説明

記録媒体

【課題】所定の情報が、より簡便に記録された、感熱孔版原紙、熱転写記録媒体、各種印刷用の受け紙等の記録媒体を提供する。
【解決手段】製品の情報を、インクジェット印刷によって印刷した。記録媒体が、多孔質紙8と熱可塑性樹脂フィルム9との積層体からなる感熱孔版原紙1である場合には、色素と、水と、非プロトン性極性溶媒とを含むインクジェットインクを用いて、インクジェット印刷によって、前記多孔質紙8側、および熱可塑性樹脂フィルム9側のうち少なくとも一方の表面に印刷する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、各種印刷用の記録媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
感熱孔版原紙、熱転写記録媒体(熱溶融転写リボン、熱昇華転写リボン、熱昇華転写シート等)、各種印刷用の受け紙(ロール紙、感熱ロール紙等)等の記録媒体においては、例えば、製品の品番、製造ロット、製造日、適用する記録装置の品番、製品取り位置、製造者名、残量、製造履歴、製品検査履歴、販売先名、特記事項、および使用期限等の、その製品に関する情報を、光学的、磁気的、あるいは電子的に読み取り可能な状態で記録しておくことが行われる。
【0003】
最も一般的には、前記情報を、例えば、芯の周囲にロール状に巻きつけた長尺の記録媒体の先端部等の、記録媒体の、印刷に使用する領域外の領域に、グラビア印刷等の印刷方法によって印刷し、それを光学的に読み取ったり〔印刷に赤外光等の特定波長の光(検知光)を照射して、その反射光を、光センサ等で読み取ること等。使用者が目で見て読み取ることも、光学的な読み取りに属する。〕、磁気的に読み取ったり(磁気インクを使った印刷を、磁気ヘッド等で読み取ること等。)することが行われる(例えば、特許文献1参照)。また、近時、例えば、長尺の記録媒体をロール状に巻きつけるための芯等に、前記情報を記憶させた素子(ICチップ等)を組み込んで、電子的に読み取ることも検討されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】実開昭63−132767号公報
【特許文献2】特開2004−216624号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、グラビア印刷等の従来の印刷方法は、いずれも、あらかじめ形成した原版を使用して印刷する方式であるため、印刷する情報の内容や、印刷する位置、サイズ、形状等を簡単に変更することができない。そのため、特に、製品の製造ロットや製造日、製造履歴、製品検査履歴、販売先名、使用期限等の、頻繁に変化する情報を印刷するのが難しいという問題がある。また、従来の印刷方法では、印刷に大掛かりな印刷装置が必要で、記録媒体を製造するための設備のイニシャルコストやランニングコストが高くつくという問題もある。
【0005】
一方、ICチップ等の素子を用いる場合、情報は、電子情報として素子に記憶されるため、その内容を、簡単に変更することができ、製品の製造ロットや製造日、製造履歴、製品検査履歴、販売先名、使用期限等の、頻繁に変化する情報を記憶させておくことも容易である。しかし、例えば、前記芯等に、素子や、所定の情報を素子に書き込んだり読み出したりするためのコネクタ、アンテナ等の電子部品を組み込む必要があるため、たとえ、芯の回収や、素子、コネクタ、アンテナ等の分別回収を徹底して、ランニングコストを低減できたとしても、記録媒体を製造するためのイニシャルコストが高くつくという問題が残る。本発明の目的は、所定の情報が、より簡便に記録された記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、製品の情報が、インクジェット印刷によって印刷されていることを特徴とする記録媒体である。
請求項2記載の発明は、製品の情報が、製品の品番、製造ロット、製造日、適用する記録装置の品番、製品取り位置、製造者名、残量、製造履歴、製品検査履歴、販売先名、特記事項、および使用期限のうちの少なくとも1つである請求項1記載の記録媒体である。
【0007】
請求項3記載の発明は、記録媒体が長尺に形成され、製品の情報が、記録媒体の長さ方向の先端部、および長さ方向の途中の位置のうちの少なくとも一方に印刷されている請求項1記載の記録媒体である。
請求項4記載の発明は、製品の情報が、文字、色分け、バーコード、および二次元バーコードのうちの少なくとも1つの形式で印刷されている請求項1記載の記録媒体である。
【0008】
請求項5記載の発明は、記録媒体が、多孔質紙と熱可塑性樹脂フィルムとの積層体からなる感熱孔版原紙であって、製品の情報が、インクジェット印刷によって、前記多孔質紙側、および熱可塑性樹脂フィルム側のうち少なくとも一方の表面に印刷されている請求項1記載の記録媒体である。
