説明

記録媒体、記録装置及び方法、記録再生装置及び方法、並びにコンピュータプログラム

【課題】再生専用エリア及び記録可能エリアを備えつつも、記録可能エリアに記録されたデータの不本意な消去ないしは上書きを防止する。
【解決手段】記録媒体は、再生専用エリア(20、203)と、データを記録可能な記録可能エリア(21、213)とを備えており、再生専用エリアには、記録可能エリアへの特定のデータ(271)の記録が許可されている記録装置を識別するための識別情報(260、261)が記録されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばDVDやBlu−ray Disc等の記録媒体、当該記録媒体に対して記録動作を行う記録装置及び方法、当該記録媒体に対して記録動作及び再生動作を行う記録再生装置及び方法、並びにコンピュータをこのような記録装置又は記録再生装置として機能させるコンピュータプログラムの技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、CD、DVD、Blu−ray Disc(BD)等の記録媒体では、同一基板上に複数の記録層が積層されてなる多層型の記録媒体が開発されている。より具体的には、再生専用型の記録層が積層されている多層型のDVD−ROMやBD−ROM、記録可能型(具体的には、追記型)の記録層が積層されている多層型のDVD−RやBD−R、及び記録可能型(具体的には、書換型)の記録層が積層されている多層型のDVD−RWやBD−REが開発されている。
【0003】
一方で、特許文献1に開示されているように、同一の規格に準拠した異なる種類の複数の記録層が積層されている記録媒体(いわゆる、イントラハイブリッドディスク)の開発も進められている。このようなイントラハイブリッドディスクとしては、BD規格に準拠した再生専用型の記録層とBD規格に準拠した書換型の記録層とが積層された記録媒体や、DVD規格に準拠した再生専用型の記録層とDVD規格に準拠した書換型の記録層とが積層された記録媒体等が一例としてあげられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−56543号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このようなイントラハイブリッドディスクは、例えば、写真やイラスト等のデータを再生専用型の記録層に予め記録した状態で販売されることが想定されている。他方で、イントラハイブリッドディスクの記録可能型の記録層は、例えば、通常の記録可能型の光ディスクと同様に取り扱われることが想定されている。従って、イントラハイブリッドディスクがローディングされる記録装置は、再生専用型の記録層に予め記録されたデータを読み取るないしは再生したり、記録可能型の記録層に任意のデータを記録したり、記録可能型の記録層に記録した任意のデータを読み取るないしは再生したりすることができる。
【0006】
記録可能型の記録層には、任意のデータとして、記録装置に独自のないしは固有のデータを記録することができる。例えば、記録可能型の記録層に記録されている通常のデータ(或いは、共通のデータ)のうちの一部を特定するないしは参照する又は利用する独自のデータを記録することができる。より具体的には、例えば、記録可能型の記録層には、AVコンテンツデータを記録すると共に、当該AVコンテンツデータの一部を特定する(例えば、ダイジェスト再生する)ための独自のデータを記録することができる。
【0007】
しかしながら、このような通常のデータに加えて独自のデータを記録可能型の記録層に記録する用途を想定した場合、以下に示す技術的な問題が生じてしまいかねない。
【0008】
具体的には、上述した独自のデータは、当該独自のデータを記録した記録装置に固有のデータである。従って、当該独自のデータを記録した記録装置以外の他の記録装置は、独自のデータを読み取ることができない場合がある。つまり、当該独自のデータを記録した記録装置以外の他の記録装置は、記録可能型の記録層に記録されている通常のデータの一部が独自のデータによって特定されているないしは参照されている又は利用されていることを認識することができない場合がある。このため、当該イントラハイブリッドディスクが他の記録装置にローディングされた場合には、他の記録装置は、記録可能型の記録層に対してデータを記録する際に、独自のデータが特定するないしは参照する又は利用する通常のデータの一部を消去ないしは上書きしてしまいかねない。この場合、当該イントラハイブリッドディスクが独自のデータを記録した記録装置に再度ローディングされた場合には、独自のデータが特定するないしは参照する又は利用する通常のデータの一部が消去ないしは上書きされているため、独自のデータを用いた動作が適切に実行されなくなってしまう。
【0009】
尚、上述した技術的な問題点は、イントラハイブリッドディスクに限らず、再生専用型のエリア(再生専用エリア)と記録可能型のエリア(記録可能エリア)とを含む記録媒体においても生じ得る。
【0010】
本発明は、例えば上述した従来の問題点に鑑みなされたものであり、例えば再生専用エリア及び記録可能エリアを備えつつも、記録可能エリアに記録されたデータの不本意な消去ないしは上書きを防止することが可能な記録媒体、このような記録媒体に対する記録動作を行う記録装置及び方法、このような記録媒体に対する記録動作及び再生動作を行う記録再生装置及び方法、並びにコンピュータをこのような記録装置又は記録再生装置として動作させるコンピュータプログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題は、再生専用エリアと、データを記録可能な記録可能エリアとを備えており、前記再生専用エリアには、前記記録可能エリアへの特定のデータの記録が許可されている記録装置を識別するための識別情報が記録されている記録媒体によって解決され得る。
【0012】
上記課題は、上述の記録媒体に対する記録動作を行う記録装置であって、前記再生専用エリアに記録されている前記識別情報を読み取る読取手段と、前記読取手段により読み取られる前記識別情報及び当該記録装置の識別情報の双方に基づいて、当該記録装置が、前記記録可能エリアへの前記特定のデータの記録が許可されている記録装置であるか否かを判定する判定手段と、当該記録装置が、前記記録可能エリアへの前記特定のデータの記録が許可されている記録装置であると判定される場合に、前記記録可能エリアに前記特定のデータを記録する記録手段とを備える記録装置によって解決され得る。
【0013】
上記課題は、上述の記録媒体に対する記録動作を行う記録方法であって、前記再生専用エリアに記録されている前記識別情報を読み取る読取工程と、前記読取工程において読み取られる前記識別情報及び当該記録方法を実行する記録装置の識別情報の双方に基づいて、当該記録装置が、前記記録可能エリアへの前記特定のデータの記録が許可されている記録装置であるか否かを判定する判定工程と、当該記録装置が、前記記録可能エリアへの前記特定のデータの記録が許可されている記録装置であると判定される場合に、前記記録可能エリアに前記特定のデータを記録する記録工程とを備える記録方法によって解決され得る。
【0014】
上記課題は、上述の記録装置と、前記記録媒体に対する再生動作を行う再生手段とを備える記録再生装置によって解決され得る。
【0015】
