説明

記録装置

【課題】光照射部を構成する発光素子が故障しにくい、また、記録途中で故障しても記録を継続できる記録装置を提供すること。
【解決手段】被記録材に対して吐出された光反応液に光を照射して該光反応液を化学変化させる発光素子41が前記ノズル列と同方向に並んで成る発光素子列39を有する光照射部19と、前記各発光素子列を形成している各発光素子の故障を検知する故障検知部20と、前記記録ヘッドによる記録の実行動作、前記光照射部の動作及び前記故障検知部の動作を制御する制御部21とを備え、前記光照射部は、前記発光素子列が複数列配設され、前記各発光素子列は複数の発光素子が直列接続されて成り、前記制御部は、前記故障検知部が発光素子の故障を検知したときは、故障した発光素子の属する発光素子列をOFFにして残りの発光素子列にて記録を実行する故障時モードに移行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被記録材に対して光反応液を吐出するノズル列を有する記録ヘッドと、前記吐出された光反応液に光を照射して該光反応液を化学変化させる発光素子が前記ノズル列と同方向に並んで成る発光素子列を有する光照射部とを備える記録装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から被記録材(以下、「用紙」ともいう)の被記録面に対して光硬化性インク(例えば紫外線(UV)硬化インク)を吐出する多数のノズル口を配列させたノズル列を有する記録ヘッドと、前記吐出された光硬化性インクに光を照射して該光硬化性インクを硬化させる複数の発光素子(例えばLED:Light Emitting Diode)を配列させた発光素子列を有する光照射部と、を備える記録装置が下記の特許文献1及び特許文献2に示すように開発されている。
【0003】
前記記録ヘッドが用紙の搬送方向と交差する方向に往復移動するキャリッジに対して搭載されるタイプの記録装置の場合には、記録ヘッドの往路移動時と復路移動時の両方で光硬化性インクに光を照射するため、下記の特許文献1及び特許文献2に示すように、各色のノズル列の左右両側に前記発光素子列が一列ずつ配置されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−104108号公報
【特許文献2】特開2004−314304号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、記録の実行中に前記発光素子列を構成するLED等の発光素子の1つが故障すると、当該故障した発光素子が受け持つ数十個にも及ぶノズル口から吐出された光硬化性インクがすべて未硬化の状態になり、商品価値を有しない無駄な印刷物を製造してしまうことになる。
【0006】
前記特許文献1及び特許文献2には、このように発光素子が故障した場合の対策については、何らの記述もなされていない。近時、普及している光硬化性インクによる印刷物の市場を考えれば、前記発光素子の故障の問題に対する対策を構じることは急務な課題となっている。
即ち、発光素子列を構成する発光素子が故障しにくいこと、また記録途中で一部の発光素子が故障しても光硬化性インクを硬化させて記録を継続できることが望まれている。
【0007】
本発明の目的は、光照射部を構成する発光素子が故障しにくい、また、記録途中で故障しても記録を継続できる記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために本発明に係る記録装置の第1の態様は、被記録材に対して光反応液を吐出するノズル列を有する記録ヘッドと、前記吐出された光反応液に光を照射して該光反応液を化学変化させる発光素子が前記ノズル列と同方向に並んで成る発光素子列を有する光照射部と、前記各発光素子列を形成している各発光素子の故障を検知する故障検知部と、前記記録ヘッドによる記録の実行動作及び前記光照射部の動作を制御する制御部とを備え、前記光照射部は、前記発光素子列が複数列配設され、前記各発光素子列は複数の発光素子が直列接続されて成り、前記制御部は、前記故障検知部が発光素子の故障を検知したときは、故障した発光素子の属する発光素子列をOFFにして残りの発光素子列にて記録を実行する故障時モードに移行するように構成されていることを特徴とするものである。
【0009】
ここで、本明細書中で使用する「光」とは、一般に短波長側が360nm〜400nm、長波長側が760nm〜830nmとされている可視光、該可視光よりも波長の短い1nm〜380nm程度の紫外線、該可視光よりも波長の長い780nm〜1mm程度の赤外線を含む範囲に加えて、更に、前記紫外線よりも波長の短い電磁波や前記赤外線よりも波長の長い電磁波を含んだ広汎な意味で使用する。説明を単純化するためである。
従って、「光反応液」といった場合には、同じく説明を単純化するために、一般に光の範囲とされている可視光、紫外線、赤外線の範囲に加えて、これらの範囲外に属する短波長ないし長波長の電磁波に反応して、化学変化する種々の液体を意味するものとする。
【0010】
本態様によれば、光照射部は、発光素子列が複数列配設され、前記各発光素子列は複数の発光素子が直列接続されて成る。
