説明

記録装置

【課題】振動や衝撃等の影響を受けることなく、記録媒体と制御機器との良好な接続状態を維持することが可能な記録装置を提供すること。
【解決手段】挿入口から挿入された記録媒体13を収容する収容空間と、収容空間に収容された記録媒体13に電気的に接続される制御機器15とを有し、収容空間に記録媒体13を固定する記録装置11であって、制御機器15に一端が接続され、他端が記録媒体13に接続される、収容空間に設けられたケーブル42をさらに備え、ケーブル42は、少なくとも他端が収容空間16の外部に向けて挿入口から延出自在である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体収容部に着脱される記録媒体を備えた記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
記録媒体が着脱される記録装置は、記録媒体が挿抜される媒体収容部を備えており、この媒体収容部に記録媒体を挿入して収容させると、媒体収容部に設けられた接続コネクタに記録媒体の接続部が電気的に接続される(例えば、特許文献1、2参照)。これらの装置では、記録媒体または媒体収容部の一方に設けられた突起が、他方の溝に嵌入することによって記録媒体が媒体収容部に固定される構造を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−266028号公報
【特許文献2】特開2005−235293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両の内外の映像を撮影して記録する車載カメラ等の記録装置では、路面やエンジンからの振動、加減速時の衝撃等が作用する。このような振動や衝撃が記録装置に作用すると、記録媒体の接続部と媒体収容部の接続コネクタとの接続部分にずれが生じ、接触不良等の不具合が生じるおそれがある。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、振動や衝撃等の影響を受けることなく、記録媒体と制御機器との良好な接続状態を維持することが可能な記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した目的を達成するために、本発明に係る記録装置は、下記(1)または(2)を特徴としている。
(1) 挿入口から挿入された記録媒体を収容する収容空間と、前記収容空間に収容された前記記録媒体に電気的に接続される制御機器とを有し、前記収容空間に前記記録媒体を固定する記録装置であって、
前記制御機器に一端が接続され、他端が前記記録媒体に接続される、前記収容空間に設けられたケーブルをさらに備え、
前記ケーブルは、少なくとも他端が前記収容空間の外部に向けて前記挿入口から延出自在である、こと。
(2) 上記(1)の構成の記録装置において、前記収容空間を形成するステーアッシーと、前記収容空間の挿入口を覆うように前記ステーアッシーに組み付けられて前記収容空間内の前記記録媒体を保持するプレートと、前記収容空間を形成する内壁の一部に設けられた第1弾性体と、前記プレートにおける前記記録媒体を臨む面に設けられた第2弾性体とを備えること。
【0007】
上記(1)の構成の記録装置では、制御機器と記録媒体とがケーブルで電気的に接続されている。したがって、車両等に搭載しても、路面やエンジンからの振動、加減速時の衝撃等が作用して接続箇所が破損するような不具合を防止することができ、接続不良による誤作動や不作動を防止することができる。つまり、制御機器と記録媒体との良好な接続状態を維持することができ、信頼性を高めることができる。
また、ケーブルの他端が収容空間の外部に向けて挿入口から延出自在であるので、収容空間に対する記録媒体の着脱時にケーブルが無理なく挿入口から引き出される。これにより、記録媒体へのケーブルの接続及び接続解除を目視しながら容易に行うことができ、記録媒体の着脱の作業性を向上させることができる。
上記(2)の構成の記録装置では、プレートをステーアッシーに組み付けることにより、収容空間に収容した記録媒体をステーアッシーへ確実に保持させて脱落を防止することができる。また、収容空間内の記録媒体が第1弾性体及び第2弾性体に押し付けられてガタつきなく保持されるので、路面やエンジンからの振動、加減速時の衝撃等が作用したとしても、その振動や衝撃を第1弾性体及び第2弾性体で吸収させ、記録媒体へのダメージを抑えることができ、また、異音の発生を防止することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、振動や衝撃等の影響を受けることなく、記録媒体と制御機器との良好な接続状態を維持することが可能な記録装置を提供できる。
【0009】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本実施形態に係る記録装置の斜視図である。
【図2】図2は、本実施形態に係る記録装置のプレートを外した状態の斜視図である。
【図3】図3は、本実施形態に係る記録装置のプレートを外した状態の平面図である。
【図4】図4は、本実施形態に係る記録装置のプレートを外した状態の正面図である。
【図5】図5は、本実施形態に係る記録装置の背面図である。
【図6】図6は、図3におけるA−A断面図である。
【図7】図7は、記録装置を説明する図であって、図7(a)は後方側から視た斜視図、図7(b)は上部を開放した状態での後方側から視た斜視図である。
【図8】図8は、記録媒体を引き出した状態の記録装置を説明する図であって、図8(a)は後方側から視た斜視図、図8(b)は上部を開放した状態での後方側から視た斜視図である。
