説明

記録媒体への情報埋め込み方法、インクジェットプリンター、ならびに偽造記録媒体の判別方法および記録媒体の偽造防止方法

【課題】特殊な装置や材料を用いることなく、低コストで簡単に記録媒体の偽造防止を図ること。
【解決手段】記録媒体2に印刷された文字列3は、水溶性インクを含むインクで印刷した文字3Aと、非水溶性インクのみで印刷した文字3Bを含む。文字3Aは、文字列3に埋め込まれる着色パターン5の各部分に割り当てられた文字である。文字列3を印刷した部分に水分を付加すると、各文字3Aの裏面に着色部分4が形成され、印刷物1の裏面には、文字3Aの配置に応じた着色パターン5が滲み出る。文字3Aを水溶性インクと非水溶性インクで印刷することにより、文字色と異なる色の着色パターンや多色の着色パターンを埋め込むことができる。レシートなどのロゴの部分にこの方法による偽造防止情報の埋め込みを行えば、通常のインクジェット印刷に用いる材料や装置により、偽造が困難なレシートを発行できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偽造や改竄の判別が可能な記録媒体(印刷物)への情報埋め込み方法、偽造防止情報を埋め込んだ記録媒体を記録(印刷)するためのインクジェットプリンター、ならびに、偽造記録媒体の判別方法および記録媒体の偽造防止方法に関する。
【0002】
従来から、印刷物の偽造防止を行うための方法として、チケットなどに広く用いられている偽造防止用紙などの特殊な記録媒体を用いる方法がある。しかしながら、偽造防止用紙を用いる方法は、偽造防止や改竄防止の効果が非常に高いものの、偽造防止用紙の製造には高度な技術が必要であるため廉価に提供することができない。よって、レシートなどの大量に発行する印刷物の偽造防止方法としてはコストがかかりすぎ、実用性に欠ける。
【0003】
高価な偽造防止用紙を用いない印刷物の偽造防止方法としては、普通紙などの通常の記録媒体に、記録情報の他にバーコードなどの認証用データを印刷しておき、この認証用データを読み取って偽造品かどうかの判別を行う方法がある。また、特許文献1には、普通紙に適用できる他の偽造防止方法が開示されている。特許文献1では、無色または淡色の蛍光染料を画像形成用のインクに混入して印刷を行うことにより、記録媒体に蛍光染料を染み込ませた印刷物(偽造防止用画像形成体)を印刷する。このような印刷物は、インクの顔料部分を剥ぎ取っても蛍光染料が記録媒体に残ったままであるため、顔料を剥ぎ取った部分に別の内容を印刷し直す改竄が行われた場合に、紫外線を照射して蛍光染料が染み込んだ部分と印刷内容とを照合することにより、元の印刷内容が改竄されたことを容易に判別できる。また、インクに蛍光染料が含まれていない偽造印刷物を容易に判別できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−227640号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
バーコードで偽造品の判別を行う方法は、普通紙などの通常の記録媒体を用いることができ、記録媒体にバーコードを印刷するだけで済むため、コストが低く、実用的である。しかしながら、バーコードはコピー機で複製可能であり、市販のバーコード作成ソフトで複製することも可能である。このため、容易に偽造・改竄することができ、十分な偽造防止効果が得られない。
【0006】
また、特許文献1の偽造防止方法は、普通紙などの通常の記録媒体を用いることができるものの、蛍光染料を混入した特殊なインクを準備する必要がある。また、偽造や改竄の有無を判別するときに紫外線照射装置が必要である。よって、特殊インクや紫外線照射装置の導入にコストがかかる。
【0007】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、特殊な装置や材料を用いることなく、低コストで簡単に偽造や改竄の防止を図ることが可能な記録媒体(印刷物)への情報埋め込み方法、インクジェットプリンター、ならびに、偽造記録媒体の判別方法および記録媒体の偽造防止方法を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明は、
インクジェット方式による記録媒体への情報埋め込み方法であって、
埋め込み情報を設定し、当該埋め込み情報に対応する着色パターンを生成し、
当該記録媒体に記録される記録パターンを構成する各記録要素のうち、前記着色パターンを割り当てる記録要素の少なくとも一部を、水溶性インクを含むインクと非水溶性インクを含むインクのいずれか一方のインクで記録すると共に、前記着色パターンを割り当てない記録要素を、他方のインクで記録するように構成することを特徴としている。
【0009】
本発明は、このように、記録パターンのうちの一部の記録要素だけを水溶性インクで記録している。従って、この記録媒体に水を含ませると、非水溶性インクを除き、水溶性インクが裏面に滲み出し、記録媒体の裏面に所定の着色パターン(滲みパターン)が出現する。よって、情報の埋め込みに特殊なインクや材料を必要とせず、普通紙にも適用できる。また、埋め込んだ着色パターンは、記録媒体に水分を含ませるだけで記録媒体の裏面に出現するため、埋め込んだ情報を確認するときに特殊な装置を必要としない。また、記録部分を見ただけでは、着色パターンが埋め込まれているか否か、および、その内容を全く確認できない。よって、低コストで簡単に偽造や改竄の防止を図ることができ、偽造防止効果も高い。