上記課題は、上述の記録方法と、前記記録媒体に対する再生動作を行う再生工程とを備える記録再生方法によって解決され得る。
【0016】
上記課題は、上述の記録装置に備えられたコンピュータを制御するコンピュータプログラムであって、該コンピュータを、前記読取手段、前記判定手段及び前記記録手段として機能させるコンピュータプログラムによって解決され得る。
【0017】
上記課題は、上述の記録再生装置に備えられたコンピュータを制御するコンピュータプログラムであって、該コンピュータを、前記記録装置及び前記再生手段として機能させるコンピュータプログラムによって解決され得る。
【0018】
本発明の作用及び他の利得は次に説明する実施の形態から明らかにされよう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施例に係る光ディスクの構造を示した概略平面図である。
【図2】本実施例に係る光ディスクの構造を示した概略平面図であり、該光ディスクの半径方向における記録領域構造の図式的概念図である。
【図3】光ディスク上のデータ構造を示すデータ構造図である。
【図4】識別子データのデータ構造を示すデータ構造図である。
【図5】本実施例の記録再生装置の構成を概念的に示すブロック図である。
【図6】本実施例の記録再生装置の動作の流れを概念的に示すフローチャートである。
【図7】比較例の記録再生装置の動作によって生ずる光ディスク上のデータ構造を示すデータ構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、記録媒体、記録装置及び方法、記録再生装置及び方法、並びにコンピュータプログラムの実施形態の説明を進める。
【0021】
(記録媒体の実施形態)
記録媒体の実施形態は、再生専用エリアと、データを記録可能な記録可能エリアとを備えており、前記再生専用エリアには、前記記録可能エリアへの特定のデータの記録が許可されている記録装置を識別するための識別情報が記録されている。
【0022】
記録媒体の実施形態によれば、データの再生が可能な再生専用エリアと、データの記録及び再生が可能な記録可能エリアとを備えている。尚、再生専用エリア及び記録可能エリアが同一の記録層上に配置されていてもよいし、夫々異なる記録層上に配置されていてもよい。再生専用エリアには、例えばエンボスピット等を用いて所定のデータが予め記録されている。つまり、再生専用エリアには、例えば後述の記録装置によってデータを記録することができないことが好ましい。記録可能エリアには、任意のデータが記録される。つまり、記録可能エリアには、例えば後述の記録装置によって、任意のデータが追記されてもよいし、上書きされてもよい。
【0023】
本実施形態の記録媒体では、再生専用エリアには、識別情報が予め記録されている。識別情報は、記録可能エリアへの特定のデータの記録が許可されている記録装置を識別するための情報である。言い換えれば、識別情報は、記録可能エリアへの特定のデータの記録が禁止されている記録装置を識別するための情報である。
【0024】
このため、記録媒体をローディングした記録装置は、識別情報を参照することで、記録可能エリアへの特定のデータの記録が許可されているか否かを判定することができる。従って、記録可能エリアへの特定のデータの記録が許可されている記録装置は、記録可能エリアに対して特定のデータを記録することができる。他方で、記録可能エリアへの特定のデータの記録が許可されていない記録装置は、記録可能エリアに対して特定のデータを記録することができない。このため、本実施形態の記録媒体によれば、例えば記録可能エリアに記録されているデータ(例えば、特定のデータ)の不本意な消去ないしは上書きを防ぐことができる。
【0025】
本実施形態の記録媒体の他の態様では、前記記録可能エリアへ記録される前記特定のデータがAVコンテンツである。
【0026】
この態様によれば、後に詳述するように、特定のデータであるAVコンテンツの不本意な消去ないしは上書きを防ぐことができる。
【0027】
本実施形態の記録媒体の他の態様では、前記識別情報は、前記記録装置が使用するファイルシステムによって認識可能なファイルとして記録されている。
【0028】
この態様によれば、記録装置というハードウェアからの識別情報の読み取りのみならず、記録装置を実現するソフトウェアからの識別情報の読み取りも好適に行われる。従って、記録装置がハードウェアから構成されているか又はソフトウェアから構成されているかに関わらず、記録可能エリアに記録されているデータ(例えば、特定のデータ)の不本意な消去ないしは上書きを防ぐことができる。
【0029】
本実施形態の記録媒体の他の態様では、前記識別情報は、前記記録装置の製造者を識別する製造者識別情報と、前記製造者毎に前記記録装置を識別する装置識別情報とを含む。
【0030】
この態様によれば、製造者識別情報を読み取ることで記録装置の製造者を迅速に識別することができる。従って、記録装置の識別を相対的に迅速に行うことができる。加えて、装置識別情報を読み取ることで識別された製造者内での記録装置を迅速に識別することができる。このため、他の製造者との間での装置識別情報の重複を考慮することなく、同一製造者内での自由な装置識別情報の割り当てが可能になると共に、同一製造者内での記録装置のグループ分けが容易になる。
【0031】
(記録装置の実施形態)
記録装置の実施形態は、本実施形態の記録媒体(但し、その各種態様を含む)に対する記録動作を行う記録装置であって、前記再生専用エリアに記録されている前記識別情報を読み取る読取手段と、前記読取手段により読み取られる前記識別情報及び当該記録装置の識別情報の双方に基づいて、当該記録装置が、前記記録可能エリアへの前記特定のデータの記録が許可されている記録装置であるか否かを判定する判定手段と、当該記録装置が、前記記録可能エリアへの前記特定のデータの記録が許可されている記録装置であると判定される場合に、前記記録可能エリアに前記特定のデータを記録する記録手段とを備える。
【0032】
記録装置の実施形態によれば、再生専用エリアに予め記録されている識別情報(つまり、読取手段が読み取った識別情報)と記録装置自身の識別情報とを参照する(例えば、比較する)ことで、記録可能エリアへの特定のデータの記録が許可されているか否かを判定することができる。従って、記録装置は、記録可能エリアへの特定のデータの記録が許可されていると判定される場合に、記録可能エリアに対して特定のデータを記録することができる。他方で、記録装置は、記録可能エリアへの特定のデータの記録が許可されていない記録装置は、記録可能エリアに対して特定のデータを記録することができない。このため、例えば記録可能エリアに記録されているデータ(例えば、特定のデータ)の不本意な消去ないしは上書きを防ぐことができる。
【0033】
尚、上述した記録媒体の実施形態における各種態様に対応して、本発明の記録装置の実施形態も各種態様を採ることが可能である。
【0034】
本実施形態の記録装置の他の態様では、当該記録装置が、前記記録可能エリアへの前記特定のデータの記録が許可されている記録装置でないと判定される場合に、前記記録手段は、前記記録可能エリアに前記特定のデータを記録しない。
【0035】
この態様によれば、記録装置は、記録可能エリアへの特定のデータの記録が許可されていないと判定される場合には、記録可能エリアに対して特定のデータを記録することができない。このため、例えば記録可能エリアに記録されているデータ(例えば、特定のデータ)の不本意な消去ないしは上書きをより好適に防ぐことができる。
