記録媒体搬送装置
【課題】電流リークによる搬送ベルトや記録ヘッドの破損を防ぎ、記録ヘッドから吐出されるインク滴が電界の影響を受けることによる着弾位置のずれを抑えつつも、記録媒体を良好に搬送することが可能な記録媒体搬送装置を提供する。
【解決手段】記録媒体搬送装置は、所定の間隔で配置された複数の電極503を有する搬送ベルト505と、搬送ベルト505の回転に従動して回転して記録媒体504を搬送ベルト505に押し当てて吸着させる吸着ローラ501とを有する。吸着ローラ501の周囲面は弾性体502で構成されている。吸着ローラ501の周囲面と搬送ベルト505との当接部には接触面による吸着エリアが形成される。搬送ベルト505による記録媒体504の搬送方向における吸着エリアの幅は、少なくとも搬送ベルト505の互いに隣接する電極503間の部分が吸着エリアを通過する際には、電極503間の距離よりも広くなるように構成されている。
【解決手段】記録媒体搬送装置は、所定の間隔で配置された複数の電極503を有する搬送ベルト505と、搬送ベルト505の回転に従動して回転して記録媒体504を搬送ベルト505に押し当てて吸着させる吸着ローラ501とを有する。吸着ローラ501の周囲面は弾性体502で構成されている。吸着ローラ501の周囲面と搬送ベルト505との当接部には接触面による吸着エリアが形成される。搬送ベルト505による記録媒体504の搬送方向における吸着エリアの幅は、少なくとも搬送ベルト505の互いに隣接する電極503間の部分が吸着エリアを通過する際には、電極503間の距離よりも広くなるように構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録装置の記録媒体搬送装置に関する。特に、本発明は、記録媒体の幅に対応した記録素子列を備えたフルライン型のインクジェット記録ヘッドを複数有するインクジェット記録装置の記録媒体搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ワードプロセッサ、パーソナルコンピュータ、ファクシミリ等に於ける情報出力装置として、所望される文字や画像等の情報を用紙やフィルム等シート状の記録媒体に記録を行うプリンタ(記録装置)が知られている。プリンタの記録方式としては様々な方式が知られているが、用紙等の記録媒体に非接触記録が可能である、ランニングコストが安い、カラー化が容易である、ノンインパクト方式であるため静粛性に富む、等の理由でインクジェット方式が近年特に注目されている。
【0003】
特に、インクジェット記録装置の中でも、記録幅に対応した記録素子(ノズル)列を備えた記録ヘッドを有し、記録媒体を搬送させつつ記録を行うフルライン型の記録装置は、記録の一層の高速化が可能であることから、広く使用されつつある。このようなフルライン型の記録装置は、それぞれ異なった色のインクを吐出する複数の記録ヘッドを記録媒体の搬送方向に配列して、各記録ヘッドから同時にインクを吐出可能とすることにより、カラー記録の際にも記録速度を低下させないように構成される。
【0004】
このようなインクジェット記録装置の記録ヘッドは、吐出口からインクを液滴として吐出するためにインクに与えるエネルギーを発生するエネルギー発生体と、このエネルギー発生体を内在し、かつ、上述の吐出口に連通するインク流路とを備えている。さらに、このインク流路を通じて上述のエネルギー発生体に供給するインクを収容するインクタンク等のインク収容手段を備えたものもある。
【0005】
記録装置は、記録情報に基づいて用紙やプラスチック薄板等の被記録材に画像(文字や記号等を含む)を記録していくように構成されている。近年、記録装置は、従来のドットマトリックスプリンタに代わって、レーザービームプリンタ(以下、「LBP」と略す。)、インクジェットプリンタ(以下、「IJP」と略す。)、サーマルプリンタなどが実用化されてきた。そして、今日に至っては、高解像度で高品位の階調表現が可能なLBPや、写真画質品位のフルカラー表現が可能なIJPなどが実用化されている。このIJPの記録装置本体の高性能化に伴って、記録装置の記録性能を十分に引き出すために、光沢紙、光沢フィルム、コード紙等の高品位記録媒体、さらには写真画質専用なる媒体も実用化されている。このため、IJPの記録装置本体には多様化する様々な記録用紙に記録を行うことができる性能が求められ、それに伴い、記録速度もLBP並の高速性能が求められるようになっている。
【0006】
そこで、高速IJPでは、フルライン型のインクジェット記録ヘッドを搭載し、従来型のIJPのように記録ヘッドを記録媒体の搬送方向に直交する方向に移動させることなく、記録ヘッドの下方に記録媒体を搬送するだけで記録を行えるように構成されている。これにより、記録ヘッドを記録媒体の搬送方向に直交する方向に移動させる従来のIJPのように記録媒体を断続的に搬送するのではなく、記録媒体を連続して搬送できるため、記録速度の高速化を実現できる。また、インクを吐出するためのノズル数も格段に増加しているため、単位時間あたりの記録面積も増加することから、記録媒体を高速に搬送して十分な記録速度を得ることができる。
【0007】
このような記録装置では、記録媒体を搬送する無端状のベルト部材に導電性の電極を設け、それに電荷を与えて静電気力を発生させ、記録媒体を前記ベルト部材に吸着させて搬送しつつ記録を行う記録媒体搬送装置が一般的に用いられている。以下、従来の記録媒体搬送装置の構成について、図10〜図13を参照して用いて説明する。図10は無端状の搬送ベルト部材の断面図、図11は図10に示した搬送ベルト部材の平面図である。また、図12は図10等に示した搬送ベルト部材に給電を行う給電手段の構成を示す図である。
【0008】
図10及び図11を参照すると、無端状ベルト部材としての搬送ベルト31には、導電金属からなる電極36a,36b、ベース層36c、表層36d、被給電部材36eなどで構成されている吸着力発生手段が一体に設けられている。被給電部材36eと表層36dとは同一平面を形成している。
【0009】
また、図12に示すように、搬送ベルト31に給電を行う給電手段は、給電ブラシ51′、給電電極52′及び支持部材53′を備えている。被給電部材36eには電荷を供給する給電ブラシ51′が接している。この給電ブラシ51′から被給電部材36eへ電荷が供給されると、搬送ベルト31に静電気力が発生する。これにより、搬送ベルト31に常に良好な吸着力を発生させることができる。
【0010】
また、給電ブラシ51′よりも記録媒体の搬送方向下流側には、搬送ベルト31の被給電部材36eに接して除電を行う除電ブラシ(不図示)が設けられている。この除電ブラシで搬送ベルト31を除電して吸着力をなくすことにより、搬送ベルト31からの記録媒体のスムーズな排紙を行うことが可能となる。
【0011】
上述した従来の記録媒体搬送装置は、特許文献1に開示されている。
【特許文献1】特開2003−160253号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、図13に示すように、無端状の搬送ベルトは電極上での静電気による吸着力は強いが、電極間の部分は吸着力が非常に弱い。そのため、図14に示すように、記録媒体が無端状の搬送ベルトに吸着される際に、電極間の吸着力の弱い部分において記録媒体と搬送ベルトとが完全に密着せず、それらの間に空気層が形成されて「浮き」が生じる場合がある。すなわち、電極間の吸着力の弱い部分においては、無端状の搬送ベルトと記録媒体との間に隙間が生じやすく、記録媒体の一部が無端状ベルトから浮いた状態になる。このような状態が発生した場合、無端状の搬送ベルトによって搬送された記録媒体がインクジェット記録ヘッドの直下を通過する時に、記録媒体がインクジェット記録ヘッドの底面に接触する恐れがある。その結果、記録不良を引き起こしたり、記録不良を引き起こしたり、最悪の場合には記録ヘッドを破損したりする恐れもある。
【0013】
このような問題を解決するために、電極に印加する電圧を高くすることが考えられる。しかしながら、電圧を高くすると電流リークが発生しやすくなり、それによって無端状ベルト自体を破損してしまう恐れがある。また、無端状ベルトとインクジェット記録ヘッドとの間に電流リークが発生すると、それによってインクジェット記録ヘッドも破損してしまう恐れがある。
【0014】
また、無端状ベルトの周囲に発生する電解の強さは電極に印加される電圧に比例して強くなるため、インクジェット記録ヘッドから吐出されるインク滴が電界の影響を受けやすくなる。そのため、インクジェット記録ヘッドから吐出されるインク滴が電界の影響を受け、記録媒体上の所定の位置から電界の影響を受けた分だけずれて記録媒体上に着弾し、記録画像の品位が劣化してしまうという問題が生じる。
【0015】
そこで本発明は、電流リークによる搬送ベルトや記録ヘッドの破損を防ぎ、記録ヘッドから吐出されるインク滴が電界の影響を受けることによる着弾位置のずれを抑えつつも、記録媒体を良好に搬送することが可能な記録媒体搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するため、本発明の記録媒体搬送装置は、周回方向に所定の間隔で配置された複数の電極を有し、該電極に発生させた静電気力によって記録媒体を吸着する静電吸着ベルトと、前記静電吸着ベルトに当接する周囲面を有し、前記静電吸着ベルトの回転に従動して回転軸を中心として回転することによって、前記記録媒体を前記静電吸着ベルトに押し当てて吸着させる吸着部材と、を有する記録媒体搬送装置において、前記吸着部材の前記周囲面は弾性体で構成されており、前記吸着部材の前記周囲面と前記静電吸着ベルトとの接触面によって形成される吸着エリアの、前記静電吸着ベルトによる前記記録媒体の搬送方向における幅が、少なくとも前記静電吸着ベルトの互いに隣接する電極間の部分が前記吸着エリアを通過する際には、前記電極間の距離よりも広くなるように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、電流リークによる搬送ベルトや記録ヘッドの破損を防ぎ、記録ヘッドから吐出されるインク滴が電界の影響を受けることによる着弾位置のずれを抑えつつも、記録媒体を良好に搬送することが可能な記録媒体搬送装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0019】
