説明

記録媒体、記録装置、記録方法、再生装置、再生方法、プログラム、およびコンピュータ読み取り可能な記録媒体

【課題】記録媒体ごとに多重度が異なっていても、各記録媒体に適切な多重度によってデータを記録する。
【解決手段】記録部11は、ピックアップ10を通じて、ページデータを記録媒体1に記録する。記録媒体1は、管理情報領域を有している。管理情報領域は、ユーザデータ領域に記録されているページデータの多重度を表す多重度情報を保持している。記録部11は、管理情報領域から、多重度情報としての記録ページ数情報およびトラック間隔情報を取得する。得られた2つの情報から多重度を算出し、算出した多重度によって、ページデータを記録媒体1に記録する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データを多重記録する記録媒体、記録装置、記録方法、再生装置、再生方法、プログラム、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像情報や音声情報などの各種の情報が、急速にデジタル化されている。すなわちデジタル情報の量が飛躍的に増大している。これに伴い、大容量化かつ高密度化に適した記憶装置の開発が進められている。
【0003】
高密度化を達成できる記憶媒体の1つに、ホログラム記録媒体がある。ホログラム記録媒体では、情報を所定の体積に多重記録する。これにより記録密度を向上できる。ホログラム記録媒体を用いた記録方式および媒体の一例が、非特許文献1に開示されている。
【0004】
従来の記録再生装置による記録方式について、図16を参照して以下に説明する。図16は、従来の記録再生装置によって情報が記録された記録媒体160を示す模式図である。
【0005】
記録媒体160は、情報を記録再生するホログラム記録媒体である。図16に示すように、記録媒体160はの形状はディスク状である。記録媒体160に記録されるトラックの形状は、図16の点線に示すように、同心円状またはスパイラル状である。
【0006】
ホログラム記録媒体へのデータの記録や再生は、2次元データであるページデータ単位で行われる。データを記録するとき、SLM素子(Spatial Light Modulator: 空間光変調器)を用いて、2次元のページデータを生成する。一方、データを再生するときには、CCD(Charge Coupled Device)撮像素子またはCMOS(complementary MOS)撮像素子を用いる。
【0007】
図16において、1つのページデータを網掛けの円として示す。上述したように、記録媒体160はホログラム記録媒体なので、情報を多重記録できる。図16におけるページデータの重なりは、情報が多重記録されている様子を示している。
【0008】
記憶媒体においては、記録するページの重なりの程度によって、情報の多重度が変化する。ここでいう重なりの度合いとは、ページ間のシフト量Lのことである。
【0009】
再生信号の品質は、記録情報の多重度に応じて変化する。そこで従来、求められる信号品質を確実に得ることのできるように、シフト量Lは各記録媒体においてあらかじめ定められている。
【非特許文献1】「離陸間近のホログラフィック媒体 2006年に200Gバイトを実現」、日経エレクトロニクス、2005年1月17日号、日経BP社出版、2005年1月17日、pp.105−114
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、記憶媒体に記録する情報に内容に応じて、求められる再生信号品質は異なってくる。たとえばビデオデータなら、ある場面に対応するデータに多少のエラーがあったとしても、すぐに次の場面が画面上に写し出される。したがって、軽微なデータエラーが大きな問題になることがはない。
【0011】
一方、プログラムデータでは事情が異なる。データに1ビットでも誤りがあれば、プログラムは正常に動作しなくなる。したがって求められる再生信号品質は、ビデオデータに比べると高くなる。
【0012】
また、プログラムデータでは、記録情報を管理するための管理情報の交替処理が一般的に行われている。しかし、ホログラム記録媒体に記録された情報を管理するための管理情報については、このような交換処理は行われていない。したがって、より高い再生信号品質が求められる。
【0013】
このように、記録する情報の種類に応じて、求められる再生信号品質は異なる。しかし従来、1つの記憶媒体に、異なる多重度の情報を共存させることはできない。
【0014】
また、記憶媒体の特性の違いにより、採用可能な多重度は異なる。しかし従来、多重度の異なる記憶媒体に対して適切な多重度を設定する仕組みは、明確にされていない。
【0015】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、記録媒体ごとに多重度が異なっていても、各記録媒体に正しい多重度によってデータを記録できる記録媒体、記録装置、記録方法、再生装置、再生方法、プログラム、およびコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明に係る記憶媒体は、上記の課題を解決するために、
データを多重化によって保持する記憶媒体であって、
上記データの多重度を表す多重度情報を保持する管理領域を有していることを特徴としている。
【0017】
上記の構成によれば、記憶媒体は、データを多重化によって保持する。たとえば、2次元のページデータを所定の体積に記録保持するホログラム記録媒体として実現される。記録媒体は、データを保持するデータ領域とは別に、保持データの多重度を表す情報(多重度情報)を保持する管理領域を有している。
【0018】
したがって、記録媒体にデータを多重記録する記録装置は、データの記録前において、管理領域の多重度情報を参照して、適用すべき多重度を特定できる。これにより、記録媒体ごとに多重度が異なっていても、各記録媒体に正しい多重度によってデータを記録できる効果を奏する。
【0019】
本発明に係る記録媒体では、さらに、
上記データを保持するデータ領域が、互いに多重度の異なる複数のデータをそれぞれ個別に保持する複数の部分領域に分割されており、
上記管理領域が、上記部分領域に保持される上記データごとに、上記多重度情報を個別に保持していることを特徴としている。
【0020】
上記の構成によれば、記録媒体において、データを保持するデータ領域が複数の部分領域に分割されている。これらの部分領域は、互いに多重度の異なる複数のデータを、それぞれ個別に保持する。たとえば、第1の部分領域は、第1の多重度によって第1のデータを保持し、第2の部分領域は、第1の多重度とは異なる第2の多重度によって第2のデータを保持している。
【0021】
このとき管理領域は、部分領域に保持されるデータごとに、多重度情報を個別に保持している。たとえば、第1の多重度を表す情報と、第2の多重度を表す情報とを保持している。したがって、記録媒体からデータを再生する再生装置は、第1の部分領域から第1のデータを再生するときには、第1の多重度を表す情報を管理領域から取得し、当該取得した多重度によって、第1のデータを再生すればよい。第2のデータを再生するときには、第2の多重度を表す多重度情報を用いればよい。
【0022】
このように記録媒体は、同一の記憶媒体において、互いに種類の異なる複数のデータを、それぞれ互いに異なる多重度によって同時に保持できる効果を奏する。
【0023】
本発明に係る記録装置は、上記の課題を解決するために、
上述した本発明に係る記録媒体に、データを多重記録する記録装置であって、
上記管理領域から、上記多重度情報を取得する多重度情報取得手段と、
上記取得された多重度情報の表す多重度によって、上記データを上記記録媒体に多重記録する記録手段とを備えていることを特徴としている。
【0024】
上記の構成によれば、記録媒体には、データがある多重度によって、あらかじめ記録されている。この記録媒体に、記録装置は、別のデータの追加記録を試みる。このとき記録装置において、多重度情報取得手段が、記録媒体の管理領域から、記録済みデータについての多重度情報を取得する。記録手段は、取得された多重度情報の表す多重度によって、追加記録するデータを、記録媒体に多重記録する。すなわち追加データを、記録済みデータと同一の多重度によって記録する。
【0025】
これにより記録装置は、追加データを、記録媒体に記録済みデータの多重度とは異なる多重度によって、誤って記録してしまうことがない。すなわち、それぞれが異なる多重度によってデータを保持している記録媒体に対して、いずれも、適切な多重度によって他のデータを追加記録できる効果を奏する。したがって、保持データの多重度が異なる複数の記録媒体が存在しても、データの追加記録に問題が生じない。