【0036】
(記録方法の実施形態)
記録方法の実施形態は、上述の記録媒体の実施形態(但し、その各種態様を含む)に対する記録動作を行う記録方法であって、前記再生専用エリアに記録されている前記識別情報を読み取る読取工程と、前記読取工程において読み取られる前記識別情報及び当該記録方法を実行する記録装置の識別情報の双方に基づいて、当該記録装置が、前記記録可能エリアへの前記特定のデータの記録が許可されている記録装置であるか否かを判定する判定工程と、当該記録装置が、前記記録可能エリアへの前記特定のデータの記録が許可されている記録装置であると判定される場合に、前記記録可能エリアに前記特定のデータを記録する記録工程とを備える、
記録方法の実施形態によれば、上述した記録装置の実施形態が享受することができる各種効果と同様の効果を享受することができる。
【0037】
尚、上述した記録装置の実施形態における各種態様に対応して、記録方法の実施形態も各種態様を採ることが可能である。
【0038】
(記録再生装置の実施形態)
記録再生装置の実施形態は、上述した実施形態の記録装置(但し、その各種態様を含む)と、前記記録媒体に対する再生動作を行う再生手段とを備える。
【0039】
記録再生装置の実施形態によれば、上述した記録装置の実施形態が享受することができる各種効果と同様の効果を享受しながら、記録媒体に対する再生動作をも実行することができる。
【0040】
尚、上述した記録装置の実施形態における各種態様に対応して、記録再生装置の実施形態も各種態様を採ることが可能である。
【0041】
(記録再生方法の実施形態)
記録再生方法の実施形態は、上述した実施形態の記録方法(但し、その各種態様を含む)と、前記記録媒体に対する再生動作を行う再生工程とを備える。
【0042】
記録再生方法の実施形態によれば、上述した記録方法の実施形態が享受することができる各種効果と同様の効果を享受しながら、記録媒体に対する再生動作をも実行することができる。
【0043】
尚、上述した記録方法の実施形態における各種態様に対応して、記録再生方法の実施形態も各種態様を採ることが可能である。
【0044】
(コンピュータプログラムの実施形態)
コンピュータプログラムの第1実施形態は、上述した記録装置の実施形態(但し、その各種態様を含む)に備えられたコンピュータを制御するコンピュータプログラムであって、該コンピュータを、前記読取手段、前記判定手段及び前記記録手段として機能させる。
【0045】
コンピュータプログラムの第1実施形態によれば、当該コンピュータプログラムを格納するROM、CD−ROM、DVD−ROM、ハードディスク等の記録媒体から、当該コンピュータプログラムをコンピュータに読み込んで実行させれば、或いは、当該コンピュータプログラムを、通信手段を介してコンピュータにダウンロードさせた後に実行させれば、上述した記録装置の実施形態を比較的簡単に実現できる。
【0046】
尚、上述した記録装置の実施形態における各種態様に対応して、コンピュータプログラムの第1実施形態も各種態様を採ることが可能である。
【0047】
コンピュータプログラムの第2実施形態は、上述した記録再生装置の実施形態(但し、その各種態様を含む)に備えられたコンピュータを制御するコンピュータプログラムであって、該コンピュータを、前記記録装置及び前記再生手段として機能させる。
【0048】
コンピュータプログラムの第2実施形態によれば、当該コンピュータプログラムを格納するROM、CD−ROM、DVD−ROM、ハードディスク等の記録媒体から、当該コンピュータプログラムをコンピュータに読み込んで実行させれば、或いは、当該コンピュータプログラムを、通信手段を介してコンピュータにダウンロードさせた後に実行させれば、上述した記録再生装置の実施形態を比較的簡単に実現できる。
【0049】
尚、上述した記録再生装置の実施形態における各種態様に対応して、コンピュータプログラムの第2実施形態も各種態様を採ることが可能である。
【0050】
(コンピュータプログラム製品の実施形態)
コンピュータプログラム製品の第1実施形態は、上述した記録装置の実施形態(但し、その各種態様を含む)に備えられたコンピュータにより実行可能なプログラム命令を明白に具現化し、該コンピュータを、前記読取手段、前記判定手段及び前記記録手段として機能させる。
【0051】
コンピュータプログラム製品の第1実施形態によれば、当該コンピュータプログラム製品を格納するROM、CD−ROM、DVD−ROM、ハードディスク等の記録媒体から、当該コンピュータプログラム製品をコンピュータに読み込めば、或いは、例えば伝送波である当該コンピュータプログラム製品を、通信手段を介してコンピュータにダウンロードすれば、上述した記録装置の実施形態を比較的容易に実施可能となる。更に具体的には、当該コンピュータプログラム製品は、上述した記録装置の実施形態として機能させるコンピュータ読取可能なコード(或いはコンピュータ読取可能な命令)から構成されてよい。
【0052】
尚、上述した記録装置に係る実施形態における各種態様に対応して、コンピュータプログラム製品の第1実施形態も各種態様を採ることが可能である。
【0053】
コンピュータプログラム製品の第2実施形態は、上述した記録再生装置の実施形態(但し、その各種態様を含む)に備えられたコンピュータにより実行可能なプログラム命令を明白に具現化し、該コンピュータを、前記記録装置及び前記再生手段として機能させる。
【0054】
コンピュータプログラム製品の第2実施形態によれば、当該コンピュータプログラム製品を格納するROM、CD−ROM、DVD−ROM、ハードディスク等の記録媒体から、当該コンピュータプログラム製品をコンピュータに読み込めば、或いは、例えば伝送波である当該コンピュータプログラム製品を、通信手段を介してコンピュータにダウンロードすれば、上述した記録再生装置の実施形態を比較的容易に実施可能となる。更に具体的には、当該コンピュータプログラム製品は、上述した記録再生装置の実施形態として機能させるコンピュータ読取可能なコード(或いはコンピュータ読取可能な命令)から構成されてよい。
【0055】
尚、上述した記録再生装置に係る実施形態における各種態様に対応して、コンピュータプログラム製品の第2実施形態も各種態様を採ることが可能である。
【0056】
本実施形態のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施例から更に明らかにされよう。
【0057】
以上説明したように、記録媒体の実施形態は、再生専用エリアと記録可能エリアとを備えており、再生専用エリアには識別情報が記録されている。記録装置の実施形態は、読取手段と、判定手段と、記録手段とを備えている。記録装置の実施形態は、読取工程と、判定工程と、記録工程とを備えている。記録方法の実施形態は、読取工程と、判定工程と、記録工程とを備えている。記録再生装置の実施形態は、記録装置の実施形態と、再生手段とを備えている。記録再生方法の実施形態は、記録方法の実施形態と、再生工程とを備えている。コンピュータプログラムの第1実施形態は、コンピュータを記録装置の実施形態として機能させる。コンピュータプログラムの第2実施形態は、コンピュータを記録再生装置の実施形態として機能させる。従って、記録可能エリアに記録されたデータ(例えば、特定のデータ)の不本意な消去ないしは上書きを防止することができる。
