記録装置及び記録ヘッドの寿命予測方法
【課題】インクジェット記録ヘッドの寿命を高精度に予測し、寿命を延ばすことのできる記録装置を提供する。
【解決手段】記録ヘッドの装着時から吐出回数が増加するにつれて、減少傾向のあるインクを吐出する記録ノズルの駆動パラメータの最小値を測定し、その測定された値の経時的な変化特性から寿命予測を行い、予測された寿命の前から記録ノズルの使用頻度を減らすことにより、この記録ノズルの負担を減らし、故障を防ぎ、記録ヘッドの寿命を延ばす。
【解決手段】記録ヘッドの装着時から吐出回数が増加するにつれて、減少傾向のあるインクを吐出する記録ノズルの駆動パラメータの最小値を測定し、その測定された値の経時的な変化特性から寿命予測を行い、予測された寿命の前から記録ノズルの使用頻度を減らすことにより、この記録ノズルの負担を減らし、故障を防ぎ、記録ヘッドの寿命を延ばす。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は記録装置及び記録ヘッドの寿命予測方法に関し、特に、インクジェット記録ヘッドを用いて記録媒体に記録を行う記録装置のヘッド寿命予測及びヘッド長寿命化に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のインク吐出ノズル(以下、ノズル)を備えたインクジェット記録ヘッドには、個々のノズルにインクを吐出口に導くための流路と流路中のインクに保護膜を介して接触するヒータが備えられているタイプのものがある。インク吐出のためには、個々のヒータに所定の駆動パルスが印加され、これによってヒータが発熱して保護膜上面に接したインクを加熱する。これにより、インクは急激に加熱され、インクは体積増加を伴う発泡を起こし、この発泡に基づく力によって吐出口からインクが押し出される。ヒータの表面には絶縁性保護膜が形成されている。このタイプのインクジェット記録ヘッド(以下、記録ヘッド)はインク吐出過程において、発泡現象が終わり消泡する際のキャビテーションによる衝撃や保護膜の温度上昇、インク組成により、ヒータ上に形成された保護膜の削れが発生する。
【0003】
吐出回数が増えるに従い、この保護膜の削れ量が増加し、保護膜の厚さは減少する。吐出を繰り返して保護膜の削れが進行すると、ヒータからインクまでの熱伝導特性が変化して、インクを吐出させるために必要な最小エネルギーに変化が生じる。保護膜の厚さが薄くなると、ヒータからインクまで熱が伝わりやすくなるため、吐出に必要な最小パルス幅は減少する。そのため、記録ヘッド毎に吐出最小パルス幅を設定することにより、記録ヘッドに対して適正なエネルギーば与えられるようにしている(例えば、特許文献1)。
【0004】
しかし、保護膜の製造上のばらつき、或いは経時的なノズルの特性変化により、吐出最小パルス幅にばらつきが生じる。保護膜が削れて薄くなったノズルは、保護膜の削れていないノズルと比較して、吐出に必要な最小パルス幅が小さく、保護膜の削れていないノズルと同等のエネルギーを投入するとエネルギー過剰な状態となり、より削れが進行しやすくなる。保護膜の削れが進行して保護膜が完全に削られてしまうとヒータは故障し、ノズルからの吐出が不可能となる。
【0005】
さらに近年になり、上記のような記録ヘッドを搭載した記録装置は、より多数のノズルを備えるようになっているので、加えて保護膜の削れにばらつきがあることから記録ヘッド全体としての故障割合は高くなる。記録ヘッドが故障すると、正確な画像の記録ができなくなる。
【0006】
例えば、記録ヘッドで画像を記録する場合、一部のノズルが不良になると、ドット抜けなど記録画像の品位が低下する問題が生じる原因となる。従って、適切なタイミングで記録ヘッドを交換することが重要である。
【0007】
さて、記録ヘッドの寿命(言い換えると故障が発生する時期)は、記録ヘッド毎の製造時のばらつきによる保護膜の削れ速度の違いやインクの種類、記録装置が用いられる温度環境などにより大きく異なる。ここでいう寿命とは保護膜が削れ、ヒータが故障し、ノズルからのインクの吐出が不可能な状態となることを指す。特に、記録ヘッド毎の製造時のばらつきにはヒータ抵抗や保護膜厚などのばらつきがあり、同じ電圧を印加しても伝導性の違いから吐出最小パルス幅が異なるため、故障時期を予測することは困難である。このような記録ヘッドの寿命予測方法には、通算の動作時間が一定時間や、吐出回数が一定回数を超えた場合、或いは減少傾向にあるノズルの抵抗値が上昇傾向に変化した場合に、記録ヘッド寿命が近いことを通知するものなどがある(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−058529号公報
【特許文献2】特開2007−083554号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、記録ヘッド毎の製造時ばらつきによる保護膜の削れ速度の違いや使用されるインクの種類、記録装置が用いられる温度環境によるばらつきがある。このため、従来の記録ヘッドの寿命予測方法では、必ずしも正確な記録ヘッドの故障時期を予測することはできない。また、従来のような寿命予測方法では、検討によって算出された限界値(閾値)に余裕を持った値を用いているため、本当の寿命までにまだ十分な期間のあるノズルでも故障と判断する可能性がある。そのため、高精度な予測を行うためには、その状況によって適正な基準値を設定する必要がある。
【0010】
本発明は上記従来例に鑑みてなされたもので、インクジェット記録ヘッドの使用可能なインク吐出回数を高精度に予測できる記録装置及び記録ヘッドの寿命予測方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために本発明の記録装置は、次のような構成からなる。
【0012】
即ち、それぞれにヒータを含んだ複数のノズルを備えた記録ヘッドを装着し、該記録ヘッドからインクを吐出させて記録を行う記録装置であって、前記複数のノズルを駆動し、前記ヒータに通電することでインクを加熱して発泡させ、前記ノズルからインクを吐出させる駆動手段と、前記駆動手段により駆動されたノズルから吐出されるインクを検出する検出手段と、前記ヒータに通電することでインクに加えられるエネルギーを規定する駆動パラメータの値を変化させる変更手段と、前記変更手段により前記駆動パラメータの値を変化させながら前記検出手段によりインクの検出ができなくなるまで前記駆動手段により前記複数のノズルを駆動することにより駆動パラメータの最小値を測定する測定手段と、前記駆動パラメータの最小値を格納する格納手段と、前記記録ヘッドの装着後からの記録動作に伴って、前記駆動手段と前記検出手段と前記変更手段と前記測定手段とを動作させて駆動パラメータの最小値を測定し、該測定された駆動パラメータの最小値を前記格納手段に格納して蓄積する蓄積手段と、前記蓄積手段により蓄積された前記駆動パラメータの最小値の時間変化から前記駆動パラメータの最小値が予め定められた閾値に達するインク吐出回数を予測する予測手段とを有することを特徴とする。
【0013】
また本発明を別の側面から見れば、それぞれにヒータを含んだ複数のノズルを備えた記録ヘッドを装着し、該記録ヘッドからインクを吐出させて記録を行う記録装置において用いられる記録ヘッドの寿命予測方法であって、前記複数のノズルを駆動し、前記ヒータに通電することでインクを加熱して発泡させ、前記ノズルからインクを吐出させる駆動工程と、前記駆動されたノズルから吐出されるインクを検出する検出工程と、前記ヒータに通電することでインクに加えられるエネルギーを規定する駆動パラメータの値を変化させる変更工程と、前記駆動パラメータの値を変化させながら前記検出手段によりインクの検出ができなくなるまで前記複数のノズルを駆動することにより駆動パラメータの最小値を測定する測定工程と、前記駆動パラメータの最小値をメモリに格納する格納工程と、前記記録ヘッドの装着後からの記録動作に伴って、前記駆動工程と前記検出工程と前記変更工程と前記測定工程とを実行させて駆動パラメータの最小値を測定し、該測定された駆動パラメータの最小値を前記メモリに格納して蓄積する蓄積工程と、前記蓄積された前記駆動パラメータの最小値の時間変化から前記駆動パラメータの最小値が予め定められた閾値に達するインク吐出回数を予測する予測工程とを有することを特徴とする記録ヘッドの寿命予測方法を備える。
【発明の効果】
【0014】
従って本発明によれば、記録ノズル毎の駆動パラメータの最小値を測定し、駆動パラメータの最小値の経時的な変化特性からその記録ノズルの故障時期を予測することができることができるという効果がある。予測された故障時期の前から記録ノズル使用頻度を減らすことにより、その記録ノズルの負担を減らし、故障を防ぐため、記録ヘッドの寿命を延ばすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の代表的な実施例であるインクジェット記録装置の概略構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示した記録装置の制御構成を示すブロック図である。
【図3】吐出に必要な最小パルス幅(吐出最小パルス幅)を測定する際の主要な手順を示すフローチャートである。
【図4】吐出最小パルス幅による寿命予測のための主要な手順を示すフローチャートである。
【図5】実測されたPthデータの使用法を説明する図である。
【図6】図4のステップS16における近似を実行する記録ヘッドの寿命予測の詳細を説明する図である。
【図7】基準値変更処理を示すフローチャートである。
【図8】基準値設定テーブルの構成を示す図である。
【図9】マルチパス記録による対処方法を説明する図である。
【図10】吐出最小パルス幅が途中から増加傾向に変化する様子を示す図である。
