説明

記録材収容装置及び画像形成装置

【課題】本発明の目的は、簡易かつ安価な構成で、記録材の幅方向における両側端部が中央部に比べて正極性側に帯電してしまうのを防止し、記録材の両側端部が中央部と同等の極性になるように、記録材の表面電位を調整すること。
【解決手段】給送ローラ12によって送り出される記録材Pを積載収容する給送カセット7であって、前記記録材Pの給送方向と直交する幅方向に移動可能に設けられ、前記記録材Pの幅方向における両側端部の位置を記録材に当接して規制する記録材側端規制板71と、抵抗部材11cを介して接地されている金属製のコロ11aと、を有し、前記コロ11aは、前記規制板71の記録材に当接する側に設けられ、前記記録材Pの幅方向における両側端部領域の積載面に上方から当接する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給送手段によって送り出される記録材を積載収容する記録材収容装置に関し、例えば、プリンタ、複写機、ファクシミリ等の画像形成装置において給送手段によって送り出される記録材を積載収容する記録材収容装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機などの画像形成装置において、記録材としての用紙を構成する紙繊維の断片あるいはタルクや炭酸カルシウム、カオリン、二酸化チタン、水酸化アルミニウムといった填料などは、用紙から離脱して画像不良の原因となる場合がある。なお、紙繊維の断片や填料などの用紙の構成材料が用紙から離脱したものを、以下「紙粉」という。
【0003】
このような問題を解決するために、従来から以下のような技術が提案されている。特許文献1では、給送部と画像形成部との間の記録材搬送部に加圧ローラを設け、この加圧ローラで用紙を加圧圧縮することによって用紙を硬化させ、紙粉の発生を抑えている。また特許文献2では、給送部に一対のブラシローラを設け、バイアス電圧を印加したブラシローラで用紙の表裏を摺擦することによって用紙を除電すると共に機械的に紙粉を除去している。また特許文献3では、給送搬送部の駆動ローラに付着した紙粉をブレード状の紙粉除去部材によって取り除き、紙粉回収口から回収して留めるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4−191228号公報
【特許文献2】特開平3−147648号公報
【特許文献3】特開平8−198473号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、近年の環境問題の意識の高まりを受けて、記録材としての再生紙の使用が年々増加している。この再生紙には、紙質をあげるために従来の用紙に比べて多量の填料が添加されている。また近頃、海外から輸入された用紙が国内で広く使用されつつある。この輸入用紙には、国内用紙に比べて格段に多くの填料が添加されている。
【0006】
また、これらの紙粉は、帯電しやすく、用紙の搬送方向と直交する幅方向中央部では給送搬送中にローラと摺動することで摩擦帯電して負極性に帯電する。一方、用紙の幅方向両側端部では中央部に比べてガイド部材と強く擦れることが多いので、紙粉は、材質によっては正極性側に帯電してしまう。中央部に比べて正極性側に帯電した紙粉は、像担持体に担持されたトナー像を記録材に転写する転写位置に達したときに、電気的に負極性に帯電された像担持体に吸着されてしまう。そのため、像担持体の用紙の幅方向両側端部に対応する位置には、通紙時に紙粉が付着しやすく、付着した紙粉は像担持体の傷や製造上の研磨による微細な溝などの凹部に入り込んでしまう。
【0007】
近年、トナー像を担持する感光体等の像担持体の長寿命化を目的として、像担持体の最上層に硬い保護層を設けることで、クリーニングブレードや、記録材(例えば紙)の接触により生じる像担持体の削れを減少させている。このように像担持体の表層を削れにくくしたことにより、例えば特許文献3のブレード状の紙粉除去部材を用いたとしても、前述の如く像担持体の凹部に入り込んだ紙粉を取り除くことは困難である。そのため、前述の如く像担持体の凹部に入り込んだ紙粉は、いつまでも像担持体上に残ってしまうことになる。そして、高温多湿環境では、像担持体の凹部に入り込んで残った紙粉などが、水分を吸着して画像流れ等の画像不良を引き起こしてしまう。特に、用紙の端部は、用紙の裁断により他の部分に比べて紙粉が多いため、その傾向が顕著である。
【0008】
