説明

記録媒体用光硬化性組成物及びその製造方法

【課題】高度な透明性を有する記録媒体用光硬化性組成物であって、工業的に簡便な方法で製造することができる記録媒体用光硬化性組成物を提供する。
【解決手段】酸性基を有する重量平均分子量500以上の有機成分と、塩基性基を有する無機成分とを含有し、波長550nmの光線透過率が85%以上である記録媒体用光硬化性組成物。酸性基を有する重量平均分子量500以上の有機成分と、塩基性基及びアルコキシ基を有する無機成分とを、溶媒中で接触させることにより、この記録媒体用光硬化性組成物を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体用光硬化性組成物及びその製造方法に係り、特に、高度な透明性を有し、工業的に簡便な方法で製造することができる記録媒体用光硬化性組成物と、その製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光硬化性組成物は、各種被覆材料や接着材料として、或いは、光学用途等に広く使用されている。例えば、光硬化性組成物の光学用途の具体例として、情報記録媒体、特に光記録媒体における情報記録層の保護膜が挙げられ、近年では、特に、ブルーレーザーを用いる次世代高密度光ディスクへの適用に関する検討がなされている。
【0003】
例えば、特許文献1には、光記録媒体の保護層をウレタン(メタ)アクリレート系光硬化性組成物で形成することが記載されているが、この保護層のみでは硬度が不十分であり、また厚膜化した場合に硬化収縮による反りの問題があることから、特許文献1では、この保護層の上にコロイダルイシリカ微粒子とエチレン性不飽和化合物を含む組成物の硬化層をハードコート層として積層することにより、強度と硬化収縮とのバランスを取っている。しかしながら、このような積層タイプの保護膜は、コスト及び操作性の点等で未だ実用的に不十分であった。
【0004】
一方、特許文献2には、水酸基及び/又はアミノ基が導入されたポリウレタン系のコーティング用有機無機ハイブリッド組成物が提案されている。しかしながら、この特許文献2にあるような光硬化性基を有しない組成物は、硬化に3日間という長時間を必要とし、実用的ではない。また、本発明者等の検討によると、このような水酸基及び/又はアミノ基が導入されたポリウレタンは、これを含む組成物の硬化物層の基材に対する密着性は優れるものの、経時においては往々にして剥離が生じるという問題点があることが判明した。
【0005】
このような問題を解決し、従来の保護膜が有するような透明性、基材に対する高密着性及び経時高密着性を有し、かつ、厚膜化した場合でも十分な強度と低硬化収縮性とを有する記録媒体用光硬化性組成物として、本出願人は先に、シリカ粒子とウレタン結合又はヒドロキシアルキレン基を含有するモノマー及び/又はそのオリゴマーとを含有し、該モノマー及び/又はそのオリゴマーが酸性基を有する樹脂組成物を提案した(特許文献3)。
【特許文献1】特開2002−245672号公報
【特許文献2】特開2001−64346号公報
【特許文献3】WO2004/41888号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献3に開示される組成物は、基材に対して高い密着性を有する透明組成物であるが、シリカ粒子の凝集を防止するために行うシリカ粒子の表面修飾工程が煩雑で、製造に長時間を要するという不具合があった。
【0007】
本発明は、上記特許文献3の問題を解決し、高度な透明性を有する記録媒体用光硬化性組成物であって、工業的に簡便な方法で製造することができる記録媒体用光硬化性組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明(請求項1)の記録媒体用光硬化性組成物は、酸性基を有する重量平均分子量500以上の有機成分と、塩基性基を有する無機成分とを含有し、波長550nmの光線透過率が85%以上であることを特徴とする。
【0009】
請求項2の記録媒体用光硬化性組成物は、請求項1において、該無機成分がケイ素化合物であることを特徴とする。
【0010】
請求項3の記録媒体用光硬化性組成物は、請求項1又は2において、該有機成分がウレタン結合を有することを特徴とする。
【0011】
請求項4の記録媒体用光硬化性組成物は、請求項1ないし3のいずれかにおいて、波長400nmの光線透過率が80%以上であることを特徴とする。
【0012】
本発明(請求項5)の記録媒体用光硬化性組成物の製造方法は、酸性基を有する重量平均分子量500以上の有機成分と、塩基性基及びアルコキシ基を有する無機成分とを、溶媒中で接触させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、有機成分の酸性基と無機成分の塩基性基とのイオン間相互作用で透明な有機無機ハイブリッド組成物が得られる。また、この組成物においては、有機成分の酸性基と無機成分の塩基性基との相互作用により、無機成分の凝集が抑制されるため、無機成分の凝集防止のための煩雑な表面処理工程等の工程を必要とすることなく、短時間で容易に透明な記録媒体用光硬化性組成物を得ることができる。この光硬化性組成物は、例えば、酸性基を有する重量平均分子量500以上の有機成分と、塩基性基及びアルコキシ基を有する無機成分とを、溶媒中で、必要に応じて加水分解触媒の存在下で接触させた上で無機成分を縮合させることにより、工業的に有利に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態につき代表的な例を示して詳細に説明する。
[酸性基を有する重量平均分子量500以上の有機成分]
本発明に係る有機成分が有する酸性基としては、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、フェノール性水酸基等の1種又は2種以上が挙げられるが、中でもカルボン酸基、即ち、カルボキシル基を有する有機成分が取り扱いやすく、好ましい。
【0015】
有機成分に酸性基を含有させる方法としては、酸性基を有するモノマーを共重合させる方法、スルホン化、酸性基を有するグリニャール試薬を用いた酸性基含有アルキル化、等が挙げられる。
【0016】
本発明で用いる有機成分は酸性基を有する重量平均分子量500以上のものであれば特に制限はないが、通常、光硬化性官能基を有するものが用いられる。有機成分が光硬化性官能基を有することにより、有機成分が光硬化網目構造に組み込まれて一体となるため、分子凝集性が増し、結果として凝集破壊が起きにくく、基材に対する密着性が向上する利点がある。
【0017】
有機成分が有する光硬化性官能基としては、光による重合性を有する基であれば特に制限はないが、ラジカル反応性を有する基、光カチオン硬化型グリシジル基のような光カチオン反応性を有する基、光アニオン反応性を有する基、及びチオール基のような光チオール・エン反応性を有する基等の1種又は2種以上が挙げられ、このなかでもラジカル反応性を有する基が好ましい。
【0018】
