記録媒体搬送装置及び画像記録装置
【課題】無端ベルトの搬送障害を招くことなく、インクの拭き残りの発生を防止することができる記録媒体搬送装置及び画像記録装置の提供。
【解決手段】表面に載置される記録媒体Pを搬送する無端ベルト23と、無端ベルト23の表面に清掃液を付着させて洗浄する清掃液付着手段40と、清掃液付着手段40による清掃液付着位置よりも無端ベルト23の移動方向下流側で無端ベルト23の表面に接触し、該無端ベルト23の表面に付着した清掃液を除去する複数枚のブレード41,42とを有する記録媒体搬送装置2であって、複数枚のブレード41,42のうちの少なくとも1枚は、無端ベルト23に対する押し込み量、接触角度、又は、接触の有無の少なくとも1種を変更可能とされていることを特徴とする。
【解決手段】表面に載置される記録媒体Pを搬送する無端ベルト23と、無端ベルト23の表面に清掃液を付着させて洗浄する清掃液付着手段40と、清掃液付着手段40による清掃液付着位置よりも無端ベルト23の移動方向下流側で無端ベルト23の表面に接触し、該無端ベルト23の表面に付着した清掃液を除去する複数枚のブレード41,42とを有する記録媒体搬送装置2であって、複数枚のブレード41,42のうちの少なくとも1枚は、無端ベルト23に対する押し込み量、接触角度、又は、接触の有無の少なくとも1種を変更可能とされていることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体搬送装置及び画像記録装置に関し、詳しくは、記録媒体を搬送するための無端ベルトの表面を清掃するブレードを複数枚備えてなる記録媒体搬送装置及び画像記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、種々の記録媒体に対して高精細な画像を記録する装置として、インクジェット方式による画像記録装置が広く普及している。特に、記録媒体が伸縮性のある布帛等である場合などには、記録媒体を無端ベルトで記録ヘッドの下方に搬送することが行われている。
【0003】
その際、記録媒体のミスフィードやいわゆる縁なし印刷、インクの裏抜け等のために、記録ヘッドから吐出されたインクが無端ベルトに付着する場合があり、無端ベルトに付着したインクが無端ベルト上に新たに供給されてきた記録媒体に転移して記録媒体を汚してしまう等のトラブルが生じる。
【0004】
そのため、通常、このような無端ベルトを備える画像記録装置には、無端ベルトの表面をクリーニングするためのクリーニング装置が設けられる。
【0005】
特許文献1には、吸収体により無端ベルトの表面に清掃液を供給した後、ブレードを当接させて清掃液を払拭することにより、無端ベルトに付着したインクを除去して洗浄する技術が開示されている。
【0006】
ところで、記録媒体として布帛を使用する画像記録装置(捺染装置)では、布帛を皺のないように搬送し、皺のない状態が維持された布帛に対して記録を行うことが重要である。このため、布帛を搬送する無端ベルトの表面に、地張り剤を均一に塗布しておき、その上に布帛を張り付かせることで、搬送時及び記録時の布帛表面を皺のない状態に保持するようにしている。
【0007】
地張り剤は、糊状の粘性を有する液体であり、無端ベルトの表面に塗布されて膜を形成することで、布帛を粘性によって張り付かせて密着させる接着剤として機能する。この地張り剤が膜状に塗布された無端ベルトの表面に布帛を展張させて密着させることで、布帛を皺のない状態のまま搬送することができる。
【0008】
地張り剤にはアクリル系やシリコン系等の種類があり、これらの地張り剤を処方して(単独又は複数種を所定割合で混合して)用いることにより、種々の記録媒体に対して密着性を最適化し、種々のインクに対して撥水性を最適化して、印字画質の向上や作業性の向上を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2004−196505号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかるに、地張り剤は、その処方により粘着性、摩耗性や撥水性等の特性に差を生じるが故に、ブレードによる無端ベルトの清掃条件との関係において、以下のような問題があった。
【0011】
例えば、塗布された地張り剤が粘着性の強いものである場合は、ブレードの清掃条件(例えば接触圧)が過剰になると地張り剤の粘着性によって密着してしまい、無端ベルトの搬送障害(負荷増大)を招くおそれがある。
【0012】
一方、塗布された地張り剤が撥水性の弱いものである場合は、ブレードによる清掃条件が不十分であるとブレードを通過後の無端ベルトの表面にインクの拭き残りが発生するおそれがある。
【0013】
そのため、従来は、出荷時におけるブレードの清掃条件に合わせて、地張り剤を選択しなければならず、種々の記録媒体や種々のインクに対して最適な地張り剤を選択することが困難であった。その結果、印字画質の向上や作業性の向上に限界があった。
【0014】
また、無端ベルトの表面に地張り剤を塗布しない場合であっても、画像記録装置の運転状況に伴ってインクの拭き残りが発生するようになる場合があり、記録媒体に転移して記録媒体を汚してしまう等のトラブルが生じる問題があった。
【0015】
そこで、本発明の課題は、無端ベルトの搬送障害を招くことなく、インクの拭き残りの発生を防止することができる記録媒体搬送装置及び画像記録装置を提供することにある。
【0016】
また本発明の他の課題は、以下の記載によって明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題は、以下の各発明によって解決される。
【0018】
請求項1記載の発明は、表面に載置される記録媒体を搬送する無端ベルトと、
前記無端ベルトの表面に清掃液を付着させて洗浄する清掃液付着手段と、
前記清掃液付着手段による清掃液付着位置よりも無端ベルトの移動方向下流側で前記無端ベルトの表面に接触し、該無端ベルトの表面に付着した清掃液を除去する複数枚のブレードとを有する記録媒体搬送装置であって、
前記複数枚のブレードのうちの少なくとも1枚は、前記無端ベルトに対する押し込み量、接触角度、又は、接触の有無の少なくとも1種を変更可能とされていることを特徴とする記録媒体搬送装置である。
【0019】
請求項2記載の発明は、前記複数枚のブレードは、互いに同材質であることを特徴とする請求項1記載の記録媒体搬送装置である。
【0020】
請求項3記載の発明は、前記複数枚のブレードは、異なる材質のブレードを含むことを特徴とする請求項1記載の記録媒体搬送装置である。
【0021】
請求項4記載の発明は、前記複数枚のブレードは、硬さが異なるブレードを含むことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の記録媒体搬送装置である。
【0022】
請求項5記載の発明は、前記複数枚のブレードは、それぞれが独立して前記無端ベルトに対する押し込み量、接触角度、又は、接触の有無の少なくとも1種を変更可能とされていることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の記録媒体搬送装置である。
【0023】
請求項6記載の発明は、前記複数枚のブレードのうちの少なくとも2枚以上が互いに重ねられていることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の記録媒体搬送装置である。
【0024】
請求項7記載の発明は、前記複数枚のブレードのうち少なくとも1枚は、前記無端ベルトの幅方向に延びる複数の稜線のうち、前記無端ベルトの表面に接触する前記稜線を変更できるように、上下及び表裏の向きが変更可能に設けられていることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の記録媒体搬送装置である。
【0025】
請求項8記載の発明は、前記複数枚のブレードのうち少なくとも1枚は、複数枚の短尺の単位ブレードによって構成されていると共に、隣接する前記単位ブレードの端部同士が互いに所定量だけ重ね合わされて前記無端ベルトの幅方向に沿って並設されてなることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の記録媒体搬送装置である。
【0026】
請求項9記載の発明は、前記無端ベルトの表面には、前記記録媒体を密着させるための地張り剤が塗布されていることを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載の記録媒体搬送装置である。
【0027】
請求項10記載の発明は、請求項1〜9のいずれかに記載の記録媒体搬送装置と、
前記記録媒体搬送装置の前記無端ベルト上に載置された前記記録媒体に向けてインクを吐出することによって画像を記録する記録手段とを備えることを特徴とする画像記録装置である。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、無端ベルトの搬送障害を招くことなく、インクの拭き残りの発生を防止することができるベルト搬送装置及び画像記録装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係る画像記録装置の一例を示す概略構成図
【図2】ベルトクリーニング装置の拡大側面図
【図3】2次ブレード周辺の一例を示す正面図
【図4】2次ブレード周辺の一例を示す側面図
【図5】2次ブレード周辺の他の例を示す側面図
【図6】2次ブレードを無端ベルトに対して非接触とした状態を示す側面図
【図7】バックアップ部材を設置した状態を示す側面図
【図8】2枚のブレードが互いに重ねられた状態を示す側面図
【図9】ブレードの無端ベルトに対する圧着解除を可能とするための構成を示す側面図
【図10】2次ブレード周辺の他の例を示す側面図
【図11】2次ブレード周辺の他の例を示す側面図
【図12】2次ブレードを複数枚のブレード単位により形成した一例を示す上面図
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態を説明する。
【0031】
図1は、本発明に係る画像記録装置の一例を示す概略構成図であり、図中、1は画像記録装置であり、この画像記録装置1は、記録媒体搬送装置2、記録ヘッド3、ベルトクリーニング装置4を備えている。
【0032】
記録媒体搬送装置2は、所定の間隔をおいて平行に配置された複数(図示の例では2つ)のローラ21、22に亘って所定幅の無端ベルト23が張架されている。これらローラ21、22間に架け渡された無端ベルト23の上面は、記録媒体Pを密着させて載置する載置面とされている。
【0033】
一方のローラ21は図示しない副走査モータに対して駆動力を伝達可能に接続された駆動ローラ、他方のローラ22は従動ローラであり、駆動ローラ21が副走査モータの回転駆動によって、図1において反時計回りに所定の速度で回転することにより、従動ローラ22との間に架け渡された無端ベルト23を回転移動させ、その上面に載置される記録媒体Pを副走査方向である図中のA方向に向けて搬送するようになっている。
