説明

記録媒体、記録装置及び再生装置

【課題】従来から書換型光ディスクにおいて実現されているリトライや交代処理によるエラー処理や上位装置から受け取った記録データを未記録部、記録部に関わらず任意の位置に配置する書き込み方式を、追記型光ディスクで実現する。
【解決手段】上位装置からのユーザ情報の記録要求に対し、記録状態管理情報から記録要求されたアドレスが記録済であることが検出された場合、リアルタイムに記録する必要があるユーザ情報の記録要求であるとき、上位装置にエラーを送信し、リアルタイムに記録する必要がないユーザ情報の記録要求であるとき、記録要求されたユーザ情報をスペア領域の未記録領域に記録し、アドレス対応情報を更新する記録装置を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は記録媒体、情報記録媒体へ情報を記録するための記録技術及び再び情報記録媒体から情報を読み出すための再生技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
情報記録媒体からデジタルデータを記録、再生するシステムの一例として、CDやDVD等の光ディスクの記録再生システムが挙げられる。本光ディスク記録再生システムの構成、及び記録再生動作について図3および図5を用いて説明する。図3は光ディスク記録再生装置の構成を示したものである。光ヘッド2の一部であるレーザ光源25から出射された光(DVDでは波長約650nm)はコリメータレンズ24を通してほぼ平行な光ビーム22へとコリメートされる。光ビーム22は光ディスク11上に、対物レンズ23を通して照射され、スポット21を形成する、その後、ビームスプリッタ28やホログラム素子29などを通してサーボ用検出器26や信号検出器27へと導かれる。各検出器からの信号は加算・減算処理されトラッキング誤差信号やフォーカス誤差信号などのサーボ信号となりサーボ回路に入力される。サーボ回路は得られたトラッキング誤差信号やフォーカス誤差信号を元に、対物レンズ23の駆動手段31や光ヘッド2全体の位置を制御し、光スポット21の位置を目的の記録・再生領域に位置付ける。検出器27の加算信号は信号再生ブロック41へ入力される。入力信号は信号処理回路によってフィルタ処理、周波数等化処理後、デジタル化処理される。デジタル化処理されたデジタル信号はアドレス検出回路および復調回路によって処理される。アドレス検出回路によって検出されたアドレス信号を元にマイクロプロセッサは光スポット21の光ディスク11上での位置を算出し、自動位置制御手段を制御することによって光ヘッド2及び光スポット21を目的のデータ記録領域へと位置付ける。
【0003】
上位装置からの光ディスク記録再生装置への指示が記録の場合には、マイクロプロセッサは上位装置からユーザ情報を受け取りメモリへ格納するとともに、自動位置制御手段を制御して、光スポット21を目的の記録領域へ位置付ける。マイクロプロセッサは信号再生ブロック41からのアドレス信号によって、光スポット21が正常に記録領域に位置付けられたことを確認した後、レーザドライバ等を制御して目的の領域にメモリ内のユーザ情報を記録する。
【0004】
アドレス信号は図6に記載のように、情報記録単位領域毎に配置されており、またこの記録単位領域の先頭部に配置されているので、アドレス信号の検出により記録の直前に光スポットの位置を確認することができる。
【0005】
図5は、上述の光記録システムの一例として、書換型のDVDである国際標準ISO/IEC−16824などに規定されたDVD−RAMディスクを駆動する光記録再生システムの動作を示した例である。
【0006】
ディスクが挿入されたり、光記録システムの電源が投入されたりすると、まず、光記録システムは、媒体の種別を判別する処理を行う。通常、DVD−RAM媒体に加えて再生専用媒体であるCD−ROMやDVD−ROMの再生機能を有している。そのため、光記録システムは、まず始めに媒体種別の判別処理を行い、その媒体が上記のどれであるかを判別する。この、判別処理の仕方は個々のシステムによって異なる。たとえば、反射率やフォーカス誤差信号などの再生信号のアナログ特性から媒体の種別を判別するシステムもあれば、ディスク上に設けられた媒体物理情報保持領域を再生した後その内容(データ)によって媒体の種別を判別するものも有る。
【0007】
光記録システムは媒体の種別が書換型すなわちDVD−RAMであると認識すると、まず、欠陥管理情報領域など記録内容を検査して、光ディスクが物理フォーマット済みであるかどうか調べる。物理フォーマットされていない場合には、上位装置やユーザなどから物理フォーマットの指示があるまで待機する。
【0008】
光ディスクが物理フォーマット済み場合、光記録システムは、較正処理や論理整合性検証などの記録準備処理を行った後、ユーザや上位装置からの指示待ち状態となる。何らかのコマンドを受け取ると、光記録システムは、コマンドの種類を調べ、それが記録コマンドである場合には、ユーザ情報の記録処理を行い。再生・フォーマット・ディスク取出しなどのコマンドの場合はそれぞれ対応した処理を行う。通常これらの処理は正常に終了するが、万一、予期できない理由で、記録に失敗した場合には、リトライや交替処理などのエラー処理を行う。
【0009】
通常DVD−RAMの場合には、この記録処理の際、ユーザ情報が正常に記録されたかどうかを実際に再生して確認し、必要に応じて別の記録単位領域を用いる交替処理を行うことによって、媒体上のユーザ情報の信頼性を高めている。交替処理による記録領域の再割り当てに関する管理情報は記録媒体上の特別領域(欠陥管理領域、スペア領域)に記録する。
【0010】
このようにDVD−RAMは非常に信頼性の高い光記録システムである。
【0011】
また、DVD−RAMのような書換えが可能な情報記録媒体を一度だけ記録可能な情報記録媒体として扱う情報記録再生装置において、媒体のユーザ情報領域外にセクタフラグ領域を設け、この領域に各セクタの状態を示すフラグを記録し、ユーザ情報領域の各セクタが記録済か未記録かを管理する手段が特開平4−3368号公報で開示されている。この公報には、情報記録再生装置は、上位装置からユーザ情報の記録指示を受領した際に、セクタフラグ領域の情報を読み出し、記録指示範囲の全セクタが未記録であることを該情報で確認してから、情報記録媒体への記録を実施する手段を用いて、記録済みのセクタへの重ね書きを防止する方法が提案されている。
【0012】
また、一度だけ記録可能な記録領域を有するCD−R、DVD−R等の追記型情報記録媒体の使用方法としては、ユーザ情報のバックアップ用途が主であり、ユーザ情報領域の内周から外周へ(記録媒体によっては外周から内周へ)連続的にユーザ情報を記録し、その後、情報記録媒体を情報記録再生装置から取出した後には二度とユーザ情報の記録を実施しないDisc At Once方式と呼ばれる方式が一般的に使用されている。
【0013】
記録媒体上の記録済領域の管理方法として、特許文献1にユーザ情報が記録されるユーザ領域と、管理用データ領域を含む書換型ディスク状記録媒体の記録装置で、記録再生のデータ単位毎に記録済か未記録かを示すビットからなるビットマップを作成し、ビットマップをディスク状記録媒体の管理用データ領域に記録する記録装置の記載がある。
【0014】
【特許文献1】特開平11−86418号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
以上に述べたように、従来から上書き可能な書換型記録媒体においては、リトライや交替処理によるエラー処理や上位装置から受け取ったユーザ情報を未記録部、記録部に関わらず記録媒体上の任意の位置に配置する書き込み方式が実現されている。しかしながら、近年大容量化の一途をたどり、記録メディアとして最も普及しているCD−RやDVD−Rのように物理的に上書きが不可能な追記型記録媒体ではこれらの機能は実現されていない。本発明の目的は、ハードウェアや物理仕様をほとんど変更することなく追記型記録媒体を書換型記録媒体同様に使用可能な、つまり、上位装置から受け取ったユーザ情報を記録領域の状態に関係なく受け取り、記録情報を破壊、消失したりすることなく、記録再生を行うデジタルデータ記録再生方法を提供することにある。
【0016】
また特願平9−250712には、追記型光ディスクに対し、記録装置が上位装置からの記録要求を受け取り、記録要求されたアドレスがビットマップによる記録領域管理情報から記録済領域であったことが判明した場合における装置動作についての記載はない。
【課題を解決するための手段】
【0017】
