説明

記録媒体処理装置および記録媒体処理システム

【課題】状態により階調が変化する可視像が熱の作用により形成されるサーマル記録媒体を受け入れてから排出するまでの間にその記録媒体の表面に可視像を形成する記録媒体処理装置等に関し、可視像が形成された記録媒体表面の画像を、熱可逆性の記録媒体特有の事情を考慮して適切に二値化処理する。
【解決手段】記録媒体表面911に熱を加えてその表面91に可視像を形成する画像形成部20と、画像形成部20によって可視像が形成された記録媒体表面911の画像を読み取る画像読取部19と、画像読取部19で読み取った画像を二値化処理して二値画像データを生成する二値化処理部17とを備え、二値化処理部17が、二値化処理を行うにあたり、記録媒体9に形成された可視像の階調に影響を及ぼす要因に応じた閾値を用いて二値化処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
状態により階調が変化する可視像が熱の作用により形成されるサーマル記録媒体を受け入れてから排出するまでの間にその記録媒体の表面に可視像を形成する記録媒体処理装置およびその記録媒体処理装置を備えた記録媒体処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
購入額に応じて付与される金銭的価値のあるポイントや代金前払い方式における残金等の情報を記録させておく記録媒体として、熱の作用により可視像が形成されるサーマル記録媒体が広く利用されている。サーマル記録媒体ではその表面に、ポイントや残金等、記録媒体の持ち主である顧客に知っておいてもらいたい情報を印字したり、あるいは店側として記録させておきたい情報をバーコード等にして印画したりすることができる。従来より、このサーマル記録媒体の表面に、印字や印画といった可視像の形成を行う記録媒体処理装置が知られている。また、可視像形成後に、その可視像が正しく形成されているかを確認するため、記録媒体表面の画像を読み取る機能をもった記録媒体処理装置が提案されている(特許文献1および2等参照)。これらの記録媒体処理装置では、サーマル記録媒体を所定温度にまで加熱して可視像を形成する。サーマル記録媒体では、可視像形成のために加熱された記録媒体の温度が十分に低下しないと可視像が濃く表れない傾向にある。また、サーマル記録媒体には、所定温度にまで加熱することで形成された可視像を消去できる熱可逆性の記録媒体も存在する。このようなサーマル記録媒体では、可視像の形成と消去がある程度繰り返されると熱可逆性の記録媒体が劣化し、形成された可視像が薄くしか表れなくなったり、可視像を消去しても完全に消えず、消去残りが生じたりすることがある。
【0003】
ここで、読み取った画像を表す画像データに二値化処理を施す場合には、濃淡がある画像であってもその画像を構成する各画素は白色か黒色に振り分けられる。そのため、この二値化処理が適切に施されていないと、正しく可視像形成が行われているにも関わらず誤りがあると判定されてしまう恐れがある。複写機の分野では、読み取った原稿の画像を二値化処理する際の閾値を予め複数用意しておき、閾値指定キーの操作によって閾値を選択可能にしたものが提案されている(特許文献3参照)。
【特許文献1】特開2000−99661号公報
【特許文献2】特開平10−326328号公報
【特許文献3】特開昭61−252759号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この特許文献3に記載された技術は、既に用意されている原稿画像を対象とした技術であり、操作者が原稿の下地の汚れを目視で確認して閾値指定キーの操作を行うに留まる。記録媒体を受け入れてから排出するまでの間にその記録媒体の表面に可視像を形成する記録媒体処理装置では、記録媒体を受け入れた後に、人が記録媒体表面の状態を確認することは困難である。また、特許文献3では、サーマル記録媒体特有の事情が全く考慮されていない。
【0005】
本発明は上記事情に鑑み、可視像が形成された記録媒体表面の画像を、サーマル記録媒体特有の事情を考慮して適切に二値化処理することができる機能をもった記録媒体処理装置および記録媒体処理システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を解決する本発明の記録媒体処理装置は、状態により階調が変化する可視像が熱の作用により形成される記録媒体を受け入れてから排出するまでの間にその記録媒体の表面に可視像を形成する記録媒体処理装置において、
上記記録媒体表面に熱を加えてその表面に可視像を形成する画像形成部と、
上記画像形成部によって可視像が形成された記録媒体表面の画像を読み取る画像読取部と、
上記画像読取部で読み取った画像を二値化処理して二値画像データを生成する二値化処理部とを備え、
上記二値化処理部が、二値化処理を行うにあたり、上記記録媒体に形成された可視像の階調に影響を及ぼす要因に応じた閾値を用いて二値化処理を行うものであることを特徴とする。
【0007】
ここにいう記録媒体には、様々なものが含まれ、その材質、大きさ、用途等は何ら限定されるものではない。
【0008】
本発明の記録媒体処理装置によれば、サーマル記録媒体特有の事情を考慮して、その記録媒体に形成された可視像の階調に影響を及ぼす要因に応じた閾値を用いて二値化処理を行うため、可視像が形成された記録媒体表面の画像を適切に二値化処理することができる。
【0009】
また、本発明の記録媒体処理装置において、上記画像形成部によって可視像が形成された記録媒体の温度を判定する記録媒体温度判定手段を備え、
上記二値化処理部が、二値化処理を行うにあたり、上記記録媒体温度判定手段により判定された温度に応じた閾値を用いて二値化処理を行うものである態様や、あるいは、
この記録媒体処理装置内の温度を検出する装置内温度検出手段を備え、
上記二値化処理部が、二値化処理を行うにあたり、上記装置内温度検出手段により検出された温度に応じた閾値を用いて二値化処理を行うものである態様であってもよい。
【0010】
前者の態様における記録媒体の温度を判定する温度判定手段とは、例えば、記録媒体にセンサ部を接触させてその記録媒体の温度を直接検出したり、装置内の温度を検出し、その検出した温度から記録媒体の温度を予測するものである。
【0011】
上記サーマル記録媒体として、可視像が、加熱温度を異ならせることによって形成されたり消去されたりするものや、加熱後の冷却速度を異ならせることによって形成されたり消去されたりする熱可逆性のもの等がある。これらの熱可逆性の記録媒体に形成された可視像の階調は記録媒体の温度によって変化する。したがって、前者の態様では、上記画像形成部によって可視像が形成された記録媒体の温度を直接検出し、その温度に応じた閾値を用いて二値化処理を行う。あるいは、この記録媒体処理装置内の温度を検出することでその記録媒体の温度を予測し、予測した温度に応じた閾値を用いて二値化処理を行う。また、この記録媒体処理装置内の温度が高いと、上記画像形成部によって熱が加えられた記録媒体が冷えにくくなる。記録媒体に形成された可視像はその記録媒体の温度低下に伴って濃くなってくる。そのため、後者の態様では、そ記録媒体処理装置内の温度に応じた閾値を用いて二値化処理を行う。
【0012】
さらに、本発明の記録媒体処理装置において、前記画像形成部が該記録媒体表面に熱を加えてから経過した時間を判定する経過時間判定手段を備え、
前記二値化処理部が、二値化処理を行うにあたり、前記経過時間判定手段により判定された時間に応じた閾値を用いて二値化処理を行うものであってもよい。
【0013】
記録媒体表面に熱を加えた直後には記録媒体の温度は非常に高く、その後、時間が経つにつれて記録媒体の温度は低下する。上述の如く、記録媒体に形成された可視像はその記録媒体の温度低下に伴って濃くなってくるため、上記経過時間に応じた閾値を用いて二値化処理を行う。
【0014】
