説明

記録装置

【課題】通信負荷や通信料が増大することなく、周辺車両や路側機が撮像した画像を収集できるようにしたドライブレコーダを提供する。
【解決手段】CPU14が、Gセンサ2や速度センサ3からの検出結果に基づいて事故を検出すると、無線器5を用いてトリガ情報を周辺車両へ送信する。周辺車両に搭載されたドライブレコーダ1内のCPU14は、トリガ情報を受信すると、IDを事故車両へ送信すると共にカメラで撮像した画像を他車両事故データとして記録する。事故車両に搭載されたドライブレコーダ1内のCPUは、周辺車両からIDを受信すると、そのIDとカメラ4で撮像した画像を自車両事故データとして記録する。CPU14は、自車両事故データと他車両事故データとを識別可能に記録する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録装置に係り、特に、事故時の画像を記録する記録装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、上述した記録装置として、事故時にカメラで撮像した自車両周辺の画像を記録するドライブレコーダが知れられている。このドライブレコーダは、トリガタイプと、常時記録タイプと、が存在する。トリガタイプは、例えばGセンサの検出値が閾値を超えるなどして事故を検出したときに、カメラで撮像した画像を記録媒体内に記録する。常時記録タイプは、常にカメラで撮像した画像を記録媒体内に記録しておき、事故を検出したときにそのとき撮像した画像に関連付けたトリガイベント情報を記録し、解析時に参照できるようになっている。
【0003】
従来では、図7に示すように、事故車両C1に搭載されたドライブレコーダが一方向から撮像した画像しか収集することができず、事故時に周辺を走行している周辺車両C2、C3に搭載されたドライブレコーダが他方向から撮像した画像を収集することができない、という問題があった。
【0004】
常時記録タイプのドライブレコーダに他車両が起した事故時の画像が残っていたとしても、事故時にデータを確保しなければ、他車両はその記録の存在を認識せず、後から、画像を収集することは困難である。
【0005】
そこで、上記問題を解決するために、ドライブレコーダ同士を通信可能にして、事故が検出されたときに他のドライブレコーダに撮像した画像を要求したり、画像要求を受信すると画像を事故車両又はサーバーに送信するドライブレコーダが提案されている(特許文献1、2)。しかしながら、この場合、事故車両に搭載されたドライブレコーダ又はサーバーに対して複数の画像が送信されるため、事故車両に搭載されたドライブレコーダ又はサーバーの処理負荷が大きくなる、という問題が生じてしまう。また、サーバーに送信するものにおいては、広域通信が必須となり、しかも、周辺車両に通信料がかかってしまう、という問題が生じていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−217218号公報
【特許文献2】特開2006−293558
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、通信負荷や通信料が増大することなく、周辺車両や路側機が撮像した画像を収集できるようにした記録装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するための請求項1記載の発明は、自車両の事故を検出する事故検出手段と、前記自車両の周辺を撮像する撮像手段と、前記事故検出手段が事故を検出すると前記撮像手段が撮像した画像を自車両事故データとして記録する、又は、常に前記撮像手段が撮像した画像を記録し、前記事故検出手段が事故を検出するとそのとき撮像した画像に関連付けたトリガイベント情報を自車両事故データとして記録する、自車両事故データ記録手段と、を備え、車両に搭載された記録装置において、無線通信を行うための無線器と、前記事故検出手段が事故を検出すると前記無線器を制御して事故情報を無線送信する第1送信手段と、前記無線器が前記事故情報を受信すると前記無線器を制御して自車両の識別情報を無線送信する第2送信手段と、前記無線器が前記事故情報を受信すると前記撮像手段が撮像した画像を他車両事故データとして前記自車両事故データとは識別可能に記録する、又は、前記無線器が前記事故情報を受信するとそのとき撮像した画像に関連付けたトリガイベント情報を他車両事故データとして前記自車両事故データとは識別可能に記録する、他車両事故データ記録手段と、を備え、前記自車両事故データ記録手段が、前記第1送信手段による送信後、前記無線器が他の記録装置から受信した前記識別情報を前記自車両事故データとして記録することを特徴とする記録装置に存する。