【実施例】
【0058】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0059】
(1)記録媒体
初めに、図1から図4を参照して、記録媒体の実施例である光ディスク11について説明を進める。
【0060】
(1−1)光ディスクの構造
まず、図1及び図2を参照して、記録媒体の実施例である光ディスク11の構造について説明を進める。図1は、光ディスク11の構造を示した概略平面図である。図2は、光ディスク11の概略断面図と、これに対応付けられた、その半径方向における記録領域構造の図式的概念図である。
【0061】
図1及び図2に示すように、光ディスク11は、例えば、DVDと同じく直径12cm程度のディスク本体上の記録面に、センターホール22を中心として、リードインエリア201及び211、データエリア203及び213、並びにリードアウトエリア205及び215を備えている。光ディスク11は、カバー層23と透明基板24との間に記録層等が積層されている。この記録層の各記録領域には、例えば、センターホール22を中心にスパイラル状或いは同心円状に、例えば、グルーブトラック及びランドトラック等のトラックが交互に設けられている。また、このトラック上には、データがECCブロックという単位で分割されて記録される。ECCブロックは、記録情報がエラー訂正可能なデータ管理単位である。
【0062】
特に、光ディスク11は、図2に示すように、例えば、透明基板24に、「記録層」の一例を構成するROM層20及びRE層21が積層され、更にその上に透明なカバー層23が積層された構造をしている。このような2層型の光ディスク11の記録再生時には、図2中、下側から上側に向かって照射されるレーザ光LBの集光位置をいずれの記録層に合わせるかに応じて、ROM層20におけるデータの再生が行なわれるか又はRE層21におけるデータの記録再生が行われる。
【0063】
ROM層20は、内周側(図2中左側)から外周側(図2中右側)に向かって、リードインエリア201と、データエリア203と、リードアウトエリア205とを備えている。リードインエリア201には、データエリア203に予め記録されているデータを制御又は管理する制御データ又は管理データや、その他のダミーデータ等が予め記録されている。データエリア203には、任意のデータが予め記録されている。尚、データエリア203におけるデータ構造については、後に詳述する(図3から図4参照)。リードアウトエリア205には、データエリア203に予め記録されているデータを制御又は管理する制御データ又は管理データや、その他のダミーデータ等が予め記録されている。尚、ROM層20は、再生専用型の記録層であるため、リードインエリア201、データエリア203及びリードアウトエリア205の夫々には、例えばエンボスピットを用いて各種データが予め記録されている。
【0064】
RE層21は、内周側(図2中左側)から外周側(図2中右側)に向かって、リードインエリア211と、ISA(Inner Spare Area:内周側スペアエリア)212と、データエリア213と、OSA(Outer Spare Area:外周側スペアエリア)214と、リードアウトエリア215とを備えている。リードインエリア211には、データエリア213に記録されたデータを制御又は管理する制御データ又は管理データや、その他のダミーデータ等が適宜記録される。ISA212及びOSA214の夫々には、データエリア213内に発生したディフェクトを管理するディフェクト管理情報が適宜記録されたり、当該ディフェクトが発生したエリア部分に記録されていた又は記録されるべきデータが代替的に記録される。データエリア213には、任意のデータが適宜記録される。尚、データエリア213におけるデータ構造については、後に詳述する(図3から図4参照)。リードアウトエリア215には、データエリア213に記録されたデータを制御又は管理する制御データ又は管理データや、その他のダミーデータ等が適宜記録される。尚、RE層21は、書替型の記録層であるため、リードインエリア211、ISA212、データエリア213、OSA214及びリードアウトエリア215の夫々には、例えばレーザ光の照射によって形成されるマークを用いて各種データが記録される。
【0065】
本実施例では、光ディスク11は、同一ファミリーの規格に準拠し且つ異なる種類の複数の記録層が積層された光ディスク(いわゆる、イントラハイブリッドディスク)であることが好ましい。つまり、ROM層20が準拠するべき規格はRE層21が準拠するべき規格と同一ファミリー規格であることが好ましい。より具体的には、例えば、ROM層20がBD規格に準拠している場合には、RE層21もまたBD規格に準拠していることが好ましい。同様に、例えば、ROM層20がDVD規格に準拠している場合には、RE層21もまたDVD規格に準拠していることが好ましい。もちろん、BD規格やDVD規格に限らず、その他の規格に準拠している場合も同様である。尚、以下では、ROM層20及びRE層21の双方がBD規格に準拠している場合を例にあげて説明を進める。但し、光ディスク11は、異なるファミリーの規格に準拠し且つ異なる種類の複数の記録層が積層された光ディスク(いわゆる、インターハイブリッドディスク)であってもよい。
【0066】
また、本実施例では、光ディスク11が備える2つの記録層の種類が異なっていることが好ましい。但し、光ディスク11が備える2つの記録層の種類が同一であってもよい。尚、本実施例では、再生専用型の記録層であるROM層20と、データを複数回記録可能な書替型の記録層であるRE層21とを備えている光ディスク11を例にあげて説明を進める。但し、光ディスク11は、例えば再生専用型の記録層と、データを1回のみ記録可能な追記型の記録層とを備えていてもよい。或いは、光ディスク11は、データを1回のみ記録可能な追記型の記録層と、データを複数回記録可能な書換型の記録層とを備えていてもよい。
【0067】
尚、ROM層20におけるトラックパス方向は、RE層21におけるトラックパス方向と同一であってもよいし、異なっていてもよい。尚、本実施例では、ROM層20におけるトラックパス方向及びRE層21におけるトラックパス方向の夫々が、内周側から外周側に向かう方向である光ディスク11を例にあげて説明を進める。
【0068】
尚、図1及び図2に示す光ディスク11は、2つの記録層(つまり、ROM層20及びRE層21)を有している。しかしながら、光ディスク11は、3つ以上の記録層を有していてもよい。
【0069】
(1−2)具体的なデータ構造
続いて、図3を参照して、光ディスク11上の具体的なデータ構造について説明する。ここに、図3は、光ディスク11上のデータ構造を示すデータ構造図である。
【0070】
図3に示すように、ROM層20のデータエリア203には、ROMデータファイル250と、「識別情報」の一例であるレコーダ識別子ファイル260とが予め記録されている。
【0071】
ROMデータファイル250は、光ディスク11をローディングする記録再生装置1が再生する(言い換えれば、読み取る)データを含んでいる。図3に示す例では、ROMデータファイル250は、記録再生装置1が再生するデータとして、画像やイラスト等のJPEGデータ(言い換えれば、静止画データ)を含んでいる。
【0072】