また、填料を多く含んだ用紙を使用した場合、用紙の端部は他の部分に比べて特に紙粉が多いため、特許文献1のように加圧ローラで用紙を加圧圧縮して硬化させたとしても、紙粉に起因する画像不良を十分には防止できない恐れがある。
【0009】
また、特許文献2の技術では、用紙の表裏を摺擦するための対をなすブラシローラを設けているため、装置が大型化し、加えて、バイアス印加のための高圧トランスが必要となり、製造コストが上がるという問題がある。
【0010】
そこで、本発明の目的は、簡易かつ安価な構成で、記録材の幅方向における両側端部が中央部に比べて正極性側に帯電してしまうのを防止し、記録材の両側端部が中央部と同等の極性になるように、記録材の表面電位を調整することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明は、給送手段によって送り出される記録材を積載収容する記録材収容装置であって、前記記録材の給送方向と直交する幅方向に移動可能に設けられ、前記記録材の幅方向における両側端部の位置を記録材に当接して規制する規制部材と、抵抗を介して接地されている導電部材と、を有し、前記導電部材は、前記規制部材の記録材に当接する側に設けられ、前記記録材の幅方向における両側端部領域の積載面に上方から当接することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、抵抗を介して接地した導電部材により、簡易かつ安価な構成で、記録材の幅方向における両側端部を中央部と同等の極性になるように帯電させることができる。すなわち、記録材の幅方向両側端部が中央部に比べて正極性側に帯電されてしまうのを防止することができる。これにより、記録材の両側端部の紙粉が像担持体上に吸着してしまうのを防止することができる。そのため、填料を多く含む再生紙や輸入用紙などの記録材を使用したとしても、その記録材の紙粉が像担持体に付着してしまうことによる画像不良を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】記録材給送装置を備えた画像形成装置を模式的に示す縦断面図である。
【図2】(a)は前記画像形成装置における記録材給送装置の概略構成図であり、(b)はコロを設けた記録材側端規制板の側面図であり、(c)はコロを設けた記録材側端規制板の正面図である。
【図3】前記記録材給送装置を上方から見た模式上面図である。
【図4】(a)は本実施形態の構成で感光ドラムの直前で記録材中央部と記録材端部の記録材表面電位を測定した結果を示す図であり、(b)は比較例の構成で感光ドラムの直前で記録材中央部と記録材端部の記録材表面電位を測定した結果を示す図である。
【図5】本実施形態と比較例の各構成で記録材端部位置の紙粉の帯電分布を表した表図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、以下の実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、それらの相対配置などは、本発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものである。従って、特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。また、各図面において同一の符号を付したものは、同一の構成又は作用をなすものであり、これらについての重複説明は適宜省略する。
【0015】
図1に、画像形成装置の概略構成を示す。本実施形態では、画像形成装置としてレーザービームプリンタを例として説明する。まず、図1を参照してレーザービームプリンタの構成を説明する。
【0016】
画像形成装置としてのレーザービームプリンタは、像担持体に担持されたトナー像を記録材に転写して、記録材に画像を形成する。このレーザービームプリンタは、OPCやa−Si等の光導電層を有する像担持体としての感光ドラム1を備えている。感光ドラム1は、プリンタの装置本体Tに回転自在に支持されており、メインモータ(不図示)によって矢印A方向に所定の速度で回転駆動される。感光ドラム1の周囲には、その回転方向に沿ってほぼ順に、帯電ローラ(帯電手段)2、レーザースキャナ(露光手段)3、現像装置(現像手段)4、転写ローラ(転写手段)5、クリーニング装置(クリーニング手段)6が配設されている。
【0017】