【0010】
また、本発明によれば、複数の色で構成された着色パターンを設定し、当該着色パターンの各部分に対応する位置にある各記録要素を、当該各部分の色に対応する色の水溶性インクを用いて記録することができる。このように、複数の色を含んだ着色パターンを記録パターンに埋め込むことができるため、より複雑な情報を埋め込むことができる。また、水溶性インクと非水溶性インクの組合せにより、水を含んだとき特定の滲みとなるので、偽造や改竄をより困難にすることができる。
【0011】
更に、前記着色パターンの各部分に対応する位置にある各記録要素のうちの少なくとも一部を、水溶性インクと、当該水溶性インクとは異なる色の非水溶性インクを用いて記録することができる。このようにすると、水を含ませたときに形成される着色部分の色と、水を含ませる前の記録要素の色とが異なるため、様々な色の記録要素に、記録要素とは異なる色の着色部分を埋め込むことができる。従って、情報を埋め込む記録パターンと、埋め込まれる着色パターンとの組み合わせの自由度が高まる。例えば、モノクロ記録の部分に、カラーの埋め込みパターンを埋め込むことも可能である。よって、記録媒体の偽造や改竄をより困難にすることができる。
【0012】
本発明において、前記着色パターンを割り当てる記録要素の黒色に該当する部分を、少なくとも、シアン、マゼンダ、イエローのいずれかの前記水溶性インクを用いて記録するように構成することが好ましい。記録要素の黒色に該当する部分を、シアン、マゼンダ、イエロー等からコンポジットブラックとして記録すると、記録結果は黒色を現すことができ、また、水を含ませると水溶性インクの部分が滲むことになる。コンポジットブラックは、非水溶性インクとの組合せでもよい。使用した1つ又は複数の水溶性インクの色により特定の滲みのパターンとして識別することができる。
【0013】
また、この場合に、前記着色パターンの各部分に対応する位置にある各記録要素を、シアン、マゼンダ、イエロー、黒の4色のうちのいずれか、あるいは、当該4色のうちの2色以上の前記水溶性インクを用いて記録することができる。これらの4色を用いることにより、任意の色の着色パターンを埋め込むことができる。また、シアン、マゼンダ、イエロー、黒以外の特定の色を用いた水溶性インクでもよい。
【0014】
また、前記記録媒体はレシートであり、前記埋め込み情報は、前記レシートの発行元情報、前記レシートの発行時期情報、前記レシートを印刷した装置を特定するための発行装置情報の少なくともいずれかを含むものであり、前記着色パターンを、前記レシートにおける決済情報およびバーコードを除いた部分であり、画像に相当する部分に構成することが好ましい。例えば、前記着色パターンを、前記レシートにおける発行元のロゴを記録した部分に埋め込むことが望ましい。着色パターンを確認する際には着色パターンを埋め込んだ部分に水を含ませるため、レシート基幹データである明細(決済情報)やバーコードなどの重要な記録内容の部分に着色パターンを埋め込んでしまうと、インクの滲みや記録媒体の破損によってこれらのデータが読み取れなくなるおそれがある。これに対し、ロゴ記録などの重要でない記録部分に着色パターンを埋め込む場合には、ロゴ記録の部分を濡らすだけで良いため、重要なデータを記録した部分を濡らさずに済む。よって、利便性が高い。なお、情報を保持したい部分を非水溶性インクで記録してもよい。
【0015】
また、埋め込み情報に上記のような情報を含めておけば、レシートの発行元(店舗や施設など)に返品や交換などのためにレシートが持ち込まれたとき、発行元側で保持している情報やレシートに記録された情報などと照合することができる。よって、レシートが正規に発行されたものか偽造品かを精度良く判別できる。
【0016】
次に、本発明のインクジェットプリンターは、水溶性インクを吐出するための第1のノズル群、および、非水溶性インクを吐出するための第2のノズル群を備える記録ヘッドと、当該記録ヘッドを制御して、記録媒体に記録される記録パターンを構成する記録要素のうち、埋め込み情報に基づき生成された着色パターンを割り当てる記録要素の少なくとも一部を、前記第1のノズル群と前記第2のノズル群のいずれか一方により記録すると共に、前記着色パターンを割り当てない記録要素を、他方のノズル群により記録する制御部とを備えることが好ましい。
【0017】
このような構成によれば、記録パターンのうちの一部の記録要素だけを水溶性インクで記録することができる。従って、この記録媒体に水を含ませると、非水溶性インクを除き、水溶性インクが裏面に滲み出し、記録媒体の裏面に所定のパターンが出現する。よって、情報の埋め込みに特殊なインクや材料を必要とせず、普通紙にも適用できる。また、埋め込んだ着色パターンは、記録媒体に水分を含ませるだけで記録媒体の裏面に出現するため、埋め込んだ情報を確認するときに特殊な装置を必要としない。また、記録部分を見ただけでは、着色パターンが埋め込まれているか否か、および、その内容を全く確認できない。よって、低コストで簡単に偽造や改竄の防止を図ることができ、偽造防止効果も高い。
