説明

記録装置、及び、記録装置の制御方法

【課題】サーマルヘッドとプラテンとが直接接触することによる不具合を防止できる記録装置、及び、記録装置の制御方法を提供する。
【解決手段】ロール紙20に熱を与えて発色させることにより記録を行うサーマルヘッド35と、ロール紙20を収容するロール紙収容部17を有するプリンター本体11と、プリンター本体11に形成されたロール紙収容部17に繋がる開口に、開閉可能に設けられたカバーと、カバーを開くカバー自動開機構と、このカバー自動開機構によりカバーを開く制御手段と、サーマルヘッド35の記録位置においてロール紙20を検出する記録媒体検出手段と、を備え、制御手段は、記録媒体検出手段によりロール紙20が検出されない場合にカバー自動開機構によってカバーを開く。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体に記録する記録装置、及び、記録装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ロール紙等の記録媒体に記録を行う記録装置において、サーマルヘッドとローラー形状のプラテンとの間に記録媒体を挟んで搬送し、記録を行うものが知られている。(例えば、特許文献1参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−179009号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1記載の記録装置のようにサーマルヘッドとプラテンとの間に記録媒体を挟んで記録する構成では、記録媒体がなくなり、補充がなされず、サーマルヘッドとプラテンとが直接接触することは、好ましくない。特に、サーマルヘッドが高温である間の接触や、サーマルヘッドとプラテンとが長期にわたり直接接触することは、プラテンの一時的な変形、劣化の促進等が懸念される。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、サーマルヘッドとプラテンとが直接接触することによる不具合を防止できる記録装置、及び、記録装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、記録媒体に熱を与えて発色させることにより記録を行うサーマルヘッドと、前記記録媒体を収容する記録媒体収容部を有する本体と、前記本体に形成された前記記録媒体収容部に繋がる開口に、開閉可能に設けられたカバーと、前記カバーを開くカバー自動開機構と、前記カバー自動開機構により前記カバーを開く制御手段と、前記サーマルヘッドの記録位置において前記記録媒体を検出する記録媒体検出手段と、を備え、前記制御手段は、前記記録媒体検出手段により前記記録媒体が検出されない場合に前記カバー自動開機構により前記カバーを開くことを特徴とする。
本発明によれば、サーマルヘッドの位置において記録媒体が検出されない場合にカバーが開き、記録媒体が無いことを報知するので、サーマルヘッドとプラテンとの間に記録媒体が存在しない状態で放置されなくなる。これにより、サーマルヘッドがプラテンに直接接触することによる不具合を防止できる。また、サーマルヘッドの位置で記録媒体を検出するため、カバーを開く必要が生じてからカバーを開くので、報知の効果を維持できる。
【0006】
また、本発明は、上記記録装置において、前記サーマルヘッドに対向して、前記サーマルヘッドとの間で前記記録媒体を挟んで搬送するプラテンが設けられ、前記サーマルヘッド及び前記プラテンは、一方が前記カバーに取り付けられ、他方が前記本体側に取り付けられ、前記カバーが開かれることで互いに離隔することを特徴とする。
本発明によれば、カバーが開くことによりサーマルヘッドとプラテンとが離隔するので、サーマルヘッドとプラテンとが直接接触する状態を速やかに解消できる。
【0007】
また、本発明は、上記記録装置において、前記サーマルヘッドは一列又は複数列をなして配列された発熱素子を備え、前記記録媒体検出手段は、前記記録媒体の搬送路上で前記サーマルヘッドのいずれかの列の発熱素子と同位置に配置されたセンサーであることを特徴とする。
本発明によれば、サーマルヘッドの発熱素子と同位置において記録媒体を検出するので、記録媒体の不足等によりサーマルヘッドの発熱素子とプラテンとが接触することを確実に検知できる。
【0008】
また、本発明は、上記記録装置において、前記記録媒体検出手段は、前記記録媒体の搬送路において前記サーマルヘッドよりも上流側に配置されたセンサーで構成され、前記制御手段は、前記センサーにより前記記録媒体が検出されなくなった場合に、前記サーマルヘッドと前記プラテンとに挟まれる前記記録媒体が無くなるタイミングを予測し、この予測値に基づいて前記カバー自動開機構により前記カバーを開くことを特徴とする。
本発明によれば、サーマルヘッドよりも上流側に配置されたセンサーが記録媒体の不足を検出したことに基づいて、サーマルヘッドとプラテンとが直接接触するタイミングを予測できる。これにより、サーマルヘッドとプラテンとの直接の接触を回避できる。
【0009】
また、上記目的を達成するために、本発明は、記録媒体に熱を与えて発色させることにより記録を行うサーマルヘッドと、前記記録媒体を収容する記録媒体収容部を有する本体と、前記本体に形成された前記記録媒体収容部に繋がる開口に、開閉可能に設けられたカバーと、前記カバーを開くカバー自動開機構と、前記サーマルヘッドの記録位置において前記記録媒体を検出する記録媒体検出手段とを備えた記録装置を制御し、前記記録媒体検出手段により前記記録媒体が検出されない場合に前記カバー自動開機構により前記カバーを開くことを特徴とする。