課題を解決するための手段は、次の(1)〜(8)である。
(1)アドレス情報、リードイン領域、ユーザ領域、上書き用スペア領域及びリードアウト領域を有することを特徴とする追記型記録媒体。
(2)アドレス情報、リードイン領域、ユーザ領域、スペア領域及びリードアウト領域を有し、前記リードイン領域には前記ユーザ領域のアドレス単位の情報と前記スペア領域のアドレス単位の情報とを対応付けるアドレス対応情報を有し、更に、前記リードイン領域には前記ユーザ領域の前記アドレス単位の情報の一部と前記スペア領域の前記アドレス単位の情報の一部とを対応付けるアドレス部分対応情報を有する記録媒体。
(3)アドレス情報、リードイン領域、ユーザ領域、スペア領域及びリードアウト領域を有し、前記リードイン領域には前記ユーザ領域のアドレス単位の情報と前記スペア領域のアドレス単位の情報とを対応付けるアドレス対応情報を有し、更に、前記リードイン領域には前記スペア領域のアドレス単位の情報についてディフェクトの有無を示す情報を有する記録媒体。
(4)アドレス情報、リードイン領域、ユーザ領域、スペア領域及びリードアウト領域を有する追記型記録媒体の記録装置であって、前記ユーザ領域のアドレス単位の情報と前記スペア領域のアドレス単位の情報との関係はアドレス対応情報によって管理され、上位装置からのユーザ情報の記録要求に対し、記録要求されたアドレスが記録済である場合にも、ユーザ情報を記録した後、記録したユーザ情報を再生、ディフェクトとして判断して、記録要求されたユーザ情報をスペア領域の未記録領域に記録し、アドレス対応情報を更新することを特徴とする追記型記録媒体の記録装置。
(5)アドレス情報、リードイン領域、ユーザ領域、スペア領域及びリードアウト領域を有する追記型記録媒体の記録装置であって、
前記ユーザ領域のアドレス単位の情報と前記スペア領域のアドレス単位の情報との関係はアドレス対応情報によって管理され、上位装置からのユーザ情報の記録要求に対し、記録要求されたアドレスが記録済であるか否かを、再生信号を用いて判断し、記録済であると判断した場合には記録要求されたユーザ情報をスペア領域の未記録領域に記録し、アドレス対応情報を更新することを特徴とする追記型記録媒体の記録装置。
(6)アドレス情報、リードイン領域、ユーザ領域、スペア領域及びリードアウト領域を有する追記型記録媒体の記録装置であって、前記ユーザ領域は記録状態管理情報によって記録済アドレスが管理され、前記ユーザ領域のアドレス単位の情報と前記スペア領域のアドレス単位の情報との関係はアドレス対応情報によって管理され、上位装置からのユーザ情報の記録要求に対し、記録状態管理情報から記録要求されたアドレスが記録済であることが検出された場合、リアルタイムに記録する必要があるユーザ情報の記録要求であるときには上位装置にエラーを送信し、リアルタイムに記録する必要がないユーザ情報の記録要求であるときには記録要求されたユーザ情報をスペア領域の未記録領域に記録し、アドレス対応情報を更新することを特徴とする追記型記録媒体の記録装置。
(7)アドレス情報、リードイン領域、ユーザ領域、スペア領域、上書き用スペア領域及びリードアウト領域を有する追記型記録媒体の記録装置にであって、前記ユーザ領域及び前記上書き用スペア領域は記録状態管理情報によって記録済アドレスが管理され、前記ユーザ領域のアドレス単位の情報と前記上書き用スペア領域のアドレス単位の情報との関係はアドレス対応情報によって管理され、上位装置からのユーザ情報の記録要求に対し、記録状態管理情報から記録要求されたアドレスが記録済であることが検出された場合、記録要求されたユーザ情報を記録状態管理情報から検出された上書き用スペア領域の未記録領域に記録し、アドレス対応情報を更新することを特徴とする追記型記録媒体の記録装置。
(8)アドレス情報、リードイン領域、スペア領域、ユーザ領域、上書き用スペア領域及びリードアウト領域を有する記録媒体の再生装置において、前記ユーザ領域のアドレス単位の情報と前記上書き用スペア領域のアドレス単位の情報との関係はアドレス対応情報によって管理され、上位装置からのユーザ情報の再生要求に対し、再生要求されたユーザ領域内のアドレスがアドレス対応情報に含まれ、アドレス対応情報から対応する上書き用スペア領域内のアドレスが検出可能である場合には、その上書き用スペア領域内のアドレスに記録されたユーザ情報を再生することを特徴とする再生装置。
【発明の効果】
【0018】
本発明を用いることで、物理的に上書きが不可能な追記型光ディスクを論理的に上書き可能とし、上位装置が追記型光ディスクを書換型光ディスク同様に取り扱うことを可能とする。また論理上書きを実現するために設けられる上書き用スペア領域は自由にサイズ設定可能とし、この領域内に上書き領域管理テーブルを記録することでディスク使用方法において効率的に追記型光ディスクの容量を使うことを可能とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について図を用いて説明する。
【0020】
尚、領域の状態を示ために、“記録領域”、“記録済領域”、“未記録領域”を用いる。意味はそれぞれ“次にデータを記録する対象となる領域”、“(フォーマット後)すでにデータが記録された領域”、“(フォーマット後)まだデータが記録されていない領域”とする。
【0021】
またこの発明の実施形態で多用されるディスク配置を表した図では“左下から右上に引かれる斜線が示す領域”は記録済領域を示し、“左上から右下に引かれる斜線が示す領域”は説明中に未記録領域から記録領域に指定され記録済領域となった領域を示し、“黒に塗りつぶされた領域”は記録済領域かつ記録領域を示し、“白抜きの領域”は未記録領域、またはその図に対する説明に直接関係しない領域を示す。また説明の便宜上ディスク上のアドレスはディスクの内周から外周に向かって増大するように割り当てられ、連続するユーザ情報はアドレスの昇順に記録されていく、つまりユーザ情報はディスクの内周から外周に向かって記録されるとする。さらに説明を簡素化するため、論理アドレスを示すためにLBA(n)及び物理アドレスを示すためにPBA(N)といった表示しているが、LBA(n)及びPBA(N)は実際の光ディスク記録再生装置では複数アドレス、例えば、LBA(n)はLBA(a)からLBA(a+15)までの16個のアドレスに対応する。
【0022】
図2は本発明を説明するにあたり使用する光ディスクのデータの配置を示したものである。尚、ここでは図2のデータ配置を基に本発明の説明を行うが本発明の本質はデータ配置に依存しない。
【0023】
図2は光ディスクのデータ領域配置図である。
【0024】
追記型、書換型のCDやDVDには、ウォブルやプリピットを用いてディスク上の位置を示す物理アドレスがディスク全面に割り振られている。CD、DVDの記録装置は、使用用途に応じてディスクをフォーマットする際、この物理アドレスを用いてディスクの領域を使用目的別に分割し、この領域定義情報、つまり物理アドレスAから物理アドレスBをユーザ領域、物理アドレスCから物理アドレスDをスペア領域として使用するといった情報を、記録装置が主に各々のディスクの管理情報を記録するリードイン内の所定の位置に記録する。またCD、DVDとは異なりディスクに物理アドレスが割り振られていない光ディスクの記録再生システムにおいても、記録装置がディスクをフォーマットする際、アドレス情報を含む仮データを連続的にディスク全面に配置し、このアドレス情報を用いて同様に領域定義情報をリードイン内の所定の位置に記録することでディスクを使用目的別に応じて領域分割することできる。
【0025】
ここでの説明で用いる光ディスクはディスク内周から外周にスペア領域管理ヘッダ、スペア領域管理テーブルを有するリードイン、傷や指紋、上書きの繰り返しによる記録膜劣化等が原因となり使用不可能、信頼性が低くなった一部のユーザ領域(この領域をディフェクトと呼ぶ)の代替領域として使用されるスペア領域、ユーザ情報を記録するユーザ領域、リードアウトを配置する。また上位装置から自由にアクセスできる領域に論理アドレス(LBA)を設け、このアドレスをユーザ領域にだけ対応付ける。そのため、上位装置がディスク容量として認識するサイズはユーザ領域のサイズに等しく、ディスク容量は初期化後一定値となり、ディフェクトの有無に関わらずユーザ領域の記録済領域と未記録領域の和に一致する。
【0026】
次に図4を用いて、DVD−RAM等の書換型光ディスクで行われる一般的なディフェクト発生時の処理について説明する。
【0027】
