説明

記録媒体搬送装置、およびディスク装置

【課題】容易に記録媒体を搬送可能なディスク装置を提供する。
【解決手段】ディスク装置100のトレイ300は、ケース体200の開口201Aから進退可能に設けられる進退移動部310と、進退移動部310の開口201Aの一端部に沿う端縁で、進退移動部310の排出方向先端側近傍に、光ディスクを保持するディスク処理部20を備えた回動移動部320と、を備えた。これにより、トレイ300をケース体200から排出させた状態で回動移動部320をケース体200から離隔する方向に回動させることができ、光ディスクのターンテーブル23への脱着が容易となり、光ディスクの搬送を容易に実施できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トレイにより記録媒体を搬送する記録媒体搬送装置、およびディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ディスクをトレイに載置して装置内部に搬送するディスク装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1に記載のものは、ディスク駆動メカニズムが搭載されたドロワの左右にガイドレールが配設され、このガイドレールによりドロワが底板にスライド自在に支持されている光ディスク装置である。この光ディスク装置では、ドロワの排出時、底板からドロワ全体が排出された状態でロックされる構成が採られている(特許文献1中の図1および図3参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平2006−190352号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1のような従来のディスク装置では、ドロワの左右に配設される2本のガイドレールによりトレイ全体を支えているため、例えばドロワを完全に引き出した状態(特許文献1中図1および図3参照)で、ドロワに加わる衝撃やドロワの自重により、ドロワが垂れ下がるおそれがあり、強度的に不安定であるという問題が一例として挙げられる。
【0006】
このような問題に対して、シャーシとトレイの一部とが重なり合う構成とすることが考えられる。しかしながら、スリムドライブディスク装置では、奥行き寸法の規格が決まっているため、トレイ上のディスク装着部分とシャーシとが重なり合い、ディスクをトレイに装着する際にディスクの挿入角を小さくする必要があり、ターンテーブルにディスクの中心を合わせる作業が困難であるという問題が一例として挙げられる。
【0007】
本発明は、上記のような問題に鑑みて、容易に記録媒体を搬送可能なディスク搬送装置、およびディスク装置を提供することを1つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、少なくとも一面に長手状の開口を有し、この開口に連通する内部空間を有するケース体と、前記開口の長手方向を含む面内で前記開口から前記ケース体に進退自在に設けられるとともに、記録媒体を保持可能なトレイと、を備えたディスク搬送装置であって、前記トレイは、少なくとも前記ケース体の前記開口の一端側に沿って前記ケース体の内外に進退移動可能な進退移動部と、前記進退移動部における前記開口の一端縁に沿う端縁の前記ケース体から排出される排出方向先端側近傍に、前記トレイの移動面と略同一面内で前記ケース体に接離する方向に回動可能に設けられるとともに、前記記録媒体を保持する保持部を有する回動移動部と、を備えたことを特徴とした記録媒体搬送装置である。
【0009】
請求項7に記載の発明は、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の記録媒体搬送装置と、前記記録媒体を保持する保持手段と、前記保持手段にて保持された前記記録媒体の情報を読み込む読込処理および前記記録媒体に情報を書き込む書込み処理のうち少なくともいずれか一方の処理を実施する情報処理部と、を具備したことを特徴としたディスク装置である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
〔ディスク装置の構成〕
以下、本発明に係る一実施の形態のディスク装置を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る一実施の形態のディスク装置において、ケース体内にトレイを収納した状態でのディスク装置内部の概略を示す平面図である。図2は、前記実施の形態のディスク装置において、ケース体からトレイを排出させた状態での平面図である。図3は、トレイの正面側近傍の断面の概略を示す側断面図である。図4は、トレイの搬送途中におけるディスク装置を示す平面図である。