このようなラジカル反応性を有する官能基としては、例えば(メタ)アクリロイル基、ビニル基などが挙げられるが、そのなかでも重合反応速度、透明性、塗布性の点から(メタ)アクリロイル基が特に好ましい。(メタ)アクリロイル基を用いる場合、全光硬化性官能基数の50%以上が(メタ)アクリロイル基であれば構わない。ただしここで「(メタ)アクリロイル」なる表記は、アクリロイル又はメタクリロイルのいずれか、という意味である。同様に、「(メタ)アクリレート」なる表記は、アクリレート又はメタクリレートのいずれか、という意味である。
【0019】
更に本発明で用いる有機成分は、1分子中に、光硬化性官能基を2個以上有する化合物を主体とするのが好ましい。ここで「主体とする」とは、全有機成分の50重量%以上を占めることを言う。この場合には、光による重合反応により3次元の網目構造を形成し、不溶不融の樹脂硬化物を与えることができるという利点がある。
【0020】
本発明においては、光硬化性官能基を、紫外線などの光で重合させることにより、無機成分である超微粒子が高度に分散された状態のまま高速で硬化させることができる。即ち、光硬化は一般に秒単位の非常に高速で進む。従って、超微粒子がその硬化過程において移動したり凝集したりといった好ましくない現象を防ぐことが可能となり、従って高度な透明性を有する硬化物を得ることができる。これに対して熱重合は数十分〜数時間単位と時間がかかるため、重合中に超微粒子が移動し凝集したりして白濁してしまう虞があるため好ましくない。
【0021】
本発明で用いる有機成分は、また、ウレタン結合を有するものであることが好ましい。即ち、ウレタン結合を有する有機成分を用いると、得られる硬化物の基材に対する経時密着性や表面硬化度が増すという利点がある。ウレタン結合を有する有機成分を用いたときに密着性が向上する現象は、ウレタン結合の電気的極性によって、基材との相互作用が強められることに由来すると考えられる。また、ウレタン結合を有する有機成分を用いたときに表面硬化度が向上する理由は明らかではないが、ウレタン結合を有する有機成分を一定量以上含有する組成物中においては、ウレタン結合の電気的極性に由来する分子内水素結合や分子間水素結合が形成され易いために、有機分子の凝集性が高められ、結果として酸素の組成物中における自由な移動を阻害し、ラジカル重合阻害が抑制されていること等が、その主な理由であると推定される。
【0022】
ウレタン結合を有する有機成分のうちモノマーの製造方法としては、クロロギ酸エステルとアンモニア又はアミンとを反応させる方法、イソシアネート基を有する化合物とヒドロキシル基含有化合物とを反応させる方法、尿素とヒドロキシル基含有化合物とを反応させる方法等、公知の方法に準じて行えばよく、又、該モノマーが反応性基を有する場合はそれをオリゴマー化することができる。このうち、一般的にはウレタンオリゴマーを用いるのが簡便であり、該ウレタンオリゴマーは、通常、分子内に2個以上のイソシアネート基を有する化合物と、ヒドロキシル基を含有する化合物とを常法により付加反応させることにより製造される。
【0023】
分子内に2個以上のイソシアネート基を有する化合物としては、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、シクロヘキサンジイソシアネート、ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等のポリイソシアネート類の1種又は2種以上が挙げられる。
【0024】
これらのうち、得られる組成物の色相が良好である点で、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、シクロヘキサンジイソシアネート、ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン、イソホロンジイソシアネートの1種又は2種以上を組み合わせて用いるのが好ましい。
【0025】
一方、ヒドロキシル基を含有する化合物としては、2個以上のヒドロキシル基を含有するポリオール類が好ましく用いられ、その具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、グリセリン等のアルキルポリオール及びこれらの多量体であるポリエーテルポリオール、及びこれらのポリオールや多価アルコールと多塩基酸から合成されるポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール等のポリエステルポリオール等が挙げられる。
【0026】
分子内に2個以上のイソシアネート基を有する化合物とヒドロキシル基を含有する化合物との反応により得られるウレタンオリゴマーは、ヒドロキシル基を含有する化合物として該ポリエーテルポリオールを含有するものを用いたものであるのが好ましく、該ウレタンオリゴマー1分子中のポリエーテルポリオールに由来する構成単位の平均含有量の下限が、20重量%以上であるのが好ましく、25重量%以上であるのが更に好ましく、30重量%以上であるのが特に好ましい。また、この上限は特に限定しないが、90重量%以下であるのが好ましく、80重量%以下であるのが更に好ましく、70重量%以下であるのが特に好ましい。このポリエーテルポリオールの含有割合が少な過ぎると、硬化物として脆くなり、また弾性率が高過ぎて内部応力を生じ易く、変形の原因になる傾向となり、逆に多過ぎると、硬化物として表面硬度が低下し、傷が付き易くなる等の問題を生じ易い傾向となる。
【0027】
分子内に2個以上のイソシアネート基を有する化合物とヒドロキシル基を含有する化合物との付加反応は、公知の方法、例えば分子内に2個以上のイソシアネート基を有する化合物の存在下に、ヒドロキシル基を含有する化合物と付加反応触媒、例えばジブチルスズラウレートとの混合物を50〜90℃の条件下で滴下することにより行うことができる。
【0028】
特に、ウレタンアクリレートオリゴマーを合成するに際しては、上記ヒドロキシル基を含有する化合物の一部を、ヒドロキシル基と(メタ)アクリロイル基を併せ持つ化合物とすることで製造することができる。その使用量としては、通常、全ヒドロキシル基含有化合物中の30〜70重量%であり、その割合に応じて、得られるオリゴマーの分子量を制御することができる。
【0029】
ヒドロキシル基と(メタ)アクリロイル基を併せ持つ化合物としては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリシジルエーテル化合物と(メタ)アクリル酸との付加反応物、グリコール化合物のモノ(メタ)アクリレート体等が挙げられる。
【0030】
ここで、特に、分子内に2個以上のイソシアネート基を有する化合物1分子と、ヒドロキシル基と(メタ)アクリロイル基を併せ持つ化合物2分子とを付加反応させることにより、両末端に(メタ)アクリロイル基を有する、ウレタンオリゴマーを製造することができる。このようにして製造される両末端に(メタ)アクリロイル基を有するウレタンオリゴマーは、得られる樹脂硬化物の基材に対する密着性や表面硬化度が更に増すという利点がある。
【0031】
本発明において、有機成分は、酸性基を有することを必須とするが、ウレタン結合を有する有機成分に前述の酸性基を導入する方法としては、前述のウレタン結合を有するモノマー及び/又はそのオリゴマーの製造方法に用いられる化合物として、これらの酸性基を有するものを用いれば良いが、特にオリゴマー製造時には、このうちでも酸性基を有するヒドロキシル基含有化合物を用いるのが好ましい。