【0026】
本発明に係る記録方法は、上記の課題を解決するために、
上述した本発明に係る記録媒体に、データを多重記録する記録方法であって、
上記管理領域から、上記多重度情報を取得する多重度情報取得ステップと、
上記取得された多重度情報の表す多重度によって、上記データを上記記録媒体に多重記録する記録ステップとを含んでいることを特徴としている。
【0027】
上記の構成によれば、上述した記録装置と同様の作用、効果を奏する。
【0028】
本発明に係る記録装置は、上記の課題を解決するために、
上述した本発明に係る記録媒体に、データを多重記録する記録装置であって、
上記記録媒体における第1の記録領域に、第1のデータが第1の多重度によってあらかじめ記録されているとき、
上記管理領域から、第1の多重度を表す第1の多重度情報を取得する多重度情報取得手段と、
上記第1の多重度と、上記記録媒体に新たに記録するデータを記録するための第2の多重度とが、互いに異なるか否かを判定する判定手段と、
上記判定手段によって、上記第1の多重度と上記第2の多重度とが互いに異なると判定されたとき、上記記録媒体において、上記第1の記憶領域とは異なる第2の領域に、上記第2のデータを上記第2の多重度によって記録する記録手段とを備えていることを特徴としている。
【0029】
上記の構成によれば、記録媒体には、第1のデータが第1の多重度によって、あらかじめ記録されている。この記録媒体に、記録装置は、第2のデータの追加記録を試みる。このとき記録装置において、多重度情報取得手段が、記録媒体の管理領域から第1の多重度情報を取得する。判定手段は、取得された第1の多重度情報の表す第1多重度と、記録される予定の第2のデータに適用すべき第2の多重度とを比較し、互いに異なるか否かを判定する。
【0030】
ここで、判定手段によって、第1の多重度と、第2の多重度とが互いに異なると判定されたとき、記録手段は、記録媒体において、第1の記憶領域とは異なる第2の領域に、第2のデータを第2の多重度によって記録する。
【0031】
以上のように記録装置は、異なる多重度によってそれぞれ記録すべき互いに異なるデータを、誤って同一の領域に記録することを防止できる。これにより、同一の記録媒体において、異なる記録感間隔によって、異なるデータをそれぞれ用意に記録できる効果を奏する。
【0032】
本発明に係る記録方法は、上記の課題を解決するために、
上述した本発明に係る記録媒体に、データを多重記録する記録方法であって、
上記記録媒体における第1の記録領域に、第1のデータが第1の多重度によってあらかじめ記録されているとき、
上記管理領域から、第1の多重度を表す第1の多重度情報を取得する多重度情報取得ステップと、
上記第1の多重度と、上記記録媒体に新たに記録するデータを記録するための第2の多重度とが、互いに異なるか否かを判定する判定ステップと、
上記判定手段によって、異なると判定されたとき、上記記録媒体において、上記第1の記憶領域とは異なる第2の領域に、上記第2のデータを上記第2の多重度によって記録するデータ記録ステップとを備えていることを特徴としている。
【0033】
上記の構成によれば、本発明に係る記録装置と同様の作用、効果を奏する。
【0034】
また、本発明に係る記録装置は、上記記録媒体において記録可能な最大密度についての情報に基づき、上記第2の領域における、上記第2のデータの記録の開始可能位置を特定する位置特定手段をさらに備えていることを特徴としている。
【0035】
上記の構成によれば、位置特定手段は、記録媒体において記録可能な最大密度についての情報に基づき、第2の領域における、第2のデータの記録の開始可能位置を特定する。たとえば、ページデータの最大記録ページ数、および、最小トラック間隔を表す情報を用いて、記録開始可能位置すなわちデータの論理スタートアドレスを算出する。
【0036】
これにより、データの記録開始可能位置を、記録装置の外部に接続されている装置が認識できる。したがって、正しい記録開始位置からデータの記録を開始するように記録装置に指示できる効果を奏する。
【0037】
本発明に係る再生装置は、上記の課題を解決するために、
上述した本発明に係る記録媒体からデータを再生する再生装置であって、
上記管理領域から、上記多重度情報を取得する多重度情報取得手段と、
上記取得された多重度情報の表す多重度によって、上記データを上記記録媒体から再生する再生手段とを備えていることを特徴としている。
【0038】
上記の構成によれば、記録媒体には、データがある多重度によって、あらかじめ記録されている。この記録媒体から、再生装置はデータを再生する。このとき再生装置において、多重度情報取得手段が、記録媒体の管理領域から、記録済みデータについての多重度情報を取得する。再生手段は、取得された多重度情報の表す多重度によって、データを再生する。
【0039】
これにより再生装置は、記録媒体に記録されているデータを正確に再生できる効果を奏する。また、記録データの多重度が互いに異なる複数の記録媒体からも、それぞれ問題なくデータを再生できる。
【0040】
本発明に係る再生方法は、上記の課題を解決するために、
上述した本発明に係る記録媒体からデータを再生する再生方法であって、
上記管理領域から、上記多重度情報を取得する多重度情報取得ステップと、
上記取得された多重度情報の表す多重度によって、上記データを上記記録媒体から再生する再生ステップとを含んでいることを特徴としている。
【0041】
上記の構成によれば、本発明に係る再生装置と同様の作用、効果を奏する。
【0042】
なお、上記記録装置は、コンピュータによって実現してもよい。この場合、コンピュータを上記各手段として動作させることにより上記記録装置をコンピュータにおいて実現するプログラム、およびそのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【0043】
なお、上記再生装置は、コンピュータによって実現してもよい。この場合、コンピュータを上記各手段として動作させることにより上記再生装置をコンピュータにおいて実現するプログラム、およびそのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0044】
以上のように、本発明に係る記録媒体は、データの多重度を表す多重度情報を保持する管理領域を有しているため、記録媒体ごとに多重度が異なっていても、各記録媒体に正しい多重度によってデータを記録できる効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
〔実施形態1〕
本発明に係る一実施形態について、図1から図16を参照して以下に説明する。
【0046】
(記録再生システム)
まず、本実施形態に係る記録再生システムについて、図1を参照にして以下に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る記録再生システムの要部構成を示すブロック図である。この図に示すように、記録再生システムは、記録媒体1、記録再生装置2(記録装置、再生装置)、およびホスト装置3によって構成されている。
【0047】
記録媒体1は、情報を記録する媒体である。記録再生装置2は、この記録媒体1に情報を記録したり、あるいは記録媒体1から入力を再生したりする。
【0048】
本実施形態の記録媒体1は、ディスク状の媒体である。具体的には、情報を2次元のページデータとして記録したり再生したりすることのできる、いわゆるホログラム記録媒体である。記録再生装置2は、図1に示すように、ピックアップ10、記録部(記録手段、多重度情報取得手段、判定手段、位置特定手段)11、再生部12(再生手段、多重度情報取得手段)、インタフェース部13、アドレス検出部14、クロック生成部15、およびコントローラ16を備えている。ホスト装置3は、記録再生装置に接続されている。ホスト装置3は、ページデータの記録再生指示を、記録再生装置2に与える。
【0049】
(ピックアップ10)
ピックアップ10は、記録媒体1に情報を記録したり、記録媒体1に記録されている情報を再生したりする。データについても同様である。ピックアップ10は、図示しないレーザ光源および2次元変調素子を備えている。2次元変調素子は、たとえば、液晶素子またはミラーアレイ素子などSLM(Spatial Light Modulator)である。
【0050】
情報を記録するとき、ピックアップ10は、記録媒体1の記録層に強い光すなわちレーザ光を照射する。具体的にはレーザ光源を用いて、レーザを記録媒体1にパルス発光する。このとき、光源から発射されたレーザ光を2次元変調素子に通すことによって、レーザ光から2次元の像を形成する。こうして形成した2次元の像を、光学系を通じて記録層に照射する。これにより記録層の材料(体積記録素材)を変化させて干渉縞を作り出す。結果的に、ピックアップ10は、ページデータを干渉縞として記録媒体1の記録層に記録する。