請求項6記載の発明は、製品の情報が、色素と、水と、非プロトン性極性溶媒とを含むインクジェットインクを用いて印刷されている請求項5記載の記録媒体である。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の発明によれば、記録媒体に製品の情報を印刷するために用いるインクジェット印刷装置は、少なくとも、印刷する色数に対応したヘッドを有していればよく、グラビア印刷の装置に比べて著しい小型化が可能である上、最近の、コンシューマ向けのインクジェットプリンタにおける低価格化の傾向からも判るように、きわめて安価に製造することができるため、媒体を製造するための設備のイニシャルコストを、これまでよりも大幅に低減することができる。また、情報の印刷に際して、きわめて微量のインクを消耗するだけであるため、前記設備のランニングコストも、大幅に低減することができる。
【0010】
その上、インクジェット印刷では、装置に入力するデータに応じた任意の印刷が可能であるため、製品の情報や、その印刷する位置、サイズ、形状、濃度等を、きわめて簡単に変更することもでき、例えば、製品の製造ロットや製造日、製造履歴、製品検査履歴、販売先名、使用期限等の、頻繁に変化する情報を、刻々、変化させながら、次々と、新しい記録媒体に印刷することも容易である。
【0011】
製品の情報としては、請求項2に記載したように、製品の品番、製造ロット、製造日、適用する記録装置の品番、製品取り位置、製造者名、残量、製造履歴、製品検査履歴、販売先名、特記事項、および使用期限のうちの少なくとも1つが挙げられる。
記録媒体が長尺に形成される場合、請求項3に記載したように、製品の情報を、記録媒体の長さ方向の先端部に印刷しておくと、記録媒体の使用開始時に、製品の情報を確認することができる。また、製品の情報を、長さ方向の途中の位置に印刷しておくと、使用中の製品の情報を再確認することができる。また、特に、情報が残量である場合は、前記残量の表示を、記録装置側で、光学的、あるいは磁気的に読み取ることで、長尺の記録媒体の残量を確認しながら記録を行うことができるので、記録装置の自動化に貢献することができる。
【0012】
製品の情報は、請求項4に記載したように、製品の情報が、文字、色分け、バーコード、および二次元バーコードのうちの少なくとも1つの形式で印刷されているのが好ましい。
本発明の構成は、請求項5に記載したように、記録媒体としての、多孔質紙と熱可塑性樹脂フィルムとの積層体からなる感熱孔版原紙に適用することができる。その際、製品の情報は、前記多孔質紙側と熱可塑性樹脂フィルム側の、いずれか一方、または両方の表面に印刷することができる。また、記録媒体が感熱孔版原紙である場合、請求項6に記載したように、製品の情報は、色素と、水と、非プロトン性極性溶媒とを含むインクジェットインクを用いて印刷されているのが好ましい。
【0013】
汎用のインクジェット印刷に使用される水性のインクジェットインクは、感熱孔版原紙の、多孔質紙側の表面に印刷する分には差支えがなく、解像度の高い良好な印刷を行うことができるが、熱可塑性樹脂フィルム側の表面、すなわち、熱可塑性樹脂フィルムの表面や、前記表面に形成される、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等からなる耐熱層の表面等の疎水性の表面に印刷しても、はじかれて、良好な印刷を行うことができない。
【0014】
一方、前記各種の樹脂からなる表面に印刷するのに適した、トルエン、メチルエチルケトン等の溶剤を用いた溶剤系のインクジェットインクや、紫外線硬化型のインクは、多孔質紙側の表面に印刷すると、滲んで、解像度の高い、良好な印刷を行うことができない。また、多孔質紙側の表面に印刷したインクジェットインクが、熱可塑性樹脂フィルムまで浸透して、前記熱可塑性樹脂フィルムと多孔質紙とがはく離したりするおそれがある。
【0015】
さらに、溶剤系や紫外線硬化型のインクは、印刷時にのみ、ヘッドの、微細なノズルを通して所定量のインクを吐出させる、いわゆるオンデマンド型のインクジェット印刷装置に使用した際に、前記ノズルにおいて目詰まりを生じやすい。そのため、溶剤系や紫外線硬化型のインクは、通常は、インクを、ノズルから連続的に吐出させながら、印刷時にのみ、その飛翔軌道を変化させて印刷を行う、いわゆるコンティニュアス型のインクジェット印刷装置に使用されることが多いが、コンティニュアス型のインクジェット印刷装置は印刷の解像度が低いため、特に、二次元バーコード等の微細な印刷を行うのが難しい。また、コンティニュアス型のインクジェット印刷装置は、前記のように、インクを、ノズルから連続的に、しかも安定して吐出させ続けなければならないため、オンデマンド型のもに比べて、メンテナンスに手間がかかるという問題もある。
【0016】
これに対し、色素と、水と、非プロトン性極性溶媒とを含むインクジェットインクは、オンデマンド型のインクジェット印刷装置に使用した際に目詰まりを生じにくく、水性のインクジェットインクと同様の、解像度の高い、良好な、印刷を行うことができる。しかも、基本的に水性であるため、多孔質紙の表面に印刷しても滲むおそれがない上、非プロトン性極性溶媒を含み、熱可塑性樹脂フィルムの表面や、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等からなる耐熱層の表面等の疎水性の表面に対する良好な濡れ性を有する上、特に、前記シリコーン樹脂、フッ素樹脂等からなる耐熱層に対しては浸透性をも有するため、前記疎水性の表面に印刷してもはじかれるおそれがなく、いずれの面にも、良好な印刷を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1は、本発明の記録媒体の、実施の形態の一例としての、長尺の感熱孔版原紙1を示す斜視図である。また、図2は、図1の感熱孔版原紙1の、層構成の一例を示す部分切り欠き斜視図である。さらに、図3は、図1の感熱孔版原紙1の、層構成の他の例を示す部分切り欠き斜視図である。
