説明

記録媒体

【課題】記録媒体(レンズシート)を搬送する搬送用駆動ローラと従動ローラとの間に容易に入り込むことができ、搬送の確実性を向上させたレンチキュラーレンズを有する記録媒体(レンズシート)を提供すること。
【解決手段】レンチキュラーレンズ10を有する記録媒体(レンズシート)1であって、記録装置2への挿入方向となる縁部22は、少なくとも一方の面の側が、先端部25に向かって徐々に厚さが薄くなる傾斜面、すなわちテーパ面24となっていること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンチキュラーレンズを有する記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
記録層に重ねてレンチキュラーレンズを有し、記録層に記録された画像をレンチキュラーレンズを介して、立体画像あるいは見る角度によって見える画像の形態等が変わる変り絵画像として見ることができる記録媒体が従来から知られている。かかる記録媒体は、特許文献1等に記載されるように、透明な樹脂シートをレンチキュラーレンズの形状が形成された型に沿わせた状態で樹脂シートと該型の間に紫外線硬化樹脂等の硬化樹脂を充填し、この硬化樹脂を硬化させることで樹脂シートにレンチキュラーレンズを形成し、さらに、樹脂シートのレンチキュラーレンズが形成されている側とは反対側に記録層を設けることで作成される。このような記録媒体は、コピー用紙等の記録紙に比べてレンチキュラーレンズとこのレンチキュラーレンズが形成される樹脂シートが設けられる分、厚さが厚いものとなっている。
【0003】
例えば、コピー用紙の厚さは0.1mm前後であり、また、写真用紙の厚さは0.3mmであるのに対し、レンチキュラーレンズを有する記録媒体においては、レンチキュラーレンズが1インチに60本形成される60LPI(Lens Per Inch)のものでは、薄いものでも0.5mm前後、厚いものでは1.2mm程度の厚さとなっている。
【0004】
ところで、記録装置における記録媒体搬送機構は、搬送用駆動ローラとこの搬送用駆動ローラと対に設けられる従動ローラとの間に記録媒体を挟み、従動ローラにより記録媒体を搬送用駆動ローラに対し押圧し、搬送用駆動ローラの搬送力が記録媒体に効率的に伝達されるようにすることで記録媒体の確実な搬送が達成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−121604号
【特許文献2】特開2002−67058号
【特許文献3】特開2002−90919号
【特許文献4】特開2002−333673号
【特許文献5】特開平11−192696号
【特許文献6】特許第3471930号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述のレンチキュラーレンズを有する記録媒体においては、その厚さが厚いため、搬送用駆動ローラと従動ローラとの間に記録媒体が入り込むことができず、記録媒体の搬送が確実に行えないという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、搬送用駆動ローラと従動ローラとの間に容易に入り込むことができ、搬送の確実性を向上させたレンチキュラーレンズを有する記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、レンチキュラーレンズを有する記録媒体であって、記録装置への挿入方向にある縁部の少なくとも一方の面が、先端部に向かうにつれて他方の面との間の厚さが薄くなるテーパ面となっていることを特徴とする記録媒体。
【0009】
記録媒体をこのように構成することで、記録媒体を搬送用駆動ローラと従動ローラとの間に容易に入り込ませることができ、安定した搬送が行われる。
【0010】
また、他の発明は、上述の発明に加えて、一方の面は、レンチキュラーレンズの凸面の側であることとする。記録媒体をこのように構成することで、記録領域を大きくとることができる。
【0011】
上記課題を解決するために、本発明は、レンチキュラーレンズを有する記録媒体であって、記録装置への挿入方向に前記記録媒体の全幅よりも狭い幅の片部を有することとする。
【0012】
記録媒体をこのように構成することで、記録媒体を搬送用駆動ローラと従動ローラとの間に容易に入り込ませることができ、安定した搬送が行われる。
【0013】