上位装置からの「LBA(n)にユーザ情報(N)を記録」という命令に対し、光ディスク記録再生装置の一種であるドライブは上位装置からのユーザ情報(N)をメモリに格納した後、LBA(n)に対応するユーザ領域内の物理アドレス(PBA(a))にユーザ情報(N)から変調されたデータ(N)を記録する。その後、ドライブはユーザ領域内に記録したデータ(N)をディスク上から読み出し、復調した後、メモリに格納されたユーザ情報(N)と比較、または変調処理で行われる誤り訂正して得られるエラーの個数を調べる。このとき、再生データに含まれるエラーの個数が規定されたディフェクト認定条件を満たす場合、データを記録したユーザ領域PBA(a)をディフェクトとして取り扱う。仮にPBA(a)がディフェクトであると判断された場合、リードインに配置されるスペア領域管理ヘッダから有効であるスペア領域管理テーブルの先頭位置やサイズ等の情報を調べる。次にスペア領域管理ヘッダに指し示されたスペア領域管理テーブルからスペア領域内の新たにディフェクト置換領域として使用可能なPBAを検索する。こうして決定されたスペア領域内の記録領域にメモリに格納されたユーザ情報(N)を再度書き込み、ユーザ領域内で行った作業と同様、記録したデータを再生、ディフェクト認定条件を満たすかどうかの確認を行い、ディフェクトとして取り扱う必要がないと判断された場合、LBA(n)に対応するユーザ領域内のPBA(a)はスペア領域内のPBA(b)に置換されたこと、言い換えるとLBA(n)に(スペア領域内の)PBA(b)が対応することを示すためにスペア領域管理テーブルに「PBA(a)にディフェクトがあった」と「PBA(a)の代わりにPBA(b)を使用している」、または「LBA(n)に対応する物理アドレスはPBA(b)である」といったアドレス対応情報を登録する。そして最後に、スペア領域管理テーブルのアドレス対応情報や位置が更新されたことにより、スペア領域管理ヘッダが持つスペア領域管理テーブルの情報の更新も行われる。
【0028】
従ってDVD−RAM等の光ディスクで行われるディフェクト管理はスペア領域をユーザ領域とは別に設けておくことでディフェクトが発生した場合においてもLBAの数、つまり記録容量が変更することがないように設計されている。
【0029】
以上が従来の書換型光ディスクで行われているディフェクト管理方式である。このようにデータ記録後、再生を行ってディフェクト判定を行うことをリード・アフター・ライト(RAW)と呼ぶ。またこのディフェクト判定はRAW時に限らず、通常のデータ再生時においても行われる場合もある。
【0030】
図7は図4でリードインに含まれたスペア領域管理ヘッダ及びスペア領域管理テーブルの配置を示す図である。スペア領域管理ヘッダ、スペア領域管理テーブルは更新の度にスペア領域管理に必要な情報を全て更新し、それぞれスペア領域管理ヘッダ記録領域、スペア領域管理テーブル記録領域に分けて配置される。従って、最後に更新されたスペア領域管理ヘッダ及びスペア領域管理テーブルのみが有効な情報であり、それ以前に記録されたスペア領域管理ヘッダ及びスペア領域管理テーブルは特に必要とされる情報ではなくなる。また各領域においてスペア領域管理ヘッダ及びスペア領域管理テーブルは記録更新回数を確保するために巡回記録される、言い換えるとスペア領域管理ヘッダ記録領域内をスペア領域管理ヘッダは内側から外側に向かって追加されるように記録され、記録されたスペア領域管理ヘッダがスペア領域管理ヘッダ記録領域の最外周に到達した場合は、再び領域の最内周が次の記録領域に割り当てられる。この場合、スペア領域管理ヘッダには最新のスペア領域管理ヘッダの検出用に更新の度にカウントアップされるカウンタ値、及び最新のスペア領域管理テーブルを指し示すアドレスポインタが設けられる。
【0031】
従ってドライブは、スペア領域管理ヘッダ記録領域内のスペア領域管理ヘッダを任意に読み出し、それぞれに含まれるカウンタ値を比較して、最大のカウンタ値を持つ有効なスペア領域管理ヘッダを見つけ出した後、このスペア領域管理ヘッダに含まれるアドレスポインタから有効なスペア領域管理テーブルを見つけ出すことで、その光ディスク上のスペア領域の使用状況を知ることができる。
【0032】
次に図8、9を用いて、DVD−RAM等の書換型光ディスクで行われるデータ記録処理について簡単に説明する。
【0033】
図8は、上位装置が未記録領域に記録領域を設定した場合のデータ記録処理を示す図である。
【0034】
図9は、上位装置が記録済領域に記録領域を設定した場合のデータ記録処理、つまり上書き処理を示す図である。
【0035】
上位装置からの「LBA(n)にユーザ情報(N)を記録」という命令に対し、ドライブは上位装置からのユーザ情報(N)をメモリに格納した後、LBA(n)に対応するユーザ領域内の物理アドレス(PBA(a))にユーザ情報(N)から変調されたデータ(N)を記録する。光ディスク上のユーザ領域上に記録、配置されたデータに関する情報は、全て上位装置が管理する。通常上位装置は、ユーザ領域上に記録されるファイルのファイル名やLBAを用いた記録位置に関するファイル管理情報データをファイルとは別にユーザ領域上に記録する。従って、上位装置は新規にファイルをユーザ領域上に記録した場合、同時にこのファイルに関するファイル管理情報データを追加し、ファイルを削除した場合にはこのファイルに関するファイル管理情報データを削除するといった動作を行っている。しかしながらこの動作をドライブから見た場合にはファイル、及びファイル管理情報データに違いはないため、ドライブは同一のユーザ情報と解釈して動作する。
【0036】
次にこれらの書換型光ディスクで行われているディフェクト管理、及び上書き記録処理を追記型光ディスクで実現、つまり上位装置が追記型光ディスクを書換型光ディスクと同様自由に取り扱い可能とする方法について説明する。
【0037】
追記型光ディスクにおけるディフェクト管理は、記録済領域に物理的な上書きが発生しない範囲では可換型光ディスクで行われる方法と同じである。つまり図4を用いて行った可換型光ディスクのディフェクト管理方法同様の説明を行うと、上位装置からの「LBA(n)にユーザ情報(N)を記録」という命令に対し、ドライブは上位装置からのユーザ情報(N)をメモリに格納した後、LBA(n)に対応するユーザ領域内の物理アドレス(PBA(a))にユーザ情報(N)から変調されたデータ(N)を記録する。その後、ドライブはユーザ領域内に記録したデータ(N)をディスク上から読み出し、復調した後、メモリに格納されたユーザ情報(N)と比較、または変調処理で行われる誤り訂正して得られるエラーの個数を調べる。このとき、再生データに含まれるエラーの個数が規定されたディフェクト認定条件を満たす場合、データを記録したユーザ領域PBA(a)をディフェクトとして取り扱う。仮にPBA(a)がディフェクトであると判断された場合、リードインに配置されるスペア領域管理ヘッダから有効であるスペア領域管理テーブルの先頭位置やサイズ等の情報を調べる。次にスペア領域管理ヘッダに指し示されたスペア領域管理テーブルからスペア領域内の新たにディフェクト置換領域として使用可能なPBAを検索する。こうして決定されたスペア領域内のPBA(b)にメモリに格納されたユーザ情報(N)を再度書き込み、ユーザ領域内で行った作業と同様、記録したデータを再生、ディフェクト認定条件を満たすかどうかの確認が行われる。しかし、ここでスペア領域内の代替エリアPBA(b)がディフェクトと判断された場合、PBA(b)の次のディフェクト置換領域であるPBA(c)にメモリ内のユーザ情報(N)を再び記録、再生、そしてディフェクト判断処理される。そこでディフェクトとして取り扱う必要がないと判断された場合、LBA(n)に対応するユーザ領域内のPBA(a)はスペア領域内のPBA(c)に置換されたこと、言い換えるとLBA(n)に(スペア領域内の)PBA(c)が対応することを示すためにスペア領域管理テーブルに「PBA(a)にディフェクトがあった」と「PBA(a)の代わりにPBA(c)を使用している」、または「LBA(n)に対応する物理アドレスはPBA(c)である」といったアドレス対応情報と「(スペア領域内の)PBA(b)にディフェクトがあった」といったアドレス対応情報を登録する。そして最後に、スペア領域管理テーブルの情報や位置が更新されたことにより、スペア領域管理ヘッダが持つスペア領域管理テーブルの情報の更新も行われる。
【0038】
図10はスペア領域管理テーブルを構成するアドレス対応情報の構成を示す。
【0039】
