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記録用インク、インクジェット記録方法、及び記録物
説明

記録用インク、インクジェット記録方法、及び記録物

【課題】耐熱性を有しない記録媒体に対して、加熱しなくとも、金属光沢を有するとともに、電気伝導性及び耐擦過性に優れた配線や電気回路等の画像を記録することが可能な記録用インクを提供する。
【解決手段】JIS−Z8741で規定される75度鏡面光沢度が60%以上である記録媒体に付与して画像を記録するために用いられる記録用インクである。金属微粒子、金属微粒子を分散するための高分子分散樹脂、水溶性有機溶剤、及び界面活性剤を含有し、界面活性剤の含有量が1.0質量%以上であり、表面張力が35.0mN/m以下であり、記録媒体とのブリストウ法における浸透係数が20mL/(m2・s1/2)以上である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録用インク、この記録用インクを用いるインクジェット記録方法、及びこの記録用インクを用いて得られる記録物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インクジェット記録方法に関する様々な発明が提案されており、インクジェット記録方法の利用分野は広範囲にわたっている。また、インクジェットプリンタが広くユーザーに浸透しており、高速記録化及び高画質化といった高機能化が図られている。そして、インクジェット記録方法の付加機能に対しては、ユーザーのさらなる要求がある。
【0003】
高機能化されたインクジェット記録方法に用いられるインクの一例として、金属光沢を有する印字物(画像)を記録可能なインク(金銀箔押しインク)がある。ただし、金属光沢特有の質感を備えた印字物を得るのは非常に困難である。このため、金属光沢を有する印字物は、有機染料や有機顔料を色材として含有するブラック、シアン、マゼンタ、又はイエローのインクジェットインクを用いて擬似的に表現されているのが現状である。そこで、金属光沢特有の質感を高度に達成しうるインクジェット用の記録インク、及びインクジェット記録方法が求められている。
【0004】
ところで、回路基板を製造する方法としては、例えば、フォトリソグフィ法、スクリーン印刷法、又は蒸着膜エッチング法などにより、金属微粒子を含有する導電ペーストを用いて所望の回路パターンを基板に印刷した後に熱処理し、金属微粒子を焼結させて配線パターンを形成する方法などがある。しかしながら、これらの方法には、ファインパターンの形成が困難である、環境上の問題がある、及びコスト高であるなどの課題があった。
【0005】
上記課題を解決する方法として、特許文献1及び2においては、金属微粒子を分散させた液体をインクジェット法によって記録媒体上に印刷して直接回路パターンを印刷した後、熱処理やレーザー照射を行って配線パターンを形成する方法が提案されている。このような金属微粒子を色材として含有する液体を用いて形成した回路パターンから水などの揮発成分が蒸発すると、金属微粒子と分散剤を含有する金属微粒子分散体が記録媒体上に残る。その後の熱処理等によって低融点の分散剤が蒸発し、金属微粒子が残ることになる。そして、極めて小さい金属微粒子特有の融点降下現象によって金属微粒子同士が融着し、金属光沢及び電気伝導性などの特性が発現する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5132248号明細書
【特許文献2】特開2004−315650号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ただし、特許文献1及び2において提案された方法では、印刷後に熱処理やレーザー照射を行って配線パターンを形成する必要がある。印刷しただけでは分散剤が金属微粒子の表面に付着したまま残ってしまい、金属微粒子同士の融着が阻害される。このため、形成される配線パターンの耐擦過性が得られず、電気伝導性や金属光沢などの金属特性も発現しないからである。したがって、耐熱性を有しない紙や、プラスチックなどの記録媒体に印刷した場合には、熱処理やレーザー照射ができないために、配線パターンを形成することができないといった課題がある。
【0008】
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものである。その課題とするところは、耐熱性を有しない記録媒体に対して、加熱しなくとも、金属光沢を有するとともに、電気伝導性及び耐擦過性に優れた配線や電気回路等の画像を記録することが可能な記録用インク、並びにインクジェット記録方法を提供することにある。
【0009】
さらに、本発明の課題とするところは、耐熱性を有しない記録媒体に対して、金属光沢を有するとともに、電気伝導性及び耐擦過性に優れた配線や電気回路等の画像が記録された記録物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち、本発明によれば、JIS−Z8741で規定される75度鏡面光沢度が60%以上である記録媒体に付与して画像を記録するために用いられる記録用インクであって、金属微粒子、前記金属微粒子を分散するための高分子分散樹脂、水溶性有機溶剤、及び界面活性剤を含有し、前記界面活性剤の含有量が1.0質量%以上であり、表面張力が35.0mN/m以下であり、前記記録媒体とのブリストウ法における浸透係数が20mL/(m2・s1/2)以上であることを特徴とする記録用インクが提供される。
【0011】
