説明

記録用の材料および記録装置

【課題】形成後の画像における耐久性を向上させること。
【解決手段】インクと、該インクを受容するインク受容性粒子と、該インク受容性粒子の表面を硬化させる硬化性液体と、を備える記録用の材料、並びに、中間転写体12と、インク受容性粒子16を前記中間転写体12上に供給するインク受容性粒子供給手段18と、前記中間転写体12上に供給された前記インク受容性粒子16にインクを吐出するインク吐出手段20と、前記インク受容性粒子16および前記インクを記録媒体8に転写する転写手段22と、前記記録媒体8に転写された前記インク受容性粒子16および前記インクを定着する定着手段23と、前記インク受容性粒子16に硬化性液体を付与する硬化性液体付与手段40と、を有する記録装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録用の材料および記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクを利用した記録方式では、浸透媒体や非浸透媒体などの多様な記録媒体に対し記録を行うために、インク受容性粒子を散布した中間転写体にインクを打滴した後、記録媒体に転写する方式が提案されている。より具体的には、インクの液体成分をトラップするトラップ構造を有し、且つ吸液性樹脂を含んで構成されたインク受容性粒子を用いる方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−347085号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、形成後の画像における耐久性を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1に係る発明は、
インクと、
該インクを受容するインク受容性粒子と、
該インク受容性粒子の表面を硬化させる硬化性液体と、を備えることを特徴とする記録用の材料である。
【0005】
請求項2に係る発明は、
前記硬化性液体が、前記インク受容性粒子の表面に架橋構造を形成させる液体であることを特徴とする請求項1に記載の記録用の材料である。
【0006】
請求項3に係る発明は、
前記インク受容性粒子が、下記(1)〜(3)の要件を満たす有機樹脂を含有することを特徴とする請求項2に記載の記録用の材料である。
(1)極性基を有する
(2)該極性基として少なくとも中和された極性基を有する
(3)全単量体成分に対する極性基を有する単量体成分の比率が10mol%以上90mol%以下である
【0007】
請求項4に係る発明は、
前記極性基がアニオン性極性基であると共に、前記硬化性液体がカチオン性物質を含有することを特徴とする請求項3に記載の記録用の材料である。
【0008】
請求項5に係る発明は、
前記アニオン性極性基がカルボン酸基であることを特徴とする請求項4に記載の記録用の材料である。
【0009】
請求項6に係る発明は、
前記カチオン性物質が多価金属塩および多価アミン塩から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の記録用の材料である。
【0010】
請求項7に係る発明は、
前記硬化性液体の表面張力が、前記インクの表面張力よりも低いことを特徴とする請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の記録用の材料である。
【0011】
請求項8に係る発明は、
中間転写体と、
請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の記録用の材料におけるインク受容性粒子を前記中間転写体上に供給するインク受容性粒子供給手段と、
前記中間転写体上に供給された前記インク受容性粒子に請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の記録用の材料におけるインクを吐出するインク吐出手段と、
前記インク受容性粒子および前記インクを記録媒体に転写する転写手段と、
前記記録媒体に転写された前記インク受容性粒子および前記インクを定着する定着手段と、
下記(a)〜(c)の少なくとも何れかにおいて、前記インク受容性粒子に請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の記録用の材料における硬化性液体を付与する硬化性液体付与手段と、を有する記録装置である。
(a)前記インク吐出手段によって前記インク受容性粒子にインクが吐出された後、前記転写手段によって前記インク受容性粒子および前記インクが記録媒体へ転写される前
(b)前記転写手段によって前記インク受容性粒子および前記インクが記録媒体へ転写された後、前記定着手段によって前記記録媒体に前記インク受容性粒子および前記インクが定着される前
(c)前記定着手段によって前記記録媒体に前記インク受容性粒子および前記インクが定着された後
【0012】
請求項9に係る発明は、
請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の記録用の材料におけるインク受容性粒子を記録媒体上に供給するインク受容性粒子供給手段と、
前記記録媒体上に供給された前記インク受容性粒子に請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の記録用の材料におけるインクを吐出するインク吐出手段と、
前記記録媒体上に供給された前記インク受容性粒子および前記インクを定着する定着手段と、
下記(d)〜(e)の少なくとも何れかにおいて、前記インク受容性粒子に請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の記録用の材料における硬化性液体を付与する硬化性液体付与手段と、を有する記録装置である。
(d)前記インク吐出手段によって前記インク受容性粒子にインクが吐出された後、前記定着手段によって前記記録媒体に前記インク受容性粒子および前記インクが定着される前
(e)前記定着手段によって前記記録媒体に前記インク受容性粒子および前記インクが定着された後
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明によれば、硬化性液体を有しない場合に比べ、形成後の画像における耐久性が向上される。
【0014】
請求項2に係る発明によれば、硬化性液体が架橋構造を形成させる液体でない場合に比べ、形成後の画像における耐久性が向上される。
【0015】
請求項3に係る発明によれば、本構成の有機樹脂を含有しない場合に比べ、形成後の画像における耐久性が向上される。
【0016】
請求項4に係る発明によれば、極性基がアニオン性である場合において硬化性液体がカチオン性物質を含有しない場合に比べ、形成後の画像における耐久性が向上される。
【0017】
請求項5に係る発明によれば、カルボン酸基でない場合に比べ、形成後の画像における耐久性が向上されると共に、保存安定性が向上される。
【0018】
請求項6に係る発明によれば、多価金属塩および多価アミン塩から選択される少なくとも1種でない場合に比べ、形成後の画像における耐久性が向上される。
【0019】
請求項7に係る発明によれば、硬化性液体とインクの表面張力を考慮しない場合に比べ、硬化性液体が画像部全体にムラなく付与される。
【0020】
請求項8に係る発明によれば、硬化性液体を前記(a)〜(c)のタイミングで付与しない場合に比べ、形成後の画像における耐久性が向上されると共に、インク受容性粒子の吸液速度の阻害が良好に抑制される。
【0021】
請求項9に係る発明によれば、硬化性液体を前記(d)〜(e)のタイミングで付与しない場合に比べ、形成後の画像における耐久性が向上されると共に、インク受容性粒子の吸液速度の阻害が良好に抑制される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、好ましい実施形態として、第1実施形態に係る記録用の材料並びに第2実施形態および第3実施形態に係る記録装置について詳細に説明する。
【0023】
第1実施形態に係る記録用の材料は、インクと、該インクを受容するインク受容性粒子と、該インク受容性粒子の表面を硬化させる硬化性液体と、を備えることを特徴とする。
【0024】
また、第2実施形態に係る記録装置は、中間転写体と、上記第1実施形態に係る記録用の材料におけるインク受容性粒子を前記中間転写体上に供給するインク受容性粒子供給手段と、前記中間転写体上に供給された前記インク受容性粒子に上記第1実施形態に係る記録用の材料におけるインクを吐出するインク吐出手段と、前記インク受容性粒子および前記インクを記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に転写された前記インク受容性粒子および前記インクを定着する定着手段と、下記(a)〜(c)の少なくとも何れかにおいて、前記インク受容性粒子に上記第1実施形態に係る記録用の材料における硬化性液体を付与する硬化性液体付与手段と、を有することを特徴とする。
(a)前記インク吐出手段によって前記インク受容性粒子にインクが吐出された後、前記転写手段によって前記インク受容性粒子および前記インクが記録媒体へ転写される前
(b)前記転写手段によって前記インク受容性粒子および前記インクが記録媒体へ転写された後、前記定着手段によって前記記録媒体に前記インク受容性粒子および前記インクが定着される前
(c)前記定着手段によって前記記録媒体に前記インク受容性粒子および前記インクが定着された後
【0025】
更に、第3実施形態に係る記録装置は、上記第1実施形態に係る記録用の材料におけるインク受容性粒子を記録媒体上に供給するインク受容性粒子供給手段と、前記記録媒体上に供給された前記インク受容性粒子に上記第1実施形態に係る記録用の材料におけるインクを吐出するインク吐出手段と、前記記録媒体上に供給された前記インク受容性粒子および前記インクを定着する定着手段と、下記(d)〜(e)の少なくとも何れかにおいて、前記インク受容性粒子に上記第1実施形態に係る記録用の材料における硬化性液体を付与する硬化性液体付与手段と、を有することを特徴とする。
(d)前記インク吐出手段によって前記インク受容性粒子にインクが吐出された後、前記定着手段によって前記記録媒体に前記インク受容性粒子および前記インクが定着される前
(e)前記定着手段によって前記記録媒体に前記インク受容性粒子および前記インクが定着された後
【0026】
本発明者らは、インク受容性粒子にインクを打滴した後インク受容性粒子を記録媒体に定着して画像を形成する記録方式において、形成後の画像における耐久性(特に耐擦過性、耐水性)について検討した。その結果、インク受容性粒子にインクを打滴した後に、該インク受容性粒子の表面を硬化させる機能を有する硬化性液体を付与することが有効であることを見出した。
具体的には、上記第2実施形態においては、まずインク受容性粒子供給手段によって中間転写体上にインク受容性粒子を供給してインク受容性粒子層を形成し、該インク受容性粒子層にインク吐出手段からインクを吐出した後、前記(a)〜(c)のタイミングでインク受容性粒子層に硬化性液体を付与することにより、インク受容性粒子層の表面が硬化され、形成後の画像においても画像耐久性が向上するものと推察される。また、上記第3実施形態においては、まずインク受容性粒子供給手段によって記録媒体上にインク受容性粒子を供給してインク受容性粒子層を形成し、該インク受容性粒子層にインク吐出手段からインクを吐出した後、前記(d)〜(e)のタイミングでインク受容性粒子層に硬化性液体を付与することにより、インク受容性粒子層の表面が硬化され、形成後の画像においても画像耐久性が向上するものと推察される。
【0027】
尚、特に限定されるものではないが、インク受容性粒子の表面を硬化させる方法としては、硬化性液体を付与することによってインク受容性粒子の表面に架橋構造を形成させる方法が挙げられる。インク受容性粒子の表面に架橋構造が形成されることによって、該表面の分子量が増加し、インク受容性粒子の表面が硬化され、その結果上記の通り画像耐久性が向上するものと推察される。
【0028】
ここで、インク受容性粒子の表面に架橋構造を形成させる観点から、該インク受容性粒子には、下記(1)〜(3)の要件を満たす有機樹脂を含有することが好ましい。
(1)極性基を有する
(2)該極性基として少なくとも中和された極性基を有する(即ち、上記(1)の極性基の内の少なくとも一部が中和されている)
(3)全単量体成分に対する極性基を有する単量体成分の比率が10mol%以上90mol%以下である
【0029】
上記(1)の極性基がアニオン性極性基である場合には、例えば、前記硬化性液体としてカチオン性物質を含有する硬化性液体をインク受容性粒子に付与することにより、2つ以上の前記アニオン性極性基が前記カチオン性物質から供給されるカチオンによってイオン架橋構造を形成すると推測される。一方、上記(1)の極性基がカチオン性極性基である場合には、例えば、前記硬化性液体としてアニオン性物質を含有する硬化性液体をインク受容性粒子に付与することにより、2つ以上の前記カチオン性極性基が前記アニオン性物質から供給されるアニオンによってイオン架橋構造を形成すると推測される。
【0030】
極性基を有する単量体成分(以下「極性単量体」と称す場合がある)とは、例えば、極性基として、エチレンオキサイド基、カルボン酸基、スルホン酸基、置換若しくは未置換のアミノ基、又は水酸基を含む単量体である。例えば、正帯電性付与の場合、(置換)アミノ基、(置換)ピリジン基を含む単量体であることが望ましい。負帯電性付与の場合、カルボン酸基、スルホン酸基等を含む有機酸の単量体であることが望ましい。特にカルボン酸基は、未中和の場合(塩構造を持たない場合)、空気中の湿度では解離し難く、インク(弱アルカリ性の液体)で解離することから、保存安定性に有利である。また、カルボン酸基は、インク中のイオンで架橋(擬似架橋)し、系全体(インクとインク受容性粒子)が固定化され易くなり、定着性に有利である。
【0031】
尚、前記(2)に記載の通り中和された極性基を有することにより、インクがインク受容性粒子と接触したときに、塩を形成していた極性基が解離し、逆極性イオンと架橋構造を作りやすくなる点で好ましい。
【0032】
また、前記(3)に記載の通り、インク受容性粒子に含有される前記有機樹脂において、全単量体成分に対する極性基を有する単量体成分の比率が10mol%以上であることにより、インク受容性粒子の吸液能力を阻害することなく、画像形成できる。
【0033】
上記全単量体成分に対する極性基を有する単量体成分(極性単量体)の比率は、更に20mol%以上90mol%以下であることがより好ましい。
【0034】
