説明

記録媒体発行装置及び記録媒体発行方法

【課題】 記録媒体への記録及びラベル印刷を自動的に行うことができ、データセキュリティに優れる記録媒体発行装置及び記録媒体発行方法を提供すること。
【解決手段】 ホスト装置等50〜53から受信した記録データを、データセキュリティ検査部31により検査し、ウイルス汚染されていなければデータ記録部11により受信した記録データをCD等に記録する。データ生成部32で、実行したウイルス検査の検索エンジン及びウイルス定義ファイル等の検査情報を生成し、印刷部32によりCD等の表面に検査情報を印刷する。記録媒体は、記録媒体搬送制御部34による制御の下、記録媒体搬送機構13により未記録媒体収納機構14から取り出され、データ記録部11、印刷部12、記録済媒体収納機構15または取出し機構16に搬送される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大量データを記録した長期保存可能な記録媒体にデータを書込み、書込済記録媒体の表面にラベル印刷を行う記録媒体発行装置及びそのような記録媒体発行方法に関する。
【背景技術】
【0002】
大量のデータを長期間保存可能な記録媒体として、CD、DVDなどの光ディスクが普及している。光ディスクにデータを書き込むための装置としては、CD/DVD等に記録する記録メディアドライブ(読み書き装置)が種々販売されている。これらの装置は、PC等のホスト装置に接続されて、ホスト装置からの命令に基づいて、受信したデータを光ディスクに書込み記録するものが一般的である。しかし、これらの装置は、CD等にデータを書き込むことはできるが、印刷機能を備えておらず、CD等の表面に印刷するには、記録メディアドライブとは別の専用プリンタにより、印刷する必要があった。
【0003】
これに対して、特許文献1には、CD−ROMドライブと印刷部を備え、音楽データ等をダウンロードしてCD等に書込み、記録メディア(記録媒体)の印刷面にジャケット画像の印刷を行う情報処理装置が提案されている。また特許文献2には、CD等の記録媒体にデータを記録する記録手段とラベル印刷手段を備え、医療用画像を記録媒体に記録し、識別ラベルを記録媒体に印刷して、自動的に記録媒体を発行する記録媒体発行装置とが開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2002−108598号公報
【特許文献2】特開2002−058649号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1及び特許文献2に記載の技術は、オンデマンドでCD/DVD等の記録媒体を発行し、記録媒体上に印刷することはできるものの、データセキュリティについては考慮されていない。そのため、書き込みデータがウイルスやスパイウェア(以下「ウイルス等」と称する)に汚染されていると、ウイルス等に汚染されたCD等が作成されることになる。これらの装置は簡単に大量の記録媒体を比較的高速で発行することまたは複製することができるので、爆発的にウイルス等の汚染が広がるおそれがある。これらの汚染を防止するために、CD等に書き込むデータをホスト装置等において予めウイルスチェックを行うことも考えられるが、それでは、CD等作成のための操作手順が複雑になる。また、作成された記録媒体がウイルス検査されているかどうかが判らなければ、使用する側は記録媒体のウイルスチェックがされているかどうかを把握する必要がある。そのため、作成したCD等についてのウイルス検査の実行状態についての管理が必要となる。
【0006】
本発明は、これらの問題点に鑑みなされたもので、記録媒体の発行の手間がかからず、データセキュリティに優れる記録媒体発行装置及び記録媒体発行方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みなされたもので、CD/DVD等の記録媒体にデータを書込み、記録媒体の表面にラベル印刷する記録媒体発行装置において、記録媒体に記録されるデータについての安全性検査(データセキュリティチェック)を行い、その検査情報を記録媒体表面にラベル印刷することにより、書込済記録媒体のデータの安全性検査状況を即座に確認できるようにして、上記課題を達成する。