レコーダ識別子ファイル260は、RE層21のデータエリア213に対する特定のデータの記録が許可されている又は禁止されている記録再生装置1を識別する識別子データ261を含んでいる。尚、特定のデータとしては、RE層21のデータエリア213に記録されているデータであって且つ不本意な消去ないしは上書きが好ましくないデータが一例としてあげられる。言い換えれば、特定のデータとしては、RE層21のデータエリアに213に記録されているデータであって且つ後述する独自メニューファイルによってその一部が特定されるデータが一例としてあげられる。尚、以下では、特定のデータの一例として、後述するBD−AVデータ271を用いて説明を進める。
【0073】
また、図3に示すように、RE層21のデータエリア21には、ユーザデータファイル270と、独自メニューファイル280とが適宜記録される。
【0074】
ユーザデータファイル270は、光ディスク11をローディングする記録再生装置1が再生する又は記録するデータを含んでいてもよい。例えば、図3に示す例では、ユーザデータファイル270は、光ディスク11をローディングする記録再生装置1が再生する又は記録するデータとして、BD−AVデータ(言い換えれば、AVコンテンツデータ)271を含んでいる。
【0075】
BD−AVデータ271は、例えばBD−AV規格に準拠したデータであって、MPEGデータ等の動画データ272と、当該動画データ272に関連する共通メニューであって且つ光ディスク11をローディングする記録再生装置1が共通して利用可能な共通メニューを示す共通メニューデータ273とを含んでいる。尚、共通メニューデータ273が示す共通メニューとしては、動画データ272に含まれるタイトル(言い換えれば、番組)を特定するメニュー等が一例としてあげられる。言い換えれば、共通メニューデータ273が示す共通メニューとしては、動画データ272にタイトル#1からタイトル#2(或いは、タイトル#n:但し、nは1以上の整数)が記録されていることを示すメニュー等が一例としてあげられる。
【0076】
独自メニューファイル280は、動画データ272に関連する独自メニューであって且つ独自メニューファイル280を記録した記録再生装置1に固有の(言い換えれば、独自の)独自メニューを示す。言い換えれば、独自メニューファイル280は、当該独自メニューファイル280を記録した記録再生装置1以外の他の記録再生装置1が利用することができない独自メニューを示す。尚、独自メニューファイル280が示す独自メニューの一例として、例えば、動画データ272が示す動画の一部分(例えば、動画の一シーンないしは静止画等)を特定するメニューが一例としてあげられる。より具体的には、独自メニューファイル280が示す独自メニューの一例として、例えば動画データ272が示す動画の特定の一部分をダイジェスト再生するためのメニューや、例えば動画データ272が示す動画に現れる特定の登場人物のシーンを再生するためのメニュー等が一例としてあげられる。このため、独自メニューファイル280は、動画データ272のうち独自メニューファイル280によって利用されるデータを特定するための部分再生データ281を含んでいる。例えば、部分再生データ281は、動画データ272の一部(例えば、図3に示すハッチング部分)を特定する情報(例えば、アドレス(例えば、開始アドレス及び終了アドレスの組み合わせ等))を含んでいる。このため、独自メニューを利用する記録再生装置1は、部分再生データ281を参照した後にRE層21のデータエリア213に記録されている動画データ272の一部を読み取ることで、独自メニューを利用することができる。
【0077】
本実施例では、レコーダ識別ファイル260中の識別子データ261と記録再生装置1の識別子との比較結果に応じて、RE層21のデータエリア213に対する特定のデータ(例えば、BD−AVデータ271)の記録が許可されたり或いは禁止されたりする。この動作については、図6に示すフローチャートを参照しながら後に詳述する。
【0078】
尚、上述したデータ構造は一例であって、ROM層20及びRE層21の夫々に上述したデータないしはファイル以外の他のデータないしは他のファイルが記録されてもよいことは言うまでもない。
【0079】
(1−3)識別子データのデータ構造
続いて、図4を参照して、図3に示す識別子データ261のデータ構造について説明する。ここに、図4は、識別子データ261のデータ構造を示すデータ構造図である。
【0080】
図4に示すように、識別子データ261は、複数の識別子レコード262を含んでいる。尚、図4は、識別子データ261が複数の識別子レコード262を含んでいる例を示しているが、識別子データ261がただ1つの識別子レコード262を含んでいてもよい。
【0081】
各識別子レコード262は、RE層21のデータエリア213に対するデータ(例えば、BD−AVデータ271)の記録が許可されている記録再生装置1の識別子を示す。但し、各識別子レコード262は、RE層21のデータエリア213に対するデータ(例えば、BD−AVデータ271)の記録が禁止されている記録再生装置1の識別子を示していてもよい。いずれにせよ、各識別子レコード262は、RE層21のデータエリア213に対するデータ(例えば、BD−AVデータ271)の記録が許可されている記録再生装置1を識別することができる情報を含んでいる。尚、以下では、識別子レコード262が、RE層21のデータエリア213に対するデータ(例えば、BD−AVデータ271)の記録が許可されている記録再生装置1の識別子を示す例を用いて説明を進める。
【0082】
各識別レコード262は、識別子長263と、メーカ識別子264と、装置識別子265とを含んでいる。
【0083】
識別子長263は、メーカ識別子264及び装置識別子265のデータサイズ(例えば、バイト数又はビット数)を示す。
【0084】
メーカ識別子264は、記録再生装置1の製造者(メーカ)に対して個別に割り当てられる識別子を示す。このため、メーカ識別子264は、RE層21のデータエリア213に対するデータ(例えば、BD−AVデータ271)の記録が許可されている記録再生装置1のメーカに対して個別に割り当てられる識別子を示す。但し、上述したように、RE層21のデータエリア213に対するデータ(例えば、BD−AVデータ271)の記録が許可されている記録再生装置1を識別することができればよいことを考慮すれば、メーカ識別子264は、RE層21のデータエリア213に対するデータ(例えば、BD−AVデータ271)の記録が禁止されている記録再生装置1のメーカに対して個別に割り当てられる識別子を示していてもよい。尚、異なる複数のメーカに対しては、夫々異なるメーカ識別子264が割り当てられる。
【0085】
装置識別子265は、記録再生装置1の製造者(メーカ)内で、記録再生装置1に対して独自に割り当てられる識別子を示す。このため、装置識別子265は、RE層21のデータエリア213に対するデータ(例えば、BD−AVデータ271)の記録が許可されている記録再生装置1に対して、当該記録再生装置1のメーカ内で独自に割り当てられる識別子を示す。但し、上述したように、RE層21のデータエリア213に対するデータ(例えば、BD−AVデータ271)の記録が許可されている記録再生装置1を識別することができればよいことを考慮すれば、装置識別子265は、RE層21のデータエリア213に対するデータ(例えば、BD−AVデータ271)の記録が禁止されている記録再生装置1に対して、当該記録再生装置1のメーカ内で独自に割り当てられる識別子を示していてもよい。尚、異なる複数のメーカの夫々の記録再生装置1に対しては、同一の装置識別子265が割り当てられることもあり得る。但し、異なる複数のメーカの夫々の記録再生装置1のメーカ識別子264が異なるため、両者の記録再生装置1を識別することは可能である。