装置本体Tの下部には、記録材Pを積載収容することが可能な記録材収容装置としての給送カセット7が着脱可能に配置されている。この記録材収容装置としての給送カセット7については、後で詳しく説明する。また、装置本体Tにおいて、感光ドラム1の上部には、記録材に転写されたトナー像を定着する定着装置8が配置されている。なお、プリンタの装置本体Tとは、前述した給送カセット7を除いた画像形成装置部分である。
【0018】
また、装置本体Tの背面には、画像形成動作等を制御する制御部9と、帯電ローラ2や現像装置4等に高圧を印加する高圧電源部10が配置されている。制御部9には、画像形成動作等を実行する指令を出す本体CPU9aや定着の温度制御等を実行する定着CPU9b、およびプログラム等が格納されたメモリ9cが搭載されている。高圧電源部10には、直流電源と交流電源によって構成されている帯電印加電源10aと、直流電源と交流電源によって構成されている現像印加電源10bと、正と負の各々の直流電源によって構成される転写印加電源10cとが設けられている。プリンタの動作は、制御部9の各CPU9a,9bがメモリ9cから必要なプログラムを読み出して各種制御を実行することによって実現される。
【0019】
次に、上述構成のレーザービームプリンタにおいて、記録材に画像を形成するプロセス動作を、帯電、露光、現像、転写、定着、クリーニングの順に説明する。
【0020】
まず、帯電動作について説明する。帯電ローラ2は、感光ドラム1を均一に帯電させる帯電手段である。帯電ローラ2は、ローラ軸体(導電性支持体、芯金)を有する導電性弾性ローラであり、ローラ軸体の両端部をそれぞれ軸受部材を介して装置本体に回転自在に支持されている。帯電ローラ2は、ローラ軸線を感光ドラム1のドラム軸線に対してほぼ並行に配列して感光ドラム1に対して所定の圧力で押圧されて接触している。帯電ローラ2は、メインモータ(不図示)によって矢印A方向に回転駆動される感光ドラム1の回転に従動して回転する(図1参照)。帯電ローラ2は、高圧電源部10の帯電印加電源10aから所定の直流電圧(DC帯電方式)、あるいは所定の直流電圧と所定の交流電圧を重畳した電圧(AC+DC帯電方式)が、帯電ローラ2のローラ軸体を通して帯電バイアスとして印加される。これにより、所定の速度で回転駆動している感光ドラム1の表面が所定の極性・電位に一様に接触帯電される(ここでは、−500〜−800V)。なお、ここでは、帯電ローラ2による接触帯電方式を採用しているが、帯電方式は感光ドラム1を負極性に帯電させるものであれば、接触帯電方式でなくても構わない。
【0021】
また、帯電ローラ2には、ローラ軸体(導電性支持体、芯金)上にパイル織物からなるブラシ43が設けられた帯電ローラ清掃ブラシ回転体40が、所定の圧力で押圧されて接触している。帯電ローラ清掃ブラシ回転体40は、帯電ローラ2からの駆動入力で回転することにより帯電ローラ表面を清掃する。この帯電ローラ清掃ブラシ回転体40にも、帯電ローラ2に供給している帯電印加電源10aから分岐した同じ極性のバイアスが印加されている。なお、帯電ローラ清掃ブラシ回転体40に印加するバイアスは、帯電ローラ2に印加する高圧電源と共通でも個別の電源でも構わない。
【0022】
次に、露光動作について説明する。帯電後の感光ドラム1は、その表面に対し露光手段であるレーザースキャナ3によって画像情報に基づいて画像露光がなされ、露光部分の電荷が除去されて静電潜像が形成される。なお、ここでは、露光手段としてレーザースキャナを使用したが、これに限定されるものではなく、例えばLEDアレイ等を使用しても構わない。
【0023】
次に、現像動作について説明する。現像装置4は、露光によって形成された感光ドラム1上の静電潜像を、トナーによって現像する。現像装置4は、感光ドラム1にトナー4bを供給する現像スリーブ4aを有している。この現像スリーブ4aに高圧電源部10の現像印加電源10bから所定の直流電圧と所定の交流電圧を重畳した現像バイアス(AC+DC帯電方式)を印加して、感光ドラム1上の静電潜像にトナーを付着させトナー像として現像(顕像化)する。なお、ここでの現像方式は、一成分磁性ネガトナーを用いた一成分反転ジャンピング現像方式であるが、これに限定されるものではない。例えば、感光ドラム1に対して接触状態で現像する方法(一成分接触現像)であっても良い。あるいは、現像剤であるトナーに対して磁性キャリアを混合し、この現像剤を磁気力により搬送して感光ドラム1に対して接触状態で現像する方法(二成分接触現像)であっても良い。あるいは、上記二成分現像剤を感光ドラム1に対して非接触状態で現像する方法(二成分非接触現像法)であっても良い。これらの現像方式を、何れも好適に用いることが出来る。