【0008】
本発明の第1の態様にかかる記録媒体発行装置は、ホスト装置またはネットワークに接続され、該ホスト装置またはネットワークから受信した記録データを保存可能な記録媒体へ書込み、書込済みの該記録媒体の表面にラベル印刷を行う記録媒体発行装置であって、未使用の記録媒体に記録データを書き込むデータ記録部と、書込済みの記録媒体の表面にラベル印刷を行う印刷部と、記録媒体を搬送する搬送部と、記録媒体に書き込まれるデータの安全性を検査するデータセキュリティ検査部と、実行したデータの安全性検査についての検査情報を生成するデータ生成部と、上記各部を制御して、ホスト装置またはネットワークから受信した記録データの安全性検査の実行、受信した記録データの記録媒体への書き込み処理、及び記録済の記録媒体の表面への検査情報の印刷処理を実行させる主制御部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
この態様によると、記録媒体に書き込む記録データの安全性を記録媒体発行装置自身で自動的に検査するので、記録媒体への書込み前にウイルス検査等を行う必要がなく、操作者は何ら意識することなく、データ汚染を防止することが可能となる。また、記録媒体の表面に実行した安全性検査に関する検査情報が印刷されるので、例えば、当該記録媒体についてウイルス検査が実行されているのか、いつどのようなウイルス検査がなされたのか等を即座に確認することができる。データの安全性検査(データセキュリティチェック)としては、例えばウイルスチェック、スパイウェアの検査等、使用者の意図に反するあらゆるソフトウェアの存在を検出するすべての検査を含めることができ、いずれの検査を行うかは自由に選択可能である。また、データの安全性検査の概念中に、検査により検出された意図しないソフトウェアを排除する処理も含めることができる。
【0010】
本発明の他の態様にかかる記録媒体発行装置は、データセキュリティ検査部が、少なくとも、安全性検査としてウイルス検査を実行し、データ生成部は、検査情報として、少なくとも、データセキュリティ検査部において実行されたウイルス検査のウイルス定義ファイルまたはウイルス検索エンジンを特定する情報を生成することを特徴とする。この態様では、データの安全性検査として、少なくともウイルスチェックを行い、検査情報としてウイルス定義ファイルまたはウイルス検査エンジンを特定する情報を生成することを特徴とする。この態様は、検査情報として、少なくともウイルス定義ファイルまたはウイルス検査エンジンのいずれか一方を必ず含んでいればよく、ウイルス定義ファイルまたはウイルス検査エンジンの双方を含むこと及びこれらの以外の情報を含む場合もこの態様に包含される。
【0011】
本発明の他の態様にかかる記録媒体発行装置は、さらに、記録データに加えて、検査情報を記録済媒体に書き込むことを特徴とする。
【0012】
本発明の他の態様にかかる記録媒体発行装置は、データの安全性を検査するデータセキュリティ検査部及び実行したデータの安全性検査についての検査情報を生成するデータ生成部を備えるホスト装置またはサーバに接続され、ホスト装置またはサーバから受信した記録データを保存可能な記録媒体へ書込み、書込済みの該記録媒体の表面にラベル印刷を行う記録媒体発行装置であって、ホスト装置またはサーバから受信した記録データを未使用の記録媒体に書き込むデータ記録部と、ホスト装置またはサーバから受信した検査情報を、書込済みの記録媒体の表面にラベル印刷を行う印刷部とを備えることを特徴とする。この態様は、ホスト装置等から、検査情報を受信して、記録媒体の表面にラベル印刷するものである。
【0013】
本発明の他の態様にかかる記録媒体発行装置は、検査情報が、少なくともウイルス検査のウイルス定義ファイルまたはウイルス検索エンジンを特定する情報を含むことを特徴とする。
【0014】
本発明の他の態様にかかる記録媒体発行装置は、データ記録部が、記録データに加えて、検査情報を記録済媒体に書き込むことを特徴とする。ホスト装置等から受信した検査情報等をさらに記録媒体にも書込むものである。
【0015】