従って、複数列の発光素子列の全てを点灯させて使用する場合は、全点灯によるトータルの光照射量が前記光反応液を化学変化させるための必要量を満たせばよいため、一つの列の発光素子が発光する照射量は、従来の一列構造の場合に比して低レベルに設定することが可能となる。これにより、各発行素子の発光に伴う負荷が軽減され、該発光素子の故障の虞を低減することができる。
【0011】
また、複数列の発光素子列の全てを点灯するのではなく、一部を点灯させて使用することも可能である。
この場合は、発光素子一つ当たりの照射量は、前記全点灯の場合よりは多くなるが、従来の一列構造の場合よりは低レベルに設定することが可能であると共に、各照射毎に点灯する発光素子列の組合せを全列の中で組み換えて変更する使い方が可能となる。この使い方により、各発光素子の使用頻度(点灯頻度)が低下するので、この点からも発光に伴う負荷が軽減され、発光素子の故障の虞を低減することができる。
【0012】
更に、制御部は、前記故障検知部が発光素子の故障を検知したときは、故障した発光素子の属する発光素子列をOFFにして残りの発光素子列にて記録を実行する故障時モードに移行するように構成されている。
ここで、「故障時モード」とは、発光素子に故障が発生した場合に、その故障した発光素子を使わずに記録の継続を可能にするために、記録装置の状態を故障発光素子のない通常時モードから移行する、予め設定されている記録継続を優先する故障時用の動作モードを意味する。
【0013】
次に、前記故障はオープンモードで起きる場合とショートモードで起きる場合の二通りがある。前記各発光素子列は複数の発光素子が直列接続されているので、オープンモードで故障した場合はその列の全ての発光素子は消灯状態となるが、ショートモードで故障したときは故障していない発光素子は発光状態を続ける。そのため、故障した発光素子に対応する箇所の光照射量が他の箇所よりも少なくなり、それによってむらが生じ易い。
本態様によれば、いずれのモードで故障してもその発光素子列をOFFにするので、前記むらの発生の問題なく、残りの発光素子列によって記録を継続することができる。
尚、オープンモードで故障した場合は、その発光素子列は直ちに消灯状態となり、OFFにするための操作は不要であるが、本明細書では説明の冗長化を避ける観点から、オープンモードで故障した場合についても「故障した発光素子の属する発光素子列をOFFにして」という言い方を用いている。
【0014】
故障時モードとしては、故障した発光素子の属する発光素子列をOFFにして残りの発光素子列にて記録を実行することになるが、発光素子列が列数として過剰に設けられている場合は、前記OFFした発光素子列に代えて他の不使用だった発光素子列をONに切り換えることで行える。
また、発光素子列の全列を使用している場合は、前記OFFにした発光素子列の光照射量の分を残りの全発光素子列で補うように各列の照射量を増やすことで行える。
また、記録実行速度を落として前記吐出された反応液が光に照射されている時間を長くするように動作制御することによっても行える。
これにより発光素子の一部に故障が発生しても記録を継続することが可能である。
尚、故障した発光素子の属する発光素子列を全てOFFにすると、残りの発行素子列だけでは光照射量の総和が想定されている最低品質の記録実行であっても足りない場合は、或いはユーザーの選択によってこの場合において記録を実行しないことが予め選択されている場合は、故障時モードにおいて、記録は実行せず、その時点で終了となる制御が実行される。
【0015】
本発明に係る記録装置の第2の態様は、前記第1の態様において、前記制御部は、前記故障検知部が発光素子の故障を検知したときは、該故障がオープンモードの故障であるか否かを判定し、オープンモードの故障であるときは故障した発光素子の属する発光素子列を除いた残りの発光素子列にて記録を実行する前記故障時モードに移行し、ショートモードの故障であるときは故障した発光素子の属する発光素子列をOFFにしても記録が可能な状態であるか否かを判定し、可能であるときは故障した発光素子の属する発光素子列をOFFにして前記故障時モードに移行し、可能でないときは故障した発光素子の属する発光素子列を使う記録の継続が選択されているか否かを判定し、選択されているときは記録を継続し、選択されていないときは記録を終了するように構成されていることを特徴とするものである。
【0016】
前記第1の態様においては、故障した発光素子の属する発光素子列を故障モードに関係なく一律にOFFにしたが、例えば故障が複数の発光素子列で発生したような場合は、その故障に対応する発光素子列を全てOFFにすると、最早照射量の絶対量が足りない状態となって記録の実行が不可能になることが考えられる。
記録品質が少し低下しても記録完了を優先したい場合がある。ショートモードで故障したときは故障していない発光素子は発光状態を続ける。従って、故障した発光素子の属する発行素子列でもそれを使えば多少の画質むらは生じても必要な光照射量を満たすことができれば、記録を継続して記録を完了させることが可能となる。
本態様によれば、記録品質を少し低下することになっても記録完了を優先したいというユーザーの要求に対応する使い方が可能となる。
【0017】
本発明に係る記録装置の第3の態様は、前記第1の態様又は第2の態様において、前記複数列配設されている発光素子列は、前記ノズル列と同方向に所定ピッチで配設されている各発光素子の前記ノズル列の方向における位置が各列間で一致するように配置されていることを特徴とするものである。
【0018】