【図11】曲線近似による寿命予測を説明する図である。
【図12】実施例3に従う吐出最小パルス幅を測定する際の主要な手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下添付図面を参照して本発明の好適な実施例について、さらに具体的かつ詳細に説明する。なお、これにより本発明が限定されるものではない。
【0017】
なお、この明細書において、「記録」(「プリント」という場合もある)とは、文字、図形等有意の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わない。また人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かを問わず、広く記録媒体上に画像、模様、パターン等を形成する、または媒体の加工を行う場合も表すものとする。
【0018】
また、「記録媒体」とは、一般的な記録装置で用いられる紙のみならず、広く、布、プラスチック・フィルム、金属板、ガラス、セラミックス、木材、皮革等、インクを受容可能なものも表すものとする。
【0019】
さらに、「インク」(「液体」と言う場合もある)とは、上記「記録(プリント)」の定義と同様広く解釈されるべきものである。従って、記録媒体上に付与されることによって、画像、模様、パターン等の形成または記録媒体の加工、或いはインクの処理(例えば記録媒体に付与されるインク中の色剤の凝固または不溶化)に供され得る液体を表すものとする。
【0020】
またさらに、「記録要素」とは、特にことわらない限り吐出口ないしこれに連通する液路およびインク吐出に利用されるエネルギーを発生する素子を総括して言うものとする。
【0021】
特に、この実施例では、インク吐出に利用されるエネルギーを発生する素子として電気熱変換素子(ヒータ)を用い、このヒータに通電して加熱することにより、熱を発生させ、その熱によって吐出口付近に発生する泡の発泡力によりインクを吐出する。
【0022】
図1は本発明の代表的な実施例であるインクジェット記録装置(以下、記録装置)の概略構成を示す斜視図である。
【0023】
図1に示すように、この記録装置は記録ヘッド1101とインクタンクを一体的に構成した複数のヘッドカートリッジを備え、これらはキャリッジ1102に対してそれぞれ独立に交換可能に搭載される。複数のヘッドカートリッジそれぞれには、記録ヘッド1101の駆動信号を受信するためのコネクタが設けられている。複数のヘッドカートリッジそれぞれの記録ヘッドは、シアン、マゼンタ、イエロ、ブラックなどのインクを吐出し、対応するインクタンクには、対応するインクがそれぞれ収納されている。一方、キャリッジ1102にはコネクタを介して複数のインクカートリッジそれぞれの記録ヘッド1101に駆動信号や記録信号等を伝送するための電気接続部が設けられている。
【0024】
キャリッジ1102は、記録装置の本体部に備えられたガイドシャフト1103に沿って、矢印Aで示す方向(主走査方向)に移動可能な状態に支持されている。また、キャリッジ1102はキャリッジモータ1104により、プーリ1105、従動プーリ1106およびタイミングベルト1107を介して駆動され、その位置及び移動が制御される。記録用紙やプラスチック薄板等の記録媒体1108は、2組の搬送ローラ1109A、1109B、及び1110A、1110Bの回転により、記録ヘッド1101の吐出口面と対向する位置を通過する様に搬送される。
【0025】
その際、記録部において平坦な記録面を形成できるように、記録媒体1108の裏面をプラテン(不図示)により支持されている。また、2組の搬送ローラ対は、キャリッジ1102に搭載された記録ヘッド1101の吐出口面とプラテン上の記録媒体1108との間が所定の距離に維持されるように、記録媒体の搬送方向に関して記録ヘッドを挟む両側から記録媒体1108を支えている。
【0026】
なお、キャリッジ1102のホームポジション近傍には、記録ヘッド1101から試験的にインク吐出を行わせ、吐出されたインクを光学的に検知するインク吐出検出センサ(不図示)が備えられている。このセンサからの出力データに基づいて、記録ヘッドの吐出不良或いは記録ヘッドの複数のインク吐出ノズル(以下、ノズル)の吐出不良を判断する。
【0027】
図2は図1に示す記録装置の制御構成を示すブロック図である。
【0028】
図2において、1700は記録データを入力するインタフェース、1701はMPU、1702はMPU1701が実行する制御プログラムを格納するROM、1703は記録データや記録ヘッドに供給される記録信号等のデータを保存しておくDRAMである。1704は記録ヘッドに対する記録信号の供給制御を行うゲートアレイ(G.A.)であり、インタフェース1700、MPU1701、DRAM1703間のデータ転送制御も行う。コントローラ600は、MPU1701、ROM1702、DRAM1703、ゲートアレイ1704を備えている。1104は記録ヘッド1101を搬送するためのキャリッジモータ、1709は記録紙搬送のための搬送モータである。1705は記録ヘッドを駆動するヘッドドライバ、1706、1707はそれぞれ搬送モータ1709、キャリッジモータ1104を駆動するためのモータドライバである。
【0029】
上記制御構成の動作を説明すると、インタフェース1700に記録データが入るとゲートアレイ1704とMPU1701との間で記録データが記録用の記録信号に変換される。そして、モータドライバ1706、1707が駆動されると共に、ヘッドドライバ1705に送られた記録データに従って記録ヘッドが駆動され、記録が行われる。
【0030】
また、図1に関連して説明したインク吐出検知センサ(以下、センサ)1710からのデータはコントローラ600に入力され、MPU1701により処理され測定値情報としてEEPROM1708に格納される。また、EEPROM1708には後述する基準値テーブルや記録ヘッドを駆動するための駆動パラメータなどが格納される。EEPROMに格納される情報を用いてROMに格納される制御プログラムを実行することで、以下に説明する記録ヘッドの寿命予測や寿命間近であると予測されたノズルに対する対処処理を行う。
【0031】
なお、ここでは不揮発性メモリの代表例としてEEPROMを用いたが、他の不揮発性メモリ、例えば、FeRAMなどを用いても良い。
【0032】
以下、以上の構成に記録装置に用いられるインクジェット記録ヘッド(以下、記録ヘッド)の寿命予測とこれに伴う対処についてのいくつかの実施例を説明する。
【実施例1】
【0033】
まず、記録ヘッドに設けられた複数のインク吐出ノズルの使用に伴って変化するインクを吐出するノズルの駆動パラメータの最小値を測定する方法について説明する。
【0034】
電気熱変換素子(ヒータ)にパルスを印加することによりインクを発泡させるインクジェット記録では、インクを発泡させるか否かのエネルギー閾値(Eth)が規定される。特に、このエネルギー閾値に対応し、所定の電圧でインクを発泡させるか否かのパルス幅の閾値(Pth)も規定される。この実施例では、記録時の発泡と吐出を安定させるためにヒータに印加される駆動パルス幅(Pop)をPthの1.15倍としている。この1.15という係数をk値と呼び、k値=(Pop/Pth)1/2と定義される。
【0035】
図3は吐出に必要な最小パルス幅(吐出最小パルス幅)を測定する際の主要な手順を示すフローチャートである。
【0036】
図3に示すように、ステップS201では、記録ヘッドのノズルそれぞれに駆動する上で十分余裕のある駆動パルス幅を初期駆動パルス幅として設定する。次に、ステップS202では、ヘッドドライバは初期駆動パルス幅でノズルを駆動する。
【0037】
ステップS203では、その駆動によりインクが吐出したかどうかを調べる。ここで、インクが吐出されたと判定すれば、処理はステップS204に進み、駆動パルス幅を所定のパルス幅(例えば、0.01μs)だけ短くし、駆動パルス幅を再設定し、その後、ステップS202で再びノズルを駆動させる。
【0038】
このように、駆動パルス幅を短くしては、ノズルを駆動させ、吐出状態を判定するという処理を繰り返す。ステップS203において、ノズルからインクが吐出しなくなった場合、処理はステップS205に進み、ノズルの駆動を停止する。最後に、ステップS206では、ノズルからインクが吐出しなくなった1つ前に測定したパルス幅(ノズルからインクが吐出していたパルス幅)を吐出限界パルス幅とみなし、これを吐出最小パルス幅とする。
【0039】
測定の間隔としては、予測精度の低下を防ぐため、定期的にデータを取得する必要がある。そのため、記録ヘッドのノズル列毎に所定の吐出回数毎に吐出最小パルス幅の測定を行うようにする。ノズル毎に吐出回数をカウントして、所定の吐出回数毎に吐出最小パルス幅の測定を行ってもよい。また、記録ジョブと競合しないようにするため、記録装置の起動時や終了時、或いは使用頻度の少ない時間帯に吐出最小パルス幅測定を行うことで効率をあげることができる。
【0040】
次に吐出最小パルス幅の測定値による寿命予測の方法について説明する。
【0041】
図4は吐出最小パルス幅による寿命予測のための主要な手順を示すフローチャートである。
【0042】
まず、ステップS11では記録ヘッド装着時にPthを測定し、ステップS12ではこれをメモリ1003に格納する。ステップS13では、そのPthと使用するインクの種類から基準値を選択する。基準値については後で詳細に説明する。
【0043】