本発明の制御方法を実行することにより、サーマルヘッドの位置において記録媒体が検出されない場合にカバーが開き、記録媒体が無いことを報知できるのでサーマルヘッドとプラテンとの間に記録媒体が存在しない状態で放置されなくなる。これにより、サーマルヘッドがプラテンに直接接触することによる不具合を防止できる。また、サーマルヘッドの位置で記録媒体を検出するため、カバーを開く必要が生じてからカバーを開くので、報知の効果を維持できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、サーマルヘッドとプラテンとの間に記録媒体が存在しないまま放置される状態を回避し、サーマルヘッドがプラテンに直接接触することによる不具合を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係るプリンターの外観斜視図である。
【図2】プリンター本体の断面視図である。
【図3】プリンター本体の要部斜視図である。
【図4】プリンターの駆動輪列の構成を示す図である。
【図5】ヘッド位置センサーの配置状態を示す図である。
【図6】駆動輪列の上面図である。
【図7】プリンターの制御系の構成を示すブロック図である。
【図8】プリンターの動作を示すフローチャートである。
【図9】プリンターの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1の実施形態]
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明を適用した実施形態に係るサーマルプリンターの外観図である。
記録装置としてのプリンター1は、長尺の感熱紙をロール状に巻回した感熱ロール紙(以下、ロール紙という)20(図2参照)を記録媒体とし、サーマルヘッド35(図2参照)により、文字(記号を含む)や画像(図形を含む)等を感熱記録(印刷)するダイレクトサーマルプリンターである。
【0013】
以下の説明では、図1中の左側をプリンター1の前(フロント)側、図中右側を後(リア)側とする。
図1に示すように、プリンター1は、上部ケース2、下部ケース3及びフロントカバー4により構成される外装を有し、この外装によって、プリンター本体11(図2参照)が覆われている。
上部ケース2には、上部ケース2の幅方向に延びる排出口5が形成され、この排出口5から印刷後のロール紙20が排出される。上部ケース2は、排出口5に連通する上部カバー6(カバー)を上面に有し、この上部カバー6は図1中矢印で示す方向に開閉可能に取り付けられている。また、上部ケース2の上部には、カバー開閉用の手動の操作部としてオープンボタン7が設けられている。オープンボタン7は上部カバー6を開く際に操作され、オープンボタン7が図中矢印で示す方向に押圧操作されると、図示しないリンクを介して上部カバー6に対して上向きに力が加わり、上部カバー6が開く構成となっている。
【0014】
図2は、プリンター本体11の構成を示す断面図である。また、図3は、プリンター本体11においてカバーフレーム13を開いた状態を示す要部斜視図である。
プリンター本体11は、上方が開口した略箱形状の本体フレーム12と、本体フレーム12の後端部にヒンジ14を介して開閉可能に設けられたカバーフレーム13とを備え、これらのフレームに各部が装着される。
本体フレーム12は、略円弧上に凹む凹状底壁15が配置された空間を有し、この空間は、ロール紙20が巻き回されたロール21を収容するロール紙収容部17(記録媒体収容部)となっている。ロール紙収容部17の上方は開口しており、この開口に跨ってカバーフレーム13が配置される。カバーフレーム13は、ロール紙収容部17の上部に位置する蓋部16を有し、この蓋部16はロール21の外形状に沿って湾曲していて、円柱状のロール紙収容部17を収容するのに適した形状としている。このカバーフレーム13の上に合成樹脂製の外装を装着することにより、上部カバー6(図1参照)が構成される。すなわち、カバーフレーム13は、上部カバー6の裏側に位置して上部カバー6と一体的に開閉する。
【0015】
ロール紙収容部17の前方にはロール紙引出部18の空間が確保され、このロール紙引出部18に、ロール紙収容部17に収容されたロール21からロール紙20が引き出される。さらにロール紙引出部18の前方には、ロール紙20を搬送するプラテン34と、ロール紙20に感熱記録を行うサーマルヘッド35とが対向配置され、ロール紙20はプラテン34とサーマルヘッド35との間を通って上方に搬送される。サーマルヘッド35の上方には排出口5が位置し、この排出口5から図2中に矢印で示すようにロール21が上向きに排出される。
排出口5にはオートカッター36が設けられている。オートカッター36は、排出口5を通過するロール紙20を挟んで対向する固定刃37と可動刃38とを有し、カッター駆動モーター132の駆動力によって可動刃38を固定刃37に向けて移動させることで、ロール紙20を切断する。安全のため固定刃37は固定刃カバー32により覆われ、可動刃38はカッター駆動モーター132とともに可動刃カバー33によって覆われている。
【0016】
このプリンター本体11において、カバーフレーム13は、図3に示すようにヒンジ14を中心として図中上方に回動可能に構成される。カバーフレーム13を回動させて開くことにより、プリンター1の外部からロール21をロール紙収容部17に装填、取り出し、或いは交換できる。