【0034】
記録媒体Pには、例えば、紙、布帛、プラスチックフィルム、ガラス板等、インクジェット記録に通常使用される記録媒体を使用することができる。記録媒体Pは所定サイズに裁断されたシート状であってもよいし、ロール状に巻回された元巻きから連続して繰り出される長尺状であってもよい。特に、布帛は、インクが裏抜けし易いため、無端ベルト23の表面にインクが付着するおそれが高く、後述するベルトクリーニング装置4を備えることによって特に顕著な効果が得られるために好ましい。
【0035】
記録ヘッド3は、無端ベルト23上の記録媒体Pが載置される面の上方に所定の間隔をおいて配設されており、その下面に設けられた多数のノズルからインク滴を吐出することにより、間欠的に搬送される記録媒体P上に所望の画像を記録するインクジェットヘッドである。この記録ヘッド3は、図示しないキャリッジに搭載されて、画像記録時に記録媒体Pの搬送方向と直交する主走査方向に往復移動するシャトル型の記録ヘッドであってもよいし、無端ベルト23の幅方向に亘って固定状に架け渡され、連続的に搬送される記録媒体P上にインク滴を吐出することによって画像を記録するライン型の記録ヘッドであってもよい。
【0036】
ベルトクリーニング装置4は、本発明において駆動ローラ21の近傍に配置されており、無端ベルト23の移動方向に沿って順に配設されるブラシローラ40、1次ブレード41及び2次ブレード42を有している。
【0037】
ブラシローラ40は、無端ベルト23の全幅に亘って架け渡された回転軸の周囲にブラシ毛が植毛されてローラ状に形成されている。ブラシ毛の先端は、記録媒体Pの無端ベルト23からの剥離位置よりも無端ベルト23の移動方向下流側において無端ベルト23の表面に常時接触状態にあり、不図示の駆動モータによって無端ベルト23の移動方向と逆方向に回転することにより、該無端ベルト23の表面を摺擦する。このときブラシローラ40の下部は、清掃桶43内の清掃液に一部浸漬しており、回転時に清掃液を掻き上げることにより、無端ベルト23の表面に清掃液を供給して洗浄するように構成されている。
【0038】
1次ブレード41及び2次ブレード42は、ここでは共に板状に形成されたシリコンゴムからなり、無端ベルト23と同程度の幅(無端ベルト23の幅方向に沿う長さ)を有している。1次ブレード41及び2次ブレード42は、それぞれ無端ベルト23の表面に、該無端ベルト23の幅方向に亘って接触するように設けられている。
【0039】
無端ベルト23の移動に伴って、1次ブレード41及び2次ブレード42が無端ベルト23の表面を摺擦することにより、無端ベルト23に付着している清掃液が除去される。
【0040】
1次ブレード41及び2次ブレード42の下方には、清掃桶43が配置されており、除去した清掃液が収容されるようになっている。
【0041】
図2は、画像記録装置1が備えるベルトクリーニング装置4の拡大側面図である。
【0042】
図2において、411は1次ブレード41を支持する支持部材であり、無端ベルト23と同程度の幅を有している。
【0043】
支持部材411は、基部411aと、立ち上がり部411bとを備え、これらが断面「く」の字状となるように接続されている。
【0044】
基部411aは、清掃桶43内にベルト幅方向に亘って架け渡された固定板412に固定されている。立ち上がり部411bは、基部411aから、無端ベルト23の移動方向下流側に傾斜するように所定の角度で立ち上がっている。また、立ち上がり部411bには、1次ブレード41が固定されている。
【0045】
このようにして、1次ブレード41は、支持部材411によって無端ベルト23に対して所定の角度となるように、清掃桶43内に固定されている。
【0046】
一方、422は2次ブレード42を支持する支持部材であり、無端ベルト23と同程度の幅を有している。
【0047】
上述した支持部材411と同様に、支持部材422は、基部422aと、立ち上がり部422bとを備え、これらが断面「く」の字状に接続されている。
【0048】
基部422aは、清掃桶43内にベルト幅方向に亘って架け渡された固定板423に固定されている。また、立ち上がり部422bには、無端ベルト23と同程度の幅を有する押し込み調整板421を介して2次ブレード42が固定されている。
【0049】
図3は、2次ブレード42周辺の一例を示す正面図である。
【0050】
図3に示す通り、押し込み調整板421は、長手方向の両端部近傍に長穴421a、421aを備えている。長穴421a、421aは、共に、無端ベルト23に対して角度をもって向かう方向(図中B方向)に亘って長く形成されている。長穴421a、421aのそれぞれには、ねじ421b、421bが挿入され、これにより押し込み調整板421を支持部材422の立ち上がり部422bに固定している。長穴421a、421aにおいて、B方向に沿って、ねじ421b、421bの固定位置を変更することにより、押し込み調整板421の固定位置をB方向に調整可能とされている。
【0051】
図4は、図3に示した2次ブレード42周辺の一例を示す側面図である。
【0052】
図4において、23’はブレードの接触がない状態における無端ベルト23の軌道を示している。
【0053】
無端ベルト23は、2次ブレードの接触により、ブレードの接触がない状態における無端ベルトの軌道23’よりも、軌道23’に対して垂直方向に幅L(押し込み量)だけ押し込まれている。
【0054】
ここで押し込み調整板421の固定位置をB方向に変更することにより、2次ブレード42の固定位置が変更され、その結果、押し込み量が変更される。
【0055】
押し込み量が大きいほど、無端ベルト23に対する2次ブレード42の接触圧が大きくなる。
【0056】
本発明において、無端ベルト23に対する2次ブレード42の押し込み量は、例えば、無端ベルト23の表面に塗布された地張り剤の特性に応じて変更される。
【0057】
塗布された地張り剤が粘着性の高いものである場合は、2次ブレード42の接触圧が過剰になると地張り剤の粘着性によって密着してしまい、無端ベルトの搬送障害を招くおそれがあるため、押し込み量を相対的に小さくすることが好ましい。塗布された地張り剤が粘着性の低いものである場合は、クリーニング性を向上するために、押し込み量を相対的に大きくすることが好ましい。
【0058】
塗布された地張り剤が撥水性の高いものである場合は、無端ベルト23の表面からの清掃液の除去が比較的容易となるため、不要な接触圧が負荷されて搬送障害とならないように押し込み量を相対的に小さくすることが好ましい。塗布された地張り剤が撥水性の低いものである場合は、接触圧を増やしてクリーニング性を向上するために、押し込み量を相対的に大きくすることが好ましい。
【0059】
以上のようにして、無端ベルト23の表面に塗布された地張り剤の特性に応じて2次ブレード42の押し込み量を変更することで、1次ブレード41のみでは不十分だった地張り剤に応じた清掃条件を作り出すことができ、1次ブレード41によって除去しきれなかった汚れを除去できる。そのため、地張り剤の特性によらず、無端ベルト23の搬送障害を招くことなく、インクの拭き残りの発生を防止することが可能となる。
【0060】
また、画像記録装置1の運転状況に伴ってインクの拭き残りが発生するようになる場合がある。
【0061】
例えば、上述した本発明の態様では、無端ベルト23を洗浄した後の清掃液が、清掃桶43に収容されるように構成されている。このような構成においては、清掃桶43内の清掃液を新たな清掃液で置換したとしても、ある程度のインク濃度の上昇は免れない。
【0062】
この現象は、上記のように清掃液が清掃液付着手段(ブラシローラ40)と無端ベルト23表面との間で循環する構成において発生し得るものであり、例えば上述した特許文献1に記載の技術(この場合、吸収体が清掃液付着手段に相当する)においても発生し得る。
【0063】
インク濃度が上昇した清掃液を、ブラシローラ40により無端ベルト23に付着させた場合、無端ベルトに付着したインクが清掃液により充分に希釈されず、清掃液が高濃度のインクを含んだままブレードに供されることになる。
【0064】
清掃液は、インク濃度の上昇により表面張力や粘性に変化を生じる。清掃液の表面張力や粘性によっては、1次ブレード41及び/又は2次ブレード42を通過して無端ベルト23の表面に残留する場合がある。
【0065】
本発明によれば、このように運転状況に伴ってインクの拭き残りが発生した場合であっても、無端ベルト23に対する2次ブレード42の押し込み量を増加することにより接触圧を増やして、インクの拭き残りの発生を容易に防止することが可能となる効果を奏する。
【0066】
以上、2次ブレード42の無端ベルト23に対する押し込み量を変更する構成について説明したが、本発明において変更可能とされる清掃条件はこれに限定されるものではない。以下に他の態様について説明する。
【0067】
図5は、2次ブレード42周辺の他の例を示す側面図であり、2次ブレード42の無端ベルト23に対する接触角度を変更する構成を説明するものである。
【0068】
図5において、422cは基部422aに設けられたねじ穴である。ねじ穴422cには、ねじ422dが挿入され、これにより支持部材422と固定板423とが接続されている。
【0069】
また、ねじ穴422cに対してねじ422dが遊びをもった状態であるため、基部422aと立ち上がり部422bとが形成する断面「く」の字状の角部422eを支点として、支持部材422が、固定板423に対して傾斜可能とされている。
【0070】
更に、422fは、支持部材422と固定板423との間で、ねじ422dに沿って圧縮されたばねである。支持部材422は、ばね422fの付勢力により、ねじ422dの頭の位置まで押し上げられた状態で固定される。つまり、固定板423に対するねじ422dの埋め込み量によって、支持部材422の傾斜を変更して固定することが可能とされている。
【0071】
これにより、支持部材422の傾斜に伴って、2次ブレード42が傾斜するため、2次ブレード42の無端ベルト23に対する接触角度αが変更可能とされる。
【0072】
ここで、接触角度αとは、ブレードの接触がない状態における無端ベルトの軌道23’と2次ブレード42とが形成する角度をいう。
【0073】
接触角度αは、0度<α≦90度の範囲で変更されることが好ましい。
【0074】
なお、図5の例では、2次ブレード42の接触角度αが変更可能であると共に、図3及び図4に示したものと同様の押し込み量調節板421により押し込み量の変更が可能とされているが、これに限定されず、接触角度αのみが変更可能とされたものであってもよい。
【0075】
接触角度αが大きいほど、無端ベルト23に対する2次ブレード42の接触面積が小さくなる。これは、2次ブレード42の側面が接触角度αの増加に伴って無端ベルト23に接触し難くなるためである。
【0076】
本発明において、無端ベルト23に対する2次ブレード42の接触角度αは、押し込み量と同様に、例えば、無端ベルト23の表面に塗布された地張り剤の特性に応じて変更される。