【0032】
該酸性基を有するヒドロキシル基を含有する化合物としては、2個以上のヒドロキシル基を含有するポリオール類の1種又は2種以上が好ましく用いられ、この酸性基を有するポリオール類の具体例としては、2−スルホ−1,4−ブタンジオール及びそのナトリウム塩等のアルカリ金属塩、5−スルホ−ジ−β−ヒドロキシエチルイソフタレート及びそのナトリウム塩等のアルカリ金属塩、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノエチルスルホン酸及びそのテトラメチルアンモニウム塩、そのテトラエチルアンモニウム塩、そのベンジルトリエチルアンモニウム塩、等のスルホン酸類及びそれらのアルカリ金属塩やアミン塩類;ビス(2−ヒドロキシエチル)ホスフェート及びそのテトラメチルアンモニウム塩、そのナトリウム塩等のアルカリ金属塩、等の燐酸エステル類及びそれらのアミン塩やアルカリ金属塩類;ジメチロール酢酸、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、ジメチロールヘプタン酸、ジメチロールノナン酸、ジヒドロキシ安息香酸、等のアルカノールカルボン酸類及びこれらのカプロラクトン付加物類;又は、ポリオキシプロピレントリオールと無水マレイン酸或いは無水フタル酸とのハーフエステル化合物、等の1分子中に2個のヒドロキシル基とカルボキシル基とを有する化合物類;等が挙げられ、中でも、酸性基としてカルボキシル基を有する化合物が好ましい。
【0033】
なお、ウレタン結合を有するモノマー及び/又はそのオリゴマーに、酸性基を有せしめるには、前述したような、酸性基を有するイソシアネート基含有化合物及び/又は酸性基を有するヒドロキシル基含有化合物を用いる等の方法の外、ウレタン結合を有するモノマー及び/又はそのオリゴマーに、イソシアネート基と反応性を有するヒドロキシル基以外の官能基、例えばアミノ基を1個以上有し、且つ酸性基を有する付加化合物を反応させることにより、ウレタン結合を有するモノマー及び/又はそのオリゴマーに酸性基を導入する方法も採り得る。その場合の付加化合物としては、具体的には、1−カルボキシ−1,5−ペンチルジアミン、3,5−ジアミノ安息香酸等が挙げられる。
【0034】
本発明で用いる有機成分は、透明性及び無色性の高いものであることが好ましく、そのために、例えば、芳香環を有していない化合物であることが好ましい。即ち、芳香環を含有する有機成分を用いた組成物及び硬化物は、得られるものが着色物であったり、調製直後は着色していなくても保存中に着色したり着色が強まってしまう、いわゆる黄変の問題がある。この原因は、芳香環を形成する二重結合部分が、光によってその構造を不可逆的に変化させることにあると考えられている。
【0035】
このため、本発明で用いる有機成分は、芳香環を有しないことが、組成物及び硬化物の色相の悪化が無く、かつ光線透過性も低下することなく、無色透明が要求される記録媒体用途への応用に有利である。
【0036】
前述のウレタン結合を有するモノマー及び/又はそのオリゴマーにおいて、芳香環を有しないモノマー及び/又はそのオリゴマーは、上記製造法において、芳香環を含まないイソシアネート基含有化合物と芳香環を含まないヒドロキシル基含有化合物とを付加反応することにより製造することができる。例えば、イソシアネート化合物として、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、シクロヘキサンジイソシアネート、ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン、イソホロンジイソシアネートの1種又は2種以上を組み合わせて用いるのが好ましい。
【0037】
本発明で用いる有機成分の酸性基の含有量の下限は、有機成分中に0.001mol−酸性基/100g−有機成分以上、好ましくは0.01mol/100g以上である。有機成分中の酸性基の含有量が少な過ぎると、イオン間相互作用が小さくなり、無機成分の凝集を抑制する効果が小さくなる。酸性基の含有量の上限は特にないが、通常0.6mol/100g以下である。
【0038】
また、本発明で用いる有機成分の光硬化性官能基の含有量の下限は、有機成分中に0.03mol−光硬化性官能基/100g−有機成分以上、好ましくは0.05mol/100g以上であり、上限は通常0.5mol/100g以下、好ましくは0.3mol/100g以下である。有機成分中の光硬化性官能基の含有量が少な過ぎると、組成物の粘度が高くなる傾向があり、多過ぎると硬化収縮が増大する。
【0039】
また、本発明で用いる有機成分のウレタン結合の含有量の下限は、有機成分中に0.05mol−ウレタン結合/100g−有機成分以上、好ましくは0.1mol/100g以上であり、上限は通常0.7mol/100g以下、好ましくは0.5mol/100g以下である。有機成分中のウレタン結合の含有量が少な過ぎると、硬化性が悪化し、多過ぎると粘度が増大する。
【0040】
本発明で用いる有機成分の重量平均分子量は、500以上であり、好ましくは1000以上であり、より好ましくは2000以上である。有機成分の分子量の上限は特にないが、通常5万以下、好ましくは3万以下、更に好ましくは2万以下、より好ましくは1万以下、特に好ましくは5000以下である。有機成分の重量平均分子量はGPC法によりポリスチレン換算で求める。
【0041】
このような比較的高分子量の有機成分を用いることにより、硬化物の表面硬化度、基材に対する密着性が向上する傾向がある。その理由は明らかではないが、このような比較的高分子量の有機成分を含む組成物は、硬化収縮も小さくなる傾向があることから、官能基密度が比較的小さく硬化反応が効率的に行われること、硬化収縮による密着界面における残留歪みが小さいこと等が、表面硬化度及び密着性向上に関係していると推定される。
【0042】
なお、このような高分子量の有機成分は1種のみ用いてもよいし、2種以上を混合して用いても良い。また、より低分子量の他の有機成分と併用しても良い。分子量が著しく高い有機成分を用いる場合には、組成物の粘度が上昇し、成形性や作業性が悪化することがあるが、この場合は低分子量の有機成分、反応性希釈剤の添加量を増加させることにより改善できる。
【0043】
[他の有機補助成分]
本発明においては、本発明の趣旨を損なわない範囲において、他の有機補助成分を上記有機成分に混合使用してもよい。併用し得る有機補助成分としては、例えば、重合開始剤が挙げられる。
【0044】
かかる重合開始剤としては、光によりラジカルを発生する性質を有する化合物であるラジカル発生剤が一般的であり、公知の化合物が使用可能である。かかるラジカル発生剤としては、ベンゾフェノン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,6−ジメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド等が例示され、これらの複数種を併用してもよい。これらのうち好ましいのは、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド及びベンゾフェノンである。