本発明の記録用インクにおいては、界面活性剤のFedors法における溶解度パラメータと、高分子分散樹脂のFedors法における溶解度パラメータとの差が3以下であることが好ましい。また、界面活性剤が、高級アルコールのエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールのエチレンオキサイド付加物、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体、及びアセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物からなる群より選択される少なくとも一種であることが好ましい。さらに、金属微粒子が、金、銀、及び銅からなる群より選択される少なくとも一種の金属からなることが好ましい。
【0012】
また、本発明によれば、JIS−Z8741で規定される75度鏡面光沢度が60%以上である記録媒体にインクジェットヘッドによりインクを付与して画像を記録するインクジェット記録方法であって、前記インクとして、前述の記録用インクを用いることを特徴とするインクジェット記録方法が提供される。
【0013】
さらに、本発明によれば、前述の記録用インクを用いて得られたことを特徴とする記録物が提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明の記録用インク及びインクジェット記録方法によれば、耐熱性を有しない記録媒体に対して、加熱しなくとも、金属光沢を有するとともに、電気伝導性及び耐擦過性に優れた配線や電気回路等の画像を記録することができる。
【0015】
また、本発明の記録物は、耐熱性を有しない記録媒体に対して、金属光沢を有するとともに、電気伝導性及び耐擦過性に優れた配線や電気回路等の画像が記録されたものである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の記録用インクにより形成されたインク滴の一例を示す模式図である。
【図2】インク滴が記録媒体上に着弾した状態を示す模式図である。
【図3】記録媒体上の金属微粒子により金属膜が形成される状態を示す模式図である。
【図4】金属膜が形成されない場合の一例を示す模式図である。
【図5】金属膜が形成されない場合の他の例を示す模式図である。
【図6】75度鏡面光沢度が60%未満の記録媒体に記録した状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を、その好ましい実施形態に基づいて詳細に説明する。
本明細書において、「プリント」(「記録」又は「印字」とも記す)とは、文字、図形等の有意の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わず、また、人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かを問わず、広く記録媒体上に画像、模様、パターン等を形成すること、又は記録媒体の加工を行うことをいう。
【0018】
また、「記録媒体」の概念には、一般的なプリント装置で用いられる紙だけでなく、布、プラスチック、金属、ガラス、セラミックス、木材、皮革等、インクを受容可能なものが含まれる。ただし、以下「用紙」又は「紙」ともいう。
【0019】
さらに、「インク」(単に「液体」とも記す)とは、上記「プリント」の定義と同様に広く解釈される。すなわち、「インク」とは、記録媒体上に付与されることによって、画像、模様、パターン等の形成、記録媒体の加工、及びインクの処理に供される液体をいう。なお、この「インクの処理」の具体例としては、記録媒体に付与されるインク中の色材の凝固又は不溶化等を挙げることができる。
【0020】
(記録用インクについて)
本発明の記録用インクは、以下に示すようなメカニズムによって、加熱しなくとも、金属光沢を有するとともに、電気伝導性及び耐擦過性に優れた配線や電気回路等の画像を記録することができると考えられる。
図1は、本発明の記録用インクにより形成されたインク滴の一例を示す模式図である。図1に示すように、本発明の記録用インクにより形成されたインク滴1には、水溶性有機溶剤を含む液媒体4と、液媒体4中に分散された金属微粒子分散体3とが含有されている。金属微粒子分散体3は、金属微粒子5と、金属微粒子5の表面に付着した高分子分散樹脂6とで形成されている。図2に示すように、このようなインク滴1が紙等の記録媒体2上に着弾すると、液媒体4が蒸発したり、又は記録媒体2内へと浸透若しくは拡散したりする。これにより、図3に示すように、金属微粒子5のみが記録媒体2の表面上に残る。そして、金属微粒子5は、金属微粒子特有の融点降下により、常温又は低温条件下において相互に結着して金属膜10が形成される。また、金属微粒子5を構成する金属と、紙等の記録媒体2が融着するので、形成される金属膜10は良好な耐擦過性を有する。
【0021】
本発明の記録用インクは、界面活性剤の含有量が1.0質量%以上であり、表面張力が35.0mN/m以下であり、記録媒体とのブリストウ法における浸透係数が20mL/(m2・s1/2)以上である。すなわち、これらの要件を満たす本発明の記録用インクは、所定の記録媒体に対する浸透性が良好であるといった特徴を有する。これらの要件のいずれかを満たさないインクを用いた場合には、図4及び5に示すように、液媒体4は記録媒体に浸透(図4)又は蒸発(図5)するが、高分子分散樹脂6は浸透等せず、金属微粒子5の表面に付着した状態で記録媒体2の表面上に残ってしまう。このため、金属微粒子5同士が結着できず、金属膜が形成されない。
【0022】
また、本発明の記録用インクは、JIS−Z8741で規定される75度鏡面光沢度が60%以上、好ましくは70%以上の記録媒体に付与される。図6に示すように、75度鏡面光沢度が60%未満の記録媒体12に記録用インクが付与されると、液媒体4や高分子分散樹脂6は記録媒体に浸透等するので、金属微粒子5のみが記録媒体12の表面上に残る。しかしながら、記録媒体12の表面上に残った金属微粒子5が溶融しても、記録媒体12の75度鏡面光沢度が低い(すなわち表面平滑度が低い)と、隣接する金属微粒子5同士が離れてしまい、結着することができないために金属膜が形成されない。