【0051】
ピックアップ10は、さらに、CCD(Charge Coupled Device)素子またはCMOS(complementary MOS)素子などの撮像素子を備えている。これらの撮像素子を用いることによって、2次元のページデータとしての再生信号を記録媒体1から取得する。
【0052】
ピックアップ10は、記録媒体1から情報を再生するとき、レーザを記録媒体1にパルス発光する。この点は、情報を記録媒体1に記録するときと同様である。ただし、情報の再生時には、記録媒体1に照射するレーザのエネルギーを、情報の記録時よりも低くする。これにより、記録媒体1に情報を再記録してしまうことを防止できる。
【0053】
ピックアップ10は、再生したページデータ以外に、アドレス読み出しやクロック生成のためのアドレス信号も、再生部12に出力する。
【0054】
(記録部11)
記録部11は、ピックアップ10を用いて情報を記録媒体1に記録する。具体的には、記録媒体1に記録するページデータをピックアップ10に出力する。このとき記録するページデータには、事前に誤り訂正符号を付加しておく。ページデータを出力するとともに、記録部11は、情報記録のためにピックアップ10が用いるレーザのパルス発光のタイミングを表す信号も、ピックアップ10に出力する。
【0055】
(再生部12)
再生部12は、ピックアップ10を用いて情報を記録媒体1から再生する。再生部12は、情報の再生に用いるレーザのパルス発光のタイミングを表す信号を、ピックアップ10に出力する。また、ピックアップ10から入力されるページデータを復号する。これにより、復号後のデータを、インタフェース部13を通じてホスト装置3に出力する。
【0056】
上述したように、再生部12には、ピックアップ10からアドレス信号が入力される。再生部12は、入力されたアドレス信号をアドレス検出部14に出力する。
【0057】
(インタフェース部13)
インタフェース部13は、記録媒体1に記録されるページデータを、記録部11に供給する。また、ホスト装置3との間において、各種信号を送受信する。インタフェース部13は、ホスト装置3から送信される、記録再生装置1に対する指示信号を受信し、当該受信した指示信号をコントローラ16に出力する。
【0058】
(アドレス検出部14)
アドレス検出部14は、クロック生成のためのタイミング信号を生成する。このタイミング信号を、クロック生成部15に出力する。
【0059】
アドレス検出部14は、記録再生中のアドレス信号から、クラスタおよびアドレスを検出する。これによりアドレスを復号する。クラスタとは、アドレスが付与する記録ブロックのことである。アドレスをコントローラ16に出力する。
【0060】
(クロック生成部15)
クロック生成部15は、各種の回路動作に必要な基準信号であるクロック信号を生成する。生成したクロック信号を、記録部11および再生部12に出力する。レーザをパルス発光させるタイミングをタイミング表す信号を生成する。生成したタイミング表す信号も、記録部11および再生部12に出力する。
【0061】
(コントローラ16)
コントローラ16には、ホスト装置3からの指示信号が入力される。コントローラ16は、入力された指示信号を、アクセス制御を初めとする各種の制御に用いる。また、コントローラ16は、その他の各種の情報を、インタフェース部13を通じてホスト装置9に出力する。
【0062】
(記録媒体1の物率的構成)
つぎに、記録媒体1の物理的および論理的構成について、図2(a)および図2(b)を参照して説明する。
【0063】
図2(a)は、記録媒体1の断面を示す断面図である。この図に示すように、記録媒体1は、2つの層すなわちサーボ層20および記録再生層21によって構成されている。
【0064】
サーボ層20には、グルーブまたはピットによってトラックが形成されている。記録媒体1において、のアドレス情報は、それらのグルーブまたはピットとして、サーボ層20に記録されている。
【0065】
記録再生層21は、ページデータを記録再生する層であり、フォトポリマー材料などによって構成されている。
【0066】
図2(b)は、記録媒体1を記録面側から見た俯瞰図である。この図に示すように、サーボ層20において、トラックは蛇行したグルーブすなわちウォブルとして、形成されている。図2(b)において、各ページデータは、それぞれ1つの円として示されている。すなわち記録再生装置2は、ページデータを記録媒体1に互いに重ね合わせて記録する。これによりページデータを多重記録し、かつ、ページデータの記録密度を向上させている。
【0067】
図2(b)に示すように、記録再生装置2は、ページデータをトラック方向に距離Lだけずらして記録する。また、半径方向には、トラックiとトラックi+2およびに記録している。言い換えると、2トラックおきに、すなわち2トラック間隔をおいて、ページデータを記録している。
【0068】
なお、記録再生装置2が実行できる多重記録の他の例としては、角度多重がある。角度多重とは、同一箇所に照射角度を変えながら光ビームを照射し、情報を多重記録する方法のことである。
【0069】
ある角度の光照射によって記録されたページデータは、その角度の光照射によってのみ、再生できる。したがって、照射角度を変えながら同一箇所に情報を10回記録すると、情報を10回重ねた状態で多重記録できる。再生時にも同様に、記録した時と同一の角度となるようにして、10回、光を照射する。これにより、記録されたページデータを再生する。
【0070】
サーボ層20に記録されているアドレス情報と、記録再生層21に記録されているページデータとの関係について、図3(a)および図を参照して以下に説明する。
【0071】
(アドレス情報の構造)
図3(a)は、アドレス情報の構成を示す図である。N本(Nは1以上の正の整数)のトラックが、トラック番号1からNをそれぞれ割り振られた状態で、アドレス情報を構成している。各トラックを、それぞれ、120個のクラスタに分割する。各クラスタには、クラスタ番号1から120をそれぞれ割り振る。各クラスタは、アドレスを付与する最小単位となる。各クラスタは、トラック番号およびクラスタ番号からなるアドレス情報、および補助情報を記録している。補助情報は、記録再生装置1の動作を制御するために用いられる付加的な情報である。
【0072】
(ページデータの構造)
図3(b)は、記録再生層21に記録されているページデータの構成を示す図である。各トラックは、12,000個のページデータによって構成されている。各ページデータには、ページ番号1から12,000をそれぞれ割り振る。したがって各クラスタは、いずれも100ページのページデータを記録している。
【0073】
1ページは、最小の記録単位である。1ページの記憶容量は、たとえば1MBである。ピックアップ10は、ページデータの記録および再生を、1ページ単位で実行する。このとき、従来装置との整合性を取るために、1ページを、たとえば2,048ビットのセクタに細分化する。これにより、セクタ単位で外部へデータを入出力できる。この場合、セクタはあくまでも、仮想的な単位である。すなわち記録再生装置2は、1ページ単位で記録したり再生したりするデータの一部のみを選択して外部装置に入出力することにより、セクタ単位でのデータ入出力を実現する。
【0074】
ページ番号そのものは、アドレス情報としては得られない。そこで、記録再生装置2は、特定のページにアクセスするとき、まず、ページ番号からクラスタ番号を求める。たとえば、125ページにアクセスしたとする。125ページは、2番目のクラスタの25番目のページに相当する。そこで、クラスタ番号2が割り振られているクラスタにアクセスする。クラスタ番号は、アドレス情報として取得できる。この時点では、アドレス情報を参照して、クラスタにアクセスする。
【0075】
つぎに、クラスタ番号2が割り振られているクラスタの先頭から、25番目のページ位置を検出する。これにより、再生部12は、そのページ位置に記憶されているページデータを再生する。このページ位置を特定する信号は、再生部12が生成する。
【0076】
ピックアップ10は、ページデータを読み出したいページ位置に対し、再生用のレーザをパルス照射する。これによりページデータを再生する。
` 従来の記録再生装置では、記録媒体の高密度化が進むと、容量の比較的小さい単位でアドレスを付与することは困難である。一方、本実施形態の記録再生装置2は、クラスタアドレスを細分化する。そして、ハードウェア的に生成するタイミング信号を基にして、細分化した各部分にアクセスする。これにより、アドレス情報の記録に特に工夫を加えることなく、容易な構成によって、細分化された領域にアクセスできる。