ローラー形状のプラテン34は、プリンター本体11の幅方向に延在してカバーフレーム13に支持されている。このため、カバーフレーム13を開くとプラテン34がカバーフレーム13と一体的に上方へ移動し、ロール21の装填/取出時にプラテン34が邪魔にならず、装填/取出作業を容易に行うことができる。
【0017】
サーマルヘッド35は、発熱素子を直線状に並べて幅方向に延びるラインサーマルヘッドであり、支軸35Aを介して本体フレーム12に回動自在に支持されている。このサーマルヘッド35の背面側には、本体フレーム12に固定された押圧板39が位置し、この押圧板39とサーマルヘッド35との間にはコイルばね31が介挿される。サーマルヘッド35はコイルばね31によってプラテン34側へ付勢され、ロール紙20に当接するように構成されている。なお、サーマルヘッド35のヘッド表面は、発熱素子の保護、発熱素子の熱を伝える伝熱性及び耐摩耗性を満足するためにガラス系部材で構成されている。また、サーマルヘッド35には、サーマルヘッド35の発熱素子への通電を制御するヘッドドライバー108(図7参照)等が実装された基板35Bが接続されている。
【0018】
プラテン34がカバーフレーム13により支持される一方、プラテン34に対向するサーマルヘッド35は本体フレーム12に取り付けられているので、図3に示すようにカバーフレーム13を開くと、プラテン34とサーマルヘッド35が互いに離間する。このため、カバーフレーム13を開いた状態でロール21をロール紙収容部17に投入し、ロール21からロール紙20を引き出してカバーフレーム13を閉じると、ロール21は自然とプラテン34とサーマルヘッド35との間に挟まれる。このため、ロール21を補充する際には、ロール紙収容部17に投入したロール紙20を引き出してカバーフレーム13を閉じるだけで、すぐに印刷可能な状態になる。
【0019】
ロール紙収容部17には、ロール21の残量を検出するための2つのセンサーが配置されている。1つは凹状底壁15の前部に配設されたニアエンドセンサー123である。ニアエンドセンサー123は、凹状底壁15に埋設されたスイッチ式のセンサーであり、ロール紙収容部17に収容されているロール21により押圧されてオフになり、ロール21がなくなるとオンに切り替わる。図2及び図3に示すように凹状底壁15は複数の段を有し、中央よりやや後方に最深部15Aが形成されている。印刷実行に伴ってロール21から随時ロール紙20が引き出され、ロール21の残量が減ると、ロール21の外径は徐々に縮小する。これに伴い、ロール21は凹状底壁15の上を最深部15Aに向かって、段階的に移動していく。図2に示すように、ロール21の下からロール紙20が引き出されるため、ロール紙20が引き出されることでロール21は常に転動する。このため、ロール21は凹状底壁15上を容易に移動する。
【0020】
図3に示すように、プラテン34は、軸34Aを介してカバーフレーム13の前端に回動自在に支持されている。軸34Aの一端はプリンター本体11の側方に突出し、プラテン駆動歯車45が取り付けられ、このプラテン駆動歯車45を回転させることでプラテン34が回転し、ロール紙20を搬送する。
また、プリンター本体11の一方の側面には、後述する搬送モーター131(図7参照)の動力を各部に伝える駆動輪列40が配設されている。これら搬送モーター131及び駆動輪列40は、協働してカバー自動開機構として機能する。このカバー自動開機構には切換アクチュエーター133を含めてもよい。
駆動輪列40は、搬送モーター131の動力により回転するモーター歯車41と、カバーフレーム13(上部カバー6)が閉じられた状態でプラテン駆動歯車45に噛み合う紙送り歯車42と、モーター歯車41の回転力を、紙送り歯車42または伝達歯車43に選択的に伝達する切換歯車46と、伝達歯車43に噛み合い、カバーフレーム13とともに回動するカバー歯車44と、上述したプラテン駆動歯車45とを含んで構成される。
【0021】
図2及び図3に示すように、ニアエンドセンサー123は、凹状底壁15の前部の斜面に配置されているので、ロール21の残量が所定量を下回ったところで、ロール21はニアエンドセンサー123から離れて最深部15Aに嵌り、ニアエンドセンサー123の検出状態はオフからオンに切り替わる。このとき、ロール21の残量は完全にゼロではない。このため、ニアエンドセンサー123の検出状態に基づいて、ロール21の残量が所定量より少なくなっているか否かを知ることができる。
【0022】
一方、もう1つのセンサーであるリアルエンドセンサー122は、ニアエンドセンサー123よりも前方に配置され、プラテン34の下方においてロール紙20の有無を検出する。リアルエンドセンサー122は、ニアエンドセンサー123と同様のスイッチ式のセンサー、或いは、反射型または透過型の光学的センサーで構成される。リアルエンドセンサー122は、ロール21から引き出されたロール紙20がある場合はオフであり、ロール紙20がない場合はオンとなる。このため、ロール紙収容部17内のロール紙20がなくなったときにオンに切り替わる。リアルエンドセンサー122がオンに切り替わった時点で、ロール紙20の後端はプラテン34とサーマルヘッド35との間にある。つまり、ロール紙20(ロール21)の残量はほぼゼロである。このように、リアルエンドセンサー122の検出状態に基づいて、ロール21の残量がゼロになったことを検出できる。
【0023】
さらに、プリンター1は、サーマルヘッド35の位置においてロール紙20を検出するヘッド位置センサー124(記録媒体検出手段)を備えている。
図4は、ヘッド位置センサー124の配置状態を示す図であり、(A)は要部平面図、(B)は要部側面図である。
