説明

記録装置、配信装置、記録方法、プログラム、及び記録媒体

【課題】ユーザ又はプロバイダが望む状態でコンテンツを再生することができるよう、コンテンツを記録する記録装置を実現する。
【解決手段】記録装置1は、コンテンツを構成する複数のコンポーネントを取得する受信部11と、コンテンツを記録する記録方式を選択すると共に、第1の記録モードを選択した場合、これらのコンポーネントを一体化して記録媒体13記録し、第2の記録モードを選択した場合、これらのコンポーネントを個別に記録媒体13記録する記録部12を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のコンポーネントから構成されるコンテンツを記録する記録装置及び記録方法に関する。また、複数のコンポーネントから構成されるコンテンツを記録装置に配信する配信装置に関する。更に、そのような記録装置としてコンピュータを動作させるためのプログラム、及び、そのようなプログラムが記録されている記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
インターネットの普及やコンピュータの高性能化に伴い、インターネットを介して動画像などの大容量コンテンツを配信することが広く行われている。また、地上波デジタル放送の開始に伴い、放送コンテンツもデジタル化され、放送によるコンテンツ配信と通信によるコンテンツ配信との融合も可能になっている。
【0003】
例えば、特許文献1には、放送コンテンツとインターネットコンテンツとを融合させる技術が開示されている。また、特許文献2には、放送コンテンツにインターネットホームページアドレス情報を付加する技術が開示されている。また、特許文献3には、放送コンテンツとネットワークコンテンツとパッケージメディアとを融合させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004− 56274号公報
【特許文献2】特開2005−286748号公報
【特許文献3】特開平10 −173612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
コンテンツ配信の分野で、近年、ハイブリッド伝送が注目を集め始めている。ハイブリッド伝送とは、コンテンツを構成する複数のコンポーネントを、複数の伝送路、特に、放送と通信など異種の伝送路を介して伝送する伝送態様のことを指す。
【0006】
ハイブリッド伝送されたコンポーネントには、単独で再生可能なものもあれば、単独で再生不能なものもある。また、再取得可能なものもあれば、再取得不能なもの、もしくは再取得を積極的にすべきものもある。したがって、ハイブリッド伝送されたコンポーネントを単純に記録しただけでは、ユーザ(視聴者)又はプロバイダ(配信者)が望む状態で記録されたコンテンツを再生することができないことが起こりえた。
【0007】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ユーザ(視聴者)又はプロバイダ(配信者)が望む状態でコンテンツを再生することができるよう、コンテンツを記録する記録装置を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る記録装置は、コンテンツを構成する複数のコンポーネントを取得する取得手段と、上記コンテンツを記録する記録方式を選択する選択手段と、上記選択手段が第1の記録方式を選択した場合、上記複数のコンポーネントを一体化して記録し、上記選択手段が第2の記録方式を選択した場合、上記複数のコンポーネントの各々を個別に記録する記録手段と、を備えていることを特徴とする。
【0009】
また、上記課題を解決するために、本発明に係る記録方法は、上記記録装置がコンテンツを記録する記録方法であって、上記コンテンツを構成する複数のコンポーネントを取得する取得ステップと、上記コンテンツを記録する記録方式を選択する選択ステップと、上記選択ステップにて第1の記録方式を選択した場合、上記複数のコンポーネントを一体化して記録し、上記選択ステップにて第2の記録方式を選択した場合、上記複数のコンポーネントの各々を個別に記録する記録ステップと、を含んでいる、ことを特徴とする。
【0010】
コンテンツを構成する複数のコンポーネントは、一体化して記録することもできるし、個別に記録することもできる。いずれで記録することが適当かは、ユーザ又はプロバイダの意向によって異なる。上記の構成によれば、これらのコンポーネントを一体化して記録するか個別に記録するかを選択することができる。特に、この選択をユーザからの指示に基づいて行う場合には、コンテンツを記録した以降、ユーザが望む状態で再生することが可能になる。また、この選択をプロバイダからの指示に基づいて行う場合には、記録装置に記録した以降も、プロバイダが望む状態でコンテンツを再生させることが可能になる。
【0011】
本発明に係る記録装置において、上記取得手段は、上記コンテンツの記録方式を指定する記録方式指定情報を更に取得し、上記選択手段は、上記記録方式指定情報によって指定された記録方式を選択する、ことが好ましい。
【0012】
上記構成によれば、コンテンツを記録装置に記録後も、プロバイダなど上記記録方式指定情報の設定者が望む状態でコンテンツを再生させることが可能になる。また、ユーザが記録方式を選択するための操作を行う必要がないので、ユーザによる記録装置の操作が簡便になる。
【0013】
本発明に係る記録装置において、上記取得手段は、上記複数のコンポーネントの間の相互関係を示す相互関係情報であって、上記コンテンツを一体化するために参照される相互関係情報を取得し、上記記録手段は、上記選択手段が上記第2の記録方式を選択した場合、上記相互関係情報を上記複数のコンポーネントと共に記録する、ことが好ましい。
【0014】
上記の構成によれば、上記第2の記録方式に従って記録されたコンテンツを、事後的に一体化して再生することが可能になる。
【0015】
本発明に係る記録装置において、上記複数のコンポーネントは、再取得可能なコンポーネントと再取得不能なコンポーネントとからなり、上記記録手段は、上記選択手段が第2の記録方式を選択した場合、上記再取得不能なコンポーネントの各々を個別に記録する、ことが好ましい。
【0016】
上記の構成によれば、上記再取得可能なコンポーネントを事後的に再取得することによって、上記第2の記録方式に従って記録されたコンテンツを、事後的に(非リアルタイム再生時に)一体化して再生することが可能になる。なお、上記「再取得」は、リアルタイム再生後における取得を意味し、例えばリアルタイム再生時に取得できなかった(あるいは取得しなかった)コンポーネントを、リアルタイム再生後の任意のタイミングで取得することも上記「再取得」に含まれる。
【0017】
本発明に係る記録装置において、上記複数のコンポーネントは、低品質再生用のコンポーネントと高品質再生用のコンポーネントとからなり、上記取得手段は、上記コンテンツを記録する際、伝送路の状態に応じて上記高品質再生用のコンポーネントを取得するか否かを選択し、上記コンテンツを再生する際、未取得の上記高品質再生用のコンポーネントを取得する、ことが好ましい。
【0018】
上記構成によれば、記録時に上記高品質再生用のコンポーネントを取得しなかった場合でも、再生時に上記高品質再生用のコンポーネントを取得することによって、コンテンツの高品質再生を実現することができる。
【0019】
本発明に係る記録装置において、上記選択手段は、伝送路の状態または上記記録装置の状態に応じて、上記記録方式指定情報によって指定された記録方式を選択するか否かを判断し、選択しないと判断した場合には、当該記録方式指定情報によって指定された記録方式とは異なる記録方式を選択し、上記記録部は、上記選択手段が、上記記録方式指定情報によって指定された記録方式とは異なる記録方式を選択した場合には、当該異なる記録方式を示す情報を更に記録する、ことが好ましい。
【0020】
上記構成によれば、伝送路の状態または上記記録装置の状態に応じて、記録方式指定情報によって指定された記録方式を選択するか否かを判断し、選択しないと判断した場合には、当該記録方式指定情報によって指定された記録方式とは異なる記録方式を選択する。このため、記録方式指定情報によって指定された記録方式が、現在の伝送路の状態または記録装置の状態に適さない場合に、適切な記録方式を適用することが可能になる。
【0021】
また、上記の構成によれば、記録方式指定情報によって指定された記録方式とは異なる記録方式を選択した場合には、当該異なる記録方式を示す情報を更に記録するので、この情報を参照することによって、実際の記録方式に応じた適切な再生を行うことが可能になる。
【0022】
上記課題を解決するために、本発明に係る配信装置は、複数のコンポーネントにより構成されるコンテンツを配信する配信装置であって、上記複数のコンポーネントを一体化して記録するか、上記複数のコンポーネントの各々を個別に記録するかを指定する記録方式指定情報を、上記コンテンツを記録する記録装置に提供する提供手段を備えている、ことを特徴とする。