図1に、代表的なインクジェット記録装置の構成図を示す。図1において、記録用紙供給装置は以下の構成になっている。記録用紙である記録媒体101は、給紙カセット100に格納されている。ピックアップローラ102は、記録媒体101を給紙カセット100からピックアップするためのローラである。搬送ローラ302、レジローラ303、排紙ローラ304は、搬送経路上に記録媒体101を搬送するためのローラである。分離装置129は、搬送ベルト102から記録媒体101を分離する機能を有し、裏面排紙トレイ132には、記録がなされた記録媒体101が積載される。
【0020】
搬送ベルト102は、駆動ローラ311、従動ローラ312、ベルトたるみ防止ローラ313によって支持されている。駆動ローラ311にはモータ111が接続されており、モータ111が回転することにより駆動ローラ311が回転し、搬送ベルト102を駆動する。ベルトたるみ防止バネ104は、ベルトたるみ防止ローラ313に圧力を与えて搬送ベルト102に一定の張力が与えられるように構成されている。また、搬送ベルト102には、搬送ベルト102上に高電圧を印加する高圧給電部103が設けられており、静電吸着により記録媒体101を搬送する。
【0021】
ヘッドユニット200は、搬送ベルト102の上側に位置し、6色の記録ヘッドを搭載している。ヘッドユニット200には、図示左側から順に、イエロー用のインクジェット記録ヘッドである第6インクジェットヘッド201、マゼンタ用のインクジェット記録ヘッドである第5インクジェットヘッド202が搭載されている。さらに、シアン用のインクジェット記録ヘッドである第4インクジェットヘッド203、ライトマゼンタ用のインクジェット記録ヘッドである第3インクジェットヘッド204が搭載されている。さらに、ライトシアン用のインクジェット記録ヘッドである第2インクジェットヘッド205、ブラック用のインクジェット記録ヘッドである第1インクジェットヘッド206が搭載されている。各インクジェット記録ヘッド201〜206にはノズル部210が設けられており、ノズル部210は非記録時にはキャップユニット220a,220bによりキャッピングされている。キャップユニット220a,220bは、左右方向230a,230bに開閉可能である。また、ヘッドユニット200は、キャップユニット220a,220bの開閉に伴い、矢印240に示す上下方向に移動することが可能である。
【0022】
両面反転機構150は、反転前ローラ305、反転ローラ306、反転後ローラ307、両面ローラ308、パス切換器350を含む反転機構を有している。両面反転機構150は、搬送ベルト102上で記録された記録媒体101の表裏を反転し、記録媒体101を再度搬送ベルト102上へ送る機能を有する。
【0023】
次に、上記のインクジェット記録装置の動作について説明する。
【0024】
記録動作を開始するにあたり、ヘッドユニット200は一旦上昇し、キャップユニット220a,220bを左右に移動することにより、ノズル部210のキャッピングを解除し、その後、ヘッドユニット200を記録可能位置まで下降させる。図2はヘッドユニット200が記録可能位置まで下降した状態を示している。搬送ベルト102に駆動モータ111から搬送駆動エネルギーが与えられると、搬送ベルト102は回転を開始する。搬送ローラ302、レジローラ303、排紙ローラ304の搬送駆動エネルギーは、図示しない他のモータにより与えられ、回転を開始する。
【0025】
給紙カセット100からピックアップローラ102によりピックアップされた記録媒体101は、搬送ローラ302、レジローラ303を介して記録領域である搬送ベルト102上に搬送される。この時、搬送ベルト102は高圧給電部103により帯電状態になっているので、記録媒体101は搬送ベルト102に静電吸着される。記録媒体101は、インクジェット記録ヘッド201〜206の下を通過する際にインクジェット記録ヘッド201〜206から吐出されるインクにより記録が行われる。インクジェット記録ヘッド201〜206の下を通過した記録媒体101は、分離装置129により搬送ベルト102から分離され、排紙ローラ304を通過した後、裏面排紙トレイ132へ排出される。
【0026】
図3は、図1及び図2に示した搬送ベルトの平面図である。図3は、搬送ベルト102上にある記録媒体101a,101bがインクジェット記録ヘッド201〜206の下を矢印の搬送方向に向かって搬送される様子を表している。
【0027】
次に両面印刷時の動作について説明する。
【0028】
インクジェット記録ヘッド201〜206から吐出されるインクによって記録が行われ、インクジェット記録ヘッド201〜206の下を通過した記録媒体101は、分離装置129を介し、両面反転機構150へ搬送される。両面反転機構150では、記録媒体101は反転前ローラ305を通って反転ローラ306へ搬送される。記録媒体101の後端が反転前ローラ305を通過すると、記録媒体101の搬送を一旦停止する。パス切換器350により、搬送経路が反転ローラ307へ向うように切り換える。次に、反転ローラ306を停止前の逆方向に回転させ、記録媒体101の搬送を再開する。この動作によって記録媒体101の表裏反転が行われる。
【0029】
記録媒体101は、両面ローラ308に搬送された後に一旦停止する。この後の搬送再開のタイミングは、前方の記録媒体101との間隔により決定され、所定時間の待機後に搬送を再開する。搬送を再開した記録媒体101は、搬送ローラ302、レジローラ303を通過した後、再度搬送ベルト102上に搬送される。そして、裏面の記録が行われた後、記録媒体101は、分離装置129によって搬送ベルト102から分離され、排紙ローラ304を通過した後、裏面排紙トレイ132へ排出される。
【実施例】
【0030】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例について詳細に説明する。
【0031】
なお、以下に説明する実施例では、インクジェット記録方式を用いた記録装置としてプリンタを例に挙げて説明する。
【0032】
本明細書において、「記録」とは、文字、図形等有意の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わず、また人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かを問わず、広く記録媒体上に画像、模様、パターン等を形成することを表すものとする。または媒体の加工を行う場合も表すものとする。
【0033】
また、「記録媒体」とは、一般的な記録装置で用いられる紙のみならず、広く、布、プラスチック・フィルム、金属板、ガラス、セラミックス、木材、皮革等、インクを受容可能なものも表すものとする。
【0034】
さらに、「インク」とは、上記「記録」の定義と同様広く解釈されるべきもので、記録媒体上に付与されることによって、画像、模様、パターン等の形成または記録媒体の加工、或いはインクの処理に供され得る液体を表すものとする。ここで、インクの処理とは、例えば記録媒体に付与されるインク中の色剤の凝固または不溶化を意味する。
【0035】
(第1の実施例)
本発明に係る第1の実施例について説明する。
【0036】
図4は、本発明の第1の実施例における搬送ベルトの一部と吸着ローラを拡大して示す図である。
【0037】
本実施例の記録媒体搬送装置は、搬送ベルト505の表面に対向する位置に吸着ローラ501が配設されている。吸着ローラ501は搬送ベルト505の幅方向に延びている。吸着ローラ501は、搬送ベルト505によって搬送される記録媒体の全幅にわたって記録媒体に当接する長さを有していることが好ましい。
【0038】
吸着ローラ501の周囲面は弾性体502によって構成されている。弾性体502の材質には、シリコンゴム、スポンジ、硬質ゴムなど、圧力が加わると変形し、圧力を加えるのをやめると元の形状に戻る性質を有する材質が用いられている。
【0039】
搬送ベルト505には、記録媒体の搬送方向である搬送ベルト505の周回方向に沿って複数の電極503が等間隔に設けられている。これらの電極503に高圧給電部103(図1〜図3参照)から高電圧を印加すると、搬送ベルト505が帯電して静電吸着力を発生し、記録媒体504を吸着するようになる。このように、搬送ベルト505は、電極503に発生させた静電気力によって記録媒体504を吸着する静電吸着ベルトとして機能する。
【0040】
吸着部材としての吸着ローラ501は、搬送ベルト505の表面に向けて加圧部材(不図示)によって押圧されている。これにより、吸着ローラ501の周囲面を形成する弾性体502と搬送ベルト505との間に接触面が形成されている。加圧部材による押圧力は、この接触面の記録媒体504の搬送方向における幅が、電極503間の距離よりも広くなるように設定されている。あるいは、加圧部材を備えるのではなく、接触面の記録媒体504の搬送方向における幅が電極503間の距離よりも広くなるように、搬送ベルト505からの吸着ローラ501の中心回転軸の距離が設定されていてもよい。
【0041】
なお、本実施例の記録媒体搬送装置のその他の構成は図1〜図3を参照して説明した通りであるので、ここではその説明は省略する。
【0042】
次に、図4及び図5を参照して、本実施例の記録媒体搬送装置の動作について説明する。図5(a)〜図5(c)は、図4に示す構成において、記録媒体が吸着ローラによって搬送ベルトに押圧された状態で搬送される様子を表す図である。
