説明

記録装置

【課題】構造体が衝撃を受けた場合でも、その構造体に支持された被支持体が有する記録部による記録媒体に対する記録処理の精度が低下することを抑制することが可能な記録装置を提供する。
【解決手段】インクジェット式プリンターは、三次元構造のベースユニット14と、ベースユニット14に対してロール紙Rに印刷を行うための記録ユニット16とともに支持される搬送ユニット15と、搬送ユニット15及び記録ユニット16をベースユニット14に対して記録ユニット16によるロール紙Rに対する印刷が可能な状態に支持する支持機構35とを備える。支持機構35は、ベースユニット14に対して搬送ユニット15及び記録ユニット16を3箇所で固定状態に支持する固定支持部と、ベースユニット14に対して搬送ユニット15及び記録ユニット16を上記3箇所以外の箇所において弾性変形した状態で支持する弾性支持部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばプリンターなどの記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、シート(記録媒体)に画像を形成する画像形成装置としては、例えば特許文献1に示すような、レーザーを感光に利用する所謂レーザープリンター(記録装置)が知られている。このプリンターは、トナー像が形成される感光体ドラムと、該感光体ドラムに形成されたトナー像が一次転写位置にて転写されるとともに該転写されたトナー像を二次転写位置にてシートに転写(印刷)する中間転写ベルトとを有する作像ユニット(被支持体)を備えている。
【0003】
作像ユニットは、その作像ユニットが装置本体に組み込まれた後に装置本体が捩れ変形などを起こしたとしても、作像ユニットが捩れ変形しないように、装置本体に3点で支持された状態で組み込まれている。すなわち、作像ユニットを装置本体に3点で支持されるように組み込むことで、装置本体の変形によって作像ユニットに生じる応力を抑制して、装置本体が変形しても作像ユニットは変形し難くなるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−186372号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1のプリンターは、作像ユニットが弾力性のほとんどない装置本体に3点で支持された状態で組み込まれているため、運搬中などに落下させられた場合には、その落下の衝撃で装置本体が捩れるような大きな力を受ける。このため、装置本体に組み込まれた作像ユニットが変形したり位置ずれしたりして印刷精度が低下してしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、このような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、構造体が衝撃を受けた場合でも、その構造体に支持された被支持体が有する記録部による記録媒体に対する記録処理の精度が低下することを抑制することが可能な記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の記録装置は、三次元構造の構造体と、該構造体に対して記録媒体に記録処理を施すための記録部を有した状態で支持される被支持体と、該被支持体を前記構造体に対して前記記録部による前記記録媒体に対する記録処理が可能な状態に支持する支持機構とを備え、該支持機構は、前記構造体に対して前記被支持体を3箇所で固定状態に支持する固定支持部と、前記構造体に対して前記被支持体を前記3箇所以外の箇所において弾性変形した状態で支持する弾性支持部とを備える。
【0008】
この発明によれば、三次元構造の構造体に対して被支持体が固定支持部に加えて弾性支持部によっても支持されているため、構造体が衝撃を受けた場合でも、被支持体に加わる衝撃は弾性支持部の弾力性によって緩和される。このため、記録部を有する被支持体の変形や位置ずれなどが抑えられるので、その被支持体が有する記録部の位置状態が変化することも抑えられる。したがって、構造体が衝撃を受けた場合でも、その構造体に支持された被支持体が有する記録部による記録媒体に対する記録処理の精度が低下することを抑制することが可能となる。
【0009】
本発明の記録装置において、前記固定支持部は、前記被支持体の一方側を2箇所で支持するとともに他方側を1箇所で支持しており、前記弾性支持部は、前記被支持体の前記他方側を支持している。
【0010】
この発明によれば、固定支持部により1箇所でしか支持されていない被支持体の他方側が弾性支持部によって支持されているため、構造体が衝撃を受けた場合に、特に該衝撃によって変形し易い被支持体の他方側に加わる衝撃を緩和することが可能となる。
