説明

記録装置及びセンシングシステム

【課題】様々なセンシング結果を記録できる記録装置及びセンシングシステムを提供すること。
【解決手段】記録装置4は、それぞれ異なる種別のパラメーターをセンシングする複数のセンサーSN(SN1〜SN5)から選択された1つのセンサーが挿抜可能な端子部43と、端子部43に接続されたセンサーSNによるセンシング結果を取得する結果取得部と、結果取得部により取得されたセンシング結果を記憶する記憶部48と、センシング結果を外部に送信する送信部(送受信部47)と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録装置及びセンシングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、測定対象の温度を測定及び記録する温度記録装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に記載の温度記録装置は、温度を検出する温度センサーから出力された温度データを、時刻データとともにボタン型記録装置に記録する。そして、使用者が温度データを読み取る際には、温度記録装置からボタン型記録装置を取り外してボタンリーダーに装着し、当該ボタンリーダーと接続された端末装置により、記録された温度データを読み取る構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−71468号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、測定装置は、予め定められた1つのパラメーター種別(例えば、温度)をセンシングする構成が一般的であるため、複数種別のパラメーターを測定しようとすると、当該パラメーター種別に応じた測定装置を複数用意する必要がある。例えば、湿度及び圧力をそれぞれ測定しようとすると、湿度を測定する測定装置と、圧力を測定する測定装置とを用意する必要があり、多額の費用を要するという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、様々なセンシング結果を記録できる記録装置及びセンシングシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した目的を達成するために、本発明の記録装置は、それぞれ異なる種別のパラメーターをセンシングする複数のセンサーから選択された1つのセンサーが挿抜可能な端子部と、前記端子部に接続されたセンサーによるセンシング結果を取得する結果取得部と、前記結果取得部により取得された前記センシング結果を記憶する記憶部と、前記センシング結果を外部に送信する送信部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、端子部は、それぞれ異なる種別のパラメーターをセンシングする複数のセンサーから選択された1つのセンサーを挿抜可能に構成されており、結果取得部は、当該端子部に接続されたセンサーによるセンシング結果を取得して記憶部に記憶させる。これによれば、それぞれ種別が異なるパラメーターをセンシングするセンサー、或いは、センシング範囲の異なるセンサーを端子部に挿し代えることにより、結果取得部がそれぞれ異なるパラメーター種別のセンシング結果を取得できる。このようにして取得されたセンシング結果は、送信部により外部に送信できるので、外部に設けられた処理装置によりセンシング結果を処理できる。従って、センサーを端子部に挿し代えることで、それぞれ異なるパラメーター種別のセンシング結果を取得でき、当該センシング結果を記録できる。
【0008】
本発明では、外部から前記センシング結果の取得条件を取得する条件取得部を有し、前記結果取得部は、前記取得条件に基づいて前記センシング結果を取得することが好ましい。
なお、取得条件としては、サンプリングレートを例示できる。
本発明によれば、外部から取得される取得条件に基づいて、結果取得部がセンサーによるセンシング結果を取得することにより、当該センシング結果の取得動作を外部から制御できる。従って、記録装置の利便性を向上できる。
【0009】
本発明では、それぞれの前記センサーは、温度、湿度、加速度、圧力及び磁界強度のいずれかをセンシングすることが好ましい。
本発明によれば、端子部に挿抜されるセンサーは、温度をセンシングするセンサー、湿度をセンシングするセンサー、加速度をセンシングするセンサー、圧力をセンシングするセンサー、及び、磁界強度をセンシングするセンサーのいずれかである。このため、当該各センサーにより、多様なパラメーター種別のセンシング結果を取得及び記録できる。