【0077】
たとえば290トラックの1,399ページは、「00290 01399」に相当する。前半5桁はトラック番号であり、後半5桁をページ番号である。
【0078】
以上のように、本実施形態において、1クラスタ当たりのページ数、すなわちページ密度は、100(ページ/クラスタ)である。しかし記録再生装置2は、この値を変えることによって、ページデータ記録の多重度を変えることができる。たとえば、1クラスタ当たり150ページの密度なら、より高い多重度でページデータを記録媒体1に記録することになる。
【0079】
また、同様に半径方向の記録間隔、すなわちトラック間隔を変えることによっても、記録されるページデータの多重度を変更できるたとえば、5トラックおきにピックアップ10を記録したなら、トラック間隔は5トラックとなる。これを3トラックにすると、5トラックの場合によりも多重度を上げることができる。
【0080】
(各種情報の配置)
つぎに、記録媒体1に形成されている、各種情報を格納するための領域について、特にその配置について、図4を参照して説明する。図4は、記録媒体1に形成されている、各種情報を格納するための領域の配置を示す図である。
【0081】
図4において、上側が記録媒体1の内周に相当し、下側が外周に相当している。すなわち記録再生装置2において、内周側から、ディスク管理情報領域41(管理領域)、交替領域42、ユーザデータ領域43、交替領域42、ディスク管理情報領域41の順に、各領域が配置されている。
【0082】
記録部11は、ディスク管理情報領域41に、ディスク情報44、ゾーン情報45、およびディフェクト情報46を記録する。
【0083】
記録部11は、ディスク情報44として、記録再生条件を表す情報、最大記録密度を表す情報、記録媒体1の回転数を表す情報、記録再生装置2に記録されるプログラムなどのバージョンを表す情報などの、記録媒体1のついての属性を表す各種の属性情報を記録する。
【0084】
また、ゾーン情報45として、複数のトラックを1つにまとめたゾーンに関する情報を記録する。ディフェクト情報46として、交替領域42に交替処理された各ディフェクトページデータの交替元アドレスおよび交替先アドレスなどの情報を記録する。
【0085】
記録部11は、ユーザデータ領域43に記録したあと、誤り訂正不能と判定したディフェクトページのデータを、交替領域42にいったん交替して記録する。交替領域42の大きさは、必要に応じて、また、用途によって異なる。したがって記録再生装置2は、交替領域42の大きさを任意に変更できる。本実施形態においては、交替領域42の大きさを、クラスタ単位ではなくトラック単位で変更できる。したがって、ユーザデータ領域43の先頭クラスタ番号は、常に1から始まる。
【0086】
記録部11は、ページデータをユーザデータ領域43記録する。上述したように、交替領域42の大きさは一定ではない。したがって、ユーザデータ領域43の開始物理アドレスも一定ではない。交替領域42の大きさによって、アクセスする先のアドレスが変わってしまうのは、不便である。そこで記録部11は、ユーザデータ領域43の開始アドレスのトラック番号を常に1とするように、アドレスを変換する。
【0087】
変換後のアドレスを、論理アドレスと呼ぶ。物理アドレスから論理アドレスへの変換には、A−S+1という演算を実行すればよい。ここでSは、ユーザデータ領域43の開始物理アドレスのトラック番号である。Aは、変換したい物理アドレスのトラック番号である。
【0088】
ユーザデータ領域43の先頭クラスタ番号は、常に1である。先頭ページアドレスも、常に1である。したがって記録再生装置2は、論理アドレスを、トラック番号とページ番号の組み合わせではなく、ユーザデータ領域43の先頭から始まる、連続したページ番号として扱う。たとえば、1トラックが12,000ページならば、2番目のトラックの1ページ目の論理アドレスページ番号12,001となる。
【0089】
物理アドレスはすべてのトラック、およびクラスタに与えられる。記録部11は、論理アドレスを、データが記録する物理アドレスに対してのみ割り当てる。たとえば2トラック間隔でページデータを記録するなら、ページデータを1番目のトラックには記録する一方、2番目のトラックには記録しない。したがって、論理アドレスがページ番号12,001の物理アドレスは、トラック番号2のページ番号1のページではなく、トラック番号3のページ番号1のページに相当する。
【0090】
以上のように、記録再生装置2に接続されているホスト装置3が、論理アドレスに基づき、ページデータに記録されているページデータにアクセスすれば、常にページ番号1から始まるアドレスによりアクセスできる。したがってホスト装置は、データの入出力処理を容易に実行できる。
【0091】
(ゾーン情報45)
つぎに、ディスク管理情報領域41に記録されるゾーン情報45について、図5(a)、図5(b)、および図5(c)を参照してさらに詳しく説明する。図5(a)は、ゾーン情報を構成する各種情報を示す図である。図5(b)は、ゾーン情報ヘッダを構成する各種情報を表す図である。図5(c)は、ゾーン情報エントリを構成する各種の情報を表す図である。
【0092】
図5(a)に示すように、ゾーン情報45は、大きく分けて3つの部分情報によって構成されている。すなわち、ゾーン情報ヘッダZI_Header、ゾーン情報エントリリストZI_List、およびゾーン情報45の終わりを示すゾーン情報終端マークZI_Termによって構成されている。
【0093】
これらの部分情報について、以下に詳しく説明する。図5(b)に示すように、ゾーン情報45ヘッダZI_Headerは、ゾーン情報識別子ZI_IDおよび登録ゾーン数N_Zoneからなっている。ゾーン情報識別子ZI_IDは、ゾーン情報45の先頭を示すための識別子であり、たとえば“ZI”である。登録ゾーン数N_Zoneは、記録媒体1に登録されているゾーンの数を示しており、初期値は1で、登録するゾーンが1つ増えるごとに増加していく。
【0094】
図5(c)に示すように、ゾーン情報エントリは、1つのゾーンに関する各種情報によって構成されている。記録部11は、複数のゾーンが記録媒体1に登録されているなら、複数のゾーン情報エントリを、1つの連続したリストとして記録する。このリストが、図5(a)に示すゾーン情報エントリリストZI_Listである。
【0095】
記録部11は、各ゾーン情報エントリに、ゾーンの開始物理アドレスを表す物理スタートアドレスST_ADR、最終記録位置LRA、記録ページ数N_Page、およびトラック間隔TRK_Intを記録する。最終記録位置LRAは、記録されたページデータの最終物理アドレスである。記録ページ数N_Pageは、クラスタ当たりの記録ページデータ数を示す。トラック間隔TRK_Intは、ページデータを記録するトラック間隔である。
【0096】
記録再生装置2は、ゾーンをトラック単位で指定する。物理スタートアドレスST_ADRのページ番号は、常に1である。複数のゾーン情報エントリが存在するなら、記録部11は、すべてのゾーン情報エントリを、常に物理スタートアドレスST_ADRの昇順に整列するように記録する。こうして、ページデータの記録再生時において、記録再生する対象となる物理アドレスと各ゾーン情報エントリの物理スタートアドレスST_ADRとを、順番にまたは2分法等を用いて比較する。これにより、記録再生する物理アドレスが属するゾーンのゾーン情報エントリを、迅速に検索できる。
【0097】
記録部11は、昇順に整列したゾーン情報エントリについて、物理スタートアドレスST_ADRの小さい順にゾーン番号を割り当てる。よって、ゾーン番号は1からN_Zoneの値を取る。ゾーン番号は仮想的なものであり、記録媒体1には情報として記録されない。
【0098】
記録部11は、ゾーン情報エントリに、物理スタートアドレスST_ADRのみを記録し、ゾーンの最終アドレスは記録しない。なぜなら、各ゾーンの最終アドレスは、次のゾーンの物理スタートアドレスの1ページ前までであるため、物理スタートアドレスから容易に計算できるからである。
【0099】
なお、最終のゾーンについては、次のゾーンがない。しかし最終ゾーンの最終アドレスは、ユーザ領域の最終アドレスに等しいので、容易に計算できる。また、ユーザ領域の最終アドレスに1を加えたアドレスを物理スタートアドレスとするダミーのゾーン情報エントリを、ゾーン情報エントリリストの最終エントリとして常に設けるようにしてもよい。これにより、計算処理を統一できる。
【0100】
ゾーン情報終端マークZI_Termは、ゾーン情報45の終わりを示し、特定のビットパターンを記録する。具体的には、たとえばFFFFhなど、通常のアドレスとしては出現しないパターンであればよい。