本発明の第1の態様にかかる記録媒体発行方法は、ホスト装置又はネットワークに接続されており、データ記録部及び印刷部を備え、ホスト装置またはサーバから受信した記録データを保存可能な記録媒体に書込み、書込済みの記録済媒体の表面にラベル印刷を行う記録媒体発行装置の記録媒体発行方法であって、
(a)記録データの安全性検査を行う工程と、
(b)工程(a)による安全性検査に関する検査情報を生成する工程と、
(c)記録媒体に記録データを書込む工程と、
(d)工程(b)において作成した書込済みの前記記録媒体を印刷部に搬送する工程と、
(e)書込済みの記録媒体の表面に検査情報を印刷する工程と、
を備えることを特徴とする。
【0016】
本発明の他の態様にかかる記録媒体発行方法は、工程(a)は安全性検査としてウイルス検査を実行し、工程(b)は、少なくとも、工程(a)において実行したウイルス検査のウイルス定義ファイルまたはウイルス検索エンジンを特定する検査情報を生成することを特徴とする。
【0017】
本発明の他の態様にかかる記録媒体発行方法は、工程(c)は、記録データに加えて、検査情報を記録媒体に書込むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によると、記録媒体に書き込まれる記録データの安全性検査を記録媒体発行装置により自動的に実行し、データの安全性検査に関する検査情報を記録媒体の表面に印刷する。これにより、記録データを記録媒体発行装置に送信する前に予め記録データの安全性検査をする等の煩雑な操作をする必要がなく、例えば、ウイルス検査忘れ等によるウイルス汚染を防止すること等が可能となる。また記録媒体への書込み直後にその記録媒体のウイルス検査日、ウイルス検索エンジン、ウイルス定義ファイル等のデータの安全性に関する検査情報を書込済記録媒体に印刷しておくことにより、作成した記録媒体の安全性に関する情報を記録媒体の印刷情報から得ることができる。これにより、ウイルス検査情報等の安全性検査に関する情報を別途管理する必要がなくなるだけでなく、当該記録媒体の検査情報が必要となったときに、管理ファイル等にアクセスして調べなくとも、記録媒体の印刷情報をみるだけで即座に確認することが可能となる。さらに、記録媒体にもウイルス検査情報等安全性検査に関する情報が記録されているので、任意のシステムは、そのメディアの安全性を容易に確認することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図面を用いて本発明の最良の実施形態を説明する。図1は本発明の一実施形態にかかる記録媒体発行装置10の構成及び接続形態の概略を示すブロック図であり、図2は、記録媒体発行装置10の機能ブロック図である。記録媒体発行装置10は、PC等からなるホスト装置50、またはLAN等のネットワークに接続されており、ホスト装置50、クライアント51,52またはサーバ53(以下、「ホスト装置等50〜53」と称する)からの指示に基づいて、CD/DVD等の長期保存可能な記録媒体に、ホスト装置等50〜53から受信したデータを書込み、書込みが完了した記録媒体の表面にラベル印刷を行う。作成された書込済媒体は、内部の収納部に保管して管理することも、そのまま排出することも可能である。尚、以下の説明においては、使用されておらず何も書込まれていない記録媒体を「未使用記録媒体」と称し、記録媒体発行装置10により書込まれた記録媒体を「書込済記録媒体」と称し、書き込み前であるか書き込み後であるかを特に区別しないときには単に「記録媒体」と称することとする。
【0020】
<記録媒体発行装置の構成>
記録媒体発行装置10は、データ処理部20と、記録媒体にデータを書込むデータ記録部11、書込済記録媒体の表面にラベル印刷を行う印刷部12、記録媒体を搬送する記録媒体搬送機構13、未使用記録媒体を保管している未記録媒体収納機構14、書込済記録媒体を保管管理する記録済媒体収納機構15、書込済記録媒体を取り出すための取り出しゲートを開閉する取出し機構16、及び記録媒体発行装置を操作するための操作部17とを備えている。
【0021】