ここで、これらセンサーによりセンシングされるパラメーター種別は、当該センサーの構成にもよるが、電圧又は抵抗値により示されるセンシング結果に基づいて変換可能である。このため、パラメーター種別ごとに設定された変換係数を用いた変換処理をセンシング結果に対して実施することにより、当該パラメーター種別に適した数値を取得できる。
【0010】
また、本発明のセンシングシステムは、前述の記録装置と、前記記録装置の端子部に接続されたセンサーと、受信装置と、処理装置と、を有し、前記処理装置は、前記受信装置に、前記センサーによる前記パラメーターのセンシング結果を前記記録装置から受信させ、前記受信装置により受信された前記センシング結果を処理することを特徴とする。
本発明によれば、前述の記録装置と同様の効果を奏することができる。また、記録装置の端子部に接続されたセンサーによりセンシングされ、受信装置に当該記録装置から受信させたセンシング結果を処理装置が処理することにより、記録装置に当該処理を実施するための構成を含める必要がない。このため、記録装置の構成を簡略化できる他、当該記録装置の小型化を図ることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、端子部にセンサーを挿し代えることにより、複数種別のパラメーターのセンシング結果を取得及び記録できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係るセンシングシステムの構成を示すブロック図。
【図2】前記実施形態における処理装置の構成を示すブロック図。
【図3】前記実施形態における記録装置を示す模式図。
【図4】前記実施形態における装置本体の回路構成を示す図。
【図5】前記実施形態における制御部の機能を示すブロック図。
【図6】前記実施形態における処理装置及び記録装置の処理を示すフローチャート。
【図7】前記実施形態におけるセンシングシステムによるセンシング例を示す模式図。
【図8】前記実施形態におけるセンシングシステムによるセンシング結果の一例を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[センシングシステムの構成]
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態に係るセンシングシステム1の構成を示す模式図である。
本実施形態に係るセンシングシステム1は、図1に示すように、処理装置2と、当該処理装置2に接続される送受信装置3と、当該送受信装置3と情報を送受信可能に接続され、かつ、複数のセンサーSN(SN1〜SN5)から選択された1つのセンサーが接続される記録装置4とを備える。そして、当該センシングシステム1では、センサーSNによるセンシング結果を記録装置4が記録し、当該記録装置4が、送受信装置3を介して処理装置2にセンシング結果を送信して、当該処理装置2がセンシング結果を解析する。この他、センシング結果を記録装置4からリアルタイムで処理装置2が取得し、当該センシング結果を解析する。この際、記録装置4は、処理装置2から送信された取得条件に基づいて、センサーSNによるセンシング結果を取得し、また、当該処理装置2から送信された時刻情報に基づいて計時される現在時刻と、当該センシング結果とを関連付けて記録する。
以下、各構成について説明する。
【0014】
[処理装置の構成]
図2は、処理装置2の構成を示すブロック図である。
処理装置2は、PC(Personal Computer)等により構成され、前述のように、送受信装置3を介して記録装置4から所定の測定対象(例えば、後述するロールR)のセンシング結果を取得し、当該センシング結果を解析する。このような処理装置2は、図2に示すように、操作部21及び接続部22を有する。また、処理装置2は、HDD(Hard Disc Drive)等により構成される記憶部23を有する他、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を有し、当該CPUがROM及び記憶部23に記憶された各種プログラムによりデータを処理することで、制御部24として示される機能を有する。
【0015】
操作部21は、キーボードや、マウス等のポインティングデバイスにより構成され、当該操作部21は、使用者の入力操作に応じた操作信号を制御部24に出力する。