【0023】
上記構成によれば、プロバイダなど上記配信装置の操作者が望む状態でコンテンツを記録装置に記録させ、再生させることが可能になる。また、ユーザが記録方式を選択するための操作を行う必要がないので、ユーザによる記録装置の操作が簡便になる。
【0024】
なお、本発明に係る記録装置は、プログラムを用いて実現することができる。コンピュータを本発明に係る記録装置として動作させるためのプログラム、及び、そのようなプログラムを記録した記録媒体も本発明の範疇に含まれる。
【発明の効果】
【0025】
以上のように、本発明に係る記録装置は、コンテンツを構成する複数のコンポーネントを取得する取得手段と、上記コンテンツを記録する記録方式を選択する選択手段と、上記選択手段が第1の記録方式を選択した場合、上記複数のコンポーネントを一体化して記録し、上記選択手段が第2の記録方式を選択した場合、上記複数のコンポーネントの各々を個別に記録する記録手段と、を備えている。
【0026】
また、本発明に係る記録方法は、上記記録装置がコンテンツを記録する記録方法であって、上記コンテンツを構成する複数のコンポーネントを取得する取得ステップと、上記コンテンツを記録する記録方式を選択する選択ステップと、上記選択ステップにて第1の記録方式を選択した場合、上記複数のコンポーネントを一体化して記録し、上記選択ステップにて第2の記録方式を選択した場合、上記複数のコンポーネントの各々を個別に記録する記録ステップと、を含んでいる。
【0027】
また、本発明に係る記録装置は、コンテンツの記録方式を指定する記録方式指定情報を取得する取得手段を備えている。
【0028】
したがって、ユーザ(視聴者)又はプロバイダ(配信者)が望む状態でコンテンツを再生することができるよう、コンテンツを記録することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】第1の実施形態に係る記録装置の構成を示すブロック図である。
【図2】第2の実施形態に係る記録装置の構成を示すブロック図である。
【図3】第3の実施形態に係る記録装置の構成を示すブロック図である。
【図4】第4の実施形態に係る記録装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
〔第1の実施形態〕
本発明の第1の実施形態(以下、「本実施形態」と記載)に係る記録装置1について、図1を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る記録装置1の構成を示すブロック図である。
【0031】
記録装置1は、複数のコンポーネントからなるコンテンツCを記録する記録装置である。これらのコンポーネントは、配信装置2及び配信装置3の何れかより配信される。以下、これらのコンポーネントのうち、配信装置2から配信されるものをコンポーネントCA1,CA2,…と記載し、配信装置3から配信されるものをコンポーネントCB1,CB2,…と記載する。
【0032】
ここで、コンテンツC及びコンポーネントCA,CBとは、広義には、データ一式が揃った状態で表示されるものと、その各要素データとを指す。記録装置1は、コンポーネントの各要素データを同期、合成してコンテンツを表示する。
【0033】
コンテンツCは、例えば、スケーラブル符号化された動画である。本実施形態においては、ベースレイヤを構成するコンポーネントCA1,CA2,…,CAnが配信装置2から配信され、エンハンスメントレイヤを構成するコンポーネントCB1,CB2,…,CBnが配信装置3から配信される。ここで、コンポーネントCAiは、期間Tiに対応するベースレイヤであり、コンポーネントCBiは期間Tiに対応するエンハンスメントレイヤである。記録装置1は、再生時に、コンポーネントCAiとコンポーネントCBiとを参照することによって、期間Tiに対応するコンテンツCiを高品質再生する。
【0034】
配信装置2は、コンポーネントCA1,CA2,…,CAnをブロードキャスト配信する配信装置である。各コンポーネントCAiのブロードキャスト配信は、記録装置1からの要求とは無関係に、配信装置2が決定したタイミングで行われる。すなわち、記録装置1が各コンポーネントCAiを取得し得るタイミングは、配信装置2が該コンポーネントCAiをブロードキャスト配信するタイミングに限られる。なお、本実施形態において、コンポーネントCA1,CA2,…,CAnのブロードキャスト配信は、地上波デジタル放送などの放送により実現されるものとする。
【0035】
配信装置3は、コンポーネントCB1,CB2,…,CBnをユニキャスト配信する配信装置である。各コンポーネントCBiのユニキャスト配信は、記録装置1からの(図示しない送信部を通して出力される)要求に応じて行われる。すなわち、記録装置1が各コンポーネントCBiを取得し得るタイミングは、要求を出す任意のタイミングである。なお、本実施形態において、コンポーネントCB1,CB2,…,CBnのユニキャスト配信は、TCP/IP通信などの通信により実現されるものとする。
【0036】
記録装置1は、コンテンツCを3つの記録モードの何れかで記録する。第1の記録モードは、合成後の(本例では、ベースレイヤCA、エンハンスメントレイヤCBを元に復号、再生処理された後の)コンテンツCを表すコンテンツデータを記録するモードである。第2の記録モードは、合成前のコンポーネントCA1,CA2,…,CAn及びコンポーネントCB1,CB2,…,CBnの両方を記録するモードである。第3の記録モードは、合成前のコンポーネントCA1,CA2,…,CAnのみを記録するモードである。コンテンツCを第3の記録モードで記録した場合、後述するように、コンポーネントCB1,CB2,…,CBnは再生時に取得されることになる。以下、第1の記録モードのことを「コンテンツ記録方式」(第1の記録方式)とも記載する。また、第2の記録モード及び第3の記録モードのことを「コンポーネント記録方式」(第2の記録方式)とも記載する。
【0037】
本実施形態においては、記録装置1が選択すべき記録モードを指定する記録モード指定情報(記録方式指定情報)CXが、コンポーネントCA1,CA2,…,CAnと共に配信装置2から配信される。つまり、配信装置2は、記録装置1に記録モード指定情報を提供する提供手段を備えている。記録装置1は、この記録モード指定情報CXを参照することによって、コンテンツCを記録する際の記録モードを選択する。また、コンポーネントCA1,CA2,…,CAn,CB1,CB2,…,CBn間の相互関係を示すコンフィギュレーション情報(相互関係情報)CYが、コンポーネントCA1,CA2,…,CAnと共に配信装置2から配信される。コンフィグレーション情報CYが示すコンポーネント間の相互関係とは、例えば複数映像の配置、複数音響の排他関係、文字字幕の画面位置等であり、ここでは、CAi,CBiがベースレイヤ、エンハンスメントレイヤの依存関係にあるデータストリームであることを示す。さらに、コンフィグレーション情報CYは、コンポーネントCB1,CB2,…,CBnを他経路で取得する際に、該コンポーネントの送信を要求可能な配信元(ここでは配信装置3)を示す情報を含む。なお、コンフィグレーション情報CYに記載される配信元の情報は、再生に必要なコンポーネントの配信元(必要なコンポーネントを取得できるプロバイダ等)を示すものであればよい。例えば、コンフィグレーション情報CYに記載される配信元の情報は、コンポーネントが配信される経路に応じたものであってもよい。また、例えば、コンフィグレーション情報CYに記載される配信元の情報は、コンポーネントCA1,CA2,…,CAn、および、コンポーネントCB1,CB2,…,CBnの配信元(ここでは配信装置2及び3)を示す情報を共に含んでもよい。
【0038】
記録装置1は、このコンフィギュレーション情報CYを参照することによって、コンテンツCiを再生するために参照すべきコンポーネントがCAiとCBiであることを知る。また、CYに記載される配信元の情報により、コンポーネントCAiおよびCBiを取得することが可能になる。
【0039】
記録装置1は、図1に示すように、受信部(取得手段)11A、受信部(取得手段)11B、記録部(選択手段、記録手段)12、記録媒体13、再生部14、及び表示部15、を備えている。なお、本実施形態においては、記録媒体13及び表示部15を記録装置1に内蔵する構成を採用しているが、これに限定されない。すなわち、記録装置1に内蔵された記録媒体13及び表示部15に代えて、記録装置1に着脱可能な記録媒体及びディスプレイを用いてもよい。
【0040】