【0101】
(ページデータの記録処理)
つぎに、記録再生システムにおける、ページデータの記録処理の詳細について、以下に説明する。まず、記録密度を決めるパラメータである、記録ページ数N_Pageおよびトラック間隔TRK_Intの決定方法について説明する。これら2つのパラメータの組み合わせとして、本実施形態では、2つの組み合わせのみが可能である。
【0102】
1つは、誤り訂正不能なエラーが再生時に発生することが許されないデータを記録する場合の記録密度である。このようなデータとして、プログラムファイルおよび文書データなどがある。この場合の記録ページ密度をN_Page0とし、トラック間隔をTRK_Int0とする。これらは、特許請求の範囲における、第1の多重度情報に相当する。
【0103】
もう一つは、多少の誤り訂正不能エラーを許容できるデータを記録する場合の記録密度である。このようなデータとして、ビデオデータや音楽データなどがある。この場合の記録ページ数をN_Page1とし、トラック間隔をTRK_Int1とする。これらは、特許請求の範囲における、第2の多重度情報に相当する。
【0104】
ここで、
・N_Page0 < N_Page1
・TRK_Int0 > TRK_Int1
が成立する。すなわち記録部11は、ビデオデータおよび音楽データを、プログラムファイルおよび文書データよりも高密度に記録媒体1に記録する。なお、記録密度についての情報として、これら2つに限らず、3つ以上を組み合わせてもよい。
【0105】
たとえばホスト装置3が、ビデオデータを記録する指示を記録再生装置2に出力する。このとき記録部11は、ビデオデータを、N_Page1およびTRK_Int1に応じた記録密度で記録媒体1に記録する。
【0106】
(ページデータの再生処理)
ページデータの記録処理の詳細について、図6を参照して以下に説明する。図6は、記録再生システムにおける、ページデータの記録処理の流れを示すフローチャートである。
【0107】
この図に示すように、ホスト装置3は、記録媒体1のゾーン情報45を、記録再生装置2に問い合わせる(ステップS61)。これを受けて、記録再生装置2は、ゾーン情報45をホスト装置に通知する(ステップS62)。このとき記録再生装置2は、記録媒体1から読み出したゾーン情報エントリリストをもとに、ホスト装置3に通知するゾーン情報45を作成する。
【0108】
ゾーン情報45は、各ゾーンの物理スタートアドレスST_ADRを論理アドレスに変換した論理スタートアドレス、各ゾーンの最終論理アドレスである論理エンドアドレス、および、各ゾーンの記録密度情報によって構成されている。
【0109】
上述したように、各ゾーンの最終物理アドレスは、次のゾーンの物理スタートアドレスの1ページ前として得られる。したがって再生部12は、物理スタートアドレス、最終物理アドレス、および記録密度を用いて、論理エンドアドレスを計算する。
【0110】
たとえば、あるゾーンの物理スタートアドレスが101トラック・1ページであり、最終物理アドレスが500トラック・12000ページだとする。また、トラック間隔が2であり、記録ページ数が100だとする。このとき記録部11は、このゾーンに記録可能なページ数を、((500−100)/2)×12,000=2,400,000ページと計算する。ここで、このゾーンの論理スタートアドレスを600,001とすると、論理エンドアドレスは600,000+2,400,000=3,000,000と計算できる。
【0111】
(パラメータDensity)
再生部12は、記録密度情報として、記録ページ数N_Pageおよびトラック間隔TRK_Intをそのまま用いてもよい。本実施形態では、記録密度として2つの場合に限定している。そこでこれらの値をコード化したパラメータである「Density」を用いる。
【0112】
Density=0のとき、記録ページ数はN_Page0であり、トラック間隔はTRK_Int0である。Density=1のとき、記録ページ数はN_Page1であり、トラック間隔はTRK_Int1である。
【0113】
このようにしておけば、ホスト装置3は、記録ページおよびトラック間隔などの、個々のパラメータの意味を知らなくてもよい。すなわち、記録再生装置2から受け取ったゾーン情報45の記録密度情報を調べることにより、Density=0のゾーンは、プログラムファイル等に適した、低い多重度によってデータを記録するための領域であることがわかる。さらに、Density=1のゾーンは、ビデオデータ等に適した、高い多重度によってデータを記録する領域であることがわかる。
【0114】
つぎに、ホスト装置3は、記録再生装置2から得たゾーン情報45をもとに、ページデータを記録するゾーンを選択する(ステップS63)。ここでは、いったんゾーンi(iは任意の整数)において、プログラムファイルを記録する。つぎに、プログラムファイルの後にビデオデータを追加記録する。
【0115】
(データの状態)
記録再生装置2に記録されるデータの状態について、図7(a)、図7(b)、および図7(c)を参照して以下に説明する。図7(a)は、記録媒体1において、プログラムファイルを記録した直後の状態を示す図である。図7(b)は、記録領域71の直後にゾーンi+1を追加した状態を示す図である。図7(c)は、記録領域71から少し離れた位置にゾーンi+1を追加した状態を示す図である。
【0116】
図7(a)の例では、記録部11は、既存の記録領域71に、プログラムファイルを記録している。ホスト装置3は、ゾーンiにビデオデータを記録することを決定する。このときホスト装置3は、記録領域71にプログラムファイルが記録されていることを認識している。したがって、同一のゾーンi内に、プログラムファイルとは記録密度が異なる、ビデオデータを記録できないことも認識している。そこでホスト装置3は、新たにゾーンi+1を記録媒体1に追加するように、記録再生装置2に指示する(ステップS64)。
【0117】
この指示を受けると、記録再生装置2は、記録媒体1にゾーンi+1を追加する(ステップS65)。具体的な追加処理の例として、2つある。第1の例として、図7(b)に示すように、記録領域71の直後に、ゾーン番号i+1として新たにゾーンを追加する。具体的には、記録領域71の終わりを示す終端位置72を起点にして、記録領域73を追加する。したがってゾーン番号iのゾーン範囲は、記録領域71のみとなる。
【0118】
第2の例として、図7(c)に示すように、記録領域71の直後でなく、少し離れた位置から、新たなゾーンを追加する。このとき記録部11は、ホスト装置3から指定された位置からゾーンi+1を追加する。具体的には、終端位置72から一定距離だけ離れた開始位置74を起点にして、記録領域75を追加する。このときゾーンiは、記録領域71と、終端位置72に始まり開始位置74に終わる記録領域とを足し合わせたものとなる。一方、ゾーンi+1は、記録領域75のみとなる。
【0119】
いずれの場合も、ホスト装置3は、追加するゾーンの論理スタートアドレスを指定する。それを受けて、記録再生装置2は、追加するゾーンの物理スタートアドレスを決定する。ホスト装置3が指定可能な論理アドレスは、ゾーン追加前のゾーンiを構成する記録領域71の直後から、論理エンドアドレスまでの間の論理アドレスである。
【0120】
(ゾーン情報エントリの追加)
記録部11は、記録媒体1に新たなゾーンを追加するとき、必要な情報をゾーン情報エントリに追加する。この処理について、図8(a)および図8(b)を参照して以下に説明する。
【0121】
図8(a)は、ゾーン追加前におけるゾーン情報エントリリストの構成を示す図である。図8(b)は、ゾーン追加後におけるゾーン情報エントリリストの構成を示す図である。
【0122】
図8(a)の例では、ゾーン番号iのエントリが記録されている。記録部11は、図8(b)に示すように、ゾーン番号iのゾーン情報エントリの直後に、ゾーン番号i+1のゾーン情報エントリを追加する。それ以外のゾーン情報エントリについては、何も変更しない。
【0123】
記録部11は、ゾーン番号i+1のゾーン情報エントリに関して、スタートアドレスST_ADR(i+1)には、記録開始位置のアドレスを記録する。また、ここで記録部11が実行するのは、ゾーンの追加処理のみである。すなわちページデータは記録しない。最終記録位置LRA(i+1)に、ページデータの未記録を示す0を記録する。また、記録ページ数にN_Page1を記録し、トラック間隔にTRK_Int1を記録する。これにより記録再生装置2は、ゾーンの追加処理を終了する。
【0124】
記録再生装置は、ゾーン追加処理を終了したあと、終了通知をホスト装置に送信する(ステップS66)。