【0043】
吸着ローラ501は、搬送ベルト505の回転に合わせて記録媒体504を搬送する方向に回転する。このとき、加圧部材(不図示)による押圧によって、吸着ローラ501の周囲面を構成する弾性体502と搬送ベルト505との間に接触面が形成される。接触面は、記録媒体504を搬送ベルト505に静電吸着させる吸着エリアである。吸着ローラ501は、この吸着エリアの搬送方向の幅が隣接する電極503間の距離よりも常に長くなるように、搬送ベルト505に押圧されている。
【0044】
図5(a)に示すように、吸着ローラ501と搬送ベルト505との間の吸着エリアに記録媒体504が搬送されてくると、記録媒体504は吸着ローラ501によって搬送ベルト505の上に押し付けられる。これにより、記録媒体504の先端が、搬送ベルト505から浮き上がることなく、吸着ローラ501の直下の吸着エリアにおいて搬送ベルト505の電極503上に静電吸着される。
【0045】
そして、記録媒体504は搬送ベルト505に静電吸着されたまま搬送され、図5(b)に示すように、やがて記録媒体504の先端は吸着エリアを通過する。搬送ベルト505の電極503には高電圧を印加されて静電気力が働いているため、吸着エリアを通過した記録媒体504の先端は搬送ベルト505に対する静電吸着力を保ったまま搬送される。
【0046】
また、搬送ベルト505の電極503間の部分が、吸着ローラ501の直下の吸着エリアを通過する。上記のように、吸着エリアの搬送方向の幅は電極503間の距離よりも長い。そのため、吸着ローラ501の直下の吸着エリアでは、記録媒体504の搬送方向前方の部分を電極503によって静電吸着するとともに、搬送方向後方の部分も電極503によって静電吸着することが可能である。すなわち、記録媒体504の搬送方向前方の部分を静電吸着力の強い電極503によって静電吸着を行うことで、記録媒体504が搬送ベルト505に確実に静電吸着される。その一方で、静電吸着力の弱いエリアである電極503間の部分では、吸着ローラ501の押し当てによって記録媒体504が搬送ベルト505から浮き上がらないようにされている。そして、記録媒体504の搬送方向後方の部分も静電吸着力の強い電極503によって静電吸着を行うことで、記録媒体504が搬送ベルト505に確実に静電吸着される。
【0047】
このように、吸着エリアでは、搬送ベルト505によって搬送されてくる記録媒体504に対し、静電吸着力の強い電極503による静電吸着と、吸着ローラ501による押し当てとが交互に繰り返される。そして、これらの動作が交互に繰り返されることによって、記録媒体504が搬送ベルト505から浮き上がることなく、記録媒体504を搬送ベルト505に密着させた状態で良好に搬送することができる。
【0048】
このように、本実施例では吸着ローラ501によって記録媒体504を搬送ベルト505に押し付けることで、記録媒体504が搬送ベルト505から浮き上がることを抑えている。そのため、搬送ベルト505の静電吸引力を高めるために電極503に印加する電圧を高くすることがない。したがって、従来技術のように、電流リークによる搬送ベルトや記録ヘッドの破損が生じたり、記録ヘッドから吐出されるインク滴が電界の影響を受けることを抑えたりすることができる。
【0049】
(第2の実施例)
本発明に係る第2の実施例について説明する。
【0050】
図6は、本発明の第2の実施例における搬送ベルトの一部と吸着ローラを拡大して示す図である。
【0051】
本実施例の記録媒体搬送装置も、搬送ベルト505の表面に対向する位置に吸着ローラ501が配設されている。吸着ローラ501は搬送ベルト505の幅方向に延びている。吸着ローラ501は、搬送ベルト505によって搬送される記録媒体の全幅にわたって記録媒体に当接する長さを有していることが好ましい。
【0052】
吸着ローラ501の周囲面は、断面が楕円形状の弾性体502によって構成されている。弾性体502の材質には、シリコンゴム、スポンジ、硬質ゴムなど、圧力が加わると変形し、圧力を加えるのをやめると元の形状に戻る性質を有する材質が用いられている。また、搬送ベルト505には、記録媒体の搬送方向である搬送ベルト505の周回方向に沿って複数の電極503が等間隔に設けられている。これらの電極503に高圧給電部103(図1〜図3参照)から高電圧を印加すると、搬送ベルト505が帯電して静電吸着力を発生し、記録媒体504を吸着するようになる。このように、搬送ベルト505は、電極503に発生させた静電気力によって記録媒体504を吸着する静電吸着ベルトとして機能する。
【0053】
搬送ベルト505の表面からの吸着ローラ501の中心回転軸の位置は固定されており、吸着ローラ501の周囲面の弾性体502の断面は楕円形状である。そのため、吸着ローラ501の弾性体502と搬送ベルト505との間に形成される接触面の搬送方向における幅は、吸着ローラ501の回転角度によって変わる。すなわち、吸着ローラ501の断面で見ると、断面が楕円形状の弾性体502の長辺に相当する面が搬送ベルト505に接触している場合には接触面の幅が狭くなり、短辺に相当する面が搬送ベルト505に接触している場合には接触面の幅が広くなる。これは、搬送ベルト505からの吸着ローラ501の中心回転軸の距離が一定であるため、弾性体502の長辺方向の面が搬送ベルト505に接触している場合の方が、短辺方向の面が接触している場合に比べて、弾性体502の押し付け量が少なくなることによる。
【0054】
なお、図6に示すように、弾性体502のサイズ、楕円率、及び搬送ベルト505からの吸着ローラ501の中心回転軸の距離は、以下のように設定されている。すなわち、接触面が最も広くなる場合である、弾性体502の短辺方向が搬送ベルト505と接触した場合の吸着エリア(接触面)の搬送方向の長さが、電極503間の距離よりも長くなるように設定されている。
【0055】
次に、図7を参照して、本実施例の記録媒体搬送装置の動作について説明する。図7(a)〜図7(c)は、図6に示す構成において、記録媒体が吸着ローラによって搬送ベルトに押圧された状態で搬送される様子を表す図である。
【0056】
吸着ローラ501は、搬送ベルト505の回転に合わせて記録媒体504を搬送する方向に回転する。このとき、吸着ローラ501は搬送ベルト505に対して押圧された状態となっており、吸着ローラ501の周囲面を構成する弾性体502と搬送ベルト505との間に接触面が形成される。接触面は、記録媒体504を搬送ベルト505に静電吸着させる吸着エリアである。弾性体502の周囲は断面が楕円形状に形成されているため、接触面の面積は記録媒体504の搬送中に吸着ローラ501の回転に伴って変化する。接触面である吸着エリアの面積が最大となるのは、図7(b)に示すように吸着ローラ501の中心回転軸が電極503間の中心に位置する時である。また、接触面である吸着エリアの面積が最小となるのは、図7(a)に示すように電極503の中心に吸着ローラ501の中心回転軸が位置する時である。
【0057】
図7(a)に示すように、吸着ローラ501と搬送ベルト505との間の吸着エリアに記録媒体504が搬送されてくると、記録媒体504は吸着ローラ501によって搬送ベルト505の上に押し付けられる。これにより、記録媒体504の先端が、搬送ベルト505から浮き上がることなく、吸着ローラ501の直下の吸着エリアにおいて搬送ベルト505の電極503上に静電吸着される。
【0058】
そして、記録媒体504は搬送ベルト505に静電吸着されたまま搬送され、図7(b)に示すように、やがて記録媒体504の先端は吸着エリアを通過する。搬送ベルト505の電極503には高電圧を印加されて静電気力が働いているため、吸着エリアを通過した記録媒体504の先端は搬送ベルト505に対する静電吸着力を保ったまま搬送される。
【0059】
また、搬送ベルト505の電極503間の部分が、吸着ローラ501の直下の吸着エリアを通過する。上記のように、吸着エリアの搬送方向の幅は電極503間の距離よりも長い。そのため、吸着ローラ501の直下の吸着エリアでは、記録媒体504の搬送方向前方の部分を電極503によって静電吸着するとともに、搬送方向後方の部分も電極503によって静電吸着することが可能である。すなわち、記録媒体504の搬送方向前方の部分を静電吸着力の強い電極503によって静電吸着を行うことで、記録媒体504が搬送ベルト505に確実に静電吸着される。その一方で、静電吸着力の弱いエリアである電極503間の部分では、吸着ローラ501の押し当てによって記録媒体504が搬送ベルト505から浮き上がらないようにされている。そして、記録媒体504の搬送方向後方の部分も静電吸着力の強い電極503によって静電吸着を行うことで、記録媒体504が搬送ベルト505に確実に静電吸着される。
【0060】
このように、吸着エリアでは、搬送ベルト505によって搬送されてくる記録媒体504に対し、静電吸着力の強い電極503による静電吸着と、吸着ローラ501による押し当てとが交互に繰り返される。そして、これらの動作が交互に繰り返されることによって、記録媒体504が搬送ベルト505から浮き上がることなく、記録媒体504を搬送ベルト505に密着させた状態で良好に搬送することができる。
【0061】
上述したように、本実施例では吸着ローラ501によって記録媒体504を搬送ベルト505に押し付けることで、記録媒体504が搬送ベルト505から浮き上がることを抑えている。そのため、搬送ベルト505の静電吸引力を高めるために電極503に印加する電圧を高くすることがない。したがって、従来技術のように、電流リークによる搬送ベルトや記録ヘッドの破損が生じたり、記録ヘッドから吐出されるインク滴が電界の影響を受けることを抑えたりすることができる。
【0062】