また、本発明の記録媒体処理装置において、この記録媒体処理装置が、状態により階調が変化する可視像が熱の作用により形成されたり消去される記録媒体を受け入れた後、その記録媒体表面に形成されていた可視像を一旦消去し、その記録媒体を排出する前にその表面に可視像を形成し直す一連の処理を行う装置であって、
受け入れた上記記録媒体がこれまでに上記一連の処理を何回受けているかを表す回数情報を取得する情報取得部を備え、
上記二値化処理部が、二値化処理を行うにあたり、上記情報取得部が取得した回数情報に応じた閾値を用いて二値化処理を行うものであってもよい。
【0015】
ここにいう情報取得部は、受け入れた記録媒体が上記回数情報を記録しているものであれば、その記録媒体から回数情報を取得するものであってもよいし、あるいは、装置側で上記回数情報を管理しているのであれば、装置側から回数情報を取得するものであってもよい。
【0016】
上記熱可逆性の記録媒体では、可視像の形成と消去がある程度繰り返されると熱可逆性の記録媒体が劣化し、形成された可視像が薄くしか表れなくなったり、可視像を消去しても完全に消えず、消去残りが生じたりすることがある。このため、上記回数情報に応じた閾値を用いて二値化処理を行う。
【0017】
上記目的を解決する本発明の記録媒体処理システムは、状態により階調が変化する可視像が熱の作用により形成される記録媒体を受け入れてから排出するまでの間に該記録媒体の表面に可視像を形成する記録媒体処理装置を備えた記録媒体処理システムにおいて、
前記記録媒体処理装置が、
前記記録媒体表面に熱を加えて該表面に可視像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部によって可視像が形成された記録媒体表面の画像を読み取る画像読取部とを有するものであり、
この記録媒体処理システムがさらに、
前記画像読取部で読み取った画像を二値化処理して二値画像データを生成する二値化処理部を備え、
前記二値化処理部が、二値化処理を行うにあたり、前記記録媒体に形成された可視像の階調に影響を及ぼす要因に応じた閾値を用いて二値化処理を行うものであることを特徴とする。
【0018】
さらに、本発明における技術的思想は、二値画像データ処理プログラムとしても利用することができる。この二値画像データ処理プログラムは、状態により階調が変化する可視像が熱の作用により形成される記録媒体を受け入れてから排出するまでの間にその記録媒体の表面に熱を加えてその表面に可視像を形成し、可視像が形成された記録媒体表面の画像を読み取る記録媒体処理装置を備えた記録媒体処理システムにおいて実行される二値画像データ処理プログラムであって、
上記記録媒体処理システムに、
読み取った記録媒体表面の画像を二値化処理して二値画像データを生成する二値化処理部を構築し、
上記二値化処理部が、二値化処理を行うにあたり、上記記録媒体に形成された可視像の階調に影響を及ぼす要因に応じた閾値を用いて二値化処理を行うものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、可視像が形成された記録媒体表面の画像を、サーマル記録媒体特有の事情を考慮して適切に二値化処理することができる機能をもった記録媒体処理装置および記録媒体処理システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0021】
本実施形態の記録媒体処理装置は、熱可逆的な記録を行うサーマルリライタブルカードの処理装置である。このサーマルリライタブルカード(以下、単にカードと称する)は、熱の作用により可視像の記録と消去を繰返し行うことができる記録媒体である。本実施形態の記録媒体処理装置は、カードを受け入れた後、そのカードに形成されていた可視像を一旦消去し、そのカードを排出する前に可視像を形成し直す一連の書換処理を行う装置である。
【0022】
図1は、本実施形態の記録媒体処理装置で取り扱うカードを示す図である。
【0023】
図1の(a)にはカード9のおもて面91が示され、(b)にはその裏面92が示されている。図1(a)に示すおもて面91の中央部分には印字領域911が形成されている。この印字領域911には、加熱後の冷却速度を変えることにより発色したり消色したりするロイコ系リライタブル記録材料が設けられている。印字領域911の背景の色は白色であり、その印字領域911に黒色の印字が施される。ここで、ロイコ系リライタブル記録材料の可逆特性について図1を離れて図2を用いて説明する。
【0024】
図2は、ロイコ系リライタブル記録材料の可逆特性を示すグラフである。
【0025】
図2に示すグラフの横軸は温度を示し、縦軸は発色濃度を示す。以下に説明するロイコ系リライタブル記録材料は、ロイコ染料と可逆性を発現する顕色剤を組み合わせた材料である。まず、消色状態(D)のロイコ染料と顕色剤を加熱すると、両者は溶融して発色状態(C)になる。これを急冷すると溶融状態に近い状態で固化し発色状態が維持される。一方、発色状態(C)から消色状態(D)にするには、加熱溶融した後、徐冷すればよい。徐冷することにより、溶融温度よりもやや低い温度領域(消色温度領域)でロイコ染料と顕色剤が相分離して消色状態(D)になる。また、消色温度領域で一定時間加熱保持後(図2中の1点鎖線参照)、冷却することでも、発色状態(C)から消色状態(D)になる。
【0026】
再び、図1を用いて説明する。図1(a)に示す印字領域911には、例えば、購入額に応じて付与される金銭的価値のあるポイント数が印字される。なお、印字領域911に、バーコード等の印画が施されることもある。印字領域911の外側には、背景色が印字領域911の背景色よりも濃い色(例えば赤色)の外枠領域912が設けられている。
【0027】
図1(b)に示す裏面92の背景色は黒色に近い濃い色(例えば濃紺色)である。また、図1(b)に示す裏面92の上方部分には、このカード9の長さ方向に延びた磁気ストライプ921が設けられている。磁気ストライプ921の色は黒色である。磁気ストライプ921には、このカード9を取り扱うにあたって必要な一切の情報が磁気データとして記録されている。すなわち、磁気ストライプ921には、おもて面91の印字領域911に印字されている情報の他、このカード9の持ち主の識別情報(ID)や、上述した一連の書換処理をこれまでに何回受けているかを表す回数情報等も記録されている。磁気ストライプ921の下方には、裏面92の背景色よりもわずかに薄い色(例えば紺色)の図柄922が印刷されている。
【0028】
なお、印字領域911に設ける記録材料として、加熱温度を異ならせることによって可視像を形成したり消去したりする白濁式の熱可逆性材料を用いてもよい。この白濁式の熱可逆性材料を用いた場合には、印字領域の背景の色は銀色になり、その印字領域に白色の画像(文字等)が印字される。
【0029】
図3は、本発明の一実施形態である記録媒体処理装置を模式的に示す図である。
【0030】
図3に示す本実施形態の記録媒体処理装置1は、図1に示すカード9を搬送しながら一連の書換処理を行うものである。図3では、記録媒体処理装置1のカード挿入口10に左側からカード9が挿入され、カード9はその長さ方向(図3の左右方向)に沿って搬送される。カード9は、カード挿入口10に、おもて面91を上にして挿入され、おもて面91を上にしたまま装置内を搬送される。図3には、カード挿入口10から挿入されたカード9が示されている。記録媒体処理装置1には、カード9を受け入れてから排出するまでの間、エラーがなければカード9が3往復する搬送路12が設けられている。また、記録媒体処理装置1には、カード挿入口10が設けられた側(以降、こちら側を前側と称することがある)とは反対側(以降、この反対側を後側と称することがある)にカード通過口11が設けられている。搬送路12は、カード挿入口10とカード通過口11を結ぶものであり、この搬送路12では、前側から後側に向かう経路が往路になり、反対に後側から前側に向かう経路が復路になる。
【0031】