【0024】
次に、転写動作について説明する。感光ドラム1上に現像されたトナー像は、感光ドラム1の回転駆動によって、感光ドラム1と転写ローラ5とが対向する転写ニップ部(転写位置)Nに送られる。一方、給送カセット7に収容されている記録材Pは、給送ローラ12によって一枚ずつ送り出され、図示しないガイド部材に案内されつつ、搬送ローラ13によって搬送される。この記録材Pは、トナー像が転写ニップ部Nに送られるタイミングに合わせて、レジストローラ14により感光ドラム1と転写ローラ5との間の転写ニップ部Nに搬送される。そして、転写ニップ部Nに記録材Pが搬送されるタイミングで高圧電源部10の転写印加電源10cから転写ローラ5に現像剤と反対極性の所定の直流電圧が印加される。これにより、感光ドラム1に担持されたトナー像が記録材Pに順次静電的に転写される。なお、ここではトナーがマイナス極性(負極性)なので、その逆極性に当たるプラスの直流電圧(+1〜5KV)を転写ローラ5に印加している。
【0025】
また、ここでは、転写手段は、感光ドラム1と接触する接触転写ローラ方式を用いているが、これに限定されるものではない。例えば、タングステンや金ワイヤに高電圧(例えば20〜30KV)を印加して放電させる非接触コロナ放電転写方式でも構わない。あるいは、感光ドラム(第1の像担持体)のトナー像をITBからなる転写ベルト(第2の像担持体)に一旦転写させた後に記録材Pへ転写させる中間転写ベルト方式でも構わない。また、ここでは転写ローラ5は、金属ローラ軸上にNBRゴム(アクリルニトリルブタジエンゴム)とヒドリンゴムの混合ゴムを発泡させたスポンジゴムを配設したイオン導電性ゴムローラであるが、これに限定されるものではない。例えば、EPDMゴム(エチレン−プロピレン−ジエン共重合体)にカーボンブラックを分散させた電子導電性ゴムローラでも構わない。これらの転写手段は、何れも好適に用いることが出来る。
【0026】
次に、定着動作について説明する。静電的にトナー像を担持した記録材Pは、図示しないガイド部材に沿って定着装置8に搬送される。定着装置8は、定着ニップ部にてトナー像を加熱・加圧し、記録材に定着する。定着装置8は、トナー像を加熱する加熱部材20を内包する定着部材21と、定着部材21に圧接して定着ニップ部を形成する加圧部材22を有している。定着装置8は、定着ニップ部にて加熱・加圧をし、トナー像を記録材Pに定着させる。その後、記録材Pは図示しない機外の排出トレイに排出される。
【0027】
次に、クリーニング動作について説明する。前述の転写動作において、記録材Pに転写されないで感光ドラム1の表面に残ったトナーは、クリーニング装置6のクリーニングブレード6aによって除去される。クリーニング装置6内に捕集されたトナーは、図示しない回収トナー搬送スクリューによって機外に排出されて回収トナーボックス内に搬送される。
【0028】
以上のプロセス動作を繰り返すことで、記録材に次々と画像を形成することができる。
【0029】
なお、ここでは、トナー像を担持する感光ドラム(像担持体)として、最上層に硬い保護層を設けた感光ドラムを用いている。具体的には、HU(ユニバーサル硬さ値)が150N/mm以上220N/mm以下であり、かつ弾性変形率Weが40%以上65%以下の感光ドラムを用いている。ここで、HU(ユニバーサル硬さ値)及び弾性変形率Weは、25℃湿度50%の環境下でビッカース四角錘ダイヤモンド圧子を用いて硬度試験を行い、最大荷重6mNで押し込んだ時のHU(ユニバーサル硬さ値)及び弾性変形率Weである。これにより、クリーニングブレードや記録材(例えば紙)の接触により生じる感光ドラムの削れを、より減少させることができ、感光ドラム(像担持体)の長寿命化を図ることができる。
【0030】
次に、図2及び図3を用いて、装置本体Tに対して着脱可能に設けられた記録材収容装置としての給送カセット7について詳しく説明する。図2は、給送カセットから転写ニップ部に向けて記録材を搬送する記録材の搬送経路を示した模式断面図である。図3は、給送ローラと給送カセットを上方から見た模式上面図である。
【0031】