【0011】
図1および図2において、100はディスク搬送装置としても機能するディスク装置で、このディスク装置100は、例えば携帯型のパーソナルコンピュータなどの電気機器に装着されるいわゆるスリムディスク装置(或いはスリムディスクドライブ)と称されるものである。
このディスク装置100は、着脱可能に装着されるディスク状の記録媒体、例えばCD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)などの光ディスクにおける少なくとも一面に設けられた図示しない記録面に記録された情報を読み出す情報処理である読取処理および記録面へ各種情報を記録する情報処理である記録処理の少なくとも一方の処理をする。
そして、ディスク装置100は、ケース体200と、トレイ300と、などを備えている。
【0012】
ケース体200は、金属板にて内部空間を有する略箱状に形成されている。
そして、ケース体200は、筐体本体部200Aと、図中筐体本体部200Aの右側に設けられるウィング部200Bとを備えて構成されている。これらの筐体本体部200Aおよびウィング部200Bは、天面が同一平面上に形成され、底面が異なる高さ寸法に形成されている。すなわち、ウィング部200Bの底面は、筐体本体部200Aの底を構成するケース体200の底面203よりも天面からの距離寸法が小さく形成されている。
また、ケース体200の正面201には、開口201Aが開口形成され、この開口201Aを介してトレイ300が筐体本体部200Aに進退自在に配設されている。
さらに、ケース体200の内部には、トレイ300の進退方向に沿って配設されるレール部210と、トレイ300の一部を構成する回動移動部320の移動を案内する案内部としての案内溝220と、トレイ300の進退移動を規制する図示しない開閉機構部と、ディスク装置の動作の制御などを実施する図示しない回路部と、が設けられている。
また、ケース体200には、回路部と接続される図示しないコネクタ部が設けられている。コネクタ部は、例えばディスク装置100の外部のパーソナルコンピュータなどの電気器と接続可能で、電気機器から各種情報を送受信したり、電力が供給されるプラグが接続されたりする。
【0013】
レール部210は、ケース体200の開口201Aからトレイ300の進退方向に沿って筐体本体部200Aの進退方向における両側部に位置して配設され、トレイ300の進退方向における両側面に沿って設けられている。このレール部210は、ケース体200に固定される一対のレール211と、トレイ300に摺動可能に設けられる対をなすレールガイド212A,212Bと、を備えている。
レール211は、筐体本体部200Aにおける開口201Aの左右両端からケース体200の奥側(図1および図2における上側)に向かって、筐体本体部200Aの両側面204,205に沿って延出して形成されている。これらのレール211は、例えばポリオキシメチレン(polyoxymethylene:POM)などの合成樹脂製で、互いに対向する面が開口する例えば断面略コ字状の図示しない凹溝を備えて形成され、この凹溝にそれぞれレールガイド212A,212Bが長手方向でトレイ300の進退方向に沿って摺動自在に支持されている。
レールガイド212A,212Bは、内面側にトレイ300の両側部が摺動自在に係合可能に、金属板にて断面略コ字状に形成されている。
さらに、ケース体200には、レールガイド212A,212Bの進退方向への移動を規制してレールガイド212A,212Bがレール211から脱落することを防止する図示しない規制機構が設けられている。
さらには、レール211とトレイ300の側面との間には、図示しない排出規制部が設けられている。この排出規制部は、トレイ300がケース体200から所定寸法排出された状態で、トレイ300の進出を規制する。この排出規制部によりトレイ300の進出が規制された状態では、トレイ300のケース体200側の一部が、開口201Aよりケース体200内の内部空間に収納された状態となる。
【0014】
案内溝220は、図2および図4に示すように、筐体本体部200Aの図中左側の左側面204近傍から開口201A近傍に亘って、筐体本体部200Aの底面203に設けられている。この案内溝220は、例えば、筐体本体部200Aの底面203に合成樹脂製の案内溝220を接着などにより固定して形成されるものであってもよく、例えば底面203にエンボス加工したり、溝状に切り欠いて形成されたりするものであってもよい。そして、この案内溝220は、直線案内部221と、円弧案内部222と、を備えている。