なお、極性単量体の比率は、次のようにして求める。まず質量分析、NMR(核磁気共鳴),IR(赤外吸収スペクトル)などの分析手法から有機成分の構成を特定する。その後、JIS K0070またはJIS K2501に準拠して、有機成分の酸価、塩基価を測定する。有機成分の構成、および、酸価/塩基価から極性単量体の比率を計算で求めることができる。
【0035】
また、極性基の内の少なくとも一部が中和されているか否かは、中和されている極性基の全極性単量体(極性基を有する単量体)に対する比率を求めることにより確認される。具体的には、まず、極性基の未中和部分に関しては、粒子を水または有機溶剤に溶解または分散させ、アルカリを用いて中和滴定することで、極性官能基の濃度が定量される。
【0036】
[第1実施形態:記録用の材料]
まず、第1実施形態に係る記録用の材料について詳細に説明する。
(インク受容性粒子)
第1実施形態におけるインク受容性粒子は、インクが当該粒子と接触したとき、インク成分を受容するものである。ここで、インク受容性とは、インク成分の少なくとも一部(少なくとも液体成分)を保持することを示す。
第1実施形態におけるインク受容性粒子は、上記構成とすることで、種々のインクを受容可能であるとともに、吸液性を向上させたインク受容性粒子となる。
【0037】
前述の通り、第1実施形態におけるインク受容性粒子は、後述の硬化性液体が付与されることによって表面が硬化する。尚、特に限定されるものではないが、インク受容性粒子の表面が硬化する態様としては、硬化性液体が付与されることによってインク受容性粒子の表面に架橋構造が形成される態様が挙げられる。
【0038】
インク受容性粒子の表面に架橋構造を形成させる観点から、第1実施形態におけるインク受容性粒子には、下記(1)〜(3)の要件を満たす有機樹脂を含有することが好ましい。
(1)極性基を有する
(2)該極性基として少なくとも中和された極性基を有する(即ち、上記(1)の極性基の内の少なくとも一部が中和されている)
(3)全単量体成分に対する極性基を有する単量体成分の比率が10mol%以上90mol%以下である
【0039】
上記(1)の極性基がアニオン性極性基である場合には、例えば、後述の硬化性液体としてカチオン性物質を含有する硬化性液体をインク受容性粒子に付与することにより、2つ以上の前記アニオン性極性基が前記カチオン性物質から供給されるカチオンによってイオン架橋構造を形成すると推測される。一方、上記(1)の極性基がカチオン性極性基である場合には、例えば、後述の硬化性液体としてアニオン性物質を含有する硬化性液体をインク受容性粒子に付与することにより、2つ以上の前記カチオン性極性基が前記アニオン性物質から供給されるアニオンによってイオン架橋構造を形成すると推測される。
【0040】
次に、第1実施形態におけるインク受容性粒子の粒子形態について説明する。
第1実施形態におけるインク受容性粒子は、粒子(以下、「吸液粒子」と称する場合がある)の単独粒子(以下、「一次粒子」と称する場合がある)で構成してもよいし、少なくとも吸液粒子が集合した複合体粒子であってもよい。上記吸液粒子には、前述の通り上記有機樹脂を含むことが好ましい。この吸液粒子の単独粒子、または少なくとも吸液粒子が集合した複合体粒子を「母粒子」と称することがある。
【0041】
ここで、インク受容性粒子が吸液粒子の単独粒子で構成された形態の場合、インク受容性粒子がインクを受容する際、インクがインク受容性粒子に付着すると、少なくともインクの液体成分が吸液粒子によって吸液される。
【0042】
このようにして、インク受容性粒子はインクを受容する。そして、インクを受容したインク受容性粒子を記録媒体に転写することで、記録が行われる。
【0043】
他方、インク受容性粒子が少なくとも吸液粒子が集合した複合体粒子で構成された形態の場合、インク受容性粒子がインクを受容する際、まず、インクがインク受容性粒子に付着すると、少なくともインクの液体成分が、複合体粒子を構成する粒子(少なくとも吸液粒子)間の空隙(以下、粒子間空隙を「トラップ構造」と称する場合がある)により捕獲(トラップ)される。このとき、インクの成分のうち記録材は、インク受容性粒子表面に付着またはトラップ構造により捕獲(トラップ)される。そして、この空隙に存在するインクが粒子によって吸液される。このようにして、インク受容性粒子はインクを受容する。そして、インクを受容したインク受容性粒子を記録媒体に転写することで、記録が行われる。
【0044】
このトラップ構造によるインク成分(液体成分、記録材)の捕獲(トラップ)は、粒子間の空隙(物理的な粒子壁構造)による物理的および/または化学的な捕獲である。
【0045】
そして、少なくとも吸液粒子が集合した複合体粒子で構成された形態を適用することで、当該複合体粒子を構成する粒子間の空隙(物理的な粒子壁構造)による捕獲(トラップ)に加え、吸液粒子によってインク液体成分が吸液・保持される。
【0046】
また、インク受容性粒子の転写後、インク受容性粒子を構成する吸液粒子の成分は、インクに含まれる記録材の結着樹脂や被覆樹脂としても機能する。特に、インク受容性粒子を構成する吸液粒子の成分として、透明樹脂を適用することが望ましい。
【0047】
ここで、「前記複合体粒子を構成する粒子間の空隙」、即ち「トラップ構造」は、少なくとも液体を捕獲し得る物理的な粒子壁構造である。そして、この空隙の大きさは、最大口径で、例えば0.1μm以上5μm以下、望ましくは0.3μm以上1μm以下の範囲が挙げられる。特に、空隙の大きさは、記録材、特に例えば体積平均粒径100nmの顔料をトラップし得る大きさであることがよい。なお、最大開口径が50nm未満の微細孔が存在してもよい。また、空隙や毛細管は粒子内部で通じていることがよい。
【0048】
この空隙の大きさは、次のようにして求める。粒子表面の走査型電子顕微鏡(SEM)画像を画像解析装置に読み取り、2値化処理により空隙を検出し、空隙の大きさ、および、分布を解析することで求められる。
【0049】
このように、トラップ構造は、インクの成分のうち液体成分だけでなく、記録材もトラップすることがよい。インク液体成分と共に記録材、特に顔料をトラップ構造に捕獲(トラップ)させると、インク受容性粒子内部に記録材が偏在することなく保持・固定される。なお、インクの液体成分は、主にインク溶媒や分散媒(ビヒクル液体)である。
【0050】
以下、第1実施形態におけるインク受容性粒子の粒子形態についてさらに詳細に説明する。上述のように、第1実施形態におけるインク受容性粒子は、母粒子が吸液粒子単独の粒子で構成された形態であってもよく、少なくとも吸液粒子が集合した複合体粒子で構成された形態あってもよい。
【0051】
また、吸液粒子には、上記有機樹脂の他、その他成分(例えば、無機材料等)を含んでもよい。一方、吸液粒子以外で複合体粒子を構成する粒子としては、例えば、無機粒子、疎水性粒子、離型剤粒子(ワックス粒子)等が挙げられる。
【0052】
また、母粒子には、吸液粒子または複合体粒子の表面に、例えば、無機粒子等を付着してもよい。
【0053】
第1実施形態におけるインク受容性粒子の具体的な構成としては、例えば、図1に示すように、吸液粒子201の単独粒子からなる母粒子202と、母粒子202(吸液粒子201)の表面に付着した無機粒子204と、を有するインク受容性粒子200の形態が挙げられる。また、図2に示すように、吸液粒子201と、無機粒子203とが複合化された複合体粒子からなる母粒子202と、母粒子202(複合体粒子)の表面に付着された無機粒子204と、を有するインク受容性粒子210の形態も挙げられる。なお、この複合体粒子は各粒子間の空隙により空隙構造が形成される。
【0054】
ここで、インク受容性粒子全体の球換算平均粒径としては、例えば0.5μm以上50μm以下の範囲が挙げられる。
ここで、球換算平均粒径は次のようにして求められる。粒子サイズによって最適方法は異なるが、例えば粒子を液体中に分散し光散乱原理で粒径を求める、粒子の投影像を画像処理で求める等多種の方法が利用できる。汎用的に使用できる方法としては、マイクロトラックUPA法やコールターカウンター法が挙げられる。
【0055】
母粒子を複合体粒子で構成する場合、吸液粒子と他の粒子との質量比率(吸液粒子:他の粒子)は、例えば、他の粒子が無機粒子の場合、5:1以上1:10以下の範囲が挙げられる。
【0056】
また、母粒子の粒径は、球換算平均粒径が例えば、0.1μm以上50μm以下、望ましくは0.5μm以上25μm以下、より望ましくは1μm以上10μm以下の範囲が挙げられる。なお、インク受容性粒子を一次粒子で構成する場合、上記球換算平均粒径での範囲を適用することがよい。
【0057】
また、母粒子を複合体粒子で構成する場合、そのBET比表面積(N)が例えば1m/g以上750m/g以下の範囲が挙げられる。
【0058】
そして、母粒子を複合体粒子で構成する場合、複合体粒子は、例えば、粒子が半焼結状態で造粒されることで得られる。半焼結状態とは、粒子形状がある程度の残っており、当該粒子間で空隙を保持している状態を示す。なお、複合体粒子は、トラップ構造にインク液体成分がトラップされたとき、粒子の少なくとも一部が解離する、即ち複合体粒子が解体され、これを構成する粒子がばらけてもよい。
【0059】
なお、吸液粒子の粒径は、その一次粒子を母粒子とする場合、球換算平均粒径が例えば、0.1μm以上50μm以下、望ましくは0.5μm以上25μm以下、より望ましくは1μm以上10μm以下の範囲が挙げられる。一方、複合体粒子を構成する場合、球換算平均粒径で例えば、10nm以上30μm以下、望ましくは50nm以上10μm以下、より望ましくは0.1μm以上5μm以下の範囲が挙げられる。
【0060】
また、吸液粒子のインク受容性粒子全体に対する比率は、例えば質量比で75%以上、望ましくは85%以上、より望ましくは90%以上99%以下の範囲が挙げられる。
【0061】
以下、各材料について詳細に説明する。
まず、有機樹脂(以下、「親水性有機樹脂」と称する場合がある)について説明する。上記親水性有機樹脂は、前述の通り、下記(1)〜(3)の要件を満たす樹脂であることが好ましい。
(1)極性基を有する
(2)該極性基として少なくとも中和された極性基を有する(即ち、上記(1)の極性基の内の少なくとも一部が中和されている)
(3)全単量体成分に対する極性基を有する単量体成分の比率が10mol%以上90mol%以下である
【0062】
尚、極性基は極性単量体に含まれている。
また、前記有機樹脂において極性基を中和させる際には、中和剤が使用される。該中和剤としては、アルカリ性の中和剤として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等が挙げられる。
【0063】
一方、極性基を含む極性単量体とは、例えば、極性基として、エチレンオキサイド基、カルボン酸基、スルホン酸基、置換若しくは未置換のアミノ基、アンモニウム基、水酸基を含む単量体である。
例えば、アニオン性極性基としては、カルボン酸基が望ましい。
【0064】
なお、極性単量体の比率は、前述の方法にて求められる。
【0065】
親水性有機樹脂は、吸液したインク液体成分(例えば水、水性溶媒)が樹脂(ポリマー)の可塑剤として作用するため、軟化して定着性に寄与する。
【0066】
親水性有機樹脂は、弱吸液性樹脂であることが好適である。この弱吸液性樹脂とは、例えば液体として水を吸収する場合、樹脂質量に対して数%(≒5%)から数百%(≒500%)、望ましくは5%以上100%以下程度の吸液が可能な親液性樹脂を意味する。
【0067】
親水性有機樹脂は、例えば、親水性単量体の単独重合体、或いは親水性単量体と疎水性単量体との両単量体から構成された共重合体で構成することができるが、弱吸水性樹脂とするためには当該共重合体が望ましい。なお、単量体だけでなく、ポリマー/オリゴマー構造などのユニットをスタートに他のユニットを共重合させるグラフト共重合体やブロック共重合体でもよい。
【0068】
ここで、親水性単量体としては、−OH、−EOユニット(エチレンオキサイド基)、−COOM(Mは例えば水素、Na、Li、K等のアルカリ金属、アンモニア、有機アミン類等である。)、−SO3M(Mは例えば水素、Na、Li、K等のアルカリ金属、アンモニア、有機アミン類等)、−NR3(Rは例えば、H、アルキル、フェニル等である。)、−NR4X(Rは例えば、H、アルキル、フェニル等であり、Xは例えば、ハロゲン、硫酸根、カルボン酸等の酸アニオン類、BF4、等々である。)等を含む単量体が挙げられる。具体的には、例えば、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、アクリルアミド、アクリル酸、メタクリル酸、不飽和カルボン酸、クロトン酸、マレイン酸等が挙げられる。また、親水性ユニットもしくは単量体としては、セルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、でんぷん誘導体、単糖類・多糖類誘導体、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、アクリル酸、メタクリル酸、(無水)マレイン酸、等の重合性カルボン酸類やこれらの(部分)中和塩類、ビニルアルコール類、ビニルピロリドン、ビニルピリジンやアミノ(メタ)アクリレートおよびジメチルアミノ(メタ)アクリレートの如き誘導体、更にはこれらのオニウム塩類、アクリルアミドやイソプロピルアクリルアミド等のアミド類、ポリエチレンオキサイド鎖含有ビニル化合物類、水酸基含有ビニル化合物類、多官能カルボン酸と多価アルコールから構成されるポリエステル類、特にトリメリット酸の如き3官能以上の酸を構成成分として含有し末端カルボン酸や水酸基を多く含む分岐ポリエステル、ポリエチレングリコール構造を含むポリエステル、等も挙げられる。
【0069】
疎水性単量体としては、疎水性基を有する単量体が挙げられ、具体的には、例えばオレフィン(エチレン、ブタジエン等)、スチレン、α−メチルスチレン、α−エチルスチレン、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、アクリロニトリル、酢酸ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ラウリル等が挙げられる。疎水性ユニットもしくは単量体としてはスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン誘導体、ビニルシクロヘキサン、ビニルナフタレン、ビニルナフタレン誘導体、アクリル酸アルキルエステル、アクリル酸フェニルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸フェニルエステル、メタクリル酸シクロアルキルエステル、クロトン酸アルキルエステル、イタコン酸ジアルキルエステル、マレイン酸ジアルキルエステル、ポリエチレン、エチレン/酢酸ビニルやポリプロピレン等のポリオレフィン類等、およびこれらの誘導体も挙げられる。
【0070】
