説明

記録装置

【課題】映像や音声を記録する装置に対して、記録開始時に記録データがすでに記録されている記録媒体に対して、その記録媒体を初期化した直後の状態と同じ記録容量まで記録を継続することが可能な記録装置を提供することを目的とする。
【解決手段】データ移動判別手段500が記録媒体300の記録可能残量を残量確認手段800により確認し、記録媒体300の記録可能残量が予め設定された残量よりも少ない場合には、データ移動手段600が過去の記録データを記録媒体300から内蔵記録媒体400に移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録データが存在する記録媒体に対して、その記録媒体に記録データが存在していない状態と全く同じ記録容量まで記録できるようにするため、記録媒体に記録を行いながら、その記録動作と平行して記録開始前にすでに記録されていた記録データを別の内蔵記録媒体に移動する記録装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、映像や音声をディジタルデータに変換し、磁気ディスクや光ディスク、あるいは半導体メモリ等の記録媒体に記録し、再生する装置が開発されており、その中でもムービーではこれらの各記録媒体を組み合わせたハイブリッドタイプのムービーが開発されている。
【0003】
従来、このような装置としては特許文献1に記載されているようなものがあった。図5は、特許文献1に記載された従来の記録装置を示すものである。
【0004】
図5において、ビデオカメラ10は、着脱自在な記録媒体13にデータを記録し、記録媒体13に空き容量が無くなると、内部のバッファにデータの記録先が切り替わる。表示部14で、内部のバッファにデータの記録先が切り替わったことを確認すると、記録媒体13を新しい記録媒体に交換し、バッファ内のデータを新たな記録媒体13に記録することで複数の記録媒体間でデータを連続的に記録することができるようにしていた。
【特許文献1】特開2005−310214号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の構成では記録媒体の記録容量以上に記録を行った場合に、記録媒体を次々に交換することで、記録データを取りこぼすことなく記録を継続することは可能であるが、記録開始時点で記録媒体に過去に記録されたデータがあった場合には、その記録媒体に記録データが存在していない状態と全く同じ記録容量まで記録することはできず、交換する記録媒体は常に新しい記録媒体を使うか、もしくは部分的に使用済みの記録媒体を使う場合には、それ以前に記録したデータを予め退避もしくは削除してからでないとその記録媒体の本来の記録容量一杯まで記録できないという課題を有していた。
【0006】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、映像や音声を記録する装置に対して、記録データがすでに記録されている記録媒体に対しても、その記録媒体を初期化した直後の状態と同じ記録容量まで記録を継続することが可能な記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記従来の課題を解決するために、本発明の記録装置は、映像及び/又は音声をディジタルデータに変換し記録する記録装置であって、前記ディジタルデータを記録する取り外し可能な第一の記録媒体と、前記ディジタルデータを記録する取り外し不可能な第二の記録媒体と、前記第一または第二の記録媒体にディジタルデータの記録を行う記録手段と、前記第一の記録媒体から前記第二の記録媒体へのデータ移動の判断を行う移動判断手段と、前記移動判断手段からの指令に基づいて、前記記録手段が前記第一の記録媒体への記録中に、前記第一の記録媒体に記録されている過去のディジタルデータを前記第二の記録媒体に移動するデータ移動手段と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の記録装置は、上記の構成により、取り外し可能な記録媒体への記録動作を継続しながら、取り外し可能な記録媒体の過去の記録データを取り外し不可能な記録媒体に移動するので、記録開始時に取り外し可能な記録媒体にすでに記録データが記録されていても、既使用分の記録容量を気にせず、その記録媒体に記録データが存在しない場合と同じ記録容量まで記録を継続することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明装置の実施の形態1における記録装置の構成図である。