【0023】
また、高分子分散樹脂6と液媒体4に含まれる界面活性剤との相溶性が高いと、図3に示すように、金属微粒子分散体から脱離した高分子分散樹脂6が、液媒体4及び界面活性剤ともに記録媒体2内に浸透しやすくなる。このため、記録媒体2の表面上に金属微粒子5のみがより残りやすくなる。なお、記録媒体に対する水溶性有機溶剤の浸透性が低い場合には、液媒体は記録媒体中に浸透しにくくなり、大気中へと蒸発しやすくなる。この場合、高分子分散樹脂が金属微粒子の表面上に残存しやすくなるので、隣接する金属微粒子同士が結着しにくくなる場合もある。
【0024】
さらに、本発明の記録用インクは、インクジェットヘッドに対するマッチングを良好にする面から、25℃における粘度が15mPa・s以下であることが好ましく、10mPa・s以下であることがさらに好ましい。また、記録用インクのpHは4〜11であることが好ましい。
【0025】
(金属微粒子)
金属微粒子は、色材として機能する成分である。金属微粒子を構成する金属の種類は特に限定されない。金属の具体例としては、貴金属、銅、アルミニウム、ニッケル、鉄、亜鉛等を挙げることができる。これらの金属のなかでも、貴金属が好ましい。貴金属からなる金属微粒子は、卑金属からなる金属微粒子に比して表面に酸化皮膜が形成されにくい。このため、貴金属からなる金属微粒子同士は、低温で溶融して結着しやすい。このため、常温処理することで、金属光沢を有するとともに、電気伝導性及び耐擦過性に優れた配線や電気回路等を記録することができる。なお、貴金属の具体例としては、金、銀、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金等を挙げることができる。
【0026】
金属微粒子は、粉砕等で微粒子化したものでもよい。ただし、金属微粒子の粒径及び分散安定性を考慮すると、金属のコロイド溶液であることが好ましい。金属のコロイド溶液は、種々の方法で調製することができる。なお、インク中におけるコロイド溶液の分散安定性を考慮すると、(i)高分子分散樹脂を含有する溶剤に金属化合物を溶解させて得られた溶液中において、又は(ii)金属化合物を溶剤に溶解した後に高分子分散樹脂を添加して得られた溶液中において、金属化合物を金属に還元して調製された金属のコロイド溶液であることが好ましい。なお、金属化合物の具体例としては、塩化金酸、硝酸銀、酢酸銀、過塩素酸銀、塩化白金酸、塩化白金酸カリウム、塩化銅(II)、酢酸銅(II)、硫酸銅(II)等を挙げることができる。
【0027】
(高分子分散樹脂)
高分子分散樹脂は、金属微粒子を記録インク中に分散させるために用いられる、分散剤として機能する成分である。なお、金属微粒子と高分子分散樹脂は、通常、金属微粒子分散体を構成する。高分子分散樹脂は、金属微粒子に対する親和性の高い官能基が導入されている両親媒性の共重合体であることが好ましい。このような高分子分散樹脂は、従来の塗料用の樹脂組成物等に対して十分な相溶性を有する。このため、有機顔料や無機顔料の分散樹脂として好適なものである。このため、通常は顔料分散樹脂として使用される成分であるが、金属微粒子を分散させるための分散樹脂としても有効である。
【0028】
高分子分散樹脂の種類は特に限定されないが、以下に示す(1)〜(3)を好適に使用することができる。
(1)顔料親和性基を主鎖及び複数の側鎖の少なくとも一方に有するとともに、溶剤和部分を構成する複数の側鎖を有する櫛形構造の高分子
(2)主鎖中に顔料親和性基からなる複数の顔料親和部分を有する高分子
(3)主鎖の片末端に顔料親和性基からなる顔料親和部分を有する直鎖状の高分子
【0029】
「顔料親和性基」とは、顔料の表面に対して強い吸着力を有する官能基をいう。顔料親和性基の具体例としては、オルガノゾルにおいては、第3級アミノ基、第4級アンモニウム、塩基性窒素原子を有する複素環基、ヒドロキシル基、カルボキシル基;ヒドロゾルにおいては、フェニル基、ラウリル基、ステアリル基、ドデシル基、オレイル基等を挙げることができる。これらの顔料親和性基は、金属に対しても強い親和力を示す。このため、顔料親和性基を有する高分子分散樹脂は、金属の保護コロイドとして十分な性能を発揮する。
【0030】
高分子(1)は、顔料親和性基を有する複数の側鎖と、溶剤和部分を構成する複数の側鎖とが、主鎖に結合しているものであることが好ましい。これらの側鎖は、あたかも「櫛の歯」のように主鎖に結合しているので、本明細書においてはこのような高分子を櫛形構造と称する。顔料親和性基は、側鎖末端に限らず、側鎖の途中や主鎖中に複数存在していてもよい。なお、溶剤和部分は、溶剤に親和性を有する部分であって、親水性又は疎水性の部分である。この溶剤和部分は、例えば、水溶性の重合鎖、親油性の重合鎖等から構成されている。
【0031】
高分子(1)としては、例えば、特開平5−177123号公報に開示されている、1個以上のポリ(カルボニル−炭素数3〜6のアルキレンオキシ)鎖を有するとともに、これらの鎖が3〜80個のカルボニル−炭素数3〜6のアルキレンオキシ基をそれぞれ有し、かつアミド又は塩架橋基によってポリ(エチレンイミン)に結合されている構造のポリ(エチレンイミン)又はその酸塩;特開昭54−37082号公報に開示されている、ポリ(低級アルキレン)イミンと遊離のカルボン酸基を有するポリエステルとの反応生成物であって、ポリ(低級アルキレン)イミン連鎖に少なくとも2つのポリエステル連鎖がそれぞれ結合したもの;特公平7−24746号公報に開示されている、末端にエポキシ基を有する高分子量のエポキシ化合物に、アミン化合物と数平均分子量300〜7,000のカルボキシル基含有プレポリマーとを同時に又は任意の順序で反応させて得られる顔料分散樹脂等を挙げることができる。
【0032】