図2及び図3に示す給送カセット7は、記録材を積載収容することが可能であり、装置本体Tに対して着脱可能に設けられている。給送カセット7に収容された記録材Pは、装置本体Tに設けられた給送ローラ12によって一枚ずつ送り出され、感光ドラムに担持されたトナー像を記録材に転写する転写位置(転写ニップ部N)に向けて給送される。図2に示す給送カセット7は、記録材Pを積載収容するカセットオケ(収容部)7a、オケ7a内に揺動可能に設けられた揺動中底板(揺動部材)7bを有している。揺動中底板7bは、給送方向上流側のヒンジ部(不図示)を中心にオケ7a内に揺動可能に設けられており、給送方向下流側をバネ部材7cにより押し上げ付勢されている。これにより、カセットオケ7a内に積載収容した記録材Pは、その給送方向下流側(先端側)が、バネ部材7cで押し上げ付勢された揺動中底板7bにより給送ローラ12に向けて押し上げ付勢される。給送カセット7内に積載収容された記録材Pの先端側上面(表面)は、給送ローラ12の接触による押し下げを受けていない状態で、中底板7bのバネ部材7cによる押し上げ力で所定の高さレベルに保持される。
【0032】
なお、前述したように、記録材を給送する給送ローラ12は、給送カセット7から記録材Pを一枚ずつ給送するための給送手段であり、装置本体Tに設けられている。給送ローラ12は回転駆動制御されるローラであり、給送カセット7内の記録材Pの先端側の上方に位置させて配設してある。
【0033】
また、給送カセット7は、オケ7a内に収容された記録材の給送方向と直交する幅方向における両側端部の位置を規制するための一対の記録材側端規制板(規制部材)71を有している。更に、給送カセット7は、オケ7a内に収容された記録材の給送方向における後端部の位置を規制するための記録材後端規制板72を有している。記録材側端規制板71及び記録材後端規制板72は、使用する記録材Pのサイズに応じてその位置を変更できるように移動可能に構成されている。対をなす記録材側端規制板71は、記録材の給送方向と直交する幅方向に移動可能に設けられており、給送カセット7内にスライド移動可能に設けられている。これにより、幅方向両側の記録材側端規制板71が記録材のサイズに合わせて幅方向に一体的に移動することができる。記録材後端規制板72は、カセットオケ7aの底部に着脱自在に取り付けられており、記録材のサイズに合わせて記録材の給送方向に移動可能に構成されている。
【0034】
更に、前記給送カセット7は、抵抗を介して接地されている導電部材を有している。この導電部材は、前記記録材側端規制板71とともに前記幅方向に移動するように前記記録材側端規制板71に設けられ、前記記録材の幅方向における両側端部領域の上面(積載面)に上方から当接する。ここでは、導電部材として、給送ローラ12によって給送される記録材Pに従動して回転する金属製のコロ(回転部材)11aを用いている。導電部材は、回転部材に限らず、滑り性の良い導電部材であっても良いが、回転部材にすることにより、給送される記録材に従動して回転するため、より円滑な給送が行える。
【0035】
前記コロ11aは、図2に示すように、揺動中底板7bによって押し上げられた記録材Pの給送方向における先端部の上面(表面)に当接する位置に設けられ、かつ、給送ローラ12よりも記録材の給送方向上流側に設けられている。これにより、コロ11aを給送ローラ12と同軸上あるいは給送ローラ12より下流側に設けた場合に比べて、給送ローラ12によって給送される記録材に対する負荷が軽減され、円滑な給送が行える。
【0036】
ここで、記録材側端規制板71に設けたコロ11aの構成及び給送カセット7にセットされる記録材との関係について説明する。図2に示すように、コロ11aは、コロ11aの軸11bが記録材側端規制板71の上部に回転可能に支持されている。ここで、装置本体から引き出された給送カセット7に記録材をセットすると、中底板7bが押し下げられてバネ部材7cが縮んだ状態でロックされる。そして、記録材側端規制板71をスライドさせて記録材に当接して記録材の幅方向両端部の位置を規制する。このとき、バネ部材7cが縮んだ状態でロックされており、記録材は下に下がっている状態なので、記録材側端規制板71に設けた規制部材11aが記録材と干渉することはない。その後、装置本体に給送カセット7をセットすると、バネ部材7cのロックが外れて中底板7bが押し上げられ、記録材は給送ローラ12,コロ11aに押し下げを受けていない状態で接触する。
【0037】