なお、搬送ベルト505の電極503が吸着エリアを通過する際には、電極503による静電吸着力が強く発揮されるため、吸着ローラ501による押し付け力をさほど必要としない。そのため本実施例では、図7(a)に示すように、接触面である吸着エリアの面積が最小となるように構成されている。一方、搬送ベルト505の電極503間の部分が吸着エリアを通過する際には、電極503による静電吸着力の影響が弱くなるため、吸着ローラ501による押し付け力を大きくする必要がある。そのため、図7(b)に示すように、接触面である吸着エリアの面積が最大となるように構成されている。
【0063】
(第3の実施例)
本発明に係る第3の実施例について説明する。
【0064】
図8は、本発明の第3の実施例における搬送ベルトの一部と吸着ローラを拡大して示す図である。
【0065】
本実施例の記録媒体搬送装置も、搬送ベルト505の表面に対向する位置に吸着ローラ501が配設されている。吸着ローラ501は搬送ベルト505の幅方向に延びている。吸着ローラ501は、搬送ベルト505によって搬送される記録媒体の全幅にわたって記録媒体に当接する長さを有していることが好ましい。
【0066】
吸着ローラ501の周囲は、断面が正多角形(本例では正六角形)の形状の弾性体502によって構成されている。弾性体502の材質には、シリコンゴム、スポンジ、硬質ゴムなど、圧力が加わると変形し、圧力を加えるのをやめると元の形状に戻る性質を有する材質が用いられている。また、搬送ベルト505には、記録媒体の搬送方向である搬送ベルト505の周回方向に沿って複数の電極503が等間隔に設けられている。これらの電極503に高圧給電部103(図1〜図3参照)から高電圧を印加すると、搬送ベルト505が帯電して静電吸着力を発生し、記録媒体504を吸着するようになる。このように、搬送ベルト505は、電極503に発生させた静電気力によって記録媒体504を吸着する静電吸着ベルトとして機能する。
【0067】
断面形状が正多角形の弾性体502の一辺の長さは、搬送ベルト505の電極503間の距離よりも長く構成されている。また、図8に示すように、弾性体502の一辺が搬送ベルト505と平行に配置されている時、多角形の一辺の長さの中心と電極503間の中心とが一致するように、吸着ローラ501が搬送ベルト505に対して配置されている。もしくは、搬送ベルト505の電極503間の部分が弾性体502の一辺の長さ領域内に位置するように配置されている。
【0068】
次に、図9を参照して、本実施例の記録媒体搬送装置の動作について説明する。図9(a)〜図9(c)は、記録媒体が吸着ローラによって搬送ベルトに押圧された状態で搬送される様子を表す図である。
【0069】
吸着ローラ501は、搬送ベルト505の回転に合わせて記録媒体504を搬送する方向に回転する。このとき、吸着ローラ501は搬送ベルト505に対して押圧された状態となっており、吸着ローラ501の周囲面を構成する弾性体502と搬送ベルト505との間に接触面が形成される。接触面は、記録媒体504を搬送ベルト505に静電吸着させる吸着エリアである。弾性体502の周囲面は正多角形に形成されているため、接触面の面積は記録媒体504の搬送中に吸着ローラ501の回転に伴って変化する。接触面である吸着エリアの面積が最小となるのは、図9(a)に示すように、電極503の中心に吸着ローラ501の中心回転軸が位置する時である。このとき、正多角形の弾性体502の周囲面の角部分が、搬送ベルト505の電極503に当接する。また、接触面である吸着エリアの面積が最大となるのは、図9(b)に示すように吸着ローラ501の中心回転軸が電極503間の中心に位置する時である。このとき、正多角形の弾性体502の周囲面の辺部分が、搬送ベルト505の電極503間の部分に当接する。
【0070】
図9(a)に示すように、吸着ローラ501と搬送ベルト505との間の吸着エリアに記録媒体504が搬送されてくると、記録媒体504は吸着ローラ501によって搬送ベルト505の上に押し付けられる。これにより、記録媒体504の先端が、搬送ベルト505から浮き上がることなく、吸着ローラ501の直下の吸着エリアにおいて搬送ベルト505の電極503上に静電吸着される。
【0071】
そして、記録媒体504は搬送ベルト505に静電吸着されたまま搬送され、図9(b)に示すように、やがて記録媒体504の先端は吸着エリアを通過する。搬送ベルト505の電極503には高電圧を印加されて静電気力が働いているため、吸着エリアを通過した記録媒体504の先端は搬送ベルト505に対する静電吸着力を保ったまま搬送される。
【0072】
また、搬送ベルト505の電極503間の部分が、吸着ローラ501の直下の吸着エリアを通過する。上記のように、吸着エリアの搬送方向の幅は電極503間の距離よりも長い。そのため、吸着ローラ501の直下の吸着エリアでは、記録媒体504の搬送方向前方の部分を電極503によって静電吸着するとともに、搬送方向後方の部分も電極503によって静電吸着することが可能である。すなわち、記録媒体504の搬送方向前方の部分を静電吸着力の強い電極503によって静電吸着を行うことで、記録媒体504が搬送ベルト505に確実に静電吸着される。その一方で、静電吸着力の弱いエリアである電極503間の部分では、吸着ローラ501の押し当てによって記録媒体504が搬送ベルト505から浮き上がらないようにされている。そして、記録媒体504の搬送方向後方の部分も静電吸着力の強い電極503によって静電吸着を行うことで、記録媒体504が搬送ベルト505に確実に静電吸着される。
【0073】
このように、吸着エリアでは、搬送ベルト505によって搬送されてくる記録媒体504に対し、静電吸着力の強い電極503による静電吸着と、吸着ローラ501による押し当てとが交互に繰り返される。そして、これらの動作が交互に繰り返されることによって、記録媒体504が搬送ベルト505から浮き上がることなく、記録媒体504を搬送ベルト505に密着させた状態で良好に搬送することができる。
【0074】
上述したように、本実施例では吸着ローラ501によって記録媒体504を搬送ベルト505に押し付けることで、記録媒体504が搬送ベルト505から浮き上がることを抑えている。そのため、搬送ベルト505の静電吸引力を高めるために電極503に印加する電圧を高くすることがない。したがって、従来技術のように、電流リークによる搬送ベルトや記録ヘッドの破損が生じたり、記録ヘッドから吐出されるインク滴が電界の影響を受けることを抑えたりすることができる。
【0075】
なお、搬送ベルト505の電極503が吸着エリアを通過する際には、電極503による静電吸着力が強く発揮されるため、吸着ローラ501による押し付け力をさほど必要としない。そのため本実施例では、図9(a)に示すように、接触面である吸着エリアの面積が最小となるように構成されている。一方、搬送ベルト505の電極503間の部分が吸着エリアを通過する際には、電極503による静電吸着力の影響が弱くなるため、吸着ローラ501による押し付け力を大きくする必要がある。そのため、図9(b)に示すように、接触面である吸着エリアの面積が最大となるように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の実施形態に係る代表的なインクジェット記録装置の構成図を示す。
【図2】図1に示したヘッドユニットが記録可能位置まで下降した状態を示す図である。
【図3】図1及び図2に示した搬送ベルトの平面図である。
【図4】本発明の第1の実施例における搬送ベルトの一部と吸着ローラを拡大して示す図である。
【図5】図4に示す構成において、記録媒体が吸着ローラによって搬送ベルトに押圧された状態で搬送される様子を表す図である。
【図6】本発明の第2の実施例における搬送ベルトの一部と吸着ローラを拡大して示す図である。
【図7】図6に示す構成において、記録媒体が吸着ローラによって搬送ベルトに押圧された状態で搬送される様子を表す図である。
【図8】本発明の第3の実施例における搬送ベルトの一部と吸着ローラを拡大して示す図である。
【図9】図8に示す構成において、記録媒体が吸着ローラによって搬送ベルトに押圧された状態で搬送される様子を表す図である。
【図10】無端状の搬送ベルト部材の断面図である。
【図11】図10に示した搬送ベルト部材の平面図である。
【図12】図10等に示した搬送ベルト部材に給電を行う給電手段の構成を示す図である。
【図13】無端状の搬送ベルト上に生じる静電吸着力の強弱分布を示す図である。
【図14】電極間の吸着力の弱い部分において無端状の搬送ベルトと記録媒体との間に隙間が生じ、記録媒体の一部が無端状ベルトから浮いた状態を示す図である。
【符号の説明】
【0077】
501 吸着ローラ
502 弾性体
503 電極
504 記録媒体
505 搬送ベルト
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録装置の記録媒体搬送装置に関する。特に、本発明は、記録媒体の幅に対応した記録素子列を備えたフルライン型のインクジェット記録ヘッドを複数有するインクジェット記録装置の記録媒体搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ワードプロセッサ、パーソナルコンピュータ、ファクシミリ等に於ける情報出力装置として、所望される文字や画像等の情報を用紙やフィルム等シート状の記録媒体に記録を行うプリンタ(記録装置)が知られている。プリンタの記録方式としては様々な方式が知られているが、用紙等の記録媒体に非接触記録が可能である、ランニングコストが安い、カラー化が容易である、ノンインパクト方式であるため静粛性に富む、等の理由でインクジェット方式が近年特に注目されている。
【0003】
特に、インクジェット記録装置の中でも、記録幅に対応した記録素子(ノズル)列を備えた記録ヘッドを有し、記録媒体を搬送させつつ記録を行うフルライン型の記録装置は、記録の一層の高速化が可能であることから、広く使用されつつある。このようなフルライン型の記録装置は、それぞれ異なった色のインクを吐出する複数の記録ヘッドを記録媒体の搬送方向に配列して、各記録ヘッドから同時にインクを吐出可能とすることにより、カラー記録の際にも記録速度を低下させないように構成される。