この親水性単量体と疎水性単量体との共重合体である吸液性樹脂として、具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸エステル類、スチレン/(メタ)アクリル酸/(無水)マレイン酸類共重合体、エチレン/プロピレン等のオレフィン系ポリマー(またはこの変性体、または共重合によるカルボン酸ユニット導入物)、トリメリット酸等で酸価を向上した分岐ポリエステル、ポリアミド等が好適に挙げられる。
【0071】
親水性有機樹脂には、置換或いは未置換アミノ基や、置換或いは未置換ピリジン基を含むことも望ましい。
【0072】
ここで、親水性有機樹脂において、親水性ユニット(親水性単量体)と疎水性ユニット(親水性単量体)とのモル比(親水性単量体:疎水性単量体)は、例えば5:95乃至70:30が挙げられる。
【0073】
親水性有機樹脂は、直鎖構造でもよいが、分岐構造がよい。また、有機樹脂は、非架橋もしくは低架橋であることが望ましい。また、有機樹脂は直鎖構造のランダム共重合体やブロック共重合体でもよいが、分岐構造の重合体(分岐構造のランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体を含む)が更に好適に使用できる。例えば、重縮合で合成されるポリエステルの場合、分岐構造で末端基を増加させることができる。この分岐構造は、ジビニルベンゼン、ジ(メタ)アクリレート類等のいわゆる架橋剤を合成時に添加したり(例えば1%未満の添加)、架橋剤と共に開始剤を多量添加することで合成することが一般的な手法の一つである。
【0074】
親水性有機樹脂には、更には低分子の4級アンモニウム塩類や有機ホウ酸塩類、サリチル酸誘導体の造塩化合物類等、電子写真トナー用帯電制御剤を有機樹脂に添加してもよい。
【0075】
親水性有機樹脂は、非結晶樹脂であることがよく、そのガラス転移温度(Tg)は、例えば40℃以上90℃以下が挙げられる。ガラス転移温度(および融点)は、ASTMD3418−8に準拠して測定された主体極大ピークより求めた。主体極大ピークの測定には、パーキンエルマー社製のDSC−7を用いることができる。この装置の検出部の温度補正はインジウムと亜鉛との融点を用い、熱量の補正にはインジウムの融解熱を用いる。サンプルは、アルミニウム製パンを用い、対照用に空パンをセットし、昇温速度10℃/minで測定を行った。
【0076】
親水性有機樹脂の重量平均分子量は、例えば3000以上30万以下が挙げられる。重量平均分子量は、以下の条件で行ったものである。例えば、GPCは「HLC−8120GPC、SC−8020(東ソー(株)社製)装置」を用い、カラムは「TSKgel、SuperHM−H(東ソー(株)社製6.0mmID×15cm)」を2本用い、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いた。実験条件としては、試料濃度0.5%、流速0.6ml/min.、サンプル注入量10μl、測定温度40℃、IR検出器を用いて実験を行った。また、検量線は東ソー社製「polystylene標準試料TSK standard」:「A−500」、「F−1」、「F−10」、「F−80」、「F−380」、「A−2500」、「F−4」、「F−40」、「F−128」、「F−700」の10サンプルから作製した。
【0077】
親水性有機樹脂の酸価は、例えばカルボン酸基(−COOH)換算で50mgKOH/g以上1000mgKOH/g以下が挙げられる。このカルボン酸基(−COOH)換算での酸価の測定は次のように行った。
【0078】
酸価は、JIS K0070に従って行い、中和滴定法を用いた測定で行った。即ち、適当量の試料を分取し、溶剤(ジエチルエーテル/エタノール混合液)100ml、および、指示薬(フェノールフタレイン溶液)数滴を加え、水浴上で試料が溶けるまで充分に振り混ぜる。これに、0.1mol/l水酸化カリウムエタノール溶液で滴定し、指示薬の紅色が30秒間続いた時を終点とした。酸価をA、試料量をS(g)、滴定に用いた0.1mol/l水酸化カリウムエタノール溶液をB(ml)、fを0.1mol/l水酸化カリウムエタノール溶液のファクターとした時、A=(B×f×5.611)/Sとして算出した。
【0079】
また、親水性有機樹脂の「酸価×中和度」の値は、50以上600以下であることが好ましく、更には150以上400以下であることがより好ましい。
尚、中和度は、以下の方法により測定される。
【0080】
材料をKOHで中和滴定して(COOH)の量を測定し、次いで中和後の材料をHClで滴定して(COO)の量を測定し、「中和度=(COO)/(COOH)」の式によって算出される。
具体的には、樹脂をIPA(イソプロピルアルコール)/水混合溶媒に溶解させた後、JIS K2501(2003年)の酸価の電位差測定法(測定には電位差計とpH計を用いる)に準じ、KOHの消費量を測定して(COOH)のmol量を算出する。次いで、中和後のインク受容性粒子をIPA/水混合溶媒に溶解させ、滴定溶液としてHClaqを使用し、JIS K2501(2003年)の酸価の電位差測定法(測定には電位差計とpH計を用いる)に準じ、HClの消費量を測定して(COO)のmol量を算出する。これらから、上記式によって中和度が算出される。
【0081】
以上説明した親水性有機樹脂は、極性単量体の比率を上記範囲に制御して使用されることが好ましい。そして、インク受容性粒子(吸液粒子)には、有機樹脂として親水性樹脂以外にも疎水性有機樹脂を含んで構成してもよいが、含まれる有機樹脂のうち、親水性樹脂(塩構造を有するもの、有さないもの含む)の比率は、インク受容性粒子全体に対して質量比で80%以上100%以下であることが望ましい。
【0082】
次に、無機粒子(吸液粒子と共に複合体粒子を構成する無機粒子、および疎水性有機粒子と共に母粒子に付着させる無機粒子)について説明する。
無機粒子としては、非多孔質粒子、多孔質粒子のいずれも使用することができる。無機粒子としては、無色、淡色或いは白色の粒子(例えば、コロイダル・シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ等)が挙げられる。これら無機粒子は、表面処理(部分疎水化処理、特定官能基導入処理等)を施されてもよい。例えば、シリカの場合には、シリカの水酸基をトリメチルクロロシラン、t−ブチルジメチルクロロシランなどのシリル化剤で処理してアルキル基を導入する。シリル化剤によって脱塩酸が生じ、反応が進む。この際、アミンを添加すると塩酸を塩酸塩にして反応を促進することもできる。疎水性基としてアルキル基やフェニル基を有するシランカップリング剤やチタネート系、ジルコネート系等のカップリング剤の処理量や処理条件を制御することでコントロールできる。また、脂肪族アルコール類や高級脂肪酸および同誘導体類での表面処理も可能である。また、(置換)アミノ基や四級アンモニウム塩構造を有するシランカップリング剤等のカチオン性官能基を有するカップリング剤類、フルオロシランの様なフッ素系官能基を有するカップリング剤、その他カルボン酸等のアニオン性官能基を有するカップリング剤類での表面処理も可能である。なお、これらの無機粒子は、吸液粒子内部に含まれる、所謂内添されていてもよい。
【0083】
また、複合体粒子を構成する無機粒子の粒径は、球換算平均粒径で例えば、10nm以上30μm以下、望ましくは50nm以上10μm以下、より望ましくは0.1μm以上5μm以下の範囲が挙げられる。一方、母粒子に付着させる無機粒子の粒径は、球換算平均粒径で例えば、10nm以上1μm以下、望ましくは10nm以上0.1μm以下、より望ましくは10nm以上0.05μm以下の範囲が挙げられる。
【0084】
以上説明した第1実施形態におけるインク受容性粒子は、単独で用いることもできるが、キャリアと組み合わせて用いてもよい。なお、キャリアとしては、例えば、電子写真用トナーの現像剤に用いられるキャリアを適用され得る。
【0085】
(硬化性液体)
前述の通り、第1実施形態における硬化性液体は、前述のインク受容性粒子に付与され、該インク受容性粒子の表面を硬化させる機能を有する。尚、特に限定されるものではないが、インク受容性粒子の表面を硬化させる態様としては、インク受容性粒子の表面に架橋構造を形成させる態様が挙げられる。
【0086】
インク受容性粒子の表面に架橋構造を形成させる観点からは、前述の通り該インク受容性粒子が、極性基を有する有機樹脂を含有することが好ましい。該極性基がアニオン性極性基である場合には、例えば、硬化性液体としてカチオン性物質を含有する硬化性液体をインク受容性粒子に付与することにより、2つ以上の前記アニオン性極性基が前記カチオン性物質から供給されるカチオンによってイオン架橋構造を形成すると推測される。一方、上記極性基がカチオン性極性基である場合には、例えば、硬化性液体としてアニオン性物質を含有する硬化性液体をインク受容性粒子に付与することにより、2つ以上の前記カチオン性極性基が前記アニオン性物質から供給されるアニオンによってイオン架橋構造を形成すると推測される。
【0087】
硬化性液体に含有される上記カチオン性物質としては、例えば、多価金属塩や多価アミン塩等が挙げらる。
【0088】
多価アミン塩としては、例えば、有機アミンとして、2級アミン、3級アミン、4級アミンの塩などが挙げられる。
【0089】
また、第1実施形態における硬化性液体には、上記カチオン性物質等のインク受容性粒子の表面を硬化させるための物質以外にも、以下のような添加剤を添加してもよい。該添加剤としては、例えば、粘度調整剤、水溶性有機溶媒、分散剤、防腐剤等が挙げられる。
【0090】
上記硬化性液体は、上記各成分を水等の溶媒に溶解或いは分散させることによって調製される。
【0091】
第1実施形態における硬化性液体は、後述のインクよりも表面張力が低いことが好ましい。インクより表面張力が低いことにより、付与された際インク受容性粒子の表面に良好に行き渡るため、インク受容性粒子表面の硬化が効率的に行われる。
尚、硬化性液体およびインクの表面張力は、ウイルヘルミー型表面張力計(協和界面科学株式会社製)を用い、23℃、55%RHの環境において測定した値を採用した。
【0092】
また、その他、硬化性液体の物性としては、粘度1.5mPa・s以上30mPa・s以下であることが好ましい。
ここで、粘度としては、レオマット115(Contraves製)を測定装置として用いて、測定温度は23℃、せん断速度は1400s-1の条件で測定した値を採用した。
【0093】
尚、後述の第2および第3実施形態に係る記録装置において、上記硬化性液体がインク受容性粒子に付与される態様としては、インクジェット方式、超音波方式、噴霧方式およびローラーコート方式等が挙げられる。
硬化性液体の付与量としては、0.1g/m以上5.0g/m以下であることが好ましい。また、単位面積あたりのインク受容性粒子の量に対する硬化性液体の付与量としては、1質量%以上50質量%以下が好ましい。
【0094】
(インク)
第1実施形態に係る記録用の材料はインクを備える。以下、インクについて詳細に説明する。
インクは水性インク、油性インク共に使用することができるが、環境性の点で水性インクが好適に使用される。水性インク(以下、単に「インク」と称する)は、記録材に加え、インク溶媒(例えば、水、水溶性有機溶媒)を含んでいる。また、必要に応じて、その他、添加剤を含んでいてもよい。
【0095】
まず、記録材について説明する。記録材としては、主に色材が挙げられる。色材としては、染料、顔料のいずれも用いることができるが、顔料であることがよい。顔料としては有機顔料、無機顔料のいずれも使用でき、黒色顔料ではファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック顔料等が挙げられる。黒色とシアン、マゼンタ、イエローの3原色顔料のほか、赤、緑、青、茶、白等の特定色顔料や、金、銀色等の金属光沢顔料、無色または淡色の体質顔料、プラスチックピグメント等を使用してもよい。また、本実施形態ために、新規に合成した顔料でも構わない。
【0096】
また、シリカ、アルミナ、または、ポリマービード等をコアとして、その表面に染料または顔料を固着させた粒子、染料の不溶レーキ化物、着色エマルション、着色ラテックス等を顔料として使用することも可能である。
【0097】
黒色顔料の具体例としては、Raven7000(コロンビアン・カーボン社製)、Regal400R(キャボット社製)、Color Black FW1(デグッサ社製)等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0098】
シアン色顔料の具体例としては、C.I.Pigment Blue−1,−2,−3,−15,−15:1,−15:2,−15:3,−15:4,−16,−22,−60等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0099】
マゼンタ色顔料の具体例としては、C.I.Pigment Red−5,−7,−12,−48,−48:1,−57,−112,−122,−123,−146,−168,−177,−184,−202, C.I.Pigment Violet −19等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0100】
黄色顔料の具体例としては、C.I.Pigment Yellow−1,−2,−3,−12,−13,−14,−16,−17,−73,−74,−75,−83,−93,−95,−97,−98,−114,−128,−129,−138,−151,−154,−180等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0101】
ここで、色材として顔料を使用した場合には、併せて顔料分散剤を用いることが望ましい。使用可能な顔料分散剤としては、高分子分散剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤等が挙げられる。
【0102】
高分子分散剤としては、親水性構造部と疎水性構造部とを有する重合体が好適に用いられる。親水性構造部と疎水性構造部とを有する重合体としては、縮合系重合体と付加重合体とが使用できる。縮合系重合体としては、公知のポリエステル系分散剤が挙げられる。付加重合体としては、α,β−エチレン性不飽和基を有する単量体の付加重合体が挙げられる。親水基を有するα,β−エチレン性不飽和基を有する単量体と疎水基を有するα,β−エチレン性不飽和基を有する単量体を組み合わせて共重合することにより目的の高分子分散剤が得られる。また、親水基を有するα,β−エチレン性不飽和基を有する単量体の単独重合体も用いることができる。
【0103】