本態様によれば、前記第1の態様又は第2の態様の作用効果に加えて、各発光素子の前記ノズル列の方向における位置が各列間で一致するように配置されているので、各照射毎に点灯する発光素子列の組合せを全列の中で組み換えて変更しても、照射される反応液が受けるトータルの光照射量は変らない。よって、記録品質のバラツキの発生を防止することができる。
【0019】
本発明に係る記録装置の第4の態様は、前記第1の態様又は第2の態様において、前記複数列配設されている発光素子列は、前記ノズル列と同方向に所定ピッチで配設されている各発光素子の前記ノズル列の方向における位置が各列間で位相を所定ピッチずらして配置されていることを特徴とするものである。
【0020】
本態様によれば、前記第3の態様と構成を共通にする部分については基本的に第3の態様と同様の作用効果が得られる。
いずれかの発光素子列の発光素子に故障が発生した場合は、前記故障した発光素子の隣の発光素子列における前記故障した発光素子と隣り合う位置にある、前記ノズル列の方向に隣接する2個の発光素子、更にその隣の発光素子列の対応する位置の発光素子によって、前記故障した発光素子の光照射量を補うことが可能である。
【0021】
また、本態様では、第3の態様と違って、各発光素子の前記ノズル列の方向における位置が各列間で位相を所定ピッチずらして配置されている。すなわち、各発光素子列において列方向に隣接する二つの発光素子の境界の位置が、第3の態様のように同じ位置ではなく、ずれている。従って、各ノズル口から吐出された反応液に対して各発光素子から照射される光の照射量の均一性の観点において、第1の態様と違って前記境界の位置の影響が分散されて出にくくなり、均一性が向上するという効果が得られる。
【0022】
前記各態様において、前記光反応液は紫外線(UV)硬化インクであり、前記発光素子は紫外線(UV)を照射する発光ダイオード(LED)であるものが具体例として挙げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施例1に係る記録装置の内部構造の概略構成を示す要部正面図。
【図2】本発明の実施例1に係る記録装置の内部構造の概略構成を示す要部平面図。
【図3】本発明の実施例1に係る記録装置の発光素子列を拡大して示す模式図。
【図4】本発明の実施例1に係る記録装置の通常時モード実行時の動作の流れを示すフローチャート。
【図5】本発明の実施例1に係る記録装置の故障時モード実行時の動作全体の大まかな流れを示すフローチャート。
【図6】本発明の実施例2に係る記録装置の発光素子列の配列態様(A)〜(C)を示す模式図。
【図7】上記各実施例の発光素子列の各発光素子の接続構造を示す回路構成図。
【図8】本発明の実施例1に係る記録装置の故障時モード実行時の動作の詳細を示すフローチャート。
【図9】本発明の実施例1に係る記録装置の他の故障時モード実行時の動作の詳細を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図1から図5、図7から図9に示す実施例1と、図6に示す実施例2によって、本発明の記録装置1の構成と、該記録装置1の作動態様について具体的に説明する。
尚、以下の説明では、最初に図1、図2に基づいて本発明の記録装置1の基本的構成について説明し、次いで本発明の特徴的構成について前述した実施例1〜2の各実施例に基づいて順番に説明する。
【0025】
[実施例1](図1〜図5、図7から図9参照)
図示の記録装置1は、バンド送り印刷が可能なインクジェットプリンター1(「記録装置」と同じ符号を使用する)である。このインクジェットプリンター1には、用紙Pを搬送方向Aに所定のバンド送り量Dずつ間欠的に搬送し得る搬送手段3と、複数のノズル口7が前記搬送方向Aと同方向に並んで成るノズル列5を備えている。該ノズル列5は、前記搬送方向Aと交差する方向Bに複数配列されている。そして、該ノズル列5を形成している複数の前記ノズル口7から吐出される光反応液の一例である紫外線(UV)硬化インクCによって用紙Pの被記録面9に所望の下地11ないし画像13を形成する記録ヘッド15を備えている。
【0026】
尚、本明細書中において「バンド」とは、被記録材Pの搬送方向Aに沿って並ぶノズル列5のノズル列長に対応した幅を前記搬送方向に持った記録実行領域或いは記録実行されたものを意味する。
また、「バンド送り量」とは、前記バンドごとの記録を実行するにあたって被記録材Pを実際に搬送する送り量を意味する。
【0027】
更に、このインクジェットプリンター1は、前記記録ヘッド15を搭載して前記交差方向Bに往復移動するキャリッジ17と、前記記録ヘッド15の前記交差方向B側の側傍に並設されるように前記キャリッジ17に対して搭載され、前記各ノズル口7から吐出されたUV硬化インクCに光の一例である紫外線(UV光)Eを照射させて該紫外線(UV)硬化インクCを化学変化(例えば硬化)させる発光素子の一例である複数の発光ダイオード(以下、「LED」ともいう)41によって形成される発光素子列39によって構成されている光照射部19と、を備えている。
【0028】
そして、前記発光素子列39が用紙Pの搬送方向Aと交差する方向Bに複数列配設されている。この点の詳細は後述する。
また、前記発光素子列39を形成している1つのLED41から照射される紫外線(UV光)Eが、前記ノズル列5を形成している複数のノズル口7から各別に吐出されている複数の紫外線(UV)硬化インクCの硬化に使用されている。