図4(A)及び(B)に示すように、サーマルヘッド35は直線状に並ぶ発熱素子35Cを備えている。発熱素子35Cは略長方形の発熱素子が一列に並んで構成される。サーマルヘッド35の仕様によっては複数列の発熱素子35Cを備えていてもよい。そして、発熱素子35Cと同一直線上に位置するようにヘッド位置センサー124がサーマルヘッド35に設けられている。ヘッド位置センサー124は、例えば反射型の光センサーであり、プラテン34に向けて放射した光の反射光の光量に対応した電圧を出力する。ここで、ロール紙20が無い場合のヘッド位置センサー124の出力値をオン、ロール紙20がある場合のヘッド位置センサー124の出力値をオフとする。
ヘッド位置センサー124の出力値は、ゲートアレイ106によってヘッド位置センサー124がオンかオフかを示すデジタルデータに変換されてCPU101に入力される。このデータをもとに、CPU101は、発熱素子35Cの位置におけるロール紙20の有無を検出する。つまり、CPU101は、ヘッド位置センサー124を用いて、ロール紙20の搬送路上で発熱素子35Cと同位置でロール紙20の有無を検出する。
【0024】
発熱素子35Cは、サーマルヘッド35とプラテン34との接触箇所であるから、ヘッド位置センサー124がロール紙20を検出している場合はプラテン34とサーマルヘッド35とがロール紙20を挟んで接しており、ヘッド位置センサー124がロール紙20を検出していない場合は、プラテン34とサーマルヘッド35とが直接接触している。
プラテン34とサーマルヘッド35とが直接接触した状態が続くと、コイルばね31(図2)の付勢力により、弾性体であるプラテン34の表面の変形が生じる。この変形は、ロール紙20の補給後にプラテン34が回転すると回復するが、回復までに時間がかかり、回復しない間はロール紙20の搬送速度が安定しない。また、発熱素子35Cが十分に冷えていない状態でプラテン34が直接サーマルヘッド35に接した場合には、よりプラテン34が変形しやすくなる。このため、プラテン34が直接サーマルヘッド35に接する状態は、速やかに解消することが望ましい。
そこで、プリンター1は、CPU101の制御により、後述する図8に示す動作を実行して、サーマルヘッド35にプラテン34が直接接触する状態となった場合には、上部カバー6を開く。プラテン34は上部カバー6を構成するカバーフレーム13に取り付けられ、サーマルヘッド35は本体フレーム12に取り付けられている。このため、上部カバー6が開くとプラテン34とサーマルヘッド35とは離隔し、プラテン34の変形等の不具合を回避できる。
【0025】
図5は、プリンター本体11の要部側面図であり、図6は、駆動輪列40の上面図である。これら図5及び図6はいずれも駆動輪列40の主要構成を詳細に示している。
モーター歯車41は、搬送モーター131のローター軸(図示略)に直接またはギア等を介して連結され、搬送モーター131の動作に合わせて正転及び逆転する。また、紙送り歯車42は本体フレーム12に回動自在に支持されており、カバーフレーム13が閉じた状態でプラテン駆動歯車45に噛み合う位置にある。
カバー歯車44は、カバーフレーム13を本体フレーム12に支持するヒンジ14に設けられ、カバーフレーム13と一体となって回動する。伝達歯車43は、カバー歯車44に噛み合う位置において本体フレーム12に回動自在に支持されている。
伝達歯車43は、モーター歯車41に常時噛み合っており、さらに、後述する切換アクチュエーター133(図7参照)の動力によって、紙送り歯車42に噛み合う位置と、伝達歯車43に噛み合う位置とを移動する。
【0026】
すなわち、紙送り歯車42と伝達歯車43とは、図6に示すように、奥行き方向(図中矢印、ロール紙20幅方向)にずれた位置にある。切換歯車46は、図5の側面図では紙送り歯車42及び伝達歯車43に噛み合うことが可能な位置にあり、図6に示す上面図では、実線で示すように伝達歯車43に噛み合う位置と、破線で示すように紙送り歯車42に噛み合う位置との間を移動可能である。切換歯車46には、切換歯車46を軸46Aに沿って矢印方向に移動させるスライド機構47が取り付けられており、このスライド機構47の動作によって、切換歯車46を、紙送り歯車42または伝達歯車43に噛み合わせることができる。
そして、切換歯車46が紙送り歯車42に噛み合った状態では、モーター歯車41の動力がプラテン駆動歯車45(図3参照)に伝達され、プラテン34が回転する。また、切換歯車46が伝達歯車43に噛み合った状態では、モーター歯車41の動力がカバー歯車44に伝達され、カバーフレーム13が開閉される。ここで、カバーフレーム13を開くか、カバーフレーム13を閉じるかは、モーター歯車41の回転方向により切り換えることができる。
このように、プリンター1は、駆動輪列40によって、モーター歯車41を回転させる搬送モーター131(図7参照)の動力を、ロール紙20を搬送するために使うことも、カバーフレーム13を開閉するために使うこともできる。
【0027】
図7は、プリンター1の制御系100の構成を示すブロック図である。
プリンター1の制御系100は、所定のプログラムを実行してプリンター1の全体を制御するCPU101(制御手段)、CPU101が実行するプログラムや処理対象のデータ等を一時的に記憶するワークエリアを形成するRAM102、CPU101が実行する基本制御プログラムや各種設定値などを記憶する不揮発性メモリー103、プリンター1が備える操作パネルにおける操作を検出する入力部104、LED表示部の各LEDの点灯状態を制御して各種表示を行わせる表示部105、各センサーが出力するアナログ出力電圧をデジタルデータに変換して出力するゲートアレイ(G/A)106、CPU101の制御に従って各モーターを駆動するモータードライバー107、CPU101の制御に従ってサーマルヘッド35の各発熱素子を駆動するヘッドドライバー108、及び、プリンター1に外部接続される外部の装置としてのホストコンピューター200との間で各種データを送受信するインターフェース部(I/F部)109を備えている。