親水基を有するα,β−エチレン性不飽和基を有する単量体としては、カルボキシル基、スルホン酸基、水酸基、りん酸基等を有する単量体、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、イタコン酸モノエステル、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、フマル酸、フマル酸モノエステル、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、スルホン化ビニルナフタレン、ビニルアルコール、アクリルアミド、メタクリロキシエチルホスフェート、ビスメタクリロキシエチルホスフェート、メタクリロオキシエチルフェニルアシドホスフェート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート等が挙げられる。
【0104】
疎水基を有するα,β−エチレン性不飽和基を有する単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン誘導体、ビニルシクロヘキサン、ビニルナフタレン、ビニルナフタレン誘導体、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸フェニルエステル、メタクリル酸シクロアルキルエステル、クロトン酸アルキルエステル、イタコン酸ジアルキルエステル、マレイン酸ジアルキルエステル等が挙げられる。
【0105】
高分子分散剤として用いられる、望ましい共重合体の例としては、スチレン−スチレンスルホン酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−メタクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、アクリル酸アルキルエステル−アクリル酸共重合体、メタクリル酸アルキルエステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキルエステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸アルキルエステル−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸フェニルエステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸シクロヘキシルエステル−メタクリル酸共重合体等が挙げられる。また、これらの重合体に、ポリオキシエチレン基、水酸基を有する単量体を共重合させてもよい。
【0106】
上記高分子分散剤としては、例えば重量平均分子量で2000以上50000以下のものが挙げられる。
【0107】
これら顔料分散剤は、単独で用いても、二種類以上を併用しても構わない。顔料分散剤の添加量は、顔料により大きく異なるため一概には言えないが、一般に顔料に対し、合計で0.1質量%以上100質量%以下が挙げられる。
【0108】
色材として水に自己分散可能な顔料を用いることもできる。水に自己分散可能な顔料とは、顔料表面に水に対する可溶化基を数多く有し、高分子分散剤が存在しなくとも水中で分散する顔料のことを指す。具体的には、通常のいわゆる顔料に対して酸・塩基処理、カップリング剤処理、ポリマーグラフト処理、プラズマ処理、酸化/還元処理等の表面改質処理等を施すことにより、水に自己分散可能な顔料が得られる。
【0109】
また、水に自己分散可能な顔料としては、上記顔料に対して表面改質処理を施した顔料の他、キャボット社製のCab−o−jet−200、Cab−o−jet−300、Cab−o−jet−250、Cab−o−jet−260、Cab−o−jet−270、オリエント化学社製のMicrojet Black CW−1、CW−2等の市販の自己分散顔料等も使用できる。
【0110】
自己分散顔料としては、その表面に官能基として少なくともスルホン酸、スルホン酸塩、カルボン酸、またはカルボン酸塩を有する顔料であることが望ましい。より望ましくは、表面に官能基として少なくともカルボン酸、またはカルボン酸塩を有する顔料である。
【0111】
更に、樹脂により被覆された顔料等を使用することもできる。これは、マイクロカプセル顔料と呼ばれ、大日本インキ化学工業社製、東洋インキ社製などの市販のマイクロカプセル顔料だけでなく、本実施形態ために試作されたマイクロカプセル顔料等を使用することもできる。
【0112】
また、高分子物質を上記顔料に物理的に吸着または化学的に結合させた樹脂分散型顔料を用いることもできる。
【0113】
記録材としては、その他、親水性のアニオン染料、直接染料、カチオン染料、反応性染料、高分子染料等や油溶性染料等の染料類、染料で着色したワックス粉・樹脂粉類やエマルション類、蛍光染料や蛍光顔料、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、フェライトやマグネタイトに代表される強磁性体等の磁性体類、酸化チタン、酸化亜鉛に代表される半導体や光触媒類、その他有機、無機の電子材料粒子類などが挙げられる。
【0114】
記録材の含有量(濃度)は、例えばインクに対して2質量%以上20質量%以下の範囲が挙げられる。
【0115】
記録材の体積平均粒径は、例えば10nm以上300nm以下の範囲が挙げられる。
【0116】
記録材の体積平均粒径とは、記録材そのものの粒径、または記録材に分散剤等の添加物が付着している場合には、添加物が付着した粒径をいう。体積平均粒径の測定装置には、マイクロトラックUPA粒度分析計 9340(Leeds&Northrup社製)を用いた。その測定は、インク4mlを測定セルに入れ、所定の測定法に従って行った。なお、測定時の入力値として、粘度にはインクの粘度を、分散粒子の密度は記録材の密度とした。
【0117】
次に、水溶性有機溶媒について説明する。水溶性有機溶媒としては、多価アルコール類、多価アルコール類誘導体、含窒素溶媒、アルコール類、含硫黄溶媒等が使用される。
【0118】
水溶性有機溶媒の具体例としては、多価アルコール類では、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1、5−ペンタンジオール、1,2−へキサンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、キシリトールなどの糖アルコール類、キシロース、グルコース、ガラクトースなどの糖類等が挙げられる。
【0119】
多価アルコール類誘導体としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジグリセリンのエチレンオキサイド付加物等が挙げられる。
【0120】
含窒素溶媒としては、ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、トリエタノールアミン等が、アルコール類としてはエタノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ベンジルアルコール等のアルコール類が挙げられる。
含硫黄溶媒としては、チオジエタノール、チオジグリセロール、スルフォラン、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
【0121】
水溶性有機溶媒としては、その他、炭酸プロピレン、炭酸エチレン等を用いることもできる。
【0122】
水溶性有機溶媒は、少なくとも1種類以上使用してもよい。水溶性有機溶媒の含有量としては、例えば1質量%以上70質量%以下の範囲が挙げられる。
【0123】
次に、水について説明する。水としては、特に不純物が混入することを防止するため、イオン交換水、超純水、蒸留水、限外濾過水を使用することが望ましい。
【0124】
次に、その他の添加剤について説明する。インクには、界面活性剤を添加することができる。
【0125】
これら界面活性剤の種類としては、各種のアニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられ、望ましくは、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤が用いられる。
【0126】
界面活性剤は単独で使用しても混合して使用してもよい。また界面活性剤の親水性/疎水性バランス(HLB)は、溶解性等を考慮すると、例えば3以上20以下の範囲が挙げられる。
【0127】
界面活性剤の添加量は、例えば0.001質量%以上5質量%以下、望ましくは0.01質量%以上3質量%以下の範囲が挙げられる。
【0128】
また、インクには、その他、浸透性を調整する目的で浸透剤、インク吐出性改善等の特性制御を目的でポリエチレンイミン、ポリアミン類、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等や、導電率、pHを調整するために水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ金属類の化合物等、その他必要に応じ、pH緩衝剤、酸化防止剤、防カビ剤、粘度調整剤、導電剤、紫外線吸収剤、およびキレート化剤等も添加することができる。
【0129】
次に、インクの好適な特性について説明する。まず、インクのpHは、例えば7以上が望ましく、より7以上11以下の範囲が望ましく、さらに望ましくは8以上10以下の範囲である。
【0130】
ここで、インクのpHは、温度23±0.5℃、湿度55±5%R.H.環境下において、pH/導電率計(メトラー・トレド社製MPC227)により測定した値を採用した。
【0131】
インクの表面張力は、例えば20mN/m以上40mN/m以下の範囲(望ましくは25mN/m以上35mN/m以下)が挙げられる。
【0132】
ここで、表面張力としては、ウイルヘルミー型表面張力計(協和界面科学株式会社製)を用い、23℃、55%RHの環境において測定した値を採用した。
【0133】
インクの粘度は、例えば3mPa・s以上15mPa・s以下の範囲(望ましくは10mPa・s以上10mPa・s以下)が挙げられる。
【0134】
ここで、粘度としては、レオマット115(Contraves製)を測定装置として用いて、測定温度は23℃、せん断速度は1400s-1の条件で測定した値を採用した。
【0135】
なお、インクは、上記構成に限定されるものではない。記録材以外に、例えば、液晶材料、電子材料など機能性材料を含むものであってもよい。
【0136】
[第2実施形態:記録装置]
第2実施形態に係る記録装置は、中間転写体と、上記第1実施形態に係る記録用の材料におけるインク受容性粒子を前記中間転写体上に供給するインク受容性粒子供給手段と、前記中間転写体上に供給された前記インク受容性粒子に上記第1実施形態に係る記録用の材料におけるインクを吐出するインク吐出手段と、前記インク受容性粒子および前記インクを記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に転写された前記インク受容性粒子および前記インクを定着する定着手段と、下記(a)〜(c)の少なくとも何れかにおいて、前記インク受容性粒子に上記第1実施形態に係る記録用の材料における硬化性液体を付与する硬化性液体付与手段と、を有することを特徴とする。
(a)前記インク吐出手段によって前記インク受容性粒子にインクが吐出された後、前記転写手段によって前記インク受容性粒子および前記インクが記録媒体へ転写される前
(b)前記転写手段によって前記インク受容性粒子および前記インクが記録媒体へ転写された後、前記定着手段によって前記記録媒体に前記インク受容性粒子および前記インクが定着される前
(c)前記定着手段によって前記記録媒体に前記インク受容性粒子および前記インクが定着された後
【0137】
具体的には、例えば、まず、供給手段により中間体(中間転写体)にインク受容性粒子を層状に供給する。層状に供給されたインク受容性粒子(以下、インク受容性粒子層)に対して、インク吐出手段によりインクを吐出して受容させる。インクを受容したインク受容性粒子層を転写手段により中間体から記録媒体へ転写する。この転写は、インク受容性粒子層の全部或いは記録部(インク受容部)を選択的に行われる。その後、記録媒体に転写されたインク受容性粒子層に対し、定着手段により加圧(或いは加熱・加圧)を施し、定着させる。尚、その際上記(a)〜(c)の少なくとも何れかのタイミングで、インク受容性粒子に硬化性液体が付与される。このようにして、インクを受容したインク受容性粒子による記録が行われると共に、インク受容性粒子の表面が硬化される。なお、転写と定着は同時に行ってもよし、別で行ってもよい。
【0138】
ここで、インク受容性粒子はインクを受容する際、例えば、層状に形成されるが、そのインク受容性粒子層の厚さは、例えば1μm以上100μm以下、望ましくは3μm以上60μm以下、より望ましくは5μm以上30μm以下の範囲が挙げられる。また、インク受容性粒子層中の空隙率(即ち、インク受容性粒子間空隙率+インク受容性粒子内空隙率(トラップ構造))は、例えば10%以上80%以下、望ましくは30以上70%以下、より望ましくは40%以上60%以下の範囲が挙げられる。
【0139】
また、中間体の表面には、インク受容性粒子供給前に予め、離型剤を塗布してもよい。この離型剤としては、(変性)シリコーン・オイル、フッ素系オイル、炭化水素オイル、鉱物油、植物油、ポリアルキレングリコール、アルキレングリコールエーテル、アルカンジオール、溶融ワックス類などが挙げられる。
【0140】
なお、記録媒体としては、浸透媒体(例えば、普通紙や、コート紙等)、非浸透媒体(例えば、アート紙、樹脂フィルムなど)、いずれも適用することができる。また、記録媒体は、これらに限られず、その他、半導体基板など工業製品も含まれる。
【0141】
以下、第2実施形態に係る記録装置を図面を参照しつつ説明する。なお、実質的に同じ作用・機能を有する部材には、全図面を通して同じ符合を付与し、重複する説明は省略する場合がある。
【0142】
図3は、第2実施形態に係る記録装置の一例を示す構成図である。図4は、第2実施形態に係る記録装置の一例の主要部を示す構成図である。図5は、第2実施形態に係る記録装置の一例においてインク受容性粒子層を示す構成図である。なお、以下の実施形態では、後述するインク受容性粒子として複合体粒子を適用した場合を説明している。
【0143】
第2実施形態に係る記録装置10は、図3および図4に示すように、例えば、無端ベルト状の中間転写体12、中間転写体12表面を帯電させる帯電装置28、中間転写体12上の帯電された領域にインク受容性粒子16を供給し粒子層を形成する粒子供給装置18、粒子層上にインク滴を吐出し画像を形成するインクジェット記録ヘッド20、記録媒体8を中間転写体12と重ね合わせ、圧力を加えることにより記録媒体8上にインク受容性粒子層を転写する転写装置22、転写された後のインク受容性粒子16に硬化性液体を吐出する硬化性液体吐出ヘッド40、硬化性液体が付与された後のインク受容性粒子16に圧力および熱を加えることにより記録媒体8上にインク受容性粒子を定着する定着装置23を含んで構成されている。そして、粒子供給装置18には、供給管19Aを介してインク受容性粒子収納カートリッジ19が脱着可能に連結されている。