受信部11Aは、配信装置2からコンポーネントCA1,CA2,…,CAnを取得するための手段であり、例えば、チューナである。受信部11Aは、不図示のバッファを備えており、受信したコンポーネントCAiは、一定期間、このバッファに蓄積される。また、受信部11Aは、配信装置2から記録モード指定情報CX及びコンフィギュレーション情報CYを受信する。このとき、記録モード指定情報CXがコンフィギュレーション情報CYに含まれて、記録モード指定情報CXを含むコンフィギュレーション情報CYを受信するとしてもよい。受信部11Aが受信した記録モード指定情報CXは、記録部12に供給されると共に、非リアルタイム再生時の参照に備えて記録媒体13に記録される。また、受信部11Aが受信したコンフィギュレーション情報CYは、記録モード指定情報CXによって第1の記録モードが指定されている場合を除き、非リアルタイム再生時の参照に備えて記録媒体13に記録される。なお、ここで言う非リアルタイム再生とは、記録後に再生することを指し、リアルタイム再生に相対する用語として使用する。
【0041】
受信部11Bは、配信装置3から配信されたコンポーネントCB1,CB2,…,CBnを取得するための手段であり、例えば、無線LANモジュールである。受信部11BがコンポーネントCBiを取得するタイミングは、コンフィギュレーション情報CYを参照して記録装置1がコンポーネントCBの配信を要求したタイミングであり、受信部11AがコンポーネントCAiを取得した(即ち記録する)タイミング、及び、第3の記録モードで記録されたコンテンツCiが非リアルタイム再生されるタイミングである。受信部11Bも、不図示のバッファを備えており、受信したコンポーネントCBiは、一定期間、このバッファに蓄積される。
【0042】
記録部12は、コンテンツCを何れの記録モードで記録するかを、受信部11Aから供給された記録モード指定情報CXを参照して選択する。そして、(1)第1の記録モードを選択した場合、再生部14が合成したコンテンツCiを表すコンテンツデータを記録媒体13に記録する。また、(2)第2の記録モードを選択した場合、受信部11Aが受信したコンポーネントCAiと受信部11Bが受信したコンポーネントCBiとを記録媒体13に記録する。また、(3)第3の記録モードを選択した場合、受信部11Aが受信したコンポーネントCAiのみを記録媒体13に記録する。
【0043】
このとき、通信が一時的に接続不可となり、コンポーネントCBiが取得できない状況も起こり得る。その場合、第1の記録モードについては、コンポーネントCAiのみで再生されるコンテンツCiのコンテンツデータが記録される。また、第2の記録モードについては、受信されなかったコンポーネントCBiを別途適当なタイミングで取得し、後から記録する。適当なタイミングには、通信が回復した直後に即取得する、夜間など帯域に余裕のある時間帯にまとめて取得する、クライアント(記録装置1)もしくはサーバ(配信装置2、3)が別途指定した時間帯にまとめて取得する、などが想定される。
【0044】
再生部14は、コンテンツCのリアルタイム再生と非リアルタイム再生とを行う。リアルタイム再生を行う場合、再生部14は、受信部11Aのバッファから読み出したコンポーネントCAiと受信部11Bのバッファから読み出したコンポーネントCBiとを合成することによってコンテンツCiを再生する。再生部14が合成したコンテンツCiは、表示部15と記録部12とに供給される。表示部15は、再生部14が合成したコンテンツCiを表示する。
【0045】
一方、非リアルタイム再生を行う場合、再生部14は、コンテンツCが何れの記録モードで記録されたものであるかを、記録媒体13に記録された記録モード指定情報CXを参照して特定する。そして、(1)コンテンツCが第1の記録モードで記録されたものである場合、再生部14は、記録媒体13から読み出したコンテンツデータからコンテンツCiを再生する。また、(2)コンテンツCが第2の記録モードで記録されたものである場合、再生部14は、記録媒体13から読み出したコンポーネントCAiとコンポーネントCBiとを合成することによってコンテンツCiを再生する。このとき、コンフィギュレーション情報CYの相互関係を示す情報を参照する。また、(3)コンテンツCが第3の記録モードで記録されたものである場合、記録装置1はコンフィギュレーション情報CYの配信元情報を参照してコンポーネントCBiを配信装置3に要求し、再生部14は、記録媒体13から読み出したコンポーネントCAiと、新たに受信された受信部11Bのバッファから読み出したコンポーネントCBiとを合成することによってコンテンツCiを再生する。このとき、再生部14は、コンテンツCiを再生するために参照すべきコンポーネントCAi及びコンポーネントCBiを、記録媒体13に記録されたコンフィギュレーション情報CYの相互関係を示す情報を参照して特定する。
【0046】
なお、本実施形態においては、スケーラブル符号化された動画を記録対象として例示したが、記録対象となるコンテンツはこれに限定されない。例えば、3D動画(立体視可能な動画)を記録対象とすることができる。この場合、例えば、左目用映像(主映像)を構成するコンポーネントを配信装置2からブロードキャスト配信し、右目用映像(副映像)を構成するコンポーネントを配信装置3からユニキャスト配信する構成が考えられる。また、地上波デジタル放送において実施されているように、番組映像を構成するコンポーネントを配信装置2からブロードキャスト配信し、付加情報(番組解説、類似のお勧め番組、広告、ニュース、天気予報など)を構成するコンポーネントを配信装置3からユニキャスト配信する構成を採用してもよい。
【0047】
上記のような記録対象を想定した場合、第1の記録モードは、記録後にコンポーネント単体で利用しない場合、例えば以下のような場合に適している。即ち、スケーラブル符号化映像コンテンツで、ベースレイヤデータ単体での再生を記録後不可とする場合、あるいは、リアルタイム限定の映像コンテンツで、記録後の付加情報その他の差替えを明示的に禁止しているような場合である。
【0048】
また、第2の記録モードは、記録後にもコンポーネント単体での利用を可能とする場合、例えば以下のような場合に適している。即ち、スケーラブル符号化映像コンテンツで、ベースレイヤデータ単体での再生を記録後も可能とする場合(ベースレイヤデータのみモバイル端末に持ち出すといった利用も想定に含まれる)、あるいは、コンポーネントが映像コンテンツとその関連情報(付加情報の一種)といった関係にあり、記録後に関連情報の表示/非表示を切り替えての視聴を想定する場合である。
【0049】
そして、第3の記録モードは、記録後にも再生時点でコンポーネントの差し替えを行う必要あるいは要求がある場合、例えば以下のような場合に適している。即ち、CMやトレーラなど、適切な再生コンポーネントが時間、場所に応じて変化するもので、その都度差替えるような場合である。天気などの地域情報、また、時々刻々と変わる世評情報なども差し替えコンポーネントの対象となる。
【0050】
このように、コンテンツに応じた記録モードで記録することにより、ユーザ(視聴者)又はプロバイダ(配信者)が望む状態でコンテンツを再生することが可能になる。
【0051】
また、本実施形態においては、コンポーネントCA1,CA2,…,CAnを、放送によりブロードキャスト配信する構成を採用しているが、コンポーネントCA1,CA2,…,CAnの配信形態はこれに限定されない。すなわち、コンポーネントCA1,CA2,…,CAnを、放送によりブロードキャスト配信する構成に代えて、通信によりブロードキャスト配信(一斉同報配信)する構成を採用してもよいし、通信によりマルチキャスト配信する構成を採用してもよい。要は、コンポーネントCA1,CA2,…,CAnを再取得不能な形態で配信する構成であれば、どのような構成であっても本発明を適用するメリットがある。
【0052】
また、本実施形態においては、コンポーネントCB1,CB2,…,CBnを、通信によりユニキャスト配信する構成を採用しているが、コンポーネントCB1,CB2,…,CBnの配信形態はこれに限定されない。すなわち、コンポーネントCB1,CB2,…,CBnを、通信によりユニキャスト配信する構成に代えて、通信によりマルチキャスト配信(ただし、オンデマンドなマルチキャスト配信に限る)する構成を採用してもよい。要は、コンポーネントCB1,CB2,…,CBnを再取得が可能な(非リアルタイム再生時の取得が可能な)形態で配信する構成であれば、どのような構成であっても本発明を適用する妨げとはならない。
【0053】