【0011】
本発明の記録装置において、前記弾性支持部は、前記被支持体の一方側を支持する前記固定支持部と対向するように、前記被支持体の他方側を支持する前記固定支持部を挟んだ両側に配置されている。
【0012】
この発明によれば、固定支持部により1箇所でしか支持されていない被支持体の他方側が弾性支持部によって該固定支持部を挟んだ両側で支持されているため、構造体が衝撃を受けた場合に、特に該衝撃によって変形し易い被支持体の他方側に加わる衝撃をバランスよく緩和することが可能となる。
【0013】
本発明の記録装置において、前記被支持体が前記構造体に支持されていない状態において、前記弾性支持部における前記被支持体を支持するための弾力性を有する支持面である第1支持面は、前記固定支持部における前記被支持体を支持するための支持面である第2支持面よりも上側に位置している。
【0014】
この発明によれば、被支持体が構造体に支持された際には弾性支持部が確実に弾性変形した状態で被支持体を支持するため、構造体が衝撃を受けた場合に、被支持体に加わる衝撃を弾性支持部の弾力性によって効果的に緩和することが可能となる。
【0015】
本発明の記録装置において、前記構造体は、前記被支持体を挟んだ両側にそれぞれ立設されるとともに該被支持体が装着されるフレームを備え、前記固定支持部及び前記弾性支持部は、前記フレームの側部に設けられている。
【0016】
この発明によれば、構造体が衝撃を受けた場合、その衝撃はフレームを介して被支持体に伝わるため、該被支持体に加わる衝撃を低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施形態のインクジェット式プリンターの斜視図。
【図2】図1の側断面図。
【図3】同プリンターを後側から見たときの断面図。
【図4】同プリンターのベースユニットの平断面図。
【図5】同プリンターの右フレームの要部拡大図。
【図6】同プリンターの左フレームの要部拡大図。
【図7】同プリンターにおいて、ベースユニットに記録ユニット及び搬送ユニットが装着されていないときの左フレームの要部拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の記録装置をインクジェット式プリンターに具体化した一実施形態について、図面に従って説明する。また、以下の説明において、「前後方向」、「左右方向」、「上下方向」をいう場合は図1に矢印で示す前後方向、左右方向、上下方向をそれぞれ示すものとする。
【0019】
図1及び図2に示すように、記録装置としてのインクジェット式プリンター11は、略直方体状をなす本体ケース12を備えている。本体ケース12の後面には、記録媒体としてのロール紙Rを本体ケース12内へ巻き出し可能に収容するロール紙収容ケース13が取り付けられている。ロール紙Rは、巻き出された状態(巻き解かれた状態)では平らな帯状の連続紙となる。
【0020】
本体ケース12内における該本体ケース12の底板12a上には三次元フレーム構造のベースユニット14が設けられている。そして、ベースユニット14上には、ロール紙Rを搬送する搬送ユニット15と、該搬送ユニット15によって搬送されるロール紙Rに記録処理としての印刷を行う記録部としての記録ユニット16とが支持されている。
【0021】
搬送ユニット15は、ロール紙収容ケース13から巻き出されるロール紙Rを支持可能な平板状の支持台17を備えている。搬送ユニット15における支持台17の前後両側には、ロール紙Rを該ロール紙Rの搬送経路に沿って上流側から下流側へ向かって搬送する搬送ローラー対18,19がそれぞれ設けられている。また、本体ケース12内においてロール紙Rの搬送経路における搬送ユニット15よりも上流側には、ロール紙収容ケース13から本体ケース12内へ巻き出されるロール紙Rを搬送ユニット15へ導く中継ローラー対20が配置されている。
【0022】
図2及び図3に示すように、記録ユニット16は、支持台17と対向するとともにキャリッジモーター(図示略)によってロール紙Rの搬送方向と直交する方向(左右方向)に往復移動可能に構成されたキャリッジ21を備えている。すなわち、記録ユニット16内には左右方向(ロール紙Rの幅方向)に延びるガイド軸22が架設されるとともに、該ガイド軸22に対してキャリッジ21が摺動可能に支持されている。
【0023】
キャリッジ21の下面には記録ヘッド23が支持されるとともに、該記録ヘッド23の下面は液体としてのインクを噴射する複数のノズル(図示略)が開口したノズル開口面になっている。そして、キャリッジ21をガイド軸22に沿って往復移動させながら支持台17に支持されたロール紙Rに対して記録ヘッド23の各ノズル(図示略)からインクを噴射することで印刷が行われるようになっている。