【図9】図9は、記録装置における記録媒体の着脱の仕方を説明する図であって、図9(a)〜図9(c)は、それぞれ記録装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る実施の形態の例を、図面を参照して説明する。
【0012】
図1は本実施形態に係る記録装置の斜視図、図2は本実施形態に係る記録装置のプレートを外した状態の斜視図、図3は本実施形態に係る記録装置のプレートを外した状態の平面図、図4は本実施形態に係る記録装置のプレートを外した状態の正面図、図5は本実施形態に係る記録装置の背面図、図6は図3におけるA−A断面図、図7は記録装置を説明する図であって、図7(a)は後方側から視た斜視図、図7(b)は上面のパネルを外した状態での後方側から視た斜視図、図8は記録媒体を引き出した状態の記録装置を説明する図であって、図8(a)は後方側から視た斜視図、図8(b)は上面のパネルを外した状態での後方側から視た斜視図、図9は記録装置における記録媒体の着脱の仕方を説明する図であって、図9(a)〜図9(c)は、それぞれ記録装置の斜視図である。
【0013】
図1から図6に示すように、本実施形態に係る記録装置11は、記録装置本体12と、記録媒体13とを備えている。
【0014】
記録装置本体12は、金属板をプレス加工することによって形成されたステーアッシー14と、このステーアッシー14に取り付けられた制御機器15とを備えている。
【0015】
ステーアッシー14は、制御機器15の上方に、記録媒体13が収容される収容空間16を有している。この収容空間16は、記録装置本体12の前面側が挿入口17とされており、この挿入口17で記録媒体13が挿抜される。そして、この挿入口17から記録媒体13を収容空間16へ挿し込むことにより、ステーアッシー14の収容空間16に記録媒体13が収容される。
【0016】
また、ステーアッシー14の上面板14aの裏面側には、板バネ20が設けられており、収容空間16へ挿し込まれて収容された記録媒体13が、板バネ20によって下方へ付勢され、上下方向のガタつきが抑えられる。
【0017】
ステーアッシー14には、その前面に、金属板からなるプレート21が着脱される。このプレート21は、平面視コ字状に形成されており、その一側部には、側方へ突出する突出部22が形成されている。また、このプレート21の他側部側には、ビス挿通孔(図示略)が形成されており、このビス挿通孔には、前方側からビス23が挿し込まれている。また、プレート21には、一側部における下端に、係合突起24が形成されており、この係合突起24は、記録媒体13の前面に形成された係合穴13aに係合可能とされている。
【0018】
ステーアッシー14には、一側部における前面側に、内側へ屈曲された二つの係止片31が形成されており、これらの係止片31には、プレート21の一側部が係止可能とされている。また、ステーアッシー14の他側部側における前面には、ネジ孔32が形成されており、このネジ孔32には、プレート21のビス挿通孔に挿通されたビス23が螺合可能とされている。
【0019】
そして、プレート21の一側部の突出部22を係止片31の間に入り込ませてプレート21の一側部を係止片31に係止させ、ビス挿通孔に挿通させたビス23をネジ孔32にねじ込むと、プレート21がステーアッシー14の前面に取り付けられ、記録媒体13が収容される収容空間16の挿入口17がプレート21によって覆われる。
【0020】
ステーアッシー14の収容空間16には、その奥側における内壁の一部に、ゴム等の弾性材料から形成された第1弾性体35が設けられている。また、プレート21における収容空間16内の記録媒体13を臨む面にも、ゴム等の弾性材料から形成された第2弾性体36が設けられている。
【0021】
図7(a)及び図7(b)に示すように、ステーアッシー14の収容空間16は、その一側の一部がケーブル配線空間部41とされている。このケーブル配線空間部41には、ケーブル42が配設されている。このケーブル42は、その一端が制御機器15の後面の接続部43に接続されており、制御機器15に接続された一端の近傍部分が結束バンド44によって制御機器15の後面に固定されている。このケーブル42は、その他端が、ステーアッシー14の収容空間16内に収容される記録媒体13の側面における前方側に設けられた接続部45に接続される。また、このケーブル42は、収容空間16のケーブル配線空間41へ引き込まれており、その一部がステーアッシー14の後方側に引き出されて弛みが持たされている。
【0022】
このように、弛みが持たされたケーブル42は、図8(a)及び図8(b)に示すように、他端が収容空間16の外部に向けて挿入口17から延出自在とされている。
【0023】
次に、上記の記録装置11において、記録媒体13を着脱する場合について説明する。
【0024】
(装着時)
記録媒体13を装着する場合、図9(a)に示すように、ケーブル42を記録装置11の前方側へ引き出す。このとき、図7(a)及び図7(b)に示すように、ケーブル42は、ステーアッシー14の後方側で弛みが持たされているので、図8(a)及び図8(b)に示すように、ケーブル42を無理なく記録装置11の前方側へ引き出すことができる。
【0025】
次に、図9(b)に示すように、引き出したケーブル42を記録媒体13の接続部45に接続する。これにより、記録媒体13と制御機器15とがケーブル42によって電気的に接続された状態となる。
【0026】
この状態から、記録媒体13を、ステーアッシー14の収容空間16へ、挿入口17から挿し込み、記録装置11の奥側へ押し込んで収容させる。このとき、ケーブル42は、収容空間16のケーブル配線空間部41内へ押し込まれ、その一部がステーアッシー14の後方側で弛んだ状態となる。
【0027】