【0144】
帯電装置28の上流側には、離型剤14Dを供給して離型層14Aを形成する離型剤供給装置14が配置される。
【0145】
帯電装置28により表面に電荷を形成した中間転写体12の表面は粒子供給装置18にてインク受容性粒子16を層として形成され、粒子層上には各色ごとのインクジェット記録ヘッド20すなわち20K、20C、20M、20Yから各色のインク滴が吐出されカラー画像が形成される。
【0146】
表面にカラー画像が形成された粒子層は転写装置(転写ロール)22にて記録媒体8にカラー画像ごと転写される。転写装置22の下流には、中間転写体12表面に残留しているインク受容性粒子16Dの除去、粒子以外の異物(記録媒体8の紙粉等)の中間転写体付着物の除去を行うためのクリーニング装置24が配置されている。
【0147】
カラー画像を転写された記録媒体8上のインク受容性粒子16には、硬化性液体吐出ヘッド40から硬化性液体が付与され、インク受容性粒子16表面が硬化される。その後記録媒体8と共にインク受容性粒子16は定着装置23に搬送され、圧力および熱が加えられて記録媒体8表面にインク受容性粒子16が定着される。
【0148】
インク受容性粒子16が定着された記録媒体8はそのまま搬出され、中間転写体12は再度帯電装置28で表面に電荷を形成される。このとき、記録媒体8に転写されたインク受容性粒子はインク滴20Aを吸収・保持するので速やかに搬出される。
【0149】
また、必要に応じて、クリーニング装置24と離型剤供給装置14の間(以下、AとBとの間とは特記がない限り、いずれも含まない間を意味する)に、中間転写体12表面に残留する電荷を除去する為の除電装置29を配置してもよい。
【0150】
第2実施形態においては、中間転写体12は、厚さ1mmのポリイミドフィルムのベース層の上に厚さ400μmのエチレンプロピレンゴム(EPDM)の表面層が形成されている。ここでは表面抵抗値が1013Ω/□程度、体積抵抗値が1012Ω・cm程度(半導電性)であることが望ましい。
【0151】
中間転写体12が周動され、まず離型剤供給装置14により中間転写体12表面に離型層14Aが形成される。離型剤供給装置14の供給ロール14Cにより中間転写体12表面に離型剤14Dが供給され、ブレード14Bで層厚を規定する。
【0152】
このとき、連続的に画像形成およびプリントを行う目的で、離型剤供給装置14を中間転写体12に連続的に接触するようにしてもよいし、中間転写体12から離間する構成としてもよい。
【0153】
離型剤供給装置14に、独立した液体供給システム(図示せず)より離型剤14Dを供給して、離型剤14Dの供給がとぎれないようにしてもよい。
【0154】
次に、帯電装置28によって正の電荷を中間転写体12表面に付与することにより、中間転写体12表面に正の電荷が帯電される。ここでは、粒子供給装置18の供給ロール18Aと中間転写体12表面とで形成しうる電界による静電力により、インク受容性粒子16が中間転写体12表面に供給/吸着可能な電位を形成すればよい。
【0155】
第2実施形態においては、帯電装置28を用いて、帯電装置28と中間転写体12を挟んで配置されている従動ロール31(グラウンドに接続)間に電圧を印加し、中間転写体12表面を帯電させる構成としている。
【0156】
帯電装置28は、ステンレスを材料とする棒状の外周面に、導電性付与材を分散させた弾性層(発泡ウレタン樹脂)を形成し、体積抵抗率10Ω・cm以上10Ω・cm以下程度に調整したロール形状の部材とする。さらに、弾性層の表面を厚さ5μm以上100μm以下の撥水撥油性の被覆層(例えば四フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)で構成)で被覆する。
【0157】
帯電装置28にはDC電源が接続され、従動ロール31はフレームグランドに電気的に接続されている。帯電装置28は、従動ロール31との間で中間転写体12を挟みつつ従動し、接触位置では、接地された従動ロール31との間に所定の電位差が生じるため、中間転写体12の表面に電荷を与えることができる。ここでは帯電装置28により中間転写体12表面に例えば電圧1kvを印加し、中間転写体12表面を帯電させる。
【0158】
また、帯電装置28をコロトロン等で構成してもよい。
【0159】
次に粒子供給装置18により、中間転写体12表面にインク受容性粒子16が供給され、インク受容性粒子層16Aを形成する。粒子供給装置18は、インク受容性粒子16が収容される容器の、中間転写体12と向合う部分に供給ロール18Aが配され、供給ロール18Aに接触するように帯電ブレード18Bが配される。この帯電ブレード18Bは供給ロール18A表面に供給するインク受容性粒子16の層厚を規制する機能も併せ持つ。
【0160】
供給ロール18A(導電性ロール)にインク受容性粒子16を供給し、帯電ブレード18B(導電性ブレード)でインク受容性粒子層16Aを規制するとともに中間転写体12表面の電荷と逆極性である負に帯電する。供給ロール18Aはアルミ製の中実ロール、帯電ブレード18Bは圧力をかけるためにウレタンゴムが獲り付けられた金属板(SUSなど)を用いることができる。帯電ブレード18Bはドクターブレード方式で供給ロール18Aと接する。
【0161】
帯電されたインク受容性粒子16は供給ロール18A表面に例えば1層の粒子層を形成し、中間転写体12表面と対向する部位に搬送され、これと近接すると供給ロール18Aと中間転写体12表面との電位差により形成された電界により、帯電したインク受容性粒子16は静電力により中間転写体12表面に移動する。
【0162】
この時、中間転写体12表面に1層の粒子層を形成するように中間転写体12の移動速度と供給ロール18Aの回転速度を相対的に設定する(周速比)。この周速比は、中間転写体12の帯電量やインク受容性粒子16の帯電量、供給ロール18Aと中間転写体12の位置関係等、他のパラメータに依存する。
【0163】
上記の、1層のインク受容性粒子層16Aを形成する周速比を基準に、供給ロール18Aの周速を相対的に早くすることにより、中間転写体12上に供給される粒子数を増加させることができる。転写される画像濃度が低い(インク打ち込み量が少ない(例えば0.1g/m以上1.5g/m以下))場合には、層厚を必要最小限の厚さ(例えば、1μm以上5μm以下)とし、また、画像濃度が高い(インク打ち込み量が多い(例えば4g/m以上15g/m以下))場合には、インク液体成分(溶媒や分散媒)を保持可能である充分な層厚(例えば10μm以上25μm以下)となるように制御することが望ましい。
【0164】
例えば、インク打ち込み量が少ない文字画像等の場合、中間転写体上の1層のインク受容性粒子層に対して像形成を行った場合、インク中の画像形成材(顔料)は中間転写体上のインク受容性粒子層表面に捕獲され、深さ方向に対して分布が少なくなるように、インク受容性粒子表面や内部の粒子空隙に固定される。
【0165】
例えば、最終的な画像となる画像層16Bの上に保護層となる粒子層16Cを設けたい場合は、インク受容性粒子層16Aを3層程度の厚みとし、最上層にインクで像形成を行えば((図5(A)参照)、像形成を行わない2層分の粒子層16Cが転写定着後には保護層となり画像層16Bの上に形成される(図5(B)参照)。
【0166】
あるいは2次色や3次色の画像等、インク打ち込み量が高い画像を形成する場合には、インク受容性粒子層を、インク液体成分(溶媒や分散媒)が保持可能で、記録材(例えば顔料)が捕獲され、最下層まで到達しない充分な粒子数となるようにインク受容性粒子16を積層させる。この場合、転写定着後の画像層表面に画像形成材(顔料)は露出せず、像形成を行わないインク受容性粒子16が画像表面に保護層として形成してもよい。
【0167】
次に、インクジェット記録ヘッド20がインク受容性粒子層16Aにインク滴20Aを付与する。インクジェット記録ヘッド20は所定の画像情報に基づき、所定の位置にインク滴20Aを付与する。
【0168】
次いで、転写装置22により記録媒体8と中間転写体12を挟み込んで、インク受容性粒子層16Aに圧力を加える事で、記録媒体8上にインク受容性粒子層16Aが転写される。
【0169】
転写装置22は転写ロール22Aと、中間転写体12を挟んで対向する加圧ロール22Bとから構成され、転写ロール22Aおよび加圧ロール22Bは接して接触部を形成する。転写ロール22Aおよび加圧ロール22Bには、アルミコアの外表面にシリコーンゴムを被覆し、更にその上をPFAチューブにて被覆された物を使用することができる。
【0170】
このとき、圧力により中間転写体12表面に形成された離型層14Aからインク受容性粒子層16Aが離型され、記録媒体8上に転写される。尚、転写装置22より前に、中間転写体12に予備加熱を行ってもよい。
【0171】
次に、硬化性液体吐出ヘッド40がインク受容性粒子層16Aに硬化性液体を付与する。これによりインク受容性粒子層16A(特にインク受容性粒子層16C)の表面が硬化される。
【0172】
次いで、定着装置23によりインク受容性粒子層16Aが転写された記録媒体8を挟み込んで、インク受容性粒子層16Aに圧力を加える事で、記録媒体8上にインク受容性粒子層16Aが定着される。
【0173】
定着装置23は加熱源を内蔵する加熱ロール23Aと、対向する加圧ロール23Bとから構成され、加熱ロール23Aおよび加圧ロール23Bは接して接触部を形成する。加熱ロール23Aおよび加圧ロール23Bには、アルミコアの外表面にシリコーンゴムを被覆し、更にその上をPFAチューブにて被覆された物を使用することができる。
【0174】
加熱ロール23Aと加圧ロール23Bの接触部において、ヒーターによりインク受容性粒子層16Aが加熱され、かつ圧力が加わる為、記録媒体8にインク受容性粒子層16Aが定着される。
【0175】
このとき、非画像部におけるインク受容性粒子16を構成する有機樹脂がガラス転移温度Tg以上に加熱されることにより軟化し(あるいは溶融され)、圧力により記録媒体8上に定着される。本実施形態では加熱ロール23Aの表面を160℃に制御している。この時、インク受容性粒子層16Aに保持されたインク液体成分や硬化性液体中の液体成分(溶媒や分散媒)は、そのままインク受容性粒子層16A内に保持され、定着される。
【0176】
なお、記録媒体8としては、浸透媒体(例えば、普通紙や、インクジェットコート紙等)、非浸透媒体(例えば、アート紙、樹脂フィルムなど)、いずれも適用することができる。また、記録媒体は、これらに限られず、その他、半導体基板など工業製品も含まれる。
【0177】
以下、第2実施形態に係る記録装置の画像形成のプロセスをより詳細に説明する。第2実施形態に係る記録装置では、図4に示すように、中間転写体12の表面には離型層供給装置14にて離型層14Aを形成される。中間転写体12の素材がアルミやPETベースであれば特に離型層14Aを形成することが望ましい。尚、フッ素樹脂・シリコーンゴム系の素材を用いて、中間転写体12の表面自体に離型性を持たせるようにしてもよい。
【0178】
次に帯電装置28にて中間転写体12の表面をインク受容性粒子16と逆の極性に帯電させる。これにより、粒子供給装置18の供給ロール18Aにて供給されるインク受容性粒子16を静電的に吸着させ、中間転写体12の表面にインク受容性粒子16の層を形成することができる。
【0179】
次いで中間転写体12の表面に粒子供給装置18の供給ロール18Aにてインク受容性粒子16を層として形成する。例えば、形成されたインク受容性粒子層16Aはインク受容性粒子16が3層程度重なった厚みと成るように形成する。すなわち、上記のように帯電ブレード18Bと供給ロール18Aの空隙によってインク受容性粒子層16Aを所望の厚さに制御することで記録媒体8に転写されるインク受容性粒子層16Aの厚さを制御する。あるいは供給ロール18Aと中間転写体12の周速比によって制御してもよい。
【0180】
次に、形成されたインク受容性粒子層16A上に、圧電式(ピエゾ)、サーマル式などにより駆動される各色のインクジェット記録ヘッド20によってインク滴20Aが吐出され、インク受容性粒子層16Aに画像層16Bが形成される。インクジェット記録ヘッド20から吐出されたインク滴20Aは、インク受容性粒子層16Aに打ち込まれ、インクの液体成分はインク受容性粒子16間の空隙およびインク受容性粒子16を構成する空隙に速やかに吸収されるともに、記録材(例えば顔料)もインク受容性粒子16(構成する粒子)表面或いはインク受容性粒子16を構成する粒子間の空隙に捕獲される。
【0181】
このときインク滴20Aに含まれるインク液体成分(溶媒や分散媒)はインク受容性粒子層16Aに浸透するが、顔料等の記録材はインク受容性粒子層16Aの表面または粒子間空隙に捕獲される。すなわち、インク液体成分(溶媒や分散媒)はインク受容性粒子層16Aの裏面まで浸透させてもよいが、顔料等の記録材はインク受容性粒子層16Aの裏面には浸透しない。これにより、記録媒体8に転写した際には顔料等の記録材が浸透していない粒子層16Cが画像層16Bの上に層を形成するため、この粒子層16Cが画像層16Bの表面を封じ込める保護層となり、表面に記録材(例えば顔料などの色材)が露出しない画像を形成することができる。
【0182】
次いで画像層16Bが形成されたインク受容性粒子層16Aを中間転写体12から記録媒体8上に転写される。
【0183】
次に、記録媒体8上に転写されたインク受容性粒子層16A上に、圧電式(ピエゾ)、サーマル式などにより駆動される硬化性液体吐出ヘッド40によって、硬化性液体が吐出される。このとき硬化性液体に含まれる液体成分(溶媒や分散媒)はインク受容性粒子層16Aに浸透するが、カチオン性物質やアニオン性物質等のインク受容性粒子の表面を硬化させるための物質はインク受容性粒子層16Aの表面にて反応し(例えば、カチオン性物質やアニオン性物質の場合には架橋構造を形成し)、インク受容性粒子層16Aの表面(特にインク受容性粒子層16Cの表面)が硬化される。
【0184】
その後、記録媒体8上のインク受容性粒子層16Aはヒーターなどの加熱手段にて加熱された定着装置(定着ロール)23によって、加熱・加圧され記録媒体8上に定着される。
【0185】
このとき後述のように加熱・加圧を調節することで画像表面の凸凹を調整し、光沢度を制御してもよい。また冷却剥離を行って光沢度を制御してもよい。
【0186】
インク受容性粒子層16Aが剥離した後の中間転写体12表面に残った残留粒子16Dはクリーニング装置24にて回収され(図3参照)、中間転写体12の表面は再度帯電装置28にて帯電され、インク受容性粒子16が供給されインク受容性粒子層16Aが形成される。