次に、ステップS14では、その時点でのPthを測定し、ステップS15では、これをメモリ1003に格納する。ステップS16では、この蓄積された複数回のPthの測定値を用いて、その変化を近似する。ステップS17では、この近似結果から基準値に合致するまでのインク吐出回数を算出し、ステップS18では、この値と実際のインク吐出回数と比較し、実際の吐出回数がこの予測された吐出回数に達するまで、記録ヘッドの故障時期を予測を継続する。
【0044】
以上の処理では、この際にはメモリ1003に蓄積・格納された実測のPthデータの時間変化を用いる。
【0045】
図5は実測されたPthデータの使用法を説明する図である。
【0046】
図5(a)は予測のために、記録ヘッド装着時の測定値から最後に測定された測定値を記録ヘッドの故障時期の予測に用いる場合を示している。実際にも、このようにPthデータを用いるのが好ましい。そして、Pthの測定を行う毎に予測をするため、インク吐出回数が増加するにつれ、予測精度が高くなる。
【0047】
一方、図5(b)は記録ヘッド装着時からインク吐出回数が1×107までの測定値は使用せず、その後から最後に測定を行った吐出回数までのメモリ1003に蓄積された測定データを用いる場合を示している。これは、記録ヘッド装着後の特定の吐出回数まではPthが不安定になることがあるため、その吐出回数までの測定値を除き、最後に測定された測定値までに測定された複数回の測定値を用いるとしたためである。
【0048】
また、ここでいう基準値は記録ヘッド装着時に測定されたPthに予め実験で求めた係数を掛けた値を用いることが好ましい。例えば、実験で記録ヘッド装着時の吐出最小パルス幅に0.8を掛けた値で故障するケースが最も多かった場合には、係数としてこの値を用いる。
【0049】
図6は図4のステップS16における近似を実行する記録ヘッドの寿命予測の詳細を説明する図である。
【0050】
図6(a)は、図3に示す処理により得られたPthデータから直線近似によりPthの変化を予測する例を示している、この近似計算には様々な方法があるが、ここでは最小自乗法を用いて吐出最小パルス幅変動のフィッティングを行う。もしノイズ成分が入るようなデータであれば、平滑化を選択することも有効である。直線近似を用いる場合、計算処理量が少ないため、高速に処理することができる。図6(a)に示すように、算出された予測線が基準値と交わる点における吐出回数Aを算出して、記録ヘッドの故障時期を予測する。
【0051】
一方、実際の吐出回数が予測された吐出回数Aの所定の割合に達した際には、例えば、図6(a)に示すように吐出回数B(吐出回数Aの80%)からはノズルの使用頻度を減少させる。このようにして、寿命の近いノズルの負荷を減少させることにより、故障ノズルの発生を防ぎ、記録ヘッド全体の寿命の平均化をする。
【0052】
図6(b)〜図6(d)は、ノズルの使用頻度減少を、記録ヘッド装着時に測定されたPthから決める方法の例を示している。例えば、ノズルYを基準として全ノズルの駆動パルス幅を同一とした場合、図6(c)に示すように記録ヘッド装着時のノズル毎のPthばらつきにより、吐出回数にノズルX〜Zで差が生じる場合がある。図6(c)に示す例の場合、ノズルXには低いエネルギーが加わり、保護膜削れの進行が遅くなるため、Pthの減少が遅くなる。一方、ノズルZには過剰なエネルギーが加わり、保護膜削れの進行が加速するためPthの減少が速くなる。
【0053】
このようにノズル毎に保護膜削れの程度に差が生じる可能性があるので、記録ヘッド装着時のPthに対する所定の割合にそのノズルのPthが達した時、ノズルの使用頻度を減少させる。例えば、図6(b)に示すように、記録ヘッド装着時のPthが0.72μsであった場合、その90%の0.64μsでノズルの使用頻度を2分の1に減少させ、吐出回数CからDまで吐出可能にする。
【0054】
しかし、記録ヘッドの使用中にPthの変化傾向が変わる可能性がある。前述の方法の場合、例えば、図6(d)のように吐出回数Fでノズルの使用頻度を減少させ、F’まで吐出可能にする。これに対して、Pthの減少が速い場合、同様に、吐出回数E”でノズルへの負担を減らすためノズルの使用頻度を減少させたとしても、基準値に達するまでの吐出回数が少なく、寿命をそれほど長く延ばすことができない。従って、この方法では記録ヘッド使用中でも常に予測を行い、例えば、予測された吐出回数E’の80%の吐出回数Eでノズルの使用頻度を減少させるようにする。これにより、ノズルへの負担をより早く減らすことができ、寿命をより延ばすことができる。
【0055】
このように、本発明では、記録ヘッドの使用中であっても常に予測を行いノズルの故障までの吐出回数を見積もるため、記録ヘッド使用中のPthデータの変化傾向が変わった場合でも対応することができる。ノズルの使用頻度を減少させるためには後述の補完記録などを用いて、その対象ノズルの吐出を代行することで吐出回数を減らす。
【0056】
図4のステップS13において用いる基準値の選択は、後述する基準テーブルから選択されるが、そのテーブルに設定される基準値そのものも、記録ヘッドの使用回数が増加していくのに伴って変更される。それで次に、その基準値の変更処理について説明する。
【0057】
図7は基準値変更処理を示すフローチャートである。
【0058】
ステップS41では、記録ヘッドを記録動作のために駆動する。その際、記録ヘッドのノズルが前述の寿命予測処理に従って予測された吐出回数を超えてもノズル毎に保護膜の厚さにばらつきがあるため、依然としてインク吐出ができる可能性がある。
【0059】
ステップS42では、現在の吐出回数が予測された吐出回数を超えているかどうかを調べる。ここで、現在の吐出回数が予測吐出回数を超えていた場合には、処理はステップS43に進み、吐出可能な基準値を変更する。このような変更は記録ヘッドに記録動作が発生し、その時点での吐出回数が変更された基準値に基づいて予測された吐出回数をこえるたび毎に実行される。そのノズルが故障した場合、その直前に測定した値を新たな基準値に変更し、より高精度な予測ができるように基準値を変更する。
【0060】
例えば、その時の基準値が0.6μsであるのに対して、吐出最小パルス幅が0.56μsでノズルが故障した場合、基準値が高すぎると判断する。そして、基準値とノズルが故障した際の吐出最小パルス幅を平均化し、0.58μsを新たな基準値とする。
【0061】
これに対して、現在の吐出回数が予測吐出回数を超えていない場合には、処理はそのまま終了する。
【0062】
また、実際の吐出回数が予測吐出回数に達しない時点でノズルが故障する可能性もある。その際には、例えば、その時の基準値が0.6μsであるのに、0.64μsでノズルが故障した場合、基準値が短かすぎると判断し、基準値とノズルが故障した際の吐出最小パルス幅を平均化し、0.62μsを新たな基準値とする。なお、新たな基準値を故障した際の吐出最小パルス幅としてもよい。
【0063】
図8は基準値設定テーブルの構成を示す図である。
【0064】
このテーブルは、図4のステップS13において用いる基準値の選択において用いられる。
【0065】
図8から分かるように、インクの種類毎に記録ヘッド装着時の吐出最小パルス幅によって基準値は異なる。そのため、予め、記録ヘッド装着時に測定した吐出最小パルス幅(Pth)と使用するインクの種類に従う基準値を設定するテーブルを作成しておき、ノズル毎に適合する基準値を選択できるようにメモリ1003に格納しておく。この基準値は前述の基準値変更処理により、新たな基準値に変更していくことが好ましい。例えば、駆動電圧を20Vとし、記録ヘッド装着時の吐出最小パルス幅が0.70μs、インクの種類がシアンであった場合、図8に示すように基準値として0.62μsを選択する。
【0066】
次に寿命間近であると予測されたノズルに対する対処方法(記録制御の方法)について説明する。
【0067】
<第1の対処方法>
対象のノズルAに隣接するノズルBで補完記録を行う。即ち、寿命間近であると予想されたノズルAの使用頻度を下げる際には休止させるノズルAに隣接するノズルBにノズルAでのインク吐出のために割当てられるはずであった記録データを振り分け、ノズルBにより記録を行う。例えば、このような補完記録は、ノズルAに与えられる吐出機会の2回に1回の割合で実行する。また、隣接している両側のノズルから大きなインク滴を吐出させることで、ドット抜けを目立たなくするようにしてもよい。補完することが不可能となった場合、ヘッドの故障として判断する。
【0068】
<第2の対処方法>
マルチパス記録により対象のノズルによるインク吐出を別のノズルで行う。このマルチパス記録では、各ノズルの吐出方向性などの特性バラツキを記録ヘッドのノズル列の中で拡散させ、画質の劣化を目立たなくさせる。
【0069】
図9はマルチパス記録による対処方法を説明する図である。図9において、英小文字a、b、……、lは記録ヘッドの各ノズルを表わしている。
【0070】
例えば、図9(a)に示すように正常記録時には、第1走査、第2走査、第3走査のように記録ヘッド1101が複数回の走査に分けて同一領域に対して記録を行い、図9の702に示すように、記録媒体にて1つの画像を完成させている。
【0071】
図9(b)は第1走査でノズルcを休止させた場合の画像を構成する記録ドットを示している。図9(b)から明らかなように、完成した画像にはドット抜けが発生する。このドット抜けを回避するため、図9(c)に示すように、第1走査でドット抜けが発生したラインに対して、第2走査では吐出するノズルeを用いてそのラインに対する記録を行わせることにより、ドット抜けをなくすことができる。また、第2走査でノズルhを休止させる場合、第3走査においてノズルjでそのラインに対する記録を行わせることにより、ドット抜けをなくすことができる。
【0072】