【0028】
不揮発性メモリー103は、EEPROMやフラッシュメモリー等の半導体記憶素子、特に書換え可能な不揮発性記憶素子により構成され、この不揮発性メモリー103に記憶されたデータに基づき、後述するメモリースイッチが構成される。
ゲートアレイ106には、上部カバー6の開閉状態を検出するカバーセンサー121が接続される。このカバーセンサー121は、上部カバー6が完全に閉じた閉状態においてオフになり、上部カバー6が所定量以上開いた場合にオンになるスイッチ式のセンサーであり、例えば排出口5の近傍に設けられる。また、ゲートアレイ106には、凹状底壁15(図3参照)に設けられたリアルエンドセンサー122、ニアエンドセンサー123及びヘッド位置センサー124が接続される。ゲートアレイ106は、カバーセンサー121、リアルエンドセンサー122、ニアエンドセンサー123、及びヘッド位置センサー124の出力電圧を検出して、各センサーの検知状態(オン/オフ)を示すデジタルデータをCPU101に出力する。
【0029】
モータードライバー107には、搬送モーター131、カッター駆動モーター132及び切換アクチュエーター133が接続される。モータードライバー107は、例えばステッピングモーターで構成される搬送モーター131及びカッター駆動モーター132に対し、駆動電源を供給するとともに必要数の駆動パルスを出力して、ロール紙20の搬送、オートカッター36によるロール紙20のカット、上部カバー6の開閉を実行させる。モータードライバー107は、搬送モーター131に供給する駆動電源の電圧を反転させることで、搬送モーター131の回転方向を制御する。また、モータードライバー107は、CPU101の制御に従って、切換アクチュエーター133に通電し、スライド機構47を動作させて、切換歯車46を図6に示すように移動させる。モータードライバー107は、切換アクチュエーター133に通電する電圧を反転させることにより、スライド機構47の動作方向を逆転させることが可能であり、これにより切換歯車46を往復移動させることが可能である。
ヘッドドライバー108は、上述したサーマルヘッド35が備える発熱素子35Cへの駆動電流を制御して、ロール紙20に文字や画像を印刷させる。
【0030】
CPU101は、ホストコンピューター200から送信された印刷指示コマンドと印刷データをインターフェース部109により受信し、受信した印刷コマンドに従って印刷を実行する。ここでCPU101は、印刷データに含まれる文字や画像のイメージをRAM102に設けられるプリントバッファーに展開し、モータードライバー107及びヘッドドライバー108を制御し、搬送モーター131を駆動してロール紙20を搬送しながら、サーマルヘッド35によりロール紙20に文字や画像を印刷する。
【0031】
CPU101は、サーマルヘッド35による印刷動作中、ニアエンドセンサー123、リアルエンドセンサー122及びヘッド位置センサー124の検出状態を監視する。そして、ロール紙20の残量が無くなった場合には、上部カバー6を開くよう制御する。
ニアエンドセンサー123がロール紙20を検出しなくなった場合には、ニアエンドセンサー123の位置からサーマルヘッド35までの距離の分だけロール紙20が残っている可能性がある。このため、CPU101は即座に上部カバー6を開かずに、リアルエンドセンサー122の検出状態を取得する。
【0032】
リアルエンドセンサー122がロール紙20を検出しなくなった場合には、ロール紙20の残りは、リアルエンドセンサー122からサーマルヘッド35までの少量である。このため、CPU101は、リアルエンドセンサー122がロール紙20を検出しなくなった場合、印刷中であれば印刷が完了するまで待機し、印刷完了後速やかに上部カバー6を開く。これに対し、ヘッド位置センサー124がロール紙20を検出しなくなった場合は、プラテン34とサーマルヘッド35との間にロール紙20が全く残っていないので、印刷を継続できない。このため、CPU101は即座に上部カバー6を開くよう制御する。
上部カバー6を開くことにより、プリンター1の設置場所にいるユーザーに対してロール紙20切れを報知し、ロール21の補充(交換)を促す効果がある。また、上述のように上部カバー6が開けばプラテン34とサーマルヘッド35との密着が解除されるので、プラテン34とサーマルヘッド35との接触により生じる不具合を回避できる。
【0033】
上部カバー6を開く動作時、CPU101は、モータードライバー107を制御して、搬送モーター131をいったん停止させ、切換アクチュエーター133を動作させて切換歯車46を移動し、切換歯車46を伝達歯車43に噛み合わせる。続いてCPU101は、モータードライバー107によって搬送モーター131を所定量回転させて、上部カバー6を上方に開く。CPU101は、搬送モーター131の回転量を調整することにより、上部カバー6を全開位置まで開く動作と、上部カバー6を途中まで開く半開動作とのいずれも実行可能であり、どちらを実行するかは不揮発性メモリー103のメモリースイッチの値に従う。
【0034】