接続部22は、後述する送受信装置3が接続される端子を有する。このような端子として、USB(Universal Serial Bus)端子等を例示できる。
記憶部23は、処理装置2の動作に必要な各種プログラム及びデータを記憶している。例えば、記憶部23は、記録装置4から取得されたセンシング結果を記憶する他、当該センシング結果を解析するためのプログラム及びデータ(例えば、後述する変換係数)を記憶している。
【0016】
制御部24は、操作部21から入力される操作信号に基づいて、或いは、自律的に装置全体の動作を制御する。この制御部24は、操作判定部241、計時部242、測定種別設定部243、条件設定部244、条件情報生成部245、条件情報送信部246及び結果解析部247として示される機能部を有する。
操作判定部241は、操作部21から入力される操作信号の種別を判定する。すなわち、操作判定部241は、操作部21に対する使用者の入力操作を判定する。
計時部242は、現在時刻を計時する。
【0017】
測定種別設定部243は、操作部21から入力される操作信号に基づいて、記録装置4により記録されるパラメーター種別を設定する。換言すると、測定種別設定部243は、操作部21に対する使用者の入力操作に基づいて、記録装置4に接続されるセンサーSNの種別を設定する。
本実施形態では、記録装置4は、温度センサーSN1、湿度センサーSN2、加速度センサーSN3、圧力センサーSN4及び磁界センサーSN5から選択されたセンサーSNが挿抜可能に構成されているので、測定種別設定部243は、これら各センサーSN1〜SN5によりセンシングされる温度、湿度、加速度、圧力及び磁界強度のいずれかのパラメーター種別を、操作部21に対する使用者の入力操作に応じて設定する。
【0018】
条件設定部244は、操作部21からの操作信号に基づいて、記録装置4によるセンシング結果の取得条件を設定する。本実施形態では、条件設定部244は、当該取得条件として、サンプリングレートを設定する。
条件情報生成部245は、条件設定部244により設定された取得条件と、計時部242により計時されている現在時刻を示す時刻情報とを含む条件情報を生成する。
条件情報送信部246は、接続部22に接続された送受信装置3を介して記録装置4に、生成された条件情報を送信する。
【0019】
結果解析部247は、記録装置4からセンシング結果を取得及び解析する。
具体的に、結果解析部247は、記録装置4にセンシング結果を送信させるコマンドを、送受信装置3を介して記録装置4に送信する。そして、結果解析部247は、記録装置4からセンシング結果を取得して、当該センシング結果を記憶部23に記憶させる。
また、結果解析部247は、取得されたセンシング結果の内容を判別する。すなわち、当該センシング結果が電圧値により示される情報であるのか、抵抗値により示される情報であるのかを判別する。そして、結果解析部247は、取得されたセンシング結果をパラメーター種別に応じた数値に変換及び解析する。
【0020】
ここで、記憶部23には、センサーSN1〜SN5(すなわち、パラメーター種別)のそれぞれに応じた電圧及び抵抗値の変換係数が記憶されており、結果解析部247は、当該変換係数を用いて、パラメーター種別に応じて適切な電圧及び抵抗値に補正する。そして、結果解析部247は、例えば、パラメーター種別が温度である場合には、取得されたセンシング結果を温度情報に変換し、また、パラメーター種別が圧力である場合には、センシング結果を圧力情報に変換する。他の測定対象においても同様である。なお、記録装置4からセンサーSNの種別(パラメーター種別)が送信される場合には、当該センサーの種別に応じた変換係数を選択するように構成してもよい。
このような変換処理を、処理装置2が有する結果解析部247が実施することにより、記録装置4に当該変換処理を実施する機能を実装する必要がないので、当該記録装置4の小型化が図られる。なお、記録装置4で当該処理を実施する構成としてもよい。
【0021】
[送受信装置の構成]
送受信装置3は、本発明の受信装置に相当する。この送受信装置3は、処理装置2と接続される他、当該処理装置2による制御の下、記録装置4との間で無線にて情報を送受信する。この送受信装置3は、処理装置2から入力される各種情報(例えば、コマンド及び条件情報)を記録装置4に送信するほか、当該記録装置4から受信された各種情報(例えば、センシング結果)を処理装置2に出力する。