図1を参照して、この例の感熱孔版原紙1は、長尺に形成され、芯2の周囲にロール状に巻きつけられたものであって、その先端部3には、文字4とバーコード5により、製品の品番等の情報が、インクジェット印刷によって印刷されている。また、感熱孔版原紙1の、長さ方向に沿う一方側の側辺6の近傍には、二次元バーコード7により、ロールから繰り出される感熱孔版原紙1の残量が、長さ方向に等間隔で、インクジェット印刷によって印刷されている。なお、これらの印刷は、感熱孔版原紙1の、印刷に使用する領域外の領域に形成するのが好ましい。しかし、先に説明したように、インクジェットインクによる印刷は、きわめて微量のインクによって形成されるため、感熱孔版原紙1の印刷に影響を及ぼすおそれが著しく少ないことから、その少なくとも一部を、印刷に使用する領域内に形成することもできる。
【0018】
図2を参照して、この例の感熱孔版原紙1は、従来同様に、多孔質紙8と、熱可塑性樹脂フィルム9とを積層して形成される。より詳しくは、前記多孔質紙8と熱可塑性樹脂フィルム9とを、接着剤層10を介して積層すると共に、熱可塑性樹脂フィルム9の表面を、耐熱層11で被覆した4層構造に形成されており、前記耐熱層11の表面に、前記バーコード5や、図示しない文字4、二次元バーコード7等が、インクジェット印刷によって印刷されている。
【0019】
図3を参照して、バーコード5や、図示しない文字4、二次元バーコード7等は、多孔質紙8と熱可塑性樹脂フィルム9とを積層して形成される感熱孔版原紙1の、多孔質紙8の表面に印刷されていてもよい。すなわち、図2の例と同様に、多孔質紙8と熱可塑性樹脂フィルム9とを、接着剤層10を介して積層すると共に、熱可塑性樹脂フィルム9の表面を、耐熱層11で被覆した4層構造に形成された感熱孔版原紙1の、多孔質紙8の表面に、バーコード5や、図示しない文字4、二次元バーコード7等が、インクジェット印刷によって印刷されていてもよい。さらには、図示していないものの、耐熱層11の表面と、多孔質紙8の表面の両方に、所定の製品の情報を含む文字、バーコード、二次元バーコード等が、インクジェット印刷によって印刷されていてもよい。
【0020】
前記多孔質紙8としては、例えば、こうぞ、みつまた、マニラ麻、木材繊維等の天然繊維、レーヨン、ビニロン、ポリエステル、ポリアクリロニトリル当の化学繊維等の1種または2種以上によって抄造した薄葉紙が挙げられる。多孔質紙8の坪量は、3〜15g/m2、特に5〜12g/m2であるのが好ましい。坪量がこの範囲未満では、感熱孔版原紙1に、十分なコシや強度を付与する効果が得られないおそれがあり、この範囲を超える場合には、感熱孔版原紙1を用いた印刷時に、インキの通過が妨げられて、印刷画像の画質が低下するおそれがある。
【0021】
熱可塑性樹脂フィルム9としては、サーマルヘッド等を用いた加熱によって穿孔することができる、従来公知の種々の熱可塑性樹脂フィルムが、いずれも使用可能である。熱可塑性樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の1種または2種以上からなるフィルムが挙げられる。また、感熱孔版原紙1の引張強度を高めて、面方向の伸びや切れ等を防止するために、熱可塑性樹脂フィルムとしては、1軸または2軸延伸フィルムを用いることもできる。
【0022】
熱可塑性樹脂フィルム9の厚みは、0.1〜5.0μm、特に1.0〜3.0μmであるのが好ましい。厚みがこの範囲未満では、穿孔時や印刷時に切れやすくなるおそれがあり、この範囲を超える場合には、サーマルヘッド等を用いて、感度良く、すなわち、できるだけ少ないエネルギー量で、かつ、できるだけ短時間で、より忠実に穿孔できないおそれがある。
【0023】
接着剤層10としては、多孔質紙8と熱可塑性樹脂フィルム9とを接着することができる、種々の接着剤によって形成することができる。接着剤層10を形成するための接着剤としては、例えば、酢酸ビニル系、アクリル系、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系、ポリエステル系、ウレタン系、ポリアミド系等の、各種樹脂系からなる、エマルションタイプ、溶剤タイプ、無溶剤タイプ、ホットメルトタイプ、紫外線硬化タイプ、電子線硬化タイプ等の接着剤が挙げられる。接着剤には、必要に応じて、帯電防止剤、滑剤等の添加剤を含有させることができる。
【0024】
耐熱層11は、穿孔時に、熱可塑性樹脂フィルム9がサーマルヘッド等に融着したりするのを防止するためのもので、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ニトロセルロース樹脂、アクリル樹脂、シリコーン変性ウレタン樹脂、シリコーン変性アクリル樹脂当によって形成される。耐熱層11は、必要に応じて、滑剤を分散させても良い。