【0018】
この構成のインクジェットプリンターにおいて、前記第1のノズル群は、少なくとも、シアン、マゼンダ、イエローのインクに対応しており、前記制御部は、前記着色パターンを割り当てる記録要素の黒色に該当する部分を、少なくとも、前記シアン、マゼンダ、イエローのインクを用いて記録することが好ましい。記録要素の黒色に該当する部分を、シアン、マゼンダ、イエロー等からコンポジットブラックとして記録すると、記録結果は黒色を現すことができ、また、水を含ませると水溶性インクの部分が滲むことになる。コンポジットブラックは、非水溶性インクとの組合せでもよい。使用した1つ又は複数の水溶性インクの色により特定の滲みのパターンとして識別することができる。
【0019】
また、この構成のインクジェットプリンターにおいて、記録後の前記記録媒体に水分を含ませるための水分付加機構を備え、前記制御部は、前記水分付加機構による水分付加位置に記録後の前記記録媒体が位置決めされると、少なくとも水溶性インクで記録した位置の前記記録媒体に水分を含ませるように前記水分付加機構を制御するように構成すると好適である。このようにすると、記録媒体を作成したプリンターを用いて、記録媒体における着色パターンの有無を簡単に確認できる。従って、記録媒体を発行するユーザーにとって極めて利便性が高い。
【0020】
水分付加機構は、例えば、スタンプ機構、スプレー機構、記録ヘッドに搭載した水吐出用ノズルのいずれかを備えたものを用いることができる。このようにすると、簡易な構成で記録媒体に水分を含ませることができる。また、記録ヘッドに水吐出用ノズルを搭載した場合には、記録ヘッドの制御によって水分付加位置を制御できる。従って、着色パターンの埋め込み位置の変更に柔軟に対応できる。更に、これらの機構によって所定の記録要素への水分を吐出する量を所定量に調整することにより、滲みのパターンのばらつきを抑制することができる。
【0021】
次に、本発明の偽造記録媒体の判別方法は、判別対象の記録媒体に水分を含ませ、前記記録媒体に、水分によって滲み出た水溶性インクによる所定の滲みパターンが形成されているか否かを判別し、当該判別結果に基づき、前記判別対象の記録媒体が偽造品であるか否かを判定することを特徴としている。
【0022】
また、本発明の記録媒体の偽造防止方法は、上記のインクジェットプリンターを用いて、上記の記録媒体を記録し、前記記録媒体もしくはその偽造品からなる判別対象の記録媒体に対して、前記インクジェットプリンターの前記水分付加機構を用いて水分を含ませ、水分を含ませた後の前記判別対象の記録媒体に所定の滲みパターンが形成されたか否かを判別し、当該判別結果に基づき、前記判別対象の記録媒体が偽造品であるか否かを判定することを特徴としている。
【0023】
この方法によれば、偽造が困難な記録媒体を発行できると共に、発行元に偽造か本物か分からない記録媒体が持ち込まれたときには、記録媒体の発行に用いたプリンターを用いて偽造記録媒体の判別を行うことができる。よって、プリンター単品で偽造防止を実現できる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、一般的なインクジェット記録に用いる水溶性インクおよび非水溶性インクを用いて、記録パターンに着色パターンを埋め込むことができる。よって、記録媒体への情報の埋め込みに特殊なインクや材料を必要とせず、普通紙にも適用できる。また、埋め込んだ着色パターンは、記録媒体に水分を含ませるだけで記録媒体の裏面に出現するため、埋め込んだ情報を確認するときに特殊な装置を必要としない。また、記録部分を見ただけでは、着色パターンが埋め込まれているか否か、および、その内容を全く確認できない。よって、低コストで簡単に偽造や改竄の防止を図ることができ、偽造防止効果も高い。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本実施の形態に係る印刷物を示す説明図である。
【図2】本実施の形態に係る印刷物を示す説明図である。
【図3】本実施の形態に係るインクジェットプリンターの主要部分の概略構成を示す説明図である。
【図4】着色パターンを埋め込んだレシートを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、図面を参照して、本発明を適用した記録媒体への情報埋め込み方法、インクジェットプリンター、偽造記録媒体の判別方法および記録媒体の偽造防止方法の実施の形態を説明する。
【0027】
(印刷物への情報埋め込み方法、偽造印刷物の判別方法)
図1は本実施の形態に係る印刷物(記録後の記録媒体)を示す説明図であり、図1(a)は印刷物の表面、図1(b)は水分を含ませた状態の印刷物の裏面を示している。図1(a)に示すように、印刷物1は、記録紙2(記録媒体)の表面にインクジェットプリンターにより文字列3(記録パターン)を印刷したものである。記録紙2は、水が表面から裏面まで浸透する素材で形成されており、例えば、普通紙などを用いることができる。文字列3は、水溶性インクを含むインクによって印刷された文字3A(記録要素)と、非水溶性インクのみによって印刷された文字3B(記録要素)の2種類の文字から構成されている。
【0028】