【0125】
つぎにホスト装置3は、NWA(Next Writable Address)情報を記録再生装置2に問い合わせる(ステップS67)。NWAは、記録可能な位置に関する情報である。
【0126】
ホスト装置3からの問い合わせに応じて、記録再生装置2は、NWAを計算する(ステップS68)。本実施形態では、追加したゾーンi+1の論理スタートアドレスを、NWAとして算出する。ゾーンi+1の物理スタートアドレスST_ADR(i+1)は、ステップS65において、ゾーン情報エントリに記録されている。すなわち既知である。
【0127】
ここでは、記録再生装置2は、物理スタートアドレスを論理スタートアドレスに変換する。本実施形態では、論理スタートアドレスを、最大記録ページ数N_PageMaxおよび最小トラック間隔TRK_IntMinを用いて計算する。両パラメータは、使用する記録媒体1において記録可能な最大密度に相当するパラメータである。これら2つのパラメータは、記録媒体1のディスク情報管理領域41にあらかじめ記録されている。
【0128】
(物理アドレスと論理アドレスとの関係)
各ゾーンにおける、物理アドレスと論理アドレスとの関係の一例を、図9を参照して以下に説明する。図9は、各ゾーンにおける、物理アドレスと論理アドレスとの関係の一例を示す図である。
【0129】
この図に示すように、ゾーン1からゾーン4までの4つのゾーンが存在する。記録済みの領域を、それぞれのゾーン中において太線として示す。太線91に示すように、ゾーン1内のすべての領域が記録済みである。太線92に示すように、ゾーン2内では、一部の領域のみが記録済みである。太線93に示すように、ゾーン3内では、一部の領域のみが記録済みである。太線94に示すように、ゾーン4内のすべての領域が記録済みである。
【0130】
各ゾーンにおいて点線として示す箇所は、最大密度に相当するパラメータから計算できる最大密度直線である。たとえば、N_PageMax=100、TRK_IntMin=1のとき、記録部11は、1トラック当たり12,000ページ分のデータを記録する。これにより最大密度直線は、物理アドレス1トラックにつき、論理アドレスが12,000ページ増加する傾きを持つ。
【0131】
図9の例では、ゾーン1およびゾーン3の記録密度は、いずれも最大である。一方、ゾーン2およびゾーン4では、記録密度が最大密度よりも低い。
【0132】
各ゾーンの論理スタートアドレスは、いずれも、最大密度直線上に配置されている。したがって、N_PageMaxおよびTRK_IntMinが既知なら、記録部11は、物理スタートアドレスから容易に論理スタートアドレスを計算できる。
【0133】
(論理アドレスの重複防止)
論理スタートアドレスを最大密度直線上に配置すれば、さらに、論理アドレスの重複も防止できる。この例について、図10を参照して以下に説明する。図10は、各ゾーンにおける、物理アドレスと論理アドレスとの関係の一例を示す図である。
【0134】
図10の例では、ゾーンnの論理スタートアドレスは、直線100に示すように、点線で示す最大密度直線上にある。一方、ゾーンn+1の論理スタートアドレスは、直線101に示すように、最大密度直線よりも下方に位置している。これにより記録部11は、ゾーンnに対する記録をさらに行う。物理アドレスAの位置までページデータを記録し終えると、物理アドレスAに対応する論理アドレスはP_ADRとなる。
【0135】
ところが、図10に示すように、P_ADRに対応する物理アドレスは、ゾーンn+1の物理アドレスBにも存在している。これにより論理アドレスが重複してしまう。ここでホスト装置3が記録再生装置2に、P_ADRに対応するページデータの再生を指示したとする。このとき再生対象のページデータに対応する物理アドレスが重複しているため、記録再生装置3は、どちらの物理アドレスに基づきページデータを再生してよいのかを判別できない。
【0136】
(トラック間隔が2以上の場合)
この問題は、ゾーンn+1の論理スタートアドレスを最大密度直線上に配置すれば発生しない。この例について、図11を参照して以下に説明する。図11は、トラック間隔が2以上の場合における、物理アドレスと論理アドレスの関係の一例を示す図である。
【0137】
この図に示すように、トラック間隔が2以上の場合、ページデータを記録しないトラックが存在する。ゾーン2とゾーン4では、トラック間隔が2以上となっている。図中の太線によって示す、記録済み領域が途切れている箇所は、ページデータが記録されていないトラックを示している。たとえばゾーン2において、直線112aと直線112bとの間に相当するトラック、および、直線112bと直線112cとの間に相当するトラックには、いずれも、ページデータが記録されていない。さらに、ゾーン4において、直線114aと直線114bとの間に相当するトラック、および、直線114bと直線114cとの間に相当するトラックには、いずれも、ページデータが記録されていない
この場合も記録部11は、各ゾーンの論理スタートアドレスを、すべて最大密度直線上に配置する。これにより物理スタートアドレスから論理スタートアドレスを容易に算出できる。また、ゾーン2やゾーン4に含まれる、スタートアドレス以外の論理アドレスについても、各ゾーンにおけるトラック間隔は既知である。したがって、対応する物理アドレスを容易に計算できる。
【0138】
論理スタートアドレスを最大密度直線上に配置したときは、論理アドレスが不連続となる。たとえば図9に示すゾーン2の論理エンドアドレスと、ゾーン3の論理スタートアドレスとは、連続していない。すなわち直線92の終端と、直線93の始端とが繋がっていない。
【0139】
(論理スタートアドレスの問い合わせ)
このため、記録再生装置2が記録媒体1にゾーンを追加したあと、ホスト装置3は、追加されたゾーンの論理スタートアドレスを、記録再生装置2に必ず問い合わせる必要がある。そこでホスト装置3は、ステップS68において、記録再生装置2がステップS65において記録媒体1に追加したゾーンi+1の論理スタートアドレスを、問い合わせる。これにより記録再生装置2は、問い合わせのあった論理スタートアドレスについて計算したNWAを、ホスト装置に通知する(ステップS69)。
【0140】
ホスト装置3は、受け取ったNWAに基づき、ページデータを記録するように、記録再生装置1に指示する(ステップS70)。このときホスト装置3は、ビデオデータの記録を指示する。これに応じて、記録再生装置1は、指示されたビデオデータを記録媒体1に記録する(ステップS71)。ビデオデータを記録し終えると、記録再生装置1は、ホスト装置3に終了通知を送信する(ステップS72)。
【0141】
(記録処理)
ページデータの記録処理について、図12を参照して以下に説明する。図12は、記録再生装置1におけるページデータの記録処理の流れを示すフローチャートである。
【0142】
まず記録部11は、記録対象となるゾーンの記録ページ数N_Pageおよびトラック間隔TRK_Intを取得する(ステップS121)。つぎに、記録ページ数およびトラック間隔によって記録できるように、パラメータを設定する(ステップS122)。これにより、設定したパラメータを用いて、ページデータを記録媒体1に記録する(ステップS123)。
【0143】
(タイミング信号)
ページデータの記録時におけるタイミング信号について、図13(a)および図13(b)を参照して以下に説明する。図13(a)は、記録ページ数N_Page=100の場合における、タイミング信号を示す図である。図13(b)は、N_Page=90の場合における、タイミング信号の例を示す図である。
【0144】
図13(a)において、トラック開始位置信号TRは、トラックの先頭位置を示す信号である。アドレス検出部14は、クラスタ番号120を検出した後、次のクラスタの先頭において、トラック開始位置信号TRを出力する。
【0145】
クラスタ信号CLは、アドレス検出部14がアドレス信号中に含まれるクラスタマークを検出するごとに出力する信号である。クロック信号CKは、ページ位置を示す信号である。クラスタ信号CLから、クロック生成部15に含まれるPLL回路が生成する。
【0146】
図13(a)に示す例では、1クラスタは100ページからなっている。そこで、クロック生成部15は、1クラスタ周期を100分割するように、クロック信号CKを生成する。この処理を、クロック生成部15に含まれるPLL回路140が実行する。
【0147】
(PLL部140)
図14は、PLL回路140の構成を示すブロック図である。この図に示すように、PLL回路140は、位相比較部141、補償部142、VCO143、および分周器144を備えている。
【0148】