【0045】
かかる重合開始剤の添加量は、全有機成分100重量部に対し通常0.001重量部以上、好ましくは0.01重量部以上、更に好ましくは0.05重量部以上で、通常10重量部以下、好ましくは8重量部以下である。この添加量が多過ぎると重合反応が急激に進行して光学歪みの増大をもたらすだけでなく色相も悪化する場合があり、また少な過ぎると組成物を十分に硬化させることができなくなる場合がある。
【0046】
また、本発明の光硬化性組成物には、組成物の粘度調整などの目的で、反応性希釈剤を添加しても良い。反応性希釈剤の使用量は、無機成分以外の組成物に対して0.5〜80重量%、好ましくは1〜50重量%である。この量が少な過ぎると希釈効果が小さく、一方多過ぎると硬化物が脆くなりやすく機械強度を低下させる傾向があり、また硬化収縮も大きくなるので好ましくない。本発明において反応性希釈剤とは、低粘度の液状化合物であって、通常、単官能の低分子化合物である。例えば、光硬化性のビニル基又は(メタ)アクリロイル基を有する化合物や、メルカプタン類などが挙げられる。
【0047】
その具体例としては、芳香族ビニル系モノマー類、ビニルエステルモノマー類、ビニルエーテル類、(メタ)アクリルアミド類、(メタ)アクリル酸エステル類、ジ(メタ)アクリレート類が挙げられるが、色相や光線透過性の点で好ましいのは芳香環を有しない構造を持つ化合物である。中でも(メタ)アクリロイルモルフォリン、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリシクロデカン骨格を有する(メタ)アクリレート等の脂環骨格を有する(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等の脂肪族(メタ)アクリレートが、良好な色相及び粘度を有する点で、特に好ましく用いられる。
【0048】
また、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基と(メタ)アクリロイル基を併せ持つ化合物も、本目的に使用することができ、組成物の基材への密着性が向上する場合があり好ましい。
【0049】
更に、本発明の光硬化性組成物には、表面張力調整剤を添加することもできる。表面張力調整剤は、組成物の表面張力を低下させ、基材への塗布性を向上する目的で使用される。
【0050】
その具体例としては、低分子及び高分子界面活性剤やシリコーン化合物及びその各種変性物(ポリエーテル変性、フッ素変性等)、ソルビタンエステル、その他各種レベリング剤、消泡剤、レオロジーコントロール剤、離型剤などが挙げられる。これらのうち、特にポリフローKL510(共栄社化学社製)等のシリコーン化合物が好ましく、更にはKF351A(信越化学社製)等のポリエーテル変性シリコーン化合物、フッ素変性界面活性剤が、表面張力を好ましく低下させることができるのみならず、塗布欠陥を生じにくい性質を示し、かつ防汚性、滑り性、耐環境性にも優れるため、好ましい。
【0051】
表面張力調整剤の添加量は、種類にもよるが、通常組成物に対して5重量%以下、好ましくは3%以下、より好ましくは0.01〜1重量%の範囲である。
【0052】
これらの他の有機補助成分の配合量は、全有機成分に対して50重量%以下であることが好ましい。
【0053】
[塩基性基を有する無機成分]
本発明に係る無機成分が有する塩基性基としては、1〜3級アミノ基、アミド基、イミノ基等の1種又は2種以上が挙げられるが、中でもアミノ基が取り扱いやすく、好ましい。
【0054】
塩基性基の含有量の下限は無機成分中に0.05mol−塩基性基/100g−無機成分以上、好ましくは0.3mol/100g以上である。塩基性基の含有量が少な過ぎると、イオン間相互作用が小さくなり、無機成分の凝集を抑制する効果が小さくなる。塩基性基の含有量の上限は特にないが、通常3mol/100g以下である。
【0055】
この無機成分としては、金属又は金属酸化物が好ましく用いられるが、本発明の組成物が光の通過する箇所に使用される場合は、その使用する光の波長における光線透過率が高いものであることが有利であるので、一般的に無色の無機化合物が好ましい。無色の無機化合物の具体例としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化バナジウム、酸化ジルコニア等の1種又は2種以上が挙げられる。中でも、酸化ケイ素は、入手しやすく、安価なので好ましい。
【0056】
無機成分の製造方法としては、当該金属のアルコキシドを原料とし、これを加水分解及び脱水縮合することによる、いわゆるゾルゲル反応にて製造する方法が代表例として挙げられる。
【0057】
無機成分は特にアルコキシ基を有するものが好ましく、このような無機成分としては、アルコキシシランが挙げられる。アルコキシシランは、珪素原子にアルコキシ基が結合した化合物であって、これらは、また加水分解反応及び脱水縮合反応(或いは脱アルコール縮合)によりアルコキシシラン多量体(オリゴマー)を生成する。後述する水や溶媒に対してアルコキシシランオリゴマーが相溶性を持つために、本発明に用いるアルコキシシランのアルキル鎖は長過ぎないことが好ましく、通常炭素数1〜5程度であり、好ましくは炭素数1〜3程度である。具体例としては、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルメチルジエトキシシラン、プロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。
【0058】
従って、塩基性基を有するアルコキシシランとして、好ましくは、アミノトリメトキシシランやアミノトリエトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルメチルトリエトキシシラン、アミノプロピルメチルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0059】
[その他の無機成分]
本発明においては、本発明の趣旨を損なわない範囲において、上記塩基性基を有する無機成分以外の無機成分を併用しても良く、このような無機成分としては、塩基性基を有しない上述の塩基性基を有する無機成分が挙げられ、その使用量は、全無機成分中80重量%以下、特に60重量%以下であることが好ましい。このような無機成分を併用することにより、無機成分ドメインの大きさを制御できる、あるいは塩基性基の密度を制御できるという効果を得ることができる。
【0060】
[各成分割合]
本発明の記録媒体用光硬化性組成物中の酸性基を有する重量平均分子量500以上の有機成分と塩基性基を有する無機成分との割合は、用いる有機成分及び無機成分の種類(酸性基含有量や塩基性基含有量、その他の反応性基含有量、分子量等)や要求される組成物の特性によっても異なるが、酸性基を有する重量平均分子量500以上の有機成分100重量部に対して、塩基性基を有する無機成分を通常1重量部以上、特に5重量部以上で、通常80重量部以下、特に50重量部以下とすることが好ましい。本発明の記録媒体用光硬化性組成物において、酸性基を有する重量平均分子量500以上の有機成分に対して塩基性基を有する無機成分が少な過ぎると硬化収縮が大きくなり、表面硬度が低くなる。逆に、多過ぎると脆くなり、耐衝撃性が低下する。また、他の有機成分や無機成分を併用する場合、全有機成分100重量部に対して全無機成分を通常70重量部以下、特に50重量部以下とすることが好ましい。全有機成分に対して無機成分が多過ぎると無機成分の凝集が起こりやすくなり、透明性が低下する。