更に金属製のコロ11aは、好ましくは外径が例えば6〜20mm、長さが10〜30mm、が好適だが目的に応じて適宜選択して使用される。外径が6mmよりも小さい場合、安定的に従動して回転できない。また、外径が20mmよりも大きい場合は、記録材表面電位を安定的に負極性に帯電させることができるが、給送カセット7内の記録材側端規制板71に取り付ける上でスペース的に確保するのが困難である。長さに関しては、10mmより短いと記録材Pが斜行した場合などに対応できない場合があり、長さが30mmよりも大きい場合はハガキ等の小サイズ紙の時に両サイドの金属製のコロ11aが干渉しあったり、給紙時のジャムの原因となることがある。
【0038】
この金属製のコロ11aの金属材料としては、鉄、ニッケル、金、銅等の帯電系列から紙よりも負極性に帯電するものが挙げられる。このコロ11aは、前述したように、記録材表面電位調整手段として所定の抵抗値を有する抵抗部材11cを介して接地されている。ここでは、200〜600MΩの抵抗部材11cを介して接地されている。抵抗値に関しては好ましくは400MΩ以上である。抵抗値が200MΩよりも低い場合は安定的に記録材の表面電位を負極性(両側端部の電位を中央部の電位と同極性)に帯電させることができない。一方、抵抗値が600MΩ以上の抵抗を使用するとコストアップになり対策として現実的ではない。しかしながら、抵抗部材11cは、これに限定されるものではなく、目的に応じて適宜選択して使用される。
【0039】
この金属製のコロ11aは記録材側端規制板71の上部に回転自在な状態で取り付けられていて、押し上げバネ部材7cの付勢力により押し上げられた記録材Pと加圧接触している。コロ11aは給送ローラ12よりも記録材給送搬送方向上流側に位置し、記録材Pが給送されると、押し上げバネ部材7cよる押圧力により記録材Pと加圧接触しているコロ11aは、記録材と従動して回転する。これにより、給送時に搬送経路15をなすガイド部材の影響を受けやすい記録材両側端部を確実に記録材中央部と同等の負極性に帯電させることが可能となる。そのため、紙粉等の異物が感光ドラム1に吸着されずに済む。したがって、感光ドラムに紙粉等の異物が付着して起こる画像不良を防ぐことが可能となる。
【0040】
上述したように、給送ローラ12よりも給送搬送方向上流側に設置されているコロ11aは、電気的に接地されている状態で給送される記録材Pの両側端部と接触しながら回転する。これにより、記録材Pの幅方向両側端部を中央部と同等の感光ドラム1の電位に近い負極性の電位に帯電することができる。このため、紙粉は感光ドラム1に吸着されずに済む。ここでは、本実施形態(実施例)の構成(導電部材を有する給送カセット)による効果を、比較例(導電部材を持たない給送カセット)を用いて比較している。図4に示す通りである。図4(b)は、比較例の構成で感光ドラム1の直前で記録材中央部と記録材端部の記録材の表面電位を測定した結果である。図4(a)は、本実施形態(実施例)の構成で感光ドラム1の直前で記録材中央部と記録材端部の記録材表面電位を測定した結果である。導電部材を持たない給送カセットを用いた場合は、図4(b)に示すように、記録材の幅方向端部が記録材の幅方向中央部に比べて正極性側に帯電してしまっている。これに対して、導電部材を有する給送カセットを用いた場合は、図4(a)に示すように、記録材の幅方向端部が、記録材の幅方向中央部に比べて正極性側に帯電されることなく、記録材の幅方向中央部と同等の極性に帯電されている。これにより、本実施例によれば、記録材の両側端部の紙粉が像担持体上に吸着してしまうのを防止することができる。そのため、填料を多く含む再生紙や輸入用紙などの記録材を使用したとしても、その記録材の紙粉が像担持体に吸着してしまうことによる画像不良を防止することができる。
【0041】
また、比較例の構成と本実施例の構成の給送カセットを用いた画像形成装置において、感光ドラム上の記録材端部位置に対応する位置の紙粉の帯電分布を測定した。この測定は、比較例の構成と本実施例の構成の給送カセットをiR3045(キヤノン株式会社製)に搭載して行った。そして、A4Rサイズの記録材を5000枚通紙させた後に、感光ドラム1に付着した紙粉の帯電分布をイースパートアナライザEST−3(ホソカワミクロン製)により測定した。測定結果は図5に示す通りである。図5は、比較例の構成での記録材端部位置の感光ドラム1上の紙粉の帯電分布と、本実施例の構成での感光ドラム1上の記録材端部位置の紙粉の帯電分布の結果を表した図である。比較例の構成では、正極性に帯電している紙粉の絶対数が多かったのに対して、本実施例の構成では、負極性に帯電している紙粉の絶対数が増え、正極性に帯電している紙粉の絶対数が減っている。この結果から、本実施例では記録材の紙粉がほぼ感光ドラム1に吸着されずに済むことが分かる。