この図において、図内の上部に位置する表は、下部に位置する2つの追記型光ディスクのデータ配置図が示すようなディフェクト処理が発生した場合に作成されるアドレス対応情報を示している。アドレス対応情報はユーザ領域内の「デェフェクトと判断されたPBA」、それに対応するスペア領域内の「代替に使われたPBA」と2種類のフラグから構成される。またアドレス対応情報の構成は「LBA」と「それに対応するPBA」としても同様にアドレスの管理を行うことは可能である。またこの2種類のフラグのうちフラグ1はアドレス対応情報の有効性を示し、フラグ2は代替に使われたPBAの中の有効なデータ範囲を示す。例えば、DVD−RAM等の光ディスクでは、ドライブが光ディスクに記録できる最小のデータ単位は32kバイトであるため、アドレス対応情報に含まれる「デェフェクトと判断されたPBA」、それに対応するスペア領域内の「代替に使われたPBA」は原則的にそれぞれ32kバイト単位でのデータ置換が行われたことを表す。しかしながら、上位装置からの記録要求で使われるデータ単位は2kバイトであるため、32kよりも少ないユーザ情報を記録済領域に上書きするときに発生した既存ユーザ情報の再生エラー(32kよりも少ないデータの上書き時には光ディスクから32kバイト単位で既存のユーザ情報を再生し、ドライブ内のメモリ上で新規ユーザ情報を上書きした後、所定の復調処理を行った後、再度同一アドレスに記録する、通常この動作をリード・モディファイ・ライトと言う。)等状況においては2kバイト単位でのアドレス変換が必要となる。そこでフラグ2を用いて32kバイトを16分割して得られる2kバイトのユーザ情報のうち、どの2kバイトが代替に使われたPBAが指し示す32kバイトユーザ情報に含まれるか、といったアドレス部分対応情報を表す。例えば、1番目から16番目の2kバイトのうち、3番目から5番目のユーザ情報のみがスペア領域内の32kバイトに含まれる場合は0で置換された2kバイトの位置を表しC7FFhといった数値や、置換が開始された先頭の位置と最後の位置を数値で表し24hといった数値がフラグ2として用いられる。このリード・モディファイ・ライト処理はスペア領域内でも適用されるため、この処理はスペア領域内に発生するディフェクトにも適用される。そのため、フラグ1はデータの一部(2kバイトの倍数)が他の代替に使われたPBAに含まれていることを示すために用いられる。例えば、「(LBA(n)に対応する)デェフェクトと判断されたPBA(N)のユーザ情報はPBA(M)に記録された」といったアドレス対応情報が存在する状況で、上位装置からLBA(n)の第8番目の2kバイト位置の新規ユーザ情報を上書きするといった記録要求を受け取ったが、ドライブは既存のユーザ情報をPBA(M)から再生不可能であった場合には、PBA(L)にLBA(n)の第8番目の2kバイト位置のユーザ情報のみを記録し、新たに「(LBA(n)に対応する)デェフェクトと判断されたPBA(N)のユーザ情報はPBA(L)に記録された」といったアドレス対応情報をスペア領域管理情報に追加する。このとき「(LBA(n)に対応する)デェフェクトと判断されたPBA(N)のユーザ情報はPBA(M)に記録された」アドレス対応情報のフラグ1にこのPBA(M)はディフェクトであることを意味する“1”または“0”を付加する。これらのフラグ情報を用いることでドライブは2kバイト単位でどの位置にユーザ情報が格納されているかの情報を得ることが可能となる。またフラグ1を用いずに「(LBA(n)に対応する)デェフェクトと判断されたPBA(N)のユーザ情報はPBA(M)に記録された」アドレス対応情報のフラグ2で第1番目から第7番目、また第9番目から第16番目の2kバイトが対象であることを示し、「(LBA(n)に対応する)デェフェクトと判断されたPBA(N)のユーザ情報はPBA(M)に記録された」アドレス対応情報のフラグ2で第8番目の2kバイトが対象であることを示すことで同情報を得ることも可能である。
【0040】
図7は図4でリードインに含まれたスペア領域管理ヘッダ及びスペア領域管理テーブルの配置を示す図である。スペア領域管理ヘッダ、スペア領域管理テーブルは更新の度にスペア領域管理に必要な情報を全て更新し、それぞれスペア領域管理ヘッダ記録領域、スペア領域管理テーブル記録領域に分けて配置される。従って、最後に更新されたスペア領域管理ヘッダ及びスペア領域管理テーブルのみが有効な情報であり、それ以前に記録されたスペア領域管理ヘッダ及びスペア領域管理テーブルは特に必要とされる情報ではなくなる。また各領域においてスペア領域管理ヘッダ及びスペア領域管理テーブルは記録更新回数を確保するために巡回記録される、言い換えるとスペア領域管理ヘッダ記録領域内をスペア領域管理ヘッダは内側から外側に向かって追加されるように記録され、記録されたスペア領域管理ヘッダがスペア領域管理ヘッダ記録領域の最外周に到達した場合は、再び領域の最内周が次の記録領域に割り当てられる。この場合、スペア領域管理ヘッダには最新のスペア領域管理ヘッダの検出用に更新の度にカウントアップされるカウンタ値、及び最新のスペア領域管理テーブルを指し示すアドレスポインタが設けられる。従ってドライブは、スペア領域管理ヘッダ記録領域内のスペア領域管理ヘッダを任意に読み出し、それぞれに含まれるカウンタ値を比較して、最大のカウンタ値を持つ有効なスペア領域管理ヘッダを見つけ出した後、このスペア領域管理ヘッダに含まれるアドレスポインタから有効なスペア領域管理テーブルを見つけ出すことで、その光ディスク上のスペア領域の使用状況を知ることができる。追記型光ディスクでは記録済領域に上書きできないため、スペア領域管理ヘッダ及びスペア領域管理テーブルの更新回数を抑える必要がある。そのためドライブは内部メモリを用いて情報を更新するタイミングを減らし、スペア領域管理ヘッダ記録領域、スペア領域管理テーブル記録領域のサイズの確保が必要である。
【0041】
これより、追記型光ディスクにおいても十分なディフェクト管理領域の確保が可能であれば、書換型光ディスクと同じ方式で適応できることが分かる。次に追記型光ディスクで行われるデータ記録処理について図8を用いて説明し、スペア領域を利用した追記型光ディスクの上書き機能について図9及び図4を用いて説明する。
【0042】
図8は、上位装置が未記録領域に記録領域を設定した場合のデータ記録処理を示す図である。
【0043】
上位装置からの「LBA(n)にユーザ情報(N)を記録」という命令に対し、ドライブは上位装置からのユーザ情報(N)をメモリに格納した後、LBA(n)に対応するユーザ領域内の物理アドレス(PBA(a))にユーザ情報(N)から変調されたデータ(N)を記録する。この後、ドライブはディフェクト管理を動作する場合にはRAW処理を行う。
【0044】
図9は、上位装置が記録済領域に記録領域を設定した場合のデータ記録処理を示す図である。
【0045】
上位装置からの「LBA(n)にユーザ情報(N)を記録」という命令に対し、ドライブはLBA(n)に対応するユーザ領域内の“記録済み”の物理アドレス(PBA(a))に、上位装置からのユーザ情報(N)の変調データを上書きする。その後、ディフェクト管理を動作させる場合にはRAW処理が行われるため、二重記録された物理アドレス(PBA(a))は追記型光ディスクの物理特性により、ディフェクトとして検出されるため、図4で示したようにLBA(n)のユーザ情報(N)はスペア領域内に配置される。
【0046】
一般的に追記型光ディスク、例えばCD−RやDVD−Rに対応するドライブでは上書き防止機能が装備される。
【0047】
主な上書き防止の方法は2種類ある。1つはデータ記録前に再生信号を用いて物理的に記録領域の未記録検出を行った後、記録を実行する方法、もう1つは光ディスク上の全アドレスに対して“記録済みか、未記録か”の記録状態を示す情報を記録し管理する方法である。
【0048】
そのため追記型光ディスクでの上書き防止機構が装備されるドライブでは、図9同様に上位装置からの「LBA(n)にユーザ情報(N)を記録」という命令に対し、ドライブはLBA(n)に対応するユーザ領域内の物理アドレス(PBA(a))の再生処理を行い、PBA(a)は“記録済み”、つまり(記録時には)ディフェクトであることを再生信号から検出する。そのためドライブは図4で示したようにLBA(n)のユーザ情報(N)をスペア領域内に配置するよう動作する。
【0049】
図11は、光ディスク上の各アドレスの記録状態を示す管理情報の例である。ユーザ領域ビットマップはユーザ領域内の最内周のアドレスPBA(N)から最外周のPBA(N+M)までの全アドレスに対応するビットを並べたもので、任意のアドレスにデータが記録されるとそのアドレスに対応するビットの値を反転させることで各アドレスの記録状態を管理する。
【0050】