このような送受信装置3は、本実施形態では、RFID(Radio Frequency Identification)タグの機能を有する記録装置4との間で情報を送受信可能なリーダー/ライターとして構成されている。このような送受信装置3と記録装置4の後述する装置本体41とは、本実施形態では、RFID通信技術を応用した無線通信方式を利用して、データ(情報)の授受を行っている。また、送受信装置3と処理装置2とは、本実施形態では、USB規格に準拠したプロトコルで通信接続される。
【0022】
[記録装置の構成]
図3は、センサーSN(圧力センサーSN4)が接続された記録装置4を示す模式図である。
記録装置4は、図1及び図3に示すように、装置本体41と、当該装置本体41に接続されるセンサーSNとを備え、当該装置本体41には、複数種類のセンサーSN1〜SN5から選択された1つのセンサーSNが接続される。
【0023】
[センサーの構成]
センサーSNとしては、前述のように、温度センサーSN1、湿度センサーSN2、加速度センサーSN3、圧力センサーSN4及び磁界センサーSN5が挙げられる。これらはそれぞれ、温度、湿度、加速度、圧力及び磁界強度をセンシングする。これらセンサーSNの先端には、図3に示すように、対応するパラメーター種別のセンシングを行うセンシング部SPが設けられている。
このようなセンサーSNは、所定の測定対象のセンシング結果を電気信号(電圧又は抵抗値を示す信号)で当該記録装置4に出力する。
【0024】
[装置本体の構成]
装置本体41は、掌に収まる程度の寸法を有し、接続されたセンサーSNによるセンシング結果を取得して記憶する他、送受信装置3を介して処理装置2にセンシング結果を送信する。このセンシング結果の送信は、当該センシング結果が記憶された後に実行する場合と、リアルタイムで実行する場合との双方を記録装置4により実施可能である。
【0025】
図4は、装置本体41の回路構成を示す図である。
装置本体41は、図1及び図4に示すように、操作部42、端子部43、調整部44(図4では図示省略)、クロック発生部45、電源部46(図4では図示省略)、送受信部47、記憶部48及び制御部49を有する。
操作部42は、図4に示すように、プッシュスイッチを備え、当該プッシュスイッチがオン状態である間、当該操作部42は制御部49に操作信号を出力する。このようなプッシュスイッチとして、本実施形態では、位置保持型スイッチが採用されている。この位置保持型スイッチは、ボタン形状のキートップを有し、当該キートップが押圧されて押し下げられた際にオン状態となり、再度押圧されて、当該キートップが押し上げられた際にオフ状態に切り替わるスイッチである。なお、これに限らず、スイッチが入力されている間はオン状態となり、当該スイッチが入力されない間はオフ状態となる自動復帰型スイッチを採用してもよい。また、これらに代えて、つまみを一方及び他方にスライドさせることでオン状態/オフ状態を切り替えるスイッチ(スライドスイッチ)を採用してもよい。すなわち、操作部42のオン状態及びオフ状態を切り替える構成は、適宜変更可能である。
【0026】
端子部43には、センサーSNが挿抜される。この端子部43は、3つのピンを有し、当該3つのピンのうち、1つは電力供給線であり、電源部46と接続されている。また、他の2つのピンのうち、1つは、制御部49と接続され、残りの1つはGNDに接続されている。このような端子部43は、各センサーSNによるセンシング結果を制御部49に出力する。
調整部44は、端子部43から制御部49に入力されるセンシング結果のキャリブレーションを行うためのものである。すなわち、調整部44は、既知の測定対象のセンシングをした際のセンシング結果が、端子部43から制御部49に適切に入力されるように、当該制御部49に入力される電圧を調整するためのものである。例えば、調整部44は、所定の圧力を圧力センサーSN4のセンシング部に加えた際に、当該所定の圧力に応じた電圧が制御部49に入力されるように調整する。このような調整部44は、本実施形態では、可変抵抗により構成され、当該可変抵抗の抵抗値を使用者が調整することにより、キャリブレーションが実施される。
【0027】
クロック発生部45は、所定周波数のクロック信号を発生させる。なお、本実施形態では、クロック発生部45は、周波数32.768kHzのクロック信号を発生させるが、このクロック信号の周波数は、適宜変更可能である。