【0042】
また、図2及び図3に示すような給送カセットに改造した給送カセットをiR3045(キヤノン株式会社製)に搭載させた。これを通常環境下(20℃/50%)でトナー載り量0.025g/A4サイズの画像を1枚間欠で通紙画像試験(200K枚)を行った。その結果、画像流れ等の画像不良がない、非常に良好な画像が長期に渡って得られた。
【0043】
なお、前述した実施形態では、画像形成装置としてプリンタを例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば複写機、ファクシミリ装置等の他の画像形成装置や、或いはこれらの機能を組み合わせた複合機等の他の画像形成装置であっても良い。あるいは、記録材担持体を使用し、該記録材担持体に担持された記録材に各色のトナー像を順次重ねて転写する画像形成装置であっても良い。あるいは、中間転写体を使用し、該中間転写体に各色のトナー像を順次重ねて転写し、該中間転写体に担持されたトナー像を記録材に一括して転写する画像形成装置であっても良い。これらの画像形成装置に用いられる記録材収容装置に本発明を適用することにより同様の効果を得ることができる。
【0044】
また前述した実施形態では、画像形成装置の装置本体に対して着脱可能な記録材収容装置を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば画像形成装置が一体的に有する記録材収容装置であっても良く、該記録材収容装置に本発明を適用することにより同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0045】
N …転写ニップ部(転写位置)
P …記録材
T …装置本体
7 …給送カセット(記録材収容装置)
7a …カセットオケ
7b …揺動中底板(揺動部材)
7c …バネ部材
11a …コロ(導電部材、回転部材)
11c …抵抗部材(抵抗)
12 …給送ローラ(給送手段)
71 …記録材側端規制板(規制部材)
72 …記録材後端規制板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給送手段によって送り出される記録材を積載収容する記録材収容装置であって、
前記記録材の給送方向と直交する幅方向に移動可能に設けられ、前記記録材の幅方向における両側端部の位置を記録材に当接して規制する規制部材と、
抵抗を介して接地されている導電部材と、を有し、
前記導電部材は、前記規制部材の記録材に当接する側に設けられ、前記記録材の幅方向における両側端部領域の積載面に上方から当接することを特徴とする記録材収容装置。
【請求項2】
前記導電部材は、前記給送手段によって給送される記録材に従動して回転する金属製の回転部材であることを特徴とする請求項1に記載の記録材収容装置。
【請求項3】
前記記録材収容装置は、積載収容された記録材を前記給送手段に向けて押し上げる揺動可能な揺動部材を有し、
前記導電部材は、前記揺動部材によって押し上げられた前記記録材の給送方向における先端部の表面に当接する位置に設けられ、かつ、前記給送手段よりも記録材の給送方向下流側に設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の記録材収容装置。
【請求項4】
像担持体に担持されたトナー像を記録材に転写して、記録材に画像を形成する画像形成装置において、
前記像担持体に担持されたトナー像を記録材に転写する転写位置に向けて記録材を給送する給送手段と、
前記給送手段によって送り出される記録材を積載収容する記録材収容装置と、を有し、
前記記録材収容装置として、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の記録材収容装置を有することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−41124(P2012−41124A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−183311(P2010−183311)
【出願日】平成22年8月18日(2010.8.18)
【出願人】(000208743)キヤノンファインテック株式会社 (1,218)
【Fターム(参考)】