この記録状態を示す管理情報を用いて、図9及び図4を用いて説明された記録処理は、図12が示す記録処理となる。上位装置からの「LBA(n)にユーザ情報(N)を記録」という命令に対し、ドライブはLBA(n)に対応するユーザ領域内の物理アドレス(PBA(a))の記録状態を記録状態管理情報から判断、PBA(a)を記録済であると判断した場合には、PBA(a)をディフェクトとして取り扱う。つまりリードインに配置されるスペア領域管理ヘッダから有効であるスペア領域管理テーブルの先頭位置やサイズ等の情報を調べ、スペア領域管理ヘッダに指し示されたスペア領域管理テーブルからスペア領域内の新たにディフェクト置換領域として使用可能なPBAを検索する。決定されたスペア領域内の記録領域にメモリに格納されたユーザ情報(N)を書き込み、記録したデータを再生、ディフェクト認定条件を満たすかどうかの確認を行い、ディフェクトとして取り扱う必要がないと判断された場合、LBA(n)に対応するユーザ領域内のPBA(a)はスペア領域内のPBA(b)に置換されたといったアドレス対応情報をスペア領域管理テーブルに登録する。そしてスペア領域管理ヘッダが持つスペア領域管理テーブルの情報の更新を行う。
【0051】
このように記録処理時に記録済領域をディフェクトとして取り扱うことで、追記型光ディスクに論理的にデータを上書きすることが可能となる。しかし、このディフェクト管理方式を拡張して実現される“論理上書き”は、上書きできるユーザ情報がスペア領域サイズに限定されるため、ファイルの更新を繰り返して使う場合などには、大半のユーザ領域が未記録であるにも関わらず、スペア領域の未記録領域がなくなってしまい光ディスクを効率良く使用できないといった問題が残る。
【0052】
次にこの問題を解決する追記型光ディスクの論理上書き方法について説明する。
【0053】
図13は、論理的な上書き処理を実現する追記型光ディスクに適した領域の割り当てを示した図である。
【0054】
図4が示す従来の領域に加え、さらに論理上書きの代替領域としての“上書き用スペア領域”が論理アドレス空間外に割り当てられている。つまり、ディスクがフォーマットされた際、アドレスを用いた上書き用スペア領域の領域定義情報が、リードイン内にユーザ領域、スペア領域同様に記録された状態である。
【0055】
図14は、図13の領域分割された追記型光ディスク上の各アドレスの記録状態を示す管理情報の例である。
【0056】
ユーザ領域+上書き用スペア領域ビットマップはユーザ領域、及び上書き用スペア領域内の最内周のアドレスPBA(N)から最外周のPBA(N+M)までの全アドレスに対応するビットを並べたもので、図11同様、任意のアドレスにデータが記録されるとそのアドレスに対応するビットの値を反転させることで各アドレスの記録状態を管理する。この記録状態を示す管理情報を用いると、上書き用スペア領域を含む追記型光ディスク記録処理は図15が示すようになる。
【0057】
上位装置からの「LBA(n)にユーザ情報(N)を記録」という命令に対し、ドライブはLBA(n)に対応するユーザ領域内の物理アドレス(PBA(a))の記録状態を記録状態管理情報から判断、PBA(a)を記録済であると判断した場合には、PBA(a)の代用となる上書き用スペア領域内の未記録領域を記録状態管理情報から検出し、その未記録領域にメモリに格納されたユーザ情報(N)を記録、その後再生を行い、ディフェクト認定条件を満たすかどうかの確認を行う。ここでディフェクトとして取り扱う必要がないと判断された場合、LBA(n)に対応するユーザ領域内のPBA(a)は上書き用スペア領域内のPBA(c)に置換されたといったアドレス対応情報を、上書き用スペア領域を含むようにスペア領域管理テーブル及びスペア領域管理ヘッダを拡張した“領域管理テーブル”、“領域管理ヘッダ”に登録、更新を行う。
【0058】
またPBA(c)がディフェクトとして判断された場合には、ユーザ領域内での処理同様にリードインに配置される領域管理ヘッダから有効である領域管理テーブルを調べ、領域管理テーブルからスペア領域内の新たにディフェクト置換領域として使用可能なPBAを検索する。決定されたスペア領域内の記録領域にメモリに格納されたユーザ情報(N)を書き込み、記録したデータを再生、ディフェクト認定条件を満たすかどうかの確認を行い、ディフェクトとして取り扱う必要がないと判断された場合、LBA(n)に対応するユーザ領域内のPBA(c)はスペア領域内のPBA(b)に置換されたといったアドレス対応情報を領域管理テーブルに登録する。そして領域管理ヘッダが持つ領域管理テーブルの情報の更新が行われる。
【0059】
しかしながら、図15に示す論理上書き処理を任意のユーザ情報に対して行った場合、ドライブと上位装置間でデータ転送に関する問題が生じることが予想される。つまりユーザ情報が頻繁に上書き用スペア領域に配置される場合、ドライブの光ヘッド移動のための時間が必要となり“ユーザ情報が連続的に記録できない、つまり要求される時間内で上位装置からユーザ情報を受け取ることができない”、または“ユーザ情報が連続的に再生できない、つまり要求される時間内で上位装置にユーザ情報を転送することができない”という問題が生じてしまう。そのため上位装置からの「LBA(n)にユーザ情報(N)を記録」という命令に含まれるユーザ情報の種別を参照し、ユーザ情報がリアルタイムストリームのような上位装置とドライブ間で一定のデータ転送レートを保証する必要がある場合にはドライブは論理上書きを行わず、上位装置に記録エラーを送信する。またユーザ情報がテキストデータのような上位装置とドライブ間でデータ転送レートを保証する必要がない場合にはドライブは上位装置に記録エラーを送信せず、図15が示す論理上書きを実行する。
【0060】
図16、図17、図18及び図19を用いて、上書き用スペア領域の割り当てを追記型光ディスク使用中に変更した場合の記録動作を説明する。図16、図17は論理上書き処理中に上書き用スペア領域を変更した場合の例であり、図16は既存の全上書き用スペア領域が記録済領域となった後、論理上書き用の記録領域を確保するために上書き用スペア領域を拡張した場合の光ディスク上のデータ配置を示しており、図17は既存の上書き用スペア領域に未記録領域を残した状態で、上書き用スペア領域を拡張した場合のデータ配置を示している。
【0061】
図16では、上位装置からの「LBA(n)にユーザ情報(N)を記録」という命令に対して、ドライブはLBA(n)に対応するユーザ領域内の物理アドレス(PBA(a))が記録済領域であることを記録状態管理情報から判断して、上書き用スペア領域内の未記録領域を記録状態管理情報から捜索する。このとき上書き用スペア領域内にPBA(c)を含む未記録領域が検出できた場合、LBA(n)に対応するユーザ領域内のPBA(a)は上書き用スペア領域内のPBA(c)に置き換え、その情報を“領域管理テーブル”、“領域管理ヘッダ”に登録、更新する。
【0062】
また上書き用スペア領域内に未記録領域が検出できなかった、つまり上書き用スペア領域内に未記録領域がないと判断した場合には、ドライブは上位装置に記録エラーを送信する。このとき上位装置からの上書き用スペア領域の再割り当て、または上書き用スペア領域の拡大を意味するコマンドに応じて、ドライブは上書き用スペア領域を拡大、つまり領域管理ヘッダに含まれる光ディスク上に割り当てられた領域設定情報を更新する。その後、再度上位装置の「LBA(n)にユーザ情報(N)を記録」という命令に対し、ドライブはLBA(n)に対応するユーザ領域内の物理アドレス(PBA(a))が記録済領域であることを記録状態管理情報から判断して、上書き用スペア領域内の未記録領域を記録状態管理情報から捜索、上書き用スペア領域内にPBA(c)を含む未記録領域が検出した後、LBA(n)に対応するユーザ領域内のPBA(a)は上書き用スペア領域内のPBA(c)に置き換え、そのアドレス対応情報を“領域管理テーブル”、“領域管理ヘッダ”に登録、更新する。
【0063】
または自動的にドライブは上書き用スペア領域の拡大を領域管理ヘッダ内の領域設定情報を変更、上書き用スペア領域内にPBA(c)を含む未記録領域にLBA(n)に対するユーザ情報を記録した後、上書き用スペア領域の再割り当てが行われたことを上位装置に報告する。
【0064】
図17は、上位装置はドライブからの記録エラーなしに上書き用スペア領域の再割り当て、または上書き用スペア領域の拡大を意味するコマンドに応じて、ドライブは上書き用スペア領域を拡大、つまり領域管理ヘッダに含まれる光ディスク上に割り当てられた領域設定情報を更新した後、上書き処理が行われた場合である。
【0065】