本実施形態において、水溶性インクとは、紙や布などの水分を吸収する記録媒体への印刷に用いると、着色成分が水分と共に記録媒体に染み込む染料インクなどのインクである。水溶性インクによる印刷部分に水分を与えると、水分が染み込んだ部分に着色成分が滲み出して着色部分が拡大する。また、本実施形態において、非水溶性インクとは、着色成分の粒子が大きいために着色成分が記録媒体には染み込まない顔料インクなどのインクである。非水溶性インクは、印刷部分に水分を与えても水分のみが記録媒体に浸透し、着色成分が裏面まで滲み出すことはない。
【0029】
印刷物1の文字列3を印刷した部分に水分を含ませると、水溶性インクを含むインクで印刷された文字3Aは、その水溶性インクが水によって記録紙2の裏面側に滲み出すため、文字3Aの裏側に水溶性インクによる着色部分4が形成される。一方、非水溶性インクは水によって滲むことはないため、文字3Bの裏側には着色部分4は形成されない。従って、文字3Bを印刷した部分の裏面は、記録紙2の地色のままとなっている。
【0030】
着色部分4は、記録紙2の裏面において、全体として、予め設定した所定の着色パターン5と一致する滲みパターン5aを形成する。本実施形態では、水溶性インクで印刷する印刷要素(記録要素)と、非水溶性インクのみで印刷する印刷要素(記録要素)とを文字単位で分けており、各着色部分4の配置は、水溶性インクで印刷される印刷要素である文字3Aの配置に対応している。従って、文字列3に着色パターン5を埋め込むためには、文字列3を構成する各文字のうち、着色パターン5を割り当てる文字、すなわち、着色パターン5の各部分に対応する位置にある文字3Aを水溶性インクを含むインクで印刷すると共に、着色パターン5を割り当てない文字、すなわち、他の位置にある文字3Bを非水溶性インクのみで印刷するための印刷データを作成する。そして、この印刷データに基づいて印刷を行う。これにより、水を含ませると所望の着色パターン5と一致する滲みパターン5aが滲み出す文字列3を印刷することができる。
【0031】
例えば、文字3Aを黒の水溶性インクで印刷し、文字3Bを黒の非水溶性インクで印刷した場合には、各着色部分4はグレー(黒の水溶性インクを水で薄めた色)に着色される。従って、この場合には、着色パターン5(滲みパターン5a)はグレーのみで構成されたパターンとなる。また、このとき、文字3A、3Bはいずれも黒色の文字であるため、印刷済みの文字列3を見ただけでは、着色パターン5が埋め込まれていることに全く気づかない。また、着色パターン5が埋め込まれていることを仮に知ったとしても、文字列3を見ただけでは、印刷物1に水を含ませない限りは、文字列3のどの部分にどのような着色パターン5が現れるのか判別不可能である。
【0032】
文字列3に着色パターン5が埋め込まれているか否か、および、埋め込まれているとすればどのようなパターンであるのかについては、文字3Aの配置を決定して印刷データを準備し、これに従って文字列3を印刷した印刷物1の発行者のみが知りうる事項である。従って、単に文字列3のみを複製、あるいは改竄しただけでは、真正な印刷物1と同一の着色パターン5が埋め込まれた印刷物を印刷することはできない。単に文字列3のみを複製、あるいは改竄したにすぎない偽造印刷物は、水を含ませて、真正な印刷物1の着色パターン5と一致する滲みパターン5aが現れるか否かを確認することにより、容易に偽造品であるか否かを判別できる。また、滲み出た内容から判別された着色パターン5と印刷物1への印刷内容とが整合しているか否かを確認することによって偽造品か否かを判別したり、判別された着色パターンと印刷物1の発行元が保持している情報とが整合しているか否かを確認することによって偽造品か否かを判別することもできる。よって、印刷物1の偽造や改竄が困難であると共に、偽造あるいは改竄された印刷物の判別が容易である。
【0033】
情報を埋め込む文字列の文字色は、任意の色とすることができる。例えば、文字3Aをシアン、イエロー、マゼンダ、黒の4色のインクのうちの1色、もしくは4色のうちの2色以上の水溶性インクの混色によって任意の文字色となるように印刷する。そして、これと同じ文字色を上記の4色のうちの1色もしくは2色以上の非水溶性インクの混色によって実現して、文字3Bを印刷する。このようにすれば、文字列3を印刷した部分に水を含ませると、その裏面に、文字列3の文字色を薄めた色の着色パターン5が滲み出る。このようにして、任意の色の着色パターン5を埋め込むことができる。なお、混色に用いる色は上記の4色に限定されず、他の色を用いても良い。
【0034】
また、各種の色の文字列3に、文字色とは異なる色の着色パターン5を埋め込むことも可能である。これを実現できるのは、文字3Aの文字色が複数の色のインクの混色によって実現できる色の場合である。すなわち、文字3Aを印刷するときに、混色に用いるインクの一部を水溶性インクとし、残りのインクを非水溶性インクとする。このようにすると、水を含ませたときに水溶性インクのみが滲み出すため、文字色とは異なる色の着色部分4を形成できる。例えば、シアンの水溶性インクと、マゼンダおよびイエローの非水溶性インクを用いて黒色の文字3Aを印刷する。この場合、文字3Aを印刷した部分に水を含ませると、シアンの水溶性インクのみが裏面に浸透して、シアンを薄めた色の着色部分4が形成される。従って、文字3Bを非水溶性インクのみを用いて黒色に印刷すれば、黒色の文字列3を印刷した部分に、シアンの着色パターン5を埋め込むことができる。