【0086】
尚、図4に示す識別子データ261のデータ構造は一例であることは言うまでもない。従って、識別子データ261は、図4に示す例とは異なるデータ構造を有していてもよい。例えば、識別子データ261は、メーカ識別子264及び装置識別子265を区別することなく、各記録再生装置1に固有の1つの識別子を含んでいてもよい。
【0087】
(2)記録再生装置
(2−1)記録再生装置の構成
続いて、図5を参照して、記録装置及び記録再生装置の実施例としての記録再生装置1の構成について説明を進める。ここに、図5は、本実施例の記録再生装置1の構成を概念的に示すブロック図である。尚、記録再生装置1は、光ディスク11に各種データを記録する機能と、光ディスク11に記録された各種データを再生する機能とを備える。
【0088】
図5に示すように、記録再生装置1は、実際に光ディスク11がローディングされ且つデータの記録やデータの再生が行なわれるディスクドライブ300と、該ディスクドライブ300に対するデータの記録及び再生を制御するパーソナルコンピュータ等のホストコンピュータ400とを備えている。
【0089】
ディスクドライブ300は、光ディスク11、スピンドルモータ351、光ピックアップ352、信号記録再生手段353、CPU(ドライブ制御手段)354、メモリ355、データ入出力制御手段306、及びバス357を備えている。また、ホストコンピュータ400は、CPU359、メモリ360、操作/表示制御手段307、操作ボタン310、表示パネル311、データ入出力制御手段308、及びバス358を備えている。
【0090】
スピンドルモータ351は光ディスク11を回転及び停止させるもので、光ディスク11へのアクセス時に動作する。より詳細には、スピンドルモータ351は、図示しないサーボユニット等によりスピンドルサーボを受けつつ所定速度で光ディスク11を回転及び停止させるように構成されている。
【0091】
光ピックアップ352は、光ディスク11への記録再生を行うために、例えば半導体レーザ装置とレンズ等から構成される。より詳細には、光ピックアップ352は、光ディスク11に対してレーザービーム等の光ビームを、再生時には読み取り光として第1のパワーで照射し、記録時には書き込み光として第2のパワーで且つ変調させながら照射する。
【0092】
信号記録再生手段353は、CPU354及びCPU359と共に本発明における「読取手段」、「記録手段」及び「再生手段」の一具体例を構成しており、スピンドルモータ351と光ピックアップ352を制御することで光ディスク11に対して記録再生を行う。より具体的には、信号記録再生手段353は、例えば、レーザダイオードドライバ(LDドライバ)及びヘッドアンプ等によって構成されている。レーザダイオードドライバは、光ピックアップ352内に設けられた図示しない半導体レーザを駆動する。ヘッドアンプは、光ピックアップ352の出力信号、即ち、光ビームの反射光を増幅し、該増幅した信号を出力する。
【0093】
メモリ355は、記録再生データのバッファ領域や、信号記録再生手段353で使用出来るデータに変換する時の中間バッファとして使用される領域などディスクドライブ300におけるデータ処理全般及びOPC処理において使用される。また、メモリ355はこれらレコーダ機器としての動作を行うためのプログラム、即ちファームウェアが格納されるROM領域と、記録再生データの一時格納用バッファや、ファームウェアプログラム等の動作に必要な変数が格納されるRAM領域などから構成される。
【0094】
CPU(ドライブ制御手段)354は、信号記録再生手段353及びメモリ355と、バス357を介して接続され、各種制御手段に指示を行うことで、ディスクドライブ300全体の制御を行う。通常、CPU354が動作するためのソフトウェア又はファームウェアは、メモリ355に格納されている。
【0095】
データ入出力制御手段306は、ディスクドライブ300に対する外部からのデータ入出力を制御し、メモリ355上のデータバッファへの格納及び取り出しを行う。ディスクドライブ300とSCSIや、ATAPIなどのインタフェースを介して接続されている外部のホストコンピュータ400から発行されるドライブ制御命令は、データ入出力制御手段306を介してCPU354に伝達される。また、記録再生データも同様にデータ入出力制御手段306を介して、ホストコンピュータ400とやり取りされる。
【0096】
操作/表示制御手段307はホストコンピュータ400に対する動作指示受付と表示を行うもので、例えば記録又は再生といった操作ボタン310による指示をCPU359に伝える。
【0097】
CPU359は、「判定手段」の一具体例を構成しており、操作/表示制御手段307からの指示情報を元に、データ入出力手段308を介して、ディスクドライブ300に対して制御命令(コマンド)を送信し、ディスクドライブ300全体を制御する。同様に、CPU359は、ディスクドライブ300に対して、動作状態をホストに送信するように要求するコマンドを送信することができる。これにより、記録中や再生中といったディスクドライブ300の動作状態が把握できるためCPU359は、操作/表示制御手段307を介して蛍光管やLCDなどの表示パネル311にディスクドライブ300の動作状態を出力することができる。
【0098】
メモリ360は、ホストコンピュータ400が使用する内部記憶装置であり、例えばBIOS(Basic Input/Output System)等のファームウェアプログラムが格納されるROM領域、オペレーティングシステムや、アプリケーションプログラム等の動作に必要な変数等が格納されるRAM領域などから構成される。また、データ入出力制御手段308を介して、図示しないハードディスク等の外部記憶装置に接続されていてもよい。
【0099】
メモリ360には、記録再生装置1自身の識別子320が格納されている。但し、メモリ360以外の箇所に記録再生装置1自身の識別子320が格納されていてもよい。
【0100】
(3−2)記録再生装置の動作
続いて、図6を参照して、本実施例の記録再生装置1の動作について説明する。ここに、図6は、本実施例の記録再生装置1の動作の流れを概念的に示すフローチャートである。
【0101】
図6に示すように、初めに、光ディスク11が記録再生装置1にローディングされる(ステップS101)。
【0102】
続いて、CPU359の制御下で動作する信号記録再生手段353により、光ディスク11から、レコーダ識別子ファイル260に含まれる識別子データ261が取得される(ステップS102)。ステップS102の動作に続いて、並行して又は相前後して、CPU359の動作により、記録再生装置1のメモリ360から、記録再生装置1自身の識別子320(つまり、上述したメーカ識別子264及び装置識別子265を含む識別子320)が取得される(ステップS103)。
【0103】