図18は光ディスク使用中にユーザ領域が不足したため、上書き用スペア領域を縮小した場合のデータ配置を示している。
【0066】
上書き用スペア領域の縮小が行われた際、上書き用スペア領域内の一部がユーザ領域(以下、“追加ユーザ領域”と表す。)となる。ドライブは領域管理テーブルから追加ユーザ領域の一部に“論理上書き”されたユーザ情報が含まれているかどうかを調べ、“論理上書き”されたユーザ情報が含まれていると判断された場合には、追加ユーザ領域に含まれるユーザ情報を上書き用スペア領域に記録し、領域管理テーブルの情報を更新する。その後、追加ユーザ領域に含まれる記録済領域は、既存のユーザ領域同様に取り扱われる。図19は論理上書き処理中に上書き用スペア領域が不足したため、上書き用スペア領域を拡張した場合のデータ配置を示している。
【0067】
上書き用スペア領域の拡大が行われた際、ユーザ領域内の一部が上書き用スペア領域(以下、“追加上書き用スペア領域”と表す。)となる。上位装置からの上書き用スペア領域の再割り当て、または上書き用スペア領域の拡大を意味するコマンドに応じて、ドライブは上書き用スペア領域を拡大、つまり領域管理ヘッダに含まれる光ディスク上に割り当てられた領域設定情報を更新する。この処理が行われる際、追加上書き用スペアに含まれる記録済領域に含まれるユーザ情報が必要である場合には上位装置はこのユーザ情報を読み出し、上書き用スペア領域の再割り当て前に別のユーザ領域にユーザ情報を記録する必要がある。またこのユーザ情報が予め約束された位置に記録されるデータであれば、例えば、最外周のPBAから固定される位置に記録されるデータであれば、論理上書き機能を用いてユーザ領域内のデータが上書き用スペア領域に上書きされているというアドレス対応情報を領域管理テーブルに加えることで実際にはユーザ情報をユーザ領域に移動することなく論理的に移動することもできる。
【0068】
次に図20及び図21を用いて、上書き用スペア領域内でのディフェクト処理を説明する。
【0069】
図20は上書き用スペア領域に対してもユーザ領域同様のディフェクト処理を適用した場合の光ディスク上のデータ配置を示している。
【0070】
上位装置から送信されるユーザ情報のユーザ領域内の記録済領域への(上書き)記録要求に対して、ドライブはLBA(n)に対応するユーザ領域内の物理アドレス(PBA(a))が記録済領域であることを記録状態管理情報から判断して、上書き用スペア領域内の未記録領域を記録状態管理情報から捜索する。このとき上書き用スペア領域内にPBA(c)を含む未記録領域が検出できた場合、ユーザ情報(N)をPBA(c)に記録し、LBA(n)に対応するユーザ領域内のPBA(a)は上書き用スペア領域内のPBA(c)に置換されたことを示すアドレス対応情報を“領域管理テーブル”、“領域管理ヘッダ”に登録、更新する。この際、PBA(c)に対するディフェクト検出処理がRAW等を用いて行われ、PBA(c)がディフェクトであると判断された場合、ドライブはスペア領域内の新たにディフェクト置換領域として使用可能なPBAを検索する。決定されたスペア領域内のPBA(b)にユーザ情報(N)を再度書き込み、上書き専用スペア領域内で行った作業と同様、記録したデータを再生、ディフェクト認定条件を満たすかどうかの確認が行われ、ディフェクトでないと判断できたら「LBA(n)に対応するユーザ領域内のPBA(a)はスペア領域内のPBA(b)に置き換えた」、または間接的に「LBA(n)に対応するユーザ領域内のPBA(a)は上書き用スペア領域内のPBA(c)に置換された、且つ上書き専用スペア領域内のPBA(c)はスペア領域内のPBA(b)に置換された」といったアドレス対応情報を“領域管理テーブル”、“領域管理ヘッダ”に登録、更新する。
【0071】
図21は上書き用スペア領域に対してもスペア領域同様のディフェクト処理を適用した場合の光ディスク上のデータ配置を示している。
【0072】
上位装置から送信されるユーザ情報のユーザ領域内の記録済領域への(上書き)記録要求に対して、ドライブはLBA(n)に対応するユーザ領域内の物理アドレス(PBA(a))が記録済領域であることを記録状態管理情報から判断して、上書き用スペア領域内の未記録領域を記録状態管理情報から検索する。このとき上書き用スペア領域内にPBA(c)を含む未記録領域が検出できた場合、ユーザ情報(N)をPBA(c)に記録し、LBA(n)に対応するユーザ領域内のPBA(a)は上書き用スペア領域内のPBA(c)に置換されたことを示すアドレス対応情報を“領域管理テーブル”、“領域管理ヘッダ”に登録、更新する。この際、PBA(c)に対するディフェクト検出処理がRAW等を用いて行われ、PBA(c)がディフェクトであると判断された場合、上書き用スペア領域内の他の未記録領域を再度記録状態管理情報か検索する。次の記録領域として決定されたPBA(b)にメモリ内のユーザ情報(N)を再び記録、再生、そしてディフェクト判断処理される。そこでディフェクトとして取り扱う必要がないと判断された場合、LBA(n)に対応するユーザ領域内のPBA(a)は上書き用スペア領域内のPBA(c)に置換されたことを示すアドレス対応情報を“領域管理テーブル”から削除し、新たにLBA(n)に対応するユーザ領域内のPBA(a)は上書き用スペア領域内のPBA(b)に置換されたことを示すアドレス対応情報を、“領域管理テーブル”、“領域管理ヘッダ”に登録、更新する。
【0073】
次に、このアドレス対応情報がどのように領域管理テーブルに登録される、また領域管理テーブルで管理されるかを説明する。
【0074】
図22から図24は領域管理テーブルを構成するアドレス対応情報の構成を示す。
【0075】
図22において、図内の上部に位置する表は、下部に位置する2つの追記型光ディスクのデータ配置図が示すような“論理上書き”が発生した場合に作成されるアドレス対応情報を示している。このアドレス対応情報に図10で示したフラグを付加することでディフェクト処理同様、LBA(n)に含まれる一部データのみの論理上書きが可能となる。
【0076】
また図23、24においては、図内の下部に位置する2つの表は、上部に位置する2つの追記型光ディスクのデータ配置図が示すような“論理上書き”が発生した場合に適用されるアドレス対応情報の修正規則を示している。
【0077】
図22は論理上書きが発生した場合に作成されるアドレス対応情報を示す。上位装置からLBA(m)からLBA(n−1)に対する記録要求をドライブが受け取った際、それに対応するPBA(M)からPMA(N−1)は既に記録済であり、ドライブが上書き用スペア領域内の未記録領域PBA(S)からPBA(T−1)にLBA(m)からLBA(n−1)のユーザ情報を記録した場合、新たなアドレス対応情報として「PBA(M)とPBA(N−1)の間の各アドレスは、PBA(S)とPBA(T−1)の各アドレスに1対1に割り当てられている」といった内容を示すため、アドレス対応情報はユーザ領域内の「上書きが開始されたPBA」、それに対応する上書き用スペア領域内の「記録が開始されたPBA」、そしてユーザ領域内の「上書きが終了したPBA」、それに対応する上書き用スペア領域内の「記録が終了したPBA」から構成される。またアドレス対応情報の構成は「上書きが開始されたPBA」、それに対応する「記録が開始されたPBA」、そして「連続して論理上書きがおこなわれたアドレスの数」としたり、「先頭のLBA」、それに対応する「記録が開始されたPBA」、そして「最後尾のLBA」、それに対応する「記録が終了したPBA」としたり、「先頭のLBA」、それに対応する「記録が開始されたPBA」、そして「連続して論理上書きがおこなわれたアドレスの数」としても同様にアドレスの管理を行うことは可能である。
【0078】
次に領域管理テーブルがすでに論理上書きのためのアドレス対応情報を含んでいる状態で、新たに論理上書きによるアドレス対応情報が追加された場合に適用される領域管理テーブル縮のための規則について説明する。またここでは説明のため、領域管理テーブル内の各アドレス対応情報はリストの先頭に位置する「上書きが開始されたPBA」の小さい順に常に並び替えが行われるとものとする。
【0079】
図23は「PBA(L)からPBA(M−1)のユーザ情報がPBA(R)からPBA(S−1)に記録された」後に、PBA(M)からPBA(N−1)に論理上書きした場合のアドレス対応情報を示している。
【0080】