このように、収容空間16へ記録媒体13を収容させたら、プレート21の一側部の突出部22を係止片31の間に入り込ませてプレート21の一側部を係止片31に係止させ、ビス挿通孔に挿通させたビス23をネジ孔32にねじ込む。このようにすると、プレート21がステーアッシー14の前面に取り付けられ、収容空間16に収容された記録媒体13が保持される。
【0028】
このとき、記録媒体13の前後に、第1弾性体35及び第2弾性体36が押し付けられる。これにより、記録媒体13は、ガタつきなく記録装置11のステーアッシー14に保持される。
【0029】
また、ステーアッシー14の上面板14aの裏面側に設けられた板バネ20によって記録媒体13が下方へ付勢され、この記録媒体13の上下方向のガタつきが抑えられる。
【0030】
(取り外し時)
記録媒体13を取り外す場合、まず、ビス23を弛めて締結状態を解除し、プレート21の一側部を係止片31から抜き取り、プレート21をステーアッシー14から取り外す。このようにすると、記録媒体13の前面側が開放された状態となる。
【0031】
次に、図9(c)に示すように、プレート21の係合突起24を、記録媒体13の係合穴13aに係合させる。
【0032】
この状態で、プレート21を記録装置11の前方側へ引っ張る。すると、記録媒体13がプレート21によって収容空間16から引き出される。このとき、ケーブル42は、記録媒体13とともに記録装置11の前方側へ引っ張られるが、図7(a)及び図7(b)に示すように、ケーブル42は、ステーアッシー14の後方側で弛みが持たされているので、図8(a)及び図8(b)に示すように、記録媒体13とともに無理なく記録装置11の前方側へ引き出される。
【0033】
その後、ケーブル42を記録媒体13の接続部45から引き抜いて接続状態を解除させる。
【0034】
これにより、記録媒体13が記録装置11から取り外された状態となる。
【0035】
以上、説明したように、上記実施形態に係る記録装置によれば、制御機器15と記録媒体13とがケーブル42で電気的に接続されている。したがって、この記録装置11を車両等に搭載しても、路面やエンジンからの振動、加減速時の衝撃等が作用して接続箇所が破損するような不具合を防止することができ、接続不良による誤作動や不作動を防止することができる。つまり、制御機器15と記録媒体13との良好な接続状態を維持することができ、信頼性を高めることができる。
【0036】
また、ケーブル42の他端が収容空間16の外部に向けて挿入口17から延出自在であるので、収容空間16に対する記録媒体13の着脱時にケーブル42が無理なく挿入口17から引き出される。これにより、記録媒体13へのケーブル42の接続及び接続解除を目視しながら容易に行うことができ、記録媒体13の着脱の作業性を向上させることができる。
【0037】
また、プレート21をステーアッシー14に組み付けることにより、収容空間16に収容した記録媒体13をステーアッシー14へ確実に保持させて脱落を防止することができる。また、収容空間16内の記録媒体13が第1弾性体35及び第2弾性体36に押し付けられてガタつきなく保持されるので、路面やエンジンからの振動、加減速時の衝撃等が作用したとしても、その振動や衝撃を第1弾性体35及び第2弾性体36で吸収させ、記録媒体13へのダメージを抑えることができ、また、異音の発生を防止することができる。
【0038】
また、プレート21の係合突起24を記録媒体13の係合穴13aに係合させて引っ張ることにより、記録媒体13をステーアッシー14から容易に取り出すことができる。したがって、記録媒体13を引き出すために取っ手を設けたものや専用工具を用いるものと比較して、突出部分をなくして安全性の向上を図ることができるとともに、記録媒体13の脱着作業性の向上を図ることができる。しかも、簡易的な構造で記録媒体13が着脱可能とされているので、構造の簡略化によるコスト低減を図ることができる。
【0039】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【符号の説明】
【0040】
11 記録装置
13 記録媒体
14 ステーアッシー
15 制御機器
16 収容空間
17 挿入口
21 プレート
35 第1弾性体
36 第2弾性体
42 ケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿入口から挿入された記録媒体を収容する収容空間と、前記収容空間に収容された前記記録媒体に電気的に接続される制御機器とを有し、前記収容空間に前記記録媒体を固定する記録装置であって、
前記制御機器に一端が接続され、他端が前記記録媒体に接続される、前記収容空間に設けられたケーブルをさらに備え、
前記ケーブルは、少なくとも他端が前記収容空間の外部に向けて前記挿入口から延出自在である、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記収容空間を形成するステーアッシーと、前記収容空間の挿入口を覆うように前記ステーアッシーに組み付けられて前記収容空間内の前記記録媒体を保持するプレートと、前記収容空間を形成する内壁の一部に設けられた第1弾性体と、前記プレートにおける前記記録媒体を臨む面に設けられた第2弾性体とを備えることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−107418(P2013−107418A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−251722(P2011−251722)
【出願日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【出願人】(501418498)矢崎エナジーシステム株式会社 (79)