続いて、CPU359の動作により、ステップS103において取得された識別子320が、ステップS102において取得された識別子データ261中に含まれているか否かが判定される(ステップS104)。つまり、ステップS103において取得された識別子320が、ステップS102において取得された識別子データ261中に含まれているメーカ識別子264及び装置識別子265の組み合わせと一致するか否かが判定される(ステップS104)。言い換えれば、ステップS103において取得された識別子320を有する記録再生装置1(つまり、光ディスク11をローディングした記録再生装置1)が、RE層21のデータエリア213に対する特定のデータ(例えば、BD−AVデータ271)の記録が許可されている記録再生装置1であるか否かが判定される(ステップS104)。
【0104】
ステップS104における判定の結果、ステップS103において取得された識別子320が、ステップS102において取得された識別子データ261中に含まれていると判定される場合には(ステップS104:Yes)、光ディスク11をローディングした記録再生装置1は、RE層21のデータエリア213に対するBD−AVデータ271の記録が許可されている記録再生装置1であると判定される。従って、CPU359の制御の下に、RE層21のデータエリア213に対するBD−AVデータ271の記録が許可される(ステップS105)。従って、記録再生装置1は、ROM層20記録されている任意のデータの再生及びRE層21に記録されている任意のデータの再生に加えて、RE層21に対するBD−AVデータ271の記録(更には、その他の任意のデータの記録)を行うことができる(ステップS106)。
【0105】
他方で、ステップS104における判定の結果、ステップS103において取得された識別子320が、ステップS102において取得された識別子データ261中に含まれていないと判定される場合には(ステップS104:No)、光ディスク11をローディングした記録再生装置1は、RE層21のデータエリア213に対するBD−AVデータ271の記録が許可されていない記録再生装置1であると判定される。従って、CPU359の制御の下に、RE層21のデータエリア213に対するBD−AVデータ271の記録が禁止される(ステップS107)。従って、記録再生装置1は、ROM層20記録されている任意のデータの再生及びRE層21に記録されている任意のデータの再生を行うことができる(ステップS108)。他方で、記録再生装置1は、RE層21に対するBD−AVデータ271の記録を行うことができない(ステップS106)。尚、記録再生装置1は、RE層21に対するBD−AVデータ271以外の他の任意のデータの記録もまた行うことができないことが好ましい。但し、記録再生装置1は、RE層21に対するBD−AVデータ271以外の他の任意のデータの記録を行ってもよい。
【0106】
以上説明したように、本実施例によれば、記録再生装置1は、識別子データ261を参照することで、RE層21のデータエリア213への特定のデータ(例えば、BD−AVデータ271)の記録が許可されているか否かを判定することができる。従って、記録再生装置1は、RE層21のデータエリア213へのBD−AVデータ271の記録が許可されていると判定された場合に、RE層21のデータエリア213に対してBD−AVデータ271を記録することができる。他方で、記録再生装置1は、RE層21のデータエリア213へのBD−AVデータ271の記録が許可されていると判定されない場合に、RE層21のデータエリア213に対してBD−AVデータ271を記録することができない。
【0107】
ここで、本実施例の比較例として、RE層21のデータエリア213へのBD−AVデータ271の記録が許可されているか否かを判定しない(或いは、識別子データ261が記録されていない記録媒体に対する記録動作を行う)記録再生装置の動作について、図7を参照しながら説明する。ここに、図7は、比較例の記録再生装置の動作によって生ずる光ディスク11上のデータ構造を示すデータ構造図である。
【0108】
比較例では、記録再生装置1自身がRE層21のデータエリア213へのBD−AVデータ271の記録が許可されているか否かが判定されない。このため、比較例の記録再生装置が光ディスク11をローディングした場合には、比較例の記録再生装置は、RE層21のデータエリア213に対してBD−AVデータ271を記録することができる。
【0109】
ここで、光ディスク11をローディングした比較例の記録再生装置が、独自メニューファイル280を記録した又は独自メニューファイル280を記録する機能を有する記録再生装置である場合について検討する。この場合、比較例の記録再生装置は、独自メニューファイル280を参照することができる。このため、比較例の記録再生装置は、独自メニューファイル280がBD−AVデータ271の一部(具体的には、動画データ272の一部)を特定していることを認識することができる。従って、比較例の記録再生装置は、独自メニューファイル280が特定しているBD−AVデータ271の一部の存在を考慮した上で、BD−AVデータ271を記録することができる。
【0110】
他方で、光ディスク11をローディングした比較例の記録再生装置が、独自メニューファイル280を記録していない又は独自メニューファイル280を記録する機能を有していない記録再生装置である場合について検討する。この場合、比較例の記録再生装置は、独自メニューファイル280を参照することができない。このため、比較例の記録再生装置は、独自メニューファイル280がBD−AVデータ271の一部(具体的には、動画データ272の一部)を特定していることを認識することができない。従って、比較例の記録再生装置は、独自メニューファイル280が特定しているBD−AVデータ271の一部の存在を考慮することなく、BD−AVデータ271を記録してしまいかねない。その結果、図7中の点線で示すように、独自メニューファイル280が特定しているBD−AVデータ271の一部(例えば、タイトル#1)が消去ないしは上書きされてしまいかねない。
【0111】
その後、図7に示す光ディスク11(つまり、独自メニューファイル280が特定しているBD−AVデータ271の一部が消去ないしは上書きされた光ディスク11)が、再度、独自メニューファイル280を記録した又は独自メニューファイル280を記録する機能を有する記録再生装置にローディングされたとする。この場合、記録再生装置は、独自メニューから再生しようとするが、タイトル#1が消去ないしは上書きされているため、独自メニューから正しく再生することができない。
【0112】
しかるに、本実施例では、上述したように、記録再生装置1は、RE層21のデータエリア213へのBD−AVデータ271の記録が許可されていると判定された場合に、RE層21のデータエリア213に対してBD−AVデータ271を記録することができる。言い換えれば、記録再生装置1は、RE層21のデータエリア213へのBD−AVデータ271の記録が許可されていると判定されない場合に、RE層21のデータエリア213に対してBD−AVデータ271を記録することができない。従って、図7に示すように、独自メニューファイル280が特定しているBD−AVデータ271の一部が不本意に消去ないしは上書きされてしまう技術的な不都合を好適に防止することができる。
【0113】