このように寿命予測処理により寿命間近である予測されたノズルがある場合、そのノズルによる記録されるのと同じラインを記録するノズルに記録を代行してももらうことで、ノズル使用頻度を減少させることができる。これにより、ドット抜けを発生させることなく、記録することが可能である。予測に基づいて使用頻度を減少させたノズルとそのノズルを補完するノズルの両方が吐出不可となった場合、記録ヘッドの故障として判断する。なお、これらの方法は故障したノズルに対しても有効である。しかし、ノズルが故障した場合、保護膜の削れによりヒータにインクが接触、侵食することがある。この場合、隣接するノズルにも影響が広がり、連鎖的に故障していく可能性がある。そのため、故障した後に補完を行うよりも、故障する前にノズルの使用頻度を下げて補完を行うことにより、ノズルの故障を防ぐ方が好ましい。
【0073】
なお、記録ヘッドのインク吐出回数が増加するに従って吐出最小パルス幅の変化は減少傾向となるが、図10に示すように吐出最小パルス幅が途中から増加傾向に変化する場合がある。インクの吐出を続けるとキャビテーションによる衝撃やインク組成により、保護膜の削れが進行する。保護膜が削れ、薄くなった箇所はヒータに近く、その付近のインクが析出することでこげのようなものが形成されることがある。この形成物は一時的にではあるが、保護膜と同じ役割を果たす。そのため、一時的に吐出最小パルス幅が増加し、吐出が可能となる。しかし、吐出が不安定となるため、減少傾向のある吐出最小パルス幅の変化が所定の吐出回数の間に増加に転じ、その傾向が継続していた場合、故障ノズルであると判断することが好ましい。
【0074】
ここまで駆動パラメータの最小値として吐出最小パルス幅を用いた実施例を挙げたが、本発明はこれによって限定されるものではない。例えば、パルス幅を固定して電圧を変更した時のエネルギー閾値における最小電圧である吐出最小電圧を用いでもよい。
【実施例2】
【0075】
記録ヘッドの寿命予測における近似に曲線近似を用いる場合について説明する。
【0076】
図11は曲線近似による寿命予測を説明する図である。実施例1では吐出最小パルス幅の変動を直線近似する例を示したが、図11(a)に示すように曲線近似を用いても良い。実施例1で説明した直線近似では予測を行うため計算処理量が少なく、高速に処理を行うことができる利点がある。しかし、図11(b)に示すように実際の吐出最小パルス幅の時間変化は曲線近似の形に近く、吐出回数が増えるに従って保護膜の削れ量が増加し、保護膜の厚さは減少する特性を持っているため、精度の点では曲線近似のほうが優れている。よって、より高精度に予測を行うためには曲線を用いることが好ましい。この算出した近似曲線が基準値に到達するまでの吐出回数を算出し、ヘッドの故障時期を予測する。
【実施例3】
【0077】
実施例1〜2ではノズル毎に駆動パルス幅を設定するとしたが、その場合には、装置の回路構成が膨大になり、記録ヘッドのサイズとコストが増大するという問題もある。従って、複数のノズルに関して一括して駆動パルス幅を設定する方がコスト的には優れている。この実施例では、記録ヘッドの全ノズルに対して一括して吐出最小パルス幅を設定する方法について説明をする。なお、これ以外の処理については実施例1、2のいずれかと同じであるため、その説明は省略する。
【0078】
実施例1〜2では、ノズル毎にPthの測定をしているが、この実施例では記録ヘッド毎に測定する。図12は実施例3に従う吐出最小パルス幅を測定する際の主要な手順を示すフローチャートである。
【0079】
まず、ステップS221では、記録ヘッドの全ノズルが駆動する上で十分余裕のある駆動パルス幅を初期駆動パルス幅として設定する。次に、ステップS212では、ヘッドドライバは初期駆動パルス幅で全ノズルを駆動する。ステップS213では、実際にノズルからインク吐出があったかどうかを調べる。
【0080】
ここで、1つのノズルでもインクを吐出していると判定されれば、処理はステップS214に進み、駆動パルス幅を所定のパルス幅(例えば、0.01μs)だけ短くし、再び全ノズルを駆動させる。このように、駆動パルス幅を下げては、全ノズルを駆動させ、吐出状態を測定するという処理を繰り返す。インク吐出しているノズルが1つも検出されなかったと判定された場合、処理はステップS215に進み、全ノズルの駆動を停止する。
【0081】
ステップS216では、全ノズルからのインク吐出がなくなった1つ前に測定したパルス幅(インク吐出していたパルス幅)を吐出限界パルス幅とみなし、これを吐出最小パルス幅とする。
【0082】
以上説明したように実施例1〜3のいずれにおいても、記録ヘッドの装着時からの記録ヘッド寿命に直接関わるノズルの駆動パラメータの最小値を測定し、駆動パラメータの最小値の測定値が基準値に達する吐出回数を算出して、ノズルの故障時期を予測する。さらに、インク吐出回数がその基準値を越える際には基準値変更をその都度行うことにより、高精度に記録ヘッドの寿命を予測することが可能である。これにより、記録ヘッドの故障時期を的確に予測することができる。
【技術分野】
【0001】
本発明は記録装置及び記録ヘッドの寿命予測方法に関し、特に、インクジェット記録ヘッドを用いて記録媒体に記録を行う記録装置のヘッド寿命予測及びヘッド長寿命化に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のインク吐出ノズル(以下、ノズル)を備えたインクジェット記録ヘッドには、個々のノズルにインクを吐出口に導くための流路と流路中のインクに保護膜を介して接触するヒータが備えられているタイプのものがある。インク吐出のためには、個々のヒータに所定の駆動パルスが印加され、これによってヒータが発熱して保護膜上面に接したインクを加熱する。これにより、インクは急激に加熱され、インクは体積増加を伴う発泡を起こし、この発泡に基づく力によって吐出口からインクが押し出される。ヒータの表面には絶縁性保護膜が形成されている。このタイプのインクジェット記録ヘッド(以下、記録ヘッド)はインク吐出過程において、発泡現象が終わり消泡する際のキャビテーションによる衝撃や保護膜の温度上昇、インク組成により、ヒータ上に形成された保護膜の削れが発生する。
【0003】
吐出回数が増えるに従い、この保護膜の削れ量が増加し、保護膜の厚さは減少する。吐出を繰り返して保護膜の削れが進行すると、ヒータからインクまでの熱伝導特性が変化して、インクを吐出させるために必要な最小エネルギーに変化が生じる。保護膜の厚さが薄くなると、ヒータからインクまで熱が伝わりやすくなるため、吐出に必要な最小パルス幅は減少する。そのため、記録ヘッド毎に吐出最小パルス幅を設定することにより、記録ヘッドに対して適正なエネルギーば与えられるようにしている(例えば、特許文献1)。
【0004】
しかし、保護膜の製造上のばらつき、或いは経時的なノズルの特性変化により、吐出最小パルス幅にばらつきが生じる。保護膜が削れて薄くなったノズルは、保護膜の削れていないノズルと比較して、吐出に必要な最小パルス幅が小さく、保護膜の削れていないノズルと同等のエネルギーを投入するとエネルギー過剰な状態となり、より削れが進行しやすくなる。保護膜の削れが進行して保護膜が完全に削られてしまうとヒータは故障し、ノズルからの吐出が不可能となる。
【0005】
さらに近年になり、上記のような記録ヘッドを搭載した記録装置は、より多数のノズルを備えるようになっているので、加えて保護膜の削れにばらつきがあることから記録ヘッド全体としての故障割合は高くなる。記録ヘッドが故障すると、正確な画像の記録ができなくなる。
【0006】
例えば、記録ヘッドで画像を記録する場合、一部のノズルが不良になると、ドット抜けなど記録画像の品位が低下する問題が生じる原因となる。従って、適切なタイミングで記録ヘッドを交換することが重要である。
【0007】
さて、記録ヘッドの寿命(言い換えると故障が発生する時期)は、記録ヘッド毎の製造時のばらつきによる保護膜の削れ速度の違いやインクの種類、記録装置が用いられる温度環境などにより大きく異なる。ここでいう寿命とは保護膜が削れ、ヒータが故障し、ノズルからのインクの吐出が不可能な状態となることを指す。特に、記録ヘッド毎の製造時のばらつきにはヒータ抵抗や保護膜厚などのばらつきがあり、同じ電圧を印加しても伝導性の違いから吐出最小パルス幅が異なるため、故障時期を予測することは困難である。このような記録ヘッドの寿命予測方法には、通算の動作時間が一定時間や、吐出回数が一定回数を超えた場合、或いは減少傾向にあるノズルの抵抗値が上昇傾向に変化した場合に、記録ヘッド寿命が近いことを通知するものなどがある(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−058529号公報
【特許文献2】特開2007−083554号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、記録ヘッド毎の製造時ばらつきによる保護膜の削れ速度の違いや使用されるインクの種類、記録装置が用いられる温度環境によるばらつきがある。このため、従来の記録ヘッドの寿命予測方法では、必ずしも正確な記録ヘッドの故障時期を予測することはできない。また、従来のような寿命予測方法では、検討によって算出された限界値(閾値)に余裕を持った値を用いているため、本当の寿命までにまだ十分な期間のあるノズルでも故障と判断する可能性がある。そのため、高精度な予測を行うためには、その状況によって適正な基準値を設定する必要がある。
【0010】
本発明は上記従来例に鑑みてなされたもので、インクジェット記録ヘッドの使用可能なインク吐出回数を高精度に予測できる記録装置及び記録ヘッドの寿命予測方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために本発明の記録装置は、次のような構成からなる。
【0012】