【0077】
塗布された地張り剤が粘着性の高いものである場合は、2次ブレード42の接触面積が過剰になると地張り剤の粘着性によって密着してしまい、無端ベルトの搬送障害を招くおそれがあるため、接触角度αを相対的に大きくすることが好ましい。塗布された地張り剤が粘着性の低いものである場合は、接触面積を増やしてクリーニング性を向上するために、接触角度αを相対的に小さくすることが好ましい。
【0078】
塗布された地張り剤が撥水性の高いものである場合は、無端ベルト23の表面からの清掃液の除去が比較的容易となるため、不要な接触面積が形成されて搬送障害とならないように接触角度αを相対的に大きくすることが好ましい。塗布された地張り剤が撥水性の低いものである場合は、接触面積を増やしてクリーニング性を向上するために、接触角度αを相対的に小さくすることが好ましい。
【0079】
以上のようにして、無端ベルト23の表面に塗布された地張り剤の特性に応じて2次ブレード42の接触角度αを変更することで、1次ブレード41のみでは不十分だった地張り剤に応じた清掃条件を作り出すことができ、1次ブレード41によって除去しきれなかった汚れを除去できる。そのため、地張り剤の特性によらず、無端ベルト23の搬送障害を招くことなく、インクの拭き残りの発生を防止することが可能となる。
【0080】
さらに、上述したように運転状況に伴ってインクの拭き残りが発生した場合であっても、本発明によれば、無端ベルト23に対する2次ブレード42の接触角度αを減少することにより接触面積を増やして、インクの拭き残りの発生を容易に防止することが可能となる効果を奏する。
【0081】
また、本発明においては、例えば、2次ブレード42の無端ベルト23に対する接触角度αを小さくして、押し込み量が負となるように設定する等により、2次ブレード42の無端ベルト23に対する接触の有無が変更可能とされたものであってもよい。
【0082】
図6は、2次ブレード42を無端ベルト23に対して非接触とした状態を示す側面図である。
【0083】
2次ブレード42の無端ベルト23に対する接触角度αを大きくして、押し込み量が正となるように設定することにより、非接触状態から接触状態に変更することが可能である。
【0084】
本発明において、無端ベルト23に対する2次ブレード42の接触の有無は、押し込み量や接触角度αと同様に、例えば、無端ベルト23の表面に塗布された地張り剤の特性に応じて変更される。
【0085】
塗布された地張り剤が粘着性の高いものである場合は、ブレードとの接触機会が多いと、地張り剤の粘着性によって密着してしまい、無端ベルトの搬送障害を招くおそれがあるため、接触の機会を減らすために、無端ベルト23に対して2次ブレード42を非接触として、1次ブレード41のみを接触させることが好ましい。塗布された地張り剤が粘着性の低いものである場合は、ブレードとの接触機会を増やしてクリーニング性を向上するために、2次ブレード42を無端ベルト23に接触させることが好ましい。
【0086】
塗布された地張り剤が撥水性の高いものである場合は、無端ベルト23の表面からの清掃液の除去が比較的容易となるため、ブレードの不要な接触により搬送障害とならないように、2次ブレード42を非接触として、1次ブレード41のみを接触させることが好ましい。塗布された地張り剤が撥水性の低いものである場合は、ブレードとの接触の機会を増やしてクリーニング性を向上するために、2次ブレード42を無端ベルト23に接触させることが好ましい。
【0087】
以上のようにして、無端ベルト23の表面に塗布された地張り剤の特性に応じて2次ブレード42の接触の有無を変更することで、1次ブレード41のみでは不十分だった地張り剤に応じた清掃条件を作り出すことができ、1次ブレード41によって除去しきれなかった汚れを除去できる。そのため、地張り剤の特性によらず、無端ベルト23の搬送障害を招くことなく、インクの拭き残りの発生を防止することが可能となる。
【0088】
さらに、上述したように運転状況に伴ってインクの拭き残りが発生した場合であっても、本発明によれば、無端ベルト23に対して2次ブレード42を接触させることにより、ブレードの接触の機会を増やして、インクの拭き残りの発生を容易に防止することが可能となる効果を奏する。
【0089】
以上、2次ブレード42の無端ベルト23に対する押し込み量、接触角度、又は、接触の有無の少なくとも1種を変更可能とする構成について説明したが、これと同様の構成により1次ブレード41も、押し込み量、接触角度、又は、接触の有無の少なくとも1種を変更可能に構成されてもよい。
【0090】
更に、1次ブレード41と2次ブレード42とを、それぞれ独立に、押し込み量、接触角度、又は、接触の有無の少なくとも1種を変更可能に構成することも好ましい。
【0091】
本発明においては、1次ブレード41及び2次ブレード42による無端ベルト23表面への接触に対して、無端ベルト23の裏面側から該無端ベルト23を支持するバックアップ部材を設けることも好ましい。
【0092】
図7は、バックアップ部材を設置した状態を示す側面図である。
【0093】
図7(a)に示す通り、1次ブレード41及び2次ブレード42に対してそれぞれバックアップ部材S1及びS2が設けられている。
【0094】
バックアップ部材S1及びS2は、それぞれ無端ベルト23の幅と同じもしくはやや長尺に形成されたステー部材からなり、無端ベルト23の裏面側に幅方向に亘って掛け渡されている。
【0095】
1次ブレード41は、バックアップ部材S1に対向する位置において、無端ベルト23に接触している。このような接触により、1次ブレード41と無端ベルト23との接触圧を大きくすることが可能となる。
【0096】
一方、2次ブレード42は、バックアップ部材S1及びS2間に挟まれた領域において、無端ベルト23に接触している。この場合、2次ブレード42を無端ベルト23に押し込むことにより、無端ベルト23が急こう配で傾斜することになる。
【0097】
この結果、図7(a)における破線領域Cの拡大図である図7(b)に示すように、2次ブレード42における無端ベルト23の移動方向上流側の側面42’と無端ベルト23との接触面積Sが増大する。これにより、クリーニング性が向上するため、インクの拭き残りが更に防止される。さらに、無端ベルト23への2次ブレード42の押し込み量を増加させても、バックアップ部材S1及びS2の存在により、負荷の変動が直接的に無端ベルト23の移動に影響しないため、搬送障害を生じ難い効果が得られる。
【0098】
バックアップ部材S1及びS2に対して、1次ブレード41及び2次ブレード42を図示のような配置とすることにより、接触圧の大きい1次ブレードにより大部分の清掃液を拭き取った後に、接触面積の大きい2次ブレードにより仕上げの拭き取りを行うことができるため、クリーニング性を更に向上することができる。
【0099】
以上説明した各態様において、1次ブレード41及び2次ブレード42は、共に同材質であるシリコンゴムからなるものとしたが、これに限定されるものではなく、例えば弾性体や吸収体を好ましく用いることができる。
【0100】
例えば、1次ブレード41及び2次ブレード42を共に弾性体としてもよいし、共に吸収体としてもよい。
【0101】
吸収体としては、柔軟性のある多孔質吸収体を好ましく例示でき、具体的にはポリウレタン発泡体等が好適である。ブレードが吸収体であれば、接触圧を小さくしても高い吸収性を発現できる。そのため、無端ベルト23の摩耗や移動に対する負荷が小さいまま、クリーニング性に優れる。
【0102】
弾性体としては、シリコンゴムやウレタンゴム等のゴムを好ましく例示できる。ブレードが弾性体であれば、接触圧を大きくすることが容易であり、これにより無端ベルト上に存在する清掃液を確実に除去する作用に優れる。
【0103】
さらに、本発明において、1次ブレード41及び2次ブレード42は、それぞれ同じ材質のブレードであってもよいし、異なる材質のブレードを含んでもよい。
【0104】
例えば、1次ブレード41を吸収体、2次ブレード42を弾性体から形成することも好ましく、この場合は1次ブレードにより大部分の清掃液を拭き取った後に、2次ブレードにより仕上げの拭き取りを行うことができるため、無端ベルト23の摩耗や移動に対する負荷の増大を抑制した状態で、クリーニング性を顕著に向上することができる。
【0105】
さらにまた、1次ブレード41及び2次ブレード42は、同材質であるか、異なる材質であるかによらず、硬さが異なるブレードを含んでもよい。
【0106】
本発明においては、図8に示すように、複数枚のブレードのうちの少なくとも2枚以上(図示の例では2枚)のブレード42a及び42bが、互いに重ねられた状態とされてもよい。
【0107】
ブレード42a及び42bが互いに重ねられた状態で、図5の態様における2次ブレード42に代えて固定されることにより、ブレード42a及び42bの無端ベルトに対する押し込み量、接触角度、又は、接触の有無の少なくとも1種を、同時に変更することが可能となる。
【0108】
ここで、例えばブレード42a及び42bが互いに硬さが異なる場合に、一方の硬さが小さいブレードの強度を他方の硬さが大きいブレードの強度で補うことができるため、各々のブレードが無端ベルト23に対して安定に接触を保つことができる効果を奏する。特に、無端ベルト23の移動方向上流側に配されるブレード42aとして硬さが小さいブレードを用い、下流側のブレード42bとして硬さが大きいブレードを用いることが好ましい。
【0109】
図示の例において、クリーニング装置4は、ブレード42a及び42bよりもベルト移動方向上流側に1次ブレード41(図7では不図示)を有しているが、このような態様に限定されず、ブレードとして互いに重ねられたブレード42a及び42bのみを有するものであってもよい。
【0110】
本発明において、1次ブレード41及び2次ブレード42は、例えば画像記録を行わない運転停止時等には、無端ベルト23の表面から圧着解除されることが好ましい。
【0111】
特に、無端ベルト23の表面に地張り剤が塗布されている場合は、1次ブレード41及び2次ブレード42が長時間の無端ベルト23表面の同じ部位に圧着することにより、地張り剤表面の損傷を生じる場合があるため、圧着解除が可能であることが特に好ましい。
【0112】
図9は、1次ブレード41及び2次ブレード42の無端ベルト23に対する圧着解除を可能とするための構成を示す側面図である。
【0113】
図9において、クリーニング装置4は、設置台44の上面(載置面)44aに載置されている。設置台44は、昇降手段として例えばエアシリンダ44bを備え、載置面44aを昇降可能とされている。
【0114】
エアシリンダ44bにより載置面44aの位置を下げることにより、クリーニング装置が備えるブラシローラ40、1次ブレード41及び2次ブレード42が、無端ベルト23の表面に対して圧着解除されるように構成されている。
【0115】
また、設置台44は、キャスタ44cにより床に接地しており、設置台44の側方への移動を容易にしている。
【0116】