また、本実施形態においては、記録モード指定情報CX及びコンフィギュレーション情報CYを、コンポーネントCA1,CA2,…,CAnと共に配信装置2から配信する構成を採用しているが、記録モード指定情報CX及びコンフィギュレーション情報CYの配信形態はこれに限定されない。すなわち、記録モード指定情報CX及びコンフィギュレーション情報CYを、コンポーネントCA1,CA2,…,CAnと共に配信装置2から配信する構成に代えて、コンポーネントCB1,CB2,…,CBnと共に配信装置3から配信する構成を採用してもよいし、配信装置2及び配信装置3の何れとも異なる第3の配信装置から配信する構成を採用してもよい。ただし、コンフィギュレーション情報CYが放送(配信装置2)以外で配信される場合、記録装置1は、そのコンフィギュレーション情報CYに関連する通信(コンポーネントの配信)があることを知らなければ、コンポーネントを要求することができない。このため、このような場合には、放送(配信装置2)から通信を開始するトリガを別途送信する構成としてもよい。また、それぞれ別々に、コンフィギュレーション情報CYを配信装置2から、記録モード指定情報CXを配信装置3から配信するとしてもよいし、その逆でもよい。また、記録モード指定情報CX、及びコンフィギュレーション情報CYを配信するタイミングに関しても、コンポーネントCA1,CA2,…,CAn,CB1,CB2,…,CBnの配信タイミングに縛られるものではない。即ち、コンポーネントCA1,CA2,…,CAn,CB1,CB2,…,CBnの配信に先立って記録モード指定情報CX、コンフィギュレーション情報CYのいずれか、もしくはいずれもが事前に配信されて、しかる後にコンポーネントCA1,CA2,…,CAn,CB1,CB2,…,CBnが配信される形態をとってもよい。
【0054】
〔第2の実施形態〕
本発明の第2の実施形態(以下、「本実施形態」と記載)に係る記録装置20について、図2を参照して説明する。図2は、本実施形態に係る記録装置20の構成を示すブロック図である。なお、上記実施形態と同様の構成については同一の参照番号を付し、その説明を省略する。
【0055】
記録装置20は、第1の実施形態と同様、複数のコンポーネントからなるコンテンツCを記録する記録装置である。これらのコンポーネントは、第1の実施形態と同様、配信装置2及び配信装置3の何れかより配信される。以下、これらのコンポーネントのうち、配信装置2から配信されるものをコンポーネントCA1,CA2,…と記載し、配信装置3から配信されるものをコンポーネントCB1,CB2,…と記載する。
【0056】
コンテンツCは、第1の実施形態と同様、スケーラブル符号化された動画である。本実施形態においても、ベースレイヤを構成するコンポーネントCA1,CA2,…,CAnが配信装置2から配信され、エンハンスメントレイヤを構成するコンポーネントCB1,CB2,…,CBnが配信装置3から配信される。ここで、コンポーネントCAiは、期間Tiに対応するベースレイヤであり、コンポーネントCBiは期間Tiに対応するエンハンスメントレイヤである。
【0057】
本実施形態に係る記録装置20は、コンテンツCをリアルタイム再生する際に再生品質のアダプテーションを行う。すなわち、利用可能な通信帯域の帯域幅が予め定められた閾値以上であるときには、コンポーネントCAi及びコンポーネントCBiの両方を取得することによってコンテンツCiを高品質再生する。一方、利用可能な通信帯域の帯域幅が予め定められた帯域幅以下であるときには、コンポーネントCAiのみを取得することによってコンテンツCiを低品質再生する。これは期間Tiごとに判断され処理される。これにより、利用可能な通信帯域の帯域幅が変動した場合であっても、コンテンツCの再生が途切れない。このCAi、CBiの対応関係を示すのがコンフィグレーション情報CYであり、記録装置20は、リアルタイム受信時あるいはそれ以前の任意の時点でコンフィギュレーション情報CYを受信し、コンフィグレーション情報CYに基づいてCAi、CBiの両方を取得するか、CAiのみを取得するか(CBiの要求を中止するか)を決定する。
【0058】
配信装置2は、コンポーネントCA1,CA2,…,CAnをブロードキャスト配信する配信装置である。各コンポーネントCAiの配信は、記録装置20からの要求無しに、配信装置2が決定したタイミングで行われる。すなわち、記録装置20が各コンポーネントCAiを取得し得るタイミングは、配信装置2が該コンポーネントCAiをブロードキャスト配信するタイミングに限られる。なお、本実施形態において、コンポーネントCA1,CA2,…,CAnのブロードキャスト配信は、TCP/IP通信などの通信により実現されるものとする。
【0059】
配信装置3は、コンポーネントCB1,CB2,…,CBnをユニキャスト配信する配信装置である。各コンポーネントCBiの配信は、記録装置20からの要求に応じて行われる。この要求は、コンフィギュレーション情報CYに基づいて決定され、リアルタイム再生時、または記録後の任意のタイミングで生起される。即ち、コンフィグレーション情報CYには、リアルタイム再生時及び記録後にコンポーネントCBiを要求可能な配信装置3を示す情報が含まれる。本実施形態において、コンポーネントCB1,CB2,…,CBnのユニキャスト配信は、TCP/IP通信などの通信により実現されるものとする。
【0060】
なお、図2では、配信装置2、配信装置3を別の装置として図示したが、単一の配信装置がコンポーネントCA1,CA2,…,CAn,CB1,CB2,…,CBnを配信する構成でもよい。
【0061】
記録装置20は、コンテンツCを2つの記録モードの何れかで記録する。第1の記録モードは、合成後のコンテンツCを表すコンテンツデータを記録するモードである。本実施形態では、再生品質のアダプテーションが行われるため、合成後のコンテンツCには、高品質再生可能な期間Ti(コンポーネントCBiの取得/記録を実行した期間に対応)と高品質再生不能な期間Tj(コンポーネントCBjの取得/記録を中止した期間に対応)とが混在する。第2の記録モードは、合成前のコンポーネントCA1,CA2,…,CAn及びコンポーネントCB1,CB2,…,CBnを個別に記録するモードである。ただし、アダプテーションにより取得を中止したコンポーネントCBiは、記録媒体13に記録されず、非リアルタイム再生時に受信部21によって取得される。以下、第1の記録モードのことを「コンテンツ記録方式」(第1の記録方式)とも記載する。また、第2の記録モードのことを「コンポーネント記録方式」(第2の記録方式)とも記載する。
【0062】
本実施形態においては、記録装置20が選択すべき記録モードを指定する記録モード指定情報CXが、コンポーネントCA1,CA2,…,CAnと共に配信装置2から配信される。記録装置20は、この記録モード指定情報CXを参照することによって、コンテンツCを記録する際の記録モードを選択する。また、コンポーネントCA1,CA2,…,CAn,CB1,CB2,…,CBn間の相互関係を示すコンフィギュレーション情報CYが、コンポーネントCA1,CA2,…,CAnと共に配信装置2から配信される。記録装置20は、このコンフィギュレーション情報CYを参照することによって、コンテンツCiを再生するために参照すべきコンポーネントがCAiとCBiであることを知る。
【0063】
記録装置20は、図2に示すように、受信部21、記録部22、記録媒体13、再生部24、及び表示部15、を備えている。なお、本実施形態においては、記録媒体13及び表示部15を記録装置20に内蔵する構成を採用しているが、これに限定されない。すなわち、記録装置20に内蔵された記録媒体13及び表示部15に代えて、記録装置20に着脱可能な記録媒体及びディスプレイを用いてもよい。
【0064】
受信部21は、配信装置2から配信されたコンポーネントCA1,CA2,…,CAnを取得するため、及び、配信装置3から配信されたコンポーネントCB1,CB2,…,CBnを取得するための手段であり、例えば、無線LANモジュールである。受信部21は、不図示のバッファを備えており、受信したコンポーネントCAiおよびCBiは、一定期間、このバッファに蓄積される。また、受信部21は、配信装置2から記録モード指定情報CX及びコンフィギュレーション情報CYを受信する。なお、記録モード指定情報CXがコンフィギュレーション情報CYに含まれている場合には、記録モード指定情報CXを含むコンフィギュレーション情報CYを受信する。つまり、記録モード指定情報CXとコンフィギュレーション情報CYは一体のデータとして受信してもよい。受信部21が受信した記録モード指定情報CXは、記録部22に供給されると共に、非リアルタイム再生時の参照に備えて記録媒体13に記録される。また、受信部21が受信したコンフィギュレーション情報CYは、記録モード指定情報CXによって第1の記録モードが指定されている場合を除き、非リアルタイム再生時の参照に備えて記録媒体13に記録される。
【0065】
なお、受信部21がコンポーネントCBiを取得するタイミングは、コンテンツCiを受信しリアルタイム再生するタイミング、及び、第2の記録モードで記録されたコンテンツCiが非リアルタイム再生されるタイミングである。
【0066】
記録部22は、コンテンツCを何れの記録モードで記録するかを、受信部21から供給された記録モード指定情報CXを参照して選択する。そして、(1)第1の記録モードを選択した場合、再生部24が再生したコンテンツCを表すコンテンツデータを記録媒体13に記録する。また、(2)第2の記録モードを選択した場合、受信部21が受信したコンポーネントCAi及びコンポーネントCBiを記録媒体13に記録する。ただし、アダプテーションによってコンポーネントCBiの取得が中止された場合には、コンポーネントCAiのみを記録媒体13に記録する。なお、図2では、第2の記録モードを指定する記録モード指定情報CXと共に、コンポーネントCAiおよびコンポーネントCBiの両方、またはCAiのみを記録する記載としているが、これは、同一の期間Tiに対しては、コンポーネントCAiおよびコンポーネントCBiの両方、またはCAiのみが記録される、ということを示している。アダプテーションを行った場合には、コンポーネントCAiおよびコンポーネントCBiの両方が記録された期間と、CAiのみ記録された期間とが生じ、期間それぞれでのコンポーネントがコンテンツの総再生期間に亘って記録される。