【0187】
ここで、図5には、第2実施形態に係る画像形成に用いられる粒子層が示されている。図5(A)に示すように、中間転写体12の表面には離型層14Aが形成される。
【0188】
次いで中間転写体12の表面に粒子供給装置18にてインク受容性粒子16を層として形成する。前述のように形成されたインク受容性粒子層16Aはインク受容性粒子16が3層程度重なった厚みが望ましい。インク受容性粒子層16Aを所望の厚さに制御することで記録媒体8に転写されるインク受容性粒子層16Aの厚さを制御する。このときインク受容性粒子層16Aの表面はインク滴20Aの吐出による画像形成(画像層16Bの形成)に支障がない程度に均されている。
【0189】
また、吐出されたインク滴20Aに含まれる顔料等の記録材は図5(A)のようにインク受容性粒子層16Aの1/3以上半分以下程度まで浸透し、その下には顔料等の記録材の浸透していない粒子層16Cが残存している。
【0190】
転写装置(転写ロール)22による加圧転写で記録媒体8上に形成されたインク受容性粒子層16Aは図5(B)のように画像層16B上にインクを含まない粒子層16Cが存在するので、画像層16Bが直接表面に現れず一種の保護層としての働きをする。このため少なくとも定着後のインク受容性粒子16は透明である必要がある。
【0191】
粒子層16Cは定着装置(定着ロール)23によって加熱・加圧されるので表面を平らにすることが可能であり、画像表面の光沢度を加熱・加圧によって制御することもできる。
【0192】
また加熱によってインク受容性粒子16内部に捕獲されていたインク液体成分や硬化性液体中の液体成分(溶媒や分散媒)の乾燥を促進させるようにしてもよい。
【0193】
インク受容性粒子層16Aに受容/保持されたインク液体成分や硬化性液体中の液体成分(溶媒や分散媒)は、転写定着後もインク受容性粒子層16A内に保持され、自然乾燥にて除去される。
【0194】
上記の工程を経て、画像形成が終了する。中間転写体12については、インク受容性粒子16を記録媒体8に転写した後、中間転写体12上に残留した残留粒子16Dや、記録媒体8から離脱した紙粉の如く異物が存在する場合には、クリーニング装置24により除去してもよい。
【0195】
また、クリーニング装置24の下流に、除電装置29を配置してもよい。例えば、除電装置29として導電性ロールを使用して、従動ロール31(接地)と挟み込んで、中間転写体12表面に±3kV、500Hz程度の電圧を印加して、中間転写体12表面を除電する。
【0196】
上記の帯電電圧や、粒子層厚、定着温度等、その他の各種装置的条件は、インク受容性粒子16あるいはインクの組成、インクの吐出量等によって最適条件が決定される為、それぞれにおいて最適化する。
【0197】
<各構成要素>
次に、第2実施形態の各ステップの構成要素について詳しく説明する。
【0198】
<中間転写体>
インク受容性粒子層が形成される中間転写体12は前述のようにベルト状でも、あるいは円筒状(ドラム状)でもよい。中間転写体表面にインク受容性粒子を静電力により供給保持する為には、中間転写体外周面が半導電性あるいは絶縁性の粒子保持特性を有する必要がある。中間転写体表面の電気的特性として、半導電性の場合は表面抵抗率が1010Ω/□以上1014Ω/□以下、体積抵抗率が10Ω・cm以上1013Ω・cm以下、絶縁性の場合には表面抵抗率が1014Ω/□以上、体積抵抗率が1013Ω・cm以上の部材を用いる。
【0199】
ベルト形状の場合、基材としては、装置内におけるベルト回転駆動が可能で、必要な機械強度を持ち、特に転写/定着時に熱を使用する場合には、必要な耐熱性を持つものであればよい。具体的には、ポリイミド、ポリアミドイミド、アラミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリエーテルサルフォン、ステンレス等が使用される。
【0200】
ドラム形状の場合、基材としてはアルミやステンレス等が考えられる。
【0201】
<粒子供給プロセス>
まず、離型剤供給装置14により、インク受容性粒子16供給前に中間転写体12表面に離型剤14Dによる離型層14Aを形成する。
【0202】
離型層14Aの供給方法は、離型剤14Dを内蔵し離型剤供給部材に離型剤14Dを供給し、供給部材により中間転写体12表面に離型剤14Dを供給することで離型層14Aを形成する方法や、離型剤14Dを含浸した供給部材により中間転写体12表面に離型層14Aを形成する方法等が使用される。
【0203】
離型剤14Dとしてはシリコーン系オイル、フッ素系オイル、ポリアルキレングリコール、界面活性剤等の離型材料が挙げられる。
【0204】
シリコーン系オイルとしては、例えば、ストレートシリコーンオイル、変性シリコーンオイルが挙げられる。
ストレートシリコーンオイルとしては、例えばジメチルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイルが挙げられる。
変性シリコーンオイルとしては、例えばメチルスチリル変性オイル、アルキル変性オイル、高級脂肪酸エステル変性オイル、フッ素変性オイル、アミノ変性オイルが挙げられる。
ポリアルキレングリコールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体、ポリブチレングリコールが挙げられるが、これらの中もポリプロピレングリコールが望ましい。
界面活性剤としては、例えば、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤が挙げられるが、これらの中でもノニオン性界面活性剤が望ましい。
【0205】
離型剤14Dの粘度は、例えば5mPa・s以上200mPa・s以下が望ましく、より望ましくは5mPa・s以上100mPa・s以下、さらに望ましくは5mPa・s以上50mPa・s以下である。
【0206】
なお、粘度の測定は次のようにして行われる。レオマット115(Contraves製)を測定装置として用いて、得られたインクの粘度を測定した。その測定は、試料を測定容器に入れ、所定の方法で装置に装着し、測定温度は40℃、せん断速度は1400s−1の条件で行った。
【0207】
離型剤14Dの表面張力は、例えば40mN/m以下(望ましくは30mN/m以下、より望ましくは25mN/m以下)の範囲が挙げられる。
【0208】
なお、表面張力の測定は次のようにして行われる。23±0.5℃、55±5%RHの環境において、ウイルヘルミー型表面張力計(協和界面科学株式会社製)を用いて、得られた試料の表面張力を測定した。
【0209】
離型剤14Dの沸点は、例えば760mmHg下で250℃以上(望ましくは300℃以上、より望ましくは350℃以上)の範囲が挙げられる。
【0210】
なお、沸点の測定は次のようにして行われる。JIS K2254に準じて測定を行い、その初留点を沸点として用いた。
【0211】
次に、帯電装置28にて中間転写体12の表面をインク受容性粒子16と逆の極性に帯電させる。そして、帯電された中間転写体12の表面にインク受容性粒子層16Aを形成する。このときインク受容性粒子層16Aを形成する方法は一般的な電子写真のトナーを感光体に供給する方法を応用できる。すなわち、予め中間転写体12表面に一般的な電子写真の帯電方式(帯電装置28による帯電など)により、電荷を供給する。インク受容性粒子16は中間転写体12表面の電荷と逆極性に摩擦帯電(1成分摩擦帯電方式や、2成分方式)させる。
【0212】
供給ロール18Aに保持されたインク受容性粒子16は中間転写体12の表面と電界を形成し、静電力により中間転写体12上に移動/供給され、保持される。このとき、インク受容性粒子層16Aに形成される画像層16Bの厚みにより(打ち込まれるインク量に合わせて)、インク受容性粒子層16Aの厚さをコントロールしてもよい。この際、インク受容性粒子16の帯電量の絶対値としては、5μc/g以上50μc/g以下の範囲が望ましい。
【0213】
ここで、インク受容性粒子層16Aの厚さは、1μm以上100μm以下が望ましく、より望ましくは1μm以上50μm以下、さらに望ましくは5μm以上25μm以下である。また、インク受容性粒子層中の空隙率(即ち、インク受容性粒子間空隙率+インク受容性粒子内空隙率(トラップ構造))は、10%以上80%以下であることが望ましく、より望ましくは30%以上70%以下、さらに望ましくは40%以上60%以下である。
【0214】
以下、1成分供給(現像)方式相当の粒子供給プロセスについて説明する。
【0215】
供給ロール18Aにインク受容性粒子16を供給し、帯電ブレード18Bで粒子層の厚みを規制するとともに帯電する。
【0216】
帯電ブレード18Bは供給ロール18A表面におけるインク受容性粒子16の層厚を規制する働きを持ち、例えば、供給ロール18Aへの圧力を変化させて、供給ロール18A表面のインク受容性粒子16の層厚を変化させる。例えば、供給ロール18A表面上のインク受容性粒子16層厚を例えば1層とし、中間転写体12の表面上に形成されるインク受容性粒子16層厚を概1層に形成する。また、帯電ブレード18Bの圧力を低く制御し、供給ロール18A表面上に形成されるインク受容性粒子16層厚を増加させ、中間転写体12表面上に形成されるインク受容性粒子層厚を増加させてもよい。
【0217】
他の方法として、中間転写体12表面上に例えば1層の粒子層を形成する供給ロール18Aと中間転写体12の周速を1とした場合、供給ロール18Aの周速を速くして中間転写体12上に供給されるインク受容性粒子16の数を増加させ、中間転写体12上のインク受容性粒子層厚を増加させるよう制御することができる。また上記方法を組み合わせて制御することも可能である。上記構成では例えばインク受容性粒子16を負に帯電し、中間転写体12の表面を正に帯電させている。
【0218】
このようにインク受容性粒子層の層厚を制御することにより、インク受容性粒子層の消費量を抑えつつ、表面が保護層で覆われたパターンを形成することができる。
【0219】
帯電装置28における帯電ロールとしてはアルミニウム、ステンレススチール等を材料とする棒状またはパイプ状部材の外周面に導電性付与材を分散させた弾性層を形成し、体積抵抗率10Ω・cm以上10Ω・cm以下程度に調整したφ10mm以上25mm以下のロールなどが使用できる。
【0220】
弾性層は、ウレタン系樹脂、熱可塑性エラストマー、エピクロルヒドリンゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム、シリコーン系ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム、ポリノルボーネンゴム等の樹脂材料が単独または二種以上の混合物として使用され、望ましい材料としては発泡ウレタン樹脂がある。
【0221】
上記発泡ウレタン樹脂としては、ウレタン系樹脂に中空ガラスビーズや熱膨張型マイクロカプセル等の中空体を混合分散して独立気泡構造を付与したものが望ましい。
【0222】
さらに、弾性層の表面を厚さ5μm以上100μm以下の撥水性の被覆層で被覆してもよい。
【0223】
帯電装置28にはDC電源が接続され、従動ロール31はフレームグランドに電気的に接続されている。帯電装置28は、従動ロール31との間で中間転写体12を挟みつつ従動し、接触位置では、接地された従動ロール31との間に所定の電位差が生じる。
【0224】
<マーキングプロセス>
中間転写体12の表面に形成されたインク受容性粒子16の層(インク受容性粒子層16A)に、画像信号に基づいてインクジェット記録ヘッド20からインク滴20Aが吐出され、画像が形成される。インクジェット記録ヘッド20から吐出されたインク滴20Aは、インク受容性粒子層16Aに打ち込まれ、インク滴20Aはインク受容性粒子16内に形成された粒子間空隙により速やかに吸収され、記録材(例えば、顔料)はインク受容性粒子16表面またはインク受容性粒子16を構成する粒子間空隙に捕獲(トラップ)される。
【0225】
この場合、インク受容性粒子層16Aの表面に多くの記録材(例えば顔料)を捕獲(トラップ)することが望ましい。インク受容性粒子16内の粒子間空隙がフィルターの効果を発揮し、インク受容性粒子層16A表面に記録材(例えば顔料)をトラップすると共に、インク受容性粒子16内の粒子間空隙に捕獲(トラップ)され固定されることにより発現される。
【0226】
インク受容性粒子層16Aの表面およびインク受容性粒子16内の粒子間空隙に記録材(例えば顔料)を確実にトラップさせるために、インクとインク受容性粒子16を反応させることにより、記録材(例えば顔料)を速やかに不溶化(凝集)させる方法を採用してもよい。具体的には、上記反応はインクと多価金属塩との反応や、pH反応型を応用することが可能である。
【0227】
また、記録媒体の幅と同等またはそれ以上の幅を持つライン型インクジェット記録ヘッドが望ましいが、従来のスキャン型のインクジェット記録ヘッドを用いて、中間転写体上に形成された粒子層に順次画像を形成してもよい。インクジェット記録ヘッド20のインク吐出手段は、圧電素子駆動型、発熱素子駆動型等、インク吐出可能な手段であれば制限はない。インク自体も従来の染料を色材としたインクを用いることができるが、顔料インクが望ましい。
【0228】
インク受容性粒子16をインクと反応させる場合は、インク受容性粒子16をインクと反応して顔料を凝集させる効果を与える凝集剤(例えば多価金属塩、有機酸)を含む水溶液にて処理を行い、乾燥させたものを使用する。
【0229】
<転写プロセス>
インク滴20Aを受容し、画像が形成されたインク受容性粒子層16Aは、記録媒体8に転写される。尚、転写プロセスと後述の定着プロセスを実質的に同時に行ってもよい。
【0230】
インク画像は中間転写体12上に形成されたインク受容性粒子16層の表層部に形成され(記録材(顔料)がインク受容性粒子層16Aの表面にトラップされる)、記録媒体8に転写される事により、インク画像がインク受容性粒子16の粒子層16Cにより保護されるように形成されることがよい。
【0231】
<硬化性液体付与プロセス>
記録媒体8の表面に転写されたインク受容性粒子16の層(インク受容性粒子層16A)に、硬化性液体記録ヘッド40から硬化性液体が吐出される。
硬化性液体記録ヘッド40としては、記録媒体8の幅と同等またはそれ以上の幅を持つライン型の液滴吐出ヘッドが望ましいが、従来のスキャン型の液滴吐出ヘッドを用いて順次吐出を行ってもよい。硬化性液体記録ヘッド40の液滴吐出手段は、圧電素子駆動型、発熱素子駆動型等、インク吐出可能な手段であれば制限はない。
【0232】
また、インク受容性粒子16の層に硬化性液体を付与する方式としては、インクジェット方式ではなく、超音波方式や噴霧方式、ローラーコート方式等を用いて付与することもできる。
【0233】