電源部46は、装置本体41の各部に駆動電力を供給する。なお、本実施形態では、電源部46は電池を有する構成であるが、当該電池は二次電池でもよい。また、電源部46は、外部から送信された電波を受信するアンテナと、当該アンテナにより受信された電波によって発電する発電手段とを有し、発生させた電力を装置本体41の各部に供給する構成としてもよい。
送受信部47は、送受信装置3と通信するアンテナを有し、当該送受信装置3と周波数13.56MHzの電波を用いて情報の送受信を実施する。
【0028】
記憶部48は、フラッシュメモリーにより構成されており、制御部49が機能するためのプログラム及び各種データを記憶している。この他、記憶部48は、制御部49による制御の下、センサーSNによるセンシング結果を記憶する。
【0029】
図5は、制御部49の機能を示すブロック図である。
制御部49は、IC(Integrated Circuit)により構成され、記録装置4の動作を制御する。この制御部49は、コマンド解析部491、条件取得部492、計時部493、条件設定部494、登録部495、操作判定部496、結果取得部497及び結果送信部498により示される機能を有する。
【0030】
コマンド解析部491は、送受信部47により受信された受信情報を解析し、当該受信情報に前述の条件情報が含まれているか否か、及び、当該受信情報に含まれるコマンドがセンシング結果を送信させるコマンドであるか否かを判定する。
【0031】
条件取得部492は、本発明の条件取得部及び時刻取得部に相当し、受信情報に条件情報が含まれていると判定された場合に、当該条件情報を取得する。
計時部493は、条件情報に含まれる時刻情報に基づいて、現在時刻を計時する。これにより、計時部493が現在時刻を計時する場合には、より正確に現在時刻を計時できる。この他、計時部493は、記録装置4内で常に現在時刻を計時する必要がないので、省電力化を図ることができる。
【0032】
条件設定部494は、条件情報に含まれる取得条件に基づいて、センサーSNによるセンシング結果の取得条件を設定する。すなわち、条件設定部494は、少なくともセンサーSNによるセンシングのサンプリングレートを設定する。
登録部495は、端子部43に接続されたセンサーSNを記憶部48に登録する。これにより、再度同じセンサーSNが端子部43に接続された場合に、当該センサーSNの種別(センシングされるパラメーター種別)を把握できる。
【0033】
操作判定部496は、操作部42から入力される操作信号に基づいて、当該操作部42が有するスイッチがオン状態となったか否かを判定する。
結果取得部497は、操作判定部496により当該スイッチがオン状態となったと判定された場合に、条件設定部494により設定されたサンプリングレートに応じてセンサーSNから入力される信号をA/D変換し、当該センサーSNによるセンシング結果を記憶部48に記録する。この際、結果取得部497は、設定された取得条件に基づいてセンシング結果を取得し、当該センシング結果と、計時部493により計時されている現在時刻を示す時刻情報とを、記憶部48に記憶させる。これにより、記憶されたセンシング結果がどのタイミングのものであるのかを把握できる。
【0034】
結果送信部498は、送受信部47とともに本発明の送信部を構成する。この結果送信部498は、コマンド解析部491により、センシング結果を送信させるコマンドが受信されたと判定された場合に、記憶部48に記憶されているセンシング結果を送受信部47により送信させる。なお、この結果送信部498によるセンシング結果の送信は、当該コマンドが受信された場合に実施されるため、前述のように、センサーSNによるセンシング中に当該コマンドが受信されたと判定されると、結果送信部498は、センサーSNによるセンシング結果をリアルタイムで送受信部47に送信させる。また、接続されたセンサーSNが登録部495により登録されている場合には、結果送信部498は、当該センサーSNの種別を示す種別情報も合わせて送信させる。
【0035】
[センシングシステムの処理]
図6は、処理装置2及び記録装置4の処理を示すフローチャートである。
センシングシステム1では、処理装置2及び記録装置4が以下の処理を実行して、センシング結果を取得及び解析する。
すなわち、図6に示すように、まず、処理装置2が、操作部21に対する操作等により設定された取得条件及び時刻情報を含む条件情報を、送受信装置3を介して記録装置4に送信する(ステップSA1)。
【0036】
一方、記録装置4では、条件取得部492が、受信情報に含まれている条件情報を取得する(ステップSB1)。