例えばメンテナンス時においては、1次ブレード41及び2次ブレード42を圧着解除することにより、キャスタ44cで側方に移動する際に無端ベルト23の表面を1次ブレード41及び2次ブレード42が摺擦することが防止される。これにより、無端ベルト23表面の不要な損傷を回避して、容易にメンテナンスできる効果を奏する。
【0117】
エアシリンダ44bにより、載置面44aを所定位置まで上昇させることにより、圧着解除状態から、圧着状態を回復することが可能である。
【0118】
ところで、無端ベルト23の表面を摺擦するブレード(1次ブレード41、2次ブレード42)は、一般に断面形状が矩形状であるため4つの角部を有しており、この角部によって無端ベルト23の幅方向に亘って延びる稜線が形成されている。ブレードは、この稜線が無端ベルト23の表面に対して当接することによって該表面を摺擦し、インク汚れを掻き取っていく。このため、この稜線は、無端ベルト23を摺擦することにより徐々に摩耗し、長期使用によって摩耗が進行すると無端ベルト23との接触が不十分となり、インクの拭き取り機能に支障がでてくるおそれがある。
【0119】
そこで、次に、このようなブレードの摩耗に対処するために好ましいブレードの態様について、2次ブレード42を例に挙げて説明する。
【0120】
図10は、このような摩耗に対処し得る2次ブレード42の周辺の一例を示す側面図である。
【0121】
図10において、42c〜42fは何れも2次ブレード42が備える稜線である。
【0122】
図示の状態では、稜線42c〜42fのうち、一つの稜線42cが図中上方向(無端ベルト23方向)に向けて最も高い位置に突出するように配置されている。これにより、この稜線42cが無端ベルト23の表面に押し込まれて摺擦するようになっている。
【0123】
この態様において、2次ブレード42は押え板424と押し込み調整板421との間に配置されている。押え板424は無端ベルト23の幅方向に亘って長尺に形成された平板によって形成されている。
【0124】
421cは押し込み調整板421に設けられ、押え板424の押圧(ロック)及び解除を行うためのカム部材である。このカム部材421cは、回動操作されることによって押え板424のロック及び解除を行うようになっており、ロック時は、押え板424を押し込み調整板421に対して押圧して、押え板424と押し込み調整板421との挟圧により2次ブレード42を固定し、解除時は、押え板424の押し込み調整板421に対する押圧を解除し、2次ブレード42の固定を解除するように構成されている。カム部材421cは、2次ブレード42を長手方向に沿って複数箇所で固定できるように、複数個設けられている。
【0125】
この構成により、図10の状態からカム部材421cを回動操作してロックを解除し、押え板424による2次ブレード42の押圧を解除して2次ブレード42を押え板424と押し込み調整板421との間から取り外すことができる。取り外された2次ブレード42を上下逆に再装着することにより、それまで使用していた稜線42cに代えて新たな稜線42eを使用位置とすることができる。また、2次ブレード42を表裏逆に再装着することにより、稜線42cに代えて新たな稜線42dを使用位置とすることができる。さらに、2次ブレード42を上下逆且つ表裏逆に再装着することにより、稜線42cに代えて新たな稜線42fを使用位置とすることができる。
【0126】
このようにして、2次ブレード42は、上下及び表裏の装着の向きを適宜変更することにより、無端ベルト23に接触する稜線42c〜42fが変更可能となり、摩耗した稜線に代えて他の稜線により無端ベルト23を摺擦するように、無端ベルト23に接触する稜線を変更できることにより、2次ブレード42の無端ベルト23との接触状態を回復して、インクの拭き残りの発生を防止する効果を長期にわたり好適に保持することが可能となる。
【0127】
図11は、同様に稜線を変更可能に構成された2次ブレード42の周辺の他の一例を示す側面図である。
【0128】
この態様において、2次ブレード42は、ねじ421dにより押え板424と押し込み調整板421との間に挟持されて固定されている。このねじ421dは、2次ブレード42を長手方向に沿って複数箇所で固定できるように、複数個設けられている。
【0129】
また、各々のねじ421dの固定位置は、2次ブレード42の短手方向の中心位置において、長手方向に沿って左右対称となるように貫通形成されたねじ穴(不図示)の位置に対応している。これにより、2次ブレード42は、ねじ421dの固定位置を中心にして上下方向にそれぞれ延びるように取り付けられていると共に、2次ブレード42の上下及び表裏のいずれかが変更されても、各々のねじ421dとねじ穴の嵌合によって、2次ブレード42を同一位置に固定することが可能となる。
【0130】
これにより、ねじ421dを外して2次ブレード42を一旦取り外した後、図10に示した態様と同様にして、上下及び表裏の装着の向きを適宜変更して再装着することにより、無端ベルト23に接触する稜線42c〜42fを変更することができるようになっている。これにより上記と同様の効果が得られる。
【0131】
以上のように、使用されるブレードの稜線を変更可能とする構成は、1次ブレード41にも同様に適用できることはもちろんである。
【0132】
次に、無端ベルト23の幅が広幅である場合に特に好ましいブレードの態様について、2次ブレード42を例に挙げて説明する。
【0133】
広幅な無端ベルト23に合わせて2次ブレード42を長尺に形成する場合、1枚板によって形成しようとすると、たわみが生じやすく、無端ベルト23の幅方向の途中に部分的にインクの拭き残りが発生するおそれがある。このような場合、以下に説明するように、短尺の単位ブレードを複数枚並設して1枚の長尺な2次ブレード42を構成することが好ましい。
【0134】
図12は、2次ブレード42を複数枚の短尺の単位ブレード42g〜42iによって構成した一例を示す正面図である。
【0135】
図12において、各単位ブレード42g〜42iは、無端ベルト23の幅方向の長さよりも十分に短く形成されており、この短尺の単位ブレード42g〜42iを複数枚並設させて無端ベルト23の幅方向に対応する長さとなる1枚(1組)の2次ブレード42を構成している。
【0136】
無端ベルト23の幅方向に隣接する単位ブレードは、互いの端部同士が所定量だけ重ね合わされており、無端ベルト23の移動方向から見た場合、この複数枚の短尺の単位ブレード42g〜42iによって構成される2次ブレード42は、その幅方向に亘ってインクの拭き残りを発生させるような隙間が存在しないようになっている。
【0137】
このように、複数枚の短尺の単位ブレード42g〜42iの端部同士を互いに所定量だけ重ね合わせて重なり部OLを形成することにより、広幅の無端ベルト23であっても、その幅方向に亘ってたわみを生じることなく、全幅に亘って均一にインクを掻き取ることができるようになる。
【0138】
この態様においても、2次ブレード42に限らず、1次ブレード41が複数枚の短尺の単位ブレードによって構成されてもよいことはもちろんである。
【0139】
また、1次ブレード41と2次ブレード42の双方が共に複数枚の短尺の単位ブレードよって構成される場合は、1次ブレード41及び2次ブレード42におけるそれぞれの重なり部OLが、無端ベルト23の移動方向から見た場合、同一位置に配置されないように、互いの重なり部OLの位置を幅方向にずらすことが好ましい。
【0140】
以上、主にベルトクリーニング装置4が1次ブレード41と2次ブレード42の2つのブレードを備える態様について説明したが、ベルトクリーニング装置4が備えるブレードの枚数はこれに限定されるものではなく、3枚以上の複数枚を適宜備えることができる。本発明は、複数枚のブレードのうちの少なくとも1枚が以上説明した構成を備えていればよい。
【符号の説明】
【0141】
1:画像記録装置
2:記録媒体搬送装置
21、22:ローラ
23:無端ベルト
3:記録ヘッド
4:クリーニング装置
40:ブラシローラ
41:1次ブレード
411:支持部材
412:固定板
42:2次ブレード
42a、42b:ブレード
42c〜42f:稜線
42g〜42i:単位ブレード
421:押し込み調整板
421c:カム部材
422:支持部材
423:固定板
424:押え板
43:清掃桶
44:設置台
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体搬送装置及び画像記録装置に関し、詳しくは、記録媒体を搬送するための無端ベルトの表面を清掃するブレードを複数枚備えてなる記録媒体搬送装置及び画像記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、種々の記録媒体に対して高精細な画像を記録する装置として、インクジェット方式による画像記録装置が広く普及している。特に、記録媒体が伸縮性のある布帛等である場合などには、記録媒体を無端ベルトで記録ヘッドの下方に搬送することが行われている。
【0003】
その際、記録媒体のミスフィードやいわゆる縁なし印刷、インクの裏抜け等のために、記録ヘッドから吐出されたインクが無端ベルトに付着する場合があり、無端ベルトに付着したインクが無端ベルト上に新たに供給されてきた記録媒体に転移して記録媒体を汚してしまう等のトラブルが生じる。
【0004】
そのため、通常、このような無端ベルトを備える画像記録装置には、無端ベルトの表面をクリーニングするためのクリーニング装置が設けられる。
【0005】
特許文献1には、吸収体により無端ベルトの表面に清掃液を供給した後、ブレードを当接させて清掃液を払拭することにより、無端ベルトに付着したインクを除去して洗浄する技術が開示されている。
【0006】
ところで、記録媒体として布帛を使用する画像記録装置(捺染装置)では、布帛を皺のないように搬送し、皺のない状態が維持された布帛に対して記録を行うことが重要である。このため、布帛を搬送する無端ベルトの表面に、地張り剤を均一に塗布しておき、その上に布帛を張り付かせることで、搬送時及び記録時の布帛表面を皺のない状態に保持するようにしている。
【0007】
地張り剤は、糊状の粘性を有する液体であり、無端ベルトの表面に塗布されて膜を形成することで、布帛を粘性によって張り付かせて密着させる接着剤として機能する。この地張り剤が膜状に塗布された無端ベルトの表面に布帛を展張させて密着させることで、布帛を皺のない状態のまま搬送することができる。
【0008】
地張り剤にはアクリル系やシリコン系等の種類があり、これらの地張り剤を処方して(単独又は複数種を所定割合で混合して)用いることにより、種々の記録媒体に対して密着性を最適化し、種々のインクに対して撥水性を最適化して、印字画質の向上や作業性の向上を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2004−196505号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかるに、地張り剤は、その処方により粘着性、摩耗性や撥水性等の特性に差を生じるが故に、ブレードによる無端ベルトの清掃条件との関係において、以下のような問題があった。