即ち、それぞれにヒータを含んだ複数のノズルを備えた記録ヘッドを装着し、該記録ヘッドからインクを吐出させて記録を行う記録装置であって、前記複数のノズルを駆動し、前記ヒータに通電することでインクを加熱して発泡させ、前記ノズルからインクを吐出させる駆動手段と、前記駆動手段により駆動されたノズルから吐出されるインクを検出する検出手段と、前記ヒータに通電することでインクに加えられるエネルギーを規定する駆動パラメータの値を変化させる変更手段と、前記変更手段により前記駆動パラメータの値を変化させながら前記検出手段によりインクの検出ができなくなるまで前記駆動手段により前記複数のノズルを駆動することにより駆動パラメータの最小値を測定する測定手段と、前記駆動パラメータの最小値を格納する格納手段と、前記記録ヘッドの装着後からの記録動作に伴って、前記駆動手段と前記検出手段と前記変更手段と前記測定手段とを動作させて駆動パラメータの最小値を測定し、該測定された駆動パラメータの最小値を前記格納手段に格納して蓄積する蓄積手段と、前記蓄積手段により蓄積された前記駆動パラメータの最小値の時間変化から前記駆動パラメータの最小値が予め定められた閾値に達するインク吐出回数を予測する予測手段とを有することを特徴とする。
【0013】
また本発明を別の側面から見れば、それぞれにヒータを含んだ複数のノズルを備えた記録ヘッドを装着し、該記録ヘッドからインクを吐出させて記録を行う記録装置において用いられる記録ヘッドの寿命予測方法であって、前記複数のノズルを駆動し、前記ヒータに通電することでインクを加熱して発泡させ、前記ノズルからインクを吐出させる駆動工程と、前記駆動されたノズルから吐出されるインクを検出する検出工程と、前記ヒータに通電することでインクに加えられるエネルギーを規定する駆動パラメータの値を変化させる変更工程と、前記駆動パラメータの値を変化させながら前記検出手段によりインクの検出ができなくなるまで前記複数のノズルを駆動することにより駆動パラメータの最小値を測定する測定工程と、前記駆動パラメータの最小値をメモリに格納する格納工程と、前記記録ヘッドの装着後からの記録動作に伴って、前記駆動工程と前記検出工程と前記変更工程と前記測定工程とを実行させて駆動パラメータの最小値を測定し、該測定された駆動パラメータの最小値を前記メモリに格納して蓄積する蓄積工程と、前記蓄積された前記駆動パラメータの最小値の時間変化から前記駆動パラメータの最小値が予め定められた閾値に達するインク吐出回数を予測する予測工程とを有することを特徴とする記録ヘッドの寿命予測方法を備える。
【発明の効果】
【0014】
従って本発明によれば、記録ノズル毎の駆動パラメータの最小値を測定し、駆動パラメータの最小値の経時的な変化特性からその記録ノズルの故障時期を予測することができることができるという効果がある。予測された故障時期の前から記録ノズル使用頻度を減らすことにより、その記録ノズルの負担を減らし、故障を防ぐため、記録ヘッドの寿命を延ばすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の代表的な実施例であるインクジェット記録装置の概略構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示した記録装置の制御構成を示すブロック図である。
【図3】吐出に必要な最小パルス幅(吐出最小パルス幅)を測定する際の主要な手順を示すフローチャートである。
【図4】吐出最小パルス幅による寿命予測のための主要な手順を示すフローチャートである。
【図5】実測されたPthデータの使用法を説明する図である。
【図6】図4のステップS16における近似を実行する記録ヘッドの寿命予測の詳細を説明する図である。
【図7】基準値変更処理を示すフローチャートである。
【図8】基準値設定テーブルの構成を示す図である。
【図9】マルチパス記録による対処方法を説明する図である。
【図10】吐出最小パルス幅が途中から増加傾向に変化する様子を示す図である。
【図11】曲線近似による寿命予測を説明する図である。
【図12】実施例3に従う吐出最小パルス幅を測定する際の主要な手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下添付図面を参照して本発明の好適な実施例について、さらに具体的かつ詳細に説明する。なお、これにより本発明が限定されるものではない。
【0017】
なお、この明細書において、「記録」(「プリント」という場合もある)とは、文字、図形等有意の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わない。また人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かを問わず、広く記録媒体上に画像、模様、パターン等を形成する、または媒体の加工を行う場合も表すものとする。
【0018】
また、「記録媒体」とは、一般的な記録装置で用いられる紙のみならず、広く、布、プラスチック・フィルム、金属板、ガラス、セラミックス、木材、皮革等、インクを受容可能なものも表すものとする。
【0019】
さらに、「インク」(「液体」と言う場合もある)とは、上記「記録(プリント)」の定義と同様広く解釈されるべきものである。従って、記録媒体上に付与されることによって、画像、模様、パターン等の形成または記録媒体の加工、或いはインクの処理(例えば記録媒体に付与されるインク中の色剤の凝固または不溶化)に供され得る液体を表すものとする。
【0020】
またさらに、「記録要素」とは、特にことわらない限り吐出口ないしこれに連通する液路およびインク吐出に利用されるエネルギーを発生する素子を総括して言うものとする。
【0021】
特に、この実施例では、インク吐出に利用されるエネルギーを発生する素子として電気熱変換素子(ヒータ)を用い、このヒータに通電して加熱することにより、熱を発生させ、その熱によって吐出口付近に発生する泡の発泡力によりインクを吐出する。
【0022】
図1は本発明の代表的な実施例であるインクジェット記録装置(以下、記録装置)の概略構成を示す斜視図である。
【0023】
図1に示すように、この記録装置は記録ヘッド1101とインクタンクを一体的に構成した複数のヘッドカートリッジを備え、これらはキャリッジ1102に対してそれぞれ独立に交換可能に搭載される。複数のヘッドカートリッジそれぞれには、記録ヘッド1101の駆動信号を受信するためのコネクタが設けられている。複数のヘッドカートリッジそれぞれの記録ヘッドは、シアン、マゼンタ、イエロ、ブラックなどのインクを吐出し、対応するインクタンクには、対応するインクがそれぞれ収納されている。一方、キャリッジ1102にはコネクタを介して複数のインクカートリッジそれぞれの記録ヘッド1101に駆動信号や記録信号等を伝送するための電気接続部が設けられている。
【0024】
キャリッジ1102は、記録装置の本体部に備えられたガイドシャフト1103に沿って、矢印Aで示す方向(主走査方向)に移動可能な状態に支持されている。また、キャリッジ1102はキャリッジモータ1104により、プーリ1105、従動プーリ1106およびタイミングベルト1107を介して駆動され、その位置及び移動が制御される。記録用紙やプラスチック薄板等の記録媒体1108は、2組の搬送ローラ1109A、1109B、及び1110A、1110Bの回転により、記録ヘッド1101の吐出口面と対向する位置を通過する様に搬送される。
【0025】
その際、記録部において平坦な記録面を形成できるように、記録媒体1108の裏面をプラテン(不図示)により支持されている。また、2組の搬送ローラ対は、キャリッジ1102に搭載された記録ヘッド1101の吐出口面とプラテン上の記録媒体1108との間が所定の距離に維持されるように、記録媒体の搬送方向に関して記録ヘッドを挟む両側から記録媒体1108を支えている。
【0026】
なお、キャリッジ1102のホームポジション近傍には、記録ヘッド1101から試験的にインク吐出を行わせ、吐出されたインクを光学的に検知するインク吐出検出センサ(不図示)が備えられている。このセンサからの出力データに基づいて、記録ヘッドの吐出不良或いは記録ヘッドの複数のインク吐出ノズル(以下、ノズル)の吐出不良を判断する。
【0027】
図2は図1に示す記録装置の制御構成を示すブロック図である。
【0028】
図2において、1700は記録データを入力するインタフェース、1701はMPU、1702はMPU1701が実行する制御プログラムを格納するROM、1703は記録データや記録ヘッドに供給される記録信号等のデータを保存しておくDRAMである。1704は記録ヘッドに対する記録信号の供給制御を行うゲートアレイ(G.A.)であり、インタフェース1700、MPU1701、DRAM1703間のデータ転送制御も行う。コントローラ600は、MPU1701、ROM1702、DRAM1703、ゲートアレイ1704を備えている。1104は記録ヘッド1101を搬送するためのキャリッジモータ、1709は記録紙搬送のための搬送モータである。1705は記録ヘッドを駆動するヘッドドライバ、1706、1707はそれぞれ搬送モータ1709、キャリッジモータ1104を駆動するためのモータドライバである。
【0029】
上記制御構成の動作を説明すると、インタフェース1700に記録データが入るとゲートアレイ1704とMPU1701との間で記録データが記録用の記録信号に変換される。そして、モータドライバ1706、1707が駆動されると共に、ヘッドドライバ1705に送られた記録データに従って記録ヘッドが駆動され、記録が行われる。
【0030】