本実施例では、1つのLED41から照射される紫外線(UV光)Eによって約36個のノズル口7から吐出された紫外線(UV)硬化インクCの硬化が一挙に賄えるように構成されている。
【0029】
図1、図2に示すように、搬送手段3は、記録実行領域23の上流位置に設けられる一対のニップローラーによって構成されている搬送用ローラー25と、前記記録実行領域23の下流位置に設けられる同じく一対のニップローラーによって構成されている排出用ローラー27と、を備えることによって一例として構成されている。
そして、前記搬送用ローラー25と排出用ローラー27を駆動するモーター29には、後述する制御部21から前記バンド送り量Dの搬送を指令する信号31が送信されて、用紙Pが前記バンド送り量Dずつ間欠的に送られるように構成されている。
【0030】
記録ヘッド15は、本実施例では、下地用のインクCを吐出する第1の記録ヘッド15Aと、画像形成用インクC2を吐出する第2の記録ヘッド15Bの二種類が設けられており、一例として図1、図2中の左方に第1の記録ヘッド15Aが配設され、図1、図2中の右方に第2の記録ヘッド15Bが配設されている。
尚、このうち第1の記録ヘッド15Aには、例えばホワイト(W)、ゴールド(G)、シルバー(S)等の下地用インクC1を吐出するノズル列5Wが設けられている。また、第2の記録ヘッド15Bには、一例としてシアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4色の画像形成用インクC2を個別に吐出する4つのノズル列5C、5M、5Y、5Kが前記交差方向Bに所定の間隔を隔てて並設されている。
【0031】
そして、これらの各ノズル列5W、5C、5M、5Y、5Kには、後述する制御部21から各ノズル口7の位置に対応したインク吐出量を指令する信号31が送信されてインク吐出量の調整が図られている。
また、図示のインクジェットプリンター1では、前記ノズル列5W、5C、5M、5Y、5Kの各ノズル口7から吐出されるインクCは、前述したように紫外線(UV光)Eの照射を受けて、硬化する紫外線(UV)硬化インクCである。
【0032】
「UVインク」は、UV光(紫外線)Eを照射することによって硬化、定着する速乾性に優れたインクで、ヒーター加熱によって溶媒を蒸発させることによって硬化、定着する従来の顔料インクに比べて硬化後の体積収縮率が格段に小さいという特長を有している。
また、「UVインク」は、溶剤成分を含んでいないため環境に優しく、UV光(紫外線)Eを照射することによって瞬時に硬化するためインク吸収性の低いフィルム系の被記録材Pに好適なインクである。
【0033】
キャリッジ17は、前記交差方向Bに延びるキャリッジガイド軸37に沿って該方向Bに往復移動する前記記録ヘッド15の往復搬送手段である。
キャリッジ17を往復移動するための動力は、正逆転可能で単位ステップ毎の精密な送り制御が可能な図示しないモーターから受けており、該モーターの回転が図示しない歯付きベルトを介してキャリッジ17に伝達されるようになっている。
【0034】
光照射部19は、前記下地用インクC1を硬化させる前記第1の記録ヘッド15Aの図1、図2中、一例として左側傍に配置されている第1光照射部19Aと、前記画像形成用インクC2を硬化させる前記第2の記録ヘッド15Bの図1、図2中、一例として右側傍に配置されている第2光照射部19Bの二種類が設けられている。
そして、図示のインクジェットプリンター1では、前記二種類の光照射部19A、19Bが用紙Pの被記録面9に吐出された前記紫外線(UV)硬化インクCに所定の照射量の紫外線(UV光)Eを照射することで紫外線(UV)硬化インクCの硬化・定着を実行している。
【0035】
また、前記二種類の光照射部19A、19Bは、本実施例ではそれぞれ3列の発光素子列39A、39B、39Cによって構成されており、これらの発光素子列39A、39B、39Cには、前記二種類の記録ヘッド15A、15Bにおける各ノズル列5Wと5C、5M、5Y、5Kのノズル口7の配列に対応した配列の複数のLED41が設けられている。
そして、これらの各LED41には、後述する制御部21から各LED41の位置に対応した紫外線(UV光)Eの照射量や照射の有無を指令する信号31が送信されて紫外線(UV光)Eの照射量の調整と照射の有無の切り換えとが行われるようになっている。
【0036】
実施例1に係るインクジェットプリンター1Aでは、前記基本的構成に加えて、前記各発光素子列39A、39B、39Cを形成している各LED41の故障を検知する故障検知部20と、該故障検知部20からの故障検知情報33と予め設定されている設定情報35とに基づいて前記二種類の記録ヘッド15A、15Bの動作と前記二種類の光照射部19A、19Bの動作を通常モード43と、故障時モード45とに切り換えて実行可能な制御部21と、を備えている。
【0037】
前記故障検知部20としては、LED41の動作時の温度変化やチェック回路の電圧変化等を検知してLED41の正常時の動作状態と故障によるLED41の異常時の動作状態とを識別する機構が一例として採用可能である。
一方、制御部21は、キャリッジ17の移動方向によって動作させる記録ヘッド15A、15Bと光照射部19A、19Bを適宜切り換えるようにし、動作が選択された記録ヘッド15と光照射部19に対して前述した通常時モード43と故障時モード45の二種類の動作モードが選択的に実行されるようになっている。