【0067】
再生部24は、コンテンツCのリアルタイム再生と非リアルタイム再生とを行う。リアルタイム再生を行う場合、再生部24は、受信部21のバッファから読み出したコンポーネントCAiとコンポーネントCBiとを合成することによってコンテンツCiを高品質再生する。ただし、アダプテーションによってコンポーネントCBiの取得が中止された期間には、受信部21のバッファから読み出したコンポーネントCAiのみからコンテンツCiを低品質再生する。再生部24が合成したコンテンツCiは、表示部15と記録部22とに供給される。表示部15は、再生部24が合成したコンテンツCiを表示する。
【0068】
一方、非リアルタイム再生を行う場合、再生部24は、コンテンツCが何れの記録モードで記録されたものであるかを、記録媒体13に記録された記録モード指定情報CXを参照して特定する。そして、(1)コンテンツCが第1の記録モードで記録されたものである場合、再生部24は、記録媒体13から読み出したコンテンツデータからコンテンツCiを再生する。また、(2)コンテンツCが第2の記録モードで記録されたものである場合、再生部24は、記録媒体13から読み出したコンポーネントCAiとコンポーネントCBiとを合成することによってコンテンツCiを高品質再生する。コンポーネントCBiが記録媒体13に記録されていない期間(すなわち、アダプテーションによってコンポーネントCBiの取得が中止された期間)には、配信装置3にコンポーネントCBiを要求し、受信部21がこれを受信する。そして、この受信部21のバッファから読み出したコンポーネントCBiと、記録媒体13から読み出したコンポーネントCAiとを合成することによってコンテンツCiを高品質再生する。なお、再生部24は、コンテンツCiを再生するために参照すべきコンポーネントCAi及びコンポーネントCBiを、記録媒体13に記録されたコンフィギュレーション情報CYを参照して特定する。
【0069】
非リアルタイム再生時において取得の必要が生じるコンポーネントは、コンポーネントCBiのみである。仮に非リアルタイム再生時点で通信帯域の帯域幅が狭いことが想定される場合には、非リアルタイム再生の事前の通信帯域の帯域幅に余裕がある時点で、もしくは事前に必要な通信時間をかけて取得しておくことで、非リアルタイム再生時に支障が生じることを回避することができる。例えば、必要な帯域幅が確保可能となったときに取得してもよいし、帯域幅に余裕がある可能性の高い夜間などに取得してもよい。また、配信装置2または3、あるいは記録装置20が取得の時間帯を指定してもよい。
【0070】
なお、本実施形態においては、スケーラブル符号化された動画を記録対象として例示したが、記録対象となるコンテンツはこれに限定されない。例えば、3D動画伝送において帯域が狭まった際に、受信を左目用映像(主映像)のみとし右目用映像(副映像)の配信を一時的に止めたり、映画映像に監督のコメンタリ映像がピクチャインピクチャ表示されるといった配信連動の付加サービスにおいて、帯域が狭まった場合にコメンタリ映像(付加映像)の配信を一時的に止めたり、といった利用形態での適用が考えられる。
【0071】
また、本実施形態においては、配信装置2が、コンポーネントCA1,CA2,…,CAnを、通信によりブロードキャスト配信する構成を採用しているが、コンポーネントCA1,CA2,…,CAnの配信形態はこれに限定されない。すなわち、コンポーネントCA1,CA2,…,CAnを、通信によりブロードキャスト配信する構成に代えて、通信によりマルチキャスト配信する構成を採用してもよいし、放送によりブロードキャスト配信する構成を採用してもよい。要は、コンポーネントCA1,CA2,…,CAn,CB1,CB2,…,CBnをアダプテーション可能な形態で配信する構成であれば、どのような構成であっても本発明を適用するメリットがある。
【0072】
また、本実施形態においては、配信装置3が、コンポーネントCB1,CB2,…,CBnを、通信によりユニキャスト配信する構成を採用しているが、コンポーネントCB1,CB2,…,CBnの配信形態はこれに限定されない。すなわち、コンポーネントCB1,CB2,…,CBnを、通信によりユニキャスト配信する構成に代えて、通信によりマルチキャスト配信(ただし、オンデマンドなマルチキャスト配信に限る)する構成を採用してもよい。要は、コンポーネントCB1,CB2,…,CBnを再取得が可能な(非リアルタイム再生時の取得が可能な)形態で配信する構成であれば、どのような構成であっても本発明を適用する妨げとはならない。
【0073】
また、本実施形態においては、記録モード指定情報CX及びコンフィギュレーション情報CYを、コンポーネントCA1,CA2,…,CAnと共に配信装置2から配信する構成を採用しているが、記録モード指定情報CX及びコンフィギュレーション情報CYの配信形態はこれに限定されない。すなわち、記録モード指定情報CX及びコンフィギュレーション情報CYを、配信装置3から配信する構成を採用してもよいし、配信装置2及び配信装置3の何れとも異なる第3の配信装置から配信する構成を採用してもよい。それぞれ別々に、コンフィギュレーション情報CYを配信装置2から、記録モード指定情報CXを配信装置3から配信するとしてもよいし、その逆でもよい。記録モード指定情報CX、及びコンフィギュレーション情報CYを配信するタイミングに関しても、コンポーネントCA1,CA2,…,CAn,CB1,CB2,…,CBnの配信タイミングに縛られるものではない。即ち、コンポーネントCA1,CA2,…,CAn,CB1,CB2,…,CBnの配信に先立って記録モード指定情報CX、コンフィギュレーション情報CYのいずれか、もしくはいずれもが事前に配信されて、しかる後にコンポーネントCA1,CA2,…,CAn,CB1,CB2,…,CBnが配信される形態をとってもよい。
【0074】
〔第3の実施形態〕
本発明の第3の実施形態(以下、「本実施形態」と記載)に係る記録装置30について、図3を参照して説明する。図3は、本実施形態に係る記録装置30の構成を示すブロック図である。なお、上記実施形態と同様の構成については同一の参照番号を付し、その説明を省略する。
【0075】
記録装置30は、第2の実施形態の記録装置20と同様に、複数のコンポーネントからなるコンテンツCを記録する記録装置であって、コンテンツCをリアルタイム再生する際に再生品質のアダプテーションを行う。
【0076】
コンテンツCを構成するコンポーネントCA,CBは、第1の実施形態と異なり、同じコンテンツに対して圧縮率の異なる、即ち再生品質の異なるコンポーネントである。このとき、圧縮率の高い(再生品質の低い)コンポーネントCA1,CA2,…,CAnが配信装置2から配信され、圧縮率の低い(再生品質の高い)コンポーネントCB1,CB2,…,CBnが配信装置2及び配信装置3から配信される。ここで、コンポーネントCAiは、期間Tiに対応する圧縮率の高い、即ち低ビットレートの、低再生品質のコンポーネントであり、コンポーネントCBiは期間Tiに対応する圧縮率の低い、即ち高ビットレートの、高再生品質のコンポーネントである。
【0077】
本実施形態に係る記録装置30は、配信装置2からコンテンツCをリアルタイム受信し再生する際に再生品質のアダプテーションを行う。すなわち、利用可能な通信帯域の帯域幅が予め定められた閾値以上であるときには、高ビットレートのコンポーネントCBiを取得することによってコンテンツCiを高品質再生する。一方、利用可能な通信帯域の帯域幅が予め定められた帯域幅以下であるときには、低ビットレートのコンポーネントCAiを取得することによってコンテンツCiを低品質再生する。これは期間Tiごとに判断され処理される。これにより、利用可能な通信帯域の帯域幅が変動した場合であっても、コンテンツCの再生が途切れない。このCAi、CBiの対応関係を示すのがコンフィグレーション情報CYであり、記録装置30は、リアルタイム受信時あるいはそれ以前の任意の時点でコンフィギュレーション情報CYを受信し、コンフィグレーション情報CYに基づいてCAi、CBiの何れを要求するかを決定する。
【0078】