そして、取得された条件情報に基づいて、計時部493が現在時刻を計時するとともに(ステップSB2)、条件設定部494がセンシング結果の取得条件を設定する(ステップSB3)。
この後、記録装置4では、操作判定部496が、記録を開始させる操作が操作部42に対して行われたか否か(スイッチがオン状態となったか否か)を判定する(ステップSB4)。このステップSB4の判定処理にて、当該操作が行われていないと判定されると、制御部49は、当該ステップSB4を繰り返し実行する。
【0037】
また、ステップSB4の判定処理にて、記録を開始させる操作が行われたと判定されると、結果取得部497が、端子部43に接続されたセンサーSNによるセンシング結果を、現在時刻とともに記憶部48に記憶させ、当該センシング結果を記録する(ステップSB5)。このステップSB5におけるセンシング結果の記録は、操作部42のスイッチがオン状態である間、設定された取得条件(例えば、上記サンプリングレート)で実施される。そして、当該スイッチがオフ状態となると、制御部49は、処理を終了する。なお、再度スイッチがオン状態となると、結果取得部497は、当該スイッチがオフ状態となるまでセンシング結果の記録を再度実行する。
【0038】
この後、コマンド解析部491により、センシング結果を送信させるコマンドが受信されたと判定されると、結果送信部498が、記憶部48に記憶されているセンシング結果及び時刻情報を、送受信部47に送信させる(ステップSB6)。なお、前述のように、当該コマンドは、センサーSNによるセンシング中にも受信される場合があり、この場合には、結果送信部498は、センシング結果及び時刻情報をリアルタイムで送信させる。
【0039】
また、処理装置2では、ステップSA1の後、測定種別設定部243が、操作部21に対する入力操作に基づいて、センサーSNにより測定されるパラメーター種別(測定対象のパラメーター種別)を設定する(ステップSA2)。
次に、結果解析部247が、送受信装置3を介して記録装置4に、センシング結果を送信させるコマンドを送信し、これに応じて記録装置4からセンシング結果が受信されたか否かを判定する(ステップSA3)。ここで、センシング結果が受信されないと判定されると、結果解析部247は、当該センシング結果が受信されるまで、ステップSA3の判定処理を繰り返し実行する。
【0040】
一方、ステップSA3の判定処理にて、センシング結果が受信されたと判定されると、結果解析部247は、受信されたセンシング結果を取得して記憶部23に記憶させ、取得されたセンシング結果の内容(電圧により示される情報であるか、抵抗値により示される情報であるか)を判別する(ステップSA4)。
そして、ステップSA4での判別結果に基づいて、結果解析部247は、パラメーター種別に応じた数値にセンシング結果を補正及び変換するとともに、当該センシング結果を解析する(ステップSA5)。例えば、結果解析部247は、変換されたセンシング結果をグラフ化する等の処理を実行する。
以上により、処理装置2及び記録装置4の処理が終了する。
【0041】
[センシングシステムによるセンシング例]
図7は、上記センシングシステム1による測定例を示す模式図であり、具体的には、粘着シートのロールRにおける圧力センサーSN4の配置位置を示す模式図である。
本実施形態に係るセンシングシステム1は、例えば、以下に示す場合に好適に利用できる。
粘着シートTが軸AXの周囲に巻回されたロールRにおいては、軸AXの軸方向に対して直交する側面からの粘着剤の漏出を防ぐ等の理由により、軸AXに対する粘着シートTの巻回力及び圧力を管理する必要がある。このため、本センシング例では、軸AXの外周表面において当該軸AXの軸方向における中央部P1及び端部P2に、圧力センサーSN4のセンシング部SPをそれぞれ配置し、軸AXに対する巻回開始位置から粘着シートを略50m巻回した位置での当該軸方向における中央部P3及び端部P4に、圧力センサーSN4のセンシング部SPをそれぞれ配置している。
【0042】
図8は、各圧力センサーSN4を用いて測定された測定結果を示すグラフである。この図8における二点鎖線、一点鎖線、点線及び実線は、中央部P1、端部P2、中央部P3及び端部P4にそれぞれ配置された圧力センサーSN4による測定結果を示している。なお、図8においては、粘着シートTの巻回終了から1.4日経過後に、ロールRの保管条件を温度30℃、湿度80%に変更している。