また、図1に関連して説明したインク吐出検知センサ(以下、センサ)1710からのデータはコントローラ600に入力され、MPU1701により処理され測定値情報としてEEPROM1708に格納される。また、EEPROM1708には後述する基準値テーブルや記録ヘッドを駆動するための駆動パラメータなどが格納される。EEPROMに格納される情報を用いてROMに格納される制御プログラムを実行することで、以下に説明する記録ヘッドの寿命予測や寿命間近であると予測されたノズルに対する対処処理を行う。
【0031】
なお、ここでは不揮発性メモリの代表例としてEEPROMを用いたが、他の不揮発性メモリ、例えば、FeRAMなどを用いても良い。
【0032】
以下、以上の構成に記録装置に用いられるインクジェット記録ヘッド(以下、記録ヘッド)の寿命予測とこれに伴う対処についてのいくつかの実施例を説明する。
【実施例1】
【0033】
まず、記録ヘッドに設けられた複数のインク吐出ノズルの使用に伴って変化するインクを吐出するノズルの駆動パラメータの最小値を測定する方法について説明する。
【0034】
電気熱変換素子(ヒータ)にパルスを印加することによりインクを発泡させるインクジェット記録では、インクを発泡させるか否かのエネルギー閾値(Eth)が規定される。特に、このエネルギー閾値に対応し、所定の電圧でインクを発泡させるか否かのパルス幅の閾値(Pth)も規定される。この実施例では、記録時の発泡と吐出を安定させるためにヒータに印加される駆動パルス幅(Pop)をPthの1.15倍としている。この1.15という係数をk値と呼び、k値=(Pop/Pth)1/2と定義される。
【0035】
図3は吐出に必要な最小パルス幅(吐出最小パルス幅)を測定する際の主要な手順を示すフローチャートである。
【0036】
図3に示すように、ステップS201では、記録ヘッドのノズルそれぞれに駆動する上で十分余裕のある駆動パルス幅を初期駆動パルス幅として設定する。次に、ステップS202では、ヘッドドライバは初期駆動パルス幅でノズルを駆動する。
【0037】
ステップS203では、その駆動によりインクが吐出したかどうかを調べる。ここで、インクが吐出されたと判定すれば、処理はステップS204に進み、駆動パルス幅を所定のパルス幅(例えば、0.01μs)だけ短くし、駆動パルス幅を再設定し、その後、ステップS202で再びノズルを駆動させる。
【0038】
このように、駆動パルス幅を短くしては、ノズルを駆動させ、吐出状態を判定するという処理を繰り返す。ステップS203において、ノズルからインクが吐出しなくなった場合、処理はステップS205に進み、ノズルの駆動を停止する。最後に、ステップS206では、ノズルからインクが吐出しなくなった1つ前に測定したパルス幅(ノズルからインクが吐出していたパルス幅)を吐出限界パルス幅とみなし、これを吐出最小パルス幅とする。
【0039】
測定の間隔としては、予測精度の低下を防ぐため、定期的にデータを取得する必要がある。そのため、記録ヘッドのノズル列毎に所定の吐出回数毎に吐出最小パルス幅の測定を行うようにする。ノズル毎に吐出回数をカウントして、所定の吐出回数毎に吐出最小パルス幅の測定を行ってもよい。また、記録ジョブと競合しないようにするため、記録装置の起動時や終了時、或いは使用頻度の少ない時間帯に吐出最小パルス幅測定を行うことで効率をあげることができる。
【0040】
次に吐出最小パルス幅の測定値による寿命予測の方法について説明する。
【0041】
図4は吐出最小パルス幅による寿命予測のための主要な手順を示すフローチャートである。
【0042】
まず、ステップS11では記録ヘッド装着時にPthを測定し、ステップS12ではこれをメモリ1003に格納する。ステップS13では、そのPthと使用するインクの種類から基準値を選択する。基準値については後で詳細に説明する。
【0043】
次に、ステップS14では、その時点でのPthを測定し、ステップS15では、これをメモリ1003に格納する。ステップS16では、この蓄積された複数回のPthの測定値を用いて、その変化を近似する。ステップS17では、この近似結果から基準値に合致するまでのインク吐出回数を算出し、ステップS18では、この値と実際のインク吐出回数と比較し、実際の吐出回数がこの予測された吐出回数に達するまで、記録ヘッドの故障時期を予測を継続する。
【0044】
以上の処理では、この際にはメモリ1003に蓄積・格納された実測のPthデータの時間変化を用いる。
【0045】
図5は実測されたPthデータの使用法を説明する図である。
【0046】
図5(a)は予測のために、記録ヘッド装着時の測定値から最後に測定された測定値を記録ヘッドの故障時期の予測に用いる場合を示している。実際にも、このようにPthデータを用いるのが好ましい。そして、Pthの測定を行う毎に予測をするため、インク吐出回数が増加するにつれ、予測精度が高くなる。
【0047】
一方、図5(b)は記録ヘッド装着時からインク吐出回数が1×107までの測定値は使用せず、その後から最後に測定を行った吐出回数までのメモリ1003に蓄積された測定データを用いる場合を示している。これは、記録ヘッド装着後の特定の吐出回数まではPthが不安定になることがあるため、その吐出回数までの測定値を除き、最後に測定された測定値までに測定された複数回の測定値を用いるとしたためである。
【0048】
また、ここでいう基準値は記録ヘッド装着時に測定されたPthに予め実験で求めた係数を掛けた値を用いることが好ましい。例えば、実験で記録ヘッド装着時の吐出最小パルス幅に0.8を掛けた値で故障するケースが最も多かった場合には、係数としてこの値を用いる。
【0049】
図6は図4のステップS16における近似を実行する記録ヘッドの寿命予測の詳細を説明する図である。
【0050】
図6(a)は、図3に示す処理により得られたPthデータから直線近似によりPthの変化を予測する例を示している、この近似計算には様々な方法があるが、ここでは最小自乗法を用いて吐出最小パルス幅変動のフィッティングを行う。もしノイズ成分が入るようなデータであれば、平滑化を選択することも有効である。直線近似を用いる場合、計算処理量が少ないため、高速に処理することができる。図6(a)に示すように、算出された予測線が基準値と交わる点における吐出回数Aを算出して、記録ヘッドの故障時期を予測する。
【0051】
一方、実際の吐出回数が予測された吐出回数Aの所定の割合に達した際には、例えば、図6(a)に示すように吐出回数B(吐出回数Aの80%)からはノズルの使用頻度を減少させる。このようにして、寿命の近いノズルの負荷を減少させることにより、故障ノズルの発生を防ぎ、記録ヘッド全体の寿命の平均化をする。
【0052】
図6(b)〜図6(d)は、ノズルの使用頻度減少を、記録ヘッド装着時に測定されたPthから決める方法の例を示している。例えば、ノズルYを基準として全ノズルの駆動パルス幅を同一とした場合、図6(c)に示すように記録ヘッド装着時のノズル毎のPthばらつきにより、吐出回数にノズルX〜Zで差が生じる場合がある。図6(c)に示す例の場合、ノズルXには低いエネルギーが加わり、保護膜削れの進行が遅くなるため、Pthの減少が遅くなる。一方、ノズルZには過剰なエネルギーが加わり、保護膜削れの進行が加速するためPthの減少が速くなる。
【0053】
このようにノズル毎に保護膜削れの程度に差が生じる可能性があるので、記録ヘッド装着時のPthに対する所定の割合にそのノズルのPthが達した時、ノズルの使用頻度を減少させる。例えば、図6(b)に示すように、記録ヘッド装着時のPthが0.72μsであった場合、その90%の0.64μsでノズルの使用頻度を2分の1に減少させ、吐出回数CからDまで吐出可能にする。
【0054】
しかし、記録ヘッドの使用中にPthの変化傾向が変わる可能性がある。前述の方法の場合、例えば、図6(d)のように吐出回数Fでノズルの使用頻度を減少させ、F’まで吐出可能にする。これに対して、Pthの減少が速い場合、同様に、吐出回数E”でノズルへの負担を減らすためノズルの使用頻度を減少させたとしても、基準値に達するまでの吐出回数が少なく、寿命をそれほど長く延ばすことができない。従って、この方法では記録ヘッド使用中でも常に予測を行い、例えば、予測された吐出回数E’の80%の吐出回数Eでノズルの使用頻度を減少させるようにする。これにより、ノズルへの負担をより早く減らすことができ、寿命をより延ばすことができる。
【0055】
このように、本発明では、記録ヘッドの使用中であっても常に予測を行いノズルの故障までの吐出回数を見積もるため、記録ヘッド使用中のPthデータの変化傾向が変わった場合でも対応することができる。ノズルの使用頻度を減少させるためには後述の補完記録などを用いて、その対象ノズルの吐出を代行することで吐出回数を減らす。
【0056】
図4のステップS13において用いる基準値の選択は、後述する基準テーブルから選択されるが、そのテーブルに設定される基準値そのものも、記録ヘッドの使用回数が増加していくのに伴って変更される。それで次に、その基準値の変更処理について説明する。
【0057】
図7は基準値変更処理を示すフローチャートである。
【0058】
ステップS41では、記録ヘッドを記録動作のために駆動する。その際、記録ヘッドのノズルが前述の寿命予測処理に従って予測された吐出回数を超えてもノズル毎に保護膜の厚さにばらつきがあるため、依然としてインク吐出ができる可能性がある。
【0059】
ステップS42では、現在の吐出回数が予測された吐出回数を超えているかどうかを調べる。ここで、現在の吐出回数が予測吐出回数を超えていた場合には、処理はステップS43に進み、吐出可能な基準値を変更する。このような変更は記録ヘッドに記録動作が発生し、その時点での吐出回数が変更された基準値に基づいて予測された吐出回数をこえるたび毎に実行される。そのノズルが故障した場合、その直前に測定した値を新たな基準値に変更し、より高精度な予測ができるように基準値を変更する。