また、この記録媒体処理装置1には、この搬送路12に沿ってカード9を搬送するための搬送ローラ13,14が設けられている。さらに図3では図示省略しているが、カード挿入口10側に第1搬送ローラが設けられており、搬送路12の中間部分に設けられた第2搬送ローラ13と、後側に設けられた第3搬送ローラ14がそれぞれカード9の搬送方向に沿ってカード長未満の間隔で配置されている。これらいずれの搬送ローラ13,14も上下1対のローラ(上側ローラと下側ローラ)で構成されている。上側ローラ131,141と下側ローラ132,142は互いに接しており、上側ローラ131,141と下側ローラ132,142の間がニップ領域になる。下側ローラ132,142は、駆動モータ15により正逆回転する。すなわち、図3に示す下側ローラ132,142は、カード9を、往路に沿って搬送するときには時計回りの方向(第3搬送ローラ14の下側ローラ142に示した矢印R方向参照)に回転し、復路に沿って搬送するときには反時計回りの方向(同下側ローラ142に示した矢印F方向)に回転する。一方、上側ローラ131,141は下側ローラ132,142の回転に伴って従動回転する。
【0032】
また、図3に示す記録媒体処理装置1は、制御部16と二値化処理部17とを有する。制御部16は、この記録媒体処理装置1全体の制御を司るものである。また、図3には、ホストコンピュータ66が示されている。制御部16は、このホストコンピュータ6に接続されており、ホストコンピュータ6と必要な情報のやり取りを行う。二値化処理部17は、閾値格納部170、閾値設定部171、および二値画像データ生成部172を有するものであるが、詳細については後述する。
【0033】
さらに、図3に示す記録媒体処理装置1は磁気ヘッド18も有する。ここで、図3では、カード9の長さ方向(図3の左右方向)に直交するカード9の幅方向は、紙面に対して垂直な方向になる。磁気ヘッド18は、カード搬送方向に関しては、第2搬送ローラ13の下側ローラ132と同じ位置に配置されているが、その下側ローラ132とはカード幅方向に間隔をあけて配置されている。磁気ヘッド18は、裏面92を下にして搬送されてきたカード9の磁気ストライプ921(図1(b)参照)が、ちょうど真上を通過する位置に配置されている。磁気ヘッド18の上方には、その磁気ヘッド18へ向けてバネ付勢された従動ローラ(不図示)が配置されており、搬送されてきたカード9の、磁気ストライプ921の部分は、磁気ヘッド18と不図示の従動ローラによって挟み込まれる。磁気ヘッド18は、制御部16によって通電されることにより駆動し、カード9の磁気ストライプ921に記録されている磁気データを読み出したり、あるいはその磁気ストライプ921に磁気データを書き込む。
【0034】
またさらに、図3に示す記録媒体処理装置1は、画像読取部19を備えているとともに、印字ヘッド20と消去ヘッド21も備えている。画像読取部19、印字ヘッド20、および消去ヘッド21は、第2搬送ローラ13と第3搬送ローラ14の間に、カード搬送方向に沿って前側からこの記載順に配置されている。したがって、図3の右側から左側に向かう復路に沿ってカード9が搬送されている状態では、カード9は、消去ヘッド21あるいは印字ヘッド20を通過してから画像読取部19を通過することになる。消去ヘッド21と画像読取部19の距離は、カード長以下であり、消去ヘッド21と画像読取部19の間には、カード9をニップして搬送する搬送ローラは設けられていない。
【0035】
画像読取部19は、搬送路12の上方におもて面読取部191を有するとともにその下方に裏面読取部192を有する。おもて面読取部191にも、裏面読取部192にも、カード幅方向に並ぶ複数の発光素子と、同じく同方向に並ぶ複数の受光素子とが設けられている。すなわち、この画像読取部19では、搬送路12を搬送されているカード9のカード幅方向が主走査方向になる。おもて面読取部191および裏面読取部192は、制御部16によって通電されることで別々に駆動する。したがって、後述するように、おもて面読取部191と裏面読取部192との内、おもて面読取部191のみが駆動することもある。おもて面読取部191は、駆動する必要がないときにはカード搬送の妨げとならぬよう、図3に示すように上方へ退避している。おもて面読取部191では、カード9のおもて面91全域の媒体画像を読み取る。一方、裏面読取部192では、その裏面92全域の媒体画像を読み取る。画像読取部19で読み取られた媒体画像は電気信号になって二値化処理部17の二値画像データ生成部172に送信される。なお、おもて面読取部191と裏面読取部192は、搬送路を間において互いに対向しており、いずれか一方の発光素子と、他方の受光素子を用いて、搬送されてくるカード9を検知するセンサとしても利用することができる。
【0036】
図3に示す印字ヘッド20と消去ヘッド21はいずれも、搬送されているカード9のおもて面91に対向するように搬送路12の上方に配置されたものである。また、搬送路12を間において、印字ヘッド20の下方には印字プラテンローラ201が配置されているとともに、消去ヘッド21の下方には消去プラテンローラ211が配置されている。印字プラテンローラ201も消去プラテンローラ211も、駆動モータ15により正逆回転する。すなわち、これらのプラテンローラ201,211は、各搬送ローラ13,14の下側ローラ132,142と同じ方向に回転駆動する。なお、駆動モータ15の正逆回転は、制御部16によって制御されており、カード9を、搬送路12の往路に沿って搬送する場合には、図3では、制御部16が駆動モータ15を時計回りの方向に回転させ、復路に沿って搬送する場合には反時計回りの方向に回転させる。
【0037】
印字ヘッド20は、カード幅方向に延在したサーマルヘッドであり、カード幅方向に並んだ複数の抵抗素子を有する。印字ヘッド20も、制御部16によって通電されることで駆動する。すなわち、制御部16が、複数の抵抗素子に対して選択的に通電を行うことで、通電された抵抗素子が発熱する。発熱した抵抗素子に接した、図1(a)に示すカード9のおもて面91に設けられた印字領域911は、図2に示す溶融温度を超える温度まで加熱される。また、印字ヘッド20のカード挿入口10側には、印字ヘッド20と一体的に金属ローラ202が設けられている。この金属ローラ202は、印字ヘッド20によって加熱された印字領域911に回転自在に接し、印字領域911を急冷する。印字領域911が急冷されることで、印字領域911に黒色の印字が施される。 消去ヘッド21も、印字ヘッド20と同じく、カード幅方向に延在したものであるが、そのカード幅方向の長さは、カード9の幅以下の長さである。消去ヘッド21は、幅数ミリの面状の抵抗体をセラミック基材に貼り合わせたものである。この消去ヘッド21も、制御部16によって通電されることで駆動する。すなわち、制御部16が通電を行うことで、面状の抵抗体の全面が発熱する。発熱した抵抗体に接した印字領域911は、図2に示す溶融温度を超える温度まで加熱され、その後徐冷されることで、印字領域911に印字されていた画像(文字等)が消去される。消去ヘッド21が駆動しているときには、その消去ヘッド21は、制御部16により、抵抗体の温度が常に溶融温度よりも高い所定温度を維持するように制御されている。
【0038】
また、図3に示す記録媒体処理装置1には、ヘッド退避駆動モータ22が設けられている。印字ヘッド20も消去ヘッド21も、おもて面読取部191と同じように、駆動する必要がないときにはカード搬送の妨げとならぬよう、図3に示すように上方へ退避している。ヘッド退避駆動モータ22は、印字ヘッド20を上方へ退避させる駆動源になるとともに、消去ヘッド21を上方へ退避させる駆動源にもなる。なお、このヘッド退避駆動モータ22の駆動制御も制御部16によって行われる。
【0039】