高分子(1)は、顔料親和性基が1分子中に2〜3,000個存在するものが好ましい。顔料親和性基の数が2個未満であると、金属微粒子の分散安定性が不十分になる場合がある。一方、顔料親和性基の数が3,000個を超えると、粘度が高くなって取り扱いが困難になる場合があるとともに、金属のコロイド溶液の粒度分布が広くなるので、彩度が低下する場合がある。なお、高分子(1)の1分子中の顔料親和性基の数は、25〜1,500個であることがさらに好ましい。
【0033】
高分子(1)は、溶剤和部分を構成する側鎖が1分子中に2〜1,000個存在するものが好ましい。溶剤和部分を構成する側鎖の数が2個未満であると、金属微粒子の分散安定性が不十分になる場合がある。一方、溶剤和部分を構成する側鎖の数が1,000個を超えると、粘度が高くなって取り扱いが困難になる場合があるとともに、金属のコロイド溶液の粒度分布が広くなる場合がある。
【0034】
高分子(1)の数平均分子量は、2,000〜1,000,000であることが好ましく、4,000〜500,000であることがさらに好ましい。高分子(1)の数平均分子量が2,000未満であると、金属微粒子の分散安定性が不十分になる場合がある。一方、高分子(1)の数平均分子量が1,000,000を超えると、粘度が高くなって取り扱いが困難になる場合があるとともに、金属のコロイド溶液の粒度分布が広くなる場合がある。
【0035】
高分子(2)は、複数の顔料親和性基が主鎖に沿って配置されている(主鎖にペンダントしている)ものであることが好ましい。本明細書における「顔料親和部分」とは、1つ以上の顔料親和性基が存在し、顔料表面に吸着するアンカーとして機能する部分をいう。
【0036】
高分子(2)としては、例えば、特開平4−210220号公報に開示されている、ポリイソシアネートと、モノヒドロキシ化合物及びモノヒドロキシモノカルボン酸又はモノアミノモノカルボン酸化合物の混合物と、少なくとも1つの塩基性環窒素及びイソシアネート反応性基を有する化合物との反応物;特開昭60−16631号公報、特開平2−612号公報、及び特開昭63−241018号公報に開示されている、ポリウレタン/ポリウレアよりなる主鎖に複数の第3級アミノ基又は塩基性環式窒素原子を有する基がペンダントした高分子;特開平1−279919号公報に開示されている、水溶性ポリ(オキシアルキレン)鎖を有する立体安定化単位、構造単位、及びアミノ基含有単位からなる共重合体であって、アミノ基含有単量単位が第3級アミノ基若しくはその酸付加塩の基、又は第4級アンモニウム基を含有しており、該共重合体1g当たり0.025〜0.5ミリ当量のアミノ基を含有する共重合体等を挙げることができる。
【0037】
また、特開平6−100642号公報に開示されている、付加重合体からなる主鎖と、少なくとも1個の炭素数1〜4のアルコキシポリエチレン又はポリエチレン−コプロピレングリコール(メタ)アクリレートからなる安定化剤単位とからなり、かつ、2,500〜20,000の重量平均分子量を有する両親媒性共重合体であって、主鎖は、30重量%までの非官能性構造単位と、合計で70重量%までの安定化剤単位及び官能性単位を含有しており、上記官能性単位は、置換されているか又は置換されていないスチレン含有単位、ヒドロキシル基含有単位及びカルボキシル基含有単位であり、ヒドロキシル基とカルボキシル基、ヒドロキシル基とスチレン基及びヒドロキシル基とプロピレンオキシ基又はエチレンオキシ基との比率が、それぞれ、1:0.10〜26.1;1:0.28〜25.0;1:0.80〜66.1である両親媒性高分子等を挙げることができる。
【0038】
高分子(2)は、顔料親和性基が1分子中に2〜3,000個存在するものが好ましい。顔料親和性基の数が2個未満であると、金属微粒子の分散安定性が不十分になる場合がある。一方、顔料親和性基の数が3,000個を超えると、粘度が高くなって取り扱いが困難になる場合があるとともに、金属のコロイド溶液の粒度分布が広くなる場合がある。なお、高分子(2)の1分子中の顔料親和性基の数は、25〜1,500個であることがさらに好ましい。
【0039】
高分子(2)の数平均分子量は、2,000〜1,000,000であることが好ましく、4,000〜500,000であることがさらに好ましい。高分子(2)の数平均分子量が2,000未満であると、金属微粒子の分散安定性が不十分になる場合がある。一方、高分子(2)の数平均分子量が1,000,000を超えると、粘度が高くなって取り扱いが困難になる場合があるとともに、金属のコロイド溶液の粒度分布が広くなる場合がある。
【0040】
高分子(3)は、例えば、主鎖の片末端のみに1以上の顔料親和性基からなる顔料親和部分を有する直鎖状の高分子であり、顔料表面に対して十分な親和性を有するものである。高分子(3)としては、例えば、特開昭46−7294号公報に開示されている、一方が塩基性であるA−Bブロック型高分子;米国特許第4,656,226号明細書に開示されている、Aブロックに芳香族カルボン酸を導入したA−Bブロック型高分子;米国特許第4,032,698号明細書に開示されている、片末端が塩基性官能基であるA−Bブロック型高分子;米国特許第4,070,388号明細書に開示されている、片末端が酸性官能基であるA−Bブロック型高分子;特開平1−204914号公報に開示されている、米国特許第4,656,226号明細書に記載のAブロックに芳香族カルボン酸を導入したA−Bブロック型高分子の耐候黄変性を改良したもの等を挙げることができる。
【0041】
高分子(3)は、顔料親和性基が1分子中に2〜3,000個存在するものが好ましい。顔料親和性基の数が2個未満であると、金属微粒子の分散安定性が不十分になる場合がある。一方、顔料親和性基の数が3,000個を超えると、粘度が高くなって取り扱いが困難になる場合があるとともに、金属のコロイド溶液の粒度分布が広くなる場合がある。なお、高分子(3)の1分子中の顔料親和性基の数は、5〜1,500個であることがさらに好ましい。