【0061】
なお、本発明の記録媒体用光硬化性組成物は、好ましくは後述の製造方法で製造され、従って、一般的には溶媒を含むものとして提供される。この溶媒としては、後述の有機成分と無機成分とを溶解し得る溶媒が後述の使用量で用いられる。
【0062】
[光硬化性組成物の代表的な製造方法]
本発明の記録媒体用光硬化性組成物の製造方法としては特に制限はないが、酸性基を有する重量平均分子量500以上の有機成分の1種又は2種以上と、塩基性基を有する無機成分、好ましくは更にアルコキシ基を有する無機化合物の1種又は2種以上を前述の本発明の記録媒体用光硬化性組成物中の各成分割合となるように用い、これらを溶媒中で、必要に応じて加水分解触媒の存在下で接触させる方法が好ましく用いられる。なお、他の有機成分や無機成分を併用する場合、全有機成分と全無機成分との割合も前述の通りである。
【0063】
ここで使用される溶媒は、有機成分と無機成分を十分に溶解する性質のものであれば制限は特にないが、有機成分と無機成分の相互作用を促進することから極性溶媒が好ましく、非プロトン性極性溶媒が最も好ましい。その具体例としては、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホロアミド、ジメチルスルホオキシド、ジメチルエーテル等の1種又は2種以上が挙げられる。使用する溶媒の量は、全固形分に対して通常50重量%以上、好ましくは70重量%以上で、通常99.9重量%以下、好ましくは99.5重量%以下である。溶媒が少な過ぎると、組成物製造工程における化学反応の制御が難しくなるため好ましくない。逆に多過ぎると、該反応の進行が遅くなり過ぎ、工業的に不利になるので好ましくない。
【0064】
加水分解触媒は、使用しなくても良いが、加水分解触媒を用いると、しばしば好ましい結果が得られる。加水分解触媒としては、酸又は塩基が用いられる。酸の代表例としては塩酸、酢酸、蟻酸、蓚酸、硫酸、硝酸等の1種又は2種以上を用いることができるが、中でも塩酸、酢酸、蟻酸が、加水分解反応を穏和に進行させることができるので好ましい。一方、塩基の代表例としては、アンモニア、アミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の1種又は2種以上が挙げられ、中でもアンモニアを用いると、加水分解反応を穏和に進行させることができるので好ましい。加水分解触媒は、0.05〜0.2Nの水溶液として用いるのが好ましい。これらの加水分解触媒の使用量は、無機成分100gに対して0.01〜2重量%であることが好ましく、例えば、加水分解触媒の水溶液を5〜40ml用いるのが好ましい。
【0065】
各成分の添加順序は、加水分解触媒を最後に添加するようにすれば、他の成分の添加順序に特に制限はなく、加水分解触媒を用いた場合には、触媒を添加したときが反応の開始時点となる。
【0066】
反応条件としては、反応温度は室温でもよいし、−10℃〜溶媒の沸点以下の温度で適宜制御してもよい。その際の温度の範囲は通常10〜70℃である。反応圧力に特に制限はないが、反応系を加圧すると、縮合反応が促進され、好ましい場合がある。反応雰囲気に特に制限はない。
【0067】
上記反応により、系内に反応性官能基が無くなった時点で反応は終了する。
【0068】
[光硬化性組成物の物性]
本発明の光硬化性組成物の形態は、通常ゾルである。
【0069】
この光硬化性組成物の透明性は、ゾルの状態で、分光計(例えばヒューレットパッカード社製「HP8453型紫外・可視吸光光度計」)等を使用して光線透過率を室温にて測定して評価される。この測定時の波長の範囲は、通常350〜800nm程度である。
【0070】
本発明の光硬化性組成物の透明性は、波長550nmにおける光路長0.1mmの光線透過率が85%以上、好ましくは88%以上である。更に好ましくは、波長400nmにおける光路長0.1mmの光線透過率が80%以上、より好ましくは85%以上である。この光線透過率が低過ぎると、硬化時の透明性が大きく損なわれる傾向があり、硬化物が光学記録媒体に用いられる場合、記録された情報の読み出し時に読み出しエラーが増加するので好ましくない。
【0071】
[光硬化性組成物の硬化物]
本発明の光硬化性組成物は、溶媒を除去及び乾燥させることによってフィルムやシート状に成形することができ、これに紫外線等の光を照射することにより、硬化物を得ることができる。上記紫外線は、波長が通常200〜400nmの範囲であり、この波長範囲は好ましくは250〜400nmである。紫外線を照射する装置としては、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、マイクロ波によって紫外線を発生させる構造の紫外線ランプ等、公知の装置を好ましく用いることができる。該装置の出力は通常10〜200W/cmであり、該装置は、被照射体に対して5〜80cmの距離に設置するようにすると、被照射体の光劣化や熱劣化、熱変形等が少なく、好ましい。
【0072】
紫外線の照射は、一段階で行っても、複数段階で行ってもよく、その線源として通常は紫外線が全方向に広がる拡散線源を用い、通常、型内に賦形された本発明の光硬化性組成物を固定静置した状態又はコンベアで搬送された状態とし、紫外線を固定静置した状態で照射する。
【0073】
また、本発明の光硬化性組成物を適当な基板(例えば樹脂、金属、半導体、ガラス、紙等)上の塗布液膜とし、次いで紫外線を照射して該塗布液膜を硬化させることも可能である。
【0074】
このようにして、本発明の光硬化性組成物を硬化させて得られる硬化物は、通常、溶剤等に不溶不融の性質を示し、厚膜化した際であっても光学部材の用途に有利な性質を備え、基材に対する密着性、表面硬化度に優れている。好ましくは、低い光学歪み性(低複屈折性)、高い光線透過率、寸法安定性、高密着性、高表面硬化度及び一定以上の耐熱性を示し、また、硬化収縮が小さいほど好ましい。
【0075】
特にこの硬化物の透明性については、550nmにおける光路長0.1mm当たりの光線透過率が80%以上であることが好ましく、より好ましくは85%以上、更に好ましくは89%以上である。更に好ましくは、400nmにおける光路長0.1mm当たりの光線透過率が80%以上であることが好ましく、より好ましくは85%以上、更に好ましくは89%以上である。特に好ましくは、光路長1mm当たりで上記光線透過率を有するものが好ましい。なお、この光線透過率は、例えば、ヒューレットパッカード社製「HP8453型紫外・可視吸光光度計」にて室温で測定すればよい。
【0076】
[記録媒体]
このような本発明の光硬化性組成物は光記録媒体、好ましくはブルーレーザーを用いる次世代高密度光記録媒体用途に好適である。この光記録媒体としては、基板において誘電体膜、記録膜、反射膜など(以下、これらの層を総称して記録再生機能層という。)を形成した面に保護膜が形成される光記録媒体であって、波長380〜800nmのレーザー光、好ましくは波長450〜350nmのレーザー光を用いる光記録媒体を意味する。