所定の製品の情報を含む文字4、バーコード5、二次元バーコード7等を、前記感熱孔版原紙1の、いずれかの表面に、インクジェット印刷によって印刷する際に用いるインクジェットインクとしては、先に説明したように、色素と、水と、非プロトン性極性溶媒とを含むものが好適に使用される。
【0025】
色素としては、印刷する表面とは異なる色調を有し、使用者が目で見て読み取ることができる、通常の意味での色素が挙げられる他、例えば、印刷に、赤外光等の特定波長の検知光を照射した際に、前記検知光の反射率もしくは吸収率が、印刷する表面とは異なるため、その反射光を光センサ等で読み取ることができる色素等も挙げられる。
前記色素は、検知光として赤外光を用いる場合、赤外線反射性の色素と赤外線吸収性の色素とに大別され、前者の、赤外線反射性の色素としては、有機あるいは無機の各種顔料、染料が、いずれも使用可能である。前記有機の顔料、染料としては、例えば、フタロシアニン系、アゾ系、アゾメチン系、アゾメチンアゾ系、アンスラキノン系、ペリノン・ペリレン系、インジゴ・チオインジゴ系、ジオキサンジン系、キナクリドン系、イソインドリノン系等の顔料、染料が挙げられる。また、無機の顔料としては、金属化合物顔料、焼成顔料、金属粉体顔料、体質顔料等の、白色ないし淡色の顔料が挙げられる。特に、隠蔽性を有する白色の、無機の顔料が好ましく、例えば、亜鉛、鉛、バリウム、チタン、アンチモン等の金属の、酸化物、硫酸塩、炭酸塩等が好ましい。
【0026】
また、赤外線吸収性の色素としては、例えば、カーボンブラック、アニリンブラック、酸化鉄系ブラック、炭化チタン系ブラック、スピネル型構造系ブラック等の黒色の無機顔料が挙げられ、特に、カーボンブラック、アニリンブラックが好ましい。
また、色素としては、印刷により、検知光を反射するメタリック面を形成する、微細な金属粒子を用いることもできる。微細な金属粒子としては、例えば、金、銀、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金、銅、アルミニウム、ガリウム、インジウム、クロム、チタン、亜鉛、スズ、ニッケル、コバルト、鉄等の種々の金属の粒子が挙げられる。微細な金属粒子としては、前記各種の金属からなり、平均粒径が1×10-3〜5×10-1μm程度で、かつ、水やアルコール、有機溶媒等に分散された上体で提供される金属コロイドが、分散性に優れ、沈降やノズルでの目詰まりを生じにくいため、好適に使用される。また、微細な金属粒子としては、例えば、樹脂フィルム上に積層した金属の薄膜を、樹脂フィルムを延伸することで細かく粉砕したり、金属蒸着膜と樹脂層の積層体を、同様の方法で粉砕したり、前記金属粉末をカプセルに内包させたりして製造された粒子を使用することもできる。
【0027】
また、色素としては、光照射によって所定の波長の蛍光または燐光を発する蛍光染料や、前記蛍光染料を樹脂粒子等に含浸させた蛍光顔料を用いることもできる。蛍光染料は、白色蛍光増白剤と併用してもよい。また、蛍光染料と白色蛍光増白剤とを樹脂粒子等に含浸させて蛍光顔料を形成してもよい。さらには、白色蛍光増白剤を、単独で蛍光染料として用いてもよい。
【0028】
蛍光染料、蛍光顔料としては、例えば、カラーインデックスで示されるACID YELLOW3、ACID YELLOW7、ACID RED52、ACID RED77、ACID RED87、ACID RED92、ACID BLUE9、BACIC YELLOW1、BASIC YELLOW40、BASIC RED1、BASIC RED13、BASIC VIOLET7、BASIC VIOLET10、BASIC ORANGE22、BASIC BLUE7、BASIC GREEN1、DISPERSE YELLOW121、DISPERSE YELLOW82、DISPERSE ORANGE11、DISPERSE RED58、DISPERSE BLUE7、DIRECT YELLOW85、DIRECT ORANGE8、DIRECT RED9、DIRECT BLUE22、DIRECT GREEN6、FLUORESCENT BRIGHTENING AGENT55、FLUORESCENT BRIGHTENING WHITE WS52、FLUORESCENT162、FLUORESCENT112、SOLVENT YELLOW44、SOLVENT RED49、SOLVENT BLUE5、SOLVENT PINK、SOLVENT GREEN7、PIGMENT BLUE15、PIGMENT GREEN7、PIGMENT RED53、PIGMENT RED57、PIGMENT YELLOW1等が挙げられる。
【0029】
白色蛍光増白剤としては、例えば、カラーインデックスで示されるFLUORESCENT BRIGHTENING AGENT85、86、22、174、166、90、134、84、24、87、175、176、169、167、173、14、32、30、177、153、16、163、164、112、121、172、91等が挙げられる。