【0024】
また、記録ユニット16内における右端部には、キャリッジ21を右端部に移動させた後に、記録ヘッド23のノズル開口面をキャップ(図示略)で封止した状態で、各ノズル(図示略)からインクを吸引するクリーニングなどのメンテナンスを行うメンテナンス装置24が設けられている。そして、記録ヘッド23による印刷が行われない場合やインクジェット式プリンター11の運搬時等に、メンテナンス装置24のキャップ(図示略)で記録ヘッド23のノズル開口面を封止することで、各ノズル(図示略)からのインク中の水分蒸発が防止される。
【0025】
また、本体ケース12内には、記録ユニット16によって印刷が行われたロール紙Rを本体ケース12外へ排出する排出搬送機構25が設けられている。排出搬送機構25は、印刷後のされたロール紙Rを排出する過程で反転させる排出経路26aを形成する排出経路形成部材26を備えている。排出経路26aは左右方向から見て前側に膨らむ略円弧状をなしている。排出経路26aにおけるロール紙Rの上流端側及び下流端側にはロール紙Rを排出する排出ローラー対27,28がそれぞれ配置されている。
【0026】
この場合、排出経路26aの下流端側に配置された排出ローラー対28は、本体ケース12の上面よりも上側に位置している。したがって、記録ユニット16によって印刷が行われたロール紙Rは、排出経路26aに沿って搬送されて本体ケース12の上面上に排出されるようになっている。
【0027】
次に、ベースユニット14による搬送ユニット15及び記録ユニット16の支持構造について説明する。
図3及び図4に示すように、ベースユニット14は、互いに対をなすように左右方向に間隔を置いて本体ケース12の底板12a上に立設されるとともに矩形板状をなす左フレーム30及び右フレーム31を備えている。すなわち、左フレーム30及び右フレーム31は、左右方向において搬送ユニット15を挟んだ両側に配置されている。左右両フレーム30,31の上下方向の中央部間には、矩形板状の補強板32が架設されている。
【0028】
搬送ユニット15の左右両側面には、互いに対をなすように矩形状の左支持板33及び右支持板34がそれぞれ取着されている。この場合、左右両支持板33,34の上端部は搬送ユニット15の上面よりも上側に位置する一方、左右両支持板33,34の下端部は搬送ユニット15の下面よりも下側に位置している。
【0029】
そして、左右両支持板33,34の上端部には記録ユニット16が取着される一方、左右両支持板33,34の下端部は左右両フレーム30,31の上端部にそれぞれ取着されている。したがって、搬送ユニット15及び記録ユニット16は、左右両支持板33,34を介してそれぞれベースユニット14に装着(支持)されている。
【0030】
また、ベースユニット14の左右両フレーム30,31の内側の面(側部)には、左右両支持板33,34を介して搬送ユニット15及び記録ユニット16をそれぞれベースユニット14に装着した際に、左右両支持板33,34を介して搬送ユニット15及び記録ユニット16を支持する支持機構35が備えられている。なお、本実施形態では、搬送ユニット15、記録ユニット16、及び左右両支持板33,34によって被支持体が構成されるとともに、ベースユニット14及び本体ケース12の底板12aによって三次元構造の構造体が構成されている。
【0031】
図4〜図6に示すように、支持機構35は、右フレーム31の左面に設けられた2つの固定支持部36と、左フレーム30の右面に設けられた1つの固定支持部36と、左フレーム30の右面に設けられた2つの弾性支持部37とを備えている。各固定支持部36は、上面38aが水平な平面になっているとともに下側が開口した略U字状の金具38によって構成される一方、弾性支持部37は、金具38と該金具38の上面38aに設けられた直方体状のクッション材39(本実施形態では独立気泡構造の発泡ウレタンが用いられている)とによって構成されている。
【0032】
したがって、各固定支持部36を構成する金具38の上面38aは、該各固定支持部36の第2支持面としての上面36aとなるとともに、各弾性支持部37を構成するクッション材39の上面39aは、該各弾性支持部37の第1支持面としての上面37aとなる。なお、クッション材39の上面39a(弾性支持部37の上面37a)は水平な平面になっている。
【0033】
右フレーム31の左面に設けられた2つの固定支持部36は、左右方向に間隔を置いて互いに対をなすように配置されている。一方、左フレーム30の右面に設けられた2つの弾性支持部37は、左フレーム30の右面における1つの固定支持部36を前後方向(搬送ユニット15によるロール紙Rの搬送方向)において挟んだ両側に互いに対をなすように配置されている。