また、他の発明は、上述の発明に加えて、片部は、先端に向かうほど幅が狭くなる尖状形であることとする。記録媒体をこのように構成することで、記録媒体を搬送用駆動ローラと従動ローラとの間により確実に入り込ませることができ、安定した搬送が行われる。
【0014】
また、他の発明は、上述の発明に加えて、テーパ面または片部は、記録装置への挿入方向の前後の縁部に備えられていることとする。このように記録媒体を構成することで、記録媒体を前後いずれの向きからでも記録装置に装填することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るレンズシートが装填されている記録装置の構成を示す後方斜視図である。
【図2】図1に示す部分Aの拡大図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係るレンズシートの構成を示す斜視図である。
【図4】図3に示す部分Bの拡大図である。
【図5】レンズシートの第1の変形例を示す図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係るレンズシートの構成を示す底面図である。
【図7】レンズシートの第2の変形例を示す図である。
【図8】レンズシートの第3の変形例を示す図である。
【図9】本発明の第3の実施の形態に係るレンズシートの構成を示す底面図である。
【図10】レンズシートの第4の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1の実施の形態)
以下に、本発明の第1の実施の形態に係るレンズシート1について、図1から図4を参照しながら説明する。
【0017】
図1は、記録媒体としてのレンズシート1およびこのレンズシート1が記録装置2に装填されている状態を示している図である。図2は、記録装置2の搬送機構3によりレンズシート1が搬送される部分の構成を模式的に示す図であり、図1に示す部分Aの概略構成を示す拡大図である。図3は、レンズシート1の構成を示す斜視図であり、図4は、図3に示す部分Bの拡大図である。
【0018】
先ず、記録装置2の構成について簡単に説明する。図1は記録装置2を後方から見た斜視図である。なお、図1において、レンズシート1が進行する方向である矢印Xの方向を前方(前側)とし、この反対方向を後方(後側)とする。また、後方から前方に向かって右手方向となる矢印Yの方向を右方(右側)とし、この反対方向である左手方向を左方(左側)とする。そして、矢印Zの方向を上方(上側)とし、この反対方向を下方(下側)として、以下の説明を行うこととする。
【0019】
記録装置2は、外装体である筐体4と、レンズシート1を下側から支持する支持手段としてのシートガイド5と、シートガイド5上に載置されたレンズシート1を後方から前方に向けて搬送する搬送用駆動ローラ6と、この搬送用駆動ローラ6の回転を受けて回転する従動ローラ7と、レンズシート1に対して記録を行う記録ヘッド8等を有する。なお、搬送用駆動ローラ6と従動ローラ7等により搬送機構3は構成され、また、本実施の形態では従動ローラ7は左右方向に等間隔で5つ備えられている。
【0020】
レンズシート1は、図3に示すように、透明な樹脂シート9の一方の面にレンチキュラーレンズ10が形成され、他方の面に画像形成層11が形成されている。このレンズシート1は、画像形成層11に記録された画像をレンチキュラーレンズ10を介して視認することができるように構成されている。したがって、例えば、画像形成層11に、レンチキュラーレンズ10の配設ピッチや焦点距離等に対応させて視差のある画像を記録し、この画像をレンチキュラーレンズ10の側から視認すると、立体感のある画像として、あるいは見る角度によって異なる画像として視認することができるというものである。なお、レンズシート1は画像形成層11を形成することなく、レンチキュラーレンズ10が形成される側と反対の面の樹脂部に直接記録を行う構成のものとしてもよい。
【0021】
筐体4の後側の側面には、レンズシート1を筐体4内に供給するための給紙開口部12が形成され、また、前側の側面には、給紙開口部12の側から供給されたレンズシート1を排出する排紙開口部13が形成されている。給紙開口部12から記録装置2に供給されたレンズシート1は、搬送用駆動ローラ6と従動ローラ7との間を通され、ローラ駆動モータ14により回転される搬送用駆動ローラ6により前方に向かって搬送される。
【0022】