データ処理部20は、CPU25、ROM22,RAM23、及びROM22等に記憶されている制御プログラム(図示せず)、外部装置とデータの送受信を行う通信I/F(インタフェース)21及び入出力インタフェース24を備えており、記録媒体発行装置全体を制御するほか、データ記録部11、印刷部12、その他の機構13〜17の動作を制御する。
【0022】
データ記録部は、記録制御部及びデータを記録する記録機構を備えているデータ記録装置であり、例えばCDまたはDVD等の光ディスク(記録媒体)にデータを書込みまたはこれらの記録媒体からデータを読み出すデータ読み書き装置である。また、印刷部は、印刷制御部及び印刷機構を備えた印刷装置であり、CDまたはDVD等の記録媒体の表面に所定の情報を印刷(ラベル印刷)する。
【0023】
未記録媒体収納機構14は、例えば未使用のCD等を10枚以上保管しており、記録媒体搬送機構により一枚ずつ取り出すことができる機構である。記録済媒体収納機構15は、書込みが完了した記録済媒体を10枚以上保管することができ、特定の記録済み媒体を指定して取り出すことが可能な機構である。取出し機構16は、記録媒体の取り出し口のゲート機構であり、書込み完了後の書込済記録媒体または記録済媒体収納機構に保管されている書込済記録媒体が取出し機構から取り出される。
【0024】
図2を用いて、記録媒体発行装置10をより詳細に説明する。データ処理部20は、データ処理部20全体の動作を制御する主制御部30と、データセキュリティの観点からウイルス検査やスパイウェアの検査等のデータの安全性検査を実行するデータセキュリティ検査部31、実行したデータの安全性検査の検査情報を作成するデータ生成部32と、記録媒体の搬送を制御する記録媒体搬送制御部34、記録媒体の収納状況を管理する記録媒体収納管理部35、及び取出し機構16を制御する記録媒体取出制御部36を備えている。
【0025】
主制御部30は、データ記録部11及び印刷部12を制御して、ホスト装置等50〜53から受信した記録データを未使用記録媒体に記録し、書込済媒体の表面へ検査情報をラベル印刷する。また、データセキュリティ検査部31、データ生成部32、記録媒体搬送制御部34、未記録媒体収納管理部35、記録媒体取出制御部36の動作を制御する。
【0026】
データセキュリティ検査部31は、記録媒体に記録される記録データの安全性の検査を行う。データの安全性検査(データセキュリティチェック)としては、例えばウイルスチェック、スパイウェアの検査等、使用者の意図に反するあらゆるソフトウェアの存在を検出するすべての検査を含めることができ、いずれの検査を行うかは自由に選択可能である。また、データの安全性検査の概念中に、検査により検出された意図しないソフトウェアを排除する処理も含めることができる。
【0027】
尚、本明細書の以下の説明では、データの安全性の検査の代表的な例として、ウイルス検査を用いて説明する。
【0028】
データセキュリティ検査部31により、ウイルス検査を行うためのウイルス検索エンジン及びウイルス定義ファイル等は、適宜最新のものに更新される。データ生成部32は、ウイルス検査を実行した検索エンジン、ウイルス定義データを特定する検査情報を生成する。検査情報は、主制御部30から印刷部に出力されて、書込済記録媒体の表面に印刷される。さらに、検査情報を、主制御部30を介してデータ記録部11に送信し、記録媒体上に書き込むことも可能である。記録媒体上に記録しておくことにより、ラベルに印刷されたウイルス検査データ等が擦れて読めなくなった場合に、ウイルス検査データ等が記録媒体に記録されていると、記録媒体の検査状態の確認が容易となる。
【0029】
記録媒体搬送制御部34は、主制御部30の制御に従い、未使用記録媒体を未記録媒体収納機構14から取り出し、データ記録部11、印刷部12、記録済媒体収納機構15、及び取出し機構16に搬送するよう記録媒体搬送機構13を制御する。記録媒体収納管理部34は、未記録媒体収納機構14に収納されている未使用記録媒体の数、記録済媒体収納機構15に保管されている書込済記録媒体の数等、収納されている記録媒体を管理する。記録媒体取出制御部36は、主制御部30の制御の下、取り出しゲート等(図示せず)を備える取出し機構16を制御する。
【0030】