【0060】
例えば、その時の基準値が0.6μsであるのに対して、吐出最小パルス幅が0.56μsでノズルが故障した場合、基準値が高すぎると判断する。そして、基準値とノズルが故障した際の吐出最小パルス幅を平均化し、0.58μsを新たな基準値とする。
【0061】
これに対して、現在の吐出回数が予測吐出回数を超えていない場合には、処理はそのまま終了する。
【0062】
また、実際の吐出回数が予測吐出回数に達しない時点でノズルが故障する可能性もある。その際には、例えば、その時の基準値が0.6μsであるのに、0.64μsでノズルが故障した場合、基準値が短かすぎると判断し、基準値とノズルが故障した際の吐出最小パルス幅を平均化し、0.62μsを新たな基準値とする。なお、新たな基準値を故障した際の吐出最小パルス幅としてもよい。
【0063】
図8は基準値設定テーブルの構成を示す図である。
【0064】
このテーブルは、図4のステップS13において用いる基準値の選択において用いられる。
【0065】
図8から分かるように、インクの種類毎に記録ヘッド装着時の吐出最小パルス幅によって基準値は異なる。そのため、予め、記録ヘッド装着時に測定した吐出最小パルス幅(Pth)と使用するインクの種類に従う基準値を設定するテーブルを作成しておき、ノズル毎に適合する基準値を選択できるようにメモリ1003に格納しておく。この基準値は前述の基準値変更処理により、新たな基準値に変更していくことが好ましい。例えば、駆動電圧を20Vとし、記録ヘッド装着時の吐出最小パルス幅が0.70μs、インクの種類がシアンであった場合、図8に示すように基準値として0.62μsを選択する。
【0066】
次に寿命間近であると予測されたノズルに対する対処方法(記録制御の方法)について説明する。
【0067】
<第1の対処方法>
対象のノズルAに隣接するノズルBで補完記録を行う。即ち、寿命間近であると予想されたノズルAの使用頻度を下げる際には休止させるノズルAに隣接するノズルBにノズルAでのインク吐出のために割当てられるはずであった記録データを振り分け、ノズルBにより記録を行う。例えば、このような補完記録は、ノズルAに与えられる吐出機会の2回に1回の割合で実行する。また、隣接している両側のノズルから大きなインク滴を吐出させることで、ドット抜けを目立たなくするようにしてもよい。補完することが不可能となった場合、ヘッドの故障として判断する。
【0068】
<第2の対処方法>
マルチパス記録により対象のノズルによるインク吐出を別のノズルで行う。このマルチパス記録では、各ノズルの吐出方向性などの特性バラツキを記録ヘッドのノズル列の中で拡散させ、画質の劣化を目立たなくさせる。
【0069】
図9はマルチパス記録による対処方法を説明する図である。図9において、英小文字a、b、……、lは記録ヘッドの各ノズルを表わしている。
【0070】
例えば、図9(a)に示すように正常記録時には、第1走査、第2走査、第3走査のように記録ヘッド1101が複数回の走査に分けて同一領域に対して記録を行い、図9の702に示すように、記録媒体にて1つの画像を完成させている。
【0071】
図9(b)は第1走査でノズルcを休止させた場合の画像を構成する記録ドットを示している。図9(b)から明らかなように、完成した画像にはドット抜けが発生する。このドット抜けを回避するため、図9(c)に示すように、第1走査でドット抜けが発生したラインに対して、第2走査では吐出するノズルeを用いてそのラインに対する記録を行わせることにより、ドット抜けをなくすことができる。また、第2走査でノズルhを休止させる場合、第3走査においてノズルjでそのラインに対する記録を行わせることにより、ドット抜けをなくすことができる。
【0072】
このように寿命予測処理により寿命間近である予測されたノズルがある場合、そのノズルによる記録されるのと同じラインを記録するノズルに記録を代行してももらうことで、ノズル使用頻度を減少させることができる。これにより、ドット抜けを発生させることなく、記録することが可能である。予測に基づいて使用頻度を減少させたノズルとそのノズルを補完するノズルの両方が吐出不可となった場合、記録ヘッドの故障として判断する。なお、これらの方法は故障したノズルに対しても有効である。しかし、ノズルが故障した場合、保護膜の削れによりヒータにインクが接触、侵食することがある。この場合、隣接するノズルにも影響が広がり、連鎖的に故障していく可能性がある。そのため、故障した後に補完を行うよりも、故障する前にノズルの使用頻度を下げて補完を行うことにより、ノズルの故障を防ぐ方が好ましい。
【0073】
なお、記録ヘッドのインク吐出回数が増加するに従って吐出最小パルス幅の変化は減少傾向となるが、図10に示すように吐出最小パルス幅が途中から増加傾向に変化する場合がある。インクの吐出を続けるとキャビテーションによる衝撃やインク組成により、保護膜の削れが進行する。保護膜が削れ、薄くなった箇所はヒータに近く、その付近のインクが析出することでこげのようなものが形成されることがある。この形成物は一時的にではあるが、保護膜と同じ役割を果たす。そのため、一時的に吐出最小パルス幅が増加し、吐出が可能となる。しかし、吐出が不安定となるため、減少傾向のある吐出最小パルス幅の変化が所定の吐出回数の間に増加に転じ、その傾向が継続していた場合、故障ノズルであると判断することが好ましい。
【0074】
ここまで駆動パラメータの最小値として吐出最小パルス幅を用いた実施例を挙げたが、本発明はこれによって限定されるものではない。例えば、パルス幅を固定して電圧を変更した時のエネルギー閾値における最小電圧である吐出最小電圧を用いでもよい。
【実施例2】
【0075】
記録ヘッドの寿命予測における近似に曲線近似を用いる場合について説明する。
【0076】
図11は曲線近似による寿命予測を説明する図である。実施例1では吐出最小パルス幅の変動を直線近似する例を示したが、図11(a)に示すように曲線近似を用いても良い。実施例1で説明した直線近似では予測を行うため計算処理量が少なく、高速に処理を行うことができる利点がある。しかし、図11(b)に示すように実際の吐出最小パルス幅の時間変化は曲線近似の形に近く、吐出回数が増えるに従って保護膜の削れ量が増加し、保護膜の厚さは減少する特性を持っているため、精度の点では曲線近似のほうが優れている。よって、より高精度に予測を行うためには曲線を用いることが好ましい。この算出した近似曲線が基準値に到達するまでの吐出回数を算出し、ヘッドの故障時期を予測する。
【実施例3】
【0077】
実施例1〜2ではノズル毎に駆動パルス幅を設定するとしたが、その場合には、装置の回路構成が膨大になり、記録ヘッドのサイズとコストが増大するという問題もある。従って、複数のノズルに関して一括して駆動パルス幅を設定する方がコスト的には優れている。この実施例では、記録ヘッドの全ノズルに対して一括して吐出最小パルス幅を設定する方法について説明をする。なお、これ以外の処理については実施例1、2のいずれかと同じであるため、その説明は省略する。
【0078】
実施例1〜2では、ノズル毎にPthの測定をしているが、この実施例では記録ヘッド毎に測定する。図12は実施例3に従う吐出最小パルス幅を測定する際の主要な手順を示すフローチャートである。
【0079】
まず、ステップS221では、記録ヘッドの全ノズルが駆動する上で十分余裕のある駆動パルス幅を初期駆動パルス幅として設定する。次に、ステップS212では、ヘッドドライバは初期駆動パルス幅で全ノズルを駆動する。ステップS213では、実際にノズルからインク吐出があったかどうかを調べる。
【0080】
ここで、1つのノズルでもインクを吐出していると判定されれば、処理はステップS214に進み、駆動パルス幅を所定のパルス幅(例えば、0.01μs)だけ短くし、再び全ノズルを駆動させる。このように、駆動パルス幅を下げては、全ノズルを駆動させ、吐出状態を測定するという処理を繰り返す。インク吐出しているノズルが1つも検出されなかったと判定された場合、処理はステップS215に進み、全ノズルの駆動を停止する。
【0081】
ステップS216では、全ノズルからのインク吐出がなくなった1つ前に測定したパルス幅(インク吐出していたパルス幅)を吐出限界パルス幅とみなし、これを吐出最小パルス幅とする。
【0082】
以上説明したように実施例1〜3のいずれにおいても、記録ヘッドの装着時からの記録ヘッド寿命に直接関わるノズルの駆動パラメータの最小値を測定し、駆動パラメータの最小値の測定値が基準値に達する吐出回数を算出して、ノズルの故障時期を予測する。さらに、インク吐出回数がその基準値を越える際には基準値変更をその都度行うことにより、高精度に記録ヘッドの寿命を予測することが可能である。これにより、記録ヘッドの故障時期を的確に予測することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれにヒータを含んだ複数のノズルを備えた記録ヘッドを装着し、該記録ヘッドからインクを吐出させて記録を行う記録装置であって、
前記複数のノズルを駆動し、前記ヒータに通電することでインクを加熱して発泡させ、前記ノズルからインクを吐出させる駆動手段と、
前記駆動手段により駆動されたノズルから吐出されるインクを検出する検出手段と、
前記ヒータに通電することでインクに加えられるエネルギーを規定する駆動パラメータの値を変化させる変更手段と、
前記変更手段により前記駆動パラメータの値を変化させながら前記検出手段によりインクの検出ができなくなるまで前記駆動手段により前記複数のノズルを駆動することにより駆動パラメータの最小値を測定する測定手段と、
前記駆動パラメータの最小値を格納する格納手段と、