従動ローラ7は、不図示の付勢手段により上方から下方に向かって付勢された状態で上方に変位可能に設けられている。そして、この従動ローラ7は、搬送用駆動ローラ6の上を通過するレンズシート1を搬送用駆動ローラ6の側に押圧するように付勢し、レンズシート1が搬送用駆動ローラ6から離れないようにしている。このため、レンズシート1は搬送用駆動ローラ6からの回転力を確実に受けることができ、確実に搬送されるようになっている。そうして、搬送用駆動ローラ6により前方に向けて搬送されるレンズシート1は、記録ヘッド8により記録が行われた後、排紙開口部13から記録装置2の外部に排出される。
【0023】
シートガイド5は、前後方向が、給紙開口部12の後方に突出した位置から搬送用駆動ローラ6の手前の位置に亘って備えられている。また、左右の幅方向については、載置されるレンズシート1の全幅に亘って支持できる幅となっている。シートガイド5は、筐体4、または内部のフレーム等の構造体に対して図示を省略する構成により取り付けられている。
【0024】
シートガイド5の上面には、レンズシート1のレンチキュラーレンズ10と噛み合い、レンズシート1の搬送を後方から前方へ向けてガイドするガイド溝15が形成されている。このガイド溝15は、レンチキュラーレンズ10と同一形状に形成されている。すなわち、レンチキュラーレンズ10を形成する各レンズ要素16(例えば、シリンドリカルレンズ)と同一形状の線条の凸条17がレンチキュラーレンズ10の配設ピッチと同一ピッチでレンズシート1の幅よりも広い幅に亘って並設されている。凸条17の長手方向、すなわち凸条17の母線(稜線)方向は、レンズシート1の搬送方向である前後方向に沿って形成されている。
【0025】
シートガイド5にこのようなガイド溝15を設けることで、シートガイド5上に載置されたレンズシート1のレンチキュラーレンズ10はガイド溝15に噛み合い、左右方向(主走査方向)の位置決めがされた状態となる。また、ガイド溝15は、レンズシート1の搬送方向である前後方向に沿うように形成されている。そのため、レンズシート1は搬送される際に、ガイド溝15により左右方向への位置ずれが防止され前後方向にガイドされた状態で搬送される。つまり、レンズシート1は、搬送方向が一定に維持された状態で搬送され、記録ヘッド8によるレンズシート1への記録を所定の位置に行うことができる。
【0026】
記録ヘッド8は、キャリッジ18の下面に取り付けられ、本実施の形態では、インクを吐出するインクジェット型の記録ヘッドとして構成されている。キャリッジ18は、左右方向に延設されるキャリッジガイド19に移動可能に支持され、また、キャリッジ用モータ20により駆動されるタイミングベルト21に取り付けられている。このため、キャリッジ用モータ20によりタイミングベルト21を左右方向に回転駆動すると、キャリッジ18と共に記録ヘッド8をキャリッジガイド19に沿って左右方向に移動することができる。
【0027】
したがって、搬送用駆動ローラ6によるレンズシート1の搬送方向である副走査方向への搬送を制御すると共に、記録ヘッド8の移動方向である主走査方向、すなわち左右方向への移動についても制御することで、記録ヘッド8をレンズシート1の所定位置に移動することができ、レンズシート1の所望の位置に画像を記録することができる。なお、レンズシート1は、画像形成層11の側を記録ヘッド8に対向され、レンチキュラーレンズ10の側がガイド溝15に接触するようにシートガイド5に載置する。つまり、記録ヘッド8は画像形成層11に対して記録を行い、レンチキュラーレンズ10の側から画像形成層11に記録された画像を視認することができる記録物が製作されることになる。
【0028】
ここで、レンズシート1の構成について、図3および図4を参照しながらさらに詳しく説明する。図3は、レンズシート1を下方、すなわちシートガイド5に載置される側から見た斜視図となっている。図4は、図3に示す部分Bの拡大図である。
【0029】
レンズシート1の長手方向の一方の縁部22はテーパ部23となっている。テーパ部23は、レンチキュラーレンズ10の側が縁部22の先端に向かうにつれてレンズシート1の厚さが薄くなるテーパ面(傾斜面)24が形成される部分である。テーパ部23は、先端側ほどレンズシート1の厚さが薄くなり、先端部25において一番薄い厚さとなっている。
【0030】