配信装置2は、コンポーネントCA1,CA2,…,CAn及びコンポーネントCB1,CB2,…,CBnをユニキャスト配信する配信装置である。各コンポーネントCAi、CBiの配信は、記録装置30からの要求に応じて行われる。この要求は、コンフィギュレーション情報CYに基づいて決定され、リアルタイム再生時点で生起される。このため、コンフィグレーション情報CYには、リアルタイム再生時にコンポーネントCAiあるいはCBiを要求可能な配信装置2を示す情報(コンポーネントCAiあるいはCBiの配信元を示す情報)が含まれる。本実施形態において、コンポーネントCA1,CA2,…,CAn,CB1,CB2,…,CBnのユニキャスト配信は、TCP/IP通信などの通信により実現されるものとする。
【0079】
配信装置3は、コンポーネントCB1,CB2,…,CBnをユニキャスト配信する配信装置である。各コンポーネントCBiの配信は、記録装置30からの要求に応じて行われる。この要求は、コンフィギュレーション情報CYに基づいて決定され、リアルタイム再生記録後の任意のタイミングで生起される。即ち、コンフィグレーション情報CYには、記録後にコンポーネントCBiを要求可能な配信装置3を示す情報(コンポーネントCBiの配信元を示す情報)が含まれる。本実施形態において、コンポーネントCB1,CB2,…,CBnのユニキャスト配信は、TCP/IP通信などの通信により実現されるものとする。
【0080】
なお、図3では、配信装置2、配信装置3を別の装置として図示したが、単一の配信装置がコンポーネントCA1,CA2,…,CAn,CB1,CB2,…,CBnを適宜ユニキャスト配信する構成でもよい。即ち、配信装置2がリアルタイム再生時点での配信とリアルタイム再生記録後の配信とを兼ねる構成でもよい。
【0081】
記録装置30は、コンテンツCを2つの記録モードの何れかで記録する。第1の記録モードは、リアルタイム再生時点で受信したコンテンツCを表すコンテンツデータを記録し、コンフィグレーション情報CYを記録しないモードである。本実施形態では、再生品質のアダプテーションが行われるため、リアルタイム受信されたコンテンツCには、高品質再生可能な期間Ti(コンポーネントCBiの取得/記録を実行した期間に対応)と高品質再生不能な期間Tj(コンポーネントCAjの取得/記録を実行した期間に対応)とが混在する。更に、第1の記録モードでは、受信されたCA,CBのコンポーネントを記録後に区別しないため、コンポーネントデータを連結させた状態で記録するか、もしくは再生部34で再生後に再変換したコンテンツCのデータとして記録することも可能である。第2の記録モードは、リアルタイム受信したコンポーネントCA1,CA2,…,CAn及びコンポーネントCB1,CB2,…,CBnを(期間TiではCAiおよびCBiのいずれかを)個別に記録し、かつコンフィグレーション情報CYを共に記録するモードである。アダプテーションにより取得できなかった高ビットレートのコンポーネントCBiは、記録媒体13に記録されず(その場合CAiが記録されている)、非リアルタイム再生時にコンフィグレーション情報CYを参照して受信部31によって取得される。以下、第1の記録モードのことを「コンテンツ記録方式」(第1の記録方式)とも記載する。また、第2の記録モードのことを「コンポーネント記録方式」(第2の記録方式)とも記載する。
【0082】
本実施形態においては、記録装置30が選択すべき記録モードを指定する記録モード指定情報CXが、コンポーネントCA1,CA2,…,CAn,CB1,CB2,…,CBnと共に配信装置2から配信される。記録装置30は、この記録モード指定情報CXを参照することによって、コンテンツCを記録する際の記録モードを選択する。また、コンポーネントCA1,CA2,…,CAn,CB1,CB2,…,CBn間の相互関係を示すコンフィギュレーション情報CYが、コンポーネントCA1,CA2,…,CAn,CB1,CB2,…,CBnと共に配信装置2から配信される。記録装置30は、このコンフィギュレーション情報CYを参照することによって、コンテンツCiを再生するために参照すべきコンポーネントがCAiとCBi(CAiあるいはCBi)であることを知る。
【0083】
記録装置30は、図3に示すように、受信部31、記録部32、記録媒体13、再生部34、及び表示部15、を備えている。なお、本実施形態においては、記録媒体13及び表示部15を記録装置30に内蔵する構成を採用しているが、これに限定されない。すなわち、記録装置30に内蔵された記録媒体13及び表示部15に代えて、記録装置30に着脱可能な記録媒体及びディスプレイを用いてもよい。
【0084】
受信部31は、配信装置2から配信されたコンポーネントCA1,CA2,…,CAn,CB1,CB2,…,CBnを取得するため、及び、配信装置3から配信されたコンポーネントCB1,CB2,…,CBnを取得するための手段であり、例えば、無線LANモジュールである。受信部31は、不図示のバッファを備えており、受信したコンポーネントCAiまたはCBiは、一定期間、このバッファに蓄積される。また、受信部31は、配信装置2から記録モード指定情報CX及びコンフィギュレーション情報CYを受信する。このとき、記録モード指定情報CXがコンフィギュレーション情報CYに含まれて、記録モード指定情報CXを含むコンフィギュレーション情報CYを受信するとしてもよい。受信部31が受信した記録モード指定情報CXは、記録部32に供給されると共に、非リアルタイム再生時の参照に備えて記録媒体13に記録される。また、受信部31が受信したコンフィギュレーション情報CYは、記録モード指定情報CXによって第1の記録モードが指定されている場合を除き、非リアルタイム再生時の参照に備えて記録媒体13に記録される。
【0085】
なお、受信部31がコンポーネントCBiを取得するタイミングは、コンテンツCiを受信しリアルタイム再生するタイミング(配信装置2から取得)、及び、第2の記録モードで記録されたコンテンツCiが非リアルタイム再生されるタイミング(配信装置3から取得)である。
【0086】
記録部32は、コンテンツCを何れの記録モードで記録するかを、受信部31から供給された記録モード指定情報CXを参照して選択する。そして、(1)第1の記録モードを選択した場合、再生部34が再生したコンテンツCを表すコンテンツデータを記録媒体13に記録する。(上述したように、受信したコンポーネントCAi、CBjを単純に連結したデータであることもあり得る。)また、(2)第2の記録モードを選択した場合、受信部31が受信したコンポーネントCAiまたはコンポーネントCBiを、別個の状態のまま、コンフィギュレーション情報CYと共に記録媒体13に記録する。なお、図3では、第2の記録モードを指定する記録モード指定情報CXと共に、コンポーネントCAiおよびコンポーネントCBiのいずれかを記録する記載としているが、これは、同一の期間Tiに対しては、コンポーネントCAiおよびコンポーネントCBiのいずれかが記録される、ということを示している。アダプテーションを行った場合には、コンポーネントCAiが記録された期間と、コンポーネントCBiが記録された期間とが生じ、期間それぞれでのコンポーネントがコンテンツの総再生期間に亘って記録される。
【0087】
再生部34は、コンテンツCのリアルタイム再生と非リアルタイム再生とを行う。リアルタイム再生を行う場合、再生部34は、受信部31のバッファから読み出したコンポーネントCBiから、コンテンツCiを高品質再生する。アダプテーションによってコンポーネントCAiを取得した期間では、受信部31のバッファから読み出したコンポーネントCAiからコンテンツCiを低品質再生する。再生部34が合成したコンテンツCiは、表示部15と記録部32とに供給される。表示部15は、再生部34が合成したコンテンツCiを表示する。
【0088】
一方、非リアルタイム再生を行う場合、再生部34は、コンテンツCが何れの記録モードで記録されたものであるかを、記録媒体13に記録された記録モード指定情報CXを参照して特定する。そして、(1)コンテンツCが第1の記録モードで記録されたものである場合、再生部34は、記録媒体13から読み出したコンテンツデータからコンテンツCiを再生する。また、(2)コンテンツCが第2の記録モードで記録されたものである場合、再生部34は、記録媒体13から読み出したコンテンツCiのコンポーネントについて、コンポーネントCBiが記録されている期間は記録されたコンポーネントCBiでコンテンツCiを高品質再生する。コンポーネントCBiが記録媒体13に記録されていない期間(すなわち、アダプテーションによってコンポーネントCAiが取得され、記録された期間)には、配信装置3にコンポーネントCBiを要求し、新たに受信された受信部31のバッファから読み出したコンポーネントCBiを用いることによってコンテンツCiを高品質再生する。なお、再生部34は、コンテンツCiを再生するために参照すべきコンポーネントCBiおよびこのコンポーネントの配信元を、記録媒体13に記録されたコンフィギュレーション情報CYを参照して特定する。
【0089】