【0011】
例えば、塗布された地張り剤が粘着性の強いものである場合は、ブレードの清掃条件(例えば接触圧)が過剰になると地張り剤の粘着性によって密着してしまい、無端ベルトの搬送障害(負荷増大)を招くおそれがある。
【0012】
一方、塗布された地張り剤が撥水性の弱いものである場合は、ブレードによる清掃条件が不十分であるとブレードを通過後の無端ベルトの表面にインクの拭き残りが発生するおそれがある。
【0013】
そのため、従来は、出荷時におけるブレードの清掃条件に合わせて、地張り剤を選択しなければならず、種々の記録媒体や種々のインクに対して最適な地張り剤を選択することが困難であった。その結果、印字画質の向上や作業性の向上に限界があった。
【0014】
また、無端ベルトの表面に地張り剤を塗布しない場合であっても、画像記録装置の運転状況に伴ってインクの拭き残りが発生するようになる場合があり、記録媒体に転移して記録媒体を汚してしまう等のトラブルが生じる問題があった。
【0015】
そこで、本発明の課題は、無端ベルトの搬送障害を招くことなく、インクの拭き残りの発生を防止することができる記録媒体搬送装置及び画像記録装置を提供することにある。
【0016】
また本発明の他の課題は、以下の記載によって明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題は、以下の各発明によって解決される。
【0018】
請求項1記載の発明は、表面に載置される記録媒体を搬送する無端ベルトと、
前記無端ベルトの表面に清掃液を付着させて洗浄する清掃液付着手段と、
前記清掃液付着手段による清掃液付着位置よりも無端ベルトの移動方向下流側で前記無端ベルトの表面に接触し、該無端ベルトの表面に付着した清掃液を除去する複数枚のブレードとを有する記録媒体搬送装置であって、
前記複数枚のブレードのうちの少なくとも1枚は、前記無端ベルトに対する押し込み量、接触角度、又は、接触の有無の少なくとも1種を変更可能とされていることを特徴とする記録媒体搬送装置である。
【0019】
請求項2記載の発明は、前記複数枚のブレードは、互いに同材質であることを特徴とする請求項1記載の記録媒体搬送装置である。
【0020】
請求項3記載の発明は、前記複数枚のブレードは、異なる材質のブレードを含むことを特徴とする請求項1記載の記録媒体搬送装置である。
【0021】
請求項4記載の発明は、前記複数枚のブレードは、硬さが異なるブレードを含むことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の記録媒体搬送装置である。
【0022】
請求項5記載の発明は、前記複数枚のブレードは、それぞれが独立して前記無端ベルトに対する押し込み量、接触角度、又は、接触の有無の少なくとも1種を変更可能とされていることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の記録媒体搬送装置である。
【0023】
請求項6記載の発明は、前記複数枚のブレードのうちの少なくとも2枚以上が互いに重ねられていることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の記録媒体搬送装置である。
【0024】
請求項7記載の発明は、前記複数枚のブレードのうち少なくとも1枚は、前記無端ベルトの幅方向に延びる複数の稜線のうち、前記無端ベルトの表面に接触する前記稜線を変更できるように、上下及び表裏の向きが変更可能に設けられていることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の記録媒体搬送装置である。
【0025】
請求項8記載の発明は、前記複数枚のブレードのうち少なくとも1枚は、複数枚の短尺の単位ブレードによって構成されていると共に、隣接する前記単位ブレードの端部同士が互いに所定量だけ重ね合わされて前記無端ベルトの幅方向に沿って並設されてなることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の記録媒体搬送装置である。
【0026】
請求項9記載の発明は、前記無端ベルトの表面には、前記記録媒体を密着させるための地張り剤が塗布されていることを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載の記録媒体搬送装置である。
【0027】
請求項10記載の発明は、請求項1〜9のいずれかに記載の記録媒体搬送装置と、
前記記録媒体搬送装置の前記無端ベルト上に載置された前記記録媒体に向けてインクを吐出することによって画像を記録する記録手段とを備えることを特徴とする画像記録装置である。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、無端ベルトの搬送障害を招くことなく、インクの拭き残りの発生を防止することができるベルト搬送装置及び画像記録装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係る画像記録装置の一例を示す概略構成図
【図2】ベルトクリーニング装置の拡大側面図
【図3】2次ブレード周辺の一例を示す正面図
【図4】2次ブレード周辺の一例を示す側面図
【図5】2次ブレード周辺の他の例を示す側面図
【図6】2次ブレードを無端ベルトに対して非接触とした状態を示す側面図
【図7】バックアップ部材を設置した状態を示す側面図
【図8】2枚のブレードが互いに重ねられた状態を示す側面図
【図9】ブレードの無端ベルトに対する圧着解除を可能とするための構成を示す側面図
【図10】2次ブレード周辺の他の例を示す側面図
【図11】2次ブレード周辺の他の例を示す側面図
【図12】2次ブレードを複数枚のブレード単位により形成した一例を示す上面図
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態を説明する。
【0031】
図1は、本発明に係る画像記録装置の一例を示す概略構成図であり、図中、1は画像記録装置であり、この画像記録装置1は、記録媒体搬送装置2、記録ヘッド3、ベルトクリーニング装置4を備えている。
【0032】
記録媒体搬送装置2は、所定の間隔をおいて平行に配置された複数(図示の例では2つ)のローラ21、22に亘って所定幅の無端ベルト23が張架されている。これらローラ21、22間に架け渡された無端ベルト23の上面は、記録媒体Pを密着させて載置する載置面とされている。
【0033】
一方のローラ21は図示しない副走査モータに対して駆動力を伝達可能に接続された駆動ローラ、他方のローラ22は従動ローラであり、駆動ローラ21が副走査モータの回転駆動によって、図1において反時計回りに所定の速度で回転することにより、従動ローラ22との間に架け渡された無端ベルト23を回転移動させ、その上面に載置される記録媒体Pを副走査方向である図中のA方向に向けて搬送するようになっている。
【0034】
記録媒体Pには、例えば、紙、布帛、プラスチックフィルム、ガラス板等、インクジェット記録に通常使用される記録媒体を使用することができる。記録媒体Pは所定サイズに裁断されたシート状であってもよいし、ロール状に巻回された元巻きから連続して繰り出される長尺状であってもよい。特に、布帛は、インクが裏抜けし易いため、無端ベルト23の表面にインクが付着するおそれが高く、後述するベルトクリーニング装置4を備えることによって特に顕著な効果が得られるために好ましい。
【0035】
記録ヘッド3は、無端ベルト23上の記録媒体Pが載置される面の上方に所定の間隔をおいて配設されており、その下面に設けられた多数のノズルからインク滴を吐出することにより、間欠的に搬送される記録媒体P上に所望の画像を記録するインクジェットヘッドである。この記録ヘッド3は、図示しないキャリッジに搭載されて、画像記録時に記録媒体Pの搬送方向と直交する主走査方向に往復移動するシャトル型の記録ヘッドであってもよいし、無端ベルト23の幅方向に亘って固定状に架け渡され、連続的に搬送される記録媒体P上にインク滴を吐出することによって画像を記録するライン型の記録ヘッドであってもよい。
【0036】
ベルトクリーニング装置4は、本発明において駆動ローラ21の近傍に配置されており、無端ベルト23の移動方向に沿って順に配設されるブラシローラ40、1次ブレード41及び2次ブレード42を有している。
【0037】
ブラシローラ40は、無端ベルト23の全幅に亘って架け渡された回転軸の周囲にブラシ毛が植毛されてローラ状に形成されている。ブラシ毛の先端は、記録媒体Pの無端ベルト23からの剥離位置よりも無端ベルト23の移動方向下流側において無端ベルト23の表面に常時接触状態にあり、不図示の駆動モータによって無端ベルト23の移動方向と逆方向に回転することにより、該無端ベルト23の表面を摺擦する。このときブラシローラ40の下部は、清掃桶43内の清掃液に一部浸漬しており、回転時に清掃液を掻き上げることにより、無端ベルト23の表面に清掃液を供給して洗浄するように構成されている。
【0038】
1次ブレード41及び2次ブレード42は、ここでは共に板状に形成されたシリコンゴムからなり、無端ベルト23と同程度の幅(無端ベルト23の幅方向に沿う長さ)を有している。1次ブレード41及び2次ブレード42は、それぞれ無端ベルト23の表面に、該無端ベルト23の幅方向に亘って接触するように設けられている。
【0039】
無端ベルト23の移動に伴って、1次ブレード41及び2次ブレード42が無端ベルト23の表面を摺擦することにより、無端ベルト23に付着している清掃液が除去される。
【0040】
1次ブレード41及び2次ブレード42の下方には、清掃桶43が配置されており、除去した清掃液が収容されるようになっている。
【0041】
図2は、画像記録装置1が備えるベルトクリーニング装置4の拡大側面図である。
【0042】
図2において、411は1次ブレード41を支持する支持部材であり、無端ベルト23と同程度の幅を有している。
【0043】
支持部材411は、基部411aと、立ち上がり部411bとを備え、これらが断面「く」の字状となるように接続されている。
【0044】
基部411aは、清掃桶43内にベルト幅方向に亘って架け渡された固定板412に固定されている。立ち上がり部411bは、基部411aから、無端ベルト23の移動方向下流側に傾斜するように所定の角度で立ち上がっている。また、立ち上がり部411bには、1次ブレード41が固定されている。
【0045】
このようにして、1次ブレード41は、支持部材411によって無端ベルト23に対して所定の角度となるように、清掃桶43内に固定されている。
【0046】
一方、422は2次ブレード42を支持する支持部材であり、無端ベルト23と同程度の幅を有している。
【0047】
上述した支持部材411と同様に、支持部材422は、基部422aと、立ち上がり部422bとを備え、これらが断面「く」の字状に接続されている。
【0048】