前記記録ヘッドの装着後からの記録動作に伴って、前記駆動手段と前記検出手段と前記変更手段と前記測定手段とを動作させて駆動パラメータの最小値を測定し、該測定された駆動パラメータの最小値を前記格納手段に格納して蓄積する蓄積手段と、
前記蓄積手段により蓄積された前記駆動パラメータの最小値の時間変化から前記駆動パラメータの最小値が予め定められた閾値に達するインク吐出回数を予測する予測手段とを有することを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記駆動パラメータの最小値は、前記駆動手段により前記ノズルを駆動する際に用いる駆動パルスの幅、或いは、前記駆動パルスの電圧を含むことを特徴とする請求項1の記録装置。
【請求項3】
前記予測手段は、前記駆動パラメータの最小値の時間変化から、直線近似、或いは、曲線近似を用いて前記駆動パラメータの最小値が予め定められた閾値に達するインク吐出回数を予測することを特徴とする請求項1又は2に記載の記録装置。
【請求項4】
前記閾値は前記記録ヘッド装着時に測定された駆動パラメータの最小値に予め実験で求めた係数を掛けた値であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項5】
前記閾値は、前記記録ヘッドで用いるインクの種類と前記記録ヘッド装着時に測定された駆動パラメータの最小値とに従って、複数、備えられ、
前記複数の閾値を格納するテーブルと、
前記記録ヘッドで用いるインクの種類と前記記録ヘッド装着時に測定された駆動パラメータの最小値とに従って、前記テーブルから閾値を選択する選択手段をさらに有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項6】
前記記録ヘッドの記録動作に伴って前記予測手段によって予測されたインク吐出回数より所定の割合に前記記録ヘッドのノズルが達した場合、該ノズルの使用頻度を減少させて記録を行うように制御する記録制御手段をさらに有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項7】
前記記録制御手段は、マルチパス記録、或いは、補完記録により、前記使用頻度が減少したノズルによる記録の代行を行うよう接続することを特徴とする請求項6に記載の記録装置。
【請求項8】
前記記録ヘッドの記録動作に伴って前記予測手段によって予測されたインク吐出回数に前記記録ヘッドのノズルが達した場合、前記閾値を変更する閾値の変更手段をさらに有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項9】
前記蓄積手段により蓄積された前記駆動パラメータの最小値の時間変化が増加傾向となった場合、前記増加傾向を示すノズルを故障であると判断する判断手段をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項10】
それぞれにヒータを含んだ複数のノズルを備えた記録ヘッドを装着し、該記録ヘッドからインクを吐出させて記録を行う記録装置において用いられる記録ヘッドの寿命予測方法であって、
前記複数のノズルを駆動し、前記ヒータに通電することでインクを加熱して発泡させ、前記ノズルからインクを吐出させる駆動工程と、
前記駆動されたノズルから吐出されるインクを検出する検出工程と、
前記ヒータに通電することでインクに加えられるエネルギーを規定する駆動パラメータの値を変化させる変更工程と、
前記駆動パラメータの値を変化させながら前記検出手段によりインクの検出ができなくなるまで前記複数のノズルを駆動することにより駆動パラメータの最小値を測定する測定工程と、
前記駆動パラメータの最小値をメモリに格納する格納工程と、
前記記録ヘッドの装着後からの記録動作に伴って、前記駆動工程と前記検出工程と前記変更工程と前記測定工程とを実行させて駆動パラメータの最小値を測定し、該測定された駆動パラメータの最小値を前記メモリに格納して蓄積する蓄積工程と、
前記蓄積された前記駆動パラメータの最小値の時間変化から前記駆動パラメータの最小値が予め定められた閾値に達するインク吐出回数を予測する予測工程とを有することを特徴とする記録ヘッドの寿命予測方法。
【請求項1】
それぞれにヒータを含んだ複数のノズルを備えた記録ヘッドを装着し、該記録ヘッドからインクを吐出させて記録を行う記録装置であって、
前記複数のノズルを駆動し、前記ヒータに通電することでインクを加熱して発泡させ、前記ノズルからインクを吐出させる駆動手段と、
前記駆動手段により駆動されたノズルから吐出されるインクを検出する検出手段と、
前記ヒータに通電することでインクに加えられるエネルギーを規定する駆動パラメータの値を変化させる変更手段と、
前記変更手段により前記駆動パラメータの値を変化させながら前記検出手段によりインクの検出ができなくなるまで前記駆動手段により前記複数のノズルを駆動することにより駆動パラメータの最小値を測定する測定手段と、
前記駆動パラメータの最小値を格納する格納手段と、
前記記録ヘッドの装着後からの記録動作に伴って、前記駆動手段と前記検出手段と前記変更手段と前記測定手段とを動作させて駆動パラメータの最小値を測定し、該測定された駆動パラメータの最小値を前記格納手段に格納して蓄積する蓄積手段と、
前記蓄積手段により蓄積された前記駆動パラメータの最小値の時間変化から前記駆動パラメータの最小値が予め定められた閾値に達するインク吐出回数を予測する予測手段とを有することを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記駆動パラメータの最小値は、前記駆動手段により前記ノズルを駆動する際に用いる駆動パルスの幅、或いは、前記駆動パルスの電圧を含むことを特徴とする請求項1の記録装置。
【請求項3】
前記予測手段は、前記駆動パラメータの最小値の時間変化から、直線近似、或いは、曲線近似を用いて前記駆動パラメータの最小値が予め定められた閾値に達するインク吐出回数を予測することを特徴とする請求項1又は2に記載の記録装置。
【請求項4】
前記閾値は前記記録ヘッド装着時に測定された駆動パラメータの最小値に予め実験で求めた係数を掛けた値であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項5】
前記閾値は、前記記録ヘッドで用いるインクの種類と前記記録ヘッド装着時に測定された駆動パラメータの最小値とに従って、複数、備えられ、
前記複数の閾値を格納するテーブルと、
前記記録ヘッドで用いるインクの種類と前記記録ヘッド装着時に測定された駆動パラメータの最小値とに従って、前記テーブルから閾値を選択する選択手段をさらに有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項6】
前記記録ヘッドの記録動作に伴って前記予測手段によって予測されたインク吐出回数より所定の割合に前記記録ヘッドのノズルが達した場合、該ノズルの使用頻度を減少させて記録を行うように制御する記録制御手段をさらに有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項7】
前記記録制御手段は、マルチパス記録、或いは、補完記録により、前記使用頻度が減少したノズルによる記録の代行を行うよう接続することを特徴とする請求項6に記載の記録装置。
【請求項8】
前記記録ヘッドの記録動作に伴って前記予測手段によって予測されたインク吐出回数に前記記録ヘッドのノズルが達した場合、前記閾値を変更する閾値の変更手段をさらに有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項9】
前記蓄積手段により蓄積された前記駆動パラメータの最小値の時間変化が増加傾向となった場合、前記増加傾向を示すノズルを故障であると判断する判断手段をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項10】
それぞれにヒータを含んだ複数のノズルを備えた記録ヘッドを装着し、該記録ヘッドからインクを吐出させて記録を行う記録装置において用いられる記録ヘッドの寿命予測方法であって、
前記複数のノズルを駆動し、前記ヒータに通電することでインクを加熱して発泡させ、前記ノズルからインクを吐出させる駆動工程と、
前記駆動されたノズルから吐出されるインクを検出する検出工程と、
前記ヒータに通電することでインクに加えられるエネルギーを規定する駆動パラメータの値を変化させる変更工程と、
前記駆動パラメータの値を変化させながら前記検出手段によりインクの検出ができなくなるまで前記複数のノズルを駆動することにより駆動パラメータの最小値を測定する測定工程と、
前記駆動パラメータの最小値をメモリに格納する格納工程と、
前記記録ヘッドの装着後からの記録動作に伴って、前記駆動工程と前記検出工程と前記変更工程と前記測定工程とを実行させて駆動パラメータの最小値を測定し、該測定された駆動パラメータの最小値を前記メモリに格納して蓄積する蓄積工程と、
前記蓄積された前記駆動パラメータの最小値の時間変化から前記駆動パラメータの最小値が予め定められた閾値に達するインク吐出回数を予測する予測工程とを有することを特徴とする記録ヘッドの寿命予測方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−49224(P2013−49224A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−189320(P2011−189320)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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