CPU101は、リアルエンドセンサー122またはニアエンドセンサー123がオンになって、上部カバー6を自動的に開いた後、ニアエンドセンサー123がオンからオフに切り替わった場合に、自動で上部カバー6を閉じる自動閉動作を行うことも可能である。つまり、ロール紙20の残量が少なくなった、或いは残量がほぼゼロになった場合に上部カバー6を開き、新しいロール21が投入されると、ニアエンドセンサー123がロール21により押圧されて、出力がオフに切り替わる。
CPU101は、ニアエンドセンサー123がオフに切り替わったことを検出すると、上部カバー6を閉じる動作を行う。つまり、ロール21の補充が完了すると自動的に上部カバー6が閉じるので、ロール21の補充の作業がより容易になる。
【0035】
図8は、プリンター1の動作を示すフローチャートである。
CPU101は、オペレーターの操作に従ってホストコンピューター200が送信した印刷データを、インターフェース部109により受信して解析する(ステップS11)。
続いて、CPU101は、印刷するデータのイメージをプリントバッファーに展開して印刷を実行し(ステップS12)、印刷開始後にニアエンドセンサー123の検出状態を判別する(ステップS13)。ニアエンドセンサー123の検出状態がオフの場合(ステップS13;No)、CPU101は、実行中の印刷が完了したか否かを判別し(ステップS14)、実行中の印刷が完了した場合は(ステップS14;Yes)、本処理を終了する。印刷の完了とは、ステップS11で受信した印刷データ全ての印刷が完了するまで、或いは、オートカッター36によりロール紙20をカットするまでを指す。また、印刷が完了していなければステップS13に戻る。
【0036】
一方、印刷中にニアエンドセンサー123の検出状態がオンになった場合(ステップS13;Yes)、比較的短時間のうちに、ロール紙20の紙切れが発生することになる。このため、CPU101は、リアルエンドセンサー122の検出状態を判別する(ステップS15)。リアルエンドセンサー122の検出状態がオフの場合(ステップS15;No)、CPU101は、印刷が完了したか否かを判別し(ステップS16)、印刷が完了していれば後述するステップS18に移行して上部カバー6を開く。一方、印刷が完了していなければステップS13に戻る。
【0037】
また、リアルエンドセンサー122の検出状態がオンの場合(ステップS15;Yes)、CPU101は、ヘッド位置センサー124の検出状態を判別する(ステップS17)。ヘッド位置センサー124がオフの場合は(ステップS17;No)、ステップS16に移行するのに対し、ヘッド位置センサー124がオンの場合は(ステップS17;Yes)、即座にステップS18に移行して、上部カバー6を開く動作を行う。
このように、ヘッド位置センサー124が用紙切れを検出した場合は即座に上部カバー6が開かれ、リアルエンドセンサー122が用紙切れを検出した場合は印刷完了を待って上部カバー6が開かれる。つまり、サーマルヘッド35の位置でロール紙20が無くなるぎりぎりまで印刷を継続し、ロール紙20がほぼ完全に無くなると速やかに上部カバー6を開くので、印刷の中断頻度を抑えることができる。また、リアルエンドセンサー122の検出状態はニアエンドセンサー123が用紙切れを検出した場合に取得及び判別され、ヘッド位置センサー124の検出状態はリアルエンドセンサー122が用紙切れを検出した場合のみ取得及び判別する。通常、ニアエンドセンサー123が用紙切れを検出しない間にリアルエンドセンサー122やヘッド位置センサー124が用紙切れとなる可能性は無いので、無駄な処理を省くことによりセンサーの検出状態の監視に要する処理負荷を軽減し、効率化を図ることができる。
【0038】
上部カバー6を開いた後、CPU101は、ASB機能により、ホストコンピューター200に対してカバーを開いたことを示すステータス通知を行い(ステップS19)、オフライン状態に移行する(ステップS20)。ホストコンピューター200は、このステータス通知を受信して、プリンター1においてロール紙20の用紙切れが発生したことを検知できる。
その後、CPU101は、ニアエンドセンサー123の検出値を監視し、検出値がオフに切り替わるまで待機する(ステップS21)。ロール紙20の交換および充填により、ニアエンドセンサー123がオンからオフに切り替わると(ステップS21;Yes)、CPU101は、搬送モーター131を駆動して上部カバー6を閉じる動作を行い(ステップS23)、切換アクチュエーター133により切換歯車46の位置を搬送可能な位置に切り換える。ここで、手動で上部カバー6が閉じられた場合は、CPU101は、切換歯車46の位置の切り換えのみを行う。
その後、CPU101は、オンライン状態に移行(復帰)して(ステップS23)、ASB機能によりオンライン状態に移行したことを通知し(ステップS24)、本処理を終了して待機状態に戻る。ホストコンピューター200は、このステータス通知を受信することにより、プリンター1においてロール紙20の補充が検出され、印刷が可能になったことを検出できる。
【0039】