【0009】
請求項2記載の発明は、前記第1送信手段が、前記事故情報に自車両の識別情報を付加して送信し、前記他車両事故データ記録手段が、前記識別情報も前記他車両事故データとして記録することを特徴とする請求項1に記載の記録装置に存する。
【0010】
請求項3記載の発明は、前記第2送信手段が、前記識別情報に自車両の位置情報を付加して送信し、前記自車両事故データ記録手段が、前記第1送信手段による送信後、前記無線器が他の記録装置から受信した前記位置情報も前記自車両事故データとして記録することを特徴とする請求項1又は2に記載の記録装置に存する。
【0011】
請求項4記載の発明は、周辺を撮像する撮像手段を備え、路側機に搭載された記録装置において、無線通信を行うための無線器と、前記無線器が事故情報を受信すると前記無線器を制御して自己の識別情報を無線送信する送信手段と、前記無線器が前記事故情報を受信すると前記撮像手段が撮像した画像を事故データとして記録する、又は、常に前記撮像手段が撮像した画像を記録し、前記無線器が前記事故情報を受信するとそのとき撮像した画像に関連付けたトリガイベント情報を事故データとして記録する、事故データ記録手段と、を備えたことを特徴とする記録装置に存する。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように請求項1記載の発明によれば、事故を検出すると第1送信手段が、無線器を用いて事故情報を周辺車両や路側機へ送信する。これに応じて、周辺車両や路側機から送信される識別情報を受信すると、自車両事故データ記録手段が、撮像した画像やトリガイベント情報と共に周辺車両や路側機から送信された識別情報を自車両事故データとして記録する。一方、無線器が事故情報を受信すると、第2送信手段が、周辺車両(事故車両)へ識別情報を送信し、他車両事故データ記録手段が、撮像した画像やトリガイベント情報を他車両事故データとして記録する。これにより、周辺車両や路側機から送信された識別情報を用いて事故時に周辺にあった他の記録装置を特定することができ、特定した他の記録装置から事故時の画像の提供を促すことができる。しかも、自車両事故データと他車両事故データとを識別可能に記録することにより、画像の提供を要請されたときに簡単にかつ迅速に事故時の画像を提供することができる。従って、事故車両に搭載された記録装置と周辺車両や路側機に搭載された記録装置との間で画像の授受を行わなくても、周辺車両や路側機からの画像を確保することができるため、通信負荷や通信料が増大することなく、周辺車両や路側機が撮像した画像を収集できる。
【0013】
請求項2記載の発明によれば、他車両事故データ記録手段が、事故車両から送信された識別情報を他車両事故データとして記録するので、事故当事者から画像の提供を要請されたときにより一層簡単にかつ迅速にその事故当事者が起した事故の画像を提供することができる。
【0014】
請求項3記載の発明によれば、自車両事故データ記録手段が、周辺車両や路側機に搭載された他の記録装置から受信した位置情報も自車両事故データとして記録するので、どの位置から撮影したかがわかるようになる。
【0015】
請求項4記載の発明によれば、無線器が事故情報を受信すると、送信手段が自己の識別情報を送信し、事故データ記録手段が画像やトリガイベント情報を事故データとして記録するので、識別情報を用いて事故時に周辺にあった路側機に搭載された記録装置を特定することができ、その記録装置から事故時の画像の提供を促すことができる。従って、事故車両に搭載された記録装置と路側機に搭載された記録装置との間で画像の授受を行わなくても、路側機に搭載された記録装置からの画像を確保することができるため、通信負荷や通信料が増大することなく、路側機に搭載された記録装置が撮像した画像を収集できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1実施形態における本発明の記録装置としてのドライブレコーダを示すブロック図である。
【図2】図1に示すドライブレコーダを構成するCPUの処理手順を示すフローチャートである。
【図3】事故発生時の図1に示すドライブレコーダを搭載した事故車両と周辺車両との位置関係を示す図である。
【図4】図1に示すドライブレコーダを搭載した事故車両と周辺車両と間の情報の授受を説明するためのシーケンス図である。
【図5】第2実施形態における本発明の記録装置としてのドライブレコーダを示すブロック図である。
【図6】図5に示すドライブレコーダを構成するCPUの処理手順を示すフローチャートである。