このように縁部22を先端側ほど厚さが薄くなるテーパ部23とすることで、このテーパ部23が設けられる側を前方に向けてレンチキュラーレンズ10を搬送用駆動ローラ6と従動ローラ7との間に挿入したときに、レンズシート1は、テーパ部23の部分において搬送用駆動ローラ6と従動ローラ7との間に入り込み易くなる。つまり、テーパ部23を設けることでレンズシート1が搬送用駆動ローラ6と従動ローラ7との間に引き込まれ易くなる取っ掛かりができる。そして、レンズシート1のテーパ部23が搬送用駆動ローラ6と従動ローラ7との間に入り、レンズシート1の搬送が始まると、従動ローラ7はレンズシート1の厚みに応じて付勢手段(不図示)の付勢力に抗して上方に変位する。従動ローラ7が上方に変位することで搬送用駆動ローラ6と従動ローラ7との間にレンズシート1が挟み込まれた状態となる。このようにレンズシート1は搬送用駆動ローラ6と従動ローラ6とその間に挟み込まれ、従動ローラ7により搬送用駆動ローラ6への押圧力を受けた状態で、搬送用駆動ローラ6の回転により搬送が行われる。
【0031】
レンズシート1の先端側の縁部22をテーパ部23に構成することで、レンズシート1が搬送用駆動ローラ6と従動ローラ7との間に引き込まれる取っ掛かりができる作用(メカニズム)は、図2を参照して説明する次の要因によるものと推測できる。
【0032】
厚さの厚いレンズシート1を搬送するために、従動ローラ7は、従動ローラ7の下部7Aとレンズシート1の上面との高さの差分Hだけ、上方に変位する必要がある。そのため、レンズシート1の縁部22を点線部分22’で示すように通常の厚さとした場合には、点線部分22’の縁部22が従動ローラ7に当接したときに直ちに上方に差分Hだけ変位する必要がある。しかしながら、従動ローラ7がこのように直ちにレンズシート1の厚さに対応して変位できない場合には、レンズシート1の縁部22が従動ローラ7によりはじかれてしまう。したがって、レンズシート1は、搬送用駆動ローラ6と従動ローラ7との間に引き込まれることができない。
【0033】
これに対し、レンズシート1の縁部22にテーパ部23を形成することで、レンズシート1はテーパ部23の部分で厚さが薄くなっている。そのため、従動ローラ7に縁部22が当接した際に、テーパ部23は従動ローラ7の周面に沿って下方に撓むことができる。このため、従動ローラ7は上方に差分Hだけ変位しなくてもレンズシート1の上面に載ることができる。従動ローラ7がレンズシート1の上面に載り、撓んだテーパ面24が従動ローラ7の下方への付勢力を受けて搬送用駆動ローラ6に接触することで、レンズシート1に搬送用駆動ローラ6の回転が確実に伝わる。これにより、レンズシート1が搬送用駆動ローラ6と従動ローラ7との間に引き込まれる取っ掛かりとなる。
【0034】
なお、上述したレンズシート1が搬送用駆動ローラ6と従動ローラ7との間に引き込まれる取っ掛かりができるメカニズムは、レンズシート1の厚さや搬送用駆動ローラ6や従動ローラ7の直径、あるいはこれらのローラの表面の摩擦力、さらには、搬送用駆動ローラ6と従動ローラ7の相対位置等に起因する種々の事項が起因すると考えられる。レンズシート1が搬送用駆動ローラ6と従動ローラ7との間に引き込まれる取っ掛かりができるメカニズムについては上述のように種々考えられるが、先端部25にテーパ面24を設けることで、レンズシート1を搬送用駆動ローラ6と従動ローラ7との間に引き込み易くなる。
【0035】
ところで、テーパ部23は、後述するように、画像形成層11が設けられる側にテーパ面24が配設されるように形成してもよい。しかしながら、テーパ面24をレンチキュラーレンズ10の側に形成することで、画像形成層11をレンズシート1の大きさ一杯に形成することができ、記録領域を広く確保することができる。
【0036】
なお、テーパ面24の傾斜角度は、搬送用駆動ローラ6や従動ローラ7とレンズシート1との接触部の摩擦や、搬送用駆動ローラ6と従動ローラ7との間の間隔、あるいはレンズシート1の厚さ等を考慮して適宜に設定する。
【0037】
(変形例1)
次に、レンズシート1の変形例であるレンズシート30の構成について図5を参照しながら説明する。図5は、図2と同様に、搬送機構3によりレンズシート30が搬送される部分の構成を示す図である。レンズシート30のレンズシート1と同様の構成部分については同一の符号を付しその説明を省略することとする。
【0038】