【0042】
高分子(3)の数平均分子量は、1,000〜1,000,000であることが好ましく、2,000〜500,000であることがさらに好ましい。高分子(3)の数平均分子量が1,000未満であると、金属微粒子の分散安定性が不十分になる場合がある。一方、高分子(3)の数平均分子量が1,000,000を超えると、粘度が高くなって取り扱いが困難になる場合があるとともに、金属のコロイド溶液の粒度分布が広くなる場合がある。
【0043】
高分子分散樹脂としては、市販品を使用することもできる。高分子分散剤の市販品の具体例としては、以下商品名で、ソルスパース20000、ソルスパース24000、ソルスパース26000、ソルスパース27000、ソルスパース28000(ゼネカ社製);ディスパービック160、ディスパービック161、ディスパービック162、ディスパービック163、ディスパービック166、ディスパービック170、ディスパービック180、ディスパービック182、ディスパービック184、ディスパービック190(ビックケミー社製);EFKA−46、EFKA−47、EFKA−48、EFKA−49(EFKAケミカル社製);ポリマー100、ポリマー120、ポリマー150、ポリマー400、ポリマー401、ポリマー402、ポリマー403、ポリマー450、ポリマー451、ポリマー452、ポリマー453(EFKAケミカル社製);アジスパーPB711、アジスパーPA111、アジスパーPB811、アジスパーPW911(味の素社製);フローレンDOPA−158、フローレンDOPA−22、フローレンDOPA−17、フローレンTG−730W、フローレンG−700、フローレンTG−720W(共栄社化学社製)等を挙げることができる。
【0044】
上記の高分子分散樹脂は、顔料親和性基が側鎖に存在し、溶剤和部分を構成する側鎖を有するグラフト構造のもの(高分子(1));主鎖に顔料親和性基を有するもの(高分子(2)及び高分子(3))であるので、金属のコロイド溶液の分散性が良好である。また、金属のコロイド溶液に対する保護コロイドとして好適である。上記の高分子分散樹脂を使用することにより、金属のコロイド溶液を高い濃度で含有するコロイド粒子分散体を得ることができる。
【0045】
記録用インク中の高分子分散樹脂の含有量は、金属微粒子100質量部に対して50〜1,000質量部であることが好ましく、100〜650質量部であることがさらに好ましい。高分子分散樹脂の含有量が50質量部未満であると、金属のコロイド溶液の分散性が不十分になる場合がある。一方、高分子分散樹脂の含有量が1,000質量部を超えると、得られる記録用インクの物性等に不具合が生じ易くなる傾向にある。
【0046】
(水溶性有機溶剤)
本発明の記録用インクには、水溶性有機溶剤が含有される。なお、この水溶性有機溶剤は、通常、水と水溶性有機溶剤との混合溶剤として含有される。水溶性有機溶剤としては、記録用インクの乾燥防止効果を有する多価アルコール等が好ましい。また、水としては、種々のイオンを含有する一般の水でなく、脱イオン水を使用するのが好ましい。
【0047】
水溶性有機溶剤は、金属微粒子分散体を構成する高分子分散樹脂と相溶性を有することが好ましい。「相溶性を有する」とは、好ましくは水溶性溶剤の溶解度パラメーター(SP値)と、高分子分散樹脂の溶解度パラメーター(SP値)との差が5以下であることをいい、さらに好ましくは3以下であることをいう。なお、溶解度パラメーター(SP値)は、Fedors法によって求めた値である。高分子分散樹脂の溶解度パラメーター(SP値)の求め方には数種の方法がある。ただし、本発明においては、溶剤ハンドブック第5刷(浅原他編、1984年講談社発行、92〜93頁)に記載されている、下記のSmallの式及び定数を用いて計算する。
SP=dΣG/M
(M:ポリマーの単位分子量、d:密度、G:原子団又は基に固有の定数)
【0048】
高分子分散樹脂と相溶性を有する水溶性有機溶剤の具体例としては、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール等のアルキレン基が2〜6個の炭素原子を含むアルキレングリコール類;グリセリン;エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類;N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、トリエタノールアミン、スルホラン、ジメチルサルフォキサイド、2−ピロリドン、ε−カプロラクタム等の環状アミド化合物;及びスクシンイミド等のイミド化合物等を挙げることができる。
【0049】
記録用インク中の水溶性有機溶剤の含有量は、一般的には記録用インクの全質量の5〜70質量%であり、好ましくは10〜60質量%、さらに好ましくは10〜40質量%である。
【0050】
(界面活性剤)
本発明の記録用インクには、記録用インクの表面張力を調整するための成分である界面活性剤が含有される。界面活性剤の好適例としては、高級アルコールのエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールのエチレンオキサイド付加物、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体、及びアセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物等を挙げることができる。これらの界面活性剤は、一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0051】
記録用インク中の界面活性剤の含有量は1.0質量%以上であり、好ましくは1.0〜3.0質量%である。界面活性剤の含有量を1.0質量%以上とすることで、金属光沢を有するとともに、電気伝導性及び耐擦過性に優れた配線や電気回路等を記録することができる。