【図7】事故発生時に従来のドライブレコーダを搭載した事故車両と周辺車両との位置関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
第1実施形態
以下、第1実施形態における本発明の記録装置としてのドライブレコーダを図面に基づいて説明する。図1は、第1実施形態における本発明の記録装置としてのドライブレコーダを示すブロック図である。図1に示すドライブレコーダ1は、車両に搭載されている。ドライブレコーダ1としては、背景技術でも説明したように、トリガタイプと、常時記録タイプと、があるが、ここではまずトリガタイプについて説明する。
【0018】
同図に示すように、ドライブレコーダ1は、車両の加速度を検出するGセンサ2と、車両の速度を検出する速度センサ3と、自車両の周辺を撮像する撮像手段としてのカメラ4と、周辺車両や路側機に搭載された他のドライブレコーダ1(他の記録装置)と無線通信を行うための無線器5と、GPS衛星からのGPS情報を受信するGPS受信器6と、車両の角速度を検出するジャイロセンサ7と、これらGセンサ2、速度センサ3、カメラ4、無線器5、GPS受信器6及びジャイロセンサ7にインタフェース8〜13を介して接続されたCPU14と、を備えている。
【0019】
上記Gセンサ2及び速度センサ3は、自車両の事故を検出するために設けられ、その検出結果をそれぞれCPU14に対して出力する。CPU14は、速度センサ3により検出された速度に基づいて自車両が加速しているか減速しているか判定し、減速していると判定した場合、Gセンサ2により検出された加速度が閾値を越えたときに事故を検出する。以上のことから明らかなように、Gセンサ2、速度センサ3及びCPU14が、請求項中の事故検出手段を構成している。ここでは、自車両の事故を検出する事故方法として、Gセンサ2及び速度センサ3の検出結果を用いた例を挙げて説明するが、他の方法であってもよい。
【0020】
上記カメラ4は、車両の前方、後方、側方などに配置されていて、イグニッションスイッチがオンしている間は常時、自車両周辺を撮像している。無線器5は、アンテナと、CPU14から出力された信号を変調してアンテナから送信させると共にアンテナが受信した信号を復調してCPU14に供給する変復調回路(何れも図示せず)と、を備えている。
【0021】
上記GPS受信器6は、自車両の現在位置を検出するために設けられ、GPS衛星からの現在位置に応じたGPS情報を受信するGPSアンテナと、このGPSアンテナが受信したGPS情報を復調してCPU14に供給する復調回路(何れも図示せず)と、を備えている。ジャイロセンサ7は、自車両の姿勢を検出するために設けられ、検出した角速度をCPU14に対して出力する。上記CPU14は、ドライブレコーダ1全体の制御を司る。
【0022】
また、ドライブレコーダ1は、上記CPU14に接続されたSDRAM15と、記録媒体16と、が接続されている。SDRAM15は、CPU14が行う演算の途中データが一時的に格納されたり、カメラ4で撮像された画像が一定時間だけ一時的に格納される。記録媒体16には、事故が検出されたときにカメラ4で撮像された画像などが記録される。
【0023】
次に、上述したドライブレコーダ1の動作について図2を参照して説明する。車両のイグニッションオンに応じてドライブレコーダ1に電源が供給される。この電源供給に応じてCPU14は、処理を開始し、まずGセンサ2及び速度センサ3からの検出結果に基づいて減速時に加速度が閾値を超えたか否かを判定する(ステップS1)。減速時に加速度が閾値を超え(ステップS1でY)事故を検出すると、CPU14は、第1送信手段として働き、無線器5を制御して、周辺車両や路側機に対してトリガ情報、ID、GPS情報、姿勢情報を順次送信する(ステップS2)。
【0024】
上記トリガ情報は、請求項中の事故情報に相当し、事故が発生したことを通知する情報である。上記IDは、請求項中の識別情報に相当し、自車両又は自車両に搭載されたドライブレコーダ1を識別するための情報である。上記GPS情報は、GPS受信器6が受信した情報であり、自車両の現在位置を示す情報である。上記姿勢情報は、ジャイロセンサ7が検出した角速度から求めた情報であり、自車両の姿勢を示す情報である。
【0025】
次に、CPU14は、ステップS2の送信に応じて、周辺車両や路側機から送信されるID、GPS情報、姿勢情報を受信する(ステップS3)。上記IDは、請求項中の識別情報に相当し、周辺車両、周辺車両に搭載されたドライブレコーダ1や路側機を識別するための情報である。上記GPS情報及び姿勢情報は、請求項中の位置情報に相当し、周辺車両や路側機の現在位置、姿勢を示す情報である。