上述の実施の形態では、テーパ面24はレンズシート1のレンチキュラーレンズ10が設けられる側に形成されている。これに対し、レンズシート30は、図5に示すように、画像形成層11が設けられる側にテーパ面31が配設されるようにテーパ部32を形成している。このようにテーパ部32を構成することで、レンズシート30を搬送用駆動ローラ6と従動ローラ7との間に先端部33が入り込み易くなる。そして、搬送用駆動ローラ6と従動ローラ7との間に入り込んだテーパ面31の上に従動ローラ7が当接する。従動ローラ7がテーパ面31に当接することでテーパ部32は、従動ローラ7の押圧力を受けて搬送用駆動ローラ6の側に押圧される。このため、搬送用駆動ローラ6の回転力がレンズシート30に確実に伝わる。これにより、レンズシート30が搬送用駆動ローラ6と従動ローラ7との間に引き込まれる取っ掛かりとなると推測できる。
【0039】
なお、上述のレンズシート1およびレンズシート30は片面に、テーパ面24あるいはテーパ面31を形成しているが、このようなテーパ面をレンズシートの両面に設けるようにしてもよい。
【0040】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態に係るレンズシート40の構成について図6を参照しながら説明する。レンズシート1と同様の構成部分については同一の符号を付しその説明を省略することとする。
【0041】
図6は、レンズシート40と従動ローラ7との位置関係を模式的に示す図であり、レンズシート40を下面側(レンチキュラーレンズ10側の面)から見た底面図である。図6に示すように、レンズシート40の長手方向の一方の縁部41には、切込み部42が数箇所(本実施の形態では4箇所)形成され、隣り合う切込み部42同士の間は舌状の片部43として構成されている。各片部43の縁部44の幅43Wはレンズシート40の全幅40Wよりも狭い幅となっている。
【0042】
このようにレンズシート40に片部43を設けることで、この片部43が、レンズシート1が搬送用駆動ローラ6と従動ローラ7との間に引き込まれる取っ掛かりとなり、レンズシート40を搬送用駆動ローラ6と従動ローラ7との間に挟み込んで搬送させ易くなる。
【0043】
片部43が、レンズシート1が搬送用駆動ローラ6と従動ローラ7との間に引き込まれる取っ掛かりとなるのは次の作用によるものと推測できる。片部43の幅43Wはレンズシート40の幅40Wよりも狭い幅である。そのため、従動ローラ7の押圧力をレンズシート40の全副である幅40Wで受けるよりも、狭い幅の片部43で従動ローラ7の押圧力を受けることで、片部43には、従動ローラ7から大きな押圧力が作用することになる。したがって、片部43が搬送用駆動ローラ6に大きな押圧力で接触し、搬送用駆動ローラ6の回転が確実にレンズシート40に伝わることが要因と推測できる。
【0044】
(変形例2)
なお、本実施の形態では、切込み部42は谷型の切込みとなっているが図7に示すように、直線状の切込み線50を設けることで、片部51を形成するようにしてもよい。
【0045】
(変形例3)
また、片部43は複数に限らず図8に示すように一箇所としてもよい。
【0046】
(第3の実施の形態)
次に、本発明の第3の実施の形態に係るレンズシート60の構成について図9を参照しながら説明する。上述の実施の形態に係るレンズシート1、30、40と同様の構成部分については同一の符号を付しその説明を省略することとする。
【0047】
図9は、レンズシート60と従動ローラ7との位置関係を模式的に示す図であり、レンチキュラーレンズ60の下面(レンチキュラーレンズ10側の面)から見た底面図である。図9に示すように、レンズシート60は、上述の第2の実施の形態の片部43に換えて先端方向に向うほど左右方向の幅が狭くなる尖状形の片部61が設けられている。このように尖状形の片部61をレンズシート60の前端部62に設けることで、レンズシート60が搬送用駆動ローラ6と従動ローラ7との間に引き込まれる取っ掛かりをより確実なものとすることができる。
【0048】
片部61が、レンズシート60が搬送用駆動ローラ6と従動ローラ7との間に引き込まれる取っ掛かりとしてより確実に機能するのは次の作用によるものと推測できる。上述の第2の実施の形態およびその変形例に示す片部43の縁部44は、レンズシート40の搬送方向に対して左右方向に直交する方向に設けられている。つまり、レンズシート40を搬送用駆動ローラ6と従動ローラ7との間に搬送方向に向けてセットしたときに、縁部44は、従動ローラ7の円周面に線で接することとなる。
【0049】