【0030】
色素としては、印刷を磁気的に読み取るための磁性体粒子も使用可能である。磁性体粒子としては、例えば、コバルトフェライト、Mn−Znフェライト、Ni−Znフェライト、Co−Crフェライト等の各種フェライトやマグネタイトの他、鉄、クロム、コバルト、ニッケル、バリウム、マンガン、および亜鉛から選ばれる少なくとも1種の金属酸化物の、特定組成の複合体等が挙げられる。
【0031】
前記色素のうち、顔料(有機、無機、蛍光等)、金属コロイド以外の金属粒子、および磁性体粒子は、ノズルでの目詰まりを防止することを考慮すると、その形状が、実質的に球形であるのが好ましい。実質的に球形とは、粒子の顕微鏡写真を撮影し、その中から任意に抽出した所定個数のサンプル粒子の映像について実測した、個々のサンプル粒子における長径h1と短径h2との比h1/h2の、全サンプル粒子での平均値が、1/1〜3/1、特に1/1〜2/1の範囲内である状態をさすこととする。前記規定による実質的に球形の粒子には、球形のものの他、回転楕円体、多面体、不定形の粒状体等が含まれる。また、前記各種粒子の平均粒径は、ノズルでの目詰まりを防止することを考慮すると、1μm以下であるのが好ましい。
【0032】
非プロトン性極性溶媒としては、水素イオンを生じたり受け取ったりしない種々の非プロトン性極性溶媒が、いずれも使用可能であるが、分子量が40〜130であるものを用いるのが好ましい。分子量がこの範囲未満では、インクジェットインクが乾燥しやすくなって、ノズルでの目詰まりを生じやすくなるおそれがある。また、分子量がこの範囲を超える場合には、インクジェットインクの粘度が高くなって、ノズルから吐出させる際の吐出安定性が低下するおそれがある。
【0033】
また、非プロトン性極性溶媒の沸点は、150〜250℃であるのが好ましい。沸点がこの範囲未満では、インクジェットインクが乾燥しやすくなって、ノズルでの目詰まりを生じやすくなるおそれがあり、この範囲を超える場合には、逆に、インクジェットインクが乾燥しにくくなって、印刷後の乾燥性が低下するおそれがある。
これらの条件を満たす好適な非プロトン性極性溶媒としては、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルプロピオンアミド、およびγ−ブチロラクトンからなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
【0034】
非プロトン性極性溶媒の含有割合は、インクジェットインクの総量に対して30〜75重量%、であるのが好ましい。含有割合がこの範囲未満では、非プロトン性極性溶媒を含有させたことによる、インクジェットインクに、熱可塑性樹脂フィルムの表面や耐熱層の表面等の、疎水性の表面に対する良好な濡れ性や浸透性を付与する効果が十分に得られないため、前記疎水性の表面に印刷した際にはじかれるおそれがある。また、含有割合がこの範囲を超える場合には、インクジェットインクの粘度が高くなって、ノズルから吐出させる際の吐出安定性が低下するおそれがある。
【0035】
インクジェットインクにバインダ樹脂を含有させると、当該バインダ樹脂が、疎水性の表面と、色素とのバインダとして機能するため、印刷の耐水性や耐擦過性、印刷の鮮明性等を向上することができる。特に、バインダ樹脂として、本質的に水には不溶で、かつ塩基性物質を溶解させたアルカリ水溶液に選択的に可溶であるバインダ樹脂を使用すると、印刷の耐水性をさらに向上することができる。
【0036】
アルカリ可溶性のバインダ樹脂としては、例えば、分子中にカルボキシル基を有しており、そのままでは水に不溶であるが、アンモニア、有機アミン、苛性アルカリ等の塩基性物質を溶解させたアルカリ水溶液に加えると、カルボキシル基の部分が塩基性物質と反応して水溶性の塩を生成して溶解する樹脂が好ましい。
その好適な例としては、ポリアクリル酸、アクリル酸−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸カリウム−アクリロニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体などのアクリル樹脂;スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体などのスチレン−アクリル酸樹脂;マレイン酸樹脂、フマル酸樹脂、スチレン−マレイン酸共重合樹脂、スチレン−無水マレイン酸共重合樹脂等のうち、上記の特性を有するように分子量、酸価等を調整した樹脂、特に、高酸価樹脂の1種または2種以上が挙げられる。
【0037】
中でも、アルカリ可溶性のアクリル樹脂が好ましく、その具体例としては、例えば、アビシア(株)製のネオクリル(登録商標)B−817(重量平均分子量Mw:23,000)、ネオクリルB−890(重量平均分子量Mw:12,500)、ジョンソンポリマー(株)製のジョンクリル(登録商標)67(重量平均分子量Mw:12,500)、ジョンクリル682(重量平均分子量Mw:1,700)等が挙げられる。
【0038】