基部422aは、清掃桶43内にベルト幅方向に亘って架け渡された固定板423に固定されている。また、立ち上がり部422bには、無端ベルト23と同程度の幅を有する押し込み調整板421を介して2次ブレード42が固定されている。
【0049】
図3は、2次ブレード42周辺の一例を示す正面図である。
【0050】
図3に示す通り、押し込み調整板421は、長手方向の両端部近傍に長穴421a、421aを備えている。長穴421a、421aは、共に、無端ベルト23に対して角度をもって向かう方向(図中B方向)に亘って長く形成されている。長穴421a、421aのそれぞれには、ねじ421b、421bが挿入され、これにより押し込み調整板421を支持部材422の立ち上がり部422bに固定している。長穴421a、421aにおいて、B方向に沿って、ねじ421b、421bの固定位置を変更することにより、押し込み調整板421の固定位置をB方向に調整可能とされている。
【0051】
図4は、図3に示した2次ブレード42周辺の一例を示す側面図である。
【0052】
図4において、23’はブレードの接触がない状態における無端ベルト23の軌道を示している。
【0053】
無端ベルト23は、2次ブレードの接触により、ブレードの接触がない状態における無端ベルトの軌道23’よりも、軌道23’に対して垂直方向に幅L(押し込み量)だけ押し込まれている。
【0054】
ここで押し込み調整板421の固定位置をB方向に変更することにより、2次ブレード42の固定位置が変更され、その結果、押し込み量が変更される。
【0055】
押し込み量が大きいほど、無端ベルト23に対する2次ブレード42の接触圧が大きくなる。
【0056】
本発明において、無端ベルト23に対する2次ブレード42の押し込み量は、例えば、無端ベルト23の表面に塗布された地張り剤の特性に応じて変更される。
【0057】
塗布された地張り剤が粘着性の高いものである場合は、2次ブレード42の接触圧が過剰になると地張り剤の粘着性によって密着してしまい、無端ベルトの搬送障害を招くおそれがあるため、押し込み量を相対的に小さくすることが好ましい。塗布された地張り剤が粘着性の低いものである場合は、クリーニング性を向上するために、押し込み量を相対的に大きくすることが好ましい。
【0058】
塗布された地張り剤が撥水性の高いものである場合は、無端ベルト23の表面からの清掃液の除去が比較的容易となるため、不要な接触圧が負荷されて搬送障害とならないように押し込み量を相対的に小さくすることが好ましい。塗布された地張り剤が撥水性の低いものである場合は、接触圧を増やしてクリーニング性を向上するために、押し込み量を相対的に大きくすることが好ましい。
【0059】
以上のようにして、無端ベルト23の表面に塗布された地張り剤の特性に応じて2次ブレード42の押し込み量を変更することで、1次ブレード41のみでは不十分だった地張り剤に応じた清掃条件を作り出すことができ、1次ブレード41によって除去しきれなかった汚れを除去できる。そのため、地張り剤の特性によらず、無端ベルト23の搬送障害を招くことなく、インクの拭き残りの発生を防止することが可能となる。
【0060】
また、画像記録装置1の運転状況に伴ってインクの拭き残りが発生するようになる場合がある。
【0061】
例えば、上述した本発明の態様では、無端ベルト23を洗浄した後の清掃液が、清掃桶43に収容されるように構成されている。このような構成においては、清掃桶43内の清掃液を新たな清掃液で置換したとしても、ある程度のインク濃度の上昇は免れない。
【0062】
この現象は、上記のように清掃液が清掃液付着手段(ブラシローラ40)と無端ベルト23表面との間で循環する構成において発生し得るものであり、例えば上述した特許文献1に記載の技術(この場合、吸収体が清掃液付着手段に相当する)においても発生し得る。
【0063】
インク濃度が上昇した清掃液を、ブラシローラ40により無端ベルト23に付着させた場合、無端ベルトに付着したインクが清掃液により充分に希釈されず、清掃液が高濃度のインクを含んだままブレードに供されることになる。
【0064】
清掃液は、インク濃度の上昇により表面張力や粘性に変化を生じる。清掃液の表面張力や粘性によっては、1次ブレード41及び/又は2次ブレード42を通過して無端ベルト23の表面に残留する場合がある。
【0065】
本発明によれば、このように運転状況に伴ってインクの拭き残りが発生した場合であっても、無端ベルト23に対する2次ブレード42の押し込み量を増加することにより接触圧を増やして、インクの拭き残りの発生を容易に防止することが可能となる効果を奏する。
【0066】
以上、2次ブレード42の無端ベルト23に対する押し込み量を変更する構成について説明したが、本発明において変更可能とされる清掃条件はこれに限定されるものではない。以下に他の態様について説明する。
【0067】
図5は、2次ブレード42周辺の他の例を示す側面図であり、2次ブレード42の無端ベルト23に対する接触角度を変更する構成を説明するものである。
【0068】
図5において、422cは基部422aに設けられたねじ穴である。ねじ穴422cには、ねじ422dが挿入され、これにより支持部材422と固定板423とが接続されている。
【0069】
また、ねじ穴422cに対してねじ422dが遊びをもった状態であるため、基部422aと立ち上がり部422bとが形成する断面「く」の字状の角部422eを支点として、支持部材422が、固定板423に対して傾斜可能とされている。
【0070】
更に、422fは、支持部材422と固定板423との間で、ねじ422dに沿って圧縮されたばねである。支持部材422は、ばね422fの付勢力により、ねじ422dの頭の位置まで押し上げられた状態で固定される。つまり、固定板423に対するねじ422dの埋め込み量によって、支持部材422の傾斜を変更して固定することが可能とされている。
【0071】
これにより、支持部材422の傾斜に伴って、2次ブレード42が傾斜するため、2次ブレード42の無端ベルト23に対する接触角度αが変更可能とされる。
【0072】
ここで、接触角度αとは、ブレードの接触がない状態における無端ベルトの軌道23’と2次ブレード42とが形成する角度をいう。
【0073】
接触角度αは、0度<α≦90度の範囲で変更されることが好ましい。
【0074】
なお、図5の例では、2次ブレード42の接触角度αが変更可能であると共に、図3及び図4に示したものと同様の押し込み量調節板421により押し込み量の変更が可能とされているが、これに限定されず、接触角度αのみが変更可能とされたものであってもよい。
【0075】
接触角度αが大きいほど、無端ベルト23に対する2次ブレード42の接触面積が小さくなる。これは、2次ブレード42の側面が接触角度αの増加に伴って無端ベルト23に接触し難くなるためである。
【0076】
本発明において、無端ベルト23に対する2次ブレード42の接触角度αは、押し込み量と同様に、例えば、無端ベルト23の表面に塗布された地張り剤の特性に応じて変更される。
【0077】
塗布された地張り剤が粘着性の高いものである場合は、2次ブレード42の接触面積が過剰になると地張り剤の粘着性によって密着してしまい、無端ベルトの搬送障害を招くおそれがあるため、接触角度αを相対的に大きくすることが好ましい。塗布された地張り剤が粘着性の低いものである場合は、接触面積を増やしてクリーニング性を向上するために、接触角度αを相対的に小さくすることが好ましい。
【0078】
塗布された地張り剤が撥水性の高いものである場合は、無端ベルト23の表面からの清掃液の除去が比較的容易となるため、不要な接触面積が形成されて搬送障害とならないように接触角度αを相対的に大きくすることが好ましい。塗布された地張り剤が撥水性の低いものである場合は、接触面積を増やしてクリーニング性を向上するために、接触角度αを相対的に小さくすることが好ましい。
【0079】
以上のようにして、無端ベルト23の表面に塗布された地張り剤の特性に応じて2次ブレード42の接触角度αを変更することで、1次ブレード41のみでは不十分だった地張り剤に応じた清掃条件を作り出すことができ、1次ブレード41によって除去しきれなかった汚れを除去できる。そのため、地張り剤の特性によらず、無端ベルト23の搬送障害を招くことなく、インクの拭き残りの発生を防止することが可能となる。
【0080】
さらに、上述したように運転状況に伴ってインクの拭き残りが発生した場合であっても、本発明によれば、無端ベルト23に対する2次ブレード42の接触角度αを減少することにより接触面積を増やして、インクの拭き残りの発生を容易に防止することが可能となる効果を奏する。
【0081】
また、本発明においては、例えば、2次ブレード42の無端ベルト23に対する接触角度αを小さくして、押し込み量が負となるように設定する等により、2次ブレード42の無端ベルト23に対する接触の有無が変更可能とされたものであってもよい。
【0082】
図6は、2次ブレード42を無端ベルト23に対して非接触とした状態を示す側面図である。
【0083】
2次ブレード42の無端ベルト23に対する接触角度αを大きくして、押し込み量が正となるように設定することにより、非接触状態から接触状態に変更することが可能である。
【0084】
本発明において、無端ベルト23に対する2次ブレード42の接触の有無は、押し込み量や接触角度αと同様に、例えば、無端ベルト23の表面に塗布された地張り剤の特性に応じて変更される。
【0085】
塗布された地張り剤が粘着性の高いものである場合は、ブレードとの接触機会が多いと、地張り剤の粘着性によって密着してしまい、無端ベルトの搬送障害を招くおそれがあるため、接触の機会を減らすために、無端ベルト23に対して2次ブレード42を非接触として、1次ブレード41のみを接触させることが好ましい。塗布された地張り剤が粘着性の低いものである場合は、ブレードとの接触機会を増やしてクリーニング性を向上するために、2次ブレード42を無端ベルト23に接触させることが好ましい。
【0086】
塗布された地張り剤が撥水性の高いものである場合は、無端ベルト23の表面からの清掃液の除去が比較的容易となるため、ブレードの不要な接触により搬送障害とならないように、2次ブレード42を非接触として、1次ブレード41のみを接触させることが好ましい。塗布された地張り剤が撥水性の低いものである場合は、ブレードとの接触の機会を増やしてクリーニング性を向上するために、2次ブレード42を無端ベルト23に接触させることが好ましい。
【0087】
以上のようにして、無端ベルト23の表面に塗布された地張り剤の特性に応じて2次ブレード42の接触の有無を変更することで、1次ブレード41のみでは不十分だった地張り剤に応じた清掃条件を作り出すことができ、1次ブレード41によって除去しきれなかった汚れを除去できる。そのため、地張り剤の特性によらず、無端ベルト23の搬送障害を招くことなく、インクの拭き残りの発生を防止することが可能となる。
【0088】
さらに、上述したように運転状況に伴ってインクの拭き残りが発生した場合であっても、本発明によれば、無端ベルト23に対して2次ブレード42を接触させることにより、ブレードの接触の機会を増やして、インクの拭き残りの発生を容易に防止することが可能となる効果を奏する。