図1において、記録媒体300は取り外し可能な記録媒体であり、SDカード等の半導体メモリや、DVDまたはBD等の光ディスクである。内蔵記録媒体400は取り外し不可能な記録媒体であり、ハードディスク等の磁気ディスクや、不揮発性メモリである。記録手段200は記録制御手段700からの指令に応じて、入力手段100から供給されるディジタル化された映像及び/又は音声データを記録媒体300に書込む。残量確認手段800は記録媒体300の記録可能残量を確認し、データ移動判別手段500にその記録可能残量を通知する。データ移動判別手段500は残量確認手段800から通知される記録媒体300の記録可能残量の状態に応じて、データの移動の要否を判断し、データの移動が必要な場合にはデータ移動手段600に移動指令を送出する。データ移動手段600はデータ移動判別手段500から移動指令が送出されると、該当する記録データを記録媒体300から読み出して内蔵記録媒体400に記録した後、記録媒体300上の該当記録データを消去する。操作スイッチ900は操作者が記録開始や記録終了などの操作をおこなうためのものであり、表示手段1000は操作者に装置の動作情報を表示するためのものである。
【0010】
以上のように構成された記録装置についてその動作を述べる。
【0011】
図2は、実施の形態1における記録装置の動作を示すフローチャートであり、図2を用いて説明する。操作者が操作スイッチ900を操作し、記録動作の開始指示を行う(S201)と、操作スイッチ900から記録開始指令が記録制御手段700に供給される。記録制御手段700は操作スイッチ900から記録開始指令が供給されると、記録媒体300へのデータ記録を開始させるためにデータ記録開始指令を記録手段200に供給すると共に、データ移動判別手段500に記録動作が開始したことを通知する。記録手段200はデータ記録開始指令が供給されると、入力手段100から供給される映像データ及び/又は音声データを記録媒体300に記録開始する(S202)。データ移動判別手段500は記録制御手段700から記録開始情報が通知されると、記録媒体300の記録可能残量を確認するために、残量確認手段800に記録媒体300のその時点での記録可能残量を確認するように確認指令を送出する。残量確認手段800は記録媒体300の未記録領域の容量を確認し、データ移動判別手段500に記録可能残量を通知する(S203)。データ移動判別手段500は残量確認手段800から通知された記録媒体300の記録可能残量が、予め設定された残量以上の場合には何もしない(S204でNoの場合)が、もし、予め設定された残量よりも記録可能残量が少ない場合(S204でYesの場合)には、記録媒体300の過去の記録済みデータの中でもっとも日時情報の古い記録データを一つ決定し(S205)、その記録データを内蔵記録媒体400に移動させるために、移動させる記録データ名をデータ移動手段600に通知する。データ移動手段600はデータ移動判別手段500から移動すべき記録データ名が通知されると、この記録データを記録媒体300から内蔵記録媒体400へのコピーを開始する。データ移動手段600は移動すべき記録データを記録媒体300から内蔵記録媒体400にコピーし終わると、コピーを完了した記録データを記録媒体300から削除する(S206)。これにより、内蔵記録媒体400に移動した記録データの分だけ、記録媒体300の記録可能残量は増加する。
【0012】
データ移動手段600は移動すべきデータの移動が完了すると、データ移動完了通知をデータ移動判別手段500に通知する。データ移動判別手段500はデータ移動完了通知を受け取ると、記録媒体300の記録可能残量が予め設定された残量以上になったかを確認するために、残量確認手段800に記録媒体300の記録可能残量を確認するように確認指令を送出する(S203)。確認の結果、記録媒体300の記録可能残量が予め設定された残量以上の場合には何もしない(S204でNoの場合)が、もし予め設定された残量よりも記録可能残量が少ない場合(S204でYesの場合)には、予め設定された残量以上になるまで上記の記録媒体300から内蔵記録媒体400へのデータ移動動作(S206)を繰り返す。
【0013】
データ移動判別手段500は記録制御手段700から記録停止指令が通知される(S207)まで、即ち、記録手段200が記録を継続している期間は、記録媒体300の記録可能残量を一定時間ごとに確認し(S203)、もし、予め設定された残量よりも記録可能残量が少なくなった場合には、同様にして、予め設定された残量以上になるまで記録媒体300から内蔵記録媒体400へのデータ移動動作を記録中のデータ以外に他のデータが存在しなくなるなるまでこの動作を繰り返す。