これに対し、レンズシート60は、図9に示すように片部61を先端方向に向かうほど左右方向の幅が狭くなる尖状形としている。このように、片部61を尖状形とした場合には、片部61の先端部63は従動ローラ7の円周面に対し点で接することになる。そのため、片部61の先端部63には、片部43の縁部44が従動ローラ7に線で接する場合よりもさらに大きな押圧力が従動ローラ7から作用することになる。したがって、片部61が搬送用駆動ローラ6に大きな押圧力で接触し、搬送用駆動ローラ6の回転が確実にレンズシート60に伝わり、レンズシート60が搬送用駆動ローラ6と従動ローラ7との間に引き込まれる取っ掛かりがより確実なものなると推測できる。
【0050】
なお、従動ローラ7の左右方向の配設が図中点線で示す従動ローラ7’のような配設である場合には、片部61の先端部63が従動ローラ7’と従動ローラ7’との間に位置に、先端部63が従動ローラ7’から押圧されない場合もある。このような場合であっても先端部63の両側の縁部64は従動ローラ7’の端部7’Bに斜めに交差し、縁部64は端部7’Bに対し点で接することになる。そのため、上述したように、片部61には従動ローラ7’から大きな押圧力が作用し、片部61が搬送用駆動ローラ6に大きな押圧力で接触するため、搬送用駆動ローラ6の回転は確実にレンズシート60に伝わることになる。
【0051】
(変形例4)
次に、レンズシート60の変形例であるレンズシート70について説明する。レンズシート60と同様の構成部分については同一の符号を付しその説明を省略することとする。
【0052】
レンズシート60においては片部61は、レンズシート60の先端部63の一部に設けられているが、図10に示すように、レンズシート70の前端部71の全体を尖状体として、大きな片部72としてもよい。このように構成した場合にも、レンズシート70が搬送用駆動ローラ6と従動ローラ7との間に引き込まれる取っ掛かりが確実なものとなる。
【0053】
なお、上述の各実施の形態およびその変形例で説明したレンズシート1,30,40,60,70は、テーパ部23,31,片部43,51,61は、レンズシート1等の前方側にのみ設けられている例を示した。しかしながら、これらテーパ部、片部は、レンズシートの前後に設けるようにしてもよい。前後に設けることで、レンズシートを前後何れの向きでも記録装置2へ装填することができる。
【0054】
記録装置2は、従動ローラ7の後方にシート送りローラ73を備え、このシート送りローラ73によりシートガイド5上に載置されたレンズシート1,30,40,60,70(以下、レンズシート1等と言う。)を搬送用駆動ローラ6と従動ローラ7との間に送り込むる構成のものでもよい。このように、記録装置2がシートガイド5上に載置されたレンズシート1等をシート送りローラ73により搬送用駆動ローラ6と従動ローラ7の間に送り込む構成である場合は、レンズシート1等にテーパ面24,31あるいは片部43,51,61,72が設けられることで、レンズシート1等は搬送用駆動ローラ6と従動ローラ7との間に容易に入り込むことができ安定した搬送が行われる。
【符号の説明】
【0055】
1,30,40,60,70・・・レンズシート(記録媒体) 2・・・記録装置 10・・・レンチキュラーレンズ 22・・・縁部 25,33・・・先端部 24,31・・・テーパ面 43,51,61,72・・・片部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンチキュラーレンズを有する記録媒体であって、
記録装置への挿入方向に前記記録媒体の全幅よりも狭い幅の片部を有することを特徴とする記録媒体。
【請求項2】
前記片部は、先端に向かうほど幅が狭くなる尖状形であることを特徴とする請求項1に記載の記録媒体。
【請求項3】
前記テーパ面または片部は、記録装置への挿入方向の前後の縁部に備えられていることを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載の記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−83989(P2013−83989A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−258273(P2012−258273)
【出願日】平成24年11月27日(2012.11.27)
【分割の表示】特願2007−270985(P2007−270985)の分割
【原出願日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】