直線案内部221は、左側面204に沿って、トレイ300の進退方向、すなわち開口201Aに略直交し、正面201から背面202に向かう直線方向に沿って形成されている。
円弧案内部222は、直線案内部221の正面201側端部に、溝部が連通する状態で連結されている。この円弧案内部222は、トレイ300がケース体200から排出され、排出規制部によりトレイ300の進出が規制された状態で、トレイ300の化粧板301近傍で、かつトレイ300の図中左側側縁に設けられる後述の回動移動部320の軸支ピン314を中心とした円弧状に形成されている。
【0015】
トレイ300は、図1および図2に示すように、例えば合成樹脂などにて形成された略板状に形成され、ケース体200の開口201Aから進出自在に設けられている。具体的には、トレイ300は、ケース体200にレール部210を介して進退自在に設けられる進退移動部310と、進退移動部310に対して回動自在に設けられる回動移動部320と、を備えている。
【0016】
進退移動部310は、トレイ300の進退方向に沿う両側面にそれぞれレールガイド212A,212Bが設けられ、レール211に摺動可能に設けられている。また、進退移動部310は、化粧板301側の一端部からトレイ300の略中心に向かって、切欠部312が形成され、この切欠部312に回動移動部320に保持された後述の保持部としてのディスク処理部20がトレイ300の上面側に臨んで設けられている。
また、進退移動部310の一平面側となる上面側には、記録媒体としての光ディスクの径寸法より若干大きい円弧状凹部313が設けられている。
さらに、進退移動部310の化粧板301側の左側端縁近傍には、トレイ300の下面側に突出する軸支ピン314が設けられており、回動移動部320を回動自在に保持している。
【0017】
回動移動部320は、図2および図4に示すように、中心角が略直角となる略扇状に形成されており、図3に示すように、進退移動部310の下面側に配設されている。この回動移動部320の扇の径方向に沿う一辺には、化粧板301が固定されている。また、この回動移動部320は、化粧板301の左側面204側端部近傍で、軸支ピン314に回動自在に支持されている。
【0018】
また、この回動移動部320の扇の径方向に沿う他辺(化粧板301と略直交する一辺)における軸支ピン314により軸支される回動中心側とは反対側の端部近傍には、裏面側に突出する係合ピン321が突出形成されている。この係合ピン321は、ケース体200の案内溝220に係合され、回動移動部320の移動を規制する。
【0019】
さらに、回動移動部320の円弧外周縁320Aは、トレイ300が排出規制部により進出が規制された状態で、軸支ピン314から筐体本体部200Aの右側面205の開口201A側端部までの距離寸法より短い径寸法となる位置に形成されている。
【0020】
そして、回動移動部320を進退移動部310に回転可能に軸支する軸支ピン314には、回動移動部320をケース体200から離隔させる方向、すなわち図中時計回り方向に回動移動部320を付勢する第一付勢手段としての付勢ばね322が設けられている。この付勢ばね322の付勢力により、回動移動部320は、トレイ300がケース体200から排出されて排出規制部により進出が規制された状態で、ケース体200から離隔する方向に付勢され、係合ピン321が円弧案内部222に沿って移動する。
【0021】
また、トレイ300がケース体200内に収納された状態で、回動移動部320の筐体本体部200Aの右側面205に対向する一部には、第二付勢手段としての板ばね323がケース体200の右側面205に向かってトレイ300の進退方向に対して所定角度で傾斜する状態で固定されている。この板ばね323は、トレイ300がケース体200内に格納された状態およびトレイ300の進退移動部310がケース体200に対して進退移動する状態において、ケース体200の右側面205に当接して回動移動部320を左側面204側に付勢する。また、この板ばね323の付勢力は、付勢ばね322の付勢力よりも大きい付勢力を有している。これにより、トレイ300進退移動している状態およびケース体200の内部に収納されている状態では、係合ピン321が溝幅における左側面204側に付勢され、移動による振動が防止される。
【0022】
