放送されたアナログ映像信号をエンコードすることにより得られたものでもよい。デジタル放送で放送されたトランスポートストリームから構成されるストリームデータであってもよい。
またビデオテープに記録されているアナログ/デジタルの映像信号をエンコードしてコンテンツを得ても良い。更にビデオカメラから直接取り込んだアナログ/デジタルの映像信号をエンコードしてコンテンツを得ても良い。他にも、配信サーバにより配信されるデジタル著作物でもよい。
(I)第1実施形態〜第2実施形態に示したグラフィックスオブジェクトは、ランレングス符号化されたラスタデータである。グラフィックスオブジェクトの圧縮・符号化方式にランレングス符号方式を採用したのは、ランレングス符号化は字幕の圧縮・伸長に最も適しているためである。字幕には、同じ画素値の水平方向の連続長が比較的長くなるという特性があり、ランレングス符号化による圧縮を行えば、高い圧縮率を得ることができる。また伸長のための負荷も軽く、復号処理のソフトウェア化に向いている。デコードを実現する装置構成を、字幕−グラフィックスオブジェクト間で共通化する目的で、字幕と同じ圧縮・伸長方式をグラフィックスオブジェクトに採用している。しかし、グラフィックスオブジェクトにランレングス符号化方式を採用したというのは、本発明の必須事項ではなく、グラフィックスオブジェクトはPNGデータであってもよい。またラスタデータではなくベクタデータであってもよい、更に透明な絵柄であってもよい。
(J)第1実施形態においてPLMarkのMark_Typeは、チャプターサーチ、ユーザスキップ、Linkコマンドによるリンクの何れもが可能であるか(EntryMark)、Linkコマンドによるリンクのみが可能であるか(LinkPoint)を示したが、他の属性を示してもよい。例えばPLMarkに複数のフラグを設け、個々のフラグに、チャプターサーチが可能か否か(1)、ユーザスキップが可能か否か(2)、Linkコマンドによるリンクが可能か否か(3)を個別に示させてもよい。
以上のような変更実施が可能であるとしても、本願の特許請求の範囲に係る各発明は、従来技術の技術的課題を解決するための手段を反映したものであるから、請求項に係る各発明の技術範囲は、従来技術の技術的課題解決が当業者により認識される技術範囲を超えることはない。故に、本順の請求項に係る各発明は、詳細説明の記載と、実質的な対応関係を有する。
【符号の説明】
1 BDドライブ
2 Read Buffer
3 PIDフィルタ
4 TBバッファ
5 ビデオデコーダ
6 ビデオプレーン
7 オーディオデコーダ
8 グラフィクスプレーン
9 CLUT部
10 加算器
12 グラフィクスデコーダ
13 Coded Data Buffer
14 Stream Graphicsプロセッサ
16 Compositionバッファ
17 Graphicsコントローラ
18 UOコントローラ
19 プレーヤレジスタ群
20 制御部
200 再生装置
300 テレビ
400 リモコン
【産業上の利用可能性】
本発明に係る記録媒体、再生装置は、対話機能に、AV機能の有為性を取り入れることができるので、より付加価値が高い映画作品を市場に供給することができ、映画市場や民生機器市場を活性化させることができる。故に本発明に係る記録媒体、再生装置は、映画産業や民生機器産業において高い利用可能性をもつ。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】