【0077】
以下に、本発明の光硬化性組成物が好適に適用される光記録媒体について説明する。
【0078】
光記録媒体の基板の一主面上には、光情報の記録・再生に使用するための凹凸の溝が設けられており、例えば、スタンパを用いた光透過性樹脂の射出成形によって形成される。基板の材料は、光透過性材料であれば特に限定されないが、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリメタクリレート樹脂、ポリオレフィン樹脂等の熱可塑性樹脂及びガラスを用いることができる。なかでもポリカーボネート樹脂は、CD−ROM等において最も広く用いられ、安価であるので最も好ましい。基板の厚さは、通常0.1mm以上、好ましくは0.3mm以上、より好ましくは0.5mm以上で、通常20mm以下、好ましくは15mm以下、より好ましくは3mm以下であるが、通常は、1.2±0.2mm程度とされる。基板の外径は、一般的には130mm程度である。
【0079】
記録再生機能層は、情報信号を記録再生可能又は再生可能な機能を発揮されるように構成された層であり、単層であっても複数の層からなってもよい。記録再生機能層は、光学記録媒体が、再生専用の媒体(ROM媒体)である場合と、一度の記録のみ可能な追記型の媒体(Write Once媒体)である場合と、記録消去を繰り返し行える書き換え可能型の媒体(Rewritable媒体)である場合とによって、それぞれの目的に応じた層構成を採用することができる。
【0080】
例えば、再生専用の媒体においては、記録再生機能層は、通常、Al、Ag、Au等の金属を含有する単層で構成され、スパッタ法によりAl、Ag、Au反射層を基板上に成膜することによって形成される。
【0081】
追記型の媒体においては、記録再生機能層は、通常、Al、Ag、Au等の金属を含有する反射層と有機色素を含有する記録層とをこの順に基板上に設けることによって構成される。このような追記型の媒体としては、スパッタ法により反射層を設けた後、スピンコート法により有機色素層を基板上に形成するものを挙げることができる。また、追記型の媒体としての他の具体例としては、記録再生機能層が、Al、Ag、Au等の金属を含有する反射層と、誘電体層と、記録層と、誘電体層とをこの順に基板上に設けることによって構成され、誘電体層と記録層とが無機材料を含有するものも挙げることができる。このような追記型の媒体においては、通常、スパッタ法により反射層と、誘電体層と、記録層及び誘電体層とが形成される。
【0082】
書き換え可能型の媒体においては、記録再生機能層は、通常、Al、Ag、Au等の金属を含有する反射層と、誘電体層と、記録層と、誘電体層とをこの順に基板上に設けることによって構成され、誘電体層と記録層とが無機材料を含有するのが一般的である。このような書き換え可能型の媒体においては、通常、スパッタ法により反射層、誘電体層、記録層、及び誘電体層が形成される。また、書き換え可能型の媒体としての他の具体例としては、光磁気記録媒体を挙げることができる。記録再生機能層には、記録再生領域が設定されている。記録再生領域は、通常、記録再生機能層の内径よりも大きい内径と、記録再生機能層の外径よりも小さい外径と、の領域に設けられる。
【0083】
図1は、書き換え可能型の光学記録媒体10における記録再生機能層5の一例を説明するための図である。記録再生機能層5は、基板1上に直接設けられた金属材料から形成された反射層51と、相変化型材料により形成された記録層53と、記録層53を上下から挟むように設けられた2つの誘電体層52及び誘電体層54とで構成される。
【0084】
反射層51に使用する材料は、反射率の大きい物質が好ましく、特に放熱効果が期待できるAu、Ag又はAl等の金属が好ましい。また、反射層自体の熱伝導度制御や、耐腐蝕性の改善のため、Ta、Ti、Cr、Mo、Mg、V、Nb、Zr,Si等の金属を少量加えてもよい。少量加える金属の添加量は、通常、0.01原子%以上20原子%以下である。なかでも、Ta及び/又はTiを15原子%以下含有するアルミニウム合金、特に、AlαTa1−α(0≦α≦0.15)なる合金は、耐腐蝕性に優れており、光学記録媒体の信頼性を向上させる上で特に好ましい反射層材料である。また、Agに、Mg,Ti,Au,Cu,Pd,Pt,Zn,Cr,Si,Ge、希土類元素のいずれか1種を、0.01原子%以上10原子%以下含むAg合金は、反射率、熱伝導率が高く、耐熱性も優れていて好ましい。
【0085】
反射層51の厚さは、通常、40nm以上、好ましくは50nm以上、一方、通常300nm以下、好ましくは200nm以下である。反射層51の厚さが過度に大きいと、基板1に形成されたトラッキング用溝の形状が変化し、更に、成膜に時間がかかり、材料費も増える傾向にある。また、反射層51の厚さが過度に小さいと、光透過が起こり反射層として機能しないのみならず、反射層51の一部分に、膜成長初期に形成される島状構造の影響が出やすく、反射率や熱伝導率が低下することがある。
【0086】
2つの誘電体層52及び誘電体層54に使用する材料は、記録層53の相変化に伴う蒸発・変形を防止し、その際の熱拡散を制御するために用いられる。誘電体層の材料は、屈折率、熱伝導率、化学的安定性、機械的強度、密着性等に留意して決定される。一般的には透明性が高く高融点である金属や半導体の酸化物、硫化物、窒化物、炭化物やCa、Mg、Li等のフッ化物等の誘電体材料を用いることができる。これらの酸化物、硫化物、窒化物、炭化物、フッ化物は必ずしも化学量論的組成をとる必要はなく、屈折率等の制御のために組成を制御したり、混合して用いることも有効である。
【0087】
このような誘電体材料の具体例としては、例えば、Sc、Y、Ce、La、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Zn、Al、Cr、In、Si、Ge、Sn、Sb、及びTe等の金属の酸化物;Ti、Zr,Hf、V、Nb,Ta、Cr、Mo、W、Zn,B、Al、Ga、In、Si,Ge、Sn、Sb、及びPb等の金属の窒化物;Ti、Zr,Hf、V,Nb、Ta、Cr、Mo、W、Zn、B、Al、Ga,In、及びSi等の金属の炭化物、又はこれらの混合物を挙げることができる。また、Zn、Y、Cd、Ga、In、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、及びBi等の金属の硫化物;セレン化物もしくはテルル化物;Mg、Ca等のフッ化物、又はこれらの混合物を挙げることができる。
【0088】
繰り返し記録特性を考慮すると誘電体の混合物が好ましい。例えば、ZnSや希土類硫化物等のカルコゲン化合物と酸化物、窒化物、炭化物、弗化物等の耐熱化合物の混合物が挙げられる。例えば、ZnSを主成分とする耐熱化合物の混合物や、希土類の硫酸化物、特にYSを主成分とする耐熱化合物の混合物は好ましい誘電体層組成の一例である。より具体的には、ZnS−SiO、SiN、SiO、TiO、CrN、TaS、YS等を挙げることができる。これら材料の中でも、ZnS−SiOは、成膜速度の速さ、膜応力の小ささ、温度変化による体積変化率の小ささ及び優れた耐候性から広く利用される。