以上説明したように、本発明を適用した実施形態に係るプリンター1は、ロール紙20に熱を与えて発色させることにより記録を行うサーマルヘッド35と、ロール紙20を収容するロール紙収容部17を有するプリンター本体11と、プリンター本体11に形成されたロール紙収容部17に繋がる開口に、開閉可能に設けられた上部カバー6と、上部カバー6を開く搬送モーター131、切換アクチュエーター133,及び駆動輪列40を備えたカバー自動開機構と、このカバー自動開機構により上部カバー6を開くCPU101と、サーマルヘッド35の記録位置においてロール紙20を検出するヘッド位置センサー124と、を備え、CPU101は、ヘッド位置センサー124によりロール紙20が検出されない場合にカバー自動開機構により上部カバー6を開くので、サーマルヘッド35の位置でロール紙20が無くなった場合に上部カバー6が開き、ロール紙20が無いことを報知できる。これにより、サーマルヘッド35とプラテンとの間にロール紙20が存在しない状態で放置されなくなるため、サーマルヘッド35がプラテンに直接接触することによる不具合を防止できる。また、ヘッド位置センサー124により、サーマルヘッド35の位置でロール紙20が切れたことを正確に検知するため、上部カバー6を開く回数を最小限にとどめ、報知の効果を維持できる。
【0040】
また、プリンター1は、サーマルヘッド35に対向して、サーマルヘッド35との間でロール紙20を挟んで搬送するプラテン34を有し、サーマルヘッド35及びプラテンは、一方が上部カバー6に取り付けられ、他方がプリンター本体11側に取り付けられている。本第1の実施形態の構成では、プラテン34が上部カバー6側すなわちカバーフレーム13に取り付けられ、サーマルヘッド35は本体フレーム12に取り付けられている。このため、上部カバー6が開かれることでプラテン34とサーマルヘッド35とが互いに離隔するので、サーマルヘッド35とプラテンとが直接接触する状態を速やかに解消できる。
【0041】
また、サーマルヘッド35は列をなして配列された発熱素子35Cを備え、ヘッド位置センサー124は、ロール紙20の搬送路において発熱素子35Cと同位置に配置されているので、サーマルヘッド35とプラテン34との接触位置におけるロール紙20の用紙切れを確実に検出できる。これにより、ロール紙20の不足等によりサーマルヘッド35の発熱素子35Cとプラテンとが接触してしまう場合に、これを確実に検知できる。
【0042】
[第2の実施形態]
図9は、本発明を適用した第2の実施形態に係るプリンター1の動作を示すフローチャートである。
本第2の実施形態では、上記第1の実施形態で説明したヘッド位置センサー124を備えていない構成または使用しない構成で、上記と同様の作用効果が得られる態様について説明する。本第2の実施形態において、プリンター1は、ヘッド位置センサー124を除く各部は上記第1の実施形態のプリンター1と同様であり、ここでは図示及び説明を省略する。
【0043】
この第2の実施形態で、プリンター1のCPU101は、ヘッド位置センサー124の検出状態を判別しない代わりに、リアルエンドセンサー122の検出状態に基づいて用紙切れのタイミングを予測する。すなわち、リアルエンドセンサー122は記録媒体検出手段として機能し、ヘッド位置センサー124は使用されない。ヘッド位置センサー124を備えていない構成に本第2の実施形態を適用してもよい。
すなわち、ステップS15において、リアルエンドセンサー122の検出状態がオンになっていると判別した場合、CPU101は、リアルエンドセンサー122の位置から発熱素子35Cまでの搬送距離と搬送速度とに基づいて、発熱素子35Cの位置で用紙切れとなるまでの時間を予測する(ステップS31)。そして、CPU101は、印刷が完了するか、或いはステップS31で予測した時間が経過するまで印刷を継続して待機し(ステップS32)、印刷完了または予測した用紙切れまでの時間が経過すると(ステップS32;Yes)、ステップS18に移行して上部カバー6を開く。
【0044】
この第2の実施形態では、サーマルヘッド35にヘッド位置センサー124を備えていない構成においても、サーマルヘッド35とプラテン34との接触位置で用紙切れとなる場合に上部カバー6を開き、それまでの間は上部カバー6を容易に開かない。従って、上記第1の実施形態と同様に、サーマルヘッド35とプラテンとの間にロール紙20が存在しない状態で放置されなくなるため、サーマルヘッド35がプラテンに直接接触することによる不具合を防止できるという効果が得られる。また、サーマルヘッド35の位置でロール紙20が切れるタイミングを予測することで、上部カバー6を開く回数を最小限にとどめ、報知の効果を維持できる。
さらに、ロール紙20の搬送路においてサーマルヘッド35よりも上流側に配置されたリアルエンドセンサー122を用い、CPU101は、リアルエンドセンサー122によりロール紙20が検出されなくなった場合に、サーマルヘッド35とプラテン34とに挟まれるロール紙20が無くなるタイミングを予測し、この予測値に基づいて搬送モーター131及び駆動輪列40により上部カバー6を開くので、サーマルヘッド35とプラテンとが直接接触するタイミングを正確に予測し、サーマルヘッド35とプラテンとの接触を回避できる。
【0045】
なお、上記実施形態は本発明を適用した一具体例を示すものであり、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、上記各実施形態で説明したプリンター1は、プリンター本体11の上部に、ロール紙収容部17に繋がる開口を設け、この開口に上部カバー6を設けた構成を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、プリンターの本体前面に開口を設け、この開口に開閉可能なカバーを設けた構成としてもよいし、ヒンジ式のカバーに限らずスライド式のカバーを設けた構成としてもよく、カバーの位置、開放される方向及び細部構成は任意に変更可能である。また、上部カバー6を開いた際に表示部105によっても報知を行う構成としてもよい。