【0026】
その後、CPU14は、自車両事故データ記録手段として働き、SDRAM15に一次的に記録されたカメラ4が撮像した画像と、現在時点から一定時間経過するまでの間にカメラ4が撮像した画像と、ステップS3で受信した周辺車両や路側機からのID、GPS情報、姿勢情報と、を自車両事故データとして、記録媒体16内に記録した後(ステップS4)、再びステップS1に戻る。上述したようにSDRAM15に一時的に記録された画像を記録することにより、現時点から一定時間前までの画像をさかのぼって記録媒体16内に記録できる。
【0027】
これに対して、減速時に加速度が閾値を超えておらず(ステップS1でN)事故が検出されなければ、CPU14は、無線器5を制御して、周辺車両からトリガ情報を受信したか否かを判断する(ステップS5)。トリガ情報を受信していなければ(ステップS5でN)、CPU14は再びステップS1に戻る。
【0028】
一方、トリガ情報を受信すると(ステップS5でY)、CPU14は、周辺車両が事故を起したと判断して、無線器5を制御して、続いて周辺車両から送信されるID、GPS情報、姿勢情報を受信する(ステップS6)。その後、CPU14は、第2送信手段として働き、無線器5を制御して、周辺車両に対して自車両のID、GPS情報、姿勢情報を送信する(ステップS7)。
【0029】
次に、CPU14は、他車両事故データ記録手段として働き、SDRAM15に一次的に記録されたカメラ4が撮像した画像と、現在時点から一定時間経過するまでの間にカメラ4が撮像した画像と、ステップS6で受信した周辺車両からのID、GPS情報、姿勢情報と、を他車両事故データとして、記録媒体16内に記録した後(ステップS8)、再びステップS1に戻る。CPU14は、上述した自車両事故データと、他車両事故データと、を識別可能に記録する。
【0030】
次に、上記概略で説明したドライブレコーダ1の動作の詳細を図3及び図4を用いて説明する。図3に示すように、交差点で事故が発生し、事故車両C1、周辺車両C2及びC3に上記ドライブレコーダ1が搭載されていたとする。
【0031】
図4に示すように、事故が発生すると、事故車両C1に搭載されたドライブレコーダ1が事故を検出して、無線器5からトリガ情報、事故車両C1のID、GPS情報、姿勢情報を送信する。周辺車両C2、C3に搭載されたドライブレコーダ1は、事故車両C1からのトリガ情報、ID、GPS情報、姿勢情報を受信すると、これに応じて無線器5から周辺車両C2、C3のID、GPS情報、姿勢情報を送信する。その後、事故車両C1に搭載されたドライブレコーダ1は、上述したように事故車両データを記録し、周辺車両C2、C3は、他車両事故データを記録する。
【0032】
上述したドライブレコーダ1によれば、事故を検出するとCPU14が、無線器5を用いてトリガ情報を周辺車両や路側機へ送信する。これに応じて、周辺車両や路側機から送信される識別情報を受信すると、CPU14が、撮像した画像と共に周辺車両や路側機から送信されたIDを自車両事故データとして記録する。一方、無線器5がトリガ情報を受信すると、CPU14が、周辺車両(事故車両)へIDを送信し、撮像した画像を他車両事故データとして記録する。これにより、周辺車両や路側機から送信されたIDを用いて事故時に周辺にあった他のドライブレコーダ1を特定することができ、特定した他のドライブレコーダ1から事故時の画像の提供を促すことができる。しかも、自車両事故データと他車両事故データとを識別可能に記録することにより、画像の提供を要請されたときに簡単にかつ迅速に事故時の画像を提供することができる。従って、事故車両に搭載されたドライブレコーダ1と周辺車両や路側機に搭載されたドライブレコーダ1との間で画像の授受を行わなくても、周辺車両や路側機からの画像を確保することができるため、通信負荷や通信料が増大することなく、周辺車両や路側機が撮像した画像を収集できる。
【0033】
また、上述したドライブレコーダ1によれば、CPU14が、事故車両から送信されたIDを他車両事故データとして記録するので、事故当事者から画像の提供を要請されたときにより一層簡単にかつ迅速にその事故当事者が起した事故の画像を提供することができる。
【0034】
また、上述したドライブレコーダ1によれば、CPU14が、周辺車両や路側機に搭載されたドライブレコーダ1から受信したGPS情報や姿勢情報も自車両事故データとして記録するので、どの場所、どの角度から撮影したかがわかるようになる。
【0035】