そして、回動移動部320の上面側には、いわゆるトラバースメカと称されるディスク処理部20が設けられている。また、トレイ300の化粧板301の一部には、図示しないイジェクトボタンが設けられている。さらに、回動移動部320のディスク処理部20の下面には、ディスク処理部20を動作制御したりイジェクトボタンが接続されてトレイ300の進退を制御したりする図示しない制御回路部が配設されている。制御回路部は、例えばフレキシブルコードなどにてケース体200の回路部に接続されている。
【0023】
ディスク処理部20は、例えば金属板にて略板状に形成され回動移動部320に支持された台座部21を有している。この台座部21は、回動移動部320の化粧板301側の一端部から、中心位置に向かって長手に形成されている。また、台座部21は、回動移動部320がケース体200に近接する左側面204側に回動した状態で、進退移動部310の切欠部312からトレイ300の上面側に臨む位置に配設されている。そして、この台座部21には、長手方向に沿って、長手状の処理開口部21Aが略中央に切欠形成されている。
この台座部21の処理開口部21Aの一端側にディスク回転駆動手段22が配設されている。このディスク回転駆動手段22は、図示しないスピンドルモータと、このスピンドルモータの出力軸に一体的に設けられた略円盤状の保持手段としてのターンテーブル23とを備えている。スピンドルモータは、制御回路部に制御可能に接続され、制御回路部から供給される電力により駆動する。ターンテーブル23は、トレイ300の略中心部に設けられるとともに光ディスクを着脱可能に軸支し回転可能に保持する。
また、台座部21には、情報処理部24が配設されている。この情報処理部24は、一対の図示しないガイドシャフト間に架橋する状態に支持されており、図示しない移動機構により処理開口部21A内でターンテーブル23に対して近接離隔される。この情報処理部24は、図示しない光源と、この光源からの光を収束するピックアップレンズ24Aと、光ディスクで反射された出射光を検出する図示しない光センサとを有するピックアップを備えている。
【0024】
〔ディスク装置の動作〕
次に、上記ディスク装置100の動作について説明する。
【0025】
図1に示すようなトレイ300がケース体200に収納された状態において、利用者が化粧板301に設けられたイジェクトボタンを入力操作すると、制御回路部は開閉規制部の動作部を制御して規制爪部を移動させ、トレイ300のトレイロック部との係合状態を解除し、トレイ300のロックが解除された状態となる。
そして、このようなトレイ300のロックが解除された状態で、例えば化粧板301を引き出すと、トレイ300がレール部210に支持されて開口201Aから外部へスライド移動される。この時、回動移動部320は、係合ピン321がケース体200の案内溝220の直線案内部221に係合されて移動するため、進退移動部310に対して回動が規制された状態となっている。
【0026】
そして、利用者によるトレイ300を引き出すスライド移動により、トレイ300が所定位置まで引き出されると、ケース体200の規制機構およびトレイ300の排出規制部により、トレイ300の背面側の一部がケース体200内に収納された状態で、トレイ300がケース体200から進出する。
この時、回動移動部320の係合ピン321は、直線案内部221の正面201側端部に移動し、円弧案内部222に係合される。そして、回動移動部320は、付勢ばね322により、ケース体200から離れる時計回り方向に付勢され、係合ピン321が円弧案内部222に沿って移動する。これにより、回動移動部320は、図2に示すように、進退移動部310に対して時計回り方向に回動し、ディスク処理部20がケース体200から外部に進出する。
【0027】
この後、ディスク処理部20のターンテーブル23に光ディスクの中心孔を係合させ、図4に示すように、利用者により回動移動部320をケース体200に近接させる反時計周り方向に回動させる。これにより、係合ピン321が円弧案内部222に沿って、反時計回り方向に移動し、直線案内部221に係合される。そして、トレイ300がケース体200の背面202側に押し込まれると、トレイ300が例えば図示しないロック部に係合されて、トレイ300がケース体200にロックされる。
この後、利用者の操作入力に基づいて、制御回路部は、装着された光ディスクの情報処理を実施する。
【0028】
〔ディスク装置の作用効果〕