さらに、図3に示す記録媒体処理装置1には、装置内温度検出センサ23が設けられている。この装置内温度検出センサ23は、装置内の雰囲気温度を検出するサーミスタであるが、印字ヘッド20とおもて面読取部191との間で、搬送路12に対向するように設けられたものである。装置内温度検出センサ23は、復路に沿ってカード9が搬送されてくると、印字ヘッド20を通過して加熱されたカード9のおもて面91の上の雰囲気温度を検出する。装置内温度検出センサ23で検出された温度データは制御部16に送られる。
【0040】
以上、説明した記録媒体処理装置1の後端には、カードスタッカ装置3と回収ボックス5がそれぞれ装着される。カードスタッカ装置3は、新しいカード(不図示)を積み重ねた状態で収容しているものであり、記録媒体処理装置1の搬送路12を基準にして上方に装着される。一方、回収ボックス5には、後述するようにして制御部16が回収すると判定したカードが回収される。回収ボックス5は、記録媒体処理装置1の搬送路12を基準にして下方に装着される。カード通過口11は、カードスタッカ装置3にも回収ボックス5にもつながっている。搬送路12とカードスタッカ装置3を結ぶ経路と、搬送路12と回収ボックス5を結ぶ経路の切替えは、不図示の経路切替部材によって行われる。
【0041】
続いて、図3に示す記録媒体処理装置1における一連の処理について説明する。上述のごとく、この記録媒体処理装置1では、カード9を受け入れてから排出するまでの間に、エラーがなければカード9が搬送路12を3往復する。
【0042】
図4は、図3に示す記録媒体処理装置1における一連の処理を示すフローチャートである。
【0043】
図3に示すカード挿入口10にカード9が挿入されると、不図示の第1搬送ローラの下側ローラが時計回りの方向に回転し始め、装置内にそのカード9を受け入れる。まず、カード9は搬送路12の往路に沿って搬送される。ここでの搬送は、1往復目の往路に沿った搬送に相当する。カード9を受け入れたときの記録媒体処理装置1の状態は、図3に示す記録媒体処理装置1の状態と同じである。すなわち、おもて面読取部191、裏面読取部192、印字ヘッド20、および消去ヘッド21はいずれも駆動しておらず、おもて面読取部191、印字ヘッド20、および消去ヘッド21は上方へ退避した状態にある。また、何往復目かに限らずカード9を往路に沿って搬送する際には、制御部16が駆動モータ15を図3では時計回りの方向に回転させる。こうすることで、第1〜第3搬送ローラ13,14それぞれの下側ローラ132,142や、印字プラテンローラ201や消去プラテンローラ211も、時計回りの方向に回転する。1往復目の往路に沿って搬送され始めたカード9は、やがて磁気ヘッド18を通過する。このとき、磁気ヘッド18は駆動しており、通過するカード9の磁気ストライプ921(図1(b)参照)に記録されている磁気データを読み取る(ステップS1)。磁気ヘッド18を通過したカード9はカード通過口11へ向けてさらに搬送される。
【0044】
図5は、往路を搬送されたカードが記録媒体処理装置の後側で待機している様子を示す図である。
【0045】
この図5では、不図示の経路切替部材によって搬送路12とカードスタッカ装置3が結ばれている。ここで、往路を搬送されているカード9においては、図の右側が先端になり左側が後端になる(以下の説明でも同じ)。往路を搬送されてきたカード9は、カード9の後端部分が第3搬送ローラ14を抜けきる前に搬送が中止され、図5に示すように、カード9の先端から半分以上がカードスタッカ装置3に入り込んだ状態で停止する。カード9はこの状態で待機する。以下、この図5に示すカード9の状態を後側待機状態と称することにする。この後側待機状態では、カード9の後端部分が第3搬送ローラ14にニップされている。
【0046】
上述の如く、磁気ストライプ921には、このカード9を取り扱うにあたって必要な一切の情報が記録されている。ここで、磁気ストライプ921に記録されていた情報は、ホストコンピュータ6にも記録されており、ホストコンピュータ6では、カード9の持ち主の識別情報(ID)ごとにデータ管理がなされている。ステップS1で磁気データを読み取ると、制御部16は、読み取った磁気データに基づく情報をホストコンピュータ6に送信する。ホストコンピュータ6では、送信されてきた情報の中から、このカード9の持ち主の識別情報(ID)を取得し、その識別情報をもとに、ホストコンピュータ6に記録されている情報と制御部16から送信されてきた情報とが一致するか否かをチェックし、チェック結果を制御部16に返信する。
【0047】
制御部16は、ホストコンピュータ6からのチェック結果を受けて、今回受け入れたカード9の磁気ストライプ921に記録されている磁気データが正常か否かを判定する(ステップS2)。このステップS2における判定で磁気データが異常であれば、後側待機状態にあったカード9が、復路に沿って搬送路12の途中まで搬送される。ここで、復路を搬送されているカード9においては、図の左側が先端になり右側が後端になる(以下の説明でも同じ)。カード9は、後端部分が不図示の経路切替部材を通過するまで復路に沿って搬送される。本実施形態の記録媒体処理装置1には、搬送されているカード9の位置を検出する不図示のセンサが設けられており、制御部16は、カード9の後端部分が経路切替部材を通過したことを検知することができる。制御部16がこのことを検知すると、制御部16は、カード9の搬送を停止し、経路切替部材を操作して、搬送路12と回収ボックス5を結ぶ。搬送路12と回収ボックス5が結ばれると、カード9は、今度は逆方向になる往路に沿って搬送される。やがて、カード9は、カード通過口11から回収ボックス5に回収される。なお、カード9が回収ボックス5に回収されると、不図示の回収ランプが点灯し、カード9の持ち主にカード9が回収されたことが知らされる(以下、同じ)。
【0048】
反対に、ステップS2における判定で磁気データが正常であれば、図5に示す後側待機状態にあったカード9が、復路に沿ってカード挿入口10手前まで搬送される。
【0049】
図6は、カードが1往復目の復路を搬送されている様子を示す図である。
【0050】
何往復目かに限らずカード9を復路に沿って搬送する際には、制御部16が駆動モータ15を図6では反時計回りの方向に回転させる。こうすることで、第1〜第3搬送ローラの下側ローラ132,142や印字プラテンローラ201や消去プラテンローラ211が反時計回りの方向に回転する。また、カード9を1往復目の復路に沿って搬送するときの記録媒体処理装置1の状態は、消去ヘッド21及びおもて面読取部191の双方が搬送路12に臨む位置まで下げられた状態にあり、消去ヘッド21、おもて面読取部191、および裏面読取部192は駆動している。なお、印字ヘッド20は未だ駆動しておらず、上方へ退避したままである。
【0051】
1往復目の復路に沿って搬送され始めたカード9は、消去ヘッド21を通過し、カード9の後端が消去ヘッド21を抜けきる前にその先端が画像読取部19に達する。こうして本実施形態の記録媒体処理装置1では、カード9の印字領域911(図1(a)参照)に印字されていた画像(文字等)を消去しながらカード9のおもて面91と裏面92との両面それぞれの媒体画像を読み取る(図4に示すステップS3)。すなわち、画像(文字等)を消去しながら同時ではあるが2回の画像読取りが行われる。なお、消去ヘッド21と画像読取部19の距離がカード長よりも長く、カード後端が消去ヘッド21を抜けきった後にカード先端が画像読取部19に達する態様であってもよい。このステップS3において、おもて面読取部191及び裏面読取部192によって読み取られる媒体画像は、消去ヘッド21で印字が消去された後の印字領域911を含むカード9のおもて面91全体の媒体画像と、裏面92全体の媒体画像との2つの媒体画像である。ステップS3で読み取られた媒体画像は、電気信号になって二値化処理部17の二値画像データ生成部172に送信される。すなわち、二値画像データ生成部172には、消去後のカードおもて面91全体の媒体画像を表す電気信号と、裏面92全体の媒体画像を表す電気信号との2種類の電気信号が両者を区別できるようにして送信される。また、二値化処理部17の閾値格納部170には、二値化処理の際に各画素を白色か黒色かに振り分けるための閾値が複数格納されている。