【0038】
尚、前記通常時モード43では、ユーザーの選択によって前記3列ずつ設けられている発光素子列39A、39B、39Cを全部使用する全部使用モード49と、前記3列の発光素子列39A、39B、39Cの一部を使用する一部使用モード51とに切り換えて使用できるように構成されている。
そして、前記全部使用モード49では、二種類設けられる光照射部19A、19Bをキャリッジ17の往路移動時と復路移動時とで切り換えて使用し、各光照射部19A、19Bの使用時に前記3列の発光素子列39A、39B、39Cを形成しているすべてのLED41をON状態にして紫外線(UV光)Eの照射を実行する。
【0039】
一方、前記一部使用モード51では、二種類設けられる光照射部19A、19Bをキャリッジ17の往路移動時と復路移動時とで切り換えて使用し、各光照射部19A、19Bの使用時に前記3列の発光素子列39A、39B、39Cの一つ又は二つの発光素子列39を選択し、更にその選択する対象(二つの場合は組合せ)を各照射毎に3列の発光素子列39A、39B、39Cの中で入れ換えて当該選択した発光素子列39のみのLED41をON状態にして紫外線(UV光)Eの照射を実行し、他の発光素子列39のLED41をOFF状態にするようになっている。
尚、使用する一つ又は二つの発光素子列39を選択するに際して、現時点までの点灯回数や点灯時間に基づいて、規則的に使用する発光素子列39を順番に切り換えるようにしても良いし、使用する発光素子列39をランダムに切り換えるようにすることも可能である。
【0040】
また、前記故障時モード45では、LED41の故障が検知された発光素子列39の使用を停止して、LED41の故障が生じていない他の発光素子列39に切り換えて使用できるように構成されている。
また、本実施例では、図3に示すように3列配設されている発光素子列39A、39B、39Cは、用紙Pの搬送方向Aに所定ピッチSで配設されている各LED41の用紙Pの搬送方向Aでの位置が各発光素子列39A、39B、39C間で一致するように整列配置されている。
【0041】
従って、1つの発光素子列39でLED41に故障があった場合には、他の発光素子列39の搬送方向Aの同位置のLED41が当該故障したLED41の光照射量の不足を補うように作用する。
これに伴って、故障したLED41の光照射量の不足は、他の発光素子列39の搬送方向Aの同位置の1つまたは2つのLED41がそのすべてを受け持って、前記光照射量の不足を補って所望の紫外線(UV)硬化インクCの硬化を実行できるように構成されている。
【0042】
次に、図4、図5に示すフローチャートに従って、(1)通常時モード実行時と、(2)故障時モード実行時とに分けて本実施例に係るインクジェットプリンター1Aの動作の流れを具体的に説明する。
【0043】
(1)通常時モード実行時(図4参照)
本実施例では、前記LED41の故障が発生していない場合には、図4に示す通常時モード43が制御部21において実行される。最初にステップS1で全部使用モード49が選択されたのか一部使用モード51が選択されたのかの判断が行われ、全部使用モード49が選択された場合には、ステップS2に移行して前述した全部使用モード49で記録が実行される。
【0044】
全部使用モード49においては、全発光素子列39A、39B、39Cの全ての点灯によるトータルの光照射量が前記光反応液を化学変化させるための必要量を満たせばよいため、一つの列の発光素子が発光する照射量は、従来の一列構造の場合に比して低レベルに設定することが可能である。これにより、各LED41の発光に伴う負荷が軽減され、該LED41の故障の虞を低減することができる。
【0045】
次に、ステップS3に移行して、キャリッジ17の移動方向が往路側であるのか復路側であるのかの判断が行われ、キャリッジ17の移動方向が往路側と判断された場合には、ステップS4に移行して第2の記録ヘッド15Bと第2光照射部19BをON状態にし、第1の記録ヘッド15Aと第1光照射部19AをOFF状態にして記録を実行する。
次に、ステップS5に移行して、印刷する残りの下地11または画像13があるか否かの判断が行われ、印刷する残りの下地11または画像13がないと判断された場合には、記録の実行が終了する。
【0046】
一方、前記ステップS5で印刷する残りの下地11または画像13があると判断された場合には、ステップS3に戻って、ステップS3〜S5の判断と動作が繰り返し実行される。
また、前記ステップS3でキャリッジ17の移動方向が復路側と判断された場合には、ステップS6に移行して第1の記録ヘッド15Aと第1照射部19AをON状態にし、第2の記録ヘッド15Bと第2光照射部19BをOFF状態にして記録を実行する。
【0047】
次に、ステップS7に移行して印刷する残りの下地11または画像13があるか否かの判断が行われ、印刷する残りの下地11または画像13がないと判断された場合には、記録の実行が終了する。
一方、前記ステップS7で印刷する残りの下地11または画像13があると判断された場合には、ステップS3に戻って、ステップS3、S6、S7の判断と動作と、前記ステップS3〜S5の判断と動作とが繰り返し実行される。
【0048】