なお、上述した第1実施形態においては、トリガタイプのドライブレコーダ1について説明してたが、本発明はこれに限ったものではない。常時記録タイプのドライブレコーダ1に適用してもよい。この場合、カメラ4で撮影した画像は常時、記録媒体16に記録されている。そして、CPU14は、事故を検出するとそのとき撮像した画像に関連付たトリガイベント情報を自車両事故データとして記録する。一方、無線器5が周辺車両からトリガ情報を受信した場合は、そのとき撮影した画像に関連付けたトリガイベント情報を他車両事故データとして記録する。
【0036】
また、上述した第1実施形態では、位置情報として、ジャイロセンサ7が検出した角速度から求めた姿勢情報を送信していたが、本発明はこれに限ったものではない。ジャイロセンサ7が搭載されていなければ、GPS情報だけを位置情報として送信するようにしてもよい。また、GPS情報や姿勢情報を送信することは必須ではない。
【0037】
また、上述した第1実施形態では、ドライブレコーダ1は、周辺車両からのトリガ情報の受信に応じて他車両事故データを記録するだけであったが、例えば、他車両事故データを記録している旨をドライバーに報知する報知手段を設けてもよい。
【0038】
第2実施形態
次に、第2実施形態における本発明の記録装置としてのドライブレコーダ1について説明する。図5は、第2実施形態における本発明の記録装置としてのドライブレコーダ1を示すブロック図である。図5に示すドライブレコーダ1は、第1実施形態とは異なり車両には搭載されず路側に設置された路側機に搭載されている。なお、図5において、図1について上述した第1実施形態と同様の部分には同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0039】
同図に示すように、ドライブレコーダ1は、路側機の周辺を撮像するカメラ4と、周辺車両に搭載されたドライブレコーダ1と無線通信を行うための無線器5と、これらカメラ4及び無線器5にインタフェース8及び11を介して接続されたCPU14と、SDRAM15、記録媒体16と、を備えている。即ち、路側機に搭載されたドライブレコーダ1には、Gセンサ2や速度センサ3、GPS受信器6、ジャイロセンサ7などは必要ない。また、これらカメラ4、無線器5、CPU14、SDRAM15及び記録媒体16は、第1実施形態と同様であるためここでは詳細な説明は省略する。
【0040】
次に、上述した構成の路側機に搭載されたドライブレコーダ1の動作について図6を参照して説明する。まず、電源オンに応じてCPU14は処理を開始し、まず、無線器5を制御して、周辺車両からトリガ情報を受信したか否かを判断する(ステップS11)。トリガ情報を受信していなければ(ステップS11でN)、CPU14は再びステップS11に戻る。
【0041】
一方、トリガ情報を受信すると(ステップS11でY)、CPU14は、周辺車両が事故を起したと判断して、無線器5を制御して、続いて周辺車両から送信されるID、GPS情報、姿勢情報を受信する(ステップS12)。その後、CPU14は、送信手段として働き、無線器5を制御して、周辺車両に対して路側機のID、位置情報を送信する(ステップS13)。ここで位置情報は、路側機の位置をGPS情報に変換した情報や、カメラ4の向きを姿勢情報に変換した情報であり、記録媒体内などに予め格納されている。
【0042】
次に、CPU14は、事故データ記録手段として働き、SDRAM15に一次的に記録されたカメラ4が撮像した画像と、現在時点から一定時間経過するまでの間にカメラ4が撮像した画像と、ステップS12で受信した周辺車両からのID、GPS情報、姿勢情報と、を事故データとして、記録媒体16内に記録した後(ステップS14)、再びステップS11に戻る。
【0043】
上述した路側機に搭載したドライブレコーダ1によれば、無線器5がトリガ情報を受信すると、CPU14が自己のIDを送信し、カメラ4が撮像した画像を事故データとして記録するので、IDを用いて事故時に周辺にあった路側機に搭載されたドライブレコーダ1を特定することができ、そのドライブレコーダ1から事故時の画像の提供を促すことができる。従って、事故車両に搭載されたドライブレコーダ1と路側機に搭載されたドライブレコーダ1との間で画像の授受を行わなくても、路側機に搭載されたドライブレコーダ1からの画像を確保することができるため、通信負荷や通信料が増大することなく、路側機に搭載されたドライブレコーダ1が撮像した画像を収集できる。
【0044】