アルカリ可溶性のバインダ樹脂は、印刷の耐水性、耐擦過性を向上することを考慮すると、重量平均分子量Mwが1,000以上であるのが好ましい。ただし分子量が大きすぎるとバインダ樹脂が沈殿や析出などを生じやすくなって、インクジェットインクの吐出が不安定になるおそれがある。また、インクジェットインクを貯蔵した際にも、沈殿や析出などを生じやすくなるおそれがある。したがってバインダ樹脂の重量平均分子量Mwは、上記の範囲内でも、特に、50,000以下であるのが好ましく、これらの特性を併せ考慮すると1,500〜25,000程度であるのがさらに好ましい。
【0039】
バインダ樹脂の含有割合は、インクジェットインクの総量に対して0.1〜3.0重量%、特に0.5〜2.0重量%であるのが好ましい。含有割合がこの範囲未満では、顔料を、疎水性の表面に定着させて印刷の耐水性、耐擦過性、印刷の鮮明性を向上する効果が不十分になるおそれがある。また、この範囲を超える場合には、特に、前記のように、サーマルジェット方式において、水分の気化に伴ってプリンタのヘッド内でインクジェットインクの粘度が局部的に上昇した際に、インクの吐出が不安定になったり、過剰のバインダ樹脂が析出してヘッド内で目詰まりを生じたりするおそれがある。
【0040】
アルカリ可溶性のバインダ樹脂と組み合わせる塩基性物質としては、アンモニア、有機アミン、苛性アルカリ等が挙げられる。塩基性物質は、インクジェットインクをアルカリ性にして、バインダ樹脂を溶解させるだけでなく、ヘッドの腐食を防止し、かつ顔料の分散安定性を維持する機能をも有している。塩基性物質のうち、有機アミンとしては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチルモノエタノールアミン、エチルジエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、モノ−1−プロパノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールおよびこれらの誘導体等の1種または2種以上が挙げられる。
【0041】
塩基性物質の添加量は、バインダ樹脂の遊離脂肪酸含有量を示す酸価や、あるいはインクジェットインクの、塩基性物質を添加しない状態でのpHなどに応じて適宜、調整できるが、一般的には、バインダ樹脂1重量部あたり0.05〜2重量部、特に0.075〜1.5重量部であるのが好ましい。添加量がこの範囲未満では、バインダ樹脂を十分に溶解できないため、均一なインクジェットインクを得られないおそれがある。また、この範囲を超える場合には、インクのpHが高くなりすぎて、安全性に問題を生じたり、インクジェットプリンタのヘッドを腐食させたりするおそれがある。
【0042】
インクジェットインクには、前記各成分に加えて、インクジェットインク用として従来公知の種々の添加剤を添加しても良い。添加剤としては、例えば、分散剤、防かび剤、殺生剤等が挙げられる。
図の例では、前記各成分を含むインクジェットインクを用いて、インクジェット印刷により、記録媒体としての感熱孔版原紙1の、多孔質紙8の表面、または耐熱層11の表面に、文字4、バーコード5、二次元バーコード7等が印刷される。そのため、従来の、オフセット印刷等に比べて簡便に印刷することができる上、製品の情報や、その印刷する位置、サイズ、形状、濃度等を、きわめて簡単に変更できることから、例えば、製品の製造ロットや製造日、製造履歴、製品検査履歴、販売先名、使用期限等の、頻繁に変化する情報を、刻々、変化させながら、次々と、新しい記録媒体に印刷することも容易である。
【0043】
しかも、図の例では、インクジェットインクとして、先に説明したように、色素と、水と、非プロトン性極性溶媒とを含むものを用いていることから、感熱孔版原紙1の、多孔質紙8の表面に、滲みを生じることなしに、また、耐熱層11の表面に、はじかれることなしに、いずれも、文字4、バーコード5、二次元バーコード7等を、良好に印刷することができる。
【0044】
図の例では、これも先に説明したように、二次元バーコード7を用いて、長尺の感熱孔版原紙1の残量の情報を印刷している。そのため、この情報を、記録装置側で、光学的、あるいは磁気的に読み取ることで、感熱孔版原紙1の残量を確認しながら記録を行うことができるので、記録装置の自動化に貢献することができる。なお、残量の情報は、例えば、長尺の感熱孔版原紙1の、長さ方向の中間位置に1箇所のみ設けたり、エンドまでの数版前の1箇所のみ設けたりするだけでもよい。
【0045】
図の例において、文字4やバーコード7を用いて印刷する所定の情報としては、製品の品番、製造ロット、製造日、適用する記録装置の品番、製品取り位置、製造者名、製造履歴、製品検査履歴、販売先名、特記事項、使用期限等が挙げられる。このうち、製品取り位置とは、感熱孔版原紙1を、その複数本分の幅を有する原反から、スリット加工して製造する際に、製造した感熱孔版原紙1が、原反上のどの位置にあったかを示す情報であり、かかる情報を利用すれば、原反の一部に不良が生じたとしても、それ以外の取り位置から製造された感熱孔版原紙1を特定して、製品として活かすことができる。また、特記事項としては、使用時や投棄時の、安全に関する情報等が挙げられる。感熱孔版原紙1に印刷する製品の情報のうち、例えば、適用する記録装置の品番、製品取り位置、残量等の、比較的簡単な情報や、選択肢の少ない情報は、色分けの形式で、つまり、印の色を違えることで表しても良い。