また、硬化性液体を付与するタイミングとしては、図3に示す転写プロセス後であって定着プロセスの前のみには限られず、以下の(a)〜(c)の何れのタイミングであっても構わない。尚、より好ましくは、(b)または(c)のタイミングであり、特に好ましくは(b)のタイミングである。
(a)前記インク吐出手段によって前記インク受容性粒子にインクが吐出された後、前記転写手段によって前記インク受容性粒子および前記インクが記録媒体へ転写される前
(b)前記転写手段によって前記インク受容性粒子および前記インクが記録媒体へ転写された後、前記定着手段によって前記記録媒体に前記インク受容性粒子および前記インクが定着される前
(c)前記定着手段によって前記記録媒体に前記インク受容性粒子および前記インクが定着された後
【0234】
<定着プロセス>
画像が形成されたインク受容性粒子層16Aは、記録媒体8に定着される事により、記録媒体8上に画像を形成する。定着はインク受容性粒子層16Aを加熱あるいは加圧することのいずれかの方法、あるいは加熱と加圧の両方を用いる方法等あるが、望ましくは加熱/加圧を行う方式がよい。
【0235】
また、加熱/加圧を制御することで、インク受容性粒子層16Aの表面物性を制御し、グロス(光沢度)を制御することが可能である。
インク受容性粒子16層に受容/保持されたインク液体成分(溶媒や分散媒)は、転写定着後もインク受容性粒子16層内に保持され、自然乾燥にて除去される。
【0236】
<クリーニングプロセス>
中間転写体12表面をリフレッシュして繰返し使用を可能にするために表面をクリーニング装置24でクリーニングする工程を有することが好ましい。クリーニング装置24はクリーニング部と粒子搬送回収部(図示せず)から成り立っており、上記クリーニングにより、中間転写体12表面に残留しているインク受容性粒子16(残留粒子16D)の除去、粒子以外の異物(記録媒体8の紙粉等)といった中間転写体12の表面に付着した付着物の除去を行う。また、回収した残留粒子16Dは再利用してもよい。
【0237】
<除電プロセス>
離型層14Aを形成する前に除電装置29を用いて中間転写体12の表面を除電するようにしてもよい。
【0238】
[第3実施形態:記録装置]
記録装置は、中間転写方式の形態に限定されるものではなく、次で説明するインク受容性粒子を直接記録媒体上に供給する他の形態であってもよい。
【0239】
第3実施形態に係る記録装置は、上記第1実施形態に係る記録用の材料におけるインク受容性粒子を記録媒体上に供給するインク受容性粒子供給手段と、前記記録媒体上に供給された前記インク受容性粒子に上記第1実施形態に係る記録用の材料におけるインクを吐出するインク吐出手段と、前記記録媒体上に供給された前記インク受容性粒子および前記インクを定着する定着手段と、下記(d)〜(e)の少なくとも何れかにおいて、前記インク受容性粒子に上記第1実施形態に係る記録用の材料における硬化性液体を付与する硬化性液体付与手段と、を有することを特徴とする。
(d)前記インク吐出手段によって前記インク受容性粒子にインクが吐出された後、前記定着手段によって前記記録媒体に前記インク受容性粒子および前記インクが定着される前
(e)前記定着手段によって前記記録媒体に前記インク受容性粒子および前記インクが定着された後
【0240】
具体的には、まず、供給手段により記録媒体にインク受容性粒子を層状に供給する。層状に供給されたインク受容性粒子(以下、インク受容性粒子層)に対して、インク吐出手段によりインクを吐出して受容させる。インクを受容したインク受容性粒子層に対し、定着手段により加圧(或いは加熱・加圧)を施し、定着させる。尚、その際上記(d)〜(e)の少なくとも何れかのタイミングで、インク受容性粒子に硬化性液体が付与される。このようにして、インクを受容したインク受容性粒子による記録が行われると共に、インク受容性粒子の表面が硬化される。このようにして、インクを受容したインク受容性粒子による記録が行われる。このように、記録媒体に直接、記録媒体上に供給する形態であってもよい。
【0241】
図6は、第3実施形態に係る記録装置の一例を示す構成図である。図7は、第3実施形態に係る記録装置一例の主要部を示す構成図である。なお、以下の第3実施形態でも、後述するインク受容性粒子として複合体粒子を適用した場合を説明している。
【0242】
第3実施形態に係る記録装置11は、図6および図7に示すように、無端ベルト状の搬送ベルト13を備えている。搬送ベルト13は回転移動し、収容容器(図示略)などから送られてきた記録媒体8を搬送する。
【0243】
まず、搬送ベルト13によって搬送されている記録媒体8に、イオン流制御静電記録ヘッド100(以降、「静電記録ヘッド100」と略して記す)が、放電によるイオン流を制御して記録媒体8上に照射することによって静電潜像を形成する(図8(A)参照)。
【0244】
記録媒体8に形成された静電潜像をインク受容性粒子供給装置18が顕像化し、インク受容性粒子16からなるインク受容性粒子層16Aを形成する(図8(B)参照)。
【0245】
記録媒体8に形成されたインク受容性粒子層16Aを、予備定着装置150が予備加熱定着する。
【0246】
予備加熱定着されたインク受容性粒子層16Aに、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色毎のインクジェット記録ヘッド20K、20C、20M、20Yから、画像データに基づき、各色のインク滴20A(図7参照)が吐出されインク画像が形成される(図8(C)参照)。なお、以降、各色を区別する必要があるときは、符号の後にY,M,C,Kを付すが、特に、区別する必要がない場合は、Y,M,C,Kを省略する。
【0247】
インク滴20Aの吐出によってインク画像が形成されたインク受容性粒子層16Aには、硬化性液体吐出ヘッド40から硬化性液体が付与され、インク受容性粒子16表面が硬化される。その後記録媒体8と共にインク受容性粒子16は定着装置23に搬送され、圧力および熱が加えられて記録媒体8表面にインク受容性粒子16が定着される。
【0248】
なお、静電記録ヘッド100およびインクジェット記録ヘッド20は、記録媒体8の幅以上あるライン型記録ヘッドである。
【0249】
次に、各構成要素と画像形成のプロセスについての詳細を説明する。
【0250】
無端ベルト状の搬送ベルト13で、記録媒体8を搬送している。本実施形態では、搬送ベルト13に記録媒体8を吸着した状態で搬送している。
【0251】
ここで、搬送ベルト13に記録媒体8を吸着させる方法の一例としては、例えば、搬送ベルト13に孔(図示せず)を設け、この孔から吸引して吸着させる吸引機構が挙げられる。その他、記録媒体8を搬送ベルト13に吸着させる方法は、例えば、粘着力で吸着させる方式であってもよく、搬送ベルト13に記録媒体8を静電吸着させる方式であってもよい。
【0252】
そして、搬送方向の上流側には、搬送ベルト13に搬送されている記録媒体8に静電潜像を形成する静電記録ヘッド100が、記録媒体8の上方に間隔を持って配置されている。
【0253】
静電記録ヘッド100は、平面矩形状の絶縁基板102の表面に、複数の駆動電極104が互いに平行に設けられていると共に、その裏面にこれらの駆動電極104と交差するようにして複数の制御電極106が設けられている。なお、駆動電極104と制御電極106とでマトリックス(格子)が形成されている。また、制御電極106には、駆動電極104と交差する位置に円形の開口部106Aが形成されている。そして、制御電極106の下面には、絶縁基板101を介してスクリーン電極108が設けられている。これらの絶縁基板101およびスクリーン電極108には、制御電極106の開口部106Aと対応した位置に、空間111とイオン導出用開口部110が形成されている。
【0254】
交流電源112によって駆動電極104とスクリーン電極108との間に高周波高電圧が印加されるようになっている。一方、制御電極106にはイオン制御電源114により画像情報に応じたパルス電圧印加されるようになっている。更に、スクリーン電極108には直流電源116により直流電圧が、印加されるようになっている。
【0255】
そして、このように絶縁された駆動電極104と制御電極106との間に交番電界を与えることにより、空間111において沿面コロナ放電を誘発させ、この沿面コロナ放電によって発生したイオンを、制御電極106とスクリーン電極108との間に形成される電界によって加速もしくは吸収して、イオン導出用開口部110からのイオン流の放出を制御し、画像信号(インク画像)に応じたイオン(本実施形態ではプラスイオン)により、記録媒体8の表面に静電潜像(図8(A)参照)の形成を行うようになっている。
【0256】
静電潜像の電位は、次工程で、インク受容性粒子供給装置18の粒子供給ロール18Aと記録媒体8に形成された静電潜像とで形成する電界による静電力により、インク受容性粒子16が記録媒体8に供給/吸着可能な電位であれば良い。
【0257】
なお、この静電記録ヘッド100は、静電潜像を形成する領域を選択できる。よって、記録媒体8の表面に形成する静電潜像は、インク画像が形成される領域としている。例えば、形成画像が文字「あ」の場合は、図8(A)に概念的に示すようになる。
【0258】
表面に静電潜像が形成されている記録媒体8は、インク受容性粒子供給装置18に送られ、静電潜像を顕像化し、静電潜像に対応したインク受容性粒子層16Aを形成する(図8(B)参照)。これにより、画像信号に基づいて形成される、インク画像の領域のみに記録媒体8上にインク受容性粒子層16Aが形成される(非画像部領域には殆どインク受容性粒子層16Aが形成されない)。
【0259】
次に、画像形成のプロセスについての説明に戻る。
【0260】
図7に示すように、つぎに、記録媒体8に形成されたインク受容性粒子層16Aを予備定着装置150によって、予備定着する。
【0261】
予備定着装置150での予備加熱は、最終的な定着装置23における定着用の加熱よりも低温である。すなわち、予備定着装置150での予備定着は、インク受容性粒子16中の樹脂粒子を完全に溶融させて圧力により定着するのではなく、粒子間の空隙を残して、粒子間および粒子と記録媒体表面とを結着させる程度でよい。このことにより、インク滴20Aが受容可能な程度に予備定着される。
【0262】
また、予備定着装置150は、電子写真方式の画像形成装置に用いる一般的な加熱定着器(フューザー)を応用することが可能である。更に、電子写真方式の画像形成装置に用いる加熱定着器の他に、ヒーター加熱方法、オーブン方式、電磁誘導加熱方式等も使用できる。
【0263】
次に、インク受容性粒子層16Aが予備定着された記録媒体8は、インクジェット記録ヘッド20の下方に搬送される。
【0264】
そして、画像データに基づき、インクジェット記録ヘッド20からインク滴20Aが吐出され、記録媒体8の表面に形成されたインク受容性粒子層16Aに打ち込まれ、インク画像が形成される(図8(C))。この際、インクは、インク受容性粒子16により受容される。
【0265】
なお、高速で画像を書き込むためには、本実施形態の如く記録媒体幅以上あるライン型インクジェット記録ヘッドが望ましいが、スキャン型のインクジェット記録ヘッドを用いて、順次画像を形成しても良い。また、インクジェット記録ヘッド20のインク吐出手段は、圧電素子駆動型、発熱素子駆動型等、インク吐出可能な手段であれば制限はない。
【0266】
次に、記録媒体8上のインク受容性粒子層16Aに、圧電式(ピエゾ)、サーマル式などにより駆動される硬化性液体吐出ヘッド40によって硬化性液体が吐出される。このとき硬化性液体に含まれる液体成分(溶媒や分散媒)はインク受容性粒子層16Aに浸透するが、カチオン性物質やアニオン性物質等のインク受容性粒子の表面を硬化させるための物質はインク受容性粒子層16Aの表面にて反応し(例えば、カチオン性物質やアニオン性物質の場合には架橋構造を形成し)、インク受容性粒子層16Aの表面(特にインク受容性粒子層16Cの表面)が硬化される。
【0267】
硬化性液体記録ヘッド40としては、記録媒体8の幅と同等またはそれ以上の幅を持つライン型の液滴吐出ヘッドが望ましいが、従来のスキャン型の液滴吐出ヘッドを用いて順次吐出を行ってもよい。硬化性液体記録ヘッド40の液滴吐出手段は、圧電素子駆動型、発熱素子駆動型等、インク吐出可能な手段であれば制限はない。
【0268】
また、インク受容性粒子16の層に硬化性液体を付与する方式としては、インクジェット方式ではなく、超音波方式や噴霧方式、ローラーコート方式等を用いて付与することもできる。
【0269】
また、図6に示す記録装置では、インクジェット記録ヘッド20によってインク画像が形成された後であって定着装置23によって定着を行う前に硬化性液体を付与しているが、硬化性液体を付与するタイミングはこれには限られない。以下の(d)〜(e)の何れのタイミングであっても構わず、より好ましくは(d)のタイミングである。
(d)前記インク吐出手段によって前記インク受容性粒子にインクが吐出された後、前記定着手段によって前記記録媒体に前記インク受容性粒子および前記インクが定着される前
(e)前記定着手段によって前記記録媒体に前記インク受容性粒子および前記インクが定着された後
【0270】
次に、記録媒体8は、搬送ベルト13から剥離し、定着装置23に送られ、インク受容性粒子層16Aに、圧力と熱を加えることで、記録媒体8上にインク受容性粒子層16Aが定着する。
【0271】
定着装置23は加熱源を内蔵する加熱ロール23Aと対向する加圧ロール23Bとから構成され、加熱ロール23Aおよび加圧ロール23Bは接して接触部を形成する。加熱ロール23Aおよび加圧ロール23Bには、例えば、アルミコアの外表面にシリコーンゴムを被覆し、更にその上をPFAチューブにて被覆されたものを使用している。なお、電子写真方式の画像形成装置に用いる定着装置(フューザー)と同様の構成である。更に、上記電子写真方式の画像形成装置に用いる加熱定着器の他に、ヒーター加熱方法、オーブン方式、電磁誘導加熱方式等も使用できる。
【0272】
記録媒体8が加熱ロール23Aと加圧ロール23Bとの接触部を通過する際に、インク受容性粒子層16Aが加熱され、かつ圧力が加わり、記録媒体8にインク受容性粒子層16Aが定着する。なお、加熱と加圧の両方を用いる方法でなく、加熱のみ、または加圧のみを用いる方法であっても良い。しかし、望ましくは加熱と加圧とを同時に行う方式が良い。
【0273】
以上の工程を経て、画像形成が終了し、記録媒体8は装置外に排出される。
【0274】
なお、第3実施形態に係る記録装置について説明した以外は、前述の第2実施形態に係る記録装置と同様であるため、説明を省略する。
【0275】