非リアルタイム再生時において取得の必要が生じるコンポーネントは、コンポーネントCBiのみである。仮に非リアルタイム再生時点で通信帯域の帯域幅が狭いことが想定される場合には、非リアルタイム再生の事前の通信帯域の帯域幅に余裕がある時点で、もしくは事前に必要な通信時間をかけて取得しておくことで、非リアルタイム再生時に支障が生じることを回避することができる。例えば、必要な帯域幅が確保可能となったときに取得してもよいし、帯域幅に余裕がある可能性の高い夜間などに取得してもよい。また、配信装置2または3、あるいは記録装置30が取得の時間帯を指定してもよい。
【0090】
なお、本実施形態においては、異なる圧縮率の、ビットレートの異なる符号化データによってアダプテーション配信される動画を記録対象として例示したが、記録対象となるコンテンツはこれに限定されない。例えば、誤り耐性が低くビットレートの高い放送(例えばフルセグ放送)と、誤り耐性が高くビットレートの低い放送(例えばワンセグ放送)とにより同時配信されるコンテンツを記録対象としてもよい。この場合、受信感度が予め定められた閾値を超えるときに前者の放送を受信し、受信感度が予め定められた閾値以下であるときに後者の放送を受信することによって、再生品質のアダプテーションを実現することができる。後者の放送により配信されるコンポーネントが通信によっても配信される場合には、受信感度が予め定められた閾値以下であるときに後者の放送により配信されるコンポーネントを通信によって取得するように切り替えることによって、再生品質のアダプテーションを実現してもよい。そして、第2の記録モードが選択された場合に、放送または通信で受信された誤り耐性が高くビットレートの低いコンポーネントが、新たに要求し通信にて取得された誤り耐性が低くビットレートの高いコンポーネントに置き換えられて、非リアルタイム再生される。その他、一対の映像、音声のみが多重化された低品質コンポーネントCA1,CA2,…,CAnと、複数の映像(主映像、付加映像など)、複数の音声(主音声、副音声など)または多種の関連データが共に多重化された高品質コンポーネントCB1,CB2,…,CBnとが用意されて、帯域の変動によって適宜アダプテーション配信されるような利用形態においても、本実施形態が適用可能である。
【0091】
また、本実施形態においては、配信装置2が、コンポーネントCA1,CA2,…,CAn,CB1,CB2,…,CBnを、通信によりユニキャスト配信する構成を採用しているが、コンポーネントCA1,CA2,…,CAn,CB1,CB2,…,CBnの配信形態はこれに限定されない。すなわち、コンポーネントCA1,CA2,…,CAn,CB1,CB2,…,CBnを、通信によりユニキャスト配信する構成に代えて、通信によりマルチキャスト配信する構成を採用してもよいし、放送によりブロードキャスト配信する構成を採用してもよい。要は、コンポーネントCA1,CA2,…,CAn,CB1,CB2,…,CBnをアダプテーション可能な形態で配信する構成であれば、どのような構成であっても本発明を適用するメリットがある。
【0092】
また、本実施形態においては、配信装置3が、コンポーネントCB1,CB2,…,CBnを、通信によりユニキャスト配信する構成を採用しているが、コンポーネントCB1,CB2,…,CBnの配信形態はこれに限定されない。すなわち、コンポーネントCB1,CB2,…,CBnを、通信によりユニキャスト配信する構成に代えて、通信によりマルチキャスト配信(ただし、オンデマンドなマルチキャスト配信に限る)する構成を採用してもよい。要は、コンポーネントCB1,CB2,…,CBnを再取得が可能な(非リアルタイム再生時の取得が可能な)形態で配信する構成であれば、どのような構成であっても本発明を適用する妨げとはならない。
【0093】
また、本実施形態においては、記録モード指定情報CX及びコンフィギュレーション情報CYを、コンポーネントCA1,CA2,…,CAn,CB1,CB2,…,CBnと共に配信装置2から配信する構成を採用しているが、記録モード指定情報CX及びコンフィギュレーション情報CYの配信形態はこれに限定されない。すなわち、記録モード指定情報CX及びコンフィギュレーション情報CYを、配信装置3から、あるいは配信装置2及び配信装置3の何れとも異なる第3の配信装置から配信する構成を採用してもよい。それぞれ別々に、コンフィギュレーション情報CYを配信装置2から、記録モード指定情報CXを配信装置3から配信するとしてもよいし、その逆でもよい。記録モード指定情報CX、及びコンフィギュレーション情報CYを配信するタイミングに関しても、コンポーネントCA1,CA2,…,CAn,CB1,CB2,…,CBnの配信タイミングに縛られるものではない。即ち、コンポーネントCA1,CA2,…,CAn,CB1,CB2,…,CBnの配信に先立って記録モード指定情報CX、コンフィギュレーション情報CYのいずれか、もしくはいずれもが事前に配信されて、しかる後にコンポーネントCA1,CA2,…,CAn,CB1,CB2,…,CBnが配信される形態をとってもよい。
【0094】
〔第4の実施形態〕
本発明の第4の実施形態(以下、「本実施形態」と記載)に係る記録装置40について、図4を参照して説明する。図4は、本実施形態に係る記録装置40の構成を示すブロック図である。なお、上記実施形態と同様の構成については同一の参照番号を付し、その説明を省略する。
【0095】
記録装置40は、第1の実施形態と同様、複数のコンポーネントからなるコンテンツCを記録する記録装置である。ただし、記録モード指定情報CXのみに基づいて記録モードを選択するのではなく、(1)自身の判断を加味して、(2)自身の判断のみに基づいて、(3)ユーザの指定に従って、あるいは(4)事前の設定に従って記録モードを選択する。
【0096】
上記複数のコンポーネントは、第1の実施形態と同様、配信装置2及び配信装置3の何れかより配信される。以下、これらのコンポーネントのうち、配信装置2から配信されるものをコンポーネントCA1,CA2,…と記載し、配信装置3から配信されるものをコンポーネントCB1,CB2,…と記載する。
【0097】
コンテンツCは、第1の実施形態と同様、スケーラブル符号化された動画である。本実施形態においても、ベースレイヤを構成するコンポーネントCA1,CA2,…,CAnが配信装置2から配信され、エンハンスメントレイヤを構成するコンポーネントCB1,CB2,…,CBnが配信装置3から配信される。ここで、コンポーネントCAiは、期間Tiに対応するベースレイヤであり、コンポーネントCBiは期間Tiに対応するエンハンスメントレイヤである。
【0098】
記録装置40は、図4に示すように、受信部11A、11B、記録部42、記録媒体13、再生部44、及び表示部15、を備えている。
【0099】
記録部42は、受信部11から供給された記録モード指定情報CXに従った記録モードでコンテンツCを記録することが可能か判定する。具体的には、自身のスペック(処理能力や蓄積許容量など)や通信環境(帯域幅や受信感度など)などに基づいて、この判定を行う。そして、可能であると判定した場合には、記録モード指定情報CXにより指定された記録モードでコンテンツCを記録する。一方、不可能であると判定した場合には、記録モード指定情報CXにより指定された記録モードとは異なる記録モードを選択する。
【0100】
例えば、第1の実施形態において、記録モード指定情報CXにより第1の記録モードが指定されていた場合であっても、コンポーネントCAi及びコンポーネントCBiの両方を受信することが不可能であると判断した場合には、第3の記録モードでコンテンツCを記録する。これにより、リアルタイム再生において、コンテンツCの高品質再生を行うことができない場合であっても、非リアルタイム再生において、コンテンツCの高品質再生を行うことができる。
【0101】
具体的には、記録モード指定情報により第1の記録モードが指定されていた場合であっても、記録媒体13の残存記録容量が予め定めた規定値以下のとき(あるいは、CAi、CBi全てのコンポーネントを記録するには容量不足で記録不可のとき)には、記録モード指定情報で指定された形式(第1の実施形態におけるコンテンツ記録形式)では記録せず、コンポーネントCAi及びコンフィギュレーション情報CYのみを記録する形式(第1の実施形態におけるコンポーネント記録形式、より詳細には第3の記録モード)に切り替える。また、通信環境に関しては、通信が一時的に接続不可となった場合に、記録モード指定情報で指定された形式(コンテンツ記録形式)では記録せず、放送で送られたコンポーネントCAi及びコンフィギュレーション情報CYのみを記録する形式(コンポーネント記録形式)に切り替える。
【0102】
これらの具体例では、いずれも、コンポーネントCAi及びコンフィギュレーション情報CYのみをコンポーネント記録形式として記録したこと(第3の記録モードで記録したこと)を処理情報Pとして記録する。この処理情報Pは、記録モード指定情報CXと同一形式の情報としてもよい。
【0103】