【0034】
この場合、右フレーム31の左面に設けられた2つの固定支持部36と左フレーム30の右面に設けられた1つの固定支持部36とは、それらの上面36aが互いに同じ高さになるように配置されている。したがって、右フレーム31の左面に設けられた2つの固定支持部36と左フレーム30の右面に設けられた2つの弾性支持部37とは左右方向において対向(対応)している。
【0035】
そして、図5及び図6に示すように、ベースユニット14に搬送ユニット15及び記録ユニット16が装着(支持)された状態では、右支持板34の前後両端部及び左支持板33の前後方向の中央部が固定支持部36によってそれぞれ固定状態に支持されるとともに、左支持板33の前後両端部が弾性支持部37によってそれぞれ支持される。
【0036】
また、図7に示すように、ベースユニット14に搬送ユニット15及び記録ユニット16が装着(支持)されていない状態では、各固定支持部36の上面36aよりも各弾性支持部37の上面37aの方が高くなっている。この状態からベースユニット14に搬送ユニット15及び記録ユニット16が装着されることで、図3〜図6に示すように、搬送ユニット15及び記録ユニット16の右側(一方側)は、右支持板34を介して2つの固定支持部36によって支持される。
【0037】
一方、搬送ユニット15及び記録ユニット16の左側(他方側)は、左支持板33を介して1つの固定支持部36及び2つの弾性支持部37によって支持される。この場合、各弾性支持部37のクッション材39は、自身が持つ弾力性により弾性変形した状態で搬送ユニット15及び記録ユニット16を支持している。
【0038】
このように、固定支持部36は、ベースユニット14に対して搬送ユニット15及び記録ユニット16を3箇所で固定状態に支持するとともに、弾性支持部37は、ベースユニット14に対して搬送ユニット15及び記録ユニット16を上記3箇所以外の2箇所において弾性変形した状態で支持している。
【0039】
次に、インクジェット式プリンター11が梱包状態での搬送中に落下されて衝撃を受けたときの作用について説明する。
さて、インクジェット式プリンター11が落下による衝撃を受けると、右支持板34の前後両端部が2つの固定支持部36によって固定状態に支持されるとともに左支持板33の前後方向の中央部が1つの固定支持部36によって固定状態に支持されているため、左支持板33の前後両端部が上下に揺れる(振動する)。このとき、左支持板33の前後両端部は弾性支持部37に支持されているため、該弾性支持部37のクッション材39の弾力性によって左支持板33の前後両端部の上下の揺れが緩和(減衰)されて搬送ユニット15及び記録ユニット16が受ける衝撃も緩和される。
【0040】
このため、左支持板33が落下による衝撃で塑性変形するレベルまで揺れる(振動する)ことが抑制されるので、搬送ユニット15及び記録ユニット16が捩れて変形したり、搬送ユニット15に対して記録ユニット16が位置ずれしたりすることが抑制される。すなわち、搬送ユニット15と記録ユニット16との位置関係が維持されるので、搬送ユニット15によって搬送されるロール紙Rに対する記録ユニット16の印刷精度が低下することが抑制される。
【0041】
因みに、左支持板33の前後両端部が弾性支持部37によって支持されていない場合には、インクジェット式プリンター11の落下による衝撃によって左支持板33の前後両端部が上下に大きく揺れると塑性変形してしまうことがある。このため、搬送ユニット15及び記録ユニット16が捩れて変形することで、搬送ユニット15と記録ユニット16との位置関係が変わってしまい、搬送ユニット15によって搬送されるロール紙Rに対する記録ユニット16の印刷精度が著しく低下してしまう。
【0042】
以上、詳述した実施形態によれば以下の効果を得ることができる。
(1)インクジェット式プリンター11は、ベースユニット14に対して搬送ユニット15及び記録ユニット16が3つの固定支持部36に加えて2つの弾性支持部37によっても支持されている。このため、ベースユニット14が落下による衝撃を受けた場合でも、搬送ユニット15及び記録ユニット16に加わる衝撃を弾性支持部37のクッション材39の弾力性によって緩和することができる。したがって、搬送ユニット15及び記録ユニット16が捩れて変形したり、搬送ユニット15に対して記録ユニット16の位置がずれたりすることが抑えられる。この結果、ベースユニット14が落下による衝撃を受けた場合でも、該ベースユニット14に支持された記録ユニット16によるロール紙Rに対する印刷精度が低下することを抑制することができる。