【0014】
以上のように記録を開始すると記録動作中に定期的に、データ移動判別手段500が記録媒体300の記録可能残量を確認し、記録媒体300の記録可能残量が予め設定された残量よりも少ない場合には、記録媒体300に記録済みの記録データの中でもっとも日時情報の古い記録データを一つ決定し、その記録データ名をデータ移動手段600に送出する。データ移動判別手段500から移動する記録データ名を受け取ったデータ移動手段600はこの記録データを記録媒体300から内蔵記録媒体400にコピーし、コピーが終了したら、コピーを完了した記録データを記録媒体300から削除する。記録媒体300の記録可能残量が予め設定された残量以上になるまでこの一連の動作を続ける。
【0015】
その結果、記録開始時および記録中に記録媒体300の記録可能残量が少ない場合でも、記録媒体300への記録を継続することが可能となり、記録済みのデータが存在する記録媒体に対して記録を行った場合でも、その記録媒体を初期化した直後の状態と同じ記録容量まで記録を継続することが可能となる。
(実施の形態2)
図3は、本発明の実施の形態2における記録装置の構成図である。図3において図1と同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を省略する。図1に示した本発明の実施の形態1の構成に対して、本発明の実施の形態2における記録装置は残量確認手段800が記録日時確認手段810に置き換わった点に特徴を有している。
【0016】
図3において、データ移動判別手段500は日時確認手段810から通知される記録媒体300にすでに記録されている全ての記録データの日時情報に応じて、移動する記録データを判断し、移動すべき記録データをデータ移動手段600に送出する。データ移動手段600はデータ移動判別手段500から移動すべき記録データ名が送出されると、該当する記録データを記録媒体300から内蔵記録媒体400に移動する。
【0017】
以上のように構成された記録装置についてその動作を述べる。
【0018】
図4は、実施の形態2における記録装置の動作を示すフローチャートであり、図4を用いて説明する。操作者は操作スイッチ900を操作し、データ移動判別手段500に移動判別閾値日時を設定する。さらに操作者が操作スイッチ900を操作すると、記録動作の開始指示を行う(S401)と、操作スイッチ900から記録開始指令が記録制御手段700に供給される。記録制御手段700は操作スイッチ900から記録開始指令が供給されると、記録媒体300へのデータ記録を開始させるためにデータ記録開始指令を記録手段200に供給すると共にデータ移動判別手段500に記録動作が開始したことを通知する。記録手段200はデータ記録開始指令が供給されると、入力手段100から供給される映像データ及び/又は音声データを記録媒体300に記録開始する(S402)。データ移動判別手段500は記録制御手段700から記録開始情報が通知されると、記録媒体300の記録状態を確認するために、移動判別閾値日時データを記録日時確認手段810に通知し、その時点での記録されている全ての記録データの中で移動判別閾値日時よりも過去に記録された記録データの存在を確認するように確認指令を送出する。記録日時確認手段810は記録媒体300に記録されている全ての記録データの中でデータ移動判別手段500から通知された移動判別閾値日時よりも過去に記録された記録データの存在を確認し(S403)、存在する場合にはその記録データ名を全てデータ移動判別手段500に通知する。
【0019】
データ移動判別手段500は移動判別閾値日時よりも過去に記録された記録データが存在しない場合(S404で無の場合)には何もしないが、もし、移動判別閾値日時よりも過去の記録データが存在している場合(S404で有の場合)には、その記録データを全て内蔵記録媒体400に移動させるために、移動させる記録データ名を一つずつ順番にデータ移動手段600に通知する(S405)。データ移動手段600はデータ移動判別手段500から移動すべき記録データ名が通知されると、この記録データを記録媒体300から内蔵記録媒体400へのコピーを開始する。データ移動手段600は移動すべき記録データを記録媒体300から内蔵記録媒体400にすべてコピー完了すると、コピーを完了した記録データを記録媒体300から削除する(S406)。これにより、内蔵記録媒体400に移動した記録データの分だけ、記録媒体300の記録可能残量は増加する。
【0020】