【0046】
インクジェット印刷は、感熱孔版原紙1を製造する工程の、任意の位置で行うことができる。例えば、前記のように原反をスリット加工して感熱孔版原紙1を製造する場合は、スリットの直前または直後の位置にインクジェット印刷装置を配置して、所定の情報を印刷するようにするのが、前記製品取り位置を確実に特定できる点で好ましい。また、インクジェット印刷装置の直後に、インクの乾燥工程を設けると、生産性を低下させずに感熱孔版原紙1を製造できる上で好ましい。
【0047】
本発明の構成は、図の例のものには限定されない。例えば、本発明の記録媒体は、以上で説明した感熱孔版原紙1には限定されず、熱溶融転写リボン、熱昇華転写リボン、熱昇華転写シート等の熱転写記録媒体や、ロール紙、感熱ロール紙等の、各種印刷用の受け紙等に適用することができる。
その際、インクジェット印刷に使用するインクジェットインクとしては、それぞれの記録媒体の表面に適した、良好な印刷を行うことができる組成を有するものを用いることができる。例えば、熱溶融転写リボン、熱昇華転写リボン等の、疎水性の表面に印刷するためには、溶剤系のインクジェットインクが好ましく、ロール紙、感熱ロール紙等の、紙の表面に印刷するためには,水性のインクジェットインクが好ましい。ただし、先に説明した、色素と、水と、非プロトン性極性溶媒とを含むインクジェットインクは、これらいずれの記録媒体に対しても良好な印刷を行えるため、いずれの記録媒体においても、好適に使用することができる。その他、本発明の要旨を変更しない範囲で、種々の設計変更を施すことができる。
【実施例】
【0048】
〔実施例1〕
(感熱孔版原紙の作製)
厚み約2.0μmのポリエステルフィルムと、マニラ麻からなる、坪量約10g/m2の多孔質紙とを、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系の接着剤を用いて貼り合わせて乾燥させた後、ポリエステルフィルムの表面に、シリコーン樹脂からなる耐熱層を形成して感熱孔版原紙を作製した。接着剤の乾燥付着量は、約0.5g/m2とした。
【0049】
(インクジェットインクの調製)
色素としてのカーボンブラック分散液〔キャボット(CABOT)社製のCABOJET300、カルボキシル基改質、固形分濃度15重量%の水分散液〕16.7重量部と、バインダ樹脂としてのアルカリ可溶性のアクリル樹脂〔アビシア(株)製のネオクリル(登録商標)B−817、重量平均分子量Mw:23,000〕0.5重量部と、塩基性物質としての2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール0.2重量部と、非プロトン性極性溶媒としての1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン50.0重量部と、イオン交換水32.6重量部とを配合し、かく拌後、5μmのメンブランフィルタを用いてろ過してインクジェットインクを調製した。
【0050】
(印刷および読み取り試験)
調製したインクジェットインクを、オンデマンド型のインクジェット印刷装置に使用して、先に作製した感熱孔版原紙の、多孔質紙側の表面、および耐熱層側の表面に、CODE−39規格に適合した、両端のバー間の幅が40mm、高さが15mmであるバーコードを印刷した。印刷したバーコードを、50℃のドライヤーを用いて5秒間、加熱して乾燥させた後、バーコードリーダー〔PHOTOGRAPHIC SCIENCE CORP.製のQUICK CHECK500〕を用いて読み取ったところ、多孔質紙側、および耐熱層側ともに、良好に読み取ることができた。
【0051】
〔実施例2〕
(インクジェットインクの調製)
色素としてのカーボンブラック分散液〔キャボット(CABOT)社製のCABOJET300、カルボキシル基改質、固形分濃度15重量%の水分散液〕16.7重量部と、バインダ樹脂としてのアルカリ可溶性のアクリル樹脂〔アビシア(株)製のネオクリル(登録商標)B−817、重量平均分子量Mw:23,000〕0.5重量部と、塩基性物質としての2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール0.2重量部と、プロトン性極性溶媒としてのエタノール10重量部と、グリセリン3重量部と、イオン交換水69.6重量部とを配合し、かく拌後、5μmのメンブランフィルタを用いてろ過して、通常の水性のインクジェットインクを調製した。
【0052】
(印刷および読み取り試験)
調整したインクジェットインクを、実施例1と同じオンデマンド型のインクジェット印刷装置に使用して、実施例1で作製したのと同じ感熱孔版原紙の、多孔質紙側の表面、および耐熱層側の表面に、同寸法のバーコードを印刷した。印刷したバーコードを、実施例1と同条件で加熱して乾燥させた後、バーコードリーダーを用いて読み取ったところ、耐熱層側では、インクがはじかれて良好に読み取ることができなかったが、多孔質紙側では、良好に読み取ることができた。