【0043】
(2)インクジェット式プリンター11において、弾性支持部37は、右支持板34を介して搬送ユニット15及び記録ユニット16の右側を支持する2つの固定支持部36と対向するように、左支持板33を介して搬送ユニット15及び記録ユニット16の左側を支持する1つの固定支持部36を前後方向に挟んだ両側に1つずつ配置されている。すなわち、左支持板33を介して固定支持部36により1箇所でしか支持されていない搬送ユニット15及び記録ユニット16の左側が弾性支持部37によって該固定支持部36を前後方向に挟んだ両側の1箇所ずつで支持されている。このため、ベースユニット14が落下による衝撃を受けた場合に、特に該衝撃によって揺れて(振動して)変形し易い搬送ユニット15及び記録ユニット16の左側に加わる衝撃を前後方向においてバランスよく緩和することができる。
【0044】
(3)搬送ユニット15及び記録ユニット16がベースユニット14に装着されていない状態において、各弾性支持部37の上面37aは、各固定支持部36の上面36aよりも上側に位置している。このため、搬送ユニット15及び記録ユニット16をベースユニット14に装着した際には弾性支持部37のクッション材39が確実に弾性変形した状態で搬送ユニット15及び記録ユニット16を支持する。したがって、ベースユニット14が落下による衝撃を受けた場合に、搬送ユニット15及び記録ユニット16に加わる衝撃を効果的に緩和することができる。
【0045】
(4)固定支持部36は左フレーム30の右面及び右フレーム31の左面に設けられるとともに、弾性支持部37は左フレーム30の右面に設けられている。このため、ベースユニット14が落下による衝撃を受けた場合に、その衝撃が左右両フレーム30,31を介して搬送ユニット15及び記録ユニット16に伝わるため、該被支持体に加わる衝撃を低減することができる。
【0046】
(5)インクジェット式プリンター11において、記録ユニット16は、メンテナンス装置24側(右側)が右支持板34を介して2つの固定支持部36で支持されている。このため、インクジェット式プリンター11の運搬時等に、メンテナンス装置24のキャップ(図示略)により記録ヘッド23のノズル開口面を封止した状態で落下による衝撃や振動を受けた場合でも、記録ユニット16におけるメンテナンス装置24側は変形し難い。したがって、記録ヘッド23及びメンテナンス装置24が変形したり損傷したりすることを防止することができる。
(変更例)
なお、上記実施形態は以下のような別の実施形態に変更してもよい。
【0047】
・左フレーム30の右面において、1つの固定支持部36を挟んだ両側に1つ以上ずつの弾性支持部37を設けるようにしてもよい。この場合、左フレーム30の右面において1つの固定支持部36を挟んだ両側に設けられた弾性支持部37の数は必ずしも一致させる必要はない。例えば、左フレーム30の右面において、1つの固定支持部36の前側に2つの弾性支持部37を設けるとともに該1つの固定支持部36の後側に3つの弾性支持部37を設けるようにしてもよい。
【0048】
・左フレーム30の右面に設けられた2つの弾性支持部37のうちいずれか一方を省略してもよい。
・右フレーム31の左面にも弾性支持部37を1つ以上設けるようにしてもよい。
【0049】
・各弾性支持部37の上面37aは、必ずしも各固定支持部36の上面36aよりも上側に位置している必要はない。
・弾性支持部37のクッション材39には、ゴムなどのエラストマーを採用してもよい。
【0050】
・弾性支持部37は、本体ケース12の底板12a上に立設したコイルばねによって構成してもよいし、左フレーム30の右面に設けた板ばねによって構成してもよい。
・ロール紙Rの代わりにプラスチックフィルム、布、金属の薄板などを記録媒体として用いてもよい。
【0051】
・ロール紙Rの代わりに、枚葉紙(単票紙)を記録媒体として用いてもよい。
・インクジェット式プリンター11は、記録ヘッドが固定されていて、その下を搬送される用紙(記録媒体)に対してインクを噴射する、いわゆるラインヘッドプリンターであってもよい。
【0052】