また、前記ステップS1で一部使用モード51が選択された場合には、ステップS8に移行して予め設定されている設定情報35に従って、使用する発光素子列39を適宜、切り換えながら記録を実行する。
この場合は、LED41一つ当たりの照射量は、前記全点灯の場合よりは多くなるが、従来の一列構造の場合よりは低レベルに設定することが可能であると共に、各照射毎に点灯する発光素子列39の組合せを全3列の中で組み換えて変更される。これにより、各LED41の使用頻度(点灯頻度)が低下するので、この点からも発光に伴う負荷が軽減され、LED41の故障の虞を低減することができる。
【0049】
その際、本実施例においては、各LED41の前記ノズル列5の方向における位置が各列間で一致するように配置されているので、各照射毎に点灯する発光素子列39の組合せを全3列の中で組み換えて変更しても、照射される反応液が受けるトータルの光照射量は変らない。よって、記録品質のバラツキの発生を防止することができる。
【0050】
以後は、前述したステップS3〜S7と同様のステップS9〜S13を実行し、ステップS11ないしステップS13で印刷する残りの下地11または画像13がないと判断された場合に記録の実行を終了する。
【0051】
(2)故障時モード実行時(図5、図7〜図9参照)
先ず、ステップS14において、故障検知部20から送信される故障検知情報33の送信の有無が判断され、LED41の故障を検知したと判断された場合には、ステップS15に移行して、当該故障が検知されたLED41の存する発光素子列39とは別の発光素子列39に切り換えて記録を実行する。このステップ15の詳細な内容については図7乃至図9に基づいて後述する。
次に、ステップS16に移行して、故障検知部20から送信される故障検知情報33の送信の有無が再度判断される。
【0052】
ステップS16で、LED41の故障を検知したと判断された場合には、ステップS17に移行し、使用する発光素子列39を残りの1つの発光素子列39に切り換えて記録を実行する。このステップ17の内容は前記ステップ15と基本的に同じである。
次に、ステップS18に移行して、故障検知部20から送信される故障検知情報33の送信の有無が三度判断され、LED41の故障を検知したと判断された場合には、そのままの記録を実行しても不良品となるので記録の実行を終了する。
【0053】
また、前記ステップS16とステップS18でLED41の故障を検知しなかった場合には、ステップS19に移行し、前述した図4中のステップS3〜S7と同様のステップS19〜S23を実行し、ステップS21ないしステップS23で印刷する残りの下地11または画像13がないと判断された場合に記録の実行を終了する。
また、前記ステップS14において、LED41の故障を検知しなかった場合には、前述した図4中のステップS1に移行して通常時モードでの記録が実行される。
【0054】
[故障時モード実行時の動作の詳細]
次に、前記ステップ15の内容を詳しく説明する。
先ず、図7に示したように、前記各発光素子列39A、39B、39Cは複数の発光素子41が直列接続されて成る。図7においては、代表して一つの発光素子列39Aについての回路構成図が示されているが、他の発光素子列39B、39Cも同じである。
そして、制御部21は、前記故障検知部20が発光素子41の故障を検知したときは、故障した発光素子41の属する発光素子列39AをOFFにして残りの発光素子列39B,39Cにて記録を実行する故障時モードに移行するように構成されている。
【0055】
発光素子列39における前記故障は、既述の通り、オープンモードで起きる場合とショートモードで起きる場合の二通りがある。前記各発光素子列39は複数の発光素子41が直列接続されているので、オープンモードで故障した場合はその列の全ての発光素子41は消灯状態となるが、ショートモードで故障したときは故障していない発光素子41は発光状態を続ける。そのため、故障した発光素子41に対応する箇所の光照射量が他の箇所よりも少なくなり、それによってむらが生じ易い。
【0056】
図8に示したように、本実施例によれば、いずれのモードでLED41が故障してもその発光素子列39AをOFFにし(ステップS1〜ステップS2)、故障時モードに移行して記録が行われる(ステップS3)ので、前記むらの発生の問題なく、残りの発光素子列39B、39Cによって記録を継続することができる。
【0057】
故障時モードとしては、故障した発光素子41の属する発光素子列39AをOFFにして残りの発光素子列39B、39Cにて記録を実行することになるが、発光素子列39が列数として過剰に設けられている場合は、前記OFFした発光素子列39Aに代えて他の不使用だった発光素子列をONに切り換えることで行える。
また、発光素子列39の全部の列を使用している場合は、前記OFFにした発光素子列39Aの光照射量の分を残りの全発光素子列で補うように各列の照射量を増やすことで行える。
また、記録実行速度を落として前記吐出された反応液が光に照射されている時間を長くするように動作制御することによっても行える。
これにより発光素子41の一部に故障が発生しても記録を継続することが可能である。
尚、故障した発光素子の属する発光素子列を全てOFFにすると、残りの発行素子列だけでは光照射量の総和が想定されている最低品質の記録実行であっても足りない場合は、或いはユーザーの選択によってこの場合において記録を実行しないことが予め選択されている場合は、故障時モードにおいて、記録は実行せず、その時点で終了となる制御が実行される。