【0052】
図7は、図6に示す二値化処理部の閾値格納部に格納されている複数の閾値を説明するための図である。
【0053】
図6に示す二値化処理部17の閾値格納部170には、全部で3種類の閾値(閾値1〜3)テーブルが格納されている。
【0054】
ここでは図7を用いて、白色を255、黒色を0とした256階調において、背景を白色に振り分け、傷や汚れや印字された画像(文字等)を黒色へ振り分ける場合を例にあげて説明する。本来、二値化処理の際に各画素を白色か黒色かに振り分けるための閾値は、ちょうど中間である127に設定される。しかしながら、コンピュータによる画像認識では、背景色が濃くなればなるほど、背景が黒色に振り分けられやすくなる。背景が黒色に振り分けられると、背景と背景部分に生じた汚れや傷との区別がつかず、背景部分に生じた汚れや傷の判定が正確にできなくなってしまう。本実施形態では、閾値1が127よりも低い閾値である。この閾値1は、カード9の裏面92の背景色に応じた閾値である。また、わずかな汚れや傷でも見落とさないようにするには、閾値を127よりも上げ、汚れや傷が黒色に振り分けられやすくする必要がある。本実施形態では、閾値2が127よりも高い閾値である。この閾値2は、カード9のおもて面91の、正確には後述するように外枠領域912にはマスク処理を施すため印字領域911に対する汚れや傷の認識精度を高めた閾値である。さらに、印字ヘッド20によって加熱されたカード9の印字領域911は、印字ヘッド20に設けられた金属ローラ202(図3参照)によって急冷されるとはいうものの、印字ヘッド20を抜けた直後の印字領域911は、常温に比べればまだまだ高い温度にあることが多い。そのため、十分な発色特性が得られず、印字された画像(文字等)はまだ薄い。このような薄い画像(文字等)でも正確に認識させるためには、閾値を127よりも上げる必要がある。また、この記録媒体処理装置1における一連の書換処理を何回も繰り返していると、印字領域911の発色濃度が低下し、印字された画像(文字等)が薄くなってくる。一方、閾値をあまり上げてしまうと、今度は、汚れや傷までも画像(文字等)として認識してしまう恐れがある。このため、本実施形態では、閾値3が印字直後のおもて面91に用いる閾値であり、この閾値3を、記録材料の発色特性に影響を及ぼす要因に応じて、127以上210以下の値の範囲で選択するものにしている。すなわち、図7に示す閾値3は、印字された画像(文字等)の階調に影響を及ぼす要因に応じた閾値である。
【0055】
なお、ここでは背景を白色に振り分け、傷や汚れや印字された画像(文字等)を黒色へ振り分ける場合について説明したが、この場合とは逆に背景は黒色に振り分け、傷や汚れや印字された画像(文字等)は白色へ振り分ける場合には、ここでの説明とは逆になる。すなわち、カード9の裏面92の背景色に応じた閾値1の値は127を超えた値になり、カード9の印字領域911に対する汚れや傷の認識精度を高めた閾値2や、印字された文字の階調に応じた閾値3の値は127を下回る値になる。
【0056】
図6に示す閾値設定部171には、送信されてくる媒体画像の電気信号が、消去後のカードおもて面91全体の媒体画像を表す電気信号と、裏面92全体の媒体画像を表す電気信号との2種類であることが制御部16から通知される。閾値設定部171は、制御部16から通知された情報をもとに、図4に示すステップS4の二値化処理で使用する閾値を閾値格納部170から選択し、選択した閾値を二値画像データ生成部172に設定する。閾値設定部171は、消去後のカードおもて面91全体の媒体画像の閾値として127よりも高い閾値2を設定する。また、閾値設定部171は、裏面92全体の媒体画像の閾値として閾値1を設定する。
【0057】
1往復目の復路に沿って搬送されているカード9は、画像読取部19を通過し、さらにカード挿入口10へ向けて搬送される。
【0058】
図8は、復路を搬送されたカードが記録媒体処理装置1の前側で待機している様子を示す図である。
【0059】
復路を搬送されてきたカード9は、カード9の先端がカード挿入口10に達する前に搬送が中止され、先端部分が不図示の第1搬送ローラにニップされた状態で停止する。カード9はこの状態で待機する。以下、図8に示すカード9の状態を前側待機状態と称することにする。カード9の復路の搬送が終了すると、制御部16はヘッド退避モータ22を駆動させ、消去ヘッド21及びおもて面読取部191の双方が上方へ向かって退避する。
【0060】
二値化処理部17の二値画像データ生成部172では、送られてきた2種類の電気信号それぞれにつき、閾値設定部171が設定したそれぞれの閾値を用いて二値化処理を施し(図4に示すステップS4)、二値画像データを生成する。二値画像データ生成部172は、消去後のカードおもて面91全体の媒体画像については、図7に示す閾値2を用いて二値化処理する。この際、二値画像データ生成部172は、背景色が印字領域911の背景色よりも濃い外枠領域912(図1(a)参照)についてはマスク処理を行う。閾値2は、黒色に振り分けられやすくする閾値である。このため、背景色が印字領域911の背景色よりも濃い外枠領域912を二値化処理しても、外枠領域912の背景が黒色に振り分けられ、背景部分に生じた汚れや傷の判定ができなくなってしまう。そこで、二値画像データ生成部172は、処理負担を軽減するため、外枠領域912については、マスク処理をして二値化処理を行わずに無視する。一方、消去後の印字領域911については、閾値2を用いたことで、わずかな汚れや傷でも黒色に振り分けられやすくなる。また、二値画像データ生成部172は、裏面92全体の媒体画像については、図7に示す閾値1を用いて二値化処理する。この際、二値画像データ生成部172は、図1(b)に示す黒色の磁気ストライプ921の部分と、背景色よりもわずかに薄い色の図柄922の部分についても、マスク処理を行い、二値化処理を行わずに無視する。一方、裏面92の背景部分については、閾値1を用いたことで背景色は白色に振り分けられ、背景と背景部分に生じた汚れや傷との区別が明確になり、汚れや傷の認識が可能になる。ステップS4の二値化処理が終了すると、消去後の印字領域911の媒体画像を表す二値画像データと、裏面92の背景部分を表す二値画像データが得られる。これらの二値画像データは、ホストコンピュータ6に送信される。ホストコンピュータ6は、印字領域911の背景色が白色であることを記憶している。また、新品のカード9における裏面92の背景部分を表す二値画像データも記憶している。ホストコンピュータ6は、これらの記憶をもとに、黒色に振り分けられた画素の数によって、印字領域911や裏面92の背景部分に汚れや傷がないかを確認し、確認結果を制御部16に返信する。
【0061】
制御部16は、ホストコンピュータ6からの確認結果を受けて、今回受け入れたカード9の印字領域911および裏面92の背景部分いずれにも汚れや傷がないかを判定する(図4に示すステップS5)。このステップS5における判定で汚れや傷があれば、図8に示す制御部16が不図示の経路切替部材を操作して、搬送路12と回収ボックス5を結び、図8に示す前側待機状態にあったカード9が回収ボックス5へ向けて復路に沿って搬送される。このカード9は、カード通過口11から回収ボックス5に回収される。
【0062】
反対に、ステップS5における判定で汚れや傷がなければ、制御部16は排出指令が発せられるのを待つ。すなわち、制御部16は排出指令が発せられたか否かを、排出指令が発せられるまで繰り返し判定する(ステップS6)。この間、カード9は前側待機状態にある。本実施形態の記録媒体処理装置1では、カードの持ち主が不図示のカード返却ボタンを押さないと、カードが持ち主に返却されない。排出指令とは、カードの持ち主がカード返却ボタンを押したときに発せられる指令である。なお、カード返却ボタンを設けずに、カード9を受け入れるとカード排出(返却)まで最短の時間で行う態様であってもよく、この態様の場合には、ステップS6が省略される。