クラスタ信号CLは、位相比較部141に入力される。位相比較部141は、クラスタ信号CLと、分周器144の出力との位相差を検出する。検出した位相差を、補償部142に出力する。補償部142は、PLL回路140の応答特性や安定性が所望の特性となるように、入力信号を補償する。補償部142は、補償した入力信号をVCO143に出力する。
【0149】
VCO143は、加えられた電圧に比例した周波数のクロック信号CKを分周器144に出力する。分周器144は、分周した信号を位相比較部141に出力する。分周器144の分周比を変えることにより、クロック信号CKの周波数を変更できる。したがってコントローラ16は、記録ページ数に応じた分周比を分周器144に設定すれよい。これにより、必要な記録ページデータ数を容易に取得できる。
【0150】
記録部11は、得られたクロック信号CKを基に記録レーザパルス信号を生成する。これにより、情報を記録する。このとき、半径方向の記録密度に関しては、トラック間隔TRK_Intに応じて、記録するトラックの間隔を空けて記録する。
【0151】
(ページデータの再生)
つぎに、記録媒体1からのデータ再生処理について、図15を参照して以下に説明する。図15は、記録媒体1に記憶されているページデータを再生するときにおける処理の流れを示すフローチャートである。
【0152】
この図に示すように、再生部12は、記録対象となるゾーンの記録ページ数N_Pageおよびトラック間隔TRK_Intを取得する(ステップS151)。つぎに、記録ページ数、トラック間隔によって情報を再生できるように、パラメータを設定する(ステップS152)。つぎに、設定したパラメータを用いることによって、ページデータを記録媒体1から再生する(ステップS153)。
【0153】
本実施形態の記録再生装置2では、ページデータを記録媒体1に記録するときと同様に、コントローラ16が、所定の分周比を分周器144に設定する。これにより再生部12は、所定の記録ページ数でページデータを再生する。また、トラック間隔TRK_Intの間隔で、ページデータを再生する。
【0154】
(その他の構成)
なお、本発明を、以下の構成としても実現できる。
【0155】
(第1構成)
2次元情報を所定の多重度で記録する情報記憶媒体であって、前記多重度に関する情報を記録するための管理情報領域を有することを特徴とする情報記憶媒体。
【0156】
(第2構成)
記録領域を複数に分割し、前記複数の記録領域の多重度情報を個別に記録可能な前記管理情報領域を有することを特徴とする前記第2構成に係る情報記憶媒体。
【0157】
(第3構成)
2次元情報を所定の多重度で記録する情報記録方法であって、多重度情報を記録するための管理情報領域を有する情報記憶媒体から多重度情報を得る第1のステップと、得られた前記多重度情報に一致した多重度で記録を行うため、多重度に関連するパラメータを設定する第2のステップと設定したパラメータで記録を行う第3のステップを有することを特徴とする情報記録方法。
【0158】
(第4構成)
2次元情報を所定の多重度で記録する情報記録方法であって、多重度情報を記録するための管理情報領域を有する情報記憶媒体から、記録対象とする記録領域の多重度である第1の多重度を得る第1のステップと、前記第1の多重度と、記録対象とする情報の記録に用いる第2の多重度とが異なる時に、新規記録領域を作成する第2のステップと、前記新規記録領域に前記第2の多重度で2次元情報を記録する第3のステップを有することを特徴とする情報記録方法。
【0159】
(第5構成)
前記管理情報から記録開始可能位置情報を作成するステップを含むことを特徴とする前記第4構成に係る情報記録方法。
【0160】
(第6構成)
2次元情報を所定の多重度で記録された情報記憶媒体の情報再生方法であって、多重度情報を記録するための管理情報領域を有する情報記憶媒体から多重度情報を得る第1のステップと、得られた前記多重度情報に一致した多重度で再生を行うため、多重度に関連するパラメータを設定する第2のステップとを有することを特徴とする情報再生方法。
【0161】
(まとめ)
以上のように、本実施形態の記録再生装置2において、記録部11は、ページデータの多重度を表す各種の情報を、当該ページデータを記録するための記憶媒体1に記録する。これにより記録部11は、再生時に、記録媒体1に記憶されている、多重度に関する情報を用いて、ページデータを再生する。これにより、記憶されているページデータの多重度がどのような値であっても、記録媒体1からページデータを適切に再生できる。
【0162】
また、記録部11は、記憶媒体1を複数の領域に分割し、多重度に関する情報を、記憶媒体1において、領域ごとに記録する。これにより、再生対象の領域から、対応する多重度情報を用いてページデータを適切に再生する。
【0163】
本実施形態では、記録再生装置2は、性質の2種類のページデータ、すなわちビデオデータおよびプログラムデータを、同一の記録媒体1に互いに多重度を異ならせて記録し、そして再生する。しかし、記録再生装置2は記録媒体1に記録するページデータの種類は、3種類以上でもよい。この場合、記録ページ数N_Pageとトラック間隔TRK_Intとの組み合わせを、3種類以上とすればよい。また、それらの組み合わせをコード化したパラメータであるDensityも、3種類以上とすればよい。
【0164】
また、記録再生装置2は、記録媒体1に記録するページデータの多重度を、記録媒体1において1つに統一してもよい。すなわち、記録媒体1のすべての領域において、同じ多重度のページデータを記録してもよい。
【0165】
この場合、記録部11は、ディスク管理情報領域41にゾーン情報45を記録する必要はない。したがって、多重化情報をディスク情報41に記録すればよい。または、記録媒体1のバージョン番号から、多重化情報を間接的に取得してもよい。この場合、記憶媒体1のバージョン番号ごとに、多重化情報があらかじめ定められていればよい。
【0166】
また、本実施形態では、ユーザデータ領域43内において、記録するページデータの多重度を異ならせている。これに限らず、記録再生装置2は、ユーザデータ領域43に記録するページデータの多重度と、ディスク管理情報領域41に記録する情報の多重度とを、互いに異ならせてもよい。
【0167】
この場合、記録再生装置2は、ディスク管理情報領域41から情報を再生する前に、当該領域における当該記録情報の多重度を知る必要がある。そこで、規格書等において、ディスク管理情報領域41に記録する情報の多重度を規定しておけばよい。これにより記録再生装置2は、記憶媒体1を再生することなしに、多重度に関するパラメータを設定できる。ただし、ユーザデータ領域43に記録する情報の多重度に関するパラメータについては、ディスク管理情報領域41に記録する。
【0168】
また、ディスク管理情報領域41の多重度がユーザデータ領域43の多重度と異なる場合、ホスト装置3は、多重度に関するパラメータを指定する必要はない。すなわち、記録再生装置2自身が、ページデータを記録する領域に応じた多重度を設定し、ページデータを記録すればよい。ページデータの再生についても同様である。
【0169】
(プログラムおよび記録媒体)
最後に、記録再生装置2に含まれている各ブロックは、ハードウェアロジックによって構成すればよい。または、次のように、CPU(Central Processing Unit)を用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0170】
すなわち記録再生装置2は、各機能を実現するプログラムの命令を実行するCPU、この再生プログラムを格納したROM(Read Only Memory)、上記再生プログラムを実行可能な形式に展開するRAM(Random Access Memory)、および、上記再生プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)を備えている。この構成により、本発明の目的は、所定の記録媒体によっても、達成できる。
【0171】
この記録媒体は、上述した機能を実現するソフトウェアである記録再生装置2のプログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録していればよい。記録再生装置2に、この記録媒体を供給する。これにより、コンピュータとしての記録再生装置2(またはCPUやMPU)が、供給された記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し、実行すればよい。
【0172】
プログラムコードを記録再生装置2に供給する記録媒体は、特定の構造または種類のものに限定されない。すなわちこの記録媒体は、たとえば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などとすることができる。