【0058】
[他の故障時モード実行時の動作の詳細]
図9に基づいて、他の故障時モード実行時の動作の詳細を説明する。
前記制御部21は、故障検知部20が発光素子41の故障を検知したとき(ステップS11)は、該故障がオープンモードの故障であるか否かを判定し(ステップS12)、オープンモードの故障であるときは故障した発光素子41の属する発光素子列39AをOFFにして(ステップS13)、残りの発光素子列39B、39Cにて記録を実行する前記故障時モードに移行する(ステップS14)。
【0059】
一方、オープンモードの故障ではなくショートモードの故障であるときは故障した発光素子41の属する発光素子列39AをOFFにしても記録が可能な状態であるか否かを判定し(ステップS15)、可能であるときは故障した発光素子の属する発光素子列をOFFにして(ステップS13)前記故障時モードに移行する(ステップS14)。
可能でないときは故障した発光素子41の属する発光素子列39Aを使う記録の継続が予め選択されているか否かを判定し(ステップS16)、選択されているときは記録を継続し(ステップS17)、選択されていないときは記録を終了するように構成されている。
【0060】
前記先の故障時モード実行時の動作においては、故障した発光素子41の属する発光素子列39Aを故障モードに関係なく一律にOFFにしたが、例えば故障が複数の発光素子列で発生したような場合は、その故障に対応する発光素子列を全てOFFにすると、最早照射量の絶対量が足りない状態となって記録の実行が不可能になることが考えられる。
【0061】
記録品質が少し低下しても記録完了を優先したい場合がある。ショートモードで故障したときは故障していない発光素子41は発光状態を続ける。従って、故障した発光素子41の属する発行素子列39Aでもそれを使えば多少の画質むらは生じても必要な光照射量を満たすことができれば、記録を継続して記録を完了させることが可能となる。
図9に示した実施例によれば、記録品質を少し低下することになっても記録完了を優先したいというユーザーの要求に対応する使い方が可能となる。
【0062】
そして、このようにして構成される実施例1に係るインクジェットプリンター1Aによれば、LED41の故障によって商品価値のない不要な印刷物を生成させたり、紫外線(UV)硬化インクを無駄に使用してしまうという事態を未然に防止することができる。尚、この点は無人での稼働時に特に効果を発揮する。
また、硬化せず記録装置本体内に残留した未硬化の紫外線(UV)硬化インクCが記録装置本体内の構造部材等に付着して記録装置の性能を低下させてしまう事態も防止される。
【0063】
[実施例2](図6参照)
実施例2に係るインクジェットプリンター1Bは、前記実施例1に係るインクジェットプリンター1Aと基本的に同様の構成を有しており、発光素子列39を形成しているLED41の配列が各発光素子列39A、39B、39C間で異なっている点のみで相違している。即ち、実施例2においても、各発光素子列39A、39B、39Cは、図7に示したように、複数の発光素子41が直列接続されている。
従って、ここでは前記実施例1と相違する各発光素子列39A、39B、39CでのLED41の配列と、該配列を採用することによって発揮されるインクジェットプリンター1Bの作用、効果に絞って説明する。
【0064】
即ち、本実施例では、3列配設されている発光素子列39A、39B、39Cにおいて、用紙Pの搬送方向Aに所定ピッチSで配設されている各LED41の用紙Pの搬送方向Aでの位置が各発光素子列39A、39B、39C間で位相を所定ピッチTずらして配置されることによって構成されている。
因みに、図6(A)では、LED41の搬送方向Aでの位置を各発光素子列39A、39B、39C間で位相を3分の1ピッチT1ずらした配列を図示しており、図6(B)では、前記位相を2分の1ピッチT2ずらした配列を図示している。また、図6(C)では、前記位相を4分の1ピッチT3ずらした配列を図示している。
【0065】
そして、このようなLED41の配列を採用した場合には、1つの発光素子列39でLED41に故障があった時、他の発光素子列39の搬送方向Aの近傍位置の複数のLED41が、故障したLED41の光照射量の不足を補うことになる。
従って、故障したLED41の光照射量の不足を他の発光素子列39の近傍位置の複数のLED41が、その位相のずれに応じた比率で部分的に受け持って、これらの組み合わせによって、光照射量の不足を補うことになる。
【0066】
また、本実施例2では、前記実施例1と違って、各LED41の前記ノズル列5の方向における位置が各列間で位相を所定ピッチずらして配置されている。すなわち、各発光素子列39A、39B、39Cにおいて列方向に隣接する二つのLED41の境界の位置が、実施例1のように同じ位置ではなく、ずれている。従って、各ノズル口7から吐出された反応液に対して各LED41から照射される光の照射量の均一性の観点において、実施例1と違って前記境界の位置の影響が分散されて出にくくなり、均一性が向上するという効果が得られる。
【0067】
[他の実施例]
本発明に係る記録装置1は、以上述べたような構成を有することを基本とするものであるが、本願発明の要旨を逸脱しない範囲内の部分的構成の変更や省略等を行うことも勿論可能である。