また、記録部42は、ユーザの入力操作に従って記録形式を変更する。例えば、記録モード指定情報CXでコンポーネント記録形式が指定されているとき、ユーザが、記録後にコンポーネント別の再生を行うという用途がない(ベースレイヤCAiのみで再生する用途はない)と判断し、図示しない入力部を介して一本化したコンテンツ記録形式(第1の記録モード)を指定した場合には、記録モード指定情報CXにかかわらず、この指定に従って記録を行う。この場合、第1の記録モードとしたことにより、コンフィグレーション情報や各コンポーネントに付随の管理情報等が不要になり、記録されるデータ量が削減されるメリットがある。なお、この場合、第1の記録モードで記録したことを処理情報Pとして記録する。上記と同じく、処理情報Pは記録モード指示情報CXと同一形式の情報としてもよい。
【0104】
同様に、記録モード指定情報CXによって、第1の実施形態における第2の記録モード(コンポーネント記録形式のうち、CAiおよびCBiの両方を記録するモード)が指定されていない場合に、第2の記録モードで記録したときには、第2の記録モードで記録したことを示す処理情報Pを記録する。
【0105】
また、予めユーザの好みに合わせた(あるいはデフォルト設定の)記録モードを記録装置40内に登録(記録媒体13に記録)しておき、記録部42が配信されてきたコンポーネントを記録する際に、予め登録された記録モードを選択するとしてもよい。
【0106】
記録部42は、記録モード指定情報が取得できない場合などには、記録部42の判断のみに基づいて記録モードを選択してもよい。例えば、記録装置40のスペック(処理能力や蓄積許容量)、通信環境(帯域幅や受信感度)、コンポーネントに付された属性情報、コンフィギュレーション情報などから、適当な記録モードを選択してもよい。また、予めユーザの好みに合わせた(あるいはデフォルト設定の)記録モードを登録しておき、記録モード指定情報が取得できない場合にあらかじめ登録された記録モードを選択するといった動作をさせてもよい。
【0107】
再生部44は、第1の実施形態の再生部14と同様にして、コンテンツCのリアルタイム再生と非リアルタイム再生とを行う。ただし、本実施形態では、記録部42が処理情報Pを記録する構成である。このため、再生部44は、処理情報Pが記録媒体13に記録されている場合にはこれを参照して記録されているコンテンツの形式を確認し、合成後のコンテンツデータCi、あるいはコンポーネント情報CYを参照してコンテンツCiを再生するために参照すべきコンポーネントCAi及びコンポーネントCBiを特定する。
【0108】
なお、このように、記録モード指定情報により指定された記録モードとは異なる記録モードを選択し得るように記録装置40を構成する場合には、選択した記録モードを示す記録モード情報を記録装置40から配信装置3(及び/あるいは配信装置2)にアップロードする構成を併せて採用するとよい。記録モード情報は処理情報Pであってもよい。これにより、配信装置3(及び/あるいは配信装置2)は、記録装置40が既に記録したコンポーネントに補充可能なコンポーネントの有無を判断し、補充可能なコンポーネントを適当なタイミング又は再生のタイミングで再配信することが可能になる。適当なタイミングは、例えば上記判断を行ったタイミングであってもよいし、配信装置3(配信装置2)が設定した時間帯であってもよいし、夜間など帯域に余裕のある時間帯であってもよい。また、記録装置40が時間帯を指定してもよい。要は、配信装置3(配信装置2)あるいは記録装置40が適当と判断できるタイミングであればよい。なお、図4の配信装置2は放送による配信を想定しており、個々の記録装置40の要求に個別に対応してコンポーネントの配信を行うものではないが、本実施形態では、配信装置2が個々の記録装置40から(通信等別経路を通して)送られてきた処理情報Pを集計し、補充要求の高いコンポーネントを割り出した上で、放送波を使って再配信(再放送)する、といった形態を実施形態の1つの例として想定している。また、再生のタイミングでの再配信は、例えば、記録装置40が非リアルタイム再生時に配信装置3に要求を出すときに、具体的なコンポーネントの要求ではなく、記録した際の処理情報Pを送信して、配信装置3に送信するコンポーネントを判断させることによって実現可能である。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本発明は、ハイブリッド伝送されるコンテンツの記録に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0110】
1,20,30,40 記録装置
11A,11B,21,31 受信部(取得手段)
12,22,32,42 記録部(選択手段、記録手段)
13 記録媒体
14,24,34,44 再生部
15 表示部
2,3 配信装置
C,Ci コンテンツ
CA1,CA2,… コンポーネント
CB1,CB2,… コンポーネント
CX 記録モード指定情報(記録方式指定情報)
CY コンフィギュレーション情報(相互関係情報)
P 処理情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツを構成する複数のコンポーネントを取得する取得手段と、
上記コンテンツを記録する記録方式を選択する選択手段と、
上記選択手段が第1の記録方式を選択した場合、上記複数のコンポーネントを一体化して記録し、上記選択手段が第2の記録方式を選択した場合、上記複数のコンポーネントの各々を個別に記録する記録手段と、を備えている、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項2】
上記取得手段は、上記コンテンツの記録方式を指定する記録方式指定情報を更に取得し、
上記選択手段は、上記記録方式指定情報によって指定された記録方式を選択する、
ことを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
上記取得手段は、上記複数のコンポーネントの間の相互関係を示す相互関係情報であって、上記コンテンツを一体化するために参照される相互関係情報を取得し、
上記記録手段は、上記選択手段が上記第2の記録方式を選択した場合、上記相互関係情報を上記複数のコンポーネントと共に記録する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の記録装置。
【請求項4】
上記複数のコンポーネントは、再取得可能なコンポーネントと再取得不能なコンポーネントとからなり、上記記録手段は、上記選択手段が第2の記録方式を選択した場合、上記再取得不能なコンポーネントの各々を個別に記録する、
ことを特徴とする請求項1から3までの何れか1項に記載の記録装置。
【請求項5】
上記複数のコンポーネントは、低品質再生用のコンポーネントと高品質再生用のコンポーネントとからなり、
上記取得手段は、上記コンテンツを記録する際、伝送路の状態に応じて上記高品質再生用のコンポーネントを取得するか否かを選択し、上記コンテンツを再生する際、未取得の上記高品質再生用のコンポーネントを取得する、
ことを特徴とする請求項1から3までの何れか1項に記載の記録装置。
【請求項6】
上記選択手段は、伝送路の状態または上記記録装置の状態に応じて、上記記録方式指定情報によって指定された記録方式を選択するか否かを判断し、選択しないと判断した場合には、当該記録方式指定情報によって指定された記録方式とは異なる記録方式を選択し、
上記記録手段は、上記選択手段が、上記記録方式指定情報によって指定された記録方式とは異なる記録方式を選択した場合には、当該異なる記録方式を示す情報を更に記録する、
ことを特徴とする請求項2に記載の記録装置。
【請求項7】
複数のコンポーネントにより構成されるコンテンツを配信する配信装置であって、
上記複数のコンポーネントを一体化して記録するか、上記複数のコンポーネントの各々を個別に記録するかを指定する記録方式指定情報を、上記コンテンツを記録する記録装置に提供する提供手段を備えている、
ことを特徴とする配信装置。
【請求項8】
記録装置がコンテンツを記録する記録方法であって、
上記コンテンツを構成する複数のコンポーネントを取得する取得ステップと、
上記コンテンツを記録する記録方式を選択する選択ステップと、
上記選択ステップにて第1の記録方式を選択した場合、上記複数のコンポーネントを一体化して記録し、上記選択ステップにて第2の記録方式を選択した場合、上記複数のコンポーネントの各々を個別に記録する記録ステップと、を含んでいる、
ことを特徴とする記録方法。
【請求項9】
コンピュータを請求項1から6までの何れか1項に記載の記録装置として動作させるためのプログラムであって、上記コンピュータを上記記録装置が備える上記各手段として機能させるプログラム。
【請求項10】
請求項9に記載のプログラムが記録されているコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−74534(P2013−74534A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−213274(P2011−213274)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】