<記録媒体の搬送制御>
図3に記録媒体搬送機構13による記録媒体の搬送動作手順を示す。記録媒体搬送制御部34は、主制御部30の命令に基づき、記録媒体搬送機構13の動作を制御する。記録媒体搬送機構13は、CD、DVD等のように記録媒体の中央に設けられている貫通孔に鉤状のフックを挿入して持ち上げて搬送する構造、またはアームを記録媒体の下に挿入して持ち上げる構造等、公知の種々の機構を採用可能である。
【0031】
ホスト装置等からデータ記録命令を受信すると、主制御部30は、未使用記録媒体40をデータ記録部11にセットするよう記録媒体搬送制御部34に命令をする。記録媒体搬送制御部34は、この命令に基づき、未記録媒体収納機構14から未使用記録媒体40を取り出し、未使用記録媒体40をデータ記録部11にセットする。データ記録部11により未使用記録媒体40への書込みが終了し書込済記録媒体41が作成されると、記録媒体搬送制御部34は、主制御部30からの指示に基づき、書込済記録媒体41を印刷部12に搬送する。印刷部12に搬送された書込済記録媒体41は、主制御部30からの印刷指示に基づいて、表面にウイルス検査の検査情報等(タイトル等のレーベル情報を含む。以下同じ)がラベル印刷される。印刷が終了すると、記録媒体搬送制御部34は、主制御部からの指示に基づき、印刷後の書込済記録媒体41を、記録済媒体収納機構15または取出し機構16に搬送する。
【0032】
記録済媒体収納機構15に搬送された書込済記録媒体は、記録媒体収納管理部35により管理される。記録済媒体収納機構15は、書込済記録媒体を複数枚(例えば10枚以上)収納することができる。取出し機構16に搬送された書込済記録媒体41は、記録媒体取出制御部36の制御に基づいて取出しゲート(図示せず)が開き、取出し可能となる。
【0033】
<書込済記録媒体の発行処理手順例1>
図4を用いて、本発明の一実施形態にかかる書込済記録媒体の発行処理手順を説明する。以下の処理手順においても、データセキュリティ検査は、ウイルス検査のみを行うものとして説明する。ホスト装置等50〜53から記録媒体の作成命令を受信すると、主制御部30は、未使用記録媒体40を、データ記録部11へ搬送するように記録媒体搬送制御部34に搬送命令を出力する。記録媒体搬送制御部34をこの命令を受けて、未使用記録媒体40を取り出し、データ記録部11にセットするまでの一連の搬送処理を開始する(S101)。
【0034】
次にホスト装置等から受信した記録データがウイルスに感染していないかどうかを検査する(S102)。ウイルス感染している場合には(S103;No)、ウイルス感染の警告を表示して(S112)、記録媒体の作成を中止する。ウイルスに感染していなければ(S103;Yes)、未使用記録媒体40)の搬送が終了するのを待つ(S104;No)。未使用記録媒体40の搬送が終了してデータ記録部11にセットされると(S104;Yes)、主制御部30の書込み命令に基づき、未使用記録媒体40にホスト装置等から受信した記録データが書き込まれる(S105)。
【0035】
記録媒体への書込みが終了すると、主制御部30は書込済記録媒体を印刷部12に搬送するように、記録媒体搬送制御部34に搬送命令を出力する。記録媒体搬送制御部34は、搬送命令に基づき、書込済記録媒体41を印刷装置12に搬送する一連の搬送処理を開始する(S106)。また、書込済記録媒体41を搬送している間に、データ生成部32はウイルス検査を実行した日付、ウイルス検索エンジン及びウイルス定義ファイル等を特定する情報等の検査情報を生成し、主制御部30に出力する(S107)。
【0036】
書込済記録媒体41の搬送が終了するのを待ち(S108;No)、搬送が終了すると(S108;Yes)、主制御30は印刷部12に対して検査情報を印刷するように命令する(S109)。これにより印刷部12は、タイトル等レーベル情報を含む検査情報等を書込済記録媒体の表面に印刷する。
【0037】