上位装置からLBA(m)からLBA(n−1)に対する記録要求をドライブが受け取った際、それに対応するPBA(M)からPBA(N−1)は既に記録済であるため、ドライブは上書き用スペア領域内の未記録領域PBA(S)からPBA(T−1)にLBA(m)からLBA(n−1)のユーザ情報を記録する。この場合、新たに「PBA(M)からPBA(N−1)のユーザ情報がPBA(S)からPBA(T−1)に記録された」といった情報をアドレス対応情報として領域管理テーブルに追加せず、領域管理テーブルの領域をできるだけ小さく抑える目的から、既存のアドレス対応情報の修正のみを行う。つまりアドレス対応情報を新たに追加する場合、このアドレス対応情報が挿入される位置の直前に位置する既存アドレス対応情報の「上書きが終了したPBA」、それに対応する「記録が終了したPBA」と追加するアドレス対応情報の「上書きが開始されたPBA」、それに対応する「記録が開始されたPBA」を比較し、その各々が連続する関係であった場合には、既存のアドレス対応情報を「PBA(L)からPBA(N−1)に記録されたユーザ情報はPBA(R)からPBA(T−1)に記録された」といったアドレス対応情報に修正される。
【0081】
図24は「PBA(L)からPBA(N−1)のユーザ情報がPBA(R)からPBA(T−1)に記録された」後に、記録済領域PBA(L)からPBA(N−1)内のPBA(M)からPBA(N−1)に論理上書きした場合のアドレス対応情報を示している。上位装置からLBA(m)からLBA(n−1)に対する記録要求をドライブが受け取った際、それに対応するPBA(M)からPBA(N−1)は既に記録済であるため、ドライブは上書き用スペア領域内の未記録領域PBA(P)からPBA(Q−1)にLBA(m)からLBA(n−1)のユーザ情報を記録する。この場合、新たに「PBA(M)からPBA(N−1)のユーザ情報がPBA(P)からPBA(Q−1)に記録された」といったアドレス対応情報を領域管理テーブルに追加するが、LBAとPBAを1対1に対応付ける必要性から、既存のアドレス対応情報の修正も合わせて行われる。つまりアドレス対応情報を新たに追加する場合、このアドレス対応情報が挿入される位置の直前に位置する既存アドレス対応情報の「上書きが開始されたPBA」及び「上書きが終了したPBA」と、追加アドレス対応情報の「上書きが開始されたPBA」及び「上書きが終了したPBA」を比較し、追加アドレス対応情報の「上書きが開始されたPBA」から「上書きが終了したPBA」の領域全体または一部が既存アドレス対応情報の「上書きが開始されたPBA」から「上書きが終了したPBA」に含まれる関係である場合には、既存のアドレス対応情報から「PBA(M)からPBA(N−1)に記録されたユーザ情報が記録された」と定義づけられている情報が削除される。図24の場合においては、追加アドレス対応情報の「上書きが開始されたPBA(M)」、「上書きが終了したPBA(N−1)」は既存アドレス対応情報の「上書きが開始されたPBA(L)」、「上書きが終了したPBA(N−1)」に全て含まれているため、既存アドレス対応情報の「上書きが終了したPBA」をPBA(M−1)に修正し、これに伴って、これに対応する「記録が終了したPBA」もPBA(T−1)からMとN−1の差を引いて求められるPBA(S−1)に修正される。
【0082】
図1は図15同様に上書き用スペア領域を含む追記型光ディスク記録処理と光ディスク上の領域の配置を示している。
【0083】
図15ではディフェクト処理用のスペア領域管理テーブルと論理上書き処理用の上書き用スペア領域管理テーブルを1つのテーブルで管理、または別のテーブルで同じ領域管理テーブルに記録する。しかしながら、図23、24を用いて説明したアドレス対応情報に関する規則を適用した場合、上書き用スペア領域管理テーブルのサイズは上書き用スペア領域サイズやユーザの使用方法により大きく変化する。
【0084】
この問題を解決するために図1が示すように上書き用スペア領域管理テーブルは上書き用スペア領域に記録し、有効である上書き用スペア領域内の上書き用スペア領域管理テーブルの先頭位置やサイズ等の情報を領域管理ヘッダに記録する。従って論理上書き処理は、上位装置からの「LBA(n)にユーザ情報(N)を記録」という命令に対し、ドライブはLBA(n)に対応するユーザ領域内の物理アドレス(PBA(a))の記録状態を記録状態管理情報から判断、PBA(a)を記録済であると判断した場合には、PBA(a)の代用となる上書き用スペア領域内の未記録領域を記録状態管理情報から検出し、その未記録領域にメモリに格納されたユーザ情報(N)を記録、その後再生を行い、ディフェクト認定条件を満たすかどうかの確認を行う。ここでディフェクトとして取り扱う必要がないと判断された場合、LBA(n)に対応するユーザ領域内のPBA(a)は上書き用スペア領域内のPBA(c)に置換されたといったアドレス対応情報を、スペア領域管理テーブル及び領域管理ヘッダに登録、それぞれを上書き用スペア領域、領域管理ヘッダ記録領域に記録する。また領域管理ヘッダの上書き用スペア領域内の記録領域はユーザ情報同様に記録状態管理情報から検索される。
【0085】
このように論理上書き処理されたユーザ領域内のPBAと上書き用スペア領域内のPBAとの対応が“領域管理ヘッダ、及び領域管理テーブル”、または“領域管理ヘッダ、及びスペア領域管理テーブルと上書き用スペア領域管理テーブル”によって管理され、LBAにPBAを対応付けた追記型光ディスクでは、図25が示すように再生時、上位装置からの再生要求に対して、その要求に含まれるLBAに対応するPBAは領域管理テーブルを参照して決定される。つまり再生要求されたLBAに対応するユーザ領域内のPBA(a)が領域管理テーブルに含まれない場合、PBA(a)からユーザ情報は読み出され、領域管理テーブルにPBA(a)が含まれる場合、領域管理テーブルのアドレス対応情報で対応付けられたPBAからユーザ情報は読み出される。
【0086】
文中に記載したディフェクト処理及び論理上書き処理に必要な記録、再生処理を実現するための光ディスク記録再生装置は新たな回路を追加することなく、図3のマイクロプロセッサの動作プログラムをそれぞれの技術に対応するように変更することで実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】“論理上書き”を実現する追記型光ディスクのデータ配置図である。
【図2】書換型又は追記型光ディスクの領域配置図である。
【図3】光ディスク記録再生装置図である。
【図4】“ディフェクト管理”を実現する書換型又は追記型光ディスクのデータ配置図である。
【図5】光ディスク記録再生装置の動作フロチャート図である。
【図6】DVD−RAMの物理的なデータ配置図である。
【図7】スペア領域管理ヘッダ及びスペア領域管理テーブルの配置方法を示す図である。
【図8】未記録領域を記録領域とした書換型又は追記型光ディスクのデータ配置図である。
【図9】記録済領域を記録領域とした書換型又は追記型光ディスクのデータ配置図である。
【図10】アドレス対応情報の構成を示す図である。
【図11】追記型光ディスク上の各アドレスの記録状態を表す記録状態管理情報を示す図である。
【図12】“論理上書き”を実現する追記型光ディスクのデータ配置図である。
【図13】追記型光ディスクの領域配置図である。
【図14】追記型光ディスク上の各アドレスの記録状態を表す記録状態管理情報を示す図である。
【図15】“論理上書き”を実現する追記型光ディスクのデータ配置図である。
【図16】追記型光ディスクの領域配置の変更を示す図である。
【図17】追記型光ディスクの領域配置の変更を示す図である。
【図18】追記型光ディスクの領域配置の変更を示す図である。
【図19】追記型光ディスクの領域配置の変更を示す図である。
【図20】上書き用スペア領域の “ディフェクト管理”を実現する追記型光ディスクのデータ配置図である。
【図21】上書き用スペア領域の “ディフェクト管理”を実現する追記型光ディスクのデータ配置図である。
【図22】アドレス対応情報の構成を示す図である。
【図23】アドレス対応情報に適用される規則を示す図である。
【図24】アドレス対応情報に適用される規則を示す図である。
【図25】“論理上書き”を実現する追記型光ディスクのデータ配置図である。
【符号の説明】
【0088】
2…光ヘッド、11…光ディスク、21…光スポット、22…光ビーム、23…対物レンズ、24…コリメタ−レンズ、25…レーザ、26…検出器、27…検出器、28…ビームスプリッタ、29…ホログラム素子、31…レンズアクチュエータ、41…信号再生ブロック。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アドレス情報、リードイン領域、ユーザ領域、上書き用スペア領域及びリードアウト領域を有することを特徴とする追記型記録媒体。