なお、上述した第2実施形態においては、トリガタイプのドライブレコーダ1について説明してたが、本発明はこれに限ったものではない。常時記録タイプのドライブレコーダ1に適用してもよい。この場合、カメラ4で撮影した画像は常時、記録媒体16に記録されている。そして、CPU14は、トリガ情報を受信するとそのとき撮像した画像に関連付たトリガイベント情報を事故データとして記録する。
【0045】
上述した第1、第2実施形態では、車両に搭載されたドライブレコーダ1同士の通信、車両に搭載されたドライブレコーダ1と路側機に搭載されたドライブレコーダ1との通信、について説明してたが、本発明はこれに限ったものではない。例えば、広域通信を利用した場合は、車両に搭載されたドライブレコーダ1が事故を検出したときだけでなく、例えば何らかの事故、事件発生の情報が警察などに入った場合に、警察署に設置された無線端末から事故または事件現場周辺(半径Rm以内)にトリガ情報を送信し、複数車両や路側機が撮像した画像を収集することにより、効率的に事故または事件の情報を収集することもできる。
【0046】
また、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0047】
1 ドライブレコーダ(記録装置)
2 Gセンサ(事故検出手段)
3 速度センサ(事故検出手段)
4 カメラ(撮像手段)
5 無線器
14 CPU(事故検出手段、自車両事故データ記録手段、第1送信手段、第2送信手段、他車両事故データ記録手段、送信手段、事故データ記録手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の事故を検出する事故検出手段と、前記自車両の周辺を撮像する撮像手段と、前記事故検出手段が事故を検出すると前記撮像手段が撮像した画像を自車両事故データとして記録する、又は、常に前記撮像手段が撮像した画像を記録し、前記事故検出手段が事故を検出するとそのとき撮像した画像に関連付けたトリガイベント情報を自車両事故データとして記録する、自車両事故データ記録手段と、を備え、車両に搭載された記録装置において、
無線通信を行うための無線器と、
前記事故検出手段が事故を検出すると前記無線器を制御して事故情報を無線送信する第1送信手段と、
前記無線器が前記事故情報を受信すると前記無線器を制御して自車両の識別情報を無線送信する第2送信手段と、
前記無線器が前記事故情報を受信すると前記撮像手段が撮像した画像を他車両事故データとして前記自車両事故データとは識別可能に記録する、又は、前記無線器が前記事故情報を受信するとそのとき撮像した画像に関連付けたトリガイベント情報を他車両事故データとして前記自車両事故データとは識別可能に記録する、他車両事故データ記録手段と、を備え、
前記自車両事故データ記録手段が、前記第1送信手段による送信後、前記無線器が他の記録装置から受信した前記識別情報を前記自車両事故データとして記録する
ことを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記第1送信手段が、前記事故情報に自車両の識別情報を付加して送信し、
前記他車両事故データ記録手段が、前記識別情報も前記他車両事故データとして記録する
ことを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記第2送信手段が、前記識別情報に自車両の位置情報を付加して送信し、
前記自車両事故データ記録手段が、前記第1送信手段による送信後、前記無線器が他の記録装置から受信した前記位置情報も前記自車両事故データとして記録する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の記録装置。
【請求項4】
周辺を撮像する撮像手段を備え、路側機に搭載された記録装置において、
無線通信を行うための無線器と、
前記無線器が事故情報を受信すると前記無線器を制御して自己の識別情報を無線送信する送信手段と、
前記無線器が前記事故情報を受信すると前記撮像手段が撮像した画像を事故データとして記録する、又は、常に前記撮像手段が撮像した画像を記録し、前記無線器が前記事故情報を受信するとそのとき撮像した画像に関連付けたトリガイベント情報を事故データとして記録する、事故データ記録手段と、
を備えたことを特徴とする記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−198599(P2012−198599A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−60606(P2011−60606)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】