【0052】
(その他の成分)
本発明の記録用インクには、上述の各成分以外の成分(その他成分)を、本発明の目的の達成を妨げない範囲において必要に応じて含有させることができる。その他の成分としては、前述の高分子分散樹脂以外のその他の分散樹脂、前述の界面活性剤以外のその他の界面活性剤、粘度調整剤、pH調整剤、表面張力調整剤、蛍光増白剤、防カビ剤等を挙げることができる。その他の界面活性剤としては、カチオン系、アニオン系、又はノニオン系の各種界面活性剤等を挙げることができる。粘度調整剤としては、ポリビニルアルコール、セルロース類、水溶性樹脂等を挙げることができる。pH調整剤としては、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、緩衝液等を挙げることができる。
【0053】
(金属のコロイド溶液の調製方法)
前述の金属のコロイド溶液は、溶剤が水の場合にはヒドロゾルである。金属のコロイド溶液の濃度は、ヒドロゾルの場合には50mM以上とすることができる。一方、オルガノゾルの場合には10mM以上とすることができる。金属のコロイド溶液は、例えば、金属化合物を溶剤に溶解した後に高分子分散樹脂を添加して得られた溶液中において、金属化合物(金属イオン)を金属に還元して調製することができる。
【0054】
金属化合物を溶解させる溶剤は、金属化合物を溶解可能なものであれば特に限定されない。このような溶剤の具体例としては、水;アセトン、メタノール、エチレングリコール、酢酸エチル等の有機溶剤等を挙げることができる。これらの溶剤は、一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。なお、水と有機溶剤とを混合して使用する場合には、有機溶剤は水可溶性のものが好ましい。
【0055】
溶剤が水である場合、得られるコロイド溶液はヒドロゾルとなる。その際、好ましくは50mM以上、さらに好ましくは100mM以上の濃度となるように金属化合物を水で溶解する。金属化合物の濃度が50mM未満であると、高濃度のコロイド溶液を得ることが困難になる場合がある。
【0056】
金属化合物として銀化合物を用いる場合、銀化合物水溶液のpHを7以下とすることが好ましい。銀化合物水溶液のpHが7を超えると、例えば硝酸銀を用いた場合に、銀イオンの還元時に酸化銀等の副生成物が生成して白濁する場合がある。なお、銀化合物水溶液のpHを7以下に調整するには、例えば、0.1N程度の硝酸等を添加することが好ましい。
【0057】
溶剤が有機溶剤である場合、得られるコロイド溶液はオルガノゾルとなる。その際、好ましくは10mM以上、さらに好ましくは50mM以上の濃度となるように金属化合物を有機溶剤に溶解する。金属化合物の濃度が10mM未満であると、高濃度のコロイド溶液を得ることが困難な場合がある。
【0058】
溶剤が、水と水可溶性有機溶剤を含有する混合溶剤である場合、金属化合物を水に溶解させた後、水可溶性有機溶剤に溶解させた高分子分散樹脂を添加して金属化合物の溶液とすることが好ましい。これにより、より高濃度のオルガノゾルを調製することができる。なお、金属化合物は、好ましくは50mM以上、さらに好ましくは100mM以上となるように水に溶解させる。50mM未満であると、高濃度のコロイド溶液を得ることが困難な場合がある。
【0059】
金属イオンの還元方法は特に限定されない。還元方法の具体例としては、還元性を有する化合物を添加して化学的に還元する方法や、高圧水銀灯を用いて光照射する方法等を挙げることができる。
【0060】
還元性を有する化合物の具体例としては、還元剤として一般的に用いられる水素化ホウ素ナトリウム等のアルカリ金属水素化ホウ素塩;ヒドラジン化合物;クエン酸又はその塩、コハク酸又はその塩等を挙げることができる。また、上記の還元剤以外にも、アミンを使用することができる。
【0061】
アミンは、上記の還元剤に比して取り扱いが容易であるために好ましい。また、加熱や特別な光照射装置を使用することなしに、通常5〜100℃程度、好ましくは20〜80℃程度の反応温度で金属イオンを還元することができる。
【0062】
アミンの具体例としては、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジメチルエチルアミン、ジエチルメチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ジアミノプロパン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等の脂肪族アミン;ピペリジン、N−メチルピペリジン、ピペラジン、N,N’−ジメチルピペラジン、ピロリジン、N−メチルピロリジン、モルホリン等の脂環式アミン;アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、トルイジン、アニシジン、フェネチジン等の芳香族アミン;ベンジルアミン、N−メチルベンジルアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、フェネチルアミン、キシリレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルキシリレンジアミン等のアラルキルアミン等を挙げることができる。さらにメチルアミノエタノール、ジメチルアミノエタノール、トリエタノールアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、プロパノールアミン、2−(3−アミノプロピルアミノ)エタノール、ブタノールアミン、ヘキサノールアミン、ジメチルアミノプロパノール等のアルカノールアミンを挙げることができる。これらのうち、アルカノールアミンが好ましい。
【0063】