【0053】
〔実施例3〕
(インクジェットインクの調製)
色素としてのカーボンブラック系黒色顔料〔チバスペシャルティケミカルズ社製のマイクロスブラックC−A、カーボンブラックとエチルセルロースとを、重量比6:4で含む、両者の複合構造を有する黒色顔料〕10.0重量部と、トリエチルアミン1.0重量部と、ジエチレングリコールモノブチルエーテル10.0重量部と、エタノール74.0重量部とを配合し、かく拌後、5μmのメンブランフィルタを用いてろ過して、通常の溶剤系のインクジェットインクを調製した。
【0054】
(印刷および読み取り試験)
調製したインクジェットインクを、コンティニュアス型のインクジェット印刷装置に使用して、実施例1で作製したのと同じ感熱孔版原紙の、多孔質紙側の表面、および耐熱層側の表面に、同寸法のバーコードを印刷した。印刷したバーコードを、実施例1と同条件で加熱して乾燥させた後、バーコードリーダーを用いて読み取ったところ、多孔質紙側では、インクが滲んで良好に読み取ることができなかったが、耐熱層側では、良好に読み取ることができた。
【0055】
〔実施例4〕
(熱溶融転写リボンの作製)
カルナバワックス20重量部と、パラフィンワックス50重量部と、エチレン−酢酸ビニル共重合体6重量部と、カーボンブラック24重量部とを、加熱下で溶融させて混合して、熱溶融インク層用の組成物を調製した。次に、調製した組成物を、片面に、シリコーン樹脂による耐熱滑性層を設けた、厚み6μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの、前記耐熱滑性層を設けた側と反対面に、ホットメルトコーターを用いて、溶融状態で塗布した後、冷却して固化させることで熱溶融インク層を形成して熱溶融転写リボンを作製した。前記組成物の塗布量は、4g/m2とした。
【0056】
(インクジェットインクの調製)
色素として、カーボンブラック分散液に代えて、同量の銀粒子分散液〔日本ペイント(株)製、固形分濃度30重量%〕を使用したこと以外は、実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製した。
(印刷および読み取り試験)
調整したインクジェットインクを、実施例1と同じオンデマンド型のインクジェット印刷装置に使用して、先に作製した熱溶融転写リボンの、熱溶融インク層側の表面、および耐熱滑性層側の表面に、同寸法のバーコードを印刷した。印刷したバーコードを、実施例1と同条件で加熱して乾燥させた後、バーコードリーダーを用いて読み取ったところ、熱溶融インク層側、および耐熱滑性層側ともに、良好に読み取ることができた。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の記録媒体の、実施の形態の一例としての、長尺の感熱孔版原紙を示す斜視図である。
【図2】図1の感熱孔版原紙の、層構成の一例を示す部分切り欠き斜視図である。
【図3】図1の感熱孔版原紙の、層構成の他の例を示す部分切り欠き斜視図である。
【符号の説明】
【0058】
1 感熱孔版原紙(記録媒体)
4 文字(印刷)
5 バーコード(印刷)
7 二次元バーコード(印刷)
8 多孔質紙
9 熱可塑性樹脂フィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品の情報が、インクジェット印刷によって印刷されていることを特徴とする記録媒体。
【請求項2】
製品の情報が、製品の品番、製造ロット、製造日、適用する記録装置の品番、製品取り位置、製造者名、残量、製造履歴、製品検査履歴、販売先名、特記事項、および使用期限のうちの少なくとも1つである請求項1記載の記録媒体。
【請求項3】
記録媒体が長尺に形成され、製品の情報が、記録媒体の長さ方向の先端部、および長さ方向の途中の位置のうちの少なくとも一方に印刷されている請求項1記載の記録媒体。
【請求項4】
製品の情報が、文字、色分け、バーコード、および二次元バーコードのうちの少なくとも1つの形式で印刷されている請求項1記載の記録媒体。
【請求項5】
記録媒体が、多孔質紙と熱可塑性樹脂フィルムとの積層体からなる感熱孔版原紙であって、製品の情報が、インクジェット印刷によって、前記多孔質紙側、および熱可塑性樹脂フィルム側のうち少なくとも一方の表面に印刷されている請求項1記載の記録媒体。
【請求項6】
製品の情報が、色素と、水と、非プロトン性極性溶媒とを含むインクジェットインクを用いて印刷されている請求項5記載の記録媒体。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−62348(P2007−62348A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−303571(P2005−303571)
【出願日】平成17年10月18日(2005.10.18)
【出願変更の表示】意願2005−7178(D2005−7178)の変更
【原出願日】平成17年8月31日(2005.8.31)
【出願人】(505091905)ゼネラルテクノロジー株式会社 (117)
【Fターム(参考)】