【0004】
このようなインクジェット記録装置の記録ヘッドは、吐出口からインクを液滴として吐出するためにインクに与えるエネルギーを発生するエネルギー発生体と、このエネルギー発生体を内在し、かつ、上述の吐出口に連通するインク流路とを備えている。さらに、このインク流路を通じて上述のエネルギー発生体に供給するインクを収容するインクタンク等のインク収容手段を備えたものもある。
【0005】
記録装置は、記録情報に基づいて用紙やプラスチック薄板等の被記録材に画像(文字や記号等を含む)を記録していくように構成されている。近年、記録装置は、従来のドットマトリックスプリンタに代わって、レーザービームプリンタ(以下、「LBP」と略す。)、インクジェットプリンタ(以下、「IJP」と略す。)、サーマルプリンタなどが実用化されてきた。そして、今日に至っては、高解像度で高品位の階調表現が可能なLBPや、写真画質品位のフルカラー表現が可能なIJPなどが実用化されている。このIJPの記録装置本体の高性能化に伴って、記録装置の記録性能を十分に引き出すために、光沢紙、光沢フィルム、コード紙等の高品位記録媒体、さらには写真画質専用なる媒体も実用化されている。このため、IJPの記録装置本体には多様化する様々な記録用紙に記録を行うことができる性能が求められ、それに伴い、記録速度もLBP並の高速性能が求められるようになっている。
【0006】
そこで、高速IJPでは、フルライン型のインクジェット記録ヘッドを搭載し、従来型のIJPのように記録ヘッドを記録媒体の搬送方向に直交する方向に移動させることなく、記録ヘッドの下方に記録媒体を搬送するだけで記録を行えるように構成されている。これにより、記録ヘッドを記録媒体の搬送方向に直交する方向に移動させる従来のIJPのように記録媒体を断続的に搬送するのではなく、記録媒体を連続して搬送できるため、記録速度の高速化を実現できる。また、インクを吐出するためのノズル数も格段に増加しているため、単位時間あたりの記録面積も増加することから、記録媒体を高速に搬送して十分な記録速度を得ることができる。
【0007】
このような記録装置では、記録媒体を搬送する無端状のベルト部材に導電性の電極を設け、それに電荷を与えて静電気力を発生させ、記録媒体を前記ベルト部材に吸着させて搬送しつつ記録を行う記録媒体搬送装置が一般的に用いられている。以下、従来の記録媒体搬送装置の構成について、図10〜図13を参照して用いて説明する。図10は無端状の搬送ベルト部材の断面図、図11は図10に示した搬送ベルト部材の平面図である。また、図12は図10等に示した搬送ベルト部材に給電を行う給電手段の構成を示す図である。
【0008】
図10及び図11を参照すると、無端状ベルト部材としての搬送ベルト31には、導電金属からなる電極36a,36b、ベース層36c、表層36d、被給電部材36eなどで構成されている吸着力発生手段が一体に設けられている。被給電部材36eと表層36dとは同一平面を形成している。
【0009】
また、図12に示すように、搬送ベルト31に給電を行う給電手段は、給電ブラシ51′、給電電極52′及び支持部材53′を備えている。被給電部材36eには電荷を供給する給電ブラシ51′が接している。この給電ブラシ51′から被給電部材36eへ電荷が供給されると、搬送ベルト31に静電気力が発生する。これにより、搬送ベルト31に常に良好な吸着力を発生させることができる。
【0010】
また、給電ブラシ51′よりも記録媒体の搬送方向下流側には、搬送ベルト31の被給電部材36eに接して除電を行う除電ブラシ(不図示)が設けられている。この除電ブラシで搬送ベルト31を除電して吸着力をなくすことにより、搬送ベルト31からの記録媒体のスムーズな排紙を行うことが可能となる。
【0011】
上述した従来の記録媒体搬送装置は、特許文献1に開示されている。
【特許文献1】特開2003−160253号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、図13に示すように、無端状の搬送ベルトは電極上での静電気による吸着力は強いが、電極間の部分は吸着力が非常に弱い。そのため、図14に示すように、記録媒体が無端状の搬送ベルトに吸着される際に、電極間の吸着力の弱い部分において記録媒体と搬送ベルトとが完全に密着せず、それらの間に空気層が形成されて「浮き」が生じる場合がある。すなわち、電極間の吸着力の弱い部分においては、無端状の搬送ベルトと記録媒体との間に隙間が生じやすく、記録媒体の一部が無端状ベルトから浮いた状態になる。このような状態が発生した場合、無端状の搬送ベルトによって搬送された記録媒体がインクジェット記録ヘッドの直下を通過する時に、記録媒体がインクジェット記録ヘッドの底面に接触する恐れがある。その結果、記録不良を引き起こしたり、記録不良を引き起こしたり、最悪の場合には記録ヘッドを破損したりする恐れもある。
【0013】
このような問題を解決するために、電極に印加する電圧を高くすることが考えられる。しかしながら、電圧を高くすると電流リークが発生しやすくなり、それによって無端状ベルト自体を破損してしまう恐れがある。また、無端状ベルトとインクジェット記録ヘッドとの間に電流リークが発生すると、それによってインクジェット記録ヘッドも破損してしまう恐れがある。
【0014】
また、無端状ベルトの周囲に発生する電解の強さは電極に印加される電圧に比例して強くなるため、インクジェット記録ヘッドから吐出されるインク滴が電界の影響を受けやすくなる。そのため、インクジェット記録ヘッドから吐出されるインク滴が電界の影響を受け、記録媒体上の所定の位置から電界の影響を受けた分だけずれて記録媒体上に着弾し、記録画像の品位が劣化してしまうという問題が生じる。
【0015】
そこで本発明は、電流リークによる搬送ベルトや記録ヘッドの破損を防ぎ、記録ヘッドから吐出されるインク滴が電界の影響を受けることによる着弾位置のずれを抑えつつも、記録媒体を良好に搬送することが可能な記録媒体搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するため、本発明の記録媒体搬送装置は、周回方向に所定の間隔で配置された複数の電極を有し、該電極に発生させた静電気力によって記録媒体を吸着する静電吸着ベルトと、前記静電吸着ベルトに当接する周囲面を有し、前記静電吸着ベルトの回転に従動して回転軸を中心として回転することによって、前記記録媒体を前記静電吸着ベルトに押し当てて吸着させる吸着部材と、を有する記録媒体搬送装置において、前記吸着部材の前記周囲面は弾性体で構成されており、前記吸着部材の前記周囲面と前記静電吸着ベルトとの接触面によって形成される吸着エリアの、前記静電吸着ベルトによる前記記録媒体の搬送方向における幅が、少なくとも前記静電吸着ベルトの互いに隣接する電極間の部分が前記吸着エリアを通過する際には、前記電極間の距離よりも広くなるように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、電流リークによる搬送ベルトや記録ヘッドの破損を防ぎ、記録ヘッドから吐出されるインク滴が電界の影響を受けることによる着弾位置のずれを抑えつつも、記録媒体を良好に搬送することが可能な記録媒体搬送装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0019】
図1に、代表的なインクジェット記録装置の構成図を示す。図1において、記録用紙供給装置は以下の構成になっている。記録用紙である記録媒体101は、給紙カセット100に格納されている。ピックアップローラ102は、記録媒体101を給紙カセット100からピックアップするためのローラである。搬送ローラ302、レジローラ303、排紙ローラ304は、搬送経路上に記録媒体101を搬送するためのローラである。分離装置129は、搬送ベルト102から記録媒体101を分離する機能を有し、裏面排紙トレイ132には、記録がなされた記録媒体101が積載される。
【0020】
搬送ベルト102は、駆動ローラ311、従動ローラ312、ベルトたるみ防止ローラ313によって支持されている。駆動ローラ311にはモータ111が接続されており、モータ111が回転することにより駆動ローラ311が回転し、搬送ベルト102を駆動する。ベルトたるみ防止バネ104は、ベルトたるみ防止ローラ313に圧力を与えて搬送ベルト102に一定の張力が与えられるように構成されている。また、搬送ベルト102には、搬送ベルト102上に高電圧を印加する高圧給電部103が設けられており、静電吸着により記録媒体101を搬送する。
【0021】
ヘッドユニット200は、搬送ベルト102の上側に位置し、6色の記録ヘッドを搭載している。ヘッドユニット200には、図示左側から順に、イエロー用のインクジェット記録ヘッドである第6インクジェットヘッド201、マゼンタ用のインクジェット記録ヘッドである第5インクジェットヘッド202が搭載されている。さらに、シアン用のインクジェット記録ヘッドである第4インクジェットヘッド203、ライトマゼンタ用のインクジェット記録ヘッドである第3インクジェットヘッド204が搭載されている。さらに、ライトシアン用のインクジェット記録ヘッドである第2インクジェットヘッド205、ブラック用のインクジェット記録ヘッドである第1インクジェットヘッド206が搭載されている。各インクジェット記録ヘッド201〜206にはノズル部210が設けられており、ノズル部210は非記録時にはキャップユニット220a,220bによりキャッピングされている。キャップユニット220a,220bは、左右方向230a,230bに開閉可能である。また、ヘッドユニット200は、キャップユニット220a,220bの開閉に伴い、矢印240に示す上下方向に移動することが可能である。