【請求項2】
前記上書き用スペア領域には前記ユーザ領域のアドレス単位の情報と前記上書き用スペア領域のアドレス単位の情報とを対応付けるアドレス対応情報を有することを特徴とする請求項1記載の記録媒体。
【請求項3】
前記リードイン領域には前記上書き用スペア領域に有する前記アドレス対応情報の位置情報を有することを特徴とする請求項2記載の記録媒体。
【請求項4】
前記ユーザ領域のアドレス単位の情報と前記上書き用スペア領域のアドレス単位の情報とを対応付けるアドレス対応情報を有することを特徴とする請求項1記載の記録媒体。
【請求項5】
前記上書き用スペア領域には前記アドレス対応情報を有することを特徴とする請求項4記載の記録媒体。
【請求項6】
前記アドレス対応情報は、前記上書き用スペア領域のアドレス単位の情報の一部を特定する情報を含むことを特徴とする請求項4記載の記録媒体。
【請求項7】
前記アドレス対応情報は、前記上書き用スペア領域のアドレス単位の情報がディフェクトである情報を含むことを特徴とする請求項4記載の記録媒体。
【請求項8】
アドレス情報、リードイン領域、ユーザ領域、スペア領域及びリードアウト領域を有し、前記リードイン領域には前記ユーザ領域のアドレス単位の情報と前記スペア領域のアドレス単位の情報とを対応付けるアドレス対応情報を有し、更に、前記リードイン領域には前記ユーザ領域の前記アドレス単位の情報の一部と前記スペア領域の前記アドレス単位の情報の一部とを対応付けるアドレス部分対応情報を有する記録媒体。
【請求項9】
アドレス情報、リードイン領域、ユーザ領域、スペア領域及びリードアウト領域を有し、前記リードイン領域には前記ユーザ領域のアドレス単位の情報と前記スペア領域のアドレス単位の情報とを対応付けるアドレス対応情報を有し、更に、前記リードイン領域には前記スペア領域のアドレス単位の情報についてディフェクトの有無を示す情報を有する記録媒体。
【請求項10】
アドレス情報、リードイン領域、ユーザ領域、スペア領域及びリードアウト領域を有する追記型記録媒体の記録装置であって、 前記ユーザ領域のアドレス単位の情報と前記スペア領域のアドレス単位の情報との関係はアドレス対応情報によって管理され、上位装置からのユーザ情報の記録要求に対し、記録要求されたアドレスが記録済である場合にも、ユーザ情報を記録した後、記録したユーザ情報を再生、ディフェクトとして判断して、記録要求されたユーザ情報をスペア領域の未記録領域に記録し、アドレス対応情報を更新することを特徴とする追記型記録媒体の記録装置。
【請求項11】
アドレス情報、リードイン領域、ユーザ領域、スペア領域及びリードアウト領域を有する追記型記録媒体の記録装置であって、 前記ユーザ領域のアドレス単位の情報と前記スペア領域のアドレス単位の情報との関係はアドレス対応情報によって管理され、上位装置からのユーザ情報の記録要求に対し、記録要求されたアドレスが記録済であるか否かを、再生信号を用いて判断し、記録済であると判断した場合には記録要求されたユーザ情報をスペア領域の未記録領域に記録し、アドレス対応情報を更新することを特徴とする追記型記録媒体の記録装置。
【請求項12】
アドレス情報、リードイン領域、ユーザ領域、スペア領域及びリードアウト領域を有する追記型記録媒体の記録装置であって、 前記ユーザ領域は記録状態管理情報によって記録済アドレスが管理され、前記ユーザ領域のアドレス単位の情報と前記スペア領域のアドレス単位の情報との関係はアドレス対応情報によって管理され、上位装置からのユーザ情報の記録要求に対し、記録状態管理情報から記録要求されたアドレスが記録済であることが検出された場合、リアルタイムに記録する必要があるユーザ情報の記録要求であるときには上位装置にエラーを送信し、リアルタイムに記録する必要がないユーザ情報の記録要求であるときには記録要求されたユーザ情報をスペア領域の未記録領域に記録し、アドレス対応情報を更新することを特徴とする追記型記録媒体の記録装置。
【請求項13】
前記スペア領域と前記ユーザ領域との関係を示す前記アドレス対応情報は、前記アドレス対応情報を構成するデータを用いて並び替え、前後に並ぶ2つ以上のアドレス対応情報の内、前に並ぶアドレス対応情報に含まれるユーザ領域内のアドレスとスペア領域内のアドレスと、後ろに並ぶアドレス対応情報に含まれるユーザ領域内のアドレスとスペア領域内のアドレスとを比較して、1つのアドレス対応情報にすることを特徴とする請求項12記載の追記型記録媒体の記録装置。
【請求項14】
前記スペア領域と前記ユーザ領域との関係を示す前記アドレス対応情報は、前記アドレス対応情報を構成するデータを用いて並び替え、前後に並ぶ2つ以上のアドレス対応情報の内、既存のアドレス対応情報に含まれるユーザ領域内のアドレスと、追加されたアドレス対応情報に含まれるユーザ領域内のアドレスとを比較して、既存のアドレス対応情報に含まれるユーザ領域内のアドレスが追加されたアドレス対応情報に含まれるユーザ領域内のアドレスの一部を含む場合には既存のアドレス対応情報から追加されたアドレス対応情報に含まれるユーザ領域内のアドレスに関する情報を除くように既存のアドレス対応情報を更新することを特徴とする請求項12記載の追記型記録媒体の記録装置。
【請求項15】
アドレス情報、リードイン領域、ユーザ領域、スペア領域、上書き用スペア領域及びリードアウト領域を有する追記型記録媒体の記録装置にであって、
前記ユーザ領域及び前記上書き用スペア領域は記録状態管理情報によって記録済アドレスが管理され、前記ユーザ領域のアドレス単位の情報と前記上書き用スペア領域のアドレス単位の情報との関係はアドレス対応情報によって管理され、上位装置からのユーザ情報の記録要求に対し、記録状態管理情報から記録要求されたアドレスが記録済であることが検出された場合、記録要求されたユーザ情報を記録状態管理情報から検出された上書き用スペア領域の未記録領域に記録し、アドレス対応情報を更新することを特徴とする追記型記録媒体の記録装置。
【請求項16】
前記ユーザ領域と上前記書き用スペア領域との関係を示す前記アドレス対応情報は、前記アドレス対応情報を構成するデータを用いて並び替え、前後に並ぶ2つ以上のアドレス対応情報の内、前に並ぶアドレス対応情報に含まれるユーザ領域内のアドレスと上書き用スペア領域内のアドレスと、後ろに並ぶアドレス対応情報に含まれるユーザ領域内のアドレスと上書き用スペア領域内のアドレスとを比較して1つのアドレス対応情報にすることを特徴とする請求項15記載の追記型記録媒体の記録装置。
【請求項17】
前記ユーザ領域と前記上書き用スペア領域との関係を示す前記アドレス対応情報は、前記アドレス対応情報を構成するデータを用いて並び替え、前後に並ぶ2つ以上のアドレス対応情報の内、既存のアドレス対応情報に含まれるユーザ領域内のアドレスと追加されたアドレス対応情報に含まれるユーザ領域内のアドレスとを比較して、既存のアドレス対応情報に含まれるユーザ領域内のアドレスが追加されたアドレス対応情報に含まれるユーザ領域内のアドレスの一部を含む場合には、既存のアドレス対応情報から追加されたアドレス対応情報に含まれるユーザ領域内のアドレスに関する情報を除くように既存のアドレス対応情報を更新することを特徴とする請求項15記載の追記型記録媒体の記録装置。
【請求項18】
アドレス情報、リードイン領域、スペア領域、ユーザ領域、上書き用スペア領域及びリードアウト領域を有する記録媒体の再生装置において、
前記ユーザ領域のアドレス単位の情報と前記上書き用スペア領域のアドレス単位の情報との関係はアドレス対応情報によって管理され、上位装置からのユーザ情報の再生要求に対し、再生要求されたユーザ領域内のアドレスがアドレス対応情報に含まれ、アドレス対応情報から対応する上書き用スペア領域内のアドレスが検出可能である場合には、その上書き用スペア領域内のアドレスに記録されたユーザ情報を再生することを特徴とする再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2009−21008(P2009−21008A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−240193(P2008−240193)
【出願日】平成20年9月19日(2008.9.19)
【分割の表示】特願2004−3603(P2004−3603)の分割
【原出願日】平成16年1月9日(2004.1.9)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】