アミンの使用量は、金属化合物1molに対して1〜50molとすることが好ましく、2〜8molとすることがさらに好ましい。1mol未満であると、金属イオンの還元が不十分になる場合がある。一方、50molを超えると、生成したコロイド粒子の対凝集安定性が低下する場合がある。
【0064】
還元剤として水素化ホウ素ナトリウムを用いれば、金属イオンを常温で還元することができる。このため、加熱や特別な光照射装置を用意する必要がないために好ましい。水素化ホウ素ナトリウムの使用量は、金属化合物1molに対して1〜50molとすることが好ましく、1.5〜10molとすることがさらに好ましい。1mol未満であると、金属イオンの還元が不十分になる場合がある。一方、50molを超えると、生成したコロイド粒子の対凝集安定性が低下する場合がある。
【0065】
還元剤としてクエン酸又はその塩を用いれば、アルコール存在下で加熱還流することによって、貴金属イオンや銅イオン等を還元することができる。また、クエン酸又はその塩は、非常に安価であり、入手が容易であるといった利点もある。なお、クエン酸又はその塩としては、クエン酸ナトリウムを用いることが好ましい。クエン酸又はその塩の使用量は、金属化合物1molに対して1〜50molとすることが好ましく、1.5〜10molとすることがさらに好ましい。1mol未満であると、金属イオンの還元が不十分になる場合がある。一方、50molを超えると、生成したコロイド粒子の対凝集安定性が低下する場合がある。
【0066】
上記の方法により調製される金属のコロイド溶液に含まれる金属コロイド粒子の数平均粒子径は、通常5〜30nm程度であり、粒度分布が狭い。
【0067】
(インクジェット記録方法及び記録物)
本発明のインクジェット記録方法は、JIS−Z8741で規定される75度鏡面光沢度が60%以上である記録媒体にインクジェットヘッドによりインクを付与して画像を記録するインクジェット記録方法である。そして、前述の本発明の記録用インクを用いることを特徴とする。また、本発明の記録物は、前述の本発明の記録用インクを用いて得られたものである。記録媒体にインクを付与するには、通常、インクジェットヘッドを備えたインクジェット装置を使用する。インクジェット装置は、サーマル方式とピエゾ方式のいずれであってもよい。ただし、サーマル方式のインクジェット装置は、溶剤の突沸現象を利用して記録用インクを噴射する方式であるので、油性インクよりも水性インクを吐出するのに適している。
【0068】
本発明においては、例えば、ライン状に吐出ヘッドを並べ、コンピューターに入力された図形情報に基づきそれぞれの吐出ヘッドを作動させることが好ましい。これにより、吐出ヘッドを一次元に走査するだけで必要な箇所のみに記録用インクのインク滴(ナノ粒子)が塗布することができ、短時間で無駄なく印字することができる。なお、インクジェット方式により吐出された記録用インクで形成された塗膜の厚みは、金属微粒子の濃度、形成しようとする配線パターンの用途等により適宜設定すればよいが、好ましくは0.1〜1000μm、さらに好ましくは1〜500μmである。
【0069】
インクジェット方式の場合は、吐出するインク滴の大きさを調節することにより、パターン幅やピッチを10μm程度まで細線化することができる。したがって、回路パターンやディスプレイの画素の形成にも十分対応することができる。また、インクジェットプリンタとパソコン等のコンピューターを接続することにより、コンピューターに入力された図形情報により、基板上に配線パターンを形成することができる。
【0070】
記録媒体は、記録用インクに含有される水溶性有機溶剤が浸透されうるものである。このような記録媒体を構成する材料としては、紙、プラスチックフィルム、ガラス、セラミックス等を挙げることができる。なお、記録媒体中への記録用インクの浸透速度が遅いと、浸透よりも蒸散が優先的におこりやすくなる。このため、形成される画像の電気伝導性や金属光沢等の特性が発現しにくくなる傾向にある。
【0071】
また、本発明において用いる記録媒体は、その75度鏡面光沢度が低い(すなわち表面平滑度が低い)と、金属微粒子同士が結着しにくくなり、電気伝導性や金属光沢に優れた配線や電気回路等の画像を形成することができなくなる。このため、本発明において用いる記録媒体は、JIS−Z8741で規定される75度鏡面光沢度が60%以上である。
【0072】
本発明においては、受容層及び導電性被膜を記録媒体(基材)上に塗布・乾燥して得られる導電性被膜複合体を、必要に応じて、基材を痛めず、その他の不具合も発生しないような条件でさらに加熱することもできる。加熱方法は特に限定されず、例えば、オーブン中で加熱する方法の他、誘電加熱法、高周波加熱法等を挙げることができる。
【実施例】
【0073】
次に、比較例と実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。以下、「部」及び「%」とあるのは、特に断りのない限り質量基準である。
【0074】
(インクA〜Fの調製)
特開平11−080647号公報に記載の方法に従って、銀微粒子分散体(銀コロイド)を調製した。具体的には、硝酸酸性の100mM硝酸銀水溶液100mLをビーカーに入れ、高分子分散樹脂(商品名「ディスパービック180」、ビックケミー社製)5gを加えた。高分子量顔料分散樹脂を完全に溶解させた後、トリエタノールアミン5mLをさらに加えて銀微粒子分散体(銀コロイド)を得た。それぞれの成分を表1に示す配合比で十分混合して溶解させた後、ポアサイズ2μmのフィルターで加圧濾過してインクA〜Fを調製した。
【0075】