尚、上述した技術的効果を考慮すれば、本実施例では、独自メニューファイル280を記録した又は独自メニューファイル280を記録する機能を有する記録再生装置1が、RE層21のデータエリア213へのBD−AVデータ271の記録が許可されている記録再生装置であることが好ましい。他方で、独自メニューファイル280を記録していない又は独自メニューファイル280を記録する機能を有していない記録再生装置1が、RE層21のデータエリア213へのBD−AVデータ271の記録が許可されていない記録再生装置であることが好ましい。
【0114】
加えて、本実施例では、識別子データ261が、ファイルシステムによって認識可能なファイル(つまり、レコーダ識別ファイル260)として記録されている。従って、記録再生装置1がハードウェア装置から構成されている場合のみならず、記録再生装置1がソフトウェアから構成されている場合にも、識別子データ261を好適に読み取ることができる。つまり、記録再生装置1が、レコーダという1個のハードウェアから構成されている場合のみならず、光ディスクドライブとソフトウェア(パソコン上で実行されるソフトウェア)から構成される場合にも、識別子データ261を好適に読み取ることができる。従って、記録再生装置1がハードウェアから構成されているか又はソフトウェアから構成されているかに関わらず、RE層21のデータエリア213へのBD−AVデータ271の不本意な消去ないしは上書きを防止することができる。
【0115】
加えて、本実施例では、識別子データ261に含まれる各識別レコード262が、メーカ識別子264及び装置識別子265に分割されている。このため、記録再生装置1は、まずはメーカ識別子264を参照することで、記録再生装置1のメーカ単位でのBD−AVデータ272の記録が許可されているか否かを迅速に判定することができる。つまり、記録再生装置1は、記録再生装置1の識別を相対的に迅速に行うことができる。加えて、記録再生装置1は、装置識別子265を読み取ることで、同一メーカ内での記録再生装置1に的を絞った上でBD−AVデータ272の記録が許可されているか否かを迅速に判定することができる。しかも、他のメーカとの間での装置識別子265の重複を考慮することなく同一メーカ内での自由な装置識別子265の割り当てが可能になると共に、同一メーカ内での記録再生装置1のグループ分けが容易になる。
【0116】
尚、上述の説明では、ROM層20及びRE層21を備える光ディスク11について説明している。しかしながら、1つの記録層上にROMエリア(つまり、再生が可能であり且つ記録が不可能なエリアであって、ROM層20と同様の機能を有するエリア)とREエリア(つまり、再生及び記録が可能なエリアであって、RE層21と同様の機能を有するエリア)とが配置されている場合においても、上述した構成を適用してもよい。このように構成しても、上述した各種効果を好適に享受することができる。
【0117】
本発明は、上述した実施例に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う記録媒体、記録装置及び方法、記録再生装置及び方法、並びにコンピュータプログラムもまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0118】
1 記録再生装置
11 光ディスク
20 ROM層
203 データエリア
21 RE層
213 データエリア
260 レコーダ識別子ファイル
261 識別子データ
270 ユーザデータファイル
271 BD−AVデータ
272 動画データ
273 共通メニューファイル
280 独自メニューファイル
281 部分再生データ
300 ディスクドライブ
320 識別子
351 スピンドルモータ
352 ピックアップ
353 記録再生手段
354、359 CPU
355、360 メモリ
400 ホストコンピュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
再生専用エリアと、
データを記録可能な記録可能エリアと
を備えており、
前記再生専用エリアには、前記記録可能エリアへの特定のデータの記録が許可されている記録装置を識別するための識別情報が記録されていることを特徴とする記録媒体。
【請求項2】
前記記録可能エリアへ記録される前記特定のデータがAVコンテンツであることを特徴とする請求項1に記載の記録媒体。
【請求項3】
前記識別情報は、前記記録装置が使用するファイルシステムによって認識可能なファイルとして記録されていることを特徴とする請求項1に記載の記録媒体。
【請求項4】
前記識別情報は、前記記録装置の製造者を識別する製造者識別情報と、前記製造者毎に前記記録装置を識別する装置識別情報とを含むことを特徴とする請求項1に記載の記録媒体。
【請求項5】
請求項1に記載の記録媒体に対する記録動作を行う記録装置であって、
前記再生専用エリアに記録されている前記識別情報を読み取る読取手段と、
前記読取手段により読み取られる前記識別情報及び当該記録装置の識別情報の双方に基づいて、当該記録装置が、前記記録可能エリアへの前記特定のデータの記録が許可されている記録装置であるか否かを判定する判定手段と、
当該記録装置が、前記記録可能エリアへの前記特定のデータの記録が許可されている記録装置であると判定される場合に、前記記録可能エリアに前記特定のデータを記録する記録手段と
を備えることを特徴とする記録装置。
【請求項6】
当該記録装置が、前記記録可能エリアへの前記特定のデータの記録が許可されている記録装置でないと判定される場合に、前記記録手段は、前記記録可能エリアに前記特定のデータを記録しないことを特徴とする請求項5に記載の記録装置。
【請求項7】
請求項1に記載の記録媒体に対する記録動作を行う記録方法であって、
前記再生専用エリアに記録されている前記識別情報を読み取る読取工程と、
前記読取工程において読み取られる前記識別情報及び当該記録方法を実行する記録装置の識別情報の双方に基づいて、当該記録装置が、前記記録可能エリアへの前記特定のデータの記録が許可されている記録装置であるか否かを判定する判定工程と、
当該記録装置が、前記記録可能エリアへの前記特定のデータの記録が許可されている記録装置であると判定される場合に、前記記録可能エリアに前記特定のデータを記録する記録工程と
を備えることを特徴とする記録方法。
【請求項8】
請求項5に記載の記録装置と、
前記記録媒体に対する再生動作を行う再生手段と
を備えることを特徴とする記録再生装置。
【請求項9】
請求項7に記載の記録方法と、
前記記録媒体に対する再生動作を行う再生工程と
を備えることを特徴とする記録再生方法。
【請求項10】
請求項5に記載の記録装置に備えられたコンピュータを制御するコンピュータプログラムであって、
該コンピュータを、前記読取手段、前記判定手段及び前記記録手段として機能させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項11】
請求項8に記載の記録再生装置に備えられたコンピュータを制御するコンピュータプログラムであって、
該コンピュータを、前記記録装置及び前記再生手段として機能させることを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−38386(P2012−38386A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−177557(P2010−177557)
【出願日】平成22年8月6日(2010.8.6)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】