【0035】
このように、水溶性インクと非水溶性インクの混色を利用すれば、混色に用いたインクの色の範囲内で、着色部分を任意の色に設定することができる。例えば、黒の文字に対しては、シアン、イエロー、マゼンダの各色、および、これらの各色の混色によって実現できる任意の色の着色部分を埋め込むことができるため、最も着色パターンの設定の自由度が高い。また、他の色の文字を印刷した場合においても、その文字色の印刷に用いたインク色、および、このインク色の混色によって実現できる色の範囲内において、埋め込む着色部分の色を様々に設定することが可能である。例えば、シアンとイエローの混色によって緑色の文字を印刷した場合には、この文字部分に、シアンとイエローの混色比率を変えることによって実現できる様々な色を埋め込むことができる。
【0036】
ここで、上述した着色パターンはいずれも単色の着色パターンであったが、文字ごとに印刷に用いる水溶性インクの色を変えることにより、複数の色からなる着色パターンを埋め込むことができる。図2は、複数の色からなる着色パターンを埋め込んだ印刷物の例を示す説明図であり、図2(a)は印刷物の表面、図2(b)は水分を含ませた状態の印刷物の裏面を示している。この印刷物6は、記録紙2に文字列7(印刷パターン)を印刷したものであり、文字列7における情報埋め込み位置の部分、すなわち、設定した埋め込み情報に対応させて生成した着色パターン8の各部分が割り当てられた文字7A〜7D(印刷要素)が、水溶性インクを含むインクで印刷されている。
【0037】
この着色パターン8は、色の異なる4種類の着色部分8A〜8Dを含んでいる。着色部分8Aはグレーであり、この着色部分8Aの形成位置には、黒の水溶性インクによって文字7Aが印刷されている。また、着色部分8Bは緑であり、この着色部分8Bの形成位置には、シアンおよびイエローの水溶性インクと、マゼンダの非水溶性インクにより、黒の文字7Bが印刷されている。また、着色部分8Cはシアンであり、この着色部分8Cの形成位置には、シアンの水溶性インクと、イエローおよびマゼンダの非水溶性インクにより、黒の文字7Cが印刷されている。そして、着色部分8Dはマゼンダであり、この着色部分8Dの位置には、マゼンダの水溶性インクと、イエローおよびシアンの非水溶性インクにより、黒の文字7Dが印刷されている。そして、文字列7における文字7A〜7Dを除く部分は、黒の非水溶性インクのみによって印刷された文字7E(記録要素)である。
【0038】
このように印刷された印刷物6は、水を含ませると、文字7A〜7Dの各印刷位置において水溶性インクのみが裏面に滲み出すことにより、裏面に4色からなる着色パターン8と一致する滲みパターン8aが出現する。すなわち、複数の色からなる着色パターン8を黒1色の文字列7に埋め込むことができる。ここで、着色パターン8の色数は4色に限定されず、5色以上あるいは3色以下とすることもできる。更に、文字列7を構成する文字は、黒以外の文字色であってもよい。例えば、文字7Dはマゼンダを含む任意の文字色とすることができ、文字7Cはシアンを含む任意の文字色とすることができる。このように、水溶性インクと非水溶性インクの混色を利用すれば、複数の色からなる着色パターンを、単色あるいは複数の色からなる文字列のいずれにも埋め込むことが可能である。
【0039】
また、図1、図2の例は、いずれも文字列に着色パターンを埋め込んだものであったが、文字列以外の任意の印刷パターンに対しても、着色パターンを埋め込むことができる。ここで、上記の文字列の例では、文字単位で、着色パターンを割り当てるか否か、すなわち、水溶性インクで印刷するか否かを設定していたが、他の印刷パターンにおいても同様に、着色パターンを割り当てるための単位印刷要素を適切なサイズに設定することができる。例えば、画像に着色パターンを埋め込む場合には、文字列における1文字のサイズと同程度の単位領域(記録要素)に画像を分割し、単位領域ごとに、水溶性インクを用いて印刷するか、非水溶性インクのみで印刷するかを決定すればよい。単位領域の大きさは1文字のサイズに限定されず、水溶性インクが滲んで広がる範囲などを考慮して適宜設定すればよい。また、文字列であっても、文字が大きい場合などには、各文字を複数の部分に分割して、各部分ごとに、水溶性インクで印刷するか否かを決定することもできる。
【0040】
水溶性インクを含むインクで印刷する部分は、滲みによるインクの拡散範囲などを考慮すれば、着色パターンを割り当てる記録要素の一部のみとすることも可能である。また、上述した着色パターンの埋め込み方法は、いずれも、着色パターンを割り当てる記録要素を水溶性インクを含むインクで印刷し、着色パターンを割り当てない記録要素を非水溶性インクで印刷するものであったが、着色パターンを割り当てる部分と割り当てない部分の印刷に用いるインクを逆にしてもよい。例えば、画像などを印刷する場合には、着色パターンを割り当てない記録要素を水溶性インクを含むインクで印刷し、着色パターンを割り当てる記録要素を非水溶性インクで印刷してもよい。このようにすると、着色パターンの部分だけが記録媒体の地色のままで残り、着色パターン以外の部分に水溶性インクが滲み出す。従って、記録媒体の地色で形成された着色パターンを水溶性インクの滲み出しによって形成することができる。このように、着色パターンの部分あるいはその少なくとも一部の印刷に用いるインクと、それ以外の部分の印刷に用いるインクを、水を含ませたときに滲み出すかどうか、あるいは、滲み出す色が異なるものとすることにより、着色パターンを埋め込むことが可能である。