以上のように記録を開始すると、データ移動判別手段500が記録媒体300の記録データの中から、操作スイッチ900によって予め指定された移動判別閾値日時よりも過去に記録された記録データ名をデータ移動手段600に送出する。データ移動判別手段500から移動する記録データ名を受け取ったデータ移動手段600はこの記録データを記録媒体300から内蔵記録媒体400にコピーし、コピーが終了したら、コピーを完了した記録データを記録媒体300から削除する。予め指定された移動判別閾値日時よりも過去に記録された記録データが記録媒体300からなくなるまでこの一連の動作を続ける。
【0021】
その結果、記録開始時および記録中に記録媒体300の記録可能残量が少ない場合でも、記録媒体300への記録を継続することが可能となり、操作スイッチ900によって予め指定する移動判別閾値日時を記録を開始する日時にしておけば、記録済みのデータが存在する記録媒体に対して記録を行った場合でも、その記録媒体を初期化した直後の状態と同じ記録容量まで記録を継続することが可能となる。
【0022】
また、数日間の旅行などの用途に対しては、操作スイッチ900で予め指定する移動判別閾値日時を旅行の開始日時に設定しておけば、その旅行の期間の記録データだけが記録媒体に保存されるという効果もある。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明にかかる記録装置は、記録済みのデータが存在する記録媒体に対して記録を行う場合でも、その記録媒体を初期化した直後の状態と同じ記録容量まで記録を継続することが可能になるので、ムービーや音声録音装置などの携帯型記録装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態1における記録装置の構成図
【図2】本発明の実施の形態1における記録装置の動作を示すフローチャート
【図3】本発明の実施の形態2における記録装置の構成図
【図4】本発明の実施の形態2における記録装置の動作を示すフローチャート
【図5】従来の記録装置の構成図
【符号の説明】
【0025】
100 入力手段
200 記録手段
300 記録媒体
400 内蔵記録媒体
500 データ移動判別手段
600 データ移動手段
700 記録制御手段
800 残量確認手段
810 記録日時確認手段
900 操作スイッチ
1000 表示手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像及び/又は音声をディジタルデータに変換し記録する記録装置であって、
前記ディジタルデータを記録する取り外し可能な第一の記録媒体と、
前記ディジタルデータを記録する取り外し不可能な第二の記録媒体と、
前記第一または第二の記録媒体にディジタルデータの記録を行う記録手段と、
前記第一の記録媒体から前記第二の記録媒体へのデータ移動の判断を行う移動判断手段と、
前記移動判断手段からの指令に基づいて、前記記録手段が前記第一の記録媒体への記録中に、前記第一の記録媒体に記録されている過去のディジタルデータを前記第二の記録媒体に移動するデータ移動手段と、
を備えた記録装置。
【請求項2】
前記第一の記録媒体の記録可能残量を検出する残量確認手段を備え、
前記移動判断手段は、前記残量確認手段による前記第一の記録媒体の記録可能残量が予め設定した残量以下となった場合に、前記データ移動手段に前記第一の記録媒体から前記第二の記録媒体へのデータ移動指令を指示する請求項1記載の記録装置。
【請求項3】
前記移動判断手段は、前記第一の記録媒体へのデータの記録開始時に予め設定されている日時よりも過去の記録データが存在していた場合に、予め設定されている日時よりも過去の記録データを前記第一の記録媒体から前記第二の記録媒体に移動するようにデータ移動指令を前記データ移動手段に指示する請求項1記載の記録装置。
【請求項4】
前記第二の記録媒体は、記録装置内に内蔵された書換可能な不揮発性メモリである請求項1から請求項3の何れかに記載の記録装置。
【請求項5】
前記第二の記録媒体は、記録装置内に内蔵されたハードディスクである請求項1から請求項3の何れかに記載の記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−252317(P2009−252317A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−101201(P2008−101201)
【出願日】平成20年4月9日(2008.4.9)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】