印刷が終了すると、主制御部30は再び記録媒体搬送制御部に対して、記録済媒体収納機構15または取出し機構16に書込済記録媒体を搬送するよう命令する。記録済媒体収納機構15または取出し機構16のいずれに搬送するかは、ホスト装置等50〜53から受信した処理命令に基づいて決定される。記録媒体搬送制御部34は、搬送命令に基づいて記録媒体搬送機構13を制御し、印刷の終了した書込済記録媒体41の搬送を開始する(S110)。搬送が終了すると(S111;Yes)、書込済記録媒体の発行処理は終了する。尚、書込済記録媒体が取出し機構16に搬送される場合には、記録媒体取出し制御部36により取出しゲートが開かれて、書込済記録媒体が取り出し可能となる(図示せず)。
【0038】
上記処理手順では、書込済記録媒体41をデータ記録部11から印刷部12に搬送する間に、検査情報を生成する例を示している(S107)。しかし、検査情報の生成タイミングはこれに限らず、未使用記録媒体40の搬送中、データ記録部11による記録データの書込み処理中に、生成するように構成してもよい。また、ウイルス検査実行中に検査情報を生成するようにしてもよい。
【0039】
さらに、上記処理手順では、ウイルスを検出したときには、記録媒体の作成を中止したが、記録媒体の作成を継続し、検出したウイルス情報をラベル印刷するようにしてもよい。実際にウイルスパターンと合致するが、ウイルスではない場合等もあるので、このようなデータを作成する場合には、このような処理が有用である。
【0040】
<書込済記録媒体の発行処理手順例2>
図5を用いて、本発明の一実施形態にかかる書込済記録媒体の発行処理手順を説明する。この実施形態では、ウイルス検査に関する検査情報を印刷するだけでなく、記録媒体にも書き込むようにしたものである。
【0041】
ホスト装置等50〜53から記録媒体の作成命令を受信すると、主制御部30は、未使用記録媒体40を取り出してデータ記録部11にセットする一連の搬送処理を開始するように、記録媒体搬送制御部34に搬送命令を出力する。記録媒体搬送制御部34をこの命令を受けて、未使用記録媒体40の搬送を開始する(S201)。
【0042】
次にホスト装置等50〜53から受信した記録データがウイルスに感染していないかどうかを検査し(S202)、ウイルス感染している場合には(S203;No)、ウイルス感染の警告を表示して(S212)、記録媒体の作成処理を中止する。ウイルスに感染していなければ(S203;Yes)、ウイルス検査に関する検査情報を生成し(S204)、未使用記録媒体40の搬送が終了するのを待つ(S205;No)。未使用記録媒体40の搬送が終了すると(S205;Yes)、主制御部30の書込み命令に基づき、未使用記録媒体40にホスト装置等から受信した記録データ及び検査情報が書き込まれる(S206)。
【0043】
その後の処理は、検査情報の生成工程(S207)を除き、図4の処理手順と同様であるので、これ以上説明しない。尚、この態様においては、検査情報の生成処理工程は、少なくとも記録媒体へのデータ書込み前に行われることが望ましい。しかし、必ずしもウイルス検査が終了してから作成する必要はなく、未使用記録媒体の搬送中、またはウイルス検査処理中に生成することも可能である。また、図4の説明と同様に、上記処理手順でもウイルスを検出したときには、記録媒体の作成を中止する例を示したが、記録媒体の作成を継続し、検出したウイルス情報をラベル印刷するようにしてもよい。
【0044】
<記録媒体への印刷例>
図6に書込済記録媒体41の表面にラベル印刷した例を示す。上部に会社名等のロゴ45が印刷され、下部にウイルス検査日、ウイルス検査エンジン及びウイルス定義ファイルを特定する情報46が印刷されている。尚、上述の実施形態の説明では省略したが、図6に示すような会社ロゴまたはタイトルなどのレーベル情報についてもデータ生成部により作成して、記録媒体の表面に印刷することが可能である。このように、記録媒体にデータを書き込む際にウイルス検査を自動的に行い、その内容を書込済記録媒体41の表面に自動的にラベル印刷することにより、複数の書込済記録媒体41を大量に発行する場合の作業が簡単になり、記録媒体発行装置10から発行される書込済記録媒体41が使用されるシステム全体のデータセキュリティを向上させることが可能となる。また記録媒体表面に検査情報が印刷されているので、この記録媒体がいつどのようなウイルスチェックがされたかを即座に判断することが可能となる。