また、例えば、プリンター1において、上部カバー6を閉状態に保持するロック機構(図示略)を備え、オープンボタン7によりロックが解除されて上部カバー6が付勢部材(図示略)の付勢力により開く構成としてもよい。この場合、切換歯車46を移動させる切換アクチュエーター133の動力によって、ロック機構が解除される。これにより、ロック機構を有する構成においても、搬送モーター131の動力により駆動輪列40を介して上部カバー6を開くことができる。
また、例えば、ホストコンピューター200において、プリンター1から、オフライン状態への移行、オンライン状態への復帰、上部カバー6を開いたこと、上部カバー6を閉じたこと等を示すステータス通知を受信した場合に、これらのステータス通知の内容またはプリンター1の状態を、表示画面等により出力してもよい。この場合、プリンター1が上部カバー6を開く動作によりオペレーターにロール紙20の不足を報知するだけでなく、プリンター1の状態を詳細に報知できる。
【0046】
また、図7に示した各機能部を独立したハードウェアにより構成する必要はなく、ソフトウェアとハードウェアとの協働により、複数の機能部の機能を1つのハードウェアに集約して実現することも勿論可能である。また、本発明を適用可能な記録装置は、装置内部に記録媒体を収容し、この記録媒体を搬送して記録するプリンターであれば特に制限されず、サーマルラインプリンターに限らず、インクジェット式プリンター、ドットインパクト式プリンター、レーザープリンター、熱昇華型プリンターのいずれであってもよいし、他の方式で文字や画像を形成するプリンターであってもよい、また、他の装置に組み込まれる各種プリンターにも本発明を適用可能である。さらに、上述の動作を行うCPU101が実行するプログラムは、プリンター1が備える不揮発性メモリー103に限らず、他の記憶装置、記憶媒体や外部装置の記憶媒体に記憶させ、CPU101により読み出して実行する構成としても良い。
【符号の説明】
【0047】
1…プリンター(記録装置)、5…排出口、6…上部カバー(カバー)、11…プリンター本体、17…ロール紙収容部(記録媒体収容部)、20…ロール紙(記録媒体)、21…ロール(記録媒体)、34…プラテン、35…サーマルヘッド、35C…発熱素子、40…駆動輪列(カバー自動開機構)、100…制御系、101…CPU(制御手段)、122…リアルエンドセンサー(記録媒体検出手段)、123…ニアエンドセンサー、124…ヘッド位置センサー(記録媒体検出手段)、131…搬送モーター(カバー自動開機構)、133…切換アクチュエーター(カバー自動開機構)、200…ホストコンピューター。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に熱を与えて発色させることにより記録を行うサーマルヘッドと、
前記記録媒体を収容する記録媒体収容部を有する本体と、
前記本体に形成された前記記録媒体収容部に繋がる開口に、開閉可能に設けられたカバーと、
前記カバーを開くカバー自動開機構と、
前記カバー自動開機構により前記カバーを開く制御手段と、
前記サーマルヘッドの記録位置において前記記録媒体を検出する記録媒体検出手段と、を備え、
前記制御手段は、前記記録媒体検出手段により前記記録媒体が検出されない場合に前記カバー自動開機構により前記カバーを開くこと
を特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記サーマルヘッドに対向して、前記サーマルヘッドとの間で前記記録媒体を挟んで搬送するプラテンが設けられ、
前記サーマルヘッド及び前記プラテンは、一方が前記カバーに取り付けられ、他方が前記本体側に取り付けられ、前記カバーが開かれることで互いに離隔することを特徴とする請求項1記載の記録装置。
【請求項3】
前記サーマルヘッドは一列又は複数列をなして配列された発熱素子を備え、
前記記録媒体検出手段は、前記記録媒体の搬送路上で前記サーマルヘッドのいずれかの列の発熱素子と同位置に配置されたセンサーであることを特徴とする請求項1または2記載の記録装置。
【請求項4】
前記記録媒体検出手段は、前記記録媒体の搬送路において前記サーマルヘッドよりも上流側に配置されたセンサーで構成され、
前記制御手段は、前記センサーにより前記記録媒体が検出されなくなった場合に、前記サーマルヘッドと前記プラテンとに挟まれる前記記録媒体が無くなるタイミングを予測し、この予測値に基づいて前記カバー自動開機構により前記カバーを開くことを特徴とする請求項2記載の記録装置。
【請求項5】
記録媒体に熱を与えて発色させることにより記録を行うサーマルヘッドと、前記記録媒体を収容する記録媒体収容部を有する本体と、前記本体に形成された前記記録媒体収容部に繋がる開口に、開閉可能に設けられたカバーと、前記カバーを開くカバー自動開機構と、前記サーマルヘッドの記録位置において前記記録媒体を検出する記録媒体検出手段とを備えた記録装置を制御し、
前記記録媒体検出手段により前記記録媒体が検出されない場合に前記カバー自動開機構により前記カバーを開くこと
を特徴とする記録装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−162056(P2012−162056A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−25936(P2011−25936)
【出願日】平成23年2月9日(2011.2.9)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】