【0063】
排出指令が発せられると、制御部16が駆動モータ15を図8では時計回りの方向に回転させ、前側待機状態にあったカード9を往路に沿って搬送する(図4に示すステップS7)。ここでの搬送は2往復目の往路の搬送に相当し、磁気ヘッド18、画像読取部19、印字ヘッド20、および消去ヘッド21はいずれも駆動せず上方へ退避したままである。カード9は、図5に示す後側待機状態の位置まで搬送され、すぐさま、2往復目の復路の搬送が始まる。カード9を2往復目の復路に沿って搬送するときの記録媒体処理装置1の状態は、消去ヘッド21、印字ヘッド20、及びおもて面読取部191がいずれも上方へ退避したままであり、磁気ヘッド18のみが駆動する。2往復目の復路に沿って搬送され始めたカード9は、やがて磁気ヘッド18を通過する。制御部16には、カード9の磁気ストライプ921(b))参照)に今回新たに書込む情報が、ホストコンピュータ6から通知されている。ここで書き込む情報には、書換処理を受けた回数を1回増やした回数情報が含まれている。磁気ヘッド18は、通過するカード9の磁気ストライプ921に、その通知された情報に基づく磁気データを書き込む(図4に示すステップS8)。制御部16には、カード9を新たに受け入れると初期値である0に戻る書込カウンタが設けられており、ステップS8で磁気データを書き込むと、制御部16はこの書込カウンタをインクリメントする。磁気ヘッド18を通過したカード9はカード挿入口10へ向けてさらに搬送される。カード9が前側待機状態の位置まで搬送されると、すぐさま、3往復目の往路の搬送が始まる。この3往復目の往路の搬送では、磁気ヘッド18が、ステップS8で書き込んだ磁気データを今度は読み取り(図4に示すステップS9)、その後カード9は、図5に示す後側待機状態になる。制御部16は、ステップS9で読み取った磁気データに基づく情報をホストコンピュータ6に送信する。ホストコンピュータ6では、今回書き込まれた磁気データが正しく書き込まれているか否かをチェックし、チェック結果を制御部16に返信する。すなわち、ベリファイが行われる。
【0064】
制御部16は、ホストコンピュータ6からのチェック結果を受けて、今回書き込んだ磁気データに誤りがないか否かを判定し(図4に示すステップS10)、誤りがあれば、制御部16は、書込カウンタの値が3であるか否かを判定する(図4に示すステップS11)。この書込カウンタの値が3であれば、図5に示す後側待機状態にあるカード9は、ステップS2における判定で磁気データに異常があることが判定されたときと同じようにして、カード通過口11から回収ボックス5に回収される。一方、書込カウンタの値が3でなければ、ステップS8に戻って磁気データの再書き込みを行う。磁気データの再書き込みから誤り判定が行われるまでの間(ステップS8〜ステップS10)に、図5に示す後側待機状態にあるカード9は、この状態から搬送路を一往復する。
【0065】
ステップS10における判定で今回書き込んだ磁気データに誤りがなければ、後側待機状態にあったカード9が、復路に沿って搬送され始める。
【0066】
図9は、カードが3往復目の復路を搬送されている様子を示す図である。
【0067】
カード9を3往復目の復路に沿って搬送するときの記録媒体処理装置1の状態は、印字ヘッド20及びおもて面読取部191の双方が搬送路12に臨む位置まで下げられた状態にある。印字ヘッド20は駆動しており、おもて面読取部191も駆動しているが、裏面読取部192は駆動していない。
【0068】
3往復目の復路に沿って搬送され始めたカード9は、印字ヘッド20を通過し、カード9の後端が印字ヘッド20を抜けきる前にその先端がおもて面読取部191に達する。こうして本実施形態の記録媒体処理装置1では、カード9の印字領域911(図1(a)参照)に印字を行いながらカード9の両面のうちのおもて面91のみの媒体画像を読み取る(図4に示すステップS12)。このステップS12で読み取られる媒体画像は、印字ヘッド20によって加熱された状態にある印字領域911を含むおもて面91全体の媒体画像である。ステップS12で読み取られた媒体画像は、電気信号になって二値化処理部17の二値画像データ生成部172に送信される。
【0069】
また、二値化処理部17の閾値設定部171には、送信されてくる媒体画像の電気信号が、印字ヘッド20によって加熱された直後のおもて面91全体の媒体画像であることが制御部16から通知される。また、制御部16は、図4に示すステップS1で読み取った磁気データから、今回受け入れたカードが書換処理をこれまでに何回受けているかを表す回数情報を取得し、取得した回数情報も閾値設定部171に通知する。したがって、制御部16が、本発明にいう情報取得部の一例に相当する。さらに、制御部16は、装置内温度検出センサ23から送られてきた、カードおもて面91の上の雰囲気温度データに基づいて、印字ヘッド20を通過して加熱されたカード9における印字領域911の温度を予測し、予測した温度情報も閾値設定部171に通知する。したがって、装置内温度検出センサ23と制御部16を併せたものが、本発明にいう記録媒体の温度を判定する記録媒体温度判定手段の一例に相当する。なお、この装置内温度検出センサ23に代えて、印字ヘッド20を通過して加熱されたカード9における印字領域911にセンサ部を接触させてその印字領域911の温度を直接検出する温度判定手段を用いてもよい。閾値設定部171は、二値画像データ生成部172に設定する閾値を、制御部16から通知された回数情報と温度情報との双方をもとに閾値格納部170から選択する。
【0070】
表1および表2に、閾値格納部170に格納されている閾値3についての閾値テーブルを示す。
【0071】
【表1】

【0072】
【表2】

【0073】
表1には、横一列ごとにカード温度(℃)が示されている。このカード温度は、加熱された印字領域911における温度である。この表1では、上から0℃以上10℃未満、10℃以上20℃未満・・・という具合に、10℃刻みで70℃未満まで温度範囲が示され、一番下には70℃以上の温度範囲が示されている。カード温度が高ければ高いほど、印字領域911の発色特性が悪化する。すなわち、黒色の印字が薄くなる。このため、本実施形態では、薄い画像(文字等)でも正確に認識させるため、カード温度が高くなればなるほど、閾値を段階的に上げ、黒色に振り分けられやすくしている。
【0074】
まず、閾値設定部171は、制御部16から通知された温度情報が示すカード温度が属する温度範囲の閾値を選択する。例えば、温度情報が45℃であれば、閾値設定部171は、195という値を選択する。
【0075】
なお、表1に示す閾値テーブルは、制御部16が雰囲気温度に基づいて予測したカード温度から適切な閾値を参照するものであるが、ここで用いる閾値テーブルは、予め雰囲気温度とカード温度の関係を分析しておき、雰囲気温度から、制御部16の予測なしに直接、カード温度に対応した適切な閾値を参照できる閾値テーブルであってもよい。雰囲気温度から直接参照できる閾値テーブルであれば、制御部16がカード温度を予測しなくてもすみ、制御部16の処理負荷が軽減され、好ましい。
【0076】