【0089】
誘電体層52又は誘電体層54の厚さは、通常、1nm以上、500nm以下である。厚さ1nm以上とすることで、基板や記録層の変形防止効果を十分確保することができ、誘電体層としての役目を十分果たすことができる。また、厚さ500nm以下とすれば、誘電体層としての役目を十分果たしつつ、誘電体層自体の内部応力や基板との弾性特性の差等が顕著になって、クラックが発生するということを防止することができる。
【0090】
記録層53を形成するための材料としては、例えば、GeSbTe、InSbTe、AgSbTe、AgInSbTe等の組成の化合物が挙げられる。なかでも、{(SbTe1−x(GeTe)1−ySb(0.2≦x≦0.9、0≦y≦0.1)合金又は(SbTe1−x1−y(ただし、0.6≦x≦0.9、0.7≦y≦1、MはGe、Ag、In、Ga、Zn、Sn、Si、Cu、Au、Pd、Pt、Pb、Cr、Co、O、S、Se、V、Nb、Taより選ばれる少なくとも1種)合金を主成分とする薄膜は、結晶・非晶質いずれの状態も安定でかつ、両状態間の高速の相転移が可能である。更に、繰り返しオーバーライトを行った時に偏析が生じにくいといった利点があり、最も実用的な材料である。
【0091】
記録層53の膜厚は、通常5nm以上、好ましくは10nm以上である。このような範囲とすれば、アモルファス状態と結晶状態との十分な光学的コントラストを得ることができる。また、記録層53の膜厚は、通常30nm以下、好ましくは20nm以下である。このような範囲とすれば、記録層53を透過した光が反射層で反射することによる光学的なコントラストの増加を得ることができ、また熱容量を適当な値に制御することができるので高速記録を行うことも可能となる。特に、記録層53の膜厚を10nm以上、20nm以下とすれば、より高速での記録及びより高い光学的コントラストを両立することができるようになる。記録層53の厚さをこのような範囲にすることにより、相変化に伴う体積変化を小さくし、記録層53自身及び記録層53の上下と接する他の層に対して、繰り返しオーバーライトによる繰り返し体積変化の影響を小さくすることができる。更に、記録層53の不可逆な微視的変形の蓄積が抑えられ、ノイズが低減され、繰り返しオーバーライト耐久性が向上する。
【0092】
反射層51、記録層53、誘電体層52及び誘電体層54は、通常スパッタリング法などによって形成される。記録層用ターゲット、誘電体層用ターゲット、必要な場合には反射層材料用ターゲットを同一真空チャンバー内に設置したインライン装置で膜形成を行うことが各層間の酸化や汚染を防ぐ点で望ましい。また、生産性の面からも優れている。
【0093】
保護層3は、例えば、本発明の記録媒体用光硬化性組成物をスピンコートし、これを硬化させることにより形成され、記録再生機能層5に接して設けられ、平面円環形状を有している。保護層3は、記録再生に用いられるレーザー光を透過可能な材料により形成されている。保護層3の光透過率は、記録・再生に用いられる光の波長において、通常、80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは89%以上であることが必要である。このような範囲であれば、記録再生光の吸収による損失を最小限にすることができる。一方、光透過率は、100%になることが最も好ましいが、用いる材料の性能上、通常99%以下となる。
【0094】
本発明の光硬化性組成物により形成される保護層3は、光ディスクの記録再生に用いる波長405nm付近の青色レーザー光に対して十分に透明性が高く、かつ基板1上に形成された記録層53を、水や塵埃から保護するような性質を持つことが望ましい。加えて、保護層3の表面硬度は、JIS K5400に準拠した鉛筆硬度試験による表面硬度がHB以上、特にF以上であるのが好ましく、H以上であるのが更に好ましく、7H以下であるのが好ましい。硬度が小さ過ぎると、表面に傷が付きやすいため好ましくない。硬度が大き過ぎること自体の問題はないが、硬化物が脆くなる傾向となり、クラックや剥離が生じやすく好ましいことではない。
【0095】
更に、保護層3と記録再生機能層5との密着性は高いほうが好ましい。更に経時密着性も高いほうが好ましく、80℃、85%RHの環境下に100時間、更に好ましくは200時間置いた後の該保護層3と記録再生機能層5との密着面積の割合が、当初密着面積の50%以上を保持していることを特徴とする。更に好ましくは80%以上、特に好ましくは100%である。
【0096】
保護層3の膜厚は、通常10μm以上、好ましくは20μm以上、より好ましくは30μm以上、更に好ましくは70μm以上、特に好ましくは85μm以上である。膜厚をこのような範囲とすれば、保護層3表面に付着したゴミや傷の影響を低減することができ、また記録再生機能層5を外気の水分等から保護するのに十分な厚さとすることができる。また、保護層3の膜厚は、通常、300μm以下、好ましくは130μm以下、より好ましくは115μm以下である。膜厚をこの範囲とすれば、スピンコートなどで用いられる一般的な塗布方法で均一な膜厚を容易に形成することができる。保護層3は記録再生機能層5をカバーする範囲に均一な膜厚で形成されることが好ましい。
【0097】
上記のようにして得られた光記録媒体は、単板で用いてもよく、2枚以上を貼り合わせて用いてもよい。そして、必要に応じてハブを付け、カートリッジへ組み込めばよい。
【実施例】
【0098】
以下、本発明の実施例について説明する。但し、その要旨の範囲を越えない限り、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0099】
合成例1:酸性基含有ウレタンアクリレートの合成
4つ口フラスコにイソホロンジイソシアネート222.3gとジブチルスズラウレート60mgを入れ、オイルバスにて70〜80℃に加熱し、温度が一定になるまで静かに撹拌した。温度が一定になったら、ジメチロールブタン酸44.6gとポリテトラメチレンエーテルグリコール165.4gの混合物を滴下漏斗にて滴下し、温度を70℃に保ちながら2時間撹拌した。引き続いて、ヒドロキシエチルアクリレート143.0gとメトキノン0.3gの混合物を滴下漏斗にて滴下し、15時間撹拌させ、カルボキシル基含有ウレタンアクリレートオリゴマーを合成した。このカルボキシル基含有ウレタンアクリレートオリゴマーは、ポリテトラメチレンエーテルグリコールに由来する構成単位を30重量%含有するものであり、酸性基含有量は0.05mol/100g、アクリロイル基含有量は0.21mol/100g、ウレタン結合含有量は0.35mol/100gであった。
重量平均分子量はGPC法ポリスチレン換算で3800であった。
【0100】
合成例2:酸性基を含有しないウレタンアクリレートの合成
4つ口フラスコにイソホロンジイソシアネート222.3gとジブチルスズラウレート60mgを入れ、オイルバスにて70〜80℃に加熱し、温度が一定になるまで静かに撹拌した。温度が一定になったら、1,4−ブタンジオール27gとポリテトラメチレングリコール165.4gの混合物を滴下漏斗にて滴下し、温度を70℃に保ちながら2時間撹拌した。引き続いて、ヒドロキシエチルアクリレート143gとメトキノン0.3gの混合物を滴下漏斗にて滴下し、15時間撹拌させ、ウレタンアクリレートオリゴマーを合成した。