上述したように、上記第一の実施の形態のディスク装置100では、トレイ300は、ケース体200の開口201Aから進退可能に設けられる進退移動部310と、進退移動部310の左側面204に沿う端縁で、進退移動部310の排出方向先端側近傍に回動自在に設けられて、光ディスクを保持するディスク処理部20を備えた回動移動部320と、を備えている。
このため、トレイ300をケース体200から排出させた状態で回動移動部320をケース体200から離隔する方向に回動させると、ディスク処理部20もケース体200から離隔する方向に進出させることができ、ディスク処理部20がケース体200から引き出すことができる。したがって、光ディスクをターンテーブル23に脱着する際に、例えば光ディスクの端縁がケース体に接触せず、光ディスクのターンテーブル23への脱着が容易に実施でき、光ディスクをトレイに係合させて搬送する搬送作業を容易に実施できる。
【0029】
また、トレイ300の排出時に、トレイ300の背面側一部がケース体200の内部に挿入された状態となるため、トレイ300をレール部210のみで支える場合に比べて、トレイ300の排出時に加わる衝撃やトレイ300の自重の影響を受けにくく、耐久性を向上させることができる。また、このような構成でも上記のように、トレイ300をケース体200から排出させた際に、回動移動部320をケース体200から離れる方向に回動させることでディスク処理部20がケース体200から進出し、光ディスクの係脱時にケース体200の開口201A近傍の天面などが邪魔にならず、容易に光ディスクの脱着作業を実施することができる。
【0030】
また、ケース体200の底面203には、回動移動部320の係合ピン321が係合される案内溝220が形成されている。また、案内溝220は、トレイ300の進退方向に沿う直線案内部221と、直線案内部の正面201側端部に連結され、回動移動部320の回動を案内する円弧案内部222と、を備えている。
このため、回動移動部320は、トレイ300がケース体200に対して進退移動している状態では、ケース体200に近接する反時計周り方向に回動した位置を維持し、トレイ300がケース体200から排出された状態では、ケース体200から離隔する時計回り方向に回動することができる。したがって、例えばディスク処理部20にて光ディスクに所定の情報処理を実施している状態で、回動移動部320の回動によりディスク処理部20が移動するなどの不都合がなく、ディスク処理部20による良好な情報処理を実施できる。
また、トレイ300が排出された状態で、係合ピン321は、円弧案内部222に沿って移動する。このため、係合ピン321が円弧案内部222の端部まで移動すると、回動移動部320の回動を規制することができる。したがって、回動移動部320が進退移動部310に対して過度に回動することがなく、光ディスクを良好にトレイ300に設置することができる。
【0031】
さらに、回動移動部320の係合ピン321は、回動移動部320の左側面204に沿う端縁における軸支ピン314が設けられる一端側とは反対側の端部近傍に設けられ、ケース体200の案内溝220に係合されている。
このため、回動移動部320は、軸支ピン314および係合ピン321により2点支持することができ、衝撃や回動移動部320の自重による垂れ下がりを防止でき、トレイ300の強度を強くすることができる。
【0032】
また、案内溝220の直線案内部221は、ケース体200の左側面204近傍で、トレイ300の進退方向に沿って設けられている。
このため、円弧案内部222をケース体200の左側面204近傍から右側面205の近傍までに亘って設けることができる。したがって、円弧案内部222の長さ寸法を大きくすることができるため、回動移動部320の回動量も大きくすることができる。よって、ディスク処理部20をケース体200から離れる方向に十分に引き出すことができ、光ディスクのターンテーブル23への脱着作業がより容易に実施できる。
【0033】
そして、軸支ピン314には、回動移動部320をケース体200から離隔する方向に付勢する付勢ばね322が設けられている。
このため、トレイ300がケース体200から排出された状態で、付勢ばね322は、回動移動部320をケース体200から離隔する方向に回動させることができる。したがって、光ディスクをターンテーブル23に脱着するために利用者が回動移動部320を操作する必要がなく、より容易に光ディスクの脱着作業を実施することができる。
【0034】
また、トレイ300がケース体200内に収納された状態で、回動移動部320の筐体本体部200Aの右側面205に対向する一部に板ばね323が設けられ、回動移動部320を左側面204側に付勢している。