【0045】
<使用例及びその他の実施形態>
このような記録媒体発行装置の利用例としては、例えば病院において、断層撮影画像等の医療情報をこれらに記録する場合、会計事務所等のように大量のデータを顧客別に保存しておく必要がある場合、建築事務所などにおいて、契約ごとに一連のデータを一枚の記録媒体に記録する場合等に有用である。また、同じ内容の記録媒体を数十、数百個程度複製する場合にも有用である。
【0046】
上述の説明では、データセキュリティに関しては、ウイルス及びスパイウェアについてのみ記述した。しかし、これに限らず、データセキュリティの観点から、機密情報を記録媒体に複写して外部に持ち出す行為を防ぐための機密情報漏洩対策として、所定のデータ形式のファイルの作成を禁止することも有用である。例えば、記録データ中に、EXCELデータ、Wordデータ、CADデータ等の特定の拡張子のファイルが存在する場合は、データ漏洩の脅威と判定して、記録媒体の作成を中止する。また、「社外秘」、「外秘」などの文字列や、「市」、「郵便番号」、「電話番号」などの文字列の出現頻度が多い場合もデータ漏洩の脅威と判定し、記録媒体の作成を中止するか、所定の警告メールを管理責任者に直ちに送信し、確認を促す等の対策を講じることも可能である。また、挿入されたメディアが社内標準品でない場合(製造メーカー、製品種類等で判断する)や、所定の規格・基準を満たしていない場合等も、不正にデータが複製されている可能性が高い上、作成権限を有している場合であっても、記録されるデータの読取精度等のデータ安定性の観点からデータセキュリティ上の脅威と判定することも可能である。 さらに、上述の実施形態においては、記録媒体作成装置10内にデータセキュリティ検査部31およびデータ生成部32を設けている例のみを説明したが、データセキュリティ検査部およびデータ生成部をホスト装置またはサーバに設けて、ホスト装置等から受信した検査情報、レーベル情報に基づいて、記録媒体のラベル印刷を行い、さらに検査情報を記録媒体に書込むような構成とすることも可能である。
【0047】
また、上述の例では、記録媒体書き込み装置は一台しか示していないが、高速書き込みが必要な場合には、記録媒体書き込み装置を複数台設けることも可能である。また、本発明に用いる記録媒体は、書込み可能なものであれば良く、一度だけ書込みのみが可能なものであっても、再書込み可能なものであってもよい。
【0048】
さらに、上記説明では記録データの書込み前にデータセキュリティの検査を行う例を示したが、記録媒体に書き込んだ後でセキュリティ検査を行うこともできる。さらに、書込み前と書込み後の双方でデータセキュリティの検査を実行するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の一実施形態にかかる記録媒体発行装置の構成及び接続形態の概略を示すブロック図である。
【図2】図1に示す記録媒体発行装置の機能ブロック図である。
【図3】記録媒体搬送機構による記録媒体の搬送手順を模式的に示す概念図である。
【図4】本発明の記録媒体発行装置における記録録媒体の作成処理手順の一実施形態を示すフローチャートである。
【図5】本発明の記録媒体発行装置における記録録媒体の作成処理手順の他の実施形態を示すフローチャートである。
【図6】書込済記録媒体の表面にラベル印刷した例を示す外観図である。
【符号の説明】
【0050】
10 記録媒体発行装置 11 データ記録部
12 印刷部 13 記録媒体搬送機構
14 未記録媒体収納機構 15 記録済媒体収納機構
16 取出し機構 17 操作部
20 データ処理部 21 通信インタフェース
22 ROM 23 RAM
24 入出力インタフェース 25 CPU
30 主制御部 31 データセキュリティ検査部
32 データ生成部 34 記録媒体搬送制御部
35 記録媒体収納管理部 36 記録媒体取出制御部
40 未使用記録媒体 41 書込済記録媒体
41 ロゴ 45 検査情報
50 ホスト装置 51、52 クライアント