【図16】

【図17】

【図18】

【図19】

【図20】

【図21】

【図22】

【図23】

【図24】

【図25】

【図26】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタルストリームと、デジタルストリーム上の任意の位置を示すマーカ情報とが記録された記録媒体であって、
マーカ情報は、前記位置の属性情報を含み、
属性情報は、
再生位置の選択を意図する操作がユーザによりなされた場合において、マーカ情報により指示される位置を、再生装置は参照すべきか又は無視すべきかを示す
ことを特徴とする記録媒体。
【請求項2】
前記記録媒体には、再生経路情報が記録されており、
前記再生経路情報は、デジタルストリームにおける頭出し位置、及び、デジタルストリームにおける再生終了点の組みを1つ以上並べることにより、再生経路を表現する情報であり、
前記頭出し位置及び再生終了点の組みは、再生経路を構成する1つ以上の再生区間を特定するものであり、
マーカ情報は、再生区間の識別子と、その再生区間に対応するデジタルストリームにおける時間情報とにより、デジタルストリーム上の任意の位置を表現する
ことを特徴とする請求項1記載の記録媒体。
【請求項3】
前記マーカ情報の属性情報が、再生装置により無視すべき旨を示している場合、
当該マーカ情報により指示されるデジタルストリーム上の位置は、記録媒体に記録された分岐コマンドの分岐先になる
ことを特徴とする請求項1記載の記録媒体。
【請求項4】
デジタルストリームには、ビデオストリーム、オーディオストリームの他にグラフィクスストリームが多重されており、
グラフィクスストリームは、グラフィカルなボタン部材を構成するグラフィクスデータと、グラフィクスデータの状態遷移を規定する状態制御情報とを含み、
前記分岐コマンドは、状態制御情報に含まれるコマンドであり、1つのボタン部材の確定時に実行される
ことを特徴とする請求項3記載の記録媒体。
【請求項5】
再生位置の選択を意図する操作には、
現在の再生位置の前後の再生位置を選択するスキップ操作、
チャプターとなる再生位置を選択するチャプターサーチ操作がある
ことを特徴とする請求項1記載の記録媒体。
【請求項6】
再生装置であって、
記録媒体に記録されているデジタルストリームを、一部分ずつ読み出す読出手段と、
読み出された一部分を再生する再生手段と、
頭出しを行うよう読出手段を制御する制御手段とを備え、
前記記録媒体には、デジタルストリームにおける任意の位置を示すマーカ情報が記録されており、
マーカ情報は、前記位置の属性情報を含み、
前記制御手段は、
再生位置の選択を意図する操作がユーザによりなされた場合において、第1の属性をもつマーカ情報により指示される位置を無視し、第2の属性をもつマーカ情報により指示される位置を参照することで頭出しを行う
ことを特徴とする再生装置。
【請求項7】
前記記録媒体には、再生経路情報が記録されており、
前記再生経路情報は、デジタルストリームにおける頭出し位置、及び、デジタルストリームにおける再生終了点の組みを1つ以上並べることにより、再生経路を表現する情報であり、
前記頭出し位置及び再生終了点の組みは、再生経路を構成する1つ以上の再生区間を特定するものであり、
マーカ情報は、再生区間の識別子と、時間情報とを含み、
前記頭出し時における制御手段による参照は、
マーカ情報内の識別子に対応する再生区間が定義されているデジタルストリームにおいて、マーカ情報に含まれる時間情報を用いてなされる
ことを特徴とする請求項6記載の再生装置。
【請求項8】
制御手段による頭出しには、
再生位置の選択を意図する操作がユーザによりなされた場合に行われる頭出しの他に、分岐コマンドによる頭出しがあり、
前記制御手段は、
分岐コマンドによる頭出しにあたっては、第1の属性をもつマーカ情報により指示される位置を参照する
ことを特徴とする請求項6記載の再生装置。
【請求項9】
デジタルストリームには、ビデオストリーム、オーディオストリームの他にグラフィクスストリームが多重されており、
グラフィクスストリームは、グラフィカルなボタン部材を構成するグラフィクスデータと、グラフィクスデータの状態遷移を規定する状態制御情報とを含み、前記分岐コマンドによる頭出しは、ボタン部材の確定時になされる
ことを特徴とする請求項8記載の再生装置。
【請求項10】
前記マーカ情報は記録媒体上に複数あり、
前記再生位置の選択を意図する操作とは、サーチすべきチャプタ番号の入力であり、