このため、トレイ300がケース体200内に収納されている状態では、回動移動部320が左側面204側に付勢されているため、係合ピン321が直線案内部221の溝内で左側面204側に押し付けられる。したがって、板ばね323の付勢力により係合ピン321の直線案内部221内での振動や、幅方向への移動を規制することができる。よって、回動移動部320の振動やがたを防止でき、ディスク処理部20のターンテーブル23にて光ディスクを高速回転させた場合でも、ディスク処理部20の振動を防止することができ、光ディスクの情報処理を良好に実施することができる。
【0035】
〔他の実施の形態〕
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲で以下に示される変形をも含むものである。
【0036】
すなわち、上記実施の形態では、ディスク装置100は、ノート型パーソナルコンピュータなどに搭載可能な薄型のディスク装置を例示したが、これに限定されず、例えばデスクトップ型のパーソナルコンピュータなどに搭載される構成としてもよい。
また、ノート型パーソナルコンピュータに装着される構成に限らず、例えばゲーム機や、映像データの録画再生処理を実施する、いわゆるビデオ装置などに装着されてもよい。
【0037】
そして、ディスク装置としては、読取処理および記録処理のうちいずれか一方のみを実施する構成としても対象とすることができる。
さらに、記録媒体としては、光ディスクに限らず、光磁気ディスクや磁気ディスクなど、各種構成を対象とすることができる。
【0038】
また、上記実施の形態では、第一付勢手段として、軸支ピン314に設けられる付勢ばね322を例示したが、これに限定されない。例えば、進退移動部310と回動移動部320との間に板ばねを設ける構成としてもよく、係合ピン321を付勢する付勢手段と設ける構成などとしてもよい。
【0039】
さらに、第二付勢手段として板ばね323を例示したが、例えばケース体200に固定され、トレイ300がケース体200内に完全に収納された状態で、回動移動部320を左側面204側に付勢する板ばねを設ける構成などとしてもよい。
【0040】
また、ケース体200の底面203の左側面204近傍に、直線案内部221を設けたが、例えばケース体200の底面203の略中央部にトレイ300の進退方向に沿って直線案内部221が設けられる構成などとしてもよい。
【0041】
さらに、ケース体200の底面203に案内溝220を設けたが、例えばケース体200の天面に設ける構成などとしてもよい。
さらには、上記したように、案内溝220は、ケース体200の底面203に切欠形成されるものや、底面203をエンボス加工するなどして凹部を形成するものであってもよく、例えば合成樹脂制の案内溝を有する案内部材を底面203に固定する構成などとしてもよい。
また、トレイ300側に案内溝を設け、ケース体200にトレイ300の案内溝に係合する係合突起を設ける構成などとしてもよい。
【0042】
そして、上記実施の形態では、回動移動部320は略扇状に形成され扇の中心角を形成する一端部を軸支ピン314に回動自在に軸支させる構成を示したが、例えば、略直角三角形状に形成され直角部が軸支ピン314に回動自在に軸支される構成などとしてもよい。
【0043】
また、回動移動部320は、進退移動部310の排出方向先端部における左側面204に沿う一端縁近傍に回動可能に設けられたが、例えば、進退移動部310の排出方向先端部における右側面205に沿う一端縁近傍に回動可能に設けられる構成としてもよい。この場合、案内溝220もケース体200の底面203における右側面205側近傍に設ける構成であれば、良好に回動移動部320の移動を案内することができる。
【0044】
その他、本発明の実施の際の具体的な構造および手順は、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造などに適宜変更できる。
【0045】
〔実施の形態の効果〕
上述したように、上記第一の実施の形態のディスク装置100では、トレイ300は、ケース体200の開口201Aから進退可能に設けられる進退移動部310と、進退移動部310の開口201Aの一端部に沿う端縁で、進退移動部310の排出方向先端側近傍に回動自在に設けられて、光ディスクを保持するディスク処理部20を備えた回動移動部320と、を備えている。