【0173】
また、記録再生装置2を通信ネットワークと接続可能に構成しても、本発明の目的を達成できる。この場合、上記のプログラムコードを、通信ネットワークを介して記録再生装置2に供給する。この通信ネットワークは記録再生装置2にプログラムコードを供給できるものであればよく、特定の種類または形態に限定されない。たとえばインターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(Virtual Private Network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等であればよい。
【0174】
この通信ネットワークを構成する伝送媒体も、プログラムコードを伝送可能な任意の媒体であればよく、特定の構成または種類のものに限定されない。たとえばIEEE1394、USB(Universal Serial Bus)、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【産業上の利用可能性】
【0175】
本発明は、2次元のページデータを多重記録するホログラム記録媒体として利用できる。また、このような記録媒体に、2次元のページデータを適切な多重度によって記録したり再生したりする記録再生装置として利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0176】
【図1】本発明の一実施形態に係る記録再生システムの要部構成を示すブロック図である。
【図2】(a)は、記録媒体の断面を示す断面図であり、(b)は、記録媒体を記録面側から見た俯瞰図である。
【図3】(a)は、アドレス情報の構成を示す図であり、(b)は、記録再生層に記録されているページデータの構成を示す図である。
【図4】記録媒体に形成されている、各種情報を格納するための領域の配置を示す図である。
【図5】(a)は、ゾーン情報を構成する各種情報を示す図であり、(b)は、ゾーン情報ヘッダを構成する各種情報を表す図であり、(c)は、ゾーン情報エントリを構成する各種の情報を表す図である。
【図6】記録再生システムにおける、ページデータの記録処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】(a)は、記録媒体において、プログラムファイルを記録した直後の状態を示す図であり、(b)は、記録領域の直後にゾーンi+を追加した状態を示す図であり、(c)は、記録領域から少し離れた位置にゾーンi+1を追加した状態を示す図である。
【図8】(a)は、ゾーン追加前におけるゾーン情報エントリリストの構成を示す図であり、(b)は、ゾーン追加後におけるゾーン情報エントリリストの構成を示す図である。
【図9】各ゾーンにおける、物理アドレスと論理アドレスとの関係の一例を示す図である。
【図10】各ゾーンにおける、物理アドレスと論理アドレスとの関係の一例を示す図である。
【図11】トラック間隔が以上の場合における、物理アドレスと論理アドレスの関係の一例を示す図である。
【図12】記録再生装置におけるページデータの記録処理の流れを示すフローチャートである。
【図13】(a)は、記録ページ数N_Page=100の場合における、タイミング信号を示す図であり、13(b)は、N_Page=90の場合における、タイミング信号の例を示す図である。
【図14】PLL回路の構成を示すブロック図である。
【図15】記録媒体に記憶されているページデータを再生するときにおける処理の流れを示すフローチャートである。
【図16】従来の記録再生装置によって情報が記録された記録媒体を示す模式図である。
【符号の説明】
【0177】
1 記録再生装置
2 記録媒体
3 ホスト装置
10 ピックアップ
11 記録部(記録手段、多重度情報取得手段、判定手段、位置特定手段)
12 再生部(再生手段、多重度情報取得手段)
13 インタフェース部
14 アドレス検出部
16 コントローラ
41 ディスク管理情報領域(管理領域)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データを多重化によって保持する記憶媒体であって、
上記データの多重度を表す多重度情報を保持する管理領域を有していることを特徴とする記録媒体。
【請求項2】
上記データを保持するデータ領域が、互いに多重度の異なる複数のデータをそれぞれ個別に保持する複数の部分領域に分割されており、
上記管理領域が、上記部分領域に保持される上記データごとに、上記多重度情報を個別に保持していることを特徴とする請求項1に記載の記録媒体。
【請求項3】
請求項1または2に記載の記録媒体に、データを多重記録する記録装置であって、
上記管理領域から、上記多重度情報を取得する多重度情報取得手段と、
上記取得された多重度情報の表す多重度によって、上記データを上記記録媒体に多重記録する記録手段とを備えていることを特徴とする記録装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の記録媒体に、データを多重記録する記録方法であって、
上記管理領域から、上記多重度情報を取得する多重度情報取得ステップと、
上記取得された多重度情報の表す多重度によって、上記データを上記記録媒体に多重記録する記録ステップとを含んでいることを特徴とする記録方法。
【請求項5】
請求項1または2に記載の記録媒体に、データを多重記録する記録装置であって、
上記記録媒体における第1の記録領域に、第1のデータが第1の多重度によってあらかじめ記録されているとき、
上記管理領域から、上記第1の多重度を表す第1の多重度情報を取得する多重度情報取得手段と、
上記第1の多重度と、上記記録媒体に新たに記録するデータに適用する第2の多重度とが、互いに異なるか否かを判定する判定手段と、
上記判定手段によって、上記第1の多重度と上記第2の多重度とが互いに異なると判定されたとき、上記記録媒体において、上記第1の記憶領域とは異なる第2の領域に、上記第2のデータを上記第2の多重度によって記録する記録手段とを備えていることを特徴とする記録装置。
【請求項6】
上記記録媒体において記録可能な最大密度についての情報に基づき、上記第2の領域における、上記第2のデータの記録の開始可能位置を特定する位置特定手段をさらに備えていることを特徴とする記録装置。
【請求項7】
請求項1または2に記載の記録媒体に、データを多重記録する記録方法であって、
上記記録媒体における第1の記録領域に、第1のデータが第1の多重度によってあらかじめ記録されているとき、
上記管理領域から、第1の多重度を表す第1の多重度情報を取得する多重度情報取得ステップと、
上記第1の多重度と、上記記録媒体に新たに記録するデータに適用する第2の多重度とが、互いに異なるか否かを判定する判定ステップと、
上記判定手段によって、上記第1の多重度と上記第2の多重度とが互いに異なると判定されたとき、上記記録媒体において、上記第1の記憶領域とは異なる第2の領域に、上記第2のデータを上記第2の多重度によって記録するデータ記録ステップとを含んでいることを特徴とする記録方法。
【請求項8】
請求項1または2に記載の記録媒体からデータを再生する再生装置であって、
上記管理領域から、上記多重度情報を取得する多重度情報取得手段と、
上記取得された多重度情報の表す多重度によって、上記データを上記記録媒体から再生する再生手段とを備えていることを特徴とする再生装置。
【請求項9】
請求項1または2に記載の記録媒体からデータを再生する再生方法であって、
上記管理領域から、上記多重度情報を取得する多重度情報取得ステップと、
上記取得された多重度情報の表す多重度によって、上記データを上記記録媒体から再生する再生ステップとを含んでいることを特徴とする再生方法。
【請求項10】
請求項3、5、および6のいずれか1項に記載の記録装置を動作させるプログラムであって、コンピュータを上記の各手段として機能させるためのプログラム。
【請求項11】
請求項8に記載の再生装置を動作させるプログラムであって、コンピュータを上記の各手段として機能させるためのプログラム。
【請求項12】
請求項10または11に記載のプログラムを記録しているコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−305230(P2007−305230A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−132859(P2006−132859)
【出願日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】