表1における「アセチレノールEH」は、川研ファインケミカル社製の界面活性剤の商品名である。また、「サーフロンS203」は、AGCセイミケミカル社製の界面活性剤の商品名である。また、表1には、高分子分散樹脂、界面活性剤、及び水のSP値((cal/cm31/2)を示した。なお、これらのSP値のうち、Polymer HandBook(Second Edition)第IV章 Solubility Parameter Valuesに記載があるものについては、その値を示した。一方、この文献に記載がSP値については、溶剤ハンドブック第5刷(浅原他編、1984年講談社発行 92〜93頁)に記載されている、下記のSmallの式及び定数を用いて計算した値を示した。また、各種のインク物性の測定方法を以下に示す。
SP=dΣG/M
(M:ポリマーの単位分子量、d:密度、G:原子団又は基に固有の定数)
【0076】
(インク物性の測定方法)
(1)粘度
東京計器社製の商品名「R80型粘度計」を使用し、インクの粘度(mPa・s)を測定した。
【0077】
(2)表面張力
協和科学社製の商品名「キヨーワCBVPサーフィステンシオメーター(SURFACE TENSIOMETER)A−1」)を使用し、インクの表面張力(mN/m)を測定した。
【0078】
(3)pH
堀場製作所社製のpHメータ(商品名「D−55」)を使用してインクのpHを測定した。
【0079】
(4)粒径
大塚電子社製の商品名「FPAR−1000」を使用するとともに、濃厚系プローブを用いて、インクに含まれる金属コロイド粒子の数平均粒子径(nm)を測定した。
【0080】

【0081】
(実施例1〜4、比較例1〜7)
発熱素子をインクの吐出エネルギー源として利用したインクジェットプリンタ(商品名「P−100M」、キヤノン社製)を使用し、調製したインクA〜Eを用いて5cm×5cmの100%dutyでベタ画像を記録媒体に印刷し、印刷物を得た。インクと記録媒体の組み合わせ、及び得られた印刷物の評価結果を表2−1及び2−2に示す。また、用いた記録媒体、及び印刷物の評価方法を以下に示す。なお、実施例1で得た印刷物に形成された印字部(配線パターン)は、回路として駆動可能であることを確認した。
【0082】
(記録媒体の種類)
・記録媒体A:キヤノン社製、商品名「キヤノン写真用紙・光沢ゴールド」
・記録媒体B:キヤノン社製、商品名「キヤノン写真用紙・光沢 プロフェッショナル」
・記録媒体C:王子製紙社製、商品名「ミラーコートゴールド」
・記録媒体D:キヤノン社製、「キヤノンマットフォトペーパー」
【0083】
(印刷物の評価方法)
(1)ベタ画像の色味
目視にて確認した。
【0084】
(2)耐擦過性
JIS−K7204に規定されている耐擦過性試験法に準拠して50回擦過し、以下に示す基準に従って評価した。
○:印字部に剥がれ等がない。
△:印字部に若干の剥がれがある。
×:印字部が剥がれてしまい、印字部がわからなくなった。
【0085】
(3)体積抵抗率
商品名「ダブルブリッジ2769」(横河M&C社製)を使用し、印刷物に形成された印字部の電気抵抗を測定し、下記式より印字部の体積抵抗率(Ω・cm)を算出した。
ρv=Rwt/L
ρv:体積抵抗率(Ω・cm)
R:測定端子間の被膜の電気抵抗(Ω)
w:測定端子間の被膜の幅(cm)
t:測定端子間の被膜の厚さ(cm)
L:測定端子間の被膜の長さ(cm)
【0086】

【0087】

【符号の説明】
【0088】
1:インク滴
2,12:記録媒体
3:金属微粒子分散体
4:液媒体
5:金属微粒子
6:高分子分散樹脂
10:金属膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
JIS−Z8741で規定される75度鏡面光沢度が60%以上である記録媒体に付与して画像を記録するために用いられる記録用インクであって、
金属微粒子、前記金属微粒子を分散するための高分子分散樹脂、水溶性有機溶剤、及び界面活性剤を含有し、
前記界面活性剤の含有量が1.0質量%以上であり、表面張力が35.0mN/m以下であり、前記記録媒体とのブリストウ法における浸透係数が20mL/(m2・s1/2)以上であることを特徴とする記録用インク。
【請求項2】
前記界面活性剤のFedors法における溶解度パラメータと、前記高分子分散樹脂のFedors法における溶解度パラメータとの差が3以下である請求項1に記載の記録用インク。
【請求項3】
前記界面活性剤が、高級アルコールのエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールのエチレンオキサイド付加物、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体、及びアセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物からなる群より選択される少なくとも一種である請求項1又は2に記載の記録用インク。
【請求項4】
前記金属微粒子が、金、銀、及び銅からなる群より選択される少なくとも一種の金属からなる請求項1〜3のいずれか一項に記載の記録用インク。
【請求項5】
JIS−Z8741で規定される75度鏡面光沢度が60%以上である記録媒体にインクジェットヘッドによりインクを付与して画像を記録するインクジェット記録方法であって、
前記インクとして、請求項1〜4のいずれか一項に記載の記録用インクを用いることを特徴とするインクジェット記録方法。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の記録用インクを用いて得られたことを特徴とする記録物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−67703(P2013−67703A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−206121(P2011−206121)
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【出願人】(000208743)キヤノンファインテック株式会社 (1,218)
【Fターム(参考)】