【0089】
以上、2次ブレード42の無端ベルト23に対する押し込み量、接触角度、又は、接触の有無の少なくとも1種を変更可能とする構成について説明したが、これと同様の構成により1次ブレード41も、押し込み量、接触角度、又は、接触の有無の少なくとも1種を変更可能に構成されてもよい。
【0090】
更に、1次ブレード41と2次ブレード42とを、それぞれ独立に、押し込み量、接触角度、又は、接触の有無の少なくとも1種を変更可能に構成することも好ましい。
【0091】
本発明においては、1次ブレード41及び2次ブレード42による無端ベルト23表面への接触に対して、無端ベルト23の裏面側から該無端ベルト23を支持するバックアップ部材を設けることも好ましい。
【0092】
図7は、バックアップ部材を設置した状態を示す側面図である。
【0093】
図7(a)に示す通り、1次ブレード41及び2次ブレード42に対してそれぞれバックアップ部材S1及びS2が設けられている。
【0094】
バックアップ部材S1及びS2は、それぞれ無端ベルト23の幅と同じもしくはやや長尺に形成されたステー部材からなり、無端ベルト23の裏面側に幅方向に亘って掛け渡されている。
【0095】
1次ブレード41は、バックアップ部材S1に対向する位置において、無端ベルト23に接触している。このような接触により、1次ブレード41と無端ベルト23との接触圧を大きくすることが可能となる。
【0096】
一方、2次ブレード42は、バックアップ部材S1及びS2間に挟まれた領域において、無端ベルト23に接触している。この場合、2次ブレード42を無端ベルト23に押し込むことにより、無端ベルト23が急こう配で傾斜することになる。
【0097】
この結果、図7(a)における破線領域Cの拡大図である図7(b)に示すように、2次ブレード42における無端ベルト23の移動方向上流側の側面42’と無端ベルト23との接触面積Sが増大する。これにより、クリーニング性が向上するため、インクの拭き残りが更に防止される。さらに、無端ベルト23への2次ブレード42の押し込み量を増加させても、バックアップ部材S1及びS2の存在により、負荷の変動が直接的に無端ベルト23の移動に影響しないため、搬送障害を生じ難い効果が得られる。
【0098】
バックアップ部材S1及びS2に対して、1次ブレード41及び2次ブレード42を図示のような配置とすることにより、接触圧の大きい1次ブレードにより大部分の清掃液を拭き取った後に、接触面積の大きい2次ブレードにより仕上げの拭き取りを行うことができるため、クリーニング性を更に向上することができる。
【0099】
以上説明した各態様において、1次ブレード41及び2次ブレード42は、共に同材質であるシリコンゴムからなるものとしたが、これに限定されるものではなく、例えば弾性体や吸収体を好ましく用いることができる。
【0100】
例えば、1次ブレード41及び2次ブレード42を共に弾性体としてもよいし、共に吸収体としてもよい。
【0101】
吸収体としては、柔軟性のある多孔質吸収体を好ましく例示でき、具体的にはポリウレタン発泡体等が好適である。ブレードが吸収体であれば、接触圧を小さくしても高い吸収性を発現できる。そのため、無端ベルト23の摩耗や移動に対する負荷が小さいまま、クリーニング性に優れる。
【0102】
弾性体としては、シリコンゴムやウレタンゴム等のゴムを好ましく例示できる。ブレードが弾性体であれば、接触圧を大きくすることが容易であり、これにより無端ベルト上に存在する清掃液を確実に除去する作用に優れる。
【0103】
さらに、本発明において、1次ブレード41及び2次ブレード42は、それぞれ同じ材質のブレードであってもよいし、異なる材質のブレードを含んでもよい。
【0104】
例えば、1次ブレード41を吸収体、2次ブレード42を弾性体から形成することも好ましく、この場合は1次ブレードにより大部分の清掃液を拭き取った後に、2次ブレードにより仕上げの拭き取りを行うことができるため、無端ベルト23の摩耗や移動に対する負荷の増大を抑制した状態で、クリーニング性を顕著に向上することができる。
【0105】
さらにまた、1次ブレード41及び2次ブレード42は、同材質であるか、異なる材質であるかによらず、硬さが異なるブレードを含んでもよい。
【0106】
本発明においては、図8に示すように、複数枚のブレードのうちの少なくとも2枚以上(図示の例では2枚)のブレード42a及び42bが、互いに重ねられた状態とされてもよい。
【0107】
ブレード42a及び42bが互いに重ねられた状態で、図5の態様における2次ブレード42に代えて固定されることにより、ブレード42a及び42bの無端ベルトに対する押し込み量、接触角度、又は、接触の有無の少なくとも1種を、同時に変更することが可能となる。
【0108】
ここで、例えばブレード42a及び42bが互いに硬さが異なる場合に、一方の硬さが小さいブレードの強度を他方の硬さが大きいブレードの強度で補うことができるため、各々のブレードが無端ベルト23に対して安定に接触を保つことができる効果を奏する。特に、無端ベルト23の移動方向上流側に配されるブレード42aとして硬さが小さいブレードを用い、下流側のブレード42bとして硬さが大きいブレードを用いることが好ましい。
【0109】
図示の例において、クリーニング装置4は、ブレード42a及び42bよりもベルト移動方向上流側に1次ブレード41(図7では不図示)を有しているが、このような態様に限定されず、ブレードとして互いに重ねられたブレード42a及び42bのみを有するものであってもよい。
【0110】
本発明において、1次ブレード41及び2次ブレード42は、例えば画像記録を行わない運転停止時等には、無端ベルト23の表面から圧着解除されることが好ましい。
【0111】
特に、無端ベルト23の表面に地張り剤が塗布されている場合は、1次ブレード41及び2次ブレード42が長時間の無端ベルト23表面の同じ部位に圧着することにより、地張り剤表面の損傷を生じる場合があるため、圧着解除が可能であることが特に好ましい。
【0112】
図9は、1次ブレード41及び2次ブレード42の無端ベルト23に対する圧着解除を可能とするための構成を示す側面図である。
【0113】
図9において、クリーニング装置4は、設置台44の上面(載置面)44aに載置されている。設置台44は、昇降手段として例えばエアシリンダ44bを備え、載置面44aを昇降可能とされている。
【0114】
エアシリンダ44bにより載置面44aの位置を下げることにより、クリーニング装置が備えるブラシローラ40、1次ブレード41及び2次ブレード42が、無端ベルト23の表面に対して圧着解除されるように構成されている。
【0115】
また、設置台44は、キャスタ44cにより床に接地しており、設置台44の側方への移動を容易にしている。
【0116】
例えばメンテナンス時においては、1次ブレード41及び2次ブレード42を圧着解除することにより、キャスタ44cで側方に移動する際に無端ベルト23の表面を1次ブレード41及び2次ブレード42が摺擦することが防止される。これにより、無端ベルト23表面の不要な損傷を回避して、容易にメンテナンスできる効果を奏する。
【0117】
エアシリンダ44bにより、載置面44aを所定位置まで上昇させることにより、圧着解除状態から、圧着状態を回復することが可能である。
【0118】
ところで、無端ベルト23の表面を摺擦するブレード(1次ブレード41、2次ブレード42)は、一般に断面形状が矩形状であるため4つの角部を有しており、この角部によって無端ベルト23の幅方向に亘って延びる稜線が形成されている。ブレードは、この稜線が無端ベルト23の表面に対して当接することによって該表面を摺擦し、インク汚れを掻き取っていく。このため、この稜線は、無端ベルト23を摺擦することにより徐々に摩耗し、長期使用によって摩耗が進行すると無端ベルト23との接触が不十分となり、インクの拭き取り機能に支障がでてくるおそれがある。
【0119】
そこで、次に、このようなブレードの摩耗に対処するために好ましいブレードの態様について、2次ブレード42を例に挙げて説明する。
【0120】
図10は、このような摩耗に対処し得る2次ブレード42の周辺の一例を示す側面図である。
【0121】
図10において、42c〜42fは何れも2次ブレード42が備える稜線である。
【0122】
図示の状態では、稜線42c〜42fのうち、一つの稜線42cが図中上方向(無端ベルト23方向)に向けて最も高い位置に突出するように配置されている。これにより、この稜線42cが無端ベルト23の表面に押し込まれて摺擦するようになっている。
【0123】
この態様において、2次ブレード42は押え板424と押し込み調整板421との間に配置されている。押え板424は無端ベルト23の幅方向に亘って長尺に形成された平板によって形成されている。
【0124】
421cは押し込み調整板421に設けられ、押え板424の押圧(ロック)及び解除を行うためのカム部材である。このカム部材421cは、回動操作されることによって押え板424のロック及び解除を行うようになっており、ロック時は、押え板424を押し込み調整板421に対して押圧して、押え板424と押し込み調整板421との挟圧により2次ブレード42を固定し、解除時は、押え板424の押し込み調整板421に対する押圧を解除し、2次ブレード42の固定を解除するように構成されている。カム部材421cは、2次ブレード42を長手方向に沿って複数箇所で固定できるように、複数個設けられている。
【0125】
この構成により、図10の状態からカム部材421cを回動操作してロックを解除し、押え板424による2次ブレード42の押圧を解除して2次ブレード42を押え板424と押し込み調整板421との間から取り外すことができる。取り外された2次ブレード42を上下逆に再装着することにより、それまで使用していた稜線42cに代えて新たな稜線42eを使用位置とすることができる。また、2次ブレード42を表裏逆に再装着することにより、稜線42cに代えて新たな稜線42dを使用位置とすることができる。さらに、2次ブレード42を上下逆且つ表裏逆に再装着することにより、稜線42cに代えて新たな稜線42fを使用位置とすることができる。
【0126】
このようにして、2次ブレード42は、上下及び表裏の装着の向きを適宜変更することにより、無端ベルト23に接触する稜線42c〜42fが変更可能となり、摩耗した稜線に代えて他の稜線により無端ベルト23を摺擦するように、無端ベルト23に接触する稜線を変更できることにより、2次ブレード42の無端ベルト23との接触状態を回復して、インクの拭き残りの発生を防止する効果を長期にわたり好適に保持することが可能となる。
【0127】
図11は、同様に稜線を変更可能に構成された2次ブレード42の周辺の他の一例を示す側面図である。
【0128】
この態様において、2次ブレード42は、ねじ421dにより押え板424と押し込み調整板421との間に挟持されて固定されている。このねじ421dは、2次ブレード42を長手方向に沿って複数箇所で固定できるように、複数個設けられている。