前記制御手段による参照とは、
入力されたチャプタ番号に対応するマーカ情報が第2の属性を有する場合に、そのマーカ情報により指示される位置を、頭出し位置として特定することであり
前記制御手段による無視とは、
入力されたチャプタ番号に対応するマーカ情報が第1の属性を有する場合に、後続するマーカ情報であって第2の属性を有するものにより指示される位置を、頭出し位置として特定することである、請求項6記載の再生装置。
【請求項11】
前記マーカ情報は記録媒体上に複数あり、
前記再生位置の選択を意図する操作とは、スキップ方向の入力であり、
前記制御手段による参照とは、
複数のマーカ情報のうち、現在の再生時点の直前又は直後に対応するマーカ情報が第2の属性を有する場合に、そのマーカ情報により指示される位置を頭出し位置として特定することであり、
前記制御手段による無視とは、
現在の再生時点の直前又は直後に対応するマーカ情報が第1の属性を有する場合に、先行又は後続するマーカ情報であって第2の属性を有するものにより指示される位置を頭出し位置として特定することである、請求項6記載の再生装置。
【請求項12】
前記記録媒体には、再生経路情報が記録されており、
前記再生経路情報は、デジタルストリームにおける頭出し位置、及び、デジタルストリームにおける再生終了点の組みを1つ以上並べることにより、再生経路を表現する情報であり、
前記頭出し位置及び再生終了点の組みは、再生経路を構成する1つ以上の再生区間を特定するものであり、
マーカ情報は、再生区間の識別子と、時間情報とを含み、
前記頭出し時における制御手段による参照は、
マーカ情報内の識別子に対応する再生区間が定義されているデジタルストリームにおいて、マーカ情報に含まれる時間情報を用いてなされる
ことを特徴とする請求項10又は11記載の再生装置。
【請求項13】
記録媒体の記録方法であって、
アプリケーションデータを作成するステップと、
作成したデータを記録媒体に記録するステップとを有し、
前記アプリケーションデータは、
デジタルストリームと、デジタルストリーム上の任意の位置を示すマーカ情報とを含み、
マーカ情報は、前記位置の属性情報を含み、
属性情報は、
再生位置の選択を意図する操作がユーザによりなされた場合において、マーカ情報により指示される位置を、再生装置は参照すべきか、無視すべきかを示す
ことを特徴とする記録方法。
【請求項14】
記録媒体の再生をコンピュータに行わせるプログラムであって、
記録媒体に記録されているデジタルストリームを、一部分ずつ読み出す読出ステップと、
読み出された一部分を再生する再生ステップと、
頭出しを行うよう読出ステップを制御する制御ステップとを有し、
前記記録媒体には、デジタルストリームにおける任意の位置を示すマーカ情報が記録されており、
マーカ情報は、前記位置の属性情報を含み、
前記制御ステップは、
再生位置の選択を意図する操作がユーザによりなされた場合において、第1の属性をもつマーカ情報により指示される位置を無視し、第2の属性をもつマーカ情報により指示される位置を参照することで頭出しを行う
ことを特徴とする再生プログラム。
【請求項15】
記録媒体についての再生方法であって、
記録媒体に記録されているデジタルストリームを、一部分ずつ読み出す読出ステップと、
読み出された一部分を再生する再生ステップと、
頭出しを行うよう読出ステップを制御する制御ステップとを有し、
前記記録媒体には、デジタルストリームにおける任意の位置を示すマーカ情報が記録されており、
マーカ情報は、前記位置の属性情報を含み、
前記制御ステップは、
再生位置の選択を意図する操作がユーザによりなされた場合において、第1の属性をもつマーカ情報により指示される位置を無視し、第2の属性をもつマーカ情報により指示される位置を参照することで頭出しを行う
ことを特徴とする再生方法。

【国際公開番号】WO2004/095455
【国際公開日】平成16年11月4日(2004.11.4)
【発行日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−505721(P2005−505721)
【国際出願番号】PCT/JP2004/005366
【国際出願日】平成16年4月15日(2004.4.15)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
JAVA
コンパクトフラッシュ
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】