53 サーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホスト装置またはネットワークに接続され、該ホスト装置またはネットワークから受信した記録データを保存可能な記録媒体へ書込み、書込済みの該記録媒体の表面にラベル印刷を行う記録媒体発行装置であって、
未使用の前記記録媒体に前記記録データを書き込むデータ記録部と、
前記書込済みの前記記録媒体の表面にラベル印刷を行う印刷部と、
前記記録媒体に書き込まれるデータの安全性を検査するデータセキュリティ検査部と、
実行したデータの安全性検査についての検査情報を生成するデータ生成部と、
前記各部を制御して、前記ホスト装置またはネットワークから受信した記録データの安全性検査の実行、受信した記録データの前記記録媒体への書き込み処理、及び記録済の前記記録媒体の表面への前記検査情報の印刷処理を実行させる主制御部と、
を備えることを特徴とする記録媒体発行装置。
【請求項2】
前記データセキュリティ検査部は、少なくとも、前記安全性検査としてウイルス検査を実行し、
前記データ生成部は、前記検査情報として、少なくとも、前記データセキュリティ検査部において実行されたウイルス検査のウイルス定義ファイルまたはウイルス検索エンジンを特定する情報を生成することを特徴とする請求項1に記載の記録媒体発行装置。
【請求項3】
さらに、前記記録データに加えて、前記検査情報を前記記録済媒体に書き込むことを特徴とする請求項1または2に記載の記録媒体発行装置。
【請求項4】
データの安全性を検査するデータセキュリティ検査部及び実行したデータの安全性検査についての検査情報を生成するデータ生成部を備えるホスト装置またはサーバに接続され、前記ホスト装置またはサーバから受信した記録データを保存可能な記録媒体へ書込み、書込済みの該記録媒体の表面にラベル印刷を行う記録媒体発行装置であって、
前記ホスト装置またはサーバから受信した前記記録データを未使用の前記記録媒体に書き込むデータ記録部と、
前記ホスト装置またはサーバから受信した前記検査情報を、書込済みの前記記録媒体の表面にラベル印刷を行う印刷部と、
を備えることを特徴とする記録媒体発行装置。
【請求項5】
前記検査情報は、少なくともウイルス検査のウイルス定義ファイルまたはウイルス検索エンジンを特定する情報を含むことを特徴とする請求項4に記載の記録媒体発行装置。
【請求項6】
前記データ記録部は、前記記録データに加えて、前記検査情報を前記記録済媒体に書き込むことを特徴とする請求項4または5に記載の記録媒体発行装置。
【請求項7】
ホスト装置又はネットワークに接続されており、データ記録部及び印刷部を備え、前記ホスト装置またはネットワークから受信した記録データを保存可能な記録媒体に書込み、書込済みの記録済媒体の表面にラベル印刷を行う記録媒体発行装置の記録媒体発行方法であって、
(a)前記記録データの安全性検査を行う工程と、
(b)工程(a)による前記安全性検査に関する検査情報を生成する工程と、
(c)前記記録媒体に前記記録データを書込む工程と、
(d)前記工程(b)において作成した書込済みの前記記録媒体を前記印刷部に搬送する工程と、
(e)書込済みの前記記録媒体の表面に前記検査情報を印刷する工程と、
を備えることを特徴とする記録媒体発行方法。
【請求項8】
前記工程(a)は、前記安全性検査として、少なくともウイルス検査を実行し、
前記工程(b)は、少なくとも、前記工程(a)において実行したウイルス検査のウイルス定義ファイルまたはウイルス検索エンジンを特定する検査情報を生成することを特徴とする請求項7に記載の記録媒体発行方法。
【請求項9】
前記工程(c)は、前記記録データに加えて、前記検査情報を前記記録媒体に書込むことを特徴とする請求項7または8に記載の記録媒体発行方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−4884(P2007−4884A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−182964(P2005−182964)
【出願日】平成17年6月23日(2005.6.23)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】