【0041】
以上のように、本実施形態の方法によれば、一般的なインクジェット印刷に用いられている水溶性インクおよび非水溶性インクを用いて、様々な内容の印刷物(記録後の記録媒体)に、様々な着色パターンを埋め込むことができる。また、このとき、記録媒体としては普通紙を使用できる。そして、埋め込んだ着色パターンは、印刷物に水を含ませるだけで容易に判別可能であると共に、水を含ませて着色パターンを出現させるまでは、埋め込みの有無および埋め込み内容が全く分からない。従って、偽造防止用の情報の埋め込み、および、その判別が容易であり、特殊な装置や材料を必要とすることもない。よって、低コストで印刷物の偽造防止を図ることができる。
【0042】
偽造防止用の情報(着色パターン)を埋め込む印刷物としては、後述するレシートのほか、クーポン、小切手などが想定される。また、これら以外の印刷物に本実施形態の方法を適用してもよい。
【0043】
(インクジェットプリンターおよびこれを用いた印刷物の偽造防止方法)
図3は本実施の形態に係るインクジェットプリンターの主要部分の概略構成を示す説明図である。インクジェットプリンター10(以下、プリンター10という)は、店舗などにおいてレシート発行用に設置されるレシートプリンターである。プリンター10は、水溶性インクを吐出するためのノズル群11および非水溶性インクを吐出するためのノズル群12を備える印刷ヘッド13と、この印刷ヘッド13のノズル面と対峙するように配置されているプラテン14と、プラテン14上を経由する搬送経路Aに沿って記録紙2を搬送する搬送ローラーおよび搬送モーターなどの搬送機構15と、この搬送機構15による搬送方向と交差する方向に印刷ヘッド13を往復移動させるためのキャリッジユニット16を備えている。
【0044】
また、プリンター10は、水溶性インク吐出用のノズル群11の各ノズルに印刷ヘッド13内のヘッド内流路を経由してシアン、マゼンダ、イエローおよび黒の4色の水溶性インクを供給するための水溶性インク供給路17を備えると共に、非水溶性インク吐出用のノズル群12の各ノズルに印刷ヘッド13内のヘッド内流路を経由して上記4色の非水溶性インクを供給するための非水溶性インク供給路18を備えている。水溶性インク供給路17および非水溶性インク供給路18のそれぞれは、プリンター10に装着されているインクカートリッジ19の側に連通している。インクカートリッジ19には、上記の4色の水溶性インクおよび4色の非水溶性インクを貯留するためのインク貯留室が設けられている。なお、単色や限られた色のみで構成した着色パターンを埋め込む場合には、使用する水溶性インクの色を限定できる。よって、この場合には、使用する色の水溶性インクのみを入れたインクカートリッジを準備してプリンター10に装填すればよい。同様に、非水溶性インクについても、インクカートリッジに入れるのは使用する色のインクのみとすることができる。
【0045】
プリンター10の制御部20は、搬送機構15を制御して、ロール紙などから繰り出した記録紙2を搬送経路Aに沿って搬送すると共に、搬送機構15による記録紙2の搬送動作に連動させて印刷ヘッド13およびキャリッジユニット16を制御する。そして、これにより、上位装置等から受け取ったレシート印刷用の印刷データに基づき、記録紙2への印刷を行う。印刷済みの記録紙2の部分は、図示しないカッター機構により切断されて外部に排出され、レシートとして使用される。
【0046】
図4は着色パターンを埋め込んだレシートの説明図であり、図4(a)はレシートの表面、図4(b)はロゴ印刷の部分に水分を含ませた状態のレシートの裏面を示している。このレシート30(記録後の記録媒体)はプリンター10によって普通紙にインクジェット印刷を行ったものである。図4(a)に示すように、レシート30のヘッダー部分には発行元のロゴ31(画像)が印刷され、その下に明細32(決済情報)が印刷され、下端にバーコード33が印刷されている。図4(b)に示すように、ロゴ31には多色の着色パターン34が埋め込まれている。着色パターン34は、例えば、レシート30を発行した店舗や施設などを示す発行元情報、レシート30の発行日時などを示す発行時期情報、レシート30を印刷した装置を特定する発行装置情報、などの情報に対応させた着色パターンとすることができる。一方、明細32などのレシート基幹データやバーコード33などの重要な情報を印刷した部分には、着色パターンを埋め込んでいない。
【0047】