記録装置4は、前述のように、操作部42のスイッチがオン状態であればセンシング結果を記録し続けるため、圧力センサーSN4が接続された各記録装置4は、図8に示すように、各部位P1〜P4における圧力を記録し続ける。これら記録装置4から送受信装置3を介して処理装置2がセンシング結果を取得し、当該センシング結果を解析することにより、ロールRの管理を行いやすくすることができる。
【0043】
[実施形態の効果]
以上説明した本実施形態に係るセンシングシステム1によれば、以下の効果がある。
端子部43は、センサーSN1〜SN5から選択されたセンサーSNを挿抜自在に構成されており、結果取得部497は、当該端子部43に接続されたセンサーSNによるセンシング結果を取得して記憶部48に記憶させる。これによれば、各センサーSNを端子部43に挿し代えることにより、結果取得部497がそれぞれ異なるパラメーター種別のセンシング結果を取得及び記録できる。
また、このようにして取得されたセンシング結果は、結果送信部498及び送受信部47により、送受信装置3を介して処理装置2に送信できるので、当該処理装置2によりセンシング結果を解析できる。
【0044】
外部に設けられた処理装置2から取得される取得条件に基づいて、結果取得部497は、センサーSNによるセンシング結果を取得する。これによれば、当該センシング結果の取得動作を外部の処理装置2により制御できるので、記録装置4の利便性を向上できる。
【0045】
端子部43には、温度センサーSN1、湿度センサーSN2、加速度センサーSN3、圧力センサーSN4及び磁界センサーSN5のいずれかが挿抜される。このため、当該各センサーSNにより、多様なパラメーター種別のセンシング結果を取得できる。
ここで、これらセンサーSNによりセンシングされるパラメーター種別は、当該センサーの構成にもよるが、電圧又は抵抗値により示されるセンシング結果に基づいて変換可能である。このため、パラメーター種別ごとに設定された変換係数を用いた変換処理をセンシング結果に対して実施することにより、当該パラメーター種別に適した数値を取得できる。
【0046】
送受信装置3により記録装置4から受信されたセンシング結果を、処理装置2が処理することにより、センシング結果を解析するための構成を記録装置4に含める必要がない。このため、記録装置4の構成を簡略化できる他、当該記録装置4の小型化を図ることができる。
【0047】
[実施形態の変形]
本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
前記実施形態では、処理装置2の測定種別設定部243は、使用者による操作部21の操作に応じて、記録装置4に接続されるセンサーSNの種別(すなわちパラメーター種別)を設定するとしたが、本発明はこれに限らない。例えば、記録装置4が接続されたセンサーSNの種別を判定し、当該センサーSNの種別を、送受信装置3を介して処理装置2に送信する構成としてもよい。この場合、取得されたセンサーSNの種別に基づいて、結果解析部247が、前述の変換係数を選択し、取得されたセンシング結果を補正及び解析する構成としてもよい。
【0048】
前記実施形態では、処理装置2が、送受信装置3を介して記録装置4から取得されたセンシング結果を解析するとしたが、本発明はこれに限らない。すなわち、記録装置4が解析してもよく、送受信装置3が解析して、これらによる解析結果を処理装置2が受信する構成としてもよい。
【0049】
前記実施形態では、記録装置4は、接続された1つのセンサーSNによるセンシング結果を処理装置2に送信する構成としたが、本発明はこれに限らない。すなわち、複数のパラメーター種別のセンシング結果を記録及び送信可能に構成してもよい。例えば、制御部49を構成するICに温度センサーが設けられている場合には、センサーSNによるセンシング結果とともに、当該温度センサーによるセンシング結果を記録してもよい。この場合、温度情報と他のパラメーター種別の情報とを同時に記録しておくことが可能となる。
【0050】
前記実施形態では、記録装置4は、操作部42のスイッチがオン状態である場合に、センシング結果を記録するとしたが、本発明はこれに限らない。例えば、処理装置2が条件情報を送信する際に、センシングを開始する開始時刻及び終了時刻を送信し、計時部493による計時時刻が開始時刻に達した際に、結果取得部497がセンシング結果を記録し始め、終了時刻に達した際に、記録を終了する構成としてもよい。また、当該開始時刻は、装置本体41にて設定されてもよい。すなわち、記録装置4が、タイマー機能を有していてもよい。
【0051】