表2には、横一列ごとに書換回数が示されている。この書換回数は、受け入れたカード9が書換処理をこれまでに受けた回数である。この表2では、上から0回以上99回以下、100回以上199回以下・・・という具合に、100回刻みで599回まで回数範囲が示され、一番下には600回以上の回数範囲が示されている。表2には、回数範囲に応じた係数が示されており、閾値設定部171は、表1で選択した値に、この表2に示す係数を乗じて閾値3を求める。ただし、上述の如く、閾値3の値が210を越えると、今度は、汚れや傷までも画像(文字等)として認識されてしまう恐れがあるため、閾値3の最高値を210に制限している。なお、閾値3の最高値は210に限らず、白色の階調値(255)よりは低く中間の階調値(127)よりは高い所定の値であればよい。本実施形態のカード9では、書換回数が多くなればなるほど、印字領域911の発色特性が悪化し、黒色の印字が薄くなる。このため、本実施形態ではここでも、薄い画像(文字等)でも正確に認識させるため、書換回数が多くなればなるほど、閾値が段階的に上がるようにしている。閾値設定部171は、制御部16から通知された回数情報が示す書換回数が属する回数範囲の係数を選択する。例えば、回数情報が250回であれば、閾値設定部171は、1.10という係数を選択し、表1の例で選択した195という値に1.10を乗じる。こうして得られた値は214.5であり、最高値の210を超えているため、閾値設定部171は、閾値3として210という値を二値画像データ生成部172に設定する。
【0077】
二値画像データ生成部172では、送られてきた電気信号を、設定された閾値3を用いて二値化処理し(図4に示すステップS13)、二値画像データを生成する。このステップS13でも、先のステップS4と同様、おもて面91の媒体画像を二値化処理するにあたり、外枠領域912にはマスク処理を施して二値化処理する。ここでの二値化処理では、印字された画像(文字等)がまだ薄い状態の画像(文字等)であっても、正確に黒色に振り分けられやすく、印字領域911の媒体画像は適切に二値化処理される。こうして生成された二値画像データもホストコンピュータ6に送信されるが、ここではホストコンピュータ6は汚れや傷のチェックを行わない。制御部16は、送信した二値画像データをホストコンピュータ6に保存させる指示を送信し(図4に示すステップS14)、その二値画像データは、ホストコンピュータ6に保存される。上述の如く、ホストコンピュータ6では、カード9の持ち主の識別情報(ID)ごとにデータ管理をしており、今回保存された二値画像データもホストコンピュータ6によってデータ管理される。こうすることで、印字領域911に印字された内容が不正に改変された恐れがある場合等にも、保存されている二値画像データを用いて、前回カードを受け付けたときのカードおもて面91の媒体画像を確認することができ、不正を暴くことができる。
【0078】
3往復目の復路に沿って搬送されているカード9は、カード挿入口10から排出され、そのカード9の持ち主に返却される。
【0079】
以上が、図3に示す記録媒体処理装置1において、1枚のカード9をカード挿入口10から受け入れ、そのカード挿入口10から排出するまでの一連の書換処理である。この一連の書換処理では、図4に示す消去後であって印字前のステップS3で2回、印字後のステップS12で1回、合計3回、カード表面(ひょうめん)の媒体画像を読み取り、印字前の媒体画像を二値化処理する際には、汚れや傷の認識精度を高めた閾値を用い、印字後の媒体画像を二値化処理する際には、印字された画像(文字等)の階調に影響を及ぼす要因に応じた閾値を用いる。その結果、各媒体画像を適切に二値化処理することができる。
【0080】
続いて、本実施形態の記録媒体処理装置1の変形例について説明する。以下の変形例の説明においては、これまで説明した構成要素と同じ構成要素には、これまで使用した符号と同じ符号を用いる。また、これまでの説明と重複する説明については省略する。
【0081】
この変形例では、印字ヘッド20と画像読取部19との距離がカード長よりも離れている。また、復路に沿って搬送されているカード9の後端が印字ヘッド20を抜けると、カード先端がおもて面読取部191に到達する前に、そのカードの搬送が一旦中止され、カード9は印字ヘッド20と画像読取部19との間に停止する。その後、図4に示すステップS6の説明で述べた排出指令と似た搬送再開指令が発せられるまで、カード9の復路に沿った搬送は再開されない。このため、搬送再開指令が発せられるタイミングが異なることで、印字ヘッド20が印字領域911に熱を加えてから、おもて面読取部191がおもて面91の媒体画像を読み取るまでの経過時間も異なる。この変形例では、制御部16が経過時間判定手段を有する。この経過時間判定手段は、経過時間をカウントするものである。すなわち、この変形例の記録媒体処理装置1には、カード9の先端が、印字ヘッド20に到達したことを検知する図示省略の第1センサと、おもて面読取部191に到達したことを検知する図示省略の第2センサとの2種類のセンサが設けられており、経過時間判定手段は、第1センサがカード先端を検知してから第2センサがカード先端を検知するまでの時間を判定する。制御部16は、この経過時間判定手段で判定した時間を表す時間情報を閾値設定部171に通知する。
【0082】
表3に、この変形例における閾値格納部170に格納されている閾値3についての閾値テーブルを示す。また、この変形例における閾値格納部170には、表2に示す閾値テーブルも格納されている。
【0083】
【表3】

【0084】
この表3では、縦一行ごとに経過時間(秒)が示されている。この経過時間は、印字ヘッド20が印字領域911に熱を加えてから、おもて面読取部191がおもて面91の媒体画像の読み取りを開始するまでの時間である。表3では、経過時間として、左から1秒未満、1秒以上2秒未満・・・という具合に、1秒刻みで5秒未満まで時間範囲が示され、右端には5秒以上の時間範囲が示されている。この経過時間が短ければ短いほど印字領域911は冷めきっておらず、印字領域911の発色特性が悪化して、黒色の印字が薄くなる。このため、この変形例では経過時間についても考慮し、薄い画像(文字等)でも正確に認識させるため、経過時間が短くなればなるほど、閾値を段階的に上げ、黒色に振り分けられやすくしている。
【0085】
また、この変形例では、装置内温度検出センサ23は、復路に沿ってカード9が搬送されてくる前に、装置内の雰囲気温度を検出する。制御部16は、装置内温度検出センサ23から、雰囲気温度データが送られてくると、印字領域911の温度予測を行わずに、その温度データをそのままま温度情報として閾値設定部171に通知する。したがって、ここで閾値設定部171に通知される温度情報は、復路に沿ってカード9が搬送されてくる前の装置内における雰囲気温度(周囲温度)である。この周囲温度が高ければ高いほど、印字ヘッド20によって加熱された印字領域は冷めにくくなり、印字領域911の発色特性が悪化する。表3には、横一列ごとに、表1のカード温度の表示の仕方と同じような表示の仕方で周囲温度(℃)が示されている。
【0086】
この変形例では、まず閾値設定部171は、制御部16から通知された、周囲温度を表す温度情報と経過時間を表す時間情報との2種類の情報に従って閾値を選択する。例えば、温度情報が35℃であり、時間情報が4.5秒であれば、閾値設定部171は、127という値を選択する。さらに、この変形例においても、書換回数を表す回数情報が閾値設定部171に通知されている。閾値設定部171は、表2に示す閾値テーブルを用いて、回数情報に従って係数を選択し、表3で選択した値に、表2で選択した係数を乗じて閾値3を求める。閾値設定部171は、こうして求めた閾値3の値を二値画像データ生成部172に設定し、図4に示すステップS13において二値画像データ生成部172が、設定された閾値3を用いて二値化処理を行う。ここでの二値化処理でも、印字された画像(文字等)の階調に影響を及ぼす要因に応じた閾値3が用いられるため、印字後の印字領域911の媒体画像を適切に二値化処理することができる。
【0087】
なお、この変形例は、カード9の搬送速度が、受け入れたカード9ごとに異なる場合にも適用することができる。
【0088】
なお、これまでの説明では、カードスタッカ装置3からの、新しいカード9の発行についての説明は省略したが、回収ボックス5にカードが回収されると、カードスタッカ装置3から新しいカード9を送り出し、装置内で所定のカード発行処理を行った後、カード挿入口10から新しいカード9を排出する。
【0089】