【0022】
両面反転機構150は、反転前ローラ305、反転ローラ306、反転後ローラ307、両面ローラ308、パス切換器350を含む反転機構を有している。両面反転機構150は、搬送ベルト102上で記録された記録媒体101の表裏を反転し、記録媒体101を再度搬送ベルト102上へ送る機能を有する。
【0023】
次に、上記のインクジェット記録装置の動作について説明する。
【0024】
記録動作を開始するにあたり、ヘッドユニット200は一旦上昇し、キャップユニット220a,220bを左右に移動することにより、ノズル部210のキャッピングを解除し、その後、ヘッドユニット200を記録可能位置まで下降させる。図2はヘッドユニット200が記録可能位置まで下降した状態を示している。搬送ベルト102に駆動モータ111から搬送駆動エネルギーが与えられると、搬送ベルト102は回転を開始する。搬送ローラ302、レジローラ303、排紙ローラ304の搬送駆動エネルギーは、図示しない他のモータにより与えられ、回転を開始する。
【0025】
給紙カセット100からピックアップローラ102によりピックアップされた記録媒体101は、搬送ローラ302、レジローラ303を介して記録領域である搬送ベルト102上に搬送される。この時、搬送ベルト102は高圧給電部103により帯電状態になっているので、記録媒体101は搬送ベルト102に静電吸着される。記録媒体101は、インクジェット記録ヘッド201〜206の下を通過する際にインクジェット記録ヘッド201〜206から吐出されるインクにより記録が行われる。インクジェット記録ヘッド201〜206の下を通過した記録媒体101は、分離装置129により搬送ベルト102から分離され、排紙ローラ304を通過した後、裏面排紙トレイ132へ排出される。
【0026】
図3は、図1及び図2に示した搬送ベルトの平面図である。図3は、搬送ベルト102上にある記録媒体101a,101bがインクジェット記録ヘッド201〜206の下を矢印の搬送方向に向かって搬送される様子を表している。
【0027】
次に両面印刷時の動作について説明する。
【0028】
インクジェット記録ヘッド201〜206から吐出されるインクによって記録が行われ、インクジェット記録ヘッド201〜206の下を通過した記録媒体101は、分離装置129を介し、両面反転機構150へ搬送される。両面反転機構150では、記録媒体101は反転前ローラ305を通って反転ローラ306へ搬送される。記録媒体101の後端が反転前ローラ305を通過すると、記録媒体101の搬送を一旦停止する。パス切換器350により、搬送経路が反転ローラ307へ向うように切り換える。次に、反転ローラ306を停止前の逆方向に回転させ、記録媒体101の搬送を再開する。この動作によって記録媒体101の表裏反転が行われる。
【0029】
記録媒体101は、両面ローラ308に搬送された後に一旦停止する。この後の搬送再開のタイミングは、前方の記録媒体101との間隔により決定され、所定時間の待機後に搬送を再開する。搬送を再開した記録媒体101は、搬送ローラ302、レジローラ303を通過した後、再度搬送ベルト102上に搬送される。そして、裏面の記録が行われた後、記録媒体101は、分離装置129によって搬送ベルト102から分離され、排紙ローラ304を通過した後、裏面排紙トレイ132へ排出される。
【実施例】
【0030】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例について詳細に説明する。
【0031】
なお、以下に説明する実施例では、インクジェット記録方式を用いた記録装置としてプリンタを例に挙げて説明する。
【0032】
本明細書において、「記録」とは、文字、図形等有意の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わず、また人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かを問わず、広く記録媒体上に画像、模様、パターン等を形成することを表すものとする。または媒体の加工を行う場合も表すものとする。
【0033】
また、「記録媒体」とは、一般的な記録装置で用いられる紙のみならず、広く、布、プラスチック・フィルム、金属板、ガラス、セラミックス、木材、皮革等、インクを受容可能なものも表すものとする。
【0034】
さらに、「インク」とは、上記「記録」の定義と同様広く解釈されるべきもので、記録媒体上に付与されることによって、画像、模様、パターン等の形成または記録媒体の加工、或いはインクの処理に供され得る液体を表すものとする。ここで、インクの処理とは、例えば記録媒体に付与されるインク中の色剤の凝固または不溶化を意味する。
【0035】
(第1の実施例)
本発明に係る第1の実施例について説明する。
【0036】
図4は、本発明の第1の実施例における搬送ベルトの一部と吸着ローラを拡大して示す図である。
【0037】
本実施例の記録媒体搬送装置は、搬送ベルト505の表面に対向する位置に吸着ローラ501が配設されている。吸着ローラ501は搬送ベルト505の幅方向に延びている。吸着ローラ501は、搬送ベルト505によって搬送される記録媒体の全幅にわたって記録媒体に当接する長さを有していることが好ましい。
【0038】
吸着ローラ501の周囲面は弾性体502によって構成されている。弾性体502の材質には、シリコンゴム、スポンジ、硬質ゴムなど、圧力が加わると変形し、圧力を加えるのをやめると元の形状に戻る性質を有する材質が用いられている。
【0039】
搬送ベルト505には、記録媒体の搬送方向である搬送ベルト505の周回方向に沿って複数の電極503が等間隔に設けられている。これらの電極503に高圧給電部103(図1〜図3参照)から高電圧を印加すると、搬送ベルト505が帯電して静電吸着力を発生し、記録媒体504を吸着するようになる。このように、搬送ベルト505は、電極503に発生させた静電気力によって記録媒体504を吸着する静電吸着ベルトとして機能する。
【0040】
吸着部材としての吸着ローラ501は、搬送ベルト505の表面に向けて加圧部材(不図示)によって押圧されている。これにより、吸着ローラ501の周囲面を形成する弾性体502と搬送ベルト505との間に接触面が形成されている。加圧部材による押圧力は、この接触面の記録媒体504の搬送方向における幅が、電極503間の距離よりも広くなるように設定されている。あるいは、加圧部材を備えるのではなく、接触面の記録媒体504の搬送方向における幅が電極503間の距離よりも広くなるように、搬送ベルト505からの吸着ローラ501の中心回転軸の距離が設定されていてもよい。
【0041】
なお、本実施例の記録媒体搬送装置のその他の構成は図1〜図3を参照して説明した通りであるので、ここではその説明は省略する。
【0042】
次に、図4及び図5を参照して、本実施例の記録媒体搬送装置の動作について説明する。図5(a)〜図5(c)は、図4に示す構成において、記録媒体が吸着ローラによって搬送ベルトに押圧された状態で搬送される様子を表す図である。
【0043】
吸着ローラ501は、搬送ベルト505の回転に合わせて記録媒体504を搬送する方向に回転する。このとき、加圧部材(不図示)による押圧によって、吸着ローラ501の周囲面を構成する弾性体502と搬送ベルト505との間に接触面が形成される。接触面は、記録媒体504を搬送ベルト505に静電吸着させる吸着エリアである。吸着ローラ501は、この吸着エリアの搬送方向の幅が隣接する電極503間の距離よりも常に長くなるように、搬送ベルト505に押圧されている。
【0044】
図5(a)に示すように、吸着ローラ501と搬送ベルト505との間の吸着エリアに記録媒体504が搬送されてくると、記録媒体504は吸着ローラ501によって搬送ベルト505の上に押し付けられる。これにより、記録媒体504の先端が、搬送ベルト505から浮き上がることなく、吸着ローラ501の直下の吸着エリアにおいて搬送ベルト505の電極503上に静電吸着される。
【0045】
そして、記録媒体504は搬送ベルト505に静電吸着されたまま搬送され、図5(b)に示すように、やがて記録媒体504の先端は吸着エリアを通過する。搬送ベルト505の電極503には高電圧を印加されて静電気力が働いているため、吸着エリアを通過した記録媒体504の先端は搬送ベルト505に対する静電吸着力を保ったまま搬送される。
【0046】
また、搬送ベルト505の電極503間の部分が、吸着ローラ501の直下の吸着エリアを通過する。上記のように、吸着エリアの搬送方向の幅は電極503間の距離よりも長い。そのため、吸着ローラ501の直下の吸着エリアでは、記録媒体504の搬送方向前方の部分を電極503によって静電吸着するとともに、搬送方向後方の部分も電極503によって静電吸着することが可能である。すなわち、記録媒体504の搬送方向前方の部分を静電吸着力の強い電極503によって静電吸着を行うことで、記録媒体504が搬送ベルト505に確実に静電吸着される。その一方で、静電吸着力の弱いエリアである電極503間の部分では、吸着ローラ501の押し当てによって記録媒体504が搬送ベルト505から浮き上がらないようにされている。そして、記録媒体504の搬送方向後方の部分も静電吸着力の強い電極503によって静電吸着を行うことで、記録媒体504が搬送ベルト505に確実に静電吸着される。
【0047】
このように、吸着エリアでは、搬送ベルト505によって搬送されてくる記録媒体504に対し、静電吸着力の強い電極503による静電吸着と、吸着ローラ501による押し当てとが交互に繰り返される。そして、これらの動作が交互に繰り返されることによって、記録媒体504が搬送ベルト505から浮き上がることなく、記録媒体504を搬送ベルト505に密着させた状態で良好に搬送することができる。
【0048】