【0129】
また、各々のねじ421dの固定位置は、2次ブレード42の短手方向の中心位置において、長手方向に沿って左右対称となるように貫通形成されたねじ穴(不図示)の位置に対応している。これにより、2次ブレード42は、ねじ421dの固定位置を中心にして上下方向にそれぞれ延びるように取り付けられていると共に、2次ブレード42の上下及び表裏のいずれかが変更されても、各々のねじ421dとねじ穴の嵌合によって、2次ブレード42を同一位置に固定することが可能となる。
【0130】
これにより、ねじ421dを外して2次ブレード42を一旦取り外した後、図10に示した態様と同様にして、上下及び表裏の装着の向きを適宜変更して再装着することにより、無端ベルト23に接触する稜線42c〜42fを変更することができるようになっている。これにより上記と同様の効果が得られる。
【0131】
以上のように、使用されるブレードの稜線を変更可能とする構成は、1次ブレード41にも同様に適用できることはもちろんである。
【0132】
次に、無端ベルト23の幅が広幅である場合に特に好ましいブレードの態様について、2次ブレード42を例に挙げて説明する。
【0133】
広幅な無端ベルト23に合わせて2次ブレード42を長尺に形成する場合、1枚板によって形成しようとすると、たわみが生じやすく、無端ベルト23の幅方向の途中に部分的にインクの拭き残りが発生するおそれがある。このような場合、以下に説明するように、短尺の単位ブレードを複数枚並設して1枚の長尺な2次ブレード42を構成することが好ましい。
【0134】
図12は、2次ブレード42を複数枚の短尺の単位ブレード42g〜42iによって構成した一例を示す正面図である。
【0135】
図12において、各単位ブレード42g〜42iは、無端ベルト23の幅方向の長さよりも十分に短く形成されており、この短尺の単位ブレード42g〜42iを複数枚並設させて無端ベルト23の幅方向に対応する長さとなる1枚(1組)の2次ブレード42を構成している。
【0136】
無端ベルト23の幅方向に隣接する単位ブレードは、互いの端部同士が所定量だけ重ね合わされており、無端ベルト23の移動方向から見た場合、この複数枚の短尺の単位ブレード42g〜42iによって構成される2次ブレード42は、その幅方向に亘ってインクの拭き残りを発生させるような隙間が存在しないようになっている。
【0137】
このように、複数枚の短尺の単位ブレード42g〜42iの端部同士を互いに所定量だけ重ね合わせて重なり部OLを形成することにより、広幅の無端ベルト23であっても、その幅方向に亘ってたわみを生じることなく、全幅に亘って均一にインクを掻き取ることができるようになる。
【0138】
この態様においても、2次ブレード42に限らず、1次ブレード41が複数枚の短尺の単位ブレードによって構成されてもよいことはもちろんである。
【0139】
また、1次ブレード41と2次ブレード42の双方が共に複数枚の短尺の単位ブレードよって構成される場合は、1次ブレード41及び2次ブレード42におけるそれぞれの重なり部OLが、無端ベルト23の移動方向から見た場合、同一位置に配置されないように、互いの重なり部OLの位置を幅方向にずらすことが好ましい。
【0140】
以上、主にベルトクリーニング装置4が1次ブレード41と2次ブレード42の2つのブレードを備える態様について説明したが、ベルトクリーニング装置4が備えるブレードの枚数はこれに限定されるものではなく、3枚以上の複数枚を適宜備えることができる。本発明は、複数枚のブレードのうちの少なくとも1枚が以上説明した構成を備えていればよい。
【符号の説明】
【0141】
1:画像記録装置
2:記録媒体搬送装置
21、22:ローラ
23:無端ベルト
3:記録ヘッド
4:クリーニング装置
40:ブラシローラ
41:1次ブレード
411:支持部材
412:固定板
42:2次ブレード
42a、42b:ブレード
42c〜42f:稜線
42g〜42i:単位ブレード
421:押し込み調整板
421c:カム部材
422:支持部材
423:固定板
424:押え板
43:清掃桶
44:設置台
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に載置される記録媒体を搬送する無端ベルトと、
前記無端ベルトの表面に清掃液を付着させて洗浄する清掃液付着手段と、
前記清掃液付着手段による清掃液付着位置よりも無端ベルトの移動方向下流側で前記無端ベルトの表面に接触し、該無端ベルトの表面に付着した清掃液を除去する複数枚のブレードとを有する記録媒体搬送装置であって、
前記複数枚のブレードのうちの少なくとも1枚は、前記無端ベルトに対する押し込み量、接触角度、又は、接触の有無の少なくとも1種を変更可能とされていることを特徴とする記録媒体搬送装置。
【請求項2】
前記複数枚のブレードは、互いに同材質であることを特徴とする請求項1記載の記録媒体搬送装置。
【請求項3】
前記複数枚のブレードは、異なる材質のブレードを含むことを特徴とする請求項1記載の記録媒体搬送装置。
【請求項4】
前記複数枚のブレードは、硬さが異なるブレードを含むことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の記録媒体搬送装置。
【請求項5】
前記複数枚のブレードは、それぞれが独立して前記無端ベルトに対する押し込み量、接触角度、又は、接触の有無の少なくとも1種を変更可能とされていることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の記録媒体搬送装置。
【請求項6】
前記複数枚のブレードのうちの少なくとも2枚以上が互いに重ねられていることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の記録媒体搬送装置。
【請求項7】
前記複数枚のブレードのうち少なくとも1枚は、前記無端ベルトの幅方向に延びる複数の稜線のうち、前記無端ベルトの表面に接触する前記稜線を変更できるように、上下及び表裏の向きが変更可能に設けられていることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の記録媒体搬送装置。
【請求項8】
前記複数枚のブレードのうち少なくとも1枚は、複数枚の短尺の単位ブレードによって構成されていると共に、隣接する前記単位ブレードの端部同士が互いに所定量だけ重ね合わされて前記無端ベルトの幅方向に沿って並設されてなることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の記録媒体搬送装置。
【請求項9】
前記無端ベルトの表面には、前記記録媒体を密着させるための地張り剤が塗布されていることを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載の記録媒体搬送装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の記録媒体搬送装置と、
前記記録媒体搬送装置の前記無端ベルト上に載置された前記記録媒体に向けてインクを吐出することによって画像を記録する記録手段とを備えることを特徴とする画像記録装置。
【請求項1】
表面に載置される記録媒体を搬送する無端ベルトと、
前記無端ベルトの表面に清掃液を付着させて洗浄する清掃液付着手段と、
前記清掃液付着手段による清掃液付着位置よりも無端ベルトの移動方向下流側で前記無端ベルトの表面に接触し、該無端ベルトの表面に付着した清掃液を除去する複数枚のブレードとを有する記録媒体搬送装置であって、
前記複数枚のブレードのうちの少なくとも1枚は、前記無端ベルトに対する押し込み量、接触角度、又は、接触の有無の少なくとも1種を変更可能とされていることを特徴とする記録媒体搬送装置。
【請求項2】
前記複数枚のブレードは、互いに同材質であることを特徴とする請求項1記載の記録媒体搬送装置。
【請求項3】
前記複数枚のブレードは、異なる材質のブレードを含むことを特徴とする請求項1記載の記録媒体搬送装置。
【請求項4】
前記複数枚のブレードは、硬さが異なるブレードを含むことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の記録媒体搬送装置。
【請求項5】
前記複数枚のブレードは、それぞれが独立して前記無端ベルトに対する押し込み量、接触角度、又は、接触の有無の少なくとも1種を変更可能とされていることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の記録媒体搬送装置。
【請求項6】
前記複数枚のブレードのうちの少なくとも2枚以上が互いに重ねられていることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の記録媒体搬送装置。
【請求項7】
前記複数枚のブレードのうち少なくとも1枚は、前記無端ベルトの幅方向に延びる複数の稜線のうち、前記無端ベルトの表面に接触する前記稜線を変更できるように、上下及び表裏の向きが変更可能に設けられていることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の記録媒体搬送装置。
【請求項8】
前記複数枚のブレードのうち少なくとも1枚は、複数枚の短尺の単位ブレードによって構成されていると共に、隣接する前記単位ブレードの端部同士が互いに所定量だけ重ね合わされて前記無端ベルトの幅方向に沿って並設されてなることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の記録媒体搬送装置。
【請求項9】
前記無端ベルトの表面には、前記記録媒体を密着させるための地張り剤が塗布されていることを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載の記録媒体搬送装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の記録媒体搬送装置と、
前記記録媒体搬送装置の前記無端ベルト上に載置された前記記録媒体に向けてインクを吐出することによって画像を記録する記録手段とを備えることを特徴とする画像記録装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−116619(P2012−116619A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−267871(P2010−267871)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(305002394)コニカミノルタIJ株式会社 (317)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(305002394)コニカミノルタIJ株式会社 (317)
【Fターム(参考)】
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