また、本実施形態の記録媒体処理装置1では、図4に示すステップS8において、カード9の磁気ストライプ921に、書換回数を表す回数情報を磁気データとして書き込むが、この回数情報を磁気データに含めず、回数情報は、ホストコンピュータ6にカード9の持ち主の識別情報(ID)と関連付けて記憶させておいてもよい。この場合には、ホストコンピュータ6が、識別情報(ID)をもとにして回数情報を引き出し、制御部16が、ホストコンピュータ6から回数情報を取得する。
【0090】
さらに、制御部16が、ホストコンピュータ6と必要な情報のやり取りを行いながら、上記一連の書換処理を行うが、ホストコンピュータ6の役割を総て制御部16に負担させ、記録媒体処理装置独自で上記一連の書換処理を行うようにしてもよい。あるいは反対に、二値化処理部17の役割を総てホストコンピュータ6に負担させ、記録媒体処理装置1とホストコンピュータ6とを併せたものを記録媒体処理システムにしてもよい。この記録媒体処理システムは、本発明の記録媒体処理システムの一例に相当する。さらに、本発明における技術的思想は、二値画像データ処理プログラムとしても利用することができる。この二値画像データ処理プログラムは、上記記録媒体処理システムにおいて実行される二値画像データ処理プログラムであって、その記録媒体処理システムに、二値化処理部17を構築するプログラムである。
【0091】
またさらに、本実施形態では、制御部16が回収すると判定したカードは回収ボックス5に回収されていたが、回収するのではなく、その判定以降の処理を中止して、そのカード9を持ち主にカード挿入口10から返却してもよい。こうする場合、回収ボックス5に代えて、図1に示すカード9の種類とは異なる種類の新しいカードを収容したカードスタッカ装置を装着し、記録媒体処理装置1が、2種類のカードを区別して取り扱うようにしてもよい。
【0092】
また、本実施形態では、可視像の消去と印字を1セットにした一連の書換処理を行う装置について説明したが、本発明の記録媒体処理装置では、必ずしも可視像の消去は必要ない。例えば、新品のカードや1回限りの印字を行うカードを発行するような場合は、印字のみになる。本発明の記録媒体処理装置は、これらのカードを処理する装置にも適用することができる。さらに、本実施形態ではカードを処理する装置について説明したが、本発明の記録媒体処理装置は、どのような記録媒体を処理する装置であってもよく、例えば、シート状の記録媒体(チケットのようなカット紙等)を処理する装置であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本実施形態の記録媒体処理装置で取り扱うカードを示す図である。
【図2】ロイコ系リライタブル記録材料の可逆特性を示すグラフである。
【図3】本発明の一実施形態である記録媒体処理装置を模式的に示す図である。
【図4】図3に示す記録媒体処理装置1における一連の処理を示すフローチャートである。
【図5】往路を搬送されたカードが記録媒体処理装置の後側で待機している様子を示す図である。
【図6】カードが1往復目の復路を搬送されている様子を示す図である。
【図7】図6に示す二値化処理部の閾値格納部に格納されている複数の閾値を説明するための図である。
【図8】復路を搬送されたカードが記録媒体処理装置の前側で待機している様子を示す図である。
【図9】カードが3往復目の復路を搬送されている様子を示す図である。
【符号の説明】
【0094】
1 記録媒体処理装置
10 カード挿入口
11 カード通過口
12 搬送路
13 第2搬送ローラ
14 第3搬送ローラ
15 駆動モータ
16 制御部
17 二値化処理部
170 閾値格納部
171 閾値設定部
172 二値画像データ生成部
18 磁気ヘッド
19 画像読取部
191 おもて面読取部
192 裏面読取部
20 印字ヘッド
21 消去ヘッド
22 ヘッド退避駆動モータ
23 装置内温度検出センサ
3 カードスタッカ装置
5 回収ボックス
9 カード
91 おもて面
911 印字領域
92 裏面
921 磁気ストライプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
状態により階調が変化する可視像が熱の作用により形成される記録媒体を受け入れてから排出するまでの間に該記録媒体の表面に可視像を形成する記録媒体処理装置において、
前記記録媒体表面に熱を加えて該表面に可視像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部によって可視像が形成された記録媒体表面の画像を読み取る画像読取部と、
前記画像読取部で読み取った画像を二値化処理して二値画像データを生成する二値化処理部とを備え、
前記二値化処理部が、二値化処理を行うにあたり、前記記録媒体に形成された可視像の階調に影響を及ぼす要因に応じた閾値を用いて二値化処理を行うものであることを特徴とする記録媒体処理装置。
【請求項2】
前記画像形成部によって可視像が形成された記録媒体の温度を判定する記録媒体温度判定手段を備え、
前記二値化処理部が、二値化処理を行うにあたり、前記記録媒体温度判定手段により判定された温度に応じた閾値を用いて二値化処理を行うものであることを特徴とする請求項1記載の記録媒体処理装置。
【請求項3】
この記録媒体処理装置内の温度を検出する装置内温度検出手段を備え、
前記二値化処理部が、二値化処理を行うにあたり、前記装置内温度検出手段により検出された温度に応じた閾値を用いて二値化処理を行うものであることを特徴とする請求項1記載の記録媒体処理装置。
【請求項4】
この記録媒体処理装置が、状態により階調が変化する可視像が熱の作用により形成されたり消去される記録媒体を受け入れた後、該記録媒体表面に形成されていた可視像を一旦消去し、該記録媒体を排出する前に該表面に可視像を形成し直す一連の処理を行う装置であって、
受け入れた前記記録媒体がこれまでに前記一連の処理を何回受けているかを表す回数情報を取得する情報取得部を備え、
前記二値化処理部が、二値化処理を行うにあたり、前記情報取得部が取得した回数情報に応じた閾値を用いて二値化処理を行うものであることを特徴とする請求項1記載の記録媒体処理装置。
【請求項5】
前記画像形成部が該記録媒体表面に熱を加えてから経過した時間を判定する経過時間判定手段を備え、
前記二値化処理部が、二値化処理を行うにあたり、前記経過時間判定手段により判定された時間に応じた閾値を用いて二値化処理を行うものであることを特徴とする請求項1記載の記録媒体処理装置。
【請求項6】
状態により階調が変化する可視像が熱の作用により形成される記録媒体を受け入れてから排出するまでの間に該記録媒体の表面に可視像を形成する記録媒体処理装置を備えた記録媒体処理システムにおいて、
前記記録媒体処理装置が、
前記記録媒体表面に熱を加えて該表面に可視像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部によって可視像が形成された記録媒体表面の画像を読み取る画像読取部とを有するものであり、
この記録媒体処理システムがさらに、
前記画像読取部で読み取った画像を二値化処理して二値画像データを生成する二値化処理部を備え、
前記二値化処理部が、二値化処理を行うにあたり、前記記録媒体に形成された可視像の階調に影響を及ぼす要因に応じた閾値を用いて二値化処理を行うものであることを特徴とする記録媒体処理システム。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図1】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−211200(P2009−211200A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−51374(P2008−51374)
【出願日】平成20年2月29日(2008.2.29)
【出願人】(000107642)スター精密株式会社 (253)
【Fターム(参考)】