このように、本実施例では吸着ローラ501によって記録媒体504を搬送ベルト505に押し付けることで、記録媒体504が搬送ベルト505から浮き上がることを抑えている。そのため、搬送ベルト505の静電吸引力を高めるために電極503に印加する電圧を高くすることがない。したがって、従来技術のように、電流リークによる搬送ベルトや記録ヘッドの破損が生じたり、記録ヘッドから吐出されるインク滴が電界の影響を受けることを抑えたりすることができる。
【0049】
(第2の実施例)
本発明に係る第2の実施例について説明する。
【0050】
図6は、本発明の第2の実施例における搬送ベルトの一部と吸着ローラを拡大して示す図である。
【0051】
本実施例の記録媒体搬送装置も、搬送ベルト505の表面に対向する位置に吸着ローラ501が配設されている。吸着ローラ501は搬送ベルト505の幅方向に延びている。吸着ローラ501は、搬送ベルト505によって搬送される記録媒体の全幅にわたって記録媒体に当接する長さを有していることが好ましい。
【0052】
吸着ローラ501の周囲面は、断面が楕円形状の弾性体502によって構成されている。弾性体502の材質には、シリコンゴム、スポンジ、硬質ゴムなど、圧力が加わると変形し、圧力を加えるのをやめると元の形状に戻る性質を有する材質が用いられている。また、搬送ベルト505には、記録媒体の搬送方向である搬送ベルト505の周回方向に沿って複数の電極503が等間隔に設けられている。これらの電極503に高圧給電部103(図1〜図3参照)から高電圧を印加すると、搬送ベルト505が帯電して静電吸着力を発生し、記録媒体504を吸着するようになる。このように、搬送ベルト505は、電極503に発生させた静電気力によって記録媒体504を吸着する静電吸着ベルトとして機能する。
【0053】
搬送ベルト505の表面からの吸着ローラ501の中心回転軸の位置は固定されており、吸着ローラ501の周囲面の弾性体502の断面は楕円形状である。そのため、吸着ローラ501の弾性体502と搬送ベルト505との間に形成される接触面の搬送方向における幅は、吸着ローラ501の回転角度によって変わる。すなわち、吸着ローラ501の断面で見ると、断面が楕円形状の弾性体502の長辺に相当する面が搬送ベルト505に接触している場合には接触面の幅が狭くなり、短辺に相当する面が搬送ベルト505に接触している場合には接触面の幅が広くなる。これは、搬送ベルト505からの吸着ローラ501の中心回転軸の距離が一定であるため、弾性体502の長辺方向の面が搬送ベルト505に接触している場合の方が、短辺方向の面が接触している場合に比べて、弾性体502の押し付け量が少なくなることによる。
【0054】
なお、図6に示すように、弾性体502のサイズ、楕円率、及び搬送ベルト505からの吸着ローラ501の中心回転軸の距離は、以下のように設定されている。すなわち、接触面が最も広くなる場合である、弾性体502の短辺方向が搬送ベルト505と接触した場合の吸着エリア(接触面)の搬送方向の長さが、電極503間の距離よりも長くなるように設定されている。
【0055】
次に、図7を参照して、本実施例の記録媒体搬送装置の動作について説明する。図7(a)〜図7(c)は、図6に示す構成において、記録媒体が吸着ローラによって搬送ベルトに押圧された状態で搬送される様子を表す図である。
【0056】
吸着ローラ501は、搬送ベルト505の回転に合わせて記録媒体504を搬送する方向に回転する。このとき、吸着ローラ501は搬送ベルト505に対して押圧された状態となっており、吸着ローラ501の周囲面を構成する弾性体502と搬送ベルト505との間に接触面が形成される。接触面は、記録媒体504を搬送ベルト505に静電吸着させる吸着エリアである。弾性体502の周囲は断面が楕円形状に形成されているため、接触面の面積は記録媒体504の搬送中に吸着ローラ501の回転に伴って変化する。接触面である吸着エリアの面積が最大となるのは、図7(b)に示すように吸着ローラ501の中心回転軸が電極503間の中心に位置する時である。また、接触面である吸着エリアの面積が最小となるのは、図7(a)に示すように電極503の中心に吸着ローラ501の中心回転軸が位置する時である。
【0057】
図7(a)に示すように、吸着ローラ501と搬送ベルト505との間の吸着エリアに記録媒体504が搬送されてくると、記録媒体504は吸着ローラ501によって搬送ベルト505の上に押し付けられる。これにより、記録媒体504の先端が、搬送ベルト505から浮き上がることなく、吸着ローラ501の直下の吸着エリアにおいて搬送ベルト505の電極503上に静電吸着される。
【0058】
そして、記録媒体504は搬送ベルト505に静電吸着されたまま搬送され、図7(b)に示すように、やがて記録媒体504の先端は吸着エリアを通過する。搬送ベルト505の電極503には高電圧を印加されて静電気力が働いているため、吸着エリアを通過した記録媒体504の先端は搬送ベルト505に対する静電吸着力を保ったまま搬送される。
【0059】
また、搬送ベルト505の電極503間の部分が、吸着ローラ501の直下の吸着エリアを通過する。上記のように、吸着エリアの搬送方向の幅は電極503間の距離よりも長い。そのため、吸着ローラ501の直下の吸着エリアでは、記録媒体504の搬送方向前方の部分を電極503によって静電吸着するとともに、搬送方向後方の部分も電極503によって静電吸着することが可能である。すなわち、記録媒体504の搬送方向前方の部分を静電吸着力の強い電極503によって静電吸着を行うことで、記録媒体504が搬送ベルト505に確実に静電吸着される。その一方で、静電吸着力の弱いエリアである電極503間の部分では、吸着ローラ501の押し当てによって記録媒体504が搬送ベルト505から浮き上がらないようにされている。そして、記録媒体504の搬送方向後方の部分も静電吸着力の強い電極503によって静電吸着を行うことで、記録媒体504が搬送ベルト505に確実に静電吸着される。
【0060】
このように、吸着エリアでは、搬送ベルト505によって搬送されてくる記録媒体504に対し、静電吸着力の強い電極503による静電吸着と、吸着ローラ501による押し当てとが交互に繰り返される。そして、これらの動作が交互に繰り返されることによって、記録媒体504が搬送ベルト505から浮き上がることなく、記録媒体504を搬送ベルト505に密着させた状態で良好に搬送することができる。
【0061】
上述したように、本実施例では吸着ローラ501によって記録媒体504を搬送ベルト505に押し付けることで、記録媒体504が搬送ベルト505から浮き上がることを抑えている。そのため、搬送ベルト505の静電吸引力を高めるために電極503に印加する電圧を高くすることがない。したがって、従来技術のように、電流リークによる搬送ベルトや記録ヘッドの破損が生じたり、記録ヘッドから吐出されるインク滴が電界の影響を受けることを抑えたりすることができる。
【0062】
なお、搬送ベルト505の電極503が吸着エリアを通過する際には、電極503による静電吸着力が強く発揮されるため、吸着ローラ501による押し付け力をさほど必要としない。そのため本実施例では、図7(a)に示すように、接触面である吸着エリアの面積が最小となるように構成されている。一方、搬送ベルト505の電極503間の部分が吸着エリアを通過する際には、電極503による静電吸着力の影響が弱くなるため、吸着ローラ501による押し付け力を大きくする必要がある。そのため、図7(b)に示すように、接触面である吸着エリアの面積が最大となるように構成されている。
【0063】
(第3の実施例)
本発明に係る第3の実施例について説明する。
【0064】
図8は、本発明の第3の実施例における搬送ベルトの一部と吸着ローラを拡大して示す図である。
【0065】
本実施例の記録媒体搬送装置も、搬送ベルト505の表面に対向する位置に吸着ローラ501が配設されている。吸着ローラ501は搬送ベルト505の幅方向に延びている。吸着ローラ501は、搬送ベルト505によって搬送される記録媒体の全幅にわたって記録媒体に当接する長さを有していることが好ましい。
【0066】
吸着ローラ501の周囲は、断面が正多角形(本例では正六角形)の形状の弾性体502によって構成されている。弾性体502の材質には、シリコンゴム、スポンジ、硬質ゴムなど、圧力が加わると変形し、圧力を加えるのをやめると元の形状に戻る性質を有する材質が用いられている。また、搬送ベルト505には、記録媒体の搬送方向である搬送ベルト505の周回方向に沿って複数の電極503が等間隔に設けられている。これらの電極503に高圧給電部103(図1〜図3参照)から高電圧を印加すると、搬送ベルト505が帯電して静電吸着力を発生し、記録媒体504を吸着するようになる。このように、搬送ベルト505は、電極503に発生させた静電気力によって記録媒体504を吸着する静電吸着ベルトとして機能する。
【0067】
断面形状が正多角形の弾性体502の一辺の長さは、搬送ベルト505の電極503間の距離よりも長く構成されている。また、図8に示すように、弾性体502の一辺が搬送ベルト505と平行に配置されている時、多角形の一辺の長さの中心と電極503間の中心とが一致するように、吸着ローラ501が搬送ベルト505に対して配置されている。もしくは、搬送ベルト505の電極503間の部分が弾性体502の一辺の長さ領域内に位置するように配置されている。
【0068】
次に、図9を参照して、本実施例の記録媒体搬送装置の動作について説明する。図9(a)〜図9(c)は、記録媒体が吸着ローラによって搬送ベルトに押圧された状態で搬送される様子を表す図である。
【0069】