レシート30にこのような着色パターン34を埋め込んでおけば、返品などのためにレシート30が発行元の店舗などに持ち込まれた際に、ロゴ31の部分にレシート30に水を含ませるだけで、滲みパターン34aを確認できる。そして、形成された滲みパターン34aに基づき、レシート30が偽造品か否かを判別できる。例えば、図4(b)のように、滲みパターン34aと予め設定した着色パターン34とが一致する場合には、レシート30が真正品であると判定できる。また、確認した着色パターン34(滲みパターン34a)から発行店舗、発行日時、発行したプリンター10の少なくともいずれかを特定し、レシート30に印刷された情報や、発行元側で保持している情報と照合することにより、レシート30が偽造品か否かを判別できる。なお、埋め込む情報は上記の3種類に限定されず、他の情報でも良い。例えば、レシート30を発行したレジの担当者などの情報を埋め込んでも良い。
【0048】
ロゴ31の部分を着色パターン34の埋め込み位置に選定したのは、以下の理由による。ロゴ部分は、通常、黒のインクで印刷されるため、シアン、マゼンダ、イエローおよびこれらの3色を用いた任意の着色パターンを埋め込むことができる。よって、着色パターン34の設定の自由度が高い。また、レシート30のヘッダー部分などの定位置に印刷されるため、着色パターン34を読み取るために水分を含ませる作業が容易である。特に、後述する水分付加機構21を用いて水分を付加する場合には、水分付加機構21に対して着色パターン34を埋め込んだ部分を精度良く位置決めすることができる。また、明細32やバーコード33などの重要な部分に水分を含ませる必要がないため、これらの重要なデータを印刷した部分が破損するおそれがない。なお、レシート30の中に、重要なデータを含まず、黒が多い印刷部分(画像など)がロゴ31以外にもある場合には、この部分に着色パターン34を埋め込むようにしてもよい。
【0049】
レシート30を印刷するための印刷データは、上述したように、ロゴ31における着色パターン34の各部分に対応させた部分を水溶性インクを含むインクで印刷し、他の部分を、非水溶性インクのみで印刷するように指示するデータである。制御部20は、この印刷データに基づき、水溶性インクによる印刷部分については、ノズル群11から記録紙2に向けて水溶性インクを吐出して印刷を行う。また、非水溶性インクによる印刷部分については、ノズル群12から記録紙2に向けて非水溶性インクを吐出して印刷を行う。そして、明細32およびバーコード33などの部分についても指定されたインク(例えば、非水溶性インク)で印刷を行う。
【0050】
ここで、プリンター10は、発行済みのレシート30に水分を付加するための水分付加機構21を備えている。本実施形態では、水分付加機構21を、印刷ヘッド13に搭載した水吐出用ノズル22と、このノズルに水を供給するための水供給系23等により構成している。プリンター10の制御部20は、印刷したレシート30を排出するための記録紙排出口にレシート30が挿入されたことを検出すると、このレシート30を逆送して、レシート30のヘッダー部分を印刷ヘッド13による印刷位置に位置決めする。そして、水吐出用ノズル22からロゴ31が印刷された部分に水を吐出して、この部分に水を含ませる。そして、レシート30を外部に排出する。なお、記録紙排出口とは別に判別対象のレシート30を挿入するための挿入口を設けておき、この挿入口にレシート30が挿入されたことを検出してレシート30を搬送経路Aに合流させ、印刷位置に位置決めする構成にすることも可能である。
【0051】
このように、本実施形態のプリンター10は、インクジェット印刷により、着色パターン34を埋め込んだレシート30を発行できる。また、返品などのために発行元の店舗に持ち込まれた判別対象のレシートに対して、着色パターン34が埋め込まれているはずの部分に水を含ませることができる。従って、プリンター10のユーザーは、レシート30を発行できると共に、偽造品か本物かわからない判別対象のレシートが持ち込まれた場合には、プリンター10を用いて、このレシートにおける着色パターン34の有無およびその内容を容易に確認できる。よって、レシートが偽造品であるか否かを判別できる。このように、プリンター単品でレシートへの偽造防止用の情報の埋め込みとその判別を行う本実施形態の偽造防止方法は、偽造防止効果が高く、低コストで運用でき、利便性の高い構成である。
【0052】
また、本実施形態のプリンター10の水分付加機構21は、印刷ヘッド13に水吐出用ノズル22を搭載したものであるため、ロゴ31が印刷された部分だけを正確に水で濡らすことができる。従って、明細やバーコードなどの重要な情報が印刷された部分を濡らさずに済み、着色パターンを確認したことによって明細やバーコードが読み取り不可能になることがない。また、着色パターンを埋め込む位置を変更した場合に、これに合わせて水吐出位置を簡単に変更できる。
【0053】
(改変例)
上記実施形態では、水分付加機構として印刷ヘッド13に搭載した水吐出用ノズル22を用いていたが、他の機構を用いることも可能である。例えば、水を含んだスポンジ状の部材を判別対象のレシートに押し付けて水分を付加するスタンプ機構、判別対象のレシートに向けて水を噴霧するスプレー機構、などを用いることができる。この場合には、これらの水分付加機構による水分付加位置を経由するように搬送経路Aを設定して、この水分付加位置に判別対象のレシートを位置決めする。そして、位置決めが完了したときに制御部20によって水分付加機構を作動させる。あるいは、搬送経路Aから離れた位置に水分付加機構を設けて、これによる水分付加位置にレシートを手差しで挿入できるように、挿入口を設けることも可能である。