前記実施形態では、処理装置2から受信される条件情報に含まれる取得条件に基づいて、結果取得部497が、センシング結果を記録するとしたが、本発明はこれに限らない。すなわち、予め設定された取得条件に基づいて、結果取得部497が、センシング結果の取得及び記録を実施してもよい。
【0052】
前記実施形態では、計時部493は、条件情報に含まれる現在時刻に基づいて、現在時刻を計時するとしたが、本発明はこれに限らない。すなわち、計時部493は、必ずしも現在時刻を計時する構成に限らない。例えば、条件情報を取得した後で、操作部42のスイッチがオン状態に最初に切り替わってからの時間を計時するように構成してもよい。
【0053】
前記実施形態では、センサーSNとして、温度センサーSN1、湿度センサーSN2、加速度センサーSN3、圧力センサーSN4及び磁界センサーSN5を挙げたが、本発明はこれに限らない。すなわち、他のセンサーを採用してもよい。
【0054】
前記実施形態では、記録装置4の送受信部47と、送受信装置3とは、周波数13.56MHzの電波(搬送波)を用いて情報を送受信するとしたが、本発明はこれに限らない。すなわち、送受信部47と送受信装置3との間で情報を送受信可能であれば、利用される電波の周波数は適宜変更可能である。また、記録装置4と送受信装置3とを有線で接続してもよく、更には、記録装置4と処理装置2とを直接接続してもよい。また、有線により記録装置4と処理装置2とが接続される場合には、処理装置2が、記録装置4の駆動電力を供給してもよい。
なお、記録装置4(装置本体41)と送受信装置3との通信は、有線でも無線でもよいが、これらを互いに接続するケーブルが挿抜される端子の劣化や、簡易性を考慮すると、無線通信の方が好ましい。無線通信を実施する場合、無線LAN、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)及びワイヤレスUSB等、どのような無線通信規格を採用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、センサーによるセンシング結果を記録する記録装置、及び、当該記録装置を備えるセンシングシステムに好適に利用できる。
【符号の説明】
【0056】
1…センシングシステム、2…処理装置、3…送受信装置(受信装置)、4…記録装置、43…端子部、47…送受信部(送信部)、48…記憶部、492…条件取得部、497…結果取得部、498…結果送信部(送信部)、SN(SN1〜SN5)…センサー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ異なる種別のパラメーターをセンシングする複数のセンサーから選択された1つのセンサーが挿抜可能な端子部と、
前記端子部に接続されたセンサーによるセンシング結果を取得する結果取得部と、
前記結果取得部により取得された前記センシング結果を記憶する記憶部と、
前記センシング結果を外部に送信する送信部と、を備える
ことを特徴とする記録装置。
【請求項2】
請求項1に記載の記録装置において、
外部から前記センシング結果の取得条件を取得する条件取得部を有し、
前記結果取得部は、前記取得条件に基づいて前記センシング結果を取得する
ことを特徴とする記録装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の記録装置において、
それぞれの前記センサーは、温度、湿度、加速度、圧力及び磁界強度のいずれかをセンシングする
ことを特徴とする記録装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の記録装置と、
前記記録装置の端子部に接続されたセンサーと、
受信装置と、
処理装置と、を有し、
前記処理装置は、
前記受信装置に、前記センサーによる前記パラメーターのセンシング結果を前記記録装置から受信させ、
前記受信装置により受信された前記センシング結果を処理する
ことを特徴とするセンシングシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−108812(P2013−108812A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−253182(P2011−253182)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【出願人】(597019609)株式会社 シーディエヌ (22)
【Fターム(参考)】