吸着ローラ501は、搬送ベルト505の回転に合わせて記録媒体504を搬送する方向に回転する。このとき、吸着ローラ501は搬送ベルト505に対して押圧された状態となっており、吸着ローラ501の周囲面を構成する弾性体502と搬送ベルト505との間に接触面が形成される。接触面は、記録媒体504を搬送ベルト505に静電吸着させる吸着エリアである。弾性体502の周囲面は正多角形に形成されているため、接触面の面積は記録媒体504の搬送中に吸着ローラ501の回転に伴って変化する。接触面である吸着エリアの面積が最小となるのは、図9(a)に示すように、電極503の中心に吸着ローラ501の中心回転軸が位置する時である。このとき、正多角形の弾性体502の周囲面の角部分が、搬送ベルト505の電極503に当接する。また、接触面である吸着エリアの面積が最大となるのは、図9(b)に示すように吸着ローラ501の中心回転軸が電極503間の中心に位置する時である。このとき、正多角形の弾性体502の周囲面の辺部分が、搬送ベルト505の電極503間の部分に当接する。
【0070】
図9(a)に示すように、吸着ローラ501と搬送ベルト505との間の吸着エリアに記録媒体504が搬送されてくると、記録媒体504は吸着ローラ501によって搬送ベルト505の上に押し付けられる。これにより、記録媒体504の先端が、搬送ベルト505から浮き上がることなく、吸着ローラ501の直下の吸着エリアにおいて搬送ベルト505の電極503上に静電吸着される。
【0071】
そして、記録媒体504は搬送ベルト505に静電吸着されたまま搬送され、図9(b)に示すように、やがて記録媒体504の先端は吸着エリアを通過する。搬送ベルト505の電極503には高電圧を印加されて静電気力が働いているため、吸着エリアを通過した記録媒体504の先端は搬送ベルト505に対する静電吸着力を保ったまま搬送される。
【0072】
また、搬送ベルト505の電極503間の部分が、吸着ローラ501の直下の吸着エリアを通過する。上記のように、吸着エリアの搬送方向の幅は電極503間の距離よりも長い。そのため、吸着ローラ501の直下の吸着エリアでは、記録媒体504の搬送方向前方の部分を電極503によって静電吸着するとともに、搬送方向後方の部分も電極503によって静電吸着することが可能である。すなわち、記録媒体504の搬送方向前方の部分を静電吸着力の強い電極503によって静電吸着を行うことで、記録媒体504が搬送ベルト505に確実に静電吸着される。その一方で、静電吸着力の弱いエリアである電極503間の部分では、吸着ローラ501の押し当てによって記録媒体504が搬送ベルト505から浮き上がらないようにされている。そして、記録媒体504の搬送方向後方の部分も静電吸着力の強い電極503によって静電吸着を行うことで、記録媒体504が搬送ベルト505に確実に静電吸着される。
【0073】
このように、吸着エリアでは、搬送ベルト505によって搬送されてくる記録媒体504に対し、静電吸着力の強い電極503による静電吸着と、吸着ローラ501による押し当てとが交互に繰り返される。そして、これらの動作が交互に繰り返されることによって、記録媒体504が搬送ベルト505から浮き上がることなく、記録媒体504を搬送ベルト505に密着させた状態で良好に搬送することができる。
【0074】
上述したように、本実施例では吸着ローラ501によって記録媒体504を搬送ベルト505に押し付けることで、記録媒体504が搬送ベルト505から浮き上がることを抑えている。そのため、搬送ベルト505の静電吸引力を高めるために電極503に印加する電圧を高くすることがない。したがって、従来技術のように、電流リークによる搬送ベルトや記録ヘッドの破損が生じたり、記録ヘッドから吐出されるインク滴が電界の影響を受けることを抑えたりすることができる。
【0075】
なお、搬送ベルト505の電極503が吸着エリアを通過する際には、電極503による静電吸着力が強く発揮されるため、吸着ローラ501による押し付け力をさほど必要としない。そのため本実施例では、図9(a)に示すように、接触面である吸着エリアの面積が最小となるように構成されている。一方、搬送ベルト505の電極503間の部分が吸着エリアを通過する際には、電極503による静電吸着力の影響が弱くなるため、吸着ローラ501による押し付け力を大きくする必要がある。そのため、図9(b)に示すように、接触面である吸着エリアの面積が最大となるように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の実施形態に係る代表的なインクジェット記録装置の構成図を示す。
【図2】図1に示したヘッドユニットが記録可能位置まで下降した状態を示す図である。
【図3】図1及び図2に示した搬送ベルトの平面図である。
【図4】本発明の第1の実施例における搬送ベルトの一部と吸着ローラを拡大して示す図である。
【図5】図4に示す構成において、記録媒体が吸着ローラによって搬送ベルトに押圧された状態で搬送される様子を表す図である。
【図6】本発明の第2の実施例における搬送ベルトの一部と吸着ローラを拡大して示す図である。
【図7】図6に示す構成において、記録媒体が吸着ローラによって搬送ベルトに押圧された状態で搬送される様子を表す図である。
【図8】本発明の第3の実施例における搬送ベルトの一部と吸着ローラを拡大して示す図である。
【図9】図8に示す構成において、記録媒体が吸着ローラによって搬送ベルトに押圧された状態で搬送される様子を表す図である。
【図10】無端状の搬送ベルト部材の断面図である。
【図11】図10に示した搬送ベルト部材の平面図である。
【図12】図10等に示した搬送ベルト部材に給電を行う給電手段の構成を示す図である。
【図13】無端状の搬送ベルト上に生じる静電吸着力の強弱分布を示す図である。
【図14】電極間の吸着力の弱い部分において無端状の搬送ベルトと記録媒体との間に隙間が生じ、記録媒体の一部が無端状ベルトから浮いた状態を示す図である。
【符号の説明】
【0077】
501 吸着ローラ
502 弾性体
503 電極
504 記録媒体
505 搬送ベルト
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周回方向に所定の間隔で配置された複数の電極を有し、該電極に発生させた静電気力によって記録媒体を吸着する静電吸着ベルトと、
前記静電吸着ベルトに当接する周囲面を有し、前記静電吸着ベルトの回転に従動して回転軸を中心として回転することによって、前記記録媒体を前記静電吸着ベルトに押し当てて吸着させる吸着部材と、
を有する記録媒体搬送装置において、
前記吸着部材の前記周囲面は弾性体で構成されており、
前記吸着部材の前記周囲面と前記静電吸着ベルトとの接触面によって形成される吸着エリアの、前記静電吸着ベルトによる前記記録媒体の搬送方向における幅が、少なくとも前記静電吸着ベルトの互いに隣接する電極間の部分が前記吸着エリアを通過する際には、前記電極間の距離よりも広くなるように構成されていることを特徴とする記録媒体搬送装置。
【請求項2】
前記吸着部材は前記回転軸に対して直交する面に沿った断面が楕円形状を有しており、
前記吸着部材は、前記静電吸着ベルトの回転に従動して回転する際に、前記周囲面の前記楕円形状の長辺に相当する面が前記静電吸着ベルトの前記電極に当接し、前記周囲面の前記楕円形状の短辺に相当する面が前記静電吸着ベルトの前記電極間の部分に当接するように構成されている、請求項1に記載の記録媒体搬送装置。
【請求項3】
前記吸着部材は前記回転軸に対して直交する面に沿った断面が正多角形の形状を有しており、
前記吸着部材は、前記静電吸着ベルトの回転に従動して回転する際に、前記周囲面の前記正多角形の形状の角部分が前記静電吸着ベルトの前記電極に当接し、前記周囲面の前記正多角形の形状の辺部分が前記静電吸着ベルトの前記電極間の部分に当接するように構成されている、請求項1に記載の記録媒体搬送装置。
【請求項1】
周回方向に所定の間隔で配置された複数の電極を有し、該電極に発生させた静電気力によって記録媒体を吸着する静電吸着ベルトと、
前記静電吸着ベルトに当接する周囲面を有し、前記静電吸着ベルトの回転に従動して回転軸を中心として回転することによって、前記記録媒体を前記静電吸着ベルトに押し当てて吸着させる吸着部材と、
を有する記録媒体搬送装置において、
前記吸着部材の前記周囲面は弾性体で構成されており、
前記吸着部材の前記周囲面と前記静電吸着ベルトとの接触面によって形成される吸着エリアの、前記静電吸着ベルトによる前記記録媒体の搬送方向における幅が、少なくとも前記静電吸着ベルトの互いに隣接する電極間の部分が前記吸着エリアを通過する際には、前記電極間の距離よりも広くなるように構成されていることを特徴とする記録媒体搬送装置。
【請求項2】
前記吸着部材は前記回転軸に対して直交する面に沿った断面が楕円形状を有しており、
前記吸着部材は、前記静電吸着ベルトの回転に従動して回転する際に、前記周囲面の前記楕円形状の長辺に相当する面が前記静電吸着ベルトの前記電極に当接し、前記周囲面の前記楕円形状の短辺に相当する面が前記静電吸着ベルトの前記電極間の部分に当接するように構成されている、請求項1に記載の記録媒体搬送装置。
【請求項3】
前記吸着部材は前記回転軸に対して直交する面に沿った断面が正多角形の形状を有しており、
前記吸着部材は、前記静電吸着ベルトの回転に従動して回転する際に、前記周囲面の前記正多角形の形状の角部分が前記静電吸着ベルトの前記電極に当接し、前記周囲面の前記正多角形の形状の辺部分が前記静電吸着ベルトの前記電極間の部分に当接するように構成されている、請求項1に記載の記録媒体搬送装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−1112(P2010−1112A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−160299(P2008−160299)
【出願日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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