【符号の説明】
【0054】
1…印刷物(記録後の記録媒体)、2…記録紙(記録媒体)、3…文字列(記録パターン)、3A、3B…文字(記録要素)、4…着色部分、5…着色パターン、5a…滲みパターン、6…印刷物、7…文字列(記録パターン)、7A〜7E…文字(記録要素)、8…着色パターン、8a…滲みパターン、8A〜8D…着色部分、10…インクジェットプリンター(プリンター)、11…ノズル群(第1のノズル群)、12…ノズル群(第2のノズル群)、13…印刷ヘッド、14…プラテン、15…搬送機構、16…キャリッジユニット、17…水溶性インク供給路、18…非水溶性インク供給路、19…インクカートリッジ、20…制御部、21…水分付加機構、22…水吐出用ノズル、23…水供給系、30…レシート(記録後の記録媒体)、31…ロゴ、32…明細、33…バーコード、34…着色パターン、34a…滲みパターン、A…搬送経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクジェット方式による記録媒体への情報埋め込み方法であって、
埋め込み情報を設定し、当該埋め込み情報に対応する着色パターンを生成し、
当該記録媒体に記録される記録パターンを構成する記録要素のうち、前記着色パターンを割り当てる記録要素の少なくとも一部を、水溶性インクを含むインクと非水溶性インクを含むインクのいずれか一方のインクで記録すると共に、前記着色パターンを割り当てない記録要素を、他方のインクで記録するように構成することを特徴とする記録媒体への情報埋め込み方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記着色パターンを割り当てる記録要素の黒色に該当する部分を、少なくとも、シアン、マゼンダ、イエローのいずれかの前記水溶性インクを用いて記録するように構成することを特徴とする記録媒体への情報埋め込み方法。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記記録媒体はレシートであり、
前記埋め込み情報は、前記レシートの発行元情報、前記レシートの発行時期情報、前記レシートを印刷した装置を特定するための発行装置情報の少なくともいずれかを含むものであり、
前記着色パターンを、前記レシートにおける決済情報およびバーコードを除いた部分であり、画像に相当する部分に割り当てることを特徴とする記録媒体への情報埋め込み方法。
【請求項4】
水溶性インクを吐出するための第1のノズル群、および、非水溶性インクを吐出するための第2のノズル群を備える記録ヘッドと、
当該記録ヘッドを制御して、記録媒体に記録される記録パターンを構成する記録要素のうち、埋め込み情報に基づき生成された着色パターンを割り当てる記録要素の少なくとも一部を、前記第1のノズル群と前記第2のノズル群のいずれか一方により記録すると共に、前記着色パターンを割り当てない記録要素を、他方のノズル群により記録する制御部とを備えることを特徴とするインクジェットプリンター。
【請求項5】
請求項4に記載のインクジェットプリンターであって
前記第1のノズル群は、少なくとも、シアン、マゼンダ、イエローのインクに対応しており、
前記制御部は、前記着色パターンを割り当てる記録要素の黒色に該当する部分を、少なくとも、前記シアン、マゼンダ、イエローのインクを用いて記録するように制御することを特徴とするインクジェットプリンター。
【請求項6】
請求項4または5に記載のインクジェットプリンターであって
記録後の前記記録媒体に水分を含ませるための水分付加機構を備え、
前記制御部は、前記水分付加機構による水分付加位置に記録後の前記記録媒体が位置決めされると、前記水分付加機構を制御して少なくとも前記水溶性インクで記録した位置の前記記録媒体に水分を含ませることを特徴とするインクジェットプリンター。
【請求項7】
判別対象の記録媒体に水分を含ませ、
当該判別対象の記録媒体に、水分によって滲み出た前記水溶性インクによる所定の滲みパターンが形成されているか否かを判別し、
当該判別結果に基づき、前記判別対象の記録媒体が偽造品であるか否かを判定することを特徴とする偽造記録媒体の判別方法。
【請求項8】
請求項6に記載のインクジェットプリンターを用いて、前記記録媒体を記録し、
前記記録媒体もしくはその偽造品からなる判別対象の記録媒体に対して、前記インクジェットプリンターの前記水分付加機構を用いて水分を含ませ、
水分を含ませた後の前記判別対象の記録媒体に所定の滲みパターンが形成されたか否かを判別し、
当該判別結果に基づき、前記判別対象の記録媒体が偽造品であるか否かを判定することを特徴とする記録媒体の偽造防止方法。

【図3】
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【図4】
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【図1】
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【図2】
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