以上、第2および第3実施形態においては、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの各色のインクジェット記録ヘッド20から画像データに基づいて選択的にインク滴20Aが吐出されてフルカラーの画像が記録媒体8に記録されるようになっているが、本実施形態は記録媒体上への文字や画像の記録に限定されるものではない。すなわち、工業的に用いられる液滴吐出(噴射)装置全般に対して、本実施形態に係る液滴吐出装置を適用することができる。
【実施例】
【0276】
以下、実施例を挙げてさらに具体的に説明する。ただし、これら各実施例に制限されるものではない。
【0277】
<インク受容性粒子の作製>
(インク受容性粒子A)
まず、スチレン/n−ブチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(極性単量体比率33mol%)を水酸化ナトリウムで中和し粒子化した(酸価×中和度が180)。
次いで、
・上記粒子 100質量部
・非晶質シリカ(Aerosil TT600/Degussa社) 2質量部
を攪拌混合し、球換算平均径6μmの粒子を作製した。
【0278】
(インク受容性粒子B)
まず、スチレン/n−ブチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(極性単量体比率60mol%)を水酸価ナトリウムで中和し粒子化した(酸価×中和度330)。
ついで、
・上記粒子 95質量部
・ポリエステル粒子 5質量部
・非晶質シリカ(Aerosil TT600/Degussa社) 2質量部
を攪拌混合し、球換算平均径8μmの粒子を作製した。
【0279】
(インク受容性粒子C)
まず、スチレン/n−ブチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(極性単量体比率12.5mol%)を水酸価カリウムで中和し粒子化した(酸価×中和度70)。
ついで、
・上記粒子 100質量部
・非晶質シリカ(Aerosil TT600/Degussa社) 2質量部
を攪拌混合し、球換算平均径8μmの粒子を作製した。
【0280】
(インク受容性粒子D)
まず、スチレン/n−ブチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(極性単量体比率87.5mol%)を水酸価ナトリウムで中和し粒子化した(酸価×中和度450)。
ついで、
・上記粒子 90質量部
・ポリエステル粒子 10質量部
・非晶質シリカ(Aerosil TT600/Degussa社) 2質量部
を攪拌混合し、球換算平均径9μmの粒子を作製した。
【0281】
(インク受容性粒子E)
まず、スチレン/n−ブチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(極性単量体比率82mol%)を水酸価ナトリウムで中和し粒子化した(酸価×中和度220)。
ついで、
・上記粒子 90質量部
・ポリエステル粒子 10質量部
・非晶質シリカ(Aerosil TT600/Degussa社) 2質量部
を攪拌混合し、球換算平均径10μmの粒子を作製した。
【0282】
(インク受容性粒子F)
まず、スチレン/n−ブチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(極性単量体比率8mol%)を水酸価カリウムで中和し粒子化した(酸価×中和度40)。
ついで、
・上記粒子 100質量部
・非晶質シリカ(Aerosil TT600/Degussa社) 2質量部
を攪拌混合し、球換算平均径6μmの粒子を作製した。
【0283】
尚、上記インク受容性粒子A〜Fにおける「極性単量体比率」は、以下のようにして測定した。まず質量分析、NMR(核磁気共鳴),IR(赤外吸収スペクトル)などの分析手法から有機成分の構成を特定し、その後、JIS K0070またはJIS K2501に準拠して、有機成分の酸価、塩基価を測定した。有機成分の構成、および、酸価/塩基価から極性単量体の比率を計算で求めた。
【0284】
<硬化性液体の作製>
(硬化性液体1)
・グリセリン 30質量%
・プロピレングリコール 5質量%
・1,2−ヘキサンジオール 2質量%
・オルフィンE1010(日信化学社製) 1.5質量%
・硝酸マグネシウム6水和物(カチオン性物質) 2質量%
・水 残部
を攪拌混合し、硬化性液体を作製した。
【0285】
(硬化性液体2)
・ジグリセリン−EO付加物 30質量%
・ジエチレングリコール 10質量%
・1,2−ヘキサンジオール 5質量%
・オルフィンE1010(日信化学社製) 1質量%
・硝酸カルシウム(カチオン性物質) 4質量%
・水 残部
を攪拌混合し、硬化性液体を作製した。
【0286】
(硬化性液体3)
・ジグリセリン−EO付加物 30質量%
・プロピレングリコール 10質量%
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル 5質量%
・オルフィンE1010(日信化学社製) 0.75質量%
・ジエタノールアミン(カチオン性物質) 6質量%
・水 残部
を攪拌混合し、硬化性液体を作製した。
【0287】
<インクの作製>
(インクI)
・cabojet200(自己分散性インク) 5質量%
・グリセリン 20質量%
・トリエチレングリコール 5質量%
・プロピレングリコオール 2質量%
・オルフィンE1010(日信化学社製) 1質量%
・水 残部
を攪拌混合し、インクを作製した。
【0288】
(インクII)
・C.I.Pigment Blue 15:3(樹脂分散インク) 5質量%
・スチレン/n−ブチルメタクリレート/メタクリル酸 2質量%
・グリセリン 20質量%
・トリエチレングリコール 5質量%
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル 2質量%
・オルフィンE1010(日信化学社製) 0.75質量%
・水 残部
を攪拌混合し、インクを作製した。
【0289】
(インクIII)
・C.I.Pigment Blue 15:3(樹脂分散インク) 4質量%
・スチレン/n−ブチルメタクリレート/メタクリル酸 2.5質量%
・グリセリン 20質量%
・プロピチレングリコール 5質量%
・1,2−ヘキサンジオール 5質量%
・オルフィンE1010(日信化学社製) 0.1質量%
・水 残部
を攪拌混合し、インクを作製した。
【0290】
〔実施例1〜9および比較例1〕
<画像形成>
図3に示す記録装置を用い、インク受容性粒子収納カートリッジ19に下記表1に示すインク受容性粒子を充填し、中間転写体12上に下記表1に示す付与量にてインク受容性粒子層16Aを形成した。次いで、インクジェット記録ヘッド20の内ひとつの記録ヘッドのみを用いて下記表1に示すインクを下記表1に示す付与量にて吐出した。インク受容性粒子層16Aを記録媒体8に転写した後、硬化性液体吐出ヘッド40から下記表1に示す硬化性液体を下記表1に示す付与量にて吐出し、定着工程を経て画像を形成した。
【0291】
[評価]
−耐刷過性−
定着性については、100℃に加熱して定着した場合で、以下のように評価した。
印字部に白紙の普通紙(富士ゼロックス社製、C2紙)と、さらにその上に重さ5kg、底面積10cmの重りを載せ、非印字部方向に白紙を引っ張って動かした。白紙および重りを取り除き、非印字部に移った度合いを予め定めた限度見本に照合し、官能評価を行った。評価基準は以下の通りである。
◎ : 印字移りが発生していない
○+: 印字移りが顕微鏡でみるとわずかに発生。
○−: 印字移りが目視でわずかに発生
× : 印字移りが発生
【0292】
−耐水性−
印字画像上に水を1滴たらし、記録媒体を90度に立てて、画像の乱れ(インクの流れ)を官能評価により判定した。評価基準は以下の通りである。
◎ : 顕微鏡で観察しても画像のにじみが観察されない。
○+: 目視ではほとんど滲まないが、顕微鏡観察ではやや滲む
○−: 目視ではほとんど滲まないが、顕微鏡観察では滲む
× : 傾けた時画像が乱れる。
【0293】
−吸液時間−
インク受容性粒子をPFAフィルム上に散布した(粒子;30g/m)。インクジェット方式を用いて画像密度1200dpi×1200dpiにおいて、1drop当り2pLのインクを付与し、100%カバレッジパターンを形成した。
画像面に10Paの圧力で普通紙(C2紙)を押し当て、普通紙側にインクが転写されなくなるまでの時間を測定した。
○ 乾燥時間が0.25秒未満
△ 乾燥時間が0.25秒以上0.75秒未満
× 乾燥時間が0.75秒以上
【0294】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0295】
【図1】第1実施形態に係るインク受容性粒子の一例を示す概念図である。
【図2】第1実施形態に係るインク受容性粒子の他の一例を示す概念図である。
【図3】第2実施形態に係る記録装置の一例を示す構成図である。
【図4】第2実施形態に係る記録装置の一例の主要部を示す構成図である。
【図5】第2実施形態に係る記録装置の一例におけるインク受容性粒子層を示す構成図である。
【図6】第3実施形態に係る記録装置の一例を示す構成図である。
【図7】第3実施形態に係る記録装置の一例の主要部を示す構成図である。
【図8】第3実施形態に係る記録装置において、画像が形成される工程を概念的に示す図である。
【符号の説明】
【0296】
10 記録装置
11 記録装置
12 中間転写体
13 搬送ベルト
14 離型剤供給装置
14A 離型層
14B ブレード
14C 供給ローラ
14D 離型剤
16 インク受容性粒子
16A インク受容性粒子層
16B 画像層
16D 残留粒子
18 インク受容性粒子供給装置
18A 粒子供給ロール
18B 帯電ブレード
19 インク受容性粒子収納カートリッジ
19A 供給管
20 インクジェット記録ヘッド
20A インク滴
20B ノズル面
22 転写装置
22A 転写ロール
22B 加圧ロール
23 定着装置
23A 加熱ロール
23B 加圧ロール
24 クリーニング装置
28 帯電装置
29 除電装置
31 従動ロール
40 硬化性液体吐出ヘッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクと、
該インクを受容するインク受容性粒子と、
該インク受容性粒子の表面を硬化させる硬化性液体と、を備えることを特徴とする記録用の材料。
【請求項2】
前記硬化性液体が、前記インク受容性粒子の表面に架橋構造を形成させる液体であることを特徴とする請求項1に記載の記録用の材料。
【請求項3】
前記インク受容性粒子が、下記(1)〜(3)の要件を満たす有機樹脂を含有することを特徴とする請求項2に記載の記録用の材料。
(1)極性基を有する
(2)該極性基として少なくとも中和された極性基を有する
(3)全単量体成分に対する極性基を有する単量体成分の比率が10mol%以上90mol%以下である
【請求項4】
前記極性基がアニオン性極性基であると共に、前記硬化性液体がカチオン性物質を含有することを特徴とする請求項3に記載の記録用の材料。
【請求項5】
前記アニオン性極性基がカルボン酸基であることを特徴とする請求項4に記載の記録用の材料。
【請求項6】
前記カチオン性物質が多価金属塩および多価アミン塩から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の記録用の材料。
【請求項7】
前記硬化性液体の表面張力が、前記インクの表面張力よりも低いことを特徴とする請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の記録用の材料。
【請求項8】
中間転写体と、
請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の記録用の材料におけるインク受容性粒子を前記中間転写体上に供給するインク受容性粒子供給手段と、
前記中間転写体上に供給された前記インク受容性粒子に請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の記録用の材料におけるインクを吐出するインク吐出手段と、
前記インク受容性粒子および前記インクを記録媒体に転写する転写手段と、
前記記録媒体に転写された前記インク受容性粒子および前記インクを定着する定着手段と、
下記(a)〜(c)の少なくとも何れかにおいて、前記インク受容性粒子に請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の記録用の材料における硬化性液体を付与する硬化性液体付与手段と、を有する記録装置。
(a)前記インク吐出手段によって前記インク受容性粒子にインクが吐出された後、前記転写手段によって前記インク受容性粒子および前記インクが記録媒体へ転写される前
(b)前記転写手段によって前記インク受容性粒子および前記インクが記録媒体へ転写された後、前記定着手段によって前記記録媒体に前記インク受容性粒子および前記インクが定着される前
(c)前記定着手段によって前記記録媒体に前記インク受容性粒子および前記インクが定着された後
【請求項9】
請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の記録用の材料におけるインク受容性粒子を記録媒体上に供給するインク受容性粒子供給手段と、
前記記録媒体上に供給された前記インク受容性粒子に請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の記録用の材料におけるインクを吐出するインク吐出手段と、
前記記録媒体上に供給された前記インク受容性粒子および前記インクを定着する定着手段と、
下記(d)〜(e)の少なくとも何れかにおいて、前記インク受容性粒子に請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の記録用の材料における硬化性液体を付与する硬化性液体付与手段と、を有する記録装置。
(d)前記インク吐出手段によって前記インク受容性粒子にインクが吐出された後、前記定着手段によって前記記録媒体に前記インク受容性粒子および前記インクが定着される前
(e)前記定着手段によって前記記録媒体に前記インク受容性粒子および前記インクが定着された後

【図3】
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【図6】
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【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−76237(P2010−76237A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−246729(P2008−246729)
【出願日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】