・上記実施形態では、記録装置をインクジェット式プリンター11に具体化したが、インク以外の他の液体を噴射したり吐出したりする液体噴射装置を採用してもよい。微小量の液滴を吐出させる液体噴射ヘッド等を備える各種の液体噴射装置に流用可能である。なお、液滴とは、上記液体噴射装置から吐出される液体の状態をいい、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。また、ここでいう液体とは、液体噴射装置が噴射させることができるような材料であればよい。例えば、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い液状体、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような流状態、また物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたものなどを含む。また、液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インク及び油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。液体噴射装置の具体例としては、例えば液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルターの製造などに用いられる電極材や色材などの材料を分散又は溶解のかたちで含む液体を噴射する液体噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を噴射する液体噴射装置、捺染装置やマイクロディスペンサ等であってもよい。さらに、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する液体噴射装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する液体噴射装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する液体噴射装置を採用してもよい。そして、これらのうちいずれか一種の液体噴射装置に本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0053】
11…記録装置としてのインクジェット式プリンター、12a…構造体を構成する底板、14…構造体を構成するベースユニット、15…被支持体を構成する搬送ユニット、16…被支持体を構成する記録部としての記録ユニット、30…左フレーム、31…右フレーム、33…被支持体を構成する左支持板、34…被支持体を構成する右支持板、35…支持機構、36…固定支持部、36a…第2支持面としての上面、37…弾性支持部、37a…第1支持面としての上面、R…記録媒体としてのロール紙。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元構造の構造体と、
該構造体に対して記録媒体に記録処理を施すための記録部を有した状態で支持される被支持体と、
該被支持体を前記構造体に対して前記記録部による前記記録媒体に対する記録処理が可能な状態に支持する支持機構とを備え、
該支持機構は、前記構造体に対して前記被支持体を3箇所で固定状態に支持する固定支持部と、前記構造体に対して前記被支持体を前記3箇所以外の箇所において弾性変形した状態で支持する弾性支持部とを備えることを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記固定支持部は、前記被支持体の一方側を2箇所で支持するとともに他方側を1箇所で支持しており、
前記弾性支持部は、前記被支持体の前記他方側を支持していることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記弾性支持部は、前記被支持体の一方側を支持する前記固定支持部と対向するように、前記被支持体の他方側を支持する前記固定支持部を挟んだ両側に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の記録装置。
【請求項4】
前記被支持体が前記構造体に支持されていない状態において、
前記弾性支持部における前記被支持体を支持するための弾力性を有する支持面である第1支持面は、前記固定支持部における前記被支持体を支持するための支持面である第2支持面よりも上側に位置していることを特徴とする請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の記録装置。
【請求項5】
前記構造体は、前記被支持体を挟んだ両側にそれぞれ立設されるとともに該被支持体が装着されるフレームを備え、
前記固定支持部及び前記弾性支持部は、前記フレームの側部に設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項4のうちいずれか一項に記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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