重量平均分子量はGPC法ポリスチレン換算で4000であった。
【0101】
<実施例1>
三角フラスコにジメチルホルムアミド5ml、合成例1で合成したカルボキシル基含有ウレタンアクリレートオリゴマー500mg、アミノプロピルトリエトキシシラン(KBE903;信越化学社製)500mgを量り取り、マグネティックスターラーで透明になるまで撹拌した。次に、加水分解触媒として0.1N塩酸水溶液0.2mlをゆっくりと滴下して30分間撹拌した。この組成物の光路長0.1mm当たりの光線透過率(波長400nm及び550nm)を測定したところ、表1の通りであり、透明であった。
【0102】
この組成物を電気炉で500℃に加熱して得た灰分の重量を測定した。また、組成物を滴定し塩基性基の量を求めた。灰分重量に対する塩基性基量、即ち無機成分中の塩基性基量は1.4mol/100gであった。
【0103】
この組成物をアルミバットに約150μmの厚さに注型し、75℃のオーブンにて8時間乾燥させた。次にこの乾燥組成物(フィルム状)をアルミバットから剥離し、光路長0.1mm当たりの光線透過率(波長400nm及び550nm)を測定したところ、表1の通りであり、透明であった。
【0104】
この乾燥組成物を、高圧水銀ランプによって1J/cmの光量の紫外線を照射することにより光硬化させ、硬化フィルムを得た。硬化フィルムの光路長0.1mm当たりの光線透過率(波長400nm及び550nm)を測定したところ、表1の通りであり、透明であった。
【0105】
<実施例2>
アミノプロピルトリエトキシシランを1000mg用いた以外は実施例1と同様に行い、光路長0.1mm当たりの光線透過率を評価したところ、表1の通りであり、組成物、乾燥組成物、硬化フィルムともに透明であった。
【0106】
<実施例3>
アミノプロピルトリエトキシシランと共にテトラエトキシシラン(KBE04;信越化学社製)を100mg追加して添加した以外は実施例1と同様に行い、光路長0.1mm当たりの光線透過率を評価したところ、表1の通りであり、組成物、乾燥組成物、硬化フィルムともに透明であった。また、無機成分中の塩基性基量は1.2mol/100gであった。
【0107】
<比較例1>
アミノプロピルトリエトキシシラン500mgの代わりにテトラエトキシシラン500mgを用いた以外は実施例1と同様に行ったところ、組成物を得る段階で相分離を生じ、不透明になってしまったので、その後の実験を中止した。
【0108】
<比較例2>
合成例1で合成したカルボキシル基含有ウレタンアクリレートオリゴマー500mgの代わりに合成例2で合成した酸性基を含有しないウレタンアクリレートオリゴマー500mgを用いた以外は実施例1と同様に行ったところ、組成物を得る段階で白濁してしまったので、その後の実験を中止した。
【0109】
<比較例3>(特許文献3の光硬化性組成物)
[a]テトラメトキシシランオリゴマーの調製
テトラメトキシシラン234gとメタノール74gを混合した後、0.05%塩酸22.2gを加え、65℃で2時間加水分解反応を行った。次いで系内温度を130℃に昇温し、生成したメタノールを除去した後、窒素ガスを吹き込みながら温度を徐々に150℃まで上昇させ、そのまま3時間保ってテトラメトキシシランモノマーを除去し、テトラメトキシシランオリゴマーを得た。
【0110】
[b]シリカ粒子の調製
上記操作によって得られたテトラメトキシシランオリゴマー30.8gにメタノール62.4gを加えて均一に撹拌した後、触媒としてアセチルアセトンアルミニウムを0.31g溶解させた。この溶液に脱塩水を6.5gを撹拌しながら徐々に滴下させ、そのまま60℃で2時間撹拌し、シリカ粒子を成長させた。生成したシリカ粒子の直径は、TEM電子顕微鏡を用いた形態観察により、2〜5nmと見積られた。
【0111】
[c]シランカップリング剤によるシリカ粒子表面の疎水性化処理
上記の操作によって得られたシリカ粒子のアルコール溶液40gにシランカップリング剤としてアクリロキシプロピルトリメトキシシラン10gを加え、室温にて2時間撹拌し、シリカ粒子表面にシランカップリング剤を反応させ、シラン処理シリカ粒子溶液50gを得た。
【0112】
[d]ウレタンアクリレートオリゴマーの合成
合成例2で合成したウレタンアクリレートオリゴマーにアクリロイルモルフォリン186gを加えて希釈し、ウレタン樹脂組成物Aとした。
【0113】
[e]光重合性官能基を含有する樹脂モノマーの混合と溶媒除去
上記シラン処理シリカ粒子溶液に、ウレタン樹脂組成物Aを38.3g、光ラジカル発生剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンを2.7g添加し、室温にて2時間撹拌して透明な硬化性樹脂組成物を得た。
【0114】
この硬化性樹脂組成物に含まれる低沸点成分を、減圧下60℃で1時間エバポレーションによって除去した。
【0115】
この組成物、乾燥組成物、硬化フィルムの光路長0.1mm当たりの光線透過率を実施例1と同様にして測定したところ、表1に示す如く、組成物、乾燥組成物、硬化フィルムのいずれも透明であったが、上述の如く、組成物の調製に多数の煩雑な工程を要し、工業的な生産効率に劣るものであった。
【0116】
なお、表1には実施例1〜3及び比較例1〜3における組成物の製造に要した時間を併記した。
【0117】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】本発明の記録媒体用光硬化性組成物が適用される光記録媒体の一例の断面を表す模式図である。
【符号の説明】
【0119】
1 基板
3 保護層
5 記録再生機能層
10 光学記録媒体
51 反射層
52,54 誘電体層
53 記録層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸性基を有する重量平均分子量500以上の有機成分と、塩基性基を有する無機成分とを含有し、波長550nmの光線透過率が85%以上であることを特徴とする記録媒体用光硬化性組成物。
【請求項2】
該無機成分がケイ素化合物である請求項1に記載の記録媒体用光硬化性組成物。
【請求項3】
該有機成分がウレタン結合を有する請求項1又は2に記載の記録媒体用光硬化性組成物。
【請求項4】
波長400nmの光線透過率が80%以上である請求項1ないし3のいずれかに記載の記録媒体用光硬化性組成物。
【請求項5】
酸性基を有する重量平均分子量500以上の有機成分と、塩基性基及びアルコキシ基を有する無機成分とを、溶媒中で接触させることを特徴とする記録媒体用光硬化性組成物の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2006−70098(P2006−70098A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−252632(P2004−252632)
【出願日】平成16年8月31日(2004.8.31)
【出願人】(000005968)三菱化学株式会社 (4,356)
【Fターム(参考)】