【0068】
例えば、発光素子列39の数は、前記実施例1〜2において採用した3列に限らず、2列であっても構わないし、4列以上設けることも可能である。
【0069】
また、画像13のみを印刷するインクジェットプリンター1の場合には、画像形成用の第2の記録ヘッド15Bのみを設け、該第2の記録ヘッド15Bの方向Bの左右の側傍に、それぞれ複数列、2組の第2照射部19Bを配設することが可能である。
因みにこのような構成を採用した場合には、キャリッジ17の移動方向が往路側である時と、復路側である時とで、第2の記録ヘッド15Bと第2照射部19Bの動作のON状態とOFF状態を切り換える必要がないから制御部21でのこれらの動作制御が容易になる。尚、上記実施例では、記録ヘッドが往復移動する構成のシリアルプリンタについて説明したが、記録ヘッドが移動しないラインヘッドを用いたラインプリンタにも本発明を適用できることは勿論である。
【0070】
この他、通常時モード43と故障時モード45とで、あるいは故障したLED41の位置に応じて該故障したLED41を補填するLED41の光照射量を調整したり、複数列設けられる発光素子列39の記録ヘッド15からの離間距離に応じてLED41の光照射量を調整することも可能である。
【0071】
また、記録ヘッド15から吐出される光反応液Cは、紫外線(UV)硬化インクに限られない。従って、紫外線(UV光)以外の他の波長の光Eによって化学変化する種々の光反応液Cが採用可能であり、発光素子41もLEDに限られない。具体的には、ある波長の光Eの照射を受けることによって色を変化させる光反応液Cを利用して被記録材Pの被記録面9に画像13を形成するようなインクジェットプリンター1等に本発明を適用することも可能である。
【符号の説明】
【0072】
1 インクジェットプリンター(記録装置)、3 搬送手段、5 ノズル列、
7 ノズル口、9 被記録面、11 下地、13 画像、15 記録ヘッド、
17 キャリッジ、19 光照射部、20 故障検知部、21 制御部、
23 記録実行領域、25 搬送用ローラー、27 排出用ローラー、
29 モーター、31 信号、33 故障検知情報、35 設定情報、
37 キャリッジガイド軸、39 発光素子列、
41 発光ダイオード(LED)(発光素子)、43 通常時モード、
45 故障時モード、47 バンド、49 全部使用モード、
51 一部使用モード、P 用紙(被記録材)、A 搬送方向、
B 交差する方向、C 紫外線(UV)硬化インク(インク)(光反応液)、
D バンド送り量、E 紫外線(UV光)(光)、S ピッチ、T ピッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被記録材に対して光反応液を吐出するノズル列を有する記録ヘッドと、
前記吐出された光反応液に光を照射して該光反応液を化学変化させる発光素子が前記ノズル列と同方向に並んで成る発光素子列を有する光照射部と、
前記各発光素子列を形成している各発光素子の故障を検知する故障検知部と、
前記記録ヘッドによる記録の実行動作及び前記光照射部の動作を制御する制御部と、を備え、
前記光照射部は、前記発光素子列が複数列配設され、
前記各発光素子列は複数の発光素子が直列接続されて成り、
前記制御部は、前記故障検知部が発光素子の故障を検知したときは、故障した発光素子の属する発光素子列をOFFにして残りの発光素子列にて記録を実行する故障時モードに移行するように構成されていることを特徴とする記録装置。
【請求項2】
請求項1に記載された記録装置において、
前記制御部は、
前記故障検知部が発光素子の故障を検知したときは、該故障がオープンモードの故障であるか否かを判定し、
オープンモードの故障であるときは故障した発光素子の属する発光素子列を除いた残りの発光素子列にて記録を実行する前記故障時モードに移行し、
ショートモードの故障であるときは故障した発光素子の属する発光素子列をOFFにしても記録が可能な状態であるか否かを判定し、
可能であるときは故障した発光素子の属する発光素子列をOFFにして前記故障時モードに移行し、
可能でないときは故障した発光素子の属する発光素子列を使う記録の継続が選択されているか否かを判定し、
選択されているときは記録を継続し、
選択されていないときは記録を終了する
制御を実行可能に構成されていることを特徴とする記録装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された記録装置において、
前記複数列配設されている発光素子列は、前記ノズル列と同方向に所定ピッチで配設されている各発光素子の前記ノズル列の方向における位置が各列間で一致するように配置されていることを特徴とする記録装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載された記録装置において、
前記複数列配設されている発光素子列は、前記ノズル列と同方向に所定ピッチで配設されている各発光素子の前記ノズル列の方向における位置が各列間で位相を所定ピッチずらして配置されていることを特徴とする記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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