このため、トレイ300をケース体200から排出させた状態で回動移動部320をケース体200から離隔する方向に回動させると、ディスク処理部20もケース体200から離隔する方向に進出させることができる。したがって、光ディスクのターンテーブル23への脱着が容易に実施でき、光ディスクの搬送を容易に実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明に係る一実施の形態のディスク装置において、ケース体内にトレイを収納した状態でのディスク装置内部の概略を示す平面図である。
【図2】前記実施の形態のディスク装置において、ケース体からトレイを排出させた状態での平面図である。
【図3】トレイの正面側近傍の断面の概略を示す側断面図である。
【図4】トレイの搬送途中におけるディスク装置を示す平面図である。
【符号の説明】
【0047】
20 …保持部としてのディスク処理部
23 …保持手段としてのターンテーブル
24 …情報処理部
100 …ディスク搬送装置としても機能するディスク装置
201A …開口
200 …ケース体
220 …案内部としての案内溝
221 …直線案内部
222 …円弧案内部
300 …トレイ
310 …進退移動部
320 …回動移動部
321 …係合部としての係合ピン
322 …第一付勢手段としての付勢ばね
323 …第二付勢手段としての板ばね

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一面に長手状の開口を有し、この開口に連通する内部空間を有するケース体と、前記開口の長手方向を含む面内で前記開口から前記ケース体に進退自在に設けられるとともに、記録媒体を保持可能なトレイと、を備えたディスク搬送装置であって、
前記トレイは、少なくとも前記ケース体の前記開口の一端側に沿って前記ケース体の内外に進退移動可能な進退移動部と、前記進退移動部における前記開口の一端縁に沿う端縁の前記ケース体から排出される排出方向先端側近傍に、前記トレイの移動面と略同一面内で前記ケース体に接離する方向に回動可能に設けられるとともに、前記記録媒体を保持する保持部を有する回動移動部と、を備えた
ことを特徴とした記録媒体搬送装置。
【請求項2】
請求項1に記載の記録媒体搬送装置であって、
前記ケース体は、前記回動移動部の移動を案内する案内部を備えた
ことを特徴とした記録媒体搬送装置。
【請求項3】
請求項2に記載の記録媒体搬送装置であって、
前記回動移動部は、前記案内部に係合可能な係合部を備え、
前記案内部は、前記トレイの進退移動方向に沿って設けられるとともに、前記トレイが前記ケース体に対して進退する状態で前記係合部が係合する直線案内部と、前記直線部の前記開口側の先端に連結されて、前記トレイが排出された状態で前記係合部が係合され、前記回動移動部の回動を案内する略円弧状の円弧案内部と、を備えた
ことを特徴とした記録媒体搬送装置。
【請求項4】
請求項3に記載の記録媒体駆動装置であって、
前記直線案内部は、前記回動移動部の前記回動中心の移動経路に沿う開口の一端側近傍に前記トレイの進退方向に沿って設けられた
ことを特徴とした記録媒体搬送装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の記録媒体搬送装置であって、
前記トレイが前記ケース体から排出された状態で、前記回動移動部を前記ケース体から離れる方向に付勢する第一付勢手段を備えた
ことを特徴とした記録媒体搬送装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の記録媒体搬送装置であって、
前記トレイが前記ケース体に進退移動する状態および前記トレイが前記ケース体内部に格納された状態で、前記回動移動部を前記ケース体の前記トレイの進退方向に沿う両側面のいずれか一方に付勢する第二付勢手段を備えた
ことを特徴とした記録媒体搬送装置。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の記録媒体搬送装置と、
前記記録媒体を保持する保持手段と、
前記保持手段にて保持された前記記録媒体の情報を読み込む読込処理および前記記録媒体に情報を書き込む書込み処理のうち少なくともいずれか一方の処理を実施する情報処理部と、
を具備したことを特徴としたディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−176845(P2008−176845A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−7906(P2007−7906)
【出願日】平成19年1月17日(2007.1.17)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】